JP4032517B2 - 流体軸受ブラシレスモータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置、多面鏡駆動装置などのOA装置駆動用流体軸受ブラシレスモータにおける抜け止めに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近では、マルチメディアを意識した高速インターフェースの移行が急速に進み、光磁気ディスク装置、磁気ディスク装置、DVD装置など大容量の情報を記録再生する装置が開発されている。磁気ディスク装置はデータの転送速度が開発のネックになっていたが、内部データ転送速度の向上が図られ、それに合わせてFL−AL(FibreChannel-Arbitrated Loop)などの高速なインターフェースを採用して、サーバ市場や動画などの情報市場に向けた高容量で高速な対応の磁気ディスク装置の開発が活発である。また光ディスク装置であるDVD装置は動画の再生、記録などのため、高容量な装置へと開発が進められている。
【0003】
高容量化が進むとディスクなどを駆動するブラシレスモータは回転精度が要求され、そうしたブラシレスモータに動圧流体軸受を使用した動きが急速に広がっている。
【0004】
ブラシレスモータに動圧流体軸受を利用する理由として以下のことが挙げられる。
(1)不規則なシャフトの振れを抑えられる。
【0005】
ボール軸受では、鋼球すべてを均一な形状に加工することができず、そのため回転中に突発的なシャフト振れが生じる。シャフト振れを減らすと、磁気ディスク装置では磁気ヘッドの位置決め誤差を小さくでき、DVD装置ではビーム・スポットの位置決め誤差を減らすことができ、記録密度の向上に対応しやい。
(2)耐衝撃性が向上する。
【0006】
流体の膜が緩衝の役割を果たすためである。
(3)軸受で発生する騒音が減る。
(4)金属疲労で軸受が壊れるまでの疲れ寿命が長い。
【0007】
連続回転する流体動圧軸受では流体を介して非接触でシャフトは回転するので、金属接触することがない。
【0008】
また、流体軸受は耐衝撃性は向上するが、ノートパソコンや携帯端末などに磁気ディスク装置、CD−ROM装置を搭載する場合、動圧流体軸受ブラシレスモータに対する耐衝撃要求も1000Gとなりつつある。動圧軸受は軸受が回転したら動圧によって浮上し非接触状態になるという特性から、軸受部は浮上量程度の移動は許容される構造である。そのために、衝撃が作用した場合、回転部材が移動する。移動規制するものがない場合は回転部材は軸受から外れてしまう。
【0009】
したがって、回転部材の抜け止め構造について、いろいろな構造が採られている。特に最近では衝撃荷重が大きくなり、材料から見直す必要に迫られている。
【0010】
従来例として軸回転タイプの流体軸受ブラシレスモータにおいて、特開平7−123633号公報のようにモータ内部に係止部材を設けて駆動マグネットの端面で係止できるようにしてロータ抜けを防止する方法や、また特開平6−165428号公報はモータの外部に抜け止め部材を設けてロータフレーム天面部の上方部に金属のプレートを固定し、そのプレートでロータ抜けを防止する方法が採用されている。特開平8−182287号公報のようにモータの外部に抜け止め部材を設けてロータフレームのフランジ部で係止できるようにしてロータ抜けを防止する方法が採用されている。こうした構成では、薄型や小型のブラシレスモータになると、係止部材(または抜け止め部材)を構成するためのスペースが構成できない。ロータの抜け止め部材は回転部位の一カ所で実施するために大きな衝撃が作用する場合は変形してしまう。このような抜け止め部材を回転部位の一カ所に当接させる構造ではあまり高い衝撃に耐えることができない。
【0011】
特開平7−71448号公報のような軸受装置の抜け止め構造は抜け止め部材が板バネで構成され常にスラスト圧が作用している構造であり、軸に対して軸ぶれの原因になる偶力を作用させないようになっているために、回転中に抜け止め板の板バネが負荷となって作用し、動圧流体軸受のような求心性のある軸受ではその効果が阻害されやすく、繰り返し振れや非繰り返し振れが大きくなり、高容量の記憶装置の駆動モータとしては不十分である。動圧流体軸受装置では抜け止め板が非接触で回転する構造に変わりつつある。また抜け止め板を板バネで構成すると容易に曲がることになり、大きな衝撃が作用した場合、その板バネが変形してしまい、衝撃後には所定のスラスト力が発生しないことが多く、最近では抜け止め板の材料についても十分な検討が必要になってきている。
【0012】
特開平8−251864号公報の電動機の軸受の抜け止め材(引用公報では規制部材としている)は軸受装置内での構成である。この抜け止め材はシャフトに係合させて抜け止めをするもので、回転部位の一カ所で実施するために大きな衝撃が作用する場合は抜け止め材が変形してしまうなど、大きな衝撃には十分とはいえない。引用例の実施例では抜け止め材がネジ部があるネジにて微調しながら軸受内部に挿入できるので嵌合の具合は十分に把握できるが、ネジであるのでロータハブは衝撃などで移動した場合、その円筒形状の抜け止め材はシャフトに線で接触する。高い衝撃に対しては耐えることが十分ではない場合が多い。
【0013】
全面で抜け止め材が当接する構造として、軸受外部に止め板を構成する特開平8−275447号公報や軸受内部に抜け止め板を構成する特開平6−200939号公報、特開平8−275447号公報、特開平6−311695号公報、特開平6−178491号公報がある。
【0014】
特開平8−275447号公報は軸受外部に構成する構造であり、小型のブラシレスモータに採用されようとしている。小型の装置に搭載されるモータであるがボール軸受の代替え的モータで開発が進んだために衝撃力も200G程度の保証で、1000G程度の高い衝撃力に対して十分な検討がなされていない。この組立工法でのモータについて材料、設計部品寸法などの見直しが必要になってきた。
【0015】
特開平6−200939号公報、特開平8−275447号公報は軸受内部に抜け止め板を構成するもので、衝撃に対する配慮で抜け止め板を設けたのではなく、回転の安定性を重点にして設けられており、アキシャルガタに対しても抜け止め板を設けることによる剛性向上で対応している。衝撃に対しての考慮は十分になされてはいない。最近では本発明の実施例にもある構造であるが、この構造でも流体軸受ブラシレスモータでの耐衝撃性向上の取り組みがなされつつある。
【0016】
特開平6−311695号公報、特開平6−178491号公報の構造は比較的磁気ディスク径の大きなモータに対応した構成であり、用途としてもサーバなど大きな衝撃が作用しないところでの使用が多く、高い衝撃を要求されるようなことがなく、抜け止め板のシャフトに対する直角度や潤滑流体の漏れについての対策が重要な課題であった。そのため200G程度の衝撃力での仕様のものが多い。最近ではこのような構造の流体軸受ブラシレスモータにおいても1000Gほどの耐衝撃性の要求がなされつつある。
【0017】
駆動マグネットのセンターとステータコアのセンターを違えて、その違いによる磁気吸引力を利用するものがよく知られている。薄型の場合はモータの高さの関係でそのセンターずれを大きく設定できないため、耐衝撃性を十分に設けることができない。
【0018】
特に、装置が薄型になるとモータの高さ方向の寸法がその装置によって規制されモータ全高も薄くしなければならない。そのため、動圧流体軸受の構成長さが短くなり、軸受剛性が低下する。軸受剛性の低下に伴って、モータの起動停止によって金属接触が発生して摺動部分に摩耗が生じやすくなる。
【0019】
抜け止め部材の構成も動圧発生する軸受部の構成長さが短くならないように構成する必要があるので、耐衝撃性向上で非常に厚い部材を用いることができない。
【0020】
また携帯端末は耐落下の優れたものが必要となり、流体軸受ブラシレスモータも耐衝撃対策を行ったものが要求されつつある。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
流体軸受は耐衝撃性は向上するが、ノートパソコンや携帯端末などに磁気ディスク装置、CD−ROM装置を搭載する場合、動圧流体軸受ブラシレスモータに対する耐衝撃要求も1000Gとなりつつある。動圧軸受は軸受が回転したら動圧によって浮上し非接触状態になるという特性から、軸受部は浮上量程度の移動は許容される構造である。そのために、衝撃が作用した場合、回転部材が移動する。移動規制するものがない場合は回転部材は軸受から外れてしますので、ロータが抜けないように抜け止め部材をモータに設ける必要がある。
【0022】
特開平7−123633号公報や特開平7−123633号公報や特開平8−182287号公報ではモータの外部に抜け止め部を構成する構造であり、モータの外部に抜け止め部を構成することは、機種展開や汎用性を持たせる時に足かせとなるうえに、ロータの抜け止め部材は回転部位の一カ所で実施するために大きな衝撃が作用する場合は変形してしまう。このような抜け止め部材を回転部位の一カ所に当接させる構造ではあまり高い衝撃に耐えることができないなどの課題がある。
【0023】
また、特開平8−251864号公報は軸受内部に抜け止め部材の構成があるが、回転部位の一カ所で実施するために大きな衝撃が作用する場合は抜け止め材が変形してしまうなど、大きな衝撃には十分とはいえないなどの課題がある。
【0024】
抜け止め板が全面的に当接する構造でない高い衝撃に耐えることができないと判断して、回転軸の近傍で抜け止め構成が可能な方法として、軸受外部に止め板を構成する特開平8−275447号公報に見られるような構造や、軸受内部に抜け止め板を構成する特開平6−200939号公報、特開平8−275447号公報や特開平6−311695号公報、特開平6−178491号公報に見られる構造において、高い衝撃性の耐え要因を選定して、その項目について実験などで検証しながら、耐衝撃性の高くて、装置の小型化が可能な寸法を選定する。
【0025】
特開平8−275447号公報は軸受外部に構成する構造であり、小型のブラシレスモータに採用されようとしている。小型の装置に搭載されるモータであることに優れているが、スラスト移動規制量が比較的大きくなりがちで、抜け止め板の締結位置が軸受外であるので、抜け止め板が変形しやすい上に、巻線部が近傍に構成されるために締結寸法を管理する必要があり、むやみに抜け止め板の厚みを厚くできないなどの課題がある。
【0026】
したがって、抜け止め板の締結方法や組立方法などから検討し、材質や寸法、移動規制量などの影響を考慮して対策を講じる。
【0027】
特開平6−200939号公報、特開平8−275447号公報は軸受内部に抜け止め板を構成するもので、回転の安定性には優れているが衝撃に対する配慮がないために、抜け止め板の外径を大きくする方策が講じられやすいが、あまり大きすぎると起動時の傾きによって抜け止め板の外周部が金属接触する時間が長くなり、信頼性を損なうことなどの問題がある。
【0028】
