JP2000051028A - 防曇性反射鏡及びその製造方法 - Google Patents

防曇性反射鏡及びその製造方法

Info

Publication number
JP2000051028A
JP2000051028A JP10220898A JP22089898A JP2000051028A JP 2000051028 A JP2000051028 A JP 2000051028A JP 10220898 A JP10220898 A JP 10220898A JP 22089898 A JP22089898 A JP 22089898A JP 2000051028 A JP2000051028 A JP 2000051028A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photocatalyst
ceramic layer
layer
thickness
mirror
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10220898A
Other languages
English (en)
Inventor
Minoru Yamanaka
稔 山中
Mitsuo Yoshida
光男 吉田
Takashi Koide
崇志 小出
Yozo Nakamura
洋三 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Jushi Corp
Original Assignee
Sekisui Jushi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Jushi Corp filed Critical Sekisui Jushi Corp
Priority to JP10220898A priority Critical patent/JP2000051028A/ja
Publication of JP2000051028A publication Critical patent/JP2000051028A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Road Signs Or Road Markings (AREA)
  • Mirrors, Picture Frames, Photograph Stands, And Related Fastening Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】安価でしかもメンテナンスを行うことなく、結
露や塵埃や車両の排気ガス等の汚染物質の付着による鏡
面の曇りを長期にわたって防止することのできる防曇性
反射鏡及びその製造方法を提供する。 【解決手段】鏡面体23の鏡面22に、光触媒の酸化分
解作用から鏡面22を保護するシリカ質セラミックス層
25を形成し、外面に親水性を付与する光触媒含有層2
6を形成する。このシリカ質セラミックス層25の層厚
を55〜1010nmの範囲とし、また光触媒含有層2
6の層厚を25〜200nmの範囲にすることにより、
鏡面22の反射率を50%以上に維持させることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋内においては浴
室、洗面化粧台等に使用され、屋外においては交差点等
の見通しの悪い地点に設置される道路反射鏡等として使
用され、その他あらゆる場所に使用される防曇性反射鏡
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、屋内の浴室、洗面化粧台等には
反射鏡が用いられているが、温水の湯気によって鏡面が
結露し、特に冬場は結露しやすく反射鏡としての機能が
低下することがある。又屋外においては、一般に道路の
曲がり角や見通しの悪い所には、車両の走行及び歩行者
の通行の安全を確保するために道路反射鏡等が設置され
ているが、この道路反射鏡においても、特に夜間や寒冷
時において、外気温と鏡面との温度差により鏡面が結露
しやすく、そのために鏡面に曇りが生じて反射鏡として
の機能が低下することがあった。特にこの道路反射鏡に
ついては、前記結露のみならず、塵埃や車両の排気ガス
等の汚染物質が鏡面に付着することによる曇りによって
も反射鏡としての機能が低下することがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き鏡面が曇る
原因の一つとしての結露は、周囲の空気の露点より鏡面
