JP2000038602A - 多層膜被覆粉体およびその製造方法 - Google Patents

多層膜被覆粉体およびその製造方法

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JP2000038602A JP10208184A JP20818498A JP2000038602A JP 2000038602 A JP2000038602 A JP 2000038602A JP 10208184 A JP10208184 A JP 10208184A JP 20818498 A JP20818498 A JP 20818498A JP 2000038602 A JP2000038602 A JP 2000038602A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 取扱いの容易な基体粒子原料を用い、製膜法
としては、低コスト化が達成できる水系溶媒を用いる金
属塩水溶液からの沈殿法を適用し、製造装置も防爆設備
を必要とせず、温度、湿度の管理も容易であり、総合的
に製品の価格も安価に得られ、かつ基体粒子として金属
粒子を用いた場合と同様に機能性の高い、多層膜被覆粉
体およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 金属化合物粒子の表面上に酸化物膜を形
成し、この酸化物膜を形成した金属化合物粒子を還元し
て酸化防止膜被覆金属粒子とし、該酸化防止膜被覆金属
粒子の表面に、水溶液中での金属塩の反応により、金属
水酸化物膜または金属酸化物膜を形成したことを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は基体粒子の表面を別
の物質で多層に被覆し、複合機能を発揮する多層膜被覆
粉体およびその製造方法に関するものであり、詳しく
は、原料として危険性があり、かつ高価な金属粉、金属
アルコキシド、有機溶媒等を用いず、操作性が簡易で低
コストの水系成膜によって得られる多層膜被覆粉体およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】粉体の表面を他の物質の膜で被覆するこ
とにより、その粉体の性質を改善したり、その性質に多
様性を与えることが知られ、従来そのための方法として
種々の手段が提案されている。例えば、物体の表面に保
護や装飾のために膜を形成する被覆技術には、塗着法、
沈着法、スパッタリング、真空蒸着法、電着法や陽極酸
化法等多くの手段が知られている。しかし、塗着法や沈
着法では膜の厚みを均一にすることが困難であり、スパ
ッタリングや真空蒸着法では膜厚の厚い被膜を得ること
が困難である。また、電着法や陽極酸化法は被処理物を
電極とする関係上粉体の処理には向かないという問題点
を有している。種々の技術分野における進歩に伴い、特
異な性質を備えた粉体、特に金属粉体或は金属化合物粉
体を求める要望が増しており、粉体、特に金属粉体また
は金属化合物粉体だけが備える性質の他に別の性質を合
わせ持ち、複合した機能を有する粉体が求められてい
る。これらの粉体を製造するには、基体粒子の上に均一
な厚さの金属酸化物膜等を複数層設けることが考えられ
た。
【0003】上記のような新しい要求に応えられる複合
した性質を有し、複合した機能を果たし得る粉体、特に
金属または金属化合物粉体を提供するための金属酸化物
の形成方法の有用なものとして、先に、本発明者らは、
金属粉体又は金属酸化物粉体を金属アルコキシド溶液中
に分散し、該金属アルコキシドを加水分解することによ
り、金属酸化物の皮膜を形成し、金属または金属化合物
の基体の表面に、均一な0.01〜20μmの厚みの、
前記基体を構成する金属とは異種の金属を成分とする金
属酸化物膜を有する粉体を発明した(特開平6ー228
604号公報)。
【0004】この粉体において、前記の金属酸化物膜を
複数層設ける場合には、前記膜の各層の厚さを調整する
ことにより特別の機能を与えることができるものであっ
て、例えば、基体の表面に、屈折率の異なる被覆膜を、
光の4分の1波長に相当する厚さで設けるようにする
と、光はすべて反射される。この手段を鉄、コバルト、
ニッケルなどの金属粉末或は金属の合金粉末、或いは窒
化鉄の粉末などの磁性体を基体とするものに適用する
と、光を全反射して白色に輝く磁性トナー用磁性粉体を
得ることができる。さらに、その粉体の上に着色層を設
け、その上に樹脂層を設ければ、カラー磁性トナーが得
られることを開示している(特開平7ー90310号公
報)。
【0005】更に、本発明者らは多層膜の物質の組み合
わせおよび膜厚を制御することにより、多層膜の反射光
干渉波形を調製できることを見出し、染料や顔料を用い
ずとも、長期保存においても安定な色調を有する多層膜
被覆粉体を提供することを開示した(WO96/282
69)。
【0006】前記したように、本発明者らは金属粉体又
は金属化合物粉体の表面に金属酸化物や金属の被膜を形
成して、基体になる金属又は金属化合物粉体が備えてい
る性質の他に別の性質を付与して機能性の高い金属又は
金属化合物粉体を開発することに努めてきた。なお、前
記金属粉体又は金属化合物粉体の表面に金属酸化物の被
膜を形成するためには、前記の通り金属アルコキシドの
加水分解による製膜方法が用いられていた。しかしなが
ら、この金属アルコキシドの加水分解による方法は、溶
媒として、引火性の高い有機系のもの(アルコール等)
を使用し、また原料として、高価な化合物である金属ア
ルコキシドを使用するためコスト高となる。更に引火性
の高い有機溶媒を用いるためには、製造装置を防爆設備
としたり、温度、湿度の管理が厳しく、それを用いて製
造した製品の価格も総合的に当然高価なものとなる問題
がある。
【0007】他方、上記の問題の解決法として、コスト
的に有利である水溶液中で被膜を形成する、金属塩水溶
液からの沈殿で被膜を形成する方法がある。しかし、こ
の方法では、基体粒子となる粉体粒子が特に金属の場
合、それらの反応剤や副生物である酸やアルカリに侵さ
れるために溶けてしまうという欠点がある。そこで本発
明者らは、極めて緻密で、不活性で、耐久性の面からも
好ましい金属酸化物膜を基体粒子上に、前記の金属アル
コキシドの加水分解法により製膜し、その層の上に、水
溶液中での金属塩の反応により金属水酸化物膜あるいは
