JP2000050567A - 流体軸受ブラシレスモータ - Google Patents

流体軸受ブラシレスモータ

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JP2000050567A
JP2000050567A JP20892598A JP20892598A JP2000050567A JP 2000050567 A JP2000050567 A JP 2000050567A JP 20892598 A JP20892598 A JP 20892598A JP 20892598 A JP20892598 A JP 20892598A JP 2000050567 A JP2000050567 A JP 2000050567A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きな衝撃が作用した場合各部位の変形する
問題、締結が弱いなどの問題、係止箇所が部分的であり
こじれてしまう問題、また軸受部でスラスト方向に大き
な移動のある動きをすると潤滑流体の漏れ出るという現
象などが課題となっている。本発明は上記従来の問題点
を解決するもので、抜け止め板の締結方法や寸法や材質
などを選ぶことによって高い耐衝撃性のある流体軸受ブ
ラシレスモータを提供することを目的にする。 【解決手段】 上記課題を解決するために本発明は、抜
け止め板13によるスラスト方向の移動規制量を小さく
押さえ込み、さらに抜け止め板13の組立方法、締結方
法や寸法や材質などを選ぶことによって高い耐衝撃性の
ある流体軸受ブラシレスモータとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスク装
置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置、多面鏡駆動
装置などのOA装置駆動用流体軸受ブラシレスモータに
おける抜け止めに関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近では、マルチメディアを意識した高
速インターフェースの移行が急速に進み、光磁気ディス
ク装置、磁気ディスク装置、DVD装置など大容量の情
報を記録再生する装置が開発されている。磁気ディスク
装置はデータの転送速度が開発のネックになっていた
が、内部データ転送速度の向上が図られ、それに合わせ
てFL−AL(FibreChannel-Arbitrated Loop)などの
高速なインターフェースを採用して、サーバ市場や動画
などの情報市場に向けた高容量で高速な対応の磁気ディ
スク装置の開発が活発である。また光ディスク装置であ
るDVD装置は動画の再生、記録などのため、高容量な
装置へと開発が進められている。
【0003】高容量化が進むとディスクなどを駆動する
ブラシレスモータは回転精度が要求され、そうしたブラ
シレスモータに動圧流体軸受を使用した動きが急速に広
がっている。
【0004】ブラシレスモータに動圧流体軸受を利用す
る理由として以下のことが挙げられる。 (1)不規則なシャフトの振れを抑えられる。
【0005】ボール軸受では、鋼球すべてを均一な形状
に加工することができず、そのため回転中に突発的なシ
ャフト振れが生じる。シャフト振れを減らすと、磁気デ
ィスク装置では磁気ヘッドの位置決め誤差を小さくで
き、DVD装置ではビーム・スポットの位置決め誤差を
減らすことができ、記録密度の向上に対応しやい。 (2)耐衝撃性が向上する。
【0006】流体の膜が緩衝の役割を果たすためであ
る。 (3)軸受で発生する騒音が減る。 (4)金属疲労で軸受が壊れるまでの疲れ寿命が長い。
【0007】連続回転する流体動圧軸受では流体を介し
て非接触でシャフトは回転するので、金属接触すること
がない。
【0008】また、流体軸受は耐衝撃性は向上するが、
ノートパソコンや携帯端末などに磁気ディスク装置、C
D−ROM装置を搭載する場合、動圧流体軸受ブラシレ
スモータに対する耐衝撃要求も1000Gとなりつつあ
る。動圧軸受は軸受が回転したら動圧によって浮上し非
接触状態になるという特性から、軸受部は浮上量程度の
移動は許容される構造である。そのために、衝撃が作用
した場合、回転部材が移動する。移動規制するものがな
い場合は回転部材は軸受から外れてしまう。
【0009】したがって、回転部材の抜け止め構造につ
いて、いろいろな構造が採られている。特に最近では衝
撃荷重が大きくなり、材料から見直す必要に迫られてい
る。
【0010】従来例として軸回転タイプの流体軸受ブラ
シレスモータにおいて、特開平7−123633号公報
のようにモータ内部に係止部材を設けて駆動マグネット
の端面で係止できるようにしてロータ抜けを防止する方
法や、また特開平6−165428号公報はモータの外
部に抜け止め部材を設けてロータフレーム天面部の上方
部に金属のプレートを固定し、そのプレートでロータ抜
けを防止する方法が採用されている。特開平8−182
287号公報のようにモータの外部に抜け止め部材を設
けてロータフレームのフランジ部で係止できるようにし
てロータ抜けを防止する方法が採用されている。こうし
た構成では、薄型や小型のブラシレスモータになると、
係止部材(または抜け止め部材)を構成するためのスペ
ースが構成できない。ロータの抜け止め部材は回転部位
の一カ所で実施するために大きな衝撃が作用する場合は
変形してしまう。このような抜け止め部材を回転部位の
一カ所に当接させる構造ではあまり高い衝撃に耐えるこ
とができない。
【0011】特開平7−71448号公報のような軸受
装置の抜け止め構造は抜け止め部材が板バネで構成され
常にスラスト圧が作用している構造であり、軸に対して
軸ぶれの原因になる偶力を作用させないようになってい
るために、回転中に抜け止め板の板バネが負荷となって
作用し、動圧流体軸受のような求心性のある軸受ではそ
の効果が阻害されやすく、繰り返し振れや非繰り返し振
れが大きくなり、高容量の記憶装置の駆動モータとして
は不十分である。動圧流体軸受装置では抜け止め板が非
接触で回転する構造に変わりつつある。また抜け止め板
を板バネで構成すると容易に曲がることになり、大きな
衝撃が作用した場合、その板バネが変形してしまい、衝
撃後には所定のスラスト力が発生しないことが多く、最
近では抜け止め板の材料についても十分な検討が必要に
なってきている。
【0012】特開平8−251864号公報の電動機の
軸受の抜け止め材(引用公報では規制部材としている)
は軸受装置内での構成である。この抜け止め材はシャフ
トに係合させて抜け止めをするもので、回転部位の一カ
所で実施するために大きな衝撃が作用する場合は抜け止
め材が変形してしまうなど、大きな衝撃には十分とはい
えない。引用例の実施例では抜け止め材がネジ部がある
ネジにて微調しながら軸受内部に挿入できるので嵌合の
具合は十分に把握できるが、ネジであるのでロータハブ
は衝撃などで移動した場合、その円筒形状の抜け止め材
はシャフトに線で接触する。高い衝撃に対しては耐える
ことが十分ではない場合が多い。
【0013】全面で抜け止め材が当接する構造として、
軸受外部に止め板を構成する特開平8−275447号
公報や軸受内部に抜け止め板を構成する特開平6−20
0939号公報、特開平8−275447号公報、特開
平6−311695号公報、特開平6−178491号
公報がある。
【0014】特開平8−275447号公報は軸受外部
に構成する構造であり、小型のブラシレスモータに採用
されようとしている。小型の装置に搭載されるモータで
あるがボール軸受の代替え的モータで開発が進んだため
に衝撃力も200G程度の保証で、1000G程度の高
い衝撃力に対して十分な検討がなされていない。この組
立工法でのモータについて材料、設計部品寸法などの見
直しが必要になってきた。
【0015】特開平6−200939号公報、特開平8
−275447号公報は軸受内部に抜け止め板を構成す
るもので、衝撃に対する配慮で抜け止め板を設けたので
はなく、回転の安定性を重点にして設けられており、ア
キシャルガタに対しても抜け止め板を設けることによる
剛性向上で対応している。衝撃に対しての考慮は十分に
なされてはいない。最近では本発明の実施例にもある構
造であるが、この構造でも流体軸受ブラシレスモータで
の耐衝撃性向上の取り組みがなされつつある。
【0016】特開平6−311695号公報、特開平6
−178491号公報の構造は比較的磁気ディスク径の
大きなモータに対応した構成であり、用途としてもサー
バなど大きな衝撃が作用しないところでの使用が多く、
高い衝撃を要求されるようなことがなく、抜け止め板の
シャフトに対する直角度や潤滑流体の漏れについての対
策が重要な課題であった。そのため200G程度の衝撃
力での仕様のものが多い。最近ではこのような構造の流
体軸受ブラシレスモータにおいても1000Gほどの耐
衝撃性の要求がなされつつある。
【0017】駆動マグネットのセンターとステータコア
のセンターを違えて、その違いによる磁気吸引力を利用
するものがよく知られている。薄型の場合はモータの高
さの関係でそのセンターずれを大きく設定できないた
め、耐衝撃性を十分に設けることができない。
【0018】特に、装置が薄型になるとモータの高さ方
向の寸法がその装置によって規制されモータ全高も薄く
しなければならない。そのため、動圧流体軸受の構成長
さが短くなり、軸受剛性が低下する。軸受剛性の低下に
伴って、モータの起動停止によって金属接触が発生して
摺動部分に摩耗が生じやすくなる。
【0019】抜け止め部材の構成も動圧発生する軸受部
の構成長さが短くならないように構成する必要があるの
で、耐衝撃性向上で非常に厚い部材を用いることができ
ない。
【0020】また携帯端末は耐落下の優れたものが必要
となり、流体軸受ブラシレスモータも耐衝撃対策を行っ
たものが要求されつつある。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】流体軸受は耐衝撃性は
向上するが、ノートパソコンや携帯端末などに磁気ディ
スク装置、CD−ROM装置を搭載する場合、動圧流体
軸受ブラシレスモータに対する耐衝撃要求も1000G
となりつつある。動圧軸受は軸受が回転したら動圧によ
って浮上し非接触状態になるという特性から、軸受部は
浮上量程度の移動は許容される構造である。そのため
に、衝撃が作用した場合、回転部材が移動する。移動規
制するものがない場合は回転部材は軸受から外れてしま
すので、ロータが抜けないように抜け止め部材をモータ
に設ける必要がある。
【0022】特開平7−123633号公報や特開平7
−123633号公報や特開平8−182287号公報
ではモータの外部に抜け止め部を構成する構造であり、
モータの外部に抜け止め部を構成することは、機種展開
や汎用性を持たせる時に足かせとなるうえに、ロータの
抜け止め部材は回転部位の一カ所で実施するために大き
な衝撃が作用する場合は変形してしまう。このような抜
け止め部材を回転部位の一カ所に当接させる構造ではあ
まり高い衝撃に耐えることができないなどの課題があ
る。
【0023】また、特開平8−251864号公報は軸
受内部に抜け止め部材の構成があるが、回転部位の一カ
所で実施するために大きな衝撃が作用する場合は抜け止
め材が変形してしまうなど、大きな衝撃には十分とはい
えないなどの課題がある。
【0024】抜け止め板が全面的に当接する構造でない
高い衝撃に耐えることができないと判断して、回転軸の
近傍で抜け止め構成が可能な方法として、軸受外部に止
め板を構成する特開平8−275447号公報に見られ
るような構造や、軸受内部に抜け止め板を構成する特開
平6−200939号公報、特開平8−275447号
公報や特開平6−311695号公報、特開平6−17
8491号公報に見られる構造において、高い衝撃性の
耐え要因を選定して、その項目について実験などで検証
しながら、耐衝撃性の高くて、装置の小型化が可能な寸
法を選定する。
【0025】特開平8−275447号公報は軸受外部
に構成する構造であり、小型のブラシレスモータに採用
されようとしている。小型の装置に搭載されるモータで
あることに優れているが、スラスト移動規制量が比較的
大きくなりがちで、抜け止め板の締結位置が軸受外であ
るので、抜け止め板が変形しやすい上に、巻線部が近傍
に構成されるために締結寸法を管理する必要があり、む
やみに抜け止め板の厚みを厚くできないなどの課題があ
る。
【0026】したがって、抜け止め板の締結方法や組立
方法などから検討し、材質や寸法、移動規制量などの影
響を考慮して対策を講じる。
【0027】特開平6−200939号公報、特開平8
−275447号公報は軸受内部に抜け止め板を構成す
るもので、回転の安定性には優れているが衝撃に対する
配慮がないために、抜け止め板の外径を大きくする方策
が講じられやすいが、あまり大きすぎると起動時の傾き
によって抜け止め板の外周部が金属接触する時間が長く
なり、信頼性を損なうことなどの問題がある。
【0028】したがって、抜け止め板の材質や寸法、移
動規制量などの影響を考慮して対策を講じる。
【0029】特開平6−311695号公報、特開平6
−178491号公報の構造は比較的磁気ディスク径の
大きなモータに対応した構成であり、用途としてもサー
バなど高容量の装置に使用されるので、回転の安定性に
は優れているが、回転部の重量が重いので、大きな衝撃
が作用した場合各部位の変形が問題となり、抜け止め板
などの締結が問題になることがある。
【0030】したがって、抜け止め板の材質や寸法、移
動規制量などの影響を考慮して対策を講じる。
【0031】また軸受部でスラスト方向に大きな移動の
ある動きをすると潤滑流体の漏れ出るという現象があ
り、この対策も大きな課題となっている。
【0032】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、抜け止め板の締結方法や寸法や材質などを選ぶこと
によって高い耐衝撃性のある流体軸受ブラシレスモータ
を提供することを目的にする。
【0033】ロータハブが移動するような衝撃が作用す
る場合、特性が劣化する問題があり、その原因を求めて
対策を講じる必要があった。
【0034】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、流体軸受ブラシレスモータの抜け止め板に
ついて、抜け止め板の締結方法や寸法や材質などを選ぶ
ことによって高い耐衝撃性のある流体軸受ブラシレスモ
