JP2000044820A - 高減衰材料組成物 - Google Patents

高減衰材料組成物

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JP2000044820A JP21739898A JP21739898A JP2000044820A JP 2000044820 A JP2000044820 A JP 2000044820A JP 21739898 A JP21739898 A JP 21739898A JP 21739898 A JP21739898 A JP 21739898A JP 2000044820 A JP2000044820 A JP 2000044820A
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武史 野村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高いtanδを発現し、経時変化が少ない高減
衰材料組成物を提供すること。 【解決手段】塩基性の極性側鎖を有するアクリル系等の
ベースポリマーに減衰性付与剤として分子量が500〜
2000の範囲にあるヒンダードアミン系化合物を配合
する。得られる高減衰材料組成物は、ベースポリマーと
減衰性付与剤がうまく絡み合うことから高いtanδを
安定して発現し、しかも経時変化によるtanδの低下
率が少なく、室温環境を中心とした温度領域で減衰性能
を有するものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高減衰材料組成物
に関し、更に詳しくは、音響ルームの遮音壁、建築構造
体の遮音間仕切り、車両の防音壁等に適用される振動や
騒音を吸収する制振材・防音材としての高減衰材料組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の高減衰材料組成物としての高分
子系材料は、典型的な粘弾性挙動を呈するものであり、
その材料微小部が何等かの原因で振動すると、夫々の材
料微小部に、複素正弦歪(ε)が発生し、これにより
複素正弦応力(σ)が発生する。複素弾性係数
(E)は、次式に示したように、これらの比をとった
ものである。 複素弾性係数(E)=複素正弦応力(σ)/複素正
弦歪(ε
【0003】この複素弾性係数(E)の実数部は、材
料の弾性的な性質に係る貯蔵弾性係数(E’)と定義さ
れ、その虚数部は、材料の粘性的な性質に係る損失弾性
係数(E”)と定義される。損失正接(tanδ)は、
次式に示したように、これらの比をとったものである。 損失正接(tanδ)=損失弾性係数(E”)/貯蔵弾
性係数(E’)
【0004】この損失正接(以下、単に「tanδ」と
する。)は、防音・制振特性を決定する因子の一つであ
り、この値が高いほど力学的エネルギーを電気或いは熱
エネルギーとして吸収・放出して、優れた吸音性や制振
性等の機械特性を示すことが知られている。従来、高減
衰材料組成物のtanδとして求められていた値は、
0.5以上である。
【0005】この従来の要求特性を満たした高減衰材料
組成物として、例えば、高分子系複合材料が知られてい
る。この高分子系複合材料はポリマーアロイ或いは高分
子網目構造(IPN技術)を有する高分子化合物をベー
スポリマーとしており、これに充填剤(マイカ等)や可
塑剤を添加し、所定の製造工程を経て得られたものであ
る。この場合に、ベースポリマーとしては各種ゴム、高
分子樹脂材料の他に、エラストマー樹脂材料等が用いら
れている。
【0006】また、他の高減衰材料としては、本出願人
により特願平9−362125号に開示されたもので、
酸性の極性側鎖を有するベースポリマーに、第2級アミ
ン、第3級アミン及び含窒素複素環より選ばれた塩基を
1分子中に2個以上含む塩基性物質を配合したものがあ
る。具体的には、ベースポリマーとして塩素化ポリエチ
レンが、減衰性付与剤としては、N−シクロヘキシルベ
ンゾチアジル−2−スルフェンアミド等が用いられ、t
anδピークが1.0を超えており、一応の成果が得ら
れている。
【0007】上述した塩素化ポリエチレン等の酸性の極
性側鎖を有するベースポリマーの側鎖には、特に塩素を
中心としたハロゲンを有するものが多く使用されてお
り、これらを用いて合成した材料を使用・廃棄等する際
には環境に与える影響が大きくなることから問題視され
ている。
【0008】そこで、本出願人は、従来とは異なった観
