JP2000070772A - エアゾール遅延噴射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エアゾール内容物の性質を変えることなく遅
延噴射を行うことができ、装置が大型化しないエアゾー
ル遅延噴射装置を提供する。 【解決手段】 本発明のエアゾール遅延噴射装置１０
は、ステム６１を有するエアゾール容器６０と、遅延噴
射機構１１とを備えている。遅延噴射機構１１は、流体
室１３ａを備え、流体室１３ａ内には高粘性液体等の流
体が充填されている。そして遅延噴射機構１１には、噴
射通路１４ａを有する押圧部材１４が組み付けられてい
る。押圧部材１４の、流体室１３ａ内に位置する部分に
は、抵抗部材１５が固着されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、始動操作を行った
後に所定の時間が経過してから、エアゾール内容物の噴
射を行うエアゾール遅延噴射装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、密閉室内に殺虫剤等を大量に噴霧
して、ゴキブリやダニ等の害虫を駆除するために、エア
ゾール噴射装置が用いられている。エアゾール噴射装置
は、容器内に殺虫成分等を含むエアゾール内容物が充填
されており、ボタンを押す等の始動操作がなされると、
内容物の噴射を開始する。そして、容器が空になるま
で、内容物を連続的に噴射する。

【０００３】しかし、前記噴射装置では、始動操作後に
直ちに内容物を噴射する機構となっているため、噴射装
置を密閉室内に設置して始動操作を行う操作者の体に内
容物が付着したり、操作者が内容物を吸い込んだりする
心配があった。そこで操作者が始動操作を行った後、直
ぐには内容物の噴射を行わずに所定時間が経過してから
噴射（遅延噴射）を開始するエアゾール遅延噴射装置が
提案されている。

【０００４】特公平８−２９７９２号公報には、図５に
示すようなエアゾール遅延噴射装置が開示されている。
エアゾール遅延噴射装置５０は、エアゾール容器６０
と、遅延噴射機構７０と、それらを接続するチューブ８
０とを備えている。

【０００５】遅延噴射機構７０は、上部室７１と下部室
７２とを有し、それらの間は隔壁７３で仕切られてい
る。上部室７１の上端壁には噴口７４が設けられてい
る。下部室７２の側壁にはチューブ８０の一端が接続さ
れている。また、下部室７２内には高粘性液体７５が充
填されている。隔壁７３の中央には、上部室７１と下部
室７２とを連通するパイプ７６が固定されている。一
方、エアゾール容器６０は、その上端に、側壁と当該側
壁にヒンジ結合された天板６３とからなるバルブカバー
６２が嵌着されており、使用時には、天板６３を押し下
げることでステム６１を押下することができる。天板６
３は、押し下げられた状態でその端部を係止され、した
がって、ステム６１からはエアゾール内容物が連続的に
噴射される。

【０００６】天板６３の押し下げにより噴射が開始され
るエアゾール内容物は、チューブ８０を通って下部室７
２内に流入する。内容物が下部室７２内に流入していく
につれて、高粘性液体７５はパイプ７６を通って上部室
７１内に流入していく。天板６３を押し下げてから、高
粘性液体の大部分が上部室７１内に移動して、下部室７
２内に流入したエアゾール内容物がパイプ７６を通って
上部室７１の噴口７４から噴射されるようになるまでの
間、エアゾール内容物は噴射されないので、操作者は安
全に室外に退去することができる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】前述したエアゾール遅
延噴射装置では、遅延噴射の過程において、エアゾール
内容物と高粘性液体とが接触するため、場合によっては
それらが混合されて、エアゾール内容物の性質が変わっ
てしまう心配があった。また、液体を充填しておく空間
（下部室）の他に、液体が移動できる空間（上部室）を
確保する必要があったため、装置が大型化するという不
具合があった。本発明は前記課題に鑑みてなされたもの
で、その目的は、エアゾール内容物の性質を変えること
なく遅延噴射を行うことができ、装置が大型化しないエ
アゾール遅延噴射装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係わる前記目的
は、ステムを有するエアゾール容器と、前記エアゾール
容器の外部に取り付け可能な、流体が充填された流体室
と、前記流体室内を移動する抵抗部材と、前記ステムを
押し下げ可能な、前記抵抗部材に結合された押下部材
と、前記抵抗部材または前記押下部材を付勢する付勢手
段とを備え、始動操作がなされると、前記抵抗部材が前
記流体室内を移動し、次いで前記押下部材が前記ステム
を押し下げてエアゾール内容物の噴射を開始することを
特徴とするエアゾール遅延噴射装置によって達成され
る。

