JP2002535962A - Cark核酸分子およびその使用 - Google Patents

Cark核酸分子およびその使用

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JP2002535962A JP2000586772A JP2000586772A JP2002535962A JP 2002535962 A JP2002535962 A JP 2002535962A JP 2000586772 A JP2000586772 A JP 2000586772A JP 2000586772 A JP2000586772 A JP 2000586772A JP 2002535962 A JP2002535962 A JP 2002535962A
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protein
polypeptide
acid molecule
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ジェヤセーラン・ラジュ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、CARK核酸分子と称される単離した核酸分子を提供する。本発明は、アンチセンス核酸分子、CARK核酸分子を含有する組換え発現ベクター、該発現ベクターが導入されている宿主細胞、CARK遺伝子が導入されているか、または分裂されている非ヒトトランスジェニック動物も提供する。なおさらに、本発明は、単離したCARKタンパク質、融合タンパク質、抗原性ペプチドおよび抗CARK抗体を提供する。本発明の組成物を使用する診断方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 タンパク質に密に関連するリン酸エステルは、19世紀の終わりから知られて
いる。それ以来、タンパク質へのリン酸エステルの様々な共有結合が見出されて
いる。最も一般的なものは、セリン、トレオニン、およびチロシンへのリン酸エ
ステルのエステル化を含み、より少量がリジン、アルギニン、ヒスチジン、アス
パラギン酸、グルタミン酸およびシステインに結合する。リン酸化タンパク質の
産生は、タンパク質上のアミノ酸残基をリン酸化できる1または複数のタンパク
質キナーゼの存在、およびタンパク質上のリン酸化アミノ酸残基を加水分解でき
るタンパク質ホスファターゼの存在も暗示する。
【0002】 タンパク質キナーゼは、細胞の成長および分裂に関連する生化学的および形態
学的変化の調節に重要な役割を演じる[D'Urso, G. et al. (1990) Science 250
: 786-791; Birchmeier, C. et al. (1993) Bioessays 15: 185-189]。それら
は成長因子受容体および信号伝達物質として機能し、細胞の腫瘍化において暗示
されている[Hunter, T. et al. (1992) Cell 70:375-387; Posada, J. et al.
(1992) Mol. Biol. Cell 3:583-592; Hunter, T. et al. (1994) Cell 79:573-5
82]。例えば、タンパク質キナーゼは、成長因子受容体からの信号の伝達[Stur
gill, T.W. et al. (1988) Nature 344: 715-718; Gomez, N. et al. (1991) Na
ture 353:170-173]、有糸分裂への細胞の進入の制御[Nurse, P. (1990) Natur
e 344: 503-508; Maller, J.L. (1991) Curr. Opin. Cell Biol. 3:269-275]お
よびアクチン束形成の調節[Husain-Chishti, A. et al. (1988) Nature 334:71
8-721]に関与することが示されている。タンパク質キナーゼは、アミノ酸配列
類似性かまたはセリン/トレオニンもしくはチロシン残基のいずれかに対する特
異性かのいずれかに基づき、2つの主要な群に分類し得る。少数の二重特異的キ
ナーゼが構造的にセリン/トレオニン特異性群と同種である。広範囲の分類内で
、キナーゼは、ファミリーにさらにサブ分類し得、そのファミリーはそのメンバ
ーがより高い程度の触媒性ドメインアミノ酸配列同一性を共有し、同様の生化学
的特性も有する。ほとんどのタンパク質キナーゼファミリーメンバーもそれらの
特定の細胞機能を反映するキナーゼドメイン外部に構造的特徴を共有する。これ
らは、キナーゼ活性または他のタンパク質との相互作用を制御する調節ドメイン
を含む[Hanks, S.K. et al. (1988) Science 241:42-52]。例えば、アンキリ
ン繰返しドメインを含有するキナーゼは、インテグリン結合キナーゼ(Integrin
-linked kinase; ILK)のごとく、同定されている。
【0003】 ILKは、インテグリンβおよびβヘテロ二量体膜貫通糖タンパク質サブ
ユニット細胞質ドメインと相互作用するアンキリン繰返し含有セリン−トレオニ
ンタンパク質キナーゼである。インテグリンは、細胞表面および、細胞骨格およ
び触媒性シグナリングタンパク質のごとき細胞質分子に伝達する[Hannigan, G.
E. et al. (1981) Nature 379: 91-96, Schwartz M.A. et al. (1995) Annu. Re
v. Cell Dev. Biol. 11: 549-599]。ILKの過剰発現は、G1からS期への細
胞周期進行の接着依存性調節を破棄することによって、サイクリンA、サイクリ
ンDおよびCdk4タンパク質の発現を増進させる。この活性は、ILKがイ
ンテグリン媒介細胞周期進行の重要なレギュレータであるかもしれないことを示
している[Radeva G. et al. (1997) J. Biol. Chem. 272: 13937-13944]。I
LKの過剰発現は上皮細胞中のフィブロネクチン・マトリクス構築も刺激する[
Wu C. et al. (1998) J. Biol. Chem. 273: 528-536]。
【0004】発明の概要 本発明は、少なくとも一部は、本明細書において「心臓関連アンキリン繰返し
タンパク質キナーゼ」(Cardiac-related Ankylin-Repeat Protein Kinase; CAR
K)核酸およびタンパク質分子と呼ぶ新規アンキリン繰返し含有キナーゼの発見
に基づく。本発明のCARK分子は、様々な細胞プロセス、例えば、心臓細胞プ
ロセスを調節するためのモジュレーティング剤として有用である。従って、一つ
の局面において、本発明は、CARKタンパク質またはその生物学的に活性な部
分をコードする単離した核酸分子、ならびにCARKコーディング核酸の検出用
のプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして適当な核酸断片を提
供する。
【0005】 一つの具体例において、本発明のCARK核酸分子は、少なくとも50%、5
5%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、9
8%またはそれを超えて、配列番号:1もしくは3に示されたヌクレオチド配列
(例えば、該ヌクレオチド配列の完全長)または受託番号 としてATC
Cに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列、またはその相補
体に同一である。
【0006】 一つの具体例において、本発明のCARK核酸分子は、少なくとも50%、5
5%、60%、65%、70%、75%、80%、82%、85%、90%、9
5%、98%またはそれを超えて、配列番号:7もしくは9に示されたヌクレオ
チド配列(例えば、該ヌクレオチド配列の完全長)または受託番号 とし
てATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列、または
その相補体に同一である。
【0007】 好ましい具体例において、該単離した核酸分子は配列番号:1もしくは3に示
されたヌクレオチド配列またはその相補体を含む。もう一つの具体例において、
該核酸分子は配列番号:3および配列番号:1のヌクレオチド1〜47を含む。
もう一つの具体例において、該核酸分子は配列番号:3および配列番号:1のヌ
クレオチド2553〜3025を含む。もう一つの好ましい具体例において、該
核酸分子は配列番号:1または3に示されたヌクレオチド配列からなる。もう一
つの好ましい具体例において、該核酸分子は配列番号:1もしくは3のヌクレオ
チド配列またはその相補体の少なくとも467ヌクレオチド(例えば、467個
の連続したヌクレオチド)の断片を含む。
【0008】 好ましい具体例において、該単離した核酸分子は配列番号:7もしくは9に示
されたヌクレオチド配列、またはその相補体を含む。もう一つの具体例において
、該核酸分子は配列番号:9および配列番号:7のヌクレオチド1〜60を含む
。もう一つの具体例において、該核酸分子は配列番号:9および配列番号:7の
ヌクレオチド2566〜3026を含む。もう一つの好ましい具体例において、
該核酸分子は配列番号:7または9に示されたヌクレオチド配列からなる。もう
一つの好ましい具体例において、該核酸分子は配列番号:7もしくは9のヌクレ
オチド配列またはその相補体の少なくとも2962ヌクレオチド(例えば、29
67個の連続したヌクレオチド)の断片を含む。
【0009】 もう一つの具体例において、CARK核酸分子は、配列番号:2または8のア
ミノ酸配列に充分に相同であるアミノ酸配列、または受託番号 としてA
TCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体によってコードされたアミノ酸配
列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。好ましい具体例に
おいて、CARK核酸分子は、少なくとも50%、55%、60%、65%、7
0%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれを超えて、
配列番号:2のアミノ酸配列、または受託番号 としてATCCに寄託さ
れたプラスミドのDNA挿入体によってコードされたアミノ酸配列の完全長に相
同であるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む
。もう一つの好ましい具体例において、CARK核酸分子は、少なくとも50%
、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%
、95%、98%またはそれを超えて、配列番号:8のアミノ酸配列、または受
託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体によって
コードされたアミノ酸配列の完全長に相同であるアミノ酸配列を有するタンパク
質をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0010】 もう一つの好ましい具体例において、単離した核酸分子はヒトCARKのアミ
ノ酸配列をコードする。なおもう一つの好ましい具体例において、該核酸分子は
配列番号:2のアミノ酸配列または受託番号 としてATCCに寄託され
たプラスミドのDNA挿入体によってコードされたアミノ酸配列を有するタンパ
ク質をコードするヌクレオチド配列を含む。なおもう一つの好ましい具体例にお
いて、該核酸分子は長さにおいて少なくとも467ヌクレオチドである。さらな
る好ましい具体例において、該核酸分子は長さにおいて少なくとも467ヌクレ
オチドであり、(本明細書に記載された)CARK活性を有するタンパク質をコ
ードする。
【0011】 もう一つの好ましい具体例において、単離した核酸分子はラットCARKのア
ミノ酸配列をコードする。なおもう一つの好ましい具体例において、該核酸分子
は配列番号:8のアミノ酸配列または受託番号 としてATCCに寄託さ
れたプラスミドのDNA挿入体によってコードされたアミノ酸配列を有するタン
パク質をコードするヌクレオチド配列を含む。なおもう一つの好ましい具体例に
おいて、該核酸分子は長さにおいて少なくとも2962ヌクレオチドである。さ
らなる好ましい具体例において、該核酸分子は長さにおいて少なくとも2962
ヌクレオチドであり、(本明細書に記載された)CARK活性を有するタンパク
質をコードする。
【0012】 本発明のもう一つの具体例は、核酸分子、好ましくはCARK核酸分子を特徴
とし、それは非CARKタンパク質をコードする核酸分子と比較して、特異的に
CARK核酸分子を検出する。例えば、一つの具体例において、そのような核酸
分子は、長さにおいて、少なくとも250〜300、300〜350、350〜
400、400〜450、467、467〜500、500〜550または55
0〜600、600〜800、800〜1000、1000〜1200、120
0〜1400、1400〜1600、1600〜1800、1800〜2000
、2000〜2400、2400〜2800、2800〜2900、2962、
またはそれを超えるヌクレオチドであり、ストリンジェント条件下で、配列番号
:1、3、7もしくは9に示されたヌクレオチド配列、または受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列、ま
たはその相補体を含む核酸分子にハイブリダイズする。
【0013】 好ましい具体例において、該核酸分子は長さにおいて少なくとも15個の(例
えば、連続した)ヌクレオチドであり、ストリンジェント条件下で、配列番号:
1のヌクレオチド1〜47、94〜294、318〜338、1145〜136
4、1833〜1921、2051〜2267、2290〜2543、または3
018〜3025にハイブリダイズする。他の好ましい具体例において、該核酸
分子は配列番号:1のヌクレオチド1〜47、94〜294、318〜338、
1145〜1364、1833〜1921、2051〜2267、2290〜2
543、または3018〜3025よりなる。
【0014】 他の好ましい具体例において、該核酸分子は配列番号:2または8のアミノ酸
配列、または受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA
挿入体によりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然に産出する対
立遺伝子変異体をコードし、ここに、該核酸分子は、ストリンジェント条件下で
、それぞれ、配列番号:1もしくは3、または配列番号:7もしくは9を含む核
酸分子にハイブリダイズする。
【0015】 本発明のもう一つの具体例は、CARK核酸分子に対してアンチセンスである
単離した核酸分子、例えば、CARK核酸分子のコーディング鎖を提供する。
【0016】 本発明のもう一つの局面は、CARK核酸分子を含むベクターを提供する。あ
る具体例において、該ベクターは組換え発現ベクターである。もう一つの具体例
において、本発明は本発明のベクターを含有する宿主細胞を提供する。本発明は
、組換え発現ベクターを含有する本発明の宿主細胞、例えば、非ヒト哺乳類細胞
のごとき哺乳類宿主細胞を適当な培地中で培養して該タンパク質が産生されるよ
うにすることによって、タンパク質、好ましくはCARKタンパク質を産生する
方法も提供する
【0017】 本発明のもう一つの局面は、単離したまたは組換えCARKタンパク質および
ポリペプチドを特徴とする。一つの具体例において、該単離したタンパク質、好
ましくはCARKタンパク質は、少なくとも1のアンキリン繰返しドメインを含
み、好ましくは2、3、4、5、6、7、8またはそれを超えて、好ましくは9
以上のアンキリン繰返しドメインを含む。もう一つの具体例において、該単離し
たタンパク質、好ましくはCARKタンパク質は、少なくとも1のアンキリン繰
返しドメインを含み、好ましくは2、3、4、5、6、7,8またはそれを超え
、最も好ましくは9以上のアンキリン繰返しドメインを含み、少なくとも約50
%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92
%、95%、98%またはそれを超えて、配列番号:2または8のアミノ酸配列
または、受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入
体によってコードされたアミノ酸配列に相同であるアミノ酸配列を有する。さら
にもう一つの好ましい具体例において、該タンパク質、好ましくはCARKタン
パク質は、少なくとも1のアンキリン繰返しドメインを含み、好ましくは2、3
、4、5、6、7、8またはそれを超えて、好ましくは9以上のアンキリン繰返
しドメイン、少なくとも1のタンパク質キナーゼドメインを含み、少なくとも約
50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、
92%、95%、98%またはそれを超えて、配列番号:2または8のアミノ酸
配列または、受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA
挿入体によってコードされたアミノ酸配列に相同であるアミノ酸配列を有する。
【0018】 もう一つの好ましい具体例において、該タンパク質、好ましくはCARKタン
パク質は、少なくとも1のアンキリン繰返しドメインを含み、好ましくは2、3
、4、5、6、7、8またはそれを超えて、好ましくは9以上のアンキリン繰返
しドメインを含み、本明細書に記載されたCARK活性を有する。さらなるもう
一つの好ましい具体例において、該タンパク質、好ましくはCARKタンパク質
は、少なくとも1のアンキリン繰返しドメインを含み、好ましくは2、3、4、
5、6、7、8またはそれを超えて、好ましくは9以上のアンキリン繰返しドメ
イン、少なくとも1のタンパク質キナーゼドメインを含み、本明細書に記載され
たCARK活性を有する。
【0019】 さらにもう一つの好ましい具体例において、該タンパク質、好ましくはCAR
Kタンパク質は、少なくとも1のアンキリン繰返しドメインを含み、好ましくは
2、3,4、5、6、7、8、または最も好ましくは9以上のアンキリン繰返し
ドメインを含み、ストリンジェント・ハイブリダイゼーション条件下で、配列番
号:1、3、7または9のヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイズす
るヌクレオチド配列を有する核酸分子によりコードされる。さらなる具体例にお
いて、該タンパク質、好ましくはCARKタンパク質は、少なくとも1のタンパ
ク質キナーゼドメインを含み、ストリンジェント・ハイブリダイゼーション条件
下で、配列番号:1、3、7または9のヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイ
ブリダイズするヌクレオチド配列を有する核酸分子によりコードされる。もう一
つの好ましい具体例において、該タンパク質、好ましくはCARKタンパク質は
、少なくとも1のアンキリン繰返しドメインを含み、好ましくは2、3、4、5
、6、7、8、または最も好ましくは9以上のアンキリン繰返しドメイン、少な
くとも1のタンパク質キナーゼドメインを含み、ストリンジェント・ハイブリダ
イゼーション条件下で、配列番号:1、3、7または9のヌクレオチド配列を含
む核酸分子にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する核酸分子によりコー
ドされる。
【0020】 もう一つの具体例において、本発明は、配列番号:2または8のアミノ酸配列
を有するタンパク質の断片を特徴とし、ここに、該断片は配列番号:2または8
のアミノ酸配列または受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミド
のDNA挿入体によりコードされたアミノ酸配列の少なくとも15個のアミノ酸
(例えば連続したアミノ酸)を含む。もう一つの具体例において、該タンパク質
、好ましくはCARKタンパク質は、配列番号:2または8のアミノ酸配列を有
する。
【0021】 もう一つの具体例において、本発明は、単離したタンパク質、好ましくはCA
RKタンパク質を特徴とし、それは、少なくとも約50%、55%、60%、6
5%、70%、75%、80%、82%、85%、90%、95%、98%また
はそれを超えて、配列番号:1、3、7、もしくは9のヌクレオチド配列または
その相補体に相同であるヌクレオチド配列からなる核酸分子によりコードされる
。さらに、本発明は、単離したタンパク質、好ましくはCARKタンパク質を特
徴とし、それは、ストリンジェント条件下で、配列番号:1、3、7、もしくは
9またはその相補体を含む核酸分子にハイブリダイズするヌクレオチド配列によ
りコードされる。
【0022】 本発明のタンパク質またはそれらの部分、例えば、生物学的に活性なそれらの
部分は、非CARKポリペプチド(例えば、非相同アミノ酸配列)に作動可能に
連結して、融合タンパク質を形成し得る。さらに、本発明は、モノクローナルま
たはポリクローナル抗体のごとき、本発明のタンパク質、好ましくはCARKタ
ンパク質に特異的に結合する抗体を特徴とする。さらに、該CARKタンパク質
または生物学的に活性なそれらの部分は、所望により医薬上許容される担体を含
む医薬組成物に配合し得る。
【0023】 もう一つの局面において、本発明は、生体試料中でCARK核酸分子、タンパ
ク質またはポリペプチドの存在が検出されるようにCARK核酸分子、タンパク
質またはポリペプチドの存在を検出できる試薬に該生体試料を接触させることに
よって、該生体試料中のCARK核酸分子、タンパク質またはポリペプチドの存
在を検出する方法を提供する。
【0024】 もう一つの局面において、本発明は、生体試料中でCARK活性の存在が検出
されるようにCARK活性のインジケータを検出できる試薬に該生体試料を接触
させることによって、該生体試料中のCARK活性の存在を検出する方法を提供
する。
【0025】 もう一つの局面において、本発明は、細胞中のCARK活性が調整されるよう
にCARK活性を調整する試薬にCARKを発現できる細胞を接触させることを
特徴とするCARK活性を調整する方法を提供する。一つの具体例において、該
試薬はCARKタンパク質に特異的に結合する抗体である。もう一つの具体例に
おいて、該試薬は、CARK遺伝子の転写またはCARK mRNAの翻訳を調
整することによってCARKの発現を調整する。さらにもう一つの具体例におい
て、該試薬は、CARK mRNAまたはCARK遺伝子のコーディング鎖に対
してアンチセンスなヌクレオチド配列を有する核酸分子である。
【0026】 一つの具体例において、本発明の方法を用いて、異常もしくは望まないCAR
Kタンパク質または核酸分子の発現または活性により特徴付けられる疾患を有す
る対象を該対象に対するCARKモジュレータである試薬を投与することによっ
て治療する。一つの具体例において、該CARKモジュレータはCARKタンパ
ク質である。もう一つの具体例において、該CARKモジュレータはCARK核
酸分子である。さらにもう一つの具体例において、該CARKモジュレータはペ
プチド、ペプチドミメティクスまたは他の小分子である。好ましい具体例におい
て、異常もしくは望まないCARKタンパク質または核酸分子の発現または活性
により特徴付けられる疾患は心臓血管疾患である。
【0027】 本発明は、(i)CARKタンパク質をコードする遺伝子の異常修飾または突
然変異;(ii)該遺伝子の誤調節;および(iii)CARKタンパク質の異
常な翻訳後修飾のうち少なくとも一つによって特徴付けられる遺伝子的変化の存
在もしくは非存在を認識する診断アッセイも提供し、ここに、該遺伝子の野生型
形態はCARK活性を持つタンパク質をコードする。
【0028】 もう一つの局面において、本発明は、CARKタンパク質に結合するか、ある
いは、CARKタンパク質の活性を調整する化合物を同定する方法を提供し、そ
れは、CARK活性を有するCARKタンパク質を含むインジケータ組成物を供
給し、該インジケータ組成物を試験化合物に接触させ、次いで、該インジケータ
組成物におけるCARK活性への該試験化合物の効果を決定して、CARKタン
パク質の活性を調整する化合物を同定することによる。
【0029】 本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から
明らかになるであろう。
【0030】発明の詳細な記載 本発明は、少なくとも一部は、本明細書において「心臓関連アンキリン繰返し
タンパク質キナーゼ」(Cardiac-related Ankylin-Repeat Protein Kinase; CAR
K)核酸およびタンパク質分子と呼ぶ新規分子の発見に基づき、それは、細胞の
成長または分化に関連するシグナリング経路において、役割を演じるか、または
機能する。一つの具体例において、該CARK分子は、細胞の成長または分化、
例えば、心臓細胞の成長または分化に関わる1以上のタンパク質の活性を調整す
る。もう一つの具体例において、本発明のCARK分子は、CARK分子または
細胞の成長または分化、例えば、心臓細胞の成長または分化に関わる1以上のタ
ンパク質のリン酸化状態を調整できる。
【0031】 好ましい具体例において、該CARK分子はタンパク質キナーゼ、例えば、セ
リン/トレオニンタンパク質キナーゼであって、それは心臓血管系の細胞内、例
えば、心臓の細胞、血管、および/または血液の細胞内で発現され、機能する。
【0032】 本明細書で用いるとき、「タンパク質キナーゼ」なる語は、それ自体のリン酸
化状態をまたはもう一つのタンパク質もしくはポリペプチドのリン酸化状態を調
整できるタンパク質またはポリペプチドを含む。(例えば、[Hanks S.K. at al
. (1995) FASEB J. 9: 576-596]に記載された)タンパク質キナーゼは、セリン
/トレオニン残基、チロシン残基、またはセリン/トレオニンおよびチロシン残
基の両方に特異性(すなわち、リン酸エステルに対する特異性)を持ち得る(例
えば、二重特異的キナーゼ)。タンパク質キナーゼの触媒性ドメイン中には多数
の保存された領域がある。これらの領域の一つは、該触媒性ドメインのN−末端
の先端に位置し、リジン残基近傍の残基のグリシン豊富ストレッチであり、それ
はATP結合に関わると確信される。該触媒性ドメインの中央部に位置するもう
一つの領域は、該酵素の触媒活性に対して重要な保存されたアスパラギン酸残基
を含有する[Knighton D.R. et al. Science 253: 407-414]。二つのシグネチ
ャーパターン(signature pattern)がこの領域について記載されている:一つ
はセリン/トレオニン・キナーゼに特異的であって、一つはチロシン・キナーゼ
に特異的である。本発明のタンパク質キナーゼポリペプチドは、好ましくは、以
下の共通配列の一つを含む: [LIV]-G-{P}-G-{P}-[FYWMGSTNH]-[SGA]-{PW}-[LIVCAT]-{PD}-X [GSTACLIVMFY]-X
(5,18)-[LIVMFYWCSTAR]-[AIVP]-[LIVMFAGCKR]-K (配列番号:4)[KはATPに結合する。
] [LIVMFYC]-X-[HY]-X-D-[LIVMFY]-K-X(2)-N-[LIVMFYCT](3) (配列番号:5)[Dは活性部位残基。] [LIVMFYC]-X-[HY]-X-D-[LIVMFY]-[RSTAC]-X(2)-N-[LIVMFYC](3) (配列番号:6)[Dは活性部位残基。] 本明細書に記載したシグネチャーパターンまたは共通パターンは以下の表記に従
って記載される:すべてのアミノ酸はそれらの汎用一文字表記に従って示され:
「X」はいずれのアミノ酸;X(n)はn個のアミノ酸を示す。例えば、X(2
)はいずれの2個のアミノ酸、例えば、X(1〜3)はいずれの1ないし3個の
アミノ酸;およびカッコ内のアミノ酸は該カッコ内のいずれのアミノ酸を示す。
例えば、[HY]はH(ヒスチジン)またはY(チロシン)のいずれか1を示す
【0033】 タンパク質キナーゼは細胞の成長および分化に関連するシグナリング経路にい
て役割を演じる。例えば、タンパク質キナーゼは、細胞受容体、例えば、成長因
子受容体からの信号伝達;有糸分裂への細胞の進入;および細胞骨格機能、例え
ば、アクチン束形成の調節に関わる。かくして、本発明のCARK分子は、(1
)細胞受容体、例えば、心臓細胞成長因子受容体からの信号伝達の調節;(2)
細胞、例えば、心臓前駆体細胞の有糸分裂への進入の調整;(3)細胞分化の調
整;(4)細胞死の調整;および(5)細胞骨格機能、例えば、アクチン束形成
の調節に関わるであろう。
【0034】 細胞成長に関連するシグナリング経路に関わるタンパク質キナーゼの活性の阻
または過剰刺激は、かく乱された細胞成長を引き起し、今度は、それは細胞成長
関連障害を引き起こし得る。本明細書で用いるとき、「細胞成長関連疾患」は、
脱調節、例えば、細胞成長のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーシ
ョンにより特徴付けられる障害、疾患、または状態を含む。細胞成長脱調節は、
細胞増殖、細胞周期進行、細胞分化および/または細胞肥大の脱調節によるもの
であろう。細胞成長関連障害の例は、心不全、先天性心疾患、心筋細胞肥大、高
血圧、心房細動、拡張性心筋症、特発性心筋症、または狭心症のごとき心臓血管
障害;および、癌、例えば、メラノーマ、前立腺癌、頚部癌、乳癌、大腸癌、白
血病、癌腫、または肉腫のごとき増殖障害および/または分化障害を含む
【0035】 本明細書で用いるとき、「心臓血管障害」なる語は、心臓血管系、例えば、心
臓、血管、および/または血液に関わる疾患、障害、または状態を含む。心臓血
管障害は、動脈圧の不均衡、心臓の機能不全、または例えば、血栓による血管の
閉塞により引起され得る。そのような障害の例は、先天性心臓欠損(例えば、房
室管欠損)、高血圧、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈痙縮、冠状動脈疾患、
弁疾患、虚血再潅流損傷、再発狭窄症、動脈炎症、血管壁再構築、心室再構築、
急速心室ペーシング、冠状微小塞栓、頻脈、徐脈、圧力過負荷、大動脈屈曲、冠
状動脈結紮、血管心臓疾患、QT延長症候群、先天性心不全、洞房結節機能不全
、心房粗動、心筋梗塞、冠状動脈痙縮、不整脈、および心筋症を含む。
【0036】 本明細書において用いるとき、「先天性心不全」なる語は、身体の酸素要求を
供給する心臓の減少した能力により特徴付けられる状態を含む。先天性心不全の
症状および徴候は、身体の様々な組織への減少した血流、例えば、心臓が大静脈
により戻された血液を排出できないとき、様々な器官における過剰血液の蓄積、
運動性呼吸困難、疲労、および/または周辺浮腫、例えば、左心房機能不全に起
因する末梢の浮腫を含む。先天性心不全は、急性または慢性であろう。通常、先
天性心不全の出現は心機能の一時的または永続的な損失を共有する様々な心性ま
たは全身性障害に対して二次的に発生する。そのような障害の例は、高血圧、冠
状動脈疾患、弁疾患、および心筋症、例えば、肥大性、拡張性、もしくは拘束性
心筋症を含む。先天性心不全は、例えば、[Cohn J.N. et al. (1998) American
Family Physician 57: 1901-04]に記載され、その内容は、出典明示して本明
細書の一部とみなす。
【0037】 CARK関連または関係する障害は、ヒト染色体1上の房室管欠損(AVCD
)遺伝子座に関係する障害、例えば、先天性心臓欠損を含む[Sheffield, VC et
al. (1997) Human Molecular Genetics 6: 117-121]。CARK関連または関
係する障害は、CARKが発現される組織、例えば、心臓および骨格筋の障害も
含む。
【0038】 本発明は、少なくとも一部は、本明細書においてCARKタンパク質および核
酸分子と呼ぶ新規分子の発見に基づき、それは、ある保存された構造および機能
特徴を有する分子のファミリーを含む。
【0039】 「ファミリー」なる語は、本発明のタンパク質および核酸分子をいうとき、共
通の構造ドメインまたはモチーフを有し、本明細書に規定したように充分なアミ
ノ酸もしくはヌクレオチド配列相同性を有する2以上のタンパク質または核酸分
子を意図する。そのようなファミリーメンバーは、天然または非天然に産出する
か、あるいは同一または異なる種のいずれかに由来し得る。例えば、ファミリー
はヒト起源の第1のタンパク質ならびにヒト起源の他の別個のタンパク質を含有
するか、あるいは、非ヒト起源の相同体を含有し得る。ファミリーのメンバーは
共通の機能的特徴も有するであろう。
【0040】 例えば、CARKタンパク質のファミリーは少なくとも1、好ましくは2、3
、4、5、6、7、8、または、最も好ましくは9以上のアンキリン繰返しドメ
インを含む。本明細書において用いるとき、「アンキリン繰返しドメイン」なる
語は、タンパク質:タンパク質相互作用に関わるタンパク質ドメインを含み、そ
れは約20〜40個のアミノ酸残基のアミノ酸配列を有し、該アンキリン繰返し
ドメイン(HMM)に対する配列の整列につき少なくとも1のビットスコア(bi
t score)を有する。好ましくは、アンキリン繰返しドメインは、少なくとも約
25〜40個、より好ましくは約25〜35個のアミノ酸残基または、最も好ま
しくは約30〜35個のアミノ酸残基を有し、該アンキリン繰返しドメイン(H
MM)に対する配列の整列につき少なくとも3、5、10、20、30、40、
50またはそれより大きなビットスコアを有する。該アンキリン繰返しドメイン
(HMM)はPFAMアクセスPF00023に割当てられている(http://gen
ome.wustl.edu/Pfam/.html)。アンキリン繰返しドメインは、例えば、[Otto E
. et al. (1991) J. Biol. Chem. 114: 241-253, Hatada E.N. et al. (1992) P
NAS USA 89:2489-2493, andBlank V.P. et al. (1992) Trends Genet. 8:144-14
9]に記載され、それらの内容は、出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0041】 CARKタンパク質中のアンキリン繰返しドメインの存在を同定するため、お
よび目的のタンパク質が特定のプロフィールを有しているという決定を下すため
、該タンパク質のアミノ酸配列をデフォルトパラメータを用いてHMMのデータ
ベース(例えば、Pfamデータベース.リリース2.1)に対して調査する(
http://www.sanger.ac.uk/Software/Pfam/HMM_search)。例えば、hmmsfプ
ログラムは、調査プログラムのHMMERパッケージの部分として入手可能であ
るが、MILPAT0063に関するファミリー特異的デフォルトプログラムで
あり、スコア15がヒットを決定するためのデフォルトしきい値である。あるい
は、ヒットを決定するためのしきい値スコアは(例えば、8ビットまで)下げ得
る。該Pfamデータベースの記載は[Sonhammer et al. (1997) Proteins 28(
3)405-420]に見ることができ、HMMの詳細な記載は、例えば、[Gribskov et
al. (1990) Meth. Enzymol. 183:146-159; Gribskov et al. (1987) Proc. Nat
l. ACad. Sci. USA 84:4355-4358; Krogh et al. (1994) J. Mol. Biol. 235:15
01-1531; and Stultz et al. (1993) Protein Sci. 2:305-314]に見ることがで
き、それらの内容は、出典明示して本明細書の一部とみなす。該調査は該HMM
データベースに対して行い、配列番号:2の残基66〜99、100〜132、
133〜165、168〜198、199〜233、234〜268、269〜
302、306〜338、および339〜371のあたりに、ヒトCARK(配
列番号:2)のアミノ酸配列中に9個のアンキリン繰返しドメインの同定をもた
らした。該調査の結果を図4に記載する。9個のアンキリン繰返しドメインは、
ラットCARK(配列番号:8)のアミノ酸配列中、配列番号:8の残基66〜
99、100〜132、133〜165、168〜198、199〜233、2
34〜264、269〜302、306〜338、および339〜371のあた
りでも同定された。該調査の結果を図6に記載する。
【0042】 さらなる好ましい具体例において、アンキリン繰返しドメインは、少なくとも
約25〜40個、より好ましくは約25〜35個のアミノ酸残基、または約30
〜35個のアミノ酸残基を含み、ヒトもしくはラットCARKのアンキリン繰返
しドメイン(例えば、配列番号:2の残基66〜99、100〜132、133
〜165、168〜198、199〜233、234〜268、269〜302
、306〜338、および339〜371;または配列番号:8の残基66〜9
9、100〜132、133〜165、168〜198、199〜233、23
4〜264、269〜302、306〜338、および339〜371)に少な
くとも50〜60%相同性、好ましくは約60〜70%相同性、より好ましくは
70〜80%相同性、または約80〜90%相同性を有する。
【0043】 もう一つの具体例において、本発明のCARKは、該タンパク質または対応す
る核酸分子中の「タンパク質キナーゼドメイン」の存在に基づき同定される。本
明細書において用いるとき、「タンパク質キナーゼドメイン」なる語は、約20
0〜400個のアミノ酸残基のアミノ酸配列を有し、該タンパク質キナーゼドメ
イン(HMM)に対する配列の整列につき少なくとも200のビットスコアを有
するタンパク質ドメインを含む。好ましくは、タンパク質キナーゼドメインは、
少なくとも約200〜300個、より好ましくは約250〜300個のアミノ酸
残基を有し、該タンパク質キナーゼドメイン(HMM)に対する配列の整列につ
き少なくとも210、2220,230、250、300またはそれより大きな
ビットスコアを有する。該タンパク質キナーゼドメイン(HMM)はPFAMア
クセスPF00069に割当てられている(http://genome.wustl.edu/Pfam/.ht
ml)。
【0044】 CARKタンパク質中のアンキリン繰返しドメインの存在を同定するため、お
よび目的のタンパク質が特定のプロフィールを有しているという決定を下すため
、該タンパク質のアミノ酸配列を上記のごとく調査する(http://www.sanger.ac
.uk/Software/Pfam/HMM_search)。該調査は該HMMデータベースに対して行い
、配列番号:2の残基463〜716のあたりに、ヒトCARK(配列番号:2
)のアミノ酸配列中にアンキリン繰返しドメインの同定をもたらした。該調査の
結果を図4に記載する。アンキリン繰返しドメインは、ラットCARK(配列番
号:8)のアミノ酸配列中、配列番号:8の残基463〜716のあたりでも同
定された。該調査の結果を図6に記載する。
【0045】 もう一つの好ましい具体例において、タンパク質キナーゼドメインは、少なく
とも約200〜400個、より好ましくは約200〜300個のアミノ酸残基、
または約250〜300個のアミノ酸を含み、ヒトもしくはラットCARKのタ
ンパク質キナーゼドメイン(例えば、配列番号:2または8の残基463〜71
