JP2000044334A - アナターゼ型チタニア焼結体及びその製造方法 - Google Patents

アナターゼ型チタニア焼結体及びその製造方法

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JP2000044334A
JP2000044334A JP10214614A JP21461498A JP2000044334A JP 2000044334 A JP2000044334 A JP 2000044334A JP 10214614 A JP10214614 A JP 10214614A JP 21461498 A JP21461498 A JP 21461498A JP 2000044334 A JP2000044334 A JP 2000044334A
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Akira Osawa
晶 大沢
Yoichi Nagasaki
洋一 長崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チタニア焼結体の結晶型をアナターゼ型に維
持することで、光活性度、光照射効率及び触媒活性が向
上するとともに、機械的強度及び耐久性が向上するアナ
ターゼ型チタニア焼結体及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 アナターゼ型チタニア微結晶が集合した
多結晶体からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アナターゼ型チタ
ニア焼結体及びその製造方法に係り、特に、チタニアの
結晶型をアナターゼ型とすることで、チタニアの光活性
度、触媒活性及び耐久性を向上させることが可能なアナ
ターゼ型チタニア焼結体及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、高機能を有するセラミックスとし
てチタニア(TiO2)が注目されている。このチタニ
アには、ルチル、ブルッカイト、アナターゼの3種の変
態が存在することが一般に知られており、アナターゼ型
のチタニアの場合、600℃以下の温度領域で生成し、
600℃以上の温度領域ではアナターゼ型からルチル型
に変態する。ところで、チタニア粉体を利用した技術と
しては、チタニア粉体に紫外光を照射し活性化させるこ
とにより、該チタニア粉体に接触もしくは吸着された有
害有機物を分解し、無害化する技術がある。
【0003】この無害化技術においては、有害有機物を
分解し無害化する効率を向上させるための視点から、一
般的に推察されまた確認されている基本的なポイントは
次の3点である。 (1)光活性度の向上 a.チタニアの結晶型が光活性度のより高いアナターゼ
型のものを用いる。 b.チタニア粉体に可視光活性を付与する。 (2)光の照射効率の向上 チタニア粉体の受光面積の最大化→チタニア粉体の比表
面積の最大化→チタニアの微粒子化 (3)有害有機物との接触確率の向上 チタニア粉体の、気中または液中における有害有機物の
吸着力を高める→チタニア粉体の多孔質化
【0004】チタニア粉体は粉末のままの状態で用いら
れるが、その他に、有機/無機バインダーと混練し該混
練物を基体上に接着し乾燥させて固定化する方法、ある
いは他の粉体や粘土質の材料に練り込み、該混練物を基
体上に接着し乾燥させて固定化する方法等がある。ま
た、ゾルゲル法により金属Tiアルコキシド溶液をスピ
ンコート法等を用いて基体上に塗布した後に乾燥させ、
その後600℃以下の最高保持温度で所定時間焼成する
ことにより、数μmの厚みの焼結体からなるチタニア薄
膜を得る方法もある。
【0005】なお、チタニア薄膜を形成する方法として
は、上述したゾルゲル法の他に、例えば、CVD法(化
学気相堆積法:CHEMICAL VAPOR DEPOSITION)、スパッ
タ法、溶射法等が知られている。また、チタニアを主成
分とする粉体を基体上に接着・固定する技術として、溶
着法が知られている。この溶着法は、チタニアの融点
(1630〜1650℃)を越える温度領域で被溶着物
であるチタニア粉体を加熱・溶融して前記基体上に溶着
させる方法である。
【0006】上記の各方法においては、平均粒径が約5
〜300nmの高結晶性アナターゼ型チタニア微粉体、
あるいは金属Tiのアルコキシド溶液(例えば、チタニ
ウムテトライソプロポキシド:Ti(O-i-C
374)等が実際に工業的に供給され得る原材料であ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、アナターゼ
