JP2000063601A - 新規な樹脂組成物 - Google Patents

新規な樹脂組成物

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JP2000063601A
JP2000063601A JP11257940A JP25794099A JP2000063601A JP 2000063601 A JP2000063601 A JP 2000063601A JP 11257940 A JP11257940 A JP 11257940A JP 25794099 A JP25794099 A JP 25794099A JP 2000063601 A JP2000063601 A JP 2000063601A
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polymer
acid
conjugated diene
polymers
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JP11257940A
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Itaru Natori
至 名取
Kimio Imaizumi
公夫 今泉
Kiyoo Kato
清雄 加藤
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 環状共役ジエンから誘導される環状分子
構造単位含有重合体及び変性環状分子構造単位含有重合
体よりなる群から選ばれ、その数平均分子量が10,0
00〜5,000,000である少なくとも一種の重合
体(α)、及び重合体(α)以外の少なくとも一種の重
合体(β)を包含し、重合体(α)が、重合体(α)及
び(β)の合計重量に対して少なくとも1wt%存在し
てなる樹脂組成物。 【効果】 本発明の新規な樹脂組成物に含まれる環状共
役ジエンから誘導される環状分子構造単位含有重合体及
び変性環状分子構造単位含有重合体から選ばれる重合体
(α)の高分子構造は、大きな自由度をもってコントロ
ールできるので、これと他の重合体(β)とを複合化す
る事により、大きい自由度をもって、熱時剛性、耐衝撃
性などの優れた特性を有する樹脂組成物が提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環状分子構造単位
含有重合体を含有する新規な樹脂組成物に関する。更に
詳細には、本発明は、環状共役ジエンより誘導される環
状分子構造単位含有重合体及び変性環状分子構造単位含
有重合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種の環状
共役ジエン由来重合体、及び該環状共役ジエン由来重合
体以外の少なくとも一種の重合体を包含してなり、熱時
剛性などの熱的特性、耐衝撃性などの機械的特性に優れ
た新規な樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高分子化学は、多様化する市場の
要求に対応するために幾つかのイノベーションを経て進
歩を続けてきた。特に、工業材料を目的とした高分子材
料の研究においては、より優れた熱的・機械的特性を発
現させるべく膨大な研究が行われ、多種・多様な材料が
提案されている。これら高分子材料は、軽量かつ形状の
自由度が大きく、又その種類によって種々の異なった特
性が発現されるという大きな特徴を有している。そのた
め、自動車部品、電気・電子部品、鉄道・航空機部品、
繊維・衣料品、医療器具部品、薬品・食品包装材料、一
般雑貨部品等の用途・分野をはじめとして、それらが使
用される用途分野は極めて多岐にわたっており、市場要
求の多様化と科学技術の進歩に伴い、高分子材料の重要
性は飛躍的に増大している。
【0003】例えば、自動車部品や電気・電子部品等の
用途・分野に使用される材料は、近年の環境問題に対す
る意識の高揚によって、軽量化・部品点数の低減を意図
した材料統合の要求が急速に高まっており、この具体的
な手段として、構造材料を可能な限り少品種の高分子材
料に統合する精力的な研究活動が展開されている。しか
しながらこれら高分子材料、特に有機高分子材料を、構
造材料として更に広範囲に使用する場合に解決しなけれ
ばならない最も重要な課題の一つとして、使用雰囲気温
度に依存してその機械的特性が著しく変動するという、
高分子材料の持つ本質的な問題があった。
【0004】この現象・特性は、使用される雰囲気温度
がその高分子材料のガラス転移温度(Tg)以上の領域
に上昇すると、高分子鎖がガラス状態からゴム状態へ転
換し、これが材料の急激な機械的特性変化を引き起こす
主要因であるとされている。従って、単一の分子構造か
らなる高分子材料においてはこの問題を解決する事は本
質的に不可能であり、従来から複数の高分子材料を組み
合わせる事によってこの課題を解決すべく膨大な研究が
なされてきた。例えば、この課題を解決するための具体
的な手段の一つとして、単一の高分子材料に、これとT
gの異なる他の高分子を複合化あるいは共重合する事に
よって導入し、高分子材料の機械的特性(熱時剛性、耐
衝撃性、熱時強度、寸法安定性等)を改良し雰囲気温度
依存性の少ない高分子材料を得ようとする試みが従来よ
り盛んに行われている。
【0005】具体的には、以下の改質方法などは公知で
あり、そのいくつかは既に工業的に実施されている。ポ
リアミド(PA) 、ポリエステル(PEs) 、ポリフニ
レンサルファイド(PPS) 、ポリアセタール(PO
M) 、ポリプロピレン(PP)等の比較的高い融点(T
m)を有しているが、十分に高いTgを持たない高分子
に、ポリフェニレンエーテル(PPE) 、ポリカーボネ
ート(PC) 、ポリアリレート(PAR) 、ポリスルフ
ォン(PSF) 、ポリエーテルケトン(PEK) 、ポリ
エーテルエーテルケトン(PEEK) 、液晶ポリエステ
ル(LCP) 、ポリスチレン(PSt)等の比較的高い
Tgを有する高分子を複合化し、熱時剛性を改良する方
法。
【0006】ポリアミド(PA) 、ポリエステル(PE
s) 、ポリフニレンサルファイド(PPS) 、ポリアセ
タール(POM) 、ポリプロピレン(PP) 、ポリフェ
ニレンエーテル(PPE) 、ポリスチレン(PSt)等
の十分に低いTgを持たない高分子に、エチレンプロピ
レンゴム(EPR) 、エチレンプロピレンジエンゴム
(EPDM) 、スチレンブタジエンゴム(SBR) 、水
素化スチレンブタジエンゴム(SEBS) 、スチレンイ
ソプレンゴム(SIR) 、水素化スチレンイソプレンゴ
ム、ブタジエンゴム(BR) 、イソプレンゴム(IR)
、クロロプレンゴム(CR) 、ニトリルゴム(NBR)
、エチレン系アイオノオマー、アクリルゴム、シリコ
ンゴム、フッ素ゴム、ポリアミドエラストマー、ポリエ
ステルエラストマー等の比較的低いTgを有する高分子
を複合化し、耐衝撃性を改良する方法。
【0007】ポリスチレン(PSt) 、スチレンブタジ
エンゴム(SBR) 、水素化スチレンブタジエンゴム
(SEBS) 、スチレンイソプレンゴム(SIR) 、水
素スチレンイソプレンゴム、ABS・AES樹脂等の高
分子にポリフェニレンエーテル(PPE)等の比較的高
いTgを有する高分子を複合化し、熱時強度を改良する
方法。あるいは、ポリアミド(PA) 、ポリエステル
(PEs) 、ポリプロピレン(PP) 、ポリエチレン
(PE)等の高分子主鎖中に、芳香族あるいは脂肪族の
環状分子構造単位を導入して、熱時の剛性・機械的強度
等を改良する方法。
【0008】しかしながら、これら従来技術において
は、改質の目的に応じて複合化する高分子の系(種類)
、あるいは共重合成分を多種・多様に変える必要があ
り、構造材料を可能な限り少品種の高分子材料に統合す
る市場動向に必ずしも沿ったものにはなっていない。こ
の目的において、(水素化)共役ジエン系重合体は、リ
ビングアニオン重合が可能であるため、共重合などによ
ってその高分子鎖の設計の自由度が大きく、材料特性の
コントロールが比較的容易であり、複合材料における改
質材として、共重合などによってその材料特性をコント
ロールした(水素化)共役ジエン系重合体を用いると、
熱時剛性の付与、耐衝撃性の付与、熱時強度の付与及び
寸法安定性の付与等が、大きい自由度で達成できる可能
性があり、複合材料の代表的な含有成分として積極的な
研究が展開されてきた。
【0009】代表的な共役ジエン系重合体として、ポリ
ブタジエン、ポリイソプレン等の単独重合体、ブタジエ
ン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合
体、プロピレン−ブタジエン共重合体、プロピレン−ブ
タジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、α
−メチルスチレン−ブタジエン共重合体、α−メチルス
チレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合
体、ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、イソプ
レン−メタクリル酸メチル共重合体等のブロック、グラ
フト、テーパーあるいはランダム共重合体、更にはこれ
らの水素化重合体などが公知の材料として知られてお
り、他の重合体と複合して、プラスチック、エラストマ
ー、繊維、シート、フィルム、機械部品、食品容器、包
装材、タイヤ、ベルト、絶縁剤、接着剤等、必要に応じ
て種々の目的・用途分野に用いられている。
【0010】より具体的な例として、共役ジエン系重合
体を熱可塑性エラストマーとしこれを複合材料の耐衝撃
性改質材とする場合には、高分子鎖を構成する分子構造
単位として、両末端に室温より高Tg(ガラス転移温
度)のポリマーブロック(拘束相)を有し、その間が室
温より低Tgのポリマーブロック(ゴム相)からなる共
役ジエン系ブロック共重合体が採用されている。この分
野の代表的な工業材料としてスチレン−ブタジエン(イ
ソプレン) −スチレンブロック共重合体及びその水素化
重合体を例示する事ができる。
【0011】また、このスチレン−ブタジエン(イソプ
レン) −スチレンブロック共重合体及びその水素化重合
体に、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリフェニレン
エーテル、スチレン−ブタジエンジブロック共重合体又
はその水素化重合体等をポリマーブレンドさせたブロッ
ク共重合体組成物は、スチレン−ブタジエン(イソプレ
ン) −スチレンブロック共重合体及びその水素化重合体
の耐熱性、流動性、粘着特性等の諸特性を改良した材料
として広く実施されている。一方、共役ジエン系重合体
の重合方法についても、従来より数多くの提案がなされ
ており、工業的に極めて重要な役割を担っている。
【0012】特に、熱的・機械的特性が改良された共役
ジエン系重合体を得る目的で、高いシス1,4−結合含
有率を与える数多くの重合触媒が、研究・開発されてい
る。例えば、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属化
合物を主成分とする触媒系、あるいは、ニッケル、コバ
ルト、チタン等の遷移金属化合物を主成分とする複合触
媒系は公知であり、その中の幾つかはすでに、ブタジエ
ン、イソプレン等の重合触媒として工業的に採用されて
いる[End.Ing.Chem.,48,784(1
956) 、日本国特公昭37−8198号公報、参
照]。
【0013】一方、更に高いシス1,4−結合含有率及
び優れた重合活性を達成すべく、希土類金属化合物とI
〜III 族金属の有機金属化合物からなる複合触媒系が研
究・開発され、高立体特異性重合の研究が盛んに行われ
るようになった[J.Polym.Sci.,Poly
m.Chem.Ed.,18,3345(1980)、
Sci,Sinica.,2/3,734(1980)
、Makromol.Chem.Suppl,4,6
1(1981) 、独国特許出願2, 848, 964号、
Rubber Chem.Technol.,58,1
17(1985)、参照]。
【0014】これらの触媒系の中で、ネオジム化合物と
有機アルミニウム化合物を主成分とする複合触媒が、高
いシス1,4−結合含有率を達成し、又優れた重合活性
を有することが確認され、ブタジエン等の重合触媒とし
てすでに工業化されている[Makromol.Che
m.,94,119(1981) 、Macromole
cules,15,230(1982) 、参照]。しか
しながら、近年の工業技術の進歩に伴い、高分子材料に
対する市場要求はますます高度なものとなっており、更
に高い熱的特性(融点、ガラス転移温度、熱変形温度
等) 及び高い機械的特性(引張り弾性率、曲げ弾性率
等)を有する高分子材料の開発が強く望まれるようにな
っている。
【0015】この課題を解決するための最も有力な手段
の一つとして、ブタジエン、イソプレン等の比較的立体
障害の小さい単量体の単独重合あるいは共重合にとどま
らず、立体障害の大きい単量体すなわち環状共役ジエン
系単量体を単独重合あるいは共重合し、更に必要に応じ
て水素化する事により環状オレフィン構造単位を共役ジ
エン系重合体の高分子鎖中に形成し、共役ジエン系重合
体の高分子鎖の構造を改良して、共役ジエン系重合体に
関して、高度な熱的特性(剛性、強度など)と高度な耐
衝撃性及び寸法安定性を有する重合体を合成し、これを
他の重合体と複合化する事により、必要な特性が改良さ
れた優れた複合材料を得ようとする研究活動が盛んに行
われるようになってきた。
【0016】しかしながら従来の技術では、ブタジエ
ン、イソプレン等の比較的立体障害の小さい単量体に対
して、ある程度満足できる重合活性を示す触媒系が提案
されているものの、立体障害の大きい単量体すなわち環
状共役ジエン系単量体に対しては、十分に満足できる重
合活性を有する触媒系は未だに見いだされていなかっ
た。つまり、従来の技術では、環状共役ジエン系単量体
は単独重合が困難であり、十分な高分子量体が得られな
いばかりでなく、多様な市場要求に応えるべく熱的・機
械的特性の最適化を行う目的で、他の単量体との共重合
を試みた場合においても、オリゴマー程度の低分子量体
しか得る事はできなかった。
【0017】更に、最も高度な熱的・機械的特性を発現
させる目的で、水素化反応により高分子鎖中に環状オレ
フィン系単量体単位を導入しようと試みた場合、高分子
鎖中の環状共役ジエン系単量体単位中の炭素−炭素二重
結合は立体障害が大きく、著しく反応速度が遅いため、
重合体中に環状オレフィン系単量体単位を導入する事が
著しく困難であるという重大な問題点を有していた。す
なわち、工業材料として十分に満足できる優れた、環状
共役ジエン系単量体単位及び/又は環状オレフィン系単
量体単位を有する重合体は未だに得られておらず、この
解決が強く望まれていた。
【0018】J.Am.Chem.Soc.,81,4
48(1959)には、環状共役ジエン系単量体である
1,3−シクロヘキサジエンを、四塩化チタンとトリイ
ソブチルアルミニウムからなる複合触媒を用いて重合し
た、シクロヘキサジエンホモポリマー及びこの重合方法
が開示されている。ここに記載されている重合方法は、
多量の重合触媒と長い反応時間を必要とするばかりでな
く、得られた重合体の分子量は極めて低いものであり、
工業的な価値はない。更に、環状オレフィン系単量体単
位の導入方法及び複合材料としての可能性に関しては教
示も示唆もない。
【0019】J.Polym.Sci.,Pt.A,
,3277(1964)には、1,3−シクロヘキサ
ジエンを、ラジカル、カチオン、アニオン、配位重合な
どの種々の方法で重合したシクロヘキサジエンホモポリ
マーの重合方法が開示されている。ここに記載されてい
る重合方法では、いずれの場合においても、得られた重
合体の分子量は極めて低いものであり、工業的な価値は
ない。更に、環状オレフィン系単量体単位の導入方法及
び複合材料としての可能性に関しては教示も示唆もな
い。
【0020】英国特許出願第1, 042, 625号明細
書には、1,3−シクロヘキサジエンを多量の有機リチ
ウム化合物を触媒として重合した、シクロヘキサジエン
ホモポリマーの重合方法が開示されている。ここに開示
されている重合方法は、単量体に対し1〜2重量%もの
触媒を用いる必要があり、経済的に著しく不利であるば
かりでなく、得られた重合体の分子量は極めて低いもの
となってしまう。一方、この重合方法では、重合体中に
多量に残存する触媒残査の除去が困難であり、この重合
方法で得られた重合体の商品価値はない。更に、環状オ
レフィン系単量体単位の導入方法及び複合材料としての
可能性に関しては教示も示唆もない。
【0021】J.Polym.Sci.,Pt.A,
,1553(1965)には、1,3−シクロヘキサ
ジエンを有機リチウム化合物を触媒として重合した、シ
クロヘキサジエンホモポリマーが開示されている。ここ
で得られている重合体は、5週間も重合反応を続けたに
も関わらず、数平均分子量は20, 000が限界であっ
た。更に、環状オレフィン系単量体単位の導入方法及び
複合材料としての可能性に関しては教示も示唆もない。
【0022】Polym.Prepr.( Amer.C
hem.Soc. ,Div.Polym.Chem.)