したがって、抜け止め板の材質や寸法、移動規制量などの影響を考慮して対策を講じる。
【0029】
特開平6−311695号公報、特開平6−178491号公報の構造は比較的磁気ディスク径の大きなモータに対応した構成であり、用途としてもサーバなど高容量の装置に使用されるので、回転の安定性には優れているが、回転部の重量が重いので、大きな衝撃が作用した場合各部位の変形が問題となり、抜け止め板などの締結が問題になることがある。
【0030】
したがって、抜け止め板の材質や寸法、移動規制量などの影響を考慮して対策を講じる。
【0031】
また軸受部でスラスト方向に大きな移動のある動きをすると潤滑流体の漏れ出るという現象があり、この対策も大きな課題となっている。
【0032】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、抜け止め板の締結方法や寸法や材質などを選ぶことによって高い耐衝撃性のある流体軸受ブラシレスモータを提供することを目的にする。
【0033】
ロータハブが移動するような衝撃が作用する場合、特性が劣化する問題があり、その原因を求めて対策を講じる必要があった。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、流体軸受ブラシレスモータの抜け止め板について、抜け止め板の締結方法や寸法や材質などを選ぶことによって高い耐衝撃性のある流体軸受ブラシレスモータとしたものである。
【0035】
軸受の外部に抜け止め板を構成する流体軸受ブラシレスモータにおいては
(1)抜け止め板によるスラスト方向の移動規制量を小さく押さえ込む。そのために部品精度を上げてビルトイン方式でモータを組み立てる方法やあらかじめ決められた移動規制量で抜け止め板を固定する方法を行う。
(2)抜け止め板の締結方法としてカシメと接着を採用する。
(3)抜け止め板の寸法を所定範囲の大きさでする。
(4)抜け止め板の材質を所定範囲の強度でする。
(5)吸引マグネットで衝撃力の一部を吸収する。
【0036】
また、軸受の外周近傍に配置した円筒状のマグネットの端面の吸引力をロータハブの軸方向の吸引に利用するようにしたものである。
【0037】
また、軸受の外周近傍に配置した円筒状のマグネットの端面の吸引力はロータハブに固定された抜け止め板に作用するようにしたものである。さらに、抜け止め板は軸受のスリーブの一部に係止するようにして、ロータハブの移動を規制したものである。
【0038】
さらには、大きな衝撃が作用しても、軸受の外周近傍に配置した円筒状のマグネットの端面の吸引力でロータハブの移動が規制され、ロータハブが移動してもロータハブに固定された抜け止め板が流体軸受のスリーブのフランジ部に係止するので、ロータハブがブラシレスモータから抜けるようなことがない。
【0039】
軸受の内部に抜け止め板を構成する流体軸受ブラシレスモータにおいては
(1)抜け止め板によるスラスト方向の移動規制量を小さく押さえ込む。
(2)抜け止め板の寸法を所定範囲の大きさでする。
(3)抜け止め板の材質を所定範囲の強度でする。
【0055】
【発明の実施の形態】
請求項に記載の発明は、ハウジング本体と、前記ハウジングに固定されたステータコアと、前記ハウジングに固定されたスリーブと、前記ハウジング本体に対して相対的に回転自在であるロータハブと、前記ロータハブの内周部に駆動マグネットと、前記ロータハブに締結されたシャフトと、前記シャフトの一端には固定されたシャフト径よりも大きな抜け止め板と、前記抜け止め板を前記スリーブとで囲むように設置されたスラスト板とを備え、前記シャフトと前記スリーブとの隙間には潤滑流体が介在し、いずれか一方にヘリングボーン溝を有するラジアル動圧軸受部を有し、前記シャフトに固定された前記抜け止め板と前記スリーブのいずれか一方に動圧溝を構成されるスラスト軸受部を有し、前記ロータハブが軸方向に移動した場合、上側移動では前記抜け止め板の上面は前記スリーブに当接するように構成され、前記ロータハブの移動量が0.020mmから0.5mmの範囲内であるように前記抜け止め板を配置し、前記ロータハブとラジアル方向に対向するスリーブとの隙間を、前記ラジアル動圧軸受部から前記スリーブの外周部と前記ロータハブの内部の円筒部とで形成している隙間の間にラビリンスを構成するように所定の間隔を設けたことを特徴とする流体軸受ブラシレスモータとしたものであり、衝撃が作用した場合に抜け止め板全面で衝撃力を受けるので、衝撃力による抜け止め板の変形がない状態が可能となり、さらに抜け止め板によってロータハブの移動量が小さく規制できるので軸受内でのシャフトの移動量を小さくすることができることになり、衝撃作用による瞬時の潤滑流体の移動が十分に可能となり、潤滑流体の漏れがないようにできるので、信頼性が高い。軸受内でシャフト径よりも大きな抜け止め板を構成することによって回転が安定になるという作用を有する。
【0056】
請求項に記載の発明は、ロータハブがシャフト方向に移動した場合、上側移動では抜け止め板の上面はスリーブに当接するように構成され、この移動量が0.020mmから0.5mmの範囲内であるように抜け止め板を配置し、その抜け止め板の寸法が
【0057】
(数
0.5mm≦ts≦2.5mm
Do/Ds≦3
ただし、
ts :抜け止め板の板厚
Do :抜け止め板の外径
Ds :シャフトの外径
【0058】
の関係であることを特徴とする請求項記載の流体軸受ブラシレスモータとしたものであり、衝撃が作用した場合にシャフトの移動量が小さく規制できるので軸受内でのシャフトの移動量を小さくすることにより潤滑流体の漏れがないようにできる。さらに、大きな衝撃に対しても抜け止め板の寸法を所定の大きさにすることで、起動停止性能の良くて、抜け止め板の変形ない流体軸受ブラシレスモータが可能となる。耐衝撃性に優れて、信頼性の高くて、回転精度が安定な流体軸受を有するという作用を有する。
【0059】
請求項に記載の発明は、前記スリーブの外周部と前記ロータハブの内部の円筒部とで形成している隙間は0.03mmから0.06mmで、長さは隙間の30倍以上であることを特徴とする請求項4記載の流体軸受ブラシレスモータあり、衝撃が作用した場合にロータハブの移動量が小さく規制できるので軸受内でのシャフトの移動量を小さくすることにより潤滑流体の漏れがないようにするとともに、さらにラビリンス効果の生ずる所定の間隔を設けたことにより潤滑流体の飛散を防止できる。
【0060】
請求項に記載の発明は、ハウジング本体と、前記ハウジング本体に固定された端面にフランジ部を有するスリーブと、前記ハウジング本体に対して相対的に回転自在であるロータハブと、前記フランジ部にラジアル方向で対向している前記ロータハブの軸方向下側に前記フランジ部と半径方向で重なり合うように固定された抜け止め板とを有し、打ち抜き工程を経て得られる内周部と外周部を有する前記抜け止め板は、前記内周部と前記外周部に発生するバリの方向が逆方向となっていることを特徴とした流体軸受ブラシレスモータとしたものであり、衝撃が作用した場合に抜け止め板全面で衝撃力を受けるので、衝撃力による抜け止め板の変形がない状態が可能となり、さらに抜け止め板によってロータハブの移動量が小さく規制できるので軸受内でのスリーブの移動量を小さくすることができることになり、衝撃作用による瞬時の潤滑流体の移動が十分に可能となり、潤滑流体の漏れがないようにできる作用を有する。
【0063】
請求項に記載の発明は、前記抜け止め板が固定される前記ロータハブには、前記外周部に発生するバリの逃げ部となる切り込み部と、前記抜け止め板の前記内周部にラジアル方向で対向するスリーブには、前記抜け止め板の前記外周部のバリが接触しないように環状の凹部が形成されていることを特徴とする請求項記載の流体軸受ブラシレスモータとしたものであり、耐衝撃性優れて信頼性の高くて回転精度が安定な流体軸受を有することができるという作用を有する。
【0065】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0066】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1における磁気ディスク駆動用流体軸受ブラシレスモータの断面図である。
【0067】
図1において、1はロータハブ、2はスリーブ、3はハウジング、4はスラスト板である。磁気ディスク(図示せず)をロータハブ1に搭載して回転駆動する磁気ディスク駆動用ブラシレスモータをマウントする装置(一般にHDDと呼ばれている)は内部が密閉構造となっいて、アウトガスやゴミを極端に嫌う。磁気ディスク面にダメージを与えるような、化学物質などの使用は制限されている。
【0068】
ブラシレスモータのハウジング3にはフランジ部5と内部円筒部6と外部円筒部7の構成があり、外部円筒部7とロータハブ1の外周部とは0.2mm程度の小さな隙間であるラビリンス構成されている。該内部円筒部6の内側にはスリーブ2が接着で取り付けられている。
【0069】
スピンドルモータのハウジング3にはフランジ部5と内部円筒部6と外部円筒部7の構成があり、フランジ部5の外周はハードディスク駆動装置のシャーシ21に取り付けられる。ハウジング3の内部円筒部6の外周面にはコイル8が巻配されたステータコア9が固着されている。ロータハブ1は磁気ディスク受け面10と磁気ディスクの内径規制の円筒部11からなるカップ形状をしている。上記のロータハブ1の円筒部内周には周方向にN極、S極を交互に着磁した円筒状の駆動マグネット12が固着されている。該ロータハブ1にはロータハブ1の抜け止め防止のための抜け止め板13が取り付けられている。該抜け止め板13はオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS301−CSPの調質Hである。該ロータハブ1の中心部にはシャフト14が、外周部内面には駆動マグネット12が固定され、全体としてロータ部を構成している。
【0070】
シャフト14は、内周面にヘリングボーン溝を有する第1及び第2の円筒部15、16を有するスリーブ2の内径孔に回転可能に挿入されて、シャフト14とスリーブ2の隙間に潤滑流体を介在させたラジアル動圧流体軸受を構成している。
【0071】
またシャフト14の一方の端面は球状形状をし、その球状面とスラスト板4とでピボット軸受を形成して、そのピボット軸受の隙間には潤滑流体を介在させたスラストピボット軸受を構成している。
【0072】
第1の円筒部15と第2の円筒部16との間に、径の大きな円筒状の流体保持部17を構成し、さらに、スリーブ2のスラストピボット軸受側に、円筒部15、16よりも径の大きな円筒状の流体保持空間18が設けられ、潤滑流体はシャフト14とスリーブ2、シャフトとスラスト板4の隙間に介在しているが、スリーブ2の流体保持部17との隙間は動圧発生には寄与せず、潤滑流体の保持を目的とした隙間である。また、流体保持空間18で構成される隙間はスラスト軸受とラジアル軸受のための潤滑流体の保持隙間である。
【0073】