金属酸化物膜を製膜する方法を開示した(特開平10−
1702号公報)。基体粒子が金属アルコキシドの加水
分解法による金属酸化物膜で被覆されているものである
ならば、金属塩水溶液からの沈殿法を使用しても、その
沈殿法の反応条件が基体粒子を侵すことがない。しかし
ながら、この方法においても、金属アルコキシドの加水
分解による金属酸化物膜の製膜が必須であり、十分な低
コスト化が達成されていない。
【0008】本発明者らは、上記の欠点を解決するため
種々検討し、基体粒子が金属の場合でも、製膜反応溶媒
として、緩衡溶液を用い、pH一定条件の水系溶媒を用
いることにより、液相中に固相のみを析出させることな
く、かつ粒子の凝集を抑制しながら、基体粒子表面に固
相膜を均一に製膜することを見出し、その膜被覆粉体お
よびその製造方法を開示した(特願平9−298717
号)。上記のように、pH一定条件の水系溶媒を用いる
ならば、基体粒子が金属の場合でも、金属塩水溶液から
の沈殿法の反応条件が基体粒子を侵すことがないことが
判明した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法においては金属基体の原料として金属粉を用いる点
が、更なる改良が望まれる問題として、指摘されてい
る。金属粉は大気中で劣化・反応し易く、その中でも、
特に鉄粉などは発火性を有し、消防法では危険物第2類
可燃性固体に分類され、取扱が困難であり、また高価で
あり、この点から解決が望まれていた。従って、本発明
の目的は、上記従来技術の問題を解決し、多層膜被覆粉
体を製造する場合に、取扱いの容易な基体粒子原料を用
い、製膜法としては、低コスト化が達成できる水系溶媒
を用いる金属塩水溶液からの沈殿法を適用し、製造装置
も防爆設備を必要とせず、温度、湿度の管理も容易であ
り、総合的に製品の価格も安価に得られ、かつ基体粒子
として金属粒子を用いた場合と同様に機能性の高い、多
層膜被覆粉体およびその製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、基体粒子
の原料として、金属化合物粒子を用い、その表面上に金
属塩水溶液からの沈殿法で酸化物膜を形成し、この酸化
物膜を被覆した粉体を還元すると、該基体粒子は還元に
より金属粒子となり、酸化物膜は酸化防止膜となること
を見出した。また、金属の基体粒子がこの酸化防止膜に
より被覆されているものであるならば、金属塩水溶液か
らの沈殿法を使用しても、金属基体粒子が侵されること
がないことを見出した。本発明者らはこれらの見出した
知見に基づいて本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明の多層膜被覆粉体および
その製造方法は下記の構成である。 (1) 金属基体の表面に多層の金属酸化物膜または金
属水酸化物膜を有する粉体において、金属化合物粒子の
表面上に酸化物膜を形成し、この酸化物膜を形成した金
属化合物粒子を還元して酸化防止膜被覆金属粒子とし、
該酸化防止膜被覆金属粒子の表面に、水溶液中での金属
塩の反応により、金属水酸化物膜または金属酸化物膜を
形成したことを特徴とする多層膜被覆粉体。 (2) 前記酸化防止膜の厚さが1nm〜200μmで
あることを特徴とする前記(1)に記載の多層膜被覆粉
体。 (3) 前記還元が、水素雰囲気下で行われることを特
徴とする前記(1)に記載の多層膜被覆粉体。
【0012】(4) 前記還元の温度が350〜110
0℃であることを特徴とする前記(1)に記載の多層膜
被覆粉体。 (5) 前記還元の時間が30分〜10時間であること
を特徴とする前記(1)に記載の多層膜被覆粉体。 (6) 前記水溶液中での金属塩の反応により形成され
た金属水酸化物膜または金属酸化物膜が、その形成後に
加熱処理してなる被覆膜であることを特徴とする前記
(1)に記載の多層膜被覆粉体。 (7) 前記金属水酸化物膜または金属酸化物膜の厚さ
が10nm〜10μmであることを特徴とする前記
(1)〜(6)に記載の多層膜被覆粉体。
【0013】(8) 金属基体の表面に多層の金属酸化
物膜または金属水酸化物膜を有する粉体の製造方法にお
いて、金属化合物粒子の表面上に酸化物膜を形成し、こ
の酸化物膜を形成した金属化合物粒子を還元して酸化防
止膜被覆金属粒子とし、該酸化防止膜被覆金属粒子の表
面に、水溶液中での金属塩の反応により、金属水酸化物
膜または金属酸化物膜を形成することを特徴とする多層
膜被覆粉体の製造方法。 (9) 前記酸化防止膜の厚さが1nm〜200μmで
あることを特徴とする前記(8)に記載の多層膜被覆粉
体の製造方法。 (10) 前記還元が、水素雰囲気下で行われることを
特徴とする前記(8)に記載の多層膜被覆粉体の製造方
法。
【0014】(11) 前記還元の温度が350〜11
00℃であることを特徴とする前記(8)に記載の多層
膜被覆粉体の製造方法。 (12) 前記還元の時間が30分〜10時間であるこ
とを特徴とする前記(8)に記載の多層膜被覆粉体の製
造方法。 (13) 前記水溶液中での金属塩の反応により形成さ
れた金属水酸化物膜または金属酸化物膜が、その形成後
に加熱処理してなる被覆膜であることを特徴とする前記
(8)に記載の多層膜被覆粉体の製造方法。 (14) 前記金属水酸化物膜または金属酸化物膜の厚
さが10nm〜10μmであることを特徴とする前記
(8)〜(13)に記載の多層膜被覆粉体の製造方法。
【0015】本発明は上記のように、基体粒子の原料と
して劣化・反応し易く危険物である金属粉を用いずに、
取扱いの容易な金属化合物粉を用い、製膜法としては、
低コスト化が達成できる水系溶媒および水溶性原料を用
いる金属塩水溶液からの沈殿法を用いて、厚さが均一
で、所望の膜厚を有する多層膜被覆粉体を容易に製造す
ることを可能とすることができた。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において、前記本発明の多
層膜被覆粉体を製造する場合の基体の原料としては、
鉄、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウ
ム、サマリウム等の金属、またはこれらの合金の化合物
からなる粉体が使用できる。前記化合物としては、金属
酸化物、例えば鉄、コバルト、ニッケル、クロム、チタ
ン、アルミニウム、ケイ素(この場合ケイ素は金属に分
類するものとする)、サマリウム等の酸化物の他、カル
シウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属
酸化物あるいはこれらの複合酸化物、複合化合物等が挙
げられる。本発明においては、その目的の一つがカラー
磁性トナーやカラー磁性インクのような磁性を有する粉
体を製造することにあるので、その場合本発明の多層膜
被覆粉体の基体としては強磁性体を使用することが好ま
しい。従って、金属鉄を基体とする場合の原料として
は、四三酸化鉄、二三酸化鉄等の鉄酸化物や水酸化鉄、
炭酸鉄、炭化鉄、窒化鉄などの鉄化合物、コバルトを基
体とする場合の原料としては、酸化コバルト、炭酸コバ
ルト、水酸化コバルト等のコバルトの化合物が好まし
い。電気分極、導電性などの電気特性を有する金属を基
体とする場合の原料としては、酸化銀、硝酸銀、塩化
銀、酸化銅、炭酸銅、酸化亜鉛、酸化鉛あるいは前記金
属化合物の複合化合物が好ましい。粉体の電気分極、導
電性などの電気特性を考慮すると、銀、銅、金、アルミ
ニウムやそれらの合金の化合物が好ましい。
【0017】本発明の多層膜被覆粉体において、酸化防
止膜とは、前記多層膜被覆粉体の基体である金属成分の
酸化を長期にまたは半永久的に防止するものである。酸
化防止膜の物質としては、前記多層膜被覆粉体の金属成
分の酸化を長期にまたは半永久的に防止するものであれ
ば特に限定されないが、緻密な酸化物等が挙げられ、強
度、成膜性等の点から金属酸化物が好ましい。前記酸化
防止膜に適用される金属酸化物としては、ケイ素、チタ
ン、アルミニウム、ジルコニウム、錫、鉄、マンガン、
ニッケル、クロム、亜鉛、カドミウム、鉛、リチウム、
インジウム、ネオジウム、ビスマス、セリウム、アンチ
モン、カルシウム、マグネシウム、バリウム等の金属の
酸化物が挙げられる。
【0018】本発明の多層膜被覆粉体を製造する場合の
中間体である酸化防止膜被覆金属粒子、即ち、酸化防止
膜で被覆された金属基体粒子を製造するには、金属基体
粒子の原料となる金属化合物粒子の表面に酸化物膜を形
成し、この酸化物膜を形成した金属化合物粒子を還元す
る方法が採られる。この方法について、以下に詳細に説
明する。金属基体粒子の原料となる金属化合物粒子(以
下、単に基体原料粒子ともいう)とは、還元により金属
の単体または合金になるものである。この基体原料粒子
の具体例としては、前記の通りであるが、特にマグネタ
イトやCoフェライト、Niフェライトに代表されるフ
ェライト粒子および複合金属フェライト粒子を挙げるこ
とができる。これら基体原料粒子は、公知の共沈法や金
属イオンの還元法、CVD法等により作成可能である。
特に、フェライト粒子の場合には共沈法で作成すること
により、粒径数nm〜数十nm程度の粒径の揃った微粒
子を得ることができる。
【0019】前記基体原料粒子の表面に酸化物膜を形成
するには、水溶液中で金属塩類を中和、加水分解する方
法などがある。この方法としては、金属塩の反応のう
ち、最も一般的である金属塩水溶液の反応による沈殿処
理がある。この処理に用いられる金属塩についていう
と、金属の酸性塩の場合が特に問題となる。金属塩の反
応においては、中和や熱分解が代表的に用いられるが、
それ以外の反応でもよい。本発明において、金属塩とし
て使用される金属は、鉄、ニッケル、クロム、チタン、
亜鉛、アルミニウム、カドミウム、ジルコニウム、ケイ
素、錫、鉛、マンガン、リチウム、インジウム、ネオジ
ウム、ビスマス、セリウム、アンチモン等の他、カルシ
ウム、マグネシウム、バリウム等が挙げられる。
【0020】また、これら金属の塩としては、硫酸、硝
酸、塩酸、シュウ酸、炭酸やカルボン酸の塩が挙げられ
る。さらにまた、前記金属のキレート錯体も含まれる。
本発明において使用される金属塩の種類は、その粉体の
表面に付与しようとする性質や製造に際して適用する手
段に応じてそれに適するものが選択される。酸化物膜は
基体の還元された金属と容易に反応しない組合わせがよ
い。特に多層干渉膜の場合には基体粒子と反応により光
学特性が変化しないものが好ましい。例えば、鉄の基体
に対しては、珪素、アルミニウム、亜鉛、鉛等の金属酸
化物が、反応し形成される物質の反応温度が高いため好
ましい。従って、後記の熱処理温度である、350〜1
100℃、好ましくは400〜900℃、より好ましく
は450〜800℃で反応生成物が形成されないことが
必要である。
【0021】上記のごとく処理することにより、基体原
料粒子の表面に酸化物膜を形成した粉体粒子が得られ
る。そして、以上のようにして得られた酸化物膜被覆基
体原料粒子を含む溶液を静置して液相と固相とに相分離
させ、液相中に浮遊する超微粒子のみを採取する。ここ
で、遠心分離器を用いて超微粒子のみを採取することも
できる。この超微粒子は平均粒径10nm程度であり、
再分散の際に、沈降することなく優れた分散性が得られ
る。
【0022】この酸化物膜を被覆した基体原料粒子を還
元し、基体を金属化して磁性を強くし、酸化物膜を完全
な酸化防止膜とした磁性金属粒子を得ることができる。
前記還元は、還元雰囲気として、水素、一酸化炭素など
用いられるが、水素が最も膜透過性に適しており、水素
ガス雰囲気に保った炉の中で、温度範囲350〜110
0℃、好ましくは400〜900℃、より好ましくは4
50〜800℃で焼成を行う。350℃未満では還元が
不十分であり、1100℃を超えた温度では粒子同志が
焼結することがあり、共に不適である。この炉中での還
元時間は膜の厚さにより変わるが、30分〜10時間、
好ましくは1〜7時間、より好ましくは2〜5時間であ
る。30分未満では還元が不十分であり、10時間を超
えると熱量、還元ガスを必要以上に消費し不経済であ
り、また粒子同志が焼結することがあり、共に不適であ
る。
【0023】本発明では、前記還元・焼成処理により、
基体原料粒子が金属に還元されると同時に、高温による
前記酸化物膜の固化と前記金属基体粒子の表面の溶融化
が同時に進行し、酸化物膜と金属基体粒子の界面におい
て結合が生じ、この結果、酸化物膜が完全な酸化防止膜
になるものと思われる。また、前記還元・焼成処理の
際、酸化防止膜は還元処理中の焼結防止膜としても働
く。
【0024】上記の還元・焼成処理条件は、それ自体公
知の方法であるが、主に磁気記録媒体用として好適に使
用することができる磁気特性の優れたマグネタイト、マ
グヘマイト、金属鉄などの針状の磁性粉末(長軸:0.
