JP2000079882A - 後輪転舵装置 - Google Patents

後輪転舵装置

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JP2000079882A
JP2000079882A JP16960599A JP16960599A JP2000079882A JP 2000079882 A JP2000079882 A JP 2000079882A JP 16960599 A JP16960599 A JP 16960599A JP 16960599 A JP16960599 A JP 16960599A JP 2000079882 A JP2000079882 A JP 2000079882A
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clutch
slide
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slide shaft
rear wheel
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JP16960599A
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Hiroshi Furuumi
洋 古海
Kunio Shirakawa
邦雄 白川
Yoshio Kakizaki
能生 柿崎
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Honda Motor Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 装置の大型化を招かずに異常時などにおける
中立位置への復帰及び保持を確実に行い得る後輪転舵装
置を提供する。 【解決手段】 軸方向移動可能にケーシング(3)に支
持され、かつ後輪に連結されるスライド軸(1)に軸力
を与えることによって後輪舵角を制御する後輪転舵装置
を、スライド軸と平行な軸上を舵角中立位置を基準にし
て対称な方向へ互いに離間・近接移動させられる2つの
スライド部材(21a・21b)と、スライド軸上に設
けられた突出部(5)とを有し、互いに近接移動させら
れる2つのスライド部材の少なくとも一部で突出部を挟
み込むようにしてスライド軸を舵角中立位置へ移動させ
るものとする。これにより、中立位置へ復帰させる力が
通常転舵時には加わらないので、転舵用の動力が小さく
て済む。また、現在の転舵方向に係わらず必ず中立位置
へ復帰させることができるので、高精度な中立位置セン
サが不要となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、後輪転舵装置に関
し、特に中立位置の復帰及び保持手段を備えた後輪転舵
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】前輪舵角に対応させて後輪をも転舵する
ことにより、車両の運動特性を改善しようとする前後輪
操舵装置に関する技術が種々提案されている(特開平9
−58515号公報など参照)。このような前後輪操舵
装置においては、舵角センサの異常時(あるいはエンジ
ン停止時)に自動的に舵角が中立位置(直進状態)に戻
るフェイルセーフ装置が組み込まれることが一般的であ
る。
【0003】このフェイルセーフ装置としては、正常な
舵角制御の継続が不能となった際にステアリングロッド
を強制的に舵角中立位置へ戻すための中立位置戻しばね
を設けたものが知られている(特開平8−301131
号公報など参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、この従来装
置によると、舵角センサが故障して中立位置の特定が不
能となっても確実に中立位置へ復帰させて直進走行状態
を保持し得るだけの力を有する中立位置戻しばねの弾発
力がステアリングロッドに常時作用しているので、舵角
を与える電動機は、路面抵抗に加えてこの戻しばねの弾
発力に対抗して転舵し得る出力を発生可能でなければな
らない。そのため、電動機および電動機駆動回路の小型
化が阻害されることとなっていた。
【0005】主・副2つの駆動装置と、両駆動装置を選
択的に転舵装置に接続するクラッチとを設け、主駆動装
置の故障時には副駆動装置で後輪舵角を中立位置に戻す
ように構成されたものが特開平5−69834号公報に
提案されているが、これにしても、舵角センサは常に中
立位置の特定が可能なものでなればならないし、異常時
にしか作動しない副駆動装置を設けねばならないので、
装置全体の小型化は実現し得ない。
【0006】本発明は、このような従来技術の問題点を
解消するためになされたものであり、その主な目的は、
装置の大型化を招かずに異常時などにおける中立位置へ
の復帰及び保持を確実に行い得る後輪転舵装置を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的を果たす
ために、本発明においては、軸方向移動可能にケーシン
グ(3)に支持され、かつ後輪に連結されるスライド軸
(1)に軸力を与えることによって後輪舵角を制御する