シャフト14はマルテンサイト系ステンレス鋼SUS420J2であり、焼き入れ処理以外にホウ化処理が施されている。シャフト先端のピボット軸受は常時接触しているために、硬度が高い方が摩耗が少ないという評価結果から、ホウ化処理をしてマイクロビッカース硬度Hmv=1200程度まで硬度を上げている。一般の焼き入れ焼き戻しによる熱処理ではシャフトのマイクロビッカース硬度が750程度にしかならない。シャフト14の先端のピボット軸受のスラスト板4はセラミックスで作られ、マイクロビッカース硬度で1500程度に硬い材料を使用している。硬い材料同士が、潤滑流体の介在する環境で摺動するので、摩耗はほとんどなく、MTBFが非常に長い時間の軸受が可能となる。
【0074】
つぎに、本実施例の磁気ディスク駆動用ブラシレスモータの組立方法について、説明する。
【0075】
(1)まず、ステータ組立体を以下のようにつくる。
フレキシブルプリント基板19の一端をハウジング3の設けた穴から通し、外部に取り出す。フレキシブルプリント基板19の粘着材でハウジング3に貼り付ける。その穴を紫外線硬化型接着剤20で封止する。
【0076】
また、電着塗装膜を施したステータコア9にコイル8を巻回して、コイル端末をフレキシブルプリント基板19にハンダ付けしやすように、あらかじめ所定寸法長さにして端末の先端をハンダあげして、コイル組立体を作成する。
【0077】
つぎに、コイル組立体をハウジング3に接着固定し、前処理されたコイル端末をフレキシブルプリント基板19にハンダ付けして、ステータ組立体をつくる。
【0078】
(2)つぎに、ロータハブ1にシャフト14を固定し、さらに着磁された駆動マグネット12を接着固定して、ハブ組立体をつくる。
【0079】
(3)さらに、スリーブ2にスラスト板4をカシメ固定して、軸受組立体をつくる。
【0080】
(4)つぎに、軸受組立体のスリーブ2の内周部に潤滑流体を規定量注油して、ハブ組立体のシャフト14を挿入する。抜け止め板13をロータハブ1に固定して、抜け止め板13で軸受組立体ははずれなくなる。
【0081】
(5)ステータ組立体の内部円筒部6の内周部に接着剤を所定量塗布して、前記のロータハブの組み込まれたスリーブ2を挿入する。ハウジング3の基準面とロータハブ1の磁気ディスク受け面10との距離を規定値になるように、接着固定する。
【0082】
以上のようにして流体軸受ブラシレスモータを組立する。
ロータハブ1にはロータハブ1の抜け止め防止のための抜け止め板13がロータハブ1にカシメで固定されている。スリーブ2の端面にフランジ部22を形成し、ロータハブ1がスラスト方向に移動すると該フランジ部22に該抜け止め板13を係止させてロータハブ1が抜けるのを規制している。
【0083】
その移動規制量は図2のbに該当し、そのbの関係は次式である。
【0084】
【数9】
Figure 0004032517
【0085】
抜け止め板13の締結には紫外線硬化型の接着剤でも可能である。抜け止め板13の締結にカシメや接着剤を用いることで締結強度のばらつきが安定する。
【0086】
抜け止め板13を打ち抜きで製作すると、内周部13aと外周部13bにバリが発生する。金型のダイスとパンチのクリアリンスを板厚の10%程度に調整し、パンチとダイスの相対位置ずれをできるだけ小さくしてクリアランスを管理して、バリの高さや大きさを管理する。またバリの発生方向において、図2に示すように内周部13aのバリと外周部13bのバリの方向を逆にすることができる。抜け止め板13の平坦度が打ち抜きによって影響が少ないようにバリの発生方向が逆にする。
【0087】
回転中にフランジ部22に抜け止め板13を係止させた場合も考慮にして、抜け止め板13の内周部13aのバリはフランジ部22とは逆側になるように組み立てられる。そのために、抜け止め板13の外周部14bのバリはハブ側になるので、ハブ側にバリ逃げように切り込み部1aが設けられている。
【0088】
また、抜け止め板13の内周部13aのバリを電解研磨などであらかじめ排除したものにして組み立てることも可能であり、内周部の両方ともバリを取った抜け止め板13を使用すること場合は、組立時の方向性の確認作業などがなく組立による作業問題なども発生しない。抜け止め板13の内周部13aのバリ取りには電解研磨以外に、面押しプレスや角面取りプレスなどにより内周部13aのバリがフランジ部22側に出ないようにしてあるものを使用することが信頼性をより高めることになる。
【0089】
また係止する位置をできるだけ中心部にするために、スリーブ2のフランジ部22の近傍に径小部23を設け、抜け止め板13の内径はスリーブ2のハウジング接着外径よりもわずかに大きな径にして、抜け止め板13がスリーブ2に接触することなく、挿入が可能である構成となる。
【0090】
流体軸受ブラシレスモータに衝撃が作用した場合、抜け止め板13に衝撃力による加重が作用する。たとえば、ロータハブを構成する回転部材の重量がWとし、衝撃がaGの場合、抜け止め板には作用する衝撃力F=aWとなる。図3のように衝撃力はスリーブのフランジ部と当接する箇所に作用するので、作用する位置は抜け止め板の内径部に輪形な等分布値荷重となる。
【0091】
円板に荷重が作用しての円板の曲げに関して、以下のような関係式から求められる。板厚tsの円板に単位面積当たりpなる荷重を受けるとして、軸対称形のたわみを生じ、中立面内に極座標r、θをとって応力とモーメント及びたわみの関係は次式で示される。
【0092】
【数10】
Figure 0004032517
【0093】
たわみwの基礎方程式は
【0094】
【数11】
Figure 0004032517
【0095】
が一定の場合
【0096】
【数12】
Figure 0004032517
【0097】
とくにpが一定値の場合、その一般解は
【0098】
【数13】
Figure 0004032517
【0099】
抜け止め板13の場合、抜け止め板13の強度を検討するために、抜け止め板を締結部の位置で単純支持された、円形リングの形状で内周部に輪形荷重が作用するとするモデルで考えると、最大たわみwmaxは衝撃力作用する内周部の位置であり、最大応力σmaxは内周部の円周応力である。
【0100】
【数14】
Figure 0004032517
【0101】
である。
k1、k2は係数で図4、図5のようになる。
【0102】
実施例のような流体軸受ブラシレスモータでは、抜け止め板13の内径は軸受の構成のために、ある程度の大きさが必要であり、たわみの方を重点に考えると、抜け止め板13の寸法は
【0103】
【数15】
Figure 0004032517
【0104】
の関係であるように、ブラシレスモータをする。そうすることによって、高い衝撃に対しても、抜け止め板の変形が小さい。
【0105】
たわみの方を重点にしたのは、変形による量はロータハブが移動することである、磁気ディスク上に磁気ヘッド存在する時に衝撃が作用した場合、磁気ディスクの移動にともなって磁気ヘッドの衝撃荷重が作用した以上に動き、磁気ディスク面にバウンドした際にディスク面を傷つける可能性があるので、たわみ量は低く押さえるようにした。
【0106】
また、衝撃力が大きい場合は、たわみ以外に、抜け止め板が塑性変形してしまうことも考えられるので、塑性変形がないように、抜け止め板の耐力についても大きな材料を使用する。
【0107】
1インチの1枚ディスクHDDを使用して、衝撃1000G、作用時間5.5msecでの抜け止め板の変形状態を調べた。
【0108】
【表1】
Figure 0004032517
【0109】
PK、GIN5、GIN6は日立金属株式会社製の材料で、PKは炭素鋼、GIN5,GIN6はステンレス鋼である。
【0110】
このような実験から高衝撃性の抜け止め板は耐力が1000N/mm2以上もしくは引張り強さ1300N/mm2以上であることが好ましいことがわかった。
【0111】
PK、GIN5、GIN6は真空溶解炉で真空精錬されているのでガスの含有量の少ない清浄度の良好な鋼であり、残留炭化物は容積率の1〜4%、大きさで2μm以下のミクロ組織である。抜け止め板13をPK、GIN5、GIN6を使用して打ち抜きで製作する場合、打ち抜きのままのエッジには残留応力が残留するので、ストレスレリーフ処理(またはプレステンパーという)あるいはタンブリングによって除去する。
【0112】
タンプリングの目的は打ち抜きによって生じた冷間加工影響ゾーン、バリ、シャーマークを除去し、エッジにスムースな丸みを持たせることです。研磨剤としての砥石の大きさ、材質はタンブリングの方法と抜け止め板の寸法によって選択し、曲げ応力、衝撃応力を受ける位置のエッジが十分丸みを持つようにすることがポイントである。またPH制御用の化学溶剤によって抜け止め板13の表面をきれいにし、摺動抵抗を低減させる。摺動抵抗を低減する目的は、動作回転時に衝撃が作用し、スリーブのスリーブ部22に抜け止め板13が当たった場合に、抜け止め板13がスリーブ部22を摺動するので、その目抜け止め板の摺動抵抗を小さくする目的で抜け止め板13の表面をきれいにした。
【0113】
プレステンパーは打ち抜きによる引っ張り残留応力の除去と抜け止め板の平坦度の改善のために行う。抜け止め板13を積層してプレスした状態で、炉に装入されテンパーする。そのテンパー温度は物温でPKは300℃、GIN5、GIN6は500℃以下でする。
【0114】
抜け止め板13の締結をカシメでする場合、テーパ歯の平カシメと菊カシメがある。カシメ部の形状による締結強度について図6のような疑似ロータハブ100を用いて評価した。図6(a)はその疑似ロータハブ100を示し、カシメ部のつばの内径をD1として、傾斜開始の径をD2として、傾斜角度をαとする形状である。またつばの高さh1である。図6(b)はその疑似ロータハブ100に抜け止め板13を装着して状態を表す図である。評価の結果(D2−D1)=0.3mm〜0.6mmは締結強度が大きく、角度αは30度以下である必要がある。傾斜角度αが30度以上になってくるとカシメ力は大きくなる。例えばD1=8mm、α=40度の場合ではカシメ機械の押しつけ力は430kgfであり、このような大きな力が必要となる上に、この力でディスク受け面の平行度など他の箇所への影響が大きく、さらに傾斜角度αが30度を越える辺から締結強度が落ちてくる傾向になる。したがって、(D2−D1)=0.3mm〜0.6mm、αは30度以下になるようにすることが好ましい。
【0115】
またカシメの歯部の形状としては平カシメ(図7)と菊カシメ(図8)のポンチがあるが、平カシメの歯部101はテーパ状の形状をしている。菊カシメの歯部102もテーパ状の形状をしているが、歯ない部分103と歯部102が交互に周状に配置されている。どのカシメでも抜け止め板の外径部とロータハブのカシメ内径部とは隙間があり、その隙間を通気孔として積極的にしようとするように抜け止め板の外周部に円弧状の切り欠きを設けることもある。軸受内部の圧力がモータ外部の圧力とあまり異ならないようにする目的である。
【0116】
カシメではなく接着剤で固定する場合は締結部の封止ができるので、使いわけをする必要がある。
【0117】
