JP2000063376A - 新規化合物、その製造法、植物生長調節剤、除草剤及び殺菌剤 - Google Patents

新規化合物、その製造法、植物生長調節剤、除草剤及び殺菌剤

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JP2000063376A
JP2000063376A JP10235173A JP23517398A JP2000063376A JP 2000063376 A JP2000063376 A JP 2000063376A JP 10235173 A JP10235173 A JP 10235173A JP 23517398 A JP23517398 A JP 23517398A JP 2000063376 A JP2000063376 A JP 2000063376A
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Toshiaki Fukushima
俊朗 福島
Masayasu Tanaka
正泰 田中
Masatoshi Gohara
雅敏 郷原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生理活性を有する新規化合物、並びに該化合
物を植物生長調節剤、除草剤、又は抗菌剤として利用す
る用途を提供する。 【解決手段】 エキセロヒラム属 (Exserohilum spp.)
に属する微生物を培養し、その培養物から抽出分離して
得た一般式(I)で表される新規化合物が、植物生長調
節活性、除草活性および抗菌活性等の生理活性を有する
ことを利用し、環境汚染の少ない植物生長調節剤、除草
剤、又は抗菌剤を製造することができる。 【化12】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生理活性を示す新
規化合物、その製造法および該化合物を有効成分とする
植物生長調節剤、除草剤および殺菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、数多くの生理活性を有する化合物
が合成され、農薬、医薬等の分野で実用化されてきてい
る。しかしながら、合成化合物は一般に自然界で分解さ
れにくく、環境汚染等の観点から好ましいものとは言え
ない。そのため、自然環境の中で安全に代謝、分解さ
れ、環境を汚染しない農薬の開発が要望されている。
【0003】ところで微生物の代謝産物は天然物である
ため、一般的に酵素的分解を受けやすく環境汚染の問題
が少ない。このような微生物の代謝産物を有効成分とす
る農薬、例えば植物生長調節剤、除草剤、殺菌剤など
は、社会的にみて潜在的な需要は極めて大きいと考えら
れる。しかし、これまでに微生物の代謝産物を利用した
殺菌剤としてはペニシリン、ストレプトマイシン等多数
知られてはいるものの、植物生長調節剤としてはジベレ
リン、除草剤としてはビアラホスが存在するにすぎな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、このよ
うな社会的な要望に応えるべく、植物生長調節、除草あ
るいは抗菌活性を有する有用な化合物を得るために、多
くの植物病原菌の代謝産物を検索した。その結果、エキ
セロヒラム属( Exserohilum spp. )に属する微生物を
培養し、その培養物から除草、植物生長調節、抗菌活性
を有する文献未記載の新規化合物が得られることを見出
した。
【0005】本発明は、上記のような新しい知見に基づ
いてなされたものであり、その目的は、微生物が生産す
る化合物であって、植物生長調節、除草、殺菌等の生理
活性を有する新規化合物を提供し、更には該化合物を利
用した新規な植物生長調節剤、除草剤および殺菌剤を提
供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記の
一般式(I)で表される新規化合物である。
【化8】
【0007】かかる本発明の新規化合物は、水溶性炭水
