JP2000042485A - 金属製構造物の防食工法 - Google Patents

金属製構造物の防食工法

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JP2000042485A
JP2000042485A JP23031198A JP23031198A JP2000042485A JP 2000042485 A JP2000042485 A JP 2000042485A JP 23031198 A JP23031198 A JP 23031198A JP 23031198 A JP23031198 A JP 23031198A JP 2000042485 A JP2000042485 A JP 2000042485A
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coating
elongation
film
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Takehiro Yanase
武裕 簗瀬
Koichi Fukushima
浩一 福島
Yoshito Uramoto
義人 浦本
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属製構造物の金属面への劣化要因物質を遮断
して防食性を発揮し、金属製構造物の動きに対して優れ
た追従性を示し、これら性能を長期に亘り維持すること
ができる防食工法の提供。 【解決手段】金属製構造物の表面に、線熱膨張係数5〜
50×10-4/℃、20℃における伸び率50〜200
0%、遮塩性10-2mg/cm2 ・日以下、膜厚100
〜5000μmである塗膜を形成させる金属製構造物の
防食工法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属製構造物の防
食工法に関するものであり、土木及び建築等の技術分野
において賞用され得るものである。
【0002】
【従来の技術】金属製構造物、例えば鋼製タンク、橋
梁、橋脚、高覧、鉄骨及び屋根等の防食工法としては、
従来より次のような方法が行われている。 a)金属製構造物の表面に防錆塗料や一般の塗料を施工
し、塗膜を形成する。 b)金属製構造物の表面にセメント系被覆材を施工し、
セメント系塗膜を形成する。 ここで、a)法で使用される防錆塗料としては、エポキ
シ樹脂、アルキッド樹脂、ビニルエステル樹脂、並びに
慣用名で塩化ゴムとして知られている塩素化ポリエチレ
ン樹脂及び塩素化ポリエチレン樹脂等の塗膜形成材料と
亜鉛及び鉛系の防錆顔料からなる塗料等が使用されてお
り、防錆顔料の犠牲陽極作用と、塗膜による酸素、塩分
及び水等の遮断作用により防食機能を発揮するものであ
る。又、b)法において、セメント系被覆材としては、
アクリル樹脂、エポキシ樹脂及びSBR樹脂等の樹脂の
ポリマーディスパージョンとセメントからなるポリマー
セメントモルタル等があり、セメントのアルカリ性によ
り防食機能を発揮するものであり、a)法の防錆塗料で
不可能であった厚塗が可能であるため、塗膜欠陥が発生
しにくいという特長がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
a)及びb)法による防食工法の場合、次のような問題
点があった。即ち、上記a)法の場合、塗料を厚塗りで
きず、形成される塗膜の厚さが薄くなるため、施工不良
によるピンホールの発生や、下地処理不良部で塗膜のふ
くれ、はがれ及び機械的損傷等といった塗膜の欠陥を生
じやすく、当該欠陥部から水、塩分、酸素及び酸等(以
下これらをまとめて劣化要因物質という)が侵入して腐
食が進行してしまい、さらに、欠陥部より侵入した劣化
要因物質に起因して塗膜のわれ、ふくれ及びはがれが急
激に増大してしまうという欠点がある。又、a)法によ
る塗膜は、柔軟性に欠けるため、金属製構造物を構成す
る金属製部材自体の荷重や熱膨張収縮による動き、金属
製部材の端部及び継部の僅かな動き、及び屈曲部での温