また菊カシメの場合、カシメられる箇所(歯部102)とカシメられない箇所(歯のない箇所103)ができる。その境でロータハブから金属粉が発生することがあるので、流体軸受の場合の菊カシメの歯の角部104には丸みを持たせた形状にしている。
【0118】
本発明では移動規制量をかなり抑えているかについて目的を以下に説明する。説明のために図9のようなモデルを使用する。
【0119】
説明は軸回転タイプのモデルであるが、軸固定タイプはスリーブは相対的に移動すると考えればよい。
【0120】
ロータシャフト106とスリーブ105は正常な回転状態では図9(a)のような適正な隙間をもって非接触で回転している。停止状態であっても、図9(a)の状態に近くで金属接触のある状態にあると考えられる。
【0121】
図9(a)の正常な状態に衝撃が作用すると、ロータシャフト106はスリーブ105から矢印107方向に抜け出ると、シャフトの移動量b1、シャフトの断面積Aとすると、シャフトの移動にともなって容積V=b1×Aの空間が軸受内に発生し、その空間に潤滑流体108が流れ込み、図9(a)の液面109が下がる。その液面が下がることにより、軸受内に空気が入り込む。移動量b1が小さい場合は液面の低下は潤滑流体溜まり部のところに位置し、動圧発生部までは低下しないので、本発明のように移動規制量を小さく抑えている理由である。移動規制量の規定している値は振動試験を用いて、モータの信頼性から判断して決定した。
【0122】
また、衝撃が作用してロータシャフト106がスリーブ105から抜け出ると次にはまた元の位置に戻ろうとする。矢印111の方向に戻ろうとした場合、移動量が大きくて動圧軸受部に空気が入り込むと、回転中は特に潤滑流体に空気が巻き込まれた状態となり小さな気泡が潤滑流体の発生となる。一度気泡が潤滑流体に入り込むと消泡にはかなりの時間がかかり、衝撃後直ちに消泡とはならない。軸受内部に空気が入り込むということは、その空気の分だけの量の潤滑流体は軸受外部に漏れ出る。その漏れを液滴112で表した。
【0123】
衝撃が大きく、ロータシャフトの移動量が大きな場合、衝撃が何度も作用するにつれて、軸受に必要な潤滑流体が減少していき、特性が低下するようなことが考えられるので、本発明では移動量b1を小さく抑えることで、衝撃作用による液面の低下が潤滑流体溜まり部110のところにとどめることができ、動圧発生部には空気が入り込まない。その後ロータシャフト106が正常な位置にもどっても、潤滑流体溜まり部のところにとどまった液面は正常な液面高さに回復するだけで動圧発生部には空気が入り込まない。そのために本発明では移動規制量を小さく抑えている。
【0124】
(実施例2)
実施例2における流体軸受ブラシレスモータは断面図を図10に示す。実施例2は抜け止め板を接着で締結した流体軸受ブラシレスモータの抜け止め部の拡大図を図11に示す。実施例2における流体軸受ブラシレスモータは実施例1に類似しているので説明は簡単にし、同じ部品については部品の符号も同じものを使用する。
【0125】
図10において、1はロータハブ、2はスリーブ、3はハウジング、4はスラスト板である。
【0126】
ブラシレスモータのハウジング3にはフランジ部5と内部円筒部6と外部円筒部7の構成があり、フランジ部5の外周はハードディスク駆動装置のシャーシ21に取り付けられ、該内部円筒部6の内側にはスリーブ2が接着で取り付けられている。
【0127】
ハウジング3の内部円筒部6の外周面にはコイル8が巻配されたステータコア9が固着されている。ステータコア9の表面には錫極小含電着塗装処理が施されている。ステータコア9の表面に電着塗装膜はコイル8とステータコア9との絶縁が目的であるが、コイル8に電流を通電することではコイル8が発熱し、電着塗装膜が局所的に温度が上がり、塗装膜からのケミカルガスが多量に発生する。そのガスのなかで、磁気ディスクやポリゴンミラーに悪影響を及ぼす錫の含有率を50ppm以下に抑えた電着塗装処理膜を使用している。
【0128】
ロータハブ1は磁気ディスク受け面10と磁気ディスクの内径規制の円筒部11からなるカップ形状をしている。上記のロータハブ1の最大円筒部内周には周方向にN極、S極を交互に着磁した円筒状の駆動マグネット12が固着されている。該ロータハブ1の中心部には段付きシャフト14が挿入され、シャフト14の段部でもって、ロータハブに当接してシャフト14がロータハブ1から抜けるのを防止している。
【0129】
またロータハブ1にはロータハブ1の抜け止め防止のための抜け止め板13が接着剤24で接着固定されている。接着剤24は一例としてケミテック(株)製の紫外線硬化タイプの嫌気性接着4Y823Pなどが使用される。その抜け止め13はオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS301−CSPの調質Hなどを使用している。その抜け止め板13の内周部と外周部は打ち抜きの時などに発生するバリをプレス工程の際に傾斜ポンチを使用して角の面を押し、角面押すことでバリを取り、角に面を形成する。面押しのために抜き止め板13にはバリなどによる引っかかりなどもなく、動作時に衝撃が作用しても、スリーブ2のフランジ部22との摺動抵抗も小さく、安定した回転となる。また、スリーブ2のフランジ部22も同様に角部は面取りがなされている。
【0130】
衝撃の際に抜け止め板13がスリーブ2のフランジ部22に接触する、その接触する範囲が安定になるようにフランジ部22に逃げ部25が設けられている。またその逃げ部25には抜け止め板13の内周の角部にかかるような寸法に設定されている。その寸法にすることで抜け止め板13の内周の角が直接フランジ部22に接触しないので、ひっかかりなどがなく摺動抵抗が小さくできる。
【0131】
シャフト14は、内周面にヘリングボーン溝を有する第1及び第2の円筒部15、16を有するスリーブ2の内径孔に回転可能に挿入されて、シャフト14とスリーブ2の隙間に潤滑流体を介在させたラジアル動圧流体軸受を構成している。
【0132】
スラスト板4の面にはスパイラル溝があり、シャフト14の一方の端面とそのスラスト板4とで動圧流体軸受を形成したスラスト動圧軸受を構成している。
【0133】
第1の円筒部15と第2の円筒部16との間に、径の大きな円筒状の流体保持部17を構成し、さらにスリーブ2のスラスト動圧軸受側に、円筒部15、16よりも径の大きな円筒状の流体保持空間18が設けられ、潤滑流体はシャフト14とスリーブ2、シャフトとスラスト板4の隙間に介在しているが、スリーブ2の流体保持部17との隙間は動圧発生には寄与せず、潤滑流体の保持を目的とした隙間である。また、流体保持空間18で構成される隙間はスラスト動圧軸受とラジアル動圧軸受のための潤滑流体の保持隙間である。
【0134】
シャフト14はマルテンサイト系ステンレス鋼SUS420J2であり、シャフト14のスラスト軸受側の面はイオン注入処理がなされ表面改質が行われている。
【0135】
つぎに、本実施例の磁気ディスク駆動用の流体軸受ブラシレスモータの組立方法について説明する。
【0136】
(1)まず、ステータ組立体を以下のようにつくる。
フレキシブルプリント基板19の一端をハウジング3の設けた穴から通し、外部に取り出す。フレキシブルプリント基板19の粘着材でハウジング3に貼り付ける。その穴を紫外線硬化型接着剤20で封止する。
【0137】
また、電着塗装膜を施したステータコア9にコイル8を巻回して、コイル端末をフレキシブルプリント基板19にハンダ付けしやすように、あらかじめ所定寸法長さにして端末の先端をハンダあげして、コイル組立体を作成する。
【0138】
つぎに、コイル組立体をハウジング3に接着固定し、前処理されたコイル端末をフレキシブルプリント基板19にハンダ付けして、ステータ組立体をつくる。
【0139】
(2)つぎに、ロータハブ1にシャフト14を固定し、さらに着磁された駆動マグネット12を接着固定して、ハブ組立体をつくる。
【0140】
(3)さらに、スリーブ2にスラスト板4をかしめ固定して、軸受組立体をつくる。
【0141】
(4)つぎに、軸受組立体のスリーブ2の内周部に潤滑流体を規定量注油して、ハブ組立体のシャフト14を挿入する。抜け止め板13をロータハブ1に紫外線硬化型接着剤24で紫外線硬化して接着固定して、抜け止め板13で軸受組立体ははずれなくなる。
【0142】
(5)ステータ組立体の内部円筒部6の内周部に接着剤を所定量塗布して、前記のロータハブの組み込まれたスリーブ2を挿入する。ハウジング3の基準面とロータハブ1の磁気ディスク受け面10との距離を規定値になるように、接着固定する。
【0143】
以上のようにして流体軸受ブラシレスモータを組立する。
ロータハブ1にはロータハブ1の抜け止め防止のための抜け止め板13がロータハブ1に接着固定されている。スリーブ2の端面にフランジ部22を形成し、ロータハブ1がスラスト方向に移動すると該フランジ部22に該抜け止め板13を係止させてロータハブ1が抜けるのを規制している。
【0144】
その移動規制量は図11のbに該当し、そのbの関係は次式である。
【0145】
【数16】
Figure 0004032517
【0146】
また係止する位置をできるだけ中心部にするために、スリーブ2のフランジ部22の近傍に径小部23を設け、抜け止め板13の内径はスリーブ2のハウジング接着外径よりもわずかに大きな径にして、抜け止め板13がスリーブ2に接触することなく、挿入が可能である構成となる。
【0147】
流体軸受ブラシレスモータに衝撃が作用した場合、抜け止め板13に衝撃力による荷重が作用する。たとえば、ロータハブを構成する回転部材の重量がWとし、衝撃がaGの場合、抜け止め板には作用する衝撃力F=aWとなる。実施例2の場合も実施例1の図3のように衝撃力はスリーブのフランジ部と当接する箇所に作用するので、作用する位置は抜け止め板の内径部に輪形な等分布値荷重となる。
【0148】
抜け止め板13には実施例2も実施例1と同様な荷重が作用するので、関係式は同様と考えられる。
【0149】
【数17】
Figure 0004032517
【0150】
である。係数k1、k2は図4、図5である。
したがって、抜け止め板13を接着固定する場合でも、実施例2のような流体軸受ブラシレスモータでは、抜け止め板13の寸法は
【0151】
【数18】
Figure 0004032517
【0152】
の関係であるようにする。そうすることによって、高い衝撃に対しても、抜け止め板の変形が小さい。
【0153】
たわみの方を重点にしたのは、変形による量はロータハブが移動することである、磁気ディスク上に磁気ヘッド存在する時に衝撃が作用した場合、磁気ディスクの移動にともなって磁気ヘッドの衝撃荷重が作用した以上に動き、磁気ディスク面にバウンドした際にディスク面を傷つける可能性があるので、たわみ量は低く押さえるようにした。
【0154】
図11に示すようにロータハブ1の内部に、凹部のオイル溜まり部26が設けられている。このオイル溜まり部26は軸受部から飛散してきた潤滑流体が遠心力で付着し、モータ外部には漏れない。オイル溜まり部26のテーパ部26aは飛散してきた潤滑流体が補足しやすいような傾斜をしている。
【0155】