ータとしたものである。
【0035】軸受の外部に抜け止め板を構成する流体軸
受ブラシレスモータにおいては (1)抜け止め板によるスラスト方向の移動規制量を小
さく押さえ込む。そのために部品精度を上げてビルトイ
ン方式でモータを組み立てる方法やあらかじめ決められ
た移動規制量で抜け止め板を固定する方法を行う。 (2)抜け止め板の締結方法としてカシメと接着を採用
する。 (3)抜け止め板の寸法を所定範囲の大きさでする。 (4)抜け止め板の材質を所定範囲の強度でする。 (5)吸引マグネットで衝撃力の一部を吸収する。
【0036】また、軸受の外周近傍に配置した円筒状の
マグネットの端面の吸引力をロータハブの軸方向の吸引
に利用するようにしたものである。
【0037】また、軸受の外周近傍に配置した円筒状の
マグネットの端面の吸引力はロータハブに固定された抜
け止め板に作用するようにしたものである。さらに、抜
け止め板は軸受のスリーブの一部に係止するようにし
て、ロータハブの移動を規制したものである。
【0038】さらには、大きな衝撃が作用しても、軸受
の外周近傍に配置した円筒状のマグネットの端面の吸引
力でロータハブの移動が規制され、ロータハブが移動し
てもロータハブに固定された抜け止め板が流体軸受のス
リーブのフランジ部に係止するので、ロータハブがブラ
シレスモータから抜けるようなことがない。
【0039】軸受の内部に抜け止め板を構成する流体軸
受ブラシレスモータにおいては (1)抜け止め板によるスラスト方向の移動規制量を小
さく押さえ込む。 (2)抜け止め板の寸法を所定範囲の大きさでする。 (3)抜け止め板の材質を所定範囲の強度でする。
【0040】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、ハウジング本体と、該ハウジングに固定されたステ
ータコアと、該ハウジングに固定されたスリーブと、該
スリーブに固定されたスラスト板と、該ハウジング本体
に対して相対的に回転自在であるロータハブと、該ロー
タハブの内周部に駆動マグネットと、該ロータハブに締
結されたシャフトとを備え、該シャフトと該スリーブと
からなりいずれか一方にヘリングボーン溝を有するラジ
アル動圧軸受とスリーブの一方に固定されたスラスト板
とシャフトの一端で構成されるスラスト軸受を有し、ス
リーブのロータハブ側にフランジ部を設け、ロータハブ
に固定した抜け止め板で、ロータハブがシャフト方向に
移動した場合抜け止め板がフランジ部に当接するように
構成され、このロータハブの移動量が0.025mmか
ら0.5mmの範囲内であるように該抜け止め板を配置
したことを特徴とする流体軸受ブラシレスモータとした
ものであり、衝撃が作用した場合に抜け止め板全面で衝
撃力を受けるので、衝撃力による抜け止め板の変形がな
い状態が可能となり、衝撃が作用した場合にシャフトの
移動量が小さく規制できることによりすなわち軸受内で
のシャフトの移動量を小さくすることにより瞬時の潤滑
流体の移動が十分に可能となり、潤滑流体の漏れがない
ようにできるので、信頼性が高い。移動規制量が小さい
と衝撃によっての動きが小さいので、磁気ヘッドが磁気
ディスクにダメージを及ぼすことがない。さらに、衝撃
などによる部品の変形が弾性変形内に抑えられるので、
回転精度に影響するようなことがなく、信頼性の高く、
耐衝撃性の優れるという作用を有する。
【0041】請求項2に記載の発明は、スリーブのロー
タハブ側にフランジ部を設け、ロータハブに固定した抜
け止め板で、ロータハブがシャフト方向に移動した場合
抜け止め板がフランジ部に当接するように構成され、こ
のロータハブの移動量が0.025mmから0.5mm
の範囲内であるように配置した該抜け止め板の寸法が
【0042】
【数5】
【0043】の関係であることを特徴とする請求項1記
載の流体軸受ブラシレスモータとしたものであり、衝撃
が作用した場合にシャフトの移動量が小さく規制できる
ので軸受内でのシャフトの移動量を小さくすることによ
り潤滑流体の漏れがないようにできる。さらに、大きな
衝撃に対しても抜け止め板の変形がないために流体軸受
ブラシレスモータの耐衝撃性の優れて信頼性の高くとい
う作用を有する。抜け止め板の塑性変形がないので、衝
撃後の回転精度に影響するようなことがないという作用
を有する。
【0044】請求項3に記載の発明は、スリーブのロー
タハブ側にフランジ部を設け、ロータハブに固定した抜
け止め板で、ロータハブがシャフト方向に移動した場合
抜け止め板がフランジ部に当接するように構成され、該
抜け止め板の材質の耐力が1000N/mm2以上もし
くは引っ張り強さ1300N/mm2以上であることを
特徴とする請求項1または請求項2記載の流体軸受ブラ
シレスモータとしたものであり、衝撃が作用した場合に
シャフトの移動量が小さく規制できるので軸受内でのシ
ャフトの移動量を小さくすることにより潤滑流体の漏れ
がないようにできる。さらに、大きな衝撃に対しても抜
け止め板の変形がないために流体軸受ブラシレスモータ
の耐衝撃性の優れて信頼性の高くという作用を有する。
抜け止め板の塑性変形がないので、衝撃後の回転精度に
影響するようなことがないという作用を有する。
【0045】請求項4に記載の発明は、スリーブのロー
タハブ側にフランジ部を設け、ロータハブに固定した抜
け止め板で、ロータハブがシャフト方向に移動した場合
抜け止め板がフランジ部に当接するように構成され、こ
のロータハブの移動量が0.025mmから0.5mm
の範囲内であるように配置した該抜け止め板がロータハ
ブにカシメにて締結されたことを特徴とする請求項1記
載の流体軸受ブラシレスモータとしたものであり、衝撃
が作用した場合にシャフトの移動量が小さく規制できる
ので軸受内でのシャフトの移動量を小さくすることによ
り潤滑流体の漏れがないようにできる。さらに、大きな
衝撃に対しても抜け止め板の締結部が変形することもな
いうえに、締結強度が安定であるという作用を有する。
【0046】請求項5に記載の発明は、ハウジングと、
該ハウジングに固定されたステータコアと、該ハウジン
グに固定されたスリーブと、該スリーブに固定されたス
ラスト板と、該ハウジング本体に対して相対的に回転自
在であるロータハブと、該ロータハブの内周部に駆動マ
グネットと、該ロータハブに締結されたシャフトとを備
え、該シャフトと該スリーブとからなりいずれか一方に
ヘリングボーン溝を有するラジアル動圧軸受とスリーブ
の一方に固定されたスラスト板とシャフトの一端で構成
されるスラスト軸受を有し、スリーブのロータハブ側に
フランジ部を設け、ロータハブに固定した抜け止め板
で、ロータハブがシャフト方向に移動した場合抜け止め
板がフランジ部に当接するように構成され、このロータ
ハブの移動量が0.025mmから0.5mmの範囲内
であるように該抜け止め板を配置するために、ハウジン
グに対してロータハブを軸方向に設定値の移動量移動さ
せた状態で抜け止め板を接着固定したことを特徴とする
流体軸受ブラシレスモータとしたものであり、衝撃が作
用した場合に抜け止め板全面で衝撃力を受けるので、衝
撃力による抜け止め板の変形がない状態が可能となるう
えに、モータ部品がばらついても移動規制量を所定の寸
法に組み立てることができる。さらに移動規制量をばら
つきの小さい範囲でも組立ができるという作用がある。
そのために、軸受内でのシャフトの移動量を小さくする
ことにより瞬時の潤滑流体の移動が十分に可能となり、
潤滑流体の漏れがないようにできるので、信頼性を高め
ることができるという作用を有する。
【0047】請求項6に記載の発明は、スリーブのロー
タハブ側にフランジ部を設け、ロータハブに固定した抜
け止め板で、ロータハブがシャフト方向に移動した場合
抜け止め板がフランジ部に当接するように構成され、こ
のロータハブの移動量が0.025mmから0.5mm
の範囲内であるように配置した該抜け止め板がロータハ
ブに接着で締結されたことを特徴とする請求項1または
請求項2または請求項3または請求項5記載の流体軸受
ブラシレスモータとしたものであり、抜け止め板の締結
強度が安定であるということと、締結部の気密性がで
き、潤滑流体がモータ外部に飛散することがないという
作用を有する。
【0048】請求項7に記載の発明は、ハウジング本体
と、ステータコアと、該ハウジングに固定されたスリー
ブと、該スリーブに固定されたスラスト板と、該ハウジ
ング本体に対して相対的に回転自在であるロータハブ
と、該ロータハブの内周部に駆動マグネットと、該ロー
タハブに締結されたシャフトとを備え、該シャフトと該
スリーブとからなりいずれか一方にヘリングボーン溝を
有するラジアル動圧軸受とスリーブの一方に固定された
スラスト板とシャフトの一端で構成されるスラスト軸受
を有し、スリーブのロータハブ側にフランジ部を設け、
ロータハブに固定した抜け止め板で、ロータハブがシャ
フト方向に移動した場合抜け止め板がフランジ部に当接
するように構成され、この抜け止め板が磁性材料であっ
て、このロータハブの移動量が0.025mmから0.
5mmの範囲内であるように該抜け止め板を配置し、ハ
ウジングの内部円筒部にサブマグネットを固定して、該
抜け止め板を該サブマグネットで隙間をもって吸引した
ことを特徴とする流体軸受ブラシレスモータとしたもの
であり、衝撃が作用した場合に抜け止め板全面で衝撃力
を受けるので、衝撃力による抜け止め板の変形がない状
態が可能となるうえに、衝撃力が小さい場合はサブマグ
ネットの吸引力でロータハブは異常に浮かないので、動
作時の耐衝撃性が向上する。さらに大きな衝撃力が作用
してもサブマグネットの吸引力相当分は軽減されるの
で、抜け止め板の変形ないという作用を有する。したが
って、耐衝撃性の優れて信頼性の高く流体軸受ブラシレ
スモータが可能となり、衝撃後の回転精度への影響がな
いという作用を有する。
【0049】請求項8に記載の発明は、ハウジングと、
ステータコアと、該ハウジングに固定されたスリーブ
と、該スリーブに固定されたスラスト板と、該ハウジン
グ本体に対して相対的に回転自在であるロータハブと、
該ロータハブの内周部に駆動マグネットと、該ロータハ
ブに締結されたシャフトとを備え、該シャフトと該スリ
ーブとからなりいずれか一方にヘリングボーン溝を有す
るラジアル動圧軸受とスリーブの一方に固定されたスラ
スト板とシャフトの一端で構成されるスラスト軸受を有
し、スリーブのロータハブ側にフランジ部を設け、ロー
タハブに固定した抜け止め板で、ロータハブがシャフト
方向に移動した場合抜け止め板がフランジ部に当接する
ように構成され、スリーブの外周にハウジングを介して
サブマグネットを配置し、スラスト方向高さにおいてス
テータコアの厚みの範囲内において駆動マグネットとス
リーブの外周に配置したサブマグネットとがかかり、ス
リーブのロータハブ側にフランジ部を設け、ロータハブ
に固定した抜け止め板で、ロータハブがシャフト方向に
移動した場合抜け止め板がフランジ部に当接するように
構成され、該抜け止め板が強磁性材で構成され、軸受外
周側に配置したサブマグネットで該抜け止め板が吸引さ
れたことを特徴とする流体軸受ブラシレスモータとした
ものであり、衝撃力が小さい場合はサブマグネットの吸
引力でロータハブは異常に浮かないので、動作時の耐衝
撃性が向上する。さらに大きな衝撃力が作用してもサブ
マグネットの吸引力相当分は軽減されるので、抜け止め
板に作用する衝撃力が小さく、変形ないという作用を有
する。したがって、耐衝撃性の優れて信頼性の高い流体
軸受ブラシレスモータが可能となり、衝撃後の回転精度
への影響がないという作用を有する。サブマグネットの
厚みが大きく設定できるので、吸着面が小さくても吸引
力が大きな構成ができるので小型で薄型の流体軸受ブラ
シレスモータが可能となるという作用を有する。
【0050】請求項9に記載の発明は、スリーブのロー
タハブ側にフランジ部を設け、ロータハブに固定した抜
け止め板で、ロータハブがシャフト方向に移動した場合
抜け止め板がフランジ部に当接するように構成され、こ
のロータハブの移動量が0.025mmから0.5mm
の範囲内であるように配置した該抜け止め板の寸法が
【0051】
【数6】
【0052】の関係であることを特徴とする請求項7ま
たは請求項8記載の流体軸受ブラシレスモータとしたも
のであり、衝撃力が小さい場合はサブマグネットの吸引
力で、動作時の耐衝撃性が向上する。衝撃が作用した場
合にシャフトの移動量が小さく規制できるので軸受内で
のシャフトの移動量を小さくすることにより潤滑流体の
漏れがないようにできる。さらに、大きな衝撃に対して
もサブマグネットの吸引力相当分は軽減されるので、抜
け止め板に作用する衝撃力が小さくなるうえに、抜け止
め板の寸法を所定内にいれることに、効果的で変形ない
抜け止め板のある流体軸受ブラシレスモータが可能とな
るという作用を有する。
【0053】請求項10に記載の発明は、スリーブのロ
ータハブ側にフランジ部を設け、ロータハブに固定した
抜け止め板で、ロータハブがシャフト方向に移動した場
合抜け止め板がフランジ部に当接するように構成され、
該抜け止め板の材質の耐力が1000N/mm2以上も
しくは引っ張り強さが1300N/mm2以上であるこ
とを特徴とする請求項7または請求項8または請求項9
記載の流体軸受ブラシレスモータとしたものであり、衝
撃力が小さい場合はサブマグネットの吸引力で、動作時
の耐衝撃性が向上する。衝撃が作用した場合にシャフト
の移動量が小さく規制できるので軸受内でのシャフトの
移動量を小さくすることにより潤滑流体の漏れがないよ
うにできる。さらに、大きな衝撃に対してもサブマグネ
ットの吸引力相当分は軽減されるので、抜け止め板に作
用する衝撃力が小さくなるうえに、抜け止め板の強度を
所定内にすることに、効果的で変形ない抜け止め板のあ
る流体軸受ブラシレスモータが可能となるという作用を
有する。
【0054】請求項11に記載の発明は、スリーブのロ
ータハブ側にフランジ部を設け、ロータハブに固定した
抜け止め板で、ロータハブがシャフト方向に移動した場
合抜け止め板がフランジ部に当接するように構成され、
このロータハブの移動量が0.025mmから0.5m
mの範囲内であるように配置した該抜け止め板がロータ
ハブにカシメにて締結されたことを特徴とする請求項7
または請求項8記載の流体軸受ブラシレスモータとした
ものであり、衝撃力が小さい場合はサブマグネットの吸
引力で、動作時の耐衝撃性が向上する。衝撃が作用した
場合にシャフトの移動量が小さく規制できるので軸受内
でのシャフトの移動量を小さくすることにより潤滑流体