【０００９】ここで、流体室および抵抗部材としては、
シリンダ（詳しくはシリンダ内の空間）およびピストン
等を採用することができる。その際、シリンダ内の流体
は、ピストンの摺動方向に関する一方の側および他方の
側に移動可能であることが好ましい。流体室内に充填す
る流体としては、液体や気体等を挙げることができる
が、高粘性液体を用いることが好ましい。付勢手段とし
ては、ばね部材等を用いることができる。

【００１０】このように構成されたエアゾール遅延噴射
装置によれば、遅延噴射の過程において、エアゾール内
容物と流体室内の流体とが接触することはないため、エ
アゾール内容物の性質が変わってしまう心配もない。ま
た、装置の小型化が可能である。

【００１１】また、本発明に係るエアゾール遅延噴射装
置は、抵抗部材の移動に伴って当該抵抗部材にかかる抵
抗が、抵抗部材の移動途中で低減するように構成される
ことが好ましい。例えば、筒状の流体室に、断面積が大
きい抵抗低減部等を設けてもよい。また、中空部材等か
らなる抵抗部材を、移動途中で破壊するようにしてもよ
い。このような構成によれば、付勢手段の付勢力不足等
により押圧部材が停止する等の心配がなく、動作確実性
が向上する。

【００１２】エアゾール内容物には、以下のようなもの
を適用することができる。噴射剤としては、液化ガス、
圧縮ガスを問わない。代表的には、ジメチルエーテル、
液状プロパンガス（ＬＰＧ）、ｎ−ブタン、イソブタ
ン、プロパン、イソペンタン、ｎ−ペンタン、シクロペ
ンタン、プロピレン、ｎ−ブチレン、イソブチレン、エ
チルエーテル、炭酸ガス、窒素ガスおよび使用上問題が
ないフロンガス（ＨＣＦＣ２２、１２３、１２４、４１
ｂ、１４２ｂ、２２５、ＨＦＣ１２５、１３４ａ、１４
３ａ、１５２ａ、１２、２２７ａ）などを挙げることが
できる。

【００１３】溶媒としては、水、アルコール類：例えば
メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレン
グリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテルなど、ケト
ン類：例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトンなど、エステル類：例えば酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピ
ルなど、その他エチルエーテルなど、及び脂肪族炭化水
素類：例えばｎ−ヘキサン、ケロシン、灯油、ｎ−ペン
タン、イソペンタン、シクロペンタンなどが挙げられ
る。これら溶媒は混合して使用しても良い。

