JP2001220523A - 赤色色材組成物およびその製造方法 - Google Patents

赤色色材組成物およびその製造方法

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JP2001220523A JP2000030626A JP2000030626A JP2001220523A JP 2001220523 A JP2001220523 A JP 2001220523A JP 2000030626 A JP2000030626 A JP 2000030626A JP 2000030626 A JP2000030626 A JP 2000030626A JP 2001220523 A JP2001220523 A JP 2001220523A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属アルコキシドの加水分解による方法を用
いずに、高価な金属アルコキシドや引火性の高い有機溶
媒を使用することなく、製造施設も防爆設備を必要とせ
ず、温度、湿度の管理も容易であり、総合的に製品の価
格も安価に得られ、機能性も高く、十分な明度を有する
鮮やかな、赤色色材組成物およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 基体粒子の表面に水系溶媒中での金属塩
の反応により形成された被覆膜を少なくとも1層有し6
00〜800nmの間にピークを有する反射スペクトル
を示す赤色粉体を含有することを特徴とし、更に該被覆
膜の少なくとも1層が、空隙を有する結晶化微粒子の集
合体として構成されたものであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤色色材組成物お
よびその製造方法に関するものであり、詳細には、高価
な原料や危険な有機溶媒を用いずとも、安価かつ安全な
方法により製造することができ、インキ、プラスチック
・紙用フィラー、トナー、インクジェットプリンター用
インク、偽造防止用インキ・トナー、一般塗料、自動車
用粉体顔料・塗料、静電塗装用塗料、化粧品、頭髪装飾
用、顔料組成物、工芸品・陶芸品など美術品用顔料組成
物および塗料、多色性塗料用顔料組成物、繊維着色用
(坦持)顔料組成物、玩具用塗料、化粧紙・化粧板用塗
料及びフィラー、プラスチックおよび金属用塗料及びフ
ィラー、ディスプレイ用顔料組成物、表示媒体用、磁気
記録媒体用塗料、触媒塗料および耐熱塗料用顔料組成物
等多種の目的に用いられる赤色色材組成物およびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真や印刷の技術分野におい
て、取り扱う画像のカラー化が一般的となり、カラー化
に関する技術について様々な検討が行われている。特に
電子写真におけるトナーや印刷における印刷インクなど
はその代表的なものである。この様なトナーや印刷イン
キ等を総称して、色材組成物ということもある。カラー
画像を得るためには、上記の色材組成物の中でも、特に
赤色のものが重要となることがある。赤色は、光の3原
色の一つであり、また人に対して心理的に暖かさ、活
力、情熱、また注意を与える重要な色素である。このよ
うな赤色系の色調を有し、かつ特定の機能を有する色材
組成物を得ることは産業上大いに意義のあることであ
る。例えば、電子写真方式によるトナー自身が磁性を備
える1成分系現像法では、従来のモノクロでの複写、プ
リントにおいては、黒い磁性トナーが使われている。ま
た、印刷の分野においても、印刷画像に磁気識別機能を
持たせるため磁性粉を含有させ黒い磁性インクとするこ
とがある。しかし、カラー画像の複写、プリントにおい
ては、黒色以外に赤色または鮮やかな原色に着色し、か
つ磁気特性を保持した磁性トナー、磁性インクとする必
要がある。この1成分系カラー磁性トナーやカラー磁性
インクにより鮮明なカラー画像を得るには、磁性トナ
ー、インクなどの色材組成物自身を鮮やかな色に着色す
る必要があるが、その中に含まれる磁性体粒子は一般に
黒色であるため、その色材組成物中に直接、顔料、染料
を添加したり、該磁性体粒子の表面に直接着色層を設け
ても全体としては暗い色調の色材組成物となる問題があ
る。
【0003】これに対して、本発明者らは、先に基体粒
子上に金属膜を形成し、その膜の反射効果により、粉体
を白色化する方法(特開平3−271376号公報、特
開平3−274278号公報)、金属アルコキシド溶液
中に基体粒子を分散し、金属アルコキシドを加水分解す
ることにより、基体粒子の表面に均一な0.01〜20
μmの厚みの金属酸化物膜を生成させる方法(特開平6
−228604号公報)、表面に金属酸化物からなる薄
膜と、金属からなる薄膜とを交互に複数層設けて機能性
粉体とすること(特開平7−90310号公報)、金属
酸化物膜で多層被覆してなる粉体を熱処理して、より緻
密で安定した金属酸化物多層膜を有する粉体を製造する
こと(国際公開WO96/28269号公報)を提案し
ている。
【0004】特に、上記に挙げた金属酸化物膜や金属膜
を複数層設けた粉体は、各層の膜厚を調整することによ
り特別の機能を付与することができるものであって、例
えば基体粒子の表面に、屈折率の異なる被覆膜を入射光
の4分の1波長に相当する厚さずつ設けるようにする
と、入射光を全て反射する粉体が得られる。これを磁性
体を基体粒子とするものに適用すると、光を反射して白
色のトナー用粉体を製造することができ、更にこの粉体
の表面の前記光干渉性多層膜を構成する各単位被覆層が
特定の同一波長の干渉反射ピークを有するように、膜厚
を設定すると、染料や顔料を用いずとも、単色の粉体に
することができることを示唆している。上記特開平6−
228604号公報、特開平7−90310号公報、国
際公開WO96/28269号公報に記載の方法では、
膜数や膜厚を多くするほど反射率が上がることにより明
度が上がり、膜の特性は顕著になる。しかし膜数や膜厚
が多くなるほど、基体粒子の特性は減少する。例えば、
基体粒子として、磁性粉を用いた場合は、膜数や膜厚が
多くなるほど、磁気特性が劣ってくる。換言すれば、上
記の方法で得られる着色粉体は、基体粒子が有する特性
を生かすためには膜数、膜厚を少なくする必要がある
が、膜数、膜厚を少なくすると所望の着色が得られなく
なる恐れもあった。
【0005】本発明者らは、上記の技術を基に、目的と
する特定の色調を有する着色色材組成物を得る技術、詳
細には鮮やかな赤色系の色を呈する膜被膜粉体の色を発
色させるための条件範囲を確立することを試みた。本発
明者らは、このような観点から検討を行った結果、基体
粒子の表面に屈折率の大きい被膜と小さい被膜とが隣合
って積層する複数の被覆膜と、該被膜層の外側に顔料お
よび染料が分散された接着樹脂層とを有し、600〜8
00nmの間にピークを有する反射スペクトルを示す様
に該基体粒子及び被覆膜の条件を設定することにより、
赤色系の色調を有し、かつ1成分系現像方式でも複合し
た機能を果たし得るカラートナーが得られることを見い
出した(特開平11−24319号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平11−24319号公報に記載の赤色系トナーは、
その基体粒子の表面に有する被膜層が金属アルコキシド
の加水分解反応によって製膜されたものであった。金属
アルコキシドの加水分解反応による製膜方法は、溶媒と
して、引火性の高い有機系のものを使用し、原料とし
て、高価な金属アルコキシドを使用しなければならな
い。引火性の高い有機溶媒を用いるためには、製造施設
を防爆設備としたり、温度、湿度の管理が厳しく、それ
を用いて製造した製品の価格も総合的に当然高価なもの
となる。また、上記特開平11−24319号公報に記
載の赤色系トナーは、十分な明度を有しておらず、暗い
色調のものであった。
【0007】従って、本発明の目的は、上記従来技術の
欠点を克服し、金属アルコキシドの加水分解による方法
を用いずに、高価な金属アルコキシドや引火性の高い有
機溶媒を使用することなく、製造施設も防爆設備を必要
とせず、温度、湿度の管理も容易であり、総合的に製品
の価格も安価に得られる機能性の高い、赤色粉体を含有
する赤色色材組成物およびその製造方法を提供すること
にある。また本発明のさらなる目的は、明度が高く安定
な色調のトナー、インキ、塗料として用いることがで
き、しかも基体粒子の特性(例えば、磁気特性)を高レ
ベルに保持した赤色色材組成物、詳細には、基体粒子の
特性を生かすための、比較的少ない膜数、膜厚であって
も、十分な明度が得られる被覆膜を有する赤色粉体を基
材とする赤色色材組成物およびその製造方法を提供しよ
うとするものである。更に本発明の他の目的は、1成分
系現像方式でも優れた複合した機能を果たし得る赤色磁
性トナーや、優れた磁気特性を発揮することができ、か
つ耐候性の優れた赤色磁性印刷用インキ、赤色塗料等に
適用できる赤色色材組成物およびその効率的製造方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑み、鋭意研究の結果、多層膜被覆粉体を製造する
際、基体粒子の表面に有する被覆膜の少なくとも1層が
水系溶媒中での金属塩の反応により形成し、膜の組合
せ、それぞれの膜の厚さ、また、それらを制御する方法
および反応条件(pH、分散条件等)を改良し、更に膜
設計において、極大値の波長の範囲を、特定の範囲に限
定した。更に加えて被覆膜の少なくとも1層が、結晶化
微粒子からなる空隙を有する被覆膜とすることにより、
散乱反射による明度向上を計ることにより、鮮やかな赤
色系の粉体が得られ、上記目的を達成できることを見出
し、本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明の赤色色材組成物および
その製造方法は、下記の通りである。 (1)基体粒子の表面に水系溶媒中での金属塩の反応に
より形成された被覆膜を少なくとも1層有し600〜8
00nmの間にピークを有する反射スペクトルを示す赤
色粉体を含有する赤色色材組成物。 (2)前記赤色粉体の水系溶媒中での金属塩の反応によ
り形成された前記被覆膜が、下記式の条件を満たすもの
であることを特徴とする前記(1)記載の赤色色材組成
物。 Nd=mλ/4 〔式中、N=n+iκ(iは複素数を表す) n:膜を構成する物質の屈折率 d:膜厚 m:自然数 λ:粉体の示す反射スペクトルが有するピークの波長
(但し、λは600〜800nm) κ:減衰係数〕 (3)前記赤色粉体の基体粒子の表面に有する被覆膜が
多層膜であることを特徴とする前記(1)記載の赤色色
材組成物。 (4)前記赤色粉体の多層膜の各膜が、全て水系溶媒中
での金属塩の反応により形成されたものであることを特
徴とする前記(3)記載の赤色色材組成物。 (5)前記赤色粉体の多層膜の各膜が、全て下記式の条
件を満たすものであることを特徴とする前記(3)記載
の赤色色材組成物。 Nd=mλ/4 〔式中、N=n+iκ(iは複素数を表す) n:膜を構成する物質の屈折率 d:膜厚 m:自然数 λ:粉体の示す反射スペクトルが有するピークの波長
(但し、λは600〜800nm) κ:減衰係数〕