点からの材料設計として、塩基性の極性側鎖を有するベ
ースポリマーに、ヒンダードフェノール系化合物等の減
衰性付与剤を配合したものを提唱している。この塩基性
の極性側鎖を有するベースポリマーに減衰性付与剤を配
合したものは、環境に与える影響が少ないばかりでな
く、酸性の極性側鎖を有するベースポリマーを用いた材
料よりも、高いtanδを発現するものとなっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た酸性の極性側鎖を有するベースポリマーを用いた高減
衰材料組成物は、従来の要求特性(tanδ≧0.5)
を超える値を発現するものもあるが、経時的変化により
tanδが低下してしまうものとなっている。
【0010】上述の経時的変化とは、配合されている減
衰性付与剤がブリード現象(染み出し)を起こしたり、
結晶として析出したりすることによって、tanδが著
しく低下してしまうというものである。
【0011】高減衰材料組成物が高い減衰性を発揮でき
るのは、ベースポリマーと減衰性付与剤との間に働く相
互作用によるものであるが、この相互作用を長期にわた
って維持させるためには、ベースポリマー中に減衰性付
与剤を均一に分散させ、しかもその均一な分散を長期に
わたって維持させる必要がある。
【0012】しかしながら、上述した従来から知られる
減衰材料においては配合されている減衰性付与剤が均一
に分散していない。図1に示すように、減衰性付与剤を
ベースポリマーの中にうまく均一に分散させることがで
きれば、長期にわたってベースポリマーと減衰性付与剤
との間に働く相互作用を得られるものとなるが、従来の
減衰材料ではこうした材料設計が実現できていない。
【0013】図2に示したグラフから分かるとおり、配
合する減衰性付与剤の分子量が小さいと成形直後の減衰
性は高い(tanδが高い)ものの、経時的変化による
tanδの低下が大きく(tanδ保持率が小さく)な
ってしまう。これは成形直後においては低分子の減衰性
付与剤がベースポリマー中に均一に分散しやすいが、一
方で低分子の運動及び高分子のセグメント運動により、
低分子と高分子との相分離が起こり、結晶化したり、表
面へ拡散しブリードしたりする。
【0014】また、配合する減衰性付与剤の分子量が大
きい場合、減衰性付与剤がベースポリマーの中に均一に
分散しにくいため減衰性が小さなものとなっているが、
分子量が大きいことから減衰性付与剤が流動しにくくな
っているため経時変化は少ないものとなっている。
【0015】本発明の解決しようとする課題は、塩基性
の極性側鎖を有するベースポリマーに配合する減衰性付
与剤の分子量を適切にすることにより、高い減衰特性
(tanδ)を発現し、しかも経時的変化の少ない高減
衰材料組成物を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の高減衰材料組成物は、塩基性の極性側鎖を有
するベースポリマーが、ヒンダードアミン系化合物より
選ばれた1種又は2種以上の減衰性付与剤を含有するこ
とを要旨とするものである。
【0017】この場合に、「塩基性の極性側鎖を有する
ベースポリマー」としては、アクリル系、メタクリル
系、エチレン−アクリル系共重合体、ポリ酢酸ビニル及
びその共重合体より選ばれた1種又は2種以上を配合し
たものが好適なものとして挙げられる。
【0018】そして、「減衰性付与剤」としては、ヒン
ダードアミン系化合物が挙げられ、「ヒンダードアミン
系化合物」の好適なものの一例として、1,2,3,4
−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テト
ラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサ
スピロ[5.5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物
等が挙げられる。この化合物の縮合の割合は特に限定さ
れるものではない。
【0019】そして、上記減衰性付与剤として用いたヒ
ンダードアミン系化合物の好適な分子量としては500
〜2000の範囲であり、更に好ましくは、800〜1
500の範囲が望ましい。ここで、分子量が2000を
超えると、減衰性付与剤がベースポリマーの中にうまく
均一に分散できないことから高いtanδを得られな
い。また逆に、500以下だと減衰性付与剤がベースポ
リマー中に長期にわたって均一に分散することが困難に
