JP2000049091A - 半導体層構造並びにその形成方法及び半導体装置 - Google Patents

半導体層構造並びにその形成方法及び半導体装置

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JP2000049091A
JP2000049091A JP21259298A JP21259298A JP2000049091A JP 2000049091 A JP2000049091 A JP 2000049091A JP 21259298 A JP21259298 A JP 21259298A JP 21259298 A JP21259298 A JP 21259298A JP 2000049091 A JP2000049091 A JP 2000049091A
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semiconductor layer
znse
semiconductor
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JP21259298A
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Yasuyuki Koyama
泰幸 小山
Isamu Nishino
勇 西野
Toru Sagawa
徹 佐川
Masako Tanaka
理子 田中
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Dowa Holdings Co Ltd
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Dowa Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 共通成分を有する第1の半導体層と第2の半
導体層とを分子線エピタキシ法により積層する半導体層
構造の形成方法、半導体層構造及び半導体装置を提供す
る。 【解決手段】 各元素の蒸気を基板上に照射して,2以
上の元素から構成されるp型またはn型の第1の半導体
層30と,前記第1の半導体層30と導電型が同一でか
つ2以上の元素から構成される第2の半導体層32が,
交互に積層されている半導体層の形成方法において,前
記第1の半導体層30上に前記第2の半導体層32を成
膜する前に,あるいは,前記第2の半導体層32上に前
記第1の半導体層30を成膜する前に,前記第1の半導
体層30と前記第2の半導体層32を構成する少なくと
も1種類以上の共通元素を前記第1の半導体層30上あ
るいは前記第2の半導体層32上に照射する工程を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,半導体層構造の形
成方法,半導体層構造及び半導体装置に係り,さらに詳
細には,共通成分を有する第1の半導体層と第2の半導
体層とを分子線エピタキシ法により積層する半導体層構
造の形成方法,半導体層構造及び半導体装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年において,LSI,レーザ,LED
などの各種半導体デバイスが高密度化,高性能化したこ
とにより,各種電子部品,電気製品の高機能化,小型化
が進んでいる。例えば,短波長での発光が可能な半導体
レーザなどは,光ディスクの記録密度の向上やレーザプ
リンタの解像度の向上が期待され,その実現を目指して
研究が活発におこなわれている。
【0003】このような半導体レーザとして,n型Ga
As基板上にn型ZnMgSSeクラッド層,活性層お
よびp型ZnMgSSeクラッド層を形成した構造を有
する半導体レーザが提案されている。この半導体レーザ
に設けられる電極のうち,n側電極はn型GaAs基板
の裏面に形成されるが,p側電極はp型ZnMgSSe
クラッド層上に積層されたp型ZnSeコンタクト層,
p型ZnTeコンタクト層上に形成されてる。
【0004】このように,p型ZnSeコンタクト層に
p型ZnTeコンタクト層を積層してからp側電極を形
成するのは,大量のp型不純物をp型ZnSeコンタク
ト層にドーピングすることができないという理由による
ものである。すなわち,p型ドーパント濃度が充分でな
いp型ZnSeコンタクト層にp側電極を形成すると,
p側電極は良好なオーム性接触を得ることができずに接
触抵抗が高くなってしまう。このため,アクセプタを高
濃度でドーピングできるp型ZnTeコンタクト層をp
型ZnSeコンタクト層上に積層してからp側電極を形
成することによって,p側電極の接触抵抗の低減が図ら
れている。
【0005】しかしながら,p型ZnSeコンタクト層
上にp型ZnTeコンタクト層を形成した場合には,こ
の接合界面の価電子帯が,p型ZnTe層にむかって下
側に凸形状のバンドギャップ変化となってしまう。この
ような下に凸形状のバンドギャップ変化は,p側電極か
らp型ZnSe層とp型ZnTe層の接合に注入される
正孔に対してポテンシャル障壁として働くという問題が
ある。したがって,p型ZnSeコンタクト層上にp型
ZnTeコンタクト層を形成しても,p側電極では充分
に良好なオーム接触を得ることができなかった。このよ
うな問題を解決し,p側電極で良好なオーム接触を得る
方法として,以下のような方法が開示されている。
【0006】例えば,特開平6−310815において
は,p型ZnSeコンタクト層とp型ZnTeコンタク
ト層との接合部において,p型ZnSeコンタクト層側
に形成される空乏層内に,p型ZnTe層およびp型Z
nSe層をそれぞれ量子井戸層および障壁層とする多重
量子井戸層を形成し,かつ,多重量子井戸層の各量子井
戸層の厚さは各量子井戸層の量子準位がp型ZnSeお
よびp型ZnTeの価電子帯の頂上のエネルギとほぼ等
しくなるように設定する方法を採用している。すなわ
ち,p型ZnSeコンタクト層のうちp型ZnSeコン
タクト層とp型ZnTeコンタクト層との接合の界面か
ら所定距離の部分のNのドーピング濃度[N]を接合界
面に向かって連続的に階段状に増大させることによっ
て,p型ZnTeコンタクト層中のNのドーピング濃度
[N]を充分に高い濃度としている。