の漏れがないようにできる。さらに、大きな衝撃に対し
てもサブマグネットの吸引力相当分は軽減されるので、
抜け止め板に作用する衝撃力が小さくなるうえに、抜け
止め板の締結強度が安定し、締結部材として余分な部品
がなく安価な締結が可能となるという作用を有する。
【0055】請求項12に記載の発明は、ハウジング本
体と、該ハウジングに固定されたステータコアと、該ハ
ウジングに固定されたスリーブと、該ハウジング本体に
対して相対的に回転自在であるロータハブと、該ロータ
ハブの内周部に駆動マグネットと、該ロータハブに締結
されたシャフトと、シャフトの一端には固定されたシャ
フト径よりも大きな抜け止め板と、抜け止め板をスリー
ブとで囲むように設置されたスラスト板とを備え、該シ
ャフトと該スリーブとからなりいずれか一方にヘリング
ボーン溝を有するラジアル動圧軸受を有し、シャフトに
固定された抜け止め板とスリーブからなりいずれか一方
に動圧溝を有し、かつシャフトに固定された抜け止め板
とスラスト板からなりいずれか一方に動圧溝を有して構
成されるスラスト軸受を有し、ロータハブがシャフト方
向に移動した場合、上側移動では抜け止め板の上面はス
リーブに当接するように構成され、この移動量が0.0
20mmから0.5mmの範囲内であるように抜け止め
板を配置したことを特徴とする流体軸受ブラシレスモー
タとしたものであり、衝撃が作用した場合に抜け止め板
全面で衝撃力を受けるので、衝撃力による抜け止め板の
変形がない状態が可能となり、さらに抜け止め板によっ
てロータハブの移動量が小さく規制できるので軸受内で
のシャフトの移動量を小さくすることができることにな
り、衝撃作用による瞬時の潤滑流体の移動が十分に可能
となり、潤滑流体の漏れがないようにできるので、信頼
性が高い。軸受内でシャフト径よりも大きな抜け止め板
を構成することによって回転が安定になるという作用を
有する。
【0056】請求項13に記載の発明は、ロータハブが
シャフト方向に移動した場合、上側移動では抜け止め板
の上面はスリーブに当接するように構成され、この移動
量が0.020mmから0.5mmの範囲内であるよう
に抜け止め板を配置し、その抜け止め板の寸法が
【0057】
【数7】
【0058】の関係であることを特徴とする請求項12
記載の流体軸受ブラシレスモータとしたものであり、衝
撃が作用した場合にシャフトの移動量が小さく規制でき
るので軸受内でのシャフトの移動量を小さくすることに
より潤滑流体の漏れがないようにできる。さらに、大き
な衝撃に対しても抜け止め板の寸法を所定の大きさにす
ることで、起動停止性能の良くて、抜け止め板の変形な
い流体軸受ブラシレスモータが可能となる。耐衝撃性の
優れて、信頼性の高くて、回転精度が安定な流体軸受を
有するという作用を有する。
【0059】請求項14に記載の発明は、ロータハブが
シャフト方向に移動した場合、上側移動では抜け止め板
の上面はスリーブに当接するように構成され、この移動
量が0.020mmから0.5mmの範囲内であるよう
に抜け止め板を配置し、その抜け止め板の材質の耐力が
800N/mm2以上もしくは引っ張り強さ1000N
/mm2以上であることを特徴とする請求項12または
請求項13記載の流体軸受ブラシレスモータとしたもの
であり、衝撃が作用した場合にロータハブの移動量が小
さく規制できるので軸受内でのシャフトの移動量を小さ
くすることにより潤滑流体の漏れがないようにできる。
さらに、大きな衝撃に対しても抜け止め板の強度を所定
の耐力や引っ張り強さにすることで、衝撃による抜け止
め板の変形なく、衝撃作用後も回転精度に問題のない流
体軸受ブラシレスモータが可能となるという作用を有す
る。
【0060】請求項15に記載の発明は、ハウジング
と、該ハウジングに固定されたステータコアと、該ハウ
ジングに固定されたシャフトと、該シャフトに固定され
た抜け止め板と、固定のシャフトに対して軸受を介して
相対的に回転自在であるロータハブと、該ロータハブの
内周部に固定された軸受のスリーブとを備え、該シャフ
トと該スリーブとからなりいずれか一方にヘリングボー
ン溝を形成して、隙間に潤滑流体を介したラジアル動圧
軸受と、スラスト押さえ板とスリーブで抜け止め板を挟
み込み、該抜け止め板とスラスト押さえ板のいずれか一
方に動圧溝を形成し、抜け止め板とスリーブのいずれか
一方にも動圧溝を形成して、隙間に潤滑流体を介してス
ラスト動圧流体軸受であり、ロータハブがスラスト方向
に移動した場合、抜け止め板で移動は規制されている、
その移動量が0.020mmから0.2mmの範囲内で
あるように抜け止め板を配置したことを特徴とする流体
軸受ブラシレスモータとしたものであり、衝撃が作用し
た場合に抜け止め板全面で衝撃力を受けるので、衝撃力
による抜け止め板の変形がない状態が可能となり、さら
に抜け止め板によってロータハブの移動量が小さく規制
できるので軸受内でのスリーブの移動量を小さくするこ
とができることになり、衝撃作用による瞬時の潤滑流体
の移動が十分に可能となり、潤滑流体の漏れがないよう
にできるので、信頼性が高い。軸受内でシャフト径より
も大きな抜け止め板を構成することによって回転が安定
になるという作用を有する。さらに軸受全長に対して、
抜け止め板の位置を内部に配置できるという作用を有す
る。
【0061】請求項16に記載の発明は、ロータハブが
スラスト方向に移動した場合、抜け止め板で移動規制さ
れた構成で、この移動量が0.020mmから0.2m
mの範囲内であるように抜け止め板を配置し、その抜け
止め板の寸法が
【0062】
【数8】
【0063】の関係であることを特徴とする請求項15
記載の流体軸受ブラシレスモータとしたものであり、衝
撃が作用した場合にロータハブの移動量が小さく規制で
きるので軸受内でのスリーブの移動量を小さくすること
により潤滑流体の漏れがないようにできる。さらに、大
きな衝撃に対しても抜け止め板の寸法を所定の大きさに
することで、起動停止性能の良くて、抜け止め板の変形
ない流体軸受ブラシレスモータが可能となる。耐衝撃性
の優れて信頼性の高くて回転精度が安定な流体軸受を有
することができるという作用を有する。
【0064】請求項16に記載の発明は、ロータハブが
スラスト方向に移動した場合、抜け止め板で移動規制さ
れた構成で、この移動量が0.020mmから0.2m
mの範囲内であるように抜け止め板を配置し、その抜け
止め板の材質の耐力が1000N/mm2以上もしくは
引っ張り強さが1300N/mm2以上であることを特
徴とする請求項15または請求項16記載の流体軸受ブ
ラシレスモータとしたものであり、衝撃が作用した場合
にロータハブの移動量が小さく規制できるので軸受内で
のスリーブの移動量を小さくすることにより潤滑流体の
漏れがないようにできる。さらに、大きな衝撃に対して
も抜け止め板の強度を所定の耐力や引っ張り強さにする
ことで、衝撃による抜け止め板の変形なく、衝撃作用後
も回転精度に問題のない流体軸受ブラシレスモータが可
能となるという作用を有する。
【0065】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0066】(実施例1)図1は本発明の実施例1にお
ける磁気ディスク駆動用流体軸受ブラシレスモータの断
面図である。
【0067】図1において、1はロータハブ、2はスリ
ーブ、3はハウジング、4はスラスト板である。磁気デ
ィスク(図示せず)をロータハブ1に搭載して回転駆動
する磁気ディスク駆動用ブラシレスモータをマウントす
る装置(一般にHDDと呼ばれている)は内部が密閉構
造となっいて、アウトガスやゴミを極端に嫌う。磁気デ
ィスク面にダメージを与えるような、化学物質などの使
用は制限されている。
【0068】ブラシレスモータのハウジング3にはフラ
ンジ部5と内部円筒部6と外部円筒部7の構成があり、
外部円筒部7とロータハブ1の外周部とは0.2mm程
度の小さな隙間であるラビリンス構成されている。該内
部円筒部6の内側にはスリーブ2が接着で取り付けられ
ている。
【0069】スピンドルモータのハウジング3にはフラ
ンジ部5と内部円筒部6と外部円筒部7の構成があり、
フランジ部5の外周はハードディスク駆動装置のシャー
シ21に取り付けられる。ハウジング3の内部円筒部6
の外周面にはコイル8が巻配されたステータコア9が固
着されている。ロータハブ1は磁気ディスク受け面10
と磁気ディスクの内径規制の円筒部11からなるカップ
形状をしている。上記のロータハブ1の円筒部内周には
周方向にN極、S極を交互に着磁した円筒状の駆動マグ
ネット12が固着されている。該ロータハブ1にはロー
タハブ1の抜け止め防止のための抜け止め板13が取り
付けられている。該抜け止め板13はオーステナイト系
ステンレス鋼であるSUS301−CSPの調質Hであ
る。該ロータハブ1の中心部にはシャフト14が、外周
部内面には駆動マグネット12が固定され、全体として
ロータ部を構成している。
【0070】シャフト14は、内周面にヘリングボーン
溝を有する第1及び第2の円筒部15、16を有するス
リーブ2の内径孔に回転可能に挿入されて、シャフト1
4とスリーブ2の隙間に潤滑流体を介在させたラジアル
動圧流体軸受を構成している。
【0071】またシャフト14の一方の端面は球状形状
をし、その球状面とスラスト板4とでピボット軸受を形
成して、そのピボット軸受の隙間には潤滑流体を介在さ
せたスラストピボット軸受を構成している。
【0072】第1の円筒部15と第2の円筒部16との
間に、径の大きな円筒状の流体保持部17を構成し、さ
らに、スリーブ2のスラストピボット軸受側に、円筒部
15、16よりも径の大きな円筒状の流体保持空間18
が設けられ、潤滑流体はシャフト14とスリーブ2、シ
ャフトとスラスト板4の隙間に介在しているが、スリー
ブ2の流体保持部17との隙間は動圧発生には寄与せ
ず、潤滑流体の保持を目的とした隙間である。また、流
体保持空間18で構成される隙間はスラスト軸受とラジ
アル軸受のための潤滑流体の保持隙間である。
【0073】シャフト14はマルテンサイト系ステンレ
ス鋼SUS420J2であり、焼き入れ処理以外にホウ
化処理が施されている。シャフト先端のピボット軸受は
常時接触しているために、硬度が高い方が摩耗が少ない
という評価結果から、ホウ化処理をしてマイクロビッカ
ース硬度Hmv=1200程度まで硬度を上げている。
一般の焼き入れ焼き戻しによる熱処理ではシャフトのマ
イクロビッカース硬度が750程度にしかならない。シ
ャフト14の先端のピボット軸受のスラスト板4はセラ
ミックスで作られ、マイクロビッカース硬度で1500
程度に硬い材料を使用している。硬い材料同士が、潤滑
流体の介在する環境で摺動するので、摩耗はほとんどな
く、MTBFが非常に長い時間の軸受が可能となる。
【0074】つぎに、本実施例の磁気ディスク駆動用ブ
ラシレスモータの組立方法について、説明する。
【0075】(1)まず、ステータ組立体を以下のよう
につくる。フレキシブルプリント基板19の一端をハウ
ジング3の設けた穴から通し、外部に取り出す。フレキ
シブルプリント基板19の粘着材でハウジング3に貼り
付ける。その穴を紫外線硬化型接着剤20で封止する。
【0076】また、電着塗装膜を施したステータコア9
にコイル8を巻回して、コイル端末をフレキシブルプリ
ント基板19にハンダ付けしやすように、あらかじめ所
定寸法長さにして端末の先端をハンダあげして、コイル
組立体を作成する。
【0077】つぎに、コイル組立体をハウジング3に接
着固定し、前処理されたコイル端末をフレキシブルプリ
ント基板19にハンダ付けして、ステータ組立体をつく
る。
【0078】(2)つぎに、ロータハブ1にシャフト1
4を固定し、さらに着磁された駆動マグネット12を接
着固定して、ハブ組立体をつくる。
【0079】(3)さらに、スリーブ2にスラスト板4
をカシメ固定して、軸受組立体をつくる。
【0080】(4)つぎに、軸受組立体のスリーブ2の
内周部に潤滑流体を規定量注油して、ハブ組立体のシャ
フト14を挿入する。抜け止め板13をロータハブ1に
固定して、抜け止め板13で軸受組立体ははずれなくな
る。
【0081】(5)ステータ組立体の内部円筒部6の内
周部に接着剤を所定量塗布して、前記のロータハブの組
み込まれたスリーブ2を挿入する。ハウジング3の基準
面とロータハブ1の磁気ディスク受け面10との距離を
規定値になるように、接着固定する。
【0082】以上のようにして流体軸受ブラシレスモー
タを組立する。ロータハブ1にはロータハブ1の抜け止
め防止のための抜け止め板13がロータハブ1にカシメ
で固定されている。スリーブ2の端面にフランジ部22
を形成し、ロータハブ1がスラスト方向に移動すると該
フランジ部22に該抜け止め板13を係止させてロータ
ハブ1が抜けるのを規制している。
【0083】その移動規制量は図2のbに該当し、その
bの関係は次式である。
【0084】
【数9】
【0085】抜け止め板13の締結には紫外線硬化型の
接着剤でも可能である。抜け止め板13の締結にカシメ
や接着剤を用いることで締結強度のばらつきが安定す
る。
【0086】抜け止め板13を打ち抜きで製作すると、
内周部13aと外周部13bにバリが発生する。金型の
ダイスとパンチのクリアリンスを板厚の10%程度に調
整し、パンチとダイスの相対位置ずれをできるだけ小さ
くしてクリアランスを管理して、バリの高さや大きさを
管理する。またバリの発生方向において、図2に示すよ
うに内周部13aのバリと外周部13bのバリの方向を
逆にすることができる。抜け止め板13の平坦度が打ち
抜きによって影響が少ないようにバリの発生方向が逆に
する。
【0087】回転中にフランジ部22に抜け止め板13
を係止させた場合も考慮にして、抜け止め板13の内周
部13aのバリはフランジ部22とは逆側になるように
組み立てられる。そのために、抜け止め板13の外周部
14bのバリはハブ側になるので、ハブ側にバリ逃げよ
うに切り込み部1aが設けられている。
【0088】また、抜け止め板13の内周部13aのバ
リを電解研磨などであらかじめ排除したものにして組み
立てることも可能であり、内周部の両方ともバリを取っ
た抜け止め板13を使用すること場合は、組立時の方向
性の確認作業などがなく組立による作業問題なども発生
しない。抜け止め板13の内周部13aのバリ取りには
電解研磨以外に、面押しプレスや角面取りプレスなどに
より内周部13aのバリがフランジ部22側に出ないよ
うにしてあるものを使用することが信頼性をより高める
ことになる。