後輪転舵装置を、スライド軸と平行な軸上を舵角中立位
置を基準にして対称な方向へ互いに離間・接近移動させ
られる2つのスライド部材(実施の形態中のスライドブ
ロック21a・21b)と、スライド軸上に設けられた
突出部(5)とを有し、互いに接近移動させられる2つ
のスライド部材の少なくとも一部で突出部を挟み込むよ
うにしてスライド軸を舵角中立位置へ移動させるものと
した。
【0008】これによれば、中立位置へ復帰させる力が
転舵時には加わらないので、転舵用の動力が小さくて済
む。また、現在の転舵方向に係わらず必ず中立位置へ復
帰させることができるので、高精度な中立位置センサが
不要となる。
【0009】特に、ケーシング(3)に、2つのスライ
ド部材と実質的に一体をなす部分同士間に挟み込まれる
部分(実施の形態中のストッパ部24)を設けるものと
すれば、例えば舵角中立状態時に車輪に横力が加わった
際などの外力を車体に固定されるケーシングで受け止め
られるので、相対的にスライド軸の駆動機構の負担が軽
減される。しかも車体に対する組み付け時にケーシング
を基準にすることができるので、高精度な中立位置決め
ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面に示された実施
の形態を参照して本発明を詳しく説明する。
【0011】図1は、本発明に基づき構成された電動式
後輪転舵装置における駆動部の全体を示している。図1
において、タイロッドを介して後輪のナックルアーム
(図示せず)にそれぞれ連結されるスライド軸1が、ス
ライド軸受2を介して軸方向摺動自在にケーシング3に
支持されている。
【0012】スライド軸1の軸方向中央部には、スライ
ド軸1を回り止めするために、スライド軸1並びに後記
する回転軸と平行に延在する一対のガイドロッド4に係
合する径方向突出部5が形成されている(図2参照)。
この突出部5の軸方向両側には、図3及び図4に併せて
示すように、スライド軸1にレーザー溶接されたリング
部材6によって軸端方向への変位が規制され、かつ樹脂
軸受7によって所定角度範囲を回動可能なようにされた
クラッチインナ8a・8bがそれぞれ嵌着されている。
【0013】2つのクラッチインナ8a・8bは概ね筒
状をなし、スライド軸中央の突出部5側に大径部9が形
成され、突出部5から離れた側に、後記するスライドブ
ロックの凹部の内径寸法よりも僅かに小さな直径の円周
面にその頂面を置く矩形断面の凸部10が円周を等分割
する位置に複数個形成され(つまりこの部分は軸線に直
交する断面の形状が外歯歯車状をなしている)、大径部
9と凸部10との間、つまり軸方向中央部に凸部10の
底面が接する円周の直径寸法以下の小径部11が形成さ
れている。これらのクラッチインナ8a・8bは、大径
部9の内周面とスライド軸1の外周面との間に装着され
たねじりばね12により、一方向へ弾発的に回動付勢さ
れている。
【0014】各クラッチインナ8a・8bの大径部9の
外周面には、直径線に沿う一対のアーム13が突設され
ている。これらのアーム13は、図5に示すように、ケ
ーシング3の内面に左右対称に形成された、中心から片
側がクランク状をなす案内溝14に、その先端を突入し
ている。また各一対のアーム13の各一方には、直線運
動を行う電磁アクチュエータ15a・15bで揺動駆動
されるロッカーアーム16a・16bの遊端が当接して
おり、各電磁アクチュエータ15a・15bの推力を各
ロッカーアーム16a・16bを介して各アーム13に
伝達することにより、各クラッチインナ8a・8bを個
々に所定角度だけ回動させることができるようになって
いる。
【0015】軸方向中央から互いに逆ねじとなるねじ1
7a・17bが切られ、スライド軸1と平行に延在する
駆動軸18が、回転自在に且つ軸方向変位不能にケーシ
ング3に支持されている。この駆動軸18は、減速歯車
機構19を介して伝達される電動モータ20の回転力に
よって正・逆回転駆動される。
【0016】駆動軸18の各ねじ部17a・17bに
は、スライドブロック21a・21bが、軸方向中央か
ら対称な位置にそれぞれ螺合している。各スライドブロ
ック21a・21bには、スライド軸1に嵌着されたク
ラッチインナ8a・8bの凸部10に対応した複数の凹
部22を備えた(つまりこの部分は軸線に直交する断面
の形状が内歯歯車状をなしている)クラッチアウタ23
が一体形成されている。また各スライドブロック21a
・21bは、スライド軸1を回り止めしているガイドロ
ッド4に係合し、クラッチアウタ23のスライド軸1に
対する同心精度を確保している。
【0017】各スライドブロック21a・21bのそれ
ぞれに設けられたクラッチアウタ23の内周面に形成さ
れた凹部22は、各クラッチインナ8a・8bの外周面
の凸部10の輪郭と対応しており、ねじりばね12の付
勢力のみが作用している状態、つまり各電磁アクチュエ
ータ15a・15bの推力が各ロッカーアーム16a・
16bに作用していない時は、凸部10と凹部22とが
互いに整合するようにその位相角度が定められている。
【0018】各スライドブロック21a・21bは、ス
ライド軸1の軸方向中央部に設けられた突出部5の軸方
向寸法と等しい厚みでケーシング3に形成されたストッ
パ部24にその端面を当接させた位置から、後輪の最大