【0010】(6)前記赤色粉体の基体粒子の表面に有
する被覆膜の少なくとも1層が、空隙を有する結晶化微
粒子の集合体として構成されたものであることを特徴と
する前記(1)記載の赤色色材組成物。 (7)空隙を有する結晶化微粒子の集合体として構成さ
れた前記被覆膜が、該結晶化微粒子表面と空隙との間で
生じる光の散乱反射により明度を付与することができる
ものであることを特徴とする前記(6)記載の赤色色材
組成物。 (8)空隙を有する結晶化微粒子の集合体として構成さ
れた前記被覆膜の表面に、該表面の空隙を塞ぐことがで
きる超微粒子で構成された緻密な被覆膜を有することを
特徴とする前記(6)記載の赤色色材組成物。 (9)空隙を有する結晶化微粒子の集合体として構成さ
れた前記被覆膜が高屈折率膜であることを特徴とする前
記(6)記載の赤色色材組成物。 (10)前記緻密膜がシリカ膜であることを特徴とする
前記(8)記載の赤色色材組成物。
【0011】(11)空隙を有する結晶化微粒子の集合
体として構成された前記被覆膜が、該被覆膜を製膜する
ための反応溶液中で固相微粒子を形成させ該固相微粒子
を該被覆膜中に取込ませた後に焼成することによって形
成されたものであることを特徴とする前記(6)記載の
赤色色材組成物。 (12)前記反応溶液が水溶液であることを特徴とする
前記(11)記載の赤色色材組成物。 (13)前記焼成を行う前に、前記固相微粒子を取込ま
せた被覆膜上を、該被覆膜の表面の空隙を塞ぐ緻密な膜
を構成することができる超微粒子で被覆したことを特徴
とする前記(11)記載の赤色色材組成物。 (14)前記赤色粉体が、少なくとも結着用樹脂を含む
分散媒中に分散されていることを特徴とする前記(1)
〜(13)のいずれかに記載の赤色色材組成物。 (15)前記(14)記載の赤色色材組成物からなる赤
色インキ組成物。 (16)前記赤色粉体上に接着樹脂層を有することを特
徴とする前記(1)〜(13)のいずれかに記載の赤色
色材組成物。 (17)前記接着樹脂層が体質顔料を含有することを特
徴とする前記(16)記載の赤色色材組成物。 (18)前記(16)または(17)記載の赤色色材組
成物からなる赤色トナー。
【0012】(19)赤色粉体を含有する赤色色材組成
物の製造方法において、該赤色粉体が600〜800n
mの間にピークを有する反射スペクトルを示す様に、基
体粒子の表面に水系溶媒中での金属塩の反応により少な
くとも1層の被覆膜を形成することを特徴とする赤色色
材組成物の製造方法。 (20)水系溶媒中での金属塩の反応により形成する前
記被覆膜を、下記式の条件を満たすように形成すること
を特徴とする前記(19)記載の赤色色材組成物の製造
方法。 Nd=mλ/4 〔式中、N=n+iκ(iは複素数を表す) n:膜を構成する物質の屈折率 d:膜厚 m:自然数 λ:粉体の示す反射スペクトルが有するピークの波長
(但し、λは600〜800nm) κ:減衰係数〕 (21)基体粒子の表面に形成する前記被覆膜を多層膜
とすることを特徴とする前記(19)記載の赤色色材組
成物の製造方法。 (22)前記多層膜の各膜を、全て水系溶媒中での金属
塩の反応により形成することを特徴とする前記(21)
記載の赤色色材組成物の製造方法。 (23)前記多層膜の各膜を、全て下記式の条件を満た
すように形成することを特徴とする前記(21)記載の
赤色色材組成物の製造方法。 Nd=mλ/4 〔式中、N=n+iκ(iは複素数を表す) n:膜を構成する物質の屈折率 d:膜厚 m:自然数 λ:粉体の示す反射スペクトルが有するピークの波長
(但し、λは600〜800nm) κ:減衰係数〕
【0013】(24)基体粒子の表面に形成する被覆膜
の少なくとも1層を、空隙を有する結晶化微粒子の集合
体として構成することを特徴とする前記(19)記載の
赤色色材組成物の製造方法。 (25)空隙を有する結晶化微粒子の集合体として構成
する前記被覆膜を、該結晶化微粒子表面と空隙との間で
生じる光の散乱反射により明度を付与できるように形成
することを特徴とする前記(19)記載の赤色色材組成
物の製造方法。 (26)空隙を有する結晶化微粒子の集合体として構成
する前記被覆膜の表面に、該表面の空隙を塞ぐことがで
きる超微粒子で緻密な膜を形成することを特徴とする前
記(24)記載の赤色色材組成物の製造方法。 (27)空隙を有する結晶化微粒子の集合体として構成
する前記被覆膜を高屈折率膜とすることを特徴とする前
記(24)記載の赤色色材組成物の製造方法。 (28)前記緻密膜をシリカ膜とすることを特徴とする
前記(26)記載の赤色色材組成物の製造方法。 (29)空隙を有する結晶化微粒子の集合体として構成
する前記被覆膜を、該被覆膜を製膜するための反応溶液
中で固相微粒子を形成させ該固相微粒子を該被覆膜中に
取込ませた後に焼成することによって形成することを特
徴とする前記(24)記載の赤色色材組成物の製造方
法。 (30)前記反応溶液を水溶液とすることを特徴とする
前記(29)記載の赤色色材組成物の製造方法。
【0014】(31)前記焼成を行う前に、前記固相微
粒子を取込ませた被覆膜上を、該被覆膜の表面の空隙を
塞ぐ緻密な膜を構成することができる超微粒子で被覆す
ることを特徴とする前記(29)記載の赤色色材組成物
の製造方法。 (32)前記赤色粉体が、少なくとも結着用樹脂を含む
分散媒中に分散することを特徴とする前記(19)〜
(31)のいずれかに記載の赤色色材組成物の製造方
法。 (33)前記(32)記載の赤色色材組成物の製造方法
からなる赤色インキ組成物の製造方法。 (34)前記赤色粉体上に接着樹脂層を設けることを特
徴とする前記(19)〜(31)のいずれかに記載の赤
色色材組成物の製造方法。 (35)前記接着樹脂層に体質顔料を含有させることを
特徴とする前記(34)記載の赤色色材組成物の製造方
法。 (36)前記(34)または(35)記載の赤色色材組
成物の製造方法からなる赤色トナーの製造方法。
【0015】本発明の赤色色材組成物中の赤色粉体は製
膜反応の際に、以下の操作および作用により、被膜にな
らない固相の析出が抑えられ、基体粒子の表面に均一な
厚さの被膜を、所望の厚さで形成することができると推
測する。反応溶媒として、緩衡溶液を用い、ある一定
のpHとすることにより、酸またはアルカリの影響が和
らげられ、基体表面の侵食が防止される;超音波分散
により、基体粒子、特にマグネタイト粉等の磁性体の分
散性を良くするばかりでなく、皮膜成分の拡散性を良く
し、更に、皮膜同志の付着を防止し、被覆製膜された磁
性体粒子の分散性をも良好にする;適当な反応の速さ
で被膜成分を析出させ、被膜にならない固相の析出を抑
制する。上記の総合的作用により、膜被覆粉体の表面の
電荷を一定に維持することができ、電気2重層の働きに
より、膜被覆粉体の凝集がなく、分散粒子が得られる。
電気2重層の働きを生かすためにpHは、基体の物質と
製膜反応により液中で形成される金属化合物の種類の組
み合わせにより異なり、また、両者の等電点を避けるこ
とが好ましい。また、基体粒子の表面に有する被覆膜の
少なくとも1層を、結晶化微粒子と該結晶化微粒子相互
間に空隙を有する結晶化微粒子の集合体からなる膜(以
下、単に結晶化微粒子構成膜ともいう)とすることによ
り、結晶化微粒子表面と空隙との屈折率差を大きくし
て、光の散乱反射を起こし、反射効果を高め、優れた明
度を有する赤色色調の機能性粉体を提供することが可能
となった。
【0016】本発明は上記の作用機構により、水溶性原
料を用いるにも係わらず、基体として磁性体を用いた場
合でも膜被覆粉体同志が凝集したり固着することがな
く、好ましい膜厚制御ができる膜被覆粉体を容易に製造
することを可能とすることができた。また、基体粒子の
特性(例えば、磁気特性)を高レベルに保持した機能性
粉体を提供することが可能となった。更に、水を溶媒と
して用いることにより、アルコキシド法に比べ安価な製
造コストで製膜できるという効果が得られる。
【0017】上記のようにして得られた本発明の赤色色
材組成物は、顔料、粉末冶金、窯業原料、電子工業など
の原料となる赤色系複合原料粉体として有用なものであ
り、カラーインキ用顔料およびプラスチック・紙用フィ
ラーに用いられている従来の顔料にとって代わる優れた
性能を保持し、長期保存においても安定な色調のものと
することができる。耐熱性を利用して陶器、磁器、ガラ
ス器、工芸品、美術品、装飾品等の着色用顔料組成物と
して絵付け、意匠、装飾に使用できる。さらに多色性や
反射あるいは透過色を利用して意匠性に富んだ装飾品、
陶器、磁器、ガラス器、絵画などの工芸品・美術品用、
書籍、自動車・自転車などの塗料赤色多機能性インキ、
トナー、塗料、化粧品ができる。また、触媒作用を持つ
酸化チタン膜等によって、耐候性にすぐれ大気・水など
の環境浄化性のある塗料ができる。すなわちこれら基体
の特性と膜の特性を兼ね備えた赤色多機能性インキ、ト
ナーおよび塗料等に適用できる。特に前記機能が磁気、
電場、色、粒子形状、蛍光発光、蓄光発光、特定紫外線
域反射吸収並びに特定赤外線反射吸収の機能のいずれか
2種以上を組み合わせることにより偽造防止用顔料組成
物として印刷インキ、トナーとして支持媒体上に所望の
画像を形成し、目視による判別、機器による判別対象物
とすることが可能である。
【0018】以下、本発明の結晶化微粒子構成膜につい
て、図面を参照しながらさらに詳しく説明する。図1
は、基体粒子1の表面に結晶化微粒子構成膜2を有する
本発明の赤色色材組成物の一例の断面図であり、図2
は、図1の赤色色材組成物が有する結晶化微粒子構成膜
2の断面拡大図である。図1および図2に示す様に、上
記結晶化微粒子構成膜2は結晶化微粒子3の間に空隙を
有することにより、前記結晶化微粒子3の表面と空隙と
の屈折率差を大きくし、光の散乱反射を起こさせ、これ
により明度の高い粉体とすることができる。上記の散乱
反射が強いほど、粉体の明度が増す。膜2の中に含まれ
る結晶化微粒子3は、屈折率が高い方が好ましく、ま
た、粒径が揃っていない方が好ましい。明度の調整は、
上記膜内の結晶化微粒子の量および粒子径により調整す
ることができる。但し、粒子径によっては、散乱と干渉
が同時に起こり、その干渉によって赤色以外の色相を呈
することがあるので、その設計には注意を要する。特
に、得られた膜被覆粉体がオパールの様に単色スペクト
ル色の強い場合には、膜中の結晶化粒子径がある大きさ
(光の波長の4分の1から1波長程度)で均一になって
該結晶化微粒子による干渉が発生している考えられる。
【0019】この場合、膜内の結晶化微粒子の粒子径
は、1〜500nmが好ましく、より好ましくは1〜2
00nmであり、さらに好ましくは1〜100nmの範
囲である。粒子径が1nm未満では、構成膜は、光を透
過するため下地の基体粒子の色がそのまま出ることがあ
る。逆に500nmより大きい場合には複数の粒子の反
射光により前記干渉着色が起こったり、膜が脆くなっ
て、剥離しやすく好ましくない。また膜内の結晶化微粒
子は、他の微粒子や膜と接触していても、粒界など形状
で区別できるものである。
【0020】一方、上記結晶化微粒子構成膜の1層の、
好ましい厚さ範囲は、基体となる粒子の大きさによって
異なる。基体粒子が0.1μm〜1μmでは0.05μ
m〜0.5μm、基体粒子が1μm〜10μmでは0.
