JP2000050886A - 新規なヒトカテプシンl2タンパク質及びそれをコ―ドする遺伝子並びにそれらの利用 - Google Patents

新規なヒトカテプシンl2タンパク質及びそれをコ―ドする遺伝子並びにそれらの利用

Info

Publication number
JP2000050886A
JP2000050886A JP11156945A JP15694599A JP2000050886A JP 2000050886 A JP2000050886 A JP 2000050886A JP 11156945 A JP11156945 A JP 11156945A JP 15694599 A JP15694599 A JP 15694599A JP 2000050886 A JP2000050886 A JP 2000050886A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cathepsin
protein
sequence
human
dna
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11156945A
Other languages
English (en)
Inventor
Santamaria Inigo
イニゴ・サンタマリア
Velasco Gloria
グロリア・ヴェラスコ
Casora Maite
マイテ・カゾーラ
Hugo Antonio
アントニオ・フューゴ
Campo Elias
エリアス・カンポ
Lopez-Otin Carlos
カルロス・ロペス−オーティン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Chemical Industries Co Ltd
Fuji Chemical Industrial Co Ltd
Original Assignee
Fuji Chemical Industries Co Ltd
Fuji Chemical Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Chemical Industries Co Ltd, Fuji Chemical Industrial Co Ltd filed Critical Fuji Chemical Industries Co Ltd
Priority to JP11156945A priority Critical patent/JP2000050886A/ja
Publication of JP2000050886A publication Critical patent/JP2000050886A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 細胞内タンパク質代謝、抗原提示、ホルモン
前駆体の活性化、および骨の改変などに関与し、アルツ
ハイマー病、肺気腫、リウマチ性関節炎、筋ジストロフ
ィー、骨粗鬆症、神経変性疾患および癌の浸潤・転移な
どの多くの疾患に重要な役割を果たしていると考えら
れ、システインプロテアーゼのパパインファミリーに属
し、新規なヒト由来のカテプシンL2タンパク質およびそ
れをコードする遺伝子を提供し、種々の疾患、特には癌
に関連したシステインプロテアーゼの機能を明らかに
し、これら疾患の発症機序の解明、治療及び治療薬の開
発に資する。 【解決手段】 ヒト由来cDNAライブラリーよりクローニ
ングされた新規のカテプシン(特にはヒトカテプシンL
2)、それをコードする塩基配列を含有するDNA 、該DNA
で形質転換せしめた宿主細胞、該宿主細胞を用いる該
ヒト由来のカテプシンL2タンパク質の製造方法、さらに
はそれらタンパク質、および核酸の用途。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規に同定された
ポリヌクレオチド(あるいは核酸)及びポリペプチド
(あるいはタンパク質)(又はその一部)あるいはその
塩;該ポリヌクレオチド(あるいは核酸)及びポリペプ
チド(あるいはタンパク質)の変異体及び誘導体;該ポ
リヌクレオチド(あるいは核酸)及びポリペプチド(あ
るいはタンパク質)、並びにそれらの変異体及び誘導体
の製造法;該ポリペプチド(あるいはタンパク質)のア
ゴニスト及びアンタゴニスト;並びに該ポリヌクレオチ
ド(あるいは核酸)、ポリペプチド(あるいはタンパク
質)、変異体、誘導体、アゴニスト及びアンタゴニスト
の用途に関するものである。本発明は、細胞内タンパク
質代謝、ホルモン前駆体の活性化、および骨の改変(リ
モデリング)など、多くの正常な細胞のプロセスに関連
しており、アルツハイマー病、肺気腫、リウマチ性関節
炎、筋ジストロフィー、骨粗鬆症、神経変性疾患および
癌の浸潤・転移の様な多くの疾患において重要な役割を
果たすと考えられ、そうした研究において有用な、シス
テインプロテアーゼ酵素であって、パパインファミリー
に属する、新規なタンパク質、特にはヒト由来のカテプ
シンタンパク質(またはその一部)又はその塩及びそれ
をコードする遺伝子に関するものである。さらに詳しく
は、本発明はヒト脳cDNAライブラリーよりクローニング
された活性部位にパパイン様の構造を有する新規なヒト
システインプロテアーゼ〔本発明で明らかにされた新規
のヒトシステインプロテアーゼをカテプシンL2 (Cathep
sin L2 ) と命名する〕、それをコードする塩基配列を
含有するDNA 、該DNA で形質転換せしめた宿主細胞、該
宿主細胞を用いる該ヒトシステインプロテアーゼの製造
方法、さらにはそれらタンパク質および核酸フラグメン
トの用途に関するものである。
【0002】
【従来技術】システインプロテアーゼは、細胞内タンパ
ク質代謝、ホルモン前駆体の活性化、および骨の改変な
ど、多くの正常な細胞のプロセスに関連している酵素か
らなるファミリーを形成している(Berti, P.J., et a
l., J. Mol. Biol., 246: 273-283, 1995)。これらのタ
ンパク質分解酵素は、アルツハイマー病、肺気腫、リウ
マチ性関節炎、筋ジストロフィー、骨粗鬆症および癌の
浸潤・転移の様な多くの疾患において重要な役割を果た
すことが示唆されている(Berti, P.J., et al.,J. Mol.
Biol., 246: 273-283, 1995; Berquin, I.M., et al.,
Perspect. DrugDiscov. Des., 2: 371-388, 1994)。現
在、活性部位にパパイン様の構造を有するヒトシステイ
ンプロテアーゼであるパパインファミリーとして8 種の
カテプシン, すなわちカテプシン B (Chan,S.J., et a
l., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 83: 7721-7725,
1986) 、カテプシン L (Gal, S., et al., Biochem.
J., 253: 303-306, 1988) 、カテプシンH (Ritonja,
A., et al., FEBS Lett., 228: 341-345, 1988)、カテ
プシン S (Shi, G.P., et al., J. Biol. Chem., 267:
7258-7262, 1992)、カテプシン C (Paris, A., et al.,
FEBS Lett., 369: 326-330, 1995)、カテプシン O (Ve
lasco, G., et al., J. Biol. Chem., 269: 27136-2714
2, 1994)、カテプシン K (Inaoka, T., et al., Bioche
m. Biophys. Res. Commun., 206: 89-96, 1995) および
カテプシン W (Linnevers, C., et al., FEBS Lett., 4
05: 253-259, 1997)が分離され、アミノ酸配列レベルま
で解析されている。
【0003】さらに、システインプロテアーゼとしてカ
テプシン S、M 、N 、P およびT の存在が報告されてい
る。これらは、元来、アルドラーゼ、コラーゲン、イン
シュリン前駆体、あるいは、チロシンアミノトランフェ
ラーゼなどの基質に対する特異性の差によって分離され
たものであるが、これらの分子のレベルでの解析はいま
だに報告されていない(Pontremoli, S., et al., Arch.
Biochem. Biophys.,214: 376-385, 1982; Maciewicz,
R., et al., Biochem. J., 25: 433-440, 1988; Docher
ty, K., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 79:
4613-4617, 1982; Gohda, E., et al., J. Biol. Che
m., 256: 2567-2572, 1981) 。システインプロテアーゼ
間の構造上の比較から、システインプロテアーゼは、プ
レプロ酵素として合成、プロ酵素に切断され、さらにマ
ンノース6-リン酸の付加によって、リソソームに取り込
まれることが知られている。しかしながら、いくらかの
ケースにおいて、これらの前駆体酵素は、この切断経路
から外れ分泌系に移り、貯蔵顆粒を経て最終的に細胞外
空間に放出される(Sloane, B.F., et al., Science, 21
2: 1151-1153, 1981) 。システインプロテアーゼのパパ
インファミリーに属するカテプシンのアミノ酸配列比較
では、類似性を示すパーセンテージは50% 未満であり、
これらが密接な関係にないことが明らかにされた。にも
かかわらず、これらのすべてのアミノ酸配列は、酵素活
性に不可欠な一連のアミノ酸配列を完全に保存している
(Berti, P.J., et al., J. Mol. Biol., 246: 273-283,
1995)。システインプロテアーゼが正常および癌化を含
む疾患において、重要な役割を果たすことから、最近の
数年間、このファミリーに属しヒト腫瘍によって産生さ
れる未知のタンパク質分解酵素の検索が行われている。
その過程において、乳癌に由来しヒト組織に広く分布す
る新規のヒトシステインプロテアーゼであるカテプシン
O (Velasco, G., et al., J. Biol. Chem., 269: 2713
6-27142, 1994)が分離された。また、最近、細胞質に存
在するシステインプロテアーゼのヒトブレオマイシン
ハイドロラーゼのクローニングも成功している(Ferrand
o, A.A., et al., Cancer Res., 56: 1746-1750, 199
6.) 。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】システインプロテアー
ゼは、細胞内タンパク質代謝、ホルモン前駆体の活性
化、および骨の改変を含む、多くの正常な細胞のプロセ
スに関連する一方、アルツハイマー病、肺気腫、リウマ
チ性関節炎、筋ジストロフィー、骨粗鬆症、神経変性疾
患および癌の浸潤・転移の様な多くの疾患において重要
な役割を果たすことが示唆されている。新規のシステイ
ンプロテアーゼを同定・分離し、種々の疾患、特には癌
に関連したシステインプロテアーゼの機能を明らかにす
ることは、これら疾患の発症機序の解明、治療および治
療薬の開発に極めて重要である。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者等は、システイン
プロテアーゼファミリーに今だ報告されていない新規の
メンバーが存在すると考え、遺伝子工学的手法を用い種
々研究した結果、新規なシステインプロテアーゼをコー
ドするヒト遺伝子をクローニングすることに成功し、遺
伝子塩基配列およびアミノ酸配列の全てを明らかにし、
本発明を完成させるに至った。予想される新規なシステ
インプロテアーゼのアミノ酸配列を既に報告されている
カテプシンのそれと比較したところ、カテプシンL に対
して78%、その他のカテプシンに対しては40% 以下の相
同性を示した。このアミノ酸配列上の特徴から、新規メ
ンバーを「カテプシンL2 (cathepsin L2) 」と命名し
た。したがって、本発明は、カテプシンL2活性を有する
ヒト由来因子である新規なタンパク質、特に本明細書に
おいて、カテプシンL2と称するポリペプチド(あるいは
タンパク質)、その製造方法およびその用途、該タンパ
ク質をコードする遺伝子(あるいはポリヌクレオチド又
は核酸)およびその用途等を提供する。本発明では、さ
らに、カテプシンL2遺伝子に対して特異的なハイブリダ
イゼーションプローブを提供する。
【0006】本発明は新規なヒトカテプシンL2遺伝子お
よびヒト由来のタンパク質カテプシンL2、およびその類
縁体に関わるものである。さらに本発明は新規なヒトカ
テプシンL2の全体または一部をコードするDNA 配列、こ
のようなDNA 配列を有するベクターおよびこのようなベ
クターで形質転換またはトランスフェクションされた宿
主細胞にも関する。さらに組換えヒトカテプシンL2の製
造法およびその用途も包含している。またヒトカテプシ
ンL2遺伝子にハイブリダイズする核酸、たとえばDNA 、
RNA プローブに関する。さらに上記の産物を用いたヒト
カテプシンL2の検出・測定試薬、その試薬を用いた検出
・測定方法を提供する。さらに、本発明では、ヒトカテ
プシンL2アゴニストを提供する。とりわけ好ましいアゴ
ニストは、カテプシンL2結合分子あるいはカテプシンL2
受容体分子に結合するか、及び/又はカテプシンL2誘起
反応を引き起こすか、あるいはそれを増強するようなカ
テプシンL2擬似分子である。また、好ましいアゴニスト
は、カテプシンL2もしくはカテプシンL2ポリペプチド、
又はその他のカテプシンL2活性制御物質と相互作用し、
カテプシンL2の作用・効果あるいはそれ以上の作用・効
果を可能にするか又は増強する分子である。
【0007】本発明では、ヒトカテプシンL2アンタゴニ
ストを提供する。とりわけ好ましいアンタゴニストは、
カテプシンL2結合分子あるいはカテプシンL2受容体分子
に結合するが、一つ又はそれ以上のカテプシンL2誘起反
応を引き起こさないか、あるいはそれを阻害するような
カテプシンL2擬似分子である。また、好ましいアンタゴ
ニストは、カテプシンL2もしくはカテプシンL2ポリペプ
チド、又はその他のカテプシンL2活性制御物質と相互作
用し、一つ又はそれ以上のカテプシンL2の作用・効果を
阻害するか、あるいは抑制する分子である。さらに、ヒ
トカテプシンL2の有するシステインプロテアーゼ活性を
阻害する物質および蛋白質分解活性を阻害する物質を検
出する手法を提供し、その物質あるいは誘導体を有効成
分とする薬剤にも関する。また、ヒトカテプシンL2の発
現を阻止するアンチセンスヌクレオチドおよびその誘導
体、それを有効成分とする薬剤に関するものである。
【0008】すなわち、本発明は、 〔1〕 ヒト由来のカテプシンL2タンパク質若しくは該
カテプシンL2タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも80
%の相同性を有し且つシステインプロテアーゼ活性ある
いは同等の抗原性を有するものであることを特徴とする
新規のヒト由来のカテプシンタンパク質またはその塩; 〔2〕 配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸配列
のうち、第114 位〜第334 位のアミノ酸配列を有するも
の、同第18位〜第334 位のアミノ酸配列を有するもの、
同第1位〜第334 位のアミノ酸配列を有するもの、及び
それらのいずれか一つと実質的に同等のアミノ酸配列を
有するものからなる群から選ばれたタンパク質であるこ
とを特徴とするタンパク質またはその塩; 〔3〕 上記〔1〕または〔2〕記載のタンパク質の部
分ペプチドまたはその塩; 〔4〕 上記〔1〕または〔2〕記載のタンパク質をコ
ードする塩基配列を有することを特徴とする核酸; 〔5〕 配列表の配列番号:2で表される塩基配列のう
ち、オープンリーディングフレーム部分またはそれと実
質的に同等な塩基配列を有することを特徴とする上記
〔4〕記載の核酸; 〔6〕 上記〔4〕または〔5〕記載の核酸を含有する
ことを特徴とするベクター; 〔7〕 上記〔4〕または〔5〕記載の核酸あるいは上
記〔6〕記載のベクターを含有することを特徴とする形
質転換体;
【0009】〔8〕 宿主細胞が大腸菌、酵母、CHO 細
胞およびCOS 細胞からなる群から選ばれたものであるこ
とを特徴とする上記〔7〕記載の形質転換体;
〔9〕 上記〔8〕記載の形質転換体によって発現させ
て得たものであることを特徴とする上記〔1〕または
〔2〕記載のタンパク質; 〔10〕 配列表の配列番号:2 で表される塩基配列の全
部又はその一部を含むことを特徴とするヒト由来のカテ
プシンL2遺伝子に対するハイブリダイゼーションプロー
ブ; 〔11〕 配列表の配列番号:2で表される塩基配列の非
翻訳領域を含むことを特徴とする上記〔10〕記載のプロ
ーブ; 〔12〕 上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一記載のタンパ
ク質、その一部のペプチドまたはそれらの塩;あるいは
上記〔4〕または〔5〕記載の核酸を含有していること
を特徴とする医薬; 〔13〕 上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一記載のタンパ
ク質、その一部のペプチドまたはそれらの塩の生物学的
活性を促進または阻害する化合物またはその塩を含有し
ていることを特徴とする医薬;及び 〔14〕 上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一記載のタンパ
ク質、その一部のペプチドまたはそれらの塩の生物学的
活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法
およびスクリーニングキットを提供する。
【0010】さらに、別の態様に従えば、本発明は、 〔15〕 天然のヒトカテプシンL2またはその塩である
か、それと実質的に同等なシステインプロテアーゼ活性
または抗原活性を有するものか、あるいはそれと実質的
に同等の一次構造コンフォメーションを持つものである
ことを特徴とする上記〔1〕記載のタンパク質若しくは
その塩またはその一部; 〔16〕 配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸配列
のうち、第114 位〜第334 位のアミノ酸配列を有するも
の、同第18位〜第334 位のアミノ酸配列を有するもの、
及び同第1位〜第334 位のアミノ酸配列を有するものか
らなる群から選ばれたアミノ酸配列に対し、80% より高
い相同性、好ましくは85% より高い相同性、より好まし
くは90% 以上の相同性を有するものであることを特徴と
する上記〔1〕記載のタンパク質若しくはその塩または
その一部; 〔17〕 配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸配列
のうち、第114 位〜第334 位のアミノ酸配列を有するも
の、同第18位〜第334 位のアミノ酸配列を有するもの、
及び同第1位〜第334 位のアミノ酸配列を有するものか
らなる群から選ばれたアミノ酸配列を有するヒトカテプ
シンL2タンパク質、あるいは該タンパク質に特有なアミ
ノ酸残基が1個以上(例えば、1〜73個、好ましくは1
〜60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは
1〜20個、特には1〜10個など)欠けている欠失類縁
体、該ヒトカテプシンL2に特有のアミノ酸残基の1個以
上(例えば、1〜73個、好ましくは1〜60個、さらに好
ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20個、特には
1〜10個など)が他の残基で置換されている置換類縁
体、及び1個以上(例えば、1〜80個、好ましくは1〜
60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1
〜20個、特には1〜10個など)のアミノ酸残基が付加さ
れている付加類縁体からなる群から選ばれたものである
ことを特徴とする上記〔1〕記載のタンパク質若しくは
その塩またはその一部; 〔18〕 上記〔15〕〜〔17〕のいずれか一記載のタンパ
ク質をコードする塩基配列を有することを特徴とする核
酸; 〔19〕 GenBankTM/EMBL accession number: Y14734のヒ
トcDNAと少なくとも79% の相同性を持つ配列; GenBank
TM/EMBL accession number: Y14734のヒトcDNAと少なく
とも80% の相同性を持つ配列; GenBankTM/EMBL access
ion number:Y14734のヒトcDNAと少なくとも85% の相同
性を持つ配列; GenBankTM/EMBL accession number: Y1
4734のヒトcDNAと少なくとも90% の相同性を持つ配列;
GenBankTM/EMBL accession number: Y14734のヒトcDNA
と少なくとも95% の相同性を持つ配列; GenBankTM/EMB
L accession number: Y14734のヒトcDNAと少なくとも97
% の相同性を持つ配列; GenBankTM/EMBL accession nu
mber: Y14734のヒトcDNAと少なくとも98% の相同性を持
つ配列;及び GenBankTM/EMBL accession number: Y147
34のヒトcDNAと少なくとも99% の相同性を持つ配列;か
らなる群から選ばれた領域を有してなることを特徴とす
る核酸; 〔20〕 生工研受託番号 FERM BP-6640 の微生物中のヒ
トcDNA又は FERM BP-6641 の微生物に保有される組換え
プラスミド pGEX-3X CathL2 中のヒトcDNAと少なくとも
79% の相同性を持つ配列;該ヒトcDNAと少なくとも80%
の相同性を持つ配列;該ヒトcDNAと少なくとも85% の相
同性を持つ配列;該ヒトcDNAと少なくとも90% の相同性
を持つ配列;該ヒトcDNAと少なくとも95% の相同性を持
つ配列;該ヒトcDNAと少なくとも97% の相同性を持つ配
列;該ヒトcDNAと少なくとも98% の相同性を持つ配列;
及び該ヒトcDNAと少なくとも99% の相同性を持つ配列;
からなる群から選ばれた領域を有してなることを特徴と
する核酸; 〔21〕 配列表の配列番号:2で表される塩基配列と少な
くとも79% の相同性を持つ配列;配列表の配列番号:2で
表される塩基配列と少なくとも80% の相同性を持つ配
列;配列表の配列番号:2で表される塩基配列と少なくと
も85% の相同性を持つ配列;配列表の配列番号:2で表さ
れる塩基配列と少なくとも90% の相同性を持つ配列;配
列表の配列番号:2で表される塩基配列と少なくとも95%
の相同性を持つ配列;配列表の配列番号:2で表される塩
基配列と少なくとも97% の相同性を持つ配列;配列表の
配列番号:2で表される塩基配列と少なくとも98% の相同
性を持つ配列;及び配列表の配列番号:2で表される塩基
配列と少なくとも99% の相同性を持つ配列;からなる群
から選ばれた領域を有してなることを特徴とする核酸; 〔22〕 上記〔18〕〜〔21〕のいずれか一記載の核酸を
含有することを特徴とするベクター;
【0011】〔23〕 上記〔18〕〜〔21〕のいずれか一
記載の核酸又は上記〔22〕記載のベクターを含有するこ
とを特徴とする形質転換体; 〔24〕 宿主細胞が大腸菌、酵母、CHO 細胞およびCOS
細胞からなる群から選ばれたものであることを特徴とす
る上記〔23〕記載の形質転換体; 〔25〕 上記〔24〕記載の形質転換体によって発現させ
て得たものであることを特徴とする上記〔15〕〜〔17〕
のいずれか一記載のタンパク質; 〔26〕 配列表の配列番号:2で表される塩基配列のう
ち、少なくともその一部を含有し、ストリンジェントな
条件下で、ヒトカテプシンL 遺伝子とはハイブリダイズ
しないが、ヒトカテプシンL2遺伝子とはハイブリダイズ
することのできる塩基配列を含有していることを特徴と
する標識化されていてよいハイブリダイゼーションプロ
ーブ; 〔27〕 試料中のヒト由来のカテプシンL2をコードする
核酸の測定法であって、(i) ヒト由来のカテプシンL2を
コードする核酸に対して特異的なプローブを、該核酸と
特異的にハイブリダイズするのに有効な条件下に、試料
とハイブリッド形成処理せしめ、(ii)該試料中の核酸に
対する該プローブのハイブリダイゼーションを測定する
工程からなり、且つ該プローブは配列表の配列番号:2
で表される塩基配列と少なくとも79% の相同性を持つ10
個又はそれ以上の塩基対の領域の配列を有することを特
徴とする測定法; 〔28〕 上記〔1〕または〔2〕記載のタンパク質のシ
ステインプロテアーゼ活性あるいは抗原性などの生物学
的活性を阻害する方法;及び 〔29〕 阻害剤が、ペプチド、タンパク質、非ペプチド
性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物
抽出液、及び動物組織抽出液からなる群から選ばれたも
のであることを特徴とする上記〔28〕記載の方法を提供
する。
【0012】また、別の態様に従えば、本発明は、 〔30〕 上記〔1〕〜〔3〕及び〔15〕〜〔17〕のいず
れか一記載のタンパク質、その一部のペプチド及びそれ
らの塩からなる群から選ばれたものを使用することを特
徴とする上記〔1〕〜〔3〕及び〔15〕〜〔17〕のいず
れか一記載のタンパク質、その一部のペプチドまたはそ
れらの塩の生物学的活性を促進または阻害する化合物の
スクリーニング方法; 〔31〕 上記〔1〕〜〔3〕及び〔15〕〜〔17〕のいず
れか一記載のタンパク質、その一部のペプチドまたはそ
れらの塩の生物学的活性を促進または阻害する化合物の
スクリーニング方法であって、(i) 上記〔1〕〜〔3〕
及び〔15〕〜〔17〕のいずれか一記載のタンパク質、そ
の一部のペプチドまたはそれらの塩に基質を接触させた
場合と、(ii)上記〔1〕〜〔3〕及び〔15〕〜〔17〕の
いずれか一記載のタンパク質、その一部のペプチドまた
はそれらの塩に基質及び試験化合物を接触させた場合と
の比較を行うことを特徴とするスクリーニング方法; 〔32〕 上記〔1〕〜〔3〕及び〔15〕〜〔17〕のいず
れか一記載のタンパク質、その一部のペプチド及びそれ
らの塩からなる群から選ばれたものを含有することを特
徴とする上記〔1〕〜〔3〕及び〔15〕〜〔17〕のいず
れか一記載のタンパク質、その一部のペプチドまたはそ
れらの塩の生物学的活性を促進または阻害する化合物の
スクリーニングキット; 〔33〕 (i) 上記〔14〕、〔30〕または〔31〕記載のス
クリーニング方法または(ii)上記〔14〕または〔32〕記
載のスクリーニングキットを用いて得られることを特徴
とする、上記〔1〕〜〔3〕及び〔15〕〜〔17〕のいず
れか一記載のタンパク質、その一部のペプチドまたはそ
れらの塩の生物学的活性を促進または阻害する化合物ま
たはその塩;及び 〔34〕 (i) 上記〔14〕、〔30〕または〔31〕記載のス
クリーニング方法または(ii)上記〔14〕または〔32〕記
載のスクリーニングキットを用いて得られる、上記
〔1〕〜〔3〕及び〔15〕〜〔17〕のいずれか一記載の
タンパク質、その一部のペプチドまたはそれらの塩の生
物学的活性を促進または阻害する化合物またはその塩を
含有していることを特徴とする医薬を提供する。
【0013】さらに、別の態様に従えば、本発明は、 〔35〕 配列番号:2で表される塩基配列とストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有する
ことを特徴とする核酸; 〔36〕 上記〔35〕記載の核酸を含有することを特徴と
するベクター; 〔37〕 上記〔35〕記載の核酸または上記〔36〕記載の
ベクターを含有することを特徴とする形質転換体; 〔38〕 上記〔37〕記載の形質転換体を発現させること
によって得たものであることを特徴とするタンパク質又
はその塩; 〔39〕 核酸が DNAであることを特徴とする、上記
〔4〕、〔5〕、〔18〕〜〔21〕及び〔35〕のいずれか
一記載の核酸; 〔40〕 上記〔7〕、〔8〕、〔23〕、〔24〕又は〔3
