JP2000063295A - 多重結合分子の水素化方法及びメタンの製造方法、並びに、水素化触媒 - Google Patents

多重結合分子の水素化方法及びメタンの製造方法、並びに、水素化触媒

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JP2000063295A
JP2000063295A JP10235747A JP23574798A JP2000063295A JP 2000063295 A JP2000063295 A JP 2000063295A JP 10235747 A JP10235747 A JP 10235747A JP 23574798 A JP23574798 A JP 23574798A JP 2000063295 A JP2000063295 A JP 2000063295A
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fullerene
molecule
carbon
hydrogenation catalyst
molecules
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Atsumichi Kawashima
敦道 川島
Masafumi Ata
誠文 阿多
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Sony Corp
Research Institute of Innovative Technology for the Earth RITE
Original Assignee
Sony Corp
Research Institute of Innovative Technology for the Earth RITE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二酸化炭素や一酸化炭素等を、経済的にかつ
簡便に水素化して、メタンを製造すること。 【解決手段】 水素化触媒として、グラファイトのアー
ク放電によって生じるフラーレン含有煤を用い、水蒸気
の存在下、光エネルギーの作用によって、CO2やCO
を水素化してCH4 を生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多重結合を有する
分子を水素化する多重結合分子の水素化方法、及び、炭
素含有物質等の水素化によってメタンを製造するメタン
の製造方法、並びに、水素化触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フラーレンは、C60分子(図4参照)や
70分子(図5参照)等からなる球状炭素分子の総称
で、1985年に炭素のレーザーアブレーションによる
クラスタービームの質量分析スペクトル中に発見された
(Kroto,H.W.; Heath,J.R.; O'Brien,S.C.; Curl,R.F.;
Smalley,R.E. Nature 1985, 318,162. 参照)。また、
ダイヤモンド、グラファイトに次ぐ第3の結晶炭素とし
て球状炭素化合物であるフラーレンの存在が明らかにさ
れ、マクロ量の合成法が確立されたのは1990年にな
ってからである(Kratschmer,W.; Fostiropoulos,K.; H
uffman,D.R. Chem.Phys.Lett. 1990, 170,167.及び Kra
tschmer,W.; Lamb,L.D.; Fostiropoulos,K.;Huffman,D.
R. Nature 1990, 347,354.参照)。
【0003】1990年に炭素電極のアーク放電法によ
るフラーレン(C60)の製造方法が発見されて以来、フ
ラーレンは炭素系半導体材料等として注目されてきた。
また、フラーレン分子は真空下或いは減圧下において容
易に気化できることから、蒸着薄膜を形成し易い素材で
ある。
【0004】フラーレンは、炭素のみからなる一連の球
状炭素化合物であり、炭素60個からなるC60及びそれ
以上の偶数個の炭素からなるいわゆる Higher Fulleren
esの総称であり、12個の5員環と20個又はそれ以上
の6員環を含んでいる。即ち、60個、70個、76
個、78個、80個、82個又は84個等(炭素原子数
は幾何学的に球状構造を形成し得る数から選択され
る。)の炭素原子が球状に結合してクラスター(分子集
合体)を構成してなる球状炭素Cn であって、それぞ
れ、C60、C70、C76、C78、C80、C82、C84等のよ
うに表される。
【0005】例えばC60は、正二十面体の頂点をすべて
切り落として正五角形を出した“切頭二十面体”と呼ば
れる多面体構造を有し、図4に示すように、この多面体
の60個の頂点をすべて炭素原子Cで置換したクラスタ
ーであり、公式サッカーボール型の分子構造を有する。
同様に、図5に示すC70や、C76、C84等は、いわばラ
グビーボール型の分子構造を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、化石燃料の
燃焼等で発生する二酸化炭素は、地球温暖化の主な原因
としてその削減が強く求められている。従って、二酸化
炭素を還元してメタンやメタノール等の燃料に戻すこと
は、大気中に放出される二酸化炭素を減少させるうえで
大きな効果があると考えられる。
【0007】従来、二酸化炭素を還元し、メタンやメタ
ノールを生成させる方法としては、二酸化炭素(C
2 )を水素分子(H2 )等の還元性物質で還元する方
法が一般的である。この場合、還元性物質としての水素
分子は、例えばメタン等の炭化水素と水分子との反応: CH4 +2H2 O → 2H2 +CO2 …反応式1 或いは、水の電気分解反応: 2H2 O → 2H2 +O2 …反応式2 などによって得られる。
【0008】しかしながら、前記反応式1に示す炭化水
素の改質反応においては、二酸化炭素が発生するので、
この反応を用いた二酸化炭素の還元反応では、全体量と
しての二酸化炭素量は変化しない。また、前記反応式2
に示す水の電気分解による方法では、電力源として水力
発電や原子力発電等の二酸化炭素を発生しない発電を利
用すればその生成は無いが、一般にこれらの発電方法に
よる電力は高価なうえ、通常は、電力をそのままエネル
ギー源として利用した方が効率が良い。
【0009】また、従来、下記反応式3に示すように、
二酸化炭素を水素分子で還元するときには、酸化鉄等の
触媒の使用と共に、反応温度を500℃以上まで上げな
ければ還元反応が生じなかった。このため、二酸化炭素
の還元反応には、比較的大規模な設備を必要としてい
た。 CO2 +2H2 → CH4 +O2 …反応式3
【0010】このような事情から、二酸化炭素を還元し
てメタン等の燃料を製造する方法は広く普及するには至
っていない。
【0011】本発明は、上述した実情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、二酸化炭素等の多重結合を有
する分子を経済的にかつ簡便に水素化する、水素化方
法、及び、この水素化方法に使用する水素化触媒を提供
することにある。
【0012】本発明のさらに他の目的は、炭素含有物質
