JP2000062774A - 保温断熱容器 - Google Patents

保温断熱容器

Info

Publication number
JP2000062774A
JP2000062774A JP10229858A JP22985898A JP2000062774A JP 2000062774 A JP2000062774 A JP 2000062774A JP 10229858 A JP10229858 A JP 10229858A JP 22985898 A JP22985898 A JP 22985898A JP 2000062774 A JP2000062774 A JP 2000062774A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paper
heat
heat insulating
density
pulp
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10229858A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Mikado
秀幸 見門
Yasuhiro Fujimoto
康弘 藤本
Yoshiyuki Asayama
良行 浅山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Paper Co Ltd
Priority to JP10229858A priority Critical patent/JP2000062774A/ja
Publication of JP2000062774A publication Critical patent/JP2000062774A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rigid Containers With Two Or More Constituent Elements (AREA)
  • Packages (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】断熱効果の優れた紙製容器を提供する。 【解決手段】紙製の側壁及び紙製の底部からなるカップ
と前記側壁外面に貼着あるいは積層された基材を含む保
温断熱容器において、該基材が低密度紙を少なくとも一
層含み、オモテ面およびまたは裏面にエンボス加工した
積層体であることを特徴とする保温断熱容器とする。ま
た、該基材が、該積層体に、印刷層、熱可塑性合成樹脂
フィルムをこの順に積層させてなることを特徴とする保
温断熱容器であり、該低密度紙が密度0.1〜0.45
g/cm3であることを特徴とする保温断熱容器であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてインスタ
ントラーメン等の即席麺類、または、お茶、コーヒー、
スープ、シチュー、みそ汁等のように主に熱湯を注ぐこ
とにより飲食できる食品の容器、さらにファーストフー
ド、持ち帰り弁当、中華饅頭など保温性と断熱性が必要
とされる食品の容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、上記の食品容器には、発泡ポ
リスチレン製容器が断熱性、保温性に優れ、成形、加工
性もよく、さらに安価なため多用されているが、最近に
なり省資源、環境保護、環境問題への関心が高まり、家
庭ゴミとして廃棄する際に焼却処理が容易であり、また
土壌中の微生物による生分解が可能である紙を主体とす
る食品容器への要望が高まってきている。
【0003】紙基材を主体とするこの種の容器としては
紙基材上に少なくとも、片面にポリエチレン等の熱可塑
性樹脂をラミネートしたものが、使用されているが、断
熱性が低く、容器を持つ手に直接熱が伝わり、熱くて持
ちにくい、或いは保温性が劣り、内容物の温度が急激に
低下する、或いは容器が軟化して容器の強度が低下する
などという問題があった。
【0004】これらを改善する手段として、カップ本体
と外壁の間に断熱空気層を設ける方法が、提案されてい
る。たとえば、特開平4−201840号公報では胴部
上方周壁に段差を設け、外側からカップ胴部に板紙を巻
き付けて空隙を形成した紙容器が提案されている。
【0005】また実開平4−45212号公報では、カ