7〕記載の形質転換体を培養し、(a) 上記〔1〕または
〔2〕記載のタンパク質またはその塩及び(b)その部分
ペプチドまたはその塩からなる群から選ばれたものを生
成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする該生
成物の製造方法;
【0014】〔41〕 (i) 上記〔14〕、〔30〕又は〔3
1〕記載のスクリーニング方法または(ii)上記〔14〕又
は〔32〕記載のスクリーニングキットを用いて得られる
ことを特徴とする、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一記
載のタンパク質、その一部のペプチドまたはそれらの塩
の生物学的活性を促進する化合物またはその塩; 〔42〕 (i) 上記〔14〕、〔30〕又は〔31〕記載のスク
リーニング方法または(ii)上記〔14〕又は〔32〕記載の
スクリーニングキットを用いて得られることを特徴とす
る、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一記載のタンパク
質、その一部のペプチドまたはそれらの塩の生物学的活
性を阻害する化合物またはその塩; 〔43〕 上記〔14〕、〔30〕又は〔31〕記載の生物学的
活性がプロテアーゼ活性であることを特徴とする上記
〔14〕、〔30〕又は〔31〕記載のスクリーニング方法; 〔44〕 上記〔14〕又は〔32〕記載の生物学的活性がプ
ロテアーゼ活性であることを特徴とする上記〔17〕又は
〔32〕記載のスクリーニングキット; 〔45〕 上記〔33〕記載の生物学的活性がプロテアーゼ
活性であることを特徴とする上記〔33〕記載の化合物ま
たはその塩;及び 〔46〕 上記〔13〕記載の生物学的活性がプロテアーゼ
活性であることを特徴とする上記〔13〕記載の医薬を提
供する。
【0015】本発明のその他の目的、特徴、優秀性及び
その有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明
白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実
施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ま
しい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されて
いるものであることを理解されたい。本明細書に開示し
た本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改
変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明
細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易
に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特
許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているも
ので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに
含めて解釈されるべきものである。本明細書において、
用語「及び/又は」とは、 (1)併合的接続関係と (2)選
択的接続関係の両方が存在することを意味しており、例
えば「治療及び/又は予防」の場合では (1)治療及び予
防並びに (2)治療又は予防の両方を包含する意味で使用
されている。その他においても用語「及び/又は」は同
様に (1)併合的接続関係と (2)選択的接続関係の両方を
包含する意味で使用されている。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に従い、システインプロテ
アーゼ活性を有するパパインファミリーの一種で、ヒト
由来のカテプシンL2タンパク質若しくは該カテプシンL2
タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を
有し且つシステインプロテアーゼ活性あるいは同等の抗
原性を有するものであるタンパク質またはその塩、その
タンパク質の特徴的な部分ペプチドまたはその塩、それ
らをコードする遺伝子、例えばDNA 、RNA など、その遺
伝子を遺伝子組換え技術で操作することが可能なように
含有しているベクターあるいはプラスミド、こうしたベ
クターなどで形質転換された宿主細胞、さらにはその遺
伝子を発現するトランスジェニックマウス等のトランス
ジェニック動物、その遺伝子を特異的に不活性化したノ
ックアウトマウス等のノックアウト動物、その形質転換
細胞を、培養して該タンパク質またはその塩を製造する
方法、該単離された遺伝子、例えばDNA 、RNA などをプ
ローブとして用いた測定・診断手段並びに試薬が提供さ
れる。さらには、本明細書で開示され説明されている活
性成分の利用を提供し、例えば、該活性成分を含有する
医薬あるいは試薬などが提供され、そうした活性成分を
用いた疾患、疾病あるいは異常な状態の治療及び/又は
予防方法、さらにはスクリーニング方法などが提供され
る。
【0017】より具体的には、本発明のヒトカテプシン
L2としては、配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸
配列のうち、第114 位〜第334 位のアミノ酸配列を有す
るもの、同第18位〜第334 位のアミノ酸配列を有するも
の、同第1位〜第334 位のアミノ酸配列を有するもの、
及びそれらのいずれか一つと少なくとも78% より高い相
同性、好ましくは79% 以上の相同性、さらに好ましくは
80% 以上の相同性、また好ましくは85% 以上の相同性、
もっと好ましくは90% 以上の相同性、より好ましくは95
% 以上の相同性、特に好ましくは97% 以上の相同性を有
し且つシステインプロテアーゼ活性あるいは同等の抗原
性などといった実質的に同等の生物学的活性を有するア
ミノ酸配列を有するものがすべて挙げられる。本発明の
ヒトカテプシンL2としては、システインプロテアーゼ活
性を有するパパインファミリーの一種であり且つ新規な
アミノ酸配列を有するものであればよい。より好ましく
は、本発明は配列表の配列番号:1で表されるアミノ酸
配列のうち、第114 位〜第334 位のアミノ酸配列を有す
るもの、同第18位〜第334 位のアミノ酸配列を有するも
の、同第1位〜第334 位のアミノ酸配列を有するもの、
及びそれらのいずれか一つと実質的に同等のアミノ酸配
列を有するものからなる群から選ばれたタンパク質であ
ることを特徴とするヒト由来のカテプシンL2タンパク質
またはその塩を提供する。さらに本発明のヒトカテプシ
ンL2としては、配列表の配列番号:1で表されるアミノ
酸配列の一部または全部を有していてもよい。こうした
配列を有するものはすべて包含されてよい。
【0018】本明細書中、「相同性」とは、ポリペプチ
ド配列(あるいはアミノ酸配列)又はポリヌクレオチド
配列(あるいは塩基配列)における2本の鎖の間で該鎖
を構成している各アミノ酸残基同志又は各塩基同志の互
いの適合関係において同一であると決定できるようなも
のの量(数)を意味し、二つのポリペプチド配列又は二
つのポリヌクレオチド配列の間の配列相関性の程度を意
味するものである。相同性は容易に算出できる。二つの
ポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列間の相同性
を測定する方法は数多く知られており、「相同性」
(「同一性」とも言われる)なる用語は、当業者には周
知である (例えば、Lesk, A. M. (Ed.), Computational
Molecular Biology, Oxford University Press, New Y
ork, (1988);Smith, D. W. (Ed.), Biocomputing: Info
rmatics and Genome Projects, Academic Press, New Y
ork, (1993); Grifin, A. M. & Grifin, H. G. (Ed.),
Computer Analysis of Sequence Data: Part I, Human
Press, New Jersey, (1994);von Heinje, G., Sequence
Analysis in Molecular Biology, Academic Press,New
York, (1987); Gribskov, M. & Devereux, J. (Ed.),
Sequence Analysis Primer, M-Stockton Press, New Yo
rk, (1991) 等) 。二つの配列の相同性を測定するのに
用いる一般的な方法には、Martin, J. Bishop (Ed.), G
uide to Huge Computers, Academic Press, San Diego,
(1994); Carillo, H. & Lipman, D., SIAM J. Applied
Math., 48: 1073 (1988) 等に開示されているものが挙
げられるが、これらに限定されるものではない。相同性
を測定するための好ましい方法としては、試験する二つ
の配列間の最も大きな適合関係部分を得るように設計し
たものが挙げられる。このような方法は、コンピュータ
ープログラムとして組み立てられているものが挙げられ
る。二つの配列間の相同性を測定するための好ましいコ
ンピュータープログラム法としては、GCG プログラムパ
ッケージ (Devereux, J. et al., Nucleic Acids Resea
rch, 12(1): 387 (1984)) 、BLASTP、BLASTN、FASTA (A
tschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215: 403 (1
990)) 等が挙げられるが、これらに限定されるものでな
く、当該分野で公知の方法を使用することができる。
【0019】本発明のヒトカテプシンL2をコードする遺
伝子は、代表的には配列表の配列番号:2で表される塩
基配列を含有するもの、及び配列表の配列番号:2で表
される塩基配列の70-72 位のATG から1072-1074 位のTG
A より構成される塩基配列を含有するもの(1072-1074
の終止コドンTGA は、TAA またはTAG であってもよい)
であることができるし、配列表の配列番号:2で表され
る塩基配列の409 位から1074位の塩基配列を含有するも
の、配列表の配列番号:2で表される塩基配列の121 位
から1074位の塩基配列を含有するもの、それらの塩基配
列に開始コドン、例えば、Met をコードするコドンを付
加したもの、また、該塩基配列がコードするタンパク質
と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を持ち
且つシステインプロテアーゼ活性あるいは同等の抗原性
などのそれと実質的に同等の生物学的活性を有するタン
パク質をコードするといったそれと同効の塩基配列を含
有するものであれば如何なるものであってもよい。該ヒ
トカテプシンL2をコードする遺伝子は、一本鎖DNA 、二
本鎖DNA 、RNA 、DNA:RNA ハイブリッド、合成DNAなど
の核酸であり、またヒトゲノムDNA 、ヒトジェノミック
DNA ライブラリー、ヒト組織・細胞由来のcDNA、合成DN
A のいずれであってもよい。該ヒトカテプシンL2をコー
ドする遺伝子の塩基配列は、修飾(例えば、付加、除
去、置換など)されることもでき、そうした修飾された
ものも包含されてよい。さらには、以下説明するよう
に、本発明の核酸は、本発明のタンパク質あるいはその
一部をコードするものであってよく、好ましいものとし
てはDNA が挙げられる。また上記「同効の塩基配列」と
は、例えばストリンジェントな条件で配列表の配列番
号:2で表される塩基配列とハイブリダイズするもの、
ヒトカテプシンL2と実質的に同等のアミノ酸配列をコー
ドするものなどが挙げられる。
【0020】配列表の配列番号:2で表される塩基配列
またはそれと同効の塩基配列を含有する本発明のDNA
は、例えば以下に示す方法によって取得できる。なお、
遺伝子組換え技術は、例えば J. Sambrook, E. F. Frit
sch & T. Maniatis, "Molecular Cloning: A Laborator
y Manual (2nd edition)", Cold SpringHarbor Laborat
ory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989); D.
M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vo
l. 1 to 4, (The Practical Approach Series), IRL Pr
ess, Oxford University Press (1995);日本生化学会
編、「続生化学実験講座1、遺伝子研究法II」、東京化
学同人 (1986);日本生化学会編、「新生化学実験講座
2、核酸 III(組換えDNA 技術)」、東京化学同人 (19
92); R. Wu ed., "Methods in Enzymology", Vol. 68
(Recombinant DNA), Academic Press, New York (198
0); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology",Vol.
100 (Recombinant DNA, Part B) & 101 (Recombinant
DNA, Part C), Academic Press, New York (1983); R.
Wu et al. ed., "Methods in Enzymology",Vol. 153 (R
ecombinant DNA, Part D), 154 (Recombinant DNA, Par
t E) & 155(Recombinant DNA, Part F), Academic Pres
s, New York (1987); J. H. Millered., "Methods in E
nzymology", Vol. 204, Academic Press, New York (19
91); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vo
l. 218, Academic Press, New York (1993)などに記載
の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法あるい
はそれらと実質的に同様な方法や改変法により行うこと
ができる (それらの中にある記載はそれを参照すること
により本明細書の開示に含められる) 。
【0021】先ず、その全配列あるいは部分配列がクロ
ーニングされている既知のヒトシステインプロテアーゼ
ファミリー(より好ましくはパパインファミリー、特に
好ましくはヒトカテプシン)のアミノ酸配列と有意の類
似性を示す配列を遺伝子データベースから検索により同
定する。有意の類似性を示す配列としては、好ましくは
動物由来のcDNA配列が挙げられ、より好ましくはヒト由
来のcDNA配列が挙げられる。こうして同定された配列に
基づいて適切なプライマーを設計・合成し、好ましくは
同定された配列のオリジンである動物由来のcDNAライブ
ラリーを用い、目的の配列をPCR 増幅する。得られたDN
A 断片をプローブに種々のヒト組織あるいは培養細胞等
から構築されたヒトジェノミック DNAライブラリーある
いはヒト由来cDNAライブラリーをスクリーニングし、プ
ローブにハイブリダイズするクローンを選択し、該クロ
ーン中の DNAの挿入配列の塩基配列を決定し、新規なヒ
トシステインプロテアーゼ遺伝子配列を有するDNA 断片
を決定・取得する。必要に応じて該クローン中の DNAの
挿入配列はサブクローニングすることができる。塩基配
列の決定は、ダイデオキシ法、例えば M13ダイデオキシ
法など、Maxam-Gilbert 法などを用いて行うことができ
るが、市販のシークエンシングキット、例えば Taqダイ
プライマーサイクルシークエンシングキット、Sequenas
e v 2.0 kitなどを用いたり、自動塩基配列決定装置、
例えば蛍光DNA シーケンサー装置などを用いて行うこと
が出来る。ダイデオキシ法に用いられるポリメラーゼと
しては、例えば、DNA ポリメラーゼ Iのクレノー・フラ
グメント、AMV 逆転写酵素、Taq DNA ポリメラーゼ、T7
DNAポリメラーゼ、修飾 T7 DNA ポリメラーゼなどが挙
げられる。
【0022】こうして解析された新規なヒトシステイン
プロテアーゼ遺伝子を有していると考えられるDNA 配列
を基に、該ヒトシステインプロテアーゼをコードする遺
伝子を取得する。先ず該解析された新規なヒトシステイ
ンプロテアーゼ遺伝子の有しているDNA配列を基にセン
スプライマーとアンチセンスプライマーを合成する。プ
ライマーの作製は、当該分野で知られた方法で行うこと
ができ、例えば自動DNA 合成装置を用い、フォスフォジ
エステル法、フォスフォトリエステル法、フォスフォア
ミダイト法などにより合成できる。種々のヒト由来の組
織あるいは培養細胞(特には、ヒトの脳、胸腺、精巣、
腸、腎臓などの組織・細胞等、乳癌、乳癌細胞株、例え
ば、ZR-75-1, Hs-578T, MDA-MB435 など、卵巣癌、結腸
・直腸癌 SW480細胞等)cDNAライブラリーと前記のセン
スプライマー及びアンチセンスプライマーを用いてポリ
メラーゼ・チェイン・リアクション(polymerase chain
reaction: PCR)を行い、cDNAを増幅する。また、当該遺
伝子の取得には、上記のようにして同定されたクローン
から特異的なハイブリダイゼーションプローブを調製
し、ヒト由来DNA ライブラリーをスクリーニングし、プ
ローブにハイブリダイズするクローンを選択することに
より行うことができる。さらに鋳型として用いるcDNAラ
イブラリーは、下記のようにして調製したもの、あるい
は市販の種々の組織由来cDNAライブラリーを直接使用す
ることもでき、例えばStratagene, Invitrogen, Clonte
chなどから市販されたcDNAライブラリーを用いることが
できる。
【0023】本明細書中、「ポリメラーゼ・チェイン・
リアクション」又は「PCR 」とは、一般的に、米国特許
第 4683195号明細書に記載されたような方法を指し、例
えば、所望のヌクレオチド配列をインビトロで酵素的に
増幅するための方法を指している。一般に、PCR 法は、
鋳型核酸と優先的にハイブリダイズすることのできる2
個のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、プライ
マー伸長合成を行うところのサイクルを繰り返し行うこ
とを含むものである。典型的には、PCR 法で用いられる
プライマーは、鋳型内部の増幅されるべきヌクレオチド
配列に対して相補的なプライマーを使用することがで
き、例えば、該増幅されるべきヌクレオチド配列とその
両端において相補的であるか、あるいは該増幅されるべ
きヌクレオチド配列に隣接しているものを好ましく使用
され得る。PCR 反応は、当該分野で公知の方法あるいは
それと実質的に同様な方法や改変法により行うことがで
きるが、例えば R. Saiki, et al., Science, 230:135
0, 1985; R. Saiki, et al., Science, 239: 487, 1988
; H. A. Erliched., PCR Technology, Stockton Pres
s, 1989 ; D. M. Glover et al. ed.,"DNA Cloning", 2
nd ed., Vol. 1, (The Practical Approach Series), I
RLPress, Oxford University Press (1995) ; M. A. In
nis et al. ed., "PCRProtocols: a guide to methods
and applications", Academic Press, New York (199
0)); M. J. McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor
(Ed.), PCR: a practical approach, IRL Press, Oxfor
d (1991); M. A. Frohman et al., Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 85, 8998-9002 (1988) などに記載された方
法あるいはそれを修飾したり、改変した方法に従って行
うことができる。また、PCR 法は、それに適した市販の
キットを用いて行うことができ、キット製造業者あるい
はキット販売業者により明らかにされているプロトコル
に従って実施することもできる。
【0024】本明細書中、「オリゴヌクレオチド」と
は、比較的短い一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチド
で、好ましくはポリデオキシヌクレオチドが挙げられ、
Agnew. Chem. Int. Ed. Engl., Vol.28, p.716-734 (19
89) に記載されているような既知の方法、例えば、トリ
エステル法、ホスファイト法、ホスホアミダイト法、ホ
スホネート法などの方法により化学合成されることがで
きる。通常合成は、修飾された固体支持体上で合成を便
利に行うことができることが知られており、例えば、自
動化された合成装置を用いて行うことができ、該装置は
市販されている。該オリゴヌクレオチドは、一つ又はそ
れ以上の修飾された塩基を含有していてよく、例えば、
イノシンなどの天然においては普通でない塩基あるいは
トリチル化された塩基などを含有していてよい。得られ
た PCR産物をクローニングし、得られた PCR産物の塩基
配列を決定し、新規なヒトシステインプロテアーゼ遺伝
子配列を有する DNA断片を取得することもできる。ま
た、この DNA断片をプローブに同様にして種々のcDNAラ
イブラリーをスクリーニングし、目的とするDNA を単離
することもできる。PCR 産物のクローニングには、例え
ば、p-Direct (Clontech), pCR-Script TM SK(+) (Stra
tagene), pGEM-T (Promega), pAmp TM (Gibco-BRL)など
の市販のプラスミドベクターを用いることが出来る。
【0025】完全なオープン・リーディング・フレーム
を含む全長の新規なヒトシステインプロテアーゼ遺伝子
配列を取得するには、必要に応じて、上記の様にして得
られた新規なヒトシステインプロテアーゼ遺伝子を構成
している DNA断片をプローブに用いて、上記したような
種々のヒト組織あるいは培養細胞から構築されたcDNAラ
イブラリーをスクリーニングし、プローブにハイブリダ
イズするクローンを選択し、該クローン中のcDNAの挿入
配列の塩基配列を決定し、該新規なヒトシステインプロ
テアーゼ遺伝子を構成している新規なDNA 断片を同定し
取得する。もちろん、必要に応じて該クローン中のcDNA
の挿入配列はサブクローニングすることができる。決定
された塩基配列を基にして、目的とするDNA を単離する
ことができる。好ましくはヒト脳由来cDNAライブラリー
をスクリーニングし、塩基配列の決定をして目的とする
DNA を単離する。なお、プローブなどを放射性同位体な
どによって標識するには、市販の標識キット、例えばラ
ンダムプライムドDNA ラベリングキット (Boehringer M
annheim)などを使用して行うことが出来る。
【0026】cDNAライブラリーを構築するためには、cD
NAを入手する必要があるが、これは、例えば次のように
して得られる。先ず上記したような種々のヒトの組織あ
るいは培養細胞(特には、ヒトの脳、胸腺、精巣、腸、
腎臓などの組織・細胞等、乳癌、乳癌細胞株、例えば、
ZR-75-1, Hs-578T, MDA-MB435 など、卵巣癌、結腸・直
腸癌 SW480細胞等)からmRNAを単離する。mRNAの単離
は、当該分野で公知の方法あるいはそれと実質的に同様
な方法や改変法により行うことができるが、J. Sambroo
k et al.,"Molecular Cloning", 2nd ed., Chapter 7,
Cold SpringHarbor Laboratory, Cold Spring Harbor,
N. Y. (1989) ; D. M. Glover etal. ed., "DNA Clonin
g", 2nd ed., Vol. 1, (The Practical ApproachSerie
s), IRL Press, Oxford University Press (1995) ; L.
Grossman et al.ed., "Methods in Enzymology", Vol.
12, Part A & B, Academic Press, NewYork (1968);
S. L. Berger et al. ed., "Methods in Enzymology",
Vol.152, p.33 & p.215, Academic Press, New York (1
987);Biochemistry, 18:5294-5299, 1979 などに記載の
方法、例えばグアニジン−塩化セシウム法、チオシアン
酸グアニジン法、フェノール法などの方法で行うことが
出来る。mRNAの単離に用いられるキットとしては、例え
ば、Pharmacia, Stratagene, Gibco-BRLなどから市販さ
れているものが挙げられる。必要に応じ、得られた全RN
A はオリゴ(dT)−セルロースカラム、スピンカラム、オ
リゴ(dT)結合磁性ビーズなどを使用して精製してポリ
(A)+ mRNAを得ることが出来る。
【0027】このmRNA及び逆転写酵素(RNA依存性DNA ポ
リメラーゼ) を用いて、cDNAを作製する。逆転写反応で
は、オリゴ(dT)プライマーを用いることができる。オリ
ゴ(dT)プライマーは、好適には12〜18個のT残基を持つ
ものが使用できる。指向性クローニングを行う場合に
は、12〜18個のT残基の5'側に制限酵素部位を連結した
合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いることも好ま
しい。こうしたプライマーの例としては、Xba I オリゴ
(dT)プライマーアダプターなどが挙げられる。またラン
ダムヘキサマープライマーを用いると、mRNAの5'末端側
が得られる可能性が増大し、このランダムヘキサマープ
ライマーは単独で、あるいはオリゴ(dT)プライマーと混
合して使用できる。逆転写反応では、必要に応じてRNas
e 阻害剤、例えば、RNasin (Boehringer Mannheim)を加
えることができる。mRNA及び逆転写酵素を用いてのcDNA
合成は当該分野で公知の方法あるいはそれと実質的に同
様な方法や改変法により行うことができるが、H. Land
et al., Nucleic Acids Res., 9: 2251, 1981; U. Gub
ler et al., Gene, 25: 263-269, 1983; S. L. Berger
et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 152, p.3
07, Academic Press,New York (1987) などに記載の方
法が挙げられる。
【0028】こうして作製されたcDNAを基に、ファージ
ベクター、プラスミドベクターを使用するなどしてcDNA
ライブラリーを構築できる。またファージベクターを使
用する以外で、大腸菌などの宿主細胞の形質転換をする
には、例えばカルシウム法、ルビジウム/カルシウム
法、カルシウム/マンガン法、TFB 高効率法、FSB 凍結
コンピテント細胞法、迅速コロニー法、エレクトロポレ
ーションなど当該分野で知られた方法あるいはそれと実
質的に同様な方法で行うことができる(D. Hanahan, J.