舵角に相当するスライド軸1の最大ストロークに対応す
る距離だけ移動できるように、ケーシング3の軸方向内
面間寸法Lでその移動範囲が定められている。
【0019】次に本発明装置の作動要領について、図1
に示した舵角中立位置からスライド軸1を左方へ移動さ
せる場合を想定して説明する。
【0020】図1には明示されていないが、2つのクラ
ッチインナ8a・8bは、それぞれが個別の電磁アクチ
ュエータ15a・15bで個々に回動駆動されるように
なっており、例えば、左側の電磁アクチュエータ15a
のみを作動させると、左側のクラッチインナ8aのみが
ねじりばね12の付勢力に抗して案内溝14の周方向部
分14aの間で回動する。すると左クラッチインナ8a
の凸部10と左スライドブロック21aのクラッチアウ
タ23の凹部22との間に位相ずれが生じ、左クラッチ
インナ8aの外周面の凸部10は、左側のクラッチアウ
タ23の凹部22に隣接する凸部と軸方向について同一
直線上で並ぶクラッチ結合状態となる。
【0021】この状態で電動モータ20を正転起動する
と、駆動軸18に螺合した2つのスライドブロック21
a・21bが逆ねじの作用で互いに離間する向きに移動
する。すると左側のクラッチ手段のみが結合状態となっ
ているので、左スライドブロック21aに作用する左方
への軸力が左クラッチインナ8aを介してスライド軸1
に伝わる。
【0022】他方、右クラッチインナ8bの凸部10と
右側のクラッチアウタ23の凹部22とは整合状態、つ
まりクラッチ非結合状態にあるので、右スライドブロッ
ク21bの軸端方向への移動(右動)は右クラッチイン
ナ8b、つまりスライド軸1に何の影響も及ぼさない。
また右クラッチインナ8bのアーム13は案内溝14の
内向き軸方向部分14bに係合している。
【0023】而して、スライド軸1は左方へと移動する
こととなる。
【0024】スライド軸1が左方への移動を開始して左
クラッチインナ8aのアーム13が案内溝14の外向き
軸方向部分14cに入り込むと、左クラッチインナ8a
は回動し得なくなるので、この時点で左電磁アクチュエ
ータ15aへの通電を停止して左ロッカーアーム16a
がばね力により戻されても、左クラッチインナ8aと左
スライドブロック21aとの係合状態、つまり左側のク
ラッチ手段の結合状態は保持される。
【0025】駆動軸1のねじ17a・17bのリード角
を摩擦角よりも小さく定めておくことにより、電動モー
タ20を停止した時点の舵角が保持されるようにでき
る。
【0026】2つのスライドブロック21a・21bが
互いに離間した上記の状態から電動モータ20を逆転す
れば、2つのスライドブロック21a・21bが互いに
接近する向きに、つまり中央へ向けて移動するので、ス
ライド軸1の軸方向中央部に形成された径方向突出部5
を左スライドブロック21aが押すことにより、上記と
は逆にスライド軸1が中立位置へ戻るように右動する。
この時も、右クラッチインナ8bの凸部10と右スライ
ドブロック21b側の凹部22とは整合状態(クラッチ
非結合)にあるので、右スライドブロック21bの中央
へ向けての移動(左動)は右クラッチインナ8b、つま
りスライド軸1に何の影響も及ぼさない。
【0027】中立位置で案内溝14の周方向部14aに
左クラッチインナ8aのアーム13が整合した時点に左
電磁アクチュエータ15aが既に消磁されていれば、ね
じりばね12の作用で左クラッチインナ8aが回動して
左クラッチインナ8aの凸部10と左スライドブロック
21a側の凹部22とが整合状態になり、左スライドブ
ロック21aとスライド軸1との結合が断たれる。この
中立位置では、両スライドブロック21a・21bが、
スライド軸1の径方向突出部5を挟み込むと同時にケー
シング3のストッパ部24をも挟み込んだ状態となるの
で、ねじの摩擦角作用と相俟って、高精度、かつ高剛性
に舵角中立位置の保持が行われる。またこの状態では、
左右両クラッチインナ8a・8bの各アーム13が案内
溝14の周方向部分14aの肩のところに位置しており
(図5参照)、これによって左右両クラッチインナ8a
・8bの軸方向位置が規定されるため、よしんば両スラ
イドブロック21a・21bが誤って動いたとしても、
各電磁アクチュエータ15a・15bを励磁しない限
り、スライド軸1の中立状態は保持される。
【0028】中立位置を越えてスライド軸1を右動させ
る際には、中立位置で右側の電磁アクチュエータ15b
のみを励磁させると共に電動モータ20を正転させる。
すると、上記とは逆に右クラッチインナ8bのみが回動
し、右スライドブロック21bの右方への軸力が右クラ
ッチインナ8bを介してスライド軸1に伝達されること
となる。この時、左クラッチインナ8aは、左スライド
ブロック21aのクラッチアウタ23とは係合していな
いので、左スライドブロック21aの左動はスライド軸
1に何の影響も及ぼさない。
【0029】このようにして、2つの電磁アクチュエー
タ15a・15bを選択的に励磁させると同時に電動モ
ータ20の回転方向を選択することにより、2つの電磁
アクチュエータ15a・15bのいずれを励磁(消磁)
するかで転舵の向きが定まり、電動モータ20を正転す
れば舵角が増大し、逆転すれば必ず中立位置へ戻ること
となる。従って、中立戻し制御に転舵方向の判別が不要