なり、経時変化してしまう。この減衰性付与剤の選択に
おいて、当初からこの範囲にある減衰性付与剤を選択す
る手段を用いても良いが、実際にはこの範囲より小さい
分子量の減衰性付与剤をオリゴマー化することによりそ
の分子量を好適な範囲にして用いた方が選択の幅が広が
り、より好適なものを選択しやすい。
【0020】更にまた、ベースポリマーには必要に応じ
て、以下に掲げる種々の材料を添加することができる。
その材料としては、まず、硬度、強度或いは加工性の向
上、若しくは重量化等を図る場合に添加する充填剤が挙
げられる。その充填剤としては、マイカ、タルク、クレ
ー或いは炭酸カルシウム等の無機微粉末、若しくはセル
ロース粉末等の有機微粉末等が好適なものとして挙げら
れる。
【0021】また、ベースポリマーに添加できる別の材
料としては、tanδピーク温度の広域化を図る場合に
添加する非結晶性樹脂が挙げられる。その非結晶性樹脂
としてはクマロン樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、
ジシクロペンタジエン樹脂、マレイン酸樹脂、エステル
化ロジン、エポキシ樹脂、尿素樹脂或いはメラミン樹脂
等が好適なものとして挙げられる。
【0022】更に、ベースポリマーに添加できる別の材
料としては、着色剤(顔料、染料)、光沢剤、老化防止
剤、粘着付与剤、難燃剤、発泡剤、発砲助剤、加工助
剤、オゾン劣化防止剤、ブロッキング防止剤、耐候剤、
耐熱剤、架橋剤、架橋助剤、加硫剤、分散剤、相溶化
剤、界面活性剤、帯電防止剤或いは滑剤等が好適なもの
として挙げられる。
【0023】上記構成を有する高減衰材料組成物は、塩
基性の極性側鎖を有するベースポリマーが、減衰性付与
剤として適切な分子量を有するヒンダードアミン系化合
物を含有するようにしたことにより、減衰性付与剤がベ
ースポリマー中に均一に分散し、ベースポリマーと減衰
性付与剤との間の適切な相互作用を得られ、しかも減衰
性付与剤をベースポリマー中に長期にわたって均一に分
散するようにしたものであるから、高い減衰性を発現
し、しかも経時変化の少ないものとなる。したがって、
本発明に係る高減衰材料組成物によれば、長期にわたり
安定して、振動や騒音が大幅に吸収できるものとなる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を詳細に説
明する。まず、本発明の各実施例は種々の材料組成で作
製したので、これについて説明する。尚、以下の説明に
おいて「phr」とは、「parts per hun
dred resin」の略で、ベースポリマー100
重量部に対する配合成分の重量部を意味するものであ
る。また各表に示した材料組成の単位も「phr」で表
している。
【0025】初めに表1に記載した本発明品(実施例1
〜5)の材料組成について説明する。実施例1乃至実施
例5は、いずれもベースポリマーとしてアクリルゴムを
用い、これに減衰性付与剤として分子量が500〜20
00の範囲にあるヒンダードアミン系化合物を配合して
いる。
【0026】
【表1】
【0027】具体的に説明すると本発明品の実施例1
は、ベースポリマーとしてアクリルゴム(日本ゼオン
(株)製:商品名「ニポールAR51」)を用い、これ
に減衰性付与剤のヒンダードアミン系化合物として分子
量が1700のアデカスタブT−706(旭電化工業
(株)製)を50phr配合している。この1700と
いう分子量は上述した好適な範囲である500〜200
0の範囲にあるが、最も好適な範囲である800〜15
00の範囲よりやや大きめの分子量である。
【0028】実施例2の配合成分としては、同じくベー
スポリマーとしてニポールAR51を用い、減衰性付与
剤のヒンダードアミン系化合物として分子量が1500
のアデカスタブT−707(旭電化工業(株)製)を5
0phr配合している。この分子量1500は最も好適
な範囲である800〜1500の範囲の上限の分子量で
ある。
【0029】実施例3の配合成分としては、同じくベー
スポリマーとしてニポールAR51を用い、減衰性付与
剤のヒンダードアミン系化合物として分子量が1200
のアデカスタブT−708(旭電化工業(株)製)を5
0phr配合している。この1200という分子量は最
も好適な範囲である800〜1500の範囲のほぼ中間
にあるものである。
【0030】実施例4の配合成分としては、同じくベー
スポリマーとしてニポールAR51を用い、減衰性付与