度変化等よって塗膜が破断し、そこから劣化要因物質が
侵入して腐食が発生してしまうという問題があった。加
えて、a)法の場合、一旦錆が発生すると、発錆部から
急激に腐食が進行するという欠点を有し、更には再施工
する場合、既設塗膜を完全に除去する必要があり、十分
なメンテナンスを施すことが難しいとういう欠点があ
る。又、防錆塗料としては、一般にトルエンやキシレン
等の有機溶剤に樹脂が希釈されている溶剤系塗料が使用
されており、施工時の臭気や安全性の問題、及び揮発す
る有機溶剤の環境問題があった。又、金属製構造物の表
面に既設塗膜が残存している場合、組成物を構成してい
るトルエンやキシレン等の有機溶剤が既設塗膜中に含浸
し、それが原因となって塗膜の膨潤や縮み現象を生じ、
塗膜のふくれはやはがれを生じることがあるという欠点
があった。これらの溶剤系の防錆塗料の欠点を解消すべ
く、水系塗料が用いられることもあるが、有機系の防錆
塗料に比べて、その塗膜が水密性及び気密性に乏しいた
め、劣化要因物質を充分遮断できず、防食効果に劣ると
いう欠点があった。
【0004】次に上記b)法の場合、金属面に対する密
着性が不十分で、ふくれ及びはがれ等が発生する場合が
あった。又、b)法による塗膜は柔軟性に欠けるため、
金属製構造物を構成する金属製部材自体の荷重や膨張、
収縮による動き、金属性製部材端部及び継部での荷重等
による僅かな動きにも追従できず塗膜が破断し、そこか
ら劣化要因物質が侵入して腐食が発生してしまうという
問題があった。更に、b)法による塗膜は水密性及び気
密性に乏しいため、劣化要因物質を充分に遮断できなか
ったり、アルカリによる防食効果の持続性が不十分であ
るという欠点がある。
【0005】本発明者らは、上記問題点を解消し、金属
製構造物の金属面への劣化要因物質を遮断して防食性を
発揮し、金属製構造物の動きに対して優れた追従性を示
し、これら性能を長期に亘り保持することができる防食
工法を見出すべく鋭意検討を行ったのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために種々の検討を行った結果、金属製構造
物の表面に、特定の物性を有する塗膜を形成する施工方
法が有効であることを見出し本発明を完成した。以下本
発明を詳細に説明する。尚、本明細書においては、アク
リレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと
いう。
【0007】
【発明の実施の形態】○塗膜(A) 本発明の工法では、金属製構造物の表面に、線熱膨張係
数5〜50×10-4/℃、20℃における伸び率50〜
2000%、遮塩性10-2mg/cm2 ・日以下、膜厚
100〜5000μmを有する中塗材塗膜である塗膜
(A)を形成する。尚、本発明において、線熱膨張係数
とは、JIS A1325「建築材料の線膨張率測定方
法」に準拠して測定した値をいい、伸び率とは、JIS
A6021「屋根用塗膜防水材」に準拠して測定した
値をいい、遮塩性とは、JIS K5400「塗料一般
試験方法」塩素イオン透過度に準拠して測定した値をい
う。
【0008】線熱膨張係数が5×10-4/℃に満たない
か、又は50×10-4/℃を超える場合、金属製構造物
を構成する金属製部材の線熱膨張係数と大きく異なるた
め、温度の変化により塗膜のはがれ、ふくれ等を生じて
しまう。
【0009】20℃における伸び率が50%に満たない
と、柔軟性に欠けるため、金属製構造物を構成する金属
製部材自体の荷重や熱膨張収縮による動き、金属製部材
の端部及び継部の僅かな動きにも追従できずに塗膜が破
断してしまい、その結果そこから劣化要因物質が侵入し
て錆が発生してしまう。又2000%を超えると、摩耗
及び衝撃等に弱くなり、塗膜の耐久性が不十分なものと
なる。
【0010】遮塩性が、10-2mg/cm2 ・日を超え
ると、飛来塩分に対する遮断効果が不十分となり、防食
効果に欠けるものとなる。
【0011】膜厚が100μmに満たない場合は、金属
製構造物の継ぎ部での追従性、屈曲部での耐屈曲性に欠