【0089】また係止する位置をできるだけ中心部にす
るために、スリーブ2のフランジ部22の近傍に径小部
23を設け、抜け止め板13の内径はスリーブ2のハウ
ジング接着外径よりもわずかに大きな径にして、抜け止
め板13がスリーブ2に接触することなく、挿入が可能
である構成となる。
【0090】流体軸受ブラシレスモータに衝撃が作用し
た場合、抜け止め板13に衝撃力による加重が作用す
る。たとえば、ロータハブを構成する回転部材の重量が
Wとし、衝撃がaGの場合、抜け止め板には作用する衝
撃力F=aWとなる。図3のように衝撃力はスリーブの
フランジ部と当接する箇所に作用するので、作用する位
置は抜け止め板の内径部に輪形な等分布値荷重となる。
【0091】円板に荷重が作用しての円板の曲げに関し
て、以下のような関係式から求められる。板厚tsの円
板に単位面積当たりpなる荷重を受けるとして、軸対称
形のたわみを生じ、中立面内に極座標r、θをとって応
力とモーメント及びたわみの関係は次式で示される。
【0092】
【数10】
【0093】たわみwの基礎方程式は
【0094】
【数11】
【0095】が一定の場合
【0096】
【数12】
【0097】とくにpが一定値の場合、その一般解は
【0098】
【数13】
【0099】抜け止め板13の場合、抜け止め板13の
強度を検討するために、抜け止め板を締結部の位置で単
純支持された、円形リングの形状で内周部に輪形荷重が
作用するとするモデルで考えると、最大たわみwmax
は衝撃力作用する内周部の位置であり、最大応力σma
xは内周部の円周応力である。
【0100】
【数14】
【0101】である。k1、k2は係数で図4、図5の
ようになる。
【0102】実施例のような流体軸受ブラシレスモータ
では、抜け止め板13の内径は軸受の構成のために、あ
る程度の大きさが必要であり、たわみの方を重点に考え
ると、抜け止め板13の寸法は
【0103】
【数15】
【0104】の関係であるように、ブラシレスモータを
する。そうすることによって、高い衝撃に対しても、抜
け止め板の変形が小さい。
【0105】たわみの方を重点にしたのは、変形による
量はロータハブが移動することである、磁気ディスク上
に磁気ヘッド存在する時に衝撃が作用した場合、磁気デ
ィスクの移動にともなって磁気ヘッドの衝撃荷重が作用
した以上に動き、磁気ディスク面にバウンドした際にデ
ィスク面を傷つける可能性があるので、たわみ量は低く
押さえるようにした。
【0106】また、衝撃力が大きい場合は、たわみ以外
に、抜け止め板が塑性変形してしまうことも考えられる
ので、塑性変形がないように、抜け止め板の耐力につい
ても大きな材料を使用する。
【0107】1インチの1枚ディスクHDDを使用し
て、衝撃1000G、作用時間5.5msecでの抜け
止め板の変形状態を調べた。
【0108】
【表1】
【0109】PK、GIN5、GIN6は日立金属株式
会社製の材料で、PKは炭素鋼、GIN5,GIN6は
ステンレス鋼である。
【0110】このような実験から高衝撃性の抜け止め板
は耐力が1000N/mm2以上もしくは引張り強さ1
300N/mm2以上であることが好ましいことがわか
った。
【0111】PK、GIN5、GIN6は真空溶解炉で
真空精錬されているのでガスの含有量の少ない清浄度の
良好な鋼であり、残留炭化物は容積率の1〜4%、大き
さで2μm以下のミクロ組織である。抜け止め板13を
PK、GIN5、GIN6を使用して打ち抜きで製作す
る場合、打ち抜きのままのエッジには残留応力が残留す
るので、ストレスレリーフ処理(またはプレステンパー
という)あるいはタンブリングによって除去する。
【0112】タンプリングの目的は打ち抜きによって生
じた冷間加工影響ゾーン、バリ、シャーマークを除去
し、エッジにスムースな丸みを持たせることです。研磨
剤としての砥石の大きさ、材質はタンブリングの方法と
抜け止め板の寸法によって選択し、曲げ応力、衝撃応力
を受ける位置のエッジが十分丸みを持つようにすること
がポイントである。またPH制御用の化学溶剤によって
抜け止め板13の表面をきれいにし、摺動抵抗を低減さ
せる。摺動抵抗を低減する目的は、動作回転時に衝撃が
作用し、スリーブのスリーブ部22に抜け止め板13が
当たった場合に、抜け止め板13がスリーブ部22を摺
動するので、その目抜け止め板の摺動抵抗を小さくする
目的で抜け止め板13の表面をきれいにした。
【0113】プレステンパーは打ち抜きによる引っ張り
残留応力の除去と抜け止め板の平坦度の改善のために行
う。抜け止め板13を積層してプレスした状態で、炉に
装入されテンパーする。そのテンパー温度は物温でPK
は300℃、GIN5、GIN6は500℃以下です
る。
【0114】抜け止め板13の締結をカシメでする場
合、テーパ歯の平カシメと菊カシメがある。カシメ部の
形状による締結強度について図6のような疑似ロータハ
ブ100を用いて評価した。図6(a)はその疑似ロー
タハブ100を示し、カシメ部のつばの内径をD1とし
て、傾斜開始の径をD2として、傾斜角度をαとする形
状である。またつばの高さh1である。図6(b)はそ
の疑似ロータハブ100に抜け止め板13を装着して状
態を表す図である。評価の結果(D2−D1)=0.3
mm〜0.6mmは締結強度が大きく、角度αは30度
以下である必要がある。傾斜角度αが30度以上になっ
てくるとカシメ力は大きくなる。例えばD1=8mm、
α=40度の場合ではカシメ機械の押しつけ力は430
kgfであり、このような大きな力が必要となる上に、
この力でディスク受け面の平行度など他の箇所への影響
が大きく、さらに傾斜角度αが30度を越える辺から締
結強度が落ちてくる傾向になる。したがって、(D2−
D1)=0.3mm〜0.6mm、αは30度以下にな
るようにすることが好ましい。
【0115】またカシメの歯部の形状としては平カシメ
(図7)と菊カシメ(図8)のポンチがあるが、平カシ
メの歯部101はテーパ状の形状をしている。菊カシメ
の歯部102もテーパ状の形状をしているが、歯ない部
分103と歯部102が交互に周状に配置されている。
どのカシメでも抜け止め板の外径部とロータハブのカシ
メ内径部とは隙間があり、その隙間を通気孔として積極
的にしようとするように抜け止め板の外周部に円弧状の
切り欠きを設けることもある。軸受内部の圧力がモータ
外部の圧力とあまり異ならないようにする目的である。
【0116】カシメではなく接着剤で固定する場合は締
結部の封止ができるので、使いわけをする必要がある。
【0117】また菊カシメの場合、カシメられる箇所
(歯部102)とカシメられない箇所(歯のない箇所1
03)ができる。その境でロータハブから金属粉が発生
することがあるので、流体軸受の場合の菊カシメの歯の
角部104には丸みを持たせた形状にしている。
【0118】本発明では移動規制量をかなり抑えている
かについて目的を以下に説明する。説明のために図9の
ようなモデルを使用する。
【0119】説明は軸回転タイプのモデルであるが、軸
固定タイプはスリーブは相対的に移動すると考えればよ
い。
【0120】ロータシャフト106とスリーブ105は
正常な回転状態では図9(a)のような適正な隙間をも
って非接触で回転している。停止状態であっても、図9
(a)の状態に近くで金属接触のある状態にあると考え
られる。
【0121】図9(a)の正常な状態に衝撃が作用する
と、ロータシャフト106はスリーブ105から矢印1
07方向に抜け出ると、シャフトの移動量b1、シャフ
トの断面積Aとすると、シャフトの移動にともなって容
積V=b1×Aの空間が軸受内に発生し、その空間に潤
滑流体108が流れ込み、図9(a)の液面109が下
がる。その液面が下がることにより、軸受内に空気が入
り込む。移動量b1が小さい場合は液面の低下は潤滑流
体溜まり部のところに位置し、動圧発生部までは低下し
ないので、本発明のように移動規制量を小さく抑えてい
る理由である。移動規制量の規定している値は振動試験
を用いて、モータの信頼性から判断して決定した。
【0122】また、衝撃が作用してロータシャフト10
6がスリーブ105から抜け出ると次にはまた元の位置
に戻ろうとする。矢印111の方向に戻ろうとした場
合、移動量が大きくて動圧軸受部に空気が入り込むと、
回転中は特に潤滑流体に空気が巻き込まれた状態となり
小さな気泡が潤滑流体の発生となる。一度気泡が潤滑流
体に入り込むと消泡にはかなりの時間がかかり、衝撃後
直ちに消泡とはならない。軸受内部に空気が入り込むと
いうことは、その空気の分だけの量の潤滑流体は軸受外
部に漏れ出る。その漏れを液滴112で表した。
【0123】衝撃が大きく、ロータシャフトの移動量が
大きな場合、衝撃が何度も作用するにつれて、軸受に必
要な潤滑流体が減少していき、特性が低下するようなこ
とが考えられるので、本発明では移動量b1を小さく抑
えることで、衝撃作用による液面の低下が潤滑流体溜ま
り部110のところにとどめることができ、動圧発生部
には空気が入り込まない。その後ロータシャフト106
が正常な位置にもどっても、潤滑流体溜まり部のところ
にとどまった液面は正常な液面高さに回復するだけで動
圧発生部には空気が入り込まない。そのために本発明で
は移動規制量を小さく抑えている。
【0124】(実施例2)実施例2における流体軸受ブ
ラシレスモータは断面図を図10に示す。実施例2は抜
け止め板を接着で締結した流体軸受ブラシレスモータの
抜け止め部の拡大図を図11に示す。実施例2における
流体軸受ブラシレスモータは実施例1に類似しているの
で説明は簡単にし、同じ部品については部品の符号も同
じものを使用する。
【0125】図10において、1はロータハブ、2はス
リーブ、3はハウジング、4はスラスト板である。
【0126】ブラシレスモータのハウジング3にはフラ
ンジ部5と内部円筒部6と外部円筒部7の構成があり、
フランジ部5の外周はハードディスク駆動装置のシャー
シ21に取り付けられ、該内部円筒部6の内側にはスリ
ーブ2が接着で取り付けられている。
【0127】ハウジング3の内部円筒部6の外周面には
コイル8が巻配されたステータコア9が固着されてい
る。ステータコア9の表面には錫極小含電着塗装処理が
施されている。ステータコア9の表面に電着塗装膜はコ
イル8とステータコア9との絶縁が目的であるが、コイ
ル8に電流を通電することではコイル8が発熱し、電着
塗装膜が局所的に温度が上がり、塗装膜からのケミカル
ガスが多量に発生する。そのガスのなかで、磁気ディス
クやポリゴンミラーに悪影響を及ぼす錫の含有率を50
ppm以下に抑えた電着塗装処理膜を使用している。
【0128】ロータハブ1は磁気ディスク受け面10と
磁気ディスクの内径規制の円筒部11からなるカップ形
状をしている。上記のロータハブ1の最大円筒部内周に
は周方向にN極、S極を交互に着磁した円筒状の駆動マ
グネット12が固着されている。該ロータハブ1の中心
部には段付きシャフト14が挿入され、シャフト14の
段部でもって、ロータハブに当接してシャフト14がロ
ータハブ1から抜けるのを防止している。
【0129】またロータハブ1にはロータハブ1の抜け
止め防止のための抜け止め板13が接着剤24で接着固
定されている。接着剤24は一例としてケミテック
(株)製の紫外線硬化タイプの嫌気性接着4Y823P
などが使用される。その抜け止め13はオーステナイト
系ステンレス鋼であるSUS301−CSPの調質Hな
どを使用している。その抜け止め板13の内周部と外周
部は打ち抜きの時などに発生するバリをプレス工程の際
に傾斜ポンチを使用して角の面を押し、角面押すことで
バリを取り、角に面を形成する。面押しのために抜き止
め板13にはバリなどによる引っかかりなどもなく、動
作時に衝撃が作用しても、スリーブ2のフランジ部22
との摺動抵抗も小さく、安定した回転となる。また、ス
リーブ2のフランジ部22も同様に角部は面取りがなさ
れている。
【0130】衝撃の際に抜け止め板13がスリーブ2の
フランジ部22に接触する、その接触する範囲が安定に
なるようにフランジ部22に逃げ部25が設けられてい
る。またその逃げ部25には抜け止め板13の内周の角
部にかかるような寸法に設定されている。その寸法にす
ることで抜け止め板13の内周の角が直接フランジ部2
2に接触しないので、ひっかかりなどがなく摺動抵抗が
小さくできる。
【0131】シャフト14は、内周面にヘリングボーン
溝を有する第1及び第2の円筒部15、16を有するス
リーブ2の内径孔に回転可能に挿入されて、シャフト1
4とスリーブ2の隙間に潤滑流体を介在させたラジアル
動圧流体軸受を構成している。
【0132】スラスト板4の面にはスパイラル溝があ
り、シャフト14の一方の端面とそのスラスト板4とで
動圧流体軸受を形成したスラスト動圧軸受を構成してい
る。
【0133】第1の円筒部15と第2の円筒部16との
間に、径の大きな円筒状の流体保持部17を構成し、さ
らにスリーブ2のスラスト動圧軸受側に、円筒部15、
16よりも径の大きな円筒状の流体保持空間18が設け
られ、潤滑流体はシャフト14とスリーブ2、シャフト
とスラスト板4の隙間に介在しているが、スリーブ2の
流体保持部17との隙間は動圧発生には寄与せず、潤滑
流体の保持を目的とした隙間である。また、流体保持空
間18で構成される隙間はスラスト動圧軸受とラジアル
動圧軸受のための潤滑流体の保持隙間である。
【0134】シャフト14はマルテンサイト系ステンレ
ス鋼SUS420J2であり、シャフト14のスラスト
軸受側の面はイオン注入処理がなされ表面改質が行われ
ている。
【0135】つぎに、本実施例の磁気ディスク駆動用の
流体軸受ブラシレスモータの組立方法について説明す
る。
【0136】(1)まず、ステータ組立体を以下のよう
につくる。フレキシブルプリント基板19の一端をハウ
ジング3の設けた穴から通し、外部に取り出す。フレキ
シブルプリント基板19の粘着材でハウジング3に貼り
付ける。その穴を紫外線硬化型接着剤20で封止する。
【0137】また、電着塗装膜を施したステータコア9
にコイル8を巻回して、コイル端末をフレキシブルプリ
ント基板19にハンダ付けしやすように、あらかじめ所
定寸法長さにして端末の先端をハンダあげして、コイル
組立体を作成する。
【0138】つぎに、コイル組立体をハウジング3に接
着固定し、前処理されたコイル端末をフレキシブルプリ
ント基板19にハンダ付けして、ステータ組立体をつく
る。
【0139】(2)つぎに、ロータハブ1にシャフト1
4を固定し、さらに着磁された駆動マグネット12を接