剤のヒンダードアミン系化合物として分子量が1000
のアデカスタブT−717(旭電化工業(株)製)を5
0phr配合している。この分子量は実施例3と同じく
最も好適な範囲にあるが、実施例3より小さくなってお
り、好適な範囲の下限を確認できるものである。
【0031】また実施例5の配合成分としては、同じく
ベースポリマーとしてニポールAR51を用い、減衰性
付与剤のヒンダードアミン系化合物として分子量が19
00のアデカスタブLA−68LD(旭電化工業(株)
製)を50phr配合している。この分子量1900
は、好適な範囲500〜2000内の上限に近いもの
で、好適な範囲の上限を確認できるものである。
【0032】上記の減衰性付与剤として用いたアデカス
タブT−706、アデカスタブT−707、アデカスタ
ブT−708、アデカスタブT−717、アデカスタブ
LA−68LDは、1,2,3,4−ブタンテトラカル
ボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−
(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウ
ンデカン)ジエタノールとの縮合物を基本構造とし、そ
れぞれの違いとしては縮合の割合及び分子量が異なるも
のである。
【0033】次に、本発明品(実施例1〜5)の作製工
程について説明する。まず、上述したベースポリマー1
00phrに、各実施例の配合成分を配合する。これ
を、室温で約15〜20分程度、2本ロールで混練す
る。次に、この混練材料を、熱プレス機により所定の型
枠内において、170℃で、10分程度溶融プレス成形
する。そして更に、0℃の温度条件下、これに130k
gf/cmの面圧を掛けて冷却プレス成形し、これを
2mmシートとする。
【0034】次に、本発明品(実施例1〜5)のtan
δピーク値(成形直後及び2ヶ月後)及びそのピーク温
度を測定した。この測定には、株式会社レオロジ社製の
スペクトロメータを用い、その測定条件を、歪が0.0
5%(一定)、周波数が100Hz(一定)とした。
【0035】以下、実施例1〜5の測定結果について説
明する。表1に示したように、実施例1は成形直後にお
いて2.0を超える高いtanδを発現している。この
値は分子量がやや高めなことから、比較的高い値となっ
ている。そして、2ヶ月後においても要求特性を超える
tanδを発現し、そのtanδ保持率は101%とい
う値を示し、全く変化を示していないことが分かる。つ
まり、長期にわたって高い減衰性能を発揮できるもので
あることが分かる。また、ピーク温度が室温付近(20
℃前後)にあることから室温環境での使用に適した実用
的なものとなっている。
【0036】また、実施例2も成形直後において2.0
を超える高いtanδを発現している。これは実施例1
より分子量が小さいことからtanδも実施例1より高
い値となっている。そして、2ヶ月後におけるtanδ
は低下しないばかりでなく若干高い値を示し、その保持
率は106%と極めて優れた値を示している。この実施
例2も長期にわたって高い減衰性能を発揮できているこ
とが分かる。また、ピーク温度についても室温環境にあ
る。
【0037】実施例3は成形直後においては要求特性
(tanδ≧2.5)を超える高いtanδを発現して
いる。そして、2ヶ月後のtanδは全く低下せず、そ
のtanδ保持率は99%と良好な結果を示している。
また、ピーク温度も室温付近にあり優れた結果を示して
いる。
【0038】実施例4も成形直後においては要求特性
(tanδ≧2.5)を超える高いtanδを発現して
いる。そして、2ヶ月後のtanδは低下するどころ
か、やや高い値を示し、そのtanδ保持率は99%と
良好な結果を示している。この分子量1000前後の減
衰性付与剤を用いたものがtanδ及び経時変化共に最
も優れた値を示すものとなっている。また、ピーク温度
も室温付近にあり、優れた結果を示している。
【0039】また、アデカスタブLA−68LDを配合
した実施例5は、その分子量が大きいことから、実施例
1〜4と比べて低いtanδを発現しているものの、比
較的良好な減衰特性を示している。そして、tanδ保
持率は100%と良好な値を示している。ただし、ピー
ク温度が30℃を超え、室温付近で使用できる上限的数
値を示している。つまり、これ以上ピーク温度が室温環
境から離れた場合、tanδ保持率が良好な値を示した
としても、減衰特性(tanδ)が著しく低下するの