け、又劣化要因物質の遮断性に劣るものとなってしま
う。又形成膜厚が5000μを超える場合には、施工に
長時間を要し、又経済的でもない。
【0012】塗膜(A)を形成するための組成物〔以下
組成物(A)という〕としては、各種重合体を含有する
組成物が使用でき、特に、追従性、耐屈曲性及び耐候性
に優れるという理由で、アルキル基の炭素数が4〜10
であるアルキル(メタ)アクリレートを30〜98重量
%の共重合割合とする共重合体〔以下(メタ)アクリレ
ート共重合体という〕を含有するものが好ましい。アル
キル基の炭素数が4〜10であるアルキル(メタ)アク
リレートの具体例としては、n−ブチル(メタ)アクリ
レート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec
−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)ア
クリレート、iso−アミル(メタ)アクリレート、n
−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メ
タ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレー
ト、オキソヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、オキ
ソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)ア
クリレート及びオキソデタル(メタ)アクリレート等が
挙げられる。アルキル基の炭素数が4より小さいアルキ
ル(メタ)アクリレートは、耐アルカリ性が不充分とな
る場合があり、他方炭素数が10を超えるものは耐寒性
が低下してしまうことがある。上記単量体中の割合は、
30〜98重量%であることが好ましく、より好ましく
は50〜90重量%である。この割合が30重量%を下
回ると、塗膜の追従性、耐水性及び耐アルカリ性が低下
することがあり、他方98重量%を超えると、十分な強
度の塗膜を得られないことがある。
【0013】本発明における(メタ)アクリレート共重
合体は、前記(メタ)アクリレートに加え、それらと共
重合可能な不飽和エチレン結合を有する単量体を共重合
したものであっても良い。当該単量体としては、スチレ
ン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化
ビニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルア
ミド及び炭素数1〜3のアルキル(メタ)クリレート等
が挙げられる。塩化ビニリデンを構成単量体として使用
した場合には、塗膜に難燃性を付与することができる。
【0014】(メタ)アクリレート共重合体は、エマル
ションの形態のものが施工時の臭気、安全性及び環境適
合性に優れるという理由で好ましい。当該エマルション
は通常界面活性剤により(メタ)アクリレート共重合体
が分散されたものであり、界面活性剤としては、通常の
(メタ)アクリル系重合体エマルションに使用されるも
のが使用できる。例えば、トリメリルオクタデシルアン
モニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ポリオ
キシエチレンラウリルエーテル等のノニオン性界面活性
剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオ
ン系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の配合範囲は
エマルションの重合体固形分に対して、1〜10重量%
であることが好ましい。界面活性剤の配合量が1重量%
を下回る場合は、エマルションの安定性に欠けるものと
なる。一方、10重量%を上回る場合、乾燥性及び塗膜
の耐水性を低下させてしまう。
【0015】本発明に用いるエマルションには、その他
の成分として消泡剤を配合することができる。消泡剤と