の水素化反応によって、経済的にかつ簡便にメタンを製
造する、メタンの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、C
n (但し、nは幾何学的に球状化合物を形成し得る整数
である。)で表されるフラーレン分子及び/又はその重
合体と、これらの化合物とから選ばれた少なくとも1種
と;これを担持する担体と;からなる水素化触媒を用
い、水素原子供給物質の存在下、光エネルギーの作用に
よって、多重結合を有する分子を水素化する、多重結合
分子の水素化方法(以下、本発明の水素化方法と称す
る。)に係るものである。
【0014】本発明の水素化方法によれば、フラーレン
分子及び/又はその重合体と、これらの化合物(例え
ば、フラーレンエポキシドや水素化フラーレン等のフラ
ーレン誘導体、金属内包フラーレン、フッ素や窒素等で
修飾されたフラーレンなど)とから選ばれた少なくとも
1種(以下、フラーレン類と称することがある。)と、
これを担持する担体とからなる水素化触媒を用い、水分
子等の水素原子供給物質の存在下、太陽光等の光エネル
ギーの作用によって、例えば二酸化炭素等の多重結合を
有する分子(以下、多重結合分子と称することがあ
る。)を水素化(特に、水素化分解)するので、前記フ
ラーレン類と前記担体とからなる前記水素化触媒と前記
光エネルギーとの存在によって前記水素原子供給物質及
び前記多重結合分子を活性化し、この多重結合分子を経
済的かつ簡便に水素化できる。
【0015】また、本発明は、Cn (但し、nは幾何学
的に球状化合物を形成し得る整数である。)で表される
フラーレン分子及び/又はその重合体と、これらの化合
物とから選ばれた少なくとも1種と;これを担持する担
体と;からなる水素化触媒を用い、水素原子供給物質の
存在下、光エネルギーの作用によって、多重結合を有す
る炭素含有物質を水素化してメタンを生成する、メタン
の製造方法(以下、本発明のメタンの製造方法と称す
る。)を提供するものである。
【0016】本発明のメタンの製造方法は、前記フラー
レン類と前記担体とからなる水素化触媒を用い、水分子
等の水素原子供給物質の存在下、太陽光等の光エネルギ
ーの作用によって、二酸化炭素等の前記炭素含有物質を
水素化してメタンを生成する方法であり、前記水素原子
供給物質と前記炭素含有物質とが前記水素化触媒及び前
記光エネルギーの存在下で活性化され、燃料として有用
なメタンを経済的かつ簡便に製造される。
【0017】さらに、本発明は、Cn (但し、nは幾何
学的に球状化合物を形成し得る整数である。)で表され
るフラーレン分子及び/又はその重合体と、これらの化
合物とから選ばれた少なくとも1種と;これを担持する
担体と;からなる、水素化触媒(以下、本発明の水素化
触媒と称する。)を提供するものである。
【0018】本発明の水素化触媒は、前記フラーレン類
と前記担体とからなる水素化触媒であり、光エネルギー
の作用下で、水分子等の水素原子供給物質と二酸化炭素
等の多重結合分子とを活性化し、前記多重結合性分子
(特に炭素含有物質)を経済的にかつ簡便に水素化(特
に水素化分解)することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】まず、本発明の水素化反応につい
て説明する。
【0020】本発明の水素化反応において、前記多重結
合を有する分子(多重結合分子)として二酸化炭素(C
2 )、前記水素原子供給物質として水分子(H2 O)
をそれぞれ用い、この水分子の分解によって生じる水素
原子によって前記二酸化炭素を水素化することができ
る。なお、この水分子は、水蒸気であることが望ましい
が、水の吸着している前記水素化触媒を用いることによ
って、水素化反応系に水分子を供給しても構わない。水
以外の水素原子供給物質としては、エタノール等のアル
コール類、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類、アセト
ン等のケトン類、酢酸等のカルボン酸類、フェノール
類、過酸化水素、メチルアミン等のアミン類、アンモニ
ア、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン等の窒化水素類、
ホスフィン、硫化水素、よう化水素等の水素化物等があ
る。これらの共通点は、C60によって電子を引き抜か
れること水素イオン(H+ ) を供給できることの2点
である。従って、この2点を満たすような化合物または
混合物(上記以外の例では、亜硫酸および亜硫酸塩の水
溶液)は、本発明の水素原子供給物質になることが可能
である。
【0021】このように、本発明によれば、前記多重結
合分子として二酸化炭素を使用し、かつ、前記水素原子
供給物質として、豊富に存在し、取り扱いの容易な水な
どを用いることができので、地球温暖化の主な要因とさ
れている二酸化炭素の水素化(特に水素化分解)が、大
規模かつ容易に実施できる。
【0022】また、前記担体は煤とすることが望まし
い。この煤は、例えば、活性炭等のアモルファスカーボ
ンであってよい。
【0023】また、前記水素化触媒は、グラファイトの
アーク放電によって生じたフラーレン分子を含む煤(以
下、フラーレン含有煤と称することがある。)であるこ
とが望ましい。詳しくは後述するが、一般に、C60やC
70等のフラーレン分子は、グラファイトのアーク放電に
よって得られたフラーレン分子を含有する煤(スス)を
精製することによって得られるが、本発明においては、
フラーレン分子を精製、抽出する前段で得られるフラー
レン含有煤(フラーレンスーツ)を前記水素化触媒とし
て使用することができ、さらに、経済性や水素化効率の
点から、フラーレン含有煤を前記水素化触媒として使用
することが望ましい。
【0024】また、前記の水素化反応は、常温、常圧下
で進行させることが可能である。一般に、触媒存在下で
の水素化反応は、500℃以上の高温下で行われていた
が、本発明によれば、常温、常圧下でも前記水素化反応
を効率よく進行させることができる。
【0025】また、前記光エネルギーは、太陽光と同等
の強度を有する光エネルギーであってよい。従って、太
陽光による光エネルギーの供給によって、この反応系に
おける水素化反応が十分に進行する。但し、前記光エネ
ルギーが太陽光の強度以下であっても、十分に前記水素
化反応は進行する。
【0026】また、少なくとも1部に光透過部が設けら
れている容器内に前記水素化触媒を配し、前記水素原子
供給物質のガスと前記多重結合を有する分子のガスとを
導入して前記の水素化反応を行うことが望ましい。即
ち、前記水素原子供給物質及び前記多重結合分子は、ガ
ス状で反応系に供給することが望ましい。また、前記水
素化触媒に対して光エネルギーを効率良く照射するため
に、なるべく多くの方向、角度から前記光エネルギーを
作用させることが望ましい。
【0027】さらに、前記多重結合を有する分子として
は、二酸化炭素、窒素分子、シアン化水素、アセチレ
ン、一酸化炭素、一酸化二窒素、イソシアン酸、シアナ
ミド、二硫化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、及び、ホ
ルムアルデヒドからなる群より選ばれた少なくとも1種
の分子を用いることができ、これらの分子を水素還元又