となる。また、中立位置へ戻りきると、両スライドブロ
ック21a・21bがケーシング3のストッパ部24及
びスライド軸1の突出部5に当接してそれ以上移動し得
なくなるので、過負荷検出で電動モータ20への電流を
遮断すれば良く、中立位置検出も不要である。
【0030】本装置には、スライド軸1の左右移動を検
出する第1ストロークセンサ25と、両スライドブロッ
ク21a・21bのいずれか一方の(本実施例に於いて
は右側のスライドブロック21b)スライド軸1上での
移動を検出する第2ストロークセンサ26とが設けられ
ており、これらの出力に基づいて異常判別を行えるよう
になっている。
【0031】両センサ25・26は、ポテンショメータ
などの回転検出器の回転軸に固着した各アーム27・2
8の遊端をスライド軸1並びに右スライドブロック21
bに植設された各ピン29・30にそれぞれ結合させ、
スライド軸1並びに右スライドブロック21bの軸方向
移動を回転角に変換して検出するものである(図6参
照)。
【0032】さて、左右のクラッチ手段のうちの片側の
みが固着した場合は、一方への舵角増大は問題なくでき
るが、他方へ舵角増大させようと他方のクラッチ手段を
結合させると、両方のクラッチ手段が共に結合した状態
となり、スライド軸1は移動できなくなる。そして両方
のクラッチ手段が固着した場合は、左右いずれへも舵角
増大できなくなる。従って、操舵した際の電動モータ2
0の電流あるいは舵角値を監視することにより、クラッ
チ手段が結合した状態、つまり各スライドブロック21
a・21bとスライド軸1とが一体化した状態での固着
の判別を行える。
【0033】また、両方のクラッチ手段が結合されない
場合は、各スライドブロック21a・21bが移動して
もスライド軸1は移動しないので、いずれか一方へ転舵
した際の第1・第2両ストロークセンサ25・26の出
力を比較することにより、クラッチ手段が結合されてい
ないことの判別が行える。そして一方のみが結合されな
い場合は、他方への舵角は増大するが一方への舵角は増
大しなくなるので、左右へ転舵された際の第1・第2両
ストロークセンサ25・26の出力を比較することによ
り、結合できなくなったクラッチ手段の判別が行える。
この時、前述した通り、左右両クラッチインナ8a・8
bの各アーム13が案内溝の周方向部分14aの肩のと
ころに位置しているので、クラッチ手段が結合されずに
両スライドブロック21a・21bが互いに離間して
も、スライド軸1の中立状態は保持される。
【0034】このようにして、クラッチ手段が固着並び
に結合不能となる故障を、共に電磁アクチュエータの動
きを監視するセンサを付加することなく操舵状況から判
別することができるので、異常判別に要する装置の簡略
化が図れる。
【0035】次に本発明の第2の実施形態を図7に示
す。本実施形態においては、中立位置復帰駆動用電動モ
ータ31と転舵駆動用電動モータ32とを別個に設け、
転舵はスライド軸33に設けられたラックギヤ34と電
動駆動されるピニオンギヤ35との噛み合いで行い、中
立位置復帰は、上記第1の実施形態で述べたのと同様な
逆ねじが切られた回転軸36に螺合した2つのスライド
ブロック37a・37bで行う。
【0036】これの場合、通常転舵時は、スライド軸3
3の軸方向移動を妨げない位置に2つのスライドブロッ
ク37a・37bを離間させておき(二点鎖線で示す状
態)、異常時など強制中立位置復帰が必要な時は、中立
位置復帰駆動用電動モータ31で回転軸36を駆動して
2つのスライドブロック37a・37bを接近させる。
2つのスライドブロック37a・37bが互いに接近す
る際にスライド軸33に設けられた突起38を挟み込
み、これによってスライド軸33を中立位置へ向けて強
制移動させる。2つのスライドブロック37a・37b
がスライド軸33の突起38を挟み込むと同時にケーシ
ング39の突起40を挟み込むことにより、強固な中立
位置保持が行えることは上記第1の実施形態と同様であ
る。
【0037】次に、本発明による後輪転舵装置の第3の
実施形態について図8〜図18を参照して詳しく説明す
る。
【0038】図8に示す通り、軸方向中央から互いに逆
ねじとなる雌ねじ51a・51bが内周面に切られた円
筒状をなす雌ねじシリンダ52が、軸方向移動不能に且
つ回転可能にケーシング53に支持されている。この雌
ねじシリンダ52の外周面の適所には、外歯歯車Gが設
けられており、減速歯車機構54(一部を図示する)を
介して電動モータ55の回転力が雌ねじシリンダ52に
伝達されるようになっている。
【0039】雌ねじシリンダ52の各雌ねじ51a・5
1bには、外周面に雄ねじが切られた円筒状をなす左・
右スライドスリーブ56a・56b(スライド部材)が
それぞれ螺合している。これらのスライドスリーブ56
a・56bは、雌ねじシリンダ52の各雌ねじ51a・
51bに一杯にねじ込まれた状態で雌ねじシリンダ52
の各軸方向端面から突出する部分における直径線上に、
一対の径方向外向きの回り止め突起57を各々が備えて
おり、ケーシング53に形成された軸方向溝58にこの
回り止め突起57を突入させることにより、ケーシング
53に対して回転不能にされている。なお、各スライド
スリーブ56a・56bの回り止め突起57のいずれか