12,402(1971)には、1,3−シクロヘキサ
ジエンを有機リチウム化合物を触媒として重合した場合
には、シクロヘキサジエンホモポリマーの数平均分子量
の限界は10, 000〜15, 000である事が開示さ
れており、この理由として、重合反応と同時にリチウム
カチオンの引き抜きを伴う転移反応及びリチウムハイド
ライドの脱離反応が併発する事が教示されている。更
に、環状オレフィン系単量体単位の導入方法及び複合材
料としての可能性に関しては教示も示唆もない。
【0023】DieMakromolekulareC
hemie. ,163,13(1973)には、1,3
−シクロヘキサジエンを多量の有機リチウム化合物を触
媒として重合した、シクロヘキサジエンホモポリマーが
開示されている。ここで得られているオリゴマー状の重
合体は数平均分子量として6, 500にすぎない。更
に、環状オレフィン系単量体単位の導入方法及び複合材
料としての可能性に関しては教示も示唆もない。
【0024】European Polymer
J.,,895(1973)には、π−アリルニッケ
ル化合物を重合触媒とした、1,3−シクロヘキサジエ
ンとブタジエン、イソプレンとの共重合体が記載されて
いる。しかしながら、ここで得られている重合体は、極
めて低分子量のオリゴマーであり、ランダム共重合体を
示唆する単一のガラス転移温度を有している事が報告さ
れている。更に、環状オレフィン系単量体単位の導入方
法及び複合材料としての可能性に関しては教示も示唆も
ない。
【0025】高分子論文集,Vol.34,No.5,
333(1977)には、塩化亜鉛を重合触媒とした、
1,3−シクロヘキサジエンとアクリロニトリルの共重
合体が記載されている。ここで得られている交互共重合
体は極めて低分子量のオリゴマーである。更に、環状オ
レフィン系単量体単位の導入方法及び複合材料としての
可能性に関しては教示も示唆もない。
【0026】J.Polym.Sci. ,Polym.
Chem.Ed. ,20,901(1982)には、
1,3−シクロヘキサジエンを有機ナトリウム化合物を
触媒として重合した、シクロヘキサジエンホモポリマー
が開示されている。ここで用いられている有機ナトリウ
ム化合物はナトリウムナフタレンであり、実際にはラジ
カルアニオンより形成されるジアニオンが重合開始点と
なっている。すなわちここで報告されているシクロヘキ
サジエンホモポリマーの数平均分子量は見かけ上38,
700であるが、実質的には数平均分子量19, 350
の分子鎖が重合開始点より二方向に成長したに過ぎな
い。また、ここに開示されている重合方法は、極めて低
温下における反応であり、工業的な価値はない。更に、
環状オレフィン系単量体単位の導入方法及び複合材料と
しての可能性に関しては教示も示唆もない。
【0027】Makromol.Chem.,191
2743(1990)には、ポリスチリルリチウムを重
合開始剤とした1,3−シクロヘキサジエンの重合方法
が記載されている。ここに記載されている重合方法で
は、重合反応と同時にリチウムカチオンの引き抜きを伴
う転移反応及びリチウムハイドライドの脱離反応がかな
り併発する事が教示されており、ポリスチリルリチウム
を開始剤として重合反応を行ったにも拘らず、常温では
スチレン−シクロヘキサジエンのブロックコポリマーは
得られず、低分子量のシクロヘキサジエンホモポリマー
のみが得られた事が報告されている。一方、鎖状共役ジ
エン系単量体とのブロック共重合や、トリブロック以上
のマルチブロック、ラジアルブロック等については示唆
も教示もない。更に、環状オレフィン系単量体単位の導
入方法及び複合材料としての可能性に関しては教示も示
唆もない。このように、従来の技術においては、工業材
料として十分に満足できる、環状共役ジエンから誘導さ
れる重合体及びそれを含有する優れた樹脂組成物は、未
だ得られていなかった。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下にあ
って、本発明者らは、先に、高分子主鎖が、少なくとも
一種の環状共役ジエン系単量体単位よりなるか、又は少
なくとも一種の環状共役ジエン系単量体単位及びそれと
共重合可能な他の少なくとも一種の単量体単位よりな
り、且つ高い数平均分子量を有し、融点、ガラス転移温
度、熱変形温度などの熱的性質及び引張り弾性率、曲げ
弾性率などの機械的特性に優れた新規な環状共役ジエン
系重合体、及びその製造方法を開発すべく鋭意研究を行
なった。その結果、上記のタイプの重合体の製造におい
て、所望の高い重合度を達成すると共に環状共役ジエン
系単量体とそれと共重合可能な少なくとも一種の他の単
量体のブロック共重合を可能にするリビングアニオン重
合を効果的且つ効率的に行なう触媒活性を有する新規な
重合触媒を見出した。それによって、従来報告された事
のない新規な環状共役ジエン系重合体の合成に成功し、
また高分子鎖を構成する複数の単量体単位の一部又は全
部に、環状共役ジエン系単量体より誘導される単量体単
位を任意の割合・形態で導入する技術を確立した(PC
T/JP94/00822)。更に、本発明者らは、研
究の結果、この環状共役ジエン系重合体より更に誘導さ
れる飽和環状分子構造単位を含有する重合体を提供する
技術を開発した(PCT/JP94/00973)。
【0029】本発明者らは、更に研究の結果、上記の環
状共役ジエン系単量体より誘導される環状分子構造単位
含有重合体を他の重合体と複合化する事によって、熱時
剛性及び耐衝撃性などの熱的特性及び機械的特性が、大
きな自由度をもって、任意に付与・改質される新規な樹
脂組成物が得られることを知見し、本発明を完成した。
従って、本発明の主たる目的は、環状共役ジエンより誘
導される環状分子構造単位含有重合体及び変性環状分子
構造単位含有重合体よりなる群から選ばれる少なくとも
一種の環状共役ジエン由来重合体、及び該環状共役ジエ
ン由来重合体以外の少なくとも一種の重合体を包含して
なり、熱時剛性、耐衝撃性などの機械的特性が優れ且つ
大きな自由度でそれらの特性が任意に付与される新規な
樹脂組成物を提供することにある。本発明の上記及びそ
の他の諸目的、諸特徴ならびに諸利益は、添付の図面を
参照しながら述べる次の詳細な説明及び請求の範囲の記
載から明らかになる。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、式
(1)及び(1’)でそれぞれ表わされる環状分子構造
単位含有重合体及び変性環状分子構造単位含有重合体よ
りなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(α)、
及び、オレフイン系重合体、スチレン系重合体、共役ジ
ェン系重合体、水素化共役ジエン系重合体、(メタ)ア
クリレート系重合体、(メタ)アクリロニトリル系重合
体、ハロゲン化ビニル系重合体、エステル系重合体、エ
ーテル系重合体、アミド系重合体、イミド系重合体、ス
ルフィド系重合体、スルホン系重合体、ケトン系重合体
よりなる群から選択される少なくとも一種の重合体
(β)を包含してなり、重合体(α)は、重合体(α)
及び(β)の合計重量に対して1wt%以上100wt
%未満存在し、上記重合体(α)の数平均分子量が1
0,000〜5,000,000である、ことを特徴と
する樹脂組成物が提供される。
【0031】
【化4】 式(1)及び(1’)の各々において、A,Bは高分子
主鎖を構成する単量体単位を表し、A,Bはどの順序に
配列されていてもよい。a,bは単量体単位A,Bの合
計重量に対する単量体単位A,Bの各々の重量含有率
(wt%)を表す。
【0032】(A):下記(4)式により表される単量
体単位類から選択される少なくとも一種の環状オレフィ
ン系単量体単位。
【化5】 [R2 は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、C1 〜C
20のアルキル基、C2 〜C20の不飽和脂肪族炭化水素
基、C5 〜C20のアリール基、C3 〜C20のシクロアル
キル基、C4 〜C20のシクロジエニル基、または5〜1
0員環であって少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄
をへテロ原子として含有する複素環基である。]
【0033】(B):次式(5)により表される単量体
単位類から選択される少なくとも一種の環状共役ジエン
系単量体単位。
【化6】 [各R2 は式(4)において定義されたのと同じ意味を
有する。]
【0034】a,bは次の関係を満足する。 0≦a、b≦100、a +b=100 式(1’)において、S,Tは、変性基を表わし、各々
独立に、酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)、ケイ
素(Si)、リン(P)、ハロゲン(F、Cl、Br及
びI)の少なくとも一種を含む官能基又は該官能基を含
有する有機化合物残基である。式(1’)において、
s,tは、一般式(1’)で表される変性環状分子構造
単位含有重合体に対するS,Tの各々の含有率(wt
%)であり以下の関係を満足する。 0<s+t<100、かつ0≦s,t<100。
【0035】次に、本発明の理解を容易にするために、
まず本発明の態様を列挙する。 1.式(1)及び(1’)でそれぞれ表わされる環状分
子構造単位含有重合体及び変性環状分子構造単位含有重
合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体
(α)、及び、オレフイン系重合体、スチレン系重合
体、共役ジェン系重合体、水素化共役ジエン系重合体、
(メタ)アクリレート系重合体、(メタ)アクリロニト
リル系重合体、ハロゲン化ビニル系重合体、エステル系
重合体、エーテル系重合体、アミド系重合体、イミド系
重合体、スルフィド系重合体、スルホン系重合体、ケト
ン系重合体よりなる群から選択される少なくとも一種の
重合体(β)を包含してなり、重合体(α)は、重合体
(α)及び(β)の合計重量に対して1wt%以上10
0wt%未満存在し、上記重合体(α)の数平均分子量
が10,000〜5,000,000である、ことを特
徴とする樹脂組成物。
【0036】
【化7】 式(1)及び(1’)の各々において、A,Bは高分子
主鎖を構成する単量体単位を表し、A,Bはどの順序に
配列されていてもよい。a,bは単量体単位A,Bの合
計重量に対する単量体単位A,Bの各々の重量含有率
(wt%)を表す。
【0037】(A):下記(4)式により表される単量
体単位類から選択される少なくとも一種の環状オレフィ
ン系単量体単位。
【化8】 [R2 は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、C1 〜C
20のアルキル基、C2〜C20の不飽和脂肪族炭化水素
基、C5 〜C20のアリール基、C3 〜C20のシクロアル
キル基、C4 〜C20のシクロジエニル基、または5〜1
0員環であって少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄
をへテロ原子として含有する複素環基である。]
【0038】(B):次式(5)により表される単量体
単位類から選択される少なくとも一種の環状共役ジエン
系単量体単位。
【化9】 [各R2 は式(4)において定義されたのと同じ意味を
有する。]
【0039】a,bは次の関係を満足する。 0≦a、b≦100、a +b=100 式(1’)において、S,Tは、変性基を表わし、各々
独立に、酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)、ケイ
素(Si)、リン(P)、ハロゲン(F、Cl、Br及
びI)の少なくとも一種を含む官能基又は該官能基を含
有する有機化合物残基である。式(1’)において、
s,tは、一般式(1’)で表される変性環状分子構造
単位含有重合体に対するS,Tの各々の含有率(wt
%)であり以下の関係を満足する。 0<s+t<100、かつ0≦s,t<100。
【0040】2.(1’)式におけるS,Tが、各々独
立に、水酸基、エーテル基、エポキシ基、カルボン酸
基、エステル基、カルボン酸塩基、酸無水物基、酸ハロ
ゲン化合物基、アルデヒド基、カルボニル基、アミノ
基、アミド基、イミド基、イミノ基、オキサゾリン基、
ヒドラジン基、ヒドラジド基、アミジン基、ニトリル
基、ニトロ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナ
ト基、シリル基、シリルエステル基、シリルエーテル
基、シラノール基、チオール基、スルフィド基、チオカ
ルボン酸基、ジチオカルボン酸基、スルホン酸基、スル
フィン酸基、スルフェン酸基、チオシアナト基、イソチ
オシアナト基、チオアルデヒド基、チオケトン基、リン
酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基から選択される官
能基、または該官能基を含有する有機化合物残基である
ことを特徴とする請求項1に記載の掛脂組成物。
【0041】3.(1’)式におけるS,Tが、各々独
立に、水酸基、エポキシ基、カルボン酸基、エステル
基、カルボン酸塩基、酸無水物基、アミノ基、アミド
基、イミド基、イミノ基、オキサゾリン基、ヒドラジン
基、ヒドラジド基、イソシアノ基、シアナト基、イソシ
アナト基、シリル基、シリルエステル基、シリルエーテ
ル基、シラノール基、チオール基、スルフィド基、チオ
カルポン酸基、スルホン酸基から選択される官能基、ま
たは該官能基を含有する有機化合物残基であることを特
徴とする請求項1、2のいずれかに記載の樹脂組成物。 4.重合体(β)が、オレフィン系重合体、スチレン系
重合体、共役ジエン系重合体、水素化共役ジエン系重合
体、エステル系重合体、エーテル系重合体、アミド系重
合体、スルフィド系重合体よりなる群から選択される少
なくとも一種の重合体であることを特徴とする請求項1
記載の樹脂組成物。
【0042】5.重合体(α)が(1’)式の変性環状
分子構造単位含有重合体を含み、式(1’)における
S,Tの少なくとも一つが、水酸基、エポキシ基、カル
ボン酸基、エステル基、カルボン酸塩基、酸無水物基、
アミノ基、アミド基、イミド基、イミノ基、オキサゾリ
ン基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、シ
リルエステル基、シリルエーテル基、シラノール基、チ
オール基、スルフィド基、チオカルボン酸基、スルホン
酸基から選択される官能基または該官能基を含有する有
機化合物残基であり、重合体(β)が、水酸基、カルボ
キシル基及びエステル基から選ばれる少なくとも一種の
官能基を含有するエステル系重合体、水酸基及びエーテ
ル基から選ばれる少なくとも一種の官能基を含有するエ
ーテル系重合体、アミノ基、カルボキシル基及びアミド
基から選ばれる少なくとも一種の官能基を含有するアミ
ド系重合体、及びチオール基及びスルフィド基の官能基
を含有するスルフィド系重合体より選択される少なくと
も一種の重合体を含み、重合体(α)の上記官能基及び
上記有機化合物残基の少なくとも一つと、重合体(β)
の上記の少なくとも一種の重合体の上記官能基の少なく
とも一つとが反応して得られる重合体(α)と重合体
(β)との反応生成物が樹脂組成物の重量に対して0.