着固定して、ハブ組立体をつくる。
【0140】(3)さらに、スリーブ2にスラスト板4
をかしめ固定して、軸受組立体をつくる。
【0141】(4)つぎに、軸受組立体のスリーブ2の
内周部に潤滑流体を規定量注油して、ハブ組立体のシャ
フト14を挿入する。抜け止め板13をロータハブ1に
紫外線硬化型接着剤24で紫外線硬化して接着固定し
て、抜け止め板13で軸受組立体ははずれなくなる。
【0142】(5)ステータ組立体の内部円筒部6の内
周部に接着剤を所定量塗布して、前記のロータハブの組
み込まれたスリーブ2を挿入する。ハウジング3の基準
面とロータハブ1の磁気ディスク受け面10との距離を
規定値になるように、接着固定する。
【0143】以上のようにして流体軸受ブラシレスモー
タを組立する。ロータハブ1にはロータハブ1の抜け止
め防止のための抜け止め板13がロータハブ1に接着固
定されている。スリーブ2の端面にフランジ部22を形
成し、ロータハブ1がスラスト方向に移動すると該フラ
ンジ部22に該抜け止め板13を係止させてロータハブ
1が抜けるのを規制している。
【0144】その移動規制量は図11のbに該当し、そ
のbの関係は次式である。
【0145】
【数16】
【0146】また係止する位置をできるだけ中心部にす
るために、スリーブ2のフランジ部22の近傍に径小部
23を設け、抜け止め板13の内径はスリーブ2のハウ
ジング接着外径よりもわずかに大きな径にして、抜け止
め板13がスリーブ2に接触することなく、挿入が可能
である構成となる。
【0147】流体軸受ブラシレスモータに衝撃が作用し
た場合、抜け止め板13に衝撃力による荷重が作用す
る。たとえば、ロータハブを構成する回転部材の重量が
Wとし、衝撃がaGの場合、抜け止め板には作用する衝
撃力F=aWとなる。実施例2の場合も実施例1の図3
のように衝撃力はスリーブのフランジ部と当接する箇所
に作用するので、作用する位置は抜け止め板の内径部に
輪形な等分布値荷重となる。
【0148】抜け止め板13には実施例2も実施例1と
同様な荷重が作用するので、関係式は同様と考えられ
る。
【0149】
【数17】
【0150】である。係数k1、k2は図4、図5であ
る。したがって、抜け止め板13を接着固定する場合で
も、実施例2のような流体軸受ブラシレスモータでは、
抜け止め板13の寸法は
【0151】
【数18】
【0152】の関係であるようにする。そうすることに
よって、高い衝撃に対しても、抜け止め板の変形が小さ
い。
【0153】たわみの方を重点にしたのは、変形による
量はロータハブが移動することである、磁気ディスク上
に磁気ヘッド存在する時に衝撃が作用した場合、磁気デ
ィスクの移動にともなって磁気ヘッドの衝撃荷重が作用
した以上に動き、磁気ディスク面にバウンドした際にデ
ィスク面を傷つける可能性があるので、たわみ量は低く
押さえるようにした。
【0154】図11に示すようにロータハブ1の内部
に、凹部のオイル溜まり部26が設けられている。この
オイル溜まり部26は軸受部から飛散してきた潤滑流体
が遠心力で付着し、モータ外部には漏れない。オイル溜
まり部26のテーパ部26aは飛散してきた潤滑流体が
補足しやすいような傾斜をしている。
【0155】またスリーブ内部のロータハブ側の形状は
図12のような形状である。ロータハブ1とスリーブの
隙間h2はモータの全高を抑えるために小さくしてい
る。h2を0.05mmから0.2mm程度にすること
でスリーブ内部と外周側外部との圧力差が生じても、h
2の隙間が抵抗となりスリーブ内の潤滑流体が飛散しに
くくなる。またスリーブの解放端部にシャフトとなすテ
ーパ状の空間がある。この空間はオイル溜まり部27で
ある。このオイル溜まり部27のテーパ角度βは45度
以上であることが好ましい。表面張力の影響で潤滑流体
がシャフトを伝わってロータハブに漏れるには経験的に
隙間が0.5mm以上あればいいが、薄型のブラシレス
モータの場合は0.5mmの隙間をとることができない
ので、スリーブの端面のテーパを積極的に利用して、オ
イル飛散を防止している。
【0156】その関係は以下のようになる。
【0157】
【数19】
【0158】隙間h2がh3に比べて、小さいので、磁
気ディスク側へ潤滑流体が漏れ出ることが効果的に阻止
されるために、磁気ディスク装置内を汚染することがな
い。
【0159】なお、オイル溜まり部27は、角度が45
度以上であるために表面張力によっって潤滑面を形成す
るが非常にメニスカスが低くなるので、潤滑流体が流れ
出にくくなる。
【0160】またロータハブの面28にオイルをはじく
撥油剤をコーティングするも効果的に潤滑流体の漏れを
より一層防止する。またそのロータハブの面28に対向
するスリーブの面29にもオイルをはじく撥油剤を塗布
することも効果的である。
【0161】(実施例3)実施例3は抜け止め板を接着
で締結した流体軸受ブラシレスモータの実施例2とは別
の実施例である。抜け止め板を接着で締結した抜け止め
部の拡大図を図13に示す。図13の実施例は、実施例
2における抜け止め板の固定方法が少し異なっている。
実施例2に類似しているところは説明を省略し、同じ部
品については部品の符号も同じものを使用する。流体軸
受ブラシレスモータの全体図は実施例2と類似であるの
で省略する。図14は抜け止め板を接着固定する時の拡
大図である。
【0162】実施例3では、抜け止め板13を接着固定
する際に移動規制量(エンドプレーともいう)を設定し
て組み立てることが特徴である。その組立のために、移
動規制量が個々のモータでばらつかない。その組立方法
を説明する。
【0163】(1)まず、ステータ組立体は実施例2と
同様につくる。 (2)つぎに、実施例2と同様に、ハブ組立体と軸受組
立体をつくる。
【0164】(3)つぎに、軸受組立体のスリーブ2の
内周部に潤滑流体を規定量注油して、ハブ組立体のシャ
フトを挿入する。抜け止め板13をロータハブ1の固定
しようとする所定位置に置く。その時、ロータハブのカ
ップ状は上に開いた状態で、シャフトが上になり、その
シャフトに軸受組立体が挿入された状態である。
【0165】(4)そこで軸受組立体を固定してハブ組
立体のロータハブの中央部を設定したい移動規制量だけ
相対的に離す。
【0166】(5)その状態ではロータハブの面30と
抜け止め板13は少し隙間が発生する。抜け止め板13
はスリーブ2のフランジ部22の上に置かれた状態とな
る。すなわち、図14に示す状態である。図14では組
立のためにロータハブ1が下側になっている。
【0167】(6)この状態で抜け止め板13の外周部
に接着剤24を塗布すると、接着剤24の粘度によって
はロータハブの面30との隙間に流れ込むので、その面
30の接着剤溜まり31を設けて、軸受内部への接着剤
の流れ込みを防止している。抜け止め板13を固定よう
に塗布した接着剤24は早く硬化させるために、紫外線
を照射したら硬化する紫外線硬化型接着剤を使用する。
紫外線硬化して抜け止め板13はロータハブ1に接着固
定され、抜け止め板13で軸受組立体ははずれなくな
る。締結部は接着剤で封止される。
【0168】(7)その状態で(4)の行為をなくすこ
とによってシャフトはスリーブ内の所定位置にもどり、
スリーブ2のフランジ部と抜け止め板13は移動規制量
だけはなれた通常の使用状態になる。すなわち、図13
の状態である。
【0169】(8)つぎに、ハウジングの基準面とロー
タハブ1の磁気ディスク受け面10との距離を規定値に
なるように、スリーブとハウジングを接着固定する。
【0170】実施例3の組立は実施例2と異なるところ
は手順(4)(5)(6)である。この組立方法によれ
ば、部品寸法がばらついても、移動規制量bがばらつき
の少ない状態でなる。そのために
【0171】
【数20】
【0172】を十分に満足することができるうえに、移
動規制量bの小さな値での流体軸受ブラシレスモータが
容易に組立できる。
【0173】抜け止め板の条件などは実施例1や実施例
2と同様である。
【0174】
【数21】
【0175】である。係数k1、k2は図4,図5であ
る。 (実施例4)以下に本発明の実施例を図面を参照しなが
ら説明する。図15は本発明の実施例の構造断面図を示
している。図15のスピンドルモータはシャフト回転タ
イプの直流ブラスレスモータであって、静止部材側にス
テータコアがあり回転部材側にはロータハブがある。実
施例の図15のブラシレスモータは磁気ディスク駆動用
の流体軸受ブラシレスモータである。
【0176】静止部材側としてのハウジング32は外周
に設けられたリング状のフランジ部33とこのフランジ
部33の内側に位置する外周円筒部34と環状の底部を
介して内部の内部円筒部35とを有している。ハウジン
グ32の内部円筒部35の外側には積層の珪素鋼鈑から
なるステータコア36が固着されている。そのステータ
コアは板厚0.2mmの珪素鋼鈑を数枚積層して、ばら
け防止のためにコイキングのような突起を嵌合させるパ
ック工法で製作され、さらにそのステータコアの表面に
はテフロンの含浸したエポキシ系の電着塗装にて表面が
絶縁され、その絶縁された状態にコイル37が巻配され
ている。
【0177】また、ハウジング32の内部円筒部35の
内周部にはスリーブ38が固定されている。固定部材と
してはスラスト板39がスリーブ38の端面に接着剤4
0で封止固定されている。その接着剤40はスラスト板
39の外周端面とハウジング32のコーナー部で形成さ
れた隙間に封止される。接着剤40がハウジング32の
方にもかかるので接着強度が向上する。
【0178】回転部材としてシャフト41とシャフト4
1に固定されたロータハブ42がある。そのロータハブ
42は磁気ディスクを搭載するフランジ面43と磁気デ
ィスク内周を規制するための円筒部44がある。そのロ
ータハブ42のフランジ部43には環状の垂下部のある
ロータフレーム45がカシメで固定されている。そのカ
シメ部はフランジ部の盗み部に相対する位置に設けられ
ていて、カシメによるフランジ部43のディスク受け面
の精度が悪化しないようにしている。そのロータフレー
ム45の内周には駆動マグネット46が接着されてい
る。
【0179】駆動マグネット46はステータコア36に
対向するように取り付けられていて、ステータコア36
の厚みt1に対して駆動マグネット46の厚みt2の関
係が次の関係にある。
【0180】
【数22】
【0181】さらに、ステータコア36の厚みのセンタ
ー位置と駆動マグネット46のセンター位置のずれ量を
δとすると、次の関係がある。図16を参照のこと。図
16(a)はずれ量δがステータコアセンターよりも上
側にある場合、図16(b)はずれ量δがステータコア
センターよりも下側にある場合である。
【0182】
【数23】
【0183】である。磁気回路部寸法がこの(数22)
(数23)を満足するようにすることで、回転部材に作
用するスラスト方向の磁気力が小さく、スラスト動圧軸
受に作用する力としては小さいものとなるので、軸受部
には動圧だけの作用力を十分に把握して設計することが
できる。さらにはそのスラスト方向の磁気力が小さいこ
とで流体軸受ブラシレスモータとしての騒音を小さくす
ることができる。
【0184】シャフト41の端面には磁気ディスクをク
ランプするネジ部47が設けられている。その端面のも
う一方の端面にもネジ部が設けられて、抜け止め板48
をネジ49にて螺着して固定される。この抜け止め板に
は凹状溝が形成されている。その凹状溝は図には現れて
いないが、上下面に形成され、略く字状に屈曲した形状
を有し、抜け止め板48の内外周円に沿った円周上にあ
って、各凹状溝の中心を結ぶ仮想円の直径はシャフト4
1の外径と抜け止め板48の外径の算術的平均径の近く
になっている。この凹状溝はスパイラルグルーブ溝とも
呼ばれている。その凹状溝はエッチングで作られてい
る。
【0185】この抜け止め板48は回転部材側部品であ
るので、スラスト動圧軸受の動圧でスリーブ38とスラ
スト板39との間を非接触で回転している。その動圧で
発生する非接触の距離は5μm〜30μm程度である。
【0186】衝撃が作用した場合、動圧の発生で非接触
で回転した抜け止め板48がスリーブ38やスラスト板
39に接触する。抜け止め板48には全周にわたって衝
撃力が作用する。その接触による衝撃力で抜け止め板が
変形したりすると、衝撃作用後の定常回転時に動圧の発
生は十分に得られず、接触状態で回転するようなことに
なる。そのような問題を防止するために抜け止め板48
の寸法について十分な注意が必要になる。
【0187】この抜け止め板48の強度を検討するため
に、抜け止め板をシャフトの外径の位置で単純支持、衝
撃力Fは抜け止め板48のシャフト外径よりも大きな面
に全面に等分布に作用するとするモデルを考えると
【0188】
【数24】
【0189】である。k3、k4は図17、図18のよ
うになる。実施例のような流体軸受ブラシレスモータで
は、抜け止め板48の内径シャフト径に関係するので、
抜け止め板としての構成以外にスラスト軸受としての構
成となっているので、ある程度の大きさが必要であり、
たわみの方を重点に考えると、抜け止め板48の寸法は
【0190】
【数25】
【0191】である。この実施例ではヘリングボーン状
溝はスリーブ38の内径の上下方向に所定の間隔をおい
て2カ所形成されて、シャフト41とわずかな隙間があ
り、その隙間には潤滑流体が充填されている。シャフト
外径に対してスリーブ38の外径は2倍以上であり、ス
リーブ内径のヘリングボーン状溝を加工する際の影響が
外径に発生しない。スリーブの外周部とロータハブの内
部の円筒部とでラビリンスを形成している。そのラビリ
ンスの隙間fは0.03mm〜0.06mm程度で長さ
は2mm以上である。そのラビリンスの長さは隙間の3
0倍以上に設定すれば流体軸受の潤滑流体の飛散が防止
できる。
【0192】またスラスト板39はスリーブのインロー
部に装着されて位置決めされているので、スラスト板の
方に動圧溝を構成しても、センター出しが容易である。
【0193】実施例ではロータハブ42の移動は抜け止
め板48にて規制している。その移動規制量bは次式関
係がある。
【0194】
【数26】
【0195】この移動規制量bを満足する流体軸受ブラ
シレスモータの実施例が本実施例である。
【0196】本発明では移動規制量をかなり抑えている
ことについて目的は実施例1に記載されているので詳細
の説明は省略する。図9を参照のこと。
【0197】衝撃が作用すると、シャフトが移動する、
そのシャフトの移動にともなって容積V=b1×Aの空