Mol. Biol., 166: 557, 1983 など)。また、こうして
作製されたcDNAを鋳型に、該新規なヒトシステインプロ
テアーゼ遺伝子を構成している新規なDNA 断片であっ
て、決定された塩基配列を基にして、プライマーを設計
し、さらに PCRを行うことによっても本発明のヒトカテ
プシンL2をコードする遺伝子を得ることが可能である。
典型的な場合、その全配列あるいは部分配列がクローニ
ングされている既知のシステインプロテアーゼ酵素であ
って、パパインファミリーより得られたアミノ酸配列、
より好ましくは配列決定されたあるいは推定されたヒト
カテプシンL2のアミノ酸配列から選択した、高度に保存
されているアミノ酸配列(例えば、前駆体(プロ体)と
活性型の切断部位近傍の配列など)やカテプシンに特異
的に存在する領域のアミノ酸配列(例えば、C末端側領
域のうちのアミノ酸配列、プロペプチド・ドメインと触
媒ドメインの間に存在する領域のうちのアミノ酸配列、
触媒ドメインの活性部位領域のうちのアミノ酸配列な
ど)を基に、デジェネレイテッド・プライマーを作製す
る。このプライマーと上記作製したcDNAとを用い、PCR
を行う。PCR は、上記したようにして行うことができ
る。得られたPCR 産物を上記と同様にクローニングし、
得られたPCR 産物の塩基配列を決定し、新規なヒトカテ
プシンL2遺伝子配列を有するDNA 断片を取得することも
できる。また、このDNA 断片をプローブに同様にして種
々のcDNAライブラリーをスクリーニングし、目的とする
DNA を単離することもできる。
【0029】目的とするDNA を単離するためには、逆転
写PCR (polymerase chain reactioncoupled reverse tr
anscription; RT-PCR) 、RACE (rapid amplification o
f cDNA ends) を適用することが出来る。RACEは、例え
ば、M. A. Innis et al. ed., "PCR Protocols" (M. A.
Frohman, "a guide to methods and applications"),
pp.28-38, Academic Press, New York (1990) などに記
載された方法に従って行うことができる。RT-PCR産物は
プラスミドベクターにクローニングすることができ、そ
れを高効率のコンピテント細胞に導入できる。更に、微
量の細胞あるいは組織からmRNAを単離精製できる方法、
例えば、REXkit, United States Biochemical; Glass M
AX TM RNA spin cartridge system,Gibco-BRL などの市
販のキットを利用し、得られたmRNAをオリゴ(dT)プライ
マーを用いて逆転写して、1st strand DNAを合成し、つ
いで1st strand DNAの3'末端にホモポリマーテール (例
えば、G残基)を付けた後、あるいは該 DNAにアダプタ
ーを付けた後、オリゴ(dT)プライマーとオリゴ(dC)プラ
イマーあるいはアダプタープライマーを用いてcDNAを P
CR増幅することもできる。これに適した市販のキットと
しては、SuperScript TM pre-amplification system (G
ibco-BRL); cDNA Cycle TM kit (Invitrogen) などが挙
げられる。
【0030】以下にさらに詳細に記述する。プローブDN
A を使用して、遺伝子ライブラリーから新規ヒトカテプ
シンL2遺伝子をスクリーニングして同定し、クローニン
グして得られた新規ヒトカテプシンL2遺伝子をコードす
るDNA インサートの塩基配列を決定する。プローブDNA
としては、例えば、マウスcDNA配列(AA013726; M. Marr
a 等によって登録、WashU-HHMI Mouse EST Project) に
基づいて設計したプライマーを使用し、市販マウスライ
ブラリー (胎児および脳、Clontech) のλgt11−ファー
ジDNA を鋳型として用いてPCR 増幅して得られたマウス
由来AA013726配列をコードするcDNAを用い、それを標識
してプローブとして用いることができる。標識には、DN
A ラベリングキットを用いることができ、例えば、rand
om-primingキット (Pharmacia LKB, Uppsala) などを使
用してプローブ用DNA を [α-32P]dCTP (Amersham)など
を用いて標識し、放射活性を持つプローブを得ることが
できる。該標識DNA 断片とヒト組織・細胞から調製した
遺伝子ライブラリー、例えばヒトP1 artificial chromo
someジェノミックライブラリー(Human Genome MappingR
esource Center)、ヒト脳cDNAライブラリー (例えば、C
lontechなどから入手可能) を用い、ハイブリダイゼー
ションを行う。ヒト脳cDNAライブラリーは、例えば、λ
gt10などのファージ中に構築することができ、それを大
腸菌C600hfl 株などの宿主大腸菌に感染させ、プラーク
を形成させて得ることができる。
【0031】ハイブリダイゼーションは、上記のように
形成されたプラークをナイロンフィルターなどの膜に転
写せしめ、必要に応じ変成処理、固定化処理、洗浄処理
などを施した後、その膜に転写せしめられたものを、必
要に応じ変成させた標識プローブDNA 断片と、ハイブリ
ダイゼーション用バッファ中で反応させて行われる。ハ
イブリダイゼーション処理は、普通約35℃〜約80℃、よ
り好適には約50℃〜約65℃で、約15分〜約36時間、より
好適には約1 時間〜約24時間行われるが、適宜最適な条
件を選択して行うことができる。例えば、ハイブリダイ
ゼーション処理は、約55℃で約18時間行われる。ハイブ
リダイゼーション用バッファとしては、当該分野で普通
に使用されるものの中から選んで用いることができ、例
えば、Rapid hybridization buffer(Amersham)などを
用いることができる。転写した膜の変成処理としては、
アルカリ変性液を使用する方法が挙げられ、その処理後
中和液や緩衝液で処理するのが好ましい。また膜の固定
化処理としては、普通約40℃〜約 100℃、より好適には
約70℃〜約90℃で、約15分〜約24時間、より好適には約
1 時間〜約4 時間ベーキングすることにより行われる
が、適宜好ましい条件を選択して行うことができる。例
えば、フィルターを約80℃で約2 時間ベーキングするこ
とにより固定化が行われる。転写した膜の洗浄処理とし
ては、当該分野で普通に使用される洗浄液、例えば1M N
aCl 、1mM EDTAおよび 0.1% SodiumDodecyl sulfate
(SDS) 含有 50mM Tris-HC1緩衝液,pH8.0 などで洗うこ
とにより行うことができる。ナイロンフィルターなどの
膜としては、当該分野で普通に使用されるものの中から
選んで用いることができ、例えば、ナイロンフィルター
[ハイボンド(Hybond)-N、Amersham]などを挙げるこ
とができる。
【0032】上記アルカリ変性液、中和液、緩衝液とし
ては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで
用いることができ、アルカリ変性液としては、例えば、
0.5MNaOH および1.5M NaCl を含有する液などを挙げる
ことができ、中和液としては、例えば、1.5M NaCl 含有
0.5M Tris−HCl 緩衝液,pH8.0 などを挙げることがで
き、緩衝液としては、例えば、 2×SSPE(0.36M NaCl、
20mM NaH2PO4および2mM EDTA)などを挙げることができ
る。またハイブリダイゼーション処理に先立ち、非特異
的なハイブリダイゼーション反応を防ぐために、必要に
応じて転写した膜はプレハイブリダイゼーション処理す
ることが好ましい。このプレハイブリダイゼーション処
理は、例えば、プレハイブリダイゼーション溶液[50%
formamide、 5×Denhardt's溶液(0.2 %ウシ血清アル
ブミン、0.2 % polyvinyl pyrrolidone)、 5×SSPE、
0.1 % SDS、100 μg/ml 熱変性サケ精子DNA ]などに
浸し、約35℃〜50℃、好ましくは約42℃で、約 4〜24時
間、好ましくは約 6〜8 時間反応させることにより行う
ことができるが、こうした条件は当業者であれば適宜実
験を繰り返し、より好ましい条件を決めることができ
る。ハイブリダイゼーションに用いる標識プローブDNA
断片の変成は、例えば、約70℃〜100 ℃、好ましくは約
100 ℃で、約1 分間〜約60分間、好ましくは約 5分間加
熱するなどして行うことができる。なお、ハイブリダイ
ゼーションは、それ自体公知の方法あるいはそれに準じ
た方法で行うことができるが、本明細書でストリンジェ
ントな条件とは、例えばナトリウム濃度に関し、約15〜
50mM、好ましくは約19〜40mM、より好ましくは約19〜20
mMで、温度については約35〜85℃、好ましくは約50〜70
℃、より好ましくは約60〜65℃の条件を示す。
【0033】ハイブリダイゼーション完了後、フィルタ
ーを十分に洗浄処理し、特異的なハイブリダイゼーショ
ン反応をした標識プローブDNA 断片以外の標識プローブ
を取り除く。フィルターの洗浄処理は、当該分野で普通
に使用されるものの中から選んで用いて行うことがで
き、例えば、0.1 % SDS含有 0.5×SSC ( O.15M NaCl、
15mM クエン酸)溶液などで洗うことにより実施でき
る。ハイブリダイズしたプラークは、代表的にはオート
ラジオグラフィーにより検出することができるが、当該
分野で用いられる方法の中から適宜選択してプラーク検
出に用いることもできる。検出したシグナルに相当する
プラークを、適切な緩衝液、例えば、SM溶液( 100mM N
aCl および10mM MgSO4含有50mM Tris-HCl 緩衝液、pH7.
5 )などに懸濁し、ついでこのファージ懸濁液を適度に
希釈して、大腸菌に感染させ、得られた大腸菌を培養し
て、その培養された大腸菌から目的組換え体ファージを
得る。なお、必要に応じて上記プローブDNA を使用し
て、ハイブリダイゼーション処理により遺伝子ライブラ
リーやcDNAライブラリーから目的組換え体ファージをス
クリーニングする処理は、繰り返して行うことができ
る。また目的組換え体ファージは、培養された大腸菌か
ら抽出処理、遠心分離処理などを施して得ることができ
る。
【0034】得られたファージ粒子は、当該分野で普通
に使用される方法で精製分離することができ、例えば、
グリセロールグラジエント超遠心分離法(Molecular cl
oning, a laboratory manual, ed. T. Maniatis, Cold
Spring Harbor Laboratory,2nd ed. 78, 1989)などに
より精製することができる。ファージ粒子からは、当該
分野で普通に使用される方法でDNA を精製分離すること
ができ、例えば、得られたファージをTM溶液(10mM MgS
O4含有50mM Tris-HCl 緩衝液、pH7.8 )などに懸濁し、
DNase I およびRNase A などで処理後、20mM EDTA 、50
μg/ml Proteinase K 及び0.5 %SDS 混合液などを加
え、約65℃、約1 時間保温した後、これをフェノール抽
出ジエチルエーテル抽出後、エタノール沈殿によりDNA
を沈殿させ、次に得られたDNA を70%エタノールで洗浄
後乾燥し、TE溶液(10mM EDTA 含有10mM Tris-HC1 緩衝
液、pH8.0 )に溶解するなどして得られる。また、目的
としているDNA は、サブクローニングなどにより大量に
得ることも可能であり、例えばサブクローニングは、宿
主として大腸菌を用いプラスミドベクターなどを用いて
行うことができる。こうしたサブクローニングにより得
られたDNA も、上記と同様にして遠心分離、フェノール
抽出、エタノール沈殿などの方法により精製分離でき
る。
【0035】こうして得られたDNA の塩基配列、例えば
1本鎖DNA の塩基配列は、上記と同様にしてシークエン
シングすることができ、例えば、蛍光DNA シーケンサMo
del373A(Applied Biosystems)、Taq ダイプライマー
サイクルシークエンシングキット(Applied Biosystem
s)などを使用しその配列を決定することができる。決
定された配列を解析することにより、既知のヒトカテプ
シンL の配列に類似しているが、新規なヒトカテプシン
と推定される遺伝子を同定して、解析できる。解析され
た遺伝子の塩基配列を基に、該新規なヒトカテプシンと
推定される遺伝子のcDNA入手のため、プライマーをデザ
インする。センスプライマーは、好ましくは解析された
該新規なヒトカテプシンと推定される遺伝子の5'端側の
エクソン部位から選んで合成することができ、アンチセ
ンスプライマーは、好ましくは解析された該新規なヒト
カテプシンと推定される遺伝子の3'端側のエクソン部位
から選んで合成することができ、より好ましくは該セン
スプライマー合成に利用したエクソン部位以外から選ぶ
ことができる。遺伝子のcDNAは、その全長を一度に入手
することを目指してもよいが、解析されたエクソン部位
(複数のエクソン部位) を利用して、複数のプライマー
をデザインして合成し、複数のPCR をデザインして行
い、こうして塩基配列決定されたDNA 断片を解析して、
当該遺伝子のcDNAの全塩基配列を決定し、それに基づい
てクローニングしたDNA 断片から当該遺伝子のcDNAを得
ることができる。プライマーは、好ましくは 5個以上の
塩基からなるオリゴヌクレオチド、より好ましくは18〜
25個の塩基からなるオリゴヌクレオチドが挙げられる。
プライマーの合成は、上記したように、自動DNA 合成装
置、例えば、model 381A DNA synthesizer (Applied Bi
osystems) などを用いて合成される。
【0036】ヒトの組織、特には、ヒト脳などから単離
したmRNAを用いて、逆転写酵素により1st strand cDNA
を作製する。脳組織を、Trizol Reagent (Life Technol
ogies)などの市販のmRNA抽出分離キットあるいはcDNA合
成キット(mRNA抽出分離試薬やシステムが添付されてい
る)等を用いて処理し、mRNAは調製する。1st strandcD
NA は、オリゴdT12-18 プライマーを使用し、Super Scr
ipt kit (Life Technologies)などの市販のcDNA合成キ
ットを用い、該mRNAを鋳型にして合成できる。1st stra
nd cDNA 合成は、例えば、ポリ (A)+ RNA を5×RT緩衝
液 (250mM Tris-HCl (pH8.3), 50mM MgCl2, 375mM KCl,
50mM DTT 含有) 、dNTPs ( デオキシヌクレオシド三リ
ン酸dATP, dGTP, dCTP, dTTPの混合物)、オリゴdT16
ライマー、RNase 阻害剤 (Boehringer Mannheim)、MMLV
RT (Gibco-BRL) あるいはSuperscript RT plus (Life
Technologies) 及び脱イオン蒸留水と混合し、約37℃で
約1 時間インキュベートすることにより達成できる。
【0037】得られた1st strand DNAと解析された遺伝
子のエクソンに基づいてデザインされたプライマーと
を、10×反応緩衝液 (Taq DNA ポリメラーゼに添付され
ている) 、dNTPs ( デオキシヌクレオシド三リン酸dAT
P, dGTP, dCTP, dTTPの混合物)、Taq DNA ポリメラー
ゼ及び脱イオン蒸留水と混合する。混合物を、例えば、
GeneAmp 2400 PCR system, Perkin-Elmer/Cetus などの
自動サーマルサイクラーを用いて一般的なPCR サイクル
条件下にそのサイクルを25〜60回繰り返すが、増幅のた
めのサイクル数は適宜目的に応じて適当な回数とするこ
とができる。PCR サイクル条件としては、例えば、変性
90〜95℃ 5〜100 秒、アニーリング40〜60℃5〜150
秒、伸長65〜75℃ 30 〜300 秒のサイクル、好ましくは
変性 94 ℃ 15秒、アニーリング 58 ℃ 15 秒、伸長 72
℃ 45 秒のサイクルが挙げられるが、アニーリングの
反応温度及び時間は適宜実験によって適当な値を選択で
きるし、変性反応及び伸長反応の時間も、予想されるPC
R 産物の鎖長に応じて適当な値を選択できる。アニーリ
ングの反応温度は、通常プライマーと鋳型DNA とのハイ
ブリッドのTm値に応じて変えることが好ましい。伸長反
応の時間は、通常1000bpの鎖長当たり1 分程度がおおよ
その目安であるが、より短い時間を選択することも場合
により可能である。
【0038】得られたPCR 産物は、通常 1〜2% アガロ
ースゲル電気泳動にかけて、特異なバンドとしてゲルか
ら切り出し、例えば、gene clean kit (Bio 101)などの
市販の抽出キットを用いてDNA を抽出する。抽出された
DNA は適当な制限酵素で切断し、必要に応じ精製処理し
たり、さらには必要に応じ5'末端をT4ポリヌクレオチド
キナーゼなどによりリン酸化した後、pUC18 などのpUC
系ベクターといった適当なプラスミドベクターにライゲ
ーションし、適当なコンピテント細胞を形質転換する。
クローニングされたPCR 産物はその塩基配列を解析され
る。塩基配列の解析の結果、さらに5'端側及び/又は3'
端側の配列を得る必要がある場合には、cDNA末端の迅速
増幅法 (RACE: rapid amplification of cDNA ends) を
適用して達成することができる。
【0039】また、当該遺伝子のエクソン部位のうち解
析した5'端側のエクソン部位の塩基配列に基づいてデザ
インされたプライマーを利用して、当該遺伝子のcDNAの
5'端側のcDNAを取得し、一方当該遺伝子のエクソン部位
のうち解析した3'端側のエクソン部位の塩基配列に基づ
いてデザインされたプライマーを利用して、当該遺伝子
のcDNAの3'端側のcDNAを取得し、次に必要に応じてこれ
らプライマーや得られた当該遺伝子のcDNAの5'端側のcD
NA並びに3'端側のcDNAの塩基配列の情報を利用してデザ
インしたプライマーを用い、ヒトの組織、特には、ヒト
脳組織などから単離したmRNAから逆転写酵素により作製
された1st strand cDNA を鋳型にしてPCR により増幅し
て、当該遺伝子のcDNAを得ることができる。
【0040】5'端側のプライマーとしては、少なくとも
開始コドンを含有するか、あるいは該開始コドンを含め
て増幅できるように選択し、また3'端側のプライマーと
しては、少なくともストップコドンを含有するか、ある
いは該ストップコドンを含めて増幅できるように選択す
ることが好ましい。当該遺伝子の全長のcDNAを得るにあ
たり、PCR は上記したようにして行なうことができ、ま
た好ましいPCR サイクル条件としては、例えば、変性92
〜95℃ 10 〜20秒、アニーリング55〜60℃ 10〜30秒、
伸長65〜75℃ 150〜300 秒のサイクル、より好ましくは
変性 94 ℃ 15秒、アニーリング 58 ℃ 15 秒、伸長 68
℃ 4分のサイクルが挙げられる。得られたPCR 産物
は、上記と同様にしてクローニングしてその塩基配列を
解析され決定される。また決定されたDNA の塩基配列を
基にプライマーをデザインし、これらプライマーと各種
の動物細胞由来のcDNAライブラリー(例えば、各種のヒ
ト細胞由来のcDNAライブラリー)を用いて、スクリーニ
ングを行うことにより、同様に目的とするクローンを得
ることができる。またこれらプライマーを用いてPCR 増
幅を行い、目的とする遺伝子や、新規な遺伝子、それら
の断片などを得ることができる。こうしてヒトカテプシ
ンL2と相同性を有するが、配列が新規なPCR 産物を検索
することもできる。
【0041】こうして本発明に従って、目的とするDNA
を含有するクローン(例えば、組換え体ファージなどと
して)を得ることができる。例えば、このクローン化し
た組換え体ファージより単離された遺伝子のDNA の決定
した塩基配列の全長は1342bpであり、その配列は配列表
の配列番号:2で示されたものが得られていることが認
められる。 GenBankTM /EMBL DNA Data Baseを使用し、
配列表の配列番号:2に記載した塩基配列を検索したと
ころ、同一の配列は存在しなかった。この単離され同定
された約1.4kb のDNA 配列中には、推定334 個のアミノ
酸をコードするオープンリーディングフレームの存在が
認められ、その推定されるアミノ酸配列は、配列表の配
列番号:1で示されるようなものと認められる。この推
定されるタンパク質は、ヒトカテプシンL と約78%とい
う高い相同性を示し、新規なヒトカテプシンであり、そ
れを「ヒトカテプシンL2 (cathepsin L2) 」と名付け
た。そして、ヒトカテプシンL2遺伝子は、新規なシステ
インプロテアーゼのパパインファミリーに属するタンパ
ク質をコードしていることは明白であり、ヒトカテプシ
ンL2遺伝子を用いて作製した組換え体プラスミドは全て
新規な組換え体であり、そのプラスミドで形質転換ある
いはトランスフェクトされ得られた形質転換体あるいは
トランスフェクタントも新規なものである。
【0042】配列表の配列番号:2で示される塩基配列の
全部あるいは一部を有する核酸は、化学合成によって得
ることも可能である。その場合断片を化学合成し、それ
らを酵素により結合することによってもよい。また、化
学合成断片を上記したようにして、プライマーあるいは
プローブとして用いて目的とする配列を得ることも可能
である。PCR 法で用いるプライマーとしては、上記の部
位を含むDNA 断片を増幅できるものであれば、特に限定
されない。代表的には、プライマーは (a)配列表の配列
番号:2に示された塩基配列のうちの任意の領域に相当す
る塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び (b)配列表
の配列番号:2に示された塩基配列のうちの任意の領域に
対する相補塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを使用
することができ、より好ましくは(1) 配列表の配列番
号:2に示された塩基配列のうちの5'端側の任意の領域に
相当する塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び (2)
配列表の配列番号:2に示された塩基配列のうちの3'端側
の任意の領域に対する相補塩基配列を有するオリゴヌク
レオチドを使用することができ、例えば、3〜100 個、
好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜35個のヌク
レオチドを含有するものが挙げられる。また、PCR 条件
も特に限定されず、通常行われる公知の条件でよく、例
えば、上記した文献の記載を参考に選択することができ
る。PCR においては、DNA 鎖の熱変性、プライマーのア
ニーリング及びポリメラーゼによる相補鎖の合成からな
る一つのサイクルが、例えば、10〜50回、好ましくは20
〜35回、より好ましくは25〜30回繰り返して行われる。
【0043】本発明で得られたDNA 断片を、下記で詳し
く説明するような適当なベクター、例えば、プラスミド
pEX 、pMAMneo 、pKG5などのベクターに組込み、下記で
詳しく説明するような適当な宿主細胞、例えば、大腸
菌、酵母、CHO 細胞、COS 細胞などで発現させることが
できる。また、該DNA 断片は、そのままあるいは適当な
制御配列を付加したDNA 断片として、または適当なベク
ターに組込み、そして動物に導入して、カテプシンL2遺
伝子、例えば、ヒトカテプシンL2を発現するトランスジ
ェニック動物を作成することができる。動物としては、
哺乳動物が挙げられ、例えば、マウス、ラット、ウサ
ギ、モルモット、ウシなどが挙げられる。好ましくは、
マウスなどの動物の受精卵に該DNA 断片を導入して、ト
ランスジェニック動物を作成することができる。
【0044】ヒトカテプシンL2遺伝子産物の確認を、ヒ
トカテプシンL2遺伝子をトランスフェクションしたCOS-
1 細胞などのそれに適した動物細胞などを用いて行うこ
とができる。この外来遺伝子を哺乳動物などの動物細胞
に導入する方法としては当該分野で知られた方法あるい
はそれと実質的に同様な方法で行うことができ、例えば
リン酸カルシウム法(例えば、F. L. Graham et al., V
irology, 52: 456, 1973など)、DEAE- デキストラン法
(例えば、D. Warden et al., J. Gen. Virol., 3: 37
1, 1968など)、エレクトロポレーション法(例えば、
E. Neumann et al., EMBO J, 1: 841, 1982 など)、マ
イクロインジェクション法、リボソーム法、ウイルス感
染法、ファージ粒子法などが挙げられる。こうしてヒト
カテプシンL2遺伝子をトランスフェクションされた動物
細胞の産生する遺伝子産物は、それを解析することもで
きる。
【0045】ヒトカテプシンL2遺伝子を組込むプラスミ
ドとしては遺伝子工学的に常用される宿主細胞(例え
ば、大腸菌、枯草菌等の原核細胞宿主、酵母、CHO 細
胞、COS細胞等の真核細胞宿主、Sf21等の昆虫細胞宿
主)中で該DNA が発現できるプラスミドであればどのよ
うなプラスミドでもよい。こうした配列内には、例えば
選択した宿主細胞で発現するのに好適に修飾されたコド
ンが含まれていることができるし、制限酵素部位が設け
られていることもできるし、目的とする遺伝子の発現を
容易にするための制御配列、促進配列など、目的とする
遺伝子を結合するのに役立つリンカー、アダプターな
ど、さらには抗生物質耐性などを制御したり、代謝を制
御したりし、選別などに有用な配列等を含んでいること
ができる。好ましくは、適当なプロモーター、例えば大
腸菌を宿主とするプラスミドでは、トリプトファンプロ
モーター(trp) 、ラクトースプロモーター(lac) 、トリ
プトファン・ラクトースプロモーター(tac) 、リポプロ
テインプロモーター(lpp)、λファージ PL プロモータ
ー等を、動物細胞を宿主とするプラスミドでは、SV40レ
ートプロモーター、MMTV LTRプロモーター、RSV LTR プ
ロモーター、CMV プロモーター、SRαプロモーター等
を、酵母を宿主とするプラスミドでは、GAL1、GAL10 プ
ロモーター等を使用し得る。
【0046】大腸菌を宿主とするプラスミドとしては、
例えばpBR322、pUC18 、pUC19 、pUC118、pUC119、pSP6
4 、pSP65 、pTZ-18R/-18U、pTZ-19R/-19U、pGEM-3、pG
EM-4、pGEM-3Z 、pGEM-4Z 、pGEM-5Zf(-) 、pBluescrip
t KS TM (Stratagene)などが挙げられる。大腸菌での発
現に適したプラスミドベクターとしては、pAS、pKK223
(Pharmacia)、pMC1403 、pMC931、pKC30 、pRSET-B (In
vitrogen)なども挙げられる。動物細胞を宿主とするプ
ラスミドとしては、SV40ベクター、ポリオーマ・ウイル
スベクター、ワクシニア・ウイルスベクター、レトロウ
イルスベクターなどが挙げられ、例えばpcD 、pcD-SR
α、CDM8、pCEV4 、pME18S、pBC12BI 、pSG5 (Stratage
ne) などが挙げられる。酵母を宿主とするプラスミドと
しては、YIp 型ベクター、YEp 型ベクター、YRp 型ベク
ター、YCp 型ベクターなどが挙げられ、例えばpGPD-2な
どが挙げられる。宿主細胞としては、宿主細胞が大腸菌
の場合、例えば大腸菌K12 株に由来するものが挙げら
れ、例えばNM533 XL1-Blue、C600、DH1 、DH5 、DH11S
、DH12S 、 DH5α、DH10B 、HB101 、MC1061、JM109
、STBL2 、BL21(DE3)pLysSなどが挙げられる。宿主細
胞が動物細胞の場合、例えばアフリカミドリザル線維芽
細胞由来のCOS-7 細胞、COS-1 細胞、CV-1細胞、マウス
線維芽細胞由来のCOP 細胞、MOP 細胞、WOP 細胞、チャ
イニーズ・ハムスター細胞由来のCHO 細胞、CHO DHFR-
細胞、ヒトHeLa細胞、マウス細胞由来C127細胞、マウス
細胞由来NIH 3T3 細胞などが挙げられる。昆虫細胞とし
ては、カイコ核多角体病ウイルス (Bombyx mori nuclea
r polyhedrosis virus) あるいはそれに由来するものを
ベクターとし、カイコ幼虫あるいはカイコ培養細胞、例
えばBM-N細胞などを用いることが挙げられる。植物細胞
を宿主細胞として使用することも可能であり、それに適
するベクターと共に、それらは当該分野で広く知られて
いる。
【0047】本発明の遺伝子工学的手法においては、当
該分野で知られたあるいは汎用されている制限酵素、逆
転写酵素、DNA 断片をクローン化するのに適した構造に
修飾したりあるいは変換するための酵素であるDNA 修飾
・分解酵素、DNA ポリメラーゼ、末端ヌクレオチジルト
ランスフェラーゼ、DNA リガーゼなどを用いることが出
来る。制限酵素としては、例えば、R. J. Roberts, Nuc
leic Acids Res., 13:r165, 1985; S. Linn et al. ed.
