JP2000052507A - 積層成形体 - Google Patents

積層成形体

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JP2000052507A
JP2000052507A JP10221943A JP22194398A JP2000052507A JP 2000052507 A JP2000052507 A JP 2000052507A JP 10221943 A JP10221943 A JP 10221943A JP 22194398 A JP22194398 A JP 22194398A JP 2000052507 A JP2000052507 A JP 2000052507A
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resin
ethylene
peak
density
temperature
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JP10221943A
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English (en)
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Yoshiko Shichijo
佳子 七條
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Japan Polychem Corp
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Japan Polychem Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内容物の香気物質の減量が少ないなどの保香
性に優れ、ヒートシール強度、衝撃強度、耐寒性、耐薬
品性などにも優れた容器や包装材料用の積層成形体を提
供することを課題とする。 【解決手段】 MFRが1〜50g/10分であり、密
度が0.91〜0.97g/cmであり、X線回折法
にて測定された結晶化度(Xc)と密度(D)との関係
が[Xc≧500D−430]を満たし、TREF溶出
曲線中のピーク温度が60℃以上、該ピークの高さをH
としその2分の1の高さにおける該ピークの幅をWとし
たときのH/Wの値が3以上、且つ前記Wを温度幅とし
て表したとき該温度幅が20℃を超えないことを特徴と
するエチレン系重合体からなる層と、熱可塑性樹脂から
なる層とを積層して、積層成形体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は2以上の層から構成
される積層成形体に関する。詳しくは、本発明は、保香
性に優れ、且つヒートシール強度、耐衝撃性、耐寒性、
耐薬品性等にも優れる積層成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】シャンプー、リンス、石鹸、入浴剤、芳
香剤、洗剤等を内容物として収容するための各種包装用
フィルムやボトル等の容器などは、その内容物の特性か
ら、耐薬品性や、内容物中の香気物質の減量を少なく抑
える保香性といった製品性能を要求される。
【0003】このような容器の素材として、従来より、
エチレン系重合体を用いることが検討されてきた。その
中で、高密度ポリエチレン(以下、「HDPE」とい
う)を使用することが多く検討されているが、HDPE
を用いると、耐薬品性や保香性はエチレン系重合体の中
では優れるものの、耐衝撃性や耐寒性は各段に低く、ま
た、不透明で内容物が見えない、ヒートシール加工に不
利である、などの問題があった。
【0004】一方、高圧法低密度ポリエチレン(以下、
「LDPE」という)は、透明性もありヒートシールも
可能で、加工もしやすい材料であるが、香気物質が樹脂
中に吸着されたり外部へ透過したりする割合が大きいた
め、保香性は悪く、耐寒性も不充分であった。
【0005】更に、これらHDPEやLDPEに代え
て、線状低密度ポリエチレン(以下、「LLDPE」と
いう)を用いることが検討されたが、LLDPEは、強
度、耐寒性等の面ではHDPEやLDPEと比較して優
れるものの、保香性や耐薬品性はLDPEと同様に悪
く、実用には供し得なかった。
【0006】従って、耐薬品性や保香性を満足し、かつ
成形体としての物性にも優れた総合的な性能バランスを
有するものは、未だ得られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、内容物の香
気物質の減量が少ないなどの保香性に優れ、且つヒート
シール強度、耐衝撃性、耐寒性、耐薬品性等にも優れる
積層成形体を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、特定のエチレン系重合体からなる層を有する
積層成形体とすることにより、上記課題を解決しうるこ
とを見出し、本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明は、以下に示す性状
(1)〜(4)を備えたエチレン系重合体からなる層
と、熱可塑性樹脂からなる層とを少なくとも有する積層
体により構成される積層成形体を提供する。
【0010】(1)メルトフローレートが1〜50g/
10分であること。 (2)密度が0.91〜0.97g/cmであるこ
と。 (3)X線回折法にて測定された結晶化度(Xc)と密
度(D)との関係が以下の式(I)を満たすこと。
【0011】
【数3】Xc≧500D−430 ・・・(I)
【0012】(4)温度上昇溶離分別によって得られる
溶出曲線中のピーク温度が60℃以上であり、該ピーク
の高さをHとしその2分の1の高さにおける該ピークの
幅をWとしたときのH/Wの値が3以上であり、且つ前
記Wを温度幅として表したとき該温度幅が20℃を超え
ないこと。
【0013】また、本発明は、前記エチレン系重合体
の、四塩化炭素に対する膨潤度(Sw)と密度(D)と
の関係が、密度が0.93g/cm未満の場合には以
下の式(II)を満たし、密度が0.93g/cm以上
の場合には以下の式(III)を満たすことを特徴とする
