JP2000073298A - 偽造防止用紙及び偽造防止印刷物及び偽造防止手段の機械的な検知方法 - Google Patents
偽造防止用紙及び偽造防止印刷物及び偽造防止手段の機械的な検知方法Info
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Abstract
物とこの偽造防止用紙に採用した偽造防止手段を検知す
る方法を得ることを課題とする。 【解決手段】 用紙の表面に細片が全面に遍在若しくは
筋状に偏在している偽造防止用紙であって、該細片がカ
ラーコピー機等での複製が困難な中間色の色相を有し、
かつ紫外線の照射で発色することを特徴とする偽造防止
用紙。この偽造防止用紙に所定の印刷を施して偽造防止
印刷物を得る。該偽造防止印刷物を機械処理する際に、
紫外線を照射して前記細片の発色を検知することで偽造
防止手段を機械的に検知する。
Description
偽造防止印刷物及び偽造防止手段の機械的な検知方法に
関するものである。詳しくは、カラーコピー機等を使用
した偽造防止対策に有効に働く特殊な細片を用紙表面の
全面に遍在若しくは筋状に遍在させた偽造防止用紙、及
びこれに所定の印刷を施した偽造防止印刷物、及びこの
偽造防止用紙に施された紫外線の照射で発色するという
偽造防止手段の機械的な検知方法に関する。
は、不正に変造、偽造できないように、種々の偽造防止
対策が施されている。偽造防止対策の考えの一つは、容
易に偽造できないように高度な製造技術を用いて用紙を
製造することである。特に、近年はカラーコピー機でコ
ピーする場合や、カラースキャナーで画像を読み取りカ
ラープリンターで出力する場合の精度が飛躍的に高まっ
たことを背景に、これら装置を使用しての偽造を防ぐこ
とができる用紙の出現が強く求められている。
止対策として、金属光沢や真珠光沢を有した細片を用紙
に混抄することが行われていた。例えば、本出願人は、
特願平5−114009号(特開平6−306799
号)で、基紙の表面に、抄紙工程において基紙と接着可
能な光輝性を有する細片を遍在させた偽造防止用紙の提
案を行った。
6号(特開平7−166498号)において、基紙の表
面に、抄紙工程において基紙と接着可能な性能を有し、
紫外線の照射により蛍光色を発する細片を全面に遍在、
若しくは筋状に偏在させた偽造防止用紙の提案を行っ
た。
14009号の偽造防止用紙において、金属光沢を有す
る細片を混抄した場合は、カラーコピーすると、細片が
存在した部分に相当するコピー部分が、金属光沢は全く
失われた黒色にコピーされる特徴があり、この現象を偽
造防止に利用している。また真珠光沢を有する細片の場
合は、カラーコピーすると、細片が存在した部分に相当
するコピー部分が、もとの真珠光沢が失われた状態でコ
ピーされるか、全くコピーされないかのいずれかになる
特徴があり、この現象を偽造防止に利用している。
の偽造防止用紙に含まれる細片は、室内光などの通常の
照明下では、白色であるので用紙の地の色と同じでその
存在が視認されず、紫外線の照射で初めて発色するとい
う特徴があり、この現象を偽造防止に利用している。
それなりに大きな評価を得ているが、前述したような事
情から新規な偽造防止用紙は常に求められているのが現
状である。本発明はこのような背景でなされたものであ
り、全く新規な偽造防止用紙及び偽造防止印刷物を得る
ことを課題とする。また、前記偽造防止用紙に採用され
ている偽造防止手段は、いずれも人間の目によって偽造
の有無を判断するものであるが、これを機械的な手段で
検知できる方法を得ることも課題とする。
な背景から鋭意検討を進めた結果、細片を混抄した偽造
防止用紙において、細片に今までにない機能を与えるこ
とで、新規な偽造防止用紙を製造できることを見出し本
発明を完成させた。即ち、本発明の要旨とするところ