【００１４】有効成分としては、殺虫剤、殺菌剤、殺ダ
ニ剤、忌避剤、芳香剤、消臭剤などを挙げることができ
る。殺虫剤としては安全性の観点からピレスロイド系の
化合物を用いることが好ましく、代表的なものを例示す
ると、次のとおりである。 ・ｄｌ−３−アリル−２−メチル−４−オキソ−２−シ
クロペンテニル ｄｌ−シス／トランス−クリサンテマ
ート（一般名アレスリン：商品名ピナミン：住友化学工
業株式会社製） ・ｄｌ−３−アリル−２−メチル−４−オキソ−２−シ
クロペンテニル ｄ−シス／トランス−クリサンテマー
ト（商品名ピナミンフォルテ：住友化学工業株式会社
製） ・ｄｌ−３−アリル−２−メチル−４−オキソ−２−シ
クロペンテニル ｄ−トランス−クリサンテマート（商
品名バイオアレスリン：ユクラフ社製） ・ｄ−３−アリル−２−メチル−４−オキソ−２−シク
ロペンテニル ｄ−トランス−クリサンテマート（商品
名エキスリン：住友化学工業株式会社製、商品名エスバ
イオール：ユクラフ社製） ・（５−ベンジル−３−フリル）メチル ｄ−シス／ト
ランス−クリサンテマート（一般名レスメトリン、商品
名クリスロンフォルテ：住友化学工業株式会社製） ・５−プロパギル−２−フリルメチル−ｄ−シス／トラ
ンス−クリサンテマート（一般名フラメトリン、商品名
ピナミンＤフォルテ：住友化学工業株式会社製） ・（＋）−２−メチル−４−オキソ−３−（２−プロピ
ニル）−２−シクロペンテニル（＋）−シス／トランス
−クリサンテマート（一般名プラレトリン、商品名エト
ック：住友化学工業株式会社製） ・ｄｌ−３−アリル−２−メチル−４−オキソ−２−シ
クロペンテニル−ｄｌ−シス／トランス−２，２，３，
３−テトラメチルシクロプロパンカルボシキラート（一
般名テラレスリン：住友化学工業株式会社製） ・（１，３，４，５，６，７−ヘキサヒドロ−１，３−
ジオキソ−２−イソインドリル）メチル−ｄｌ−シス／
トランス−クリサンテマート（一般名フタルスリン、商
品名ネオピナミン：住友化学工業株式会社製） ・（１，３，４，５，６，７−ヘキサヒドロ−１，３−
ジオキソ−２−イソインドリル）メチル−ｄ−シス／ト
ランス−クリサンテマート（商品名ネオピナミンフォル
テ：住友化学工業株式会社製） ・３−フェノキシベンジル−ｄ−シス／トランス−クリ
サンテマート（一般名フェノトリン、商品名スミスリ
ン：住友化学工業株式会社製） ・３−フェノキシベンジル−ｄｌ−シス／トランス−３
−（２，２−ジクロロビニル）−２，２−ジメチル−１
−シクロプロパンカルボオキシラート（一般名ペルメト
リン、商品名エクスミン：住友化学工業株式会社製） ・（±）α−シアノ−３−フェノキシベンジル（＋）−
シス／トランス−クリサンテマート（一般名シフェノト
リン、商品名ゴキラート：住友化学工業株式会社製） ・（±）α−シアノ−３−フェノキシベンジル ｄｌ−
シス／トランス−３−（２，２−ジメチル−１−シクロ
プロパンカルボキシラート（一般名サイパーメスリン） ・ｄ−トランス−２，３，５，６−テトラフルオロベン
ジル−３−（２，２−ジクロロビニル）−２，２−ジメ
チル−１−シクロプロパンカルボキシレート（一般名ト
ランスフルスリン） ・イミプロトリン

【００１５】また、その他の殺虫剤として、カーバメイ
ト系のものとしてプロポクサー、オキサジアゾール系の
ものとしてメトキサジアゾン、有機リン系のものとして
ＤＤＶＰなどを挙げることができる。

【００１６】配合可能な害虫忌避剤としては、代表的な
ものを例示すると、次の物質が挙げられる。 ・２，３，４，５−ビス（△₂−ブチレン）−テトラヒ
ドロフルフラール ・ジ−ｎ−プロピルイソシンコメロネート ・ジ−ｎ−ブチルサクシネート ・２−ヒドロキシエチルオクチルサルフアイド ・２−ｔ−ブチル−４−ヒドロキシアニソール ・３−ｔ−ブチル−４−ヒドロキシアニソール ・１−エチニル−２−メチル−ペンテニル２，２，３，
３−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート ・１−エチニル−２−メチル−２−ペンテニル２，２−
ジメチル−３−（２′，２′−ジクロルビニル）−シク
ロプロパン−１−カルボキシレート ・１−エチニル−２−メチル−２−ペンテニル２，２−
ジメチル−３−（２′−１′−プロピペニル）−シクロ
プロパン−１−カルボキシレート ・Ｎ−ヘキシル−３，４−ジクロルマレイミドなどであ
る。