前記積層成形体を提供する。
【0014】
【数4】Sw≦750D−677 ・・・(II) Sw≦20 ・・・(III)
【0015】また、本発明は、前記エチレン系重合体
の、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と
の比(Mw/Mn)が4以下であることを特徴とする前
記積層成形体を提供する。
【0016】また、本発明は、前記熱可塑性樹脂が、エ
チレン系樹脂、プ□ピレン系樹脂、ビニルアルコール系
樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビ
ニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、及びポリス
チレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であ
ることを特徴とする前記積層成形体を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明の積層成形体は、エチレン系重合体
からなる層(以下、「第1層」とする)と、熱可塑性樹
脂からなる層(以下、「第2層」とする)とを少なくと
も有する積層体により構成されている。
【0018】I.第1層 第1層を構成する材料であるエチレン系重合体は、以下
に示す性状(1)〜(4)を満たすものである。
【0019】(1)メルトフローレート 前記エチレン系重合体は、そのメルトフローレート(以
下、「MFR」と略す)が1〜50g/10分、好まし
くは1〜30g/10分、特に好ましくは2〜20g/
10分である。MFRが大きすぎると、保香性や耐衝撃
性が低下するので好ましくない。一方、MFRが小さす
ぎると、成形加工が困難となり好ましくない。なお、こ
の場合のMFRは、JIS−K7210(190℃、
2.16kg荷重)に準拠して測定した値である。
【0020】(2)密度 前記エチレン系重合体は、その密度が0.91〜0.9
7g/cm、好ましくは0.915を超え0.97g
/cm以下の範囲、特に好ましくは0.92〜0.9
7g/cm、最も好ましくは0.925を超え0.9
5g/cmの範囲である。密度が高すぎると、耐衝撃
性が劣り好ましくない。一方、密度が低すぎると保香性
や耐薬品性が低下するので好ましくない。なお、この場
合の密度は、JIS−K7112(23℃)に準拠して
測定した値である。
【0021】(3)結晶化度と密度との関係 前記エチレン系重合体は、X線回折法にて測定された結
晶化度(Xc)と密度(D)とが、以下の関係式
(I)、好ましくは(I’)を満たすものである。
【0022】
【数5】Xc≧500D−430 ・・・(I) Xc≧640D−554 ・・・(I’)
【0023】結晶化度(Xc)と密度(D)との関係が
この関係式を満たさないと、保香性や耐薬品性が低下す
るので好ましくない。
【0024】(4)温度上昇溶離分別による溶出曲線 本発明で用いられるエチレン系重合体は、温度上昇溶離
分別による測定によって得られる溶出曲線が特定の性状
を示す。
【0025】ここで、本発明における温度上昇溶離分別
(Temperature Rising Elution Fraction:以下、「T
REF」と略す場合がある)による測定とは、「Journa
l ofAppliedPolymer Science, Vol26, 4217-4231(198
1)」及び「高分子討論会予稿集2P1C09(1985)」に記載さ
れている原理に基づき、以下のようにして行われるもの
である。
【0026】まず、測定対象となるポリマーを、溶媒中
で完全に溶解させた後に冷却し、不活性担体表面に薄い
ポリマー層を形成させる。かかるポリマー層は、結晶し
易いものが内側(不活性担体表面に近い側)に、結晶し
にくいものが外側に形成されてなるものである。
【0027】次に、温度を連続又は段階的に上昇させ、
各温度で溶出した成分を回収する。このとき、低温度段
階ではポリマー組成中の非晶部分、すなわちポリマーの
持つ短鎖分岐の分岐度の多いものから溶出し、温度が上
昇すると共に徐々に分岐度の少ないものが溶出し、最終
段階で分岐の無い直鎖状のものが溶出して、測定は終了
する。
【0028】このようにして各温度で回収される溶出成
分の濃度を検出し、その溶出量と溶出温度を求める。こ
の溶出量と溶出温度によって描かれるグラフが溶出曲線
であり、これによりポリマーの組成分布を知ることがで
きる。
【0029】本発明で用いられる前記エチレン系重合体
は、上記TREFによって得られる溶出曲線中のピーク
温度が60℃以上、好ましくは65〜100℃、特に好
ましくは70〜97℃である。
【0030】また、該ピークの高さをHとし、その2分
の1の高さにおける該ピークの幅をWとしたときのH/
Wの値が3以上、好ましくは5以上、特に好ましくは1
0以上である。さらに、前記Wを温度幅として表したと
き該温度幅が20℃を超えない、好ましくは15℃を超
えない、特に好ましくは12℃を超えない。
【0031】本発明のTREFによって得られる溶出曲
線の性状が上記条件を満たさない場合は、保香性や耐薬
品性が低下するので好ましくない。
【0032】ここで、上記溶出曲線の性状は、ピークが
2以上存在する溶出曲線の場合については、該2以上の
ピークのすべてにおいて満たされる必要がある。TRE
Fによって得られる溶出曲線の形はポリマーの分子量及
び結晶性の分布によって異なる。例えばピークが一つの
曲線、ピークが2つの曲線、及びピークが3つの曲線が
あり、さらにピークが2つの曲線には溶出温度の低いピ
ークに比べて溶出温度の高いピークの方が溶出分率が大
きい(ピークの高さが高い)場合と、溶出温度の低いピ
ークに比べて溶出温度の高いピークの方が溶出分率が小
さい(ピークの高さが低い)場合とがある。
【0033】これを具体的に図に示して説明する。図1
はピークが1つの場合の溶出曲線を表し、図2はピーク
が2つの場合の溶出曲線を表し、図3はピークが3つの
場合の溶出曲線を表す。さらに図2(a)は溶出温度の
低いピークに比べて溶出温度の高いピークの方がピーク
高さが高い場合を表し、図2(b)は溶出温度の低いピ
ークに比べて溶出温度の高いピークの方がピーク高さが
低い場合を表す。