Nucleases, p. 109, Cold Spring Harbor Lab., Cold
Spring Harbor, New York, 1982; R. J. Roberts, D. M
acelis, Nucleic Acids Res., 19: Suppl. 2077, 1991
などに記載のものが挙げられる。逆転写酵素としては、
例えばマウスモロネイ白血病ウイルス (mouse Moloney
leukemiavirus; MMLV) 由来の逆転写酵素 (reverse tra
nscriptase)、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス (avian mye
loblastosis virus; AMV)由来の逆転写酵素などが挙げ
られる。逆転写酵素は、RNase H 欠損体などは好ましく
用いることができ、特にはRNase H 活性を欠いた修飾MM
LV RT が好ましく使用でき、さらには熱安定性の高いも
のが好ましい。適した逆転写酵素としては、MMLV RT (G
ibco-BRL) 、Superscript RT plus (Life Technologie
s) などが挙げられる。
【0048】DNA ポリメラーゼとしては、例えば大腸菌
DNA ポリメラーゼ、その誘導体であるクレノウ・フラグ
メント、大腸菌ファージT4 DNAポリメラーゼ、大腸菌フ
ァージT7 DNAポリメラーゼ、耐熱菌DNA ポリメラーゼな
どが挙げられる。末端ヌクレオチジルトランスフェラー
ゼとしては、例えばR. Wu et al. ed., "Methods inEnz
ymology", Vol. 100, p. 96, Academic Press, New Yor
k (1983) に記載の3'-OH 末端にデオキシヌクレオチド
(dNMP)を付加するTdTaseなどが挙げられる。DNA 修飾・
分解酵素としては、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレ
アーゼなどが挙げられ、例えばヘビ毒ホスホジエステラ
ーゼ、脾臓ホスホジエステラーゼ、大腸菌DNA エキソヌ
クレアーゼ I、大腸菌DNA エキソヌクレアーゼIII 、大
腸菌DNAエキソヌクレアーゼ VII、λエキソヌクレアー
ゼ、DNase I 、ヌクレアーゼS1、ミクロコッカス (Micr
ococcus) ヌクレアーゼなどが挙げられる。DNA リガー
ゼとしては、例えば大腸菌DNA リガーゼ、T4 DNAリガー
ゼなどが挙げられる。DNA 遺伝子をクローニングしてDN
A ライブラリーを構築するのに適したベクターとして
は、プラスミド、λファージ、コスミド、P1ファージ、
F因子、YAC などが挙げられ、好ましくはλファージ由
来のベクターが挙げられ、例えばCharon4A 、Charon 21
A、λgt10、λgt11、λDASHII、λFIXII 、λEMBL3 、
λZAPII TM (Stratagene) などが挙げられる。
【0049】本発明のタンパク質をコードする核酸を含
有する発現ベクターで形質転換された形質転換体は、必
要に応じて適当な選択マーカーを用い、繰り返しクロー
ニングを行うことにより、高い発現能を安定して有する
細胞株を得ることができる。例えば、宿主細胞として動
物細胞を用いた形質転換体において、dhfr遺伝子を選択
マーカーとして利用した場合、MTX 濃度を徐々に上げて
培養し、耐性株を選択することにより、本発明のタンパ
ク質をコードするDNA を増幅させ、より高い発現を得ら
れる細胞株を得ることができる。本発明の形質転換体
は、本発明のタンパク質をコードする核酸が発現可能な
条件下で培養し、目的物を生成、蓄積せしめることがで
きる。該形質転換体は、当該分野で汎用されている培地
中で培養することができる。例えば、大腸菌、枯草菌等
の原核細胞宿主、酵母などを宿主としている形質転換体
は、液体培地を好適に使用することができる。培地中に
は、該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機
物その他が含有せしめられる。炭素源としては、たとえ
ばグルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖な
ど、窒素源としては、たとえばアンモニウム塩類、硝酸
塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、
肉エキス、麦芽エキス、大豆粕、バレイショ抽出液など
の無機または有機物質、無機物としては,例えば、塩化
カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウ
ム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。また、酵母、ビ
タミン類、カザミノ酸、生長促進因子などを添加しても
よい。また、必要によりプロモーターを効率よく働かせ
るために、例えば、3β−インドリル アクリル酸のよ
うな薬剤を加えることができる。培地のpHは約5〜8
が望ましい。
【0050】培養は、例えば大腸菌では通常約15〜45℃
で約3〜75時間行い、必要により、通気や攪拌を加える
こともできる。宿主が動物細胞である形質転換体を培養
する際、培地としては、たとえば約5〜20%の胎児牛血
清を含むMEM 培地、PRMI1640培地、DMEM培地などが用い
られる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常
約30℃〜40℃で約15〜72時間行い、必要に応じて通気や
攪拌を加える。上記培養細胞から抽出するに際しては、
培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを
適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/ま
たは凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊した
のち、遠心分離やろ過により粗抽出液を得る方法などを
適宜用いることができる。緩衝液の中には尿素や塩酸グ
アニジンなどの蛋白変性剤や、トリトン X-100(商品
名)、ツウィーン-80 (商品名)などの界面活性剤を加
えてあってもよい。培養液中に目的生成物が分泌される
場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体ある
いは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このように
して得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる目
的生成物は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わ
せてその精製を行なうことができ、例えば硫酸アンモニ
ウム沈殿法などの塩析、セファデックスなどによるゲル
ろ過法、例えばジエチルアミノエチル基あるいはカルボ
キシメチル基などを持つ担体などを用いたイオン交換ク
ロマトグラフィー法、例えばブチル基、オクチル基、フ
ェニル基など疎水性基を持つ担体などを用いた疎水性ク
ロマトグラフィー法、色素ゲルクロマトグラフィー法、
電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィニティ・クロマ
トグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法などに
より精製して得ることができる。好ましくは、ポリアク
リルアミドゲル電気泳動、リガンドなどを固定化したア
フィニティー・クロマトグラフィーなどで処理し精製分
離処理できる。例えば、ゼラチン−アガロース・アフィ
ニティー・クロマトグラフィー、ヘパリン−アガロース
・クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0051】さらに、本発明に係わるヒトカテプシンL2
の遺伝子塩基配列を基に遺伝子工学的に常用される方法
を用いることにより、ヒトカテプシンL2のアミノ酸配列
中に適宜、1個ないし複数個以上のアミノ酸の置換、欠
失、挿入、転移あるいは付加したごとき変異を導入した
相当するタンパク質を製造することができる。こうした
変異・変換・修飾法としては、日本生化学会編、「続生
化学実験講座1、遺伝子研究法 II 」、p105(広瀬
進)、東京化学同人(1986); 日本生化学会編、「新生化
学実験講座2、核酸 III(組換えDNA 技術)」、p233
(広瀬進)、東京化学同人(1992); R. Wu, L. Grossma
n, ed., "Methods in Enzymology", Vol. 154,p. 350 &
p. 367, Academic Press, New York (1987); R. Wu,
L. Grossman, ed., "Methods in Enzymology", Vol. 10
0, p. 457 & p. 468, Academic Press, New York (198
3); J. A. Wells et al., Gene, 34: 315, 1985; T. G
rundstroemet al., Nucleic Acids Res., 13: 3305, 19
85; J. Taylor et al., Nucleic Acids Res., 13: 876
5, 1985; R. Wu ed., "Methods in Enzymology", Vol.
155,p. 568, Academic Press, New York (1987); A.
R. Oliphant et al., Gene,44: 177, 1986 などに記載
の方法が挙げられる。例えば合成オリゴヌクレオチドな
どを利用する位置指定変異導入法(部位特異的変異導入
法)、 Kunkel 法、 dNTP[αS]法(Eckstein) 、亜硫酸
や亜硝酸などを用いる領域指定変異導入法等の方法が挙
げられる。
【0052】さらに得られた本発明のタンパク質は、化
学的な手法でその含有されるアミノ酸残基を修飾するこ
ともできるし、ペプチダーゼ、例えばペプシン、キモト
リプシン、パパイン、ブロメライン、エンドペプチダー
ゼ、エキソペプチダーゼなどの酵素を用いて修飾した
り、部分分解したりしてその誘導体などにすることがで
きる。本発明のタンパク質は、C 末端が通常カルボキシ
ル基(-COOH) またはカルボキシレート (-COO- ) である
が、C 末端がアミド(-CONH2)またはエステル(-COOR) で
あってもよい。ここでエステルにおけるR としては、例
えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルもし
くはn-ブチルなどのC1-6アルキル基、例えば、シクロペ
ンチル、シクロヘキシルなどのC3-8 シクロアルキル
基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6-12 アリ
ール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル
−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα
−ナフチル-C1-2 アルキル基などのC7-14 アラルキル基
のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオ
キシメチル基などが用いられる。本発明のタンパク質が
C末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレー
ト)を有している場合、カルボキシル基がアミド化また
はエステル化されているものも本発明のタンパク質に含
まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記した
C 末端のエステルなどが用いられる。
【0053】さらに、本発明のタンパク質には、上記し
たタンパク質において、N 末端のメチオニン残基のアミ
ノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC
1-5アルキル−カルボニル基などのC1-6アシル基など)
で保護されているもの、N 端側が生体内で切断され生成
したグルタミル基がピログルタミル化したもの、分子内
のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、-OH 、-COOH 、
アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ
基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチ
ル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、
あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複
合タンパク質なども含まれる。また遺伝子組換え法で製
造する時に融合タンパク質として発現させ、生体内ある
いは生体外で天然のヒトカテプシンL2と実質的に同等の
生物学的活性を有しているものに変換・加工してもよ
い。遺伝子工学的に常用される融合産生法を用いること
ができるが、こうした融合タンパク質はその融合部を利
用してアフィニティクロマトグラフィーなどで精製する
ことも可能である。本発明の好ましい態様において、精
製を好適に実施するのに役立つマーカー配列、例えばヘ
キサ−ヒスチジンペプチドを融合したものなどが使用で
きる。タンパク質の構造の修飾・改変などは、例えば日
本生化学会編、「新生化学実験講座1、タンパク質 VI
I、タンパク質工学」、東京化学同人(1993)を参考に
し、そこに記載の方法あるいはそこで引用された文献記
載の方法、さらにはそれらと実質的に同様な方法で行う
ことができる。また下記するようにその生物学的活性の
うちには、免疫的に活性、例えば抗原性を有するという
ことも含まれてよい。
【0054】かくして本発明のヒト由来のタンパク質
は、1個以上のアミノ酸残基が同一性の点で天然のもの
と異なるもの、1個以上のアミノ酸残基の位置が天然の
ものと異なるものであってもよい。本発明のヒト由来の
タンパク質は、ヒトカテプシンL2に特有なアミノ酸残基
が1個以上(例えば、1〜73個、好ましくは1〜60個、
さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20
個、特には1〜10個など)欠けている欠失類縁体、特有
のアミノ酸残基の1個以上(例えば、1〜73個、好まし
くは1〜60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ま
しくは1〜20個、特には1〜10個など)が他の残基で置
換されている置換類縁体、1個以上(例えば、1〜73
個、好ましくは1〜60個、さらに好ましくは1〜40個、
さらに好ましくは1〜20個、特には1〜10個など)のア
ミノ酸残基が付加されている付加類縁体も包含する。天
然のヒトカテプシンL2の特徴であるドメイン構造あるい
は酵素活性中心構造が維持されていれば、上記のごとき
変異体は、全て本発明に包含される。また本発明のヒト
カテプシンL2は天然のヒトカテプシンL2と実質的に同等
の一次構造コンフォメーションあるいはその一部を有し
ているものも含まれてよいと考えられ、さらに天然のヒ
トカテプシンL2と実質的に同等の生物学的活性を有して
いるものも含まれてよいと考えられる。さらに天然に生
ずる変異体の一つであることもできる。本発明のヒト由
来のタンパク質は、例えば、配列表の配列番号:1で表
されるアミノ酸配列のうち、第114 位〜第334 位のアミ
ノ酸配列を有するもの、同第18位〜第334 位のアミノ酸
配列を有するもの、及び同第1位〜第334 位のアミノ酸
配列を有するものからなる群から選ばれたアミノ酸配列
に対し、80% より高い相同性を有しているものが挙げら
れ、より好ましくはそれに対し、90% 以上の相同アミノ
酸配列を有するものが挙げられる。本発明のヒト由来の
タンパク質の一部のものとは、該ヒト由来のタンパク質
の一部のペプチド(すなわち、該タンパク質の部分ペプ
チド)であって、本発明のヒトカテプシンL2と実質的に
同等な活性を有するものであればいずれのものであって
もよい。例えば、該本発明のタンパク質の部分ペプチド
は、本発明のヒトカテプシンL2の構成アミノ酸配列のう
ち少なくとも5個以上、好ましくは20個以上、さらに好
ましくは50個以上、より好ましくは70個以上、もっと好
ましくは100 個以上、ある場合には200 個以上のアミノ
酸配列を有するペプチドが挙げられ、例えば、配列表の
配列番号:1で示されるアミノ酸配列のうち対応する領
域に対する相同性に関して、上記と同様の相同性を有す
るものが挙げられる。
【0055】本明細書において、「実質的に同等」とは
蛋白質の活性、例えば、触媒活性、生理的な活性、生物
学的な活性が実質的に同じであることを意味する。さら
にまた、その用語の意味の中には、実質的に同質の活性
を有する場合を包含していてよく、該実質的に同質の活
性としては、例えば、プロテアーゼ活性、システインプ
ロテアーゼ用合成基質に対する分解活性などを挙げるこ
とができる。該実質的に同質の活性とは、それらの活性
が性質的に同質であることを示し、例えば、生理的に、
薬理学的に、あるいは生物学的に同質であることを示
す。例えば、プロテアーゼ活性などの活性が、同等 (例
えば、約 0.001〜1000倍、好ましくは約0.01〜100 倍、
より好ましくは約 0.1〜20倍、さらに好ましくは約 0.5
〜2 倍) であることが好ましいが、これらの活性の程
度、タンパク質の分子量などの量的な要素は異なってい
てもよい。次に、アミノ酸の置換、欠失、あるいは挿入
は、しばしばポリペプチドの生理的な特性や化学的な特
性に大きな変化を生ぜしめないし、こうした場合、その
置換、欠失、あるいは挿入を施されたポリペプチドは、
そうした置換、欠失、あるいは挿入のされていないもの
と実質的に同一であるとされるであろう。該アミノ酸配
列中のアミノ酸の実質的に同一な置換体としては、その
アミノ酸が属するところのクラスのうちの他のアミノ酸
類から選ぶことができうる。例えば、非極性(疎水性)
アミノ酸としては、アラニン、フェニルアラニン、ロイ
シン、イソロイシン、バリン、プロリン、トリプトファ
ン、メチオニンなどが挙げられ、極性(中性)として
は、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロ
シン、アスパラギン、グルタミンなどが挙げられ、陽電
荷をもつアミノ酸(塩基性アミノ酸)としては、アルギ
ニン、リジン、ヒスチジンなどが挙げられ、陰電荷をも
つアミノ酸(酸性アミノ酸)としては、アスパラギン
酸、グルタミン酸などが挙げられる。
【0056】本発明のタンパク質及びその一部のペプチ
ドの合成には、当該ペプチド合成分野で知られた方法、
例えば液相合成法、固相合成法などの化学合成法を使用
することができる。こうした方法では、例えばタンパク
質あるいはペプチド合成用樹脂を用い、適当に保護した
アミノ酸を、それ自体公知の各種縮合方法により所望の
アミノ酸配列に順次該樹脂上で結合させていく。縮合反
応には、好ましくはそれ自体公知の各種活性化試薬を用
いるが、そうした試薬としては、例えばジシクロヘキシ
ルカルボジイミドなどカルボジイミド類を好ましく使用
できる。生成物が保護基を有する場合には、適宜保護基
を除去することにより目的のものを得ることができる。
本発明のタンパク質及びその一部のペプチドは、それが
遊離型のものとして得られた場合には、それ自体公知の
方法あるいはそれに準じた方法で塩に変換することがで
き、またそれらは塩として得られた場合には、それ自体
公知の方法あるいはそれに準じた方法で遊離型のものあ
るいは他の塩に変換することができる。本発明のタンパ
ク質及びその一部のペプチドの塩としては、生理的に許
容されるものあるいは医薬として許容されるものが好ま
しいが、これらに限定されない。こうした塩としては、
例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無
機酸との塩、例えば酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマール
酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香
酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼ
ンスルホン酸などの有機酸との塩などが挙げられる。さ
らに該塩としては、アンモニウム塩、例えばエチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ヒドロキシエ
チルアミンなどの有機塩基との塩なども挙げられる。
【0057】こうした本発明のヒトカテプシンL2及びそ
の変異体、修飾体、誘導体などは、上記で説明したよう
な分離・精製処理を施すことができる。本発明では、
「断片」、「誘導体」及び「類縁体」なる用語は、配列
番号:1のポリペプチド、配列番号:2の配列から転写
され且つスプライシングされていないか又は特異的にス
プライシングされた hnRNA又はmRNAによりコードされる
ポリペプチド、又は寄託ジェノミックDNA によりコード
されるポリペプチドに関連して、その「断片」、「誘導
体」又は「類縁体」と称した場合、このようなポリペプ
チドと本質的に同一の生物学的機能又は活性を有してい
るポリペプチドを意味する。従って、類似体にはプロタ
ンパク質部分が切断されて活性成熟ポリペプチドを産生
するような、活性化できるプロタンパク質等が包含され
る。本発明のポリペプチドは組換えポリペプチド、天然
ポリペプチド又は合成ポリペプチドでよい。特定の好ま
しい態様では、これは組換えポリペプチドである。こう
して得られた本発明のパパインファミリーに属するシス
テインプロテアーゼ活性を有する酵素の一種であり且つ
カテプシンL 以外のカテプシン様酵素活性因子である天
然のカテプシン(特には、ヒトカテプシンL2)あるいは
それと実質的に同等な活性を有することを特徴とするタ
ンパク質またはその塩、あるいはその部分ペプチドは、
それを用いて酵素阻害剤の開発や探索などの研究、医薬
品の開発研究、ヒトカテプシンL2が関与すると考えられ
る生物的な現象や反応の研究を行うことができるし、特
定の分析あるいは測定対象物を調査研究するのに使用す
ることもできる。ヒトカテプシンL2は、システインプロ
テアーゼの一種で、該システインプロテアーゼが関連す
ると考えられている、細胞内タンパク質代謝、ホルモン
前駆体の活性化、および骨の改変を含む、多くの正常な
細胞のプロセスにおける現象や反応の研究に有用であ
る。また、ヒトカテプシンL2は、アルツハイマー病、肺
気腫、リウマチ性関節炎、筋ジストロフィー、骨粗鬆
症、神経変性疾患および癌の浸潤・転移の様な多くの疾
患、特には癌に関連してのその機能の解明に有用であ
り、これら疾患の発症機序の解明、治療および治療薬の
開発に極めて有用であると期待される。一方では、こう
して本発明は上記したポリペプチドをコードするDNA 配
列、そして天然の特性の全部あるいは一部を有するヒト
カテプシンL2のポリペプチド、さらにその類縁体あるい
は誘導体をコードするDNA 配列も包含する。本発明のポ
リヌクレオチドは、アミノ末端に付加アミノ酸又はカル
ボキシル末端に付加アミノ酸を加えた成熟タンパク質、
又は成熟タンパク質に内在するポリペプチド (例えば、
成熟形態で一つ以上のポリペプチド鎖を有する場合) の
アミノ酸をコードしているものであることができる。こ
のような配列は、前駆体から成熟形態のタンパク質への
プロセッシングにおいても何らかの働きをなすものであ
ってよく、例えば、タンパク質の移動や輸送を促進した
り、タンパク質の半減期を延長もしくは短縮したり、又
はタンパク質を操作してその検出もしくは産生を容易に
することができるものであってよい。一般的には、例え
ば、付加アミノ酸は、細胞酵素によりプロセッシングさ
れ、成熟タンパク質から取り除かれる。1又はそれ以上
のプロ配列と融合した成熟形態ポリペプチドを有する前