しては、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ア
ウリルアルコール及びシクロヘキサノール等の一般に使
用される消泡剤が使用できる。消泡剤の配合割合として
は、重合体固形分に対して0.1〜5重量%が好まし
い。
【0016】組成物(A)には、防食性、接着性、塗膜
の強度、耐水性及び乾燥成膜性を向上させる目的で、水
硬性無機物質を配合することが好ましい。水硬性無機物
質としては、各種のセメント、無水石膏、半水石膏、生
石灰及び亜鉛華等が挙げられる。これらの中でもセメン
トを使用することが好ましく、例えば、普通ポルトラン
ドセメント、アルミナセメント、早強セメント、フライ
アッシュセメント、高炉セメント、白色セメント、コロ
イドセメント及び中庸熱ポルトランドセメント等があ
り、さらにこれらの中でも、特に入手が容易で、本発明
の効果を充分に発揮できる、ポルトランドセメント又は
アルミナセメントが好ましい。水硬性無機物質は2種以
上を併用することもできる。これらのセメントは、前記
エマルション100重量部に対して、3〜200重量部
配合することが好ましい。3重量部に満たない場合に
は、金属製構造物や下塗材塗膜対する密着性、及び塗膜
の強度が低下する場合がある。一方、200重量部を超
える場合には、塗膜の柔軟性が低下し、追従性が充分で
ないことがある。
【0017】組成物(A)としては、汎用の充填材が配
合されたものであっても良い。これにより、塗装作業性
の向上、塗膜への強靱性の付与、塗膜表面の粘着性の低
減等の効果を付与することができる。充填材の具体例と
しては、硅砂、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、石
膏、珪藻土、鉛丹、ベンガラ、亜酸化鉛、及び酸化チタ
ン等が挙げられる。充填材は、二種以上を併用すること
もできる。充填材の配合量は、エマルション100重量
部に対して、充填材を150重量部以下であることが好
ましい。150重量部を超えると塗膜の柔軟性、追従
性、耐屈曲性、水密性及び気密性を損なう場合がある。
又、塗膜に難燃性を付与するため、トリアジン環を有す
る化合物、三酸化アンチモン及び水酸化アルミニウム等
の無機充填材を配合することもできる。又、必要に応じ
て、重合体100重量部に対して5重量部程度までの粘
度安定剤及び分散剤等を配合することができる。
【0018】○下塗材塗膜 本発明は、金属製構造物の表面、より具体的には、金属
製構造物の金属面及び/又は既設塗膜が残存している表
面に、前記塗膜(A)を形成させるものであるが、金属
表面や既設塗膜との密着性を向上させる目的で、下塗材
塗膜を形成させることが好ましい。下塗材塗膜を形成す
るための下塗材組成物としては、エポキシ樹脂やフェノ
ール樹脂及びアルキッド樹脂等が有機溶剤に溶解した溶
剤系組成物、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びアクリル
ビニリデン樹脂が溶解又は分散した水系組成物等があ
る。これらの中でも、臭気や環境に対する問題がなく、
安全性に優れ、金属製構造物の表面に既設塗膜が残存し
ている場合、溶剤系組成物の様に有機溶剤が既設塗膜中
に含浸して、塗膜の膨潤や縮み現象を生じ、塗膜のふく
れはやはがれを生じることがないため、水系の下塗材組
成物を使用することが好ましい。又、下塗材組成物とし
ては、塗膜の防食効果を向上させることができるため、
防錆顔料を配合したものが好ましい。防錆顔料は、侵入
してきた劣化要因物質と反応して無害な化合物にし、
又、水分と反応及び/又は溶解して、金属表面の電位を
負の方向に変化させたり、生成する局部電池を消滅させ
る作用がある。防錆顔料の例として、一般的な防錆顔料
を適用することが可能で、例えば、鉛丹、亜酸化鉛、塩
基性クロム酸塩、シアナミド鉛、ジンククロメート、鉛
酸カルシウム、亜鉛末及びりん酸亜鉛等が挙げられる。
【0019】○上塗材塗膜 本発明では、必要に応じて前記塗膜(A)の表面上に、