【0034】本発明における溶出曲線のピークとは、ピ
ークが1つの場合の溶出曲線においてはそのピークを、
ピークが2つ以上存在する溶出曲線においては、その各
々のピークを表す。また、本発明におけるH/Wとは、
図1〜3に示したように、ピークの高さをHとし、その
2分の1の高さにおける幅をWとして計算することによ
り求められる。
【0035】H/Wは、図1に示したように、ピークが
1つの場合は該ピークの高さと幅とから求められるが、
ピークが2つ以上存在する溶出曲線においては、各ピー
ク間の谷が該各ピークのいずれかの高さの2分の1以上
となるような場合があり、形状によってはあるピークの
高さの2分の1の高さにおける幅が該ピークと他のピー
クとから形成される曲線の幅となる場合がある。そのと
きはそのピークと他のピークとから形成される曲線全体
の幅がWとなる(図2(a)及び図3参照)。
【0036】(5)膨潤度と密度との関係 本発明のエチレン系重合体は、上述した(1)〜(4)
で示される性状を満たすものであればよいが、さらに
は、以下の方法で測定したときの四塩化炭素に対する膨
潤度(Sw)と密度(D)との関係が、密度が0.93
g/cm未満の場合には以下の式(II)、より好まし
くは(II’)を満たし、密度が0.93g/cm以上
の場合には以下の式(III)、より好ましくは(III’)
を満たすものが望ましい。
【0037】
【数6】[D<0.93g/cmの場合] Sw≦ 750D−677 ・・・(II) Sw≦1000D−875 ・・・(II’)
【0038】
【数7】[D≧0.93g/cmの場合] Sw≦20 ・・・(III) Sw≦15 ・・・(III’)
【0039】上記膨潤度の測定は、以下の条件にて行
う。まずサンプル片トを作製する。すなわち、前記エチ
レン系重合体のペレット樹脂を蒸気プレスにて温度16
0℃で溶融させ、厚さ2mmのシート状に成形した後、
蒸気を冷却水に切り替えて徐冷にて冷却固化させ、プレ
スシートを得る。これを13×38mmの形状に打ち抜
き、これをサンプル片とする。
【0040】このようにして1試料につき3本のサンプ
ル片を作製し、各サンプル片の重量を測定する。50m
lの三角フラスコに、重量を測定したサンプル片を入
れ、これに、サンプル片が完全に浸漬する程度の適量の
四塩化炭素を加え、23℃の恒温雰囲気下にて24時間
保持する。その後、サンプル片を取り出し、表面の四塩
化炭素を拭き取った後、重量を測定する。測定前後の重
量変化の値と以下の式により、膨潤度を求める。
【0041】
【数8】膨潤度(%)=((測定後重量−測定前重量)
/測定前重量)×100
【0042】(6)Mw/Mn また、本発明のエチレン系重合体としては、ゲルバーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定
される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
との比(Mw/Mn:以下、「Q値」という)が4以
下、好ましくは3以下、特に好ましくは2.5以下であ
るものが望ましい。このQ値が大きすぎると、耐衝撃性
や耐寒性が劣り好ましくない。
【0043】(7)重合体組成 以上述べたような(1)〜(4)及び場合により(5)
〜(6)の性状を備えた本発明のエチレン系重合体は、
エチレン単独重合体、又はエチレンと従成分との共重合
体である。従成分であるコモノマーとしては、好ましく
は炭素数4〜40、より好ましくは炭素数4〜12、特
に好ましくは炭素数6〜10のα−オレフィンである。
【0044】かかるα−オレフィンの具体例としては、
1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル
ペンテン−1、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチ
ルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1、オク
タデセン等が挙げられる。コモノマーは1種のみなら
ず、2種以上を用いてもよい。
【0045】エチレン系重合体中のコモノマーの含有量
は、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜1
2重量%、特に好ましくは0〜8重量%である。本発明
における好ましいエチレン系重合体の具体例としては、
エチレン単独重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合
体、エチレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。
【0046】(8)エチレン系重合体の製造 本発明のエチレン系重合体の製造方法は特に限定される
ものではないが、メタロセン系触媒を用いてエチレンの
単独重合、又は主成分のエチレンと従成分のα−オレフ
ィンとの共重合を行う方法が好ましい。
【0047】具体的には、特開昭58−19309号、
同59−95292号、同60−355005号、同6
0−35006号、同60−35007号、同60−3
5008号、同60−35009号、同61−1303
14号、特開平3−163088号の各公報、ヨーロッ
パ特許出願公開第420,436号明細書、米国特許第
5,055,438号明細書、及び国際公開公報WO9
1/04257号明細書等に記載されている方法、すな
わち、メタロセン触媒、特にメタロセン・アルモキサン
触媒を用いる方法、又は例えば国際公開公報WO92/
01723明細書等に開示されているようなメタロセン
化合物と、該メタロセン化合物と反応して安定なイオン
となる化合物とからなる触媒を用いる方法、または、特
開平5−295020号、同5−295022号等に記
載されているような、メタロセン化合物を無機化合物に
担持させた触媒を用いる方法等が挙げられる。
【0048】[メタロセン系触媒]ここで、上述したメ
タロセン化合物と反応して安定なイオンとなる化合物と
しては、カチオンとアニオンのイオン対から形成される
イオン性化合物、又は親電子性化合物であって、メタロ
セン化合物と反応して安定なイオンとなって重合活性種
を形成するものが挙げられる。
【0049】このうち、イオン性化合物としては下記式