【0007】この方法によれば,第1のp型のIIーV
I族化合物半導体と第2のp型のIIーVI族化合物半
導体の接合の界面における価電子帯のバンド不連続によ
るポテンシャル障壁を実効的になくすことができ,これ
によって,良好な電圧ー電流特性を得ることができる。
そして,この半導体装置が半導体レーザや発光ダイオー
ドのようなpn接合を用いた発光素子である場合には,
このpn接合の立ち上がり電圧の低減を図ることができ
る。
【0008】また,特開平7ー211936において
は,ZnSeのpn接合ダイオードのp型ZnSe層上
とp型ZnTe層の間にi型ZnTe層を積層する方法
を採用している。この方法によれば,p型ZnSe層と
i型ZnTe層との接合のi型ZnTe層側の価電子帯
が下に凸となるように曲がるので,p側電極からp型Z
nTe層に注入される正孔に対する,p型ZnSe層と
i型ZnTe層との接合の実効的な障壁の高さを,p型
ZnSe層とi型ZnTe層との接合界面における価電
子帯の不連続の大きさよりも実効的に小さくすることが
できるので,正孔が接合を流れやすくすることができ
る。
【0009】また,特開平8−264876において
は,ZnTeギャップ層をドーピングする層とドーピン
グしない層を交互に積層することにより,ZnTe中の
実効的ドーピングレベルを制御し,また,ZnTe/Z
nSe超格子層のZnSe層のみにドーピングすること
により,窒素の拡散を抑制する方法を採用している。こ
の方法によれば,ZnSe層の最適ドーピング条件を維
持したままZnTe層の実効的ドーピングレベルを窒素
がZnSe層に過剰に拡散しない程度に容易に制御する
ことができる。そして,p側電極とのコンタクトが容易
になり,p側電極との接触抵抗を低減することができ
る。
【0010】ところで,ZnSe層やZnTe層などの
各層を成膜する方法としては,分子線エピタキシ法(以
下,MBE法という)が用いられることが多い。このM
BE法は,加熱した原子または分子を10−10〜10
−12Torrの超高真空下で蒸発させ,この気化した
原子または分子がビーム上になって基板上に析出するこ
とによって所望の超格子層を作製する方法である。この
方法は,所望する超格子層を1原子層から制御して積層
することできるので,精密な成膜制御を必要とする半導
体デバイスの製造工程で多く使用されている。
【0011】例えば,このMBE法を用いて,GaAs
基板上にp型ZnTe層とp型ZnSe層とを交互に積
層する場合には,まず,GaAs基板をMBE装置内の
所定位置にセットし,原料Zn,原料Te,原料Se,
p型ドーパントを所定の各加熱装置にセットし,装置内
を10−10〜10−12Torrを超高真空下にす
る。この加熱装置には,それぞれシャッタがついている
ので,加熱した所望原料のシャッタを開けることによっ
て所望の単元素膜あるいは化合物膜を基板上に成膜する
ことができる。例えば,加熱した原料Zn,原料Te,
p型ドーパントのシャッタを開けると,これらの蒸気
(分子線)がGaAs基板に照射されてp型ZnTe層
が成膜される。
【0012】次いで,原料Teのシャッタを閉じて原料
Seのシャッタを開けると,原料Zn,p型ドーパン
ト,原料Seの蒸気(分子線)がp型ZnTe層上に照
射され,p型ZnTe層上にp型ZnSe層が形成され
る。そして,再度,原料Seのシャッタを閉じて原料T
eのシャッタを開けると,原料Zn,p型ドーパント,
原料Teの蒸気(分子線)がp型ZnSe層上に照射さ
れ,p型ZnSe層上にp型ZnTe層を形成すること
ができる。
【0013】このように,GaAs基板上にp型ZnT
e層とp型ZnSe層とを交互に積層する場合には,原
料Znおよびp型ドーパントのシャッタを開けた状態
で,原料Seのシャッタと原料Teのシャッタを交互に
開閉することによって,p型ZnTe層とp型ZnSe
層を交互に積層したp型ZnTe/p型ZnSeの超格
子層を作製することができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,特開平
6−310815,特開平7−211936,特開平8
−264876のいずれの場合においても,このMBE
法を用いて複数の超格子層を交互に作製する場合には,
蒸気圧の高い元素が基板付近で滞留してしまうため,蒸
気圧の高い元素が基板に蒸着する前に次の超格子層の分
子線が基板に到達してしまうという問題があった。この
ため,先の超格子層が成長を開始する前に次の超格子層
が成膜されてしまったり,あるいは,次の超格子層の分
子線が基板上で滞留している原料蒸気と混濁してしま
い,所望の超格子層と異なる第3層が形成されてしまう
という問題があった。
【0015】例えば,p型ZnTe層を成膜した後に,
原料Zn,原料Te,p型ドーパントの全てのシャッタ
を閉じても,蒸気圧の高いTe蒸気が基板付近で残留し
てしまう。この状態で,原料Zn,p型ドーパント,原
料Seのシャッタを開けてp型ZnSe層を成膜する
と,基板付近に滞留している原料Teの蒸気が原料Zn
蒸気と原料Se蒸気に混入し,ZnSeTe膜という余
分な3元混晶化合物層が形成されてしまう。
【0016】このZnSeTe層がp型ZnTe層とp
型ZnSe層の間に形成されることによって,図5に示
すように,p型ZnSe層とp型ZnTe層の間のバン
ドギャップ変化が下側に凸形状となってしまう。このZ
nSeTe層が形成されたp型ZnTe/p型ZnSe
超格子層をp型コンタクト層として使用すると,p側電
極の接触抵抗が高抵抗化してしまうため,このp型コン
タクト層を採用した発光ダイオード,半導体レーザの立
ち上がり電圧が高くなるという問題があった。また,p
型キャリアがp型ZnTe層からp型ZnSe層に拡散
してしまうという問題もあった。
【0017】したがって,本発明は,従来技術が有する
上記のような問題点に鑑みてなされたものであり,各元
素の蒸気を基板上に照射して,2以上の元素から構成さ
れる第1の半導体層と,前記第1の半導体層と導電型が
同一でかつ2以上の元素から構成される第2の半導体層
を交互に積層する半導体層の形成方法において,第1の
半導体層と第2の半導体層の間で混晶が成長することを
防止し,直線的なバンドギャップ変化を有する半導体
層、半導体層の形成方法および半導体層を有する半導体