1つには、両スライドスリーブ56a・56bのいずれ
か一方の(本実施例に於いては右側のスライドスリーブ
56b)移動距離を検出するためのストロークセンサ5
9が係合している(図10参照)。
【0040】左・右スライドスリーブ56a・56bの
各内周面には、概ね円筒状をなす左・右クラッチアウタ
60a・60bが、所定角度範囲を相対回動可能に且つ
相対軸方向移動不能なように、それぞれ嵌着されてい
る。これらのクラッチアウタ60a・60bの各外端側
の開口には、各スライドスリーブ56a・56bにその
一端を係合させ、かつ各クラッチアウタ60a・60b
にその他端を係合させたねじりばね61a・61b(図
9参照、図8では省略されている)が、各クラッチアウ
タ60a・60bに固着されたばねホルダ62を介して
それぞれ装着されている。
【0041】これらのねじりばね61a・61bによ
り、各クラッチアウタ60a・60bは、各スライドス
リーブ56a・56bに対し、常時一方へ回動付勢され
ている。なお、回動付勢の方向は、左右勝手反対とされ
ており、それぞれがスライド軸71の各軸端から見て時
計回り方向とされている。
【0042】各クラッチアウタ60a・60bの内周面
におけるねじりばね61a・61bの装着部からやや軸
方向内向きに逃げた位置には、クラッチアウタ60a・
60bを輪切りにした断面上での形状が台形をなす突条
63が、放射方向に複数個(本実施例では6個)形成さ
れている(この部分のみの軸線に直交する断面の形状は
内歯歯車状をなしている)。
【0043】各クラッチアウタ60a・60bの各軸方
向外端部には、各スライドスリーブ56a・56bに形
成された鉤形のスロット64(図11・12参照)を貫
通して径方向外向きに突出するアーム65a・65bが
それぞれ突設されている。鉤形のスロット64は、クラ
ッチ手段の断続作動範囲内は各スライドスリーブ56a
・56bに対して各クラッチアウタ60a・60bが軸
方向移動不能であり、しかも各スライドスリーブ56a
・56bの外方へ各アーム65a・65bを突出させる
ようにするために、各スライドスリーブ56a・56b
の外端に向けて開放された軸方向部分Aと、各クラッチ
アウタ60a・60bの回動角度に対応した周方向部分
Cとからなっている。
【0044】各アーム65a・65bには、上記したね
じりばね61a・61bの付勢力に抗して各クラッチア
ウタ60a・60bを回動させるために、例えば電磁式
の回動アクチュエータ66a・66bの駆動レバー67
a・67bがそれぞれ係合している。両回動アクチュエ
ータ66a・66bの駆動方向は、ねじりばね61a・
61bによる回動付勢の方向に対応して左右勝手反対と
なっている。
【0045】各アーム65a・65bは、ケーシング5
3の内面に設けられた案内溝68a・68bにもそれぞ
れ係合している。この案内溝68a・68bの作用につ
いては後に詳述する
【0046】各クラッチアウタ60a・60bの軸方向
内端には、クラッチ手段の作動状態、つまり両クラッチ
アウタ60a・60b同士間の相対回動角度に応じて互
いに係合・離脱可能なインターロック突起69a・69
bがそれぞれ形成されている。
【0047】このインターロック突起69a・69b
は、図13に示すように、概ね円筒状をなすクラッチア
ウタ60a・60bの軸方向内端の外周部から延出され
た脚部70a・70bの終端に、周方向に互いに向かい
合うように突設されている。そして両クラッチアウタ6
0a・60bの相対回動角度に応じ、ある位置で互いに
噛み合って両クラッチアウタ60a・60bの軸方向離
間移動を阻止し、両クラッチアウタ60a・60bが互
いに逆方向へ回動すると噛み合いが解除されるようにな
っている。なお、このインターロック突起69a・69
bは、1組でも良いが、円周を等分割する位置に複数組
設けても良い。
【0048】両クラッチアウタ60a・60bには、共
通のスライド軸71が同心的に挿通されている。このス
ライド軸71は、ケーシング53に軸方向摺動自在に支
持されており、その各端が、後輪のナックルアームにタ
イロッド(図示せず)を介してそれぞれ連結されるよう
になっている。またスライド軸71は、左方の軸端側に
設けられたピン72が、ケーシング53に形成された軸
方向溝73に突入して回り止めされている。なお、この
ピン72の上端には、スライド軸71の移動距離を検出
するために、図10に示したストロークセンサ59と同
形式のストロークセンサ(図示せず)が係合している。
【0049】スライド軸71の軸方向中央部には、径方
向外向きに突出するセンタリング突起75a・75b
(突出部)が、適宜な軸方向距離をおいて2組形成され
ている。またスライド軸71には、各センタリング突起
75a・75bから軸方向外向きに適宜な距離をおい
て、クラッチインナ76a・76bが1組づつ形成され
ている。
【0050】左・右スライドスリーブ56a・56bの
内周面には、雌ねじシリンダ52の各雌ねじ51a・5
1bに一杯にねじ込まれた状態で各センタリング突起7
5a・75bの軸方向外側面にその内側面が当接し、か
つ左・右クラッチアウタ60a・60bの各軸方向内端
面Sにその外側面が当接する径方向内向きの突起77a
・77bがそれぞれ形成されている。この内向き突起7