は、用紙の表面に細片が全面に遍在若しくは筋状に偏在
している偽造防止用紙であって、該細片がカラーコピー
機等での複製が困難な中間色の色相を有し、かつ紫外線
の照射で発色することを特徴とする偽造防止用紙用紙で
ある。
印刷を施し、所定の大きさに裁断した偽造防止印刷物、
及び該偽造防止印刷物を機械処理する際に、紫外線を照
射して前記細片の発色を検知することを特徴とする偽造
防止手段の機械的な検知方法である。
全面に遍在若しくは筋状に偏在している」の意味すると
ころは、細片の全てが用紙表面に露出しているという意
味ではなく、細片が用紙を構成するセルロース繊維で覆
われていてもその色相が視認できるものならかまわな
い。また、「カラーコピー機等での複製」が意味すると
ころは、本物の商品券等の偽造防止印刷物からカラーコ
ピー機でコピーする場合や、カラースキャナーを使用し
て画像を取り込みカラープリンターでプリントする場合
や、カメラワークによるカラー印刷物を得る場合等、周
知の方法を使用して複製物を得る手段をすべて含むこと
を意味する。
機能を持たせるには、下記がその代表的な例である。 1)蛍光発色しない原紙を使用する場合 原紙の両面にカラーコピー機等での複製が困難な中間
色の色相を有し、かつ紫外線の照射で蛍光発色する塗工
層を設け、それを細片化する方法。 原紙の両面に紫外線の照射で蛍光発色する塗工層を設
け、さらにその上にカラーコピー機等での複製が困難な
中間色の色相を有した塗工層を設け、それを細片化する
方法。 2)蛍光発色する原紙を使用する場合 原紙の両面にカラーコピー機等での複製が困難な中間
色の色相を有した塗工層を設け、それを細片化する方
法。 着色剤を併用して原紙を抄造して、それを細片化する
方法。
に懸濁させたときに形状が崩れないようにするためにサ
イズ度が大きく、湿潤紙力強度も大きいことが好まし
く、通常、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉
樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の木材パルプと麻パ
ルプ等の非木材パルプ、ビニロン繊維、ポリビニルアル
コール繊維等の合成繊維の1種類以上を使用してスラリ
ーを調製し、これに湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、
サイズ剤、定着剤などの製紙用副資材を適宜併用し、通
常フリ−ネス550〜250mlC.S.Fで円網抄紙
機や、長網抄紙機等の周知の抄紙機を使用して抄紙す
る。原紙の坪量は、通常20〜50g/m2とする。原
紙そのものを紫外線の照射で蛍光発色させたい場合に
は、上記スラリーに蛍光染料や蛍光顔料を併用する。
紙の両面に蛍光発色する塗工層を形成する。この塗工層
を着色する場合には、先ず、下記に述べる蛍光剤の1種
類以上と着色剤、接着剤及び必要により各種の添加剤を
加えて塗料を調製する。接着剤は抄紙時の水に溶解ある
いは膨潤しないだけの耐水性があることが必要である。
通常、変性澱粉、ポリビニルアルコール、SBR、MB
Rなどの合成ゴムラテックス、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂エマ
ルジョンや、メラミン樹脂、尿素樹脂、ロジン変性フェ
ノール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂、ビニル樹脂、
アクリル樹脂等を各種溶剤に溶解したものに蛍光剤と着
色剤を混合し、必要に応じて可塑剤、分散剤、湿潤剤、
架橋剤、増粘剤、安定剤等の副資材を併用して塗料を調
製する。
する。蛍光染料としては、フルオレッセイン、クマリン