型チタニア微粉体をそのままの状態で用いた場合におい
ては、比表面積が大きく、しかも吸着性に優れていると
いう長所を有することから、有害有機物を分解する能力
が高いものの、気中及び液中におけるチタニア微粉体の
位置制御が困難であるという問題点があった。また、こ
の微粉体が飛散したり、あるいは分散したりした後に、
この微粉体を回収することは現実的には不可能であると
いう問題点があった。したがって、アナターゼ型チタニ
ア微粉体のままで用いる場合、適用可能な分野が狭く限
定されてしまうという欠点がある。
【0008】また、アナターゼ型チタニア微粉体をバイ
ンダーによって基体上に固定化する方法においては、大
抵の場合、200℃以下の温度で処理することにより固
定化できるために、アナターゼ型の結晶型を維持するこ
とができるものの、バインダーを添加した分だけ有効表
面積が減少してしまい、特に、粒径がnm程度の微粉体
の場合においては、この微粉体がバインダーに埋没して
しまい、結果的に、光活性度や照射効率が大幅に低下し
てしまうという問題点があった。更に、例えば、ポリビ
ニルアルコール(PVA)やエチルセルロース等の有機
バインダーを用いた場合、200℃以下の温度で硬化で
きるのでアナターゼ型を維持できるが、バインダー自体
が有機物であるため、光触媒により分解されてしまい、
強度及び耐久性に問題があった。
【0009】また、ゾルゲル法によりチタニア薄膜を形
成する場合においては、得られた薄膜が非常に薄いため
に基体の形状に殆ど影響を与えることが無く、微小な隙
間にも膜を形成することができ、また、600℃以下の
温度で焼成すればよいので、アナターゼ型のチタニア薄
膜を理論上形成することができる。しかし実際には、こ
のゾルゲル法においては、アナターゼ型チタニア薄膜を
得るための焼成条件が微妙で高度の制御技術を要し、し
かも焼成に長時間を要する(約5〜6時間)ために、完
全な薄膜を得ることが難しく、結果として有害有機物の
分解能力が低下するという問題点があった。また、膜厚
が数μmと非常に薄いために、薄膜の耐久性が低下する
という問題点もあった。
【0010】さらに、チタニア微粉体を基体上に固定す
る方法として、従来より焼結、溶射、溶着等の方法が知
られているが、何れの方法においても、この微粉体をそ
の融点に近い温度、すなわち1600℃近傍まで加熱す
る必要がある。したがって、この微粉体の結晶型がアナ
ターゼ型からルチル型に変態し、アナターゼ型の結晶型
を維持することができないという問題点があった。ま
た、実用化を考慮した場合、もちろんチタニアの光活性
度を維持するという前提の下であるが、 (1)チタニアの構造的固定化、コンパクト化 (2)光活性度及び構造における耐久性の付与 等が課題として挙げられる。
【0011】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであって、チタニアの結晶型をアナターゼ型に維持す
ることで、光活性度、光照射効率及び触媒活性が向上す
るとともに、機械的強度及び耐久性が向上するアナター
ゼ型チタニア焼結体及びその製造方法を提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】従来、チタニアの結晶型
をアナターゼ型に維持した状態で焼結することは不可能
とされてきた。そこで、本発明者等は、鋭意研究した結
果、平均粒径が5〜300nm、粒度分布が3〜500
nmのアナターゼ型チタニア微粉体を用いれば、低温か
つ短時間でアナターゼ型の結晶型を維持したチタニア焼
結体が得られることを見いだした。
【0013】さらに、従来では、600℃以上の温度で
焼成する場合、アナターゼ型チタニアはルチル型チタニ
アに変態してしまうために、得られたチタニア焼結体は
アナターゼ型の結晶型を維持することが困難であると考
えられていたが、本発明者等は、焼成時の最高保持温度
が短時間であれば、600℃以上の温度で焼成する場合
においても、アナターゼ型チタニアの結晶型を維持する
ことが可能であることを見いだした。
【0014】すなわち、アナターゼ型チタニア微粉体
は、平均粒径5〜300nm、粒度分布が3〜500n
mのとき、アナターゼがルチルに変態するといわれる6
00℃以上の温度であっても、低温急速焼結により、こ
の結晶構造がルチル型に変わることなくアナターゼ型を
維持したまま焼結させることができる。さらに、通常の
焼結においては、結晶化された微粉末が結合し、単結晶
化する方向に進む。しかし、低温急速焼結であるため、