美観の向上及び塗膜(A)の保護を目的として上塗材塗
膜を形成することもできる。上塗材塗膜としては、20
℃における伸び率が50〜500%、膜厚50〜300
μmを有する塗膜であるものが好ましい。上塗材塗膜の
20℃における伸び率が50%に満たないと、塗膜の追
従性を低下させたり、塗膜(A)の柔軟性に追従できず
に上塗材塗膜自体が割れることあり、他方500%を超
えると、外部からの汚染を受けやすくなって、美観上好
ましくないことがある。又、上塗材塗膜の形成膜厚が5
0μmに満たないと、隠ぺい性不良となり、外観上好ま
しくなく、他方300μmを上回ると、施工回数及び経
済性が不利となってしまうことがある。上塗材塗膜を形
成するための上塗材組成物としては、前記物性を満たす
塗膜を形成できるものであれば、種々のものが使用可能
であり、アクリル系樹脂塗料、アクリルウレタン系塗
料、アクリルシリコン系塗料、フッ素樹脂塗料及びエポ
キシ樹脂塗料等が挙げられる。
【0020】○施工方法 以下、本発明の施工方法について説明する。まず、金属
製構造物の表面に、錆、黒皮、劣化塗膜、水及び塩分等
が存在している場合には、これらをブラシ等で除去する
等の方法で素地調整を行うことが好ましい。これによ
り、ふくれ、われ及びはがれ等の塗膜損傷を防止して、
劣化要因物質の塗膜内への侵入を防ぎ、防食効果をより
効果的に発揮できる。本発明の防食工法は、金属製構造
物の金属面及び/又は既設塗膜が残存している表面に、
好ましくは下塗材組成物を施工して下塗材塗膜を形成
し、その表面上に組成物(A)を施工して中塗材塗膜で
ある塗膜(A)を形成する。又、必要に応じて、塗膜
(A)の表面に、前記上塗材組成物を施工し上塗材塗膜
を形成することもできる。下塗材組成物、組成物(A)
及び上塗材組成物の施工方法としては、通常の方法で行
えば良く、例えばコテ、刷毛又はローラー等により塗布
したり、リシンガン、スプレーガン等の機械により吹付
けたりする方法がある。又、組成物(A)を施工する場
合、金属製構造物の継ぎ部での追従性、屈曲部での耐屈
曲性、及び前記劣化要因の遮断性を付与するために膜厚
への配慮を行う必要がある。組成物(A)の粘度として
は、施工方法により異なるが、300cps以上(B型
粘度計、12回転、ローターNo.4、20℃)である
ことが施工性に優れるため好ましく、より好ましくは1
000〜50000cpsにである。粘度が300cp
sより小さいと、一度に厚塗りすることが難しくなり、
又高粘度の場合には、厚塗りができる利点があるが、施
工に難点が生じる場合がある。
【0021】本発明の工法は、土木・建築における種々
の金属製構造物に適用可能である。尚、本発明において
金属製構造物を構成する金属としては、鉄、鋼及び鋳鉄
等の鉄鋼;鉄鋼に合金を添加した特殊鋼;銅、鉛、亜
鉛、スズ及びアルミニウム等の非鉄金属;並びにそれら
の合金等が挙げられる。本発明の金属製構造物は、これ
ら金属から製造された、構造物及び部材を意味する。
又、本発明の工法は、腐食を受けていない新設及び既設
金属製構造物の他に、既に腐食を受けた又は腐食のおそ
れのある金属製構造物、及びそれらに既に塗膜が形成さ
れている金属製構造物にも適用することが可能である。
金属製構造物の例として、鋼橋、鋼製高覧、鋼床版、鋼
橋脚、鋼製桟橋、鋼製欄干、鋼製ドルフィン、鋼製プラ
ント、鋼製タンク、鋼製煙突、鉄管、ガードレール、折
板、瓦棒、鉄塔、鋼製屋根、銅製屋根、鋼製非常階段、
鋼製笠木、鋼製庇、鋼製ピット、溝蓋、マンホール及び
鋼製トンネル等が挙げられる。
【0022】
【作用】本発明の工法は、塗膜(A)が金属製部材の熱
膨張係数が近似していることから、温度変化による塗膜
のはがれ、ふくれ等の異常を生ずることがなく、又当該
塗膜が適度の伸び率を有し柔軟性に優れるため、継ぎ部
で塗膜が追従し、屈曲部で塗膜がわれ等の異常を生ずる
ことがなく、又当該塗膜が遮塩性に優れるため劣化要因
物質を遮断し、さらに又膜厚が比較的厚いものであるた
め、塗膜にピンホール等の異常もなく、よって劣化要因
物質の侵入を有効に防止することができる。