は水素化分解することができる。これらの多重結合物質
は1種のみを水素化反応系に供してもよいが、2種以上
を同時に反応系に供してもよい。
【0028】次に、本発明のメタンの製造方法を説明す
る。
【0029】本発明のメタンの製造方法においては、前
記多重結合を有する分子(多重結合分子)として二酸化
炭素、前記水素原子供給物質として水分子をそれぞれ用
い、この水分子の分解によって生じる水素原子によって
前記二酸化炭素を水素化して、主としてメタンを精製す
ることができる。なお、前述と同様に、この水分子は水
蒸気であることが望ましいが、水の吸着している前記水
素化触媒を用いることによって、水素化反応系に水分子
を供給しても構わない。
【0030】また、前記担体は煤とすることが望まし
い。この煤は、例えば、活性炭等のアモルファスカーボ
ンであってよい。
【0031】また、前記水素化触媒は、グラファイトの
アーク放電によって生じたフラーレン分子を含む煤であ
ることが望ましい。詳しくは後述するが、一般に、C60
やC70等のフラーレン分子は、グラファイトのアーク放
電によって得られたフラーレン分子を含有する煤を精製
することによって得られるが、本発明においては、フラ
ーレン分子を精製、抽出する前段で得られるフラーレン
含有煤を前記水素化触媒として使用することができ、さ
らに、経済性や水素化効率の点から、フラーレン含有煤
を前記水素化触媒として使用することが望ましい。
【0032】また、前記の水素化反応は、常温、常圧下
で進行させることが可能である。一般に、触媒存在下で
の水素化反応は、500℃以上の高温下で行われていた
が、本発明によれば、常温、常圧下でも前記水素化反応
を効率よく進行させることができる。
【0033】また、前記光エネルギーは、太陽光と同等
の強度を有する光エネルギーであることが望ましい。従
って、太陽光による光エネルギーの供給によって、この
反応系における水素化反応が十分に進行し、燃料として
有用なメタンが生成される。但し、前記光エネルギーが
太陽光の強度より小さくても、十分に前記メタンが生成
される。
【0034】また、少なくとも1部に光透過部が設けら
れている容器内に、前記水素化触媒を配し、前記水素原
子供給物質のガスと前記炭素含有物質のガスとを導入し
て前記の水素化反応を行うことができる。即ち、前記水
素原子供給物質及び前記多重結合分子は、ガス状で反応
系に供給することが望ましい。また、前記水素化触媒に
対して光エネルギーを効率良く照射するために、なるべ
く多くの方向、角度から前記光エネルギーを作用させる
ことが望ましい。
【0035】さらに、前記炭素含有物質として、二酸化
炭素、シアン化水素、アセチレン、一酸化炭素、イソシ
アン酸、シアナミド、二硫化炭素、及び、ホルムアルデ
ヒドからなる群より選ばれた少なくとも1種の分子を用
い、これらの分子を水素還元又は水素化分解してメタン
を生成することができる。これらの炭素含有物質は1種
のみを反応系に供してもよいが、2種以上を同時に反応
系に供してもよい。
【0036】次に、本発明の水素化触媒を説明する。
【0037】本発明の水素化触媒においては、前記担体
が煤であることが望ましい。この煤は、例えば、活性炭
等のアモルファスカーボンであってよい。
【0038】また、前記水素化触媒は、グラファイトの
アーク放電によって生じたフラーレン分子を含む煤であ
ることが望ましい。詳しくは後述するが、一般に、C60
やC70等のフラーレン分子は、グラファイトのアーク放
電によって得られたフラーレン分子を含有する煤を精製
することによって得られるが、本発明においては、フラ
ーレン分子を精製、抽出する前段で得られるフラーレン
含有煤を前記水素化触媒として使用することができ、さ
らに、経済性や水素化効率の点から、フラーレン含有煤
を前記水素化触媒として使用することが望ましい。
【0039】次に、本発明の作用を詳細に説明する。
【0040】前述したように、フラーレン類は炭素原子
からなる球状の分子であり、その代表であるC60は、炭
素原子がサッカーボール状の配置を取っている球状炭素
分子である。
【0041】フラーレンは、ダイヤモンド、グラファイ
トに次ぐ第3の結晶炭素であると言われている。ダイヤ
モンドの炭素原子は4本の結合鎖で立体的に繋がった構
造をしており、また、グラファイトの炭素原子は3本の
結合鎖で2次元的に繋がった構造を有している。つま
り、ダイヤモンドの炭素原子はsp3 、グラファイトの
炭素原子はsp2 のそれぞれの原子価状態にある。ま
た、純水なダイヤモンドな不導体であり、グラファイト
は2次元的に金属である。
【0042】これに対して、フラーレンはこれらの中間
の性質、つまり半導体的導電性を有している。また、フ
ラーレン分子の持つ曲率は、π電子系とσ電子系とのミ
キシングの原因となっており、この分子の炭素原子は、
sp3 とsp2 の中間の原子価状態にある。このことが
フラーレンに高い反応性をもたらす要因となっている。
【0043】例えば、一般に、π軌道とσ軌道とが直交
する平面共役化合物では、 1(π−π* )− 3(π−π
* )間のスピン遷移は禁制であり、振電相互作用によっ
てσ軌道が混ざる場合に許容となる。
【0044】これに対して、C60分子の場合は、p共役
系の非平面性により、π軌道とσ軌道とがミキシングす
ることから、 1(π−π* )− 3(π−π* )間のスピ
ン−軌道相互作用による項間交差が可能となり、C60
子の高い反応性がもたらされる。C60分子の切頭20面
体という高い対称性は、電子励起状態間や振動順位間の
遷移に厳しい禁制則をもたらす反面、平面分子では禁制
であってスピン多重度の異なる(π−π* )性の状態間
の遷移を許容とする。
【0045】このように、C60等のフラーレン分子で
は、π共役系の非平面性により、π軌道とσ軌道とが混
合するために、スピン−軌道相互作用による励起一重項
状態 1(π−π* )から励起三重項状態 3(π−π*
への項間交差(項間交叉)が可能となっている。
【0046】つまり、図3に示すように、このC60にお
いては、基底一重項状態(1.1V)にある電子は、波
長650nm以下の光(hv)を吸収して励起されて励
起一重項状態(−0.6V)となり、この励起一重項状
態から項間交差(項間交叉)を経て励起三重項状態にな
るが、励起三重項状態から基底一重項状態への遷移は禁
制であるため、この励起三重項状態の寿命は長い。
【0047】このC60の励起三重項状態は多彩な化学反
応を起こすことが知られており、例えば酸素分子
(O2 )を励起して窒素分子(N2 )と反応し(N2
2 →2NO)、一酸化窒素(NO)を生成することが
知られている(特願平9−250520号、出願日平成
9年9月16日)。
【0048】C60の励起三重項状態は、二酸化炭素を励
起(又は活性化)できるとも考えられるが、励起状態に
ある二酸化炭素は非常に反応性が大きく、水(又は水蒸
気)の存在下では、水分子から水素原子を引き抜いてギ
酸ラジカルを生成し、さらに一連の反応が進行してメタ
ンまで還元される。一方、水分子は水素を引き抜かれて
水酸ラジカルになる、さらに酸素分子まで酸化されると
考えられる。 CO2 +H2 O ⇒ HCOO・+OH・ ⇒ CH4
+O2
【0049】また、生成した酸素分子もフラーレンによ