6)に少なくとも50〜60%相同性、好ましくは約60〜70%相同性、より
好ましくは約70〜80%相同性、または約80〜90%相同性を有する。
【0046】 従って、ヒトまたはラットCARKのアンキリン繰返しドメインまたはタンパ
ク質キナーゼドメインに少なくとも50〜60%相同性、好ましくは約60〜7
0%相同性、より好ましくは約70〜80%相同性、または約80〜90%相同
性を有するCARKタンパク質は本発明の範疇にある。
【0047】 本発明の単離したタンパク質、好ましくはCARKタンパク質は、配列番号:
2または8のアミノ酸配列に充分に相同であるアミノ酸配列を有するか、あるい
は、配列番号:1、3、7または9に充分に相同であるヌクレオチド配列により
コードされる。本明細書において用いるとき、「充分に相同である」なる語は、
第1のアミノ酸もしくはヌクレオチド配列が、第2のアミノ酸もしくはヌクレオ
チド配列に対して、充分または最小限数の同一または同等な(例えば、同様の側
鎖を有するアミノ酸残基)アミノ酸残基もしくはヌクレオチドを含有し、該第1
および第2のアミノ酸もしくはヌクレオチド配列が共通の構造ドメインまたはモ
チーフおよび/または共通の機能活性を共有するようにすることをいう。例えば
、共通の構造ドメインを共有し、該ドメインのアミノ酸配列を横断して少なくと
も30%、40%、または50%相同性、好ましくは60%相同性、より好まし
くは70〜80%相同性、および一層より好ましくは90〜95%相同性を有し
、少なくとも1および、好ましくは2つの構造ドメインまたはモチーフを有する
アミノ酸もしくはヌクレオチド配列は、本明細書におてい充分に相同であると定
義される。さらに、少なくとも30%、40%、50%、好ましくは60%、よ
り好ましくは70〜80%、または90〜95%相同性を共有し、共通の機能ド
メインを共有するアミノ酸もしくはヌクレオチド配列は、本明細書において充分
に相同であると定義される。
【0048】 本明細書において交換可能に用いるとき、「CARK活性」、「CARKの生
物学的活性」または「CARKの機能活性」は、CARKタンパク質、ポリペプ
チドまたは核酸分子によりCARK応答性細胞またはCARKタンパク質基質に
対して及ぼされ、標準技術によりin vivo、または in vitroで決定された活性を
いう。一つの具体例において、CARK活性はCARK標的分子との会合のごと
く直接活性である。本明細書において用いるとき、「標的分子」または「結合パ
ートナー」は、CARK媒介機能が達成されるように、現実的にCARKタンパ
ク質が結合するか、または相互作用する分子である。CARK標的分子は、非C
ARK分子または本発明のCARKタンパク質もしくはポリペプチドであり得る
。典型的な具体例において、CARK標的分子はCARKリガンドである。ある
いは、CARK活性は、該CARKタンパク質とCARKリガンドとの相互作用
により媒介される細胞シグナリング活性のごとき、間接活性である。CARKの
生物学的活性は本明細書に記載する。
【0049】 従って、本発明のもう一つの具体例は、CARK活性を有する単離したCAR
Kタンパク質またはポリペプチドを特徴とする。好ましいタンパク質は、少なく
とも1のアンキリン繰返しドメイン、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、
または最も好ましくは9以上のアンキリン繰返しドメインおよび、好ましくはC
ARK活性を有するCARKタンパク質である。他の好ましいタンパク質はタン
パク質キナーゼドメインおよび好ましくはCARAK活性を有するCARKタン
パク質である。さらに他の好ましいタンパク質は、少なくとも1のアンキリン繰
返しドメイン、好ましくは2、3、4、5、6、7、8または、最も好ましくは
9以上のアンキリン繰返しドメイン、タンパク質キナーゼドメイン、およびCA
RK活性を有する。さらなる好ましいタンパク質は、少なくとも1のアンキリン
繰返しドメイン、好ましくは2、3、4、5、6、7、8または最も好ましくは
9以上のアンキリン繰返しドメイン、タンパク質キナーゼドメインを有し、好ま
しくは、ストリンジェント条件下で、配列番号:1、3、7または9のヌクレオ
チド配列を含む核酸分子にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する核酸分
子によりコードされる。
【0050】 該単離したヒトCARK cDNAのヌクレオチド配列および該ヒトCARK
ポリペプチドの予測アミノ酸配列を図1および、それぞれ、配列番号:1および
2に示す。ヒトCARKをコードするヌクレオチド配列を含有するプラスミドは
につき、American Type Culture Collection (ATCC)、10801 U
niversity Boulevard, Manassas, VA 20110-2209に寄託され、受託番号 が割当てられた。この寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関する
ブダペスト条約の条件の下で維持される。この寄託は単に当業者の利便のために
なされ、寄託は35米国法典第112条により要求されたことの承認でない。
【0051】 該ヒトCARAK遺伝子は、長さにおいて約3025ヌクレオチドであり、約
96kDの分子量を有するタンパク質をコードし、それは長さにおいて約835
アミノ酸残基である。
【0052】 該単離したラットCARK cDNAのヌクレオチド配列および該ヒトCAR
Kポリペプチドの予測アミノ酸配列を図5および、それぞれ、配列番号:7およ
び8に示す。ラットCARKをコードするヌクレオチド配列を含有するプラスミ
ドは、 につき、American Type Culture Collection (ATCC)、108
01 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209に寄託され、受託番号 が割当てられた。この寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関
するブダペスト条約の条件の下で維持される。この寄託は単に当業者の利便のた
めになされ、寄託は35米国法典第112条により要求されたことの承認でない
【0053】 該ラットCARAK遺伝子は、長さにおいて約3026ヌクレオチドであり
、約96kDの分子量を有するタンパク質をコードし、それは長さにおいて約8
35アミノ酸残基である。
【0054】 本発明の様々な局面を以下のサブセクションにさらに詳細に記載する:
【0055】I.単離した核酸分子 本発明の一つの局面は、CARKタンパク質または生物学的に活性なそれらの
部分をコードする単離した核酸分子、ならびにCARKコーディング核酸分子(
例えば、CARK cDNA)を同定するハイブリダイゼーションプローブとし
て使用するのに充分な核酸断片およびCARK核酸分子の増幅または突然変異に
ついてのPCRプライマーとして使用する断片に関する。本明細書において用い
るとき、「核酸分子」なる語は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムD
NA)およびRNA分子(例えば、mRNA)およびヌクレオチドアナログを用
いて産生した該DNAおよびRNAのアナログを含む。該核酸分子は一本鎖また
は二本鎖であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0056】 「単離した核酸分子」なる語は、該核酸の天然起源に存在する他の核酸分子か
ら分離された核酸分子を含む。例えば、ゲノムDNAに関し、「単離した」なる
語は、該ゲノムDNAが天然に会合する染色体から分離された核酸分子を含む。
好ましくは、「単離した」核酸は、該核酸が由来する生物体のゲノムDNA中の
核酸(すなわち、該核酸の5’および3’末端に位置する配列)に元来隣接する
配列を持たない。例えば、様々な具体例において、該単離したCARK核酸分子
は、該核酸が由来する細胞のゲノムDNA中の核酸に元来隣接するヌクレオチド
の約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未
満を含有し得る。さらに、cDNA分子のごとき「単離した」核酸は、組換え技
術により産生されたとき、他の細胞物質または培養培地を実質的に持たず、ある
いは、化学合成によるとき、実質的に化学品前駆体またはたの化学品を持たない
【0057】 本発明の核酸分子、例えば、配列番号:1、3、7もしくは9のヌクレオチド
配列、または受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA
挿入体のヌクレオチド配列、またはその部分を有する核酸分子は、標準分子生物
学的技術を用いて単離し得、配列情報は本明細書で与えられる。配列番号:1、
3、7もしくは9の核酸配列または受託番号 としてATCCに寄託され
たプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列の全てまたは部分をハイブリダ
イゼーションプローブとして用い、CARK核酸分子を(例えば、[Sambrook,
J., Fritsh, E.F., and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manua
l. 2nd, ed. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory
Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989]に記載される)標準ハイブリダイゼー
ション技術およびクローニング技術を用いて単離し得る。
【0058】 さらに、配列番号:1、3、7もしくは9または受託番号 としてAT
CCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列の全てまたは部
分を包含する核酸分子は、配列番号:1、3、7もしくは9の配列または受託番
としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチ
ド配列に基づきデザインされた合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いるポリ
メラーゼ連鎖反応(PCR)によって単離し得る。
【0059】 本発明の核酸は、鋳型としてcDNA、mRNAまたは別法としてゲノムDN
A、および適当なオリゴヌクレオチドプライマーを用い、標準PCR増幅技術に
準じて増幅し得る。そのように増幅された核酸は、適当なベクターにクローン化
し、DNA配列分析によって特徴付け得る。さらに、CARKヌクレオチド配列
に対応するオリゴヌクレオチドは、標準合成技術によって、例えば、自動DNA
シンセサイザーを用いて、調製し得る。
【0060】 好ましい具体例において、本発明の単離した核酸分子は、配列番号:1に示さ
れるヌクレオチド配列を含む。配列番号:1のヌクレオチド配列はヒトCARK
cDNAに対応する。このcDNAは該ヒトCARKタンパク質をコードする
配列(すなわち、ヌクレオチド48〜2552からの「コーディング領域」)、
ならびに5’非翻訳配列(ヌクレオチド1〜47)および3’非翻訳配列(ヌク
レオチド2553〜3025)を含む。あるいは、該核酸分子は配列番号:1の
コーディング領域(例えば、配列番号:3に対応するヌクレオチド48〜255
2)のみを含み得る。
【0061】 もう一つの好ましい具体例において、本発明の単離した核酸分子は、配列番号
:7に示されるヌクレオチド配列を含む。配列番号:7の配列は該ラットCAR
K cDNAに対応する。このcDNAは該ラットCARKタンパク質をコード
する配列(すなわち、ヌクレオチド61〜2565からの「コーディング領域」
)、ならびに5’非翻訳配列(ヌクレオチド1〜60)および3’非翻訳配列(
ヌクレオチド2566〜3026)を含む。あるいは、該核酸分子は配列番号:
7のコーディング領域(例えば、配列番号:9に対応するヌクレオチド61〜2
565)のみを含み得る。
【0062】 もう一つの好ましい具体例において、本発明の単離した核酸分子は、配列番号
:1、3、7もしくは9に示されたヌクレオチド配列、または受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列、ま
たはこれらのヌクレオチド配列のいずれかの部分の相補体である核酸分子を含む
。配列番号:1、3、7もしくは9に示されたヌクレオチド配列または受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド
配列に相補的である核酸分子は、配列番号:1、3、7もしくは9に示されたヌ
クレオチド配列または受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミド
のDNA挿入体のヌクレオチド配列に充分に相補的であるものであり、それが、
配列番号:1、3、7もしくは9に示されたヌクレオチド配列または受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配
列にハイブリダイズし、それにより、安定な二本鎖を形成し得るようにする。
【0063】 なおもう一つの具体例において、本発明の単離した核酸分子は、配列番号:1
、3、7もしくは9に示されたヌクレオチド配列または受託番号 として
ATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列、またはこ
れらのヌクレオチド配列のいずれかの部分の全長に少なくとも50%、55%、
60%、65%、70%、80%、82%、85%、90%、95%、98%ま
たはそれを超えて相同であるヌクレオチド配列を含む。
【0064】 さらに、本発明の核酸分子は、配列番号:1、3、7もしくは9の核酸配列、
または受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体
のヌクレオチド配列の部分、例えば、プローブもしくはプライマーとして使用し
得る断片またはCARKタンパク質の部分、例えば、CARKタンパク質の生物
学的に活性な部分をコードする断片のみを含み得る。該CARK遺伝子のクロー
ニングから決定されたヌクレオチド配列は、他のCARKファミリーメンバーな
らびに他の種由来のCARK相同体を同定しおよび/またはクローン化するのに
用いるためにデザインされたプローブもしくはプライマーの生成を許容する。典
型的に、該プローブ/プライマーは実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含
む。典型的に、該オリゴヌクレオチドは、配列番号:1、3、7もしくは9、ま
たは受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体の
ヌクレオチド配列のセンス配列の、配列番号:1、3、7もしくは9、または受
託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレ
オチド配列のアンチセンス配列の、または配列番号:1、3、7もしくは9、ま
たは受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体の
ヌクレオチド配列の天然に産出する対立遺伝子変異体または突然変異の少なくと
も12または15個、好ましくは約20または25個、より好ましくは約30、
35、40、45、50、55、60、65、または75個の連続したヌクレオ
チドに、ストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の部分
を含む。典型的な具体例において、本発明の核酸分子は、長さにおいて少なくと
も250〜300、300〜350、350〜400、400〜450、467
、467〜500、500〜550、または550〜600、600〜800、
800〜1000、1000〜1200、1200〜1400、1400〜16
00、1600〜1800、1800〜2000、2000〜2400、240
0〜2800、2800〜2900、2962またはそれを超えるヌクレオチド
であり、配列番号:1、3、7もしくは9の核酸分子または受託番号
してATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列に、ス
トリンジェント条件下でハイブリダイズする。
【0065】 該CARKヌクレオチド配列に基づくプローブを用いて転写物または同一また
は相同タンパク質をコードするゲノム配列を検出し得る。好ましい具体例におい
て、該プローブは、それに付着させる標識基をさらに含み、たとえば、該標識基
は放射性同位体、蛍光化合物、酵素、酵素補因子であり得る。そのようなプロー
ブは、CARKタンパク質を誤発現する細胞または組織を、対象からの細胞の試
料中のCARKコーディング核酸のレベルを測定すること、例えば、CARK
mRNAレベルを検出するか、あるいはゲノムCARK遺伝子が突然変異もしく
は欠失されてしまったかどうかを決定することによるごとき、同定するための診
断試験キットの一部として使用し得る。
【0066】 「CARKタンパク質の生物学的に活性な部分」をコードする核酸断片は、配
列番号:1、3、7もしくは9のヌクレオチド配列または受託番号 とし
てATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列の部分を
単離することによって調製し得、それは、CARK生物学的活性(該CARAK
タンパク質の生物学的活性は本明細書に記載される)を有し、該CARKタンパ
ク質のコードされた部分を(例えば、in vitroで組換え発現によって)発現し、
かつ、該CARKタンパク質のコードされた部分の活性を評価するポリペプチド
をコードする。
【0067】 本発明は、さらに、遺伝子コードの縮退のため、配列番号:1、3、7もしく
は9に示されたヌクレオチド配列または受託番号 としてATCCに寄託
されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列とは異なり、かくして、配
列番号:1、3、7もしくは9に示されたヌクレオチド配列または受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列
によりコードされるものと同一のCARKタンパク質をコードする核酸分子を包
含する。もう一つの具体例において、本発明の単離した核酸分子は配列番号:2
または8に示されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド
配列を有する。
【0068】 配列番号:1、3、7もしくは9に示されたCARKヌクレオチド配列または
受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌク
レオチド配列に加えて、該CARKタンパク質のアミノ酸配列に変化をもたらす
DNA多型が集団(例えば、ヒト集団)内に存在するかもしれないことは、当業
者により正しく理解されるであろう。該CARK遺伝子におけるそのような遺伝
子多型性は天然の対立遺伝子変異のため集団内の個体の間に存在するかもしれな
い。本明細書において用いるとき、「遺伝子」および「組換え遺伝子」なる語は
、CARKタンパク質、好ましくは哺乳類CARKタンパク質をコードするオー
プン・リーディング・フレームを含み、さらに、非コーディング調節配列および
イントロンを含み得る核酸分子をいう。
【0069】 ヒトもしくはラットCARKの対立遺伝子変異体は機能的および非機能的CA
RKタンパク質の両方を含む。機能的対立遺伝子変異体は、CARKリガンドに
結合し、および/または細胞の成長または分化に関連する細胞機序を調整する能
力を維持する該ヒトもしくはラットCARKタンパク質の天然に産出するアミノ
酸配列変異体である。典型的に、機能的対立遺伝子変異体は、配列番号:2また
は8の1以上のアミノ酸の保存的置換、または該タンパク質の重要ではない領域
の重要ではない残基の置換、欠失もしくは挿入のみを含有するであろう。
【0070】 非機能的対立遺伝子変異体は、CARKリガンドに結合すること、および/ま
たは細胞の成長または分化に関連する細胞機序を調整することのいずれの能力も
有しない該ヒトもしくはラットCARK多タンパク質の天然に産出するアミノ酸
配列変異体である。典型的に、非機能的対立遺伝子変異体は、配列番号:2また
あ8のアミノ酸配列の非保存的置換、欠失、もしくは挿入または成熟前切取り、
あるいは重要な残基もしくは重要な領域における置換、挿入または欠失を含有す
る。
【0071】 さらに、本発明は、該ヒトCARKタンパク質の非ヒト・オーソログを提供す
る。該ヒトCARKタンパク質のオーソログは非ヒト生物体から単離され、該ヒ
トCARKタンパク質と同一のCARKリガンド結合および/または細胞の成長
または分化に関連する細胞機序の調整を所有するタンパク質、例えば,ラットC
ARKタンパク質(配列番号:8)である。該ヒトCARKタンパク質は、実質
的に配列番号:2または8に相同であるアミノ酸配列を含むとして容易に同定し
得る。
【0072】 他のCARKファミリーメンバーをコードし、かくして、配列番号:1、3、
7もしくは9のCARK配列または受託番号 としてATCCに寄託され
たプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列とは異なるヌクレオチド配列を
有する核酸分子は、本発明の範疇にあることを意図する。例えば、もう一つのC
ARK cDNAはヒトもしくはラットCARKのヌクレオチド配列に基づき同
定し得る。さらに、異なる種由来のCARKタンパク質をコードし、かくして、
配列番号:1、3、7もしくは9のCARK配列または受託番号 として
ATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列とは異なる
ヌクレオチド配列を有する核酸分子は、本発明の範疇にあることを意図する。例
えば、マウスCARK cDNAはヒトもしくはラットCARKのヌクレオチド
配列に基づき同定し得る。
【0073】 本発明のCARK cDNAの天然の対立遺伝子変異体および相同体に対応す
る核酸分子は、ストリンジェント・ハイブリダイゼーション条件下で、本明細書
に開示されたcDNAまたはその部分を標準ハイブリダイゼーション技術に準じ
たハイブリダイゼーションプローブとして用いて、本明細書に開示されたCAR
K核酸に対するそれらの相同性に基づき単離し得る。さらに、本発明のCARK
cDNAの天然の対立遺伝子変異体および相同体に対応する核酸分子は、該C
ARK遺伝子と同一の染色体または遺伝子座にマッピングすることによって単離
し得る。
【0074】 従って、もう一つの具体例において、本発明の単離した核酸分子は、長さにお
いて少なくとも15、20、25、30またはそれを超えるヌクレオチドであり
、配列番号:1、3、7もしくは9のヌクレオチド配列または受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列を含
む核酸分子にストリンジェント条件下でハイブリダイズする。他の具体例におい
て、該核酸は、長さにおいて少なくとも30、50、100、150、200、
250、300、350、400、450、467、500、550、600、
650、700、750、800、850、900、950、1000、150
0、2000、2500、または2962またはそれを超えるヌクレオチドであ
る。本明細書において用いるとき、「ストリンジェント条件下でハイブリダイズ
する」なる語は、典型的に、互いに少なくとも60%相同性のヌクレオチド配列
が互いにハイブリダイズしたまま維持するハイブリダイゼーションおよび洗浄の
条件を表現することを意図する。好ましくは、該条件は、典型的に、互いに少な
くとも約70%相同性、より好ましくは少なくとも約80%相同性、一層より好
ましく少なくとも約85%または90%相同性のヌクレオチド配列が互いにハイ
ブリダイズしたまま維持するようなものである。そのようなストリンジェント条
件は、当業者に知られ、[Current Protocols in Molecular Biology, John Wil
ey & Sons, N.Y. (1989) 6.3.1-6.3.6]に見出される。ストリンジェント・ハイ
ブリダイゼーション条件の好ましい非限定的な例は、6×塩化ナトリウム/クエ
ン酸ナトリウム(SSC)中で約45℃にてのハイブリダイゼーション、0.2
×SSC、0.1%SDS中で50℃、好ましくは55℃、より好ましくは60
℃、および一層より好ましくは65℃にての1以上の洗浄である。好ましくは、
ストリンジェント条件下で配列番号:1、3、7もしくは9にハイブリダイズす
る本発明の単離した核酸分子は、天然に産出する核酸分子に対応する。本明細書
において用いるとき、「天然に産出する」核酸分子とは、自然に産出するヌクレ
オチド配列(例えば、天然のタンパク質をコードする)を有するRNAまたはD
NAをいう。
【0075】 該集団に存在するかもしれない該CARK配列の天然に産出する対立遺伝子変
異体に加えて、さらに、当業者は、突然変異により配列番号:1、3、7もしく
は9のヌクレオチド配列または受託番号 としてATCCに寄託されたプ
ラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列に変化を導入し、それにより、該C
ARKタンパク質の機能能力を改変することなくコードされたCARKタンパク
質のアミノ酸配列に変化をもたらし得ることを正しく理解するであろう。例えば
、「非必須」アミノ酸残基にてのアミノ酸置換をもたらすアミノ酸置換を配列番
号:1、3、7もしくは9のヌクレオチド配列または受託番号 としてA
TCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチド配列中になし得る
。「非必須」アミノ酸残基は、生物学的活性を改変することなくCARKの野生
型配列(例えば、配列番号:2または8)から改変し得る残基であり、一方、「
必須」アミノ酸残基は生物学的活性に必要である。例えば、本発明のCARKタ
ンパク質内に保存されたアミノ酸残基、例えば、該タンパク質キナーゼドメイン
の活性部位に存在するものは、特に改変され難いと予想される。さらに、本発明
のCARKタンパク質とキナーゼを含有する他のアンキリン繰返しとの間に保存
された付随的なアミノ酸残基は改変し易くはないようである。
【0076】 従って、本発明のもう一つの局面は、活性に必須ではないアミノ酸残基に変化
を含有するCARKタンパク質をコードする核酸分子に関する。そのようなCA
RKタンパク質は、アミノ酸配列において、配列番号:2または8と異なるが、
生物学的活性は保持する。一つの具体例において、該単離した核酸分子はタンパ
ク質をコードするヌクレオチド配列を含み、ここに該タンパク質は配列番号:2
または8に少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、8
0%、85%、90%、92%、95%、98%またはそれを超えて相同である
アミノ酸配列を含む。
【0077】 配列番号:2または8のタンパク質に相同であるCARKタンパク質をコード
する単離した核酸分子は、配列番号:1、3、7もしくは9のヌクレオチド配列
または受託番号 としてATCCに寄託されているプラスミドのDNA挿
入体のヌクレオチド配列に1以上のヌクレオチド置換、付加または欠失を導入し
て、1以上のアミノ酸置換、付加または欠失を該コードされたタンパク質に導入
するようにすることによって生成しうる。位置指定突然変異誘発およびPCR媒
介突然変異誘発のごとき標準技術により、突然変異を配列番号:1、3、7もし
くは9または受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA
挿入体のヌクレオチド配列に導入し得る。好ましくは、保存的アミノ酸置換を1
以上の予想非必須アミノ酸残基になす。「保存的アミノ酸置換」は、該アミノ酸
残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基と置き換えられるというものである。同
様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当該分野において定義されている
。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジ
ン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(
例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン
、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイ
シン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ−
分枝側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例
えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するア
ミノ酸を含む。かくして、好ましくは、CARKタンパク質中の予想非必須アミ
ノ酸残基は同一の側鎖ファミリーからのもう一つのアミノ酸残基と置き換えられ
る。あるいは、もう一つの具体例において、突然変異は、飽和突然変異誘発によ
るごとく、CARKコーディング鎖のすべてまたは部分に沿って無秩序に導入し
得、得られた突然変異はCARK生物学的活性につきスクリーンして活性を保持
している突然変異を同定し得る。配列番号:1、3、7もしくは9または受託番
としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体のヌクレオチ
ド配列の突然変異誘発後、該コードされたタンパク質を組替え的に発現し得、該
タンパク質の活性を決定し得る。
【0078】 好ましい具体例において、突然変異CARKタンパク質は、(1)細胞受容体
、例えば、心臓細胞成長因子受容体のからの信号の伝達を調節し;(2)細胞、
例えば、心臓前駆体細胞の有糸分裂への進入を調整し;(3)細胞分化を調整し
;(4)細胞死を調整し;および、(5)細胞骨格機能、例えば、アクチン束形
成を調節する能力につきアッセイし得る。
【0079】 上記したCARKタンパク質をコードする核酸分子に加えて、本発明のもう一
つの局面は、それに対してアンチセンスな単離した核酸分子に関する。「アンチ
センス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に対して相補的である
、例えば、二本鎖cDNA分子のコーディング鎖に対して相補的であるか、ある
いはmRNA配列に対して相補的であるヌクレオチド配列を含む。従って、アン
チセンス核酸をセンス核酸に水素結合させ得る。該アンチセンス核酸は全CAR
Kコーディング鎖またはその一部にのみ相補的であり得る。一つの具体例におい
て、アンチセンス核酸分子は、CARKをコードするヌクレオチド配列のコーデ
ィング鎖の「コーディング領域」に対してアンチセンスである。「コーディング
領域」なる語は、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領
域(例えば、配列番号:3に対応するヒトCARKのコーディング領域、および
配列番号:9に対応するラットCARKのコーディング領域)をいう。もう一つ
の具体例において、該アンチセンス核酸分子は、CARKをコードするヌクレオ
チド配列のコーディング鎖の「非コーディング領域」に対してアンチセンスであ
る。「非コーディング領域」なる語は、該コーディング領域に隣接し、アミノ酸
に翻訳されない5’または3’配列をいう(すなわち、5’および3’非翻訳領
域ともいう)。
【0080】 本明細書に開示されたCARKをコードするコーディング鎖配列(例えば、配
列番号:3または9)を考慮すると、本発明のアンチセンス核酸は、ワトソン−
クリック塩基対合の規則に従ってデザインし得る。該アンチセンス核酸分子はC
ARK mRNAの全コーディング領域に相補的であり得るが、より好ましくは
CARK mRNAのコーディングまたは非コーディング領域の部分にのみアン
チセンスなオリゴヌクレオチドである。例えば、該アンチセンスオリゴヌクレオ
チドはCARK mRNAの翻訳開始部位の周囲の領域に相補的であり得る。本
発明のアンチセンス核酸は、長さにおいて、例えば、約5、10、15、20、
25、30、35、40、45または50ヌクレオチドである。本発明のアンチ
センス核酸は、当該分野で知られている手順を用いる化学合成および酵素的ライ
ゲーション反応を用いて構築し得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アン
チセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に産出するヌクレオチドまたは、当該分
子の生物学的安定性を増大するためにか、あるいは該アンチセンスとセンス核酸
の間で形成される二本鎖の物理的安定性を増大するためにデザインされた様々に
修飾されたヌクレオチドを用いて、化学的に合成し得、例えば、ホスホチオアー
ト誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを使用し得る。該アンチセンス核酸
を生成するのに使用し得る修飾したヌクレオチドの例は、5−フルオロウラシル
、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサン
チン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル
)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カル
ボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクト
シルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグア
ニン、1−メチルイオシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、
2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニ
ン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミ
ノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルキューオシン、5’−メ
トキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N
6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソ
シン、プソイドウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−
チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウ
ラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5
−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロ
ピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミンプリンを含む。ある
いは、該アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス配向でサブクローン化されて
いる発現ベクターを用いて生物学的に産生し得る(すなわち、該挿入された核酸
から転写されたRNAは、目的の標的核酸に対してアンチセンスな配向であり、
以下のサブセクションにさらに記載される)。
【0081】 典型的に、本発明のアンチセンス核酸分子は、対象に投与するか、またはin s
ituで生成して、それらがCARKタンパク質をコードする細胞mRNAおよび
/またはゲノムDNAにハイブリダイズするかまたは結合して、それにより、該
タンパク質の発現を、例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって
阻害するようにする。そのハイブリダイゼーションは、従来のヌクレオチド相補
性により、安定な二重らせんを形成するか、あるいは、例えば、DNA二本鎖に
結合するアンチセンス核酸分子の場合、該二本鎖の大溝における特異的相互作用
による。本発明のアンチセンス核酸分子の投与の経路の例は、組織部位にての直
接注入を含む。あるいは、アンチセンス核酸分子を修飾して選択された細胞を標
的し、次いで、全身投与し得る。例えば、全身投与について、アンチセンス分子
は、例えば、該アンチセンス核酸分子を細胞表面受容体もしくは抗原に結合する
ぺプチドもしくは抗体に連結することによって、それらが選択された細胞表面上
の受容体または発現された抗原に特異的に結合するように修飾し得る。該アンチ
センス核酸分子は、本明細書に記載されたベクターを用いても細胞に運搬し得る
。該アンチセンス分子の充分な細胞内濃度を達成するため、強力polIIまた
はpolIIIプロモータの制御の下で該アンチセンス核酸分子が入れられたベ
クター構築体が好ましい。
【0082】 さらにもう一つの具体例において、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−ア
ノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は相補RNAと特異的二本鎖ハイ
ブリッドを形成し、そこでは、通常β−単位とは対照的に、該鎖は互いに平行に
走っている[Gaultier et al. (1987) Nucleic Acids Res. 15:6625-6641]。該
アンチセンス核酸分子は2’−o−メチルリボヌクレオチド[Inoue et al. (19
87) Nucleic Acids Res. 15:6131-6148]またはキメラRNA−DNAアナログ[
Inoue et al. (1987) FEBS Lett. 215:327-330]も含み得る。
【0083】 なおもう一つの具体例において、本発明のアンチセンス核酸はリボチームであ
る。リボチームは、それらが相補領域を有するmRNAのごとき一本鎖核酸を切
断できるリボヌクレアーゼ活性を持つ触媒性RNA分子である。かくして、リボ
チーム(例えば、[Haselhoff and Gerlach (1988) Nature 334:585-591]に記
載されたハンマーヘッドリボチーム)を用いて、CARK mRNA転写物を触
媒的に切断して、それにより、CARK mRNAの翻訳を阻害する。CARK
コーディング核酸に対する特異性を有するリボチームを本明細書に記載されたC
ARK mRNAのヌクレオチド配列(すなわち、配列番号:1、3、7もしく
は9または受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿
入体のヌクレオチド配列)に基づきデザインし得る。例えば、Tetrahemena L-19
IVS RNAの誘導体を構築し得、そこでは、活性部位のヌクレオチド配列は、
CARKコーディングmRNA中で切断されるべきヌクレオチド配列に相補的で
ある。例えば、[Cech et al. U.S. Patent No. 4,987,071; およびCech et al.