05μm〜2μm、基体粒子が10μm以上では0.0
5μm〜3μmであることが好ましい。また、上記結晶
化微粒子構成膜の総膜厚の好ましい厚さ範囲も、基体と
なる粒子の大きさによって異なる。基体粒子が0.1μ
m〜1μmでは0.1μm〜3μm、基体粒子が1μm
〜10μmでは0.1μm〜5μm、基体粒子が10μ
m以上では0.1μm〜10μmであることが好まし
い。
【0021】更に本発明の赤色色材組成物は、含有され
ている赤色粉体が、図2に示されるように、空隙を有す
る結晶化微粒子3で構成された膜2の表面に、該表面の
空隙を塞ぐことができる超微粒子4で構成された緻密な
被覆膜(以下単に、緻密膜ともいう)を有することが好
ましい。例えば、前述のような結晶化微粒子構成膜を最
外層として有する赤色粉体をトナーあるいは塗料等の顔
料粉体として用いた場合、トナーの樹脂または塗料のビ
ヒクルがその空隙に入り込み、結晶化微粒子3の表面と
空隙との間の屈折率差を小さくして光の散乱反射を弱く
し、その結果、明度も低下させる。前述の緻密膜は上記
のような明度の低下を防止するために好適である。
【0022】なお、特開平4−269804号公報に
は、表面に無機顔料粒子の被覆層を有する着色粉体が記
載されているが、この着色粉体は顔料粒子間の空隙が、
表面処理剤と樹脂の混合物によって充填されたものであ
り、本発明の赤色色材組成物のように、散乱反射が発生
するものではなく、顔料粒子そのものの色によって所望
の色に着色されるものである。またこの特開平4−26
9804号公報に記載の着色粉体は、基体粒子表面に顔
料粒子が十分に固定されていないことがある。その場合
には、基体に付着していた顔料粒子が溶媒と樹脂の混合
液中で分離するため、塗料等に適用できないこともあ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の赤色色材組成物に
ついて詳細に説明する。本発明の赤色色材組成物は、基
体粒子の表面上に前述の結晶化微粒子構成膜のみなら
ず、光を透過し得る他の構成からなる膜をさらに有する
多層膜被覆粉体を含有するものである。該低屈折率の光
透過性の被覆膜として、金属塩等の反応により、金属水
酸化物膜あるいは金属酸化物膜等を複数層とする場合に
おいて、前記被覆膜(基体粒子を被覆し、光干渉に関与
する膜の層)の各層の厚さを調整することにより特別の
機能を与えることができる。例えば、基体粒子の表面
に、屈折率の異なる交互被覆膜を、次の式(1)を満た
すように、被膜を形成する物質の屈折率nと600〜8
00nmの間にある可視光の波長の4分の1の整数m倍
に相当する厚さdを有する交互膜を適当な厚さと膜数設
けると、600〜800nmの間にある波長λの光(フ
レネルの干渉反射を利用したもの)が反射または吸収さ
れる。 nd=mλ/4 (1)
【0024】この作用を利用して、基体粒子の表面に目
標とする600〜800nmの間の波長に対し、式
(1)を満たすような膜の厚みと屈折率を有する被膜を
製膜し、さらにその上に屈折率の異なる膜を被覆するこ
とを1度あるいはそれ以上交互に繰り返すことにより6
00〜800nmの間に反射ピークを有する膜が形成さ
れる。このとき製膜する物質の順序は次のように決め
る。まず核となる基体の屈折率が高いときには第1層目
が屈折率の低い膜、逆の関係の場合には第1層目が屈折
率の高い膜とすることが好ましい。
【0025】膜厚は、膜屈折率と膜厚の積である光学膜
厚の変化を分光光度計などで反射波形として測定、制御
するが、反射波形が最終的に必要な波形になるように各
層の膜厚を設計する。例えば、多層膜を構成する各単位
被膜の反射波形のピーク位置を600〜800nmの範
囲に精密に合わせると、染料や顔料を用いずとも赤色系
の単色の着色粉体とすることができる。
【0026】ただし、実際の基体の場合、基体の粒径、
形状、膜物質および基体粒子物質の相互の界面での位相
ずれ及び屈折率の波長依存性によるピークシフトなどを
考慮して設計する必要がある。例えば、基体粒子の形状
が平行平板状である場合には、粒子平面に形成される平
行膜によるフレネル干渉は上記式(1)のnを次の式
(2)のNに置き換えた条件で設計する。特に、基体の
形状が平行平板状である場合でも金属膜が含まれる場合
には、式(2)の金属の屈折率Nに減衰係数κが含まれ
る。なお、透明酸化物(誘電体)の場合にはκは非常に
小さく無視できる。 N=n+iκ(iは複素数を表す) (2) この減衰係数κが大きいと、膜物質および基体物質の相
互の界面での位相ずれが大きくなり、さらに多層膜のす
べての層に位相ずれによる干渉最適膜厚に影響を及ぼ
す。
【0027】これにより幾何学的な膜厚だけを合わせて
もピーク位置がずれるため、特に赤色系に着色する際に
色が淡くなる。これを防ぐためには、すべての膜に対す
る位相ずれの影響を加味し、コンピュータシミュレーシ
ョンであらかじめ膜厚の組合せが最適になるように設計
する。さらに、基体表面にある酸化物層のための位相ず
れや、屈折率の波長依存性によるピークシフトがある。
これらを補正するためには、分光光度計などで、反射ピ
ークが最終目的膜数で目標波長である600〜800n
mの範囲になるよう最適の条件を見出すことが必要であ
る。
【0028】球状粉体などの曲面に形成された膜の干渉
は平板と同様に起こり、基本的にはフレネルの干渉原理
に従う。したがって、着色方法も赤色系に設計すること
ができる。ただし曲面の場合には、粉体に入射し反射さ
れた光が複雑に干渉を起こす。これらの干渉波形は膜数
が少ない場合には平板とほぼ同じである。しかし、総数
が増えると多層膜内部での干渉がより複雑になる。多層
膜の場合もフレネル干渉に基づいて、反射分光曲線をコ
ンピューターシミュレーションであらかじめ膜厚の組合
せが最適になるよう設計することができる。特に基体粒
子表面への被膜形成の場合、基体粒子表面とすべての膜
に対する位相ずれの影響を加味し、コンピュータシミュ
レーションであらかじめ膜厚の組合せが最適になるよう
設計する。さらに、基体粒子表面にある酸化物層のため
のピークシフトや屈折率の波長依存性によるピークシフ
トも加味する。実際のサンプル製造では設計した分光曲
線を参考にし、実際の膜においてこれらを補正するため
に、分光光度計などで反射ピークが最終目的膜数で60
0〜800nmの範囲の目標波長になるよう膜厚を変え
ながら最適の条件を見出さねばならない。
【0029】不定形状の粉末に着色する場合も多層膜に
よる干渉が起こり、球状粉体の干渉多層膜の条件を参考
にし基本的な膜設計を行う。上記の多層膜を構成する各
単位被膜のピーク位置は各層の膜厚により調整すること
ができ、膜厚は基体粒子の表面に金属酸化物等の固相成
分を形成させる被覆形成条件中、原料組成、固相析出速
度および基体量などを制御することにより、精度良く膜
厚を制御でき、均一な厚さの被膜を形成することがで
き、所望の赤色系に着色することができる。以上のよう
に、反射ピークや吸収ボトムが最終目的膜数で600〜
800nmの範囲の目標波長になるよう膜形成溶液など
の製膜条件を変えながら最適の条件を見出すことによ
り、赤色系の粉体を得ることができる。また、多層膜を
構成する物質の組合せおよび各単位被膜の膜厚を制御す
ることにより多層膜干渉による発色を調整することがで
きる。これにより、染料や顔料を用いなくても粉体を所
望の赤色系に鮮やかに着色することができる。
【0030】以下に、本発明の赤色色材組成物およびそ
の製造方法についてを詳細に説明する。本発明の赤色色
材組成物およびその製造方法において、その金属酸化物
膜等を形成させる対照となる基体粒子は、特に限定され
ず、金属を含む無機物でも、有機物でもよく磁性体、誘
電体、導電体および絶縁体等でもよい。基体が金属の場
合、鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム等、
どのような金属でもよいが、その磁性を利用するものに
おいては、鉄等磁性を帯びるものが好ましい。これらの
金属は合金でも良く、前記の磁性を有するものであると
きには、強磁性合金を使用することが好ましい。また、
その粉体の基体が金属化合物の場合には、その代表的な
ものとして前記した金属の酸化物が挙げられるが、例え
ば、鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、ケ
イ素等の外、カルシウム、マグネシウム、バリウム等の
酸化物、あるいはこれらの複合酸化物でも良い。さら
に、金属酸化物以外の金属化合物としては、金属窒化
物、金属炭化物、金属硫化物、金属フッ化物、金属炭酸
塩、金属燐酸塩などを挙げることができる。
【0031】さらに、基体粒子として、金属以外では、
半金属、非金属の化合物、特に酸化物、炭化物、窒化物
であり、シリカ、ガラスビーズ等を使用することができ
る。その他の無機物としてはシラスバルーン(中空ケイ
酸粒子)などの無機中空粒子、微小炭素中空球(クレカ
スフェアー)、電融アルミナバブル、アエロジル、ホワ
イトカーボン、シリカ微小中空球、炭酸カルシウム微小
中空球、炭酸カルシウム、パーライト、タルク、ベント
ナイト、合成雲母、白雲母、など雲母類、カオリン等を
用いることができる。
【0032】有機物としては、樹脂粒子が好ましい。樹
脂粒子の具体例としては、セルロースパウダー、酢酸セ
ルロースパウダー、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリエ
ステル、メラミン樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル樹