装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に,請求項1の記載の発明のように,各元素の蒸気を基
板上に照射して,2以上の元素から構成される第1の半
導体層を形成し更に前記第1の半導体層上に前記第1の
半導体層との共通元素を含む2以上の元素から構成され
る第2の半導体層を積層する,半導体層構造の形成方法
において,前記第2の半導体層を形成する前に,前記共
通元素を前記第1の半導体層上に照射する工程を有する
ことを特徴とする,半導体層構造の形成方法を提供す
る。
【0019】かかる構成によれば,第1の半導体層を形
成した後に,基板付近に滞留している蒸気圧の高い元素
を巻き込んで第1の半導体層と第2の半導体層との共通
成分が第1の半導体層上に照射されるので,第1の半導
体層上に第1の半導体層の成分に近い疑似層が形成さ
れ,第1の半導体層と第2の半導体層の間に不必要な混
晶の層が形成されることはない。
【0020】そして、このような方法によれば、請求項
3に記載の発明のように、少なくとも,2以上の元素か
ら構成される第1の半導体層上に前記第1の半導体層と
の共通元素を含む2以上の元素から構成される第2の半
導体層を積層した構成を有する,半導体層構造におい
て,前記第1の半導体層と前記第2の半導体層との境界
部分には、前記第1の半導体層側から前記第2の半導体
層側に近付くに連れて前記共通元素の濃度が上昇する擬
似層が形成されることを特徴とする,半導体層構造が提
供される。
【0021】かかる構成は、請求項1にかかる半導体層
構造の形成方法によって具現化でき,疑似層を形成する
作用によって第1の半導体層と第2の半導体層との非共
通成分の混晶を形成することなく半導体層構造の形成を
実施することが可能である。したがって,第1の半導体
層側から第2の半導体層側に向けてバンドギャップの値
が下に凸とならずに直線的なバンドギャップ変化をする
半導体層とすることができる。
【0022】また,請求項2に記載の発明のように,前
記第1の半導体層および第2の半導体層の成膜は,分子
線エピタキシ法でおこなわれることを含めれば,各種半
導体デバイスの製造工程において原料シャッタの開閉を
おこなうだけで,容易に第1の半導体層上に第1の半導
体層の成分に近い疑似層あるいは第2の半導体層上に第
2の半導体層の成分に近い疑似層を形成することがで
き,不必要な混晶層の形成を防止することができる。こ
の結果,複雑な工程を設けることなく簡単なシャッタの
操作をおこなうだけで,第1の半導体層側から第2の半
導体層側に向けてバンドギャップの値が下に凸となるこ
とを防止して,直線的なバンドギャップ変化を有する半
導体層を形成することができる。
【0023】また、請求項4に記載の発明のように、上
記のように形成された半導体層構造が、電極を形成する
ためのコンタクト層であることを含めれば、第1の半導
体層上あるいは第2の半導体層上に第1の半導体層の成
分に近い疑似第1の半導体層あるいは第2の半導体層の
成分に近い疑似第2の半導体層が形成され、第1の半導
体層の成分に近い疑似第1の半導体層あるいは第2の半
導体層の成分に近い疑似第2の半導体層上に、所望組成
の第2の半導体層あるいは第1の半導体層が形成される
ので、第1の半導体層側から第2の半導体層側に向けて
バンドギャップの値が下に凸とならずに直線的なバンド
ギャップ変化としたコンタクト層を得ることができる。
この結果、このコンタクト層上に電極を形成した場合
に、電極の接触抵抗の低減を図ることができる。
【0024】例えば、請求項5に記載の発明のように、
前記半導体層構造は、p型ZnSeバッファ層上にp型
ZnTe層とp型ZnSe層とが交互に積層されている
p型コンタクト層であって、前記第p型ZnTe層上の
前記p型ZnSe層の界面にはTe元素を含んだZn層
が形成され、前記第p型ZnSe層上の前記p型ZnT
e層の界面にはSe元素を含んだZn層が形成されてい
るコンタクト層であることを含めれば、p型ZnTe層
とp型ZnSe層との界面に、ZnSeTe層が形成さ
れることはないので、直線的なバンドギャップ変化を有
するp型ZnSe/p型ZnTeコンタクト層を得るこ
とができる。そして、このp型コンタクト層を青色ない
し緑色の発光可能なZnSe系発光ダイオードや半導体
にレーザに使用すれば、p側電極の接触抵抗を低減する
ことができ、発光ダイオードや半導体レーザの立ち上が
り電圧を低減することができる。
【0025】さらに、請求項6に記載の発明のように、
請求項3、請求項4、請求項5のいずれかに記載の半導
体層構造を含むことを特徴とする半導体装置を提供すれ
ば、第1の半導体層側から第2の半導体層側に向けてバ
ンドギャップの値が下に凸とならずに直線的なバンドギ
ャップ変化とした半導体層により、各種半導体装置に応
じたさまざまな特性の向上を図ることができる。例え
ば、請求項7に記載の発明のように、前記半導体装置が
発光素子であることを含めれば、発光ダイオードや半導
体レーザなどの発光素子の電極の接触抵抗を低減して発
光素子の立ち上がり電圧を低減することが可能になるな
ど、種々の半導体特性の向上を図ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態につい
て添付図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態にお
いては,本発明にかかる半導体層の形成方法が,発光ダ
イオードおよび半導体レーザのp型コンタクト層の形成
方法に適用されたものを例に説明をおこなう。
【0027】(第1の実施の形態)本実施形態において
は,レーザダイオードに適用したp型コンタクト層の形
成方法について,レーザダイオードの作製方法を含めて
図1に基づいて説明する。なお,本実施形態において
は,n型ドーパントとしてZnClを用い,p型ドー
パントとして活性窒素(N)を使用している。
【0028】まず,MBE装置内にGaAs基板4を所
定の位置にセットし,原料Zn,原料Te,原料Se,
p型ドーパントなどの必要な原料をそれぞれ所定の加熱
装置にセットして,成長室内を10−10Torr程度
の真空度にする。そして,GaAs基板4を所定温度に
加熱して表面酸化膜を除去した後,GaAs基板4の温
度を所定の温度まで下げる。このとき,原料Zn,原料