U.S. Patent No. 5,116,742]を参照せよ。あるいは、CARK mRNAを用
いて、RNA分子のプールから特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RN
Aを選択し得る。例えば、[Bartel, D. and Szostak, J.W. (1993) Science 26
1:1411-1418]参照せよ。
【0084】 あるいは、CARK遺伝子発現は、該CARK遺伝子の調節領域に相補的なヌ
クレオチド配列(例えば、CARKプロモータおよび/またはエンハンサー)を
標的することによって阻害して、標的細胞内で該CARK遺伝子の転写を妨害す
る三重らせん構造を形成する。概要的には、[Helene, C. (1991) Anticancer D
rug Des. 6(6):569-84; Helene C. et al, (1992) Ann. N.Y. Acad. Sci. 660:2
7-36; およびMaher, L.J. (1992) Bioassays 14(12):807-15]
【0085】 さらにもう一つの具体例において、本発明のCARK核酸分子は、塩基部分、
糖部分またはリン酸骨格にて修飾して、例えば、該分子の安定性、ハイブリダイ
ゼーション、または溶解性を改善し得る。例えば、該核酸分子のデオキシリボー
スリン酸骨格を修飾してペプチド核酸を生成し得る([Hyrup, B. et al. (1996
) Bioorganic & Medicinal Chemistry 4 (1):5-23]を参照せよ)。本明細書に
おいて用いるとき、「ペプチド核酸」または「PNA」なる語は、核酸ミメティ
クス、例えば、DNAミメティクスをいい、そこでは、該でオキシリボリン酸骨
格は擬ペプチド骨格と置き換えられ、4つの天然ヌクレオベース(nucleobase)
だけが保持される。PNAの中性骨格は、低イオン強度の条件下で、DNAおよ
びRNAに対する特異的ハイブリダイゼーションを許容することが示されている
。PNAオリゴマーの合成は[Hyrup B. et al. (1996) supra; Perry-O'Keefe
et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 93:14670-675]に記載された標準固相ぺプチド
合成プロトコルを用いて行い得る。
【0086】 CARK核酸分子のPNAは、治療および診断アプリケーションに使用し得る
。例えば、PNAは、例えば、転写または翻訳停止を誘発させるか、あるいは複
製を阻害するかによる遺伝子発現の配列特異的調整用のアンチセンスまたは抗原
試薬として使用し得る。CARK核酸分子のPNAは、(例えば、PNA指向P
CRクランピングによる)遺伝子中の単一塩基対突然変異の分析;他の酵素(例
えば、SIヌクレアーゼ[Hyrup B. (1996) supra])と共に用いる場合には人
工制限酵素として;またはDNA配列決定またはハイブリダイゼーションのプロ
ーブまたはプライマーとして使用し得る[Hyrup B. (1996) supra; Perry-O'Kee
fe supra]。)
【0087】 もう一つの具体例において、CARKのPNAは、親油性もしくは他のヘルパ
ー基をPNAに付着させるか、PNA−DNAキメラを形成するか、あるいは、
リポソームまたは当該分野において知られているドラッグデリバリーの他の技術
を使用することによって、(例えば、その安定性または細胞摂取を促進させるた
めに)修飾し得る。例えば、CARK核酸分子のPNA−DNAキメラを生成し
得、それはPNAおよびDNAの有利な特性を組み合せることができる。そのよ
うなキメラは、DNA認識酵素(例えば、RNAseHおよびDNAポリメラー
ゼ)が該DNA部分と相互作用するようにし、一方、該RNA部分は高い結合親
和性および特異性を付与するであろう。PNA−DNAキメラは、塩基積重ね、
ヌクレオベース間の結合数および配向の観点から選択された適当な長さのリンカ
ーを用いて連結し得る[Hyrup B. (1996) supra]。PNA−DNAキメラの合
成は[Hyrup B. (1996) supra]および[Finn P.J. et al. (1996) Nucleic Aci
ds Res. 24 (17):3357-63]に記載されたごとく行い得る。例えば、DNA鎖は
、標準ホスホラミダイト・カップリング化学および修飾ヌクレオシド・アナログ
を用いて、固体担体上で合成し得、例えば、5’−(4−メトキシトリチル)ア
ミノ−5’−デオキシチミジンホスホラミダイトを該PNAとDNAの5’末端
との間として使用し得る[Mag, M. et al. (1989) Nucleic Acid Res. 17:5973-
88]。次いで、PNA単量体を段階的に連結させて、5’PNAセグメントと3
’SDNAセグメントとでキメラ分子を生成し得る[Finn P.J. et al. (1996)
supra]。あるいは、キメラ分子は5’DNAセグメントと3’PNAセグメン
トとで合成し得る[Peterser, K.H. et al. (1975) Bioorganic Med. Chem. Let
t. 5:1119-11124]。
【0088】 他の具体例において、該オリゴヌクレオチドは、(例えば、in vivoで宿主細
胞受容体を標的するために)ペプチドのごとき他の付随する基、または該細胞膜
を通過する輸送を容易にする剤(例えば、[Letsinger et al. (198) Proc Natl
. Acad. Sci. USA 86:6553-6556; Limaitre et al. (10987) Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 84:648-652; PCT Publication No. WO88/09810]を参照せよ)、また
は血液脳関門(例えば、[PCT Publication No. WO89/10134]を参照)を含む。
さらに、オリゴヌクレオチドはハイブリダイゼーション誘発切断剤(例えば、[
Krol et al. (1988) Bio-Techniques 6:958-976]を参照せよ)またはインター
カレーティング剤(例えば、[Zon (1988) Pharm. Res. 5:539-549]を参照せよ
)で修飾し得る。この最後に、該オリゴヌクレオチドをもう一つの分子(例えば
、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発架橋剤、輸送剤、またはハイブリダイ
ゼーション誘発切断剤)にコンジュゲートさせることができる。
【0089】II.単離したCARKタンパク質および抗CARK抗体 本発明の一つの局面は、単離したCARKタンパク質および生物学的に活性な
その部分、ならびに抗CARK抗体を生起するための免疫原として使用するのに
適当なポリペプチド断片に関する。一つの具体例において、未変性CARKタン
パク質は、標準タンパク質精製技術を用いる適当な精製スキームにより細胞もし
くは組織起源から単離し得る。もう一つの具体例において、CARKタンパク質
は組換えDNA技術により生成する。組換え発現に代えて、CARKタンパク質
またはポリペプチドは、標準ペプチド合成技術を用いて化学的に合成し得る。
【0090】 「単離した」または「精製した」タンパク質または生物学的に活性なそれらの
部分は、該CARKタンパク質が由来する細胞または組織起源からの細胞物質ま
たは他の不純物タンパク質を実質的に持たないか、あるいは、化学合成された場
合には、化学品前駆体または他の化学品を実質的に持たない。「実質的に細胞物
質を持たない」なる用語は、CARKタンパク質の調製物を含み、そこでは、該
タンパク質がそこからそれが単離されるか、あるいは組換え的に生成される該細
胞の細胞成分から分離される。一つの具体例において、「実質的細胞物質を持た
ない」なる用語は、約30%(乾燥重量)未満の非CARKタンパク質(本明細
書において、「不純物タンパク質」ともいう)、より好ましくは約20%未満の
非CARKタンパク質、さらにより好ましくは約10%未満の非CARKタンパ
ク質、および最も好ましくは約5%未満の非CARKタンパク質を有するCAR
Kタンパク質の調製物を含む。該CARKタンパク質または生物学的に活性なそ
の部分を組換え的に生成する場合、培養培地を実質的に持たないことも好ましい
。すなわち、培養培地は、該タンパク質調製物の体積の約20%未満、より好ま
しくは約10%未満、および最も好ましくは約5%未満で存在する。
【0091】 「化学品前駆体または他の化学品を実質的に持たない」なる用語は、CARK
タンパク質の調製物を含み、そこでは、該タンパク質は、該タンパク質の合成に
関わる化学品前駆体または他の化学品から分離されている。一つの具体例におい
て、「化学品前駆体または他の化学品を実質的に持たない」なる用語は、約30
%(乾燥重量)未満の化学品前駆体または非CARK化学品、よりこのましくは
約20%未満の化学品前駆体または非CARK化学品、さらにより好ましくは約
10%未満の化学品前駆体または非CARK化学品、および最も好ましくは約5
%未満の化学品前駆体または非CARK化学品を有するCARKタンパク質の調
製物を含む。
【0092】 本明細書において用いるとき、CARKタンパク質の「生物学的に活性な部分
」は、CARK分子と非CARK分子との相互作用に関与するCARKタンパク
質の断片を含む。CARK分子の生物学的に活性な部分は、該CARKタンパク
質のアミノ酸配列、例えば、配列番号:2または8に示されるアミノ酸配列に充
分に相同であるか、あるいはそれに由来するアミノ酸配列を含むペプチドを含み
、それらは、完全長CARKタンパク質より少ないアミノ酸を含み、CARKタ
ンパク質の少なくとも1の活性を呈する。典型的に、生物学的に活性な部分は、
該CARKタンパク質の少なくとも1の活性、例えば、細胞の成長または分化に
関連するシグナリング経路の調整を持つドメインまたはモチーフを含む。CAR
Kタンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、長さにおいて10、25、5
0、100、200またはそれを超えるアミノ酸であるポリペプチドであり得る
。CARKタンパク質の化学的に活性な部分は、CARK媒介活性を調整する、
例えば、細胞の成長または分化に関連するシグナリング経路を調整する剤を開発
するための標的として用いる得る。
【0093】 一つの具体例において、CARKタンパク質の生物学的に活性な部分は少なく
とも1のアンキリン繰返しドメイン、および/または少なくとも1のタンパク質
キナーゼドメインを含む。本発明のCARKタンパク質の好ましい生物学的に活
性な部分は少なくとも1のアンキリン繰返しドメインを含有することができると
理解されるべきである。CARKタンパク質のもう一つの好ましい生物学的に活
性な部分は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8または9個のアンキリン繰
返しドメインを含有することができる。CARKタンパク質のなおもう一つの好
ましい生物学的に活性な部分は、少なくとも1のタンパク質キナーゼドメインを
含有することができる。さらに、該タンパク質の他の部分が削除された他の生物
学的に活性な部分は、組換え技術により調製し、未変性CARKタンパク質の1
以上の機能的活性につき評価し得る。
【0094】 好ましい具体例において、該CARKタンパク質は配列番号:2または8に示
されたアミノ酸配列を有する。他の具体例において、該CARKタンパク質は配
列番号:2または8に実質的に相同であり、配列番号:2または8のタンパク質
の機能活性を保持するが、上記のサブセクションIに詳細に記載されたごとく、
天然の対立遺伝子変異体または突然変異誘発のためアミノ酸配列は異なる。従っ
て、もう一つの具体例において、該CARKタンパク質は少なくとも約50%、
55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、
98%またはそれを超えて、配列番号:2または8に相同であるタンパク質であ
る。
【0095】 2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するため
に、該配列を最適の比較目的のために整列させる(例えば、最適の整列のために
、第1および第2のアミノ酸もしくは核酸の1または両方にギャップを導入し、
比較目的のため、非相同配列を無視し得る。好ましい具体例において、比較目的
のために整列される参照配列の長さは、該参照配列の長さの少なくとも30%、
好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、一層よりこの
ましくは少なくとも60%、および一層より好ましくは少なくとも70%、80
%または90%である(例えば、第2の配列を835個のアミノ酸残基を有する
配列番号:2のCARKアミノ酸配列に対して整列させる場合、少なくとも25
1個、好ましくは少なくとも334個、より好ましくは少なくとも418個、一
層より好ましくは少なくとも501個、および一層より好ましくは少なくとも5
85個、668個または752個のアミノ酸残基を整列させる)。次いで、対応
するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを
比較する。該第1の配列の位置が該第2の配列中の対応する位置と同一のアミノ
酸残基またはヌクレオチドにより占められている場合、それらの分子はその位置
において同一である(本明細書において用いるとき、アミノ酸もしくは核酸「同
一性」は、アミノ酸もしくは核酸「相同性」と同等である。該2つの配列のパー
セント同一性は、該配列により共有される同一位置の数の関数であり、該2つの
配列の最適な整列のために導入する必要のあるギャップの数および各ギャップの
長さを考慮する。
【0096】 配列の比較および2つの配列間のパーセント同一性の決定は数学的アルゴリズ
ムを用いて達成し得る。好ましい具体例において、2つのアミノ酸配列間のパー
セント同一性はNeedleman and Wunsch[J. Mol. Biol. (48):444-453 (1970)]
アルゴリズムを用いて決定し、それは、Blossom62マトリクスまたはP
AM250マトリクスのいずれかと16、14、12、10、8、6、または4
のギャップ重率および1、2、3、4、5、または6の長さ重率とを用いるGC
Gソフトウェアパッケージ中のGAPプログラム(http://www.geg.comにて入手
可能)に組み込まれている。なおもう一つの好ましい具体例において、2つのヌ
クレオチド配列間のパーセント同一性は、NWSgapdna.CMPマトリク
スと40、50、60、70または80のギャップ重率および1、2、3、4、
5または6の長さ重率とを用いるGCGソフトウェアパッケージ中のGAPプロ
グラム(http://geg.comにて入手可能)に組み込まれている。もう一つの具体例
において、2つのアミノ酸もしくはヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、
E. Mayer and W. Millerのアルゴリズム[CABIOS, 4:11-17 (1989)]を用いて決
定し、それは、PAM120重率残基表(PAM120 weight residue table)、1
2のギャップ長ペナルティーおよび4のギャップペナルティーを用いるALIG
Nプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。
【0097】 さらに、本発明の核酸およびタンパク質配列は、「照会配列」として用いて、
例えば、他のファミリーメンバーまたは関連する配列を同定するために、公開デ
ータベースに対する調査を行う。そのような調査は、[Altschul. et al. (1990
) J. MOl. Biol. 215:403-10]のNBLASTおよびXBLASTプログラム(
バージョン2.0)を用いて実行し得る。BLASTヌクレオチド調査は、NB
LASTプログラム、スコアー=100、ワード長=12で実行して、本発明の
CARK核酸分子に相同であるヌクレオチド配列を入手し得る。BLASTタン
パク質調査は、CBLASTプログラム、スコアー=50、ワード長=3で実行
して、本発明のCARKタンパク質分子に相同であるアミノ酸配列を入手しうる
。比較目的のためのギャップド整列を得るため、ギャップドBLASTは、[Al
tschul et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402]に記載されたご
とく使用し得る。BLASTおよびギャップドBLASTプログラムを使用する
場合、各プログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルト
パラメータを使用し得る。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照せよ
【0098】 本発明は、CARKキメラまたは融合タンパク質も提供する。本明細書におい
て用いるとき、CARK「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非
CARKポリペプチドに作動可能に連結されたCARKポリペプチドを含む。「
CARKポリペプチド」は、CARKに対応するアミノ酸配列を有するポリペプ
チドをいい、一方、「非CARKポリペプチド」は、該CARKタンパク質に実
質的に相同ではないタンパク質、例えば、該CARKタンパク質とは異なり、同
一または異なる生物体に由来するタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポ
リペプチドをいう。CARK融合タンパク質の範囲内で、該CARKポリペプチ
ドはCARKタンパク質の全てもしくは部分に対応し得る。好ましい具体例にお
いて、CARK融合タンパク質はCARKタンパク質の少なくとも1の生物学的
に活性な部分を含む。もう一つの好ましい具体例において、CARK融合タンパ
ク質はCARKタンパク質の少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。該
融合タンパク質の範囲内で、「作動可能に連結された」なる語は、該CARKポ
リペプチドおよび該非CARKポリペプチドが互いにインフレームで融合される
ことを示すことを意図される。該非CARKポリペプチドは該CARKポリペプ
チドのN−末端またはC−末端に融合する。
【0099】 例えば、一つの具体例において、該融合タンパク質はGST−CARK融合タ
ンパク質であり、そこでは、該CARK配列が該GST配列のC−末端に融合し
ている。そのような融合タンパク質は組換えCARKの精製を容易にし得る。
【0100】 もう一つの具体例において、該融合タンパク質は、そのN−末端に非相同シグ
ナル配列を含有するCARKタンパク質である。ある種の宿主細胞(例えば、哺
乳類宿主細胞)において、CARKの発現および/または分泌は非相同シグナル
配列の使用により、増大させ得る。
【0101】 本発明のCARK融合タンパク質は医薬組成物に配合し、in vivoで対象に投
与し得る。該CARK融合タンパク質を用いて、CARK基質の生体内利用効率
に影響し得る。CARK融合タンパク質の使用は、例えば、(i)CARKタン
パク質をコードする遺伝子の異常修飾または突然変異;(ii)該CARK遺伝
子の誤調節;および(iii)CARKタンパク質の異常翻訳後修飾により生じ
る障害の治療にとって治療的に有用であろう。
【0102】 さらに、本発明の該CARK融合タンパク質を免疫原として用いて、対象内で
抗CARK抗体を産生し、CARKリガンドを精製し、スクリーニングアッセイ
においては、CARKとCARK基質との相互作用を阻害する分子を同定する。
【0103】 好ましくは、本発明のCARKキメラまたは融合タンパク質は、標準組換えN
A技術により産生する。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNA断
片は、常法に準じて、例えば、ライゲーションのためのブラント断端(blunt-en
ded)またはスタガー断端(stagger-ended)末端、適当な末端を与えるための制
限酵素消化、適当なる付着末端の充填、所望しない接合を回避するためのアルカ
リホスファターゼ処理および酵素的ライゲーションを採用することによって、イ
ンフレームで互いにライゲートする。もう一つの具体例において、該融合遺伝子
は、自動化DNAシンセサイザーを含む常法により合成し得る。あるいは、遺伝
子断片のPCR増幅は、実質的にアニール化し、再増幅してキメラ遺伝子配列を
精製し得る2つの連続した遺伝子断片間の相補的オーバーハングをもたらすアン
カープライマーを用いて行い得る(例えば、[Current Protocols in Molecular
Biology, eds. Ausubel et al. John Wiley & Sons: 1992]を参照せよ)。さ
らに、多くの発現ベクターは、すでに融合部位をコードして商業的に入手可能で
ある(例えば、GSTポリペプチド)。CARKコーディング核酸は、そのよう
な発現ベクターにクローン化して、該融合部位を該CARKタンパク質のインフ
レームで連結するようにし得る。
【0104】 本発明は、CARKアゴニスト(ミメティクス)またはCARKアンタゴニス
トのいずれかとして機能するCARKタンパク質の変異体にも関する。該CAR
Kタンパク質の変異体は、突然変異誘発、例えば、CARKタンパク質の個別点
突然変異または切出しにより産生し得る。該CARKタンパク質のアゴニストは
、天然に産出する形態のCARKタンパク質の生物学的活性と同一またはサブセ
ットを実質的に保持し得る。CARKタンパク質のアンタゴニストは、例えば、
CARKタンパク質のCARK媒介活性を競合的に調整することによって,該天
然に産出する形態のCARKタンパク質の1以上の活性を阻害し得る。かくして
、特異的生物学的効果は、限定された機能の変異体での治療により、引き出し得
る。一つの具体例において、該天然に産出する形態のタンパク質の生物学的活性
のサブセットを有する変異体での対象の治療は、該天然に産出する形態のCAR
Kでの治療と比較して、対象においてより少ない副作用を有する。
【0105】 一つの具体例において、CARKアゴニスト(ミメティクス)またはCARK
アンタゴニストのいずれかとして機能するCARKタンパク質の変異体は、CA
RKタンパク質アゴニストもしくはアンタゴニスト活性につき、CARKタンパ
ク質の突然変異体、例えば、切出し突然変異体のコンビナトリアルライブラリー
をスクリーニングすることによって同定し得る。一つの具体例において、CAR
K変異体の種々のライブラリーを核酸レベルでのコンビナトリアル突然変異誘発
により作成し、種々の遺伝子ライブラリーによりコードする。CARK変異体の
種々のライブラリーは、例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列
に酵素的にライゲートして、可能性のあるCARK配列の縮退した組が個別のポ
リペプチドとして表現できるようにするか、あるいは、(例えば、ファージ展示
のための)より大きな融合タンパク質の組がその中にCARK配列の組を含有す
るようにすることによって、作成し得る。縮退したオリゴヌクレオチドから可能
性のあるCARK変異体のライブラリーを作成するのに使用し得る様々な方法が
ある。縮退遺伝子配列の化学合成を自動化DNAシンセサイザーで行い、次いで
、該合成遺伝子を適当な発現ベクターにライゲートする。遺伝子の縮退した組の
使用は、可能性のあるCARK配列の所望する組をコードする全ての配列の1の
混合物における供給を許容する。縮退したオリゴヌクレオチドを合成する方法は
当該分野で知られている(例えば、[Narang, S.A. (1983) Tetahedron 39:3; I
takura et al. (1984) Annu. Rev. Biochem. 53:323: Itakura et al. (1984) S
cience 198:1056; Ike et al, (1983) Nucleic Acid Res. 11:477]を参照せよ
)。
【0106】 さらにCARKタンパク質コーディング配列の断片のライブラリーを用いてい
、スクリーニングおよびその後のCARKタンパク質の変異体の選択のためのC
ARK断片の種々の集団を生成し得る。一つの具体例において、コーディング配
列断片のライブラリーは、分子当たり約一回のみニッキングが発生する条件下で
CARKコーディング配列の二本鎖PCR断片をヌクレアーゼで処理し、二本鎖
DNAを変性し、該DNAを復元して異なるニック化産物からのセンス/アンチ
センス対を含み得る二本鎖DNAを形成し、S1ヌクレアーゼで処理することに
よって再編成された二本鎖から一本鎖部分を除去し、次いで、得られた断片ライ
ブラリーを発現ベクターにライゲートすることによって生成し得る。この方法に
より、発現ライブラリーを誘導し、それは、種々のサイズのCARKタンパク質
のN−末端、C−末端および内部断片をコードする。
【0107】 点突然変異または切出しにより作成されたコンビナトリアルライブラリーの遺
伝子産物をスクリーニングするための、および選択された特性を有する遺伝子産
物用のcDNAライブラリーをスクリーニングするためのいくつかの技術が当該
分野で知られている。そのような技術は、CARKタンパク質のコンビナトリア
ル突然変異誘発により作成された遺伝子ライブラリーの急速スクリーニングに適
応できる。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするための最も広く用い
られ、高スループット分析が容易な技術は、典型的に、該遺伝子ライブラリーを
複製可能な発現ベクターにクローン化し、適当な細胞を得られたベクターのライ
ブラリーで形質転換し、次いで、所望する活性の検出が、その産物が検出された
遺伝子をコードするベクターの単離を容易にする条件下で、該コンビナトリアル
遺伝子を発現させることを含む。リクルーシブ・アンサンブル突然変異誘発(Re
crusive ensemble mutagenesis; REM)は、該ライブラリ中の機能的突然変異の
頻度を増大させる新しい技術であるが、該スクリーニングアッセイと組み合せて
用いて、CARK変異体を同定し得る[Arkin and Yourvan (1992) Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 89:7811-7815; Delgrave et al. (1993) Protein Engineering
6(3):327-331]。
【0108】 一つの具体例において、細胞ベースのアッセイを利用して種々のCARKライ
ブラリーを分析し得る。例えば、発現ベクターのライブラリーは、CARK依存
した様式で、通常、特定のリガンドに応答する細胞株、例えば、心臓細胞株に形
質転換し得る。次いで、該形質転換した細胞を該リガンドに接触させ、該リガン
ドによるシグナリングに対する該突然変異の発現の効果を、例えば、細胞内カル
シウム、IP3、またはジアシルグリセロール濃度、細胞内タンパク質のリン酸
化プロファイル、細胞の増殖および/または移動、またはCARK調節転写因子
の活性をモニターすることによって検出し得る。次いで、プラスミドDNAを阻
害に成功した細胞から回収するか、または、別法として、該リガンドによるシグ
ナリングの助長および個別のクローンをさらに特徴付ける。
【0109】 単離したCARKタンパク質またはその部分または断片を免疫原として用い、
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製のための標準技術を使用してCA
RKに結合する抗体を生成する。完全長CARKタンパク質を使用し得るか、あ
るいは、本発明は免疫原として使用するためのCARKの抗原性ペプチド断片を
提供する。CARKの抗原性ペプチド断片は配列番号:2または8に示されたア
ミノ酸配列の少なくとも8個のアミノ酸残基を含み、CARKのエピトープを包
含して、該ペプチドに対して生起された抗体がCARKとの特異的免疫複合体を
形成するようにする。好ましくは、該抗原性ペプチドは少なくとも10個のアミ
ノ酸残基、より好ましくは少なくとも15個のアミノ酸残基、一層より好ましく
は少なくとも20個のアミノ酸残基、および最も好ましくは少なくとも30個の
アミノ酸残基を含む。
【0110】 該抗原性ペプチドに包含される好ましいエピトープは該タンパク質の表面条に
位置する領域、例えば、親水性領域、ならびに高い抗原性を持つ領域である(例
えば、図2を参照せよ)。
【0111】 典型的に、CARK免疫原を用いて、適当な対象(例えば、ウサギ、ヤギ、マ
ウスまたは他の哺乳類)を該免疫原で免疫することによって調製し得る。適当な
免疫原調製は、例えば、組換え的に発現されたCARKタンパク質または化学的
に合成されたCARKポリペプチドを含有し得る。該調製は、フロイント完全も
しくは非完全アジュバントまたは同様の免疫刺激剤のごときアジュバントをさら
に含む。免疫性CARK調製物での適当な対象の免疫化は、ポリクローナル抗C
ARK抗体反応を含む。
【0112】 従って、本発明のもう一つの局面は、抗CARK抗体に関する。本明細書にお
いて用いられる「抗体」なる語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分
子の免疫学的に活性な部分、すなわち、CARKのごとき抗原に特異的に結合す
る(免疫反応する)抗原結合サイトを含有する分子をいう。免疫グロブリンの免
疫学的に活性な部分の例は、該抗体をペプシンのごとき酵素で処理することによ
って生成し得るF(ab)およびF(ab’)断片を含む。本発明はCARK
に結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体を提供する。「モノクロー
ナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」なる語は、本明細書において用
いるとき、CARKの特定のエピトープと免疫反応できるただ1種の抗原結合サ
イトを含有する抗体分子の集団をいう。かくして、モノクローナル抗体組成物は
、典型的に、それが免疫反応する特定のCARKタンパク質に対して単一の結合
親和性を呈示する。
【0113】 ポリクローナル抗CARK抗体は、上記したごとく、適当な対象をCARK免
疫原で免疫化することによって調製し得る。該免疫化対象における抗CARK抗
体力価は、固定化CARKを用いる酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)での
ごとく、標準技術により、時間に対してモニターし得る。所望すれば、CARK
に対して指向された抗体分子を該哺乳類(例えば、血液)から単離し、IgG断
片を得るためのタンパク質Aクロマトグラフィーのごときよく知られた方法によ
りさらに精製し得る。免疫化後の適当な時刻にて、例えば、該抗CARK抗体力
価が最も高いとき、抗体生起細胞を該対象から得て、それを用いて、元来、[Ko
hler and Milstein (1975) Nature 256:495-497]により記載されたハイブリド
ーマ技術([Brown et al. (1981) J. Immunol. 127:539-46; Brown et al. (19
80) J. Biol. Chem. 255:4980-83; Yeh et al. (1976) Proc. Natl. Acad. Sci.