脂、ケイ素樹脂、アクリル酸エステル、メタアクリル酸
エステル、スチレン、エチレン、プロピレン及びこれら
の誘導体の重合または共重合により得られる球状または
破砕の粒子などが挙げられる。特に好ましい樹脂粒子は
アクリル酸またはメタアクリル酸エステルの重合により
得られる球状のアクリル樹脂粒子である。但し、樹脂粒
子を基体とする場合、乾燥における加熱温度は樹脂の融
点以下でなければならない。
【0033】基体の形状としては、球体、亜球状態、正
多面体等の等方体、直方体、回転楕円体、菱面体、板状
体、針状体(円柱、角柱)などの多面体、さらに粉砕物
のような全く不定形な粉体も使用可能である。これらの
基体は、粒径については特に限定するものでないが、
0.01μm〜数mmの範囲のものが好ましい。また、
基体粒子の比重としては、0.1〜10.5の範囲のも
のが用いられるが、得られた粉体を液体等に分散させて
使用する場合には、流動性、浮遊性の面から0.1〜
5.5が好ましく、より好ましくは0.1〜2.8、更
に、好ましくは0.5〜1.8の範囲である。得られた
粉体を液体等に分散させて使用する場合、基体の比重が
0.1未満では液体中の浮力が大きすぎ、膜を多層ある
いは非常に厚くする必要があり、不経済である。一方、
10.5を超えると、浮遊させるための膜が厚くなり、
同様に不経済である。
【0034】本発明においては、前記のように、上記粉
体基体粒子を屈折率が互いに異なる複数の被膜層を用
い、各被膜層の屈折率および層厚を適宜選択して被覆す
ることにより、その干渉色により赤色に着色しかつ可視
光域以外にも特異的な干渉反射ピークを発現する粉体と
することができる。前記したように、基体粒子の表面上
に金属塩の反応により金属水酸化物膜あるいは金属酸化
物膜を析出させるが、固相析出反応の溶媒として、緩衡
溶液を用い、ある一定のpHで適当な速さで析出させ
る。
【0035】本発明において、金属塩として使用される
金属は、鉄、ニッケル、クロム、チタン、亜鉛、アルミ
ニウム、カドミウム、ジルコニウム、ケイ素、錫、鉛、
リチウム、インジウム、ネオジウム、ビスマス、セリウ
ム、アンチモン等の他、カルシウム、マグネシウム、バ
リウム等が挙げられる。また、これら金属の塩として
は、硫酸、硝酸、塩酸、シュウ酸、炭酸やカルボン酸の
塩が挙げられる。さらにまた、前記金属のキレート錯体
も含まれる。本発明において使用される金属塩の種類
は、その基体の表面に付与しようとする性質や製造に際
して適用する手段に応じてそれに適するものが選択され
る。本発明の粉体は基本的に無色透明の膜を形成し、屈
折率の異なる膜を積層させて着色するため、前記のよう
な金属とその塩が挙げられているが、干渉による着色だ
けでは反射及び吸収スペクトルの波形が所望の色になら
ない場合は、次のような金属コバルト、イットリウム、
硫黄、ユーロピウム、ディスプロシウム、アンチモン、
サマリウム、銅、銀、金、白金、ロジウム、イリジウ
ム、タングステン、鉄、マンガン等の金属の硫酸、硝
酸、塩酸、シュウ酸、炭酸、カルボン酸の塩類が挙げら
れる。さらに前記金属のキレート錯体も含まれる。これ
らの金属の膜中の含有率は10ppm〜15%、好まし
くは10ppm〜15%、さらに望ましくは50ppm
〜5 %である。これらの金属の含有率が小さいときに
は、着色が不十分となり、多すぎると着色が強すぎて暗
い色となり本発明の目標である明るい色の粉体が得られ
ないという不都合が生じる。
【0036】これらの金属塩による金属酸化物等の膜
は、複数層形成してもよく、またそれらの金属酸化物等
の膜の上に、必要により金属アルコキシドの加水分解に
よる金属酸化物等、また他の製膜方法による膜を形成す
ることもできる。このようにして、基体粒子の上に多層
の膜を形成することができ、しかもその際、各層の厚さ
が所定の厚さをもつように形成条件を設定することによ
り、目的とする特性を得ることができるようにすること
ができ、また簡単な操作でかつ安価な原料である金属塩
を用いて金属酸化物等の膜を多層に形成することができ
る。特に、高価な金属アルコキシドを原料とすることな
く、多重層膜被覆粉体とすることができる点は重要な利
点である。
【0037】本発明の赤色粉体を含有する赤色色材組成
物を製造する方法では、多層被覆膜を連続した工程とし
て製作しても良く、また、各被覆膜を1層ずつ製作、あ
るいは単層製作と複層連続製作を組み合わせるなど種々
の方法で製作することができる。本発明に係わる赤色色
材組成物の粒径は、特に限定されず、目的に応じて適宜
調整することができるが、通常は0.1μm〜数mm、
好ましくは0.1μm〜200μmの範囲である。
【0038】本発明において、その1回に形成させる金
属酸化物膜の膜の厚さとしては、5nm〜10μmの範
囲とすることが可能であり、従来の形成法より厚くする
ことができる。複数回に分けて形成する金属酸化物膜の
合計の厚さとしては、前記したカラー磁性粉体の場合、
その干渉による反射率が良い金属酸化物膜を形成するた
めには、10nm〜20μmの範囲が好ましい、さらに
好ましくは20nm〜5μmの範囲とすることである。
粒径が制限されるなど特に薄い膜厚で可視光を干渉反射
させるためには0.02〜2.0μmの範囲とすること
が好ましい。
【0039】本発明の赤色色材組成物は上記のように、
その製造方法における製膜反応の際に、特に水系溶媒中
で製膜反応させる場合、製膜反応溶媒としてpH一定条
件の水系溶媒を用い、同時に膜被覆反応を超音波分散条
件下で、基体の表面への被膜形成反応により形成され
る。本願発明では製膜反応を一定にするために、水系溶
媒に緩衝剤を添加し緩衝溶液とするかあるいはあらかじ
め用意された緩衝溶液が用いられる。また製膜反応の際
には緩衝溶液以外の膜原料を添加し製膜する。製膜原料
添加により製膜を行う際に、pHが大きく変動する場合
には、これを防ぐため、緩衝溶液を追加することが望ま
しい。本発明で言うところのpH一定とは、pHが所定
のpHの±2以内、好ましくは±1以内、より好ましく
は±0.5以内を言う。
【0040】緩衡溶液は種々の系が用いられ、特に限定
されないが、まず基体粒子が十分に分散できることが重
要であり、同時に基体の表面に析出した金属水酸化物あ
るいは金属酸化物の膜被覆粉体も電気2重層の働きで分
散でき、かつ上記の緩やかな滴下反応により緻密な被膜
が製膜できる条件を満足するように選択する必要があ
る。従って、本発明の膜被覆粉体の製造法は従来の金属
塩溶液の反応による中和や等電点による析出、または加
熱により分解して析出させる方法とは異なるものであ
る。
【0041】次に、超音波分散条件としては、種々の超
音波発振装置が使用でき、例えば、超音波洗浄機の水槽
を利用することができ、特に限定されない。しかし本発
明の超音波分散の条件としては、発振装置の大きさ、反
応容器の形状および大きさ、反応溶液の量、体積、基体
粒子の量等によって変化してくるので、それぞれの場合
において、適切な条件を選択すればよい。本発明に使用
される緩衡溶液としては、析出させる固相成分に依存
し、特に限定されないが、Tris系、ホウ酸系、グリ
シン系、コハク酸系、乳酸系、酢酸系、酒石酸系、塩酸
系等が挙げられる。
【0042】次に一例として、特に水系溶媒中で製膜反
応させる場合、高屈折率の金属酸化物と低屈折率の金属
酸化物の交互多層膜を形成する方法について具体的に説
明する。まず、酸化チタンあるいは酸化ジルコニウムな
どの被膜を形成する場合、酢酸/酢酸ナトリウム系等の
緩衡溶液中に基体粒子を浸漬し超音波発振により分散
し、チタンあるいはジルコニウムなどの金属塩である硫
酸チタン、硫酸ジルコニウム等を原料とし、これら金属
塩の水溶液を反応系に緩やかに滴下し、生成する金属水
酸化物あるいは金属酸化物を基体粒子のまわりに析出さ
せることにより行うことができる。この滴下反応の間、
pHは上記緩衡溶液のpH(5.4)に保持される。反
応終了後、この粉体を固液分離し、洗浄・乾燥後、熱処
理を施す。乾燥手段としては真空乾燥、自然乾燥のいず
れでもよい。また、不活性雰囲気中で噴霧乾燥機などの
装置を用いることも可能である。なお、この被覆される
膜が酸化チタンである場合には、酸化チタンの形成は下
記の反応式で示される。 Ti(SO42+2H2O→TiO2+4H2(SO42 硫酸チタニルのTiO2含有量は5g/リットル〜18
0g/リットルが好ましく、より好ましくは10g/リ
ットル〜160g/リットルである。5g/リットル未
満では製膜に時間がかかりすぎ、また粉体処理量が減
り、不経済であり、180g/リットルを超えて高くな
ると希釈液が添加中に加水分解を起こし製膜成分になら
ず、共に不適である。
【0043】続いて、二酸化ケイ素あるいは酸化アルミ
ニウムなどの被膜を形成する場合、KCl/H3BO3
等にNaOHを加えた緩衡溶液中に上記のチタニアコー
ト粒子を浸漬し分散し、ケイ素あるいはアルミニウムな
どの金属塩であるケイ酸ナトリウム、塩化アルミニウム
等を原料とし、これら金属塩の水溶液を反応系に緩やか
に滴下し、生成する金属水酸化物あるいは金属酸化物を
基体粒子のまわりに析出させることにより行うことがで
きる。この滴下反応の間、pHは上記緩衡溶液のpH
(9.0)に保持される。反応終了後、この粉体を固液
分離し、洗浄・乾燥後、熱処理を施す。この操作によ
り、基体粒子の表面に屈折率の異なる2層の、金属酸化
物膜を形成する操作を繰り返すことにより、多層の金属
酸化物膜をその表面上に有する粉体が得られる。なお、
この被覆される膜が二酸化ケイ素である場合には、二酸