の温度が低くなることによって生じることから、鏡面の
裏側に発熱体を付設し、該発熱体を商用電源や太陽電池
等の電源装置により発熱させて鏡面を暖めることによ
り、結露による曇りを防止した反射鏡が提案されている
が、発熱体を付設すると共に、その発熱体を電源装置に
より発熱させるには、構造的に複雑で高価になると共に
設置工事等も大変であり、また発熱体や電源装置の寿命
もあり、所定期間毎に交換や補修等のメンテナンスを行
う必要があった。またかかる反射鏡においては、塵埃や
車両の排気ガス等の汚染物質が鏡面に付着することによ
る曇りについては、何ら解決されていない。
【0004】そこで本発明は上記の如き問題を解決し、
安価でしかもメンテナンスを行うことなく、結露や塵埃
や車両の排気ガス等の汚染物質の付着による鏡面の曇り
を長期にわたって防止することのできる防曇性反射鏡及
びその製造方法を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次のような構成としている。すなわち、本
発明に係る防曇性反射鏡は、鏡面体の鏡面に、シリカ質
セラミックス層が形成されると共に外面に光触媒含有層
が形成され、前記シリカ質セラミックス層の層厚は55
〜1010nmの範囲であり、且つ光触媒含有層の層厚
は25〜200nmの範囲であることを特徴とするもの
である。
【0006】本発明によれば、鏡面の外面に二酸化チタ
ン等の光触媒を含む光触媒含有層が形成されているの
で、その光触媒によって表面が親水化され、結露が生じ
にくく、また道路用として屋外に用いても結露が生じに
くいと共に塵埃や車両の排気ガス等の汚染物質が付着し
にくくなる。すなわち二酸化チタン等の光触媒は、紫外
線を照射することにより活性化されて強い酸化力を発現
すると共にその表面は親水化され、塵埃や車両の排気ガ
ス等の汚染物質が表面に付着しても、強い酸化力によっ
て汚染物質が分解されると共に、親水化された表面によ
って、表面に付着する汚染物質と表面との間に水が割り
込んで汚染物質を浮かせるために付着しにくく、また付
着しても降雨等により容易に洗い流されて除去されるた
め、汚染物質が堆積しにくくなる。さらに結露が生じる
条件が満たされていても、親水化された表面によって、
表面に付着する水分が一様に表面に拡散するために結露
しにくくなる。
【0007】また本発明は、鏡面と外面の光触媒含有層
との間に、シリカ質セラミックス層が形成されている。
二酸化チタン等の光触媒は、上記のように強い酸化力を
有しているため鏡面体にポリカーボネートやアクリル等
の合成樹脂板を使用した場合は、その鏡面までも酸化分
解し、その耐久性が損なわれる。また鏡面体にステンレ
ス板を使用した場合は、屋外使用に耐えうる充分な密着
性を得られず、鏡面体にガラスを使用した場合は、ガラ
スに含まれるナトリウム成分が光触媒に使用する二酸化
チタンと反応し、チタン酸ナトリウムとなるために、触
媒活性が喪失する。そこで光触媒含有層と鏡面との間
に、シリコーン系の被膜を形成することによって耐久性
を向上させることができる。そこで本発明においては、
鏡面と光触媒含有層との間に、シリカ質セラミックス層
が形成され、このシリカ質セラミックス層によって光触
媒の酸化分解作用から鏡面が保護され、耐久性が向上さ
れ、長期に渡って結露や塵埃や車両の排気ガス等の汚染
物質の付着による鏡面の曇りを防止することができ、ま
た鏡面を維持させることができる。
【0008】なお一般には鏡面に薄膜層を形成した場合
に、鏡面と薄膜層において光の屈折と光路差や透過損失
等によって、鏡面に干渉が生じたり反射率が低下する等
の問題がある。本発明者らの研究によると、例えばステ
ンレス板からなる鏡面上に、シリカ質セラミックス層と
光触媒含有層とを順次積層するに際して、光触媒含有層
の層厚を65nmとして順次シリカ質セラミックス層の
層厚を変化させた場合の鏡面の反射率を測定すると、図
3に示される如く、反射率はシリカ質セラミックス層の
層厚に大きく影響され、シリカ質セラミックス層が特定
の厚みで反射率が高くなることが見いだされた。反射鏡
としての実用的な反射率は50%以上が必要と考えられ
ることから、光触媒含有層の層厚が65nmの場合は、
シリカ質セラミックス層の層厚は範囲B(55〜101
0nm)で良好な反射率が得られる。シリカ質セラミッ
クス層の層厚がこれより薄いと反射率が低く、又シリカ
質セラミックス層の密着性確保が難しくなり、反対にこ
れより厚いとクラックが入りやすくなり、また経済的に
も不利となる。このシリカ質セラミックス層の層厚は図