化物を含む培地を用いてエキセロヒラム属( Exserohil
um spp. )に属する糸状菌を培養して得た培養物より、
溶媒抽出、吸脱着等の分離精製手段を用いて回収するこ
とにより、製造することができる。
【0008】更に、前記の一般式(I)で表される新規
化合物、該化合物の塩、該化合物の水和物、及び該化合
物の溶媒和物から選ばれた少なくとも1種を、有効成分
として利用することにより、それぞれ植物生長調節剤、
除草剤または殺菌剤を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の化合物は、例えばエキセロヒラム属( E
xserohilum spp. )に属する微生物を培養し、その培養
物から精製することにより得ることができる。かかる微
生物としては、前記の一般式(I)で表される化合物か
らなる群の中から少なくとも1種の化合物を生産する能
力を有する生産菌であれば、特に制限されることなく利
用することができ、例えば Exserohilum、Helminthospo
rium、Bipolaris 、Drechslera、Setosphaeria属に属す
る糸状菌が挙げられる。
【0010】更に具体的には、本発明者等が土壌より分
離したエキセロヒラム ペディセラータム( Exserohil
um pedicellatum )JT1043、JT1044、JT1045等の菌株を
挙げることができる。なおこれらの菌株は、工業技術院
生命工学工業技術研究所にそれぞれ寄託番号(FERM BP-
6086、FERM BP-6087、FERM BP-6088)として寄託されて
おり、その菌学的性状は以下の通りである。
【0011】当該菌の生育可能なpHは3〜13の範囲、
好ましくは5〜7の範囲であり、生育温度は摂氏15度
〜30度、生育適温は摂氏25〜30度の範囲である。
ポテトデキストロース寒天培地あるいはオートミール蔗
糖寒天培地において生育旺盛で、コロニーは灰色菌糸中
に多数の黒色小粒を放射状に生じ、気中菌糸は少ない。
分生子柄は緑褐色〜暗褐色で先端部がジグザグに曲が
り、先端とその周辺に分生子を形成する。分生子は淡褐
色を呈し、ボート形で偽隔壁により3〜10胞に仕切ら
れた多細胞であった。その大きさは、長径64〜108
μm、短径16〜28μmで、基部の方が太く、へそが
観られた。
【0012】以上の菌学的性質を、A.Sivanesan の文献
[ Graminicolous Species of Bipolaris, Curvularia,
Drechslera, Exserohilum and their Telemorphs, Myc
ological Papers, No.158, pp.211-212, issued 10th N
ovember 1987, published from CAB International Myc
ological Institute ]に基づいて検索を行った結果、当
該菌をエキセロヒラムペディセラータム( Exserohilum
pedicellatum )に属する糸状菌であると同定した。
【0013】本発明に用いられるエキセロヒラム属に属
する微生物の培養に用いられる培地は、当該微生物が利
用しうる栄養物を含有する培地であれば良い。炭素源と
しては、ブドウ糖、蔗糖、水飴、スターチ、デキストリ
ン等の水溶性炭水化物、窒素源としては、酵母エキス、
大豆粉、ペプトン、小麦胚芽、コーンスティープ、硝酸
塩、アンモニア塩等を使用することができる。その他必
要に応じて、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグ
ネシウム、鉄その他の各種無機塩類および菌の生育を促
進する有機または無機化合物を添加することが望まし
い。
【0014】培養方法としては、液体培養または固体担
体を用いた培養を行うことができ、用いられる菌の生育
に適し、かつ本発明の化合物の生産に適した培養条件が
選ばれる。培養は好気的条件下で行うのが一般的に有利
であり、培養温度は摂氏15度から35度、望ましくは