系、オキサゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール
系、スピロピラン系、ピレンスルホン酸系、ベンゾイミ
ダゾール系、ジアミノスチルベン系等の蛍光染料を、蛍
光顔料としては、有機及び無機の蛍光顔料をいずれも使
用できる。有機の蛍光顔料としては具体的にはポリ塩化
ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリメタクリル酸エステ
ル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の樹脂にフルオレ
ッセイン、エオシン、ローダミン6G、ローダミンB、
ベーシックイエローHG等の染料を均一に溶解させ粉砕
させたもの等を挙げることができる。
は、銅、銀、マンガン等で活性化した硫化亜鉛、マンガ
ン等で活性化したケイ酸亜鉛、銀、銅等で活性化した硫
化亜鉛カドミウム、ビスマス等で活性化した硫化カルシ
ウム、サマリウム、セリウム等で活性化した硫化ストロ
ンチウム、鉛等で活性化したタングステン酸カルシウ
ム、ユーロピウム等で活性化したSr(PO4)3Cl、
マンガン等で活性化したZn2GeO2、ユーロピウム等
で活性化したY2O2S、ユーロピウム等で活性化したY
2O3等を挙げることができる。またこれらにアントラキ
ノン系やアセトフェノン系等の増感剤を併用することも
適宜行うことができる。
あるいはわずかに着色しているものが大部分であるが、
本発明では、細片の色相を制御しやすいので、白色光の
もとで無色の蛍光剤を使用することが特に好ましい。
の着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料等
の着色染料や無機、有機の着色顔料を使用できる。本発
明においては、着色剤としては、耐光性に優れる無機系
の顔料を使用することが好ましい。
機の乾燥ゾーンで膨潤若しくは一部が溶解する性能を有
したものを使用することが好ましい。本発明の偽造防止
用紙を抄造する時に、後に詳しく述べるように細片を水
に懸濁させて紙料に添加して抄造する。接着剤が冷水に
溶解したり、抄紙機の乾燥ゾーンで膨潤若しくは一部が
溶解しないと、用紙を構成するセルロース繊維と細片が
接着せず、用紙の表面に細片が露出した構成の偽造防止
用紙の場合には印刷時に細片が脱落する問題を引き起こ
す。本発明においては接着剤として、冷水には不溶で、
かつ50℃以上の熱水に可溶なポリビニルアルコールを
使用することが接着力も強く取り扱いが容易であるので
特に好ましい。
を向上させるために、前記塗工層の上にさらに、冷水に
は不溶で抄紙機の乾燥ゾーンの温度で膨潤若しくは一部
が溶解する性能を有した接着剤の塗工層を設けることも
適宜行うことができる。細片をこのような構成とするこ
とで、蛍光発色強度が大きく、接着性の大きな細片を製
造できる利点がある。接着剤としては、前記した理由と
同様に、冷水には不溶で、かつ50℃以上の熱水に可溶
なポリビニルアルコールを使用することが特に好まし
い。かような構成の細片においては、前記接着剤の塗工
層を染料や顔料で着色することも適宜採用できる。
に蛍光発色する塗工層を形成し、この塗工層を着色しな
い場合には、さらにこの塗工層の上に着色剤と接着剤か
らなる塗工層を形成する。これに使用する材料は前述し
た材料を使用する。接着剤としては、前記した理由と同
様に、冷水には不溶で、かつ50℃以上の熱水に可溶な
ポリビニルアルコールを使用することが特に好ましい。
合は、原紙の両面にカラーコピー機等での複製が困難な
中間色の色相を有した塗工層を設け、それを細片化する
方法や、着色剤を併用して原紙を抄造して、それを細片
化する方法のいずれも採用できる。これらに使用する材
料は前述した材料を使用する。
法で製造した蛍光剤塗工紙を、シュレッダーを使用して