3の如く範囲A(110〜350nm)の場合には更に
反射率が高く、より好ましい。
【0009】一方、光触媒含有層の層厚は、光触媒の酸
化分解作用発現の点からは25〜200nmの範囲、よ
り好ましくは40〜120nmの範囲であり、層厚が2
5nmより薄いと防曇性が劣り、200nmより厚いと
シリカ質セラミックス層との密着性が低下し、また経済
的にも不利となる。前記図3では光触媒含有層の層厚が
65nmの場合を示しているが、光触媒含有層の層厚が
前記25〜200nmの範囲におけるシリカ質セラミッ
クス層の層厚の変化と反射率の関係を測定すると、光触
媒含有層の層厚が前記範囲においては、光触媒含有層の
層厚が薄い程反射率は良好であるが、特に光触媒含有層
の層厚は反射率に大きく影響せず、光触媒含有層の層厚
が前記範囲において変化した場合においても、光触媒含
有層の層厚が65nmの場合と同様に、良好な反射率が
得られるシリカ質セラミックス層の層厚の範囲は55〜
1010nmであり、特に高い反射率が得られる範囲は
110〜350nmであった。
【0010】そこで本発明においては、前記シリカ質セ
ラミックス層の層厚は55〜1010nmの範囲となさ
れ、且つ光触媒含有層の層厚は25〜200nmの範囲
となされ、かかる範囲にすることにより、前記防曇性と
共に、良好な反射率が得られ、且つ各層間の密着性も向
上されている。特に上記の如くシリカ質セラミックス層
の層厚が110〜350nmの範囲となされ、且つ光触
媒含有層の層厚が40〜120nmの範囲となされてい
れば、極めて高い反射率が得られる。
【0011】本発明においては、前記の如く鏡面と外面
の光触媒含有層との間にシリカ質セラミックス層が形成
され、このシリカ質セラミックス層により光触媒の酸化
分解作用等から鏡面が保護されるため、前記鏡面体の材
料は特に限定されず、ポリカーボネートやアクリル等の
合成樹脂板を使用したものであってもよいし、ステンレ
ス板を使用したものであってもよく、又ガラスを使用し
たものであってもよいが、耐久性に優れ且つ破損時の危
険性が低いステンレス板を使用したものが好ましい。
【0012】本発明において、シリカ質セラミックス層
を形成するには、ポリシラザン又はその変成物から形成
してもよいし、ゾルゲル法によりアルコキシシランの加
水分解物を重合させることにより形成してもよい。なお
ゾルゲル法により形成する場合は、塗膜形成過程で重量
が減少し、収縮が大きいために、緻密な被膜が形成され
難く多孔質な被膜として形成され、鏡面の反射性能が若
干損なわれることがあり、また鏡面体にステンレス板を
使用した場合はその密着性についてもやや問題がある。
それに対してポリシラザン又はその変成物から形成する
場合は、塗膜形成過程で重量が増加し、収縮が小さいた
めに、非常に緻密であり、また耐熱性、耐屈曲性、耐摩
耗性に優れ、薄膜でも高い塗膜硬度を有する被膜として
形成される。
【0013】すなわちポリシラザン又はその変成物から
なるシリカ質セラミックス層は、非常に緻密な被膜であ
るために、薄膜でも光触媒の酸化分解作用から、鏡面体
にポリカーボネートやアクリル等の合成樹脂板を使用し
た場合、又は鏡面体にガラスを使用した場合、いずれに
おいても鏡面が効果的に保護され、また鏡面体にステン
レス板を使用した場合は、屋外使用にも耐えうる充分な
密着性が得られ、さらに耐熱性に優れているために、光
触媒含有層の焼成時においてもクラックが発生せず、ま
た耐屈曲性に優れているために、湾曲させてもクラック
が発生せず、さらにまたこの状態で耐久性に優れ、且つ
薄膜でも高い塗膜硬度を有しているために、鏡面は極め
て傷付きにくくなる。
【0014】前記におけるポリシラザンは特に限定され
るものではないが、分子内に少なくともSi−H結合、
あるいはN−H結合を有するものが好ましく、ポリシラ
ザン単独であってもよいし、ポリシラザンと他のポリマ
ーとの共重合体やポリシラザンと他の化合物との混合物
でもよく、またポリシラザンは、鎖状であってもよい
し、環状、架橋構造を有するものでもよく、さらに分子
内にこれら複数の構造を同時に有するものでもよく、こ
れらが単独でもよいし、混合物で用いられていてもよ
い。
【0015】このポリシラザン又はその変成物からシリ
カ質セラミックス層を形成するには、ポリシラザン又は
その変成物からなる塗膜形成用組成物を鏡面にスプレー
コート、ディップコート、スピンコート、フローコー
ト、ロールコート等の適宜方法で塗布し、シリカ質セラ
ミックス層に転化すればよい。なお前記塗布は1回でも
よいし、2回以上塗布してもよい。