って励起され、二酸化炭素の還元によってメタンと同時
に生成するメタノールやホルムアルデヒド(これらはC
2からCH4 への還元における中間体と考えられ
る。)を酸化するので、この反応系は炭素の還元と酸化
とが同時に進行する複雑な状態になっている。しかしな
がら、メタンは、C60励起三重項状態によって励起され
ず、励起状態の酸素分子にも酸化されないため、メタン
が反応系に蓄積される。
【0050】従って、二酸化炭素と水との混合物は、最
終的には主としてメタンと酸素とからなる混合物にな
り、その反応式は、下記の如く示される。 CO2 +2H2 O → CH4 +2O2
【0051】前記フラーレン類とその担体とによる触媒
反応は、グラファイトのアーク放電にて生成したフラー
レン含有煤に特に顕著であり、C60蒸着膜やフラーレン
分離後の煤では触媒活性が殆ど見られない。即ち、C60
等のフラーレン類と煤(アモルファス炭素が主成分であ
ると考えられる)等の担体とが共存した状態にある触媒
が、水素化触媒として優れた効力を発揮する。例えば、
60は疎水性であり、C60単体ではH2 O分子と接触す
るのが困難であり、またフラーレン類を担持する担体
(煤や活性炭など)は単にCO2 やH2 Oを吸着するだ
けでなく、C60がH2 Oから引き抜いた電子を煤や活性
炭が受け取り、その電子を用いてCO2 を還元する機能
も有すると考えられる。即ち、煤や活性炭の導電子帯の
真空準位からのエネルギーはC60の導電子帯のものより
大きいため、C60の導電子帯の電子は自発的に煤や活性
炭に移動するので、煤や活性炭はC60の光照射により生
成した電子がC60にとどまって正孔と再結合するのを防
ぐのに重要な役割を演じていると考えられる。
【0052】この水分子を水素原子の供給源とした、前
記光エネルギーの作用下での前記水素化触媒の作用によ
る水素化反応は、二酸化炭素だけでなく、その他の多重
結合を持った分子でも起こる。例えば、一酸化炭素と水
との混合物からもメタンが生成し、その生成速度は二酸
化炭素の生成速度よりも大きい。これは、一酸化炭素の
炭素−酸素間の3重結合の方が、二酸化炭素の炭素−酸
素間の2重結合よりも反応性が大きいためと考えられ
る。
【0053】また、一酸化炭素(CO)の等電子化合物
である窒素分子(N2 )、シアン化水素(HCN)及び
アセチレン(CH≡CH)等や、二酸化炭素(CO2
の等電子化合物である一酸化二窒素(N2 O)、イソシ
アン酸(HN=CO)、シアナミド(N≡CNH2 )及
び二硫化炭素(CS2 )等の化合物も本発明に従って水
素化可能であると考えられる。さらに、一酸化窒素(N
O)、二酸化窒素(NO2 )、ホルムアルデヒド(HC
HO)等の多重結合を持つ化合物も本発明に従って水素
化可能であると考えられる。
【0054】また、一般に、炭素原子、窒素原子、酸素
原子の多重結合を有する化合物、即ち、不飽和化合物は
人体に有害な物質が多いが、これに対して飽和化合物
は、より毒性が低いか或いは無害な物質が多い。従っ
て、本発明に従い、水、光、及び、フラーレンを含む水
素化触媒があれば、このような不飽和化合物を分解でき
るので、例えば、携帯型の無害化装置を作製することが
可能である。
【0055】現在は、携帯型の装置の場合、活性炭を使
用した吸着除去型の無害化装置が市販されているが、寿
命が限られており、活性炭の交換が必要である。これに
対して、本発明に従い、例えばフラーレン含有煤を水素
化触媒とする無害化装置を使用すれば、携帯可能であっ
て、かつ、長寿命の装置を構成できる。
【0056】また、本発明による水素化触媒において、
この水素化触媒は、グラファイト電極をヘリウムガス中
でアーク放電させて生成したフラーレン類を含むフラー
レン含有煤に限定されるものではない。例えば、フラー
レンエポキシド(例えば、C60O:図6参照)や水素化
フラーレン等のフラーレン誘導体、リチウム等の金属原
子を内包する金属内包フラーレン、高周波プラズマ(又
はマイクロ波プラズマ)や電解によってフラーレンを重
合させたフラーレンポリマー(フラーレン重合体、例え
ばC116 :図7参照)、そして、これらの表面をフッ
素、酸素、窒素、或いは、水素等で修飾したフラーレン
及びフラーレンポリマーなどのフラーレン類を、活性炭
等(アモルファス炭素)の担体に添加した(担持した)
触媒も前記水素化触媒として利用可能である。
【0057】また、フラーレン含有煤に白金等の微粒子
を添加して、触媒活性を向上した水素化触媒も本発明の
水素化方法や本発明のメタンの製造方法に適用可能であ
ると考えられる。さらに、水素化触媒の利用形態として
は、シリコン基板等の基体上に形成された薄膜(特に、
基体上に付着したフラーレン含有煤)に限定されるもの
ではなく、このフラーレン含有煤を、例えば多孔質の担
体に担持させたり、ガラスウールに保持させたりするこ
とも可能である。さらに、フラーレン含有煤を溶液へ懸
濁した状態の懸濁液を触媒として前記水素化反応を進行
させることも可能である。
【0058】また、本発明においては、前記フラーレン
類は、主としてC60分子及び/又はC70分子であってよ
い。即ち、前記フラーレン類として用いるフラーレン分
子は、C60(図4参照)の単体やC70(図5参照)の単
体であってもよい。但し、これら単独では、触媒能に乏
しいので、活性炭等の担体に担持させることが必要であ
る。
【0059】次に、図1に、本発明の水素化方法及び本
発明のメタンの製造方法における前記水素化触媒の触媒
能の評価装置系を図1に示す。
【0060】この装置系において、前記水素化触媒の存
在下、前記光エネルギーの作用によって前記水素化反応
を行うのは、例えば、アクリル樹脂製の容器に石英ガラ
ス製の窓2を有する箱型の触媒反応槽1である。この触
媒反応槽1内には、前記水素化触媒として例えばフラー
レン含有煤の付着したシリコン基板を配する。また、触
媒反応槽1には、前記多重結合分子(又は前記炭素含有
物質)のガスと前記水素原子供給物質のガスを導入する
ためのガス導入口と、反応後の生成ガスを排出するため
のガス排出口とが設けられている。但し、ガス導入口及
びガス排出口にはそれぞれバルブ4d、4g(又は4
h)が設けられており、反応槽1内に装入する原料ガス
を密封又は連続的に流動可能に構成されている。
【0061】さらに、触媒反応槽1は、熱電対8及び温
度調節器7によって所定温度に保たれている。また、反
応開始前は、真空ポンプ9及びバルブ4eによって、触
媒反応槽1中の他の成分ガスが排気されるように構成さ
れており、さらに、リークバルブ10及びバルブ4fに
よって、リークガスの調整が行われる。
【0062】そして、触媒反応槽1から排出される生成
ガスは、バルブ4g及びオートサンプラー11aを介し
て、ガスクロマトグラフ質量検出計(GC−MS)12
に導かれ、この質量検出計12による測定結果が演算装
置(コンピュータ)14aのモニターに表示される。な
お、この一連の装置系は、演算装置14a又はシーケン
サー15によって、自動的に制御されるように構成され
ていてもよい。
【0063】或いは、触媒反応槽1から排出される生成
ガスは、バルブ4h及びオートサンプラー11bを介し
て、ガスクロマトグラフィー(GC)13に導かれ、こ
のガスクロマトグラフィー13による測定結果が演算装