001〜100wt%存在することを特徴とする請求項
1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0043】6.重合体(α)、が式(1’)の変性環
状分子構造単位含有重合体を含み、式(1’)における
S,Tの少なくとも一つが、水酸基、エポキシ基、カル
ボン酸基、エステル基、カルボン酸塩基、酸無水物基、
アミノ基、アミド基、イミド基、イミノ基、オキサゾリ
ン基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、シ
リルエステル基、シリルエーテル基、シラノール基、チ
オール基、スルフィド基、チオカルボン酸基、スルホン
酸基から選択される官能基または該官能基を含有する有
機化合物残基であり、重合体(β)が、水酸基、エポキ
シ基、カルボン酸基、エステル基、カルボン酸塩基、酸
無水物基、アミノ基、アミド基、イミド基、イミノ基、
オキサゾリン基、イソシアノ基、シアナト基、イソシア
ナト基、シリルエステル基、シリルエーテル基、シラノ
ール基、チオール基、スルフィド基、チオカルボン酸
基、スルホン酸基から選択される少なくとも一種の官能
基または該官能基を含有する有機化合物残基を有する、
変性オレフィン系重合体、変性スチレン系重合体、変性
共役ジエン系重合体、変性水素化共役ジエン系重合体、
変性エーテル系重合体及び変性スルフィド系重合体から
選択される少なくとも一種の変性重合体を含み、重合体
(α)の上記官能基及び上記有機化合物残基の少なくと
も一つと、重合体(β)の上記官能基及び上記有機化合
物残基の少なくとも一つとが反応して得られる重合体
(α)と重合体(β)との反応生成物が樹脂組成物の重
量に対して0.001〜100wt%存在することを特
徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0044】7.重合体(β)が、デカリン中で135
℃において測定した極限粘度[η]が0.1〜100
(l/g)であるオレフイン系重合体であることを特徴
とする請求項1記載の樹脂組成物。 8.重合体(β)が、96%H2 SO4 中で25℃にお
いて測定した極限粘度[η]が0.1〜100(l/
g)であるアミド系重合体であることを特徴とする請求
項1記載の樹脂組成物。 9.重合体(β)が、エチレン単独重合体、α−オレフ
ィン単独重合体、及びエチレンとα−オレフィンの共重
合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種のオレフィ
ン系重合体であることを特徴とする請求項1記載の樹脂
組成物。 10.重合体(β)が、ジアミンとジカルボン酸との反
応生成物、ラクタム、及びアミノ酸よりなる群から選ば
れる少なくとも一種の系が重合して得られる結晶性ポリ
アミドであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成
物。
【0045】尚、本発明において、重合体を構成する各
単量体単位の命名は、該単量体単位が由来する単量体の
命名に従っている。それ故、例えば、「環状オレフィン
系単量体単位」とは、単量体である環状オレフィンを重
合した結果生ずる重合体の構成単位を意味し、その構造
は、シクロアルカンの二つの炭素が結合部位となってい
る分子構造である。又、「環状共役ジエン系単量体単
位」とは、単量体である環状共役ジエンを重合した結果
生ずる重合体の構成単位を意味し、その構造は、シクロ
アルケンの二つの炭素が結合部位となっている分子構造
である。本発明において、重合体(α)としての環状分
子構造単位含有重合体及び変性環状分子構造単位含有重
合体とは、高分子鎖を構成する単量体単位の一部又は全
てが、環状オレフィン系単量体単位及び環状共役ジエン
系単量体単位より選択される一種又は二種以上の単量体
単位を含有する、それぞれ、下記(1)、(1’)式に
より表される重合体、及びこの変性重合体である。
【0046】
【化10】 [式(1)及び(1' )において、A,B、a,b、
S,T及びs,tは、上記したのと同じ意味を有す
る。] 式(1)及び(1' )の各々において、A.Bで示され
るそれぞれの単量体単位が、各複数個存在する場合に
は、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0047】本発明の好ましい態様においては、高分子
鎖を構成する単量体単位の一部又は全てが、1,2−結
合及び1,4−結合から選ばれる少なくとも一つの結合
により連結される6員環の環状オレフィン系単量体単位
及び環状共役ジエン系単量体単位より選択される一種又
は二種以上の単量体単位よりなる重合体である。 な
お、重合体(α)における好ましい1,2−結合/1,
4−結合の%比率は、99/1〜1/99、更に好まし
くは、90/10〜10/90の範囲である。本発明に
おいて、環状オレフィン系単量体単位とは、炭素−炭素
結合により構成される環状オレフィン系単量体単位から
選択される一種又は二種以上の単量体単位である。好ま
しい環状オレフィン系単量体単位は、炭素−炭素結合に
より構成される5〜8員環の環状オレフィン系単量体単
位から選択される一種または二種以上の単量体単位であ
る。更に好ましい環状オレフィン系単量体単位は、炭素
−炭素結合により構成される6員環の環状オレフィン系
単量体単位である。具体的な環状オレフィン系単量体単
位としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロ
オクタン及びこの誘導体を例示する事ができる。更に好
ましい環状オレフィン系単量体単位は、シクロヘキサン
及びこの誘導体である。本発明において、好ましい環状
オレフィン系単量体単位は、下記(2)式により表わさ
れる分子構造単位であり、最も好ましい分子構造単位は
下記(4)式により表わされる分子構造単位である。
【0048】
【化11】 [xは1〜4の整数を表す。R1 は各々独立に水素原
子、ハロゲン原子、C1 〜C20のアルキル基、C2 〜C
20の不飽和脂肪族炭化水素基、C5 〜C20のアリール
基、C3 〜C20のシクロアルキル基、C4 〜C20のシク
ロジエニル基、または5〜10員環であって少なくとも
1個の窒素、酸素または硫黄をヘテロ原子として含有す
る複素環基であり、R2 は各々独立に水素原子、ハロゲ
ン原子、C1 〜C20のアルキル基、C2 〜C20の不飽和
脂肪族炭化水素基、C5 〜C20のアリール基、C3 〜C
20のシクロアルキル基、C4 〜C20のシクロジエニル
基、または5〜10員環であって少なくとも1個の窒
素、酸素または硫黄をヘテロ原子として含有する複素環
基であるか、またはR2 は各々独立に2個のR2 が−
(CR3 2 )y −(R3 はR1 と同じ意味を有し、yは1
〜10の整数である)を形成するような結合または基を
示す。]
【0049】
【化12】 [各R2 は式(2)において定義されたのと同じ意味を
有する。]
【0050】本発明において、環状共役ジエン系単量体
単位とは、炭素−炭素結合により構成される環状共役ジ
エン系単量体単位から選択される一種又は二種以上の単
量体単位である。好ましい環状共役ジエン系単量体単位
は、炭素−炭素結合により構成される5〜8員環の環状
共役ジエン系単量体単位から選択される一種または二種
以上の単量体単位である。更に好ましい環状共役ジエン
系単量体単位は、炭素−炭素結合により構成される6員
環の環状共役ジエン系単量体単位である。具体的な環状
共役ジエン系単量体単位としては、シクロヘキセン及び
この誘導体を例示する事ができる。更に好ましい環状共
役ジエン系単量体単位は、シクロヘキセン及びこの誘導
体である。本発明において、好ましい環状共役ジエン系
単量体単位は、下記(3)式により表わされる分子構造
単位であり、最も好ましい分子構造単位は下記(5)式
により表わされる分子構造単位である。
【0051】
【化13】 [各々x、R1 、R2 は式(2)において定義されたも
のと同じ意味を有す。]
【0052】
【化14】 [各R2 は式(2)において定義されたのと同じ意味を
有する。]
【0053】本発明の組成物に用いられる環状分子構造
単位含有重合体が高い熱的・機械的特性が要求される用
途・分野に使用される場合には、環状オレフィン系単量
体単位の量(a)は全単量体単位A〜Fの合計重量に対
して1〜100wt%の範囲である事が好ましく、2〜
100wt%の範囲にある事が更に好ましく、5〜10
0wt%の範囲にある事が最も好ましい。本発明におい
て、重合体(α)は、いかなる製造方法によって得られ
たものであってもよく、本発明の環状オレフィン系単量
体単位もしくは環状共役ジエン系単量体単位、あるいは
この両方の単量体単位を有し、本発明の数平均分子量の
範囲にあれば、特にそれ以外の制約を受けるものではな
い。
【0054】また、重合体(α)における環状オレフィ
ン系単量体単位は、本発明の範囲にあれば、高分子鎖中
にどのような方法によって導入されても特に制限されな
い。例えば、環状共役ジエン系単量体を重合し、次いで
環状共役ジエン系単量体単位中に存在する二重結合に水
素化反応あるいは他の付加反応を行う事により環状オレ
フィン系単量体単位を導入する方法を例示する事がで
き、目的に応じて任意に選択する事ができる。
【0055】例えば、本発明の組成物に用いる環状分子
構造単位含有重合体が環状共役ジエン系単量体を単独も
しくは共重合して環状分子構造単位含有重合体を合成
し、次いで水素化反応を行う事により得られる重合体で
ある場合、環状オレフィン系単量体単位構造を形成する
ための、環状分子構造単位含有重合体中の炭素−炭素二
重結合の水素化率は、その目的用途に必要とされる環状
オレフィン系単量体単位の必要量によって種々に設定さ
れるため特に限定する事はできないが、一般には1〜1
00%の範囲にある事が好ましく、5〜100%の範囲
にある事が更に好ましく、10〜100%の範囲にある
事が特に好ましく、20〜100%の範囲にある事が最
も好ましい。本発明の組成物に用いられる環状分子構造
単位含有重合体が特に高い熱的・機械的特性が要求され
る用途・分野に使用される場合には、原料となる環状分
子構造単位含有重合体中の炭素−炭素二重結合の水素化
率は、50〜100%の範囲にある事が好ましく、70
〜100%の範囲にある事が特に好ましく、90%以上
水素化されている事が特に高い熱的・機械的特性を得る
ためには最も好ましい。
【0056】本発明の組成物に用いる環状分子構造単位
含有重合体、変性環状分子構造単位含有重合体の分子量
は、その複合材料が構造部品等の工業材料として用られ
る場合には、一般的には数平均分子量10, 000〜
5, 000, 000の範囲である。また、工業的な生産
性を考慮した場合には、数平均分子量は望ましくは1
5, 000〜5, 000, 000の範囲であり、20,
000〜3, 000, 000の範囲である事が好まし
く、25, 000〜2, 000, 000の範囲である事
が更に好ましく、30, 000〜1, 000, 000の
範囲である事が更に好ましい。最も好ましいのは、4
0, 000〜500, 000の範囲である。数平均分子
量が10, 000以下であると、著しく脆弱な固体もし
くは粘調な液状となり工業材料としての価値は極めて低
いものとなってしまう。数平均分子量が5, 000, 0
00以上であると、重合時間が長くなり溶融粘度が著し
く高くなるなどの工業的な生産において好ましからざる
結果を招く事になる。
【0057】本発明において、環状分子構造単位含有重
合体、変性環状分子構造単位含有重合体が環状共役ジエ
ン系単量体の単独重合体である場合、数平均分子量は4
0,000〜5, 000, 000の範囲が好ましい。分
子量が40, 000未満であると著しく脆弱となり、複
合材料としての価値は極めて低いものとなってしまう。
また、工業的な生産性を考慮した場合には、数平均分子
量は40, 000〜3, 000, 000の範囲である事
が好ましく、40, 000〜2, 000, 000の範囲
である事が更に好ましく、40, 000〜1, 000,
000の範囲である事が特に好ましい。複合材料として
最も好ましいのは、40, 000〜500, 000の範
囲である。
【0058】環状分子構造単位含有重合体、変性環状分
子構造単位含有重合体が環状オレフィン系単量体単位の
みからなる重合体である場合、もしくは環状オレフィン
系単量体単位と環状共役ジエン系単量体単位の両方のみ
からなる重合体である場合、数平均分子量10, 000
〜5, 000, 000の範囲である。また、工業的な生
産性を考慮した場合には、数平均分子量は望ましくは1
5, 000〜5, 000, 000の範囲であり、20,
000〜3, 000, 000の範囲である事が好まし
く、25, 000〜2, 000, 000の範囲である事
が更に好ましく、30, 000〜1, 000, 000の
範囲である事が特に好ましい。複合材料として最も好ま
しいのは、40, 000〜500, 000の範囲であ
る。数平均分子量が10, 000以下であると、著しく
脆弱な固体もしくは粘調な液状となり工業材料としての
価値は極めて低いものとなってしまう。数平均分子量が
5, 000, 000以上であると、重合時間が長くなり
溶融粘度が著しく高くなるなどの工業的な生産において
好ましからざる結果を招く事になる。
【0059】本発明において、数平均分子量及び重量平
均分子量は、いずれも、高分子鎖の標準ポリスチレン換
算で求めた、数平均分子量及び重量平均分子量である。
また、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1. 0
1〜10の範囲であり、更に好ましくは1. 03〜7.