結晶粒は成長することなく、結晶サイズは小さく維持さ
れ、結晶粒の数の多い微小結晶の集まった多結晶体とな
る。
【0015】そこで、本発明は、次の様なアナターゼ型
チタニア焼結体及びその製造方法を提供することとし
た。すなわち、請求項1記載のアナターゼ型チタニア焼
結体は、アナターゼ型チタニア微結晶が集合した多結晶
体からなることを特徴としている。
【0016】また、請求項2記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体は、請求項1記載のアナターゼ型チタニア焼結
体において、前記多結晶体は、多孔質体であることを特
徴としている。
【0017】また、請求項3記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体は、請求項1または2記載のアナターゼ型チタ
ニア焼結体において、前記多結晶体に、吸着機能物質を
20重量%以下の範囲で混入、分散または傾斜配置して
なることを特徴としている。
【0018】また、請求項4記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体の製造方法は、平均粒径が5〜300nm、粒
度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタニア微粉体
を、大気中、真空中、不活性ガス中のいずれかの雰囲気
中で、最高保持温度600〜900℃で1〜15分間低
温急速焼結を行い、焼結後のチタニアの結晶型をアナタ
ーゼ型に保持することを特徴としている。
【0019】また、請求項5記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体の製造方法は、請求項4記載のアナターゼ型チ
タニア焼結体の製造方法において、前記低温急速焼結
は、プラズマ焼結法によることを特徴としている。
【0020】また、請求項6記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体の製造方法は、請求項4または5記載のアナタ
ーゼ型チタニア焼結体の製造方法において、前記低温急
速焼結は、前記アナターゼ型チタニア微粉体を予備成形
した後に実施することを特徴としている。
【0021】また、請求項7記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体の製造方法は、請求項6記載のアナターゼ型チ
タニア焼結体の製造方法において、前記予備成形の際に
添加する有機バインダーの量を調製し、焼結後のチタニ
ア焼結体の空孔率を調整することを特徴としている。
【0022】本発明の請求項1記載のアナターゼ型チタ
ニア焼結体では、アナターゼ型チタニア微結晶が集合し
た多結晶体としたことにより、低温で短時間の焼結が可
能となり、チタニア焼結体の結晶型を光活性度、光照射
効率及び触媒活性の優れたアナターゼ型に維持すること
が可能になる。これにより、この焼結されたチタニアの
光活性度、光照射効率及び触媒活性が向上する。また、
焼結体としたことにより、アナターゼ型チタニアの強度
が向上し、機械的強度及び耐久性が向上する。
【0023】また、請求項2記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体では、前記多結晶体を多孔質体としたことによ
り、チタニア焼結体の単位体積当たりの表面積が増大
し、受光面積が最大化する。これにより、光の照射効率
が向上する。
【0024】また、請求項3記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体では、前記多結晶体に、吸着機能物質を20重
量%以下の範囲で混入、分散または傾斜配置したことに
より、前記多結晶体に、光活性度、光照射効率及び触媒
活性の他に、吸着機能をも付与することとなり、これら
の機能の相乗効果を図ることが可能になる。これによ
り、機能材料としての設計自由度が拡大する。さらに、
多結晶体中に吸着機能物質を傾斜配置すれば、多種多様
の吸着特性を有するアナターゼ型チタニア焼結体が実現
する。
【0025】また、請求項4または5記載のアナターゼ
型チタニア焼結体の製造方法では、平均粒径が5〜30
0nm、粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタ
ニア微粉体を、大気中、真空中、不活性ガス中のいずれ
かの雰囲気中で、最高保持温度600〜900℃で1〜
15分間低温急速焼結を行い、焼結後のチタニアの結晶