1〜0.3μm)を得るための処理として用いられてき
た(例えば、特開昭59−213626号公報、特開昭
58−161709号公報)。しかし本発明において
は、基体原料粒子を還元して金属化し、磁性を強くした
酸化防止膜被覆金属粒子を得ることが目的であり、平均
粒径が、5〜20nmである超微粒子に適用し、優れた
結果を得ることができた。
【0025】酸化防止膜で被覆された金属化合物粒子の
平均粒径の範囲は、5〜20nmであり、好ましくは6
〜15nm、さらに好ましくは7〜12nmであり、8
〜10nmならば最適である。5nm未満では磁性が弱
くなり、20nmを超えて大きくなると、再分散の際、
液中で沈降が生じ、共に不適である。酸化防止膜で被覆
された金属粒子(還元後)の飽和磁化の数値範囲は、7
0〜200emu/gであり、好ましくは100〜20
0emu/gである。
【0026】また、酸化防止膜は干渉膜として利用でき
ることが多層膜干渉に必要であり、一回で干渉に十分な
厚さを得ることが理想である。しかし、あまり厚くなる
と水素等還元ガスによる還元効率が悪くなったり、製膜
に長時間を要する。このため、酸化防止膜の膜厚は、1
〜200nm、好ましくは1〜150nm、より好まし
くは1〜50nmである。1nm未満では酸化防止膜と
ならず、200nmを超えて厚くなると干渉膜とならな
い。また、還元は還元ガスの酸化防止膜に対する透過・
拡散速度できまるため酸化防止膜が厚すぎると還元効率
が著しく悪くなり、基体粒子の中心部が還元されないの
で原料芯が残ることがある。なお、酸化防止膜としてシ
リカ膜を、金属粒子の金属成分として鉄を用いた場合に
は、SiO2 とFeの重量割合(SiO2 /Fe)が
0.1〜20wt%、好ましくは0.1〜10wt%、
さらに好ましくは0.5〜7wt%である。酸化防止膜
または磁性金属粒子の金属成分として、それぞれ別のも
のを適用する場合には、適宜好ましい重量割合を設定す
ればよい。
【0027】本発明においては、上記酸化防止膜被覆金
属粒子の酸化防止膜上に、前記酸化物膜の形成と同様
に、水溶液中での金属塩の反応により、金属水酸化物膜
あるいは金属酸化物膜を製膜する。この方法により、屈
折率が互いに異なる複数の被膜層を用い、各被膜層の屈
折率および層厚を適宜選択して被覆し、その干渉色によ
り着色された粉体とすることができる。前記したよう
に、酸化防止膜被覆金属粒子の表面上に水溶液中での金
属塩の反応により金属水酸化物膜あるいは金属酸化物膜
を析出させる。固相析出反応の溶媒として、水を用いる
が、好ましくは緩衡溶液を用い、ある一定のpHで適当
な速さで析出させることが好ましい。
【0028】これらの水溶液中での金属塩の反応による
金属酸化物等の膜は、複数層形成してもよく、またそれ
らの金属酸化物等の膜の上に、必要により他の製膜方法
による金属酸化物等の膜を形成することもできる。この
ようにして、酸化防止膜被覆金属粒子は、その上に水溶
液中での金属塩の反応による金属酸化物等の膜を形成し
ても、その形成処理の際に粉体粒子に悪影響を与えない
ので、簡単な操作でかつ安価な原料である金属塩を用い
て金属酸化物等の膜を多層に形成することができる。し
かもその際、各層が所定の厚さをもつように形成条件を
設定することにより、目的とする特性を得ることができ
るようにすることができる。特に、高価な金属アルコキ
シドを原料として用いることなく、多層膜被覆粉体とす
ることができる点は重要な利点である。
【0029】本発明の多層膜被覆粉体を製造する方法で
は、多層被覆膜を連続した工程として製作しても良く、
また、各被覆膜を1層ずつ製膜、あるいは単層製膜と複
層連続製膜を組み合わせるなど種々の方法で製膜するこ
とができる。本発明に係わる多層膜被覆粉体の粒径は、
特に限定されず、目的に応じて適宜調整することができ
るが、通常は0.01μm〜数mmの範囲である。
【0030】本発明において、その1回の製膜処理で形
成させる金属酸化物膜の膜の厚さとしては、5nm〜1
0μmの範囲とすることが可能であり、従来の製膜法よ
り厚くすることができる。複数回に分けて製膜する金属
酸化物膜の合計の厚さとしては、カラー磁性粉体の場
合、その干渉による反射率が良い金属酸化物膜を形成す
るためには、10nm〜10μmの範囲が好ましく、さ
らに好ましくは20nm〜5μmの範囲とすることであ
る。粒径が制限されるなど特に薄い膜厚で可視光を干渉
反射させるためには0.02〜2.0μmの範囲とする
ことが好ましい。金属酸化物膜の合計の厚さが10nm
未満であれば干渉による反射が起こらなかったり、また
は小さく、10μmを超えて厚くなると完全反射とな
り、共に不適である。
【0031】前記したようにして製造した酸化防止膜被
覆金属粒子の表面に金属酸化物膜等を有する粉体は、選
択した基体粒子の材質、及びその表面に被覆した膜の金
属酸化物の材質により、種々の性質を賦与することがで
きるので、それぞれの目的の用途に適用することができ
る。例えば、基体粒子として磁性体の金属鉄の原料であ
る、窒化鉄、四三酸化鉄などを用い、その上の膜として
前記磁性体に比べて屈折率のより低い酸化ケイ素(シリ
カともいう)を被覆し、その外膜としてより屈折率の高
い酸化チタン(チタニアともいう)の層を被覆すれば、
白色度の高い磁性粉が得られる。また、基体粒子として
銀、銅あるいはアルミニウム等の導体を用い、該金属層