置(コンピュータ)14bのモニターに表示される。な
お、この一連の装置系は、前述と同様に、演算装置14
b又はシーケンサー15によって、自動的に制御される
ように構成されていてもよい。
【0064】ここで、触媒反応槽1の材質は上記したも
のに限定されるものではなく、例えば、光吸収性又は光
反射性の樹脂や金属、ガラス、セラミックス等で前記容
器を形成し、前記蓋を光透過性の材料で形成してこの蓋
部から光エネルギーを前記水素化触媒に作用させるよう
に構成することができる。即ち、前記容器の少なくとも
一部に光透過部を設け、この光透過部を介して前記触媒
に光エネルギーを作用させるように構成すればよい。
【0065】また、前記容器は箱型以外にも、例えば円
筒形、球形等様々な形状であってよく、前記水素化触媒
が配される基体の種類、形状もこれに限定されるもので
はない。さらに、前記光エネルギーは上面からのみ照射
してもよいが、例えば、前記容器が全て光透過性の材質
で構成されており、水素化触媒が基体の表面全てに配さ
れている場合などは、あらゆる方向、角度から前記光ビ
ームを前記水素化触媒に対して作用させてもよい。
【0066】次に、前記フラーレン類の製造方法例を説
明する。
【0067】まず、図2を参照に、炭素電極(グラファ
イト電極)のアーク放電法によるフラーレンの製造方法
例を説明する。
【0068】一対の高純度グラファイト(又は炭素)製
の対向電極(グラファイト電極)22からなるカーボン
アーク部を有する真空容器21内に、例えばシリコン基
板24を配し、容器21中のガス(特に空気)をガス排
気口28から真空ポンプ26で排気した後、不活性ガス
(例えばヘリウム、アルゴン等)25をガス導入口27
から導入して、容器21の内圧をほぼ真空状態に調節す
る。
【0069】次いで、グラファイト電極22の端部を対
向させ、電源23から所定の電圧及び電流(直流又は交
流)を印加して、グラファイト電極22の端部をアーク
放電状態にし、この状態を所定時間維持する。
【0070】この間にグラファイト電極22は気化し、
容器21の内壁面に配置されたシリコン基板24上にフ
ラーレンを含む煤状の物質(即ち、フラーレン含有煤)
が析出する。容器21の冷却後、煤状の物質が付着した
基板24を取り出し、基板24上フラーレン含有煤が形
成された基板が得られる。
【0071】このように、上記アーク放電法では、通
常、直流電源に接続されたグラファイト電極が、ヘリウ
ム等の不活性ガスが満たされているチャンバー中に設置
され、この放電に際して気化した炭素原子が再結合する
過程でC60やC70などのフラーレンが生成する。ここで
得られる物質は、多くはスス(煤)としてチャンバー内
壁等に付着する。一般に、この煤はC60やC70等の種々
のフラーレンを含んでおり、フラーレンスーツと呼ばれ
ている。これらの煤(即ち、フラーレン含有煤、又は、
フラーレンスーツ)は、適切な条件下では、約10%又
はそれ以上の前記フラーレンを含んでいる。
【0072】また、通常、C60やC70などの単体フラー
レンは、このフラーレン含有煤(フラーレンスーツ)か
ら、トルエンや二硫化炭素などのπ電子系の溶媒で抽出
されるが、この抽出液を蒸発させた段階で得られるフラ
ーレンは粗製フラーレンと称されるものであり、C60
70の他、C76、C78、C80、C82、C84等の Higher
Fullerrensと呼ばれる高次フラーレンを含む混合物(以
下、粗製フラーレンと称することがある。)である。
【0073】さらに、この混合物(粗製フラーレン)か
らは、例えば、カラムクロマトグラフィーによって、単
体C60や単体C70を分離精製可能である。
【0074】従って、産業的な利用の容易さの点から、
フラーレンを含むフラーレン含有煤をそのまま使用する
方法や、高次フラーレンまで含んだ混合物フラーレン
(粗製フラーレン)を活性炭等の担体に担持させて使用
する方法の方が、フラーレンを単離精製後に担体に担持
させて使用する方法よりも望ましいと言える。
【0075】特に、各種フラーレンを含むフラーレン含
有煤は、煤そのものの触媒活性や、その材料の多孔質性
から、本発明による水素化触媒として有用である。即
ち、フラーレン含有煤の段階では、フラーレン分子が多
孔質性の担体(この担体は、アモルファスカーボンと考
えられる。)に担持されている状態であると考えてよ
い。
【0076】なお、フラーレン分子やフラーレン含有
煤、粗製フラーレン、とりわけC60やC70(以下、フラ
ーレン類と称することがある。)等は、真空下或いは減
圧下における抵抗加熱等の手法により容易に気化できる
ことから、蒸着薄膜を形成し易い材料である。
【0077】例えば、図8に示す薄膜形成装置におい
て、真空ポンプ37により真空状態となされた真空容器
30内に、フラーレン材料(例えばC60)を配したモリ
ブデンボート31を設置し、抵抗加熱用電源32から所
定の電圧、電流を印加してモリブデンボート31を加熱
することにより、モリブデンボート31に対向配置した
シリコン基板35上にフラーレン薄膜(C60蒸着薄膜)
を形成できる。
【0078】但し、例えばC60等の精製フラーレン分子
をシリコン基板上に蒸着したフラーレン蒸着膜は、本発
明による水素化能を有しておらず、これは、フラーレン
分子が担体に担持されていないためである。
【0079】また、これらのフラーレン類は溶解性の高
い分子ではないが、例えば、テトラクロロエタン、トル
エン、ジクロロベンゼン、二硫化炭素、或いはメチルナ
フタレンなどのπ電子系有機溶媒に溶解させることが可
能であり、浸漬、塗布、あるいは噴霧(スプレー)等の
方法で前記担体(例えば、多孔質シリコン、シリカゲ
ル、活性炭等)に担持させることも可能である。
【0080】また、アーク放電法によって得られるフラ
ーレン含有煤からなる薄膜において、フラーレン分子の
有する双極子モーメントがゼロであることから、その分
子間にはファン・デル・ワールス力しか働かず、得られ
る薄膜は脆弱である。但し、本発明の水素化触媒として
フラーレン含有煤からなる薄膜を使用する場合は、薄膜
の強度、安定性等はほとんど要求されず、十分に使用可
能である。
【0081】また、プラズマ重合法によるフラーレン重
合薄膜の製造方法が知られており、この方法で得られる
フラーレン重合体薄膜は、フラーレンの電子励起状態を
経て重合したフラーレン重合体薄膜である(Takahashi,
N. ; Dock, H. ; Matsuzawa, N. ; Ata, M.: J.Appl.P
hys. 1993, 74, 5790 参照)。
【0082】次に、プラズマ重合法によるフラーレン重
合体薄膜の製造プロセス例を図8を参照に説明する。な
お、このプロセスで得られるフラーレン重合体の一例を
図7に示す。このフラーレン重合体はC60分子の2量体
の誘導体でありC116 で表されるフラーレン類である。
【0083】プラズマ重合の実際の製造プロセスでは、
例えば、真空容器30内を0.5〜1Pa程度のアルゴ
ン36の雰囲気とし、モリブデンボート31の抵抗加熱
によってこのモリブデンボート31内に配したフラーレ
ンを気化させ、この気化物の気化領域に、電極33a及
び33bに高周波電源34から高周波電流を印加するこ
とによって高周波プラズマを発生せしめ、フラーレン重