摂氏25度から30度であり、培養時間は使用する培地
や培養条件によって異なるが、通常3日から30日程度
である。
【0015】上記微生物の培養物から本発明の新規化合
物を分離精製するに当たっては、その性状を利用した通
常の精製手段、例えば溶媒抽出、イオン交換樹脂等を用
いる吸着または分配カラムクロマトグラフィー、ゲル濾
過、透析、沈殿分離等を単独あるいは適宜組み合わせて
抽出精製することにより、前記の一般式(I)で表され
る新規化合物、特に下記の構造式(A)又は(B)を有
する目的化合物を、回収することができる。
【0016】
【化9】
【0017】上記の方法によって得られた本発明の新規
化合物は、各種植物に対して根の伸長阻害活性および壊
死斑形成活性を有し、また抗菌活性等も有しているの
で、これらの化合物を有効成分とする植物生長調節剤、
除草剤あるいは殺菌剤として利用することができる。
【0018】またかかる利用分野において、本発明の新
規化合物と同等な有効成分として取り扱うことができる
化合物として、本発明の新規化合物の塩、即ち、アンモ
ニウム塩、例えばナトリウムやカリウム等のアルカリ金
属類、例えばマグネシウムやカルシウム等のアルカリ土
類金属類、或いはアルミニウムなどの金属類の塩、例え
ばメチルアミンやエチルアミン等のモノアルキルアミン
類、例えばジエチルアミン等のジアルキルアミン類、例
えばトリメチルアミンやトリエチルアミン等のトリアル
キルアミン類、例えばモノ−ヒドロキシメチル−アミ
ン、モノ−1−ヒドロキシエチル−アミン、モノ−2−
ヒドロキシエチル−アミン等のモノ−ヒドロキシ置換ア
ルキル−アミン類、例えばビス−ヒドロキシメチル−ア
ミン、ビス−1−ヒドロキシエチル−アミン、ビス−2
−ヒドロキシエチル−アミン等のビス−ヒドロキシ置換
アルキル−アミン類、例えばトリス−ヒドロキシメチル
−アミン、トリス−1−ヒドロキシエチル−アミン、ト
リス−2−ヒドロキシエチル−アミン等のトリス−ヒド
ロキシ置換アルキル−アミン類などのアミン類の塩、例
えばテトラブチルアンモニウム塩等の第四アンモニウム
塩などの、農薬上で許容し得る塩類を挙げることができ
るが、これらに限定されるものではない。更にこれらの
新規化合物やその塩を用いるに当たって、水や有機溶剤
と結合した水和物や溶媒和物の形態で用いることがで
き、または適宜の化合物との付加化合物、錯化合物、包
接化合物など、適宜の形態で用いることも可能であっ
て、特に限定されるものではない。
【0019】本発明の新規化合物を除草剤として用いる
場合は、本発明の新規化合物からなる群の中から選ばれ
た少なくとも1種の化合物や、その塩等を有効成分とし
て、アセトン、エタノール等に溶かした液剤、他の担体
または補助剤と混合した水和剤、フロアブル剤、乳剤、
粉剤等の通常使用される製剤とし、使用することができ
る。本発明の除草剤中の有効成分の濃度は、5〜0.0
01%、好ましくは1〜0.005%であり、使用目的
や、有効成分として加える化合物の種類によって、適宜
変更することができる。本発明の除草剤により防除され
得る雑草としては、ノビエ、オヒシバ等のイネ科雑草を
挙げることができるが、これに限定されるものではな
い。
【0020】本発明の新規化合物を植物生長調節剤とし
て用いる場合は、本発明の新規化合物からなる群の中か
ら選ばれた少なくとも1種の化合物や、その塩等を有効
成分として、アセトン、エタノール等に溶かした液剤、
他の担体または補助剤と混合した水和剤、フロアブル
剤、乳剤、粉剤等の通常使用される製剤とし、使用する
ことができる。かかる本発明の植物生長調節剤の具体的
な作用は、根部の生長を抑制することである。本発明の
植物生長調節剤を根の生長抑制剤として使用する場合、
通常、対象植物の栽培用の土壌または水耕等の栽培液に
添加して使用することが適当である。また本発明の植物
生長調節剤中の有効成分の濃度は、0.25〜0.00
02%、好ましくは0.05〜0.001%であるが、
使用目的や、有効成分として加える化合物の種類によっ
て適宜変更することができる。本発明の植物生長調節剤
