JP2000043460A - カード類等の偽造防止方法 - Google Patents
カード類等の偽造防止方法Info
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Abstract
偽造防止方法、そのためのマーク及びシート類やカード
類、並びに、そのための真贋判定方法を得る。 【解決手段】シート類又はカード類の少なくとも一部
に、13C含有率を天然存在率と異なる率に制御したフラ
ーレンからなるマークを付すことを特徴とするシート類
又はカード類の偽造防止方法、そのための偽造防止マー
ク、該偽造防止マークを付したシート類又はカード類、
並びに、真贋判定方法。
Description
レンをマークとして使用するシート類又はカード類の偽
造防止方法、そのためのマーク及びシート類又はカード
類、並びに、それらシート類又はカード類の真贋判定方
法に関する。
券、馬券、競輪券などの各種シート類が普及している。
また近年、各種カード類が普及し、それらカード類の発
行枚数は飛躍的に増大し、その用途面では銀行等で発行
するキャッシュカード、流通分野で使用されるクレジッ
トカード、鉄道やバス等の交通機関で使用される乗車カ
ード又は乗車券、或はパチンコカードなど広範多岐にわ
たり、またそれらの機構面や機能面でも光カード、磁気
カード、ICカードなど各種のものがある。なお、本明
細書中これらシート類やカード類を総称してカード類と
指称する。
れるが、その模造、改変、複製等により偽造する犯罪も
急速に増加しており、その対策が強く求められている。
紙幣等に用いられている偽造防止方法としては、磁気イ
ンク、金属光沢を有するインク、見る角度により色が変
わるインク、プランシェ、透かし、複写不可能なマイク
ロ文字、モアレ模様、ホログラフィを用いる方法があ
る。図1(a)は磁気インク等の偽造防止マークを用い
た方法の例である。また紙幣に糸状のマークを織り込む
方法も用いられ、放射性同位体を用いる偽造防止方法も
提案されている。また、ICカードには、桁数の多い数
字などによる暗証番号や暗号情報を用いた偽造防止方法
が用いられている。図1(b)は暗号を用いる方法の例
である。
インク、見る角度により色が変わるインク、或いは放射
性同位体などは、手に入れることが比較的容易である。
プランシェ、透かし、複写不可能なマイクロ文字、モア
レ模様、ホログラフィ等の印刷技術は、印刷の専門技術
を有する者ならば模倣、偽造が可能である。紙幣となる
紙に糸状のマークを織り込むことも、比較的容易であ
る。したがって、これらはセキュリティレベルは高くな
いといえる。またICカードの場合、電子メモリーが強
い磁気等によって破損する可能性があり、使用環境が限
られる。
おける上記諸問題点を解決するためになされたもので、
炭素同位体含有率を制御したフラーレンに関して原材料
の入手困難性及び製造の困難性を利用する。フラーレン
は石炭やすす等の中に僅かに含まれているが、その製造
は困難である。また天然の炭素材料は12Cと13Cで構成
されており、その存在率は12Cが約98.9%、13Cが
約1.1%である。人工の炭素材料において12Cと13C
の存在率を天然存在率と異なる値に制御するには、原材
料を得るために精密蒸留などの高度な技術が必要であ
る。
のフラーレンをマークとして使用するシート類又はカー
ド類の偽造防止方法、そのためのマーク及びシート類又
はカード類、並びに、それらシート類又はカード類の真
贋判定方法を提供することを目的とする。
(1)シート類又はカード類の少なくとも一部に、13C
含有率を天然存在率と異なる率に制御したフラーレンか
らなるマークを付すことを特徴とするシート類又はカー
ド類の偽造防止方法を提供する。
類の少なくとも一部に付与するための偽造防止用マーク
であって、該マークが13C含有率を天然存在率と異なる
率に制御したフラーレンからなることを特徴とする偽造
防止用マークを提供し、また本発明は(3)シート類又
はカード類の少なくとも一部に、13C含有率を天然存在
率と異なる率に制御したフラーレンからなるマークを付
してなることを特徴とする偽造防止したシート類又はカ
ード類を提供する。
ド類の少なくとも一部に付した、13C含有率を天然存在
率と異なる率に制御したフラーレンのマークの有無を、
赤外線分光法による吸収スペクトルの形状又はシフトの
測定により、シート類又はカード類の真贋を判定するこ
とを特徴とするシート類又はカード類の真贋判定方法を
提供する。
ード類には特に限定はなく、例えば紙幣、債券、株券、
証券、パスポート、クレジットカード、テレホンカー
ド、交通機関で使用される乗車券又は乗車カード、自動
車運転免許証等の免許証、パチンコカードその他の各種
機能、機構を組み込んだカード類等を挙げることができ
る。
通常硬質紙、その他各種紙類が使用されるが、一部では
プラスチックも使用されているが、何れも使用される。
またカード類としては特に限定はなく、、アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂のほか、アルミ
ニウム、アルミニウム合金などの金属や紙類などの各種
材料が使用される。
ド類の少なくとも一部に天然存在率と異なった存在率で
13Cを含むフラーレンを保持させる。フラーレンはC60
やC70に代表される一群の球殻状の炭素分子であり、原
料の13C含有率を制御することで、製造されるフラーレ
ン分子中の13C含有率を容易に制御することができる。
ーク放電により蒸発させたり、ベンゼン等の炭化水素を
不完全燃焼させること等により生成するスス中に含まれ
ている。本発明で用いる天然存在率と異なる存在率で13
Cを含むフラーレンは、その原料として天然存在率と異