【0016】なお前記塗膜形成用組成物を塗布した後、
この塗膜をシリカ質セラミックス層に転化するには、高
温で加熱して焼成することにより行ってもよいが、鏡面
体をポリカーボネートやアクリル等の合成樹脂板やステ
ンレス板から形成する場合は、加熱温度に限界があり、
出来るだけ合成樹脂板やステンレス板の変形や劣化の生
じない低温でシリカ質セラミックス層に転化できる次の
方法が好ましい。
【0017】すなわち、ポリシラザン又はその変成物
に、アミン類又は/及び酸類が添加された塗膜形成用組
成物から形成するか、あるいはポリシラザン又はその変
成物に、アミン類又は/及び酸類が添加された塗膜形成
用組成物を水蒸気と接触させることにより形成すれば、
70度程度の低温焼成が可能となり、且つ高速でシリカ
質セラミックス層に転化することができる。
【0018】外面に二酸化チタン等の光触媒を含有する
光触媒含有層を形成するには、二酸化チタン等の粉末を
溶融させて吹き付ける溶射法、化学反応を介して二酸化
チタンを析出させるCVD(化学的製膜法)、二酸化チ
タン等をスパッタ蒸発させて沈着させるスパッタ蒸着
法、真空蒸着法等の適宜方法によって形成してもよい
が、バインターに二酸化チタン等を分散させて塗料組成
物とし、それをディッピングやスプレー、フローコータ
ー等により塗布すれば、均一且つ平滑な被膜が形成され
るので好ましい。
【0019】かかる方法により光触媒含有層を形成する
場合は、バインダーとしてシリコーン系化合物を用いる
のが好ましい。シリコーン系化合物を用いることによ
り、シリカ質セラミックス層との密着性に優れ、また得
られる光触媒含有層は表面硬度が高くなって傷付きにく
くなり、またシロキサン結合によって耐薬品性、耐汚染
性に優れるために活性化された二酸化チタン等によって
も劣化されにくく、また汚染物質も付着しにくくなる。
【0020】なおバインダーとしてシリコーン系化合物
を用いて光触媒含有層を形成する場合は、例えば一例と
して、オルガノポリシロキサン又はテトラエトキシシラ
ン等のアルコキシシランの加水分解物とチタニアゾルと
の混合物とからなる塗料組成物を塗布し、50度〜20
0度で加熱することにより形成することができる。
【0021】光触媒としての二酸化チタンは、ルチル型
でもよいが、活性の高さからアナターゼ型のものが好ま
しく、この二酸化チタンに波長領域が300〜400n
m付近の紫外光を照射することによって活性化され、そ
の活性化によって強い酸化力が発現されて、表面に付着
した汚染物質は分解されると共に、活性化によってその
表面は水との接触角でほぼ0〜20度程度まで親水化さ
れ、かかる親水化によって汚染物質は付着しにくくな
り、例え付着しても降雨等によって容易に洗い流される
ようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照し、具体的に説明する。すなわち図1は本
発明の実施の一形態を示し、(イ)は正面図、(ロ)は
側面図であり、図2は主要部の断面図である。
【0023】図面における形態は道路反射鏡として用い
られるものであって、道路の交差点等に立設された支柱
1と、この支柱1に支持された反射鏡2とから構成され
るものである。
【0024】反射鏡2は、本形態では、枠体21内に、
ステンレス板からなる表面が鏡面22となされた鏡面体
23が設けられ、枠体21の上部には庇24が設けられ
ているものであるが、特にその形態は限定されるもので
はない。そして鏡面体23の鏡面22には、ポリシラザ
ン又はその変成物等からなるシリカ質セラミックス層2
5が形成され、その外面に二酸化チタン等の光触媒が含
有された光触媒含有層26が形成されている。前記シリ
カ質セラミックス層の層厚は55〜1010nmの範囲
であり、且つ光触媒含有層の層厚は25〜200nmの
範囲であり、好適にはシリカ質セラミックス層の層厚は
110〜350nmの範囲であり、且つ光触媒含有層の
層厚は40〜120nmの範囲である。なおシリカ質セ
ラミックス層25は鏡面22上に直接形成されていても
よいし、他の層を介して形成されていてもよい。また光
触媒含有層26は外面に形成されていれば、シリカ質セ
ラミックス層25上に直接形成されていてもよいし、他
の層を介して形成されていてもよい。
【0025】そして光触媒含有層26に紫外線を照射す
ることにより光触媒が活性化されてその表面が親水化さ
れ、降雨等によって表面に付着した汚染物質が洗浄され
ると共に結露が防止されるようになされている。
【0026】光触媒を活性化させる紫外線は、道路等の
屋外に設置されて太陽光から受けるようになされていて