長方形や正方形の細片を製造する方法、マイクロスリッ
ターによりスリットしてから切断して細片を製造する方
法、長方形、菱形、正方形、円形、楕円形、星形等の細
片に打ち抜く方法等を採用できる。その大きさは通常、
短辺、長辺、直径等が1〜10mm程度である。
止印刷物の表面には、OMRやOCR読み取りのための
印刷が施されることが多い。これらは、商品券やチケッ
トが使用された後に、自動集計するために施されてい
る。OMRとは、「Optical Mark Rec
ognition」の略で、光源からの光を用紙に照射
して受光素子で受光することで、用紙に設けたマークの
位置を認識することによって、その位置を数字や記号と
対比させて結びつけ、集計や分類に使うシステムの総称
であり、これに使用する用紙をOMR用紙と呼んでい
る。また、OCRとは、「Optical Chara
cter Recognition」の略で、同様にし
て光学的に文字や数字を読みとるシステムの総称であ
り、これに使用する用紙をOCR用紙と呼んでいる。
用紙の表面には、枠、けい線、説明文等の所定事項がド
ロップアウトカラーで印刷されることが多い。ドロップ
アウトカラー(Dropout Color)とは、光
源と受光素子の組み合わせで、人間の目には印刷部分は
白地と全く異なった色として認識されるのに受光素子で
は差が消え失せて白地と同一に感じ取るような色をい
う。OMR用紙やOCR用紙の場合、使用する光源の種
類と受光素子の組み合わせで適当な波長領域の色光を設
定し、それに対応するドロップアウトカラーを使用する
こととなる。JIS・C6253「光学的文字認識のた
めの印字仕様」には8種類の波長領域と対応する受光装
置を制定している。
におけるドロップアウトカラーとすることで、人間の目
には細片の部分は白地と全く異なった色として認識され
るのに、OMRやOCR読み取りの際に、受光素子では
差が消え失せて白地と同一に感じ取るようになる。
発色する時の色相が白色光のもとでの色相と異なってい
るような構成にすることで、意外性も高まり偽造防止能
もより高まる効果がある。この意味で、細片が、異なっ
た色相を有する細片の2種類以上であり、かつ紫外線の
照射で異なった色相に発色する細片であることがより意
外性が高まる。なお、本発明において白色光とは、自然
光、蛍光灯の光、白熱電球の光等通常の照明に使用する
光を意味する。
る。なお、重量部、g/m2は固形分換算の値を意味す
る。製造例1 白色光のもとでは淡いピンク色で紫外線(ブ
ラックライト)の照射で緑色に発色する細片の製造例 湿潤紙力増強剤を添加して耐水性を付与した坪量30g
/m2の薄葉紙に、Mn活性化Zn2GeO2粒子80重
量部と、冷水には不溶で70℃の熱水に可溶なポリビニ
ルアルコール(商品名「クラレPVA」、クラレ(株)
製造)20重量部よりなる濃度20重量%の塗料を両面
に塗工量6g/m2(片面塗工量)になるように塗工し
た。次いで冷水には不溶で熱水に可溶なポリビニルアル
コール(同上)に、赤色の無機着色顔料(商品名「TB
−200 Red GY」、大日精化(株)製造)を3
重量%添加した塗料を、前記蛍光顔料塗工層の上に塗工
量2g/m2(片面塗工量)となるように両面に塗工し
た。次いで打ち抜き機を使用して、1辺が3.5mmの
正方形の細片を製造した。この細片は、白色光のもとで
は淡いピンク色に見え、紫外線(ブラックライト)の照
射で緑色に発色した。この細片は、抄紙工程のドライヤ
ーの温度でポリビニルアルコールの一部が膨潤し、用紙
を構成するセルロース繊維と強固に固着する性質を有し
ていた。
外線(ブラックライト)の照射で青色に発色する細片の
製造例 製造例1と同じ薄葉紙に、Eu活性化St5(PO4)3
Cl粒子80重量部と、冷水には不溶で熱水に可溶なポ