【００１７】配合可能な殺ダニ剤としては、代表的なも
のを例示すると、次の物質が挙げられる。フェノトリ
ン、ペルメトリン、レストメリン、ＩＢＴＡ、ＩＢＴ
Ｅ、第４級アンモニウム塩、安息香酸ベンジル、安息香
酸フェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸フェニ
ル、３−ブロモ−２，３−ヨード−２−プロペニル−エ
チルカルボナート、４−クロルフェニール−３−ヨード
プロパルギルホルマールなどである。

【００１８】配合可能な昆虫幼若ホルモンとしては、幼
若ホルモン、アンチ幼虫ホルモン、脱皮阻害ホルモンな
ど、代表的には、メトプレン、ハイドロプレン、Ｓ−ハ
イドロプレン、ピリプロキシフェン、フェノキシカー
ブ、イミダゾール系（１−メチル−５−（２，６−ジメ
チル−１，５−ヘプタジエニル）イミダゾール、１−エ
チル−５−（２，６−ジメチル−１，５−ヘプタジエニ
ル）イミダゾール）などである。

【００１９】配合可能な殺菌剤としては、パラ−クロロ
−メタキシレノール（ＰＣＭＸ）、２，４，４′−トリ
クロロ−２′−ハイドロキシジフェニルエーテル（イル
ガサンＤＰ−３００）、３−ヨード−２−プロピニルブ
チルカーバメート（トロイサン）などが挙げられる。

【００２０】また、配合可能な芳香剤としては、じゃ
香、ベルガモット油、シンナモン油、シトロネラ油、レ
モン油、レモングラス油などの天然香料、ピネン、リモ
ネン、リナロール、メントール、ボルネオール、オイゲ
ノール、シトラール、シトロネラール、ヘリオトピン、
ワニリンなどの人造香料などが挙げられる。

【００２１】配合可能な消臭剤としては、ラウリルメタ
クリレート、ゲラニルクロトネート、ミリスチル酸アセ
トフエノン、パラメチルアセトフエノンベンゾアルデヒ
ドなどが挙げられる。

【００２２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図１乃
至図４に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明す
る実施形態において、既に説明した部材等については、
図中に同一符号または相当符号を付すことにより説明を
簡略化あるいは省略する。

【００２３】図１に、本発明の第１実施形態を示す。エ
アゾール用遅延噴射装置１０は、ステム６１を有するエ
アゾール容器６０と、遅延噴射機構１１とを備えてい
る。ここで遅延噴射機構１１は、固定部１２を介してエ
アゾール容器６０のリム６２に固着されているが、着脱
可能に取り付けられてもよい。固定部１２は、側板１２
ａと基板１２ｂとを有している。

【００２４】固定部１２の図中上方には、シリンダ部１
３が固着されている。シリンダ部１３内の流体室１３ａ
には高粘性液体が充填されている。高粘性液体として
は、シリコーンオイル、グリセリン、水に増粘剤を添加
したもの等があげられるが、特に限定されない。そして
遅延噴射機構１１には、シリンダ部１３および固定部１
２の基板１２ｂを貫通するように、棒状の押圧部材１４
が組み付けられている。シリンダ部１３の適宜な箇所に
は、流体室１３ａから液体が漏れないように、シーリン
グパッキン１６が設けられており、ここでは、流体室１
３ａの図中上方側および下方側にそれぞれ設けられてい
る。シーリングパッキン１６は、押圧部材１４を摺動可
能に支持している。

【００２５】押圧部材１４は、当該押圧部材１４を軸方
向に貫通する噴射通路１４ａを備えている。押圧部材１
４の図中下方側（ステム６１側）の端部は、ステム６１
を押し下げ可能な形状に形成されている。押圧部材１４
の図中上方側の端部には、係止部１４ｂが設けられ、係
止部１４ｂとシリンダ部１３の上端壁との間に、ストッ
パ１９が介装されている。また、噴射通路１４ａの図中
上方側端部には、ノズル１７ａを有する噴口部１７が嵌
着されている。そして、押圧部材１４長手方向の略中央
の、流体室１３ａ内に位置する部分には、抵抗部材とし
てのピストン部１５が固着されている。ここでは、板状
のピストン部１５が押圧部材１４に一体的に設けられて
いる。