化ケイ素の形成は下記の反応式で示される。 Na2SiX2X+1+H2O→XSiO2+2Na++2O
-
【0044】次に、本発明の赤色色材組成物が含有する
赤色粉体が有する結晶化微粒子構成膜は、光を散乱反射
し、明度を高めることができるものであれば、どのよう
な物質からなるものでも構わないが、高屈折率を有する
物質からなるものが好ましい。高屈折率を有する物質と
しては、特に限定されないが、酸化チタン(チタニ
ア)、酸化ジルコニウム、酸化ビスマス、酸化セリウ
ム、酸化アンチモン、酸化インジウム等の酸化物を用い
ることができ、屈折率が高く、汎用である酸化チタン
(チタニア)が最も好ましい。
【0045】上記のような結晶化微粒子構成膜を製膜す
る方法としては、製膜反応液相中での固相析出による方
法等が用いられる。具体的には、本発明者らが先に提案
した特開平6−228604号公報、特開平7−903
10号公報、国際公開WO96/28269号公報に記
載されている有機溶媒中での金属アルコキシドの加水分
解による固相析出法(金属アルコキシド法)や、特願平
9−298717号に添付の明細書に記載の水溶液中で
の金属塩からの反応による固相析出法(水系法)等が挙
げられる。この場合、製膜反応液中で、基体粒子の表面
に析出物の膜が成長する速度(線成長速度)よりも、反
応液中で固相微粒子が析出する速度が速くなるように、
反応溶液濃度、添加触媒量、基体粒子分散量を調整す
る。上記のようにして、製膜反応液中に析出した固相微
粒子を、基体粒子表面に付着させ、固相微粒子で構成さ
れた被覆膜を形成する。
【0046】なお、この時点で膜にとりこまれた固相微
粒子は非晶質であり、該固相微粒子間の空隙も未形成で
あり、光の散乱反射が生じず、また膜の機械的強度も非
常に低いものである。そのため、この固相微粒子で構成
された被覆膜を焼成する。この焼成により前記非晶質の
固相微粒子は結晶化し、該結晶化微粒子間には空隙も形
成され、前述の光を散乱反射する結晶化微粒子構成膜と
なる。
【0047】該結晶化微粒子構成膜を形成するために
は、前述の金属アルコキシド法よりも、水系法の方が線
成長速度と固相析出速度の関係を好適なものとするのに
簡易であるため好ましい。また金属アルコキシド法は原
料として高価な金属アルコキシドや、反応溶媒として比
較的高価で危険性のある有機溶媒を必要とする。このた
め、製造装置または設備等も防爆仕様にしなければなら
ず、更に、コストパーフォマンスが悪くなる。この点か
らも金属アルコキシド法に比べ水系法が好ましい。ま
た、核粒子が金属や酸化物などでも水に対して、不安定
な物質の場合には、金属アルコキシド法で第1層目を形
成し安定化することにより、第二層目以降を水系法で被
覆する併用法が好ましい。
【0048】なお、前記焼成は前記固相微粒子で構成さ
れた被覆膜を形成した後に行ってもよいが、更に該被覆
膜の上に、その被覆膜が結晶化微粒子構成膜となった場
合その表面の空隙を塞ぐための緻密膜を形成することが
できる超微粒子で被覆した後に行うことが、得られる赤
色粉体の膜強度の点から望ましい。焼成は300〜12
00℃で行うことが好ましい。
【0049】本発明の赤色色材組成物において、含有さ
れる赤色粉体の上記の結晶化微粒子構成膜は2層以上で
あってもよい。その場合、2層の結晶化微粒子構成膜の
間には、低屈折率の光透過性の被覆膜が存在することが
好ましい。該低屈折率の光透過性の被覆膜としては特に
限定されないが、金属化合物、有機物等からなるものが
挙げられる。
【0050】前記金属化合物としては、金属酸化物や金
属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、金属フッ
化物を挙げることができる。より具体的には、酸化亜
鉛、酸化アルミニウム、酸化カドミウム、酸化チタン、
酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化珪素、酸化アン
チモン、酸化ネオジウム、酸化ランタン、酸化ビスマ
ス、酸化セリウム、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化リ
チウム、酸化鉛、硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化アン
チモン、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、フ
ッ化カルシウム、フッ化ナトリウム、フッ化アルミニウ
ム3ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム
等を好適に使用できる。
【0051】以下に、前記金属化合物膜の製膜方法につ
いて説明する。製膜方法としては、PVD法、CVD法
あるいはスプレードライ法等の気相蒸着法により、基体
粒子の表面に直接、蒸着する方法が可能である。しかし
ながら、本発明者らが先に提案した前記特開平6−22
8604号公報、特開平7−90310号公報あるいは
国際公開WO96/28269号公報に記載されている
金属アルコキシド法や、特願平9−298717号明細
書に記載の水系法が好ましい。この場合、前述の結晶化
微粒子構成膜の製膜と異なり、線成長速度は固相析出速
度よりも高くして、非晶質の均一膜が形成されるように
反応条件を調整する。
【0052】前記有機物としては、特に限定されるもの
ではないが、好ましくは樹脂である。樹脂の具体例とし
ては、セルロース、酢酸セルロース、ポリアミド、エポ
キシ樹脂、ポリエステル、メラミン樹脂、ポリウレタ
ン、酢酸ビニル樹脂、ケイ素樹脂、アクリル酸エステ
ル、メタアクリル酸エステル、スチレン、エチレン、プ
ロピレン及びこれらの誘導体の重合体または共重合体な
どが挙げられる。 (1)有機物膜(樹脂膜)を形成する場合、 a.液相中、基体粒子を分散させて乳化重合させること
により、その粒子の上に樹脂膜を形成させる方法(液相
中での重合法)や、b.気相中での製膜法(CVD)
(PVD)等が採られる。
【0053】本発明の赤色色材組成物に含有される赤色
粉体として、基体粒子上に多層膜を有するものを製造す
る場合の例を以下に示す。例えば、前記の基体粒子が高
屈折率の物質からなるものであれば、その上に低屈折率
の光透過性膜を設け、さらにその上に高屈折率の粒子構
成膜、またさらに、その上に低屈折率の光透過性膜と、
順次交互に設ける。また、基体粒子が低屈折率のものな
らば、その上に高屈折率の粒子構成膜、さらにその上に
低屈折率の光透過性膜、またさらにその上に、高屈折率
の粒子構成膜と、順次設ける。
【0054】次に、本発明において製膜に使用する具体
的原料、特に金属塩について説明する。高屈折率の膜を
製膜するのに使用する原料としては、酸化チタン膜用に
は、チタンのハロゲン化物、硫酸塩等、酸化ジルコニウ
ム膜用には、ジルコニウムのハロゲン化物、硫酸塩、カ
ルボン酸塩、シュウ酸塩、キレート錯体等、酸化セリウ
ム膜用には、セリウムのハロゲン化物、硫酸塩、カルボ
ン酸塩、シュウ酸塩等、酸化ビスマス膜用には、ビスマ
スのハロゲン化物、硝酸塩、カルボン酸塩等、酸化イン
ジウム膜用には、インジウムのハロゲン化物、硫酸塩等
が好ましい。また、低屈折率の膜を製膜するのに使用す
る原料としては、酸化ケイ素膜用には、ケイ酸ソーダ、
水ガラス、ケイ素のハロゲン化物、アルキルシリケート
等の有機ケイ素化合物とその重合体等、酸化アルミニウ
ム膜用には、アルミニウムのハロゲン化物、硫酸塩、キ
レート錯体等、酸化マグネシウム膜用には、マグネシウ
ムの硫酸塩、ハロゲン化物等が好ましい。また、例えば
酸化チタン膜の場合には、塩化チタンに硫酸チタンを混
合すると、より低温で屈折率の高いルチル型の酸化チタ
ン膜になる等の効果がある。
【0055】また、被覆の際の反応温度は各金属塩の種
類に適した温度に管理して被覆することにより、より完
全な酸化物膜を製作することができる。水系溶媒中での
基体の表面への被膜形成反応(固相析出反応)が遅すぎ
る場合には、反応系を加熱して固相析出反応を促進する
こともできる。但し、加熱の熱処理が過剰であると、該
反応速度が速すぎて、過飽和な固相が膜にならず、水溶
液中に析出し、ゲルあるいは微粒子を形成し、膜厚制御
が困難になる。
【0056】被覆膜は製作後、蒸留水を加えながら傾斜
洗浄を繰り返して、電解質を除去した後、乾燥・焼成等
の熱処理を施し、固相中に含まれた水を除去して、完全
に酸化物膜とすることが好ましい。また、製膜後の粉体
を回転式チューブ炉などで熱処理することにより、固着
を防ぐことができ、分散された粒子を得ることができ
る。水酸化物膜あるいは酸化物膜を形成し、それを熱処
理するには、各層を被覆する毎に熱処理しても良く、ま
た、目的の多層膜を完成後最後に熱処理しても良い。熱
処理条件は反応系により異なるが、上記の熱処理温度と
しては200〜1300℃であり、好ましくは400〜
1100℃である。200℃以下では塩類や水分が残っ
てしまう事あり、1300℃を超えて高くなると、膜と
基体が反応し別の物質となることがあり、共に不適であ
る。熱処理時間としては0.1〜100時間であり、好
ましくは0.5〜50時間である。
【0057】次に本発明に係る赤色色材組成物を調製す
る場合の(1)赤色インキあるいは塗料様組成物(流
体)および(2)赤色トナー、赤色乾式インキ様組成物
(粉体)のそれぞれについて説明する。 (1)本発明において赤色インキあるいは塗料様組成物
(流体)の媒質(ビヒクル)としては、カラー印刷用、
カラー磁気印刷用、カラー磁気塗料用に用いられる、従
来公知のワニスを用いることができ、例えば液状ポリマ