【0023】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具
体的に説明する。尚、以下に示す「部」及び「%」は、
いずれも重量基準である。
【0024】○組成物の製造 ・重合体エマルションの製造 表1に示す単量体を使用し、界面活性剤を使用して水性
媒体中に単量体を分散させた後加熱し、これにラジカル
重合開始剤を滴下して、重合反応を行った。
【0025】
【表1】 ※表中の数字は部数を意味する。 ※界面活性剤は、以下の化合物を意味する。 a)トリメチルステアリルアンモニウムクロライド b)ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル c)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
【0026】・組成物の製造 上記で得られた重合体エマルションを使用し、表2に示
す配合物を撹拌下に添加混合し、組成物(A)を製造し
た。得られた組成物(A)について、線熱膨張係数、伸
び率、遮塩性及び膜厚を以下に従い測定した。それらの
結果を表3に示す。又、比較のため、表4に示す市販の
エポキシ樹脂塗料溶剤型塗料及びフェノール樹脂系塗料
を使用し、同様に測定した。それらの結果を表4に示
す。
【0027】・線膨張係数率:下記伸び率試験と同様の
方法で作製した塗膜について、JISA1325「建築
材料の線膨張率測定方法」に準拠し、線熱膨張係数を測
定した。 ・伸び率:JIS A6021「屋根用塗膜防水材」を
参考に表中に示す膜厚の塗膜を作製し、測定した。 ・遮塩性:伸び率試験で作製した塗膜について、JIS
K5400「塗料一般試験方法」塩素イオン透過度に
準拠し、測定した。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】 1)エポキシ樹脂塗料溶剤型塗料〔ハイポン30マスチ
ック、日本ペイント(株)製〕 2)フェノール樹脂系雲母状酸化鉄溶剤型塗料〔ズボイ
ドZ中塗、大日本塗料(株)〕
【0031】 ◎実施例1〜5 ○施工時の臭気 施工時の臭気として、積層する塗膜中で最も厚みのある
塗膜(A)について、表5に示す組成物(A)の臭気を
判定した。臭気試験は20℃、65%R.H.条件下
で、内容量20リットルの密閉容器の底部に、組成物1
0gを静置し、30分後に容器の蓋を開けて、開口部で
の臭気を5人のモニターで評価した。 ・判定基準 良好:臭気を感じない、又は若干の臭気を感じる。 不良:強く臭気を感じる、又は強く臭気を感じ我慢でき
ない。 ・評価 ○:5人のモニター中3人以上が良好であった場合。 ×:5人のモニター中3人以上が不良であった場合。
【0032】○金属面への施工 アセトンで表面を処理した200×300×6mmの黒
皮鋼板に、表5に示す下塗材組成物を刷毛を用いて基板
全面に施工し、乾燥させて下塗材塗膜を形成させた。当
該塗膜表面に、組成物(A)を同様に施工乾燥して塗膜
(A)を形成させた後、さらに上塗材組成物を同様に施
工し上塗材塗膜を形成させた。当該試験体を、20℃、
65%R.H.条件下で14日静置した。これを試験体
Aという。
【0033】・塗膜外観 試験体Aを50±3℃の恒温器中で7日間加温した後、
試験室に2時間静置し、塗膜のピンホール、ふくれ、は
がれ、われ、縮み及び膨潤の有無を目視で調べ、塗膜の
外観を評価した。
【0034】・耐屈曲性 試験体Aを、JIS K5400「塗料一般試験方法」
耐屈曲性に準拠し、20℃、65%R.H.条件下で繰
り返し試験を100回行い、塗膜の外観を評価した。
【0035】・耐冷熱繰り返し性 アセトンで表面を脱脂した80×100mm×0.3m
mのSPCC鋼板の全面に、試験体Aと同様の方法で施
工を行い、20℃、65%R.H.条件下で14日静置
したものを、平板部の試験体とした。これを試験体Bと
いう。試験体Bの中央に、鋼板まで刃先が届くようにカ
ッターナイフでクロスカットを入れたものをクロスカッ
ト部の試験体B’とした。試験体B及びB’について、