Te,原料Se,p型ドーパントは,シャッタが閉じた
状態で加熱されている。そして,原料Zn,原料Se,
n型ドーパントであるZnClのシャッタを開けてこ
れらの分子線をGaAs基板4に照射することによっ
て,図1に示すように,0.1μm程度の厚さのn型Z
nSe層5を成膜する。
【0029】次いで,同様の方法により,GaAs基板
4との格子不整合率が0.1%以下のn型ZnMgSS
eクラッド層6を0.9μm程度の厚さ成膜する。以下
同様に,n型ZnSe光閉じ込め層7を0.08μm,
ZnCdSe活性層8を50Å,p型ZnSe光閉じ込
め層9を0.08μm,GaAsとの格子不整合率が
0.1%以下のp型ZnMgSSeクラッド層10を
0.8μm,p型ZnSeコンタクト層11を0.1μ
m,順次積層する。
【0030】そして,図2に示すように,このp型Zn
Seコンタクト層11上に,p型ZnTe/p型ZnS
e型の多重量子井戸コンタクト層を積層する。まず,p
型ZnSeコンタクト層11に,Zn分子線のみを1秒
から10秒,望ましくは3秒間照射してZn層31を形
成する。このように,p型ZnSe層11,30を形成
した後,原料Seのシャッタを閉じて原料Teのシャッ
タを開く間に,Zn分子線のみを基板に照射することに
よって,基板上に滞留しているSe蒸気を巻き込んだZ
n層31を形成することができるので,ZnSeTe層
の混合層の形成を防止することができる。
【0031】次いで,このZn層31上にp型ZnTe
層32を形成する。そして,p型ZnTe層32を形成
した後,原料Znの分子線のみを1秒から10秒,望ま
しくは3秒間照射してp型ZnTe層32上にZn層3
1を形成する。このように,p型ZnTe層32を形成
した後,原料のTeシャッタを閉じて原料Seのシャッ
タを開く間に,Zn分子線のみを基板に照射することに
よって,基板上に滞留しているTe蒸気を巻き込んだZ
n層31を形成することができるので,ZnSeTe層
の混合層の形成を防止することができる。
【0032】このように,p型ZnSe層30またはp
型ZnTe層32の成長を開始する前に,1秒から10
秒,望ましくは3秒間,Zn分子線を基板上に照射する
ことによって,p型ZnSe層30とp型ZnTe層3
2の間に滞留蒸気を巻き込んだZn層31を形成するこ
とができる。この方法によれば,p型ZnSe層30ま
たはp型ZnTe層32の間にZnSeTe層の混合層
の形成を防止して,p型ZnSe層30とp型ZnTe
層32に近い組成のZn層31を形成させることができ
る。
【0033】さらに,このように作製したp型ZnSe
/p型ZnTe多重量子井戸コンタクト層12と多重量
子井戸コンタクト層12の周囲に形成したSi0絶縁
層13上にNiとAuを順次真空蒸着してp側電極14
を形成する。一方,GaAs基板4の裏面にはTiとA
uを順次真空蒸着して,n側電極15を形成する。そし
て,この基板を劈開してすることによって,半導体レー
ザ素子を作製することができる。
【0034】このように作製された半導体レーザは,G
aAs基板4上にn型ZnSe層5,n型ZnMgSS
eクラッド層6,n型ZnSe光閉じ込め層7,ZnC
dSe活性層8,p型ZnSe光閉じ込め層9,p型Z
nMgSSeクラッド層10,p型ZnSeコンタクト
層11から構成されている。さらに,p型ZnSeコン
タクト層11上には,p型ZnTe層32とp型ZnS
e層30が交互に形成され,p型ZnTe層32とp型
ZnSe層30の間にはZn層31が形成される構造を
有しており,p側電極14が形成される。
【0035】この方法によれば,蒸気圧の高い原料蒸気
が基板付近に残留していても,p型ZnSe層30やp
型ZnTe層32の成長膜に混入することがないのでZ
nSeTe層が形成されることはない。また,p型Zn
Te層32とp型ZnSe層30の間には各層の共通成
分であるZn層31が形成されているので,p型ZnS
e層30とp型ZnTe層32の間で直線的なバンドギ
ャップ変化のp型コンタクト層を作製することができ
る。この結果,立ち上がり電圧を低減したZnSe系半
導体レーザを提供することができる。
【0036】(第2の実施の形態)第1の実施の形態に
おいては,本発明にかかるp型コンタクト層を半導体レ
ーザに採用しているが,発光ダイオードに採用すること
も可能である。以下,本発明にかかるp型コンタクト層
を採用した発光ダイオードの作製方法について図2に基
づいて説明する。なお,本実施形態においては,n型ド
ーパントとしてZnClを用い,p型ドーパントとし
て活性窒素(N)を使用している。
【0037】まず,MBE装置内にGaAs基板16を
所定の位置にセットし,原料Zn,原料Te,原料S
e,p型ドーパントなどの必要な原料をそれぞれ所定の
加熱装置にセットして,成長室内を10−10Torr
程度の真空度にする。そして,GaAs基板16を所定
温度に加熱して表面酸化膜を除去した後,GaAs基板
16の温度を所定の温度まで下げる。このとき,原料Z
n,原料Te,原料Se,p型ドーパントは,シャッタ
が閉じた状態で加熱されている。そして,原料Zn,原
料Se,n型ドーパントであるZnCl2のシャッタを
開けてこれらの分子線をGaAs基板16に照射するこ
とによって,図3に示すように,0.1μm程度の厚さ
のn型ZnSeクラッド層17を成膜する。次いで,同
様の方法により,ZnCdSe活性層18,p型ZnS
eクラッド層19を積層する。
【0038】そして,このp型ZnSeクラッド層19
上に,p型ZnTe/p型ZnSe型の多重量子井戸コ
ンタクト層を積層する。まず,p型ZnSeクラッド層
19に,Zn分子線のみを1秒から10秒,望ましくは
3秒間照射してZn層31を形成する。このように,p
型ZnSe層19,30を形成した後,原料Seのシャ
ッタを閉じて原料Teのシャッタを開く間に,Zn分子
線のみを基板に照射することによって,基板上に滞留し
ているSe蒸気を巻き込んだZn層31を形成すること
ができるので,ZnSeTe層の混合層を形成を防止す
ることができる。
【0039】次いで,このZn層31上にp型ZnTe
層32を形成する。そして,p型ZnTe層32を形成
した後,原料Znの分子線のみを1秒から10秒,望ま
しくは3秒間照射してp型ZnTe層32上にZn層3