型をアナターゼ型に保持し、かつ微粉体の結晶粒成長を
押えることにより、アナターゼ型を維持したチタニア焼
結体が容易に得られる。
【0026】前記低温急速焼結のより好ましい条件は、
チタニア焼結体の焼結性を考慮すると、最高保持温度が
800℃、その保持時間が10分間である。この条件の
下で、アナターゼ型を良好に維持したチタニア焼結体が
得られる。
【0027】また、請求項6記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体の製造方法では、前記低温急速焼結を、前記ア
ナターゼ型チタニア微粉体を予備成形した後に実施する
ことにより、前記アナターゼ型チタニア微粉体同士の接
触面積が大きくなり、低温急速焼結時における焼結性が
高まる。これにより、前記アナターゼ型チタニア微粉体
を予備成形しない場合と比べて、より低温、より短時間
で焼結を行うことが可能になり、アナターゼ型の結晶型
を良好に維持したチタニア焼結体が得られる。
【0028】また、請求項7記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体の製造方法では、前記予備成形の際に添加する
有機バインダーの量を調製し、焼結後のチタニア焼結体
の空孔率を調整することにより、焼結時に熱分解して飛
散した有機バインダーの部分が焼結体中に空孔として残
留するために、多孔質のアナターゼ型チタニア焼結体と
なる。これにより、添加する有機バインダーの量を調製
することにより、空孔の大きさや空孔率が制御された多
孔質のアナターゼ型チタニア焼結体が得られる。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明のアナターゼ型チタニア焼
結体及びその製造方法の各実施形態について、図面に基
づき説明する。 [第1の実施形態]図1は本発明の第1の実施形態のア
ナターゼ型チタニア焼結体を製造する際に用いられるプ
ラズマ焼結機を示す模式図であり、図において、1はグ
ラファイト製のダイス、2はグラファイト製のパンチ、
3はアナターゼ型チタニア微粉体、4は高周波電流電源
である。
【0030】このプラズマ焼結機を用いてアナターゼ型
チタニア焼結体を製造するには、まず、ダイス1に、平
均粒径が5〜300nm、粒度分布が3〜500nmの
アナターゼ型チタニア微粉体3を充填し、次いで、パン
チ2をダイス1内に挿入して加圧し、アナターゼ型チタ
ニア微粉体3を圧縮する。次いで、周囲の雰囲気を大気
中、真空中、N2ガス等の不活性ガス中のいずれかと
し、この雰囲気中において、高周波電流電源4によりダ
イス1とパンチ2との間に2000Aの高周波電流を通
電しつつ、最高保持温度600〜900℃で1〜15分
間保持し、プラズマ焼結を行う。
【0031】このプラズマ焼結においては、アナターゼ
型チタニア微粉体3はその結晶型がアナターゼ型を維持
した状態で焼結が行われ、焼結後のチタニアの結晶型は
アナターゼ型に保持される。なお、プラズマ焼結の最高
保持温度及び時間によりアナターゼ型を維持する程度が
変動する。アナターゼ型が維持されるのに最も好ましい
最高保持温度は800℃、保持時間は10分間である。
【0032】ここで得られたアナターゼ型チタニア焼結
体5は、アナターゼ型チタニア微結晶が集合した多結晶
体からなる。この焼結体5は、ダイス1及びパンチ2の
表面形状を変えることにより、板状、マカロニ状、ハニ
カム状等様々な構造のものを得ることが可能である。ま
た、表面積を増大させるために、ダイス1及びパンチ2
にエンボスレリーフを形成することにより、表面がエン
ボスレリーフのアナターゼ型チタニア焼結体5を得るこ
とができる。
【0033】また、アナターゼ型チタニア微粉体3に、
吸着機能物質を20重量%以下の範囲で混入、分散また
は混入・分散させた材料を傾斜配置させた粉体も用いら
れる。傾斜配置の例としては、表面層にアナターゼ型チ
タニア微粉体からなるチタニア帯域とアナターゼ型チタ
ニア微粉体に吸着性物質を20重量%以下の範囲で混入
・分散させた微粉体からなる吸着機能物質の帯域を所定
のピッチで交互に形成するよう配置したもの等がある。
吸着機能物質としては、ゼオライト、石膏、活性炭素、
多孔質セラミックス、珪藻土等が好適である。
【0034】この吸着機能物質を混入、分散または傾斜
配置させることにより、得られたアナターゼ型チタニア
焼結体5に、光活性度、光照射効率及び触媒活性の他
に、吸着機能をも付与することができるので、機能材料
としての設計を広範囲で行うことができる。
【0035】また、アナターゼ型チタニア焼結体5を、