もよいが、予め工場等において、ブラックライト等によ
り紫外線を照射し、屋外に設置された際には、光触媒が
活性化されて光触媒含有層26の表面が親水化されてい
るようにしておいてもよい。
【0027】なお上記形態は道路反射鏡であるが、本発
明は道路反射鏡に限定されず、屋内の浴室、洗面化粧台
等に使用される反射鏡、道路以外で屋外において使用さ
れる反射鏡、その他あらゆる場所に使用される反射鏡に
適用されるものである。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例及びその性能評価を示
す表1について説明する。
【0029】(実施例1〜7)ステンレス板により表面
が鏡面となされた鏡面体を作製し、その鏡面に以下のコ
ーティング剤を塗布した。ペルヒドロポリシラザンをo
−キシレンに溶解し、固形分4〜40wt%の範囲で各
種濃度の溶液を作成した。この溶液10gに攪拌しなが
らトリ−n−ペンチルアミン40〜400mgを室温で
徐々に添加した。これを大気中でステンレス鏡面上にス
ピンコートで塗装した。これを250℃で1時間加熱
し、2時間徐冷することにより、シリカ質セラミックス
層を形成した。
【0030】次に、アナターゼ型酸化チタンゾル(日産
化学、TA−15、固形分15wt%)56重量部と、
シリカゾル(日本合成ゴム、グラスカA液、固形分20
wt%)33重量部を混合後、メチルトリメトキシシラ
ン(日本合成ゴム、グラスカB液)11重量部とエタノ
ールを添加し、さらに2時間攪拌し、メチルトリメトキ
シシランを部分的に加水分解反応と脱水縮重合反応させ
ることにより調整した。これをディップコートによりシ
リカ質セラミックス層の上に塗装した。これを120℃
で0.5時間加熱し、2時間徐冷することにより、シリ
カ質セラミックス層の上に光触媒含有層を形成し、シリ
カ質セラミックス層及び光触媒含有層の層厚を表1に示
された厚みとした実施例1〜7の本発明に係る反射鏡を
それぞれ作成した。
【0031】(比較例1〜4)次に、上記実施例に対し
て、鏡面にシリカ質セラミックス層及び光触媒含有層を
形成しない比較例1、シリカ質セラミックス層を形成せ
ずに鏡面に層厚38nmの光触媒含有層を直接形成した
比較例2、層厚20nmのシリカ質セラミックス層上に
層厚10nmの光触媒含有層を形成した比較例3、層厚
20nmのシリカ質セラミックス層上に層厚65nmの
光触媒含有層を形成した比較例4、としての各反射鏡を
作成した。
【0032】次に、上記実施例及び比較例について、以
下に示す性能評価を行い、その結果を表1に示した。
【0033】(反射率)鏡面反射率計によって測定し
た。
【0034】(防曇性)各サンプルの表面にブラックラ
イトブルー蛍光灯を用いて1平方cm当たり1.5mW
の照度で48時間紫外線を照射し、その後の表面の水に
対する接触角を測定した。
【0035】(外観)干渉色を目視により観察した。
【0036】(密着性)JIS−K5400(塗料一般
試験方法)に規定された耐沸騰水性試験を行い、その後
に碁盤目試験(1mm角 100/100)により、密
着性を評価した。
【0037】
【表1】
【0038】表1から実施例1〜7は、全て、反射率、
防曇性、密着性に優れ、特にシリカ質セラミックス層の
層厚が110〜350nmの範囲であり、且つ光触媒含
有層の層厚が40〜120nmの範囲である実施例2〜
5は、それ以外の範囲である実施例1、6、7に比べ
て、外観においても干渉色が全く認められず、また反射
率も良好であり、極めて優れていることが確認された。
【0039】これに対して光触媒含有層が形成されてい
ない比較例1では防曇性は認められず、又光触媒含有層
の層厚が薄い比較例3では防曇性は極めて低く、さらに
シリカ質セラミックス層が形成されていない比較例2で
は密着性に問題があり、さらにシリカ質セラミックス層
の層厚が薄い比較例4では反射率に問題があった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、鏡面の外面に二酸化チ
タン等の光触媒を含む光触媒含有層が形成されているの
で、その光触媒によって表面が親水化され、結露が生じ
にくく、また屋外で用いても結露が生じにくいと共に塵
埃や車両の排気ガス等の汚染物質が付着しにくく、さら
に従来の如く発熱体や電源装置等を使用するものではな
いので、メンテナンスも不要である。
【0041】また本発明においては、鏡面と光触媒含有
層との間に、シリカ質セラミックス層が形成され、この
シリカ質セラミックス層によって光触媒の酸化分解作用