で、減衰性材料の実用面を考えると、分子量2000前
後が限界の値であるように思われる。
【0040】以上の結果から、実施例1〜5は、ベース
ポリマーに分子量を考慮して減衰性付与剤が配合されて
いることから高いtanδを発現するだけでなく、長期
にわたって高い減衰性能を発現できることが分かる。ま
た、ベースポリマーにアクリルゴムを用いる場合には、
配合する減衰性付与剤の分子量は1000前後が適切で
あることが分かる。更に、実施例1〜5は室温に近い温
度環境にピーク温度を有し、実用性の高いものとなって
いる。
【0041】よって、実施例1は比較的高いtanδを
発現し、経時変化が少ないことから優れている(○印)
と評価された。そして、実施例2は高いtanδを示
し、極めて優れたtanδ保持率を示したことから、極
めて優れている(◎印)と評価された。実施例3及び4
は極めて高いtanδを発現し、しかも経時変化が少な
いことから極めて優れている(◎印)と評価された。更
に、実施例5はtanδが比較的高く、経時変化が抑制
されていることから、優れている(○印)と評価され
た。
【0042】次に表2に記載した本発明品(実施例6〜
10)の材料組成について説明する。実施例6乃至実施
例10は、いずれもベースポリマーとしてエチレン−ア
クリル酸メチル共重合体を用い、これに減衰性付与剤と
してヒンダードアミン系化合物を配合している。
【0043】
【表2】
【0044】具体的に説明すると本発明品の実施例6
は、ベースポリマーとしてエチレン−アクリル酸メチル
共重合体(昭和電工(株)・デュポン(株)製:商品名
「ベイマックGLS」)を用い、これに減衰性付与剤の
ヒンダードアミン系化合物として分子量が1700のア
デカスタブT−706を50phr配合している。
【0045】実施例7の配合成分としては、同じくベー
スポリマーとしてベイマックGLSを用い、減衰性付与
剤のヒンダードアミン系化合物として分子量が1500
のアデカスタブT−707を50phr配合している。
【0046】実施例8の配合成分としては、同じくベー
スポリマーとしてベイマックGLSを用い、減衰性付与
剤のヒンダードアミン系化合物として分子量が1200
のアデカスタブT−708を50phr配合している。
【0047】実施例9の配合成分としては、同じくベー
スポリマーとしてベイマックGLSを用い、減衰性付与
剤のヒンダードアミン系化合物として分子量が1000
のアデカスタブT−717を50phr配合している。
【0048】そして、実施例10の配合成分としては、
同じくベースポリマーとしてベイマックGLSを用い、
減衰性付与剤のヒンダードアミン系化合物として分子量
が1900のアデカスタブLA−68LDを50phr
配合している。
【0049】これら実施例6〜10の作製工程並びにt
anδの測定方法については実施例1〜5と同様の方法
を用いている。
【0050】以下、実施例6〜10の測定結果について
説明する。表2に示したように、実施例6は分子量が大
きなことから成形直後において、比較的高いtanδを
発現している。そして、2ヶ月後においても高いtan
δを発現し、そのtanδ保持率は99%という値を示
し、全く変化を示していないことが分かる。つまり、長
期にわたって高い減衰性能を発揮できるものであること
が分かる。また、ピーク温度が室温付近(20℃前後)
にあることから室温環境での使用に適した実用的なもの
となっている。
【0051】また、実施例7は成形直後において2.0
を超える高いtanδを発現している。そして、2ヶ月
後におけるtanδは全く低下しておらず、その保持率
は101%と優れた値を示している。この実施例も長期
にわたって高い減衰性能を発揮できていることが分か
る。また、ピーク温度についても室温環境にある。
【0052】実施例8は成形直後において2.0を超え
る高いtanδを発現している。そして、2ヶ月後のt
anδも全く低下せず、そのtanδ保持率は99%と
良好な結果を示している。また、ピーク温度も室温付近
にあり優れた結果を示している。
【0053】実施例9も成形直後においては要求特性
(tanδ≧2.5)を超える高いtanδを発現して
いる。そして、2ヶ月後のtanδは全く低下しておら
ず、そのtanδ保持率は99%と良好な結果を示して
いる。また、ピーク温度も室温付近にあり優れた結果を
示している。
【0054】尚、大きめの分子量を有するアデカスタブ
LA−68LDを配合した実施例10はtanδが1.