接着剤等を用いて最大差渡し長さが2mm以下、かつ、
その最小差渡し長さが0.1mm以上の顆粒体とするこ
ともできる。顆粒体とすることにより、バインダーを混
練する際においても、チタニア微粉末の場合のようにバ
インダーに埋没する虞がなくなり、既設の構造体や部品
等の基体の表面へ容易に固定することができる。
【0036】また、アナターゼ型チタニア焼結体5に粉
砕等の方法を施すことにより、その平均粒径が30〜1
00μmの粉体とすることもできる。粉体とすることに
より、その粒径がプラズマ溶射に適用可能な粒径とな
り、既設の構造体や部品等の基体の表面へ容易に溶射固
定することができる。したがって、作業の迅速性及び多
様な応用性を図ることができる。
【0037】ここで、アナターゼ型チタニア微粉体3や
アナターゼ型チタニア焼結体5の平均粒径及び粒度分布
を測定するには、分級法、光散乱法、顕微鏡法、沈降速
度法、X線小角散乱法、あるいはこれらを組み合わせた
方法等が用いられる。例えば、質量を利用した慣性力も
しくは遠心力で分級処理を行い、その分級別に顕微鏡を
用いて粒径を測定する等である。
【0038】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、アナターゼ型チタニア微結晶が集合した多結晶体と
したので、低温で短時間の焼結が可能となり、チタニア
焼結体の結晶型を光活性度、光照射効率及び触媒活性の
優れたアナターゼ型に維持することができ、チタニア焼
結体の光活性度、光照射効率及び触媒活性を向上させる
ことができる。また、焼結体としたので、アナターゼ型
チタニアの強度が向上し、機械的強度及び耐久性を向上
させることができる。
【0039】また、本実施形態の製造方法によれば、平
均粒径が5〜300nm、粒度分布が3〜500nmの
アナターゼ型チタニア微粉体3を、大気中、真空中、不
活性ガス中のいずれかの雰囲気中で、最高保持温度60
0〜900℃で1〜15分間低温急速焼結を行い、焼結
後のチタニアの結晶型をアナターゼ型に保持するので、
アナターゼ型を維持したチタニア焼結体5を容易に得る
ことができる。
【0040】[第2の実施形態]図2は本発明の第2の
実施形態のアナターゼ型チタニア焼結体を製造する際に
用いられる製造装置を示す模式図であり、図において、
11は予備加熱成形用のダイス、12は低温高速焼結を
行う高速昇温電気炉である。
【0041】この製造装置を用いてアナターゼ型チタニ
ア焼結体を製造するには、まず、ダイス11に、平均粒
径が5〜300nm、粒度分布が3〜500nmのアナ
ターゼ型チタニア微粉体と有機バインダーとの混合物1
3を注入し、次いで、このダイス11を200℃以下の
温度で予備加熱成形する。次いで、この予備加熱成形さ
れた成形体14を高速昇温電気炉12内に載置し、周囲
の雰囲気を大気中、真空中、N2ガス等の不活性ガス中
のいずれかとし、この雰囲気中において成形体14を高
速加熱し、最高保持温度600〜900℃を1〜15分
間保持し、低温高速焼結を行う。
【0042】有機バインダーとしては、PVA、エチル
セルロース等が好適に用いられる。前記混合物13中の
有機バインダーは昇温の間に分解・飛散するが、有機バ
インダーが飛散した部分が焼結体中に空孔として残留す
るために、この混合物13中に多数の空孔が発生する。
この混合物13をさらに昇温させて最高保持温度で焼成
することにより多孔質のアナターゼ型チタニア焼結体1
5となる。このように、添加する有機バインダーの量を
調製することにより、空孔の大きさや空孔率が制御され
た多孔質のアナターゼ型チタニア焼結体15を得ること
が可能である。
【0043】また、アナターゼ型チタニア微粉体はその
結晶型がアナターゼ型を維持した状態で焼結が行われ、
焼結後のチタニア焼結体15の結晶型はアナターゼ型に
保持される。なお、低温高速焼結の最高保持温度及び時
間によりアナターゼ型を維持する程度が変動する。アナ
ターゼ型が維持されるのに最も好ましい最高保持温度は
800℃、保持時間は10分間である。
【0044】なお、アナターゼ型チタニア微粉体やアナ
ターゼ型チタニア焼結体15の平均粒径及び粒度分布を
測定する方法は、上述した第1の実施形態の測定方法と
全く同様である。
【0045】以上説明したように、本実施形態のアナタ
ーゼ型チタニア焼結体の製造方法によれば、低温急速焼
結を予備加熱成形の後に実施するので、予備加熱成形に
よりアナターゼ型チタニア微粉体同士の接触面積が大き
くなり、低温急速焼結時における焼結性を高めることが
できる。したがって、より低温、より短時間で焼結を行