0の範囲であり、特に好ましくは1. 05〜5. 0の範
囲である。本発明の組成物に用いられる更に好ましい環
状分子構造単位含有重合体は、環状共役ジエン系単量体
の単独重合体である環状分子構造単位含有重合体を重合
し、次いで環状分子構造単位含有重合体中に含有され
る、環状共役ジエン系単量体単位の炭素−炭素二重結合
の一部又は全てに対して水素化反応を行い、環状共役ジ
エン系単量体単位の一部または全てを環状オレフィン系
単量体単位に変換させた重合体である。また、本発明の
組成物に用いられる特に好ましい変性環状分子構造単位
含有重合体は、環状分子構造単位含有重合体に、官能基
または官能基を有する有機化合物残基が付加した変性重
合体である。
【0060】次に、本発明の組成物に用いる環状分子構
造単位含有重合体を更に詳細かつ具体的に説明する。本
発明において、環状分子構造単位含有重合体とは、その
高分子鎖を構成する単量体単位の一部又は全てが、環状
オレフィン系単量体単位及び環状共役ジエン系単量体単
位から選ばれる少なくとも一種の単量体単位からなる重
合体である。本発明において、代表的な環状分子構造単
位含有重合体として、環状共役ジエン系単量体のみから
誘導される分子構造単位、又は、環状共役ジエン系単量
体及びこれと共重合可能な単量体から誘導される分子構
造単位を、高分子主鎖の繰り返し単位として含有する重
合体、及びそれらの水素化重合体を例示する事ができ
る。
【0061】より具体的には、環状共役ジエン系単量
体、あるいは環状共役ジエン系単量体及びこれと共重合
可能な単量体を重合もしくは共重合することにより誘導
された分子構造単位を、高分子鎖の繰り返し単位として
含有する重合体もしくはこの水素化重合体を例示する事
ができる。更に具体的には、環状共役ジエン系単量体の
単独重合体、二種以上の環状共役ジエン系単量体の共重
合体、環状共役ジエン系単量体及びこれと共重合可能な
単量体との共重合体等、もしくはそれらの水素化重合体
を例示する事ができる。好ましい環状分子構造単位含有
重合体としては、その高分子鎖に含有される環状オレフ
ィン系単量体単位がシクロヘキサン環を有する分子構造
単位であり、環状共役ジエン系単量体単位がシクロヘキ
セン環を含有する分子構造単位である重合体を例示する
事ができる。
【0062】本発明における環状共役ジエン系単量体と
は、炭素−炭素結合により構成される6員環の環状共役
ジエンである。好ましい環状共役ジエン系単量体は、炭
素−炭素結合により構成される5〜8員環の環状共役ジ
エンである。特に好ましい環状共役ジエン系単量体は、
炭素−炭素結合により構成される6員環の環状共役ジエ
ンである。具体的には、1,3−シクロヘキサジエン及
びこれらの誘導体を例示する事ができる。
【0063】更に、本発明の組成物に用いる環状分子構
造単位含有重合体は、必要に応じて分子量の調節あるい
は星型等の重合体を得る目的で、高分子末端を従来公知
の二官能以上のカップリング剤(例えば、ジメチルジク
ロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジブロ
モシラン、メチルトリブロモシラン、チタノセンジクロ
ライド、塩化メチレン、臭化メチレン、クロロホルム、
四塩化炭素、四塩化ケイ素、四塩化チタン、四塩化ス
ズ、エポキシ化大豆油、エステル類等)により結合する
事も特に制限されるものではない。
【0064】本発明の組成物に用いる環状分子構造単位
含有重合体は、従来公知のいかなる重合方法(ラジカ
ル、アニオン、カチオン、開環、縮合、付加、配位重合
等)により得られたものであっても本発明の範囲にあれ
ば特に制限されないが、最も好ましい重合方法は、本発
明に開示される周期律表第IA族の金属を含有する有機
金属化合物に錯化剤、最も好ましくはアミン類を反応さ
せる事により錯体化合物を形成させ、これを重合触媒と
して用いてリビングアニオン重合を行い、必要に応じて
水素化反応を行う事により、任意の分子量と高分子構造
を有する環状分子構造単位含有重合体を得る重合方法で
ある。
【0065】本発明が開示する最も好ましい重合方法に
おいて、重合触媒に採用する事が可能なIA族金属と
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セ
シウム、フランシウムであり、好ましいIA族金属とし
てリチウム、ナトリウム、カリウムを例示する事がで
き、特に好ましいIA族金属としてリチウムを例示する
事ができる。本発明において、上記重合方法に用いる重
合触媒である錯体化合物とは、上記IA族金属を含有す
る有機金属化合物に錯化剤を反応させる事により形成さ
れる錯体化合物である。好ましい錯体化合物として有機
リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、有機カリウム
化合物に錯化剤を反応させる事により形成される錯体化
合物を例示する事ができる。
【0066】特に好ましい錯体化合物として、有機リチ
ウム化合物に錯化剤を反応させる事により形成される錯
体化合物を例示する事ができる。重合触媒に好適に用い
られる有機リチウム化合物とは、炭素原子を少なくとも
一個以上含有する有機分子又は有機高分子に結合する、
一個又は二個以上のリチウム原子を含有する化合物であ
る。ここで有機分子とは、C1 〜C20のアルキル基、C
2 〜C20の不飽和脂肪族炭化水素基、C5 〜C20のアリ
ール基、C3 〜C20のシクロアルキル基、C4 〜C 20
シクロジエニル基である。
【0067】有機リチウム化合物としては、具体的に
は、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリ
チウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチウ
ム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウ
ム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、アリルリチ
ウム、シクロヘキシルリチウム、フェニルリチウム、ヘ
キサメチレンジリチウム、シクロペンタジエニルリチウ
ム、インデニルリチウム、ブタジエニルジリチウム、イ
ソプレニルリジチウム等あるいは、ポリブタジエニルリ
チウム、ポリイソプレニルリチウム、ポリスチリルリチ
ウム等高分子鎖の一部にリチウム原子を含有するオリゴ
マー状もしくは高分子状の従来公知の有機リチウムを例
示する事ができる。
【0068】好ましい有機リチウム化合物としては、安
定な錯体状態(化合物)を形成するものであれば特にそ
の種類は制限されないが、代表的な有機リチウム化合物
としてメチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピル
リチウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチ
ウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチ
ウム、シクロヘキシルリチウムを例示する事ができる。
工業的に採用できる最も好ましい有機リチウム化合物
は、n−ブチルリチウム(n−BuLi)である。本発
明において、重合に採用されるIA族金属を含有する有
機金属化合物は、一種でも、必要に応じて二種類以上の
混合物であっても構わない。
【0069】本発明において、上記の重合方法に用いる
重合触媒において、IA族金属を含有する有機金属化合
物を錯体化合物とするために反応させる最も好ましい錯
化剤は、一種又は二種以上のアミン類である。より具体
的には、IA族金属を含有する有機金属化合物に配位し
錯体を形成する事が可能な、非共有電子対が存在する極
性基であるR1 2 N−基(R1 、R 2 はアルキル基、
アリール基、水素原子を表す。これらは同一であっても
異なっていてもよい。)を一個又は二個以上含有する有
機アミン化合物もしくは有機高分子アミン化合物を例示
する事ができる。これらのアミン類の中で、最も好まし
いアミン類は、第三(三級)アミン化合物である。
【0070】本発明における好ましい第三(三級)アミ
ン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、テトラメチ
ルジアミノメタン、テトラメチルエチレンジアミン、テ
トラメチル−1,3−プロパンジアミン、テトラメチル
−1,3−ブタンジアミン、テトラメチル−1,4−ブ
タンジアミン、テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミ
ン、テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、テト
ラメチル−1,8−ナフタレンジアミン、テトラメチル
ベンジジン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラエ
チル−1,3−プロパンジアミン、テトラメチルジエチ
レントリアミン、テトラエチルジエチレントリアミン、
ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタエチルジエ
チレントリアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オク
タン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノ
ネン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウ
ンデセン、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,
8,11−テトラアザシクロテトラデカン、テトラキス
(ジメチルアミノ)エチレン、テトラエチル−2−ブテ
ン−1,4−ジアミン、ヘキサメチルホスホリックトリ
アミド等を例示する事ができる。
【0071】特に好ましいアミン類としては、テトラメ
チルメチレンジアミン(TMMDA) 、テトラエチルメ
チレンジアミン(TEMDA) 、テトラメチルエチレン
ジアミン(TMEDA) 、テトラエチルエチレンジアミ
ン(TEEDA) 、テトラメチルプロピレンジアミン
(TMPDA) 、テトラエチルプロピレンジアミン(T
EPDA) 、テトラメチルブチレンジアミ(TMBD
A) 、テトラエチルブチレンジアミン(TEBDA) 、
テトラメチルペンタンジアミン、テトラエチルペンタン
ジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン(TMHD
A) 、テトラエチルヘキサンジアミン(TEHDA) 、
ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABAC
O)を例示することができる。
【0072】工業的に用いられる最も好ましいアミン類
としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を
例示することができる。これら錯化剤として用いられる
アミン類は、一種又は二種以上の混合物であることも可
能である。環状共役ジエン系重合体の最も好ましい重合
方法に用る重合触媒である、IA族金属を含有する有機
金属化合物と錯化剤との特に好ましい組み合わせは、n
−ブチルリチウム(n−BuLi)とテトラメチルメチ
レンジアミン(TMMDA) 、テトラメチルエチレンジ
アミン(TMEDA) 、テトラメチルプロピレンジアミ
ン(TMPDA) 、ジアザビシクロ[2,2,2]オク
タン(DABACO)から選ばれる組み合わせである。
工業的に最も好ましい組み合わせは、n−ブチルリチウ
ム(n−BuLi)とテトラメチルエチレンジアミン
(TMEDA)である。
【0073】上記の重合方法においては、重合反応以前
に周期律表第IA族の金属を含有する有機金属化合物に
錯化剤としてアミン類を反応させる事により錯体化合物
を形成させ、これを重合触媒として用いる事が好まし
い。本発明の組成物に用いる環状共役ジエン重合体の、
最も好ましい重合方法に採用される重合触媒の調製方法
は特に制限されるものではなく、必要に応じて従来公知
の技術を応用する事ができる。例えば、乾燥不活性ガス
雰囲気下に有機金属化合物を有機溶媒に溶解し、これに
錯化剤(アミン類)の溶液を添加する方法、あるいは乾
燥不活性ガス雰囲気下に錯化剤(アミン類)を有機溶媒
に溶解し、これに有機金属化合物の溶液を添加する方法
などを例示する事ができ、適宜選択される。
【0074】ここで用いられる有機溶媒は、有機金属の
種類・量及び錯化剤(アミン類)の種類・量により適宜
選択し、十分に脱気・乾燥を行った後に用いる事が好ま
しい。また、有機金属化合物と錯化剤(アミン類)を反
応させる温度条件も、一般的には−100〜100℃の
範囲で適宜選択する事が可能である。乾燥不活性ガスと
してはヘリウム、窒素、アルゴンが好ましく、工業的に
は窒素もしくはアルゴンを用いることが好ましい。
【0075】本発明の組成物に用いる環状共役ジエン系
重合体を得るための最も好ましい重合方法の重合触媒と
して、IA族金属を含有する有機金属化合物に錯化剤と
してアミン類を反応させ錯体化合物を形成する場合、配
合するアミン類(アミン化合物分子)と有機金属化合物
中のIA族金属原子をそれぞれAmol、Bmolとし
た場合、これらの配合比は一般的には、 A/B=1000/1〜1/1000 の範囲であり、 A/B=500/1〜1/500 の範囲である事が好ましく、 A/B=100/1〜1/100 の範囲である事が更に好ましく、 A/B=50/1〜1/50 の範囲である事が特に好ましく、 A/B=20/1〜1/20 の範囲である事が、安定した錯体化合物を高収率で形成
し、分子量分布の狭い環状共役ジエン系重合体を効率的
に製造する上で最も好ましい。
【0076】アミン化合物分子とIA族金属原子の配合
比が本発明の範囲外であると、経済的に不利になるばか
りでなく、重合触媒である錯体化合物が不安定になり、
重合反応と同時に転移反応あるいはIA族金属ハイドラ
イドの脱離反応等の副反応が併発するなどの好ましから
ざる結果を招く事になる。本発明の組成物に用いられる
環状分子構造単位含有重合体を得るための、最も好まし
い重合方法は、重合触媒として形成された錯体化合物用
い、リビングアニオン重合を行う方法である。本発明の
重合方法における重合形式は、特に制限されるものでは
なく、気相重合、塊状重合もしくは溶液重合などを適宜
選択し採用する事ができる。重合反応プロセスとしては
例えばバッチ式、セミバッチ式、連続式などを適宜選択
し利用する事が可能である。
【0077】溶液重合の場合に使用できる重合溶媒とし
ては、ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプ
タン、n−オクタン、iso−オクタン、n−ノナン、
n−デカンのような脂肪族炭化水素、シクロペンタン、
メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロ
ヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シ
クロオクタン、デカリン、ノルボルナンのような脂環族
炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベン
ゼン、クメンのような芳香族炭化水素、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフランのようなエーテル類を例示する
事ができる。これらの重合溶媒は一種あるいは二種以上
の混合物であってもよい。好ましい重合溶媒としては、
脂肪族炭化水素溶媒、脂環族炭化水素溶媒、芳香族炭化
水素溶媒であり,更に好ましい重合溶媒は、脂肪族炭化
水素溶媒、脂環族炭化水素溶媒もしくはこれらの混合溶
媒である。ノルマルヘキサンもしくはシクロヘキサン、
あるいはこれらの混合溶媒が特に好ましい。
【0078】環状共役ジエン系重合体の重合方法におけ
る重合触媒の使用量は、目的により種々異なったものと
なるため特に限定する事はできないが、一般的には単量
体1molに対して金属原子として1×10-6mol〜
1×10-1molの範囲であり、好ましくは5×10-6
mol〜5×10-2molの範囲で実施する事ができ
る。環状共役ジエン系重合体の重合方法における重合温
度は、必要に応じて種々異なったものに設定されるが、
一般には−100〜150℃、好ましくは−80〜12
0℃、特に好ましくは−30〜110℃、最も好ましく
は0〜100℃の範囲で実施する事ができる。更に工業
的な観点からは、室温〜90℃の範囲で実施する事が有
利である。
【0079】重合反応に要する時間は、目的あるいは重
合条件によって種々異なったものになるため特に限定す
る事はできないが、通常は48時間以内であり、更に好