間が軸受内に発生するが、この移動量b1を抑えること
により、液面の低下は潤滑流体溜まり部のところになる
ようにし、動圧発生部までは液面が下がらないように移
動規制量を小さく抑える。
【0198】そのように移動規制量を抑えることで、そ
の後シャフトが正常な位置にもどっても、潤滑流体溜ま
り部のところにとどまった液面は正常な液面高さに回復
するだけで動圧発生部には空気が入り込まない。そのた
めに本発明では移動規制量を小さく抑えている。
【0199】2.5インチの2枚ディスクHDDを使用
して、衝撃800G、作用時間5.5msecでの抜け
止め板の変形状態を調べた。
【0200】
【表2】
【0201】このような実験から高衝撃性の抜け止め板
は耐力が1000N/mm2以上もしくは引張り強さ1
300N/mm2以上であることが好ましいことがわか
った。軸受の内部に抜け止め板を構成する構造では、抜
け止め板の耐力や引っ張り強度は外部に抜け止め板を構
成するものよりも小さく材料でも問題がない。抜け止め
板の締結箇所が内側にあることによる。さらに潤滑流体
の粘性のダンパ効果などが影響している。
【0202】(実施例5)図19は、本発明のl実施例
としての軸固定型の記録媒体駆動用の流体軸受ブラシレ
スモータの断面図、図20、図21はその要部拡大図で
ある。対象となる記録媒体としては、固定磁気ディスク
や、それ以外の種々の記録媒体を挙げることができる。
【0203】ハウジング50は、その上方開口の環状凹
部50aの内周部に上方突出円筒部部50bを有し、環
状凹部50aの外周側にフランジ部50cを構成してい
る。上方突出円筒部50bの中央部には貫通孔50dが
設けられている。なお、ハウジング50は、例えば固定
磁気ディスク駆動装置の基盤内に一体的に形成すること
も可能である。
【0204】ハウジング50の貫通孔50d内にはシャ
フト51の端部が嵌合固定されている。上方突出円筒部
50bの外周部には上向きの内部円筒部50eが設けら
れ、その内部円筒部50eの外周部に、ステータコア5
2の内周の一部下端部が接着固定されている。ステータ
コア52の巻配部表面にはエポキシ系の電着塗装膜53
が施され、その上にステータコイル54が巻配されてい
る。ステータコイル54の端末線はハウジング50の凹
部50aの表面に蒸着された銅箔線55に半田付けされ
ている。その銅箔線55はハウジング50の内部表面を
通って、装置側のシャーシに電気的につながっている。
銅箔線55とハウジング50とはポリイミド系絶縁膜で
電気的に絶縁されている。銅箔線50はハウジング50
を放熱器として使用できるので、銅箔の抵抗が低く押さ
れられるので電流を多く流せることが可能である。
【0205】環状の抜け止め板56は、シャフト51の
上部にシャフト51に対し垂直にネジシャフト57によ
って固定されている。なお、抜け止め板56はシャフト
に一体的に形成されていてもよいし、ネジシャフト57
の方と一体に形成されていてもいい。
【0206】スリーブ58は、上端部の外径が拡開され
たn段(nは2以上の整数)の円筒形状をなし、シャフ
ト51に対向するスリーブ58の内周部は、全体として
小径円筒部をなし、その中央部には小径円筒部よりも内
径よりも若干大きな内径を有する潤滑流体溜まり部59
を構成する。したがってその小径円筒部は潤滑流体溜ま
り部59を挟んで上部及び下部の小径円筒部に分かれ
る。その上部小径円筒部60及び下部小径円筒部61の
内周面にはへリングボーン溝が設けられ、その上下へリ
ングポーン溝と、シャフト51のラジアル方向の間隙に
は潤滑流体が充填されている。回転に伴ってそのヘリン
グボーン溝によって発生する動圧によってラジアル荷重
支持が可能となりラジアル流体動圧軸受を構成する。特
に、上下へリングボーン溝により、その荷重支持圧が高
められる。なお、このようなへリングボーン溝は、固定
シャフト51のラジアル表面に設けてもよい。
【0207】上下小径円筒部60、61はラジアル動圧
軸受に挟まれた潤滑流体溜まり部59に対応したシャフ
ト51の表面には螺旋状の溝62は構成され、その潤滑
流体溜まり部59の中央部近くを境にしてその螺旋状の
溝62は対称形状に配置されている。図20はその説明
拡大図である。その螺旋状の溝62によってモータが回
転するとスリーブが回転し、その回転に伴って、潤滑流
体溜まり部59に存在していた潤滑流体は上下径小円筒
部60、61に流れる。そのために小径円筒部の動圧が
早い時間に高圧になるので、起動、停止時などの金属接
触する時間が短く信頼性が高くなる。
【0208】シャフト51のラジアル軸受部の下部小径
円筒部61の下方に、内表面に溌油処理が施された下方
に向かうにしたがって隙間が減少する潤滑流体流出防止
溝63が構成されている。またスリーブ側の潤滑流体流
出防止溝63に対向する位置のシャフト51の表面にも
下方に向かうにしたがって隙間が減少する潤滑流体流出
防止溝64が構成されている。図21はこの部分の拡大
図である。スリーブ側潤滑流体流出防止溝63とシャフ
ト側の潤滑流体流出防止溝64の位置関係は、若干潤滑
流体流出防止溝64の方が上方に位置する。
【0209】シャフト51の上方部のスリーブ58は、
スリーブの中内径部65に抜け止め板56外周部とわず
かな径方向間隙を隔てる状態で抜け止め板56が構成さ
れ、スリーブの大内径部66にスラスト押え板67が圧
入固定されている。スラスト押え板67を圧入した状態
でスリーブ58は上下の移動規制される。その移動規制
量はスリーブの中内径部65の厚みと抜け止め板56の
厚みの差である。
【0210】そのスラスト移動規制量bは次式の関係が
好ましい。
【0211】
【数27】
【0212】衝撃が作用した場合、移動規制量が大きす
ぎると抜け止め板56に作用する衝撃力も大きくなる上
に、磁気ディスクが移動量が大きくなり磁気ヘッドへの
衝撃が作用し記録している磁気ディスク面に傷をつける
恐れがあるので、移動規制量は必要以上に抑える必要が
ある。
【0213】そして、スラスト押え板67はマイクロヒ
ッカース硬度600以上の熱処理鋼材で作られている。
例えば、SUS420J2やSDK11などを用いてい
る。そのスラスト押え板67の上に、さらにスラスト方
向強度補強のために補強板68が大内径部66のさらに
内径が大きな大内径部69に圧入されている。スラスト
押え板67の圧入はスリーブの中内径部65の変形が発
生しない程度の軽い圧入であったのに比べ、補強板68
の圧入は衝撃に耐えることができる程度に強力に圧入さ
れている。さらに、紫外線硬化型の接着剤70で補強板
68の圧入箇所を固めてより強度を補強している。さら
に接着剤70の圧入部を接着することは潤滑流体が外部
ににじみ出る経路を封止することになるので、潤滑流体
の保持にも役立つ。
【0214】ロータハブ71は、略カップ形状をなし、
ロータハブ71のカップ円筒部72の上端部内方には、
中央部が円形に天面部73があり、下端部外方に外方張
出したフランジ部74がある。このロータハブ71は、
天面部73においてスリーブ58の上端部に外嵌固定さ
れている。そのためにロータハブ71はスリーブ58と
同軸を構成し、スリーブ58の小径円筒部60、61に
対してのロータハブ71の外周振れが5μm以下になる
ようにスリーブに組み立てられている。
【0215】そのカップ円筒部72の内周部には、円筒
状で磁性材のロータヨーク75が内嵌固定され、その内
周側には駆動マグネット76は、ステータコア52に対
し径方向空隙を隔てて相対している。その隙間は0.1
5mmから0.3mmの範囲で構成されている。
【0216】ロータハブ71のカップ円筒部72は磁気
ディスクの内周規制部であり、下端部外方に外方張出し
たフランジ部74は磁気ディスクを搭載する受け面部で
ある。
【0217】抜け止め板56の上面とスラスト押え板6
7、抜け止め板56の下面とスリーブ58のスラスト面
77により、それぞれスラスト動圧軸受部が構成されて
いる。抜け止め板56の上面とスラスト押え板67、抜
け止め板56の下面とスリーブ58のスラスト面77は
それぞれ平行状に相対し、それらの間には、液状の潤滑
流体が介在してスラスト移動規制量のギャップを隔てて
いる。抜け止め板56の上下環状面全周にわたって、ヘ
リングボーン状溝が設けられている。このへリングボー
ン状溝は、スリーブ58のスラスト面77及びスラスト
押え板67の順方向回転により、抜け止め板の面表面に
介在する潤滑流体に高圧を発生させる。なお、このよう
なヘリングボーン状溝は、スリーブ58のスラスト面7
7やスラスト押え板67の面に設けてもよい。
【0218】補強板68の内周部はネジシャフト57と
の隙間が下方に向かうにしたがって大きくなるようなテ
ーパ形状をしている。さらに補強板68の内表面に溌油
処理が施されている。
【0219】シャフト51及びステータコア52等に対
し、スリーブ58及びロータハブ71等が、潤滑流体を
介して自在に回転し得るよう構成されている。小径円筒
部60、61のラジアル動圧軸受部によって、スリーブ
58の回転中におけるシャフト51に対する径方向変位
を十分に小さく抑えることができるので、カップ状円筒
部72の振れを小さく抑えることができ、動圧流体軸受
であるので非繰り返し振れも0.05μm以下に抑える
ことができる。抜け止め板56の上下面のスラスト軸受
によって、スリーブ71の回転中におけるシャフト51
に対するスラスト方向変位を十分に小さく抑えることが
できる。
【0220】シャフト51に対しスリーブ58が相対回
転すると、上下小径円筒部60、61のラジアル動圧軸
受部は、そこに介装された潤滑流体に主としてラジアル
方向の荷重支持圧を発生させ、抜け止め板56の上下面
のスラスト軸受は、そこに介装された潤滑流体に主とし
てスラスト方向の荷重支持圧を発生させる。回転停止状
態において下小径円筒部61に隣接するスリーブ58の
潤滑流体流出防止溝63に潤滑流体が漏出していた場
合、モータが回転し始めるとの潤滑流体を下小径円筒部
61内に取り込む。また、同様に補強板68の内周部に
潤滑流体が漏出していた場合、ブラシレスモータが回転
し始めるとスラスト軸受部である抜け止め板56の方へ
取り込む。
【0221】ブラシレスモータの回転が停止し、シャフ
ト51とスリーブ58とが相対運動が零になるとシャフ
ト51とスリーブ58との隙間によって傾斜が生じる。
動圧軸受部に保持しきれない潤滑流体はシャフトに設け
た潤滑流体流出防止溝64に漏れ出す。
【0222】補強板68やスラスト押え板67などスラ
スト方向の強度を強くしたために、ブラシレスモータに
1000G程度の衝撃力が作用にてもスリーブ58から
補強板68などが外れることもない。大きな衝撃力が作
用した場合抜け止め板56にも作用するので、強度的に
十分な強度の構成にする必要がある。
【0223】この抜け止め板48の強度を検討するため
に、抜け止め板をシャフトの外径の位置で単純支持、衝
撃力Fは抜け止め板48のシャフト外径よりも大きな面
に等分布に作用するとするモデルを考えると
【0224】
【数28】
【0225】である。k5、k6は図22、図23のよ
うになる。
【0226】実施例のような流体軸受ブラシレスモータ
では、抜け止め板48の内径シャフト径に関係するの
で、抜け止め板としての構成以外にスラスト軸受として
の構成のために、ある程度の大きさが必要であり、たわ
みの方を重点に考えると、抜け止め板48の寸法は
【0227】
【数29】
【0228】である。本発明では移動規制量をかなり抑
えていることについて目的は実施例1に記載されている
ので詳細の説明は省略する。実施例1の説明のモデルは
軸回転タイプのモデルであるが、実施例5は軸固定タイ
プである。したがって、軸固定タイプではスリーブが相
対的に移動すると考えればよい。
【0229】シャフト(図9のロータシャフト106に
該当し、固定側とする)とスリーブ(図9のスリーブ1
05に該当し、回転側とする)には正常な位置で停止、
回転をしているが、ブラシレスモータに衝撃が作用した
場合、回転側のスリーブが抜けようと移動するが抜け止
め板に回転部材が係止して、それ以上は移動しないがそ
の後は移動した状態から逆側に移動し、そのときも抜け
止め板に回転部材が係止し、移動しなくなる。さらに、
上下に移動して正常な位置に回転部材はもどっていく。
衝撃による回転部材の移動は仮に大きかったら、実施例
1の図9で説明したように動圧軸受発生部にまで空気が
入ってくる可能性が高い。抜け止め板が軸受内部に構成
されているので容積の増減はほとんどないが、気液境界
面での潤滑流体の表面張力と潤滑流体の慣性力によっ
て、液面が軸受内部側や外部側に移動をする。その際の
液面移動は、衝撃力が大きいと大きいので、大きな衝撃
に対して抜け止め板でも移動規制量が大きいと、動圧軸
受部まで液面が移動し、空気の混入現象が発生し、モー
タの軸受特性を劣化させる。したがって、抜け止め板の
移動規制量はできるだけ小さい量に押さえることの理由
である。移動規制量の規定している値は振動試験を用い
て、モータの信頼性から判断して決定した。
【0230】3.5インチの5枚ディスクHDDを使用
して、衝撃100G、作用時間5.5msecでの抜け
止め板の変形状態を調べた。
【0231】
【表3】
【0232】このような実験から高衝撃性の抜け止め板
は耐力が1000N/mm2以上もしくは引張り強さ1
300N/mm2以上であることが好ましいことがわか
った。軸受の内部に抜け止め板を構成する構造では、抜
け止め板の耐力や引っ張り強度は外部に抜け止め板を構
成するものよりも小さい材料でも問題がない。抜け止め
板の締結箇所が内側にあることによる。さらに潤滑流体
の粘性のダンパ効果などが影響している。2.5インチ
の磁気ディスクに比べて3.5インチの方が変形しやす
かったのは、抜け止め板の厚みが不足していたと判断で
きる。
【0233】(実施例6)図24は本発明の動圧流体軸
受を使用した磁気ディスク駆動用ブラシレスモータの断
面図である。
【0234】図24の実施例2において、実施例1の図
1に類似しているところは説明を省略し、同じ部品につ
いては部品の符号も同じものを使用する。
【0235】図24において、1はロータハブ、2はス
リーブ、3はハウジング、4はスラスト板である。
【0236】流体軸受ブラシレスモータのハウジング3
にはフランジ部5と内部円筒部6と外部円筒部7の構成
があり、フランジ部5の外周はハードディスク駆動装置
のシャーシ21に取り付けられる。該内部円筒部6の内
側にはスリーブ2が接着で取り付けられている。ハウジ