ップ本体の底部に内向きカールさせた外周紙を用い断熱
空気層を設ける方法が提案されている。さらに特開平7
−223683号公報にはカップ本体の胴部外壁面状の
円周上に帯状突起を設け外壁面との間に断熱空気層を設
ける方法が提案されている。
【0006】しかしながら上述の空気断熱層を設ける方
法ではいずれも空隙を多くして空気断熱層を設けている
が故にカップを手にしたときこれらの空隙が潰れてしま
い、断熱効果が弱くなってしまう問題があった。そのた
め使用する原紙の強度を強くするために、原紙坪量を上
げて対応せざるを得ず、首記の省資源の目的を達成でき
ない問題があった。
【0007】内容物の温度を直接指に伝わらないように
するとともに容器の強度を向上させるため、容器の胴部
の外面に多数のリブを付設する方法として特開昭51−
2576号公報に提案されているが、この方法ではリブ
の凸部の温度は低く保たれ、容器を持つ手に熱が伝わり
にくいものの、リブ部が冷却フィンのような機能を果た
すため保温性という意味では劣っていた。またリブ部と
の段差によって見栄えと印刷性に劣るという問題があっ
た。
【0008】そこで、リブ及びエンボス処理した紙をカ
ップ外周に貼付しさらに最外周に外層紙を貼り付ける方
法が実開平6−65279号公報と実開平6−3971
7号公報に提案されているが、これは内層シートをリブ
及びエンボス処理し、さらに外層に別なシートを巻き付
けるものである。これはシートにエンボスすると空気断
熱層を形成することが出来、断熱性が向上するという考
えに基づいているが、密度0.5g/cm3以上の通常
の紙では、成形性の関係から、基本的に表裏は同一パタ
ーンの雄雌のエンボス型のみでしかエンボス形成できな
いため、断熱性に効果的なエンボス処理をシートに行う
と、シート表面は凹凸を有し、後印刷は出来ずに、見栄
えとスタッキング性が悪くなる。このため、さらに外層
には表面性に留意した別の表面性を有するシートを別貼
する必要が出てきてしまう。これは容器を構成する部品
点数が増え、重量増になり首記の省資源の目的を達成で
きないなどの問題があった。
【0009】このことに加え、さらに、これらの前述の
紙容器はいずれも最外層紙表面に直接印刷するか、耐水
性能を出すために、ニス引きする方法を取っているた
め、インクが表面に暴露された状態となっている。近
年、印刷インク中の可塑剤やゴムロールのゴムに使用す
る可塑剤の成分のフタル酸化合物が内分泌撹乱物質、い
わゆる環境ホルモンとして環境庁環境保健部環境安全課
資料による内分泌撹乱作用を有すると疑われる化学物質
約70個の中に入り、環境調査結果でも検出事例が報告
されており、紙表面への印刷、ニス引き処理時にこれら
の物質が直接人間の口にはいる問題点が指摘され、新た
な問題点となってきている。
【0010】このため最外層に熱可塑性合成樹脂フィル
ムを融着貼付させるという牛乳の紙パック等では従来か
ら使用されている手法が、これらの問題を回避させる方
法として考えられる。しかしながら、この場合、表面が
さらに平滑化され、カップの熱が指先に伝わりやすくな
ってしまう問題が発生するようになった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は保温性と断熱
性が必要とされる食品の容器に関し、保温性と断熱性を
有するだけでなく、容器強度を維持し、かつ、食品を食
するときに、安全であり、印刷性、見栄え等の商品性を
損なうことなく、複雑な製造工程を経ずに製造され、さ
らに廃棄する際の易廃棄性と環境負荷の少ないことを特
徴とする紙カップを提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の構成を取
る。 1.紙製の側壁及び紙製の底部からなるカップと前記側
壁外面に貼着あるいは積層された基材を含む保温断熱容
器において、該基材が低密度紙を少なくとも一層含み、
オモテ面およびまたは裏面にエンボス加工を施した積層
体であることを特徴とする保温断熱容器で、さらに、
2.上記基材が熱可塑性合成樹脂フィルムを印刷面を覆
って最外面に融着した積層体であることを特徴とし、
3.該低密度紙は密度が0.1〜0.45g/cm3
あることを特徴とし、4.前記基材のエンボス処理が、
オモテ面と裏面において異なる高さ、ピッチを有するこ
とを特徴とし、5.オモテ面のエンボス形状は、その断