リビニルアルコール(同上)20重量部よりなる濃度2
0重量%の塗料を両面に塗工量6g/m2(片面塗工
量)になるように塗工した。次いで冷水には不溶で熱水
に可溶なポリビニルアルコール(同上)に、橙色の無機
着色顔料(商品名「TB−500 Orange
R」、大日精化(株)製造)を4重量%添加した塗料
を、前記蛍光顔料塗工層の上に塗工量2g/m2(片面
塗工量)となるように両面に塗工した。次いで打ち抜き
機を使用して、1辺が3.5mmの正方形の細片を製造
した。この細片は、白色光のもとでは淡い橙色に見え、
紫外線(ブラックライト)の照射で青色に発色した。こ
の細片は、抄紙工程のドライヤーの温度でポリビニルア
ルコールの一部が膨潤し、用紙を構成するセルロース繊
維と強固に固着する性質を有していた。
外線(ブラックライト)の照射で赤色に発色する細片の
製造例 製造例1と同じ薄葉紙に、Eu活性化Y2O2S粒子80
重量部と、冷水には不溶で熱水に可溶なポリビニルアル
コール(同上)20重量部よりなる濃度20重量%の塗
料を両面に塗工量6g/m2(片面塗工量)になるよう
に塗工した。次いで冷水には不溶で熱水に可溶なポリビ
ニルアルコール(同上)に、青色の無機着色顔料(商品
名「TB−520 Blue 2B」、大日精化(株)
製造)を5重量%添加した塗料を、前記蛍光顔料塗工層
の上に塗工量2g/m2(片面塗工量)となるように両
面に塗工した。次いで打ち抜き機を使用して、3×4m
mの長方形の細片を製造した。この細片は、白色光のも
とでは淡い青色に見え、紫外線(ブラックライト)の照
射で赤色に発色した。この細片は、抄紙工程のドライヤ
ーの温度でポリビニルアルコールの一部が膨潤し、用紙
を構成するセルロース繊維と強固に固着する性質を有し
ていた。
外線(ブラックライト)の照射で赤色に発色する細片の
製造例 製造例1と同じ薄葉紙に、Eu活性化Y2O2S粒子80
重量部と、冷水には不溶で熱水に可溶なポリビニルアル
コール(同上)20重量部よりなる濃度20重量%の塗
料を両面に塗工量6g/m2(片面塗工量)になるよう
に塗工した。次いで冷水には不溶で熱水に可溶なポリビ
ニルアルコール(同上)に、緑色の無機着色顔料(商品
名「TB−510 Green B」、大日精化(株)
製造)を4重量%添加した塗料を、前記蛍光顔料塗工層
の上に塗工量2g/m2(片面塗工量)となるように両
面に塗工した。次いで打ち抜き機を使用して、1辺が4
mmの正方形の細片を製造した。この細片は、白色光の
もとでは淡い緑色に見え、紫外線(ブラックライト)の
照射で赤色に発色した。この細片は、抄紙工程のドライ
ヤーの温度でポリビニルアルコールの一部が膨潤し、用
紙を構成するセルロース繊維と強固に固着する性質を有
していた。
外線(ブラックライト)の照射で青色に発色する細片の
製造例 スチルベン系の蛍光増白染料(C.I.FB−166)
を対パルプ0.5重量%を添加し、ポリアミン・ポリア
ミド・エピクロルヒドリン系の湿潤紙力増強剤を添加し
て耐水性を付与した坪量35g/m2の薄葉紙に、冷水
には不溶で70℃の熱水に可溶なポリビニルアルコール
(同上)20重量部、橙色の無機着色顔料(商品名「T
B−500 Orange R」、大日精化(株)製
造)3重量部よりなる塗料を両面に塗工量8g/m
2(片面塗工量)になるように塗工した。次いで打ち抜
き機を使用して、直径が3mmの円形の細片を製造し
た。この細片は、白色光のもとでは淡い橙色に見え、紫
外線(ブラックライト)の照射で青色に発色した。この
細片は、抄紙工程のドライヤーの温度でポリビニルアル
コールの一部が膨潤し、用紙を構成するセルロース繊維
と強固に固着する性質を有していた。
る。先ず、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉
樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイ
トパルプ(NBSP)、サ−モメカニカルパルプ(TM
P)等の製紙用パルプを主体としたスラリーを調製し、
これに乾燥紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、歩留り向上
剤、濾水性向上剤、消泡剤、染料、着色顔料、蛍光剤な
どの製紙用副資材を適宜併用し、通常フリ−ネス550
〜250mlC.S.Fで円網抄紙機や、長網抄紙機等
の周知の抄紙機を使用して抄紙する。
願人が特願平5−317395号(特開平7−1456
00号)で提案し、図1に示したような、貯留槽11、
貯留槽中に設置された攪拌羽根12、傾斜板13からな
る振りかけ装置を長網抄紙機の抄紙網上に設置し抄紙す
る方法を採用できる。この例では細片Pは用紙表面の全
面に遍在する。この際、一例として先に本出願人が特願
平5−343107号(特開平7−166497号)で
提案し、図2で示したように傾斜板に堰13aを設ける
ことで細片を用紙の流れ方向に筋状に偏在させることも
できる。
片を混入し撹拌装置で撹拌し、流送ポンプ等を使用して
振りかけ装置に導く。この際細片の均一な分散を促進す
るために水にタモ、ポリエチレンオキサイド等の粘剤を
併用することやパルプスラリーを少量併用することも適
宜行われる。細片の添加量は、用紙の重量に対して0.
1%〜5%程度とするのが通常である。
願人が特願平5−261769号(特開平7−2075
99号)において提案したように、円網抄紙機と円網抄
紙機や短網抄紙機と円網抄紙機の組み合わせで多層抄き
の用紙を抄造する際に、最外層の紙層に細片を混入して
抄紙する方法が採用できる。
が、抄紙工程上で紙面に澱粉、ポリビニ−ルアルコ−
ル、各種表面サイズ等をサイズプレス装置等で塗工する
ことも可能である。さらに必要に応じ、マシンカレンダ
−処理を施し、表面平滑性を向上させることも適宜行わ
れる。
段と組み合わせて用紙を抄造することも適宜行うことが
できる。例えば、すき入れとの組み合わせ、窓開きスレ
ッド入り紙との組み合わせ、蛍光発色繊維の混抄との組
み合わせ、等である。
C.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増
強剤(商品名「ポリストロン191」、荒川化学工業
(株)製)0.3重量部、サイズ剤(商品名「サイズパ
インE」、荒川化学工業(株)製)1.0重量部、硫酸
バンドを適量加え紙料を調製した。
かけ装置を設置した。前記した紙料を使用して坪量10
0g/m2の湿紙層を抄紙網上に形成させ、この湿紙層
に製造例1と製造例2の細片を水に分散させた懸濁液を
細片振りかけ装置から振りかけ(細片の添加量は最終的
に得られる偽造防止用紙の重量に対して5重量%)、後
は常法に従い脱水し、多筒式ドライヤーで乾燥した。乾
燥途中で用紙表面にサイズプレス装置でポリアクリルア
ミドを塗工した。また乾燥後に用紙がワインダーで巻き
取られる直前でマシンカレンダー処理した。
は、淡いピンク色と淡い橙色の細片が混在して視認され
るが、紫外線(ブラックライト)の照射ではそれぞれ、
淡いピンク色の細片は緑色に発色し、淡い橙色の細片は
青色に発色した。またこの偽造防止用紙にカラー印刷を
施し、カラーコピー機(商品名「ピクセル」、キャノン
(株)製造)でコピーすると、コピー機の設定を標準と
した場合は、細片の色を再現することが殆どできず、細
片の色を再現させるために設定濃度を上げた場合には、
印刷部分の濃度が上がってしまうので、印刷部分の色相
と細片の色相を忠実に再現することは不可能であった。
これはカラースキャナーとカラープリンターを使用した
複製、カラー印刷技術を使用した複製においても同じで