うことができ、アナターゼ型の結晶型を良好に維持した
チタニア焼結体15を得ることができる。また、予備加
熱成形の際に添加する有機バインダーの量を調製するこ
とにより、空孔の大きさや空孔率が制御された多孔質の
アナターゼ型チタニア焼結体15を得ることができる。
【0046】[第3の実施形態]図3は本発明の第3の
実施形態のアナターゼ型チタニア焼結体を製造する際に
用いられる製造装置を示す模式図であり、図において、
21はグラファイト製のダイスである。
【0047】本実施形態のアナターゼ型チタニア焼結体
の製造方法が、上述した第2の実施形態のアナターゼ型
チタニア焼結体の製造方法と異なる点は、第2の実施形
態の製造方法では、予備加熱成形された成形体14を高
速昇温電気炉12内に載置して高速加熱し、最高保持温
度600〜900℃で1〜15分間保持することにより
低温高速焼結を行うのに対し、本実施形態の製造方法で
は、予備加熱成形された成形体14をダイス21と共に
プラズマ焼結機内に載置し、高周波電流電源4によりダ
イス21に2000Aの高周波電流を通電しつつ最高保
持温度600〜900℃で1〜15分間保持し、プラズ
マ焼結を行う点である。
【0048】本実施形態のアナターゼ型チタニア焼結体
及びその製造方法においても、上述した第2の実施形態
のアナターゼ型チタニア焼結体及びその製造方法と同様
の効果を奏することができる。しかも、予備加熱成形さ
れた成形体14をダイス21と共にプラズマ焼結するの
で、成形体14の型崩れ等が生じる虞が無くなり、得ら
れたアナターゼ型チタニア焼結体15の形状が保持され
るとともに強度が向上する。したがって、アナターゼ型
チタニア焼結体の機械的強度及び耐久性を向上させるこ
とができる。
【0049】以上、本発明の実施形態について説明して
きたが、具体的な構成は本実施形態に限定されるもので
はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計の変更等
が可能である。例えば、アナターゼ型チタニア微粉体3
は、その平均粒径が30〜100μmの範囲内であり、
その粒度分布が25〜200μmの範囲に入るものであ
ればよい。
【0050】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の請求項1記
載のアナターゼ型チタニア焼結体によれば、アナターゼ
型チタニア微結晶が集合した多結晶体としたので、低温
で短時間の焼結が可能となり、チタニア焼結体の結晶型
を光活性度、光照射効率及び触媒活性の優れたアナター
ゼ型に維持することができ、焼結されたチタニアの光活
性度、光照射効率及び触媒活性を向上させることができ
る。また、焼結体としたので、アナターゼ型チタニアの
強度を向上させることができ、機械的強度及び耐久性を
向上させることができる。
【0051】また、請求項2記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体によれば、前記多結晶体を多孔質体としたの
で、チタニア焼結体の単位体積当たりの表面積を増大さ
せることができ、受光面積を最大化させることができ
る。したがって、光の照射効率を向上させることができ
る。
【0052】また、請求項3記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体によれば、前記多結晶体に、吸着機能物質を2
0重量%以下の範囲で混入、分散または傾斜配置したの
で、前記多結晶体に、光活性度、光照射効率及び触媒活
性の他に、吸着機能をも付与することができ、これらの
機能の相乗効果を図ることができる。この結果、機能材
料としての設計自由度を拡大することが可能になる。さ
らに、多結晶体中に吸着機能物質を傾斜配置すれば、多
種多様の吸着特性を有するアナターゼ型チタニア焼結体
を実現することができる。
【0053】また、請求項4または5記載のアナターゼ
型チタニア焼結体の製造方法によれば、平均粒径が5〜
300nm、粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型
チタニア微粉体を、大気中、真空中、不活性ガス中のい
ずれかの雰囲気中で、最高保持温度600〜900℃で
1〜15分間低温急速焼結を行い、焼結後のチタニアの
結晶型をアナターゼ型に保持し、かつ微粉体の結晶粒成
長を押えたので、アナターゼ型を維持したチタニア焼結
体を容易に得ることができる。
【0054】また、請求項6記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体の製造方法によれば、前記低温急速焼結を、前