面構造がサイクロイド曲線状で凸部分からのみ形成さ
れ、6.ウラ面のエンボス形状は、その断面構造がサイ
クロイド曲線状で凹部分からのみ形成されることを特徴
とする保温断熱容器である。さらに、7.前記オモテ面
のエンボス形状が、高さ0mm〜1.5mm、ピッチ0
mm〜4.0mmであることを特徴とする保温断熱容器
であり、8.前記ウラ面のエンボス形状が、高さ0.5
mm〜2.0mm、ピッチ1.5mm〜7.0mmであ
ることを特徴とする保温断熱容器である。
【0013】
【発明の実施の形態】発明者らは保温性と断熱性が必要
とされる食品の容器に関し、保温性と断熱性を有するだ
けでなく、容器強度を維持し、かつ、食品を食するとき
に、安全であり、印刷性、見栄え等の商品性を損なうこ
となく、複雑な製造工程を経ずに製造され、さらに廃棄
する際の易廃棄性と環境負荷の少ないことを特徴とする
紙カップを提供する方法について鋭意検討した結果、断
熱性能を発揮するために熱を遮断する断熱空気層を設
け、かつ、指先に存在する熱感知センサーの温熱点との
接触面積を小さくするために表面に凹凸を形成すること
が有効でこれらを効率的に実施するためには、熱伝導が
低く、かつエンボス成形しやすい低密度紙を使用するこ
とがよいことを見いだし、本発明に至った。
【0014】本発明で使用される低密度紙とは、その密
度が0.1〜0.45g/cm3、好ましくは0.15
〜0.35g/cm3である紙をいう。低密度紙は密度
0.1g/cm3未満であると繊維の結合力を極端に落
とさざるを得なくなり抄紙することが困難である。一方
密度0.45g/cm3を超えると、低密度紙としての
伸縮性が保持できず、エンボス成形時に、亀裂や皺が発
生しやすくなる。
【0015】再現性の高い印刷性能を持たせることと印
刷面が直接、人間の口に接することの無いようにするた
めに熱可塑性合成樹脂フィルムを印刷面上に融着させる
か、または熱可塑性合成樹脂フィルムの裏面に印刷させ
た後、融着させることもできる。
【0016】さらに、前記側壁外面に貼着あるいは積層
された基材がエンボス処理され、エンボス形状はオモテ
面と裏面において異なる高さ、ピッチを有する。オモテ
面のエンボスの断面形状はサイクロイド曲線状の凸形状
で形成され、一方、裏面のエンボスの断面形状はサイク
ロイド曲線状の凹形状で形成される。前記オモテ面のエ
ンボス形状は、高さ0mm〜1.5mm、ピッチ0mm
〜4.0mmであり、前記ウラ面のエンボス形状は、高
さ0.5mm〜2.0mm、ピッチ1.5mm〜7.0
mmであることが好ましい。
【0017】すなわち、オモテ面のエンボス形状は凸部
のみにして指先との接触面積を小さくし、オモテ面を持
ったときに指先で熱く感じにくいようにし、ウラ面のエ
ンボス形状は凹部のみとしてして、ウラ面に断熱空気層
となるセル状の空気室を形成し、熱を遮断することを可
能とすると効率的に断熱保温性を付与させることが可能
ならしめることに至った。これらは、密度が0.1〜
0.45g/cm3、好ましくは0.15〜0.35g
/cm3の低密度紙を使用してのみ可能である。
【0018】紙の伸縮性は、パルプ繊維の間にある水素
結合の数に依存することから、鋭意検討した結果、これ
ら水素結合を極力少なくした、低密度紙がエンボス時の
型に対する追従性は良好となり、表裏で異なるエンボス
処理をしても、型の形状に追従して成形できることを見
出した。
【0019】低密度紙としては、カールドフアイバーを
含む紙シート、発泡性粒子を発泡させた紙シート、機械
パルプおよびまたはパルプフリーネスが550〜800
ml・CSFの晒しクラフトパルプを含む紙シートなど
をあげることができる。
【0020】これらを用いた低密度紙は、凝集剤を用い
て抄紙するとより低密度の紙とすることができる。無機
凝集剤として、硫酸アルミニウムや、ポリ塩化アルミニ
ウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄等、通常の製紙にお
いて薬剤定着や微細繊維の凝集促進に使用されているも
のが適宜利用でき、無機凝集剤を対パルプ重量比で3.
0〜15.0%添加したものであり、さらにアニオン性
歩留向上剤(高分子凝集剤)またはパルプの親水基に作
用して、水素結合を阻害する界面活性剤の少なくともい
ずれ一方が対パルプ重量比で0.5〜1.5%含まれる
パルプスラリーで、該パルプスラリーのpHがpH3.