7a・77bのセンタリング突起75a・75bとの当
接面には、ゴム材などからなるクッション部材78が設
けられており、内向き突起77a・77bとセンタリン
グ突起75a・75bとが互いに当接した際に打音が発
生しないようにされている。
【0051】各クラッチインナ76a・76bの外周面
には、クラッチインナ76a・76bを輪切りにした断
面上での形状が矩形をなす凸部79が、放射方向に複数
個(本実施例では6個)形成されている(この部分のみ
の軸線に直交する断面の形状は外歯歯車状をなしてい
る)。この凸部79は、上記クラッチアウタ60a・6
0bに形成された台形断面の突条63同士間の凹所に入
り込み得る寸法にされている。
【0052】さて、スライド軸71上の各クラッチイン
ナ76a・76bに設けられた矩形の凸部79と、各ク
ラッチアウタ60a・60bに設けられた台形の突条6
3との位相が非整合な状態(図10・11参照)は、ク
ラッチ手段が非結合な状態である。この状態では、クラ
ッチアウタ60a・60b及びこれと軸方向について一
体をなすスライドスリーブ56a・56bと、クラッチ
インナ76a・76b及びこれと一体をなすスライド軸
71とは、軸方向に相対移動可能である。
【0053】上記の反対に、各クラッチインナ76a・
76bの凸部79と各クラッチアウタ60a・60bの
突条63との位相が互いに整合した状態、つまりクラッ
チ手段の結合状態(図12参照)では、クラッチアウタ
60a・60b及びスライドスリーブ56a・56b
と、クラッチインナ76a・76b及びスライド軸71
とは、軸方向について一体となる。
【0054】他方、左・右スライドスリーブ56a・5
6bが共に中央に寄った、つまり互いに接近した状態で
電動モータ55を正転させると、雌ねじシリンダ52が
正転する。すると、互いに逆ねじとなっている雌ねじ5
1a・51bに螺合した各スライドスリーブ56a・5
6bは、ケーシング53に対して回転不能なため、互い
に離間する向きにスライド軸上を移動する。このとき、
各スライドスリーブ56a・56bの内向き突起77a
・77bが対応するクラッチアウタ60a・60bの軸
方向内端面Sにそれぞれ当接しており、しかも各クラッ
チアウタ60a・60bの各アーム65a・65bが対
応するスライドスリーブ56a・56bのスロット64
にそれぞれ係合しているので、各クラッチアウタ60a
・60bも各スライドスリーブ56a・56bと共に互
いに離間する向きに移動する。
【0055】上記の反対に、左・右スライドスリーブ5
6a・56bが互いに離間した状態で電動モータ55を
逆転させると、各スライドスリーブ56a・56bは中
央に向かって、つまり互いに接近する向きにスライド軸
上を移動する。このとき、各スライドスリーブ56a・
56bの鉤形スロット64の周方向部分Cに対応するク
ラッチアウタ60a・60bのアーム65a・65bが
それぞれ係合しているので、各クラッチアウタ60a・
60bも各スライドスリーブ56a・56bと共に互い
に接近する向きに移動する。
【0056】ところで、各アーム65a・65bを係合
させるべくケーシング53の内面に設けられた案内溝6
8a・68bは、図14〜17に示すように、それぞれ
が互いに平行に延在する2つの軸方向部分H1・H2
と、2つの軸方向部分の中央側の端末同士を結ぶ周方向
部分Vとからなるコ字形をなし、左右対称形に形成され
ている。
【0057】ここで2つのクラッチアウタ60a・60
bは、それぞれが個別の回動アクチュエータ66a・6
6bで個々に回動駆動されるようになっており、回動ア
クチュエータ66a・66bが非作動(非励磁)の時は
クラッチ手段が結合状態となり、回動アクチュエータ6
6a・66bを作動(励磁)させるとクラッチ手段が非
結合状態となるようにされている。
【0058】スライドスリーブ56a・56b及びクラ
ッチアウタ60a・60bが中央に一杯寄った状態で、
例えば、図8における右側の回動アクチュエータ66b
のみを作動させると、右側のクラッチアウタ60bのみ
がねじりばね61bの付勢力に抗して回動する。すると
当該クラッチアウタ60bの突条63と、これに対応す
るクラッチインナ76aの凸部79とが非整合となり、
つまり右側のクラッチ手段のみが非結合状態となる(図
11参照)。この時、対応する案内溝68bの周方向部
分V内を下向きに移動したアーム65bは、下側の軸方
向部分H2に整合する(図14参照)。
【0059】他方、左側のクラッチアウタ60aは、ね
じりばね61aの付勢力により、クラッチアウタ60a
の凸部63とクラッチインナ76aの突条79とが整合
してこれらが軸方向について同一直線上で並ぶ状態、つ
まり左側のクラッチ手段の結合状態を維持している。こ
の時、アーム65aは、案内溝68aの下側の軸方向部
分H2に整合した状態のままである(図14参照)。
【0060】この状態では、各クラッチアウタ60a・
60bの軸方向内端に設けられたインターロック突起6
9a・69b同士は、互いに非係合の状態にある(図1
8の二点鎖線参照)。
【0061】この状態で電動モータ55を正転起動する
と、雌ねじシリンダ52に螺合した2つのスライドスリ
ーブ56a・56bが逆ねじの作用で互いに離間する向
きに移動し、これに連れて2つのクラッチアウタ60a