の上に金属酸化物として例えば酸化アルミニウムのよう
な電気絶縁性の被覆膜を被覆すれば、電気絶縁性の表面
層を有する熱伝導性粉体が得られる。
【0032】また、例えば、酸化防止膜被覆金属粒子の
表面に、屈折率の異なる被覆を、膜の物質の屈折率と膜
の厚さとの積が電磁波の4分の1に相当するようにその
厚さを調製すると、干渉により光は大部分反射(フレネ
ル反射)される。この作用を利用し、例えば前記酸化防
止膜被覆金属粒子の表面に、銀あるいはコバルト等の高
い反射率の金属層を設け、さらにその外側に前記金属よ
り屈折率の低い酸化ケイ素のような酸化物層を酸化物の
屈折率と膜の厚さとの積が可視光の4分の1波長に相当
するように、厚さを調製して設け、さらにその上に物質
の屈折率と膜の厚さとの積が可視光の4分の1波長に相
当するようにその厚さを調整した酸化チタンのような屈
折率の高い酸化物層を被覆することにより、光を反射し
て、白色に輝いた磁性トナー用磁性粉体を製造すること
ができる。また、製造された粉体を不活性ガス雰囲気の
中で温度200℃〜800℃で熱処理することにより、
さらに強固で白色度の高い粉体とすることができる。上
記、粉体を熱処理する場合、熱処理された粉体の各層に
おいて膜構成物質の屈折率と膜の厚さとの積が可視光の
4分の1波長に相当するような膜の厚さになる条件が満
たされなければならない。
【0033】さらにその粉体の上に着色層を設け、さら
にその上に樹脂層を設ければ、カラー磁性トナーを製造
することができる。なお、可視光の波長は幅があるの
で、磁性トナーを構成する粉体の各被覆膜層の厚さが、
各膜構成物質の屈折率と厚さとの積が可視光の4分の1
波長に相当する範囲で多少異なるようにしたものを、交
互に複数設けてもよい。多層膜被覆粉体を干渉反射で着
色するカラー粉体とする場合には、目的の分光波長の光
が反射されるように、高屈折率膜と低屈折率膜を交互に
フレネル干渉に必要な膜の厚みに製膜する。
【0034】次に一例として、高屈折率の金属酸化物と
低屈折率の金属酸化物の交互多層膜を形成する方法につ
いて具体的に説明する。まず、酸化チタンあるいは酸化
ジルコニウムなどの被膜を形成する場合、酢酸/酢酸ナ
トリウム系等の緩衡溶液中に粉体を浸漬し分散し、チタ
ンあるいはジルコニウムなどの金属塩である硫酸チタ
ン、硫酸ジルコニウム等を原料とし、これら金属塩の水
溶液を反応系に緩やかに滴下し、生成する金属水酸化物
あるいは金属酸化物を粉体のまわりに析出させることに
より行うことができる。この滴下反応の間、pHは上記
緩衡溶液のpH(3.6)に保持される。反応終了後、
この粉体を固液分離し、洗浄・乾燥後、熱処理を施す。
乾燥手段としては真空乾燥、自然乾燥のいずれでもよ
い。また、不活性雰囲気中で噴霧乾燥機などの装置を用
いることも可能である。なお、この場合の被覆膜である
酸化チタンの形成は下記の反応式で示される。 Ti(SO4 ) 2 +2H2O→TiO2 +4H2 (SO4
) 2
【0035】続いて、酸化ケイ素あるいは酸化アルミニ
ウムなどの被膜を形成する場合、KCl/H3BO3系等
にNaOHを加えた緩衡溶液中に上記のチタニアコート
粉体を浸漬し分散し、ケイ素あるいはアルミニウムなど
の金属塩であるケイ酸ナトリウム、塩化アルミニウム等
を原料とし、これら金属塩の水溶液を反応系に緩やかに
滴下し、生成する金属水酸化物あるいは金属酸化物を該
粉体のまわりに析出させることにより行うことができ
る。この滴下反応の間、pHは上記緩衡溶液のpH
(9.0)に保持される。反応終了後、このシリカ膜被
覆粉体を固液分離し、洗浄・乾燥後、熱処理を施す。こ
の操作により、粉体の表面に屈折率の異なる2層の、金
属酸化物膜を形成する操作を繰り返すことにより、多層
の金属酸化物膜をその表面上に有する粉体が得られる。
なお、この場合の被覆膜である酸化ケイ素の形成は下記
の反応式で示される。 Na2SiX 2X+1+H2O→XSiO2+2Na++2O
-
【0036】緩衡溶液は種々の系が用いられ、特に限定
されないが、まず粉体が十分に分散できることが重要で
あり、同時に粉体の表面に析出した金属水酸化物あるい
は金属酸化物の膜被覆粉体も電気2重層の働きで分散で
き、かつ上記の緩やかな滴下反応により緻密な被膜が製
膜ができる条件を満足するように選択する必要がある。
従って、本発明の多層膜被覆粉体の製造法は従来の金属
塩溶液の反応による中和や等電点による析出、または加
熱により分解して析出させる方法とは異なるものであ
る。
【0037】本発明に使用される緩衡溶液としては、析
出させる固相成分に依存し、特に限定されないが、Tr
is系、ホウ酸系、グリシン系、コハク酸系、乳酸系、
酢酸系、酒石酸系、塩酸系等が挙げられる。
【0038】次に、本発明において使用する原料、特に
金属塩について説明する。高屈折率の膜を製膜するのに
使用する原料としては、酸化チタン膜用には、チタンの
ハロゲン化物、硫酸塩等、酸化ジルコニウム膜用には、
ジルコニウムのハロゲン化物、硫酸塩、カルボン酸塩、
シュウ酸塩、キレート錯体等、酸化セリウム膜用には、
セリウムのハロゲン化物、硫酸塩、カルボン酸塩、シュ
ウ酸塩等、酸化ビスマス膜用には、ビスマスのハロゲン
化物、硝酸塩、カルボン酸塩等、酸化インジウム膜用に
は、インジウムのハロゲン化物、硫酸塩等が好ましい。
また、低屈折率の膜を製膜するのに使用する原料として