(1)で表されるものが挙げられる。なお、式(1)
中、mは1以上の整数である。
【0050】
【化1】[Q]m+[Y]m− ・・・(1)
【0051】式(1)中、Qはイオン性化合物のカチオ
ン成分である。具体的には、カルボニウムカチオン、ト
ロピリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニ
ウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカ
チオン等が挙げられ、更には、それ自身が還元され易い
金属の陽イオンや有機金属の陰イオン等も挙げることが
できる。
【0052】これらのカチオンは、特表平1−5019
50号公報等に開示されているようなプロトンを与える
ことができるカチオンだけでなく、プロトンを与えない
カチオンでもよい。
【0053】これらのカチオンの具体例としては、トリ
フェニルカルボニウム、ジフェニルカルボニウム、シク
ロヘプタトリエニウム、インデニウム、トリエチルアン
モニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアン
モニウム、N,N−ジメチルアンモニウム、ジプロピル
アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフ
ェニルホスホニウム、トリメチルホスホニウム、トリ
(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリ(メチルフェ
ニル)ホズホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリ
フェニルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、ピリ
リウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、パラジウム
イオン、水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げら
れる。
【0054】また、式(1)中、Yはイオン性化合物の
アニオン成分であり、メタロセン化合物と反応して安定
なアニオンとなる成分であって、有機ホウ素化合物アニ
オン、有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム
化合物アニオン、有機リン化合物アニオン、有機ヒ素化
合物アニオン、有機アンチモン化合物アニオン等が挙げ
られる。
【0055】具体的には、テトラフェニルホウ素、テト
ラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ素、
テトラキス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニ
ル)ホウ素、テトラキス(3,5−(t−ブチル)フェ
ニル)ホウ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素、テトラフェニルアルミニウム、テトラキス
(3,4,5−卜リフルオロフェニル)アルミニウム、
テトラキス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニ
ル)アルミニウム、テトラキス(3,5−ジ(t−ブチ
ル)フェニル)アルミニウム、テトラキス(ペンタフル
オロフェニル)アルミニウム、テトラフェニルガリウ
ム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)
ガリウム、テトラキス(3,5−ジ(トリフルオロメチ
ル)フェニル)ガリウム、テトラキス(3,5−ジ(t
−ブチル)フェニル)ガリウム、テトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)ガリウム、テトラフェニルリン、テト
ラキス(ペンタフルオロフェニル)リン、テトラフェニ
ルヒ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ヒ素、
テトラフェニルアンチモン、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)アンチモン、デカボレート、ウンデカボレ
ート、カルバドデカボレート、デカクロロデカボレート
等が挙げられる。
【0056】前記親電子性化合物としては、ルイス酸化
合物として知られているもののうち、メタロセン化合物
と反応して安定なイオンとなって重合活性種を形成する
ものであり、種々のハロゲン化金属化合物や固体酸とし
て知られている金属酸化物等が挙げられる。具体的に
は、ハロゲン化マグネシウムやルイス酸性無機化合物等
が例示される。
【0057】これらの触媒成分は、適宜、無機固体担
体、有機固体担体等に担持して使用することもできる。
担持の例としては、特開昭61−296008、特開平
1−101315、特開平5−301917等に記載さ
れている方法が挙げられる。
【0058】重合方法としては、高圧イオン重合法、溶
液法、スラリー法、気相法等を挙げることができる。好
ましくは高圧イオン重合法、溶液法、気相法であり、特
に高圧イオン重合法で製造することが好ましい。この高
圧イオン重合法とは、特開昭56−18607号、同5
8−25106号の各公報に記載されている、圧力が1
00kg/cm以上、好ましくは150〜2000k
g/cm、特に好ましくは300〜1500kg/c
で、温度が125℃以上、好ましくは130〜25
0℃、特に好まし〈は150〜200℃の反応条件下で
行われる重合方法である。
【0059】このようにして得られるエチレン系重合体
には、一般に用いられている樹脂添加剤、例えば酸化防
止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、ア
ンチブロッキング剤、スリップ剤、帯電防止剤、核剤、
着色剤等を、必要に応じて適宜添加することができる。
【0060】上記アンチブロッキング剤としては、例え
ばゼオライト、非晶性アルミノシリケート、タルク、天
然もしくは合成シリカ、二酸化珪素等の珪素化合物、マ
グネシウム、カルシウム及びアルミニウムからなる群か