USA76:2927-31; and Yeh et al. (1982) Int. J. Cancer 29:269-75]も参照せ
よ)、より近年のヒトB細胞ハイブリドーマ技術[Kozbor et al. (1983) Immun
ol Today 4:72]、EBVハイブリドーマ技術[Cole et al. (19985), Monoclon
al Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss. Inc., pp.77-96]またはト
リオーマ技術のごとき標準技術によりモノクローナル抗体を調製し得る。モノク
ローナル抗体ハイブリドーマを産生する工学はよく知られている(概略は[R.H.
Kenneth, in Monoclonal Antibodies: A New Dimension In Biological Analys
es, Plenum Publishing Corp., New York, New York (1980); E.A. Lerner (198
1) Yale J. Biol. Med., 54:387-402; M.L. Gefer et al. (1977) Somatic Cell
Genet. 3:231-36]を参照せよ)。簡単には、不死細胞株(典型的には、ミエロ
ーマ)を上記のごとくCARK免疫原で免疫化した哺乳類からのリンパ球(典型
的には、脾臓細胞)に融合し、得られたハイブリドーマ細胞の培養上清をスクリ
ーンして、CARKに結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを
同定する。
【0114】 リンパ球と不死化細胞株とを融合させる多くのよく知られたプロトコルのいず
れかを抗CARKモノクローナル抗体を産生する目的に適用し得る(例えば、[
G. Galfre et al. (1977) Nature 266:55052; Gefter et al. Somatic Cell Gen
et., cited supra; Lerner, Yale J. Biol. Med. cited supra; Kinneth, Mnocl
onal Antibodies, cited supra]を参照せよ)。さらに、当業者は、それもまた
有用であろうそのような方法の多くの変形があることを正しく理解するであろう
。典型的に、該不死化細胞株(例えば、ミエローマ細胞株)はリンパ球のような
同一の哺乳類種に由来する。例えば、ネズミハイブリドーマは、不死化マウス細
胞株での本発明の免疫原性調製物で免疫化したマウスからのリンパ球を融合させ
ることによって産生し得る。好ましい不死細胞株は、ヒポキサンチン、アミノプ
テリンおよびチミジン(「HAT培地])を含有する培養培地に感受性であるマ
ウスミエローマ細胞株である。数多くのミエローマ細胞株のいずれも標準技術に
準じた融合パートナーとして使用し得る。例えば、P3−NS1/1−Ag4−
1、P3−x63Ag8.653またはSp2/O−Ag14ミエローマ系統で
ある。これらのミエローマ細胞株はATCCから入手できる。典型的に、ポリエ
チレングリコール(「PEG」)を用いて、HAT感受性マウスミエローマ細胞
をマウス脾臓細胞に融合する。次いで、該融合から生じたハイブリドーマ細胞を
未融合のおよび非生産的に融合したミエローマ細胞を殺す(未融合の脾臓細胞は
、それらは形質転換されないので数日後に死ぬ)HAT培地を用いて選択する。
本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞をCARKに結合す
る抗体につきハイブリドーマ培養上清をスクリーニング、例えば、標準ELIS
Aアッセイを用いて検出する。
【0115】 モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製するのに代えて、モノクローナ
ル抗CARK抗体を同定し、CARKで組換えコンビナトリアル免疫グロブリン
ライブラリー(例えば、抗体ファージ展示ライブラリー)をスクリーニングし、
それにより、CARKに結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離す
る。ファージ展示ライブラリーを作成し、スクリーニングするキットは商業的に
入手可能である(例えば、the Pharmacia Recombinant Pharge Antibody System
, Catalog No. 27-9400-01; およびthe Stratagene SurfZAPTM Pharge Display
Kit, Catalog No. 240612)。さらに、抗体展示ライブラリーを作成し、スクリ
ーニングするのに特に使用し易い方法および試薬の例は、例えば、[Ladner et
al. U.S. Patent No. 5,223,409; Kang et al. PCT Interanational Publicatio
n No. WO92/18619; Dower et al. PCT International Publication No. WO91/17
271; Winter et al. PCT International Publication No. WO92/20791; Marklan
d et al. PCT International Publication No. WO92/15679; Breitling et al.
PCT International Publication No. WO93/01288; McCafferty et al. PCT Inte
rnational Publication No. WO92/01047; Garrard et al. PCT International P
ublication No. WO92/09690; Ladner et al. PCT International Publication N
o. WO90/02809; Fuchs et al. (1991) Bio/Technology 9:1370-1372; Hay et al
. (1992) Hum. Antibod. Hybridomas 3:81-85; Huse et al. (1989) Science 24
6:1275-1278; Griffiths et al. (1993) EMBO J 12:725-734; Hawkins et al. (
1992) J. Mol. Biol. 226:889-896; Clarkson et al. (1991) nature 352:624-6
28Gram et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:3576-3580; Garrad et
al. (1991) Bio/Technology 9: 1373-1377; Hoogenboom et al. (1991) Nuc. Ac
id. Res. 19:4133-4137; Barbas et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8
8:7978-7882; and McCafferty et al. Nature (1990) 348:52-554]に見出され
る。
【0116】 さらに、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体のごとき組換え抗CARK抗
体は、ヒトおよび非ヒト部分を含み、それは標準組換えDNA技術を用いて産生
し得るが、本発明の範疇にある。そのようなキメラおよびヒト化モノクローナル
抗体は、当該分野で知られている組換えDNA技術により産生し得、例えば、[
Robinson et al. International Application No. PCT/US/8602269; Akira et a
l. European Patent Application 184,187; Taniguchi, M., European Patent A
pplication 171,496; Morrison et al. European Patent Application 173,494;
Neuberger et al. PCT International Publication No. WO86/01533; Cabilly
et al. U.S. Patent No. 4,816,567; Cabilly et al. European Patent Applica
tion 125,023; Better et al. (1988) Science 240:214-218; Nishimura et al.
(1987) Canc. Res. 47:999-1005; Wood et al. (1985) Nature 314:446-449; a
nd Shaw et al. (1988) J. Natl. Cancer Inst. 80:1553-1559; Morrison, S.L.
(1985) Science 229:1202-1207; Oi et al. (1986) Bio Techniques 4:214; Wi
nter U.S. Patent 5,225,539; Jones et al. (1986) Nature 321:552-525; Verh
oeyan et al. (1988) Science 239:1534; and Beidler et al. (1988) J. Immun
ol. 141:4053-4060]に記載された方法を用いる。
【0117】 抗CARK抗体(例えば、モノクローナル抗体)を用い、アフィニティークル
マトグラフィーまたは免疫沈降法のごとき標準技術を使用してCARKを単離し
得る。抗CARK抗体は、細胞からの天然CARK、および宿主細胞中で発現さ
れた組換え産出CARKの精製を容易にし得る。さらに、抗CARK抗体を用い
て、該CARKタンパク質の発現の冗長性およびパターンを評価するためにCA
RKタンパク質(例えば、細胞ライゼートまたは細胞上清)を検出し得る。抗C
ARK抗体を用いて、例えば、ある治療計画の効能を決定するための臨床的試験
手順の一部として、組織中のタンパク質レベルを診断的にモニターし得る。検出
は、該抗体を検出可能な基質と結合させること(例えば、物理的連結)によって
、容易にし得る。検出可能な基質の例は、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、
ルミネセント物質、生体ルミネセント物質、および放射性物質を含む。適当な酵
素の例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ガラクトシ
ダーゼ、またはアセチルコリンステラーゼを含み;適当な補欠分子族複合体の例
は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含み;適当な蛍
光物質の例は、ウンベリフェロン、フルオレッセイン、イソチオシアン酸フルオ
レッセイン、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレッセイン、塩化
ダンシルまたはフィコエリトリンを含み;ルミネセント物質の例は、ルミオール
を含み;生体ルミネセント物質の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、および
エクオリンを含み;および、適当な放射性物質の例は、125I131I、 SまたはHを含む。
【0118】III.組換え発現ベクターおよび宿主細胞 本発明のもう一つの局面は、CARKタンパク質(またはその部分)をコード
する核酸を含有するベクター、好ましくは、発現ベクターに関する。本明細書に
おいて用いるとき、「ベクター」なる語は、それが連結されているもう一つの核
酸分子を輸送できる核酸分子をいう。ベクターの一つの型は「プラスミド」であ
る、それは、その中にさらなるDNAセグメントをライゲートし得る環状二本鎖
DNAループをいう。もう一つの型のベクターは、ウィルス性ベクターであり、
ここに、さらなるDNAセグメントを該ウィルス性ベクターにライゲートし得る
。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞内で自律増殖できる(例え
ば、増殖の細菌起源を有する細菌性ベクターおよび上皮哺乳類ベクター)。他の
ベクター(例えば、非上皮哺乳類ベクター)を宿主細胞のゲノムに、該宿主細胞
への導入により、合体させ、それにより、該宿主細胞と共に複製する。さらに、
ある種のベクターは、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を指揮できる
。そのようなベクターは、本明細書において、「発現ベクター」という。一般に
、組換えDNA技術に有用な発現ベクターは、しばしば、プラスミドの形態であ
る。本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドが最
も普通に用いられる形態のベクターであるので、交換可能に使用し得る。しかし
ながら、本発明は、同等の機能を発揮するウィルス性ベクター(例えば、複製不
完全レトロウィルスのごとき、そのような他の形態の発現ベクターを含むことを
意図する。
【0119】 本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適した形態の
本発明の核酸を含み、それは、該組換え発現ベクターが発現に使用すべき宿主細
胞を基礎として選択された1以上の調節配列を含むことを意味し、それは発現さ
れるべき核酸配列に作動可能に連結されている。組換え発現ベクターの範囲内で
、「作動可能に連結された」とは、目的のヌクレオチド配列が、(例えば、in v
ivo転写/翻訳システムにおいて、または、該ベクターが該宿主細胞に導入され
る場合は、宿主細胞において)該ヌクレオチド配列の発現を許容するように該調
節配列に連結されていることを意味する。「調節配列」なる語は、プロモータ、
エンハンサーおよび発現制御因子(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むこ
とを意図する。そのような調節配列は、例えば、[Goeddel; Gene Expression T
echnology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, san Diego, CA (190
0)]に記載される。調節配列は、多くの型の宿主細胞におけるヌクレオチド配列
の本質的発現を指揮するもの、およびある種の宿主細胞においてのみ該ヌクレオ
チド配列の発現を指揮するもの(例えば、組織特異的調節配列)を含む。該発現
ベクターのデザインは、形質転換すべき宿主細胞の選択、所望するタンパク質の
発現のレベル等のような因子に依存し得ることは当業者により正しく理解される
であろう。本発明の発現ベクターを宿主細胞に導入し、それにより、本明細書に
記載された核酸(例えば、CARKタンパク質、CARKタンパク質の突然変異
形態、融合タンパク質等)によりコードされる融合タンパク質またはペプチドを
含むタンパク質またはペプチドを産生し得る。
【0120】 本発明の組換え発現ベクターは、原核または真核細胞におけるCARKタンパ
ク質の発現のためにデザインし得る。例えば、CARKタンパク質は、E.co
liのごとき細菌細胞、(バキュロウィルス発現ベクターを用いた)昆虫細胞、
酵母細胞または哺乳類細胞中で発現し得る。適当な宿主細胞は[Goeddel, Gene
Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Di
ego, CA (1990)]においてさらに議論される。あるいは、該組換え発現ベクター
は、例えば、T7プロモータ調節配列およびT7ポリメラーゼを用いて、in viv
oで転写および翻訳し得る。
【0121】 原核生物におけるタンパク質の発現は、最も頻繁に、融合または非融合タンパ
ク質のいずれかの発現を指揮する構成または誘発性プロモータを含有するベクタ
ーを持つE.coli中で行われる。融合ベクターは、その中でコードされるタ
ンパク質、通常は、該組換えタンパク質のアミノ末端に、多数のアミノ酸を付加
する。典型的に、そのような融合タンパク質は:3つの目的(1)組換えタンパ
ク質の発現を増大させること;(2)該組換えタンパク質の溶解性を増大させる
こと;および(3)アフィニティー精製におけるリガンドとして作用させること
によって、該組換えタンパク質の精製の助けとなることにかなう。しばしば、融
合タンパク質において、タンパク質加水分解切断サイトを該融合部分および該組
換えタンパク質の接合部に導入して、該組換えタンパク質の該融合部分からの分
離を可能にし、続いて、該融合タンパク質の精製を可能にする。疎のような酵素
およびそれらの同族認識配列は第10a因子、トロンビンおよびエンテロキナー
ゼを含む。典型的な融合発現ベクターは、pGEX[Pharmacia Biotech Inc,:
Smith, D.B. and Johnson, K.S. (1988) Gene 67:31-40]、pMAL[New Engl
and Biolabs, Berverly, MA]およびpRIT5[Pharmacia, Piscatgaway, NJ
]を含み、それらは、それぞれ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST
)、マルトースE結合タンパク質またはタンパク質Aを該標的組換えタンパク質
に融合する。
【0122】 精製融合タンパク質をCARK活性アッセイ(例えば、以下に詳細に記載する
直接アッセイまたは競合的アッセイ)に、または、例えば、CARKタンパク質
に特異的な抗体を生成するために、使用し得る。好ましい具体例において、本発
明のレトロウィルス発現ベクター中で発現されたCARK融合タンパク質を使用
して、骨髄細胞に感染させ、それを引続いて照射された移植者に移植する。次い
で、該対象の移植者の病理を充分な時間(例えば、6週間)が経過した後に調査
する。
【0123】 適当な誘発性非融合E.coli発現ベクターの例は、pTrc[Amann et a
l. (1988) Gene 69:301-315]およびpET11d[Studier et al., Gene Expr
ession Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego,
California (1990) 60-89]を含む。該pTrcベクターからの標的遺伝子発現
はハイブリッドtrp−lac融合プロモータからの宿主RNAポリメラーゼ転
写による。該pET11dベクターからの標的遺伝子発現は、共発現されたウィ
ルスRNAポリメラーゼ(T7gnl)により媒介されるT7gn10−lac
融合プロモータからの転写による。このウィルスベクターは、lacUV5プロ
モータの転写制御の下、T7 gnl遺伝子を抱える常在性プロファージ由来の
宿主株BL21(DE3)またはHMS174(DE3)により供給される。
【0124】 E.coliにおける組換えタンパク質発現を最大限にするストラテジーは、
損傷した空洞(an impaired cavity)を持つ宿主細菌中で該タンパク質を発現し
て、該組換えタンパク質をタンパク質加水分解的に切断することである[Gottes
man, S., Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic
Press, San Diego, California (1990) 119-128]。もう一つのストラテジーは
、発現ベクターに挿入すべき核酸の核酸配列を変化させて、各アミノ酸の個別の
コドンがE.coli中で優先的に使用されるようにすることである[Wada et a
l., (1992) Nucleic Acids Res. 20:2111-2118]。本発明の核酸配列のそのよう
な変化は標準DNA合成技術により行い得る。
【0125】 もう一つの具体例において、該CARKベクターは酵母発現ベクターである。
酵母S.cerivisae中の発現のためのベクターの例は、pYepSec
1[Baldari, et al. (1987) Embo J. 6:2229-234]、pMFa[Kurjan and He
rskowitz, (1982) Cell30:933-943]、pJRY88[Schultz et al. (1987) G
ene 4:113-123]、pYES2[Invitorogen Corporation, San Diego, CA]、
およびpicZ[InVitrogen Corp, San Diego, CA]を含む。
【0126】 あるいは、CARKタンパク質は、バキュロウィルス発現ベクターを用いて、
昆虫細胞中で発現し得る。培養した昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)におけるタ
ンパク質の発現のために入手可能なバキュロウィルスベクターはpAcシリーズ
[Smith et al. (1983) Mol, Cell Biol. 3:2156-2165]pVLシリーズ[Luckl
ow and Summers (1989) Virology 170:31-39]を含む。
【0127】 なおもう一つの具体例において、本発明の核酸は、哺乳類発現ベクターを用い
て、哺乳類細胞中で発現し得る。哺乳類発現ベクターの例は、pCDM8[Seed
, B. (1987) Nature 329:840]およびpMT2PC[Kaufman et al. (1987) EM
BO J. 6:187-195]を含む。哺乳類細胞中で用いる場合、該発現ベクターの制御
機能は、しばしば、ウィルス調節エレメントにより付与される。例えば、普通に
用いられるプロモータはポリオーマ、アデノウィルス2、サイトメガロウィルス
およびシミアンウィルス40に由来する。原核および真核細胞の両方についての
他の適当な発現系に関しては、[Sambrook, J., Fritsh E.F. and Maniatis, T.
Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd. ed., Cold Spring Harbor La
boratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1
989]の第16および17章を参照せよ。
【0128】 もう一つの具体例において、該組換え哺乳類発現ベクターは、特定の細胞型に
おいて優先的に核酸の発現を指揮できる(例えば、組織特異的調節エレメントを
用いて該核酸を発現する)。組織特異的調節エレメントは当該分野で知られてい
る。適当な組織特異的プロモータの非限定的な例は、アルブミンプロモータ(肝
臓特異的;[Pinkert et al. (1987) Genes Dev. 1:268-277])、リンパ系特異的
プロモータ[Calame and Eaton (1988) Adv. Immunol. 43:235-275]、特に、T
細胞受容体のプロモータ[Winoto and Baltimore (1989 EMBO J. 8:729-733]お
よび免疫グロブリン[Banerji et al. (1983) Cell 33:729-740; Queen and Bal
timore (1983) Cell 33:741-748]、ニューロン特異的プロモータ(例えば、神
経フィラメントプロモータ;[Byrne and Ruddle (1989) Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 86:5473-5477])、膵臓特異的プロモータ[Edlund et al. (1985) Scie
nce 230:912-916]および乳腺特異的プロモータ(例えば、乳漿プロモータ;[U
.S. Patent No. 4,873,316 and European Application Publication No. 264,16
6])を含む。発生的に調節されたプロモータは、例えば、ネズミホックスプロ
モータ[Kessel and Gruss (1900) Science 249:374-379]およびα−フェトプ
ロテインプロモータ[Campes and Tilghaman (1989) Genes Dev. 3:37-546]も
包含する。
【0129】 細胞株または微生物内の内在性CARK遺伝子の発現特徴は、非相同DNA調
節エレメントを安定な細胞株またはクローン化微生物のゲノムに挿入することに
よって修飾して、該挿入された調節エレメントが該内在性CARK遺伝子に作動
可能に連結されるようにすることができる。例えば、内在性CARK遺伝子は、
通常、「転写的にサイレント」であり、すなわち、CARK遺伝子は、細胞株ま
たは微生物において、通常、発現されないか、あるいは、非常に低いレベルでし
か発現されず、その細胞株または微生物において普通に発現された遺伝子産物の
発現をプロモートできる調節エレメントを挿入することによって活性化すること
ができる。あるいは、転写的にサイレントな内在性CARK遺伝子は、細胞型を
越えて働くプロミスカス調節エレメントの挿入により活性化することができる。
【0130】 非相同調節エレメントは、それを内在性CARK遺伝子に作動可能に連結され
るように、当業者によく知られ、例えば、[Chappel, U.S. Patent No. 5,272,0
71; PCT publication No. Wo91/06667, published May 16, 1991]に記載された
標的相同組換えのごとき技術を用いて、適当な細胞株または微生物に挿入するこ
とができる。
【0131】 本発明は、さらに、アンチセンス配向で該発現ベクターにクローン化された本
発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、該DNA分
子は、CARK mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の(該DNA
分子の転写による)発現を許容するように調節配列に作動可能に連結される。該
アンチセンス配向にクローン化された核酸に作動可能に連結された調節配列は、
種々の細胞型において該アンチセンスRNA分子の連続発現を指揮するものを選
び得る。例えば、ウィルスプロモータおよび/またはエンハンサー、または調節
配列は、アンチセンスRNAの構成組織特異的もしくは細胞型特異的発現を指揮
するものを選び得る。該アンチセンス発現ベクターは、アンチセンス核酸が高効
率の調節領域の制御の下で産生される組換えプラスミド、ファージミドまたは弱
められたウィルスの形態であり得、その活性は該ベクターが導入される細胞型に
より決定され得る。アンチセンス遺伝子を用いた遺伝子発現の調節の議論につい
ては、[Weintrab, H. et al., Antisense RNA as a molecular tool for genet
ic analysis, Reviews-Trends in Genetics, Vol. 1(1) 1986]を参照せよ。
【0132】 本発明のもう一つの局面は、本発明のCARK核酸分子、例えば、組換え発現
ベクターの範囲内のCARK核酸分子または、それが該宿主細胞のゲノムの特異
的サイトに相同的に組換わることを許容する配列を含有するCARK核酸分子が
導入される宿主細胞に関する。「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」なる語は
、本明細書において、交換可能に用いられる。そのような語は、特定の対象細胞
のみならず、そのような細胞の子孫もしくは潜在的な子孫をもいう。ある修飾が
突然変異または環境の影響のいずれかにより次世代に発生するかもしれないので
、実際には、そのような子孫は親細胞に同一ではないであろうが、依然として本
明細書に用いられる語の範疇にある。
【0133】 宿主細胞はいずれの原核または真核細胞であり得る。例えば、CARKタンパ
ク質はE.coliのごとき細菌細胞、昆虫細胞、酵母または(チャイニーズハ
ムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞のごとき)哺乳類細胞中で発現し
得る。他の適当な宿主細胞は当業者に知られている。
【0134】 ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術により、
原核または真核細胞に導入し得る。本明細書において用いるとき、「形質転換」
および「トランスフェクション」なる語は、外来の核酸(例えば、DNA)を宿
主細胞に導入するための様々な当該分野で認められた技術をいい、リン酸カルシ
ウムもしくは塩化カルシウム共沈、DEAE−デキストラン−媒介トランスフェ
クション、リポフェクション(lipofection)またはエレクトロポレーションを
含む。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクションする適当な方法は、[Sa
mbrook, et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd, ed., Cold Sp
ring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring
Harbor, NY, 1989]または他の研究マニュアルに見出される。
【0135】 哺乳類細胞の安定したトランスフェクションについては、用いる発現ベクター
およびトランスフェクション技術に依存して、細胞のほんの少しの画分のみが該
外来DNAをそれらのゲノムに組み込む。これらの組込み体を同定し、選択する
ために、一般に、選択可能なマーカー(例えば、抗菌に対する抵抗性)をコード
する遺伝子を目的の遺伝子と共に該宿主細胞に導入する。好ましい選択可能なマ
ーカーはG428、ヒグロミシンおよびメトトレキサートのごとき薬物に対して
抵抗性を与えるものを含む。選択可能なマーカーをコードする核酸は、CARK
タンパク質をコードするものと同一のベクターにつき宿主細胞に導入し得るか、
あるいは、別個のベクターにつき導入し得る。該導入された核酸で安定にトラン
スフェクトされた細胞は、(例えば、該選択可能なマーカーを取り込んでいる細
胞は生存するが、他方は死ぬ)薬物選択により同定し得る。
【0136】 培養中の原核または真核細胞のごとき、本発明の宿主細胞を用いて、CARK
タンパク質を産生(すなわち、発現)し得る。従って、本発明は、さらに、本発
明の宿主細胞を用いてCARKタンパク質を産生する方法を提供する。一つの具
体例において、該方法は、(CARKタンパク質をコードする組換え発現ベクタ
ーが導入されている)本発明の宿主細胞を適当な媒体中で、CARKタンパク質
が産生されるように培養することを特徴とする。もう一つの具体例において、該
方法は、さらに、CARKタンパク質を該媒体または該宿主細胞から単離するこ
とを特徴とする。
【0137】 本発明の宿主細胞を用いて、非ヒトトランスジェニック動物も生成し得る。例
えば、一つの具体例において、本発明の宿主細胞はCARKコーディング配列が
導入されている受精した卵母細胞または胚幹細胞である。次いで、そのような宿
主細胞を用いて、外来性CARKコーディング配列がそれらのゲノムに導入され
ている非ヒトトランスジェニック動物か、または内在性CARK配列が改変され
ている相同組換え動物を作製し得る。そのような動物は、CARKタンパク質の
機能および/または活性を研究するために、および、CARK活性のモジュレー
タを同定し、および/または評価するために有用である。本明細書において用い
るとき、「トランスジェニック動物」は、非ヒト動物、好ましくは哺乳類、より
好ましくはラットまたはマウスのごとき齧歯類であり、そこでは、該動物の1以
上の細胞がトランス遺伝子を含む。トランスジェニック動物の他の例は、非ヒト
霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両性類等を含む。トランス遺伝
子は、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムに組み込まれる外来DN
Aであり、該成熟動物のゲノムを保持し、それにより、該トランスジェニック動
物の1以上の細胞型または組織におけるコードされた遺伝子産物の発現を指揮す
る。本明細書において用いるとき、「相同組換え動物」は、非ヒト動物、好まし
くは哺乳類、より好ましくはマウスであり、そこでは、内在性CARK遺伝子は
、該内在性CARK遺伝子と該動物の細胞、例えば、該動物の発生に先立ち該動
物の胚細胞に導入された外来DNAとの間の相同組換えにより改変されている。
【0138】 本発明のトランスジェニック動物は、例えば、マイクロインジェクション、レ
トロウィルス感染により、受精した卵母細胞のオス前核にCARKコーディング
核酸を導入し、次いで、該卵母細胞が想像妊娠したメス仮親動物の中で発生でき
るするようにすることによって作製し得る。配列番号:1のCARK cDNA
配列をトランス遺伝子として非ヒト動物のゲノムに導入し得る。あるいは、マウ
スまたはラットCARK遺伝子(例えば、配列番号:7)のごときヒトCARK
遺伝子の非ヒト相同体をトランス遺伝子として使用し得る。もう一つのCARK
ファミリーメンバーのごときCARK遺伝子相同体は、(上記サブセクションI
にさらに記載された)配列番号:1、3、7もしくは9のCARK cDNAま
たは受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNA挿入体へ
のハイブリダイゼーションに基づき単離し、トランス遺伝子として使用し得る。
イントロン性配列およびポリアデニル化シグナルも該遺伝子に導入して該トラン
ス遺伝子の発現の効率を増大させ得る。組織特異的調節配列を作動可能にCAR
Kトランス遺伝子に連結して、特定の細胞に対してCARKタンパク質の発現を
指揮する。胚操作およびマイクロインジェクションによるトランスジェニック動
物、特に、マウスのごとき動物を作製する方法は、当該分野において慣例的にな
り、例えば、[U.S. Patent Nos. 4,736,866 and 4,870,009, both by Leder et
al., U.S. Patent No. 4.873,191 by Wagner et al.]および[Hogan, B., Man
ipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold S
pring Harbor, N.Y., 1986]に記載される。同様の方法を他のトランスジェニッ
ク動物の作製に用いる。トランスジェニック先駆動物は、そのゲノムにおけるC
ARK遺伝子の存在および/または該動物の組織または細胞におけるCARK
mRNAの発現に基づいて同定し得る。次いで、トランスジェニック動物を用い
て、該トランス遺伝子を保有するさらなる動物を育成し得る。さらに、CARK
タンパク質をコードするトランス遺伝子を保有するトランスジェニック動物を他
のトランス遺伝子を保有する他のトランスジェニック動物に育成し得る。
【0139】 相同組換え動物を作製するため、欠失、付加または置換が導入されているCA
RK遺伝子の少なくとも部分を含有するベクターを調製し、それにより、例えば
、該CARK遺伝子を改変、例えば、機能的に崩壊させる。該CARK遺伝子は
ヒト遺伝子(例えば、配列番号:3のcDNA)であり得るが、より好ましくは
ヒトCARK遺伝子(例えば、配列番号:9、または配列番号:1または7のヌ
クレオチドとのストリンジェント・ハイブリダイゼーションにより単離したcD
NA)の非ヒト相同体である。例えば、マウスCARK遺伝子を用いて、該マウ
スゲノム中の内在性CARK遺伝子を改変するのに適した相同組換え核酸分子、
例えば、ベクターを構築し得る。好ましい具体例において、該相同組換え核酸分
子は、相同組換えにより、該内在性CARK遺伝子が機能的に崩壊されるように
デザインし得る(すなわち、もはや機能性タンパク質をコードしない;「ノック
アウトベクター(knock out vector)」ともいう)。あるいは、該相同組換え核
酸分子は、相同組換えにより、該内在性CARK遺伝子が突然変異されるか、さ
もなければ改変されるが、依然として機能性タンパク質をコードするようにデザ
インし得る(例えば、上流調節領域を改変して、それにより、該内在性CARK
タンパク質の発現を改変し得る)。該相同組換え核酸分子において、該CARK
遺伝子の改変部分は、該CARK遺伝子の付加的な核酸配列により、その5’も
しくは3’末端に隣接して、該相同組換え核酸分子により運ばれる外来CARK
遺伝子と、細胞、例えば、胚幹細胞中の内在性CARK遺伝子との間に相同組換
えが生じるようにする。該付加的な隣接核酸分子は、該内在性遺伝子との成功し
た相同組換えに充分な長さである。典型的に、(該5’および3’の両末端にて
の)数キロベースの隣接DNAが該相同組換え核酸分子に含まれる(相同組換え
ベクターについて、例えば、[Thomas, K.R. and Capecchi M.R. (1987) Cell 5
1:503]を参照せよ)。該相同組換え核酸分子を細胞、例えば、胚幹細胞株に(
例えば、エレクトロポレーションにより)導入し、その内部で該導入されたCA
RK遺伝子が該内在性CARK遺伝子と相同組換えされている細胞を選択する(
例えば、[Li, E. et al. (1992) Cell 69:915]を参照せよ)。次いで、該選択
された細胞を動物(例えば、マウス)の胚盤胞に注入して、集合キメラを形成す
る(例えば、[Bradley, A. in Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:
A Practical Approach, E.J. Robertson, ed. (IRL, Oxfordm, 1987) pp. 113-1
52]を参照せよ)。次いで、キメラ胚を適当な想像妊娠メス仮親動物に移植し、
該胚を無理やり導入する。その生殖細胞中に該相同組換えDNAを抱える子孫を
用いて、該動物の全細胞が、該トランス遺伝子の生殖系列伝達により該相同組換
えDNAを含有する動物を育成し得る。相同組換え核酸分子、例えば、ベクター
、または、相同組換え動物は、[Bradley, a. (1991) Current Opinion in Biot
echnology 2:823-829]および[PCT Internatinal Publication Nos.: WO90/113
54 by Le Mouellec et al.; WO91/01140 by Smithies et al.; WO92/0968 by Zi
jlstra et al.; and WO93/04169 by Berns et al.]にさらに記載される。
【0140】 もう一つの具体例において、トランスジェニック非ヒト動物を作製し得、それ
は該トランス遺伝子の調節された発現を許容する選択された系を含有する。その
ような系の一つの例はバクテリオファージP1のcre/loxP組換え系であ
る。該cre/loxPリコンビナーゼ系の記載については、例えば、[Lasko
et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6232-6236]を参照せよ。組換
え系のもう一つの例は、Saccharomyces cerevisiaenのFLPリコンビナーゼ系
である[O'Gorman et al. (1991) Science 251:1351-1355]。cre/loxP
リコンビナーゼ系を用いて該トランス遺伝子の発現を調節するならば、該Cre
リコンビナーゼおよび選択されたタンパク質の両方をコードするトランス遺伝子
を含有する動物が必要である。そのような動物は、「二重」トランスジェニック
動物の構築、例えば、一方は選択されたタンパク質をコードするトランス遺伝子
を含有し、他方はリコンビナーゼをコードするトランス遺伝子を含有する2つの
トランスジェニック動物を交尾させることによって与え得る。
【0141】 本明細書に記載された非ヒトトランスジェニック動物のクローンは、[Wilmut
, I. et al. (1997) Nature 385:810-813]および[PCT International Publica
tion Nos. WO97/07668 and WO97/07669]に記載された方法に準じても作製し得
る。簡単には、該トランスジェニック動物からの細胞、例えば、体細胞を単離し
、導入して、成長サイクルから出てG期に進入させ得る。次いで、静止細胞は
、例えば、電気パルスの使用により、該静止細胞が単離された同一種の動物由来
の脱核卵母細胞に融合する。次いで、再構築した卵母細胞を培養して、それが桑
実胚または胚盤胞に発生するようにし、次いで、想像妊娠メス仮親動物に移植す
る。このメス仮親動物に産まれた子孫は、該細胞、例えば、体細胞が単離された
動物のクローンであろう。
【0142】IV.医薬組成物 本発明のCARK核酸分子、CARKタンパク質の断片および抗CARK抗体
(本明細書において、「活性化合物」ともいう)は投与に適した医薬組成物に配
合し得る。典型的に、そのような組成物は、該核酸分子、タンパク質、または抗
体および医薬上許容される担体を含む。本明細書において用いられるとき、「医
薬上許容される担体」は、医薬的投与に適合するいずれかのもしくは全ての溶剤
、分散媒、被覆剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤等を含むことを
意図する。医薬活性物質用のそのような媒体および剤の使用は当該分野でよく知
られている。いずれの従来の媒体または剤が該活性化合物と適合しない場合を除
いて、該組成物におけるその使用が意図される。補足活性化合物も該組成物に配
合し得る。
【0143】 本発明の医薬組成物はその意図される投与経路に適合するように調剤される。
投与経路の例は、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)
、経皮(局所)、経粘膜、および直腸投与を含む。非経口、皮内、または皮下ア
プリケーションに使用する溶液または懸濁液は以下の成分を含み得る:注射水、
食塩溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリ
コールまたは他の合成溶剤のごとき滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチ
ルパラベンのごとき抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリム;エチレ
ンジアミン四酢酸のごときキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩の
ごときバッファーおよび塩化ナトリウムまたはデキシトロースのごとき等張性を
調節するための剤を含み得る。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのごとき酸
または塩基で調節し得る。該非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のア
ンプル、使い捨てシリンジまたは複数用量バイアルに封入し得る。
【0144】 注射可能な使用に適した医薬組成物は、滅菌注射可能溶液または分散液の即席
調製用の滅菌水溶液(ここに、水溶性)または分散液および滅菌パウダーを含む
。静脈内投与に関し、適当な担体は生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM (BAS
F, Parsippany, NJ)またはリン酸塩バファー化食塩水(PBS)を含む。全て
の場合、該組成物は滅菌でなければならず、容易な注射可能性が存在する程度に
流体であるべきである。それは製造および貯蔵の条件下で安定でなけらばならず
、細菌または真菌のごとき微生物の汚染作用に対して保存的でなければならない
。該担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プ
ロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコール等)、およびそれらの
適当な混合物を含有する溶媒または分散液であり得る。適正な流動性は、例えば
、レシチンのごとき被覆剤の使用により、分散液の場合は必要とする粒径の維持
により、および表面活性剤の使用により、維持し得る。微生物の作用の防止は、
種々の抗菌または抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール
、アスコルビン酸、チメロサール等により達成し得る。多くの場合、等張剤、例
えば、マニトール、ソルビトールのごとき糖、ポリアルコール、塩化ナトリウム
を該組成物中に含むことが好ましい。該注射可能組成物の延長化された吸収は、
該組成物中に、吸収を遅延させる剤、例えば、一ステアリン酸アルミニウムおよ
びゼラチンを含むことによってもたらし得る。
【0145】 滅菌注射可能溶液は、必要量の該活性成分(例えば、CARKタンパク質また
は抗CARK抗体の断片)を適当な溶媒に、要すれば、上記した成分の1または
組合せを配合し、次いで、濾過滅菌により調製し得る。一般に、分散液は、該活
性成分を基礎的分散媒体および上記のものからの必要な他の成分を含有する滅菌
ビヒクルを配合することによって調製し得る。滅菌注射可能溶液の調製用の滅菌
パウダーの場合、好ましい調製の方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、それ
らは活性成分に加えて予め滅菌濾過したその溶液に由来するいずれの付随的に所
望する成分のパウダーを産する。
【0146】 一般に、経口組成物は、不活性希釈剤または食用担体を含む。それらはゼラチ
ンカプセルに封入するか、または錠剤に圧縮し得る。経口治療投与の目的のため
、該活性化合物は補形剤と共に配合し、錠剤、トローチまたはカプセルの形態で
使用し得る。経口組成物は、マウスウォッシュとして使用するための流動性担体
を用いても調製し得、ここに、該流動性担体中の化合物は経口的に適用し、パッ
と吐き出す(swished and expectorated)か、または飲み込む。医薬上適合する
結合剤および/またはアジュバント物質を該組成物の一部として含み得る。該錠
剤、丸剤、カプセル、トローチ等は以下の成分または同様の特性の化合物のいず
れかを含有し得る:微結晶性セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンのご
とき結合剤;デンプンまたはラクトースのごとき補形剤、アルギン酸、Primogel
、またはトウモロコシデンプンのごとき崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまた
はSterotesのごとき滑沢剤;コロイド状二酸化シリコンのごときグライダント(
glidant);スクロースまたはサッカリンのごとき甘味剤;または、ペパーミン
ト、サリチル酸メチルまたはオレンジ香味剤のごとき香味剤。
【0147】 吸入による投与に関し、該化合物は、適当な高圧ガス、例えば、二酸化炭素を
含有する加圧した容器またはディスペンサー、すなわち噴霧器からのエアロゾル
の形態で与える。
【0148】 全身投与は、経粘膜または経皮手段によってもなし得る。経粘膜または経皮投
与に関して、浸透すべきバリアに対して適当なペネトラントを該製剤中で用いる
。通常、そのようなペネトラントは、当該分野で知られており、例えば、経粘膜
投与に関して、洗剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を含む。経皮投与は、鼻
腔スプレーまたは坐薬の使用により達成し得る。経皮投与に関して、該活性化合
物は、当該分野で一般的に知られた軟膏、膏薬、ジェル、またはクリームに調剤
する。
【0149】 該化合物は、坐薬(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドのごとき従来
の坐薬基剤と共に)または直腸デリバリー用の停留浣腸の形態でも調製し得る。
【0150】 一つの具体例において、該活性化合物は、制御された放出製剤のごとく、体内
からの急速排除に対して該化合物を保護する担体と共に調製し、移植およびマイ
クロカプセル化デリバリーシステムを含む。酢酸エチレンビニル、ポリ酸無水物
、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸のごとき
、生分解性、生適合性ポリマーを使用し得る。そのような製剤の調製方法は当業
者に明らかであろう。該物質は、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals.
Inc.から商業的にも入手し得る。(感染した細胞に標的されたリポソームをウ
ィルス性抗原に対するモノクローナル抗体と共に含む)リポソーマル懸濁液も医
薬上許容される担体として使用し得る。これらは、例えば、[U.S. Patent No.
4,522,811]に記載された、当業者によく知られた方法に準じて、調製し得る。
【0151】 用量の投与および均一性の容易さのため、用量単位形態に経口または非経口組
成物に調剤するのが特に有利である。本明細書において用いられる用量単位形態
は、治療すべき対象に対する単位用量として適した物理的分割をいい:各単位は
、所望する治療効果を生ずると計算された所定量の活性化合物を必要な医薬担体
と一緒に含有する。本発明の用量単位形態の仕様は、該活性化合物の独特の特徴
および達成すべき特定の治療効果、および個体の治療用のそのような活性化合物
を配合する技術に本質的な限界に影響され、および、それらに直接的に依存する
【0152】 そのような化合物の毒性および治療効率は、例えば、LD50(母集団50%
を死に至らせる用量)およびED50(母集団の50%に治療上有効である用量
)を決定するための細胞培養または実験動物における標準医薬手順によって、決
定し得る。毒性と治療効果との用量比は治療インデックスであり、それを比LD
50/ED50と表現し得る。大きな治療インデックスを示す化合物が好ましい
。毒性副作用を示す化合物を用いることができるが、感染していない細胞への可
能性のある損傷を最小限にし、それにより、副作用を低減するために、そのよう
な化合物を感染した組織の部位に標的するデリバリーシステムをデザインするこ
とに注意すべきである。
【0153】 該細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータをヒトに用いる用量範
囲の調剤に使用し得る。好ましくは、そのような化合物の用量は、毒性をほとん
どもしくは全く持たないED50を含む循環濃度の範囲内にある。該用量は、採
用した用量形態および用いる投与経路に依存してこの範囲内で変化させ得る。本
発明の方法に用いるいずれの化合物に関しても、治療有効用量を先ず細胞培養ア
ッセイから評価し得る。用量を動物モデルにおいて調剤し、細胞培養で決定した
該IC50(すなわち、症状の半最大阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む
循環血漿濃度範囲を達成することができる。そのような情報を用いて、ヒトにお
ける有用な用量をより正確に決定し得る。血漿中のレベルは、例えば、高速液体
クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0154】 本明細書に定義したごとく、タンパク質またはポリペプチドの治療有効量(す
なわち、有効用量)は、約0.001ないし30mg/kg体重、好ましくは約
0.01ないし25mg/kg体重、より好ましくは約0.1ないし20mg/
kg体重、および一層より好ましくは約1ないし10mg/kg体重、2ないし
9mg/kg体重、3ないし8mg/kg体重、4ないし7mg/kg体重また
は5ないし6mg/kg体重の範囲にある。当業者は、ある種の因子が対象を有
効に治療のに必要な用量に影響し、それは、限定されないが、該疾患または障害
の重篤度、以前の治療、該対象の全般的な健康および/または年齢および存在す
る他の疾患を含むことを正しく理解するであろう。さらに、治療有効量のタンパ
ク質、ポリペプチド、または抗体での対象の治療は、単一治療を含み、好ましく
は一連の治療を含み得る。
【0155】 好ましい例において、対象は、約0.1ないし20mg/kg体重の間の範囲
の抗体、タンパク質またはポリペプチドで、約1ないし10週間、好ましくは2
ないし8週間、より好ましくは約3ないし7週間、および一層より好ましくは約
4、5、または6週間にわたり週1回治療する。治療に用いる有効用量の抗体、
タンパク質またはポリペプチドは特定の治療の途中で増減することができること
も正しく理解されるであろう。用量の変化が生じ、本明細書に記載された診断ア
ッセイの結果から明白になる。
【0156】 本発明は発現または活性を調整する剤を包含する。例えば、剤は小分子であろ
う。例えば、そのような小分子は、限定されないが、ペプチド、ペプチドミメテ
ィクス、アミノ酸、アミノ酸アナログ、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドア
ナログ、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、モル当たり約10,000グラ
ム未満の分子量を有する有機もしくは無機化合物(すなわち、ヘテロ有機および
有機金属化合物を含む)、モル当たり約5,000グラム未満の分子量を有する
有機もしくは無機化合物、モル当たり約1,000グラム未満の分子量を有する
有機もしくは無機化合物、モル当たり約500グラム未満の分子量を有する有機
もしくは無機化合物および塩、エステル、およびそのような化合物の他の医薬上
許容される形態を含む。小分子剤の適当な用量は通常の技術を有する医者、獣医
または研究者の知識内の多数の因子に依存することが理解される。該小分子の用
量は、例えば、治療すべき対象または試料の同一性、サイズ、および状態に依存
して、さらに、該組成物が投与される経路および、もし効力があれば、当該実施
者が、本発明の核酸またはポリペプチドに対して有して欲しいと該小分子に所望
する効果に依存して変化するであろう。
【0157】 典型的な用量は、対象または試料重量のキログラム当たりミリグラムまたはマ
イクログラム量の小分子を含む(例えば、キログラム当たり約1マイクログラム
ないし約500ミリグラム、キログラム当たり約100マイクログラムないし約
5ミリグラム、または、キログラム当たり約1マイクログラムないし約50マイ
クログラム)。小分子の適当な用量は、調整すべき発現または活性に関する該小
分子の効力に依存することがさらに理解される。そのような適当な用量は、本明
細書に記載されたアッセイを用いて決定することができる。これらの小分子の1
以上が、本発明のポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調整するために動
物(例えば、ヒト)に投与され、医者、獣医または研究者は、例えば、始めは比
較的低い用量を処方し、続いて、適当な反応が得られるまで用量を増すことがで
きる。さらに、いずれの特定の対象動物についての特別の用量レベルは、採用し
た特別の化合物の活性、該対象の年齢、体重、全般的な健康、性別および規定食
、投与の時刻、投与の経路、排出速度、いずれの薬物組合せ、および調整すべき
発現または活性を含む様々な因子に依存するであろう。
【0158】 さらに、抗体(またはその断片)は、サイトトキシン、治療剤または放射性金
属イオンのごとき治療部位にコンジュゲートすることができる。サイトトキシン
または細胞障害剤は細胞に有害ないずれの剤をも含む。例は、タキソール、サイ
トカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、ミトマイシン、エ
トポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルチチン、ドクソ
ルビチン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキアントロ
ン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グル
ココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールお
よびプロマイシン、およびそれらのアナログまたは相同体を含む。治療剤は、限
定されないが、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6−チオグアニン、
シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メ
クロルエタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BS
NU)およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド、ブサルファン、ジ
ブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ミトマイシンC、および白金(II
)シス−ジクロロジアミン(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例
えば、ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)およびドクソルビチン)、抗菌
剤(例えば、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、
ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、および抗有糸分裂剤(
例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)を含む。
【0159】 本発明のコンジュゲートを所与の生体反応を修飾するのに使用し得、該薬物部
位は古典的な化学治療剤に限定されると解釈されるべきではない。例えば、該薬
物部位は所望する生物学的活性を所有するタンパク質またはポリペプチドであろ
う。そのようなタンパク質は、例えば、アブリン、リシンA、プソイドモナスエ
クソトキシンまたはジフテリアトキシンのごとき毒;腫瘍壊死因子、α−インタ
ーフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織
プラスミノゲンアクチベータのごときタンパク質;または、例えば、リンフォカ
イン、インターロイキン−1(「IL-1」)、インターロイキン−2(「IL
−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロ
ニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」
)または他の成長因子のごとき生体反応修飾要因子を含む。
【0160】 そのような治療部位を抗体にコンジュゲートする技術は、よく知られている。
例えば、[Arnon et al. "Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Dru
gs In Cancer Therapy", in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reis
feld et al. (eds.), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985); Hellstrom et a
l., "Antibodies For Drug Delivery", in Controlled Drug Delivery (2nd Ed.
), Robinson et al. (eds.), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987); Thorpe
, "Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review", i
n Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, Pinch
era et al. (eds.), pp. 475-506 (1985); "Analysis, Results, And Future Pr
ospective Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwin et al. (e
ds.), pp. 303-16 (Academic Press 1985); and Thorpe et al., "The Preparat
ion And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates", Immunol. Rev
., 62:119-58 (1982)]を参照せよ。あるいは、抗体を第2の抗体にコンジュゲ
ートして、[Segal in U.S. Patent No. 4,676,980]に記載された抗体へテロコ
ンジュゲートを形成し得る。
【0161】 本発明の核酸分子をベクターに挿入し、遺伝子療法ベクターとして使用し得る
。遺伝子療法ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与([U.S. Patent 5.32
8,470]を参照せよ)によってか、または、定位固定性注射(例えば、[Chen et
al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3054-3057]を参照せよ)によっ
て対象に与え得る。該遺伝子療法ベクターの医薬調製物は、許容される希釈剤中
に含むか、あるいは、該遺伝子デリバリービヒクルが埋め込まれている低放出生
マトリクスを含み得る。あるいは、該完全遺伝子デリバリーベクターを組換え細
胞、例えば、レトロウィルスベクターから無傷で作製する場合、該医薬組成物は
該遺伝子デリバリーシステムを作製する1以上の声望を含み得る。
【0162】 該医薬組成物は、容器、パックまたはディスペンサー中に、投与のインストラ
クションと共に含まれ得る。
【0163】V.本発明の使用および方法 本明細書に記載された核酸分子、タンパク質、タンパク質相同体、および抗体
は1以上の以下の方法に使用し得る:(a)スクリーニングアッセイ;(b)前
兆医学(例えば、診断アッセイ、予後アッセイ、モニタリング臨床試験、および
遺伝薬理学);および(c)治療の方法(例えば、治療および予防)。本明細書
に記載されたごとく、本発明のCARKタンパク質は1以上の以下の活性を有し
:(1)それは、細胞受容体、例えば、心臓細胞成長因子受容体からの信号の伝
達を調節し;(2)それは、有糸分裂への細胞、例えば、心臓前駆体細胞の進入
を調整し;(3)それは、細胞分化を調整し;(4)それは、細胞死を調整し;
および(5)それは、細胞骨格機能、例えば、アクチン束形成を調整し、次いで
、かくして、例えば、(1)細胞受容体、例えば、心臓細胞成長因子受容体から
の信号の伝達を調節し;(2)有糸分裂への細胞、例えば、心臓前駆体細胞の進
入を調整し;(3)細胞分化を調整し;(4)細胞死を調整し;および(5)細
胞骨格機能、例えば、アクチン束形成を調整するのに使用し得る。
【0164】 本発明の単離した核酸分子は、例えば、(例えば、遺伝子療法において宿主細
胞中の組替え発現ベクターにより)CARKタンパク質を発現して、(例えば、
生体試料中の)CARK mRNAまたはCARK遺伝子中の遺伝子的改変を検
出し、以下にさらに記載するごとく、CARK活性を調整する。該CARKタン
パク質を用いて、CARK基質の不十分もしくは過剰な産生またはCARKイン
ヒビターの産生により特徴付けられる障害を治療し得る。さらに、該CARKタ
ンパク質を用いて、天然に産出するCARK基質をスクリーンし、CARK活性
を調整する薬物または化合物につきスクリーンし、ならびに、CARKタンパク
質の不十分もしくは過剰な産生、またはCARK野生型タンパク質と比較して減
少した、異常なもしくは望まない活性を有するCARKタンパク質形態の産生に
より特徴付けられる障害(例えば、細胞の増殖または分化に関連する障害)を治
療し得る。さらに、本発明の抗CARK抗体を用いて、CARKタンパク質を検
出し、単離し、CARKタンパク質の生体内利用効率を調節し、次いで、CAR
K活性を調整し得る。
【0165】 A.スクリーニングアッセイ: 本発明はモジュレータ(すなわち、CARKタンパク質に結合する候補または
試験化合物または剤(例えば、ペプチド、ペプチドミメティクス、小分子まては
他の薬物が、例えば、CARK発現もしくはCARK活性への刺激性または阻害
性効果を有しているか、あるいは、例えば、CARK基質の発現もしくは活性へ
の刺激性または阻害性効果を有している)を同定する方法(本名愛書において、
「スクリーニングアッセイ」ともいう)を提供する。
【0166】 ひとつの具体例において、本発明は、CARKタンパク質またはポリペプチド
または生物学的に活性なその部分の基質である候補または試験化合物をスクリー
ンするアッセイを提供する。もう一つの具体例において、本発明は、CARKタ
ンパク質またはポリペプチドまたは生物学的に活性なその部分に結合するか、あ
るいはそれらの活性を調整する候補または試験化合物をスクリーンするアッセイ
を提供する。本発明の試験化合物は、当該分野で知られているコンビナトリアル
ライブラリー法における数多くのアプローチのいずれかを用いて獲得し得:生体
ライブラリー;空間的アドレス指定可能平行固相もしくは液相ライブラリー;デ
コンボリューションを要する合成ライブラリー法;「ワンビーズワンコンパウン
ド(one-bead one-compound)ライブラリー法;およびアフィニティークロマト
グラフィー選択を用いる合成ライブラリー法を含む。生物学的ライブラリー法は
、ペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチがペプチド、非
ペプチドオリゴマー、または化合物の小分子ライブラリーに適用可能である[La
m, K.S. (1997) Anticancer Drug Des. 12:145]。
【0167】 分子ライブラリーの合成方法の例は、当該分野に見出され、例えば、[DeWitt
et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6909; Erb et al. (1994)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422; Zuckermann et al. (1994 J. Med. Che
m. 37:2678; Cho et al. (1993) Science 261:1303; Carrell et al. (1994) An
gew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059; Carrell et al. (1994) Angew. Chem. In
t. Ed. Engl. 33:2061; and Gallop et al. (1994) J. Med. Chem. 37:1233]に
見出し得る。
【0168】 化合物のライブラリーは、溶液中(例えば、[Houghten (1992) Biotechnique
s 13:412-421])、またはビーズ[Lam (1991) Nature 354:82-84]、チップ[F
odor (1993) Nature 364:55-556]、細菌[Lndner U.S. Patent 5,223,409]、
胞子[Ladner U.S. Patent '409]、プラスミド[Cull et al. (1992) Proc Nat
l Acad Sci USA 89:1865-1869]、またはファージ[Scott and Smith (1990) Sc
ience 249:386-390];[Devlin (1990) Science 249:404-406];[Cwirla et
al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382];[Felici (1991) J. Mol
. Biol. 222:301-310];[Landner supra]上に存在させ得る。
【0169】 一つの具体例において、アッセイは、細胞ベースのアッセイであり、そこでは
、CARKタンパク質または生物学的に活性なその部分を発現する細胞を試験化
合物に接触させ、該試験化合物がCARK活性を調整する能力が決定される。該
試験化合物がCARK活性を調整する能力の決定は、例えば、細胞内カルシウム
、IP3またはジアシルグリセロール濃度、細胞内タンパク質のリン酸化プロフ
ァイル、細胞の増殖および/または移動、またはCARK調節転写因子の活性を
モニターすることによって達成される。該細胞は、例えば、哺乳類のもの、例え
ば、心臓細胞であり得る。
【0170】 該試験化合物が基質へのCARK結合を調整する能力、または該試験化合物が
CARKに結合する能力も決定し得る。該試験化合物が基質へのCARK結合を
調整する能力の決定は、例えば、該CARK基質を放射性同位体、または酵素標
識と結合して、CARKへの該CARK基質の結合が複合体中の標識化CARK
基質を検出することによって決定し得るようにすることによって達成し得る。該
試験化合物がCARKに結合する能力は、例えば、該化合物を放射性同位体、ま
たは酵素標識と結合して、CARKへの該化合物の結合が複合体中の標識化CA
RK化合物を検出することによって決定し得るようにすることによって達成し得
る。例えば、化合物(例えば、CARK基質)は、直接的または間接的にかのい
ずれかで125I、35S、14C、またはHで標識化し得、該放射性同位体
を放射能放射の直接計数か、またはシンチレーション計数により検出し得る。あ
るいは、化合物は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファタ
ーゼ、またはルシファラーゼで酵素的に標識し得、該酵素標識を適当な基質が生
成する転換率の決定により検出する。
【0171】 化合物(例えば、CARK基質)がCARKに相互作用する能力をいずれの相
互作用物にも標識することなく決定することも本発明の範疇である。例えば、マ
イクロフィジオメータ(microphysiometer)を用いて、該化合物または該CAR
Kのいずれにも標識することなく化合物とCARKの相互作用を検出し得る[Mc
Connell, H.M. et al. (1992) Science 257:1906-1912]。本明細書において用
いるとき、「マイクロフィジオメータ」(例えば、Cytosensor)とは、細胞がそ
の環境を酸性化する速度を光アドレッサブル電位差センサー(Light-addressabl
e potentiometric sensor; LAPS)を用いて測定する分析機器である。この
酸性化速度の変化を化合物とCARKとの相互作用の指示として使用し得る。
【0172】 もう一つの具体例において、アッセイは、CARK標的分子(例えば、CAR
K基質)を発現する細胞を試験化合物に接触させ、次いで、該試験化合物が該C
ARK標的分子の活性を調整(例えば、刺激または阻害)する能力を決定するこ
とを特徴とする細胞ベースのアッセイである。該試験化合物がCARK標的分子
の活性を調整する能力は、例えば、該CARKタンパク質が該CARK標的分子
に結合するか、または相互作用する能力を決定することによって達成し得る。
【0173】 該CARKタンパク質または生物学的に活性なその断片がCARK標的分子に
結合するか、またはそれと相互作用する能力の決定は、直接結合を決定するため
の上記した方法の一つにより達成し得る。好ましい具体例において、該CARK
タンパク質がCARK標的分子に結合するか、またはそれと相互作用する能力の
決定は、該標的分子の活性を決定することによって達成し得る。例えば、該標的
分子の活性は、該標的の細胞の第2のメッセンジャー(例えば、細胞内Ca2+ 、ジアシルグリセロール、IP3等)の誘導を検出するか、該標的の適当な基質
の触媒性/酵素性活性を検出するか、(検出可能なマーカー、例えば、ルシフェ
ラーゼをコードする核酸に作動可能に連結された標的反応性調節エレメントを含
む)レポーター遺伝子の誘導を検出するか、または標的調節細胞反応を検出する
ことによって決定し得る。
【0174】 なおもう一つの具体例において、本発明のアッセイは無細胞アッセイであり、
そこでは、CARKタンパク質または生物学的に活性なその部分を試験化合物に
接触させ、該試験化合物が該CARKタンパク質または生物学的に活性なその部
分に結合する能力を決定する。本発明のアッセイにおいて用いられるべき好まし
いCARKタンパク質の生物学的に活性な部分は、非CARK分子との相互作用
に参加する断片、例えば、高い表面確率スコアの断片(例えば、図2を参照せよ
)を含む。該試験化合物の該CARKタンパク質への結合は、上記のごとく、直
接的にかまたは間接的にかのいずれかで決定し得る。好ましい具体例において、
該アッセイは、該CARKタンパク質または生物学的に活性なその部分をCAR
Kと結合してアッセイ混合物を形成する既知の化合物に接触させ、該アッセイ混
合物を試験化合物と接触させ、次いで、該試験化合物がCARKタンパク質と相
互作用する能力を決定することを含み、ここに、該試験化合物がCARKタンパ
ク質と相互作用する能力の決定は、該試験化合物が、CARKタンパク質または
生物学的に活性なその部分に、該既知の化合物と比較して優先的に結合する能力
の決定を含む。
【0175】 もう一つの具体例において、該アッセイは、無細胞アッセイであり、そこでは
、CARKタンパク質または生物学的に活性なその部分を試験化合物に接触させ
、該試験化合物が該CARKタンパク質または生物学的に活性なその部分の活性
を調整(例えば、刺激または阻害)する能力を決定する。該試験化合物が該CA
RKタンパク質または生物学的に活性なその部分の活性を調整する能力の決定は
、例えば、該CARKタンパク質がCARK標的分子に結合する能力を直接結合
を決定するための上記の方法の1により決定することによって達成し得る。該C
ARKタンパク質がCARK標的分子に結合する能力は、リアルタイム生体分子
相互作用分析(BIA)のごとき工学を用いても達成し得る。[Sjolander, S.