あった。また印刷面の一部分にOCR読み取りのための
数字や記号の印刷を施し、光源をタングステンランプと
し、ホトセルタイプ(ピーク波長900nm)の受光素
子を使用した受光装置で読みとらせた場合、細片の色相
はドロップアウトカラーとなっているために、細片を異
物として認識せず正常な読み取りができた。
m2の湿紙を、2槽目で坪量60g/m2の湿紙を抄造し
て抄き合わせる際に、1槽目に、製造例3と製造例4の
細片を出来上がる用紙の重量に対して5重量%となるよ
うに、細片の水懸濁液を供給しながら抄紙した。後は常
法に従い脱水し、多筒式ドライヤーで乾燥した。乾燥途
中で用紙表面にサイズプレス装置でポリアクリルアミド
を塗工した。また乾燥後に用紙がワインダーで巻き取ら
れる直前でマシンカレンダー処理した。
は、淡い青色と淡い緑色の細片が混在して視認される
が、紫外線(ブラックライト)の照射ではそれぞれ、淡
い青色の細片は赤色に発色し、淡い緑色の細片はやはり
赤色に発色した。またこの偽造防止用紙にカラー印刷を
施し、カラーコピー機(同上)でコピーすると、コピー
機の設定を標準とした場合は、細片の色を再現すること
が殆どできず、細片の色を再現させるために設定濃度を
上げた場合には、印刷部分の濃度が上がってしまうの
で、印刷部分の色相と細片の色相を同時に再現すること
は不可能であった。これはカラースキャナーとカラープ
リンターを使用した複製、カラー印刷技術を使用した複
製においても同じであった。また印刷面の一部分にOC
R読み取りのための数字や記号の印刷を施し、光源を陰
極線管とし、受光素子として光電管(S11タイプ:ピ
ーク波長530nm)を使用した受光装置で読みとらせ
た場合、細片の色相はドロップアウトカラーとなってい
るために、細片を異物として認識せず正常な読み取りが
できた。
した後に、所定の大きさに裁断して偽造防止印刷物を製
造し、該偽造防止印刷物を機械処理する際に、紫外線を
照射して前記細片の発色を検知することで、この偽造防
止印刷物に採用された偽造防止手段を機械的に検知でき
る。図3に偽造防止印刷物の一例として商品券の例を示
す。この例は前記した実施例1の偽造防止用紙に所定の
印刷を施し、所定の大きさに裁断したものであって、理
解しやすいように細片の大きさは実際の大きさより大き
く図示してある。
片)は製造例1の細片を、P2(斜線をで表示した細
片)は製造例2の細片をそれぞれ示している。即ち、細
片P1は、白色光のもとでは淡いピンク色で紫外線(ブ
ラックライト)の照射で緑色に発色し、細片P2は、白
色光のもとでは淡い橙色で紫外線(ブラックライト)の
照射で青色に発色する。
たOMRやOCR文字(この例では数字で示した部分)
が入る部分にも細片が分布しているが、細片の色相はO
MRやOCR読み取りの際のドロップアウトカラーとな
っているので、OMRリーダーやOCRリーダーで異物
と認識されることはなかった。
防止印刷物の偽造防止手段の検出方法について述べる。
図4はその検出方法の一例を説明するための概念図であ
る。紫外線の投光部と受光部よりなる読み取り装置1か
ら、移送中の偽造防止用紙や偽造防止印刷物の表面に照
射された紫外線が、用紙の表面に分布する細片に入射
し、蛍光発色した光が受光部に入り細片の有無を検出
する。例えば蛍光顔料に、Mn活性化Zn2GeO2を使
用した場合には、可視光下では白色であるが紫外線の照
射でピーク波長534nmの光(緑色)を発する。蛍光
顔料はその種類に応じて紫外線の照射で特定の可視光を
発するので、受光部に光学的フィルターを使用してこの
特定の波長のみを検知するようにしておくことで、本発
明に採用した偽造防止手段の検知をより確実に行うこと
が出来る。
に述べるような顕著な効果が得られる。 1)本発明の偽造防止用紙全面に遍在若しくは筋状に偏