駆タンパク質は、不活性形態ポリペプチドであることが
できる。プロ配列が除去されると、このような不活性前
駆体は、通常活性化される。プロ配列のいくつか又は全
ては、活性化の前に除去できる。通常、このような前駆
体はプロタンパク質と称される。本発明のポリペプチド
は、成熟タンパク質、リーダー配列を付加してある成熟
タンパク質 (プレタンパク質と称することができる) 、
プレタンパク質のリーダー配列ではない1又はそれ以上
のプロ配列を有する成熟タンパク質の前駆体、又はリー
ダー配列及び1又はそれ以上のプロ配列を有するプロタ
ンパク質の前駆体であるプレプロタンパク質であってよ
い。また、該プロ配列は通常活性形態ポリペプチド及び
成熟形態ポリペプチドを産み出すようなプロセッシング
の段階で除去され得る。
【0058】本発明のDNA 配列は、これまで知られてい
なかった哺乳動物のタンパク質のアミノ酸配列に関する
情報を提供しているから、こうした情報を利用すること
も本発明に包含される。こうした利用としては、例えば
ヒトカテプシンL2及び関連タンパク質をコードする哺乳
動物、特に好ましくはヒトの、ゲノムDNA 及びcDNAの単
離及び検知のためのプローブの設計などが挙げられる。
本発明のDNA 配列は、例えばヒトカテプシンL2及び関連
タンパク質をコードする哺乳動物、特に好ましくはマウ
スやヒトの、ゲノムDNA 及びcDNAの単離及び検知のため
のプローブとして有用である。プローブは、必要に応じ
て、標識を付与しておくことができる。該標識として
は、酵素、酵素基質、酵素インヒビター、補欠分子類、
補酵素、酵素前駆体、アポ酵素、蛍光物質、色素物質、
化学ルミネッセンス化合物、発光物質、発色物質、磁気
物質、金属粒子、例えば金コロイドなど、放射性物質な
どを挙げることができる。遺伝子の単離にあたっては、
PCR法、さらには逆転写酵素 (RT) を用いたPCR 法 (RT-
PCR) を利用することが出来る。ヒトカテプシンL2 cDNA
及びその関連DNA は、クローニングされ、配列決定さ
れたヒトカテプシンL2 cDNA 配列から推定されるアミノ
酸配列に基づき特徴的な配列領域を選び、DNA プライマ
ーをデザインして化学合成し、得られたDNA プライマー
を用いて、PCR 法、RT-PCR、その他の方法を用いてヒト
カテプシンL2関連遺伝子の単離、検出などに利用するこ
とが出来る。例えば、ヒトカテプシンL2mRNA のヒト組
織中での発現を各種の組織由来poly (A)+ RNA に対する
ノーザンブロット分析により検討することができる。本
発明のcDNAをプローブとして用いれば、例えばノーザン
・ブロティング、サザン・ブロティング、in situ ハイ
ブリダイゼーションなどによりヒト組織中でのヒトカテ
プシンL2 mRNA の発現やヒトカテプシンL2遺伝子自体な
どを検出・測定でき、ヒト組織における細胞内タンパク
質代謝、ホルモン前駆体の活性化、および骨の改変を含
む、多くの正常な細胞のプロセスに関与するシステイン
プロテアーゼの役割、アルツハイマー病、肺気腫、リウ
マチ性関節炎、筋ジストロフィー、骨粗鬆症、神経変性
疾患および癌の浸潤・転移の様な多くの疾患等の研究の
発展に貢献できる。ヒトカテプシンL2に関連した疾患の
遺伝子診断にも利用できる。そうした診断は、当該ヒト
カテプシンL2及び関連タンパク質をコードする核酸の異
常、例えば損傷、突然変異、発現低下、発現過多などを
診断するものであることができる。
【0059】本発明で得られたDNA (例えば、ヒトカテ
プシンL2をコードするDNA )を対象動物に転移させるに
あたっては、それをDNA 断片としてあるいは該DNA を動
物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合して用
いるのが一般に有利である。たとえば、マウスにヒトカ
テプシンL2 DNAを導入する場合、これと相同性が高い動
物由来のヒトカテプシンL2 DNAを動物細胞で発現させう
る各種プロモーターの下流に結合した遺伝子コンストラ
クトを、対象動物の受精卵、たとえばマウス受精卵へマ
イクロインジェクションすることによってヒトカテプシ
ンL2を高産生する遺伝子導入(トランスジェニック)マ
ウスを作出できる。マウスとしては、特に純系のマウス
に限定されないが、例えば、C57BL/6 、Balb/C、C3H 、
(C57BL/6×DBA/2)F1(BDF1)などが挙げられる。このプロ
モーターとしては、例えばウイルス由来プロモーター、
メタロチオネイン等のユビキタスな発現プロモーターな
どが好ましく使用しうる。また該ヒトカテプシンL2 DNA
を導入する場合、組換えレトロウイルスに組み換えて、
それを用いて行うこともできる。好適には対象DNAを導
入されたマウス受精卵は、例えば、ICR のような仮親の
マウスを使用して生育せしめることができる。受精卵細
胞段階における本発明で得られたDNA (例えば、ヒトカ
テプシンL2をコードするDNA )の転移は、対象動物の胚
芽細胞および体細胞の全てに存在するように確保され
る。DNA 転移後の作出動物の胚芽細胞においてヒトカテ
プシンL2をコードするDNA が存在することは、作出動物
の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに該ヒト
カテプシンL2をコードするDNA を有することを意味す
る。遺伝子を受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽
細胞および体細胞の全てにおいて、該ヒトカテプシンL2
を発現できる可能性を有している。
【0060】該ヒトカテプシンL2 DNA導入動物は、交配
により遺伝子を安定に保持することを確認して、該DNA
保有動物として通常の飼育環境で飼育継代を行うことが
できる。さらに、目的DNA を保有する雌雄の動物を交配
することにより、導入遺伝子を相同染色体の両方に持つ
ホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配す
ることによりすべての子孫が該DNA を有するように繁殖
継代することができる。該ヒトカテプシンL2 DNAが導入
された動物は、該ヒトカテプシンL2タンパク質が高発現
させられているので、該ヒトカテプシンL2タンパク質に
対する阻害剤(インヒビター)のスクリーニング用の動
物などとして有用である。またヒトカテプシンL2遺伝子
の発現を阻害することのできるアンチセンス オリゴヌ
クレオチド、例えば、アンチセンスDNA などのスクリー
ニング用の動物などとして有用である。この遺伝子導入
動物を、組織培養のための細胞源として使用することも
できる。例えば、遺伝子導入マウスの組織中のDNA もし
くはRNA を直接分析するかあるいは遺伝子により発現さ
れたタンパク質組織を分析することにより、システイン
プロテアーゼのパパインファミリー関連のタンパク質に
ついて分析することができる。該カテプシンL2を有する
組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、これらを
使用して、たとえば胸腺、精巣、脳、腸、腎臓やその他
の組織由来の細胞についてその機能を研究することがで
きる。また、その細胞を用いることにより、たとえば各
種組織の機能を高めるような医薬開発に資することも可
能である。また、高発現細胞株があれば、そこから、カ
テプシンL2を単離精製することも可能である。トランス
ジェニック マウスなどに関連した技術は、例えば、Br
inster, R. L., et al.,; Proc. Natl. Acad. Sci. US
A, 82: 4438, 1985; Costantini, F. & Jaenisch, R.
(eds): Genetic manipulation of the early mammalian
embryo, Cold Spring Harbor Laboratory, 1985などの
文献に記載の方法あるいはそこに引用された文献に記載
の方法、さらにはそれらの改変法により行うことができ
る。
【0061】本発明で得られた遺伝子(例えば、ヒトカ
テプシンL2に相当するマウスカテプシンL2をコードする
DNA )に変異をもち、マウスカテプシンL2を全く発現し
ない変異マウス(ノックアウトマウス)を作出すること
ができる。たとえば、該遺伝子の翻訳開始コドンの前後
4kb を含むおよそ8kb のゲノムDNA の中央近傍に位置し
翻訳開始コドンに近いエクソンにneo 耐性遺伝子-polyA
付加シグナルからなる遺伝子カセットを挿入した変異遺
伝子を持つターゲティングベクターを構築することがで
きる。挿入する遺伝子カセットはneo 耐性遺伝子カセッ
ト以外にDT-Aカセット、tkカセット、lacZカセットなど
が挙げられる。ターゲティングベクターを直鎖状に開
き、樹立したマウス胚性幹細胞(embryonic stem cell
s: ES細胞)にエレクトロポレーションで導入、さらに
培養してneo 耐性を獲得したES細胞を選別する。ES細胞
は129 、C57BL/6 、F1(C57BL/6×CBA)マウスなどのマウ
ス系統から選択して調製することができる。neo 耐性を
獲得したES細胞は、マウスカテプシンL2遺伝子領域にお
いて遺伝子カセットを挿入したターゲティングベクター
と相同組換えを起こしていると想定され、少なくともマ
ウスカテプシンL2遺伝子アレルのうち一つは破壊しマウ
スカテプシンL2を正常に発現できなくなる。選別には挿
入した遺伝子カセットによりそれぞれ適当な方法が選択
され、また、変異の導入はPCR 、サザンハイブリダイゼ
ーションあるいはノーザンハイブリダイゼーションなど
の方法を用いて確認することができる。
【0062】変異を導入したES細胞は、C57BL/6 、BALB
/c、ICR マウスなどから取り出した8細胞期胚に注入、
1日培養し胚盤胞に発生したものをICR のような仮親に
移植することで個体まで生育させることができる。生ま
れる子マウスは変異をもつES細胞と正常な宿主胚に由来
するキメラマウスで、ES細胞に由来する細胞がどの程度
含まれるかは個体の毛色で判断する。従って、ES細胞と
宿主胚は毛色の異なった系統の組合わせが望ましい。得
られたキメラマウスの変異はヘテロであり、これらを適
宜交配することでホモ変異マウスを得ることができる。
このようにして得られたホモ変異マウスは生殖細胞およ
び体細胞の全てにおいて、マウスカテプシンL2遺伝子の
みが破壊されマウスカテプシンL2を全く発現せず、繁殖
継代される子孫もまた同様の表現系をもつ。このノック
アウトマウスは正常マウスとの比較において、発生、成
長、生殖、老化および死など個体のライフサイクルにお
けるカテプシンL2の役割や各臓器、組織におけるカテプ
シンL2の機能を解析するのに有用である。また、システ
インプロテアーゼに関連した医薬品開発にも応用でき
る。ノックアウトマウスはこれらモデル動物としてだけ
ではなく、組織培養のための細胞源として使用すること
もでき、細胞レベルでのカテプシンL2の機能解析などに
供することができる。ノックアウトマウス等に関連した
技術は、例えば、Mansour, S. L., et al.,; Nature, 3
36: 348-352, 1988; Joyner, A. L., ed.; Gene target
ing, IRL Press,1993; 相沢慎一, ジーンターゲティン
グES細胞を用いた変異マウスの作成,羊土社,1995など
の文献に記載の方法あるいはそこに引用された文献に記
載の方法、さらにはそれらの改変法により行うことがで
きる。
【0063】本発明に従えば、カテプシンL2遺伝子の発
現を阻害することのできるアンチセンス・オリゴヌクレ
オチド(核酸)を、クローン化したあるいは決定された
カテプシンL2をコードするDNA の塩基配列情報に基づき
設計し、合成しうる。そうしたオリゴヌクレオチド(核
酸)は、カテプシンL2遺伝子のmRNAとハイブリダイズす
ることができ、該mRNAの機能を阻害することができる
か、あるいはカテプシンL2関連mRNAとの相互作用などを
介してカテプシンL2遺伝子の発現を調節・制御すること
ができる。カテプシンL2関連遺伝子の選択された配列に
相補的なオリゴヌクレオチド、及びカテプシンL2関連遺
伝子と特異的にハイブリダイズすることができるオリゴ
ヌクレオチドは、生体内及び生体外でカテプシンL2遺伝
子の発現を調節・制御するのに有用であり、またそれに
関連した病気などの治療又は診断に有用である。用語
「対応する」とは、遺伝子を含めたヌクレオチド、塩基
配列又は核酸の特定の配列に相同性を有するあるいは相
補的であることを意味する。ヌクレオチド、塩基配列又
は核酸とペプチド(タンパク質)との間で「対応する」
とは、ヌクレオチド(核酸)の配列又はその相補体から
誘導される指令にあるペプチド(タンパク質)のアミノ
酸を通常指している。当該遺伝子の5'端ヘアピンルー
プ、5'端6-ベースペア・リピート、5'端非翻訳領域、ポ
リペプチド翻訳開始コドン、タンパク質コード領域、OR
F 翻訳開始コドン、3'端非翻訳領域、3'端パリンドロー
ム領域、及び3'端ヘアピンループは、好ましい対象領域
として選択しうるが、当該遺伝子内の如何なる領域も対
象として選択しうる。
【0064】目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に
相補的なオリゴヌクレオチドとの関係は、対象物とハイ
ブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドとの関
係を意味し、それは、「アンチセンス」であるというこ
とができる。アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、2-
デオキシ-D- リボースを含有しているポリデオキシヌク
レオチド、D-リボースを含有しているポリデオキシヌク
レオチド、プリン又はピリミジン塩基のN−グリコシド
であるその他のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非
ヌクレオチド骨格を有するその他のポリマー(例えば、
市販のタンパク質核酸及び合成配列特異的な核酸ポリマ
ー)又は特殊な結合を含有するその他のポリマー(但
し、該ポリマーはDNA やRNA 中に見出されるような塩基
のペアリングや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレ
オチドを含有する)などが挙げられる。それらは、2本
鎖DNA 、1本鎖DNA 、2本鎖RNA 、1本鎖RNA 、さらに
DNA:RNA ハイブリッドであることができ、さらに非修
飾ポリヌクレオチド又は非修飾オリゴヌクレオチド、さ
らには公知の修飾の付加されたもの、例えば当該分野で
知られた標識のあるもの、キャップの付いたもの、メチ
ル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチドを類縁
物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾のされたも
の、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、
ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメー
トなど)を持つもの、電荷を有する結合又は硫黄含有結
合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエー
トなど)を持つもの、例えばタンパク質(ヌクレアー
ゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シ
グナルペプチド、ポリ-L- リジンなど)や糖(例えば、
モノサッカライドなど)などの側鎖基を有しているも
の、インターカレント化合物(例えば、アクリジン、プ
ソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例えば、
金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属な
ど)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修
飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型の核酸
など)であってもよい。ここで「ヌクレオシド」、「ヌ
クレオチド」及び「核酸」とは、公知のプリン及びピリ
ミジン塩基を含有するのみでなく、修飾されたその他の
複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。こう
した修飾物は、メチル化されたプリン及びピリミジン、
アシル化されたプリン及びピリミジン、あるいはその他
の複素環を含むものであってよい。修飾されたヌクレオ
シド及び修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾さ
れていてよく、例えば1個以上の水酸基がハロゲンと
か、脂肪族基などで置換されていたり、あるいはエーテ
ル、アミンなどの官能基に変換されていてよい。
【0065】本発明のアンチセンス核酸は、RNA 、DNA
、あるいは修飾された核酸である。修飾された核酸の
具体例としては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘
導体、そしてポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオ
シドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それ
に限定されるものではない。本発明のアンチセンス核酸
は次のような方針で好ましく設計されうる。すなわち、
細胞内でのアンチセンス核酸をより安定なものにする、
アンチセンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とす
るセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、そ
してもし毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより
小さなものにする。こうした修飾は当該分野で数多く知
られており、例えばJ. Kawakami et al.,Pharm Tech Ja
pan, 8: 247, 1992; 8: 395, 1992; S. T. Crooke et a
l. ed.,Antisense Research and Applications, CRC Pr
ess, 1993などに開示がある。本発明のアンチセンス核
酸は、変化せしめられたり、修飾された糖、塩基、結合
を含有していて良く、リポゾーム、ミクロスフェアのよ
うな特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療により適用
されたり、付加された形態で与えられることができう
る。こうした付加形態で用いられるものとしては、リン
酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジンのよう
なポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高めたり、核
酸の取込みを増大せしめるような脂質(例えば、ホスホ
リピッド、コレステロールなど)といった疎水性のもの
が挙げられる。付加するに好ましい脂質としては、コレ
ステロールやその誘導体(例えば、コレステリルクロロ
ホルメート、コール酸など)が挙げられる。こうしたも
のは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させることが
でき、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介して付着
させることができうる。その他の基としては、核酸の
3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャップ用
の基で、エキソヌクレアーゼ、RNase などのヌクレアー
ゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。こう
したキャップ用の基としては、ポリエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコールなどのグリコールをはじ
めとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられ
るが、それに限定されるものではない。
【0066】アンチセンス核酸の阻害活性は、本発明の
形質転換体、本発明の生体内や生体外の遺伝子発現系、
あるいはカテプシンL2の生体内や生体外の翻訳系を用い
て調べることができる。該核酸それ自体公知の各種の方
法で細胞に適用できる。以上述べた、本発明者らの研究
成果によりヒトカテプシンL2の遺伝子及び組換えDNA 分
子を宿主に移入し、ヒトカテプシンL2を発現させ、目的
とするヒトカテプシンL2を得る方法が提供される。こう
して本発明によれば、ヒトカテプシンL2の遺伝子を実質
的に発現する組換え体あるいはトランスフェクタント及
びその製造法、さらにはその用途も提供される。別の面
では、本発明はパパインファミリーに属するシステイン
プロテアーゼ活性を有する酵素の一種であり且つヒトカ
テプシンL 以外のカテプシン様酵素活性因子である天然
のカテプシンL2と実質的に同等な活性を有することを特
徴とするタンパク質またはその塩、より好ましくはヒト
カテプシンL2またはその塩と、実質的に同等な活性を有
するか、あるいは実質的に同等の一次構造コンフォメー
ションを持つ該タンパク質の少なくとも一部あるいは全
部を有するポリペプチドを、大腸菌などの原核生物ある
いは哺乳動物細胞などの真核生物で発現させることを可
能にするDNA やRNA などの核酸に関するとすることがで
きる。またこうした核酸、特にはDNA は、(a) 配列表の
配列番号:1で表されるアミノ酸配列をコードできる配
列あるいはそれと相補的な配列、(b) 該(a) のDNA 配列
またはその断片とハイブリダイズすることのできる配
列、及び(c) 該(a) 又は(b) の配列にハイブリダイズす
ることのできる縮重コードを持った配列であることがで
きる。ここでハイブリダイズの条件としては、ストリン
ジェントな条件であることができる。こうした核酸で形
質転換され、本発明の該ポリペプチドを発現できる大腸
菌などの原核生物あるいは哺乳動物細胞などの真核生物
も本発明の特徴をなす。
【0067】こうして典型的には本発明の目的は、ヒト
カテプシンL2遺伝子、それから誘導されたプローブを用
い、あるいはさらに必要に応じ、ヒトカテプシンL2に対
する阻害物質を用い、被検試料中の遊離のプロ体や活性
型ヒトカテプシンL2あるいはその遺伝子、さらには産生
細胞を検知・分別定量する優れた方法及びその為の試薬
キットを提供することにある。本発明はこうした遊離の
プロ体や活性型ヒトカテプシンL2あるいはその遺伝子、
さらには産生細胞を検知・分別定量することのできる試
薬キットのうちの各試薬をすべてその実施態様のうちに
含むと理解される。さらに本発明の目的は、上記方法を
用いて遊離のヒトプロカテプシンL2や活性型ヒトカテプ
シンL2あるいはその遺伝子、さらには産生細胞を検知・
分別定量することにより、細胞内タンパク質代謝、ホル
モン前駆体の活性化、および骨の改変など、多くの正常
な細胞のプロセスに関与するシステインプロテアーゼの
役割、アルツハイマー病、肺気腫、リウマチ性関節炎、
筋ジストロフィー、骨粗鬆症、神経変性疾患および癌の
浸潤・転移の様な多くの疾患などをモニターし得る方法
並びに試薬あるいは診断剤を提供することにある。した
がって、医学的・生理学的分野における上記試薬の各種
利用、腫瘍・癌といったヒトなどの動物の細胞・組織の
研究・解析・測定などの目的で上記試薬を使用すること
はすべて本発明のその実施態様のうちに含まれると理解
される。
【0068】本発明のヒトカテプシンL2あるいはその塩
は、プロテアーゼ活性を有し、例えば生体内でタンパク
質代謝、抗原提示、骨の改変、ホルモン前駆体の活性化
などにおいて不可欠な因子であると考えられる。そし
て、該タンパク質はヒトカテプシンL2無形成症、カテプ