【００２６】ピストン部１５と、流体室１３ａ上端壁と
の間には、付勢手段としてのコイルばね１８が介装され
ている。コイルばね１８は、ピストン部１５を付勢する
ことで押圧部材１４をステム６１側に付勢しているが、
押圧部材１４は、係止部１４ｂをストッパ１９の上端壁
に係止されているので、停止状態を保つ。

【００２７】図２に、図１におけるエアゾール遅延噴射
装置１０の平面図を示す。同図に示すように、押圧部材
の係止部１４ｂを係止するストッパ１９は、上面視にお
いて略Ｃ字形状を有しており、その内周面により押圧部
材１４の側面を把持している。

【００２８】次に本実施形態の作用を説明する。図２に
おいて、図中矢印で示すようにストッパ１９を押圧部材
１４から引き抜くと、ストッパ１９上端壁と係止部１４
ｂとの係止が解除され、押圧部材１４の移動が開始され
る。図１に示すように、押圧部材１４はコイルばね１８
によってステム６１側に付勢されているが、ピストン部
１５が流体室１３ａ内において抵抗を受けるため、押圧
部材１４はゆっくりとステム６１に向かって移動する。
この間に、操作者は室外に退去することができる。この
とき、ピストン部１５の図中下方側にある高粘性液体
は、流体室１３ａの側壁とピストン部１５の側壁との間
の隙間から、ピストン部１５の図中上方側に移動する。

【００２９】そして、押圧部材１４がステム６１の先端
に到達して、ステム６１を押下することで、ステムから
エアゾール内容物が噴射される。エアゾール内容物は、
押圧部材１４内の噴射通路１４ａを通って噴口部１７に
到達し、噴口１７ａから外部に噴射される。

【００３０】以上のような構成のエアゾール遅延噴射装
置１０においては、遅延噴射の過程において、エアゾー
ル内容物と流体室１３ａ内の高粘性液体とが接触するこ
とはない。したがって、エアゾール内容物の性質が変わ
ってしまうこともなく、適正なエアゾール内容物の遅延
噴射を得ることができる。また、流体室１３ａとは別個
に、流体室１３ａ内の高粘性液体が移動できる空間等を
設けなくてよいので、装置の小型化が可能である。

【００３１】次に、図３に基づいて、本発明の第２実施
形態を説明する。本実施形態のエアゾール遅延噴射装置
２０は、前述した第１実施形態とは、コイルばねの装着
位置および装着方法が異なっているが、他の部材等は第
１実施形態と同じものである。遅延噴射機構２１には、
シリンダ部１３および固定部１２の基板１２ｂを貫通す
るように、棒状の押圧部材２４が組み付けられている。
押圧部材２４の図中下方（ステム６１側）の端部には、
係止フック２４ｃが設けられている。また、ステム６１
が突出しているマウンテンカップ６４の上端壁には、係
止リブ６４ａが設けられている。そして、伸びた状態の
コイルばね２８が、一端を係止フック２４ｃに係止さ
れ、他端を係止リブ６４ａに係止された状態で装着さ
れ、押圧部材２４をステム６１側に付勢している。

【００３２】以上のような構成のエアゾール遅延噴射装
置２０によっても、第１実施形態と同様の作用を得るこ
とができる。そして、コイルばね２８が流体室１３ａ外
にあるので、コイルばね２８が、流体室１３ａ内に充填
される流体によって錆びる等の心配もない。