またスリーブ内部のロータハブ側の形状は図12のような形状である。ロータハブ1とスリーブの隙間h2はモータの全高を抑えるために小さくしている。h2を0.05mmから0.2mm程度にすることでスリーブ内部と外周側外部との圧力差が生じても、h2の隙間が抵抗となりスリーブ内の潤滑流体が飛散しにくくなる。またスリーブの解放端部にシャフトとなすテーパ状の空間がある。この空間はオイル溜まり部27である。このオイル溜まり部27のテーパ角度βは45度以上であることが好ましい。表面張力の影響で潤滑流体がシャフトを伝わってロータハブに漏れるには経験的に隙間が0.5mm以上あればいいが、薄型のブラシレスモータの場合は0.5mmの隙間をとることができないので、スリーブの端面のテーパを積極的に利用して、オイル飛散を防止している。
【0156】
その関係は以下のようになる。
【0157】
【数19】
Figure 0004032517
【0158】
隙間h2がh3に比べて、小さいので、磁気ディスク側へ潤滑流体が漏れ出ることが効果的に阻止されるために、磁気ディスク装置内を汚染することがない。
【0159】
なお、オイル溜まり部27は、角度が45度以上であるために表面張力によっって潤滑面を形成するが非常にメニスカスが低くなるので、潤滑流体が流れ出にくくなる。
【0160】
またロータハブの面28にオイルをはじく撥油剤をコーティングするも効果的に潤滑流体の漏れをより一層防止する。またそのロータハブの面28に対向するスリーブの面29にもオイルをはじく撥油剤を塗布することも効果的である。
【0161】
(実施例3)
実施例3は抜け止め板を接着で締結した流体軸受ブラシレスモータの実施例2とは別の実施例である。抜け止め板を接着で締結した抜け止め部の拡大図を図13に示す。図13の実施例は、実施例2における抜け止め板の固定方法が少し異なっている。実施例2に類似しているところは説明を省略し、同じ部品については部品の符号も同じものを使用する。流体軸受ブラシレスモータの全体図は実施例2と類似であるので省略する。図14は抜け止め板を接着固定する時の拡大図である。
【0162】
実施例3では、抜け止め板13を接着固定する際に移動規制量(エンドプレーともいう)を設定して組み立てることが特徴である。その組立のために、移動規制量が個々のモータでばらつかない。その組立方法を説明する。
【0163】
(1)まず、ステータ組立体は実施例2と同様につくる。
(2)つぎに、実施例2と同様に、ハブ組立体と軸受組立体をつくる。
【0164】
(3)つぎに、軸受組立体のスリーブ2の内周部に潤滑流体を規定量注油して、ハブ組立体のシャフトを挿入する。抜け止め板13をロータハブ1の固定しようとする所定位置に置く。その時、ロータハブのカップ状は上に開いた状態で、シャフトが上になり、そのシャフトに軸受組立体が挿入された状態である。
【0165】
(4)そこで軸受組立体を固定してハブ組立体のロータハブの中央部を設定したい移動規制量だけ相対的に離す。
【0166】
(5)その状態ではロータハブの面30と抜け止め板13は少し隙間が発生する。抜け止め板13はスリーブ2のフランジ部22の上に置かれた状態となる。すなわち、図14に示す状態である。図14では組立のためにロータハブ1が下側になっている。
【0167】
(6)この状態で抜け止め板13の外周部に接着剤24を塗布すると、接着剤24の粘度によってはロータハブの面30との隙間に流れ込むので、その面30の接着剤溜まり31を設けて、軸受内部への接着剤の流れ込みを防止している。抜け止め板13を固定ように塗布した接着剤24は早く硬化させるために、紫外線を照射したら硬化する紫外線硬化型接着剤を使用する。紫外線硬化して抜け止め板13はロータハブ1に接着固定され、抜け止め板13で軸受組立体ははずれなくなる。締結部は接着剤で封止される。
【0168】
(7)その状態で(4)の行為をなくすことによってシャフトはスリーブ内の所定位置にもどり、スリーブ2のフランジ部と抜け止め板13は移動規制量だけはなれた通常の使用状態になる。すなわち、図13の状態である。
【0169】
(8)つぎに、ハウジングの基準面とロータハブ1の磁気ディスク受け面10との距離を規定値になるように、スリーブとハウジングを接着固定する。
【0170】
実施例3の組立は実施例2と異なるところは手順(4)(5)(6)である。この組立方法によれば、部品寸法がばらついても、移動規制量bがばらつきの少ない状態でなる。そのために
【0171】
【数20】
Figure 0004032517
【0172】
を十分に満足することができるうえに、移動規制量bの小さな値での流体軸受ブラシレスモータが容易に組立できる。
【0173】
抜け止め板の条件などは実施例1や実施例2と同様である。
【0174】
【数21】
Figure 0004032517
【0175】
である。係数k1、k2は図4,図5である。
(実施例4)
以下に本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。図15は本発明の実施例の構造断面図を示している。図15のスピンドルモータはシャフト回転タイプの直流ブラスレスモータであって、静止部材側にステータコアがあり回転部材側にはロータハブがある。実施例の図15のブラシレスモータは磁気ディスク駆動用の流体軸受ブラシレスモータである。
【0176】
静止部材側としてのハウジング32は外周に設けられたリング状のフランジ部33とこのフランジ部33の内側に位置する外周円筒部34と環状の底部を介して内部の内部円筒部35とを有している。ハウジング32の内部円筒部35の外側には積層の珪素鋼鈑からなるステータコア36が固着されている。そのステータコアは板厚0.2mmの珪素鋼鈑を数枚積層して、ばらけ防止のためにコイキングのような突起を嵌合させるパック工法で製作され、さらにそのステータコアの表面にはテフロンの含浸したエポキシ系の電着塗装にて表面が絶縁され、その絶縁された状態にコイル37が巻配されている。
【0177】
また、ハウジング32の内部円筒部35の内周部にはスリーブ38が固定されている。固定部材としてはスラスト板39がスリーブ38の端面に接着剤40で封止固定されている。その接着剤40はスラスト板39の外周端面とハウジング32のコーナー部で形成された隙間に封止される。接着剤40がハウジング32の方にもかかるので接着強度が向上する。
【0178】
回転部材としてシャフト41とシャフト41に固定されたロータハブ42がある。そのロータハブ42は磁気ディスクを搭載するフランジ面43と磁気ディスク内周を規制するための円筒部44がある。そのロータハブ42のフランジ部43には環状の垂下部のあるロータフレーム45がカシメで固定されている。そのカシメ部はフランジ部の盗み部に相対する位置に設けられていて、カシメによるフランジ部43のディスク受け面の精度が悪化しないようにしている。そのロータフレーム45の内周には駆動マグネット46が接着されている。
【0179】
駆動マグネット46はステータコア36に対向するように取り付けられていて、ステータコア36の厚みt1に対して駆動マグネット46の厚みt2の関係が次の関係にある。
【0180】
【数22】
Figure 0004032517
【0181】
さらに、ステータコア36の厚みのセンター位置と駆動マグネット46のセンター位置のずれ量をδとすると、次の関係がある。図16を参照のこと。図16(a)はずれ量δがステータコアセンターよりも上側にある場合、図16(b)はずれ量δがステータコアセンターよりも下側にある場合である。
【0182】
【数23】
Figure 0004032517
【0183】
である。
磁気回路部寸法がこの(数22)(数23)を満足するようにすることで、回転部材に作用するスラスト方向の磁気力が小さく、スラスト動圧軸受に作用する力としては小さいものとなるので、軸受部には動圧だけの作用力を十分に把握して設計することができる。さらにはそのスラスト方向の磁気力が小さいことで流体軸受ブラシレスモータとしての騒音を小さくすることができる。
【0184】
シャフト41の端面には磁気ディスクをクランプするネジ部47が設けられている。その端面のもう一方の端面にもネジ部が設けられて、抜け止め板48をネジ49にて螺着して固定される。この抜け止め板には凹状溝が形成されている。その凹状溝は図には現れていないが、上下面に形成され、略く字状に屈曲した形状を有し、抜け止め板48の内外周円に沿った円周上にあって、各凹状溝の中心を結ぶ仮想円の直径はシャフト41の外径と抜け止め板48の外径の算術的平均径の近くになっている。この凹状溝はスパイラルグルーブ溝とも呼ばれている。その凹状溝はエッチングで作られている。
【0185】
この抜け止め板48は回転部材側部品であるので、スラスト動圧軸受の動圧でスリーブ38とスラスト板39との間を非接触で回転している。その動圧で発生する非接触の距離は5μm〜30μm程度である。
【0186】
衝撃が作用した場合、動圧の発生で非接触で回転した抜け止め板48がスリーブ38やスラスト板39に接触する。抜け止め板48には全周にわたって衝撃力が作用する。その接触による衝撃力で抜け止め板が変形したりすると、衝撃作用後の定常回転時に動圧の発生は十分に得られず、接触状態で回転するようなことになる。そのような問題を防止するために抜け止め板48の寸法について十分な注意が必要になる。
【0187】
この抜け止め板48の強度を検討するために、抜け止め板をシャフトの外径の位置で単純支持、衝撃力Fは抜け止め板48のシャフト外径よりも大きな面に全面に等分布に作用するとするモデルを考えると
【0188】
【数24】
Figure 0004032517
【0189】
である。k3、k4は図17、図18のようになる。
実施例のような流体軸受ブラシレスモータでは、抜け止め板48の内径シャフト径に関係するので、抜け止め板としての構成以外にスラスト軸受としての構成となっているので、ある程度の大きさが必要であり、たわみの方を重点に考えると、抜け止め板48の寸法は
【0190】
【数25】
Figure 0004032517
【0191】
である。
この実施例ではヘリングボーン状溝はスリーブ38の内径の上下方向に所定の間隔をおいて2カ所形成されて、シャフト41とわずかな隙間があり、その隙間には潤滑流体が充填されている。シャフト外径に対してスリーブ38の外径は2倍以上であり、スリーブ内径のヘリングボーン状溝を加工する際の影響が外径に発生しない。スリーブの外周部とロータハブの内部の円筒部とでラビリンスを形成している。そのラビリンスの隙間fは0.03mm〜0.06mm程度で長さは2mm以上である。そのラビリンスの長さは隙間の30倍以上に設定すれば流体軸受の潤滑流体の飛散が防止できる。
【0192】
またスラスト板39はスリーブのインロー部に装着されて位置決めされているので、スラスト板の方に動圧溝を構成しても、センター出しが容易である。
【0193】
実施例ではロータハブ42の移動は抜け止め板48にて規制している。その移動規制量bは次式関係がある。
【0194】
【数26】
Figure 0004032517
【0195】