シンL2発現不全症、カテプシンL2遺伝子欠損症など病状
を呈するヒトカテプシンL2関連機能不全疾患の治療に有
用であると考えられる。すなわち、ヒトカテプシンL2、
変異体、修飾体、誘導体を含有する医薬を用いれば、カ
テプシンL2による活性が不充分であることに起因する疾
患患者を健常な状態にすることが可能である。本発明の
タンパク質は、プロテアーゼの一つであり、該タンパク
質の発現量やプロテアーゼ活性が減少している場合に生
ずる種々の疾患の治療及び/又は予防剤などの医薬とし
て有用である。また本発明のタンパク質は、タンパク質
に対する分解活性が減少している場合に生ずる種々の疾
患の治療及び/又は予防剤などの医薬として有用であ
る。例えば、生体内においてヒトカテプシンL2が減少あ
るいは欠損しているために、細胞における当該生物学的
活性が十分に得られていないか、あるいは正常でない症
状の患者の場合には、(A) 本発明のタンパク質等を該患
者に投与することによるか、(B) 本発明のDNA などの核
酸を該患者に投与して、生体内で本発明のタンパク質等
を発現させることによるか、(C) 本発明のDNA などの核
酸を発現可能に導入した細胞を該患者に移植することに
よって、生体内に本発明のタンパク質等を補充する等し
て、該患者における当該症状を改善したりする。
【0069】本発明のヒトカテプシンL2の生物学的活性
などの機能(例えば、プロテアーゼ活性など)を促進す
る化合物(アゴニスト、あるいは促進剤)又はその塩
は、ヒトカテプシンL2機能不全症状、肺気腫、筋ジスト
ロフィー、骨粗鬆症、アルツハイマー病、神経変性疾
患、リウマチ性関節炎および癌の浸潤・転移などの各種
の疾病の治療及び/又は予防剤として有用な医薬として
使用できる。一方、本発明のヒトカテプシンL2の生物学
的活性などの機能(例えば、プロテアーゼ活性など)を
阻害する化合物(アンタゴニスト、あるいは阻害剤)又
はその塩は、過ヒトカテプシンL2機能症、肺気腫、筋ジ
ストロフィー、骨粗鬆症、アルツハイマー病、神経変性
疾患、リウマチ性関節炎および癌の浸潤・転移などの各
種の疾病の治療及び/又は予防剤などの医薬として使用
できる。例えばヒトカテプシンL2はシステインプロテア
ーゼの基質に対して分解活性を有するが、この活性は、
システインプロテアーゼに特異的なインヒビターで阻害
される。したがって、該インヒビターは、カテプシンL2
による過剰分解に起因する疾患の治療用医薬として有用
である。
【0070】かくして、本発明のヒトカテプシンL2など
のタンパク質等は、本発明のヒトカテプシンL2などのタ
ンパク質等の、生物学的活性などの機能(例えば、プロ
テアーゼ活性など)を促進する化合物(アゴニスト)や
阻害する化合物(アンタゴニスト)又はそれらの塩をス
クリーニングするための試薬として有用である。かくし
て、本発明のヒトカテプシンL2などのタンパク質、その
一部のペプチド又はそれらの塩を用いた、本発明のカテ
プシンL2といったタンパク質、その一部のペプチド又は
それらの塩などの生物学的活性などの機能(例えば、プ
ロテアーゼ活性など)を促進する化合物(アゴニスト)
や阻害する化合物(アンタゴニスト)又はそれらの塩の
スクリーニング方法も提供される。該スクリーニングで
は、例えば(i) 本発明のタンパク質、その一部のペプチ
ド又はそれらの塩(該タンパク質を発現する形質転換体
を含んでいもよい、以下同様)などに基質を接触させた
場合と、(ii)本発明のタンパク質、その一部のペプチド
又はそれらの塩などに基質及び試験試料を接触させた場
合との比較を行う。具体的には、上記スクリーニングで
は、当該生物学的活性(例えば、プロテアーゼ活性な
ど)を測定して、比較する。基質としては、本発明のタ
ンパク質等の基質となることのできるものであれば何れ
のものであってよい。例えば、カゼイン、コラーゲン、
合成オリゴペプチド類などのプロテアーゼ活性を測定す
る目的で使用されるもの中から選んで用いることができ
るが、好ましくはシステインプロテアーゼ用の蛍光標識
合成ペプチド基質などを使用できるし、そうしたペプチ
ド基質の例としては、例えばbenzyloxycarbonyl-L-phen
ylalanyl-L-arginine-7-amido-4-methylcoumarin (Z-Ph
e-Arg-AMC)などを挙げることができる。基質は、そのま
ま使用できるが、好ましくはフルオレッセインなどの蛍
光、酵素や放射性物質で標識したものを使用できる。
【0071】試験試料としては、例えばタンパク質、ペ
プチド、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産
物、植物抽出物、動物などの組織抽出物、細胞抽出物な
どが挙げられる。試験試料に使用される試験化合物の例
には、好ましくはシステインプロテアーゼ阻害剤、シス
テインプロテアーゼファミリーに対するインヒビター活
性を有する化合物、特には合成化合物を含んでいてよ
い。これら化合物は、新規な化合物であってもよいし、
公知の化合物であってもよい。該スクリーニングは、通
常のプロテアーゼ活性の測定法に準じて実施することが
でき、例えば Biochemistry, 32,pp.4330-4337 (1993)
に示されている方法などを参考にして行うことができ
る。また、各種標識、緩衝液系その他適当な試薬等を使
用したり、そこで説明した操作等に準じて行うことがで
きる。スクリーニングにあたっては、本発明のタンパク
質等をアミノフェニル酢酸水銀などの活性化剤で処理し
たり、その前駆体あるいは潜在型のものを活性型のもの
に予め変換しておくこともできる。測定は通常トリス塩
酸緩衝液、リン酸塩緩衝液などの反応に悪影響を与えな
いような緩衝液等の中で、例えば、pH4〜10 (好ましく
は、pH約6〜8)において行うことができる。これら個
々のスクリーニングにあたっては、それぞれの方法にお
ける通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を
加えて、本発明のヒトカテプシンL2あるいはそれと実質
的に同等な活性を有するタンパク質あるいはペプチドに
関連した測定系を構築すればよい。これらの一般的な技
術手段の詳細については、総説、成書などを参照するこ
とができる〔例えば、Methods in Enzymology, Vol. 1,
2, 5 & 6 (Preparation and Assay of Enzymes); 同
書, Vol. 3 (Preparation and Assay of Substrates);
同書, Vol. 4 (Special Techniques for the Enzymolog
ist); 同書, Vol. 19 (Proteolytic Enzymes);同書, Vo
l. 45 (Proteolytic Enzymes, Part B) ;同書, Vol. 8
0 (Proteolytic Enzymes, Part C)(以上、Academic Pre
ss社 (USA)発行) など参照〕。
【0072】本発明のスクリーニング方法又はスクリー
ニングキットを用いて得られる化合物又はその塩は、上
記した試験化合物、例えば、ペプチド、タンパク質、非
ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出
液、植物抽出液、動物組織抽出液などから選ばれた化合
物であり、本発明のタンパク質等の機能を促進あるいは
阻害する化合物である。該化合物の塩としては、例え
ば、薬学的に許容される塩などが挙げられる。例えば、
無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機
酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げ
られる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えば、
ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カル
シウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、
並びにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられ
る。有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリ
ン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、
ジシクロヘキシルアミン、N,N'- ジベンジルエチレンジ
アミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な
例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸
などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例とし
ては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、
シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、
リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安
息香酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩
の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オ
ルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の
好適な例としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミ
ン酸などとの塩が挙げられる。
【0073】本発明のタンパク質等の機能を促進若しく
は阻害する化合物またはその塩は、上記した本発明のタ
ンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩と同様に
各種疾病に対する安全で低毒性である治療及び/または
予防剤として有用である。本発明のスクリーニング方法
又はスクリーニングキットを用いて得られる化合物又は
その塩を上述の治療及び/または予防剤として使用する
場合、上記した本発明のタンパク質、その部分ペプチド
またはそれらの塩と同様に常套手段に従って実施するこ
とができる。本発明の活性成分〔例えば、(a) 本発明の
タンパク質、その一部のペプチドまたはそれらの塩等、
(b) 本発明のDNAなどの核酸など、(c) 本発明のDNAな
どの核酸に対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド、
(d) 本発明のタンパク質、その一部のペプチドまたはそ
れらの塩の生物学的活性を促進または阻害する化合物ま
たはその塩など〕を医薬として用いる場合、例えば本発
明のヒトカテプシンL2などのタンパク質、その一部のペ
プチドまたはそれらの塩等は、通常単独或いは薬理的に
許容される各種製剤補助剤と混合して、医薬組成物又は
医薬調製物などとして投与することができる。好ましく
は、経口投与、局所投与、または非経口投与等の使用に
適した製剤調製物の形態で投与され、目的に応じていず
れの投与形態(吸入法、あるいは直腸投与も包含され
る)によってもよい。
【0074】そして、非経口的な投与形態としては、局
所、経皮、静脈内、筋肉内、皮下、皮内もしくは腹腔内
投与を包含し得るが、患部への直接投与も可能であり、
またある場合には好適でもある。好ましくはヒトを含む
哺乳動物に経口的に、あるいは非経口的(例、細胞内、
組織内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、胸腔
内、脊髄腔内、点滴法、注腸、経直腸、点耳、点眼や点
鼻、歯、皮膚や粘膜への塗布など)に投与することがで
きる。具体的な製剤調製物の形態としては、溶液製剤、
分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤、成型製剤、浸出製
剤などが挙げられ、例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣を施
した剤、丸剤、トローチ剤、硬カプセル剤、軟カプセル
剤、マイクロカプセル剤、埋込剤、粉末剤、散剤、顆粒
剤、細粒剤、注射剤、液剤、エリキシル剤、エマルジョ
ン剤、灌注剤、シロップ剤、水剤、乳剤、懸濁剤、リニ
メント剤、ローション剤、エアゾール剤、スプレー剤、
吸入剤、噴霧剤、軟膏製剤、硬膏製剤、貼付剤、パスタ
剤、パップ剤、クリーム剤、油剤、坐剤(例えば、直腸
坐剤)、チンキ剤、皮膚用水剤、点眼剤、点鼻剤、点耳
剤、塗布剤、輸液剤、注射用液剤などのための粉末剤、
凍結乾燥製剤、ゲル調整品等が挙げられる。
【0075】医薬用の組成物は通常の方法に従って製剤
化することができる。例えば、適宜必要に応じて、生理
学的に認められる担体、医薬として許容される担体、ア
ジュバント剤、賦形剤、補形剤、希釈剤、香味剤、香
料、甘味剤、ベヒクル、防腐剤、安定化剤、結合剤、p
H調節剤、緩衝剤、界面活性剤、基剤、溶剤、充填剤、
増量剤、溶解補助剤、可溶化剤、等張化剤、乳化剤、懸
濁化剤、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、硬化剤、吸収剤、
粘着剤、弾性剤、可塑剤、崩壊剤、噴射剤、保存剤、抗
酸化剤、遮光剤、保湿剤、緩和剤、帯電防止剤、無痛化
剤などを単独もしくは組合わせて用い、それとともに本
発明のタンパク質等を混和することによって、一般に認
められた製剤実施に要求される単位用量形態にして製造
することができる。非経口的使用に適した製剤として
は、活性成分と、水もしくはそれ以外の薬学的に許容し
得る媒体との無菌性溶液、または懸濁液剤など、例えば
注射剤等が挙げられる。一般的には、水、食塩水、デキ
ストロース水溶液、その他関連した糖の溶液、エタノー
ル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールな
どのグリコール類が好ましい注射剤用液体担体として挙
げられる。注射剤を調製する際は、蒸留水、リンゲル
液、生理食塩水のような担体、適当な分散化剤または湿
化剤及び懸濁化剤などを使用して当該分野で知られた方
法で、溶液、懸濁液、エマルジョンのごとき注射しうる
形に調製する。
【0076】注射用の水性液としては、例えば生理食塩
水、ブドウ糖やその他の補助薬(例えば、D-ソルビトー
ル、D-マンニトール、塩化ナトリウムなど)を含む等張
液などが挙げられ、薬理的に許容される適当な溶解補助
剤、たとえばアルコール(たとえばエタノールなど)、
ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリ
エチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(た
とえばポリソルベート80 (TM), HCO-50など)などと併
用してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油などが挙
げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジル
アルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例え
ば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)又は
浸透圧調節のための試薬、無痛化剤(例えば、塩化ベン
ザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例え
ば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールな
ど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノー
ルなど)、アスコルビン酸などの酸化防止剤、吸収促進
剤などと配合してもよい。調整された注射液は通常、適
当なアンプルに充填される。
【0077】非経口投与には、界面活性剤及びその他の
薬学的に許容される助剤を加えるか、あるいは加えず
に、水、エタノール又は油のような無菌の薬学的に許容
される液体中の溶液あるいは懸濁液の形態に製剤化され
る。製剤に使用される油性ベヒクルあるいは溶剤として
は、天然あるいは合成あるいは半合成のモノあるいはジ
あるいはトリグリセリド類、天然、半合成あるいは合成
の油脂類あるいは脂肪酸類が挙げられ、例えばピーナッ
ツ油、トウモロコシ油、大豆油、ゴマ油などの植物油が
挙げられる。例えば、この注射剤は、通常本発明化合物
を0.1 〜10重量%程度含有するように調製されることが
できる。局所的、例えば口腔、又は直腸的使用に適した
製剤としては、例えば洗口剤、歯磨き剤、口腔噴霧剤、
吸入剤、軟膏剤、歯科充填剤、歯科コーティング剤、歯
科ペースト剤、坐剤等が挙げられる。洗口剤、その他歯
科用剤としては、薬理的に許容される担体を用いて慣用
の方法により調製される。口腔噴霧剤、吸入剤として
は、本発明化合物自体又は薬理的に許容される不活性担
体とともにエアゾール又はネブライザー用の溶液に溶解
させるかあるいは、吸入用微粉末として歯などへ投与で
きる。軟膏剤は、通常使用される基剤、例えば、軟膏基
剤(白色ワセリン、パラフィン、オリーブ油、マクロゴ
ール400 、マクロゴール軟膏など)等を添加し、慣用の
方法により調製される。
【0078】歯、皮膚への局所塗布用の薬品は、適切に
殺菌した水または非水賦形剤の溶液または懸濁液に調剤
することができる。添加剤としては、例えば亜硫酸水素
ナトリウムまたはエデト酸二ナトリウムのような緩衝
剤;酢酸または硝酸フェニル水銀、塩化ベンザルコニウ
ムまたはクロロヘキシジンのような殺菌および抗真菌剤
を含む防腐剤およびヒプロメルローズのような濃厚剤が
挙げられる。坐剤は、当該分野において周知の担体、好
ましくは非刺激性の適当な補形剤、例えばポリエチレン
グリコール類、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセ
ライド等の、好ましくは常温では固体であるが腸管の温
度では液体で直腸内で融解し薬物を放出するものなどを
使用して、慣用の方法により調製されるが、通常本発明
化合物を0.1 〜95重量%程度含有するように調製され
る。使用する賦形剤および濃度によって薬品は、賦形剤
に懸濁させるかまたは溶解させることができる。局部麻
酔剤、防腐剤および緩衝剤のような補助薬は、賦形剤に
溶解可能である。経口的使用に適した製剤としては、例
えば錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、トロー
チのような固形組成物や、液剤、シロップ剤、懸濁剤の
ような液状組成物等が挙げられる。製剤調製する際は、
当該分野で知られた製剤補助剤などを用いる。錠剤及び
丸剤はさらにエンテリックコーティングされて製造され
ることもできる。調剤単位形態がカプセルである場合に
は、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を
含有することができる。
【0079】さらに、本発明のDNA などの核酸を上記し
たような治療及び/又は予防剤として用いる場合、該核
酸はそれを単独で用いることもできるし、あるいは上記
したような遺伝子組換え技術で使用される適当なベクタ
ー、例えばレトロウイルス由来ベクターなどウイルス由
来のベクターなどに結合させるなどして用いることがで
きる。本発明のDNA などの核酸は通常の知られた方法で
投与でき、そのままで、あるいは、例えば細胞内への摂
取が促進されるように、適当な補助剤あるいは生理的に
許容される担体などと共に、製剤化されて用いることが
でき、上記したような、医薬組成物又は医薬調製物など
として投与することができる。また遺伝子治療として知
られた方法を適用することもできる。本発明の活性成分
は、その投与量を広範囲にわたって選択して投与できる
が、その投与量及び投与回数などは、処置患者の性別、
年齢、体重、一般的健康状態、食事、投与時間、投与方
法、排泄速度、薬物の組み合わせ、患者のその時に治療
を行なっている病状の程度に応じ、それらあるいはその
他の要因を考慮して決められる。医薬品製造にあたって
は、その添加剤等や調製法などは、例えば日本薬局方解
説書編集委員会編、第十三改正 日本薬局方解説書、平
成8年7月10日発行、株式会社廣川書店;一番ヶ瀬 尚
他編 医薬品の開発12巻(製剤素剤〔I〕)、平成2
年10月15日発行、株式会社廣川書店;同、医薬品の開発
12巻(製剤素材〔II〕)平成2年10月28日発行、株式会
社廣川書店などの記載を参考にしてそれらのうちから必
要に応じて適宜選択して適用することができる。
【0080】本発明の前述した種々の態様を利用するこ
とにより、アルツハイマー病、肺気腫、リウマチ性関節
炎、筋ジストロフィー、骨粗鬆症、神経変性疾患および
癌の浸潤・転移の様な多くの疾患の診断等に関わる研究
に有用な検査・測定の手段として、あるいはその他の医
学的生理学的用途に適用される種々の技術手段を提供す
ることができる。なお、明細書及び図面において、用語
は、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclatu
reによるか、あるいは当該分野において慣用的に使用さ
れる用語の意味に基づくものである。以下で用いる主な
略語を示す。 bp: base pair(s); E-64: trans-epoxysuccinyl-L-leucylamido-(4-guanidi
no)butane; EST: expressed sequence tag; GST: glutathione S-tr
ansferase; IPTG: isopropyl-1-thio- β-D-galactopyranoside; PAGE: polyacrylamide gel electrophoresis; PCR: polymerase chain reaction; SDS: sodium dodecy
l sulfate; Z-Phe-Arg-AMC: benzyloxycarbonyl-L-phenylalanyl-L-
arginine-7-amido-4-methylcoumarin. 後述の実施例2に記載のヒトカテプシンL2をコードする
塩基配列を含有するクローン 5.1.1は、平成10年5月20
日(原寄託日)から茨城県つくば市東1丁目1番3号
(郵便番号305-8566)の通商産業省工業技術院生命工学
工業技術研究所(NIBH)に寄託されており (受託番号 F
ERM P-16811)、平成11年2月8日に原寄託よりブダペス
ト条約に基づく寄託への移管請求がなされ、受託番号FE
RM BP-6640としてNIBHに保管されている。さらに、後述
の実施例3に記載のヒトカテプシンL2をコードする塩基
配列を発現ベクターpGEX-3X (Pharmacia LKB) に連結し
て得られたプラスミド pGEX-3X CathL2 を保有する大腸
菌 DH5α (形質転換体 pGEX-3X CathL2)は、平成10年5
月20日(原寄託日)からNIBHに寄託されており (受託番
号 FERM P-16812)、平成11年2月8日に原寄託よりブダ
ペスト条約に基づく寄託への移管請求がなされ、受託番
号FERM BP-6641としてNIBHに保管されている。
【0081】
【実施例】以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されず、本明細書
の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解
されるべきである。全ての実施例は、他に詳細に記載す
るもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又
は実施することのできるものであり、これは当業者にと
り周知で慣用的なものである。なお、以下の実施例にお
いて、特に指摘が無い場合には、具体的な操作並びに処
理条件などは、DNA クローニングでは J. Sambrook, E.