は、例えばイヌビエやタイヌビエ等のノビエに対して有
効であるが、これに限定されるものではない。
【0021】本発明の新規化合物を殺菌剤として用いる
場合は、本発明の新規化合物からなる群の中から選ばれ
た少なくとも1種の化合物や、その塩等を有効成分とし
て、医薬、農薬等の用途に使用することができる。本発
明の殺菌剤の剤型は、固形剤、液剤、水和剤、フロアブ
ル剤、乳剤、粉剤等であってもよく、その用途に応じて
適宜選択することができる。本発明の殺菌剤中の有効成
分の含有量は、その用途に応じて適宜決定することがで
き、例えば、農薬として使用する場合であれば2.5〜
0.0002%、好ましくは0.5〜0.001%であ
り、使用目的や、有効成分として加える化合物の種類に
よって、適宜変更することができる。本発明の殺菌剤に
より生育が抑制される微生物としては、例えば、枯草菌
(Bacillus subtilis) 等を挙げることができるが、これ
に限定されるものではない。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明するが、
本発明はこの記載によって限定を受けるものではない。
【0023】(微生物の培養)2.4重量%のポテトデ
キストロースブロス(Difco社製)を含む培地2000ml
を調製して、3000mlの三角フラスコ2本に入れ、1
21℃で20分間高圧滅菌した。これに、あらかじめオ
ートミールシュクロース寒天培地で2週間培養したJT-1
043 菌株の分生子を、0.04%のtween 20水溶液に懸
濁させて添加し、28℃、180 rpmで7日間で振とう
培養した。
【0024】(培養物の精製)上記によって得た培養物
2000mlを濾過し、培養濾液を酢酸エチルで抽出し、
減圧下で濃縮することにより粗抽出物980mgを得た。
引き続いて、この粗抽出物をクロマトグラフィー用シリ
カゲル(キーセルゲル60、メルク社製)を充填したカラ
ムを用いて移動相溶媒(ヘキサン−酢酸エチル 6:4 )
で展開し、次にそれぞれの画分を別の移動相溶媒(クロ
ロホルム−イソプロピルアルコール 95:5 )を用いて
分画した。
【0025】さらにこれらの画分のうち低極性側の画分
を、上記と同様なカラムで移動相溶媒(ヘキサン−酢酸
エチル 75:25)を用いて展開した後、高速液体クロマ
トグラフィーで移動相溶媒(クロロホルム−イソプロピ
ルアルコール 98:2 )を用いて展開し、注入後10.
2分にて流出する化合物Aを、8.0mgmg得た。一方、
前記のクロロホルム−イソプロピルアルコール 95:5
の移動相溶媒で分画した後の、比較的高極性の画分を、
同じく高速液体クロマトグラフィーで移動相溶媒(ヘキ
サン−酢酸エチル 70:30)を用いて展開し、注入後1
5.1分にて流出する化合物Bを、6.6mg得た。これ
らの化合物A及びBの物理化学的性状及び分子構造は、
それぞれ以下の通りであった。
【0026】化合物Aの物理化学的性状 (1)外観:黄色オイル (2)分子式:C16146 (3)分子量:302 (4)高分解能FABマススペクトル 測定値: [M+H]
+ 303.08701 計算値: [M+H]+ 303.08686 (5) 1H−NMRスペクトル (300MHz, CDCl3):δ 1
3.051 (s, 1H), 10.964(s, 1H), 7.412 (t,J=8.2Hz, 1
H), 6.902 (s, 1H), 6.704 (dd,J=1.2, 8.2Hz,1H), 6.
657 (d, J=6.1Hz, 1H), 6.560 (dd, J=1.2, 8.2Hz, 1
H), 4.768 (br.d,J=5.6Hz, 1H), 3.816 (s, 3H), 2.34
6 (s, 3H) (6)13C−NMRスペクトル(75MHz, CDCl3):δ 1
96.6, 163.9, 156.9, 154.3, 146.4, 140.3, 136.9, 12
8.8, 120.4, 117.2, 113.1, 111.6, 110.3, 92.5, 62.