適には1〜10時間の範囲で実施される。重合反応系に
おける雰囲気は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性
ガス、特に十分に乾燥した不活性ガスである事が望まし
い。重合反応系の圧力は、上記重合温度範囲で単量体及
び溶媒を液相に維持するのに十分な圧力の範囲で行えば
よく、特に限定ものではない。更に、重合系内には重合
触媒及び活性末端を不活性化させるような不純物、例え
ば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないように留意する必
要がある。上記の重合方法において、環状共役ジエン系
重合体の重合反応に用いられる重合触媒は、一種でも二
種以上の混合物であっても構わない。
【0080】上記の重合方法において、重合反応が所定
の重合率を達成した後に、必要に応じて公知の末端変性
剤(ハロゲンガス、炭酸ガス、一酸化炭素、アルキレン
オキシド、アルキレンスルフィド、イソシアナート化合
物、イミノ化合物、アルデヒド化合物、ケトン及びチオ
ケトン化合物、エステル類、ラクトン類、含アミド化合
物、尿素化合物、酸無水物等)もしくは末端分岐化剤
(ポリエポキサイド、ポリイソシアナート、ポリイミ
ン、ポリアルデヒド、ポリアンハライド、ポリエステ
ル、ポリハライド、金属ハロゲン化物等)、カップリン
グ剤(ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラ
ン、ジメチルジブロモシラン、メチルトリブロモシラ
ン、チタノセンジクロライド、ジルコノセンジクロライ
ド、塩化メチレン、臭化メチレン、クロロホルム、四塩
化炭素、四塩化ケイ素、四塩化チタン、四塩化スズ、エ
ポキシ化大豆油、エステル類等)、更には重合停止剤、
重合安定剤、あるいは熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤等の安定剤を添加することができる。
【0081】熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の
安定剤としては、従来公知のものをそのまま採用する事
ができる。例えば、フェノール系、有機ホスフェート
系、有機ホスファイト系、有機アミン系、有機イオウ系
等の種々の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤を採用
する事が可能である。熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤等の熱安定剤の添加量は、一般には環状共役ジエン
系重合体100wt部に対し、0. 001〜10wt部
の範囲で使用される。
【0082】重合停止剤としては、重合触媒の重合活性
種を失活させる公知の重合停止剤を採用する事ができ
る。好適なものとして、水、炭素数が1〜10であるア
ルコール、ケトン、多価アルコール(エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、グリセリン等)、フェノー
ル、カルボン酸、ハロゲン化炭化水素等を例示する事が
できる。重合停止剤の添加量は、一般に環状共役ジエン
系重合体100wt部に対して、0. 001〜10wt
部の範囲で使用される。重合停止剤は、熱安定剤、酸化
防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤を添加する以前に添加
してもよいし、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等
の安定剤と同時に添加してもよい。また、重合体の活性
末端に分子状の水素を接触させる事により失活させても
構わない。
【0083】本発明の組成物に用いる環状分子構造単位
含有重合体が、重合反応を行い環状共役ジエン系重合体
を重合し、次いで必要に応じて水素化反応を行いその高
分子鎖中に含有される炭素−炭素不飽和結合を水素化し
て得られた重合体である事は、本発明の組成物において
最も好ましい。本発明の組成物に用いる環状分子構造単
位含有重合体が水素化重合体である場合の、水素化重合
体の最も好ましい製造方法は、重合反応を行い環状共役
ジエン系重合体を合成し、次いで水素化触媒の共存下、
水素化反応を行い環状共役ジエン系重合体中に含有され
る炭素−炭素不飽和結合の一部又は全てを水素化する方
法を例示する事ができる。
【0084】より具体的には、環状共役ジエン系重合体
の重合反応が所定の重合率を達成した後に、引き続いて
水素化反応を実施する事により、水素化された環状共役
ジエン系重合体を製造する事ができる。その具体的な製
造方法としては、次の方法を例示することができる。重
合反応を重合触媒を失活する事により停止し、重合反応
を行った同一反応器内に水素化触媒を添加し、水素を導
入する事によってバッチ式に水素化重合体を製造する方
法。重合反応を重合触媒を失活する事により停止し、重
合体溶液を重合反応とは別の反応器に移送し、反応器内
に水素化触媒を添加し、水素を導入する事によってセミ
バッチ式に水素化重合体を製造する方法。チューブ型の
反応器で、重合反応及び水素化反応を連続的に行う事に
より連続式に水素化重合体を製造する方法。これらの方
法は、適宜選択し採用する事ができる。
【0085】本発明における水素化反応は、環状共役ジ
エン系重合体及び水素化触媒の共存下に、水素雰囲気下
において実施される。本発明における水素化反応の方法
は、一般には、重合体溶液を水素又は不活性ガス雰囲気
下に所定の温度に保持し、撹拌下もしくは不撹拌下に水
素化触媒を添加し、次いで水素ガスを導入して所定圧に
加圧する事によって実施される。また、水素化反応形式
は従来公知の技術を採用する事ができる。例えばバッチ
式、セミバッチ式、連続式あるいはそれらの組み合わせ
等のいずれでも採用可能である。
【0086】本発明における水素化反応に用いる事が可
能な水素化触媒とは、必要な水素化率が得られる触媒で
あれば特にその種類、量は制限されないが、実質的に
は、周期律表中のIVA〜VIII族金属もしくは希土類金属
から選択される少なくとも一種の金属を含有する均一系
水素化触媒(有機金属化合物、有機金属錯体)あるいは
不均一系水素化触媒(固体触媒)から選択する事が可能
である。本発明における最も好ましい水素化触媒は、均
一系水素化触媒すなわち、IVA〜VIII族金属もしくは希
土類金属から選択される有機金属化合物あるいは有機金
属錯体である。これら好ましい均一系水素化触媒である
有機金属化合物、有機金属錯体は、シリカ、ゼオライ
ト、架橋ポリスチレン等の無機化合物あるいは有機高分
子化合物等に坦持されている事も特に制限されるもので
はない。
【0087】本発明において使用される水素化触媒に含
有される金属としては、チタン、ジルコニウム、ハフニ
ウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、
レニウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジ
ウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、ラ
ンタニウム、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、
プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウ
ム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミニウム、エル
ビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを例示
する事ができ、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハ
フニウム、レニウム、コバルト、ニッケル、ルテニウ
ム、ロジウム、パラジウム、セリウム、ネオジウム、サ
マリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、イッテルビウ
ムを例示することができる。
【0088】特に好ましい金属として、チタン、コバル
ト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウムを例
示する事ができる。これらの金属が均一系水素化触媒と
なるためには、水素、ハロゲン、窒素化合物、有機化合
物等の配位子が配位又は結合している事が必要であり、
その組み合わせは任意に選択する事が可能であるが、少
なくとも溶媒に可溶となる組み合わせを選択する事が好
ましい。配位子の具体例としては、水素、フッ素、塩
素、臭素、一酸化窒素、一酸化炭素あるいは、ヒドロキ
シル、エーテル、アミン、チオール、ホスフィン、カル
ボニル、オレフィン、ジエン等の官能基を含有する有機
化合物もしくは、官能基を含有しない非極性の有機化合
物を例示する事ができる。
【0089】有機配位子の具体例としては、サリシルア
ルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフタルアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3−ナフタルアルデヒド等のアルデヒ
ド類、2’−ヒドロキシアセトフェノン、2’−ヒドロ
キシブチロフェノン、2’−ヒドロキシプロピオフェノ
ン等のヒドロキシフェノン類、アセチルアセトン、ベン
ゾイルアセトン、プロピオニルアセトン、イソブチルア
セトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン等
のジケトン類、イソ吉草酸、カプリル酸、オクタン酸、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、シク
ロペンタンカルボン酸、ナフテン酸、エチルヘキサン
酸、ビバール酸、バーサチック酸(シェル化学から販売
されるC10モノカルボン酸の異性体の混合物から構成
される合成酸) 、フェニル酢酸、安息香酸、2−ナフト
エ酸、マレイン酸、コハク酸、ヘキサンチオール酸、
2,2−ジメチルブタンチオン酸、デカンチオン酸、チ
オ安息香酸等のカルボン酸類、リン酸ジブチル、リン酸
ジペンチル、リン酸ジヘキシル、リン酸ジヘプチル、リ
ン酸ジオクチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル) 、
リン酸ビス(1−メチルヘプチル) 、リン酸ジラウリ
ル、リン酸ジオレイル、リン酸ジフェニル、リン酸ビス
(p−ノニルフェニル) 、リン酸ビス(ポリエチレング
リコール−p−ノニルフェニル) 、リン酸(ブチル)
(2−エチルヘキシル) 、リン酸(1−メチルヘプチ
ル)(2−エチルヘキシル) 、リン酸(2−エチルヘキ
シル)(p−ノニルフェニル) 、2−エチルヘキシルホ
スホン酸モノブチル、2−エチルヘキシルホスホン酸モ
ノ−2−エチルヘキシル、フェニルホスホン酸モノ−2
−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ
−p−ノニルフェニル、ホスホン酸モノ−2−エチルヘ
キシル、ホスホン酸モノ−1−メチルヘプチル、ホスホ
ン酸モノ−p−ノニルフェニル、ジブチルホスフィン
酸、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス
(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ジラウリルホス
フィン酸、ジオレイルホスフィン酸、ジフェニルホスフ
ィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブ
チル(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチ
ルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、
(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフ
ィン酸、ブチルホスフィン酸、2−エチルヘキシルホス
フィン酸、1−メチルヘプチルホスフィン酸、オレイル
ホスフィン酸、ラウリルホスフィン酸、フェニルホスフ
ィン酸、p−ノニルフェニルホスフィン酸等の有機リン
酸類、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i
so−プロピルアルコール、tert−ブチルアルコー
ル、tert−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコ
ール、シクロヘキシルアルコール、アリルアルコール、
2−ブテニルアルコール、3−ヘキセニルアルコール、
2,5−デカジェニルアルコール、ベンジルアルコー
ル、フェノール、カテコール、1−ナフトール、2−ナ
フトール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノー
ル、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、
4−フェニルフェノール、エタンチオール、1ーブタン
チオール、2−ペンタンチオール、2−iso−ブタン
チオール、チオフェノール、2−ナフタレンチオール、
シクロヘキサンチオール、3−メチルシクロヘキサンチ
オール、2−ナフタレンチオール、ベンゼンメタンチオ
ール、2−ナフタレンメタンチオール等のアルコール、
フェノール、チオール類、あるいはアセチルアセトン、
テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルスル
ホキシド、ピリジン、エチレンジアミン、ジメチルホル
ムアミド、トリフェニルホスフィン、シクロペンタジエ
ニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、
フルオレニル基、π−アリル基、置換アリル基、シクロ
オクタジエニル基、メチル基、エチル基、ブチル基、フ
ェニル基、トリル基等を例示する事ができる。
【0090】これらの配位子は、一種でも、あるいは必
要に応じて二種類以上を組み合わせて使用する事も特に
制限されないが、環状分子構造単位含有重合体が溶解す
る溶媒に可溶となる配位子の組み合わせが特に好まし
い。また、水素化触媒は必要に応じて一種又は二種以上
を組み合わせて用いる事も、特に制限されるものではな
い。。更に水素化触媒が、IVA〜VIII族金属もしくは希
土類金属から選択される少なくとも一種の有機金属化合
物あるいは有機金属錯体と、アルキルリチウム、アルキ
ルマグネシウム、アルキルアルミニウム等のIA〜II
A、III B族金属から選択される少なくとも一種の有機
金属化合物からなる複合触媒を用いる事は、工業的に最
も好ましい方法である。
【0091】具体的なIA〜IIA、III B族金属の有機
金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウ
ム、n−プロピルリチウム、i−プロピルリチウム、n
−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリ
チウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニ
ルリチウム、シクロペンタジエニルリチウム等のアルキ
ルリチウム、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシ
ウム、ジブチルマグネシウム等のアルキルマグネシウ
ム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソプロピルアルミニウム、トリノルマルブチ
ルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘ
キシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウ
ム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチル
アルミニウムハイドライド、メチルアルミノキサン、エ
チルアルミノキサン等のアルキルアルミニウム等を例示
する事ができる。これらの有機金属化合物は、単独であ
るいは二種以上の混合物であってもよい。
【0092】本発明の組成物に用いる環状分子構造単位
含有重合体が水素化重合体である場合、水素化反応にお
ける水素化触媒の使用量は、水素化する環状共役ジエン
系重合体の種類(構造、分子量等)、あるいは水素化条
件(溶媒、温度、溶媒、溶液粘度等)によって適宜選択
されるが、一般には、被水素化重合体に対して金属原子
濃度として0. 1〜100, 000ppmの範囲であ