・60bも互いに離間する向きに移動する。すると左側
のクラッチ手段のみが結合状態にあるので、左スライド
スリーブ56aに作用する左方への軸力が左クラッチア
ウタ60a及び左クラッチインナ76aを介してスライ
ド軸71に伝わる。
【0062】他方、右クラッチアウタ60bの突条63
と右クラッチインナ76bの凸部79とは非整合状態、
つまり右側のクラッチ手段は非結合状態にあるので、右
スライドスリーブ56bと共に軸端方向へ移動(右動)
する右クラッチアウタ60bは、対応する右クラッチイ
ンナ76b、つまりスライド軸71に何の影響も及ぼさ
ない。
【0063】而して、スライド軸71は左クラッチアウ
タ60aと共に左方へと移動することとなる。
【0064】スライド軸71が左方への移動を開始して
右クラッチアウタ60bのアーム65bが案内溝68b
の下側軸方向部分H2に入り込むと、右クラッチアウタ
60bは回動し得なくなるので、この時点で右回動アク
チュエータ66bへの通電を停止しても、右側のクラッ
チ手段の非結合状態は維持され、スライド軸71への左
方への軸力は継続して伝達される。
【0065】各クラッチアウタ60a・60bの各アー
ム65a・65bが各案内溝68a・68bの下側軸方
向部分H2の外端に突き当たるか、或いは各スライドス
リーブ56a・56bの回り止め突起57が各軸方向溝
58の外端に突き当たる等してスライド軸71の軸方向
移動がそれぞれ機械的に規制されると、電動モータ55
の電流値が増大するので、これを捕らえて電動モータ5
5への通電を絶てば良い。
【0066】ねじのリード角を摩擦角よりも小さく定め
ておくことにより、電動モータ55を停止した時点の舵
角が保持されるようにできる。
【0067】この状態から電動モータ55を逆転すれ
ば、2つのスライドスリーブ56a・56bが互いに接
近する向きに、つまり中央へ向けて移動するので、左ス
ライドスリーブ56aの内向き突起77aとスライド軸
71のセンタリング突起75aとの係合により、上記と
は逆にスライド軸71が中立位置へ戻るように右動す
る。この時も、右側のクラッチ手段は非結合状態にある
ので、右スライドスリーブ56bの中央へ向けての移動
(左動)は右クラッチインナ76b、つまりスライド軸
71に何の影響も及ぼさない。
【0068】中立位置で右案内溝68bの周方向部分V
に右クラッチアウタ60bのアーム65bが整合した時
点に右回動アクチュエータ66bのトルクが既に消滅し
ていれば、ねじりばね61bの作用で右クラッチアウタ
60bが回動して右クラッチアウタ60bの突条63と
右クラッチインナ76bの凸部79とが整合状態、つま
り右側のクラッチ手段が結合状態になる。
【0069】スライド軸71の中立位置においては、両
スライドスリーブ56a・56bの内向き突起77a・
77bがスライド軸71上のセンタリング突起75a・
75bを挟み込むと共に、両クラッチアウタ60a・6
0bの各アーム65a・65bが、ケーシング53の内
面に設けられた各ガイド溝68a・68bの周方向部分
Vの内側面に当接してその位置が規制されるので、雌ね
じシリンダ52と両スライドスリーブ56a・56b間
のねじの摩擦力と相俟って、中立位置でスライド軸71
に軸力が加わっても、スライド軸71の中立位置が剛固
に保持される。
【0070】中立位置を越えてスライド軸71を右動さ
せる際には、中立位置で左側の回動アクチュエータ66
aのみを作動させると共に電動モータ55を正転させ
る。すると、上記とは逆に左側のクラッチ手段が非結合
状態で、かつ右側のクラッチ手段が結合状態となるの
で、右スライドスリーブ56bの右方への軸力が右クラ
ッチアウタ60b及び右クラッチインナ76bを介して
スライド軸71に伝達され、左スライドスリーブ56a
の左動はスライド軸71に何の影響も及ぼさないことと
なる。また、この時は、各アーム65a・65bは共に
各ガイド溝68a・68bの上側軸方向部分H1に整合
し(図15参照)、各クラッチアウタ60a・60bの
インターロック突起69a・69b同士は、互いに非係
合の状態のままである(図18の二点鎖線参照)。
【0071】このようにして、2つの回動アクチュエー
タ66a・66bを選択的に作動させると同時に電動モ
ータ55の回転方向を選択することにより、2つの回動
アクチュエータ66a・66bのいずれを作動させるか
で転舵の向きが定まり、電動モータ55を正転すれば舵
角が増大し、電動モータ55を逆転すれば、左右いずれ
の方向に転舵していたとしても、スライド軸71は必ず
中立位置へと戻されることとなる。従って、中立戻し制
御に転舵方向の判別が不要となる。また、中立位置へ戻
りきると、両スライドスリーブ56a・56bの内向き
突起77a・77bがスライド軸71のセンタリング突
起75a・75bを挟み込んでそれ以上移動し得なくな
るので、過負荷検出で電動モータ55への電流を遮断す
れば良く、中立位置検出も不要である。
【0072】本装置は、スライド軸71の左右移動を検
出するべくピン72に係合するストロークセンサ(図示
せず)と、両スライドスリーブ56a・56bのうちの
一方のスライド軸71上での移動を検出するストローク
センサ59とを備えており、これらの出力に基づいて種
々の異常判別が行える。以下に本実施の形態に於ける異