ー、有機溶媒に溶解したポリマーやモノマーなどを粉体
の種類やインキの適用方法、用途に応じて適宜に選択し
て使用することができる。
【0058】上記液状ポリマーとしては、ポリペンタジ
エン、ポリブタジエン等のジエン類、ポリエチレングリ
コール類、ポリアミド類、ポリプロピレン類、ワックス
類あるいはこれらの共重合体編成体等を挙げることがで
きる。有機溶媒に溶解するポリマーとしては、オレフィ
ン系ポリマー類、オリゴエステルアクリレート等のアク
リル系樹脂類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリイ
ソシアネート類、アミノ樹脂類、キシレン樹脂類、ケト
ン樹脂類、ジエン系樹脂類、ロジン変性フェノール樹
脂、ジエン系ゴム類、クロロプレン樹脂類、ワックス類
あるいはこれらの変性体や共重合体などを挙げることが
できる。有機溶媒に溶解するモノマーとしては、スチレ
ン、エチレン、ブタジエン、プロピレンなどを挙げるこ
とができる。有機溶媒としては、エタノール、イソプロ
パノール、ノルマルプロパノール等のアルコール類、ア
セトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、
ケロシン、ベンジン炭化水素類、エステル類、エーテル
類あるいはこれらの変性体や共重合体などを挙げること
ができる。
【0059】(2)赤色トナー、赤色乾式インキ、赤色
乾式塗料様組成物(粉体)は、上記赤色色材多層膜被覆
粉体を、樹脂とあるいは必要に応じて調色材とを、スク
リュー型押出機、ロールミル、ニーダなどで直接混練
し、ハンマミル、カッターミルで粗粉砕したあと、ジェ
ットミルなどで微粉砕し、エルボージェットなどで必要
な粒度に分級することにより粉体状赤色色材組成物を得
ることができる。また、乳化重合法や懸濁重合法などの
重合法を用いて、赤色色材多層膜被覆粉体を粉体状赤色
色材組成物とすることもできる。さらに、赤色多層膜被
覆粉体と樹脂、調色剤などの添加剤および溶剤をコロイ
ドミルや3本ロールで液状化しインキ塗料などの液状赤
色色材組成物とすることもできる。明度を上げるための
調色材としては、赤色顔料(展色材)である、例えば、
酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化珪素、酸化アンチ
モン、酸化鉛等あるいはこれらの複合酸化物類、また炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭
酸塩、あるいは硫酸バリウム、硫酸カルシウムのような
硫酸塩類、硫酸亜鉛のような硫化物あるいは前記酸化物
や炭酸塩および硫酸塩を焼結した複合酸化物、複合含水
酸化物類が挙げられる。彩度、色相を調整するため、特
にフルカラー用混色で色再現性を向上するために、調色
剤としては、カドミウムレッド、マーキュリー レッド
などの硫化物類顔料などの赤色系無機顔料、パーマネン
トレッド、パラレッドなどのアゾ系、ブリリアントファ
ストレッド、ファストスカーレッド等のファスト顔料な
どのオイルレッド、オイルピンク等のオイル系染料、メ
タノールレッド、メタノールピンク等のアルコール染
料、エオシンレーキ、ローダミンレーキ等のレーキ染
料、Cinquasis Red等のキナクリドン系染
顔料、などの赤色系有機染料あるいは赤色系有機顔料が
挙げられる。しかし本発明の調色剤はこれらのみに限定
されるものではない。さらに、微妙な色調制御において
は青色、黄色、赤紫色などの顔料や染料を用いて調色す
ることが必要な場合は、これらの顔料を添加することに
より最適の赤色とすることが好ましい。この粉体状赤色
色材組成物の場合、(a)上記粉砕法で製造する場合の
樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリア
ミド、エポキシ樹脂、ポリエステル、メラミン樹脂、ポ
リウレタン、酢酸ビニル樹脂、ケイ素樹脂、アクリル酸
エステル、メタアクリル酸エステル、スチレン、エチレ
ン、ブタジエン、プロピレン及びこれらの誘導体の重合
体または共重合体などが挙げられる。(b)重合法の場
合、エステル、ウレタン、酢酸ビニル、有機ケイ素、ア
クリル酸、メタアクリル酸、スチレン、エチレン、ブタ
ジエン、プロピレン等のうち1種あるいは複数の混合物
から重合を開始させ、重合体あるいはこれらの共重合体
などが形成される。
【0060】本発明の赤色色材組成物は上記のように、
(1)赤色インキあるいは塗料様組成物(流体)および
(2)赤色トナー、赤色乾式インキ様組成物(粉体)の
形をとる。また、流体状の場合には、赤色インキ、塗料
等であり、前記調色材、乾燥の遅い樹脂には固化促進
剤、粘度を上げるために増粘剤、粘性を下げるための流
動化剤、粒子同志の分散のために分散剤などの成分を含
ませることができる。一方、粉体の場合には、(a)粉
砕法で粉体を製造する場合には、前記調色材、乾燥の遅
い樹脂には固化促進剤、混練の際の粘性を下げるために
は流動化剤、粒子同志の分散のためには分散剤、紙等へ
の定着のための電荷調整剤、ワックスなどの成分を含ま
せることができる。(b)重合法を用いる場合には、前
記調色材、重合開始剤、重合促進剤、粘度を上げるため
には増粘剤、粒子同志の分散のためには分散剤、紙等へ
の定着のための電荷調整剤、ワックスなどの成分を含ま
せることができる。本発明の赤色色材組成物中の多層膜
被覆粉体は、単一の粉体ないしは分光特性の異なる複数
の粉体の組み合せにより、湿式および乾式カラー印刷や
湿式および乾式カラー磁気印刷に適用できるほか、3原
色の粉体を用いて、可視光、非可視光(紫外域および赤
外域)、蛍光発色および磁気、さらに電気(電場の変
化)の6種の組合せの識別機能を持ち、印刷物の偽造防
止用カラー磁性インキなどセキュリティ機能を必要とす
る他の用途に適用することができる。
【0061】前記本発明の赤色色材組成物を赤色インキ
あるいは塗料様組成物または赤色トナー、赤色乾式イン
キ様組成物、赤色乾式塗料組成物として、基材に印刷、
溶融転写または被塗装体に塗布する場合、赤色色材組成
物中の赤色色材多層膜被覆粉体と樹脂の含有量の関係
は、体積比で1:0.5〜1:15である。媒質の含有
量が少な過ぎると塗布した膜が被塗装体に固着しない。
また、多過ぎると顔料の色が薄くなりすぎ良いインキま
たは塗料といえない。 また、赤色インキあるいは塗料
組成物中の赤色色材および樹脂を合わせた量と溶剤の量
との関係は、体積比で1:0.5〜1:10であり、溶
剤の量が少な過ぎると塗料の粘度が高く、均一に塗布で
きない。また、溶剤の量が多過ぎると塗膜の乾燥に時間
を要し塗布作業の能率が極端に低下する。
【0062】また、基材に印刷、溶融転写または被塗装
体に塗料を塗布した際の塗膜の色の濃度は、被塗装体の
単位面積当たりに載った顔料の量によって決まる。塗料
が乾燥した後の被塗装体上の本発明の赤色色材多層膜被
覆粉体の量は、均一に塗布した場合の面積密度で1平方
メートルあたり0.1〜300gであり、好ましくは
0.1〜100gであれば良好な塗装色が得られる。面
積密度が前記の値より小さければ被塗装体の地の色が現
れ、前記の値より大きくても塗装色の色濃度は変わらな
いので不経済である。すなわち、ある厚さ以上に顔料を
被塗装体上に載せても、塗膜の下側の顔料にまでは光り
が届かない。かかる厚さ以上に塗膜を厚くすることは、
塗料の隠蔽力を越えた厚さであるので塗装の効果がなく
不経済である。ただし、塗膜の磨耗を考慮し、塗膜の厚
さが摩り減るため厚塗りする場合はこの限りではない。
【0063】
【実施例】以下に本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、勿論本発明の範囲は、これらによって限定
されるものではない。 〔実施例1〕(磁性体を用いた赤色色材組成物1、水系
2層被覆) (第1層シリカ膜の製膜) (1)緩衡液の調整 1リットルの水に対し、0.4Mの塩化カリウム試薬と
0.4Mのほう酸を溶解し、緩衡溶液1とした。1リッ
トルの水に対し、0.4Mの水酸化ナトリウムを溶解
し、緩衡溶液2とした。250mlの上記緩衡溶液1と
115mlの上記緩衡溶液2とを混合均一化し、緩衡溶
液3とした。 (2)ケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス溶液) ケイ酸ナトリウム試薬を純水で希釈し、SiO2含有量
が10wt%になるように濃度調整した。
【0064】(3)シリカ製膜 基体粒子として15gのマグネタイト粉末(平均粒径
2.3μm)を、あらかじめ準備しておいた177ml
の緩衡溶液3(pH:約9.0)と純水124mlの混
合液に入れ分散液とした。この分散液を入れた容器を、
水を張った超音波洗浄機((株)井内盛栄堂製、US−
6型)の水槽に入れ、28kHZ、200Wの超音波浴
槽中で超音波をかけながら、さらに、マグネタイト粉を
緩衡溶液3中で撹拌しながら分散させた。これに、同じ
くあらかじめ用意しておいた99mlのケイ酸ナトリウ
ム水溶液を40ml/分で添加し、徐々に反応分解さ
せ、表面にシリカ膜を析出させた。ケイ酸ナトリウム水
溶液添加終了後、さらに、2時間反応させ、未反応原料
をすべて反応させた。製膜反応終了後、シリカ製膜粉を
含むスラリーを十分な水でデカンテーションを繰り返
し、洗浄した。洗浄後、シリカ製膜粉をバットに入れ、
沈降分離し、上液を捨てた後、乾燥機で空気中で150
℃、8時間乾燥し、シリカ被覆マグネタイト粉A1を得
た。
【0065】(第2層チタニア膜の製膜) (1)緩衡液の調整 1リットルの脱イオン水に対し、0.3Mの酢酸、0.