この移動規制量bを満足する流体軸受ブラシレスモータの実施例が本実施例である。
【0196】
本発明では移動規制量をかなり抑えていることについて目的は実施例1に記載されているので詳細の説明は省略する。図9を参照のこと。
【0197】
衝撃が作用すると、シャフトが移動する、そのシャフトの移動にともなって容積V=b1×Aの空間が軸受内に発生するが、この移動量b1を抑えることにより、液面の低下は潤滑流体溜まり部のところになるようにし、動圧発生部までは液面が下がらないように移動規制量を小さく抑える。
【0198】
そのように移動規制量を抑えることで、その後シャフトが正常な位置にもどっても、潤滑流体溜まり部のところにとどまった液面は正常な液面高さに回復するだけで動圧発生部には空気が入り込まない。そのために本発明では移動規制量を小さく抑えている。
【0199】
2.5インチの2枚ディスクHDDを使用して、衝撃800G、作用時間5.5msecでの抜け止め板の変形状態を調べた。
【0200】
【表2】
Figure 0004032517
【0201】
このような実験から高衝撃性の抜け止め板は耐力が1000N/mm2以上もしくは引張り強さ1300N/mm2以上であることが好ましいことがわかった。軸受の内部に抜け止め板を構成する構造では、抜け止め板の耐力や引っ張り強度は外部に抜け止め板を構成するものよりも小さく材料でも問題がない。抜け止め板の締結箇所が内側にあることによる。さらに潤滑流体の粘性のダンパ効果などが影響している。
【0202】
(実施例5)
図19は、本発明のl実施例としての軸固定型の記録媒体駆動用の流体軸受ブラシレスモータの断面図、図20、図21はその要部拡大図である。対象となる記録媒体としては、固定磁気ディスクや、それ以外の種々の記録媒体を挙げることができる。
【0203】
ハウジング50は、その上方開口の環状凹部50aの内周部に上方突出円筒部部50bを有し、環状凹部50aの外周側にフランジ部50cを構成している。上方突出円筒部50bの中央部には貫通孔50dが設けられている。なお、ハウジング50は、例えば固定磁気ディスク駆動装置の基盤内に一体的に形成することも可能である。
【0204】
ハウジング50の貫通孔50d内にはシャフト51の端部が嵌合固定されている。上方突出円筒部50bの外周部には上向きの内部円筒部50eが設けられ、その内部円筒部50eの外周部に、ステータコア52の内周の一部下端部が接着固定されている。ステータコア52の巻配部表面にはエポキシ系の電着塗装膜53が施され、その上にステータコイル54が巻配されている。ステータコイル54の端末線はハウジング50の凹部50aの表面に蒸着された銅箔線55に半田付けされている。その銅箔線55はハウジング50の内部表面を通って、装置側のシャーシに電気的につながっている。銅箔線55とハウジング50とはポリイミド系絶縁膜で電気的に絶縁されている。銅箔線50はハウジング50を放熱器として使用できるので、銅箔の抵抗が低く押されられるので電流を多く流せることが可能である。
【0205】
環状の抜け止め板56は、シャフト51の上部にシャフト51に対し垂直にネジシャフト57によって固定されている。なお、抜け止め板56はシャフトに一体的に形成されていてもよいし、ネジシャフト57の方と一体に形成されていてもいい。
【0206】
スリーブ58は、上端部の外径が拡開されたn段(nは2以上の整数)の円筒形状をなし、シャフト51に対向するスリーブ58の内周部は、全体として小径円筒部をなし、その中央部には小径円筒部よりも内径よりも若干大きな内径を有する潤滑流体溜まり部59を構成する。したがってその小径円筒部は潤滑流体溜まり部59を挟んで上部及び下部の小径円筒部に分かれる。その上部小径円筒部60及び下部小径円筒部61の内周面にはへリングボーン溝が設けられ、その上下へリングポーン溝と、シャフト51のラジアル方向の間隙には潤滑流体が充填されている。回転に伴ってそのヘリングボーン溝によって発生する動圧によってラジアル荷重支持が可能となりラジアル流体動圧軸受を構成する。特に、上下へリングボーン溝により、その荷重支持圧が高められる。なお、このようなへリングボーン溝は、固定シャフト51のラジアル表面に設けてもよい。
【0207】
上下小径円筒部60、61はラジアル動圧軸受に挟まれた潤滑流体溜まり部59に対応したシャフト51の表面には螺旋状の溝62は構成され、その潤滑流体溜まり部59の中央部近くを境にしてその螺旋状の溝62は対称形状に配置されている。図20はその説明拡大図である。その螺旋状の溝62によってモータが回転するとスリーブが回転し、その回転に伴って、潤滑流体溜まり部59に存在していた潤滑流体は上下径小円筒部60、61に流れる。そのために小径円筒部の動圧が早い時間に高圧になるので、起動、停止時などの金属接触する時間が短く信頼性が高くなる。
【0208】
シャフト51のラジアル軸受部の下部小径円筒部61の下方に、内表面に溌油処理が施された下方に向かうにしたがって隙間が減少する潤滑流体流出防止溝63が構成されている。またスリーブ側の潤滑流体流出防止溝63に対向する位置のシャフト51の表面にも下方に向かうにしたがって隙間が減少する潤滑流体流出防止溝64が構成されている。図21はこの部分の拡大図である。スリーブ側潤滑流体流出防止溝63とシャフト側の潤滑流体流出防止溝64の位置関係は、若干潤滑流体流出防止溝64の方が上方に位置する。
【0209】
シャフト51の上方部のスリーブ58は、スリーブの中内径部65に抜け止め板56外周部とわずかな径方向間隙を隔てる状態で抜け止め板56が構成され、スリーブの大内径部66にスラスト押え板67が圧入固定されている。スラスト押え板67を圧入した状態でスリーブ58は上下の移動規制される。その移動規制量はスリーブの中内径部65の厚みと抜け止め板56の厚みの差である。
【0210】
そのスラスト移動規制量bは次式の関係が好ましい。
【0211】
【数27】
Figure 0004032517
【0212】
衝撃が作用した場合、移動規制量が大きすぎると抜け止め板56に作用する衝撃力も大きくなる上に、磁気ディスクが移動量が大きくなり磁気ヘッドへの衝撃が作用し記録している磁気ディスク面に傷をつける恐れがあるので、移動規制量は必要以上に抑える必要がある。
【0213】
そして、スラスト押え板67はマイクロヒッカース硬度600以上の熱処理鋼材で作られている。例えば、SUS420J2やSDK11などを用いている。そのスラスト押え板67の上に、さらにスラスト方向強度補強のために補強板68が大内径部66のさらに内径が大きな大内径部69に圧入されている。スラスト押え板67の圧入はスリーブの中内径部65の変形が発生しない程度の軽い圧入であったのに比べ、補強板68の圧入は衝撃に耐えることができる程度に強力に圧入されている。さらに、紫外線硬化型の接着剤70で補強板68の圧入箇所を固めてより強度を補強している。さらに接着剤70の圧入部を接着することは潤滑流体が外部ににじみ出る経路を封止することになるので、潤滑流体の保持にも役立つ。
【0214】
ロータハブ71は、略カップ形状をなし、ロータハブ71のカップ円筒部72の上端部内方には、中央部が円形に天面部73があり、下端部外方に外方張出したフランジ部74がある。このロータハブ71は、天面部73においてスリーブ58の上端部に外嵌固定されている。そのためにロータハブ71はスリーブ58と同軸を構成し、スリーブ58の小径円筒部60、61に対してのロータハブ71の外周振れが5μm以下になるようにスリーブに組み立てられている。
【0215】
そのカップ円筒部72の内周部には、円筒状で磁性材のロータヨーク75が内嵌固定され、その内周側には駆動マグネット76は、ステータコア52に対し径方向空隙を隔てて相対している。その隙間は0.15mmから0.3mmの範囲で構成されている。
【0216】
ロータハブ71のカップ円筒部72は磁気ディスクの内周規制部であり、下端部外方に外方張出したフランジ部74は磁気ディスクを搭載する受け面部である。
【0217】
抜け止め板56の上面とスラスト押え板67、抜け止め板56の下面とスリーブ58のスラスト面77により、それぞれスラスト動圧軸受部が構成されている。抜け止め板56の上面とスラスト押え板67、抜け止め板56の下面とスリーブ58のスラスト面77はそれぞれ平行状に相対し、それらの間には、液状の潤滑流体が介在してスラスト移動規制量のギャップを隔てている。抜け止め板56の上下環状面全周にわたって、ヘリングボーン状溝が設けられている。このへリングボーン状溝は、スリーブ58のスラスト面77及びスラスト押え板67の順方向回転により、抜け止め板の面表面に介在する潤滑流体に高圧を発生させる。なお、このようなヘリングボーン状溝は、スリーブ58のスラスト面77やスラスト押え板67の面に設けてもよい。
【0218】
補強板68の内周部はネジシャフト57との隙間が下方に向かうにしたがって大きくなるようなテーパ形状をしている。さらに補強板68の内表面に溌油処理が施されている。
【0219】
シャフト51及びステータコア52等に対し、スリーブ58及びロータハブ71等が、潤滑流体を介して自在に回転し得るよう構成されている。小径円筒部60、61のラジアル動圧軸受部によって、スリーブ58の回転中におけるシャフト51に対する径方向変位を十分に小さく抑えることができるので、カップ状円筒部72の振れを小さく抑えることができ、動圧流体軸受であるので非繰り返し振れも0.05μm以下に抑えることができる。抜け止め板56の上下面のスラスト軸受によって、スリーブ71の回転中におけるシャフト51に対するスラスト方向変位を十分に小さく抑えることができる。
【0220】
シャフト51に対しスリーブ58が相対回転すると、上下小径円筒部60、61のラジアル動圧軸受部は、そこに介装された潤滑流体に主としてラジアル方向の荷重支持圧を発生させ、抜け止め板56の上下面のスラスト軸受は、そこに介装された潤滑流体に主としてスラスト方向の荷重支持圧を発生させる。回転停止状態において下小径円筒部61に隣接するスリーブ58の潤滑流体流出防止溝63に潤滑流体が漏出していた場合、モータが回転し始めるとの潤滑流体を下小径円筒部61内に取り込む。また、同様に補強板68の内周部に潤滑流体が漏出していた場合、ブラシレスモータが回転し始めるとスラスト軸受部である抜け止め板56の方へ取り込む。
【0221】
ブラシレスモータの回転が停止し、シャフト51とスリーブ58とが相対運動が零になるとシャフト51とスリーブ58との隙間によって傾斜が生じる。動圧軸受部に保持しきれない潤滑流体はシャフトに設けた潤滑流体流出防止溝64に漏れ出す。
【0222】
補強板68やスラスト押え板67などスラスト方向の強度を強くしたために、ブラシレスモータに1000G程度の衝撃力が作用にてもスリーブ58から補強板68などが外れることもない。大きな衝撃力が作用した場合抜け止め板56にも作用するので、強度的に十分な強度の構成にする必要がある。
【0223】
この抜け止め板48の強度を検討するために、抜け止め板をシャフトの外径の位置で単純支持、衝撃力Fは抜け止め板48のシャフト外径よりも大きな面に等分布に作用するとするモデルを考えると