なる存在率で13Cを含むグラファイトや炭化水素を用い
ることで得られる。分離・精製には、(1)スス中に含
まれるフラーレンをベンゼン等の有機溶媒で抽出する、
(2)抽出した成分を液体クロマトグラフィ法などで分
離・精製する、(3)更に真空昇華法等で高純度化す
る、等の手法が用いられる。
1.1%と異ならせる態様としては、フラーレン中の13
C含有率を1.1%より低くしてもよく、高くしてもよ
い。この場合、13Cの濃度を天然のものに比べていかほ
ど異ならせるかは、検出する吸収スペクトルのピーク波
長を制御する観点から設定される。
は、例えば前記のような製造工程において特殊なノウハ
ウが必要であるので、偽造防止マークとして好適であ
る。また、フラーレンの赤外線吸収スペクトルは複雑且
つ独自の形状をなすので、他の物質のスペクトルと明確
に区別でき、この点でも好適である。
天然存在率と異なる存在率で13Cを含むフラーレンを保
持させるには(ここで天然存在率と異なる13C存在率で
含むフラーレンを13Cフラーレン標識と指称する)、
(1)13Cフラーレン標識を有機又は無機(水ガラス
等)のバインダーとの混合物とし、これをシート類やカ
ード類の表面又は裏面に塗布する、(2)13Cフラーレ
ン標識を印刷液とし、シート類やカード類の表面又は裏
面に印刷法により付着させる、(3)13Cフラーレン標
識をマイクロカプセル化して付着させる、その他適宜の
態様で行える。
類の一部に予め浅い凹部を設けておき、この凹部に適用
するようにしてもよい。また、13Cフラーレン標識をシ
ート類やカード類の内部に保持するようにしてもよい。
この場合にはシート類やカード類の一部に予めそれを充
填するための凹部又は空間を設けておき、この凹部又は
空間に13Cフラーレン標識を充填する。この場合、必要
あればその充填後、その表面を例えばプラスチック製の
薄膜等によりシールする。
マークの真贋の判定は、赤外線分光法により行うことが
できる。赤外線分光法は従来の手法で実施できる。フラ
ーレンは、13C同位体の含有率が変わると赤外線吸収ス
ペクトルの形状が変化し、吸収ピークがシフトする。図
2はその変化態様を模式的に説明する図であり、横軸に
波数、縦軸に波数に対応する吸収強度を示している。図
2のとおり、12C60では高い波数の赤外線を吸収する
が、13C60はそれより低い波数の赤外線を吸収する。そ
の際、真贋判定をより確実なものとするため、偽造防止
マークがフラーレンであるか否かの確認を、フラーレン
の転移温度(260K程度)の前後で温度を変えながら
吸収スペクトルの変化を測定することにより行うことが
できる。
の13C同位体の数)として示すように、C60中の13C同
位体の含有率が変わると、赤外線吸収スペクトルが変化
し、波数に対する吸収域のシフトや吸収ピークの分裂が
起る。本発明においては、これらの変化を測定すること
により、13Cフラーレン標識を付与したシート類やカー
ド類について真贋を判定することができる。特に分裂し
たスペクトルは複雑であるので、例えば指紋のように偽
造防止マークとして用いることができる。
の分子振動モードの1種で、フラーレン分子内で五角形
を形成する隣接した炭素原子群が五角形を挟むような振
動を起すことに対応するモード。五角形ピンチモードと
も呼ばれる)の吸収スペクトルは、12C60や13C60の形
態では赤外線に対して不活性であり、またラマン散乱法
などで観察した場合には、単一の散乱ピークである。と
ころが、13Cをn個含むフラーレン分子13Cn12C60-
n の場合には、Ag(2)モードの吸収スペクトルは
著しい分裂を起し、分裂の程度がnに敏感に依存して変
わるため、本発明の偽造防止マークとして好適である。
ンを銀の(111)面上に吸着させるか、またはフラーレ
ンにカリウムをドープすると(例えばK13Cn12C
59-n、K2 13Cn12C58-nなどの形とすると)、フラ
ーレン分子の対称性を崩してAg(2)モードで双極子
モーメントを変化させることができる。これによりAg
(2)モードを赤外線で励起することができ、真贋判定を
より有効に行える。フラーレンの銀(111)面上への吸
着は、例えばスパッターにより銀薄膜を形成した後、ア
ニールにより結晶化して得られた(111)面にフラーレ
ンを溶媒とともに塗布することにより行うことができ
る。
説明するが、本発明が実施例に限定されないことはもち
ろんである。
フラーレン標識を担持させた態様例を示すものである。
図3において、1は紙幣又はカードであり、2はC60を
用いた偽造防止マークで、天然存在率と異なる値で13C
を含有するフラーレンのマークを形成した領域である。
この領域2は図3では紙幣又はカード面内の右側部に長
方形に形成させているが、四隅の角部、中央部、右方部
等適宜の箇所に位置させることができる。
のほか、円形状や三角形状、五角形以上の多角形状その
他ストライブ状等、適宜の形状とすることができる。そ
れらの層をカードの表面又は裏面に対して形成するのに
代えてカードの内部に埋め込んでもよい。これらの点は
シート類の場合についても同様である。
するフラーレンのマークを付与したカードの真贋の判定
を赤外線分光法で行う。13C同位体の含有率を変えたC
60フラーレンは、天然存在率のC60フラーレンに比べて
吸収スペクトルが変化するので、その吸収スペクトルを
測定する。図4はその測定過程、操作の概略を示す図で
ある。カードのマーク部分に半導体レーザー(赤外線光
源)から赤外線を照射すると、マーク部分に特有な波長
域の赤外線が吸収され、その程度が受光部を経て検出器
で測定される。これら操作はコントローラーで制御され
る。
ークとして13C2 12C58(13C=3.3%、12C=96.