は、酸化ケイ素膜用には、ケイ酸ソーダ、水ガラス、ケ
イ素のハロゲン化物、アルキルシリケート等の有機ケイ
素化合物とその重合体等、酸化アルミニウム膜用には、
アルミニウムのハロゲン化物、硫酸塩、キレート錯体
等、酸化マグネシウム膜用には、マグネシウムの硫酸
塩、ハロゲン化物等が好ましい。また、例えば酸化チタ
ン膜の場合には、塩化チタンに硫酸チタンを混合する
と、より低温で屈折率の高いルチル型の酸化チタン膜に
なる等の効果がある。
【0039】また、被覆膜の製膜の際の反応温度を、各
金属塩の種類に適した温度に管理して被覆することによ
り、より完全な酸化物膜を製作することができる。水系
溶媒中での粉体の表面への被膜形成反応(固層析出反
応)が遅すぎる場合には、反応系を加熱して固層析出反
応を促進することもできる。但し、加熱の熱処理が過剰
であると、該反応速度が速すぎて、過飽和な固層が膜に
ならず、水溶液中に析出し、ゲルあるいは微粒子を形成
し、膜厚制御が困難になる。被覆膜は製作後、蒸留水を
加えながら傾斜洗浄を繰り返して、電解質を除去した
後、乾燥・焼成等の熱処理を施し、固相中に含まれた水
を除去して、完全に酸化物膜とすることが好ましい。ま
た、製膜後の粉体を回転式チューブ炉などで熱処理する
ことにより、固着を防ぐことができ、分散された粒子を
得ることができる。
【0040】水酸化物膜あるいは酸化物膜を形成し、そ
れを熱処理するには、各層を被覆する毎に熱処理しても
良く、また、目的の多層膜を完成後最後に熱処理しても
良い。熱処理条件は反応系により異なるが、上記の熱処
理温度としては200〜1300℃であり、好ましくは
400〜1100℃である。200℃未満では塩類や水
分が残ってしまう事あり、1300℃を超えて高くなる
と、隣り合う膜同志や膜と基体とが界面で反応し別の物
質となることがあり、共に不適である。熱処理時間とし
ては0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜5
0時間である。
【0041】
【実施例】以下に本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、勿論本発明の範囲は、これらによって限定
されるものではない。 実施例1 (水ガラスを用いて酸化防止膜を形成する方法:水系2
層被膜)水ガラス48gを、水1リットルに溶解し、平
均粒径0.5μmのマグネタイト粉12gを加え、超音
波により十分に分散した後、これを95℃で加熱しなが
ら、1M硫酸40mlを1.6ml/minの速さで添
加し、添加後2時間反応させ、含水シリカ膜を形成し
た。シリカ膜が形成された膜被覆粉体を含む溶液に脱イ
オン水を加え、デカンテーションを繰り返すことにより
電解質を除去した。前記洗浄後、真空乾燥機で100℃
で8時間乾燥した後、回転式チューブ炉を用い、100
%水素雰囲気中で、400℃で3時間保持した後、炉を
放冷し還元を行い、シリカ被覆鉄粉11gを得た。得ら
れたシリカ被覆鉄粉は、それぞれの粒子が分離し、10
kOeでの磁化は184emu/gであった。XRD
(X線回折装置の略;Phlips社製、MPD−18
80)で解析した結果すべて鉄に還元されていた。 緑
色を目標とした1層目の光学膜厚は目標の75nmに対
し53nmであり、不足である。不足分を補うため再度
製膜した。
【0042】(水ガラスを用いて1層目不足分の膜厚調
整)水ガラス28gを、水1リットルに溶解し、前記シ
リカ膜被覆鉄粉11gを加え、超音波により十分に分散
した後、これを95℃で加熱しながら、1M硫酸25m
lを1.6ml/minの速さで添加し、添加後2時間
反応させ、含水シリカ膜を形成した。シリカ膜が形成さ
れた膜被覆粉体を含む溶液に脱イオン水を加え、デカン
テーションを繰り返すことにより電解質を除去した。前
記洗浄後、真空乾燥機で100℃で8時間乾燥した後、
回転式チューブ炉を用い、100%水素雰囲気中で、4
00℃で3時間保持した後炉を放冷し還元を行い、シリ
カ被覆鉄粉10gを得た。得られたシリカ被覆鉄粉は、
それぞれの粒子が分離し、10kOeでの磁化は178
emu/gであった。XRD(X線回折装置の略);P
hlips社製、MPD−1880で解析した結果すべ
て鉄に還元されていた。1層目の光学膜厚は目標の75
nmに対し75nmで目標の厚さが得られた。
【0043】(シリカ膜被覆鉄粉への2層目チタニア膜
コーティング)酢酸0.3Mと酢酸ナトリウム0.3M
緩衝溶液を合計で500mlになるように調整し、この
緩衝溶液中に前記シリカ膜被覆鉄粉10gを加え、超音
波により十分に分散した後、1M硫酸チタン水溶液78
mlと1N−NaOH133mlを両者同じく1.67
ml/minの速さで添加して、添加後2時間反応させ
チタニア膜を形成した。チタニア膜が形成された膜被覆
粉体を含む溶液に脱イオン水を加え、デカンテーション
を繰り返すことにより電解質を除去した。含水チタニア
/シリカ被覆鉄粉を沈降させ、濾別し、固液分離したの
ち、真空乾燥機で、100℃で8時間乾燥し、さらに、
回転式チューブ炉を用い、窒素ガス雰囲気で、500℃
で3時間保持した後炉を放冷し、緑色のチタニア/シリ
カ被覆鉄粉10gを得た。得られたシリカ被覆鉄粉は、
それぞれの粒子が分離し、10kOeでの磁化は167
emu/gであった。
【0044】比較例1 水ガラス75gを、水1リットルに溶解し平均粒径0.