and Urbaniczky, C. (1991) Anal. Chem. 63:2338-2345]および[Szabo et al.
(1995) Curr. Opin. Struct. Biol. 5:699-705]。本明細書においてもちいる
とき、「BIA」とは、相互作用物のいずれにも標識することなく、リアルタイ
ムで生体特異的相互作用を研究するための工学である(例えば、BIAcore
)。表面プラズモン共鳴(SPR)の光学現象の変化を生体分子間のリアルタイ
ム相互作用の指示として使用し得る。
【0176】 代わりの具体例において、該試験化合物がCARKタンパク質の活性を調整す
る能力は、該CARKタンパク質がCARK標的分子の下流エフェクターの活性
さらに調整する能力を決定することによって達成し得る。例えば、適当な標的に
対する該エフェクター分子の活性を決定し得るか、あるいは、前記したごとく、
該エフェクターの適当な標的への結合を決定し得る。
【0177】 なおもう一つの具体例において、該無細胞アッセイは、CARKタンパク質ま
たは生物学的に活性なその部分を該CARKと結合してアッセイ混合物を形成す
る既知の化合物に接触させ、該アッセイ混合物を試験化合物と接触させ、次いで
、該試験化合物がCARKタンパク質と相互作用する能力を決定することを含み
、ここに、該試験化合物がCARKタンパク質と相互作用する能力の決定は、該
CARKタンパク質がCARK標的分子に優先的に結合するか、またはCARK
標的分子の活性を調整する能力の決定を含む。
【0178】 本発明の無細胞アッセイは、単離したタンパク質(例えば、CARKタンパク
質または生物学的に活性なその部分)の可溶および/または膜結合の形態の両方
の使用に適用しやすい。膜結合形態の単離したタンパク質を用いる無細胞アッセ
イの場合、可溶化剤を用いて、該膜結合形態の単離したタンパク質を溶液中に維
持するようにすることが望ましいであろう。そのような可溶化剤の例は、n−オ
クチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタ
ニル−N−メチルグルコアミド、デカニル−N−メチルグルコアミド、Trit
on X−100、Triton X−114、Thesit、イソトリデ
シポリ(エチレングリコールエーテル)、スルホン酸3−[(3−コルアミド
プロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパン(CHAPS)、スルホン酸3
−[(3−コルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−
プロパン(CHAPSO)、またはスルホン酸N−ドデシル=N,N−ジメチル
−3−アンモニオ−1−プロパンを含む。
【0179】 本発明の上記アッセイ法の1を超える具体例において、CARKまたはその標
的分子のいずれかを固定化して、該タンパク質の一つもしくは両方の非複合化形
態からの複合化形態の分離を容易にし、ならびに該アッセイの自動化を適応させ
る。試験化合物のCARKタンパク質への結合または、候補タンパク質の存在下
および不存在下におけるCARKタンパク質と標的分子との相互作用は、該反応
物を含有するのに適したいずれの容器中でも達成し得る。そのような容器の例は
、ミクロ滴定プレート、試験管、ミクロ遠心管を含む。一つの具体例において、
該タンパク質の一つもしくは両方がマトリクスに結合されるようにするドメイン
を付加する融合タンパク質を提供し得る。例えば、グルタチオン−S−トランス
フェラーゼ/CARK融合タンパク質またはグルタチオン−S−トランスフェラ
ーゼ/標的融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemic
al. St. Louis, MO)またはグルタチオン誘導化ミクロ滴定プレート上に吸着さ
せ得、次いで、それらを該試験化合物、または該試験化合物および未吸着標的タ
ンパク質もしくはCARKタンパク質のいずれかと組合せ、該混合物を複合体形
成に導き得る条件下(例えば、塩およびpHの生理条件にて)インキュベートす
る。インキュベーション後、該ビーズまたはミクロ滴定ウェルを洗浄して、いず
れの未結合成分も除去し、ビーズの場合、該マトリクスを固定化し、複合体を直
接的にまたは間接的にかのいずれかで決定する。あるいは、該複合体は該マトリ
クスから解離し得、CARK結合または活性のレベルを標準技術を用いて決定す
る。
【0180】 タンパク質をマトリクス上に固定化するための他の方法は、本発明のスクリー
ニングアッセイにも使用し得る。例えば、CARKタンパク質またはCARK標
的分子のいずれかは、ビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲーション
を使用して固定化し得る。ビオチン化したCARKタンパク質または標的分子は
、当該分野で知られている技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals
, Rockford, IL)を用いてビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド
)から調製し得、ストレプトアビジン−コーティド96ウェルプレート(Pierce
Chemical)に固定化し得る。あるいは、CARKタンパク質または標的分子と
反応するが、該CARKタンパク質のその標的分子への結合は妨害しない抗体を
該プレートのウェルに誘導化し得、未結合標的またはCARKタンパク質を抗体
コンジュゲーションによりトラップする。そのような複合体の検出方法は、該G
ST−固定化複合体につき上記したものに加えて、該CARKタンパク質または
標的分子に反応する抗体を用いる免疫検出ならびに、該CARKタンパク質また
は標的分子に関する酵素活性を検出することに頼る酵素結合アッセイを含む。
【0181】 もう一つの具体例において、CARK発現のモジュレータは、細胞を候補化合
物に接触させ、該細胞におけるCARK mRNAまたはタンパク質の発現を決
定する方法において同定される。該候補化合物の存在下でのCARK mRNA
またはタンパク質の発現のレベルを該候補化合物の不存在下でのCARK mR
NAまたはタンパク質の発現のレベルと比較する。次いで、この比較に基づき、
該候補化合物をCARK発現のモジュレータと同定し得る。例えば、該候補化合
物の存在下におけるCARK mRNAまたはタンパク質の発現がその不存在下
においてよりも高い(統計的に有意に高い)場合、該候補化合物はCARK m
RNAまたはタンパク質のスティムレータと同定される。あるいは、該候補化合
物の存在下におけるCARK mRNAまたはタンパク質の発現がその不存在下
においてよりも低い(統計的に有意に低い)場合、該候補化合物はCARK m
RNAまたはタンパク質のインヒビターと同定される。一つの具体例において、
CARK mRNAまたはタンパク質発現を心臓血管障害の細胞ベースモデル、
例えば、心臓筋細胞肥大症のモデルにおいてモニターする[Kariya, K. et al.
(1994) J. Biol. Chem. 69:3775-3782]。該細胞におけるCARK mRNAま
たはタンパク質発現のレベルは、CARK mRNAまたはタンパク質を検出す
るための本明細書に記載された方法によって決定し得る。
【0182】 本発明のなおもう一つの局面において、該CARKタンパク質はツーハイブリ
ッドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイにおいて「餌タンパク質(bait
protein)」として用いて(例えば、[U.S. Patent No. 5,283,317; Zervos et
al. (1993) Cell 72:223-232; Madura et al. (1993) J. Biol. Chem. 268:120
46-12054; Bartel et al. (1993 Biotechniques 14:920-924; Iwabuchi et al.
(1993) Oncogene 8:1693-1696; and Brent WO94/10300]を参照せよ)、CAR
Kと結合または相互作用し、CARK活性に関わる他のタンパク質(「CARK
結合タンパク質」または「CARK−bp」)を同定する。そのようなCARK
結合タンパク質は、例えば、CARK媒介シグナリング経路の下流エレメントと
して、該CARKタンパク質またはCARK標的による信号の伝播にも関わって
いるようである。あるいは、そのようなCARK結合タンパク質はCARKイン
ヒビターのようである。
【0183】 ツーハイブリッドシステムは、分離可能なDNA結合および活性化ドメインよ
りなるほとんどの転写因子のモジュール特性に基づく。簡単には、該アッセイは
二つの異なるDNA構築物を使用する。一方の構築物において、CARKタンパ
ク質につきコードする遺伝子を既知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA
をコードする遺伝子に融合する。他方の構築物において、DNA配列のライブラ
リーからの未同定タンパク質(「獲物(prey)」または「試料」)をコードする
DNA配列を該既知の転写因子の活性化ドメインにつきコードする遺伝子に融合
する。該「餌」および「獲物」タンパク質がin vivoで相互作用して、CARK
依存性複合体を形成できれば、該転写因子のDNA結合および活性化ドメインを
近接させる。この近接が、該転写因子に反応する転写調節サイトに作動可能に連
結されたレポータ遺伝子(例えば、LacZ)の転写を許容する。該レポータ遺
伝子の発現を検出し得、該機能性転写因子を含有する細胞コロニーを単離し、該
CARKタンパク質と相互作用するタンパク質をコードするクローン化遺伝子を
獲得するのに使用し得る。
【0184】 もう一つの局面において、本発明は本明細書に記載された2以上のアッセイの
組合せに関する。例えば、モジュレーティング剤を細胞ベースのもしくは無細胞
のアッセイを用いて同定し得、該剤がCARKタンパク質の活性を調整する能力
をin vivo、例えば、心臓血管障害の動物モデル、例えば、心臓筋細胞肥大のモ
デルのごとき動物中で確認し得る。
【0185】 本発明は、さらに、上記したスクリーニングアッセイにより同定された新規剤
に関する。従って、本明細書に記載されたように同定された剤を適当な動物モデ
ルにさらに用いることは本発明の範疇にある。例えば、本明細書に記載されたよ
うに同定された剤(例えば、CARKモジュレーティング剤、アンチセンスCA
RK核酸分子、CARK特異的抗体、またはCARK結合パートナー)を動物モ
デルに用いて、そのような剤での治療の効能、毒性または副作用を決定し得る。
あるいは、本明細書に記載されたように同定された剤を動物モデルに用いて、そ
のような剤の作用の機序を決定し得る。さらに、本発明は,本明細書に記載され
た治療につき上記したスクリーニングアッセイにより同定された新規剤の使用に
関する。
【0186】B.検出アッセイ 本明細書において同定されたcDNA配列の部分または断片(および対応する
完全遺伝子配列)は、数多くの方法にポリヌクレオチド試薬として使用し得る。
例えば、これらの配列は、(i)それらの各遺伝子を染色体上にマップし、かく
して、遺伝疾患に関連する遺伝子領域を位置付け;(ii)微細な生体試料から
個体を同定し(組織タイピング);および(iii)生体試料の法廷鑑定を援助
するために用い得る。これらのアプリケーションは以下のサブセクションに記載
される。
【0187】1.染色体マッピング 一旦、遺伝子の配列(または該配列の部分)を単離してしまえば、この配列を
用いて、該遺伝子の位置を染色体上にマップし得る。このプロセスを染色体マッ
ピングと呼ぶ。従って、本明細書に記載された該CARKヌクレオチド配列の部
分または断片を用いて、該CARK遺伝子の位置を染色体上にマップし得る。該
CARK配列の染色体上へのマッピングは、これらの配列を疾患と関連する遺伝
子に相関付けるのに重要な第一ステップである。該CARK遺伝子はヒト染色体
1の房室管欠損(AVCD)遺伝子座内にマップされている[Sheffield, VC et
al. (1997) Human Molecular Genetics, 6:117-121]。
【0188】 簡単には、CARK遺伝子は、該CARKヌクレオチド配列からPCRプライ
マー(好ましくは、長さにおいて15〜25bp)を調製することによって、染
色体にマップし得る。該CARK配列のコンピュータ解析を用いて、該ゲノムD
NA中の1を超えるエキソンには広がらないプライマーを予想し得、かくして、
該増幅プロセスを複雑化する。次いで、これらのプライマーを個々のヒト染色体
を含有する体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために使用し得る。該
CARK配列に対応するヒト遺伝子を含有するそれらのハイブリッドのみが増幅
断片を生ずるであろう。
【0189】 体細胞ハイブリッドは、異なる哺乳類からの体細胞(例えば、ヒトおよびマウ
ス細胞)を融合させることによって調製する。ヒトおよびマウス細胞のハイブリ
ッドが成長し、分化するとき、それらは、無作為順にヒト染色体を次第に失うが
、マウス染色体は保持する。マウス細胞は、それらが特定の酵素を欠如している
ため、成長できないが、ヒト細胞は成長できる培地を用いて、必要な酵素をコー
ドする遺伝子を含有する1のヒト染色体を保持するであろう。種々の培地を用い
て、ハイブリッド細胞株のパネルを作製する。パネル中の各細胞株は、単一のヒ
ト染色体または少数のヒト染色体およびマウス染色体の完全なる組のいずれかを
含有し、特定のヒト染色体への個々の遺伝子の容易なマッピングを許容する[D'
Eustachio P. et al. (1983) Science 220:919-924]。ヒト染色体の断片のみを
含有する体細胞ハイブリッドは、転座および欠失をもつヒト染色体を用いること
によっても産生し得る。
【0190】 体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは、特定の配列を特定の染色体に帰属
するための急速手法である。単一の熱サイクラーを用いて、1日に3つ以上の配
列を帰属し得る。該CARKヌクレオチド配列を用いてオリゴヌクレオチドプラ
イマーをデザインすれば、特定の染色体由来の断片のパネルで細分化位置付けを
達成し得る。CARK配列をその染色体にマップするのに同様に使用し得る他の
マッピングストラテジーは、([Fan, Y. et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Ac
i. USA, 87:6223-27]に記載される)in situハイブリダイゼーション、標識し
た流動分類した(flow-sorted)染色体での予備スクリーニング、および染色体
特異的cDNAライブラリーへのハイブリダイゼーションによる予備選択を含む
【0191】 さらに、中期染色体拡散(metaphase chromosomal spread)へのDNA配列の
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を用いて1ステップで正確な
染色体位置付けを与え得る。染色体拡散は、紡錘体を崩壊するコルセミドのごと
き化学品により中期において分化がブロックされている細胞を用いてなし得る。
該染色体を手短にトリプシンで処理し、次いで、Giemasaで染色し得る。明暗バ
ンドのパターンを各染色体につき現像し、該染色体を別個に認識し得るようにす
る。該FISH技術を500または600塩基程度の短さのDNA配列とともに
使用し得る。しかしながら、1,000塩基より長いクローンは、単純な検出に
対して充分な信号強度を持って独特の染色体に結合する見込みがより高い。好ま
しくは、1,000塩基、およびより好ましくは2,000塩基が、ほどよい時
間量にて良好な結果を得るのに充分であろう。この技術のレビューについては、
[Verma et al., Human Chromosomes: A Manual of Basic Techniques (Pergamo
n Press, New York 1988)]を参照せよ。
【0192】 染色体マッピングのための試薬を別個に用いて、単一の染色体もしくはその染
色体上の単一サイトをマークし得るか、または試薬のパネルを複数のサイトおよ
び/または複数の染色体をマークするのに使用し得る。実際に、該遺伝子の非コ
ーディング領域に対応する試薬がマッピングの目的には好ましい。コーディング
配列は遺伝子ファミリー内に保存され、かくして、染色体マッピング中にクロス
ハイブリダイゼーションの機会を増大させることはよりもっともらしい。
【0193】 一旦、配列が正確な染色体位置にマップされてしまえば、該染色体上の配列の
物理的位置を遺伝子マップデータと相関付け得る(そのようなデータは、例えば
、Johns Hopkins University Welch Medical Libraryからオンラインで入手可能
な[V. McKusick, Mendelian Inheritance in Man]に見られる)。次いで、同
一の染色体領域にマップされた遺伝子および疾患の関係を連鎖解析(物理的に隣
接する遺伝子の共遺伝)で同定し得、例えば、[Egeland, J. et al. (1987) Na
ture, 325:783-787]に記載されている。
【0194】 さらに、CARK遺伝子に関連する疾患に罹患した個体および罹患していない
個体の間のDNA配列における差異を決定し得る。突然変異が該罹患した個体の
いくつかもしくはすべてに観察されるがいずれの該罹患していない個人には観察
されないならば、該突然変異が該特定の疾患の原因となる媒介であろう。一般に
、罹患したおよび罹患していない個体間の比較は、先ず、染色体拡散から見える
か、そのDNA配列に基づくPCR増幅を用いて検出可能な欠失もしくは転座の
ごとき、該染色体における構造的改変を見ることを含む。最終的に、いくつかの
個体からの遺伝子の完全配列決定を行って、突然変異の存在を確認し、多型性か
ら突然変異を識別し得る。
【0195】2.組織タイピング 本発明のCARK配列を用いて、微少な生体試料からも個体を同定し得る。例
えば、米軍はその全職員の身分証明に制限酵素断片長多型(restriction fragme
nt length polymorphism; RFLP)の使用を検討している。この技術において
、個体のゲノムDNAを1以上の制限酵素で消化し、サザンブロットでプローブ
して身分証明のための特有バンドを得る。この方法は、紛失し、交換され、また
は盗難され得、明確な身元確認を困難にする「ドッグタグ」の現行の制限を受け
ない。本発明の配列はRFLP用のさらなるDNAマーカーとして有用である(
U.S. Patent 5,272,057に記載される)。
【0196】 さらに、本発明の配列を用いて、個体のゲノムの選択された部分の実際の塩基
−塩基DNA配列を決定する代替技術を提供し得る。かくして、本明細書に記載
されるCARKヌクレオチド配列を用いて該配列の5’および3’末端から2つ
のPCRプライマーを調製し得る。次いで、これらのプライマーを用いて、個体
のDNAを増幅し、その後、それを配列決定し得る。
【0197】 このようにして調製された、個体からのDNA配列に対応するパネルは特有の
個体同一性認識を与え、そのとき、各個体は、対立遺伝子差異のためそのような
DNA配列の特有の組を有するであろう。本発明の配列を用いて、個体または組
織からそのような同一性配列を獲得し得る。本発明のCARKヌクレオチド配列
は、独特の方法で、該ヒトゲノムの部分を表す。対立遺伝子突然変異は、これら
の配列のコーディング領域中にある程度発生し、非コーディング領域中にはより
高い程度で発生する。別個のヒトの間の対立遺伝子は500塩基毎に約1回の頻
度で発生する。本明細書に記載された配列の各々は、同一性認識の目的で個体か
らのDNAを比較し得るものに対する標準として、ある程度使用し得る。より多
数の多型が非コーディング領域に発生するので、個体を区別するのに、より少な
い配列しか必要としない。配列番号:1または7の非コーディング領域は、各々
が10塩基の非コーディング増幅配列を産生するおそらく10ないし1,000
個のプライマーのパネルで明確な個体同一性認識を好適に与え得る。配列番号:
1または9のもののごとき、予想コーディング配列を用いるならば、明確な個体
同一性認識のためのより適当なプライマー個数は500〜2,000であろう。
【0198】 本明細書に記載されたCARKヌクレオチド配列からの試薬のパネルを用いて
、個体についての特有の同一性認識データベースを作成するために用いるならば
、その後、その同一の試薬をその個体からの組織を同定するために使用し得る。
該特有の同一性認識データベースを用いれば、該個体の明確な同一性認識、生死
が極小さな組織試料からなし得る。
【0199】3.法生物学における部分的CARK配列の使用 DNAベース同一性認識技術は法生物学にも使用し得る。法生物学は、反抗現
場で発見された生物学的な証拠の遺伝子タイピングを、例えば、犯罪の犯人を明
確に同一性確認する手段として採用する科学分野である。そのような同一性認識
をなすため、PCR技術を用いて、犯行現場から発見された組織のごとき非常に
小さな生体試料、例えば、毛髪または皮膚、または体液、例えば、血液、唾液も
しくは精液から採取されたDNA配列を増幅し得る。次いで、増幅された配列を
標準と比較し、それにより、該生体試料の起源の同一性認識を許容する。
【0200】 本発明の配列を用いて、該ヒトゲノムの特定の遺伝子座を標的するポリヌクレ
オチド試薬、例えば、PCRプライマーを提供し得、それは、例えば、もう一つ
の「同一性認識マーカー」(すなわち、特定の個体に特有なもう一つのDNA配
列)を与えることによってDNAベースの法廷上の同一性認識の信頼性を向上し
得る。上記したように、実際の塩基配列情報は、同一性認識のために制限酵素産
生断片により形成されたパターンの正確な代替物として使用し得る。配列番号:
1または7の非コーディング領域に標的された配列はこの使用に特に適しており
、このとき、より多数の多型が該コーディング領域に発生して、この技術を用い
て個体を区別することを容易にする。ポリヌクレオチド試薬の例は、該CARK
ヌクレオチド配列またはその部分、例えば、少なくとも20塩基、好ましくは少
なくとも30塩基を有する配列番号:1または7の非コーディング領域由来の断
片を含む。
【0201】 さらに、本明細書に記載されたCARKヌクレオチド配列を用いて、例えば、
in situハイブリダイゼーション技術に用いて、特定の組織、例えば、脳組織を
同定し得る標識したまたは標識可能なプローブのようなポリヌクレオチド試薬を
提供し得る。これは、法病理学者に未知起源の組織が与えられた場合に非常に有
用である。そのようなCARKプローブのパネルを用いて、種別におよび/また
は生物体別に組織を同定し得る。
【0202】 同様にして、これらの試薬、例えば、CARKプライマーまたはプローブを用
いて、汚染につき組織培養をスクリーンし得る(すなわち、培養中の異なる型の
細胞をスクリーンする)。
【0203】 C. 予測医薬; また、本発明は、診断アッセイ、予後アッセイおよびモニタリング臨床試験が
予後(予測)目的で用いられて、それにより、個体を予防的に処置する予測医薬
の分野に関する。従って、本発明の一つの局面は、生物学的試料(例えば、血液
、血清、細胞、組織)におけるCARKタンパク質および/または核酸の発現な
らびにCARK活性を測定して、それにより、個体が病気または障害に罹ってい
るか否か、あるいは、異常または望まないCARK発現または活性に関連した障
害を発症するか発症する危険性にあるかを判断するための診断アッセイに関する
。また、本発明は、個体がCARK核酸および/またはタンパク質の発現または
活性に関連した障害を発症する危険性にあるか否かを判断するための予後(また
は予測)アッセイを提供する。例えば、CARK遺伝子中の突然変異は生物学的
試料で検定することができる。そのようなアッセイは、それにより、CARK核
酸および/またはタンパク質の発現または活性によって特徴付けられる、あるい
はそれに関連した障害の開始に先立って個体を予防的に処置する予後または予測
の目的で使用することができる。一つの具体例において、CARK核酸および/
またはタンパク質の発現または活性が、心血管障害、例えば、心臓肥大、鬱血性
心不全、先天性心臓欠陥、例えば、房室管欠陥を検出および/または治療するた
めの診断および予後アッセイで用いることができる。
【0204】 本発明のもう一つの局面は、剤(例えば、薬物、化合物)が臨床試験において
CARKの発現または活性に与える影響をモニターすることに関する。 これらのおよび他の剤は以下のセクションにおいてさらに詳しく記載する。
【0205】 1.診断アッセイ 生物学的試料中のCARKタンパク質または核酸の存在または不存在を検出す
る方法の例は、テスト対象から生物学的試料を得、CARKタンパク質または核
酸の存在が生物学的試料で検出されるように、CARKタンパク質またはCAR
Kタンパク質をコードする核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出でき
る化合物または剤と生物学的試料とを接触させることを含む。CARK mRN
AまたはゲノムDNAを検出するための好ましい剤は、CARK mRNAまた
はゲノムDNAにハイブリダイズすることができる標識された核酸プローブであ
る。核酸プローブは、例えば、配列番号:1、3、7または9の核酸のごとき全
長CARK核酸、長さが少なくとも15、30、50、100、250または5
00ヌクレオチドであって、ストリンジェントな条件下でCARK mRNAま
たはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチド
のごとき受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミドのDNAインサ
ート、またはその一部でありうる。本発明の診断アッセイで用いられる他の適当
なプローブは本明細書中に記載する。
【0206】 CARKタンパク質を検出するための好ましい剤は、CARKタンパク質に結
合することができる抗体、好ましくは検出可能な標識を備えた抗体である。抗体
はポリクローナル、またはより好ましくはモノクローナルであり得る。完全な抗
体、またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab’))を用いる
ことができる。プローブまたは抗体に関して用語「標識された」は、検出可能な
物質をプローブまたは抗体にカップリングさせる(すなわち、物理的に連結させ
る)ことによるプローブまたは抗体の直接的標識、ならびに直接的に標識される
もう一つの試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接的標識を含めること
を意図する。間接的標識の例は、蛍光標識二次抗体を用いる一次抗体の検出、お
よびそれが蛍光標識ストレプトアビジンで検出できるようなDNAプローブのビ
オチンでの末端−標識を含む。さらに、用語「生物学的試料」は、対象から単離
された組織、細胞および生物学的流体ならびに対象内に存在する組織、細胞およ
び流体を含めることを意図する。すなわち、本発明の検出方法を用いて、イン・
ビトロならびにイン・ビボにおいて生物学的試料中のCARK mRNA、タン
パク質もしくはゲノムDNAを検出することができる。例えば、CARK mR
NAの検出のためのイン・ビトロ技術はノーザンハイブリダイゼーションおよび
イン・サイチュハイブリダイゼーションを含む。CARKタンパク質の検出ため
のイン・ビトロ技術は酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、ウェス
タンブロット、免疫沈澱および免疫蛍光を含む。CARKゲノムDNAの検出用
のイン・ビトロ技術はサザーンハイブリダイゼーションを含む。さらに、CAR
Kタンパク質の検出のためのイン・ビボ技術は対象に標識抗−CARK抗体を導
入することを含む。例えば、標準的なイメージング技術によって、対象中でその
存在および位置を検出することができる放射性活性マーカーで抗体を標識するこ
とができる。
【0207】 一つの具体例において、生物学的試料はテスト対象からのタンパク質分子を含
有する。別法として、生物学的試料はテスト対象からのmRNA分子またはテス
ト対象からのゲノムDNA分子を含有することができる。好ましい生物学的試料
は、常法によって対象から単離された血清試料である。
【0208】 もう一つの具体例において、該方法は、さらに、コントロール対象からコント
ロール生物学的試料を得、CARKタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの
存在が生物学的試料中で検出されるように、CARKタンパク質 mRNAまた
はゲノムDNAを検出できる化合物または剤とコントロール試料とを接触させ、
コントロール中のCARKタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在とテ
スト試料中のCARKタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在とを比較
することを含む。
【0209】 また、本発明は生物学的試料中のCARKの存在を検出するためのキットを含
む。例えば、該キットは、生物学的試料中のCARKタンパク質またはmRNA
を検出することができる標識化合物または剤;試料中のCARKの量を測定する
ための手段;および試料中のCARKの量を標準と比較するための手段を含むこ
とができる。該化合物または剤は適当な容器中にパッケージすることができる。
該キットは、さらに、CARKタンパク質または核酸を検出する該キットを用い
るためのインストラクションを含むことができる。
【0210】 2.予後アッセイ 本明細書中に記載した診断方法は、さらに、異常または望まないCARK発現
または活性に関連した病気または障害を有するまたはそれを発症する危険性のあ
る対象を同定するのに利用することができる。本明細書中で用いる用語「異常」
は、野生型CARK発現または活性を逸脱するCARK発現または活性を含む。
異常発現または活性は増加したまたは減少した発現または活性、ならびに発現の
野生型発生的パターンまたは発現の細胞下パターンに従わない発現または活性を
含む。例えば、異常CARK発現または活性は、CARK遺伝子中の突然変異が
CARK遺伝子を過小発現または過剰発現させる場合、およびそのような突然変
異の結果、非機能的CARKタンパク質または野生型様に機能しないタンパク質
、例えば、CARKリガンドと相互作用しないタンパク質または非−CARKリ
ガンドと相互作用するタンパク質をもたらす状況を含める意図である。本明細書
中で用いる用語「望まない」は、増殖または分化のごとき生物学的応答に関与す
る望まない現象を含む。例えば、用語「望まない」とは、対象において望ましく
ないCARK発現または活性を含む。
【0211】 前記した診断アッセイまたは後記するアッセイのごとき本明細書中で記載する
アッセイを利用して、心血管障害のごとき、CARKタンパク質活性または核酸
発現における誤調節に関係した障害を有するまたは該障害を発症する危険性のあ
る対象を同定することができる。別法として、予後アッセイを利用して、心血管
障害のごとき、CARKタンパク質活性または核酸発現における誤調節に関係し
た障害を有するまたは該障害を発症する危険性のある対象を同定することができ
る。かくして、本発明は、異常または望まないCARK発現または活性に関係す
る病気または障害を同定する方法を提供し、ここに、テスト試料は対象から得て
、CARKタンパク質または核酸(例えば、mRNAまたはゲノムDNA)を検
出し、ここに、CARKタンパク質または核酸の存在は、異常または望まないC
ARK発現または活性に関係する病気または障害を有するまたはそれを発症する
危険性がある対象を診断する。本明細書中で用いる「テスト試料」とは、注目す
る対象から得られた生物学的試料をいう。例えば、テスト試料は生物学的流体(
例えば血清)、細胞試料または組織であり得る。
【0212】 さらに、本明細書中に記載する予後アッセイを用いて、対象に剤(例えば、ア
ゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティック、タンパク質、ペプチド、核
酸、小分子、または他の薬物候補)を投与して、異常または望まないCARK発
現または活性に関係する病気または障害を治療することができるか否かを判断す
ることができる。例えば、そのような方法を用いて、心血管障害につき対象を剤
で効果的に治療することができるか否かを判断することができる。かくして、本
発明は、異常または望まないCARK発現または活性に関係する障害につき、対
象を剤で効果的に治療することができるか否かを判断する方法を提供し、ここに
、テスト試料を得て、CARKタンパク質または核酸の発現または活性が検出さ
れる(例えば、ここに、CARKタンパク質または核酸の発現または活性の豊富
さが、剤を投与して異常または望まないCARK発現または活性に関係する障害
を治療することができる患者と診断する)。
【0213】 また、本発明を用いて、CARK遺伝子中の遺伝的変化を検出し、それにより