【0224】
【数28】
Figure 0004032517
【0225】
である。
k5、k6は図22、図23のようになる。
【0226】
実施例のような流体軸受ブラシレスモータでは、抜け止め板48の内径シャフト径に関係するので、抜け止め板としての構成以外にスラスト軸受としての構成のために、ある程度の大きさが必要であり、たわみの方を重点に考えると、抜け止め板48の寸法は
【0227】
【数29】
Figure 0004032517
【0228】
である。
本発明では移動規制量をかなり抑えていることについて目的は実施例1に記載されているので詳細の説明は省略する。実施例1の説明のモデルは軸回転タイプのモデルであるが、実施例5は軸固定タイプである。したがって、軸固定タイプではスリーブが相対的に移動すると考えればよい。
【0229】
シャフト(図9のロータシャフト106に該当し、固定側とする)とスリーブ(図9のスリーブ105に該当し、回転側とする)には正常な位置で停止、回転をしているが、ブラシレスモータに衝撃が作用した場合、回転側のスリーブが抜けようと移動するが抜け止め板に回転部材が係止して、それ以上は移動しないがその後は移動した状態から逆側に移動し、そのときも抜け止め板に回転部材が係止し、移動しなくなる。さらに、上下に移動して正常な位置に回転部材はもどっていく。衝撃による回転部材の移動は仮に大きかったら、実施例1の図9で説明したように動圧軸受発生部にまで空気が入ってくる可能性が高い。抜け止め板が軸受内部に構成されているので容積の増減はほとんどないが、気液境界面での潤滑流体の表面張力と潤滑流体の慣性力によって、液面が軸受内部側や外部側に移動をする。その際の液面移動は、衝撃力が大きいと大きいので、大きな衝撃に対して抜け止め板でも移動規制量が大きいと、動圧軸受部まで液面が移動し、空気の混入現象が発生し、モータの軸受特性を劣化させる。したがって、抜け止め板の移動規制量はできるだけ小さい量に押さえることの理由である。移動規制量の規定している値は振動試験を用いて、モータの信頼性から判断して決定した。
【0230】
3.5インチの5枚ディスクHDDを使用して、衝撃100G、作用時間5.5msecでの抜け止め板の変形状態を調べた。
【0231】
【表3】
Figure 0004032517
【0232】
このような実験から高衝撃性の抜け止め板は耐力が1000N/mm2以上もしくは引張り強さ1300N/mm2以上であることが好ましいことがわかった。軸受の内部に抜け止め板を構成する構造では、抜け止め板の耐力や引っ張り強度は外部に抜け止め板を構成するものよりも小さい材料でも問題がない。抜け止め板の締結箇所が内側にあることによる。さらに潤滑流体の粘性のダンパ効果などが影響している。2.5インチの磁気ディスクに比べて3.5インチの方が変形しやすかったのは、抜け止め板の厚みが不足していたと判断できる。
【0233】
(実施例6)
図24は本発明の動圧流体軸受を使用した磁気ディスク駆動用ブラシレスモータの断面図である。
【0234】
図24の実施例2において、実施例1の図1に類似しているところは説明を省略し、同じ部品については部品の符号も同じものを使用する。
【0235】
図24において、1はロータハブ、2はスリーブ、3はハウジング、4はスラスト板である。
【0236】
流体軸受ブラシレスモータのハウジング3にはフランジ部5と内部円筒部6と外部円筒部7の構成があり、フランジ部5の外周はハードディスク駆動装置のシャーシ21に取り付けられる。該内部円筒部6の内側にはスリーブ2が接着で取り付けられている。ハウジング3の内部円筒部6の外周面にはコイル8が巻配されたステータコア9が固着されている。ロータハブ1は磁気ディスク受け面10と磁気ディスクの内径規制の円筒部11からなるカップ形状をしている。上記のロータハブ1の円筒部内周には周方向にN極、S極を交互に着磁した円筒状の駆動マグネット12が固着されている。該ロータハブ1にはロータハブ1の抜け止め防止のための抜け止め板13が取り付けられている。該抜け止め板13はマルテンサイト系ステンレス鋼であるSUS430である。該ロータハブ1の中心部にはシャフト14が、圧入されている。
【0237】
シャフト14は、たとえばマルテンサイト系ステンレス鋼であるSUS420J2の焼き入れ品である強磁性材料であり、シャフトは帯磁されている。
【0238】
シャフト14は、内周面にヘリングボーン溝を有する第1及び第2の円筒部15、16を有するスリーブ2の内径孔に回転可能に挿入されて、シャフト14とスリーブ2の隙間に潤滑流体を介在させたラジアル動圧流体軸受を構成している。
【0239】
またシャフト14の一方の端面は球状形状をし、その球状面とスラスト板4とでピボット軸受を形成して、そのピボット軸受の隙間には潤滑流体を介在させたスラストピボット軸受を構成している。
【0240】
第1の円筒部15と第2の円筒部16との間に、径の大きな円筒部17を構成し、さらにスリーブ2のスラストピボット軸受側に、円筒部15、16よりも径の大きな円筒部18が設けられ、潤滑流体はシャフト14とスリーブ2、シャフトとスラスト板4の隙間に介在しているが、スリーブ2の径の大きな円筒部17との隙間は動圧発生には寄与せず、潤滑流体の保持を目的とした隙間である。また、径の大きな円筒部18で構成される隙間はスラスト軸受とラジアル軸受のための潤滑流体の保持隙間である。
【0241】
シャフト14が回転するとスリーブ2の円筒部15、16に設けられたヘリングボーン溝の作用で、潤滑流体をポンピングすることで動圧を発生させ、シャフト14は浮上し非接触で回転する。
【0242】
潤滑流体は導電性付加したオイルであり、シャフト14とハウジング3は回転中でも導電状態となるので、磁気ディスクと装置シャーシは導電状態になる。そのために、磁気ディスクの回転中に磁気ディスクと空気との摩擦によって磁気ディスクに静電気が帯電し、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間に電位差が生じるようなことがない。
【0243】
2条の接着溝を形成した内部円筒部6にスリーブ2が導電性接着剤で接着固定されている。その接着剤の導電性により上記のような静電気が帯電する恐れがない。接着剤は紫外線硬化型嫌気性接着剤であり、はみ出した接着剤を紫外線を照射することで硬化させる。
【0244】
ハウジング3にフレキシブルプリント基板19を貼り、ブラシレスモータのコイル8の端末をフレキシブルプリント基板19にハンダ付けして外部駆動回路へ導通させている。
【0245】
つぎに、本実施例の磁気ディスク駆動用ブラシレスモータの組立方法について、説明する。
【0246】
(1)まず、ステータ組立体を以下のようにつくる。
フレキシブルプリント基板19の一端をハウジング3の設けた穴から通し、外部に取り出す。フレキシブルプリント基板19の粘着材でハウジング3に貼り付ける。その穴を紫外線硬化型接着剤で封止する。
【0247】
また、電着塗装膜を施したステータコア9にコイル8を巻回して、コイル端末をフレキシブルプリント基板19にハンダ付けしやすように、あらかじめ所定寸法長さにして端末の先端をハンダあげして、コイル組立体を作成する。
【0248】
つぎに、ハウジング3の内部円筒部6の外周にサブマグネット78を接着固定し、さらに、コイル組立体をサブマグネット78の外周に接着固定し、前処理されたコイル端末をフレキシブルプリント基板19にハンダ付けして、ステータ組立体をつくる。
【0249】
(2)つぎに、ロータハブ1にシャフト14を固定し、さらに着磁された駆動マグネット12を接着固定して、ハブ組立体をつくる。
【0250】
(3)さらに、スリーブ2にスラスト板4をかしめ固定して、軸受組立体をつくる。
【0251】
(4)つぎに、軸受組立体のスリーブ2の内周部に潤滑流体を規定量注油して、ハブ組立体のシャフト14を挿入する。抜け止め板13をロータハブ1にカシメや接着で締結固定して、抜け止め板13で軸受組立体は抜けなくする。
【0252】
(5)ステータ組立体の内部円筒部6の内周部に接着剤を所定量塗布して、前記のロータハブの組み込まれたスリーブ2を挿入する。ハウジング3の基準面とロータハブ1の磁気ディスク受け面10との距離を規定値になるように、接着固定する。
【0253】
以上のようにして流体軸受ブラシレスモータを組立する。
抜け止め板13でロータハブは抜けない、その移動規制量bは実施例1と同様に
【0254】
【数30】
Figure 0004032517
【0255】
である。
ロータハブ1の抜け止め防止のための抜け止め板13は強磁性材で構成され、たとえばマルテンサイト系ステンレス鋼でSUS430などである。この抜け止め板13をサブマグネット78で吸引することで、衝撃時のロータハブ1の移動阻止している。この吸引力は回転中心であるので、モータの回転ロス負荷しては小さい。小型薄型のブラシレスモータであるために、サブマグネット78の端面の面積は小さく抑える。マグネット50の高さを短くすると吸引力が小さくなる。それは、マグネットは磁化の向きに逆らう反磁界の作用で、磁束密度軸上にあるべき動作点がヒステリシスループの第2象限に引き込まれ、マグネットの表面磁束密度を維持できず動作磁束密度値になる。反磁界はマグネット形状によって大きく変化する。反磁界の影響でマグネットの径に対するマグネットの高さ(長さ)が小さいとマグネットの吸着力は小さく、マグネットを薄くすることは吸着力を確保する上で好ましくなく、次式の関係でサブマグネット78を構成する。
【0256】
【数31】
Figure 0004032517
【0257】
また、吸着力を確保するために、サブマグネット78はネオジ鉄のボンド磁石を使用し、大きな衝撃にも耐えうるようにしている。
【0258】
サブマグネット78による吸引力を確保するためには、サブマグネット78の端面から抜け止め板13までの距離gは組立公差を考えても次式を満足するように選ぶ。
【0259】
【数32】
Figure 0004032517
【0260】
また、サブマグネット78による吸引力を確保するためには、サブマグネット78の円筒面で2極になるように着磁がなされている。
【0261】
サブマグネットの吸引力により、衝撃が作用した場合、吸引力分だけは抜け止め板には衝撃は作用しないが、板厚などの検討モデルには吸引力は余裕度に考え、実施例1の場合のモデルを考えた。
【0262】
実施例6の場合の抜け止め板13の関係は実施例1の場合と同様で、
【0263】
【数33】
Figure 0004032517
【0264】
の関係となる。
また抜け止め板13の強度についても実施例1と同様に
抜け止め板は耐力が1000N/mm2以上もしくは引張り強さ1300N/mm2以上であることが好ましい。
【0265】
サブマグネットによって吸引力が作用するので、実際にはもう少し強度が小さな材料でも問題がないが、吸引力が常時作用しているので、吸引力の作用してない状態での抜く止め板13の強度とした。
【0266】