5μmのマグネタイト粉12gを加え、超音波により十
分に分散した後、これを95℃で加熱しながら、1M硫
酸70mlを1.1ml/minの速さで添加し、添加
後2時間反応させ、含水シリカ膜を形成した。シリカ膜
が形成された膜被覆粉体を含む溶液に脱イオン水を加
え、デカンテーションを繰り返すことにより電解質を除
去した。前記洗浄後、真空乾燥機で100℃で8時間乾
燥した後、乾燥粉を回転式チューブ炉を用い、100%
水素雰囲気中で、400℃で3時間保持した後炉を放冷
し還元を行いシリカ被覆鉄粉11gを得た。得られたシ
リカ被覆鉄粉は、それぞれの粒子が分離し、10kOe
での磁化は184emu/gであった。XRDで解析し
た結果、鉄が大部分(9割以上)であったが少量の未還
元マグネタイトが検出された。緑色を目標とした1層目
の光学膜厚は目標の75nmに対し80nmであり、厚
さが厚すぎるために、還元反応が不十分であったと考え
られる。
【0045】実施例2 比較例1と同様の方法で乾燥粉(シリカ膜被覆マグネタ
イト粉)11gを得、これを還元温度だけを、450℃
で3時間、保持した後、炉を放冷し還元を行った。この
場合は、XRDで解析した結果すべてが鉄であった。
【0046】実施例3 比較例1と同様の方法で乾燥粉(シリカ膜被覆マグネタ
イト粉)11gを得、これを還元温度だけを、400℃
で6時間、保持した後、炉を放冷し還元を行った。この
場合は、XRDで解析した結果すべてが鉄であった。
【0047】実施例4 (緩衝溶液と水ガラスを用いて酸化防止膜を形成する方
法:水系4層被膜)pH8.5の緩衝溶液(0.4Mほ
う酸、0.4M塩化カリウムおよび0.4Mほう酸ナト
リウムの水溶液)1リットルに、平均粒径0.5μmの
マグネタイト粉12gを加え、超音波により十分に分散
した。この混合溶液にSiO2換算で10wt%の水ガ
ラス溶液60mlを滴下し、含水シリカ膜を形成した。
形成された膜被覆粉体を含む溶液に脱イオン水を加え、
デカンテーションを繰り返すことにより電解質を除去し
た。前記水溶液中の含水シリカ膜被覆マグネタイト粉を
沈降させ、濾別し、固液分離したのち、真空乾燥機で、
100℃で8時間乾燥し、還元用原料シリカ被覆マグネ
タイト粉とした。還元は回転式チューブ炉を用い、水素
ガス雰囲気で、400℃で、2時間、次いで500℃で
3時間保持した後、炉を放冷し還元を行いシリカ被覆鉄
粉10gを得た。得られたシリカ被覆鉄粉は、それぞれ
の粒子が分離し、10kOeでの磁化は177emu/
gであった。XRDで解析した結果すべて鉄に還元され
ていた。この光学膜厚は67nmであり、青色の原料の
目標に合致した。
【0048】(シリカ膜被覆鉄粉への2層目チタニア膜
コーティング)酢酸0.3Mと酢酸ナトリウム0.3M
の緩衝溶液を合計で500mlになるように調整し、こ
の緩衝溶液中に前記シリカ膜被覆鉄粉10gを加え、超
音波により十分に分散した。1M塩化チタン水溶液80
mlと1N−NaOH 80mlを両者同じく1.67
ml/minの速さで添加して、添加後2時間反応させ
チタニアを形成した。形成された膜被覆粉体を含む溶液
に脱イオン水を加え、デカンテーションを繰り返すこと
により電解質を除去した。含水チタニアシリカ被覆鉄粉
を沈降させ、濾別し、固液分離したのち、真空乾燥機
で、100℃で8時間乾燥し、さらに、回転式チューブ
炉を用い、窒素ガス雰囲気で、500℃で3時間保持し
た後炉を放冷し、チタニアシリカ被覆鉄粉10gを得
た。
【0049】(チタニアシリカ膜被覆鉄粉への3層目シ
リカ膜コーティング)1層目と同様の緩衝溶液(0.4
Mほう酸、0.4M塩化カリウムおよび0.4Mほう酸
ナトリウムの水溶液)1リットルに、チタニアシリカ被
覆鉄粉10gを加え、超音波により十分に分散した。こ
の混合溶液にSiO2換算で10wt%の水ガラス溶液
58mlを滴下し、含水シリカ膜を形成した。形成され
た3層目含水シリカ膜被覆粉体を含む溶液に脱イオン水
を加え、デカンテーションを繰り返すことにより電解質
を除去した。前記水溶液中の含水シリカ膜被覆鉄粉を沈
降させ、濾別し、固液分離したのち、真空乾燥機で、1
00℃で8時間乾燥し、還元用原料3層目シリカ被覆鉄
粉9gを得た。
【0050】(3層目シリカ膜被覆鉄粉への4層目チタ
ニア膜コーティング)酢酸0.3Mと酢酸ナトリウム
0.3M緩衝溶液を合計で500mlとなるように調整
し、この緩衝溶液中に前記3層目シリカ膜被覆鉄粉9g
を加え、超音波により十分分散し、1M塩化チタン水溶
液80mlと1N−NaOH 85mlを両者同じく
1.67ml/minの速さで添加して、添加後2時間
反応させ4層目チタニア膜を形成した。チタニア膜が形
成された膜被覆粉体を含む溶液に脱イオン水を加え、デ
カンテーションを繰り返すことにより電解質を除去し
た。4層目含水チタニア膜被覆鉄粉を沈降させ、濾別
し、固液分離したのち、真空乾燥機で、100℃で8時
間乾燥し、4層目チタニア膜被覆鉄粉8gを得た。得ら
れた4層目チタニア膜被覆鉄粉は、430nmの反射ピ
ーク反射率が35%の鮮やかな青色であった。また平均
粒径0.85μmで、それぞれの粒子が分離し、10k
Oeでの磁化は144emu/gであった。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、多層膜