9Mの酢酸ナトリウムを溶解し、緩衡溶液4とした。 (2)硫酸チタン水溶液 濃度がTiO2で100g/リットルとなるように硫酸チタ
ンを水に添加し、希釈調整し、硫酸チタン水溶液とし
た。
【0066】(3)チタニア製膜 4gの上記粉体A1に対し、484mlの緩衡溶液4
(pH:約8.4)を用意し、その緩衡溶液4中に粉体
1を、上記シリカ製膜時と同様に、超音波分散しなが
ら、超音波浴槽中で十分に分散した。その後、液の温度
を50〜55℃に保ちながら、あらかじめ用意しておい
た硫酸チタン水溶液57mlを1.9ml/分で滴下
し、液中で固相微粒子を析出させ液を薄く白濁させた。
その後、粉体A1 表面に該固相微粒子を固定させるた
め、滴下速度を1.5ml/分に下げ、未反応分を徐々
に析出させた。すると、液中に析出していた固相微粒子
が基体粒子表面に固定され、またさらに、基体粒子表面
に固定された固相微粒子よりも粒径が小さい超微粒子に
より、その表面が覆われた。
【0067】(4)洗浄乾燥 製膜反応終了後、純水でデカンテーションを繰り返し、
未反応分と過剩硫酸および反応により形成された硫酸を
除き、固液分離を行い、真空乾燥機で乾燥後、乾燥粉を
得た。得られた乾燥粉を、回転式チューブ炉で、650
℃で30分加熱処理(焼成)を行い、表面が平滑なシリ
カ/チタニア被覆マグネタイト粉A2を得た。この2層
膜被覆粉体A2は黄帯赤色であり、その1kOeでの磁
化は31.4emu/gであった。この2層膜被覆粉体
2の最大反射ピークは728nmで、明るい赤色とな
った。
【0068】上記被覆膜の被覆粉体の分光反射曲線のピ
ーク波長、そのピーク波長での反射率、被覆膜の屈折率
および膜厚の値を下記の方法で測定した。 1)分光反射曲線は、日本分光製、積分球付分光光度計
で粉体試料をガラスホルダーに詰め、その反射光を測定
した。測定方法はJISZ8723(1988)によ
り、測定した。 2)屈折率と膜厚は、異なる条件で作製した、膜厚の試
料の分光反射曲線測定結果を、干渉の式に基づく機器計
算の曲線とのフィッティングにより求め評価した。
【0069】(5)多層膜被覆粉体の表面疎水化処理 得られたシリカ/チタニアコート粉体A210gを、シ
リコンエトキシド0.2gを溶解したエタノール溶液2
00ml中に分散し、容器をオイルバスで加熱して液の
温度を55℃に保持した。これにアンモニア水(29%
濃度)3gを添加し、3時間撹拌後、濾過し、真空乾燥
機で100℃で2時間乾燥し、疎水化処理された赤色多
層膜被覆粉体A3を得た。
【0070】(6)接着樹脂層 (ポリスチレン複合粉体、トナー化)スチレンモノマー
100gにあらかじめ前記の表面処理方法で親油化した
赤色色系多層被覆粉体A3100gを分散するまで高速
攪拌機で攪拌し、均一化した。このスチレンモノマーと
粒子の混合物を、n−ドデシル硫酸ナトリウムを蒸留水
500gに溶解した溶液を70℃に温度を保持し、高速
攪拌しながら投入し、十分に乳化粒子を微粒子化するま
で攪拌した。これに10%過硫酸アンモニウム水溶液1
0gを添加し、4時間攪拌して反応させた。反応終了
後、蒸留水2リットルで希釈し、傾斜洗浄で上液を捨て
沈澱物を集める。沈澱物をろ紙上で乾燥し、赤色のポリ
スチレン被覆粉体Aを得た。得られた赤色の粉Aは球状
で、また磁場1kOeでの磁化は15.0emu/gで
あった。上記第1〜2層の各屈折率、膜厚、被覆粉体の
分光反射曲線のピーク波長およびそのピーク波長での反
射率を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】〔実施例2〕(磁性体を用いた赤色色材組
成物2、水系3層被覆) (第1層シリカ膜の製膜) (1)シリカ製膜 基体粒子として、15gの球状マグネタイト粉末(平均
粒径2.3μm)を、あらかじめ準備しておいた261
mlの前記緩衡溶液3(pH:約9.0)に入れ分散液
とした。この分散液を入れた容器を、水を張った超音波
洗浄機((株)井内盛栄堂製、US−6型)の水槽に入
れ、26kHZ、600Wの超音波浴槽中で超音波をか
けながら、さらに、マグネタイト粉を含む緩衡溶液3中
で撹拌しながら分散させた。これに、同じくあらかじめ
用意しておいた139mlのケイ酸ナトリウム水溶液を
40ml/分で添加し、徐々に反応分解させ、表面にシ
リカ膜を析出させた。
【0073】ケイ酸ナトリウム水溶液添加終了後、さら
に2時間反応させ、未反応原料をすべて反応させた。製
膜反応終了後、シリカ製膜粉を含むスラリーを十分な水
でデカンテーションを繰り返し、洗浄した。洗浄後、シ
リカ製膜粉をバットに入れ、沈降分離し、上液を捨てた
後、乾燥機で空気中で150℃、8時間乾燥した後、窒
素雰囲気中で500℃で30分熱処理(焼成)して、シ
リカ被覆マグネタイト粉B1を得た。
【0074】(第2層チタニア膜の製膜)実施例1と同
様に、緩衡溶液4および硫酸チタン水溶液を調製、準備
した。5.5gの上記粉体B1に対し、1313mlの
緩衡溶液4(pH:約8.4)を用意し、その緩衡溶液
4中に粉体B1を、上記シリカ製膜時と同様に、超音波
分散しながら、超音波浴槽中で十分に分散した。その
後、液の温度を50〜55℃に保ちながら、あらかじめ
用意しておいた硫酸チタン水溶液を1.8ml/分の一
定速度で徐々に滴下した。滴下初期時には、液中に固相
微粒子が析出したが、基体粒子表面に固定され、またさ
らに、基体粒子表面に固定された固相微粒子よりも粒径
の小さい超微粒子によりその表面が覆われた、シリカ/
チタニア被覆マグネタイト粉B2を得た。この2層膜被
覆粉体B2は淡赤色であり、最大反射ピークは722n
mであり、実施例1で得られた粉体A1と同様であっ
た。この粉体B2の表面は僅かに凹凸があり、部分的に
チタニア粒子の凸部もみられた。
【0075】(第3層シリカ膜の製膜、シリカ薄膜によ
り前記チタニア膜表面を閉じ込めた場合)実施例1と同
様に、緩衡溶液1、2およびケイ酸ナトリウム水溶液
(水ガラス溶液)の調製を行った。上記粉体シリカ/チ
タニア被覆マグネタイト粉B215gにシリカ膜の製膜を
行った。緩衝溶液量は上記第1層被覆と同様であった
が、ケイ酸ナトリウム水溶液の滴下速度は同じにして滴
下量を261mlとして製膜を行い、未反応物がなくな
るまで、2時間反応させ、前記と同様に洗浄し、洗浄
後、回転式チューブ炉で、窒素雰囲気中で500℃で3
0分加熱処理(焼成)を行い、シリカ/チタニア被覆マ
グネタイト粉B3を得た。
【0076】得られた粉体B3は、表面が平滑なシリカ
膜2層の間に、チタニア微粒子が結晶化し、光散乱が大
きい淡赤色の粉体となった。B3の表面は、凹凸がなく
なり、ほぼ平滑で、また穴や割れ、くぼみ等はなかっ
た。透過電子顕微鏡での観察において、シリカ層2層の
間に、チタニア微粒子の結晶化が認められ、粒子間に空
隙が存在していたため、粒子と空隙の間で散乱反射が大
きくなったものと考えられる。この3層膜被覆粉体B3
の最大反射ピークは723nmであった。
【0077】(接着樹脂層、ポリスチレン複合粉体)ス
チレンモノマー100gにあらかじめ前記の表面処理方
法で親油化した赤色色材多層被覆粉体B、100gと
同じく親油化した酸化チタン10gを分散するまで高速
攪拌機で攪拌し、均一化した。このスチレンモノマーと
粒子の混合物を、n−ドデシル硫酸ナトリウムを蒸留水
500gに溶解した溶液を70℃に温度を保持し、高速
攪拌しながら投入し、十分に乳化粒子を微粒子化するま
で攪拌した。これに10%過硫酸アンモニウム水溶液1
0gを添加し、4時間攪拌して反応させた。反応終了
後、蒸留水2リットルで希釈し、傾斜洗浄で上液を捨て
沈澱物を集める。沈澱物をろ紙上で乾燥し、赤色のポリ
スチレン被覆粉体Bを得た。得られた赤色色材組成物B
の粉体は球状で、磁場1kOeでの磁化は15emu/
gであった。上記第1〜3層の各屈折率、膜厚、被覆粉
体の分光反射曲線のピーク波長およびそのピーク波長で
の反射率を表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】〔実施例3〕(磁性体を用いた赤色色材組
成物3、散乱粒子を表面に付着した場合、水系4層被
覆) (第1層シリカ膜の製膜)基体粒子として、40gのマ
グネタイト粉(平均粒径0.7μm)を、実施例1と同
様に、あらかじめ準備しておいた3126gの緩衡溶液
3(pH:約9.0)と純水260mlの混合液に入れ
分散液とし、28kHZ、600Wの超音波浴槽中で超
音波をかけながら、さらに、マグネタイト粉を含む緩衡
溶液3中で撹拌しながら分散させた。これに、同じくあ