常時の動作について説明する。
【0073】例えば、左右のクラッチ手段のうちの一方
のみが固着した場合は、一方への舵角増大は問題なくで
きるが、他方へ舵角増大させるべく他方のクラッチ手段
を結合すると、両方のクラッチ手段が共に結合した状態
となる(図16参照)。左右のクラッチ手段が共に結合
した状態で電動モータ55を正転駆動すると、両スライ
ドスリーブ56a・56bが互いに離間しようとする向
きの力が同時にスライド軸71に加わるため、スライド
軸71はいずれの方向へも移動できなくなる。また両方
のクラッチ手段が共に固着した場合は、言うまでもなく
左右いずれへも舵角増大できなくなる。従って、電動モ
ータ55の電流値あるいは舵角値を監視することで、ク
ラッチ手段が結合した状態での固着の判別が行える。
【0074】両方のクラッチ手段が結合されない状態で
は、図17に示すように、各クラッチアウタ60a・6
0bのインターロック突起69a・69bが互いに噛み
合うため、各クラッチアウタ60a・60bは相対離間
移動ができなくなる。両クラッチアウタ60a・60b
同士間が離間しないと、これと軸方向については一体を
なす両スライドスリーブ56a・56b同士間も離間で
きない。従って、スライド軸71はいずれの方向へも移
動できないので、いずれか一方へ転舵した際の2つのス
トロークセンサの出力を比較することで、クラッチ手段
が接続できなくなった状態の判別が行える。また一方の
クラッチ手段のみが接続されない場合は、他方への舵角
は増大するが一方への舵角は増大しなくなるので、左右
へ転舵された際の2つのストロークセンサの出力を比較
することで判別できる。
【0075】このようにして、クラッチ手段の固着並び
に結合不能となる故障を、共に回動アクチュエータ66
a・66bの動きを監視するセンサを付加することなく
操舵状況から判別することができるので、異常判別に要
する装置の簡略化が図れる。
【0076】
【発明の効果】このように本発明によれば、通常の転舵
と干渉しないように構成された一対のスライド部材でス
ライド軸の突起を挟み込むことによって舵角中立位置へ
戻すので、中立位置戻しばねが不要となり、通常転舵時
には余計な力が加わらずに済むこととなる。従って、電
動モータの低出力化が可能となり、電動モータおよびそ
の駆動回路を小型化する上に多大な効果を奏することが
できる。また、現状の舵角に関わりなく中立位置復帰を
実現し得るので、異常発生時の中立位置戻し制御に左右
いずれに転舵されているかの判別が不要となることか
ら、舵角センサ或いは演算装置が故障しても、中立位置
戻しが可能である。
【0077】特に請求項2に記載の構成を採れば、中立
位置の保持力を車体に固定されるケーシングに依存でき
るので、正常時はもとより、異常時においても高い中立
位置決め精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一部切除して示す全体構成図
【図2】図1に於けるII−II線に沿う断面図
【図3】要部拡大断面図
【図4】図1に於けるIV−IV線に沿う断面図
【図5】図4に於けるV−V線に沿う断面図
【図6】図2に於けるVI−VI線から見た部分図
【図7】本発明の第2の実施形態を示す概略構成図
【図8】本発明の第3の実施形態を示す一部切除して示
す全体構成図
【図9】図10のIX−IX断面図
【図10】図9のX−X断面図
【図11】クラッチ手段の非結合状態を示す概略斜視図
【図12】クラッチ手段の結合状態を示す概略斜視図
【図13】インターロック突起部分の斜視図
【図14】スライド軸が右動する場合のクラッチ手段の
作動説明図
【図15】スライド軸が左動する場合のクラッチ手段の
作動説明図
【図16】クラッチ結合状態で固着した場合の作動説明
【図17】クラッチ非結合状態で固着した場合の作動説
明図
【図18】インターロック突起の作動説明図
【符号の説明】
1 スライド軸 3 ケーシング 5 突出部 21a・21b スライドブロック 24 ストッパ部 33 スライド軸 38 突起 39 ケーシング 40 突起 53 ケーシング 56 スライドスリーブ 71 スライド軸 75 センタリング突起 77 内向き突起

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向移動可能にケーシングに支持さ
    れ、かつ後輪に連結されたスライド軸に軸力を与えるこ
    とによって後輪舵角を制御する後輪転舵装置であって、 前記スライド軸と平行な軸上を舵角中立位置を基準にし
    て対称な方向へ互いに離間・接近移動させられる2つの
    スライド部材と、 前記スライド軸上に設けられた突出部とを有し、 互いに接近移動させられる前記2つのスライド部材の少
    なくとも一部で前記突出部を挟み込むようにして前記ス
    ライド軸を舵角中立位置へ移動させることを特徴とする
    後輪転舵装置。
  2. 【請求項2】 前記ケーシングに、前記2つのスライド
    部材と実質的に一体をなす部分同士間に挟み込まれる部
    分を設けたことを特徴とする請求項1に記載の後輪転舵
    装置。
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