F. Fritsch & T.Maniatis, "Molecular Cloning", 2nd
ed., Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Ha
rbor, N. Y. (1989) 及び D. M. Glover et al. ed.,
"DNACloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Practical
Approach Series), IRLPress, Oxford University Pre
ss (1995) ; 特にPCR 法では、H. A. Erliched., PCR T
echnology, Stockton Press, 1989 ; D. M. Glover et
al. ed.,"DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1, (The Pract
ical Approach Series), IRLPress, Oxford University
Press (1995) 及び M. A. Innis et al. ed.,"PCR P
rotocols", Academic Press, New York (1990)に記載の
方法に準じて行っているし、また市販の試薬あるいはキ
ットを用いている場合はそれらに添付の指示書(protoco
ls) や添付の薬品等を使用している。
【0082】実施例1:ヒト脳cDNAライブラリーのスク
リーニング ヒトシステインプロテアーゼに相同性を持つ配列を hum
an expressed sequence tags (ESTs) の GenBankTM
ータベースから検索し、結果、既存のカテプシンのアミ
ノ酸配列と有意の類似性を示すマウスcDNA配列(AA01372
6; M. Marra 等によって登録、WashU-HHMI Mouse EST P
roject) を同定した。以下に示すようにして、マウスの
胎児および脳cDNAライブラリーからcDNA PCR増幅を行
い、このcDNA配列を含むDNA フラグメントを得た。2種
の市販マウスライブラリー (胎児および脳、Clontech)
のλgt11−ファージDNA を鋳型として、AA013726配列に
基づいて設計した2 つの特異的プライマー、
【0083】5'-ATGTGGCTCTTGTTGGGCTT ( プライマー m
1 ;配列番号:3) および 5'-GCCTCAGCTTCAAGACCTT (プライマー m2 ;配列番号:
4)
【0084】を用いてPCR を行い、AA013726配列が存在
しないか否かを検索した。プライマーは、Applied Bios
ystemsのDNA シンセサイザー(model 392 A) を用い、フ
ォスフォアミダイド法によって合成した。PCR 反応は、
Perkin-Elmer/CetusのGeneAmp 2400 PCR system によ
り、変性 (94℃, 15秒) 、アニーリング(56 ℃, 15秒)
および伸長(72 ℃, 30秒) のサイクルを、35サイクル行
った。
【0085】得られた約200bp のPCR 産物は、T4ポリヌ
クレオチドキナーゼ(Boehringer Mannheim) でリン酸化
し、EcoRV (Boehringer Mannheim) で切断したpBS ベク
ターに挿入、クローン化した。クローン化したcDNAの塩
基配列を解析し、AA013726配列と同一であることを確認
した。このcDNAをベクターから切り出し、PharmaciaLKB
(Uppsala) から購入したrandom-primingキットを用い
て、Amersham (Amersham) の [α-32P]dCTP (3000 Ci/m
mol)で放射活性標識した。放射活性標識した、DNA 断片
は、プローブとしてヒト脳cDNAライブラリー (Clontec
h) のスクリーニングに使用した。
【0086】放射活性プローブのハイブリダイゼーショ
ンは、6 ×SSC (1× = 150 mM NaCl, 15 mM sodium cit
rate, pH 7.0) 、 5×Denhardt's (1× = 0.02% bovin
e serum albumin, 0.02% polyvinyl pyrrolidone, 0.02
% Ficoll) 、0.1% SDS、100μg/mL変性ニシン精子DNA
中で55℃、18時間実施した。 2×SSC 、0.1% SDSで55
℃、1 時間、2 回洗浄し、増感スクリーンと共に-70 ℃
で XAR-5 film (Kodak)に露光した。約 1×106 個のプ
ラークに対してスクリーニングを行い、プローブとハイ
ブリダイズする15の独立したクローンを分離した。これ
らのプラークより、ファージを精製、挿入断片をEcoRI
(Boehringer Mannheim) 消化によって切り出し、pUC18
のEcoRI サイトにサブクローニングした。
【0087】実施例2 :塩基配列の解析 実施例1 でヒト脳cDNAライブラリーよりクローニングさ
れた15のDNA 挿入断片を切り出し、それぞれファージベ
クター M13mp19のポリリンカー領域に挿入し、M13 ユニ
バーサルプライマーあるいはcDNA特異的プライマーおよ
びSequenase Version 2.0 キット(U.S. Biochemicals)
によるdideoxy chain termination 法によりその塩基配
列を決定した。全ての配列解析は、両鎖について行い確
認した。DNA 塩基配列およびタンパク質アミノ酸配列の
コンピューター分析は、Wisconsin 大学 Genetics Comp
uterグループの GCG ソフトウェアパッケージによって
行った。
【0088】シークエンスの結果、15個のクローンのう
ち1 つを除いて、すべてがヒトカテプシン Lと一致し
た。残りのクローン (該クローンは、以下「5.1.1 」と
呼ぶ)は、ヒトカテプシンL に類似したシークエンスを
有していたが、これまで報告されたシステインプロテア
ーゼ(Gal, S., et al., Biochem. J., 253: 303-306, 1
988)とは異なるものであった。このシークエンスは、第
10染色体において確認されている3 つのカテプシン L‐
様遺伝子または疑似遺伝子(Bryce, S.D., et al., Geno
mics, 24: 568-576, 1994)とも異なっていた。なお、ク
ローン5.1.1 は、平成10年5月20日から茨城県つくば市
東1丁目1番3号(郵便番号305-8566)の通商産業省工
業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託されて
いる(生工研受託番号 FERM P-16811)。そしてこの原寄
託より平成11年02月08日にブダペスト条約に基づく寄託
への移管請求がなされ、受託番号 FERM BP-6640 として
NIBHに保管されている。
【0089】クローン5.1.1 が持つ約1.3 kbの挿入断片
の塩基配列およびオープンリーディングフレームから発
現されるアミノ酸配列を図1及び配列表の配列番号:9
に示した。該オープンリーディングフレームから予測さ
れるアミノ酸配列については、配列表の配列番号:1に
も示してある。この断片にコードされたタンパク質は、
334 アミノ酸残基からなり、予想される分子量は、37,3
69 (付加される糖鎖の分子量を除く) である。得られた
アミノ酸配列と既知ヒトシステインプロテアーゼの相同
性は、プロカテプシン Lの78% からプロカテプシンC の
20% まで変動した。カテプシンL に対する高い相同性に
基づいて、この新規のシステインプロテアーゼを「カテ
プシンL2 」と命名した。図2〜4にカテプシン L2 と
既知システインプロテアーゼ (カテプシンL 、K 、S 、
H 、O 、W 、B およびC)のアミノ酸配列を相同性に基づ
いて整列した図を示した。
【0090】カテプシン L2 の予測されるアミノ酸配列
は、他のシステインプロテアーゼに典型的な構造上の特
徴を全て有していた。すなわち、最初のメチオニン近傍
に存在する一連の疎水性アミノ酸は、これ以外のシステ
インプロテアーゼのシグナルペプチドに対応する。シグ
ナル配列の末端にはコンセンサスシークエンスとしてAl
a-X-Ala が存在する。この切断部位 (第17位と第18位の
間) で切断されたプロカテプシンL2は、317 アミノ酸残
基からなる予想分子量35,693 (付加される糖鎖の分子量
を除く) のタンパク質となる。また、既知システインプ
ロテアーゼのプロ領域と活性型酵素の切断部位からカテ
プシン L2 の活性型を特定することができる。図2〜4
から推論されるように、活性型システインプロテアーゼ
のN-末端は、全ての場合において、図中に示した矢印で
あり、2 番目のアミノ酸を完全に保存されたプロリンと
すれば正確に並べられ得る。これに従うと、活性型カテ
プシン L2 は、第114 位のロイシン残基から始まり、2
4,130 (付加される糖鎖の分子量を除く) の分子量を示
すことが類推される。
【0091】さらに、カテプシン L2 は、システインプ
ロテアーゼの活性部位に存在するシステイン残基、触媒
機構に重要とされるヒスチジン残基およびアスパラギン
残基をそれぞれ第138 位、第277 位および第301 位に有
しており、これら3 アミノ酸残基およびその近傍配列
は、他のカテプシンと比較しても非常に良く保存されて
いる。また、N-末端領域には、オキシアニオンホールを
形成するグルタミン残基( 第132 位) とともに、トリプ
トファン残基と疎水性セグメントがシステイン活性部位
の直近に位置している。さらに、C-末端領域は、一連の
保存された芳香族残基群をまた、活性部位のなかにAsn-
Ser-Trp のトリペプチドを含んでいる。ヒトカテプシン
L2 は、第2 位、第221 位および第292 位の3 個所に潜
在的なN-結合型糖鎖付加部位が存在する。これらのう
ち、第221 位の糖鎖付加部位のみが、カテプシン Lにも
存在することは注目すべきことである。なぜならば、こ
れまで報告されているホ乳類のシステインプロテアーゼ
の全てが糖鎖付加を受けていることから、マンノース-6
- リン酸受容体システムによってリソソーム誘導される
のに必要な糖鎖付加が少なくとも1個所存在することが
推定されるからである。
【0092】最後に、カテプシン L2 のアミノ酸配列
は、システインプロテアーゼのパパインおよびカテプシ
ン Bにおいて、非常に良く保存されている、3つのS-S
結合を形成するための6つのシステイン残基をも含んで
いる。これらすべての構造上の特徴を要約すると、カテ
プシン L2 は、カテプシン Lと著しいアミノ酸配列の類
似性を示す新規なヒトシステインプロテアーゼであると
結論を下すことができる。この核酸配列は GenBankTM/E
MBL Data Bank にaccession number Y14734 として登録
されている。
【0093】実施例3 :発現ベクターの構築および大腸
菌における発現 活性型ヒトカテプシン L2 をコードした配列を含む669b
p のDNA フラグメントは、プライマー 5'-ATGCTTCCCAAATCTGTGGATTGG (プライマーL2-1;配列
番号:5) および 5'-TCACACATTGGGGTAGCTGG( プライマーL2-2;配列番号:
6) により、全長を持つcDNAとしてPCR 増幅で作成した。5'
側プライマーにより、増幅したフラグメントのN ‐末端
にメチオニンを付加した。PCR 反応は、エラー低減のた
め、ExpandTM Long Template PCR System (Boehringer
Mannheim) を用い、変性(95 ℃、30秒) 、アニーリング
(60 ℃、30秒) および伸長(72 ℃、1 分)の30サイクル
で実施した。
【0094】PCR 産物は、T4ポリヌクレオチドキナーゼ
(Boehringer Mannheim) でリン酸化し、クレノウフラグ
メント(Boehringer Mannheim) で修復、あらかじめSmaI
とアルカリフォスファターゼ(Boehringer Mannheim) で
処理した発現ベクターpGEX-3X(Pharmacia LKB)に連結し
た。得られたプラスミド(pGEX-3X CathL2)で大腸菌BL21
(DE3) 株を形質転換した。形質転換体を100 μ g/mL ア
ンピシリン含有LB培地で37℃、約16時間培養し、その
後、同じ培地で1/100 に希釈し、A600が1.0 に達するま
でさらに生育させた。イソプロピル-1- チオ- β-D- ガ
ラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度1 mMで添加し、培養
をさらに3 時間継続した。細胞は遠心により回収し、0.
05体積のPBS で洗浄と再懸濁を行い、フレンチプレスで
溶菌、20,000g で遠心(4℃、20分間) した。上清の可溶
性の抽出物は、グルタチオン セファロース 4B に供
し、グルタチオン溶出緩衝液(10 mM還元型グルタチオン
含有50mM Tris-HCl pH 8.0)で溶出した。
【0095】大腸菌抽出物および精製組換えタンパク質
をSDS-PAGEで分析した。図 5A で見られるように、組換
えプラスミドpGEX-3X CathL2で形質転換した大腸菌は、
対照のプラスミドpGEX-3X で形質転換した大腸菌からは
見られない約52 kDaの融合タンパク質を含んでいた。対
照の大腸菌抽出物にはグルタチオン-S- トランスフェラ
ーゼ(GST) に由来する29 kDaのバンドが認められた。精
製した融合組換えカテプシンL2は、SDS-PAGEで予想され
るサイズ( 約52 kDa) の単一バンドを示した。同様に、
プラスミド(pGEX-3X CathL2)で大腸菌 DH5α株を形質転
換した。プラスミド(pGEX-3X CathL2)で形質転換された
大腸菌 DH5α株は、平成10年5月20日から茨城県つくば
市東1丁目1番3号(郵便番号305-8566)の通商産業省
工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託され
ている(生工研受託番号 FERM P-16812; 微生物の表
示: 形質転換体大腸菌 pGEX-3X CathL2 )。そしてこの
原寄託より平成11年02月08日にブダペスト条約に基づく
寄託への移管請求がなされ、受託番号 FERM BP-6641 と
してNIBHに保管されている。
【0096】実施例4 :組換えカテプシンL2の酵素活性
解析 大腸菌において産生、精製されたカテプシン L2 の酵素
活性は、基質として20μM Z-Phe-Arg-AMC あるいは Z-A
rg-Arg-AMC (Bachem, Bubendorf, Switzerland) を用
い、Barrett とKirschke (Barrett, A.J., et al., Met
hods Enzymol., 80: 535-561, 1981) の報告を若干改変
した方法に従って測定した。分析は、30℃の10 mM ジチ
オスレイトール、2 mM EDTA 含有100 mM酢酸ナトリウム
緩衝液 pH4.5 で行った。基質の加水分解は、Cytofluor
2350 fluorometer (Millipore, Bedford, MA) で励起
波長360 nm、蛍光波長460 nmで測定した。 E-64 (Sigm
a, St.Louis, MO) による阻害は、組換えカテプシンL2
と20μM のE-64をあらかじめ30℃で15分間、インキュベ
ートし、組換えカテプシンL2の残存活性を上記と同様に
蛍光基質 Z-Phe-Arg-AMC を用いて測定した。酵素活性
測定の陽性対照として、大腸菌で産生した組換えカテプ
シン O (Velasco, G., et al., J. Biol. Chem.,269: 2
7136-27142, 1994)を使った。カテプシン Lとの配列の
類似から予想されるように、組換えカテプシン L2 は、
カテプシン Lの至適基質である合成ペプチドZ-Phe-Arg-
AMC に対して有意の基質分解活性を示した (図 5B)。基
質分解活性は、大腸菌で産生されたヒトカテプシン Oと
も類似していた (図 5B)。さらに、カテプシン Lと同
様、組換えカテプシン L2 の蛍光基質 Z-Arg-Arg-AMCに
対する活性は、非常に低かった。なお、図 5B におい
て、図中の記号は次のものを表している。
【0097】
【化1】
【0098】E-64は、システインプロテアーゼを特異的
に阻害するインヒビターである。Z-Phe-Arg-AMC に対す
るカテプシン L2 の基質分解活性は、E-64で阻害された
が、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼおよびア
スパラギン酸プロテアーゼのそれぞれの阻害剤であるED
TA、フェニルメチルスルホニルフルオリドおよびペプス
タチン Aでは阻害されなかった (図 5B)。これらの酵素
学的分析は、カテプシン L2 がカテプシン Lと類似した
基質特異性とシステインプロテアーゼファミリーに特有
な阻害剤を持つ機能的なシステインプロテアーゼである
ことを明らかにした。同様にして、カテプシン L2 の酵
素活性を阻害する化合物をスクリーニングすることがで
きる。こうした阻害する化合物としては、ペプチド、タ
ンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産
物、植物あるいは動物組織・細胞抽出液、植物あるいは
動物組織・細胞ホモジュネート、血液、血漿、血清など
の含まれる成分などが挙げられ、これらの化合物は新規
な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよ
い。
【0099】実施例5 :正常および腫瘍組織におけるカ
テプシン L2 発現分析 異なるヒト組織および癌細胞株の2 μg のpoly (A)+ RN
A あるいはヒト結腸直腸癌および隣接する正常組織から
分離された20 μg のトータルRNA に対してノーザンブ
ロット解析を行った。プレハイブリダイゼーションは、
50% formamide、5 ×SSPE(1×=150 mM NaCl, 10 mM NaH
2PO4, 1 mM EDTA, pH 7.4) 、10×Denhardt's、2% SDS
および100 μ g/mL の変成ニシン精子 DNA中で42℃、3
時間行った。プローブは、カテプシン L2 の全長cDNAを
FokIおよびEcoRI で消化して得られた 3'-側非翻訳領域
部分の270 bp断片を放射活性標識して用いた。同じフィ
ルターは、カテプシン L cDNA (Gal, S., et al., Bioc
hem. J., 253: 303-306, 1988)第550-1347位の797 bpの
断片でもハイブリダイズを行った。ハイブリダイゼーシ
ョンの後、フィルターを50℃の 0.1×SSC 、0.1% SDSで
2 時間洗浄し、オートラジオグラフィーに供した。従
来、一般に使われてきたカテプシンL のプローブは、カ
テプシン L2 に対して交差反応を示す。従って、ここで
用いたカテプシン L2 に特異的なプローブは、カテプシ
ン L2 の検出ができるだけでなくカテプシン L2 とカテ
プシンL を区別するために、非常に有用である。
【0100】ノーザンブロット解析の結果、胸腺および
精巣において強く発現される約1.8kbの1 つの転写産物
が認められた (図 6) 。さらに長く露出(放射活性に対
し露光)した場合、非常に低いレベルの同じカテプシン
L2 の転写産物が、脳および腸を含む他の組織で出現し
た。同じメンブレンをカテプシン Lの特異プローブでハ
イブリダイズした場合、カテプシン L2 とは対照的に、
カテプシンL が広範囲のヒト組織において発現している
ことが確認された (図 6) 。これまで示されたヒトシス
テインプロテアーゼのパパインファミリーとの比較にお
いて、胸腺および精巣におけるカテプシン L2 の強い発
現は、この新規な酵素のユニークな特徴である。カテプ
シン B、L 、H 、C およびO を含むこの遺伝子ファミリ
ーの大部分は、ヒト組織において広く発現しており、全
ての細胞のリソソームにおいて起こる細胞内タンパク質
の消化というこれらの酵素の役割に対して合理的であ
る。
【0101】一方、興味深いことに、リソソーム酵素の
様なハウスキーピング的役割に加えて、カテプシンは、
組織において、特定の役割を果たすことが最近示され
た。すなわち、カテプシン K、S およびW は、破骨細胞
(Inaoka, T., et al., Biochem. Biophys. Res. Commu
n., 206: 89-96, 1995.; Gelb, B.D., et al., Scienc
e,273: 1236-1238, 1996)、リンパ組織 (Shi, G.P., et
al., J. Biol. Chem., 267: 7258-7262, 1992)およびT
-リンパ球(Linnerves, C., et al., FEBS Lett.,405:
253-259)の各々によって産生されており、骨のリモデリ
ング( カテプシンK) 、抗原提示 (カテプシン S) およ
びT-リンパ細胞の細胞溶解活性 (カテプシン W) に関連
していることが示唆された。現在、カテプシン L2 の特
定の機能は、胸腺における優勢な発現から免疫システム
に関係する役割が、一方、精巣における高いレベルの発
現は、受精プロセスに関する役割が想定される。
【0102】カテプシン L2 と構造上、近縁であるカテ
プシンL は、悪性の癌化線維芽細胞の主な分泌タンパク
質として知られており(Gal, S., et al., J. Biol. Che
m.,261: 1760-1765, 1986) 、システインプロテアーゼ
が腫瘍プロセスに関与する可能性についても報告されて
いる(Berquin, I.M., et al., Perspect. Drug. Disco
v. Des., 2: 371-388, 1994; Chauhan, S.S., et al.,
Cancer Res., 51: 1478-1481, 1991)。カテプシン L2
と腫瘍プロセスの関係について調べるために、異なる癌
細胞株( 白血病 HL-60、HeLa 細胞 S3 、白血病 K-56
2、白血病MOLT-4、バーキットリンパ腫 Raji 、結腸・
直腸癌 SW480、肺がん A549 およびメラノーマ G361)か
ら抽出したpoly (A)+ RNAsをカテプシン L2 特異プロー
ブを用いてノーザンブロットを行った。図6 において見
られるように、予測されるサイズ (約1.8 kb) の転写産
物は、結腸・直腸癌 SW480細胞において特徴的に検出さ
れた。一方、カテプシンL は、分析した大部分の癌細胞
株で発現することが示された (図6)。原発性結腸・直腸
癌および隣接する正常粘膜から調製したトータルRNA に
対してノーザンブロット解析を行った。10例のうち6 例
の結腸・直腸癌でカテプシン L2 の転写産物が認めら
れ、隣接する正常粘膜からカテプシン L2 の転写産物は
検出されなかった。図6 に結腸・直腸癌における1 つの
カテプシン L2 非発現例と2 つのカテプシン L2 発現性
例を示した。いずれも隣接する正常粘膜においてカテプ
シン L2 の発現は認められない。1 例において、カテプ
シンL の発現が正常粘膜において昂進している様子が観
察された。
【0103】実施例6:ヒト癌および癌細胞株からのRN
A 逆転写およびPCR 増幅 有意の量のカテプシン Lを生産する乳癌 (Berquin, I.
M., et al., Perspect.Drug. Discov. Des., 2: 371-38
8, 1994; Lah, T.T., et al., Breast CancerRes. Trea
tm., 39: 221-233, 1996)について、本発明のカテプシ
ン L2 の発現をRT-PCRによって検出することを試みた。
トータルRNA は、guanidinium thiocyanate-phenol-chl
oroform 抽出によって、種々のヒト癌および乳癌細胞株
(T-47D、R-75-1、Hs-578T およびMDA-MB435)から分離
し、Perkin-Elmer/CetusのRNA PCR キットを用いてcDNA
を合成した。4 μg のトータルRNA を鋳型とし、ランダ
ムヘキサマーをプライマーで逆転写の後、全反応液を、
ヒトカテプシン L2 特異的オリゴヌクレオチド〔 5'-CT
TAAGGACAGCATGTCTGGGGAA( プライマーL2-3;配列番号7)
および 5'-AGTCTTTGATATCATAAAGCTGTG (プライマーL2-
4;配列番号8)〕をプライマーとしたPCR に供した。
【0104】PCR 反応は、GeneAmp 2400 PCR システム
( Perkin-Elmer ) で、変性(94 ℃, 15秒) 、アニーリ
ング(60 ℃, 15秒) および伸長(72 ℃, 15秒) の40サイ
クルで実施し、カテプシン L2 cDNAの第1100-1283 位に
相当する184 bpの断片を増幅した。PCR 産物は、2.5%
アガロースゲルで分析した。陰性対照は、鋳型あるいは
逆転写酵素を不添加とし、全て同様に行った。図7 にお
いて見られるように、カテプシン L2 のmRNAに由来する
増幅バンドが、大部分の乳癌および乳癌細胞株(ZR-75-
1、Hs-578T およびMDA-MB435)で確認された。対照的
に、増幅産物は、正常な乳腺、乳癌に隣接する正常組織
から検出されなかった。また腎臓および卵巣癌でカテプ
シン L2 の弱い発現が観察された。これらの結果は、カ
テプシン L2 が腫瘍プロセスに潜在的に関連しているタ
ンパク質分解酵素であることを強く示唆している。
【0105】実施例7:GST 融合ヒトカテプシンL2の調
製 実施例3 に記載の大腸菌発現ベクターpGEX-3X CathL2で
形質転換した大腸菌株DH5αを、100 μg/mLアンピシリ
ン含有LB寒天培地で培養、単一コロニーをとり、1mL の
100 μg/mLアンピシリン含有LB培地に接種し37℃で16時
間、培養した。得られた1 次カルチャーを10mLの100 μ
g/mLアンピシリン含有LB培地に再接種し、600nm におけ
る吸光度が0.6 になるまで37℃で培養した。これにIPTG
を最終濃度0.5mM となるよう添加し、37℃で4 時間培
養、組換えGST 融合ヒトカテプシンL2の発現を誘導し
た。発現誘導後、組換え大腸菌を遠心により集菌し、1m
L のSDS-PAGEサンプルバッファーに懸濁、超音波処理、
熱処理(95 ℃、5 分間) して、GST 融合ヒトカテプシン
L2を得た。
【0106】実施例8:His-タグ融合ヒトカテプシンL2
(プロ体) の調製 実施例2 記載のクローン5.1.1 に含まれるプラスミドを
BamHI で切断し、ヒトカテプシンL2遺伝子を含む断片を
切り出した。得られた遺伝子断片をさらにMspA1I(New
England BioLabs)で部分切断し、配列番号:2記載の第11
6 位から第121位のMspA1I切断部位および第1183位から
第1189位のBamHI 切断部位からなるヒトカテプシンL2
(プロ体) 遺伝子断片を精製した。これを、予めSmaIお
よびBamHIで切断したpUC18 に挿入しサブクローニング
した。さらに、これをSacIおよびHindIII で切断、ヒト
カテプシンL2 (プロ体) 遺伝子断片を精製し、予めSacI
およびHindIII で切断した大腸菌発現ベクターpTrcHisA
(Invitrogen, Leek, The Netherland) に挿入し、プラ
スミドpTrcHisCathL2(pro)を作成した。プラスミドpTrc
HisCathL2(pro)で形質転換した大腸菌株JM109 を、100
μg/mLアンピシリン含有LB寒天培地で培養、単一コロニ
ーをとり、1mL の100 μg/mLアンピシリン含有LB培地に
接種し37℃で16時間、培養した。得られた1 次カルチャ
ーを10 mL の100 μg/mLアンピシリン含有LB培地に再接
種し、600 nmにおける吸光度が0.6 になるまで37℃で培
養した。これにIPTGを最終濃度0.5 mMとなるよう添加
し、37℃で4 時間培養、His-タグ融合ヒトカテプシンL2
(プロ体) の発現を誘導した。発現誘導後、組換え大腸
菌を遠心により集菌し、1mL のSDS-PAGEサンプルバッフ
ァーに懸濁、超音波処理、熱処理(95 ℃、5 分間) し
て、His-タグ融合ヒトカテプシンL2 (プロ体) を得た。
【0107】
【発明の効果】ヒトカテプシンL の遺伝子配列に相同性
を持つが、新規であって且つシステインプロテアーゼの
パパインファミリーに属するヒトカテプシンL2をコード
する遺伝子の全長をヒト脳cDNAライブラリーからクロー
ニングし、その塩基配列を解析したことにより、細胞内
タンパク質代謝、ホルモン前駆体の活性化、および骨の
改変など、多くの正常な細胞のプロセス、さらにはアル
ツハイマー病、肺気腫、リウマチ性関節炎、筋ジストロ
フィー、骨粗鬆症、神経変性疾患および癌の浸潤・転移
の様な多くの疾患についての研究においてその利用が可
能となった。さらに大腸菌、その他の宿主においてこの
遺伝子の発現を行い、組換えタンパク質によってこの酵
素学的特性を明らかにできるし、その活性を阻害する物
質を研究することも可能になる。また、ヒトカテプシン
L2遺伝子の染色体座位を決定し、ヒト組織における発現
を調査することができる。また本発明の遺伝子プローブ
によりヒトカテプシンL2遺伝子、その発現細胞などの検
出手段並びにそのための試薬を提供できる。当該試薬
は、癌の検出・診断をはじめとして、上記した疾患の発
症機序の解明、治療及び治療薬の開発等に利用可能性を
有する。本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載し
た以外も、実行できることは明らかである。上述の教示
に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、
従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のもので
ある。