ら選ばれる1種または2種以上を構成成分として含有す
る無機化合物等を挙げることができ、これらの中でも非
晶性アルミノシリケート、ゼオライト、又はタルクを使
用するのが好ましい。
【0061】上記アンチブロッキング剤の配合割合は
0.01〜3重量%、好ましくは0.02〜2重量%、
特に好ましくは0.03〜1重量%である。またこの他
に、上記エチレン系重合体以外の樹脂、例えばLDP
E、LLDPE、HDPE等の1種または2種以上を、
発明の効果を損なわない程度に添加することができる。
その配合割合としては1〜20重量%、好ましくは5〜
15重量%の範囲である。
【0062】上記樹脂添加剤等を配合する場合は、予め
エチレン系重合体に上記樹脂添加剤等を加えて混合及び
溶融混練し、さらに必要に応じて造粒等を行うことによ
り、第1層用の成形材料として調製する。通常、混合は
ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、V−ブレンダ
ー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリ
ーミキサー、ニーダーブレンダー等で行い、溶融混練は
一軸又は二軸の押出機等にて実施することができる。
【0063】II.第2層 本発明の積層成形体の第2層を構成する熱可塑性樹脂
は、通常の積層成形体に用いられるものであれば特に制
限されないが、好ましくは、エチレン系樹脂、プロピレ
ン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、シクロオレフィン
系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロ
ニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂からなる群から選ばれ
る。
【0064】これらの樹脂は、一般に市販されているも
のの中から適宜選択して使用することができる。
【0065】これらの中で好ましいものは、エチレン系
樹脂、プロピレン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ポ
リアミド系樹脂、又はポリエステル系樹脂であり、特に
好ましくはプロピレン系樹脂、ビニルアルコール系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂である。
【0066】エチレン系樹脂としては、具体的には、高
密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高圧法低
密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エ
チレン・シクロオレフィン共重合体等のエチレン系共重
合体、等が挙げられる。これらの中で好ましくいもの
は、高密度ポリエチレン又は高圧法低密度ポリエチレン
である。
【0067】プロピレン系樹脂としては、プロピレン単
独重合体、又はプロピレンと炭素数2又は4以上のα−
オレフィンとを共重合して得られるプロピレン・α−オ
レフィンランダムもしくはブロック共重合体である。該
プロピレン系樹脂中のα−オレフィン含量は、好ましく
は0〜40重量%、より好ましくは0〜10重量%、特
に好ましくは0〜7重量%である。これらの中で好まし
いものは、プロピレン単独重合体又はプロピレン・α−
オレフィンランダム共重合体であり、特に好ましくはプ
ロピレン・α−オレフィンランダム共重合体である。
【0068】ビニルアルコール系樹脂としては、ビニル
アルコール単独重合体、エチレン・ビニルアルコール共
重合体等が挙げられる。この中で好ましいものは、エチ
レン・ビニルアルコール共重合体である。さらに該エチ
レン・ビニルアルコール共重合体は、そのエチレン含量
が20〜50モル%、より好ましくは32〜48モル%
であり、更にはケン化度が96モル%以上であるものが
好ましい。
【0069】ポリアミド系樹脂としては、具体的には、
ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−11、ナイ
ロン−12等が挙げられ、さらにこれらのハロゲン化物
等を挙げることもできる。これらの中で好ましいもの
は、ナイロン−6である。
【0070】ポリエステル系樹脂とは、具体的にはポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート
/イソフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレー
ト等が挙げられ、また、これらにさらに少量のコモノマ
ー(具体的には、1,4−シクロヘキサンジメタノール
等)を共重合させたコポリマータイプのものなどを挙げ
ることもできる。これらの中で好ましいものは、ポリエ
チレンテレフタレートのコポリマータイプである。
【0071】III.積層成形体 本発明の積層成形体は、その層構成中に、前記エチレン
系重合体からなる層(第1層)と、熱可塑性樹脂からな
る層(第2層)とを少なくとも含む。第1層及び第2層
は、各々1層ずつであってもよく、また各々複数層含ま
れていてもよい。
【0072】また、これらの各層間、すなわち例えば第
1層と第2層との間、又は第1層同士もしくは第2層同
士の間等に、必要に応じて、さらに他の樹脂材料からな
る層や、種々の機能を備えた層を設けることもできる。
具体的には、接着性樹脂からなる接着層等が挙げられ
る。このような各種層の組合せは、本発明の効果を損な
わない限り、特に限定されるものではない。
【0073】本発明の積層成形体の層構成の具体例とし
ては、第1層/第2層、第1層/接着層/第2層、第1
層/第2層/第1層、第1層/第2層(1)/第2層
(2)、第1層/接着層/第2層/接着層/第1層、第
1層/第2層(1)/第2層(2)/第1層、等の組合
せを挙げることができる。
【0074】本発明の積層成形体全体の厚みは、特に制
限はなく用途に応じて適宜選択されるが、好ましくは3
0〜5000μm、より好ましくは50〜3000μm
である。
【0075】さらに、本発明の積層成形体は、一般に知
られる各種基材、例えば紙、アルミニウムなどの金属
箔、セロファン、織布、不織布等と、従来公知の方法で