から鏡面が保護され、耐久性が向上され、長期に渡って
結露や塵埃や車両の排気ガス等の汚染物質の付着による
鏡面の曇りを防止することができ、また鏡面を維持させ
ることができる。
【0042】さらに本発明においては、シリカ質セラミ
ックス層の層厚は55〜1010nmの範囲となされ、
且つ光触媒含有層の層厚は25〜200nmの範囲とな
されているので、防曇性と共に、良好な反射率が得ら
れ、且つ各層間の密着性が向上され、特にシリカ質セラ
ミックス層の層厚が110〜350nmの範囲となさ
れ、且つ光触媒含有層の層厚が40〜120nmの範囲
となされていれば、極めて高い反射率が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示し、(イ)は正面
図、(ロ)は側面図である。
【図2】図1における主要部の断面図である。
【図3】シリカ質セラミックス層の層厚の変化と反射率
の関係のグラフである。
【符号の説明】
1 支柱 2 反射鏡 21 枠体 22 鏡面 23 鏡面体 24 庇 25 シリカ質セラミックス層 26 光触媒含有層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2D064 AA11 AA22 BA17 CA03 CA04 CA07 CA09 HA01 JA01 3B111 AA01 AA05 AC00 AC01 AC03 AD01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鏡面体の鏡面に、シリカ質セラミックス
    層が形成されると共に外面に光触媒含有層が形成され、
    前記シリカ質セラミックス層の層厚は55〜1010n
    mの範囲であり、且つ光触媒含有層の層厚は25〜20
    0nmの範囲であることを特徴とする防曇性反射鏡。
  2. 【請求項2】 シリカ質セラミックス層の層厚は110
    〜350nmの範囲であり、且つ光触媒含有層の層厚は
    40〜120nmの範囲であることを特徴とする請求項
    1記載の防曇性反射鏡。
  3. 【請求項3】 鏡面体がステンレス板から形成されたも
    のである請求項1又は2記載の防曇性反射鏡。
  4. 【請求項4】 シリカ質セラミックス層は、ポリシラザ
    ン又はその変成物から形成されたものであることを特徴
    とする請求項1、2又は3記載の防曇性反射鏡。
  5. 【請求項5】 シリカ質セラミックス層は、アルコキシ
    シランの加水分解物を重合させることにより形成された
    ものであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の
    防曇性反射鏡。
  6. 【請求項6】 シリカ質セラミックス層を、ポリシラザ
    ン又はその変成物からなる塗膜形成用組成物から形成し
    て請求項4記載の防曇性反射鏡を製造することを特徴と
    する防曇性反射鏡の製造方法。
  7. 【請求項7】 シリカ質セラミックス層を、ポリシラザ
    ン又はその変成物に、アミン類又は/及び酸類が添加さ
    れた塗膜形成用組成物から形成して請求項4記載の防曇
    性反射鏡を製造することを特徴とする防曇性反射鏡の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 シリカ質セラミックス層を、ポリシラザ
    ン又はその変成物に、アミン類又は/及び酸類が添加さ
    れた塗膜形成用組成物を水蒸気と接触させることにより
    形成して請求項4記載の防曇性反射鏡を製造することを
    特徴とする防曇性反射鏡の製造方法。
JP10220898A 1998-08-04 1998-08-04 防曇性反射鏡及びその製造方法 Pending JP2000051028A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10220898A JP2000051028A (ja) 1998-08-04 1998-08-04 防曇性反射鏡及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10220898A JP2000051028A (ja) 1998-08-04 1998-08-04 防曇性反射鏡及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000051028A true JP2000051028A (ja) 2000-02-22