合体薄膜(例えば、図7に示したフラーレン重合体から
なる薄膜)を得ることができる。なお、高周波プラズマ
以外にも、マイクロ波やDCプラズマ等を照射すること
により、フラーレン重合体薄膜(フラーレン重合薄膜)
を得ることもできる。
【0084】この際、フラーレン重合体薄膜が設けられ
る基体の温度は、300℃以下で重合体薄膜を成膜でき
るが、これ以上の基体温度では、基体に対する付着量が
低下することがある。但し、このような非平衡プラズマ
による薄膜形成の際の基体温度は、特にコントロールし
なくても、100W程度のプラズマパワーでは、70℃
を越えることはほとんどない。
【0085】この方法に基づくフラーレン重合薄膜の製
造プロセスの利点は、フラーレン分子の気化以前に基体
表面をアルゴンプラズマ等でエッチングできることか
ら、薄膜と基体との接合面での密着性が良いこと、広範
囲に均一な膜が得られること、プラズマパワーを任意に
コントロールできること等が挙げられる。さらに、アル
ゴン等の単分子原子は、プラズマ中で寿命の長い準安定
励起状態となり、この緩和過程でフラーレン分子が励起
されることから、フラーレン分子間の重合効率が良いと
いう利点もある。また、フラーレン分子同士の重合体の
形成と基体への成膜とを同時に行うことから、蒸着膜へ
の光照射による重合体形成の際に見られるような体積歪
みによるクラックの発生もない。
【0086】但し、本発明においては、シリコン基板に
設けられたフラーレン重合薄膜単独では、その水素化触
媒能に乏しいので、得られたフラーレン重合体を活性炭
の如き担体に担持させる必要がある。
【0087】即ち、本発明においては、C60、C70、C
76、C78、C80、C82、C84等のフラーレン分子の単
体、その混合物、上記高周波プラズマや光照射(光重合
法)によるフラーレン分子の単体或いは混合物の重合体
を前記フラーレン類として使用することが可能であり、
これらのフラーレン類を前述の如き担体に担持して、使
用することができる。
【0088】また、光エネルギー源としては、室内照明
程度の白色光でも十分であるが、メタン等の水素化分解
物の生成速度を考慮すると太陽光程度の強度を有する光
(光ビーム)が理想的である。例えば、光エネルギー強
度は、0.1〜1000mW/cm2 が望ましい。
【0089】また、本発明では、前記フラーレン類とし
て、高周波プラズマによるフラーレン重合体、C60分子
を含有するグラファイト電極のアーク放電で生成した炭
素煤(フラーレンスーツ)等を使用することができる
が、本発明の触媒はこれらの触媒に限定されるものでは
なく、例えば、C70、C76、C78、C80、C82、C84
の単体フラーレン、及びその混合物、さらに前記単体フ
ラーレンの重合膜、フラーレンエポキシド、水素化フラ
ーレン、金属内包フラーレン、フッ素や窒素等で修飾さ
れたフラーレンなども前記フラーレン類として使用可能
である。
【0090】また、フラーレン重合体の製造方法につい
ても、高周波プラズマによる方法以外に、例えば、直流
プラズマ法、マイクロ波プラズマ法、電解重合法などが
使用可能である。
【0091】また、本発明において、前記水素化触媒が
配される基体としては、シリコン基板やガラス基板等の
平面基板以外にも、例えば、グラスウールやゼオライト
等の多孔質物質や繊維状物質をしようすることができ
る。即ち、前記基体は、触媒と原料ガスとの接触面積が
大きく、かつ光ビームを作用し易い形状のものが好まし
い。
【0092】さらに、本発明においては、本発明に基づ
く反応系に、光エネルギーが十分に付与されるような反
応装置であることが好ましく、例えば、反応装置(反応
容器)を全て光透過性の材料(例えば、ガラス等)で構
成し、この反応装置内に複数の光源から光エネルギーを
供給してもよく、また、この反応装置の外部に光反射性
の材質(例えば、アルミ箔等)を配し、光エネルギーを
前記反応装置に集中させるように構成してもよい。
【0093】なお、本発明の製造方法においては、上述
した水素化反応は、常温、常圧で行うことができるが、
温度0〜300℃、圧力105 〜108 Paの環境下で
水素化反応を行うことが望ましく、さらに、その反応時
間は、光エネルギーの強度や触媒の量やその形態等にも
よるが、例えば、密封された容器内で十分な量の触媒と
光エネルギーとを供給している場合、10〜60分程度
で上記光定常状態に達すると考えられる。
【0094】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に従い説明す
るが、本発明は下記の実施例に限定されるものではな
い。
【0095】実施例1 まず、本実施例にて使用したフラーレン含有煤の合成装
置を図2に示す。
【0096】ヘリウム100mmHgの雰囲気下で、グ
ラファイト電極22間にアーク放電(150A)を起こ
すと、グラファイト電極22から気化した炭素が冷却さ
れ、フラーレン及びアモルファス炭素からなるフラーレ
ン含有煤となって容器21内の壁に付着する。そこで、
この壁にシリコンウエハー24を配しておいて、フラー
レン含有煤を直接にウエハー24上に付着させた。
【0097】次に、触媒能の評価装置系を図1に示す。
【0098】この評価装置系においては、触媒反応槽1
内に、上述したアーク放電法によって作製されたフラー
レン含有煤が付着したシリコンウエハー(フラーレン含
有煤の膜厚0.1mm)が配されている。
【0099】まず、液体気化装置5内に、前記水素原子
供給物質としての水を入れ、0.4cm3 /minの割
合で気化させて水蒸気とし、バルブ4cを介して、気体
混合装置(流量計)6に導入する。同時に、原料ガス3
として、前記多重結合物質のガス(又は前記炭素含有物
質のガス)としての二酸化炭素を500cm3 /min
の割合で流し、バルブ4aを介して気体混合装置6に導
入する。そして、この気体混合装置6において、所定の
割合で水蒸気と二酸化炭素とを混合させる。なお、例え
ば異なる2種類の前記多重結合物質のガスを使用すると
きは、バルブ4bを用いて気体混合装置6に導入する。
【0100】次いで、水蒸気と二酸化炭素とからなる混
合ガス(原料ガス)を、バルブ4dを介して触媒反応槽
1に導いた。なお、ここで、原料ガスの一部を、バルブ
4h及びオートサンプラー11bを介して、ガスクロマ
トグラフィー13に導き、原料ガス組成を測定した。そ
の測定結果を下記表1に示す。なお、原料ガスの組成測
定時のカラム充填剤としては、Molecular Sieve 13X を
使用した。
【0101】そして、触媒反応槽1に導入された原料ガ
スに対して、キセノンランプ(500W)からの光を石
英ガラス窓を通して照射し、前述の水素化反応を進行さ
せた。この時の光の強度は167mW/cm2 であり、
光の照射時間は10分間とした。
【0102】反応後の反応系ガスの成分をガスクロマト
グラフィー(ジーエルサイエンス株式会社製:GC39
0B)13で測定した。なお、この時のカラム充填剤に
は、Gaskuropack 54 (スチレン・ジビニルベンゼン共
重合体)を用い、検出器はTCD(熱示差検出器)を用
いた。この測定結果を併せて下記表1及び図9に示す
(但し、図9はクロマトグラムである)。
【0103】 但し、「生成ガス*1」は、GC(ガスクロマトグラフィ