、変化した遺伝子を持つ対象が、心血管障害のごとき、CARKタンパク質活性
または核酸発現における誤調節によって特徴付けられる障害につき危険性がある
か否かを判断することができる。好ましい具体例において、該方法は、対象から
の細胞の試料中において、CARK−タンパク質をコードする遺伝子の完全性、
またはCARK遺伝質の誤発現に影響する変化のうちの少なくとも1つによって
特徴付けられる遺伝子変化の存在または不存在を検出することを含む。例えば、
そのような遺伝子変化は、1)CARK遺伝子からの1以上のヌクレオチドの欠
失、2)CARK遺伝子への1以上のヌクレオチドの付加、3)CARK遺伝子
の1以上のヌクレオチドの置換、4)CARK遺伝子の染色体再配置、5)CA
RK遺伝子のメッセンジャーRNA転写体レベルの変化、6)ゲノムDNAのメ
チル化パターンのごときCARK遺伝子の異常修飾、7)CARK遺伝子のメッ
センジャーRNA転写体の非野生型スプライシングパターンの存在、8)CAR
K−タンパク質の非野生型レベル、9)CARK遺伝子の対立遺伝子喪失、およ
び10)CRK−タンパク質の不適当な翻訳後修飾のうちの少なくとも1つの存
在を確認することによって検出することができる。本明細書中に記載するごとく
、CARK遺伝子中の変化を検出するのに用いることができる当該分野で知られ
た非常に多数のアッセイがある。好ましい生物学的試料は常法によって対象から
単離された組織または血清試料である。
【0214】 ある具体例において、該変化の検出はアンカーPCRまたはRACE PCR
のごときポリメラーゼ鎖反応(PCR)(例えば、米国特許4,683,195
号および第4,683,202号参照)における、あるいは別法として、連結鎖
反応(LCR)(例えば、Landegran ら (1988) Science 241:1077-1080; およ
び Nakazawa ら (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:360-364)におけるプロ
ーブ/プライマーの使用を含み、その後者はCARK−遺伝子中の点突然変異を
検出するのに特に有用であり得る(Abravaya ら (1995) Nucleic Acids Res., 2
3:675-682参照)。この方法は、対象から細胞の試料を収集し、核酸(例えば、
ゲノム、mRNAまたは双方)を該試料の細胞から単離し、(もし存在すれば)
CARK−遺伝子のハイブリダイゼーションおよび増幅が起こるような条件下で
CARK遺伝子に特異的にハイブリダイズする1以上のプライマーと核酸試料と
を接触させ、増幅産物の存在または不存在を検出するか、あるいは増幅産物のサ
イズを検出し、次いで、その長さをコントロール試料と比較する工程を含むこと
ができる。PCRおよび/またはLCRを、本明細書中に記載した突然変異を検
出するのに用いる技術のいずれかと組み合わせて予備的増幅工程として使用する
のは望ましいと予測される。
【0215】 別の増幅方法は、自己保持配列複製(Guatelli, J.C. ら, (1990) Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 87:1874-1878)、転写増幅システム (Kwoh, D.Y. ら, (1989)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177)、Q−ベータレプリカーゼ (Lizard
i, P.M. ら (1988) Bio-Technology 6:1197)、またはいずれかの他の核酸増幅方
法、続いて当業者によく知られた技術を用いる増幅された分子の検出を含む。こ
れらの検出スキームは、もしそのような分子が非常に少ない数で存在するならば
、核酸分子の検出に特に有用である。
【0216】 別の具体例において、試料細胞からのCARK遺伝子中の突然変異は制限酵素
切断パターン中の変化によって同定することができる。例えば、試料およびコン
トロールDNAを単離し、(所望により)増幅し、1以上の制限エンドヌクレア
ーゼで消化し、次いで、ゲル電気泳動によってフラグメント長サイズを測定し、
比較する。試料およびコントロールDNAの間のフラグメント長サイズの差は、
試料DNA中の突然変異を示す。さらに、配列特異的リボザイムの使用(例えば
、米国特許第5,498,531号参照)を用いて、リボザイム切断部位の発生または喪
失によって特異的突然変異の存在につきスコアを取ることができる。
【0217】 他の具体例において、CARK中の遺伝子突然変異は、試料およびコントロー
ル核酸、例えば、DNAまたはRNAを数百または数千のオリゴヌクレオチドプ
ローブを含有する高密度アレイにハイブリダイズさせることによって同定するこ
とができる(Cronin, M.T. ら (1996) Human Mutation 7: 244-255; Kozal, M.J.
ら (1996) Nature Medicine 2: 753-759)。例えば、CARK中の遺伝子突然変
異はCronin, M.T.ら,前掲に記載されているごとく光−生成DNA
プローブを含有する二次元アレイで同定することができる。簡単に述べると、プ
ローブの第1ハイブリダイゼイションアレイを用いて試料およびコントロール中
のDNAの長いストレッチ全体を走査し、連続する重複プローブの線状アレイを
作成することによって該配列の間の塩基変化を同定することができる。この工程
は点突然変異の同定を可能とする。この工程に続いて、第2のハイブリダイゼー
ションアレイを行い、これは、検出される全ての変種または突然変異に相補的な
より小さく特殊化されたプローブアレイによって特異的突然変異の特徴付けを可
能とする。各突然変異アレイは、平行プローブ組、野生型遺伝子に相補的なもの
および突然変異体遺伝子に相補的な他のものよりなる。
【0218】 さらにもう1つの具体例において、当該分野で知られている種々の配列決定反
応のいずれかを用いて、試料CARKの配列を対応する野生型(コントロール)
配列と比較することによってCARK遺伝子を直接配列決定し、突然変異を検出
することができる。配列決定反応の例はMaxam および Gilbert ((1977) Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 74:560) または Sanger ((1977) Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 74:5463)によって開発された技術に基づくものを含む。また、質量分析に
よる配列決定を含んだ、診断アッセイ((1995) Biotechniques 19:448)を行う場
合に、種々の自動配列決定方法のいずれの方法も用いることができると考えられ
る(例えば、PCT国際公開番号WO94/16101; Cohen ら (1996) Adv. Chromatogr.
36:127-162; および Griffin ら (1993) Appl. Biochem. Biotechnol. 38:147-1
59参照)。
【0219】 CARK遺伝子中の突然変異を検出する他の方法は、切断剤からの保護を用い
てRNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロデュプレックス中のミスマッチ塩
基を検出する方法を含む(Myers ら (1985) Science 230:1242)。一般に、「ミ
スマッチ切断」の技術は、組織試料から得られた潜在的突然変異体RNAまたは
DNAを含む野生型CARK配列を含有する(標識)RNAまたはDNAをハイ
ブリダイズさせることによって形成されたヘテロデュプレックスを供することに
よって開始される。コントロールおよび試料ストランドの間の塩基対ミスマッチ
のため存在するもののごときデュプレックスの一本鎖領域を切断する剤で二本鎖
デュプレックスを処理する。例えば、RNA/DNAデュプレックスをRNas
eで処理し、DNA/DNAハイブリッドをS1ヌクレアーゼで処理してミスマ
ッチ領域を酵素的に消化することができる。他の具体例において、DNA/DN
AまたはRNA/DNAデュプレックスいずれかをヒドロキシルアミンまたは四
酸化オスミウムで処理し、ピペリジンで処理してミスマッチ領域を消化すること
ができる。ミスマッチ領域の消化の後、次いで、変性ポリアクリルアミドゲル上
でサイズにより得られた物質を分離して突然変異のサイズを測定する。例えば、
Cotton ら (1988) Proc. Natl Acad Sci USA 85:4397; Saleeba ら (1992) Meth
ods Enzymol. 217:286-295参照。好ましい具体例において、コントロールDNA
またはRNAを検出のために標識することができる。
【0220】 さらにもう1つの具体例において、ミスマッチ切断反応は、細胞の試料から得
られたCARK cDNA中の点突然変異を検出しマッピングするために、規定
されたシステムにおける2本鎖DNA中のミスマッチ塩基対を認識する1以上の
タンパク質を使用する(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)。例えば、E
. coliのmutY酵素はG/AミスマッチにおいてAを切断し、HeLa
細胞からのチミジンDNAグリコシダーゼはG/TミスマッチにおいてTを切断
する(Hsu ら (1994) Carcinogenesis 15:1657-1662)。例示的具体例によると、
CARK配列、例えば、野生型CARK配列に基づくプローブをテスト細胞から
のcDNAまたは他のDNA産物にハイブリダイズさせる。デュプレックスをD
NAミスマッチ修復酵素で処理し、もしあれば、切断産物を電気泳動プロトコル
等から検出することができる。例えば、米国特許第5,459,039号参照。
【0221】 他の具体例において、電気泳動移動度の変化を用いてCARK遺伝子中の突然
変異を同定する。例えば、1本鎖立体配座多形(SSCP)を用いて、突然変異
体および野生型核酸の間の電気泳動移動度の差を検出することができる(Orita
ら (1989) Proc Natl. Acad. Sci USA: 86:2766, また Cotton (1993) Mutat. R
es. 285:125-144; and Hayashi (1992) Genet. Anal. Tech. Appl. 9:73-79参照
)。試料の1本鎖DNAフラグメントおよびコントロールCARK核酸は変性さ
れ、復元される。1本鎖核酸の二次構造は、配列に応じて変化し、電気泳動移動
度における得られた変化は単一の塩基の変化さえも検出を可能とする。該DNA
フラグメントは標識プローブで標識するか、あるいは検出することができる。該
アッセイの感度は(DNAよりもむしろ)RNAを用いることによって上げるこ
とができ、ここに、二次構造は配列中の変化に対してより感受性である。好まし
い具体例において、主題の方法は電気泳動移動度の変化に基づいて、ヘテロデュ
プレックス分析を利用して2本鎖ヘテロデュプレックス分子を分離する(Keen ら
(1991) Trends Genet 7:5)。
【0222】 さらにもう1つの具体例において、変性剤の勾配を含むポリアクリルアミドゲ
ルでの突然変異体または野生型フラグメントの移動を、変性勾配ゲル電気泳動(
DGGE)を用いて検定する(Myers ら (1985) Nature 313:495)。DGGEを分
析の方法として用いる場合、DNAを修飾して、例えば、PCRにより高融解G
C−リッチDNAのほぼ40 bpのGCクランプを添加することによって、そ
れが完全には変性しないことを確実にする。さらなる具体例において、変性勾配
の代わりに温度勾配を用いて、コントロールおよび試料DNAの移動度の差を同
定する(Rosenbaum および Reissner (1987) Biophys Chem 265:12753)。
【0223】 点突然変異を検出するための他の技術の例は、限定されるものではないが、選
択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅または選択的プラ
イマー伸長を含む。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーを調製することがで
き、そこでは、既知の突然変異を中心に入れ、次いで、完全なマッチが見出され
さえすればハイブリダイゼーションを可能とする条件下でハイブリダイズさせて
DNAを標的化する(Saiki ら (1986) Nature 324:163); Saiki ら (1989) Proc
. Natl Acad. Sci USA 86:6230)。オリゴヌクレオチドがハイブリダイジング膜
に付着し、標識標的DNAとハイブリダイズする場合、そのような対立遺伝子特
異的オリゴヌクレオチドはPCR増幅標的DNAまたは多数の異なる突然変異に
ハイブリダイズする。
【0224】 別法として、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術を本発明
と組み合わせて用いることができる。特異的増幅のためのプライマーとして用い
られるオリゴヌクレオチドは、(増幅が差異ハイブリダイゼーションに依存する
ように)分子の中心において(Gibbs ら (1989) Nucleic Acids Res. 17:2437-24
48)または適当な条件下でポリメラーゼ伸長を妨げまたは低下させることができ
る1つのプライマーの極3’末端において、注目する突然変異を運ぶことができ
る(Prossner (1993) Tibtech 11:238)。加えて、突然変異の領域に新規な制限部
位を導入して切断−ベースの検出を創製するのが望ましいであろう(Gasparini
ら (1992) Mol. Cell Probes 6:1)。ある具体例において、増幅用のTaqリガ
ーゼを用いて増幅を行うこともできると予測される(Barany (1991) Proc. Natl.
Acad. Sci USA 88:189)。そのような場合において、もし5’側配列の3’末端
に完全なマッチがある場合のみ連結が起こり、これは増幅の存在または不存在を
調査することによって特異的部位における既知の突然変異の存在を検出するのを
可能とする。
【0225】 本明細書中に記載した方法は、例えば、本明細書中に記載した少なくとも1つ
のプローブ核酸または抗体試薬を含む予め包装された診断キットを利用すること
によって行うことができ、これは、便宜には、CARK遺伝子に関係する病気ま
たは疾患の兆候または家族の履歴を呈する患者を診断するのに臨床的情況で用い
ることができる。
【0226】 さらに、CARKが発現されるいずれの細胞型または組織も本明細書中に記載
した予後アッセイで利用することができる。
【0227】 3.臨床試験の間における効果のモニタリング CARKタンパク質の発現または活性に対する剤(例えば、薬物)の影響のモ
ニタリング(例えば、細胞の増殖および分化に関係する変調シグナリング経路)
は、基本的な薬物スクリーニングのみならず臨床試験において適用することがで
きる。例えば、CARK遺伝子発現、タンパク質レベルを増加させるとここに記
載したスクリーニングアッセイによって判断された、またはCARK活性を上昇
調節すると判断された剤の効果は、減少したCARK遺伝子発現、タンパク質レ
ベル、または下降調節されたCARK活性を呈する対象の臨床試験でモニターす
ることができる。別法として、CARK遺伝子発現、タンパク質レベルを減少さ
せるか、あるいはCARK活性を下降調節するとスクリーニングアッセイによっ
て判断された剤の効果は、低下したCARK遺伝子発現、タンパク質レベル、ま
たは上昇調節されたCARK活性を呈する対象の臨床試験でモニターすることが
できる。そのような臨床試験において、CARK遺伝子、および好ましくは、例
えば、CARK−関連障害に関与するとされてきた他の遺伝子の発現または活性
を、特定の細胞の表現型の「読み出し」またはマーカーとして用いることができ
る。
【0228】 例えば、限定されるものではないが、(本明細書中に記載したスクリーニング
アッセイで同定された)CARK活性を変調する剤(例えば、化合物、薬物また
は小分子)での処理によって、細胞中で変調されるCARKを含めた遺伝子を同
定することができる。かくして、例えば、臨床試験においてCARK−関連障害
(例えば、脱調節された細胞の増殖または分化によって特徴付けられる障害)に
対する剤の効果を調べるために、細胞を単離し、RNAを調製し、各々、CAR
KおよびCARK−関連障害に関連付けられた他の遺伝子の発現のレベルにつき
分析することができる。遺伝子発現レベル(例えば、遺伝子発現パターン)は、
本明細書中に記載したノーザンブロッ分析またはRT−PCRによって、本明細
書中に記載した方法の1つにより生産されたタンパク質の量を測定することによ
って、あるいは、CARKまたは他の遺伝子の活性のレベルを測定することによ
って定量することができる。このようにして、遺伝子発現のパターンは、細胞の
該剤に対する生理学的応答を示すマーカーとして働くことができる。従って、こ
の応答の状態は個体の該剤での処理の前に、および該処理の間の種々の時点にお
いて測定することができる。
【0229】 好ましい具体例において、本発明は、(i)剤の投与に先立って対象から予備
―投与試料を得、(ii)予備投与試料においてCARKタンパク質、mRNA
またはゲノムDNAの発現のレベルを検出し、(iii)該対象から1以上の投与
後試料を得、(iv)該投与後試料において、CARKタンパク質、mRNAまたは
ゲノムDNAの発現または活性のレベルを検出し、(v)該予備投与試料におけ
るCARKタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの発現または活性のレベル
を、投与後試料もしくは複数試料におけるCARKタンパク質、mRNAまたは
ゲノムDNAと比較し、次いで(vi)それに応じて、該剤の対象への投与を変化
させる工程を含む、剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメテ
ィック、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、または本明細書中に記載したス
クリーニングアッセイによって同定された他の薬物候補)での対象の処置の効果
をモニターする方法を提供する。例えば、該剤の増大した投与は、CARKの発
現または活性の検出されたよりも高いレベルに増加させる、すなわち、該剤の効
果を増加させるのが望ましいであろう。別法として、該剤の減少した投与は、C
ARKの発現または活性を検出されたよりも低いレベルに減少させ、すなわち、
該剤の効果を減少させるのに望ましいであろう。そのような具体例に従うと、C
ARK発現または活性は、観察可能な表現型応答の不存在においてさえ、剤の効
果のインジケーターとして用いることができる。
【0230】 d.処置の方法 本発明は、異常または望まないCARK発現または活性に関連した障害の危険
性がある(またはそれに対して罹患性の)または該障害を有する患者を予防的お
よび治療的に処置する方法を提供する。処置の予防的および治療的双方の方法に
関し、そのような処置は、ファルマコゲノミックスの分野から得られる知識に基
づいて特異的に仕立てられ、または修飾されるであろう。本明細書中で用いる「
ファルマコゲノミックス」とは、遺伝子配列決定、統計的遺伝学および遺伝子発
現分析のごときゲノミックス技術の、臨床的に開発中のおよび市販の薬物への適
用をいう。より具体的には、該用語は、自己の薬物に対する応答をどのようにし
て患者の遺伝子が決定するかの研究をいう(例えば、患者の「薬物応答表現型」
または「薬物応答遺伝子型」)。かくして、本発明のもう1つの局面は、個体の
薬物応答遺伝子型に従って、本発明のCARK分子またはCARKモジュレータ
ーいずれかでの個体の予防的または治療的処置を仕立てる方法を提供する。ファ
ルマコゲノミックスは、臨床家または医師が予防的または治療的処置を該処置か
ら最も益する患者に標的化するのを、および特性薬物−関連副作用を経験するで
あろう患者の処置を回避するのを可能とする。
【0231】 1.予防方法 1つの局面において、本発明は、CARKあるいはCARK発現または少なく
とも1つのCARK活性を変調する剤を対象に投与することによって、異常また
は望まないCARK発現または活性に関連した病気または疾患を対象において予
防する方法を提供する。異常または望まないCARK発現または活性によって引
き起こされるかまたはそれによって寄与される病気の危険性がある対象は、例え
ば、本明細書中で記載した診断または予後のいずれかまたはその組合せによって
同定することができる。予防剤の投与は、病気または障害が防止される、あるい
は、その進行が遅延するように、CARK異常性に特徴的な徴候の発現に先立っ
て行うことができる。CARK異常性のタイプに応じて、例えば、CARK、C
ARKアゴニストまたはCARKアンタゴニスト剤を対象の処置に用いることが
できる。適当な剤は本明細書中に記載したスクリーニングアッセイに基づいて決
定することができる。
【0232】 2.治療的方法 本発明のもう1つの局面は、治療目的でCARK発現または活性を変調する方
法に関する。従って、例示的な具体例において、本発明の変調方法は、細胞に関
連したCARKタンパク質活性の1以上の活性を変調するCARKまたは剤に細
胞を接触させることを含む。CARKタンパク質活性を変調する剤は、核酸また
はタンパク質、CARKタンパク質の天然に生じる標的分子(例えば、CARK
基質)、CARK抗体、CARKアゴニストまたはアンタゴニスト、CARKア
ゴニストまたはアンタゴニストのペプチドミメティック、または他の小分子のご
とき本明細書中に記載した剤であり得る。1つの具体例において、該剤は1以上
のCARK活性を刺激する。そのような刺激性剤の例は、活性なCARKタンパ
ク質および細胞に導入されているCARKをコードする核酸分子を含む。もう1
つの具体例において、該剤は1以上のCARK活性を阻害する。そのような阻害
性剤の例は、アンチセンスCARK核酸分子、抗−CARK抗体およびCARK
阻害剤を含む。これらの変調方法は、(例えば、細胞を該剤と共に培養すること
によって)イン・ビトロで、あるいは(例えば、該剤を対象に投与することによ
って)イン・ビボにて行うことができる。それ自体、本発明は、CARKタンパ
ク質または核酸分子の異常なまたは望まない発現または活性によって特徴付けら
れる病気または障害に罹った個体を治療する方法を提供する。1つの具体例にお
いて、該方法は、剤(例えば、本明細書中に記載されたスクリーニングアッセイ
によって同定された剤)、あるいは、CARK発現または活性を変調する(例え
ば、上昇調節または下降調節する)剤の組合せを投与することを含む。もう1つ
の具体例において、該方法は、CARKタンパク質または核酸分子を治療として
投与して、減少した、異常なまたは望まないCARK発現または活性を補償する
ことを含む。
【0233】 例えば、CARKが異常に下降調節されるおよび/または減少したCARK活
性が有益な効果を有するらしい状況において、CARK活性の刺激は望ましい。
同様に、CARKが異常に上昇調節されるおよび/または減少したCARK活性
が有益な効果を有するらしい状況においてCARK活性の阻害は望ましい。
【0234】 3.ファルマコゲノミックス 本発明のCARK分子、ならびに本明細書中に記載したスクリーニングアッセ
イによって同定されたCARK活性(例えば、CARK遺伝子発現)に対して刺
激的または阻害的効果を有する剤またはモジュレーターを個体に投与して、異常
または望まないCARK活性に関連したCARK−関連障害(例えば、心血管障
害)を(予防的または治療的に)処置することができる。そのような処置と組み
合わせて、ファルマコゲノミックス(すなわち、個体の遺伝子型および外来性化
合物または薬物に対するその個体の応答の間の関係の研究)が考えられる。治療
剤の代謝の差は、薬理学的に活性な薬物の用量および血中濃度の間の関係を変化
させることによって、ひどい毒性または治療的失敗にいたりかねない。かくして
、医師または臨床家は、CARK分子またはCARKモジュレーターを投与する
か否かを決定するにおいて、ならびにCARK分子またはCARKモジュレータ
ーでの処置の投与量および/または治療法を仕立てるにおいて、関連するファル
マコゲノミックス研究で得られた知識を適応することを考慮できる。
【0235】 ファルマコゲノミックスは、罹患した個人における薬物処理および異常な作用
の変化による薬物に対する応答の臨床的に重要な遺伝変化を取り扱う。例えば、
Eichelbaum, M. ら (1996) Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. 23(10-11) :983-9
85 and Linder, M.W. ら (1997) Clin. Chem. 43(2):254-266.参照。一般に、2
つのタイプのファルマコジェネティック状態を区別することができる。薬物が身
体に作用する様式を変化させる単一の因子として伝達された遺伝的状態(変化し
た薬物作用)、または身体が薬物に作用する様式を変化させる単一要因として伝
達された遺伝的状態(変化した薬物代謝)。これらのファルマコジェネティック
状態は、稀な遺伝的欠陥としてまたは天然に生じる多形いずれかとして起こり得
る。例えば、グルコース−6−リン酸デヒドロデナーゼ欠乏(G6PD)は、主
な臨床的合併症が、オキシダント薬物(抗マラリア剤、スルホンアミド、鎮痛剤
、ニトロフラン)の摂取およびソラマメの消費後における溶血である通常の遺伝
された酵素障害である。
【0236】 「ゲノムの広い関連」として知られている薬物応答を予測する遺伝子を同定す
るための1つのファルマコゲノミックスアプローチは、主として、既に知られた
遺伝子−関連マーカーよりなるヒトゲノムの高分解能マップ(例えば、その各々
が2つの変種を有する、ヒトゲノム上の60,000−100,000多形また
は可変部位よりなる「二対立遺伝子」遺伝子マーカーマップ)に頼る。そのよう
な高分解能遺伝子マップは、特定の観察された薬物応答または副作用に関連した
マーカーを同定するための相II/III薬物試験に加わる統計学的に有意な数
の患者の各々のゲノムのマップと比較することができる。別法として、そのよう
な高分解能マップは、ヒトゲノム中の数千万の既知の単一ヌクレオチド多形(S
NP)の組合せから創製することができる。本明細書中で用いる「SNP」は、
DNAのストレッチ中の単一ヌクレオチド塩基で起こる通常の変化である。例え
ば、SNPは1000塩基のDNA毎に一回起こり得る。SNPは、病気の過程
に関与できるが、ほとんど大部分は病気−関連ではなかろう。そのようなSNP
の発生に基づく遺伝子マップを仮定すれば、個体のゲノム中でのSNPの特定の
パターンに応じて、個体を遺伝子カテゴリーに分類することができる。そのよう
にして、そのような遺伝的に類似する個体内で共通し得る特性を考慮し、処置方
法を遺伝的に類似する個体の群に対して仕立て上げることができる。
【0237】 別法として、「候補遺伝子アプローチ」と呼ばれる方法を利用して、薬物応答
を予測する遺伝子を同定することができる。この方法によると、もし薬物標的を
コードする遺伝子が知られていると(例えば、本発明のCARKタンパク質)、
その遺伝子の全ての通常の変種は集団中でかなり容易に同定でき、遺伝子の1つ
のバージョン−対−もう1つのバージョンを有することが特定の薬物応答に関連
するか判断することができる。
【0238】 例示的具体例として、薬物代謝酵素の活性は薬物作用の強度および持続双方の
主要な決定要因である。薬物代謝酵素(例えば、N−アセチルトランスフェラー
ゼ2(NAT2)およびチトクロームP450酵素CYP2D6およびCYP2
C19))の遺伝的多形の発見は、なぜある患者が予測される薬物効果を得ない
のか、あるいは標準および安全用量の薬物を摂取した後に過剰の薬物応答および
ひどい毒性を示すかに関する説明を提供した。これらの多形は集団において2つ
の表現型で発現される(豊富なメタボライザー(EN)および貧弱なメタボライ
ザー(PN))。PMの優勢性は異なる集団間で異なる。例えば、CYP2D6
をコードする遺伝子は高度に多形であり、いくつかの突然変異は、全てが機能的
CYP2D6の不存在に導くPMにおいて同定されている。CYP2D6および
CYP2C19の貧弱なメタボライザーは、それらが、標準用量を摂取した場合
にかなり頻繁に過剰な薬物応答および副作用を経験する。もし代謝産物が活性な
治療的部位であれば、PMは、そのCYP2D6−形成代謝産物モルホリンによ
って媒介されるコデインの鎮痛効果につき示されているごとく、治療的応答を示
さない。他の極端なものは、標準用量に応答しないいわゆる超迅速メタボライザ
ーである。最近、超迅速代謝の分子的基礎がCYP2D6遺伝子増幅により同定
されている。
【0239】 別法として、「遺伝子発現プロフィーリング」と呼ばれる方法を利用して、薬
物応答を予測する遺伝子を同定することができる。例えば、薬物(例えば、本発
明のCARK分子またはCARKモジュレータ)を投与した動物の遺伝子発現は
、毒性に関連する遺伝子経路がスイッチを入れられたか否かの指標を提供するこ
とができる。
【0240】 1を超える前記したファルマコゲノミックスアプローチから創製された情報を
用いて、個体において予防的または治療的処置のための適当な投与量および処置
方法を決定することができる。この知識は、投与または薬物選択に適用されると
、有害な反応または治療的失敗を回避することができ、かくして、本明細書中に
記載された例示的スクリーニングアッセイのうちの1つによって同定されたモジ
ュレータのごときCARK分子またはCARKモジュレータで対象を処置する場
合に治療的または予防的効果を増強することができる。
【0241】 以下の実施例によって、本発明をさらに説明する、該実施例は限定的なものと
解釈されるべきではない。本出願を通じて引用された全ての文献、特許および公
開された特許出願の内容は、ここに引用して本明細書の一部とみなす。
【0242】 実施例 実施例1:ヒトおよびラットCARK cDNAの同定および特徴付け 本実施例において、ヒトCARK(クローンfchrf013f03)および
ラットCARK(クローン??)をコードする遺伝子の同定および特徴付けを記
載する。
【0243】 ヒトおよびラットCARK cDNAの単離 本発明はCARKをコードするヒトおよびラット遺伝子の発見に少なくとも部
分的には基礎を置く。虚血および特発性起源の鬱血性心不全に罹った対象から得
られた組織から調製されたcDNAライブラリーからヒトCARK遺伝子を単離
した。簡単に述べると、心臓組織試料は鬱血性心不全に罹った4人の患者のバイ
オプシーから得られた。mRNAを心臓組織から単離し、(例えば、Molecular
Cloning A Laboratory Manual, 第2版, 編者 Sambrook, Fritsch and Maniatis
(Cold Spring Harbor Laboratory Press: 1989)に記載された)当該分野で公知
の方法を用いてcDNAライブラリーはそれから調製することができる。陽性ク
ローンは適当なプライマーを用いてこれらのライブラリーから単離した。
【0244】 陽性クローンの配列を決定し、オープンリーディングフレームを含むことが判
明した。ヒトCARKタンパク質をコードするヌクレオチド配列は約3025の
核酸を含み、図1に示され、配列番号:1に記載された核酸配列を有する。この
核酸によってコードされたタンパク質は約835のアミノ酸配列を含み、図1に
示され配列番号:2に記載されたアミノ酸配列を有する。
【0245】 ラットCARK cDNAを含有するクローンもまた同定した。ラットCAR
Kタンパク質をコードするヌクレオチド配列は約3026の核酸を含み、図5に
示され配列番号:7に記載された核酸配列を有する。この核酸によってコードさ
れたタンパク質は約835のアミノ酸を含み、図5に示され配列番号:8に記載
されたアミノ酸配列を有する。
【0246】 ヒトCARKの分析 ヒトCARKのタンパク質配列のBLASTP 1.4サーチ(Altschul et a
l. (1990) J. Mol. Biol. 215:403)は、CARKが、アンキリン繰返しおよびプ
ロテインキナーゼモチーフに対する類似性を含むC. elegansタンパク質と同様で
あることを明らかにした(受託番号 AF024491)。このタンパク質はアミノ酸レベ
ルにおいて、(CARKアミノ酸126−370にわたり)ほぼ42%同一、(
CARKアミノ酸421−548にわたり)60%同一、(CARKアミノ酸5
82−686にわたり)65%同一、(CARKアミノ酸60−222にわたり
)32%同一、(CARKアミノ酸381−404にわたり)75%同一、(C
ARKアミノ酸122−167にわたり)36%同一、(CARKアミノ酸10
−36にわたり)48%同一、(CARKアミノ酸91−126にわたり)38
%同一、(CARKアミノ酸556−678にわたり)52%同一、(CARK
アミノ酸315−368にわたり)24%同一、(CARKアミノ酸74−16
1にわたり)25%同一、および(CARKアミノ酸219−259にわたり)
29%同一である。ヒトCARKのヌクレオチド配列のBLASTN 1.4.