貼り合わせてもよい。また、本発明の積層成形体には、
金属蒸着処理、印刷処理等の各種処理を施すこともでき
る。
【0076】本発明の積層成形体の形態は特に制限され
ず、フィルム状やシート状等の平面的な成形体であって
もよく、また、ボトル型、箱形、コップ型、袋型等の種
々の形状の立体的な成形体であってもよい。
【0077】本発明の積層成形体の成形方法としては、
インフレーション法、Tダイ法などにより、単層または
多層の、無延伸または延伸したフィルム状またはシート
状とした後、サンドイッチラミネーション法、ドライラ
ミネーション法などにより各層を積層する方法を採用し
てもよく、また各種原反フィルムに、単層または多層の
押出ラミネーション法などを用いて積層する方法を採用
してもよく、これら各種方法を組み合わせて積層成形体
としてもよい。また、多層中空成形法、多層射出成形法
等を用いて積層成形体とすることもできる。
【0078】本発明の積層成形体は、各種の内容物を収
容する容器又はかかる容器の前駆体としての包装材料と
して、好適に用いることができる。容器には、ボトル
型、箱形、コップ型、袋型等の種々の形態のものの他、
フィルム又はシート状の包装体も含まれる。なお、本発
明の積層成形体をかかる容器として用いる場合は、前記
第1層が内容物に接する面に存在することが好ましい。
【0079】容器の製品形態として好ましいのは、バッ
グインボックス、小型ボトル、スタンドパウチ型フィル
ムなどである。また、包装材料として用いる場合は、例
えばフィルム又はシート状に加工したものを、公知の方
法にて各種包装用フィルムとしてもよい。
【0080】本発明の積層成形体を用いて得られる各種
包装用フィルム又は容器の内容物は特に限定されるもの
ではなく、液体、固体、半固体のいずれであってもよ
い。本発明の積層成形体は、特に種々の香気物質を含む
内容物を収容するための容器又は包装材料、例えば酒
類、ジュース類、牛乳などの飲料用容器、醤油、みり
ん、だし汁類などの調味料用容器あるいは包装材料、ま
た、シャンプー、リンス、石鹸、入浴剤、芳香剤、洗剤
などの各種生活製品用容器あるいは包装材料として用い
ることができる。特に、シャンプー、リンス、芳香剤な
どの輸送、保管、陳列、販売時に使用される、バッグイ
ンボックス、小型ボトル、スタンドパウチ型フィルムと
することが、本発明の効果を発揮できる用途として好ま
しい。
【0081】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるも
のではない。なお、実施例及び比較例においてなされた
評価法は次の通りである,
【0082】[評価方法](1)メルトフローレート
(MFR) JIS−K7210(条件:190℃、2.16kg荷
重)に準拠して測定した。 (2)密度 JIS−K7112に準拠して測定した。 (3)結晶化度 X線回折法にて測定した。
【0083】(4)TREFによる溶出曲線の測定 本発明における温度上昇溶離分別(TREF)は、一度
高温でポリマーを完全に溶解させた後、冷却し、不活性
担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次いで、温度を
連続または段階的に昇温して溶出した成分を回収し、そ
の濃度を連続的に検出して、その溶出量と溶出温度によ
って描かれるグラフ(溶出曲線)のピークで、ポリマー
の組成分布を測定するものである。
【0084】本発明におけるTREFによる溶出曲線の
測定は、以下のようにして行った。測定装置としてクロ
ス分別装置(三菱化学株式会社製、CFC・T150
A)を使用し、附属の操作マニュアルの測定法に従って
行った。
【0085】このクロス分別装置は、試料を溶解温度の
差を利用して分別する温度上昇溶離分別(TREF)機
構と、分別された区分を更に分子サイズで分別するサイ
ズ排除クロマトグラフ(SEC)とをオンラインで接続
した装置である。
【0086】まず、測定すべきサンプルを溶媒(o−ジ
クロロベンゼン)を用いて濃度が4mg/mlとなるよ
うに、140℃で溶解し、これを測定装置内のサンプル
ループ内に注入した。以下の測定は、設定条件に従って
自動的に行われた。
【0087】サンプルループ内に保持された試料溶液
は、溶解温度の差を利用して分別するTREFカラム
(不活性担体であるガラスビーズが充填された内径4m
m、長さ150mmの装置附属のステンレス製カラム)
に0.4ml注入された。該サンプルは、1℃/分の速
度で140℃から0℃の温度まで冷却され、上記不活性
担体にコーティングされた。このとき、高結晶成分(結
晶しやすいもの)から低結晶成分(結晶しにくいもの)
の順で不活性担体表面にポリマー層が形成される。
【0088】TREFカラムを0℃で更に30分間保持
した後、0℃の温度で溶解している成分2mlを、1m
l/分の流速でTREFカラムからSECカラム(昭和
電工(株)製、AD80M・S、3本)へ注入した。
【0089】SECで分子サイズでの分別が行われてい
る間に、TREFカラムでは次の溶出温度(5℃)に昇
温され、その温度に約30分間保持された。SECでの
各溶出区分の測定は39分間隔で行われた。溶出温度と
しては以下の温度が用いられ、段階的に昇温された。
【0090】溶出温度(℃):0,5,10,15,2
0,25,30,35,40,45,49,52,5
5,58,61,64,67,70,73,76,7
9,82,85,88,91,94,97,100,1
02,120,140。
【0091】該SECカラムで分子サイズによって分別
された溶液は、装置附属の赤外分光光度計でポリマーの
濃度に比例する吸光度が測定され(波長3.42nm、
メチレンの伸縮振動で検出)、これにより各溶出温度区
分のクロマトグラムが得られた。
【0092】次いで、内蔵のデータ処理ソフトを用い、
上記測定で得られた各溶出温度区分のクロマトグラムの
ベースラインを引き、演算処理した。各クロマトグラム
の面積が積分され、積分溶出曲線が計算された。この積
分溶出曲線を温度で微分して、本発明の溶出曲線(微分
溶出曲線)が計算された。
【0093】計算結果の作図は、横軸に溶出温度を10
0℃当たり89.3mm、縦軸に微分量(全積分溶出量
を1.0に規格し、1℃の変化量を微分量とした)0.