り、好ましくは1〜50, 000ppmの範囲であり、
更に好ましくは5〜10, 000ppmの範囲であり、
特に好ましくは10〜10, 000ppmの範囲であ
る。水素化触媒の使用量が少ない場合には、十分な反応
速度が得られず、一方、使用量が多い場合には、反応速
度は速くなるものの経済的に不利であり、また触媒の分
離回収が必要になり、重合体に対する触媒残査の影響が
避けられないなどの好ましからざる結果を招く事にな
る。水素化反応に用いる事が可能な溶媒としては、水素
化触媒に不活性であり、重合体及び水素化触媒が可溶で
ある事が好ましい。
【0093】好ましい溶媒としては、n−ペンタン、n
−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、iso−オ
クタン、n−ノナン、n−デカンのような脂肪族炭化水
素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シク
ロオクタン、デカリン、ノルボルナンのような脂環族炭
化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、クメンのような芳香族炭化水素、塩化メチレン、ジ
クロルエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ト
リクロロベンゼンのようなハロゲン系炭化水素、ジエチ
ルエーテル、ジグリム、トリグリム、テトラヒドロフラ
ンのようなエーテル類の単独又はそれらを主成分とする
混合物を例示する事ができ、被水素化重合体の特性ある
いは水素化反応の条件等により適宜選択する事ができ
る。
【0094】工業的には、脂肪族炭化水素、脂環族炭化
水素、芳香族炭化水素溶媒が好ましく、脂肪族炭化水素
もしくは脂環族炭化水素溶媒、あるいはこれらの混合溶
媒が好ましい。工業的な見地からは、重合反応に引き続
き水素化反応を行う事が経済的に有利であるため、重合
反応に用いられる溶媒と水素化反応に用いられる溶媒が
同一である事が最も好ましい。水素化反応時の重合体溶
液の濃度は、特に限定されるものではないが、通常1〜
90wt%である事が好ましく、更に好ましくは2〜6
0wt%、特に好ましくは5〜40wt%である。
【0095】重合体溶液の濃度が低い場合には経済的に
不利であり、濃度が高い場合には重合体溶液の粘度が増
大し、反応速度が低下するために好ましくない結果とな
る。水素化反応の温度は、一般的には−78〜500℃
の範囲であり、好ましくは−10〜300℃であり、特
に好ましくは20〜250℃である。反応温度が低すぎ
る場合には大きな反応速度が得られず、一方、反応温度
が高すぎる場合には水素化触媒が失活したり、あるいは
重合体が劣化するなどの好ましからざる結果を招く事に
なる。
【0096】本発明の製造方法における水素化反応系の
圧力は、0. 1〜500kg/cm 2 Gの範囲であり、
好ましくは1〜400kg/cm2 Gの範囲であり、特
に好ましくは2〜300kg/cm2 Gの範囲である。
圧力が低すぎる場合には十分に大きい反応速度が得られ
ず、一方、圧力を高くしすぎると反応速度は大きくなる
ものの、装置として高価な耐圧反応装置が必要になるた
めに経済的ではない。また、重合体の水素化分解などの
好ましからざる結果を招く事にもなる。
【0097】水素化反応に要する時間は、水素化触媒量
・種、重合体溶液の濃度、反応系の温度・圧力とも関係
するために特に限定する事はできないが、通常5分〜2
40時間の範囲で実施する事ができる。水素化反応終了
後、水素化触媒は必要に応じて、吸着剤による吸着分離
法、有機酸及び/又は無機酸の存在下に水又は低級アル
コールによる洗浄除去法などの従来公知の手段により、
反応液から分離回収する事ができる。環状共役ジエン系
重合体の水素化方法において、重合体溶液から水素化さ
れた環状共役ジエン系重合体を分離回収するためには、
公知の重合体の重合体溶液から重合体を回収する際に通
常使用される、従来公知の技術を採用することができ
る。
【0098】例えば、反応溶液と水蒸気を直接接触させ
る水蒸気凝固法、反応液に重合体の貧溶媒を添加して重
合体を沈澱させる再沈澱法、反応溶液を容器内で加熱し
て溶媒を留去させる方法、ベント付き押出機で溶媒を留
去しながらペレット化まで行う方法などを例示する事が
でき、水素化された環状共役ジエン系重合体及び用いた
溶媒の性質に応じて最適な方法を採用する事ができる。
また、本発明の組成物に用いる環状分子構造単位含有重
合体がその高分子鎖中に炭素−炭素不飽和結合を含有す
る場合、必要に応じて、水素化反応以外の従来公知の炭
素−炭素二重結合に対する付加反応を行う事も特に制限
されない。
【0099】例えば、ハロゲン原子、イオウ、ホウ素、
1 〜C20のアルキル基、C2 〜C 20の不飽和脂肪族炭
化水素基、C5 〜C20のアリール基、C3 〜C20のシク
ロアルキル基、C4 〜C20のシクロジエニル基、又は5
〜10員環であって少なくとも1個の窒素、酸素又は硫
黄をヘテロ原子として含む複素環基、あるいは水酸基、
チオール基、チオシアナート基、エーテル基(エポキシ
基等)、チオエーテル基、チオカルボン酸、ホルミル
基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、イミノ
基、ニトロシル基、イソシアナート基、スルホン酸基、
リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、シリル基、
もしくはこれらが結合したC1 〜C20のアルキル基、C
2 〜C20の不飽和脂肪族炭化水素基、C5 〜C20のアリ
ール基、C 3 〜C20のシクロアルキル基、C4 〜C20
シクロジエニル基、又は5〜10員環であって少なくと
も一個の窒素、酸素又は硫黄をヘテロ原子として含む複
素環基から選択される少なくとも一種の置換基を、従来
公知の反応試剤を用い、従来公知の反応により付加させ
る事も特に制限されない。
【0100】本発明の組成物に用いる変性環状分子構造
単位含有重合体とは、式(1' )で表わされるものであ
る。
【化15】 式(1' )において、A,B及びa,bは式(1)にお
いて定義したものと同じ意味を有する。式(1' )にお
いて、S〜Xは、変性基を表わし、各々独立に、酸素
(O) 、窒素(N) 、イオウ(S) 、ケイ素(Si) 、
リン(P) 、ハロゲン(F,Cl、Br及びI)の少な
くとも一種を含む官能基又は該官能基を含有する有機化
合物残基である。式(1' )において、s.tは、一般
式(1' )で表される変性環状分子構造単位含有重合体
に対するS〜Xの各々の含有率(wt%)であり以下の
関係を満足する。 0<s+t<100、かつ0≦s,t,<100。
【0101】上記の官能基または該官能基を有する有機
化合物残基の付加方法は、従来公知の技術をそのまま採
用する事ができ、溶液、溶融、あるいは固体状態で、エ
ン反応を用いて官能基または官能基を有する有機化合物
残基を付加する方法、ラジカル発生剤の存在下もしくは
非存在下にラジカル反応を用いて官能基または官能基を
有する有機化合物残基を付加する方法、更に、例えばリ
ビングアニオン重合を行い高分子末端(片末端、両末端
等)に官能基または官能基を有する有機化合物残基を付
加する方法などを例示する事ができ、適宜選択する事が
できる。本発明の組成物に用いる変性環状分子構造単位
含有重合体中の官能基または官能基を有する有機化合物
残基の付加量は、変性重合体に対し一般には0. 001
〜100wt%未満の範囲であり、0. 005〜80w
t%の範囲が好ましく、0. 01〜50wt%の範囲が
更に好ましく、0. 05〜40wt%の範囲が特に好ま
しく、0. 1〜20wt%の範囲が最も好ましい。
【0102】変性環状分子構造単位含有重合体に付加す
る好ましい官能基もしくは有機化合物残基に含有される
官能基としては、水酸基、エーテル基、エポキシ基、カ
ルボン酸基、エステル基、カルボン酸塩基、酸無水物
基、酸ハロゲン化合物基、アルデヒド基、カルボニル
基、アミノ基、アミド基、イミド基、イミノ基、オキサ
ゾリン基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、アミジン基、
ニトリル基、ニトロ基、イソシアノ基、シアナト基、イ
ソシアナト基、シリル基、シリルエステル基、シリルエ
ーテル基、シラノール基、チオール基、スルフィド基、
チオカルボン酸基、ジチオカルボン酸基、スルホン酸
基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、チオシアナト
基、イソチオシアナト基、チオアルデヒド基、チオケト
ン基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基を例示
する事ができる。
【0103】特に好ましい官能基としては、水酸基、エ
ポキシ基、カルボン酸基、エステル基、カルボン酸塩
基、酸無水物基、アミノ基、アミド基、イミド基、イミ
ノ基、オキサゾリン基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、
イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、シリル
基、シリルエステル基、シリルエーテル基、シラノール
基、チオール基、スルフィド基、チオカルボン酸基、ス
ルホン酸基を例示する事ができる。これらの官能基また
は官能基を有する有機化合物残基は、一種でも二種以上
の混合物である事も特に制限されない。
【0104】本発明の組成物に用いる変性環状分子構造
単位含有重合体に付加し、有機化合物残基となる有機化
合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ア
クリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸メチ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリ
ル酸エチル、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイ
ン酸ジエチル、コハク酸、コハク酸ジメチル、コハク酸
ジエチル、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエ
チル、イタコン酸、シトラコン酸、ハイミック酸、クロ
トン酸、メサコン酸、ソルビン酸、テトラヒドロフタル
酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エンドシス−ビシク
ロ[2,2,1]ヘプト−5−エン2,3−ジカルボン
酸、メチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン
2,3−ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水トリメリ
ト酸、無水ピロメリト酸、無水コハク酸、無水イタコン
酸、無水シトラコン酸、無水ハイミック酸、無水フタル
酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒド
ロフタル酸、マレイミド、コハクイミド、フタルイミ
ド、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレー
ト、マレイン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリ
シジルエステル、フマル酸ジグリシジルエステル、p−
スチレンカルボン酸グリシジルエステル、スチレン−p
−グリシジルエステル、3,4,−エポキシ−1−ブテ
ン、3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、
3,4,−エポキシ−1−ペンテン、3,4,−エポキ
シ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1
−ヘキセン、ビニルアルコキシ(メトキシ、エトキシ、
ブトキシ等)シラン、エポキシアルコキシ(メトキシ、
エトキシ、ブトキシ等)シラン、アミノアルコキシ(メ
トキシ、エトキシ、ブトキシ等)シラン、ジイソシアナ
ート化合物、オキサゾリン化合物等を例示する事ができ
る。
【0105】本発明において、工業的に最も好ましい変
性環状分子構造単位含有重合体に付加し、有機化合物残
基となる有機化合物は、無水マレイン酸、グリシジルメ
タクリレートである。これらの官能基を有する有機化合
物は、一種でも二種以上の混合物である事も特に制限さ
れない。本発明の樹脂組成物は、前記したように、式
(1)及び(1' )でそれぞれ表わされる環状分子構造
単位含有重合体及び変性環状分子構造単位含有重合体よ
りなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(α) 、
及び重合体(α)以外の少なくとも一種の重合体(β)
を包含してなり、重合体(α)は、重合体(α)及び
(β)の合計重量に対して少なくとも1wt%存在し、
上記重合体(α)の数平均分子量が10, 000〜5,
000, 000である、ことを特徴とする樹脂組成物で
ある。
【0106】本発明の樹脂組成物において、重合体
(α)と重合体(β)の合計重量をα+βで表わし、そ
れに対する重合体(α)及び重合体(β)の各々の量を
それぞれαwt%及びβwt%で表わすと、一般的に
は、1≦α/( α+β)<100であり、好ましくは1
<α/( α+β)<100であり、更に好ましくは2≦
α/( α+β)≦99であり、更に好ましくは5≦α/
( α+β)≦95である。工業的な複合材料としては1
0≦α/( α+β)≦90の範囲にある事が最も好まし
い。樹脂組成物中の組成比が本発明の範囲外にあると、
組成物の機械的特性が十分な改質効果を得る事ができな
い。本発明の樹脂組成物に配合される重合体(β)と
は、従来公知の熱可塑性樹脂あるいは硬化性樹脂、好ま
しくは熱可塑性樹脂であり、特にその種類は制限されな
い。
【0107】熱可塑性樹脂の例としては、オレフィン系
重合体、スチレン系重合体、共役ジエン系重合体、水素
化共役ジエン系重合体、(メタ)アクリレート系重合
体、(メタ)アクリロニトリル系重合体、ハロゲン化ビ
ニル系重合体、エステル系重合体、エーテル系重合体、
アミド系重合体、イミド系重合体、スルフィド系重合
体、スルホン系重合体、ケトン系重合体等を例示する事
ができる。好ましい熱可塑性樹脂の例としては、オレフ
ィン系重合体、スチレン系重合体、共役ジエン系重合
体、水素化共役ジエン系重合体、エステル系重合体、エ
ーテル系重合体、アミド系重合体、スルフィド系重合体
等を挙げる事ができる。硬化性樹脂の例としては、不飽
和ポリエステル、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン
樹脂、フェノール樹脂等を例示する事ができる。本発明
の樹脂組成物に用いられる重合体(β)は、一種または
二種以上の混合物であることができる。
【0108】本発明の樹脂組成物において、重合体
(β)の具体的な例としては、ポリエチレン(PE) 、
エチレン−ノルボルネン(もしくはこの誘導体)共重合
体、ポリプロピレン(PP) 、エチレン−プロピレン共
重合体(EP、EPゴムなど) 、エチレン−プロピレン
−ジエン共重合体(EPDM) 、ポリ−1−ブテン、ポ
リ−1−ペンテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−オ
クテン、ポリイソブチレン、ポリメチル−1−ブテン、
ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のオレフィン系重合
体、ポリスチレン(PSt) 、シンジオタクチックポリ
スチレン(s−PSt) 、スチレン−アクリル酸共重合
体、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA) 、A
BS樹脂、AES樹脂等のスチレン系重合体、ポリブタ
ジエン(PBd) 、ポリイソプレン(PIp) 、ブタジ
エン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重
合体(SB、SBSなど) 、プロピレン−ブタジエン共
重合体、プロピレン−ブタジエン共重合体、スチレン−
イソプレン共重合体(SI、SISなど) 、α−メチル
スチレン−ブタジエン共重合体、α−メチルスチレン−
イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、ブタ
ジエン−メタクリル酸メチル共重合体、イソプレン−メ
タクリル酸メチル共重合体等のブロック、グラフト、テ
ーパーあるいはランダム共重合体、更にはこれらの水素
化重合体(SEBS等)等の共役ジエン系重合体、水素