5〜6.0の範囲で抄紙するのがよい。
【0021】この方法で低密度紙が得られるのは、パル
プスラリーに無機凝集剤を添加したことにより、無機凝
集剤による荷電中和作用で、繊維がフロック凝結を作
り、次いでアニオン性歩留向上剤によりフロック凝結し
た繊維が凝集を起こして三次元構造体を作るため、抄紙
後のパルプの構造が三次元の嵩高いものとなり低密度化
することができるためであると推定される。また、パル
プの親水基に作用して、水素結合を阻害する界面活性剤
を添加した場合にも、表面に出た疎水性部分がパルプ同
士の結合を阻害し、離水性を向上させ、同様に低密度化
させることができ、無機凝集剤と界面活性剤の両者を併
用すると効果的である。
【0022】発泡粒子を含む低密度紙は、パルプを主体
にした繊維材料に、液体を芯物質とする発泡性微粒子を
添加し、湿紙紙力剤、乾紙紙力剤、サイズ剤、填料、顔
料等を必要に応じ添加して、まず湿紙を製造する。その
後、紙の水分量を所定量(65〜72重量%)に調整後
にドライヤーマシーン上で乾燥と同時に発泡を行うか、
または発泡性微粒子の発泡温度以下の温度で乾燥を行
い、その後再び含水させて水分量を所定量に調整した後
加熱処理を行うことによって低密度紙を得ることができ
る。
【0023】使用する発泡性微粒子は、マイクロカプセ
ル内に低沸点溶剤を封入した熱膨張性マイクロカプセル
である。このカプセルは、80〜200℃の比較的低温
度で短時間の加熱により、直径が約4〜5倍、体積が5
0〜100倍に膨張する平均粒径10〜30μmの粒子
である。イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサ
ン、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシラン等の揮発
性有機溶剤(膨張剤)を塩化ビニリデン、アクリロニト
リル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の
共重合体から成る熱可塑性樹脂膜で包み込んだものであ
り、マイクロカプセルが膜ポリマーの軟化点以上に加熱
されると膜ポリマーが軟化しはじめ、同時に内包されて
いる膨張剤の蒸気圧が上昇し、膜が押し広げられてカプ
セルが膨張する。
【0024】熱膨張性マイクロカプセルは比較的低温、
短時間で膨張して独立気泡を形成し、断熱性に優れた基
材を提供でき、また比較的扱い易いので、本用途には最
適である。これら発泡性微粒子として、マツモトマイク
ロスフェアーF−30D、同F−30GS、F−20
D、F−50D、F−80D(松本油脂製薬(株)
製)、エクスパンセルWU、同DU(スウェーデン製、
販売元日本フィライト(株))が知られているが、もち
ろんこれらに限定されるわけではない。
【0025】発泡性微粒子の配合量は、パルプ繊維10
0重量部に対して1〜40重量部、好ましくは3〜20
重量部であり、1重量部未満では十分な発泡が得られ
ず、40重量部を越えることは経済性の面からあまり適
当とはいえない。パルプスラリーにはその他に、前述の
ように各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性ある
いは両性の歩留向上剤、紙力増強剤、サイズ剤等が適宜
選択して使用できる。
【0026】カールドフアイバーを含む低密度紙のパル
プであるカールドフアイバーは、形態的には長いパルプ
繊維にカールや捻れの様な変形が機械的処理(例えばニ
ーダーなどによる高濃度処理)や架橋反応によって恒久
的に付与され、曲折し、元の繊維と比べてみかけの長さ
が小さいパルプのことである。これらカールドフアイバ
ーには公知のものが使用できる。例えば炭素数2〜8ジ
アルデヒド並びに酸官能基を有する炭素数2〜8のモノ
アルデヒドを用いてセルロース繊維の内部を架橋させた
平均保水度28%〜50%のセルロース系架橋繊維(特
公平5―71702号公報)、炭素数2〜9のポリカル
ボン酸をもちいてセルロース系繊維を内部架橋させた、
保水度25%〜60%の架橋繊維(特開平3―2061
74号、特開平3―206175号、特開平3―206
176号公報)、さらには市販のもの(例えば、米国ウ
エハウザー社製、商品名:HBA−FF)等が上げら
れ、適宜選択して使用できる。
【0027】これらの架橋繊維は、製造する際に、パル
プ繊維に架橋材を添加した後、機械撹拌を施し、次いで
フラッフ化と加熱処理を行い、繊維に変形を付与したま
ま固定することにより湿潤カールファクターの大きいカ
ールドファイバーを得ることができる。本発明の低密度
紙を製造するには、カールドファイバーと微細繊維化し
たパルプや紙力増強剤を混合したパルプをワイヤー網に