−20±2℃で12時間冷却し、次いで60℃±3℃で
12時間加熱する1サイクルを24時間とする冷熱繰り
返し操作を100回繰り返し、塗膜の外観を評価した。
【0036】・防食性 試験体B及びB’を、50℃条件下で、3%NaCl水
溶液シャワーを48時間、次いで50℃で24時間加熱
する1サイクルを72時間とする冷熱繰り返し操作を1
5回繰り返し、塗膜の外観を評価した。
【0037】・追従性 試験体Bで使用したものと同様のSPCC鋼板をガラス
板上で突き合わせ、側面を固定した。突き合わせ面に材
料が流れ込まないように注意して、試験体Aと同様の方
法で塗膜を形成させ、20℃、65%R.H.条件下で
14日静置し、ガラス板から取り外したものを試験体と
した。この試験体を5mm/分の引張速度で引張試験を
行い、塗膜にピンホール又は破断を生じた時点での引張
幅を追従性とした。
【0038】○既設塗膜への施工 試験体Aで使用したものと同様の黒皮鋼板に、下塗材用
組成物として防錆顔料入りエポキシ樹脂塗料〔アロンブ
ルコートP−400、東亞合成(株)製〕を刷毛を用い
て基板全面に施工し、乾燥させて下塗材塗膜を形成させ
た。当該塗膜表面に、中塗材用組成物としてエポキシ樹
脂塗料〔ハイポン30マスチック中塗、日本ペイント
(株)製〕を同様に施工乾燥後、さらに上塗材用組成物
としてポリウレタン樹脂塗料〔ハイポン50上塗、日本
ペイント(株)製〕を同様に施工した。当該試験体を、
20℃、65%R.H.条件下で14日静置し、その後
1ヶ月間屋外暴露して、20℃、65%R.H.条件下
で2日静置した。当該基材に、表5に示す各組成物を使
用して、試験体Aと同様の方法で施工し、20℃、65
%R.H.条件下で7日静置した後の、塗膜のふくれ、
はがれ、われ、縮み及び膨潤の有無を目視によって調べ
た。
【0039】得られた塗膜の評価結果は表6に示す通り
であり、組成物(A)の臭気はほとんどなく、又本発明
の施工方法で形成された積層塗膜は、外観的にピンホー
ル等の異常がなく、耐屈曲性、追従性、耐冷熱繰り返し
性及び耐防食性に優れているものであった。実施例1〜
同3は、下塗材組成物として溶剤系のものを用いた場合
で、既設塗膜との塗重ね性で部分的にふくれ現象等が認
められたものの、下塗材組成物としてエマルション系の
ものを用いた実施例4及び同5では、それらの問題が全
くなかった。又、実施例5は、組成物(A)として、エ
マルション100重量部に対してセメントを全く配合し
なかった組成物であり、耐防食試験でクロスカット部に
若干の錆が認められた。
【0040】
【表5】
【0041】1)防錆顔料入りエポキシ樹脂溶剤系塗料
〔アロンブルコートP−400、東亞合成(株)製〕 2)防錆顔料入り水系合成樹脂塗料〔アロン水性防錆プ
ライマー、東亞合成(株)〕 3)柔軟性アクリルウレタン樹脂溶剤型塗料〔アロンブ
ルコートT−310、東亞合成(株)製〕 4)柔軟性アクリルウレタン樹脂溶剤型塗料〔アロンブ
ルコートT−300、東亞合成(株)製〕
【0042】
【表6】 1)一部ふくれがあるものの、ほとんど良好であった。 2)一部不良個所があるものの、ほとんど良好であった。 3)一部錆があるものの、ほとんど良好であった。
【0043】○比較例1〜5 表7に示す組成物を使用する以外は実施例と同様に施工
を行い、実施例と同様に評価を行った。評価結果を表8
に示す。
【0044】
【表7】
【0045】1)防錆顔料入りエポキシ樹脂溶剤系塗料
〔アロンブルコートP−400、東亞合成(株)製〕 2)防錆顔料入り水系合成樹脂塗料〔アロン水性防錆プ
ライマー、東亞合成(株)製〕 3)柔軟性アクリルウレタン樹脂溶剤型塗料〔アロンブ
ルコートT−310、東亞合成(株)製〕 4)ポリウレタン樹脂溶剤型塗料〔ハイポン50上塗
り、東亞合成(株)製〕 5)塩化ゴム系アルミニウム溶剤型塗料〔ラバータイト
#100上塗シルバー、大日本塗料(株)製〕
【0046】
【表8】
【0047】比較例1は、伸び率が50%に未満で、且
つ遮塩性が10-2mg/cm2 ・日を超える中塗塗膜を
形成した場合であり、クロスカット部での耐冷熱繰り返