9サーチ(Altschulら(1990) J. Mol. Biol. 215:403)は、CARKがHono
sapiens cDNAクローン1320937(受託番号AA758546)に類似す
ることを明らかにした。(758546)該CARK核酸分子はヌクレオチド2
544ないし3010にわたりHomo Sapiens cDNAクローン13209
37(受託番号AA758546)と100%同一である。
【0247】 図2に示された一次および二次タンパク質構造の分析は以下のごとく行った:
アルファ、ベータターンおよびラセン領域、 Garnier―Robsonアルゴリズム(Ga
rnier ら (1978) J Mol Biol 120:97):アルファ、ベータおよびターン領域、Ch
ou‐Fasmanアルゴリズム(Chou および Fasman (1978) Adv in Enzymol Mol 47:4
5-148);親水性および疎水性プロット、Kyte-Doolittleアルゴリズム(Kyte およ
び Doolittle (1982) J Mol Biol 157:105-132);アルファ両親媒性およびベー
タ両親媒性領域、Eisenbergアルゴリズム(Eisenberg ら (1982) Nature 299:371
-374);柔軟性領域、Karplus-Schulzアルゴリズム (Karplus および Schulz (19
85) Naturwissens-Chafen 72:212-213);抗原性指標、Jameson - Wolfアルゴリズ
ム(Jameson および Wolf (1988) CABIOS 4:121-136);表面確率プロット、Emini
アルゴリズム(Emini ら (1985) J Virol 55:836-839)。
【0248】 PAM250残基重率表(PAM250 residue weight table)でのC1usta
l方法を用いて、該CARKタンパク質をA. Thalianaキナーゼ2(受託番号 Z97
337)、A. Thalianaキナーゼ3(受託番号 AC003113)、Arabidopsis thaliana(受
託番号 AL031135)、C. elegansキナーゼ(受託番号 AF024491)、D. discoideumタ
ンパク質チロシンキナーゼ(受託番号 A35670)、D.discoideumタンパク質チオシ
ンキナーゼ、(受託番号 U01064)、H. sapiensセリン/トレオニンキナーゼ(受託
番号 Z48615)、ヒトraf1(受託番号 W13107)、ヒトRalf1キナーゼ(受託番号 R982
15)、および大豆キナーゼ(受託番号 M67449)と整列させた。この整列は図3に示
す。
【0249】 ラットCARKの分析 ラットCARKのタンパク質配列のBLASTP 1.4サーチ(Altschul ら
(1990) J. Mol. Biol. 215:403)は、Homo Sapiens推定タンパク質チロシンキナ
ーゼ(受託番号 AF116826)に類似することを明らかにした。ラットCARKは、
アミノ酸残基1−835にわたってHomo sapiens推定タンパク質チロシンキナー
ゼ(受託番号 AF116826)とほぼ91%同一である。また、ラットCARKは、ア
ンキリン繰返しおよびプロテインキナーゼモチーフ(受託番号 AF024491)に対す
る類似性を含むC. elegansタンパク質と同様である。ラットCARKは、アミノ
酸残基39−720にわたってアンキリン繰返しおよびプロテインキナーゼモチ
ーフに対する類似性を含むC. elegansタンパク質とほぼ41%同一であり、アミ
ノ酸残基10−370にわたり、39%同一である。
【0250】 ラットCARKのヌクレオチド配列のBLASTN 1.4.9サーチ(Altsc
hul ら (1990) J. Mol. Biol. 215:403)は、CARKがHomo sapiensクローンH
H498推定タンパク質−チロシンキナーゼmRNA(受託番号 AF116826)に類
似していることを明らかにした。ラットCARK核酸分子は、ヌクレオチド27
ないし2987にわたってHomo sapiensクローンHH498推定タンパク質−チ
ロシンキナーゼmRNA(受託番号 AF116826)に81%同一であり、ヌクレオチ
ド2752ないし2999にわたって63%同一である。
【0251】 nwsgapdnaマトリックス(12のギャップ重率および4の長さ重率)
GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラム用い、ラットCARK核酸
配列をヒトCARK核酸配列と全体的に整列させた。結果は2つの配列の間の8
2.2%同一性を示した(図7参照)。
【0252】 Plosum62マトリックスおよび12のギャップ重率および4の長さ重率を用い
、GCGソフトウェアパッケージ中のCAPプログラムを用い、ラットCARK
タンパク質配列をヒトCARKタンパク質と全体的に整列させた。結果は、2つ
の配列の間に91.4%同一性を示した(図8参照)。
【0253】 CARKmRNAの組織分布 本実施例は、ノーザンブロットハイブリダイゼーションによって測定されたC
ARK mRNAの組織分布を記載する。
【0254】 RNA試料でのノーザンブロットハイブリダイゼーションは標準的な条件下で
行い、ストリンジェントな条件下、すなわち、65℃における0.2×SSCにて
洗浄した。ヒトCARKに対応するDNAブローブ(クローンfchrf013
f03)を用いた。供給業者の指示に従ってPrime‐Itキット(Stratag
ene, LA Jolla,CA)を用い、該DNAを32P−dCTPで放射性標識
した。ヒトmRNA、ヒト筋肉mRNAおよびラットmRNAを含有するフィル
ター(Clontech, Palo Alto, CAからの各々、Multi Tssueノーザンブロット#7
760―1、#7765−1、および#7764−1)をExpressHybハイブ
リダイゼーション溶液(Clontech)中でプローブし、製造業者の推奨に従って、
高ストリンジェンシー条件で洗浄した。
【0255】 心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓およびすい臓からのmRNAを含有
するヒトmRNAブロット上で、CARKメッセージは心臓で強く検出され、骨
格筋で弱く検出された。骨格筋、子宮、結腸、小腸、膀胱、心臓、胃および前立
腺からのmRNAを含有するヒト筋内mRNAブロット上では、CARKメッセ
ージは心臓で強く検出された。心臓、脳、脾臓、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、およ
び精巣からのmRNAを含有するラットmRNAブロット上では、CARKメッ
セージは心臓で強く検出された。
【0256】 CARK遺伝子の染色体マッピング 該CARK遺伝子は、房室管欠陥(AVCD)遺伝子座内のヒト染色体1にマ
ップされることが判明した(Sheffield, VC ら (1997) Human Molecular Genetic
s, 6:117-121)。従って、CARK遺伝子は先天性心臓欠陥罹患性遺伝子、例え
ば、中隔欠陥、心内膜欠陥、血管欠陥または心臓弁欠陥についての候補である。
【0257】 実施例2:心筋細胞におけるCARK発現の調節 本実施例は心臓肥大の細胞培養モデルにおけるCARK発現の調節を記載する
【0258】 簡単に述べれば、トランスフェリン(10μg/ml)、インスリン(10μ
g/ml)およびウシ血清アルブミン(1mg/ml)を補足した無血清最小必
須培地(MEM)中で、新生児心筋細胞の一次培養を24時間までの間インキュ
ベートした(Kariya, K ら (1994) J. Biol. Chem., 269:3775-3782)。インキュ
ベーションの間にα1−アドレナリン作動性アゴニストL−フェニレフリン(2
0μM)を添加して心筋細胞肥大を誘導した。あるいは、細胞をアンジオテンシ
ンII(AII、10μM)、インスリン−様成長因子(IGF, 1 ng/
ml)、トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β、1 ng/ml)、
または腫瘍壊死因子−α(TGF−α、1 ng/ml)で処理した。ノーザン
ブロット分析用にRNAを収穫した。
【0259】 肥大アゴニストフェニレフリンでの心筋細胞の刺激は、時間依存的にCARK
mRNAの下降調節をもたらし、CARK mRNAは処理後12および24
次間の間にほとんど検出できないレベルに達した。筋細胞肥大の間に調節される
ことで知られている心房ナトリウム利尿性因子(AMF)および筋小胞体−Ca
(2+)−ATPase(SERCA2)の発現も評価した。ANF mRNA
を誘導し、フェニレフリン処理の後にSERCA2 mRNAは下降調節された
。CHO−Bリボソームタンパク質をコードする遺伝子を、肥大の間に調節され
ないコントロール遺伝子として用いた。
【0260】 AII、IGF、TGF−βおよびTNF−αでの処理はCARK発現に対し
ていずれの効果も有しないので、CARK調節に対するフェニレフリンの効果は
特異的である。また、それらはANF発現を誘導しなかったので、これらの成長
因子もまた肥大の状態を誘導しなかった。
【0261】 該CARK遺伝子は、心臓肥大の細胞培養モデルにおいてα1−アドレナリン
作動性アゴニストL−フェニレフリンに応答して特異的に下降調節され、かくし
て、心筋細胞の増殖および分化を調節する細胞シグナル伝達経路において役割を
演じることができる。心筋細胞肥大の間におけるCARK遺伝子の調節は、肥大
増殖の間に心臓遺伝子転写を変調する遺伝子調節エレメント(例えば、CARK
遺伝子の調節性非コーディング配列内のエレメント)を同定するのに有用であろ
う。
【0262】 実施例3:細菌細胞における組換えCARKタンパク質の発現 本実施例においては、CARKをE. coliにおいて組換えグルタチオン
−S−トランスフェラーゼ(GST)融合ポリペプチドとして発現させ、融合ポ
リペプチドを単離し、特徴付ける。具体的には、CARKをGSTに融合させ、
この融合ポリペプチドをE. coli、例えば、株、PEB199において発現させ
る。PEB199におけるGST−CARK融合タンパク質の発現はIPTGで
誘導される。組換え融合ポリペプチドは、グルタチオンビーズ上のアフィニティ
クロマトグラフィーによって誘導PEB199の粗製細菌溶解物から精製される
。細菌溶解物から精製したポリペプチドのポリアクリルアミドゲル電気泳動分析
を用い、得られた融合ポリペプチドの分子量を測定する。
【0263】 実施例4:COS細胞における組換えCARKタンパク質の発現 COS細胞においてCARK遺伝子を発現させるために、Invitrogen Corpora
tion (San Diego, CA)によるpcDNA/Amdベクターを用いる。このベクタ
ーはSV40複製起点、アンピシリン抵抗性遺伝子、E. coli複製起点、CMV
プロモーター、続いて、ポリリンカー領域、およびSV40イントロンおよびポ
リアデニル化部位を含む。全CARKタンパク質およびHAタグ(Wilson ら (19
84) Cell 37:767)または当該フラグメントの3’末端に枠内融合したFLAGタ
グをコードするDNAフラグメントを該ベクターのポリリンカー領域にクローン
化し、それにより、組換えタンパク質の発現をCMVプロモーターの制御下に置
く。
【0264】 該プラスミドを構築するため、2種類のプライマーを用い、PCRによってC
ARK DNA配列を増幅する。5’プライマーは注目する制限部位、続いて、
開始コドンから出発するCARKコーディング配列のほぼ20ヌクレオチドを含
み;3’末端配列は注目する他の制限部位に相補的な配列、翻訳停止コドン、H
AタグまたはFLAGタグおよびCARKコーディング配列の最後の20ヌクレ
オチドを含む。PCR増幅フラグメントおよびpCDNA/Ampベクターは適
当な制限酵素で消化し、該ベクターはCIAP酵素(New England Biolabs, Beve
rly, MA)を用いて脱リン酸化する。好ましくは、選択された2つの制限部位は、
CARK遺伝子が正しい向きに挿入されるように異なったものである。連結混合
物をE. coli細胞(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CAから入手できる
株HB101、DH5a、SUREを用いることができる)に形質転換し、形質
転換された培養をアンピシリン培地プレート上で平板培養し、抵抗性コロニーを
選択する。プラスミドDNAを形質転換体から単離し、正しいフラグメントの存
在につき制限分析によって調べる。
【0265】 リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウム共沈殿方法、DEAE−デキストラ
ン−媒介トランスフェクション、リポフェクションまたはエレクトロポレーショ
ンを用いて、COS細胞を引き続いてCARK―pcDNA/Ampプラスミド
DNAでトランスフェクトする。宿主細胞をトランスフェクトするための、他の
適当な方法は、Sambrook, J., Fritsh, E. F., および Maniatis, T. Molecular
Cloning: A Laboratory Manual. 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory, C
old Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に見出す
ことができる。CARKポリペプチドの発現は、HA特異的モノクローナル抗体
を用い、放射性標識(NEN, Boston, MAから入手できる35S−メチオニンまた
35S−システイン)および免疫沈澱(Harlow, E. および Lane, D. Antibodi
es: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Sprin
g Harbor, NY, 1988)によって検出する。簡単に述べれば、細胞を35S−メチ
オニン(または35S−システイン)で8時間標識する。次いで、培養培地を収
集し、界面活性剤(RIPA緩衝液、150 mM NaCl、1%NP−40
、0.1%SDS、0.5%DOC、50 mMトリス、pH7.5)を用いて
細胞を溶解させる。細胞溶解物および培養培地は共にHA特異的モノクローナル
抗体で沈殿する。次いで、沈殿したポリペプチドをSGD−PAGEによって分
析する。
【0266】 別法として、適当な制限部位を用い、CARKコーディング配列を含有するD
NAをpCDNA/Ampベクターのポリリンカーに直接クローン化する。得ら
れたプラスミドを前記したごとく、COS細胞にトランスフェクトし,CARK
特異的モノクローナル抗体を用い、放射性標識および免疫沈澱によって、CAR
Kポリペプチドの発現を検出する。
【0267】 同等物 当業者であれば、ルーチン的な実験を用い、本明細書中に記載した本発明の特
別な具体例に対する同等物を認識し、あるいはそれを確認することができる。そ
のような同等物は以下の請求の範囲に含まれることを意図する。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ヒトCARKのcDNA配列および予測アミノ酸配列を
示す。該ヌクレオチド配列は配列番号:1の核酸1ないし3015に対応する。
該アミノ酸配列は配列番号:2のアミノ酸1ないし835に対応する。該ヒトC
ARK遺伝子の5’および3’非翻訳領域のないコーディング領域を配列番号:
3に示す。
【図2】 図2は、該ヒトCARKタンパク質の構造的、疎水性、および抗
原性分析を示す。
【図3】 図3は、エイ.タリアナ・キナーゼ2(A Thaliana kinase 2)
(受託番号Z97337)、エイ.タリアナ・キナーゼ3(A Thaliana kinase
3)(受託番号AC003113)、アラビドシスタリアナ(Arabdopsis Thalia
na)(受託番号AL031135)、シー.エレガンス・キナーゼ(C. elegans
kinase)(受託番号AF024491)、ディー.ディスコイデアムタンパク
質チロシン・キナーゼ(D. discoideum protein tyrosine kinase)(受託番号
U01064)、エイチ.サピエンス セリン/トレオニン・キナーゼ(H. sap
ience serine/threonine kinase)(受託番号Z48615)、ヒトraf1(h
uman raf1)(受託番号W13107)、ヒトRaf1(human Raf1)(受託番
号R98215)、およびダイズ・キナーゼ(soybean kinase)(受託番号M6
7449)のCARKタンパク質の整列であり、PAM250残基重率表でのCl
ustal法を用いた。
【図4】 図4は、アンキリン繰返しドメインおよびタンパク質キナーゼド
メインがヒトCARKタンパク質中で同定されたHMMデータベースに対して行
われた調査の結果を示す。
【図5】 図5は、ラットCARKのcDNA配列および予測アミノ酸配列
を示す。該ヌクレオチド配列は配列番号:7のヌクレオチド1ないし3026に
対応する。該アミノ酸配列は配列番号:8のアミノ酸1ないし835に対応する
。該ラット遺伝子の5’および3’非翻訳領域のないコーディング領域を配列番
号:9に示す。
【図6】 図6は、アンキリン繰返しドメインおよびタンパク質キナーゼド
メインがラットCARKタンパク質中で同定されたHMMデータベースに対して
行われた調査の結果を示す。
【図7】 図7は、nwsgapdnaマトリクス、12のギャップ重率お
よび4の長さ重率を用いたGCCソフトウェア中のGAPプログラムを用いるヒ
トCARK核酸配列とラットCARK核酸配列との全体整列を示す。結果は、該
2つの配列間に82.2%の同一性を示した。
【図8】 図8は、Blosum62マトリクス、12のギャップ重率およ
び4の長さ重率を用いたGCCソフトウェア中のGAPプログラムを用いるヒト
CARK核酸配列とラットCARK核酸配列との全体整列を示す。結果は、該2
つの配列間に91.4%の同一性を示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12Q 1/02 4C084 9/10 1/68 A 4C085 C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 4H045 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 33/68 33/53 A61K 39/395 D 33/68 45/00 // A61K 38/45 A61P 9/04 39/395 9/10 45/00 35/00 A61P 9/04 43/00 105 9/10 C12N 15/00 ZNAA 35/00 5/00 A 43/00 105 A61K 37/52 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB07 BB14 BB50 DA13 DA36 FB01 FB02 FB03 FB05 FB07 4B024 AA01 AA11 CA04 DA02 DA06 EA04 GA11 HA01 HA12 4B050 CC03 DD11 LL01 LL03 4B063 QA01 QA18 QQ42 QQ52 QQ79 QR55 QR59 QR77 QR80 QS05 QS24 QS34 4B065 AA26X AA87X AA93Y AB01 AC14 CA29 CA44 CA46 4C084 AA07 AA17 BA01 BA08 BA22 BA44 CA62 DC01 ZA36 ZB26 ZB27 4C085 AA13 BB11 BB31 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA76 DA89 EA23 EA50 FA74

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)配列番号:1または7に記載のヌクレオチド配列を含
    む核酸分子;および (b)配列番号:3または9に記載のヌクレオチド配列を含
    む核酸分子 よりなる群から選択される単離した核酸分子。
  2. 【請求項2】 配列番号:2または8に記載のアミノ酸配列を含むポリペプ
    チドをコードする単離した核酸分子。
  3. 【請求項3】 受託番号 としてATCCに寄託されたプラスミド
    に含有されるヌクレオチド配列を含む単離した核酸分子。
  4. 【請求項4】 配列番号:2または8に記載のアミノ酸配列を含むポリペプ
    チドの天然に産出する対立遺伝子変異体をコードする単離した核酸分子。
  5. 【請求項5】 (a)配列番号:1、3、7もしくは9のヌクレオチド配列
    またはその相補体に少なくとも60%相同であるヌクレオチド配列を含む核酸分
    子; (b)配列番号:1、3、7もしくは9のヌクレオチド配列
    またはその相補体を含む核酸の少なくとも467ヌクレオチドの断片を含む核酸
    分子; (c)配列番号:2または8のアミノ酸配列に少なくとも約
    60%相同であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子;およ
    び (d)配列番号:2または8のアミノ酸配列を含むポリペプ
    チドの断片であって、配列番号:2または8のアミノ酸配列の少なくとも15個
    の連続したアミノ酸残基を含む該断片をコードする核酸分子 よりなる群から選択される単離した核酸分子。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4または5いずれか1に記載の核酸分子
    に、ストリンジェント条件下でハイブリダイズする単離した核酸分子。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4または5いずれか1に記載の核酸分子
    のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む単離した核酸分子。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4または5いずれか1に記載の核酸分子
    および非相同ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離した核酸分
    子。
  9. 【請求項9】 請求項1、2、3、4または5に記載の核酸分子を含むベク
    ター。
  10. 【請求項10】 発現ベクターである請求項9記載のベクター。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の発現ベクターでトランスフェクトされた
    宿主細胞。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の宿主細胞を適当な培養培地中にて培養し
    、それにより、該ポリペプチドを産生することを特徴とするポリペプチドの産生
    方法。
  13. 【請求項13】 (a)配列番号:2または8のアミノ酸配列を含むポリぺ
    プチドのフラグメントであって、配列番号:2または8の少なくとも15個の連
    続したアミノ酸を含む該フラグメント; (b)配列番号:2または8のアミノ酸配列を含むポリペプ
    チドであって、配列番号:1、3、7または9よりなる核酸分子に、ストリンジ
    ェント条件下でハイブリダイズする核酸分子によりコードされる該ポリペプチド
    の天然に産出する対立遺伝子変異体; (c)配列番号:1、3、7または9のヌクレオチド配列を
    含む核酸に、少なくとも60%相同であるヌクレオチド配列を含む核酸分子によ
    りコードされるポリペプチド; (d)配列番号:2または8のアミノ酸配列に少なくとも6
    0%相同であるアミノ酸配列を含むポリペプチド よりなる群から選択される単離したポリペプチド。
  14. 【請求項14】 配列番号:2または8のアミノ酸配列を含む請求項13記
    載の単離したポリペプチド。
  15. 【請求項15】 非相同アミノ酸配列をさらに含む請求項13記載のポリペ
    プチド。
  16. 【請求項16】 請求項13記載のポリペプチドに選択的に結合する抗体。
  17. 【請求項17】 試料中の請求項13記載のポリペプチドの存在を検出する
    方法であって、 (a)該ポリペプチドに選択的に結合する化合物に、該試
    料を接触させ;次いで (b)該化合物が該試料中のポリペプチドに結合したかど
    うかを決定し、それにより、該試料中の請求項13記載のポリペプチドの存在を
    検出することを特徴とする該方法
  18. 【請求項18】 該ポリペプチドに結合する化合物が抗体である請求項17
    記載の方法。
  19. 【請求項19】 請求項13記載のポリペプチドに選択的に結合する化合物
    および使用のインストラクションを含むキット。
  20. 【請求項20】 試料中の請求項1、2、3、4または5いずれか1に記載
    の核酸分子の存在を検出する方法であって、 (a)該核酸分子に選択的に結合する核酸プローブまたは
    プライマーに、該試料を接触させ;次いで (b)該核酸プローブまたはプライマーが該試料中の核酸
    分子に結合したかどうかを決定し、それにより、該試料中の請求項1、2、3、
    4または5いずれか1に記載の核酸分子の存在を検出することを特徴とする該方
    法。
  21. 【請求項21】 該試料はmRNA分子を含み、核酸プローブに接触させら
    れることを特徴とする請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 請求項1、2、3、4または5いずれか1に記載の核酸分
    子に選択的にハイブリダイズする化合物およびその使用のインストラクションを
    含むキット。
  23. 【請求項23】 (a)該ポリペプチドまたは該ポリペプチドを発現する細
    胞を試験化合物に接触させ;次いで (b)該ポリペプチドが該試験化合物に結合したかどうか
    を決定することを特徴とする請求項13記載のポリペプチドに結合する化合物を
    同定する方法。
  24. 【請求項24】 該ポリペプチドへの該試験化合物の結合が: (a)試験化合物/ポリペプチド結合の直接検出による検
    出; (b)競合結合アッセイを用いる結合の検出;および (c)CARK活性のアッセイを用いる結合の検出 よりなる群から選択される方法によって検出される請求項23記載の方法。
  25. 【請求項25】 該ポリペプチドまたは該ポリペプチドを発現する細胞を該
    ポリペプチドに結合する化合物に充分な濃度において接触させて、該ポリペプチ
    ドの活性を調整する請求項13記載のポリペプチドの活性を調整する方法。
  26. 【請求項26】 (a)請求項13記載のポリペプチドを試験化合物に接触
    させ;次いで (b)該ポリペプチドの活性への該試験化合物の効果を決
    定し、それにより、該ポリペプチドの活性を同定することを特徴とする請求項1
    3記載のポリペプチドの活性を調整する化合物を同定する方法。
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