1を形成する。このように,p型ZnTe層32を形成
した後,原料のTeシャッタを閉じて原料Seのシャッ
タを開く間に,Zn分子線のみを基板に照射することに
よって,基板上に滞留しているTe蒸気を巻き込んだZ
n層31を形成することができるので,ZnSeTe層
の混合層の形成を防止することができる。
【0040】このように,p型ZnSe層30またはp
型ZnTe層32の成長を開始する前に,1秒から10
秒,望ましくは3秒間,Zn分子線を基板上に照射する
ことによって,p型ZnSe層30とp型ZnTe層3
2の間に滞留蒸気を巻き込んだZn層31を形成するこ
とができる。この方法によれば,p型ZnSe層30ま
たはp型ZnTe層32の間にZnSeTe層の混合層
の形成を防止して,p型ZnSe層30とp型ZnTe
層32に近い組成のZn層31を形成させることができ
る。
【0041】さらに,このように作製したp型ZnSe
/p型ZnTe多重量子井戸コンタクト層20と多重量
子井戸コンタクト層20の周囲に形成したSi0絶縁
層21上にNiとAuを順次真空蒸着してp側電極22
を形成する。一方,GaAs基板16の裏面にはTiと
Auを順次真空蒸着して,n側電極23を形成する。こ
のようにして発光ダイオードを作製することができる。
【0042】このように作製された発光ダイオードは,
GaAs基板16上にn型ZnSeクラッド層17,Z
nCdSe活性層18およびp型ZnSeクラッド層1
9から構成されている。さらに,p型ZnSeクラッド
層19上には,p型ZnTe層32とp型ZnSe層3
0が交互に形成され,p型ZnTe層32とp型ZnS
e層30の間にはZn層31が形成される構造を有して
おり,p側電極22が形成される。
【0043】この方法によれば,蒸気圧の高い原料蒸気
が基板付近に残留していても,p型ZnSe層やp型Z
nTe層の成長膜に混入することがないのでZnSeT
e層が形成されることはない。また,p型ZnTe層と
p型ZnSe層の間には各層の共通成分であるZn層が
形成されているので,p型ZnSe層とp型ZnTe層
の間で直線的なバンドギャップ変化のp型コンタクト層
を作製することができる。この結果,立ち上がり電圧を
低減したZnSe系発光ダイオードを提供することがで
きる。
【0044】(第3の実施の形態)第1の実施形態にお
いては,GaAs基板上にp型コンタクト層を積層して
半導体レーザを作製しているが,ZnSe基板上に半導
体層を積層することによっても実施することができる。
以下,本実施形態にかかる半導体レーザの作製方法につ
いて説明する。なお,本実施形態においては,n型ドー
パントとしてZnClを用い,p型ドーパントとして
活性窒素(N)を使用している。
【0045】まず,鏡面研磨をしたZnSe基板4を,
重クロム酸カリウム,硝酸,水の混合溶液を用いて温度
40℃から95℃望ましくは60℃の温度で,1分から
15分望ましくは3分間のエッチングをおこない,Zn
Se基板4表面の加工変質層を除去する。
【0046】そして,MBE装置内にZnSe基板4を
所定の位置にセットし,原料Zn,原料Te,原料S
e,p型ドーパントなどの必要な原料をそれぞれ所定の
加熱装置にセットして,成長室内を10−10Torr
程度の真空度にする。そして,ZnSe基板4を350
℃の温度で加熱しながら,水素1〜10%ヘリウム99
〜90%混合ガス望ましくは水素4%,ヘリウム96%
混合ガスのプラズマを250Wの出力で20分間照射し
て,ZnSe基板4表面の酸化膜を除去する。ZnSe
基板4の表面の酸化膜を除去したら,ZnSe基板4の
温度を200℃〜350℃の温度,望ましくは280℃
の温度に下げる。
【0047】このとき,原料Zn,原料Te,原料S
e,p型ドーパントは,シャッタが閉じた状態で加熱さ
れている。そして,原料Zn,原料Se,n型ドーパン
トであるZnCl2のシャッタを開けてこれらの分子線
をZnSe基板4に照射することによって,0.1μm
程度の厚さのn型ZnSe層5を成長させる。
【0048】以下,第1の実施の形態と同様に,n型Z
nSe層5上にZnSe基板4との格子不整合率が0.
1%以下のn型ZnMgSSeクラッド層6を0.9μ
m程度の厚さに成長させた後,n型ZnSe光閉じ込め
層7を0.08μm,ZnCdSe活性層8を50Å,
p型ZnSe光閉じ込め層9を0.08μm,ZnSe
との格子不整合率が0.1%以下のp型ZnMgSSe
クラッド層10を0.8μm,p型ZnSeコンタクト
層11を0.1μmだけ順次積層する。
【0049】さらに,同様に,このp型ZnSeコンタ
クト層11上に,p型ZnTe/p型ZnSe型の多重
量子井戸コンタクト層を積層し,多重量子井戸コンタク
ト層12の周囲に形成したSi02絶縁層13上にNi
とAuを順次真空蒸着してp側電極14を形成する。一
方,ZnSe基板4の裏面にはTiとAuを順次真空蒸
着して,n側電極15を形成する。そして,この基板を
劈開してすることによって,半導体レーザ素子を作製す
ることができる。
【0050】このように,ZnSe基板上にZnSe系
半導体レーザを作製すれば,格子不整合などの問題点が
GaAs基板よりも少なくなるので,より立ち上がり電
圧が低減したZnSe系半導体レーザを提供することが
できる。
【0051】(第4の実施の形態)第2の実施形態にお
いては,GaAs基板上にp型コンタクト層を積層して
発光ダイオードを作製しているが,ZnSe基板上に半
導体層を形成することによっても実施することができ
る。以下,本実施形態にかかる発光ダイオードの作製方
法について説明する。なお,本実施形態においては,n
型ドーパントとしてZnClを用い,p型ドーパント
として活性窒素(N)を使用している。
【0052】まず,鏡面研磨をしたZnSe単結晶基板
16を,重クロム酸カリウム,硝酸,水の混合溶液を用
いて温度40℃から95℃望ましくは60℃の温度で,
1分から15分望ましくは3分間のエッチングをおこな
い,ZnSe基板16の表面の加工変質層を除去する。
【0053】そして,MBE装置内にZnSe基板16
を所定の位置にセットし,原料Zn,原料Te,原料S
e,p型ドーパントなどの必要な原料をそれぞれ所定の
加熱装置にセットして,成長室内を10−10Torr
程度の真空度にする。そして,ZnSe基板16を35