記アナターゼ型チタニア微粉体を予備成形した後に実施
することとしたので、予備成形により前記アナターゼ型
チタニア微粉体同士の接触面積が大きくなり、低温急速
焼結時における焼結性を高めることができる。したがっ
て、前記アナターゼ型チタニア微粉体を予備成形しない
場合と比べて、より低温、より短時間で焼結を行うこと
ができ、アナターゼ型の結晶型を良好に維持したチタニ
ア焼結体を得ることができる。
【0055】また、請求項7記載のアナターゼ型チタニ
ア焼結体の製造方法によれば、前記予備成形の際に添加
する有機バインダーの量を調製し、焼結後のチタニア焼
結体の空孔率を調整するので、空孔の大きさや空孔率が
制御された多孔質のアナターゼ型チタニア焼結体を得る
ことができる。
【0056】以上により、チタニア焼結体の結晶型をア
ナターゼ型に維持することで、光活性度、光照射効率及
び触媒活性を向上させるとともに、機械的強度及び耐久
性をも向上させることのできるアナターゼ型チタニア焼
結体及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態のアナターゼ型チタ
ニア焼結体を製造する際に用いられるプラズマ焼結機を
示す模式図である。
【図2】 本発明の第2の実施形態のアナターゼ型チタ
ニア焼結体を製造する際に用いられる製造装置を示す模
式図である。
【図3】 本発明の第3の実施形態のアナターゼ型チタ
ニア焼結体を製造する際に用いられる製造装置を示す模
式図である。
【符号の説明】
1…グラファイト製のダイス、2…グラファイト製のパ
ンチ、3…アナターゼ型チタニア微粉体、4…高周波電
流電源、5…アナターゼ型チタニア焼結体、11…予備
加熱成形用のダイス、12…高速昇温電気炉、13…ア
ナターゼ型チタニア微粉体と有機バインダーとの混合
物、14…成形体、15…多孔質のアナターゼ型チタニ
ア焼結体、21…グラファイト製のダイス

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アナターゼ型チタニア微結晶が集合した
    多結晶体からなることを特徴とするアナターゼ型チタニ
    ア焼結体。
  2. 【請求項2】 前記多結晶体は、多孔質体であることを
    特徴とする請求項1記載のアナターゼ型チタニア焼結
    体。
  3. 【請求項3】 前記多結晶体に、吸着機能物質を20重
    量%以下の範囲で混入、分散または傾斜配置してなるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のアナターゼ型チ
    タニア焼結体。
  4. 【請求項4】 平均粒径が5〜300nm、粒度分布が
    3〜500nmのアナターゼ型チタニア微粉体を、大気
    中、真空中、不活性ガス中のいずれかの雰囲気中で、最
    高保持温度600〜900℃で1〜15分間低温急速焼
    結を行い、焼結後のチタニアの結晶型をアナターゼ型に
    保持することを特徴とするアナターゼ型チタニア焼結体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記低温急速焼結は、プラズマ焼結法に
    よることを特徴とする請求項4記載のアナターゼ型チタ
    ニア焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記低温急速焼結は、前記アナターゼ型
    チタニア微粉体を予備成形した後に実施することを特徴
    とする請求項4または5記載のアナターゼ型チタニア焼
    結体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記予備成形の際に添加する有機バイン
    ダーの量を調製し、焼結後のチタニア焼結体の空孔率を
    調整することを特徴とする請求項6記載のアナターゼ型
    チタニア焼結体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004537654A (ja) * 2001-08-16 2004-12-16 ビーエイチピー ビリトン イノベーション プロプライアタリー リミテッド チタン及びチタン合金製品の製造方法
JP2016159226A (ja) * 2015-02-28 2016-09-05 千葉県 光触媒の製造方法及びこれにより製造される光触媒

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