ング3の内部円筒部6の外周面にはコイル8が巻配され
たステータコア9が固着されている。ロータハブ1は磁
気ディスク受け面10と磁気ディスクの内径規制の円筒
部11からなるカップ形状をしている。上記のロータハ
ブ1の円筒部内周には周方向にN極、S極を交互に着磁
した円筒状の駆動マグネット12が固着されている。該
ロータハブ1にはロータハブ1の抜け止め防止のための
抜け止め板13が取り付けられている。該抜け止め板1
3はマルテンサイト系ステンレス鋼であるSUS430
である。該ロータハブ1の中心部にはシャフト14が、
圧入されている。
【0237】シャフト14は、たとえばマルテンサイト
系ステンレス鋼であるSUS420J2の焼き入れ品で
ある強磁性材料であり、シャフトは帯磁されている。
【0238】シャフト14は、内周面にヘリングボーン
溝を有する第1及び第2の円筒部15、16を有するス
リーブ2の内径孔に回転可能に挿入されて、シャフト1
4とスリーブ2の隙間に潤滑流体を介在させたラジアル
動圧流体軸受を構成している。
【0239】またシャフト14の一方の端面は球状形状
をし、その球状面とスラスト板4とでピボット軸受を形
成して、そのピボット軸受の隙間には潤滑流体を介在さ
せたスラストピボット軸受を構成している。
【0240】第1の円筒部15と第2の円筒部16との
間に、径の大きな円筒部17を構成し、さらにスリーブ
2のスラストピボット軸受側に、円筒部15、16より
も径の大きな円筒部18が設けられ、潤滑流体はシャフ
ト14とスリーブ2、シャフトとスラスト板4の隙間に
介在しているが、スリーブ2の径の大きな円筒部17と
の隙間は動圧発生には寄与せず、潤滑流体の保持を目的
とした隙間である。また、径の大きな円筒部18で構成
される隙間はスラスト軸受とラジアル軸受のための潤滑
流体の保持隙間である。
【0241】シャフト14が回転するとスリーブ2の円
筒部15、16に設けられたヘリングボーン溝の作用
で、潤滑流体をポンピングすることで動圧を発生させ、
シャフト14は浮上し非接触で回転する。
【0242】潤滑流体は導電性付加したオイルであり、
シャフト14とハウジング3は回転中でも導電状態とな
るので、磁気ディスクと装置シャーシは導電状態にな
る。そのために、磁気ディスクの回転中に磁気ディスク
と空気との摩擦によって磁気ディスクに静電気が帯電
し、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間に電位差が生じる
ようなことがない。
【0243】2条の接着溝を形成した内部円筒部6にス
リーブ2が導電性接着剤で接着固定されている。その接
着剤の導電性により上記のような静電気が帯電する恐れ
がない。接着剤は紫外線硬化型嫌気性接着剤であり、は
み出した接着剤を紫外線を照射することで硬化させる。
【0244】ハウジング3にフレキシブルプリント基板
19を貼り、ブラシレスモータのコイル8の端末をフレ
キシブルプリント基板19にハンダ付けして外部駆動回
路へ導通させている。
【0245】つぎに、本実施例の磁気ディスク駆動用ブ
ラシレスモータの組立方法について、説明する。
【0246】(1)まず、ステータ組立体を以下のよう
につくる。フレキシブルプリント基板19の一端をハウ
ジング3の設けた穴から通し、外部に取り出す。フレキ
シブルプリント基板19の粘着材でハウジング3に貼り
付ける。その穴を紫外線硬化型接着剤で封止する。
【0247】また、電着塗装膜を施したステータコア9
にコイル8を巻回して、コイル端末をフレキシブルプリ
ント基板19にハンダ付けしやすように、あらかじめ所
定寸法長さにして端末の先端をハンダあげして、コイル
組立体を作成する。
【0248】つぎに、ハウジング3の内部円筒部6の外
周にサブマグネット78を接着固定し、さらに、コイル
組立体をサブマグネット78の外周に接着固定し、前処
理されたコイル端末をフレキシブルプリント基板19に
ハンダ付けして、ステータ組立体をつくる。
【0249】(2)つぎに、ロータハブ1にシャフト1
4を固定し、さらに着磁された駆動マグネット12を接
着固定して、ハブ組立体をつくる。
【0250】(3)さらに、スリーブ2にスラスト板4
をかしめ固定して、軸受組立体をつくる。
【0251】(4)つぎに、軸受組立体のスリーブ2の
内周部に潤滑流体を規定量注油して、ハブ組立体のシャ
フト14を挿入する。抜け止め板13をロータハブ1に
カシメや接着で締結固定して、抜け止め板13で軸受組
立体は抜けなくする。
【0252】(5)ステータ組立体の内部円筒部6の内
周部に接着剤を所定量塗布して、前記のロータハブの組
み込まれたスリーブ2を挿入する。ハウジング3の基準
面とロータハブ1の磁気ディスク受け面10との距離を
規定値になるように、接着固定する。
【0253】以上のようにして流体軸受ブラシレスモー
タを組立する。抜け止め板13でロータハブは抜けな
い、その移動規制量bは実施例1と同様に
【0254】
【数30】
【0255】である。ロータハブ1の抜け止め防止のた
めの抜け止め板13は強磁性材で構成され、たとえばマ
ルテンサイト系ステンレス鋼でSUS430などであ
る。この抜け止め板13をサブマグネット78で吸引す
ることで、衝撃時のロータハブ1の移動阻止している。
この吸引力は回転中心であるので、モータの回転ロス負
荷しては小さい。小型薄型のブラシレスモータであるた
めに、サブマグネット78の端面の面積は小さく抑え
る。マグネット50の高さを短くすると吸引力が小さく
なる。それは、マグネットは磁化の向きに逆らう反磁界
の作用で、磁束密度軸上にあるべき動作点がヒステリシ
スループの第2象限に引き込まれ、マグネットの表面磁
束密度を維持できず動作磁束密度値になる。反磁界はマ
グネット形状によって大きく変化する。反磁界の影響で
マグネットの径に対するマグネットの高さ(長さ)が小
さいとマグネットの吸着力は小さく、マグネットを薄く
することは吸着力を確保する上で好ましくなく、次式の
関係でサブマグネット78を構成する。
【0256】
【数31】
【0257】また、吸着力を確保するために、サブマグ
ネット78はネオジ鉄のボンド磁石を使用し、大きな衝
撃にも耐えうるようにしている。
【0258】サブマグネット78による吸引力を確保す
るためには、サブマグネット78の端面から抜け止め板
13までの距離gは組立公差を考えても次式を満足する
ように選ぶ。
【0259】
【数32】
【0260】また、サブマグネット78による吸引力を
確保するためには、サブマグネット78の円筒面で2極
になるように着磁がなされている。
【0261】サブマグネットの吸引力により、衝撃が作
用した場合、吸引力分だけは抜け止め板には衝撃は作用
しないが、板厚などの検討モデルには吸引力は余裕度に
考え、実施例1の場合のモデルを考えた。
【0262】実施例6の場合の抜け止め板13の関係は
実施例1の場合と同様で、
【0263】
【数33】
【0264】の関係となる。また抜け止め板13の強度
についても実施例1と同様に抜け止め板は耐力が100
0N/mm2以上もしくは引張り強さ1300N/mm2
以上であることが好ましい。
【0265】サブマグネットによって吸引力が作用する
ので、実際にはもう少し強度が小さな材料でも問題がな
いが、吸引力が常時作用しているので、吸引力の作用し
てない状態での抜く止め板13の強度とした。
【0266】サブマグネット78はスリーブ2の外周に
ハウジング3を介して配置し、スラスト方向高さにおい
てステータコアの厚みの範囲内において駆動マグネット
とスリーブの外周に配置したサブマグネットとがかかる
ような配置にある。
【0267】また、サブマグネットの配置場所が異なっ
た実施例として図26に示すような流体軸受ブラシレス
モータがある。
【0268】抜け止め板13の条件は同じである。サブ
マグネット79の配置として、ハウジング3の内部円筒
部6の外周部にインロー嵌合するようにサブマグネット
79は形成されている。ハウジング3の内部円筒部6の
端にサブマグネット79があり、ステータコア9の高さ
範囲内にはサブマグネットは存在しない。
【0269】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、移動規制
量を小さく抑えることで、衝撃が作用しても軸受の動圧
発生部に空気が入り込まないようにできるので、軸受の
潤滑流体は漏れ出て軸受内の潤滑流体が減少することが
なく、衝撃による特性の劣化がない流体軸受ブラシレス
モータが可能となる。
【0270】さらに、衝撃が作用した場合に軸受内での
シャフトの移動量を小さくすることにより潤滑流体の漏
れがないようにできるので、軸受の信頼性が高いうえ
に、磁気ヘッドが磁気ディスクにダメージを及ぼす影響
が小さくできる。
【0271】さらに、衝撃などによる部品の変形が弾性
変形内に抑えられるので、回転精度に影響するようなこ
とがなく、信頼性の高く、耐衝撃性の優れた流体軸受ブ
ラシレスモータが可能となる。
【0272】抜け止め板の厚み、外径、内径などの寸法
を決められた範囲内にすることで、耐衝撃性を高くで
き、小型で薄型な動圧流体軸受ブラシレスモータは容易
に可能となる。
【0273】衝撃が作用した場合、移動規制量を小さく
抑えて、さらに抜け止め板をカシメや接着で締結し、大
きな衝撃に対しても抜け止め板の締結部が変形すること
もないうえに、締結強度が安定である。
【0274】ロータハブに抜け止め板を配置するため
に、ハウジングに対してロータハブを軸方向に移動させ
た状態で抜け止め板を接着固定したことで、モータ部品
がばらついても移動規制量を所定の寸法に組み立てるこ
とができる。さらに移動規制量をばらつきの小さい範囲
でも組立ができるという作用がある。
【0275】ロータハブに固定した抜け止め板で、ロー
タハブがシャフト方向に移動した場合抜け止め板がフラ
ンジ部に当接するように構成され、抜け止め板を接着剤
で締結することで、抜け止め板の締結強度が安定である
ということと、締結部の気密性ができ、潤滑流体がモー
タ外部に飛散することがない。
【0276】軸受内の回転シャフトに抜け止め板を構成
することで、軸受内でシャフト径よりも大きな抜け止め
板を構成することによって回転が安定になる。衝撃が作
用した場合に抜け止め板全面で衝撃力を受け、衝撃力に
よる抜け止め板の変形が小さくできるうえに、シャフト
の近くであるので、軸受に曲げ力がかかりにくい。
【0277】抜け止め板によってロータハブの移動量が
小さく規制できるので軸受内でのシャフトの移動量を小
さくすることができることになり、衝撃作用による瞬時
の潤滑流体の移動が十分に可能となり、潤滑流体の漏れ
がないようにできる。
【0278】また、抜け止め板の厚み、外径を選択する
ことで大きな衝撃に対しても起動停止性能の良くて、抜
け止め板の変形ない流体軸受ブラシレスモータが可能と
なる。
【0279】また、抜け止め板の材質強度を所定の耐力
や引っ張り強さにすることで、耐衝撃性の優れて、信頼
性の高くて、回転精度が安定な流体軸受を有するブラシ
レスモータができる。
【0280】スリーブが回転するタイプにおいても、抜
け止め板を軸受内に構成することによって、衝撃が作用
した場合に抜け止め板全面で衝撃力を受け、衝撃力によ
る抜け止め板の変形がない状態が可能となり、さらに抜
け止め板によってロータハブの移動量が小さく規制でき
るので軸受内でのスリーブの移動量を小さくすることが
できることになり、衝撃作用による瞬時の潤滑流体の移
動が十分に可能となり、潤滑流体の漏れがないようにで
きる。ブラシレスモータの信頼性が高くなるうえに装置
全体としての信頼性も向上する。
【0281】衝撃が作用した場合にロータハブの移動量
が小さく規制できるように軸受内に抜け止め板を構成
し、抜け止め板の厚みや外径の寸法を所定の大きさにす
ることで、起動停止性能の良くて、衝撃による抜け止め
板の変形ない流体軸受ブラシレスモータが可能となる。
【0282】大きな衝撃に対しても抜け止め板の強度を
所定の耐力や引っ張り強さにすることで、衝撃による抜
け止め板の変形なく、衝撃作用後も回転精度に問題のな
い流体軸受ブラシレスモータが可能となる。
【0283】サブマグネットでロータ部材を吸引してい
る構造では、衝撃が作用した場合に抜け止め板全面で衝
撃力を受け、衝撃力による抜け止め板の変形がない状態
が可能となるうえに、衝撃力が小さい場合はサブマグネ
ットの吸引力でロータハブは異常に浮かないので、動作
時の耐衝撃性が向上する。さらに大きな衝撃力が作用し
てもサブマグネットの吸引力相当分は軽減されるので、
抜け止め板の変形ないという作用を有する。
【0284】抜け止め板の厚み、外径、内径、材質を所
定の関係にすることで、耐衝撃性の優れて信頼性の高く
流体軸受ブラシレスモータが容易に可能となる。
【0285】さらには、衝撃が作用しても、軸受の外周
近傍に配置した円筒状のサブマグネットの端面の吸引力
でロータハブの移動が規制され、ロータハブが移動して
もロータハブに固定された抜け止め板が流体軸受のスリ
ーブのフランジ部に係止するので、ロータハブがブラシ
レスモータから抜けるようなことがないという有利な効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における磁気ディスク駆動用
流体軸受ブラシレスモータの断面図
【図2】抜け止め板部の拡大図
【図3】抜け止め板の斜視図
【図4】K1の図
【図5】K2の図
【図6】(a)カシメ実験の疑似ロータハブの断面図 (b)疑似ロータハブに抜け止め板を装着して状態を表
す図
【図7】平カシメポンチの斜視図
【図8】菊カシメポンチの斜視図
【図9】衝撃による潤滑流体の漏れの説明図 (a)正常状態 (b)シャフトが抜ける時 (c)シャフトがもどる時
【図10】本発明の実施例2における磁気ディスク駆動
用流体軸受ブラシレスモータの断面図
【図11】抜け止め板部の拡大図
【図12】潤滑流体溜まり部の拡大図
【図13】抜け止め板部の拡大図
【図14】抜け止め板を接着固定する時の抜け止め板部
近傍の拡大図
【図15】本発明の実施例における磁気ディスク駆動用
流体軸受ブラシレスモータの断面図
【図16】(a)駆動マグネットとステータコアの位置
関係説明図 (b)駆動マグネットとステータコアの位置関係説明図
【図17】K3の図
【図18】K4の図
【図19】本発明の実施例における磁気ディスク駆動用
流体軸受ブラシレスモータの断面図
【図20】潤滑流体溜まり部近くの螺旋状の溝の拡大図
【図21】潤滑流体流出防止溝の図
【図22】K5の図
【図23】K6の図