0℃の温度で加熱しながら,水素1〜10%ヘリウム9
9〜90%混合ガス望ましくは水素4%,ヘリウム96
%混合ガスのプラズマを250Wの出力で20分間照射
して,ZnSe基板16表面の酸化膜を除去する。Zn
Se基板16の表面の酸化膜を除去したら,ZnSe基
板16の温度を200℃〜350℃の温度,望ましくは
280℃の温度に下げる。
【0054】このとき,原料Zn,原料Te,原料S
e,p型ドーパントは,シャッタが閉じた状態で加熱さ
れている。そして,原料Zn,原料Se,n型ドーパン
トであるZnClのシャッタを開けてこれらの分子線
をZnSe基板16に照射することによって,0.1μ
m程度の厚さのn型ZnSeクラッド層17を成膜す
る。次いで,同様の方法により,ZnCdSe活性層1
8,p型ZnSeクラッド層19を積層する。
【0055】以下,第2の実施の形態と同様に,このp
型ZnSeクラッド層19上に,p型ZnTe/p型Z
nSe型の多重量子井戸コンタクト層20を積層する。
そして,この多重量子井戸コンタクト層20の周囲に形
成したSi0絶縁層21上にNiとAuを順次真空蒸
着してp側電極22を形成する。一方,ZnSe基板1
6の裏面にはTiとAuを順次真空蒸着して,n側電極
23を形成する。このようにして発光ダイオードを作製
することができる。
【0056】このように,ZnSe基板上にZnSe系
発光ダイオードを作製すれば,格子不整合などの問題点
がGaAs基板よりも少なくなるので,より立ち上がり
電圧が低減したZnSe系発光ダイオードを提供するこ
とができる。
【0057】(第1実施例)上記第1の実施形態に基づ
いて,半導体レーザを作製して,半導体レーザの立ち上
がり電圧を測定したので,その結果について説明する。
【0058】MBE装置にセットしたGaAs基板を5
80℃の温度で表面酸化膜を除去した後,基板温度を2
80℃に下げ,成長室内の真空度が1×10−10To
rrの条件で,Zn,SeおよびZnClの分子線を
照射して,n型ZnSe層を0.1μm積層した。次い
で,同様の条件で,GaAs基板との格子不整合率が
0.1%以下のn型ZnMgSSeクラッド層を0.9
μm,n型ZnSe光閉じ込め層を0.08μm,Zn
CdSe活性層を50Å,p型ZnSe光閉じ込め層を
0.08μm,GaAsとの格子不整合率が0.1%以
下のp型ZnMgSSeクラッド層を0.8μm,p型
ZnSeコンタクト層を0.1μm順次積層した。
【0059】さらに,p型ZnSeコンタクト層上に,
p型ZnTe層とp型ZnSe層を交互に積層する間に
Zn分子線のみを3秒間照射して,p型ZnTe層とp
型ZnSe層との間にZn層を有する総計0.05μm
の多重量子井戸コンタクト層を作製した。
【0060】そして,多重量子井戸コンタクト層の周囲
にSi0絶縁層を形成し,この2つの層上にNiとA
uを順次真空蒸着してp側電極とした。また,GaAs
基板の裏面にTiとAuを順次真空蒸着してn側電極と
した。そして,この基板をへき開することによって,共
振器長が1000μmである利得導波型半導体レーザを
作製した。
【0061】このように作製した半導体レーザの立ち上
がり電圧を測定したところ,5.9(V)であった。
【0062】(第2実施例)上記第2の実施形態に基づ
いて,発光ダイオードを作製して,発光ダイオードの立
ち上がり電圧を測定したので,その結果について説明す
る。
【0063】MBE装置にセットしたGaAs基板を5
80℃の温度で表面酸化膜を除去した後,基板温度を2
80℃に下げ,成長室内の真空度を1×10−10To
rrの条件で,Zn,SeおよびZnCl2の分子線を
照射して,n型ZnSeクラッド層を0.1μm積層し
た。次いで,同様の条件で,ZnCdSe活性層および
p型ZnSeクラッド層を順次積層した。
【0064】さらに,p型ZnSeクラッド層上に,p
型ZnTe層とp型ZnSe層を交互に積層する間にZ
n分子線のみを3秒間照射して,p型ZnTe層とp型
ZnSe層との間にZn層を有する総計0.05μmの
多重量子井戸コンタクト層を作製した。
【0065】そして,多重量子井戸コンタクト層の周囲
にSi02絶縁層を形成し,この2つの層上にNiとA
uを順次真空蒸着してp側電極とした。また,GaAs
基板の裏面にTiとAuを順次真空蒸着してn側電極と
して,発光ダイオードを作製した。
【0066】このように作製した発光ダイオードの立ち
上がり電圧を測定したところ,5.5(V)であった。
【0067】(第3実施例)上記第3の実施形態に基づ
いて,半導体レーザを作製して,半導体レーザの立ち上
がり電圧を測定したので,その結果について説明する。
【0068】鏡面研磨をしたZnSe単結晶基板を,重
クロム酸カリウム,硝酸,水の混合溶液を用いて60℃
の温度で3分間エッチングおこなって,ZnSe基板の
表面の加工変質層を除去した。なお,このときのZnS
e基板の表面の転位密度は5×l03〜2×l04cm
−2であった。そして,このZnSe基板をMBE装置
にセットし,350℃の温度で水素4%,ヘリウム96
%混合ガスのプラズマを250Wの出力で20分間照射
して,ZnSe基板の表面の酸化膜を除去した。
【0069】その後,ZnSe基板の温度を280℃に
下げ,成長室内の真空度が10−1 Torrの条件で
Zn,SeおよびZnCl2の分子線を照射して,n型
ZnSe層を0.1μm積層した。以下,第1実施例と
同様に,ZnSeとの格子不整合率が0.1%以下のn
型ZnMgSSeクラッド層を0.9μm,n型ZnS
e光閉じ込め層を0.08μm,ZnCdSe活性層を
50Å,p型ZnSe光閉じ込め層を0.08μm,Z
nSeとの格子不整合率が0.1%以下のp型ZnMg
SSeクラッド層を0.8μm,p型ZnSeコンタク
ト層を0.1μm積層した。
【0070】さらに,p型ZnSeコンタクト層上に,
p型ZnTe層とp型ZnSe層を交互に積層する間に
Zn分子線のみを3秒間照射して,p型ZnTe層とp
型ZnSe層との間にZn層を有する総計0.05μm
の多重量子井戸コンタクト層を作製した。
【0071】そして,多重量子井戸コンタクト層の周囲
にSi0絶縁層を形成し,この2つの層上にNiとA
uを順次真空蒸着してp側電極とした。また,ZnSe
基板の裏面にTiとAuを順次真空蒸着してn側電極と