在する細片は、白色光のもとではカラーコピー機等での
複製が困難な中間色の色相に見える。この用紙に所定の
印刷を施した偽造防止印刷物をカラーコピー機等を使用
して偽造を試みても、コピー機の設定を標準とした場合
は、細片の色を再現することが殆どできず、細片の色を
再現させるために設定濃度を上げた場合には、印刷部分
の濃度が上がってしまうので、印刷部分の色相と細片の
色相を同時に再現することは不可能である。
ト等を利用して細片の色相を調整して偽造しても、該細
片の別の偽造防止機能、即ち紫外線の照射で蛍光発色す
る機能に気付かない限り偽造ができないこととなる。本
発明で使用する蛍光剤は一般には入手が困難であるこ
と、紫外線の発生装置(ブラックライト)も同じく一般
には入手が困難なことから、上記2つの偽造防止手段を
施した本発明の偽造防止用紙は高度な偽造防止能を有す
ることとなる。
定の印刷を施した偽造防止印刷物が光学的読み取り装置
により自動処理されるような用途に使用される場合に
は、細片の色相を光学的読み取りにおけるドロップアウ
トカラーとすることで、細片の存在が光学的読み取りに
おいて阻害原因とならなくなる。
利用して、各種チケット、紙幣、小切手、株券、債券、
商品券、カード、機密文書、パスポート、身分証明書等
の偽造防止能を要求される用途に好適に使用できる。
物(商品券)の一例を上面から見た図である。
刷物の偽造防止手段の検出方法の概念を説明するための
説明図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 用紙の表面に細片が全面に遍在若しくは
筋状に偏在している偽造防止用紙であって、該細片がカ
ラーコピー機等での複製が困難な中間色の色相を有し、
かつ紫外線の照射で発色することを特徴とする偽造防止
用紙。 - 【請求項2】 前記紫外線の照射で発色する時の色相が
白色光のもとでの色相と異なっていることを特徴とする
請求項1記載の偽造防止用紙。 - 【請求項3】 前記中間色の色相が光学的読み取りにお
けるドロップアウトカラーであることを特徴とする請求
項1または2記載の偽造防止用紙。 - 【請求項4】 前記中間色の色相を有する細片が、異な
った色相を有する細片の2種類以上であり、かつ紫外線
の照射で異なった色相に発色する細片であることを特徴
とする請求項2または3記載の偽造防止用紙。 - 【請求項5】 前記細片が、原紙の両面に、無機蛍光顔
料と無機着色顔料と冷水には不溶で抄紙機の乾燥ゾーン
で膨潤若しくは一部が溶解する性能を有した接着剤より
なる塗工層を設けたものからなることを特徴とする請求
項1乃至4のいずれか1項記載の偽造防止用紙。 - 【請求項6】 前記細片が、前記塗工層の上にさらに、
冷水には不溶で抄紙機の乾燥ゾーンで膨潤若しくは一部
が溶解する性能を有した接着剤の塗工層を設けたものか
らなることを特徴とする請求項5記載の偽造防止用紙。 - 【請求項7】 前記偽造防止用紙に所定の印刷を施し、
所定の大きさに裁断したことを特徴とする偽造防止印刷
物。 - 【請求項8】 前記偽造防止用紙に所定の印刷を施し、
所定の大きさに裁断して偽造防止印刷物を製造し、該偽
造防止印刷物を機械処理する際に、紫外線を照射して前
記細片の発色を検知することを特徴とする偽造防止手段
の機械的な検知方法。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1998
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JP4605562B2 (ja) * | 2006-01-31 | 2011-01-05 | 大王製紙株式会社 | 光学読取用用紙 |
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