て抄紙し、脱水・乾燥する。
【0028】これに用いる紙力増強剤には、尿素ホルム
アルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリ
アミド尿素ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂、ポリア
ミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミンエ
ピクロルヒドリン樹脂、グリセロールポリグリシジルエ
ーテル樹脂、ポリエチレンイミン樹脂等を挙げることが
できる。これら紙力増強剤を2種以上併用してもよい。
【0029】機械パルプを含む紙シートに用いるパルプ
には、GP、RGP、TMP、CGPなどがある、これ
らは、リグニン残量が多く、繊維表面にリグニン膜が残
存するため、繊維間結合が弱くなる。これゆえ化学パル
プに比べ緻密な構造になりにくく、強度は弱くなるが、
嵩高で低密度な構造をとる。
【0030】GPは砕木パルプで、グラインダーによ
り、摩砕、粗選、精選、除塵の工程でパルプとなる。パ
ルプは長繊維が少なく、ファインと呼ばれる0.2mm
以下の繊維分が多いため、クッション性のある低密度な
シートができる。RGPは製材工場等で発生する端材な
どを使用するものであり、リファイナーを用い、摩砕、
パルプ化する。
【0031】TMPは蒸気加熱処理とリファイニング処
理によるパルプ化法で、加熱、加圧、スチーミング条件
により繊維の解繊状態を制御することができる。リファ
イニングする時の温度がリグニンのガラス転移点以上に
なるとリグニンが軟化し、繊維がダメージを受けること
なく少ないエネルギーで分離される。この結果、リグニ
ンが繊維表面に残存し、嵩高なシートができる。また、
チップを化学処理して、その後に加圧下でリファイニン
グするCTMP法もある。さらに、SCP、CGP法と
呼ばれる、化学処理後にリファイニング処理を行う方法
もある。
【0032】フリーネスが550〜800ml・CSF
の晒しクラフトパルプは、前述の機械パルプに比較して
一般に緻密なシートになりやすいが、前記の凝集剤など
との組合せで嵩高な低密度紙とすることができる。
【0033】もちろんこれら低密度紙に使用されるパル
プは単独で使用する必要はなく、目的とする剛性、寸法
安定性、軽量性などによって、NBKP、LBKP、ミ
クロフイブリル化パルプなど汎用のパルプを混抄して使
用することができる。低密度紙は水素結合が少ない。こ
のため剛性が極端に不足する場合がある。そのため低密
度紙だけで目的の積層体を得ることもできるが、必要な
剛性を得るためには、低密度紙を多層に積層することも
可能である。
【0034】これらの低密度紙は、エンボス成形型で成
形する際、0.45g/cm3を越える密度のシートに
くらべ繊維間の結合力が弱いためエンボス成形に対する
追従性が非常に良い。密度上昇を押さえ、今までにない
エンボス設計を可能とする。すなわち、従来同一の表面
形状をもち凹凸をなすエンボス成形型の雄型と雌型の形
状を異なるものとすることが出来る。これはエンボスを
形成する凹凸形状のピッチ、深さを少なくとも2種類以
上として、エンボス形状をオモテ面と裏面において異な
る高さ、ピッチとさせることで、オモテ面は持ったとき
に指先で熱く感じにくいようにし、ウラ面は断熱空気層
となるセル状の空気室を形成し、熱を遮断することを可
能とするものである。
【0035】エンボスによるセルの形状は、ピラミッド
状のコンベンショナル型、ドーム状のお椀型、波状のコ
ルゲート型等様々な形状があるが、断面形状がサイクロ
イド状に片方向にのみ、へこむか、飛び出る形状であれ
ばかまわない。ウラ面は断熱空気層となる空気室を形成
させるため、体積効率から網目格子状でセルを形成しか
つ、そのセル形状はピラミッド状のコンベンショナル型
かお椀状のドーム型が適当である。
【0036】
【実施例】以下実施例について述べる。濃度、配合、塗
布量等を示す数値は、固型分重量もしくは有効成分重量
基準の数値である。
【0037】評価試験方法 1.断熱適性試験 20℃65%RH環境下にカップを24時間放置したの
ち、カップに95℃の温水を入れ3分後カップを手で持
って、熱く感じ、容器から指の位置を変えるまでに至る
時間を断熱時間として測定する。これらの時間範囲で○
〜×〜△の5段階評価とする。試験者による測定誤差を
少なくするために、3人以上で測定し平均データを採用
する。触感は熱湯注入3分後、手でカップを保持できる
時間を評価。 ○:60sec以上、 ○△:45〜60sec、 △:30〜45
sec △×:15〜30sec、 ×:15sec以下