1当たり76.5mmで行った。この溶出曲線のピーク
高さ(H:mm)を1/2高さの幅(W:mm)で除し
た値をH/Wとした。また、前記Wの温度幅をH温度幅
とした。
【0094】(5)ヒートシール強度 東洋精機(株)製の熱盤式ヒートシーラーを用い、95
℃から5℃おきの各温度において、シール圧力2kg/
cm、シール時間1秒でヒートシールしたサンプルを
作製した。次いで、これらサンプルについて引張試験機
にてヒートシール強度を測定し、測定中の最高強度をヒ
ートシール強度とした。
【0095】(6)保香性 500ml三角フラスコに、厚み30μmのインフレー
ションフィルム200gを適当な大きさに切断したサン
プルと、1%香気物質/エタノール溶媒液を100ml
入れ、当日と2日後の液中の香気物質濃度を測定した。
【0096】香気物質濃度の測定は、ガスクロマトグラ
フィーにて、以下の条件で行った。これにより求めた香
気物質濃度から、以下の式により、サンプルフィルムへ
の吸着量を求めた。この値が小さいほど、保香性に優れ
ることを意味する。なお、使用した香気物質は、リモネ
ン、リナロール、酢酸リナリル、及び酪酸エチルであ
る。
【0097】[ガスクロマトグラフィー測定条件] 機種:(株)島津製作所製、GC−7AG インジェクション:FID カラム温度:100℃ カラム:OV−101 メチルシリコン、L;25m×
ID;0.25mm キャリアーガス:窒素、100ml/分 濃度計算:面積100分率法
【0098】
【数9】[吸着量計算式] 100−((2日後の香気物質濃度/当日の香気物質濃度)×
100)=吸着量(%)
【0099】(7)耐薬品性 100mm×100mmのフィルムを用い、3方シール
して袋状とした後、該フィルムサンプルの重量を測定し
た。その後、サンプルに各種試薬を満たし、ヒートシー
ルして封じた。これを、室温中で24時間放置した後、
内容物を除去して再度フィルムサンプルの重量を測定
し、重量変化をみた。なお、ここで使用した試薬はエチ
レングリコール、o−ジクロロベンゼン、メチルシクロ
ヘキサン、及びヘプタンである。
【0100】次いで、測定した重量から、以下の式によ
り重量変化率(%)を求めた。
【0101】
【数10】
【0102】(8)パンクチャー衝撃強度 JIS−P8134に準拠して測定した。ヘッド部は、
直径13mm×高さ6mmの真鍮製のものを使用し、測
定温度は23℃及び−5℃で測定した。
【0103】
【製造例】エチレン・α−オレフィン共重合体の製
造 触媒の調製は特開昭61−130314号公報に記載さ
れた方法で実施した。すなわち、錯体エチレンビス
(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニ
ウムジクロライド2.0mmolに、東洋ストファー社
製メチルアルモキサンを、上記錯体に対して1000m
ol倍加え、トルエンで20リットルに希釈して触媒溶
液を調製し、以下の方法で重合を行った。
【0104】内容積1.5リットルの撹拌式オートクレ
ーブ型連続反応器に、エチレンと1−ヘキセンを、該1
−ヘキセンが10mol%の組成となるよう供給し、反
応器内の圧力を1300kg/cmに保ち、200℃
の温度で反応を行った。反応終了後、MFRが2g/1
0分、密度が0.926g/cm、結晶化度が43
%、膨潤度が12%、1−ヘキセン含量が4重量%、Q
値が2、TREF溶出曲線のピーク温度が88℃、H/
Wが27、H温度幅が12℃の、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体を得た。
【0105】エチレン・α−オレフィン共重合体の
製造 供給する1−ヘキセンの組成を34mol%、反応器内
圧力を1000kg/cm、温度を170℃として反
応を行った他は、エチレン・α−オレフィン共重合体
と同様にして重合を行った。
【0106】反応終了後、MFRが3g/10分、密度
が0.895g/cm、結晶化度が17%、膨潤度が
80%、1−ヘキセン含量が21重量%、Q値が2、T
REF溶出曲線のピーク温度が50℃、H/Wが6、H
温度幅が15℃、のエチレン・α−オレフィン共重合体
を得た。
【0107】エチレン単独重合体の製造 1−ヘキセンに代えて不活性のヘキサンを使用し、反応
器内圧力を1300kg/cm、温度を200℃とし
て、エチレン・α−オレフィン共重合体と同様にして
重合を行った。
【0108】反応終了後、MFRが2g/10分、密度
が0.956g/cm、結晶化度が69%、膨潤度が
10%、1−ヘキセン含量が0重量%、Q値が2、TR
EF溶出曲線のピーク温度が95℃、H/Wが33、H
温度幅が10℃、のエチレン単独重合体を得た。
【0109】
【実施例1】第1層に上記製造例で得られたエチレン・
α−オレフィン共重合体を用い、第2層にプロピレン
系樹脂(日本ポリケム(株)製、商品名「FX4C」)
を用い、第1層/第2層/第1層=15/20/15μ
mの層構成にて、共押出フィルム成形を行い、フィルム
サンプルを得た。このフィルムサンプルを用いて各種評
価を行った。結果を表1に示す。なお、フィルムの成形
条件は以下の通りである。
【0110】[成形条件] 機種:プラコー社製、Tダイフィルム成形機 押出機:35/20/20mmφ 成形温度:240/240/240℃ 引取速度:14m/分
【0111】
【実施例2】実施例1のエチレン・α−オレフィン共重
合体に代えて、エチレン単独重合体を用いた以外
は、実施例1と同様にフィルムサンプルを成形し、評価
を行った。結果を表1に示す。
【0112】
【実施例3】第2層に、実施例1のプロピレン系樹脂に
代えてエチレン・ビニルアルコール共重合体((株)ク
ラレ製、商品名エバールEP−E151)を使用し、層
構成を以下のようにした以外は、実施例1と同様にフィ
ルムサンプルを成形し、評価を行った。結果を表1に示
す。
【0113】層構成:第1層/接着層/第2層/接着層
/第1層=20/10/20/10/20μm(接着層
の材質;三菱化学(株)製、商品名「MODIC・M4
31F)
【0114】
【実施例4】第2層に、ポリアミド(三菱化学(株)