8, 15.8 (7)赤外部吸収スペクトル:νmax CHCl3(cm-1) 357
8, 2948, 1622, 1580, 1481, 1446, 1352, 1212, 1100,
1038, 1027, 975 (8)紫外部吸収スペクトル:λmax MeOH(nm)(logε)
217 (4.31), 273 (4.03), 353 (3.82) (9)薄層クロマトグラフィー:Rf値 (Benzene:AcOEt
9:1) 0.32
【0027】上記の性状を有する化合物Aの分子構造
を、化10の式で示す。
【化10】
【0028】化合物Bの物理化学的性状 (1)外観:淡黄色オイル (2)分子式:C21206 (3)分子量:368 (4)高分解能FABマススペクトル 測定値:[M+Na]
+ 391.11522 計算値:[M+Na]+ 391.11579 (5) 1H−NMRスペクトル (300MHz, CDCl3):δ 1
2.398 (s, 1H), 10.245(s, 1H), 7.033 (d,J=8.5Hz, 1
H), 7.016 (q,J=0.8Hz, 1H), 6.516 (d,J=9.8Hz, 1
H), 6.136 (d,J=9.8Hz, 1H), 5.36 (brs, 1H), 5.282
(d,J=9.8Hz, 1H),3.840 (s, 3H), 2.356 (d, J=0.8H
z, 1H), 0.958 (s, 3H) (6)13C−NMRスペクトル (125MHz, CDCl3):δ 2
00.3,189.3, 163.5, 155.5, 154.4, 147.9, 134.1, 13
4.1, 128.4, 127.9, 126.4, 125.2, 121.8, 112.7, 11
1.7, 109.7, 77.4, 63.6, 27.3, 15.5 (7)赤外部吸収スペクトル:νmax CHCl3(cm-1) 359
0, 2982, 1688, 1615, 1477, 1348, 1238, 1120 (8)紫外部吸収スペクトル:λmax MeOH(nm)(logε)
215 (4.45), 274 (4.26), 353 (3.67) (9)薄層クロマトグラフィー:Rf値 (Benzene:AcOEt
9:1) 0.18
【0029】上記の性状を有する化合物Bの分子構造
を、化11の式で示す。
【化11】
【0030】これらの本発明の新規化合物A及びBにつ
いて、それぞれ以下のような生理活性試験を行った。
【0031】(植物生長調節活性評価試験)内径3.4
cmのシャーレに濾紙を敷き、本発明の新規化合物をメ
タノールに溶解した液を、0.6mlの蒸留水を添加した
後の試験濃度がそれぞれ500ppm、200ppm 、80p
pm 及び32ppm となる量だけ、それぞれの濾紙に浸透
させ、乾燥させた。ここに発芽直後のタイヌビエ苗10個
体を移し、蒸留水0.6mlを添加した後、人工気象器中
で3日間生育させ、根の伸長を測定した。これを化合物
を添加しない蒸留水で生育させた個体の根の伸長と比較
し、伸長阻害率(%)の値を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】表1の結果をみると、本発明の新規化合物
は、その濃度に対応してタイヌビエの根の伸長を阻害す
る効果を現すことがわかる。
【0034】(植物毒性評価試験)本発明の新規化合物
のイヌビエ、オヒシバに対する植物毒性を、有傷接種試
験により評価した。試験に当たって、イヌビエとオヒシ
バは、昼は25℃、夜は20℃の温室中で播種した後、
それぞれ32日と25日生育させた植物を用いた。一
方、各化合物はそれぞれ0.5%、0.1%及び0.0
2%となるように、70%の含水アセトンに溶解した液
を用意し、外径約0.5mmの針で植物の本葉の葉脈を避
けた部位に設けた貫通孔に、前記の液5μl ずつをそれ
ぞれ付着させた。そして温室中で4日経過させた後に、
葉の面に形成された壊死斑について、長径と短径の大き
さ(mm)を測定し、その結果を表2に示した。
【0035】
【表2】
【0036】表2の結果をみると、本発明の新規化合物
は、その濃度に対応してイヌビエやオヒシバに対して壊
死斑を形成し、殺草活性を有することがわかる。
【0037】(抗菌活性評価試験)ニュートリエントブ
ロス(Nutrient Broth,Difco社製)0.8gを蒸留水1