Family

ID=16758269

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10220898A Pending JP2000051028A (ja) 1998-08-04 1998-08-04 防曇性反射鏡及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000051028A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3303696B2 (ja) 光触媒性親水性コ−ティング組成物
JP2756474B2 (ja) 基材の表面を光触媒的に親水性にする方法、親水性の光触媒性表面を備えた基材、その製造方法、および、光触媒性親水性コーティング組成物
US6830785B1 (en) Method for photocatalytically rendering a surface of a substrate superhydrophilic, a substrate with a superhydrophilic photocatalytic surface, and method of making thereof
JP4048912B2 (ja) 表面防汚性複合樹脂フィルム、表面防汚性物品、化粧板
JP3797037B2 (ja) 光触媒性親水性コーティング組成物
JP4309744B2 (ja) フッ素系複合樹脂フィルム及び太陽電池
JPH0957912A (ja) 親水性表面を備えた複合材
JP3384340B2 (ja) 撥水性を有するハ−ドコ−ト組成物およびこれを用いた樹脂製品
JP2006131917A (ja) 光触媒性親水性コーティング組成物
JP2001038219A (ja) 水性の光触媒性親水性組成物、光触媒用水性プライマー及び、それらを用いた光触媒性親水性複合材
JP2000028811A (ja) 再帰反射性を有する反射体及びその製造方法
JP3634630B2 (ja) 防曇性道路反射鏡
JPH10315374A (ja) 光触媒性親水性部材
JP2000025156A (ja) 保護フイルム
JP2000051028A (ja) 防曇性反射鏡及びその製造方法
JP3818420B2 (ja) 防曇性反射鏡及びその製造方法
JPH10198299A (ja) 道路標識用反射板
JP3647269B2 (ja) 自浄式透光性遮音壁
JPH09188850A (ja) 光触媒性親水性コーティング組成物
JPH11172239A (ja) 親水性部材、部材表面の親水化/親水維持方法及び親水性塗料組成物
JP3298439B2 (ja) 光触媒性親水性コ−ティング液
JPH10237380A (ja) 転水性表面を有する部材及び転水性コ−ティング組成物
JPH1121511A (ja) 光触媒性親水性部材、及び光触媒性親水性塗料組成物
JPH1134242A (ja) 光触媒性親水性部材、及び光触媒性親水性コ−ティング組成物
JPH11300216A (ja) 光触媒性親水性部材

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050902

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060221

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060421

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061212

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070109

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20070214

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20070309