【図24】本発明の実施例における磁気ディスク駆動用
流体軸受ブラシレスモータの断面図
【図25】抜け止め板部の拡大図
【図26】本発明の実施例における磁気ディスク駆動用
流体軸受ブラシレスモータの断面図
【符号の説明】
1、42、71 ロータハブ 2、38、58 スリーブ 3、32、50 ハウジング 4、39 スラスト板 5、22、37、74 フランジ部 6、35 内部円筒部 7、34 外周円筒部 8、37、54 コイル 9、36、52 ステ−タコア 12、46、76 駆動マグネット 13、48、56 抜け止め板 13a 内周部 13b 外周部 14、41、51 シャフト 15、16 スリーブの円筒部 17 流体保持部 18 流体保持空間 19 フレキシブルプリント基板 23 径小部 24、70 接着剤 25 逃げ部 26、27 オイル溜まり部 26a テーパ部 45 ロータフレーム 47 ネジ部 49 ネジ 53 電着塗装 55 銅箔線 59 潤滑流体溜まり部 60 上部小径円筒部 61 下部小径円筒部 62 螺旋状の溝 63、64 潤滑流体流出防止溝 65 中内径部 66 大内径部 67 スラスト押え板 68 補強板 72 カップ円筒部 73 天面部 75 ロータヨーク 77 スラスト面 78、79 サブマグネット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D109 AA08 BA14 BA17 BA20 BB01 BB12 BB18 BB22 BC18 5H607 AA00 AA04 BB01 BB09 BB14 BB17 CC01 DD02 DD03 GG01 GG03 GG12 GG15 JJ03 JJ04 KK10 5H621 GA01 HH05 JK13 JK19

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジング本体と、該ハウジングに固定
    されたステータコアと、該ハウジングに固定されたスリ
    ーブと、該スリーブに固定されたスラスト板と、該ハウ
    ジング本体に対して相対的に回転自在であるロータハブ
    と、該ロータハブの内周部に駆動マグネットと、該ロー
    タハブに締結されたシャフトとを備え、該シャフトと該
    スリーブとからなりいずれか一方にヘリングボーン溝を
    有するラジアル動圧軸受とスリーブの一方に固定された
    スラスト板とシャフトの一端で構成されるスラスト軸受
    を有し、スリーブのロータハブ側にフランジ部を設け、
    ロータハブに固定した抜け止め板で、ロータハブがシャ
    フト方向に移動した場合抜け止め板がフランジ部に当接
    するように構成され、このロータハブの移動量が0.0
    25mmから0.5mmの範囲内であるように該抜け止
    め板を配置したことを特徴とする流体軸受ブラシレスモ
    ータ。
  2. 【請求項2】 スリーブのロータハブ側にフランジ部を
    設け、ロータハブに固定した抜け止め板で、ロータハブ
    がシャフト方向に移動した場合抜け止め板がフランジ部
    に当接するように構成され、このロータハブの移動量が
    0.025mmから0.5mmの範囲内であるように配
    置した該抜け止め板の寸法が 【数1】 の関係であることを特徴とする請求項1記載の流体軸受
    ブラシレスモータ。
  3. 【請求項3】 スリーブのロータハブ側にフランジ部を
    設け、ロータハブに固定した抜け止め板で、ロータハブ
    がシャフト方向に移動した場合抜け止め板がフランジ部
    に当接するように構成され、該抜け止め板の材質の耐力
    が1000N/mm2以上もしくは引っ張り強さ130
    0N/mm2以上であることを特徴とする請求項1また
    は請求項2記載の流体軸受ブラシレスモータ。
  4. 【請求項4】 スリーブのロータハブ側にフランジ部を
    設け、ロータハブに固定した抜け止め板で、ロータハブ
    がシャフト方向に移動した場合抜け止め板がフランジ部
    に当接するように構成され、このロータハブの移動量が
    0.025mmから0.5mmの範囲内であるように配
    置した該抜け止め板がロータハブにカシメにて締結され
    たことを特徴とする請求項1記載の流体軸受ブラシレス
    モータ。
  5. 【請求項5】 ハウジングと、該ハウジングに固定され
    たステータコアと、該ハウジングに固定されたスリーブ
    と、該スリーブに固定されたスラスト板と、該ハウジン
    グ本体に対して相対的に回転自在であるロータハブと、
    該ロータハブの内周部に駆動マグネットと、該ロータハ
    ブに締結されたシャフトとを備え、該シャフトと該スリ
    ーブとからなりいずれか一方にヘリングボーン溝を有す
    るラジアル動圧軸受とスリーブの一方に固定されたスラ
    スト板とシャフトの一端で構成されるスラスト軸受を有
    し、スリーブのロータハブ側にフランジ部を設け、ロー
    タハブに固定した抜け止め板で、ロータハブがシャフト
    方向に移動した場合抜け止め板がフランジ部に当接する
    ように構成され、このロータハブの移動量が0.025
    mmから0.5mmの範囲内であるように該抜け止め板
    を配置するために、ハウジングに対してロータハブを軸
    方向に設定値の移動量移動させた状態で抜け止め板を接
    着固定したことを特徴とする流体軸受ブラシレスモー
    タ。
  6. 【請求項6】 スリーブのロータハブ側にフランジ部を
    設け、ロータハブに固定した抜け止め板で、ロータハブ
    がシャフト方向に移動した場合抜け止め板がフランジ部
    に当接するように構成され、このロータハブの移動量が
    0.025mmから0.5mmの範囲内であるように配
    置した該抜け止め板がロータハブに接着で締結されたこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3
    または請求項5記載の流体軸受ブラシレスモータ。
  7. 【請求項7】 ハウジング本体と、ステータコアと、該
    ハウジングに固定されたスリーブと、該スリーブに固定
    されたスラスト板と、該ハウジング本体に対して相対的
    に回転自在であるロータハブと、該ロータハブの内周部
    に駆動マグネットと、該ロータハブに締結されたシャフ
    トとを備え、該シャフトと該スリーブとからなりいずれ
    か一方にヘリングボーン溝を有するラジアル動圧軸受と
    スリーブの一方に固定されたスラスト板とシャフトの一
    端で構成されるスラスト軸受を有し、スリーブのロータ
    ハブ側にフランジ部を設け、ロータハブに固定した抜け
    止め板で、ロータハブがシャフト方向に移動した場合抜
    け止め板がフランジ部に当接するように構成され、この
    抜け止め板が磁性材料であって、このロータハブの移動
    量が0.025mmから0.5mmの範囲内であるよう
    に該抜け止め板を配置し、ハウジングの内部円筒部にサ
    ブマグネットを固定して、該抜け止め板を該サブマグネ
    ットで隙間をもって吸引したことを特徴とする流体軸受
    ブラシレスモータ。
  8. 【請求項8】 ハウジングと、ステータコアと、該ハウ
    ジングに固定されたスリーブと、該スリーブに固定され
    たスラスト板と、該ハウジング本体に対して相対的に回
    転自在であるロータハブと、該ロータハブの内周部に駆
    動マグネットと、該ロータハブに締結されたシャフトと
    を備え、該シャフトと該スリーブとからなりいずれか一
    方にヘリングボーン溝を有するラジアル動圧軸受とスリ
    ーブの一方に固定されたスラスト板とシャフトの一端で
    構成されるスラスト軸受を有し、スリーブのロータハブ
    側にフランジ部を設け、ロータハブに固定した抜け止め
    板で、ロータハブがシャフト方向に移動した場合抜け止
    め板がフランジ部に当接するように構成され、スリーブ
    の外周にハウジングを介してサブマグネットを配置し、
    スラスト方向高さにおいてステータコアの厚みの範囲内
    において駆動マグネットとスリーブの外周に配置したサ
    ブマグネットとが係り、スリーブのロータハブ側にフラ
    ンジ部を設け、ロータハブに固定した抜け止め板で、ロ
    ータハブがシャフト方向に移動した場合抜け止め板がフ
    ランジ部が当接するように構成され、該抜け止め板が強
    磁性材で構成され、軸受外周側に配置したサブマグネッ
    トで該抜け止め板が吸引されたことを特徴とする流体軸
    受ブラシレスモータ。
  9. 【請求項9】 スリーブのロータハブ側にフランジ部を
    設け、ロータハブに固定した抜け止め板で、ロータハブ
    がシャフト方向に移動した場合抜け止め板がフランジ部
    に当接するように構成され、このロータハブの移動量が
    0.025mmから0.5mmの範囲内であるように配
    置した該抜け止め板の寸法が 【数2】 の関係であることを特徴とする請求項7または請求項8
    記載の流体軸受ブラシレスモータ。
  10. 【請求項10】 スリーブのロータハブ側にフランジ部
    を設け、ロータハブに固定した抜け止め板で、ロータハ
    ブがシャフト方向に移動した場合抜け止め板がフランジ
    部に当接するように構成され、該抜け止め板の材質の耐
    力が1000N/mm2以上もしくは引っ張り強さが1
    300N/mm2以上であることを特徴とする請求項7
    または請求項8または請求項9記載の流体軸受ブラシレ
    スモータ。
  11. 【請求項11】 スリーブのロータハブ側にフランジ部
    を設け、ロータハブに固定した抜け止め板で、ロータハ
    ブがシャフト方向に移動した場合抜け止め板がフランジ
    部に当接するように構成され、このロータハブの移動量
    が0.025mmから0.5mmの範囲内であるように
    配置した該抜け止め板がロータハブにカシメにて締結さ
    れたことを特徴とする請求項7または請求項8記載の流
    体軸受ブラシレスモータ。
  12. 【請求項12】 ハウジング本体と、該ハウジングに固
    定されたステータコアと、該ハウジングに固定されたス
    リーブと、該ハウジング本体に対して相対的に回転自在
    であるロータハブと、該ロータハブの内周部に駆動マグ
    ネットと、該ロータハブに締結されたシャフトと、シャ
    フトの一端には固定されたシャフト径よりも大きな抜け
    止め板と、抜け止め板をスリーブとで囲むように設置さ
    れたスラスト板とを備え、該シャフトと該スリーブとか
    らなりいずれか一方にヘリングボーン溝を有するラジア
    ル動圧軸受を有し、シャフトに固定された抜け止め板と
    スリーブからなりいずれか一方に動圧溝を有し、かつシ
    ャフトに固定された抜け止め板とスラスト板からなりい
    ずれか一方に動圧溝を有して構成されるスラスト軸受を
    有し、ロータハブがシャフト方向に移動した場合、上側
    移動では抜け止め板の上面はスリーブに当接するように
    構成され、この移動量が0.020mmから0.5mm
    の範囲内であるように抜け止め板を配置したことを特徴
    とする流体軸受ブラシレスモータ。
  13. 【請求項13】 ロータハブがシャフト方向に移動した
    場合、上側移動では抜け止め板の上面はスリーブに当接
    するように構成され、この移動量が0.020mmから
    0.5mmの範囲内であるように抜け止め板を配置し、
    その抜け止め板の寸法が 【数3】 の関係であることを特徴とする請求項12記載の流体軸
    受ブラシレスモータ。
  14. 【請求項14】 ロータハブがシャフト方向に移動した
    場合、上側移動では抜け止め板の上面はスリーブに当接
    するように構成され、この移動量が0.020mmから
    0.5mmの範囲内であるように抜け止め板を配置し、
    その抜け止め板の材質の耐力が800N/mm2以上も
    しくは引っ張り強さ1000N/mm2以上であること
    を特徴とする請求項12または請求項13記載の流体軸
    受ブラシレスモータ。
  15. 【請求項15】 ハウジングと、該ハウジングに固定さ
    れたステータコアと、該ハウジングに固定されたシャフ
    トと、該シャフトに固定された抜け止め板と、固定のシ
    ャフトに対して軸受を介して相対的に回転自在であるロ
    ータハブと、該ロータハブの内周部に固定された軸受の
    スリーブとを備え、該シャフトと該スリーブとからなり
    いずれか一方にヘリングボーン溝を形成して、隙間に潤
    滑流体を介したラジアル動圧軸受と、スラスト押さえ板
    とスリーブで抜け止め板を挟み込み、該抜け止め板とス
    ラスト押さえ板のいずれか一方に動圧溝を形成し、抜け
    止め板とスリーブのいずれか一方にも動圧溝を形成し
    て、隙間に潤滑流体を介してスラスト動圧流体軸受であ
    り、ロータハブがスラスト方向に移動した場合、抜け止
    め板で移動は規制されている、その移動量が0.020
    mmから0.2mmの範囲内であるように抜け止め板を
    配置したことを特徴とする流体軸受ブラシレスモータ。
  16. 【請求項16】 ロータハブがスラスト方向に移動した
    場合、抜け止め板で移動規制された構成で、この移動量
    が0.020mmから0.2mmの範囲内であるように
    抜け止め板を配置し、その抜け止め板の寸法が 【数4】 の関係であることを特徴とする請求項15記載の流体軸
    受ブラシレスモータ。
  17. 【請求項17】 ロータハブがスラスト方向に移動した
    場合、抜け止め板で移動規制された構成で、この移動量
    が0.020mmから0.2mmの範囲内であるように
    抜け止め板を配置し、その抜け止め板の材質の耐力が1
    000N/mm 2以上もしくは引っ張り強さが1300
    N/mm2以上であることを特徴とする請求項15また
    は請求項16記載の流体軸受ブラシレスモータ。
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