00mLに溶解し、容量500mLの三角フラスコに入れ、
121℃、1.2kgf/cm2のオートクレーブ中で滅菌し
た。これに枯草菌(Bacillus subtilis IFO13719)を接
種し、28℃、180rpm で24時間振盪培養した。一
方、上記のニュートリエントブロス1.6g及び寒天1
5gを蒸留水1Lに溶解し、上記と同様に滅菌した液に
対して、1/600に当たる液量だけの上記の24時間
培養後の培養液を添加し、これをシャーレに移し固化さ
せて検定プレートを作成した。
【0038】次に、この検定プレート上に径6mmの濾紙
を置き、本発明の新規化合物をそれぞれ500ppm 、2
00ppm 及び80ppm となるように調整したジメチルス
ルホキシド溶液15μLを、上記の濾紙の上から加え
て、それぞれの化合物を検定プレート内に浸透させた。
そして、25℃で48時間培養した後、濾紙を中心とし
た阻止円の直径(mm)を測定し、活性を評価した。な
お、既に抗菌活性が知られているストレプトマイシンと
比較した結果を、表3に示した。
【0039】
【表3】
【0040】表3の結果をみると、本発明の新規化合物
は、その濃度に対応して枯草菌に対する抗菌活性を示
し、特にストレプトマイシンより強力な抗菌活性を有す
るものであることがわかる。
【0041】
【発明の効果】本発明は植物生長調節活性、除草活性お
よび抗菌活性を有する新規な生理活性化合物を提供する
もので、かかる新規化合物は微生物の代謝産物であるた
め、自然環境下で安全に代謝、分解される。従って、本
発明の新規な生理活性化合物を利用することにより、環
境汚染の少ない植物生長調節剤、除草剤あるいは殺菌剤
を製造することができる効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 郷原 雅敏 神奈川県横浜市青葉区梅が丘6−2 日本 たばこ産業株式会社植物保護開発センター 内 Fターム(参考) 4C062 FF13 JJ22 4H011 AA01 AB01 AB03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(I)で表される新規化合
    物。 【化1】
  2. 【請求項2】 下記の構造式(A)で表される請求項1
    に記載の新規化合物。 【化2】
  3. 【請求項3】 下記の構造式(B)で表される請求項1
    に記載の新規化合物。 【化3】
  4. 【請求項4】 水溶性炭水化物を含む培地を用いてエキ
    セロヒラム属( Exserohilum spp. )に属する糸状菌を
    培養して得た培養物より、溶媒抽出、吸脱着等の分離精
    製手段を用いて、下記の一般式(I)で表される化合物
    を回収することを特徴とする、新規化合物の製造法。 【化4】
  5. 【請求項5】 下記の一般式(I)で表される新規化合
    物、該化合物の塩、該化合物の水和物、及び該化合物の
    溶媒和物から選ばれた少なくとも1種を有効成分として
    含むことを特徴とする植物生長調節剤。 【化5】
  6. 【請求項6】 下記の一般式(I)で表される新規化合
    物、該化合物の塩、該化合物の水和物、及び該化合物の
    溶媒和物から選ばれた少なくとも1種を有効成分として
    含むことを特徴とする除草剤。 【化6】
  7. 【請求項7】 下記の一般式(I)で表される新規化合
    物、該化合物の塩、該化合物の水和物、及び該化合物の
    溶媒和物から選ばれた少なくとも1種を有効成分として
    含むことを特徴とする殺菌剤。 【化7】
JP10235173A 1998-08-21 1998-08-21 新規化合物、その製造法、植物生長調節剤、除草剤及び殺菌剤 Withdrawn JP2000063376A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017508784A (ja) * 2014-01-27 2017-03-30 プラハラジュ ラクスミナ ラヤナPraharaju Laxmina Rayana ホテイアオイの繁殖を抑制する新規の微生物除草剤組成物

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