【００３３】次に、図４に基づいて、本発明の第３実施
形態を説明する。本実施形態のエアゾール遅延噴射装置
３０は、前述した第１実施形態とはシリンダ及び流体室
の形状が異なっているが、他の部材等は第１実施形態と
同じものである。固定部１２の図中上方に固着されてい
るシリンダ部３３は、その内部の流体室３３ａに高粘性
液体が充填されている。そして、流体室３３ａの図中下
方側には、抵抗低減部３３ｃとして、断面積が大きい部
分が形成されている。抵抗低減部３３ｃの、図中上下方
向の厚さは、ピストン部１５の、図中上下方向の厚さよ
り広く設定されている。

【００３４】以下、本実施形態の作用を説明する。先
ず、第１実施形態のときと同様に、ストッパ１９を押圧
部材１４から引き抜いて、ストッパ１９上端壁と係止部
１４ｂとの係止を解除すると、押圧部材１４の移動が開
始される。押圧部材１４はゆっくりとステムに向かって
移動していく。そして、ピストン部１５が抵抗低減部３
３ｃ内に移動すると、ピストン部１５の図中下方側にあ
る高粘性液体は、流体室３３ａの抵抗低減部３３ｃにお
ける側壁とピストン部１５ｃの側壁との間の広い隙間を
通って、ピストン部１５の図中上方側に移動する。

【００３５】以上のような構成のエアゾール遅延噴射装
置３０においても、遅延噴射の過程において、エアゾー
ル内容物と流体室１３ａ内の高粘性液体とが接触するこ
とはなく、装置の小型化も可能である。また、押圧部材
１４の移動開始時に比べて、ピストン部１５が抵抗低減
部３３ｃ内に移動した時の方が、ピストン部１５にかか
る抵抗は小さくなり、押圧部材１４は移動し易くなる。
したがって、ステム６１を押し下げる際にコイルばね１
８の付勢力不足等により押圧部材１４が停止する等の心
配がなく、動作確実性が向上する。また、付勢手段とし
て、付勢力の弱いものでも十分にステムを押し下げるこ
とが可能となるため、遅延噴射機構３１の組立性が向上
し、より低価格な付勢手段を用いることでコストダウン
を図ることもできる。

【００３６】本発明は、前述した実施形態に限定される
ものではなく、適宜な変形、変更等が可能である。例え
ば、前述した実施形態においては、抵抗部材としてのピ
ストン部１５が、押圧部材１４，２４に一体的に設けら
れていたが、別体であってもよい。また、ピストン部１
５は板状に形成されていたが、流体との接触面積を増や
すために、板体の周縁部を折り曲げたような形状であっ
てもよく、更に他の形状であってもよい。

【００３７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のエアゾー
ル遅延噴射装置は、遅延噴射の過程において、エアゾー
ル内容物と流体室内の流体とが接触することはないた
め、エアゾール内容物の性質が変わってしまう心配もな
い。したがって、適正なエアゾール内容物の遅延噴射を
得ることができる。また、装置の小型化が可能なため、
コストダウンを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態を示す概略断面図であ
る。

【図２】本発明の第１実施形態を示す平面図である。

【図３】本発明の第２実施形態を示す概略断面図であ
る。

【図４】本発明の第３実施形態を示す概略断面図であ
る。

【図５】従来のエアゾール遅延噴射装置を示す図であ
る。

【符号の説明】

１０，３０ エアゾール遅延噴射装置 １１，３１ 遅延噴射機構 １２ 固定部 １３，３３ シリンダ １３ａ，３３ａ 流体室 １４ 押圧部材 １５ ピストン部（抵抗部材） １６ シーリングパッキン １７ 噴口部 １８ コイルばね（付勢手段） １９ ストッパ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ステムを有するエアゾール容器と、前記
   エアゾール容器の外部に取り付け可能な、流体が充填さ
   れた流体室と、前記流体室内を移動する抵抗部材と、前
   記ステムを押し下げ可能な、前記抵抗部材に結合された
   押下部材と、前記抵抗部材または前記押下部材を付勢す
   る付勢手段とを備え、始動操作がなされると、前記抵抗
   部材が前記流体室内を移動し、次いで前記押下部材が前
   記ステムを押し下げてエアゾール内容物の噴射を開始す
   ることを特徴とするエアゾール遅延噴射装置。