【0038】2.成形性の評価 それぞれピッチと高さを規定したエンボス型で成形し、
○△×の3段階評価とする。 ○:シワ、ヤブレがなく良好。△:わずかに成形体には
シワがあるが見分けがつかない。×:シワがあり、破れ
た部分が発生した。
【0039】低密度紙の製造方法 1.カールドフアイバーを用いた低密度紙 市販のカールドフアイバー(商品名:NHB416、米
国ウェハウザー社製):NBKPパルプを100対20
の重量比で混合したパルプスラリーを650ml・CS
Fまでナイアガラビーターで叩解した。固形分濃度0.
5%まで稀釈撹拌して円網抄紙機で抄紙し米坪200g
/m2、密度0.2g/cm3の低密度紙を得た。
【0040】2.発泡剤を用いた低密度紙 カナダ標準濾水度(CSF)450mlに叩解した広葉
樹晒パルプ(LBKP)80%とカナダ標準濾水度(C
SF)470mlに叩解した針葉樹晒パルプ(NBK
P)20%とから成るパルプ(100%)を分散したパ
ルプスラリーに、パルプ重量に対し、発泡性マイクロカ
プセル粒子(松本油脂製薬(株)製、商品名マツモトマ
イクロスフェアーF−30D、粒子径10〜20μm、
最高発泡温度130℃)10%、乾燥紙力増強剤(荒川
化学工業(株)製、商品名ポリストロン117)0.2
%、カチオン化澱粉(王子ナショナル社製、商品名CA
TO−15)1.0%、アルキルケテンダイマー系サイ
ズ剤(荒川化学工業(株)製、商品名サイズパインK9
03)0.03%、湿潤紙力増強剤(DICハーキュレ
ス社製、商品名カイメン557H)0.4%をよく攪拌
しながら添加し、パルプ濃度0.03%、PH7.3に
調整し、インレット原料とした。得られたインレット原
料を用いて円網抄紙機により抄紙し、ヤンキードライヤ
ーで発泡、乾燥した後、連続の多筒式ドライヤーで乾燥
し、坪量150g/m2、厚さ2mm、密度0.14g
/cm3の発泡紙を得た。
【0041】3.機械パルプを用いた低密度紙 TMPパルプを離解して得た0.5%のパルプスラリー
に、対パルプ重量比で7%の硫酸アルミニウム及び対パ
ルプ重量比で0.5%のアニオン性コロイダルシリカ
(日産エカケミカル製BMA−780)を添加し、pH
5.0の原料から米坪200g/m2、密度0.25g
/cm3の低密度紙を調整した。
【0042】4.晒しクラフトパルプを用いた低密度紙 NBKPを離解してパルプフリーネスを750ml・C
SFとして得た1%重量部のパルプスラリーに、対パル
プ重量比で7%の硫酸アルミニウムおよび対パルプ重量
比で0.5%の非イオン性界面活性剤(花王製KB08
T)を添加し、pH5.0の原料から米坪200g/m
2、密度0.25g/cm3の低密度紙を調整した。
【0043】本発明のカップの作成方法について述べ
る。
【0044】実施例1 低密度紙の製造方法1に基づいて作成した米坪200g
/m2、密度0.25g/cm3の低密度紙シートとあら
かじめオフセット印刷した米坪60g/m2の印刷用紙
を低密度紙/印刷用紙 の構成となるよう重ね合せて厚
さ15μmのポリエチレンで融着ラミネートし積層体と
した。この積層体をオモテ面のエンボス形状が、高さ
0.5mm、ピッチ1.5〜2.0mmとなるような雌
型で、ウラ面のエンボス形状は、高さ1.7mm、ピッ
チ2.5mmとなるような雄型の成形ブロックに挟み込
み5kgf/cm2で加圧成形した。その後この積層体
をポリエチレン40μmを内壁に融着ラミネートした2
10g/m2の上質紙からなるカップ本体の側壁に酢酸
ビニル系糊で貼着させ目的のカップを得た。
【0045】実施例2 低密度紙として、低密度紙の製造方法2による低密度紙
を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
【0046】実施例3 低密度紙として、低密度紙の製造方法3による低密度紙
を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
【0047】実施例4 低密度紙として、低密度紙の製造方法4による低密度紙
を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
【0048】比較例1 米坪230g/m2のライナーシートをあらかじめオフ
セット印刷し、その後このシートをポリエチレン40μ
mで内壁部に融着ラミネートした210g/m2の上質
紙からなるカップ本体の側壁の外周に、幅1.0mmで
カップ上縁から20mm位置でピーター線による突起部
を設け酢酸ビニル系糊で貼着させてカップを得た。
【0049】比較例2 米坪230g/m2、密度0.75g/cm3のライナー
をあらかじめオフセット印刷し、オモテ面のエンボス形
状が高さ、0.1mm、ピッチ1.0mmとなるような