サブマグネット78はスリーブ2の外周にハウジング3を介して配置し、スラスト方向高さにおいてステータコアの厚みの範囲内において駆動マグネットとスリーブの外周に配置したサブマグネットとがかかるような配置にある。
【0267】
また、サブマグネットの配置場所が異なった実施例として図26に示すような流体軸受ブラシレスモータがある。
【0268】
抜け止め板13の条件は同じである。サブマグネット79の配置として、ハウジング3の内部円筒部6の外周部にインロー嵌合するようにサブマグネット79は形成されている。ハウジング3の内部円筒部6の端にサブマグネット79があり、ステータコア9の高さ範囲内にはサブマグネットは存在しない。
【0269】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、移動規制量を小さく抑えることで、衝撃が作用しても軸受の動圧発生部に空気が入り込まないようにできるので、軸受の潤滑流体は漏れ出て軸受内の潤滑流体が減少することがなく、衝撃による特性の劣化がない流体軸受ブラシレスモータが可能となる。
【0270】
さらに、衝撃が作用した場合に軸受内でのシャフトの移動量を小さくすることにより潤滑流体の漏れがないようにできるので、軸受の信頼性が高いうえに、磁気ヘッドが磁気ディスクにダメージを及ぼす影響が小さくできる。
【0271】
さらに、衝撃などによる部品の変形が弾性変形内に抑えられるので、回転精度に影響するようなことがなく、信頼性の高く、耐衝撃性の優れた流体軸受ブラシレスモータが可能となる。
【0272】
抜け止め板の厚み、外径、内径などの寸法を決められた範囲内にすることで、耐衝撃性を高くでき、小型で薄型な動圧流体軸受ブラシレスモータは容易に可能となる。
【0273】
衝撃が作用した場合、移動規制量を小さく抑えて、さらに抜け止め板をカシメや接着で締結し、大きな衝撃に対しても抜け止め板の締結部が変形することもないうえに、締結強度が安定である。
【0274】
ロータハブに抜け止め板を配置するために、ハウジングに対してロータハブを軸方向に移動させた状態で抜け止め板を接着固定したことで、モータ部品がばらついても移動規制量を所定の寸法に組み立てることができる。さらに移動規制量をばらつきの小さい範囲でも組立ができるという作用がある。
【0275】
ロータハブに固定した抜け止め板で、ロータハブがシャフト方向に移動した場合抜け止め板がフランジ部に当接するように構成され、抜け止め板を接着剤で締結することで、抜け止め板の締結強度が安定であるということと、締結部の気密性ができ、潤滑流体がモータ外部に飛散することがない。
【0276】
軸受内の回転シャフトに抜け止め板を構成することで、軸受内でシャフト径よりも大きな抜け止め板を構成することによって回転が安定になる。衝撃が作用した場合に抜け止め板全面で衝撃力を受け、衝撃力による抜け止め板の変形が小さくできるうえに、シャフトの近くであるので、軸受に曲げ力がかかりにくい。
【0277】
抜け止め板によってロータハブの移動量が小さく規制できるので軸受内でのシャフトの移動量を小さくすることができることになり、衝撃作用による瞬時の潤滑流体の移動が十分に可能となり、潤滑流体の漏れがないようにできる。
【0278】
また、抜け止め板の厚み、外径を選択することで大きな衝撃に対しても起動停止性能の良くて、抜け止め板の変形ない流体軸受ブラシレスモータが可能となる。
【0279】
また、抜け止め板の材質強度を所定の耐力や引っ張り強さにすることで、耐衝撃性の優れて、信頼性の高くて、回転精度が安定な流体軸受を有するブラシレスモータができる。
【0280】
スリーブが回転するタイプにおいても、抜け止め板を軸受内に構成することによって、衝撃が作用した場合に抜け止め板全面で衝撃力を受け、衝撃力による抜け止め板の変形がない状態が可能となり、さらに抜け止め板によってロータハブの移動量が小さく規制できるので軸受内でのスリーブの移動量を小さくすることができることになり、衝撃作用による瞬時の潤滑流体の移動が十分に可能となり、潤滑流体の漏れがないようにできる。ブラシレスモータの信頼性が高くなるうえに装置全体としての信頼性も向上する。
【0281】
衝撃が作用した場合にロータハブの移動量が小さく規制できるように軸受内に抜け止め板を構成し、抜け止め板の厚みや外径の寸法を所定の大きさにすることで、起動停止性能の良くて、衝撃による抜け止め板の変形ない流体軸受ブラシレスモータが可能となる。
【0282】
大きな衝撃に対しても抜け止め板の強度を所定の耐力や引っ張り強さにすることで、衝撃による抜け止め板の変形なく、衝撃作用後も回転精度に問題のない流体軸受ブラシレスモータが可能となる。
【0283】
サブマグネットでロータ部材を吸引している構造では、衝撃が作用した場合に抜け止め板全面で衝撃力を受け、衝撃力による抜け止め板の変形がない状態が可能となるうえに、衝撃力が小さい場合はサブマグネットの吸引力でロータハブは異常に浮かないので、動作時の耐衝撃性が向上する。さらに大きな衝撃力が作用してもサブマグネットの吸引力相当分は軽減されるので、抜け止め板の変形ないという作用を有する。
【0284】
抜け止め板の厚み、外径、内径、材質を所定の関係にすることで、耐衝撃性の優れて信頼性の高く流体軸受ブラシレスモータが容易に可能となる。
【0285】
さらには、衝撃が作用しても、軸受の外周近傍に配置した円筒状のサブマグネットの端面の吸引力でロータハブの移動が規制され、ロータハブが移動してもロータハブに固定された抜け止め板が流体軸受のスリーブのフランジ部に係止するので、ロータハブがブラシレスモータから抜けるようなことがないという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における磁気ディスク駆動用流体軸受ブラシレスモータの断面図
【図2】抜け止め板部の拡大図
【図3】抜け止め板の斜視図
【図4】K1の図
【図5】K2の図
【図6】(a)カシメ実験の疑似ロータハブの断面図
(b)疑似ロータハブに抜け止め板を装着して状態を表す図
【図7】平カシメポンチの斜視図
【図8】菊カシメポンチの斜視図
【図9】衝撃による潤滑流体の漏れの説明図(a)正常状態
(b)シャフトが抜ける時
(c)シャフトがもどる時
【図10】本発明の実施例2における磁気ディスク駆動用流体軸受ブラシレスモータの断面図
【図11】抜け止め板部の拡大図
【図12】潤滑流体溜まり部の拡大図
【図13】抜け止め板部の拡大図
【図14】抜け止め板を接着固定する時の抜け止め板部近傍の拡大図
【図15】本発明の実施例における磁気ディスク駆動用流体軸受ブラシレスモータの断面図
【図16】(a)駆動マグネットとステータコアの位置関係説明図
(b)駆動マグネットとステータコアの位置関係説明図
【図17】K3の図
【図18】K4の図
【図19】本発明の実施例における磁気ディスク駆動用流体軸受ブラシレスモータの断面図
【図20】潤滑流体溜まり部近くの螺旋状の溝の拡大図
【図21】潤滑流体流出防止溝の図
【図22】K5の図
【図23】K6の図
【図24】本発明の実施例における磁気ディスク駆動用流体軸受ブラシレスモータの断面図
【図25】抜け止め板部の拡大図
【図26】本発明の実施例における磁気ディスク駆動用流体軸受ブラシレスモータの断面図
【符号の説明】
1、42、71 ロータハブ
2、38、58 スリーブ
3、32、50 ハウジング
4、39 スラスト板
5、22、37、74 フランジ部
6、35 内部円筒部
7、34 外周円筒部
8、37、54 コイル
9、36、52 ステ−タコア
12、46、76 駆動マグネット
13、48、56 抜け止め板
13a 内周部
13b 外周部
14、41、51 シャフト
15、16 スリーブの円筒部
17 流体保持部
18 流体保持空間
19 フレキシブルプリント基板
23 径小部
24、70 接着剤
25 逃げ部
26、27 オイル溜まり部
26a テーパ部
45 ロータフレーム
47 ネジ部
49 ネジ
53 電着塗装
55 銅箔線
59 潤滑流体溜まり部
60 上部小径円筒部
61 下部小径円筒部
62 螺旋状の溝
63、64 潤滑流体流出防止溝
65 中内径部
66 大内径部
67 スラスト押え板
68 補強板
72 カップ円筒部
73 天面部
75 ロータヨーク
77 スラスト面
78、79 サブマグネット

Claims (5)

  1. ハウジング本体と、前記ハウジングに固定されたステータコアと、前記ハウジングに固定されたスリーブと、前記ハウジング本体に対して相対的に回転自在であるロータハブと、前記ロータハブの内周部に駆動マグネットと、前記ロータハブに締結されたシャフトと、前記シャフトの一端には固定されたシャフト径よりも大きな抜け止め板と、前記抜け止め板を前記スリーブとで囲むように設置されたスラスト板とを備え、前記シャフトと前記スリーブとの隙間には潤滑流体が介在し、いずれか一方にヘリングボーン溝を有するラジアル動圧軸受部を有し、前記シャフトに固定された前記抜け止め板と前記スリーブのいずれか一方に動圧溝を構成されるスラスト軸受部を有し、前記ロータハブが軸方向に移動した場合、上側移動では前記抜け止め板の上面は前記スリーブに当接するように構成され、
    前記ロータハブの移動量が0.020mmから0.5mmの範囲内であるように前記抜け止め板を配置し、前記ロータハブとラジアル方向に対向するスリーブとの隙間を、前記ラジアル動圧軸受部から前記スリーブの外周部と前記ロータハブの内部の円筒部とで形成している隙間の間にラビリンスを構成するように所定の間隔を設けたことを特徴とする流体軸受ブラシレスモータ。
  2. 前記抜け止め板の寸法
    (数
    0.5mm≦ts≦2.5mm
    Do/Ds≦3
    ただし、
    ts :抜け止め板の板厚
    Do :抜け止め板の外径
    Ds :シャフトの外径
    の関係であることを特徴とする請求項1記載の流体軸受ブラシレスモータ。
  3. 前記スリーブの外周部と前記ロータハブの内部の円筒部とで形成している隙間は0.03mmから0.06mmで、長さは隙間の30倍以上であることを特徴とする請求項1記載の流体軸受ブラシレスモータ。
  4. ハウジング本体と、前記ハウジング本体に固定された端面にフランジ部を有するスリーブと、前記ハウジング本体に対して相対的に回転自在であるロータハブと、前記フランジ部にラジアル方向で対向している前記ロータハブの軸方向下側に前記フランジ部と半径方向で重なり合うように固定された抜け止め板とを有し、
    打ち抜き工程を経て得られる内周部と外周部を有する前記抜け止め板は、前記内周部と前記外周部に発生するバリの方向が逆方向となっていることを特徴とした流体軸受ブラシレスモータ。
  5. 前記抜け止め板が固定される前記ロータハブには、前記外周部に発生するバリの逃げ部となる切り込み部と、前記抜け止め板の前記内周部にラジアル方向で対向するスリーブには、前記抜け止め板の前記外周部のバリが接触しないように環状の凹部が形成されていることを特徴とする請求項4記載の流体軸受ブラシレスモータ。
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