化共役ジエン系重合体、ポリ(メタ)アクリル酸メチル
(PMMA) 、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ
(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリルアミ
ド等の(メタ)アクリレート系重合体、ポリ(メタ)ア
クリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル系重合
体、ポリハロゲン化ビニル、ポリハロゲン化ビニリデン
等のハロゲン化ビニル系重合体、ポリブチレンテレフタ
レート(PBT) 、ポリエチレンテレフタレート(PE
T) 、ポリカーボネート(PC) 、ポリアリレート(P
AR) 、液晶ポリエステル(LCP)等エステル系重合
体、ポリアセタール(POM) 、ポリオキシエチレン、
ポリフェニレンエーテル(PPE)等のエーテル系重合
体、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン
9、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイ
ロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6
12、ナイロン636、ナイロン1212のような脂肪
族ポリアミドや、ナイロン4T(T:テレフタル酸) 、
ナイロン4I(I:イソフタル酸) 、ナイロン6T、ナ
イロン6I、ナイロン12T、ナイロン12I、ナイロ
ンMXD6(MXD:メタキシリレンジアミン)などの
半芳香族ポリアミドや、これらのこれらの共重合体、ブ
レンド等のアミド系重合体、ポリイミド(PI) 、ポリ
アミドイミド(PAI)等のイミド系重合体、ポリフェ
ニレンサルファイド(PPS)等のスルフィド系重合
体、ポリスルホン(PSF) 、ポリエーテルスルホン
(PES)等のスルホン系重合体、ポリエーテルケトン
(PEK) 、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
等のケトン系重合体、ポリジアリルフタレート−フェノ
ール−ホルムアルデヒド共重合体等の不飽和ポリエステ
ル、尿素−ホルムアルデヒド等のユリア樹脂、ポリアリ
ルメラミン、メラミン−ホルムアルデヒド共重合体等の
メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール−ホルムアル
デヒド共重合体等のフェノール樹脂等を挙げる事ができ
る。これらの重合体は、一種または二種以上の混合物で
あることができる。
【0109】本発明において好ましく用いられる重合体
(β)は、熱可塑性樹脂であり、特に好ましい熱可塑性
樹脂としては、オレフィン系重合体、スチレン系重合
体、共役ジエン系重合体、水素化共役ジエン系重合体、
エステル系重合体、エーテル系重合体、アミド系重合
体、スルフィド系重合体を例示する事ができる。本発明
の樹脂組成物において、重合体(α)としての環状分子
構造単位含有重合体及び/又は変性共役ジエン系重合体
と複合化される最も好ましい重合体(β)は、オレフィ
ン系重合体もしくはアミド系重合体である。更に、オレ
フィン系重合体としては、デカリン中で135℃におい
て測定した極限粘度[η]が、0. 1〜100(l/
g)である重合体が好ましく、0. 5〜50(l/g)
である重合体が更に好ましく、1〜10(l/g)であ
る重合体が最も好ましい。
【0110】この範囲にある好ましいオレフィン系重合
体は、結晶性ポリオレフィンであり、特にポリエチレン
(PE) 、ポリプロピレン(PP)が好ましい。より具
体的には、高密度ポリエチレン(HDPE) 、中密度ポ
リエチレン(MDPE) 、低密度ポリエチレン(LDP
E) 、線状低密度ポリエチレン(LLDPE) 、ポリプ
ロピレン(PP) 、エチレン−プロピレン共重合体(E
P) 、プロピレン−1−ブテン共重合体である。これら
結晶性ポリオレフィンの結晶化度は、X線回折法によっ
て測定されるものであり、その結晶化度は30%以上で
ある事が好ましく、50%以上である事が更に好まし
く、70%以上である事が特に好ましい。
【0111】また、アミド系重合体としては、96%H
2 SO4 中で25℃において測定した極限粘度[η]
が、0. 1〜100(l/g)である重合体が好まし
く、0.5〜50(l/g)である重合体が更に好まし
く、1〜10(l/g)である重合体が最も好ましい。
この範囲にある好ましいアミド系重合体は、結晶性ポリ
アミドであり、具体的には、ジアミンとジカルボン酸と
の反応生成物、ラクタム、及びアミノ酸よりなる群から
選ばれる少なくとも一種の系が重合して得られる結晶性
ポリアミドを例示する事ができる。
【0112】これらの結晶性ポリアミドとして、好まし
いものは、ナイロン6、ナイロン6・66、ナイロン1
1、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイ
ロン610、ナイロン612、ナイロン1212のよう
な脂肪族ポリアミドや、ナイロン4T・4I(T:テレ
フタル酸、I:イソフタル酸) 、ナイロン6・6T、ナ
イロン66・6T、ナイロン6I、ナイロン6T・6
I、ナイロンMXD6(MXD:メタキシリレンジアミ
ン)などの半芳香族ポリアミドや、これらのコポリアミ
ド、又これらのブレンド等である。
【0113】本発明の樹脂組成物において、重合体
(α)が、水酸基、エポキシ基、カルボン酸基、エステ
ル基、カルボン酸塩基、酸無水物基、アミノ基、アミド
基、イミド基、イミノ基、オキサゾリン基、イソシアノ
基、シアナト基、イソシアナト基、シリルエステル基、
シリルエーテル基、シラノール基、チオール基、スルフ
ィド基、チオカルボン酸基、スルホン酸基から選択され
る少なくとも一種の官能基またはこれを含有する有機化
合物残基が付加した変性環状分子構造単位含有重合体を
含む場合、この官能基または該官能基を含有する有機化
合物基と官能基を有する重合体(β)の該官能基が反応
し共有結合を形成して重合体(α)と重合体(β)との
反応生成物が形成されることは、本発明の樹脂組成物の
モルホロジーを安定化するために好ましい。
【0114】このように変性環状分子構造単位含有重合
体(α)と重合体(β)との反応生成物を生成するため
の重合体(β)及びその官能基の例としては、エステル
系重合体の有する官能基(水酸基、カルボキシル基、エ
ステル基) 、エーテル系重合体の有する官能基(水酸
基、エーテル基) 、アミド系重合体の有する官能基(ア
ミノ基、カルボキシル基、アミド基) 、及びスルフィド
系重合体の有する官能基(チオール基、スルフィド基)
を挙げることができる。もしくは、これらの変性環状分
子構造単位含有重合体と、水酸基、エポキシ基、カルボ
ン酸基、エステル基、カルボン酸塩基、酸無水物基、ア
ミノ基、アミド基、イミド基、イミノ基、オキサゾリン
基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、シリ
ルエステル基、シリルエーテル基、シラノール基、チオ
ール基、スルフィド基、チオカルボン酸基、スルホン酸
基から選択される一種または二種以上の官能基またはこ
れを含有する有機化合物残基を有する変性重合体(オレ
フィン系重合体、スチレン系重合体、共役ジエン系重合
体、水素化共役ジエン系重合体、エーテル系重合体、ス
ルフィド系重合体から選択される)を重合体(β)とし
て用いることができる。
【0115】これらの反応生成物は、一般的には組成物
中に0. 001〜100wt%存在する事が可能であ
り、0. 005〜90wt%存在する事が好ましく、
0. 01〜70wt%存在する事が更に好ましく、0.
01〜50wt%存在する事が、得られた樹脂組成物の
安定性・機械的特性と成形加工特性(流動性)を両立さ
せるためには最も好ましい。本発明の樹脂組成物は、従
来公知の技術を用い、環状分子構造単位含有重合体及び
変性環状分子構造単位含有重合体よりなる群から選ばれ
る少なくとも一種の重合体(α) 、及び重合体(α)以
外の重合体(β)を複合化(アロイ・ブレンド)する事
により製造する事ができる。たとえば、共通溶媒を使用
して溶液ブレンドする方法、押出機、ニーダー、ブラベ
ンダー、バンバリーミキサー等を用いて溶融ブレンドす
る方法などを例示する事ができ、目的に応じて任意に選
択する事が可能である。
【0116】本発明の樹脂組成物は、その目的・用途に
応じて熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定
剤、滑剤、核剤、可塑剤、染料、顔料、架橋剤、発泡
剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング
剤、粘着増与剤、離型剤、有機強化材(アラミド、ポリ
イミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾー
ル等)、無機強化材(ガラス短繊維、ガラス長繊維、ガ
ラスウール、ガラスミルドファイバー、ガラスビーズ、
ガラスバルーン、カーボンファイバー、金属繊維、ロッ
クウール、セラミックファイバー、チタンウイスカー等
の鉱物繊維、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオ
リン、モンモリロナイト等の無機フィラー等)等、一般
の高分子材料に添加・配合される添加剤、強化剤等を、
従来通常に用いられている量含有する事ができる。本発
明の樹脂組成物は、優れた工業材料として、プラスチッ
ク、エラストマー、繊維、シート、フィルム、機械部
品、容器、包装材、タイヤ、ベルト、絶縁剤、接着剤等
として、自動車部品、電気・電子部品、鉄道・航空機部
品、衣料品、医療器具部品、薬品・食品包装材料、一般
雑貨部品等の用途・分野に好適に用いられる。
【0117】
【発明の実施の形態】以下に、実施例及び参考例、比較
例等によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明
の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。本
発明の参考例に用いた薬品は,入手しうる最高純度のも
のであった。一般の溶剤は,常法に従い脱気し、不活性
ガス雰囲気下、活性金属上で還流・脱水し、次いで蒸留
・精製したものを使用した。数平均分子量(Mn)及び
重量平均分子量(Mw)は、G.P.C(ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー)法により測定した標準ポ
リスチレン換算の値を示した。 <組成物の試験方法> 引張試験(1/8インチ) ASTM D638に従い試験を行った。 引張強度(TS) 、引張伸度(TE) 曲げ試験(1/8インチ) ASTM D790に従い試験を行った。 曲げ強度(FS) 、曲げ弾性率(FM) アイゾット(Izod)衝撃試験 ASTM D256に従い試験を行った(常温)。 熱変形温度(HDT:℃) ASTM D648に従い、高加重1. 82MPa、低
加重0. 45MPaの条件で試験を行った。 1MPa=10. 20kg・f/cm2 1J/m=0. 102kg・cm/cm
【0118】
【参考例1】<重合触媒1の合成>乾燥アルゴン雰囲気
下、既知量のテトラメチルエチレンジアミン(TMED
A)をシクロヘキサン/ノルマルヘキサン=9/1(容
量比)からなる混合溶媒に溶解した。この溶液を−10
℃に冷却・保持し、乾燥アルゴン雰囲気下にTMEDA
/n−ブチルリチウム(n−BuLi)=1/4(mo
l比)となるように、所定量のn−BuLiのノルマル
ヘキサン溶液をゆっくりと添加し、重合触媒(TMED
A/n−BuLi錯体)を合成した。
【0119】<重合体1の合成>十分に乾燥した電磁誘
導撹拌機付き5l高圧オートクレーブの内部を、常法に
従い乾燥窒素で置換した。シクロヘキサン2800g、
1,3−シクロヘキサジエン400gをオートクレーブ
内に仕込み、重合触媒(錯体化合物)をリチウム原子換
算として10. 50mmol添加し、30℃で8時間重
合反応を行った。重合反応終了後、オートクレーブ内
に、ヘプタノールを添加して重合反応停止した。重合体
溶液に安定剤としてスイス国、チバガイギ−社製[イル
ガノックスB215(0037HX)]を添加し、常法
に従い脱溶媒操作を行い、シクロヘキサジエンホモポリ
マーを得た。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は
49, 000、分子量分布(Mw/Mn)は1. 19で
あった。この重合体のガラス転移温度(Tg)は120
℃であり、ASTM D638に従い測定した引張弾性
率(TM)は4, 250MPaであった。このポリマー
100重量部、無水マレイン酸3重量部、パーヘキサ2
5B[日本国、日本油脂(株)製]1重量部を、30m
mφ二軸押出機[PCM30:日本国、池貝鉄工(株)
製(L/D=17)]中で280〜300℃の温度で混
合し、更にペレット化し目的物(重合体1)を得た。熱
アセトンにより抽出操作を行い、80℃にて真空乾燥を
行った後、ナトリウムメチラートにて無水マレイン酸の
グラフト量を求めた所、0. 4mol%の無水マレイン
酸がグラフトしていた。
【0120】
【参考例2】<重合体2の合成>十分に乾燥した電磁誘
導撹拌機付き5l高圧オートクレーブの内部を、常法に
従い乾燥窒素で置換した。シクロヘキサン2800g、
1,3−シクロヘキサジエン400gをオートクレーブ
内に仕込み、参考例1と同様の重合触媒(錯体化合物)
をリチウム原子換算として10. 50mmol添加し、
30℃で8時間重合反応を行った。重合反応終了後、オ
ートクレーブ内に、ヘプタノールを添加して重合反応停
止した。この重合体溶液に、Co(acac) 3 /TI
BAL(トリイソブチルアルミニウム)=1/6からな
る水素化触媒を、重合体に対し100ppmとなるよう
に添加した。オートクレーブ内を水素で置換し、185
℃まで昇温し、水素圧を50kg/cm2 Gとして4時
間水素化反応を行った。水素化反応終了後、オートクレ
ーブを常温まで冷却し、常圧まで落圧した後に窒素で内
部を置換した。常法に従いメタノールを添加してTIB
ALを処理した。
【0121】重合体溶液に安定剤としてスイス国、チバ
ガイギ−社製[イルガノックスB215(0037H
X)]を添加し、常法に従い脱溶媒操作を行い、水素化
シクロヘキサジエンホモポリマーを得た。得られた重合
体の 1H−NMRにより算出されるシクロヘキセン環の
水素化率は100%であり、数平均分子量(Mn)は5
0, 700、分子量分布(Mw/Mn)は1. 15であ
った。この重合体のガラス転移温度(Tg)は221℃
であり、ASTM D638に従い測定した引張弾性率
(TM)は6, 520MPaであった。、無水マレイン
酸3重量部、パーヘキサ25B[日本国、日本油脂
(株)製]1重量部を、30mmφ二軸押出機[PCM
30:日本国、池貝鉄工(株)製(L/D=17)]中
で300〜320℃の温度で混合し、更にペレット化し
目的物(重合体2)を得た。熱アセトンにより抽出操作
を行い、80℃にて真空乾燥を行った後、ナトリウムメ
チラートにて無水マレイン酸のグラフト量を求めた所、
0. 2mol%の無水マレイン酸がグラフトしていた。
【0122】
【実施例1】ナイロン66[レオナ1402S:日本
国、旭化成工業(株)製]70重量部、重合体1を30
重量部ドライブレンドし、30mmφ二軸押出機[PC
M30:日本国、池貝鉄工(株)製(L/D=17)]
中で250〜280℃の温度で混合し、更にペレット化
し組成物を得た。得られた組成物を280℃で射出成形
し試験片を成形した。この組成物の物性は、TS=7
9. 5MPa、TE=6%、FS=121. 6MPa、
FM=3, 037MPa、Izod=36. 7J/m、
高加重HDT=92℃であった。
【0123】
【実施例2】ナイロン66[レオナ1402S:日本
国、旭化成工業(株)製]を70重量部、重合体2を3
0重量部ドライブレンドし、30mmφ二軸押出機[P
CM30:日本国、池貝鉄工(株)製(L/D=1
7)]中で290〜310℃の温度で混合し、更にペレ
ット化し組成物を得た。得られた組成物を295℃で射
出成形し試験片を成形した。この組成物の物性は、TS
=83. 3MPa、TE=5%、FS=125. 5MP
a、FM=3, 325MPa、Izod=33. 8J/
m、高加重HDT=148℃であった。
【0124】
【実施例3】ポリフェニレンサルファイド[M258
8:東レ・フィリップスペトローリアム(株)製]を7
0重量部、重合体2を30重量部、γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン[A1100:日本国、日本ユニカ
ー(株)製]0. 5重量部ドライブレンドし、30mm