7%)を、図3中2として示すように付与したマークの
場合、これに対して赤外線を半導体レーザーから照射す
ると、13C2 12C58 に特有な吸収波数で、特有な吸収強
度が測定され、真正な紙幣又はカードであることが検知
される。他方、本発明に係るフラーレンマークが設けら
れていないか、13Cが天然存在率で含まれるフラーレン
マークの場合には、上記測定により異なる吸収波数で異
なる吸収強度が測定されるので、真正なシート類又はカ
ード類でないことが判別される。
セキュリティレベルの高い偽造防止シート類又はカード
類が得られる。また強磁場下等でも偽造防止マークの変
質がないので、使用環境についての制限がなく、真贋判
定を非接触で迅速に行うことができる等、優れた効果が
得られる。
化による赤外線吸収スペクトルの変化を説明する図。
示す図。
定操作の概略を示す図。
Claims (8)
- 【請求項1】シート類又はカード類の少なくとも一部
に、13C含有率を天然存在率と異なる率に制御したフラ
ーレンからなるマークを付すことを特徴とするシート類
又はカード類の偽造防止方法。 - 【請求項2】シート類又はカード類の少なくとも一部に
付与するための偽造防止用マークであって、該マークが
13C含有率を天然存在率と異なる率に制御したフラーレ
ンからなることを特徴とする偽造防止用マーク。 - 【請求項3】上記13C含有率を天然存在率と異なる率に
制御したフラーレンが銀の(111)面上に吸着させたフ
ラーレンである請求項2記載の偽造防止用マーク。 - 【請求項4】上記13C含有率を天然存在率と異なる率に
制御したフラーレンがカリウムをドープしたフラーレン
である請求項2記載の偽造防止用マーク。 - 【請求項5】シート類又はカード類の少なくとも一部
に、13C含有率を天然存在率と異なる率に制御したフラ
ーレンからなるマークを付してなることを特徴とする偽
造防止したシート類又はカード類。 - 【請求項6】シート類又はカード類の少なくとも一部に
付した、13C含有率を天然存在率と異なる率に制御した
フラーレンのマークの有無を、赤外線分光法による吸収
スペクトルの形状又はシフトの測定により、シート類又
はカード類の真贋を判定することを特徴とするシート類
又はカード類の真贋判定方法。 - 【請求項7】請求項6のシート類又はカード類の真贋判
定方法において、測定対象とする上記吸収スペクトルが
Ag(2)モードの吸収スペクトルであるシート類又は
カード類の真贋判定方法。 - 【請求項8】請求項6又は7記載のシート類又はカード
類の真贋判定方法において、フラーレンであることを確
認するするために、フラーレンの転移温度の前後で温度
を変えながら吸収スペクトルの変化を測定することを組
み合わせて行うシート類又はカード類の真贋判定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22653298A JP3573970B2 (ja) | 1998-07-27 | 1998-07-27 | カード類等の偽造防止方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3573970B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6879385B2 (en) | 2000-10-04 | 2005-04-12 | Tokyo Gas Co., Ltd. | Nondestructive reading method for isotopic label |
JP2008299436A (ja) * | 2007-05-29 | 2008-12-11 | Fuji Xerox Co Ltd | 読取装置 |
JP2017140792A (ja) * | 2016-02-12 | 2017-08-17 | 国立大学法人東北大学 | セキュリティーマーカー、情報記録媒体、情報記録媒体の判定装置及び複製装置 |
-
1998
- 1998-07-27 JP JP22653298A patent/JP3573970B2/ja not_active Expired - Fee Related
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