した。そして,この基板をへき開することによって,共
振器長が1000μmである利得導波型半導体レーザを
作製した。
【0072】このように作製した半導体レーザの立ち上
がり電圧を測定したところ,5.0(V)であった。
【0073】(第4実施例)上記第4の実施形態に基づ
いて,発光ダイオードを作製して,発光ダイオードの立
ち上がり電圧を測定したので,その結果について説明す
る。
【0074】鏡面研磨をしたZnSe単結晶基板を,重
クロム酸カリウム,硝酸,水の混合溶液を用いて60℃
の温度で3分間エッチングおこなって,ZnSe基板の
表面の加工変質層を除去した。なお,このときのZnS
e基板表面の転位密度は5×l03〜2×l04cm
−2であった。そして,このZnSe基板をMBE装置
にセットし,350℃の温度で水素4%,ヘリウム96
%混合ガスのプラズマを250Wの出力で20分間照射
して,ZnSe基板表面の酸化膜を除去した。
【0075】その後,ZnSe基板の温度を280℃に
下げ,成長室内の真空度が10−1 Torrの条件で
Zn,SeおよびZnCl2の分子線を照射して,n型
ZnSeクラッド層を0.1μm積層した。以下,第2
実施例と同様に,ZnCdSe活性層およびp型ZnS
eクラッド層を順次積層した。
【0076】さらに,p型ZnSeクラッド層上に,p
型ZnTe層とp型ZnSe層を交互に積層する間にZ
n分子線のみを3秒間照射して,p型ZnTe層とp型
ZnSe層との間にZn層を有する総計0.05μmの
多重量子井戸コンタクト層を作製した。
【0077】そして,多重量子井戸コンタクト層の周囲
にSi02絶縁層を形成し,この2つの層上にNiとA
uを順次真空蒸着してp側電極とした。また,ZnSe
基板の裏面にTiとAuを順次真空蒸着してn側電極と
して,発光ダイオードを作製した。
【0078】このように作製した半導体LEDの立ち上
がり電圧を測定したところ,4.7(V)であった。
【0079】(第1比較例)p型多重量子井戸コンタク
ト層のp型ZnTe層とp型ZnSe層との間に,Zn
分子線を照射せずZn層を形成しなかったこと以外は,
第1実施例と同様の条件で半導体レーザを作製した。
【0080】このように作製した半導体レーザの立ち上
がり電圧を測定したところ,7.4Vであった。
【0081】(第2比較例)p型多重量子井戸コンタク
ト層のp型ZnTe層とp型ZnSe層との間に,Zn
分子線を照射せずZn層を形成しなかったこと以外は,
第2実施例と同様の条件で発光ダイオードを作製した。
【0082】このように作製した発光ダイオードの立ち
上がり電圧を測定したところ,7.0Vであった。
【0083】(第3比較例)p型多重量子井戸コンタク
ト層のp型ZnTe層とp型ZnSe層との間に,Zn
分子線を照射せずZn層を形成しなかったこと以外は,
第3実施例と同様の条件で半導体レーザを作製した。
【0084】このように作製した半導体レーザの立ち上
がり電圧を測定したところ,8.0Vであった。
【0085】(第4比較例)p型多重量子井戸コンタク
ト層のp型ZnTe層とp型ZnSe層との間に,Zn
分子線を照射せずZn層を形成しなかったこと以外は,
第4実施例と同様の条件で発光ダイオードを作製した。
【0086】このように作製した発光ダイオードの立ち
上がり電圧を測定したところ,7.5Vであった。
【0087】上記実施例および比較例で作製した半導体
レーザおよび発光ダイオードの立ち上がり電圧を測定し
た結果を,図4に示す。この結果によれば,多重量子井
戸コンタクト層において,p型ZnTe層とp型ZnS
e層を積層するの間にZn分子線を照射してZn層を形
成した場合には,半導体レーザおよび発光ダイオードの
立ち上がり電圧が低下していることがわかる。このよう
に,半導体レーザおよび発光ダイオードの立ち上がり電
圧が低下すると,半導体レーザおよび発光ダイオードの
発熱量を抑えることができるので寿命が大幅に長くな
る。
【0088】また,多重量子井戸コンタクト層におい
て,p型ZnTe層とp型ZnSe層を積層するの間に
Zn分子線を照射してZn層を形成した場合において,
p型ZnSe層側からp型ZnTe層側に向けてのバン
ドギャップ変化を測定したところ,±1%以内の誤差で
ほぼ直線に近似できることを確認した。このように,バ
ンドギャップが異なる層を接合する場合であっても,バ
ンドギャップが直線的に変化するコンタクト層を得るこ
とができる。
【0089】本実施形態は,以上のように構成されてお
り,p型ZnSe層とp型ZnTeの間にZnSeTe
層が形成されることはないので,直線的なバンドギャッ
プ変化を有するp型ZnSe/p型ZnTeコンタクト
層を形成することができる。この結果,p側電極の接触
抵抗を低減させることができ,さらに,青色ないし緑色
の発光可能なZnSe系発光ダイオードや半導体レーザ
の立ち上がり電圧を低減することができる。
【0090】以上,添付図面を参照しながら本発明にか
かる半導体層の形成方法の好適な実施形態について説明
したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であ
れば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内
において各種の変更例または修正例に想到することは明
らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範
囲に属するものと了解される。
【0091】例えば,上記実施の形態においては,MB
E法で半導体層を形成する構成を例に挙げて説明した
が,本発明はかかる例に限定されるものではなく,各元
素の蒸気を基板上に照射して,2以上の元素から構成さ
れる第1の半導体層と,前記第1の半導体層と導電型が
同一でかつ2以上の元素から構成される第2の半導体層
を交互に形成する方法であれば,CVD法など他の方法
においても実施することができる。
【0092】また,上記実施の形態においては,p型半
導体層を交互に積層する構成を例に挙げて説明したが,
本発明はかかる例に限定されるものではなく,n型半導
体層を交互に積層する場合であっても実施することがで
きる。
【0093】また,上記実施の形態においては,半導体
層を交互に積層したコンタクト層を採用した構成を例に