80と他の実施例に比べるとやや低めの値になっている
が、減衰性材料のtanδとしては十分な値である。ま
た、経時変化については、tanδ保持率100%とい
う結果を得られた。これ以上大きな分子量のものを配合
すると、減衰性が著しく低下してしまい、減衰材料とし
て不適なものとなってしまうことから、配合する分子量
の上限は、やはり2000前後と思われる。
【0055】以上の結果から、実施例6〜10は、ベー
スポリマーに分子量を考慮して減衰性付与剤が配合され
ていることから高いtanδを発現するだけでなく、長
期にわたって高い減衰性能を発現できることが分かる。
また、ベースポリマーにエチレン−アクリル酸メチル共
重合体を用いる場合には、配合する減衰性付与剤の分子
量は1000〜1700の範囲が適切であることが分か
る。
【0056】よって、実施例6及び7は比較的高いta
nδを発現し、経時変化が少ないことから優れている
(○印)と評価され、実施例8及び9は極めて高いta
nδを発現し、しかも経時変化が少ないことから極めて
優れている(◎印)と評価された。尚、実施例10はや
やtanδが低いものの、経時変化の抑制効果が高いこ
とから優れている(○印)と評価された。
【0057】以上、表1及び表2にまとめた本実施例の
結果から減衰性付与剤の好適な分子量をみてみると、5
00〜2000の範囲で優れた結果が得られることが分
かる。これより小さい分子量とした場合は従来技術にあ
るように経時変化が大きくなる。そして、減衰性付与剤
の分子量と減衰特性(tanδ)及び経時変化の関係を
みると、減衰性付与剤の分子量が800〜1500の範
囲がより好ましいように思われる。また、上限として
は、実施例5及び実施例10の結果からも分かるとお
り、2000より大きな分子量とした場合は高い減衰性
を得られないものとなってしまう。
【0058】以上、本発明の各実施例を順に説明した
が、要するに、本発明に係る高減衰材料組成物は、塩基
性の極性側鎖を有するベースポリマーが、減衰性付与剤
として適切な分子量を有するヒンダードアミン系化合物
を含有するようにしたことから、減衰性付与剤がベース
ポリマー中に均一に分散し、しかもブリード現象及び結
晶化を起こすことのないものとしているため、長期にわ
たり安定して減衰性を発現できるものとなる。
【0059】本発明は、上記した実施例に何等限定され
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々
の改変が可能である。例えば、ベースポリマーとして
は、本発明で用いたもの以外に、塩基性の極性側鎖を有
するベースポリマーであれば、何等限定されることな
く、種々のものを適用することができ、その一例として
アクリル系、メタクリル系、エチレン−アクリル系共重
合体、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体等のベースポリ
マーが挙げられる。
【0060】また、減衰性付与剤も、ヒンダードアミン
系化合物であれば、上記実施例に示した組成や構造式の
もの以外のものも使用できることは、その官能基等の共
通性をみれば容易に判断できるはずである。
【0061】また、ベースポリマーには、上述したよう
な充填剤、着色剤等或いは非結晶性樹脂等を必要に応じ
て添加することができ、これらを添加することによって
様々な機能向上を図ることができる。
【0062】
【発明の効果】本発明に係る高減衰材料組成物によれ
ば、塩基性の極性側鎖を有するベースポリマーに減衰性
付与剤としてヒンダードアミン系化合物を配合するに際
し、その減衰性付与剤の分子量を考慮して減衰性付与剤
を選択して配合したもの或いは好適な範囲に分子量を有
するようにその減衰性付与剤をオリゴマー化等の手段を
用いてから配合したものであるから、高いtanδを発
現する減衰特性を示すだけでなく、ベースポリマー中に
減衰性付与剤が均一に分散し、更にベースポリマーと減
衰性付与剤とがうまく絡み合うので、長期にわたって高
い減衰性を維持することのできる高減衰材料組成物を提
供することができる。したがって、本発明に係る高減衰
材料組成物を、音響ルームの遮音壁、建築構造体の遮音
間仕切り、車両の防音壁等、幅広い分野に適用すること
は、極めて有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高減衰材料組成物のベースポリマ
ーと減衰性付与剤の絡み合いの様子を示した図である。
【図2】配合する減衰性付与剤の分子量と成形直後の減
衰性能及び結晶化抑制効果との関係を示した図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16F 15/08 F16F 15/08 D (72)発明者 三原 利之 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 橋本 和信 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 Fターム(参考) 3J048 AC03 BD01 BD08 EA36 EA38 4J002 BB071 BF021 BG041 BG051 EU086 GL00 GN00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩基性の極性側鎖を有するベースポリマ
    ーが、ヒンダードアミン系化合物より選ばれた1種又は
    2種以上の減衰性付与剤を含有することを特徴とする高
    減衰材料組成物。
  2. 【請求項2】 前記ベースポリマーは、アクリル系、メ
    タクリル系、エチレン−アクリル系共重合体、ポリ酢酸
    ビニル及びその共重合体より選ばれた1種又は2種以上
    のものであることを特徴とする請求項1に記載される高
    減衰材料組成物。
  3. 【請求項3】 前記ヒンダードアミン系化合物は、1,
    2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6
    −テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,
    β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テ
    トラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)ジエタノール
    との縮合物であることを特徴とする請求項1又は2に記
    載される高減衰材料組成物。
  4. 【請求項4】 前記ヒンダードアミン系化合物の分子量
    が500〜2000の範囲にあることを特徴とする請求
    項1、2又は3に記載される高減衰材料組成物。
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