し性、防食性、追従性及び既設塗膜への施工性に劣って
いた。比較例2は、伸び率が2000%を超える中塗塗
膜を形成した場合であり、耐冷熱繰り返し性、防食性及
び既設塗膜への施工性に劣っていた。比較例3は、線熱
膨張係数が5×10-4/℃未満、伸び率が50%未満及
び膜厚が100μm未満の中塗塗膜を形成した場合であ
り、施工時の臭気、塗膜の外観、耐屈曲性、耐冷熱繰り
返し性、防食性、追従性及び既設塗膜への施工性に劣っ
ていた。比較例4は、線熱張係数が5×10-4/℃未
満、伸び率が50%未満及び膜厚が100μm未満の中
塗塗膜を形成した場合であり、施工時の臭気、塗膜の外
観、耐屈曲性、耐冷熱繰り返し性、耐防食性、追従性及
び既設塗膜への施工性に劣っていた。比較例5は、膜厚
が100μmの中塗塗膜を形成した場合であり、耐屈曲
性、耐冷熱繰り返し性、防食性及び追従性に劣ってい
た。
【0048】
【発明の効果】本発明の工法によれば、金属製構造物の
金属面への劣化要因物質を遮断して防食性を発揮し、金
属製構造物の動きに対して優れた追従性を有し、さらに
これら性能を長期に亘り保持することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AE03 CA33 DA06 DB02 DC01 DC05 EA02 EA05 EB22 EB56 EC01 EC54 4J038 CG141 CH031 CH041 HA376 MA08 MA10 NA03 PA07 PB05 PC02 4K062 AA01 BA14 BC09 BC12 FA08 GA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属製構造物の表面に、線熱膨張係数5〜
    50×10-4/℃、20℃における伸び率50〜200
    0%、遮塩性10-2mg/cm2 ・日以下、膜厚100
    〜5000μmである塗膜(A)を形成させることを特
    徴とする金属製構造物の防食工法。
  2. 【請求項2】前記塗膜(A)が、アルキル基の炭素数が
    4〜10であるアルキル(メタ)アクリレートを30〜
    98重量%の共重合割合とする共重合体を含有する組成
    物から形成された塗膜である請求項1記載の金属製構造
    物の防食工法。
  3. 【請求項3】前記塗膜(A)が、共重合体のエマルショ
    ンとセメントからなる組成物であって、当該エマルショ
    ン100重量部に対して3〜200重量部のセメントを
    含有する組成物から形成された塗膜であることを特徴と
    する請求項1又は請求項2記載の金属製構造物の防食工
    法。
  4. 【請求項4】金属製構造物の表面に、防錆顔料を含有す
    る水系の下塗材組成物により下塗材塗膜を形成させ、当
    該塗膜表面上に塗膜(A)を形成させることを特徴とす
    る請求項1〜請求項3のいずれかに記載の金属製構造物
    の防食工法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001303279A (ja) * 2000-02-17 2001-10-31 Toyo Gurahoiru:Kk 自己犠牲型金属防食剤および金属防食方法
JP2009513477A (ja) * 2005-10-28 2009-04-02 ハイクリエイト インク. 硬化したコンクリート構造の処理のための耐蝕性組成物
JP2010188325A (ja) * 2009-02-20 2010-09-02 Japan Energy Corp 塗装方法及び防食塗膜
JP2011042753A (ja) * 2009-08-24 2011-03-03 Jfe Steel Corp 防食被覆鋼材
JP2012092426A (ja) * 2010-09-29 2012-05-17 Jfe Steel Corp 高耐食黒皮鋼材

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