被覆粉体の製造において、基体粒子の原料として、大気
中で劣化・反応し易く危険物である金属粒子を用いず
に、取扱いの容易な金属化合物を用い、この金属化合物
粒子の表面に酸化物膜を形成した粒子を還元する方法を
用い、製膜法としては、低コスト化が達成できる水系溶
媒および水溶性原料を用いる金属塩水溶液からの沈殿法
を用いるにも係わらず、厚さが均一で、所望の膜厚を有
し、干渉により着色されたカラー磁性粉体などの多層膜
被覆粉体を容易に製造することを可能とすることができ
る。また、高価な化合物である金属アルコキシドや引火
性の高い有機溶媒を用いることなく、水を溶媒として用
い、製造施設も防爆設備を必要とせず、温度、湿度の管
理も容易であり、総合的に製品の価格も安価に得られ、
かつ基体粒子の原料として金属粒子を用いることなく、
機能性の高い、多層膜被覆粉体およびその製造方法を提
供できるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中塚 勝人 宮城県仙台市太白区茂庭台四丁目3番5の 1403号 Fターム(参考) 4K018 BC22 BC28 4K022 AA02 BA33 4K026 BA08 BA12 4K044 AA01 AB01 BA12 BB02

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基体の表面に多層の金属酸化物膜ま
    たは金属水酸化物膜を有する粉体において、金属化合物
    粒子の表面上に酸化物膜を形成し、この酸化物膜を形成
    した金属化合物粒子を還元して酸化防止膜被覆金属粒子
    とし、該酸化防止膜被覆金属粒子の表面に、水溶液中で
    の金属塩の反応により、金属水酸化物膜または金属酸化
    物膜を形成したことを特徴とする多層膜被覆粉体。
  2. 【請求項2】 前記酸化防止膜の厚さが1nm〜200
    μmであることを特徴とする請求項1に記載の多層膜被
    覆粉体。
  3. 【請求項3】 前記還元が、水素雰囲気下で行われるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の多層膜被覆粉体。
  4. 【請求項4】 前記還元の温度が350〜1100℃で
    あることを特徴とする請求項1に記載の多層膜被覆粉
    体。
  5. 【請求項5】 前記還元の時間が30分〜10時間であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の多層膜被覆粉体。
  6. 【請求項6】 前記水溶液中での金属塩の反応により形
    成された金属水酸化物膜または金属酸化物膜が、その形
    成後に加熱処理してなる被覆膜であることを特徴とする
    請求項1に記載の多層膜被覆粉体。
  7. 【請求項7】 前記金属水酸化物膜または金属酸化物膜
    の厚さが10nm〜10μmであることを特徴とする請
    求項1〜6に記載の多層膜被覆粉体。
  8. 【請求項8】 金属基体の表面に多層の金属酸化物膜ま
    たは金属水酸化物膜を有する粉体の製造方法において、
    金属化合物粒子の表面上に酸化物膜を形成し、この酸化
    物膜を形成した金属化合物粒子を還元して酸化防止膜被
    覆金属粒子とし、該酸化防止膜被覆金属粒子の表面に、
    水溶液中での金属塩の反応により、金属水酸化物膜また
    は金属酸化物膜を形成することを特徴とする多層膜被覆
    粉体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記酸化防止膜の厚さが1nm〜200
    μmであることを特徴とする請求項8に記載の多層膜被
    覆粉体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記還元が、水素雰囲気下で行われる
    ことを特徴とする請求項8に記載の多層膜被覆粉体の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 前記還元の温度が350〜1100℃
    であることを特徴とする請求項8に記載の多層膜被覆粉
    体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記還元の時間が30分〜10時間で
    あることを特徴とする請求項8に記載の多層膜被覆粉体
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記水溶液中での金属塩の反応により
    形成された金属水酸化物膜または金属酸化物膜が、その
    形成後に加熱処理してなる被覆膜であることを特徴とす
    る請求項8に記載の多層膜被覆粉体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記金属水酸化物膜または金属酸化物
    膜の厚さが10nm〜10μmであることを特徴とする
    請求項8〜13に記載の多層膜被覆粉体の製造方法。
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