挙げて説明したが,本発明はかかる例に限定されるもの
ではなく,コンタクト層以外の半導体層においても実施
することができる。
【0094】また,上記実施の形態においては,ZnS
e系半導体装置のコンタクト層を採用した構成を例に挙
げて説明したが,本発明はかかる例に限定されるもので
はなく,他の化合物系の半導体装置に適用しても実施す
ることができる。
【0095】また,上記実施の形態においては,コンタ
クト層を半導体レーザおよび発光ダイオードに適用した
構成を例に挙げて説明したが,本発明はかかる例に限定
されるものではなく,他の半導体装置に適用しても実施
することができる。
【0096】また,上記実施の形態においては,ZnM
gSSeクラッド層,ZnSeクラッド層,ZnCdS
e活性層などを採用し,また,各層の厚さについて具体
的な数値を挙げて説明したが,本発明はかかる例に限定
されるものではなく,半導体レーザや発光素子の設計に
応じて,半導体素子の構成,各層の組成および厚さ,ド
ーパント材料および添加量などを適宜設定することがで
きる。
【0097】
【発明の効果】第1の半導体層から第2の半導体層の成
長に移る間に不必要な混晶の成長を抑制することができ
る。これにより第1の半導体層側から第2の半導体層側
に向けてバンドギャップの値が下に凸となることを防止
して,直線的なバンドギャップ変化を有するp型コンタ
クト層を得ることができる。この結果,p側電極の接触
抵抗を低減させることができ,半導体レーザや発光ダイ
オードの立ち上がり電圧を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態にかかるp型コンタクト層を適用し
た半導体レーザの構造を示した説明図である。
【図2】本実施形態にかかるp型コンタクト層の構造を
示した説明図である。
【図3】本実施形態にかかるp型コンタクト層を適用し
た発光ダイオードの構造を示した説明図である。
【図4】本実施形態にかかる方法および従来の方法で作
製した発光素子の立ち上がり電圧を示した図表である。
【図5】従来におけるp型ZnSe層とp型ZnTe層
間のバンドギャップ変化を示した説明図である。
【符号の説明】 4,16 基板 5,7,17, n型ZnSe層(ZnClドープ) 6 n型ZnMgSSe層(ZnClドープ) 8,18 ZnCdSe層 9,11,19,30 p型ZnSe層(Nドープ) 10 p型ZnMgSSe層(Nドープ) 12,20 多量子井戸コンタクト層 13,20 SiO絶縁膜 14,22 p側電極 15,23 n側電極 31 Zn層 32 p型ZnTe層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐川 徹 東京都千代田区丸の内1−8−2 同和鉱 業株式会社内 (72)発明者 田中 理子 東京都千代田区丸の内1−8−2 同和鉱 業株式会社内 Fターム(参考) 4G075 AA24 BC01 BC05 CA39 CA65 5F041 AA21 CA04 CA41 CA43 CA55 CA58 CA66 CA85 CA91 5F073 AA04 AA45 AA61 AA71 CA22 CB10 CB19 DA06 EA29 5F103 AA04 BB08 BB16 DD23 DD30 HH10 JJ01 JJ03 KK10 LL02 LL03 LL17 NN01 NN03 PP01 PP06 RR05 RR10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各元素の蒸気を基板上に照射して,2以
    上の元素から構成される第1の半導体層を形成し更に前
    記第1の半導体層上に前記第1の半導体層との共通元素
    を含む2以上の元素から構成される第2の半導体層を積
    層する,半導体層構造の形成方法において,前記第2の
    半導体層を形成する前に,前記共通元素を前記第1の半
    導体層上に照射する工程を有することを特徴とする,半
    導体層構造の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の半導体層および第2の半導体
    層の形成は,分子線エピタキシ法でおこなうことを特徴
    とする,請求項1に記載の半導体層構造の形成方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも,2以上の元素から構成され
    る第1の半導体層上に前記第1の半導体層との共通元素
    を含む2以上の元素から構成される第2の半導体層を積
    層した構成を有する,半導体層構造において,前記第1
    の半導体層と前記第2の半導体層との境界部分には、前
    記第1の半導体層側から前記第2の半導体層側に近付く
    に連れて前記共通元素の濃度が上昇する擬似層が形成さ
    れることを特徴とする,半導体層構造。
  4. 【請求項4】 前記半導体層は、電極を形成するための
    コンタクト層であることを特徴とする,請求項3に記載
    の半導体層構造。
  5. 【請求項5】 前記半導体層構造は、p型ZnSeバッ
    ファ層上にp型ZnTe層とp型ZnSe層が交互に積
    層されているp型コンタクト層であって、前記第p型Z
    nTe層上の前記p型ZnSe層の界面にはTe元素を
    含んだZn層が形成され、前記第p型ZnSe層上の前
    記p型ZnTe層の界面にはSe元素を含んだZn層が
    形成されていることを特徴とする,請求項3または4に
    記載の半導体層構造。
  6. 【請求項6】 請求項3、請求項4、請求項5のいずれ
    かに記載の半導体層構造を含むことを特徴とする,半導
    体装置。
  7. 【請求項7】 前記半導体装置が発光素子であることを
    特徴とする,請求項6に記載の半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007036300A (ja) * 2006-11-13 2007-02-08 Sumitomo Electric Ind Ltd 半導体光素子、およびコンタクトを形成する方法

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