ー)による測定結果を示し、「生成ガス*2」は、GC−
MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)による測定結果
を示す。
【0104】表1及び図9から、水蒸気及び二酸化炭素
雰囲気中で、フラーレン含有煤からなる水素化触媒の存
在下、光エネルギーの作用によって、二酸化炭素の水素
化分解反応が進行し、始めは存在していなかったメタン
(CH4 )が生成していることが分かった。また、これ
と同時に、二酸化炭素量も減少していることが分かっ
た。
【0105】なお、原料ガスにおける酸素(O2 )及び
窒素(N2 )は、それぞれ原料ガス(CO2 及びH
2 O)のキャリアーガスである(以下、同様)。
【0106】実施例2 実施例1と同様に、フラーレン含有煤の付着したシリコ
ンウエハーを触媒反応槽1に配置し、二酸化炭素の代わ
りに一酸化炭素(CO)を導入した。まず、原料ガスの
成分を実施例1と同様にガスクロマトグラフィーで測定
した後、キセノンランプ(強度167mW/cm2 )か
らの光を10分間照射して、水素化反応を進行させた。
そして、得られた生成ガスの成分を、実施例1と同様に
ガスクロマトグラフィーで測定した。原料ガスの組成、
並びに、生成ガス成分の測定結果を下記表2に示す。
【0107】 但し、「生成ガス*1」は、ガスクロマトグラフィーによ
る測定結果を示す。
【0108】このように、一酸化炭素の水素化分解反応
が進行し、最初は存在していなかったメタンが光照射後
には生成していることが分かった。なお、メタン中の水
素分子は、フラーレン含有煤に吸着されていた水に由来
するものである。また、一酸化炭素の減少は、空気の混
入によるものも含まれていると思われる。
【0109】比較例1 所定の処理操作を経て単離したフラーレンを用い、図8
に示した蒸着装置を用いて、シリコンウエハー上にフラ
ーレン蒸着膜を作製した。ここでは、モリブデンボート
31に精製したフラーレン分子(C60)を入れ、容器3
0内の圧力を5×10-5mmHgとし、抵抗加熱電源3
2によって蒸着温度を500℃として、シリコンウエハ
ー35上にフラーレン蒸着薄膜を成膜した。得られたフ
ラーレン蒸着薄膜の膜厚は500nmであった。
【0110】これを図1の触媒能の評価装置系に導入
し、実施例1と同様に、触媒反応槽1に二酸化炭素と水
蒸気とを導入した後、キセノンランプ(強度167mW
/cm2 )から光を10分間照射して照射前後の混合ガ
ス成分の変化を測定した。原料ガスの組成、並びに、生
成ガス成分の測定結果を下記表3に示す。
【0111】 但し、「生成ガス*1」は、ガスクロマトグラフィーによ
る測定結果を示す。
【0112】このように、触媒として、精製したフラー
レン分子をシリコン基板上に蒸着したフラーレン蒸着膜
を用いた場合では、メタンは生成していないことから、
フラーレンとこれを担持する担体とが水素化反応、さら
にはメタン生成に必要であることが分かる。
【0113】比較例2 実施例1と同様に、フラーレン含有煤の付着したシリコ
ンウエハーを図1に示した触媒能の評価装置系に導入す
るが、ここでは、二酸化炭素と水蒸気との混合物の代わ
りに、空気(乾燥空気であって二酸化炭素は実質的に含
有しない。)と水蒸気との混合物を導入し、キセノンラ
ンプから光(強度167mW/cm2 )を10分間照射
して、照射前後の混合ガスの成分を比較した。原料ガス
の組成、並びに、生成ガス成分の測定結果を下記表4に
示す。
【0114】 但し、「Xeランプ照射後*1」は、ガスクロマトグラフ
ィーによる測定結果を示す。
【0115】この結果から、空気と水蒸気との混合物か
らはメタンは生成しないことから、二酸化炭素又は一酸
化炭素が水素化反応、さらにはメタンの生成に必要であ
って、かつ、これらがメタンに変換されていることが明
白である。
【0116】以上のように、実施例1及び実施例2によ
れば、メタン等の製造のために必要な水素原子供給物質
として水(水蒸気)を用い、水素化触媒としてのフラー
レン含有煤の存在下、光エネルギーの作用によって、二
酸化炭素や一酸化炭素の還元(水素化分解)を行うこと
ができた。
【0117】本実施例に示すように、通常の条件下では
水には還元力は無いが、光照射下のフラーレン含有煤に
よって活性化された二酸化炭素に対しては、水素原子を
供与し、自身は酸素分子に酸化される。この反応は、下
記反応式Aに示されるように燃焼の逆反応であり、光エ
ネルギーが化学エネルギーに変換されている。 CO2 +2H2 O → CH4 +2O2 …反応式A
【0118】この結果、従来の水素分子を使用する還元
方法では触媒存在下で高温にしなければ進行しなれば水
素化反応が、常温常圧下で光エネルギー及び特定の触媒
の存在下で円滑に進行することが分かった。即ち、地球
温暖化の主要因である二酸化炭素を、燃料として有用な
メタンに水素化することができた。
【0119】さらに、原料として水を使用し、常温常圧
下で反応が進行するので、爆発の危険性のある水素ガス
の供給や、その管理の問題がなく、装置の小型化と共に
安全性も大きく向上する。
【0120】また、二酸化炭素以外にも、一酸化炭素、
ホルムアルデヒド、シアン化水素、一酸化窒素等の多重
結合を有する有害分子を水素化分解することができる。
これらの水素化分解反応は、従来は、爆発し易い水素ガ
スを使用しての触媒存在下での高温での反応であった
が、本実施例に示すように、フラーレン類とこれを担持
する担体とからなる水素化触媒の存在下、太陽光程度の
光と水とがあれば、このような有害物質を十分に除去、
分解することができ、水素化分解装置の簡素化が期待で
きる。
【0121】
【発明の作用効果】本発明の水素化方法によれば、前記
フラーレン類と、これを担持する担体とからなる水素化
触媒を用い、水素原子供給物質の存在下、光エネルギー
の作用によって、多重結合分子を水素化するので、前記
光エネルギーの作用下での前記水素下触媒の触媒作用に
よって、前記水素原子供給物質及び前記多重結合分子を
活性化し、前記水素原子供給物質からの水素原子によっ
て、前記多重結合分子を経済的かつ簡便に水素化でき
る。
【0122】本発明のメタンの製造方法によれば、前記
フラーレン類と、これを担持する担体とからなる水素化
触媒を用い、水素原子供給物質の存在下、光エネルギー
の作用によって、多重結合を有する炭素含有物質を水素
化してメタンを生成するので、前記水素原子供給物質と
前記炭素含有物質とが、前記光エネルギー作用下での前
記水素化触媒によって活性化されて、前記水素供給物質
からの水素原子によって前記炭素含有物質が水素化さ
れ、燃料として有用なメタンが経済的かつ簡便に製造さ
れる。
【0123】本発明の水素化触媒は、前記フラーレン類
と、これを担持する担体とからなる水素化触媒であり、
光エネルギーの作用下で、水分子等の水素原子供給物質
と二酸化炭素等の多重結合分子とを活性化し、前記多重
結合性分子を経済的にかつ簡便に水素化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による水素化触媒の触媒能の計測装置系
の概略図である。
【図2】同、フラーレン含有煤を作製する際に使用でき
るフラーレン含有煤の製造装置の概略模式図である。
【図3】同、水素化触媒の作用を説明するための図であ