φ二軸押出機[PCM30:日本国、池貝鉄工(株)製
(L/D=17)]中で300〜320℃の温度で混合
し、更にペレット化し組成物を得た。得られた組成物を
310℃で射出成形し試験片を成形した。この組成物の
物性は、TS=81. 2MPa、TE=7%、FS=1
28. 4MPa、FM=3, 275MPa、Izod=
41. 9J/m、高加重HDT=179℃であった。
【0125】
【参考例3】<重合触媒2の合成>乾燥アルゴン雰囲気
下、既知量のテトラメチルエチレンジアミン(TMED
A)をシクロヘキサン/ノルマルヘキサン=9/1(容
量比)からなる混合溶媒に溶解した。この溶液を−10
℃に冷却・保持し、乾燥アルゴン雰囲気下にTMEDA
/n−ブチルリチウム(n−BuLi)=1/1(mo
l比)となるように、所定量のn−BuLiのノルマル
ヘキサン溶液をゆっくりと添加し、重合触媒(TMED
A/n−BuLi錯体)を合成した。
【0126】<重合体7及び8の合成>常法に従い十分
に乾燥した100mlシュレンク管の内部を乾燥アルゴ
ンで置換した。1,3−シクロヘキサジエン3. 00
g、シクロヘキサン20. 0gをシュレンク管内に注入
した。溶液の温度を25℃に保持し、重合触媒2をリチ
ウム原子換算として0. 07mmol添加し、乾燥アル
ゴン雰囲気下に5時間重合反応を行った。この重合体溶
液を200mlの金属オートクレーブ移送し、Co(a
cac) 3 /TIBAL(トリイソブチルアルミニウ
ム)=1/6からなる水素化触媒を、重合体に対し金属
原子(Co)として80ppmとなるように添加した。
上記のオートクレーブ内を水素で置換し、185℃まで
昇温し、水素圧を40kg/cm2 Gとして4時間水素
化反応を行った。水素化反応終了後、オートクレーブを
常温まで冷却し、常圧まで落圧した後に窒素で内部を置
換した。常法に従いメタノールを添加してTIBALを
処理した。
【0127】重合体溶液に安定剤としてスイス国、チバ
ガイギ−社製[イルガノックスB215(0037H
X)]を添加し、常法に従い脱溶媒操作を行い、水素化
シクロヘキサジエンポリマーを得た(重合体7) 。得ら
れた重合体の 1H−NMRにより算出されるシクロヘキ
セン環の水素化率は100%であり、この重合体はシク
ロヘキサン環のみからなる構造を有していた。このポリ
シクロヘキサンの数平均分子量(Mn)は43, 900
であり、分子量分布(Mw/Mn)は1. 08であっ
た。得られた重合体7を4. 92g、無水マレイン酸
5. 88gを乾燥窒素雰囲気下に1,2,4−トリクロ
ロベンゼン150ml中に添加し、120℃に加熱・撹
拌した。この溶液に、ベンゾイルパーオキサイドの50
%ジオクチルフタレート希釈物[ナイパーBO:日本
国、日本油脂(株)製]24mmolをゆっくりと添加
し、乾燥窒素雰囲気下に120℃で5時間反応させた。
反応終了後、アセトン/1,2,4−トリクロロベンゼ
ンにより再沈澱を繰り返し、80℃にて真空乾燥を行い
目的物(重合体8)を得た。ナトリウムメチラートにて
無水マレイン酸のグラフト量を求めた所、1. 7mol
%の無水マレイン酸がグラフトしていた。
【0128】
【実施例4】ナイロン66[レオナ1300S:日本
国、旭化成工業(株)製]を70重量部、重合体7を3
0重量部ドライブレンドし、ブラベンダーにて300℃
の温度で混合し、組成物を得た。得られた組成物を30
0℃に加熱した圧縮成形機にて成形した後に、粘弾性ス
ペクトルを測定した。結果を図2に示す。
【0129】
【実施例5】ナイロン66[レオナ1300S:日本
国、旭化成工業(株)製]を70重量部、重合体8を3
0重量部ドライブレンドし、ブラベンダーにて300℃
の温度で混合し、組成物を得た。得られた組成物を30
0℃に加熱した圧縮成形機にて成形した後に、粘弾性ス
ペクトルを測定した。結果を図3に示す。この樹脂組成
物の高温側の動的粘弾性に基づく損失正接(tanδ)
は、実施例8の組成物に比較して、高温側に大きくシフ
トしていた。
【0130】
【発明の効果】本発明の新規な樹脂組成物に含まれる環
状共役ジエンから誘導される環状分子構造単位含有重合
体及び変性環状分子構造単位含有重合体から選ばれる重
合体(α)の高分子構造は、大きな自由度をもってコン
トロールできるので、これと他の重合体(β)とを複合
化する事により、大きい自由度をもって、熱時剛性、耐
衝撃性などの優れた特性を有する樹脂組成物が提供でき
る。また、必要に応じて無機強化材を配合する事も可能
であるため、優れた工業材料として、プラスチック、エ
ラストマー、繊維、シート、フィルム、機械部品、容
器、包装材、タイヤ、ベルト、絶縁剤、接着剤等とし
て、自動車部品(エンジンカバー、オーナメントカバ
ー、ホーイルカバー、フェンダー、遮蔽カバー、オイル
パン、アンダーカバー、スポイラー、キャブレター、シ
ートベルト、ギア、カム、ガスキャップ、キャニスタ
ー、マニホールド、冷却ファン、インストルメントパメ
ル、ルーフ、内装部品等)、電気・電子部品(コネクタ
ー、ソケット、基盤、テレビハウジング、電話ハウジン
グ、トランスハウジング、コンピューターハウジング等
のハウジング類、レンズ、有機ガラス、スイッチソケッ
ト、ランプリフレクター、コイルボビン、リレー盤、フ
ライバックトランス等)、鉄道・航空機部品、衣料品、
医療器具部品、薬品・食品包装材料、分離膜、交換膜樹
脂、プリント基盤等一般雑貨部品等の用途・分野に好適
に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例12にて得られた、本発明の樹脂組成物
の粘弾性スペクトルチャート図である。
【図2】実施例13にて得られた、本発明の樹脂組成物
の粘弾性スペクトルチャート図である。
【図3】実施例12、13に用いた、PA66(ナイロ
ン66)単体の粘弾性スペクトルチャート図である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)及び(1’)でそれぞれ表わさ
    れる環状分子構造単位含有重合体及び変性環状分子構造
    単位含有重合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種
    の重合体(α)、及び、オレフイン系重合体、スチレン
    系重合体、共役ジェン系重合体、水素化共役ジエン系重
    合体、(メタ)アクリレート系重合体、(メタ)アクリ
    ロニトリル系重合体、ハロゲン化ビニル系重合体、エス
    テル系重合体、エーテル系重合体、アミド系重合体、イ
    ミド系重合体、スルフィド系重合体、スルホン系重合
    体、ケトン系重合体よりなる群から選択される少なくと
    も一種の重合体(β)を包含してなり、 重合体(α)は、重合体(α)及び(β)の合計重量に
    対して1wt%以上100wt%未満存在し、上記重合
    体(α)の数平均分子量が10,000〜5,000,
    000である、ことを特徴とする樹脂組成物。 【化1】 式(1)及び(1’)の各々において、A,Bは高分子
    主鎖を構成する単量体単位を表し、A,Bはどの順序に
    配列されていてもよい。a,bは単量体単位A,Bの合
    計重量に対する単量体単位A,Bの各々の重量含有率
    (wt%)を表す。 (A):下記(4)式により表される単量体単位類から
    選択される少なくとも一種の環状オレフィン系単量体単
    位。 【化2】 [R2 は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、C1 〜C
    20のアルキル基、C2 〜C20の不飽和脂肪族炭化水素
    基、C5 〜C20のアリール基、C3 〜C20のシクロアル
    キル基、C4 〜C20のシクロジエニル基、または5〜1
    0員環であって少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄
    をへテロ原子として含有する複素環基である。] (B):次式(5)により表される単量体単位類から選
    択される少なくとも一種の環状共役ジエン系単量体単
    位。 【化3】 [各R2 は式(4)において定義されたのと同じ意味を
    有する。] a,bは次の関係を満足する。 0≦a、b≦100、a +b=100 式(1’)において、S,Tは、変性基を表わし、各々
    独立に、酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)、ケイ
    素(Si)、リン(P)、ハロゲン(F、Cl、Br及
    びI)の少なくとも一種を含む官能基又は該官能基を含
    有する有機化合物残基である。式(1’)において、
    s,tは、一般式(1’)で表される変性環状分子構造
    単位含有重合体に対するS,Tの各々の含有率(wt
    %)であり以下の関係を満足する。 0<s+t<100、かつ0≦s,t<100。
  2. 【請求項2】 (1’)式におけるS,Tが、各々独立
    に、水酸基、エーテル基、エポキシ基、カルボン酸基、
    エステル基、カルボン酸塩基、酸無水物基、酸ハロゲン
    化合物基、アルデヒド基、カルボニル基、アミノ基、ア
    ミド基、イミド基、イミノ基、オキサゾリン基、ヒドラ
    ジン基、ヒドラジド基、アミジン基、ニトリル基、ニト
    ロ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、シ
    リル基、シリルエステル基、シリルエーテル基、シラノ
    ール基、チオール基、スルフィド基、チオカルボン酸
    基、ジチオカルボン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸
    基、スルフェン酸基、チオシアナト基、イソチオシアナ
    ト基、チオアルデヒド基、チオケトン基、リン酸基、ホ
    スホン酸基、ホスフィン酸基から選択される官能基、ま
    たは該官能基を含有する有機化合物残基であることを特
    徴とする請求項1に記載の掛脂組成物。
  3. 【請求項3】 (1’)式におけるS,Tが、各々独立
    に、水酸基、エポキシ基、カルボン酸基、エステル基、
    カルボン酸塩基、酸無水物基、アミノ基、アミド基、イ
    ミド基、イミノ基、オキサゾリン基、ヒドラジン基、ヒ
    ドラジド基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト
    基、シリル基、シリルエステル基、シリルエーテル基、
    シラノール基、チオール基、スルフィド基、チオカルポ
    ン酸基、スルホン酸基から選択される官能基、または該
    官能基を含有する有機化合物残基であることを特徴とす
    る請求項1、2のいずれかに記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 重合体(β)が、オレフィン系重合体、
    スチレン系重合体、共役ジエン系重合体、水素化共役ジ
    エン系重合体、エステル系重合体、エーテル系重合体、
    アミド系重合体、スルフィド系重合体よりなる群から選
    択される少なくとも一種の重合体であることを特徴とす
    る請求項1記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 重合体(α)が(1’)式の変性環状分
    子構造単位含有重合体を含み、式(1’)におけるS,
    Tの少なくとも一つが、水酸基、エポキシ基、カルボン
    酸基、エステル基、カルボン酸塩基、酸無水物基、アミ
    ノ基、アミド基、イミド基、イミノ基、オキサゾリン
    基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、シリ
    ルエステル基、シリルエーテル基、シラノール基、チオ
    ール基、スルフィド基、チオカルボン酸基、スルホン酸
    基から選択される官能基または該官能基を含有する有機
    化合物残基であり、 重合体(β)が、水酸基、カルボキシル基及びエステル
    基から選ばれる少なくとも一種の官能基を含有するエス
    テル系重合体、水酸基及びエーテル基から選ばれる少な
    くとも一種の官能基を含有するエーテル系重合体、アミ
    ノ基、カルボキシル基及びアミド基から選ばれる少なく
    とも一種の官能基を含有するアミド系重合体、及びチオ
    ール基及びスルフィド基の官能基を含有するスルフィド
    系重合体より選択される少なくとも一種の重合体を含
    み、 重合体(α)の上記官能基及び上記有機化合物残基の少
    なくとも一つと、重合体(β)の上記の少なくとも一種
    の重合体の上記官能基の少なくとも一つとが反応して得
    られる重合体(α)と重合体(β)との反応生成物が樹
    脂組成物の重量に対して0.001〜100wt%存在
    することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 重合体(α)、が式(1’)の変性環状
    分子構造単位含有重合体を含み、式(1’)における
    S,Tの少なくとも一つが、水酸基、エポキシ基、カル
    ボン酸基、エステル基、カルボン酸塩基、酸無水物基、
    アミノ基、アミド基、イミド基、イミノ基、オキサゾリ
    ン基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、シ
    リルエステル基、シリルエーテル基、シラノール基、チ
    オール基、スルフィド基、チオカルボン酸基、スルホン
    酸基から選択される官能基または該官能基を含有する有
    機化合物残基であり、 重合体(β)が、水酸基、エポキシ基、カルボン酸基、
    エステル基、カルボン酸塩基、酸無水物基、アミノ基、
    アミド基、イミド基、イミノ基、オキサゾリン基、イソ
    シアノ基、シアナト基、イソシアナト基、シリルエステ
    ル基、シリルエーテル基、シラノール基、チオール基、
    スルフィド基、チオカルボン酸基、スルホン酸基から選
    択される少なくとも一種の官能基または該官能基を含有
    する有機化合物残基を有する、変性オレフィン系重合
    体、変性スチレン系重合体、変性共役ジエン系重合体、
    変性水素化共役ジエン系重合体、変性エーテル系重合体
    及び変性スルフィド系重合体から選択される少なくとも
    一種の変性重合体を含み、 重合体(α)の上記官能基及び上記有機化合物残基の少
    なくとも一つと、重合体(β)の上記官能基及び上記有
    機化合物残基の少なくとも一つとが反応して得られる重
    合体(α)と重合体(β)との反応生成物が樹脂組成物
    の重量に対して0.001〜100wt%存在すること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 重合体(β)が、デカリン中で135℃
    において測定した極限粘度[η]が0.1〜100(l
    /g)であるオレフイン系重合体であることを特徴とす
    る請求項1記載の樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 重合体(β)が、96%H2 SO4 中で
    25℃において測定した極限粘度[η]が0.1〜10
    0(l/g)であるアミド系重合体であることを特徴と
    する請求項1記載の樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 重合体(β)が、エチレン単独重合体、
    α−オレフィン単独重合体、及びエチレンとα−オレフ
    ィンの共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種
    のオレフィン系重合体であることを特徴とする請求項1
    記載の樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 重合体(β)が、ジアミンとジカルボ
    ン酸との反応生成物、ラクタム、及びアミノ酸よりなる
    群から選ばれる少なくとも一種の系が重合して得られる
    結晶性ポリアミドであることを特徴とする請求項1記載
    の樹脂組成物。
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CN114163809A (zh) * 2021-12-17 2022-03-11 徐州盛安化工科技有限公司 一种高岭土接枝聚苯醚改性聚氨酯树脂的制法及应用

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