製、商品名「NOVAMID・1020CA2」:NO
VAMIDは登録商標)を用いた以外は、実施例3と同
様にフィルムサンプルを成形し、評価を行った。結果を
表1に示す。
【0115】
【実施例5】第2層に、エチレン・シクロオレフィン共
重合体(三井化学(株)製、商品名アペルAPL650
9)を用いた以外は、実施例1と同様にフィルムサンプ
ルを成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0116】
【比較例1】実施例1のエチレン・α−オレフィン共重
合体に代えて、MFRが2g/10分、密度が0.9
2g/cm、結晶化度が31%、膨潤度が25%、Q
値が4、TREF溶出曲線のピーク温度が80℃及び9
2℃、H/Wが0.5及び14、H温度幅が31℃及び
7℃、のチーグラー触媒で重合されたLLDPEを用い
た以外は、実施例1と同様にフィルムサンプルを成形
し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0117】
【比較例2】実施例1のエチレン・α−オレフィン共重
合体に代えて、エチレン・α−オレフィン共重合体
を用いた以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果
を表1に示す。
【0118】
【表1】
【0119】
【発明の効果】本発明の積層成形体は、内容物の香気物
質の減量が少ないなどの保香性に優れ、ヒートシール強
度、衝撃強度、耐寒性、耐薬品性などにも優れている。
したがって、種々の内容物、特に香気物質を含む内容物
の容器又は包装材料として、好適に用いることができ、
工業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ピークが1つの場合の溶出曲線を表す。
【図2】 ピークが2つの場合の溶出曲線を表す。図2
(a)は溶出温度の低いピークより溶出温度の高いピー
クの方がピーク高さが高い場合を表し、図2(b)は溶
出温度の低いピークより溶出温度の高いピークの方がピ
ーク高さが低い場合を表す。
【図3】 ピークが3つの場合の溶出曲線を表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK01B AK02B AK04A AK04B AK07B AK12B AK16B AK21B AK27B AK41B AK45B AK46B AK62 BA02 BA10A BA10B BA15 BA16 EH20 GB15 GB16 JA06A JA11A JA13A JA20A JB01 JB10A JB16B JD02 JJ04 JK06 JK10 JL12 YY00A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下に示す性状(1)〜(4)を備えた
    エチレン系重合体からなる層と、熱可塑性樹脂からなる
    層とを少なくとも有する積層体により構成される、積層
    成形体。 (1)メルトフローレートが1〜50g/10分である
    こと。 (2)密度が0.91〜0.97g/cmであるこ
    と。 (3)X線回折法にて測定された結晶化度(Xc)と密
    度(D)との関係が以下の式(I)を満たすこと。 【数1】Xc≧500D−430 ・・・(I) (4)温度上昇溶離分別によって得られる溶出曲線中の
    ピーク温度が60℃以上であり、該ピークの高さをHと
    しその2分の1の高さにおける該ピークの幅をWとした
    ときのH/Wの値が3以上であり、且つ前記Wを温度幅
    として表したとき該温度幅が20℃を超えないこと。
  2. 【請求項2】 前記エチレン系重合体の、四塩化炭素に
    対する膨潤度(Sw)と密度(D)との関係が、密度が
    0.93g/cm未満の場合には以下の式(II)を満
    たし、密度が0.93g/cm以上の場合には以下の
    式(III)を満たすことを特徴とする、請求項1記載の
    積層成形体。 【数2】Sw≦750D−677 ・・・(II) Sw≦20 ・・・(III)
  3. 【請求項3】 前記エチレン系重合体の、重量平均分子
    量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/M
    n)が4以下であることを特徴とする、請求項1又は2
    記載の積層成形体。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂が、エチレン系樹脂、
    プ□ピレン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、シクロオ
    レフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹
    脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、
    ポリアクリロニトリル樹脂、及びポリスチレン樹脂から
    なる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴と
    する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層成形体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003266616A (ja) * 2002-03-20 2003-09-24 Japan Polychem Corp 共押出積層体及びそれを利用した共押出ラミネート成形体
JP2009124485A (ja) * 2007-11-15 2009-06-04 Toyoda Gosei Co Ltd 電波レーダ装置のビーム経路に配置される樹脂成形品
JP2016030406A (ja) * 2014-07-30 2016-03-07 住友ベークライト株式会社 抗菌フィルムおよび包装体

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