【0108】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Fuji Yakuhin Kogyo Kabushiki Kaisha <120> Novel Human Cathepsin L2 Protein, Gene Encoding Said Protein And Use Thereof <130> P-99NF301 <140> <141> <150> JP 10-172147 <151> 1998-06-05 <160> 10 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 334 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Asn Leu Ser Leu Val Leu Ala Ala Phe Cys Leu Gly Ile Ala Ser 1 5 10 15 Ala Val Pro Lys Phe Asp Gln Asn Leu Asp Thr Lys Trp Tyr Gln Trp 20 25 30 Lys Ala Thr His Arg Arg Leu Tyr Gly Ala Asn Glu Glu Gly Trp Arg 35 40 45 Arg Ala Val Trp Glu Lys Asn Met Lys Met Ile Glu Leu His Asn Gly 50 55 60 Glu Tyr Ser Gln Gly Lys His Gly Phe Thr Met Ala Met Asn Ala Phe 65 70 75 80 Gly Asp Met Thr Asn Glu Glu Phe Arg Gln Met Met Gly Cys Phe Arg 85 90 95 Asn Gln Lys Phe Arg Lys Gly Lys Val Phe Arg Glu Pro Leu Phe Leu 100 105 110 Asp Leu Pro Lys Ser Val Asp Trp Arg Lys Lys Gly Tyr Val Thr Pro 115 120 125 Val Lys Asn Gln Lys Gln Cys Gly Ser Cys Trp Ala Phe Ser Ala Thr 130 135 140 Gly Ala Leu Glu Gly Gln Met Phe Arg Lys Thr Gly Lys Leu Val Ser 145 150 155 160 Leu Ser Glu Gln Asn Leu Val Asp Cys Ser Arg Pro Gln Gly Asn Gln 165 170 175 Gly Cys Asn Gly Gly Phe Met Ala Arg Ala Phe Gln Tyr Val Lys Glu 180 185 190 Asn Gly Gly Leu Asp Ser Glu Glu Ser Tyr Pro Tyr Val Ala Val Asp 195 200 205 Glu Ile Cys Lys Tyr Arg Pro Glu Asn Ser Val Ala Asn Asp Thr Gly 210 215 220 Phe Thr Val Val Ala Pro Gly Lys Glu Lys Ala Leu Met Lys Ala Val 225 230 235 240 Ala Thr Val Gly Pro Ile Ser Val Ala Met Asp Ala Gly His Ser Ser 245 250 255 Phe Gln Phe Tyr Lys Ser Gly Ile Tyr Phe Glu Pro Asp Cys Ser Ser 260 265 270 Lys Asn Leu Asp His Gly Val Leu Val Val Gly Tyr Gly Phe Glu Gly 275 280 285 Ala Asn Ser Asn Asn Ser Lys Tyr Trp Leu Val Lys Asn Ser Trp Gly 290 295 300 Pro Glu Trp Gly Ser Asn Gly Tyr Val Lys Ile Ala Lys Asp Lys Asn 305 310 315 320 Asn His Cys Gly Ile Ala Thr Ala Ala Ser Tyr Pro Asn Val 325 330 <210> 2 <211> 1342 <212> DNA <213> Human <400> 2 cggctgtaat ctcagaggct tgtttgctga gggtgcctgc gcacgtgcga cggctgctgg 60 ttttgaaaca tgaatctttc gctcgtcctg gctgcctttt gcttgggaat agcctccgct 120 gttccaaaat ttgaccaaaa tttggataca aagtggtacc agtggaaggc aacacacaga 180 agattatatg gcgcgaatga agaaggatgg aggagagcag tgtgggaaaa gaatatgaaa 240 atgattgaac tgcacaatgg ggaatacagc caagggaaac atggcttcac aatggccatg 300 aatgcttttg gtgacatgac caatgaagaa ttcaggcaga tgatgggttg ctttcgaaac 360 cagaaattca ggaaggggaa agtgttccgt gagcctctgt ttcttgatct tcccaaatct 420 gtggattgga gaaagaaagg ctacgtgacg ccagtgaaga atcagaaaca gtgtggttct 480 tgttgggctt ttagtgcgac tggtgctctt gaaggacaga tgttccggaa aactgggaaa 540 cttgtctcac tgagcgagca gaatctggtg gactgttcgc gtcctcaagg caatcagggc 600 tgcaatggtg gcttcatggc tagggccttc cagtatgtca aggagaacgg aggcctggac 660 tctgaggaat cctatccata tgtagcagtg gatgaaatct gtaagtacag acctgagaat 720 tctgttgcta atgacactgg cttcacagtg gtcgcacctg gaaaggagaa ggccctgatg 780 aaagcagtcg caactgtggg gcccatctcc gttgctatgg atgcaggcca ttcgtccttc 840 cagttctaca aatcaggcat ttattttgaa ccagactgca gcagcaaaaa cctggatcat 900 ggtgttctgg tggttggcta cggctttgaa ggagcaaatt cgaataacag caagtattgg 960 ctcgtcaaaa acagctgggg tccagaatgg ggctcgaatg gctatgtaaa aatagccaaa 1020 gacaagaaca accactgtgg aatcgccaca gcagccagct accccaatgt gtgagctgat 1080 ggatggtgag gaggaaggac ttaaggacag catgtctggg gaaattttat cttgaaactg 1140 accaaacgct tattgtgtaa gataaaccag ttgaatcatt gaggatccaa gttgagattt 1200 taattctgtg acatttttac aagggtaaaa tgttaccact actttaatta ttgttataca 1260 cagctttatg atatcaaaga ctcattgctt aattctaaga cttttgaatt ttcatttttt 1320 aaaaagatgt acaaaacagt tt 1342 <210> 3 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 3 atgtggctct tgttgggctt 20 <210> 4 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 4 gcctcagctt caagacctt 19 <210> 5 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 5 atgcttccca aatctgtgga ttgg 24 <210> 6 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 6 tcacacattg gggtagctgg 20 <210> 7 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 7 cttaaggaca gcatgtctgg ggaa 24 <210> 8 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 8 agtctttgat atcataaagc tgtg 24 <210> 9 <211> 1342 <212> DNA <213> Human <220> <221> CDS <222> (70)..(1071) <220> <221> sig peptide <222> (70)..(120) <220> <221> mat peptide <222> (121)..(1071) <400> 9 cggctgtaat ctcagaggct tgtttgctga gggtgcctgc gcacgtgcga cggctgctgg 60 ttttgaaac atg aat ctt tcg ctc gtc ctg gct gcc ttt tgc ttg gga ata 111 Met Asn Leu Ser Leu Val Leu Ala Ala Phe Cys Leu Gly Ile -15 -10 -5 gcc tcc gct gtt cca aaa ttt gac caa aat ttg gat aca aag tgg tac 159 Ala Ser Ala Val Pro Lys Phe Asp Gln Asn Leu Asp Thr Lys Trp Tyr -1 1 5 10 cag tgg aag gca aca cac aga aga tta tat ggc gcg aat gaa gaa gga 207 Gln Trp Lys Ala Thr His Arg Arg Leu Tyr Gly Ala Asn Glu Glu Gly 15 20 25 tgg agg aga gca gtg tgg gaa aag aat atg aaa atg att gaa ctg cac 255 Trp Arg Arg Ala Val Trp Glu Lys Asn Met Lys Met Ile Glu Leu His 30 35 40 45 aat ggg gaa tac agc caa ggg aaa cat ggc ttc aca atg gcc atg aat 303 Asn Gly Glu Tyr Ser Gln Gly Lys His Gly Phe Thr Met Ala Met Asn 50 55 60 gct ttt ggt gac atg acc aat gaa gaa ttc agg cag atg atg ggt tgc 351 Ala Phe Gly Asp Met Thr Asn Glu Glu Phe Arg Gln Met Met Gly Cys 65 70 75 ttt cga aac cag aaa ttc agg aag ggg aaa gtg ttc cgt gag cct ctg 399 Phe Arg Asn Gln Lys Phe Arg Lys Gly Lys Val Phe Arg Glu Pro Leu 80 85 90 ttt ctt gat ctt ccc aaa tct gtg gat tgg aga aag aaa ggc tac gtg 447 Phe Leu Asp Leu Pro Lys Ser Val Asp Trp Arg Lys Lys Gly Tyr Val 95 100 105 acg cca gtg aag aat cag aaa cag tgt ggt tct tgt tgg gct ttt agt 495 Thr Pro Val Lys Asn Gln Lys Gln Cys Gly Ser Cys Trp Ala Phe Ser 110 115 120 125 gcg act ggt gct ctt gaa gga cag atg ttc cgg aaa act ggg aaa ctt 543 Ala Thr Gly Ala Leu Glu Gly Gln Met Phe Arg Lys Thr Gly Lys Leu 130 135 140 gtc tca ctg agc gag cag aat ctg gtg gac tgt tcg cgt cct caa ggc 591 Val Ser Leu Ser Glu Gln Asn Leu Val Asp Cys Ser Arg Pro Gln Gly 145 150 155 aat cag ggc tgc aat ggt ggc ttc atg gct agg gcc ttc cag tat gtc 639 Asn Gln Gly Cys Asn Gly Gly Phe Met Ala Arg Ala Phe Gln Tyr Val 160 165 170 aag gag aac gga ggc ctg gac tct gag gaa tcc tat cca tat gta gca 687 Lys Glu Asn Gly Gly Leu Asp Ser Glu Glu Ser Tyr Pro Tyr Val Ala 175 180 185 gtg gat gaa atc tgt aag tac aga cct gag aat tct gtt gct aat gac 735 Val Asp Glu Ile Cys Lys Tyr Arg Pro Glu Asn Ser Val Ala Asn Asp 190 195 200 205 act ggc ttc aca gtg gtc gca cct gga aag gag aag gcc ctg atg aaa 783 Thr Gly Phe Thr Val Val Ala Pro Gly Lys Glu Lys Ala Leu Met Lys 210 215 220 gca gtc gca act gtg ggg ccc atc tcc gtt gct atg gat gca ggc cat 831 Ala Val Ala Thr Val Gly Pro Ile Ser Val Ala Met Asp Ala Gly His 225 230 235 tcg tcc ttc cag ttc tac aaa tca ggc att tat ttt gaa cca gac tgc 879 Ser Ser Phe Gln Phe Tyr Lys Ser Gly Ile Tyr Phe Glu Pro Asp Cys 240 245 250 agc agc aaa aac ctg gat cat ggt gtt ctg gtg gtt ggc tac ggc ttt 927 Ser Ser Lys Asn Leu Asp His Gly Val Leu Val Val Gly Tyr Gly Phe 255 260 265 gaa gga gca aat tcg aat aac agc aag tat tgg ctc gtc aaa aac agc 975 Glu Gly Ala Asn Ser Asn Asn Ser Lys Tyr Trp Leu Val Lys Asn Ser 270 275 280 285 tgg ggt cca gaa tgg ggc tcg aat ggc tat gta aaa ata gcc aaa gac 1023 Trp Gly Pro Glu Trp Gly Ser Asn Gly Tyr Val Lys Ile Ala Lys Asp 290 295 300 aag aac aac cac tgt gga atc gcc aca gca gcc agc tac ccc aat gtg 1071 Lys Asn Asn His Cys Gly Ile Ala Thr Ala Ala Ser Tyr Pro Asn Val 305 310 315 tgagctgatg gatggtgagg aggaaggact taaggacagc atgtctgggg aaattttatc 1131 ttgaaactga ccaaacgctt attgtgtaag ataaaccagt tgaatcattg aggatccaag 1191 ttgagatttt aattctgtga catttttaca agggtaaaat gttaccacta ctttaattat 1251 tgttatacac agctttatga tatcaaagac tcattgctta attctaagac ttttgaattt 1311 tcatttttta aaaagatgta caaaacagtt t 1342 <210> 10 <211> 334 <212> PRT <213> Human <400> 10 Met Asn Leu Ser Leu Val Leu Ala Ala Phe Cys Leu Gly Ile Ala Ser -15 -10 -5 Ala Val Pro Lys Phe Asp Gln Asn Leu Asp Thr Lys Trp Tyr Gln Trp -1 1 5 10 15 Lys Ala Thr His Arg Arg Leu Tyr Gly Ala Asn Glu Glu Gly Trp Arg 20 25 30 Arg Ala Val Trp Glu Lys Asn Met Lys Met Ile Glu Leu His Asn Gly 35 40 45 Glu Tyr Ser Gln Gly Lys His Gly Phe Thr Met Ala Met Asn Ala Phe 50 55 60 Gly Asp Met Thr Asn Glu Glu Phe Arg Gln Met Met Gly Cys Phe Arg 65 70 75 Asn Gln Lys Phe Arg Lys Gly Lys Val Phe Arg Glu Pro Leu Phe Leu 80 85 90 95 Asp Leu Pro Lys Ser Val Asp Trp Arg Lys Lys Gly Tyr Val Thr Pro 100 105 110 Val Lys Asn Gln Lys Gln Cys Gly Ser Cys Trp Ala Phe Ser Ala Thr 115 120 125 Gly Ala Leu Glu Gly Gln Met Phe Arg Lys Thr Gly Lys Leu Val Ser 130 135 140 Leu Ser Glu Gln Asn Leu Val Asp Cys Ser Arg Pro Gln Gly Asn Gln 145 150 155 Gly Cys Asn Gly Gly Phe Met Ala Arg Ala Phe Gln Tyr Val Lys Glu 160 165 170 175 Asn Gly Gly Leu Asp Ser Glu Glu Ser Tyr Pro Tyr Val Ala Val Asp 180 185 190 Glu Ile Cys Lys Tyr Arg Pro Glu Asn Ser Val Ala Asn Asp Thr Gly 195 200 205 Phe Thr Val Val Ala Pro Gly Lys Glu Lys Ala Leu Met Lys Ala Val 210 215 220 Ala Thr Val Gly Pro Ile Ser Val Ala Met Asp Ala Gly His Ser Ser 225 230 235 Phe Gln Phe Tyr Lys Ser Gly Ile Tyr Phe Glu Pro Asp Cys Ser Ser 240 245 250 255 Lys Asn Leu Asp His Gly Val Leu Val Val Gly Tyr Gly Phe Glu Gly 260 265 270 Ala Asn Ser Asn Asn Ser Lys Tyr Trp Leu Val Lys Asn Ser Trp Gly 275 280 285 Pro Glu Trp Gly Ser Asn Gly Tyr Val Lys Ile Ala Lys Asp Lys Asn 290 295 300 Asn His Cys Gly Ile Ala Thr Ala Ala Ser Tyr Pro Asn Val 305 310 315
【図面の簡単な説明】
【図1】脳cDNAライブラリーよりクローン化したヒトカ
テプシンL2の核酸配列と予想されるアミノ酸配列を示し
た。矢印でシグナルペプチドとプロペプチドおよびプロ
ペプチドと活性型酵素の切断部位を示した。
【図2】カテプシンL2とヒトシステインプロテアーゼの
アミノ酸配列アライメントを示す(図3および4に続き
を示す)。既知のヒトシステインプロテアーゼのアミノ
酸配列はSwissProt データベースよりとり出し、GCG パ
ッケージのPILEUPプログラムで解析した。番号はカテプ
シンL2に対応している。カテプシンC のN-末端側の特徴
的な配列はアライメント解析に含まれていない。すべて
の配列に共通するアミノ酸残基に星印をつけた。また、
カテプシンL2とカテプシンに共通なアミノ酸にはその下
に下線を引いてある。ギャップはドットで示した。矢印
でプロペプチドと活性型酵素の切断部位を示した。
【図3】カテプシンL2とヒトシステインプロテアーゼの
アミノ酸配列アライメントを図2に続けて示す。
【図4】カテプシンL2とヒトシステインプロテアーゼの
アミノ酸配列アライメントを図3に続けて示す。
【図5】大腸菌で発現した組換えカテプシンL2の精製
(A) と酵素活性分析の結果(B) を示した。(A)pGEX-3Xと
pGEX-3X CathL2のそれぞれで形質転換した大腸菌の抽出
液をレーン当たり5 μL 添加しSDS-PAGEで分析したもの
である。CathL2には、精製した融合タンパク質をレーン
当たり1 μL 添加してある。矢印は、GST(29kDa)と融合
タンパク質 (約52kDa)を示している。分子量マーカー(M
WM) が示す分子量を図の右側に記載した。(B) 組換えカ
テプシンL2 (丸で表示) とカテプシンO(四角で表示) を
20μM のZ-Phe-Arg-AMC と反応させ、20μM E-64 の存
在下 (中が空白の四角及び中が空白の丸で表示) および
非存在下 (中が塗りつぶされた四角及び中が塗りつぶさ
れた丸で表示) における時間ごとの基質の加水分解(30
℃) を示したものである。
【図6】ヒト組織、癌細胞株および結腸・直腸癌におけ
るカテプシンL2のmRNAをノーザンブロット解析した図で
ある。示した組織および細胞株から調製した 2μg poly
(A)+ RNA あるいは、結腸・直腸癌(T) および隣接する
正常組織(N) から調製した20μg のトータルRNA をヒト
カテプシンL2のcDNA 3'-末端の非翻訳領域に対応する27
0bp のプローブをハイブリダイゼーションし分析したも
のである。 RNAマーカーを示してある。フィルターは、
このプローブを洗浄した後に、ヒトカテプシンL(cathL)
プローブ、ヒトアクチンプローブの順に、ハイブリダイ
ゼーションを繰り返した。
【図7】乳癌、乳癌細胞株およびその他の癌におけるカ
テプシンL2の発現をRT-PCRで解析した。RT-PCRは、検体
より調製した4 μg のトータルRNA を用いて行った。カ
テプシンL2 cDNA (Cat L2)の一部に相当する184 bpの断
片は100 μL の反応液中で増幅し、うち20μL を2.5%ア
ガロースゲルで電気泳動し分析した。すべての検体につ
いてRT-PCRの陽性対照としてアクチンの増幅を同時に行
った。pBR322のHaeIII消化物を分子量マーカーとして使
用した(M) 。レーン1,2 には正常乳腺、レーン3-8 には
乳癌、レーン9-12には乳癌細胞株T-47D 、ZR-75-1 、Hs
-578T およびMDA-MB-435、レーン13-17 には、腎臓、膀
胱、前立腺、胃および卵巣癌の検体を泳動した。N は陰
性対照である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/68 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 33/53 D 33/53 C12N 5/00 B //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/50 C12R 1:19) (72)発明者 マイテ・カゾーラ スペイン国 バルセロナ サン アンドレ ス ラバルデ コルベラ エヌ0 5 (72)発明者 アントニオ・フューゴ スペイン国 33013 オビエード ストリ ート アレハンドロ カソーナ 32 5− D (72)発明者 エリアス・カンポ スペイン国 バルセロナ アブダ ローマ エヌ0 1 (72)発明者 カルロス・ロペス−オーティン スペイン国 33400 アストリアス サリ ナス パブロ ラロックス イズダ 10− 60

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト由来のカテプシンL2タンパク質若し
    くは該カテプシンL2タンパク質のアミノ酸配列と少なく
    とも80%の相同性を有し且つシステインプロテアーゼ活
    性あるいは同等の抗原性を有するものであることを特徴
    とする新規のヒト由来のカテプシンタンパク質またはそ
    の塩。
  2. 【請求項2】 配列表の配列番号:1で表されるアミノ
    酸配列のうち、第114 位〜第334 位のアミノ酸配列を有
    するもの、同第18位〜第334 位のアミノ酸配列を有する
    もの、同第1位〜第334 位のアミノ酸配列を有するも
    の、及びそれらのいずれか一つと実質的に同等のアミノ
    酸配列を有するものからなる群から選ばれたタンパク質
    であることを特徴とするタンパク質またはその塩。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のタンパク質の部
    分ペプチドまたはその塩。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載のタンパク質をコ
    ードする塩基配列を有することを特徴とする核酸。
  5. 【請求項5】 配列表の配列番号:2で表される塩基配
    列のうち、オープンリーディングフレーム部分またはそ
    れと実質的に同等な塩基配列を有することを特徴とする
    請求項4記載の核酸。
  6. 【請求項6】 請求項4または5記載の核酸を含有する
    ことを特徴とするベクター。
  7. 【請求項7】 請求項4又は5記載の核酸あるいは請求
    項6記載のベクターを含有することを特徴とする形質転
    換体。
  8. 【請求項8】 宿主細胞が大腸菌、酵母、CHO 細胞およ
    びCOS 細胞からなる群から選ばれたものであることを特
    徴とする請求項7記載の形質転換体。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の形質転換体によって発現
    させて得たものであることを特徴とする請求項1または
    2記載のタンパク質。
  10. 【請求項10】 配列表の配列番号:2 で表される塩基
    配列の全部又はその一部を含むことを特徴とするヒト由
    来のカテプシンL2遺伝子に対するハイブリダイゼーショ
    ンプローブ。
  11. 【請求項11】 配列表の配列番号:2で表される塩基
    配列の非翻訳領域を含むことを特徴とする請求項10記載
    のプローブ。
  12. 【請求項12】 請求項1〜3のいずれか一記載のタン
    パク質、その一部のペプチドまたはそれらの塩;あるい
    は請求項4または5記載の核酸を含有していることを特
    徴とする医薬。
  13. 【請求項13】 請求項1〜3のいずれか一記載のタン
    パク質、その一部のペプチドまたはそれらの塩の生物学
    的活性を促進または阻害する化合物またはその塩を含有
    していることを特徴とする医薬。
  14. 【請求項14】 請求項1〜3のいずれか一記載のタン
    パク質、その一部のペプチドまたはそれらの塩の生物学
    的活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方
    法およびスクリーニングキット。
JP11156945A 1998-06-05 1999-06-03 新規なヒトカテプシンl2タンパク質及びそれをコ―ドする遺伝子並びにそれらの利用 Pending JP2000050886A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11156945A JP2000050886A (ja) 1998-06-05 1999-06-03 新規なヒトカテプシンl2タンパク質及びそれをコ―ドする遺伝子並びにそれらの利用

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17214798 1998-06-05
JP10-172147 1998-06-05
JP11156945A JP2000050886A (ja) 1998-06-05 1999-06-03 新規なヒトカテプシンl2タンパク質及びそれをコ―ドする遺伝子並びにそれらの利用

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000050886A true JP2000050886A (ja) 2000-02-22

Family

ID=26484555

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11156945A Pending JP2000050886A (ja) 1998-06-05 1999-06-03 新規なヒトカテプシンl2タンパク質及びそれをコ―ドする遺伝子並びにそれらの利用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000050886A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001064734A1 (fr) * 2000-02-29 2001-09-07 Fudan University Nouveau polypeptide, cathepsine humaine 18, et polynucleotide codant pour ce polypeptide
JP2018532748A (ja) * 2015-10-30 2018-11-08 ウルトラジェニクス ファーマシューティカル インク.Ultragenyx Pharmaceutical Inc. アミロイドーシス治療のための方法及び組成物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001064734A1 (fr) * 2000-02-29 2001-09-07 Fudan University Nouveau polypeptide, cathepsine humaine 18, et polynucleotide codant pour ce polypeptide
JP2018532748A (ja) * 2015-10-30 2018-11-08 ウルトラジェニクス ファーマシューティカル インク.Ultragenyx Pharmaceutical Inc. アミロイドーシス治療のための方法及び組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003502046A (ja) 新規ヒト環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ
WO2003037362A2 (en) Mnk kinase homologous proteins involved in the regulation of energy homeostasis and organelle metabolism
US20090004672A1 (en) 17867, a novel human aminopeptidase
JP2003533174A (ja) 新規なポリペプチドおよびこのポリペプチドをコードする核酸
JP2000517179A (ja) Don―1遺伝子およびポリペプチド、ならびにそれらの使用
JP2003313199A (ja) コラーゲン誘発血小板凝集抑制剤
US20030003477A1 (en) 26176, a novel calpain protease and uses thereof
JP2000050886A (ja) 新規なヒトカテプシンl2タンパク質及びそれをコ―ドする遺伝子並びにそれらの利用
JP2003517821A (ja) 2786、ヒトアミノペプチダーゼ
US20020076784A1 (en) 40322, a novel human dynamin
JP2000050885A (ja) カテプシンに対する抗体およびそれらの利用
JP2005504830A (ja) Hkid−1関連タンパク質ファミリーの新規な分子およびその使用
US6451994B1 (en) 23413, a novel human ubiquitin protease
JP2000270874A (ja) 新規な膜結合型メタロプロテアーゼ
US20020031801A1 (en) 18806, a novel trypsin serine protease-like molecule and uses thereof
US6369210B1 (en) 22012, human carboxypeptidase
US6420153B1 (en) 18232, a novel dual specificity phosphatase and uses therefor
US20020081698A1 (en) 32621, novel human phospholipid scramblase-like molecules and uses thereof
JP2002535962A (ja) Cark核酸分子およびその使用
CA2616940C (en) Novel serine protease bssp2
EP1398372A1 (en) Lipid phosphate phosphatases and uses thereof for treating neuronal diseases
WO2003062410A2 (en) Torero protein
JP2003511076A (ja) 大動脈カルボキシペプチダーゼ様タンパク質およびそれをコードする核酸
US20010036649A1 (en) 26934, a novel cytidine deaminase-like molecule and uses thereof
US20030036074A1 (en) Novel nucleic acid sequences encoding human transporters, a human atpase molecule, a human ubiquitin hydrolase-like molecule, a human ubiquitin conjugating enzyme-like molecule, and uses therefor