雄雌型で、エンボス処理し、120g/m2の晒しクラ
フト紙に交互に等間隔に配置された直径3.5mmの円
形凹部と隣接する凸部からなる格子状エンボスを、高さ
2.0mmとなるように設定し、その後この晒しクラフ
ト紙をポリエチレン40μmを内壁に融着ラミネートし
た210g/m2の上質紙からなるカップ本体と前述の
ライナーと間に酢酸ビニル系糊で貼着させカップを得
た。
【0050】比較例3 米坪230g/m2、密度0.75g/cm3のライナー
をあらかじめオフセット印刷し、オモテ面のエンボス形
状が交互に等間隔に配置された直径3.5mmの円形凹
部と隣接する凸部からなる格子状エンボスで高さ、2.
0mmとなるように設定し、その後このライナーをポリ
エチレン40μmを内壁に融着ラミネートした210g
/m2の上質紙からなるカップ本体の側壁部に酢酸ビニ
ル系糊で貼着させカップを得た。
【0051】比較例4 米坪230g/m2、密度0.75g/cm3のライナー
をあらかじめオフセット印刷し、オモテ面のエンボス形
状が交互に等間隔に配置された直径3.5mmの円形凹
部と隣接する凸部からなる格子状エンボスで高さ、2.
0mmとなるように設定し、その後このライナーをポリ
エチレン40μmを内壁に溶着ラミネートした210g
/m2の上質紙からなるカップ本体の側壁部に酢酸ビニ
ル系糊で貼着させカップを得た。
【0052】比較例5 米坪180g/m2の晒しクラフト紙に凹凸をつけ、凹
部である溝の深さを上部1.1mmから下部1.9mm
と徐々に深くなるよう設定し、凸部の幅広部分の幅は上
部9.3mmから下部6.5mmとし、この晒しクラフ
ト紙をポリエチレン40μmを内壁に融着ラミネートし
た210g/m2の上質紙からなるカップ本体に酢酸ビ
ニル系糊で貼着させカップを得た。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】本発明のカップは保温性と断熱性を有す
るだけでなく、印刷性、見栄え等の商品性を損なうこと
なく、廃棄する際の易廃棄性と環境負荷の少ない紙カッ
プであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の、エンボス部分の断面概念
図を示す。
【図2】従来のエンボス部分の断面概念図を示す。
【符号の説明】
1.オモテ面の凸部 2.裏面の凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E061 AA26 AB15 AD07 3E067 AA03 AB26 AC01 BA07A BB01A BB03A BB25A BB26A CA18 EE02 EE07 GA11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紙製の側壁及び紙製の底部からなるカップ
    と前記側壁外面に貼着あるいは積層された基材を含む保
    温断熱容器において、該基材が低密度紙を少なくとも一
    層含み、オモテ面およびまたは裏面にエンボス加工した
    積層体であることを特徴とする保温断熱容器。
  2. 【請求項2】該基材が、該積層体に、印刷層、熱可塑性
    合成樹脂フィルムをこの順に積層させてなることを特徴
    とする請求項1記載の保温断熱容器。
  3. 【請求項3】該低密度紙が密度0.1〜0.45g/c
    3であることを特徴とする請求項1または2記載の保温
    断熱容器。
  4. 【請求項4】該基材のエンボス形状がオモテ面と裏面に
    おいて異なる高さ、ピッチを有することを特徴とする請
    求項請求項1〜3のいずれか1項記載の保温断熱容器。
  5. 【請求項5】前記エンボス形状に於いて、オモテ面のエ
    ンボスの断面形状はサイクロイド曲線状の凸形状で形成
    されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
    項記載の保温断熱容器。
  6. 【請求項6】前記エンボス形状に於いて、裏面のエンボ
    スの断面形状はサイクロイド曲線状の凹形状で形成され
    ていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記
    載の保温断熱容器。
  7. 【請求項7】前記オモテ面のエンボス形状が、高さ0m
    m〜1.5mm、ピッチ0mm〜4.0mmであること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の保温断
    熱容器。
  8. 【請求項8】前記ウラ面のエンボス形状が、高さ0.5
    mm〜2.0mm、ピッチ1.5mm〜7.0mmであ
    ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の
    保温断熱容器。
JP10229858A 1998-08-14 1998-08-14 保温断熱容器 Pending JP2000062774A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10229858A JP2000062774A (ja) 1998-08-14 1998-08-14 保温断熱容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10229858A JP2000062774A (ja) 1998-08-14 1998-08-14 保温断熱容器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000062774A true JP2000062774A (ja) 2000-02-29

Family

ID=16898805

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10229858A Pending JP2000062774A (ja) 1998-08-14 1998-08-14 保温断熱容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000062774A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW508334B (en) Molding base paper and molded paper vessel produced from it
US6379497B1 (en) Bulk enhanced paperboard and shaped products made therefrom
US6919111B2 (en) Coated paperboards and paperboard containers having improved tactile and bulk insulation properties
AU2001233066B2 (en) Low density paperboard articles
EP1939099A1 (en) Method for forming a rim and edge seal of an insulating cup as well as the cup obtained.
US20060057365A1 (en) Coated paperboards and paperboard containers having improved tactile and bulk insulation properties
JP4039006B2 (ja) 絞り成形加工用原紙及びそれを用いた紙製成形容器
KR100858041B1 (ko) 성형가공 원지 및 그로부터 제조되는 성형가공된 종이용기
JP2007016380A (ja) 成形加工原紙及びそれを用いた紙製成形容器もしくはその製造方法
US20220333312A1 (en) Tissues and Paper Towels Incorporating Surface Enhanced Pulp Fibers and Methods of Making the Same
JP4023124B2 (ja) 紙製成形容器及びその製造方法
CA3150290A1 (en) PAPER PRODUCTS COMPRISING SURFACE ENHANCED PULP FIBERS AND HAVING DECOUPLED WET AND DRY STRENGTHS AND METHODS OF MAKING THEM
JP2002266294A (ja) 成形容器用原紙及びそれを用いた成形容器
JP2000062773A (ja) 保温断熱容器
JP2018131715A (ja) 水分吸収シート用原紙および水分吸収シート
JP2000062774A (ja) 保温断熱容器
JP3912066B2 (ja) 成形加工原紙
JP4206575B2 (ja) 保温断熱容器
JP3024591B2 (ja) 発泡体粒子混抄紙
JP3997713B2 (ja) 成形加工原紙
JP2000062772A (ja) 保温断熱容器
JP2566801Y2 (ja) 保温性食品容器用シート
JP3970173B2 (ja) パルプモールド成形体の製造方法
JP2000281045A (ja) 保温断熱容器
JPH0582814U (ja) 保温性食品容器