る。
【図4】C60の分子構造を示す図である。
【図5】C70の分子構造を示す図である。
【図6】C60Oの分子構造を示す図である。
【図7】C116 分子の化学構造を示す図である。
【図8】フラーレン蒸着膜或いはフラーレン重合薄膜
(又はフラーレン重合体)の製造装置の概略模式図であ
る。
【図9】本発明の方法による反応で検出された反応後の
ガス種を示すクロマトグラム図である。
【符号の説明】
1…触媒反応槽、2…石英ガラス窓、3…原料ガス、4
a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h…バル
ブ、5…液体気化装置、6…気体混合装置(流量計)、
7…温度調節器、8…熱電対、9…真空ポンプ、10…
リークバルブ、11a、11b…オートサンプラー、1
2…ガスクロマトグラフ質量分析計、13…ガスクロマ
トグラフィー、14a、14b…演算装置(コンピュー
タ)15…シーケンサー、21…真空容器、22…グラ
ファイト電極、23…直流電源、24…シリコン基板、
25…ヘリウムガス、26…真空ポンプ、27…ガス導
入口、28…ガス排出口、30…真空容器、31…モリ
ブデンボート、32…抵抗加熱用電源、33a、33b
…電極、34…高周波電源、35…シリコン基板、36
…アルゴンガス、37…真空ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿多 誠文 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BD04B CA10 CB02 CC22 4H006 AA02 AC11 BA55 BA61 BE20 BE60

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cn (但し、nは幾何学的に球状化合物
    を形成し得る整数である。)で表されるフラーレン分子
    及び/又はその重合体と、これらの化合物とから選ばれ
    た少なくとも1種と;これを担持する担体と;からなる
    水素化触媒を用い、水素原子供給物質の存在下、光エネ
    ルギーの作用によって、多重結合を有する分子を水素化
    する、多重結合分子の水素化方法。
  2. 【請求項2】 前記多重結合を有する分子として二酸化
    炭素、前記水素原子供給物質として水分子をそれぞれ用
    い、この水分子の分解によって生じる水素原子によって
    前記二酸化炭素を水素化する、請求項1に記載した多重
    結合分子の水素化方法。
  3. 【請求項3】 前記担体を煤とする、請求項1に記載し
    た多重結合分子の水素化方法。
  4. 【請求項4】 前記水素化触媒を、グラファイトのアー
    ク放電によって生じたフラーレン分子を含む煤とする、
    請求項1に記載した多重結合分子の水素化方法。
  5. 【請求項5】 前記の水素化反応を、常温、常圧下で進
    行させる、請求項1に記載した多重結合分子の水素化方
    法。
  6. 【請求項6】 前記光エネルギーとして、太陽光と同等
    の強度の光エネルギーを作用させる、請求項1に記載し
    た多重結合分子の水素化方法。
  7. 【請求項7】 少なくとも1部に光透過部が設けられて
    いる容器内に前記水素化触媒を配し、前記水素原子供給
    物質のガスと前記多重結合を有する分子のガスとを導入
    して前記の水素化反応を行う、請求項1に記載した多重
    結合分子の水素化方法。
  8. 【請求項8】 前記多重結合を有する分子として、二酸
    化炭素、窒素、シアン化水素、アセチレン、一酸化炭
    素、一酸化二窒素、イソシアン酸、シアナミド、二硫化
    炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、及び、ホルムアルデヒ
    ドからなる群より選ばれた少なくとも1種の分子を用
    い、これを水素還元又は水素化分解する、請求項1に記
    載した多重結合分子の水素化方法。
  9. 【請求項9】 Cn (但し、nは幾何学的に球状化合物
    を形成し得る整数である。)で表されるフラーレン分子
    及び/又はその重合体と、これらの化合物とから選ばれ
    た少なくとも1種と;これを担持する担体と;からなる
    水素化触媒を用い、水素原子供給物質の存在下、光エネ
    ルギーの作用によって、多重結合を有する炭素含有物質
    を水素化してメタンを生成する、メタンの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記炭素含有物質として二酸化炭素、
    前記水素原子供給物質として水分子をそれぞれ用い、こ
    の水分子の分解によって生じる水素原子によって前記二
    酸化炭素を水素化して、主としてメタンを生成する、請
    求項9に記載したメタンの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記担体を煤とする、請求項9に記載
    したメタンの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記水素化触媒を、グラファイトのア
    ーク放電によって生じたフラーレン分子を含む煤とす
    る、請求項9に記載したメタンの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記の水素化反応を、常温、常圧下で
    進行させる、請求項9に記載したメタンの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記光エネルギーとして、太陽光と同
    等の強度の光エネルギーを作用させる、請求項9に記載
    したメタンの製造方法。
  15. 【請求項15】 少なくとも1部に光透過部が設けられ
    ている容器内に、前記水素化触媒を配し、前記水素原子
    供給物質のガスと前記炭素含有物質のガスとを導入して
    前記の水素化反応を行う、請求項9に記載したメタンの
    製造方法。
  16. 【請求項16】 前記炭素含有物質として、二酸化炭
    素、シアン化水素、アセチレン、一酸化炭素、イソシア
    ン酸、シアナミド、二硫化炭素、及び、ホルムアルデヒ
    ドからなる群より選ばれた少なくとも1種の分子を用
    い、これを水素還元又は水素化分解する、請求項9に記
    載したメタンの製造方法。
  17. 【請求項17】 Cn (但し、nは幾何学的に球状化合
    物を形成し得る整数である。)で表されるフラーレン分
    子及び/又はその重合体と、これらの化合物とから選ば
    れた少なくとも1種と;これを担持する担体と;からな
    る、水素化触媒。
  18. 【請求項18】 前記担体が煤である、請求項17に記
    載した水素化触媒。
  19. 【請求項19】 前記水素化触媒が、グラファイトのア
    ーク放電によって生じたフラーレン分子を含む煤であ
    る、請求項17に記載した水素化触媒。
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