らかじめ用意しておいた1302mlのケイ酸ナトリウ
ム水溶液を2.67ml/分で徐々に添加し、表面にシ
リカ膜を析出させた。ケイ酸ナトリウム水溶液添加終了
後、さらに2時間反応させ、未反応原料をすべて反応さ
せた。製膜反応終了後、シリカ製膜粉を含むスラリーを
十分な水でデカンテーションを繰り返し、洗浄した。洗
浄後、シリカ製膜粉をバットに入れ、沈降分離し、上液
を捨てた後、乾燥機で空気中で150℃、8時間乾燥
し、シリカ被覆マグネタイト粉C1を得た。
【0080】(第2層チタニア膜の製膜)40gの上記
粉体C1に対し、5210gの緩衡溶液4と純水521
0mlを用意し、その混合液中にC1を、上記シリカ製
膜時と同様に、超音波分散しながら、超音波浴槽中で十
分に分散した。その後、液の温度を50〜55℃に保ち
ながら、あらかじめ用意しておいた、2110mlの硫
酸チタニル水溶液(TiO 2、15w%)を1.25m
l/分の一定速度で徐々に滴下し、液を僅かに白濁させ
ながら滴下を終了させた。滴下終了後、さらに3時間反
応を行い、未反応分を徐々に析出させ、その粒子を膜の
中に取り込んだ。製膜反応終了後、十分な純水でデカン
テーションを繰り返し、未反応分と過剰硫酸および反応
により形成された硫酸を除き、固液分離を行い、真空乾
燥機で乾燥後、乾燥粉を得た。得られた乾燥粉を、回転
式チューブ炉で、650℃で30分加熱処理(焼成)を
行い、シリカ/チタニア被覆マグネタイト粉C2を得
た。この2層膜被覆粉体C2は帯黄赤色であり、最大反
射ピークは607nmであった。
【0081】(第3層シリカ膜の製膜)40gのシリカ
/チタニア被覆マグネタイト粉C2に対し、1層目と同
様に、あらかじめ準備しておいた3751gの緩衡溶液
3(pH:約9.0)と純水313mlを入れ、28k
Z、600Wの超音波浴槽中で超音波をかけながら、
さらに、マグネタイト粉を含む緩衡溶液3中で撹拌しな
がら分散させた。これに、同じくあらかじめ用意してお
いた1563mlのケイ酸ナトリウム水溶液を2.67
ml/分で徐々に添加し、表面にシリカ膜を析出させ
た。ケイ酸ナトリウム水溶液添加終了後、さらに2時間
反応させ、未反応原料をすべて反応させた。製膜反応終
了後、シリカ製膜粉を含むスラリーを十分な水でデカン
テーションを繰り返し、洗浄した。洗浄後、シリカ製膜
粉をバットに入れ、沈降分離し、上液を捨てた後、乾燥
機で空気中で150℃、8時間乾燥し、シリカ被覆マグ
ネタイト粉C3を得た。
【0082】(第4層チタニア膜の製膜)40gの上記
粉体C3に対し、3751mlの緩衡溶液4と313m
lの純水を用意し、その混合液中に粉体C3を、上記シ
リカ製膜時と同様に、超音波分散しながら、超音波浴槽
中で十分に分散した。その後、液の温度を50〜55℃
に保ちながら、あらかじめ用意しておいた、1563m
lの硫酸チタニル水溶液(TiO2、15w%)を1.
25ml/分の一定速度で徐々に滴下し、固相微粒子を
析出させ液を僅かに白濁させながら滴下を終了させた。
滴下終了後、さらに3時間反応を行い、未反応分を徐々
に固相微粒子として析出させ、その微粒子を膜の中に取
り込んだ。製膜反応終了後、十分な純水でデカンテーシ
ョンを繰り返し、未反応分と過剰硫酸および反応により
形成された硫酸を除き、固液分離を行い、真空乾燥機で
乾燥後、乾燥粉を得た。
【0083】得られた乾燥粉を、回転式チューブ炉で、
650℃で30分加熱処理(焼成)を行い、シリカ/チ
タニア被覆マグネタイト粉C4を得た。この4層膜被覆
粉体C4 は淡赤色であり、最大反射ピークは718nm
であった。
【0084】(赤色インキ組成物の調製)このようにし
て得られたシリカ/チタニア被覆マグネタイト粉C4
30gを、あらかじめエタノール80gにアクリルポリ
マー(テクノビット、Kulzer社製)2.5gを溶
解した溶液中に分散した後、酸化チタン(シリコン疎水
処理品:展色材)20gおよびヒドロキシプロピルセル
ロース3.2gを加えた混合液を、ジルコニアボールミ
ルで8時間分散処理を行い、赤色色材組成物の塗料分散
液CLを得た。
【0085】(塗布および分光特性)上記蛍光顔料組成
物の分散液CLを、ブレードコーターでアート紙に塗布
した。赤色色材組成物の塗布量(乾燥後)は60g/m
2とした。乾燥後、得られた塗布紙Cの色は最大反射ピ
ーク波長718nmで、反射率67%の明るい赤色とな
った。また、この塗布祇Cの1m2当たりの1kOeで
の磁化は720emu/cm2であった。上記第1〜4
層の各屈折率、膜厚、被覆粉体の分光反射曲線のピーク
波長およびそのピーク波長での反射率を表3に示す。
【0086】
【表3】
【0087】〔実施例4〕(磁性体を用いた赤色色材組
成物4、金属アルコキシドの加水分解による3層被覆) (第1層シリカ膜の製膜)20gのBASF製カーボニ
ル鉄粉(平均粒径1.8μm,10kOeでの磁化は20
3emu/g)を、あらかじめ158.6gのエタノールに
22.8gのシリコンエトキシドを溶解した溶液中で分
散した後、攪拌しながら、あらかじめ用意しておいた2
2.8gのアンモニア水(29%)および30.4gの
脱イオン水の混合溶液を添加した。添加後、5時間、常
温で反応させた。反応後、十分なエタノールで希釈洗浄
し、濾過し、真空乾燥機で110℃、3時間乾燥した。
乾燥後、回転式チューブ炉を用いて、窒素雰囲気中で8
00℃で30分熱処理(焼成)を施し、冷却し、シリカ
コート鉄粉D1を得た。
【0088】(第2層チタニア膜の製膜)セパラブルフ
ラスコ中で、20gの上記シリカコート粉体D1を、あ
らかじめ198.3gのエタノールに17.9gのチタ
ンイソプロポキシドを加えた液中に分散した後、攪拌し
ながら、あらかじめ用意しておいた30.4gの純水を
47.9gのエタノールに混合した溶液を1時間かけ
て、滴下した。滴下後、5時間、常温で反応させた。反
応後、十分なエタノールで希釈洗浄し、濾過し、真空乾
燥機で110℃、3時間乾燥し,シリカ/チタニアコー
ト鉄粉D2を得た。乾燥後のチタニア層を透過電子顕微
鏡を用いて層内の粒子状態を観察したところ、1〜10
nmの酸化チタン固相微粒子がみられたが、膜の内部に
は粒子間の空隙はなく均一に充填されていた。この酸化
チタン膜の平均膜厚は93nmであり、750nmに分
光反射曲線のピーク波長を有し、淡赤色であった。
【0089】(第3層シリカ膜の製膜)20gのシリカ
/チタニアコート鉄粉D2を、あらかじめ156.8g
のエタノールに3.0gのシリコンエトキシドを溶解し
た溶液中で分散した後、攪拌しながら、あらかじめ用意
しておいた3.0gのアンモニア水(29%)および
4.0gの脱イオン水の混合溶液を添加した。添加後、
1時間、常温で反応させた。反応後、十分なエタノール
で希釈洗浄し、濾過し、真空乾燥機で110℃、3時間
乾燥した。乾燥後、更に窒素雰囲気中で500℃で30
分熱処理(焼成)を施し、冷却し、シリカ/チタニアコ
ート鉄粉D3を得た。熱処理後のチタニア層を透過電子
顕微鏡を用いて層内の粒子状態を観察したところ、10
〜150nmの酸化チタン結晶化微粒子がみられ、それ
ぞれの粒子間には10〜50nm程度の空隙が認められ
た。しかし、シリカ層は緻密であり、粒子はなく、また
平滑であった。さらに、チタニアとの界面には、空隙が
存在していた。
【0090】この粉体D3の最大反射ピーク波長は77
0nmで、磁場1kOeでの磁化は129emu/gで
あり、淡い赤色となった。この実施例4から、熱処理
(焼成)の有無によりチタニア粒子の結晶粒子化と、粒
子化に伴う粒子間およびシリカ膜との間の空隙が見ら
れ、これらの粒子化にともなう散乱反射効果により、赤
色化が達成されたと考えられる。また、この実施例4の
赤色色材粉体は最終被覆層に緻密な膜を形成することが
特徴の一つである。これまでの最終層のように高屈折率
膜という限定でなく、干渉、散乱に影響のない緻密な膜
で空隙を被覆する。従来技術では、得られた粉体をトナ
ーや塗料等の顔料として用いる際に、空隙に樹脂やビヒ
クルが入り込み、干渉あるいは散乱粒子との屈折率の差
が小さくなり、フレネル反射率が低下することがあっ
た。しかし、最終層を干渉、散乱に影響のない緻密な膜
として、粒子構成膜の空隙を被覆することにより、上記
散乱反射の低下を防ぐことができる。
【0091】(接着樹脂層、ポリスチレン複合粉体)ス
チレンモノマー100gに赤色色材多層被覆粉体(シリ
カ/チタニアコート鉄粉D3)100gと前記親油化し
た酸化チタン10gを分散するまで高速攪拌機で攪拌
し、均一化した。このスチレンモノマーと粒子の混合物
を、n−ドデシル硫酸ナトリウムを蒸留水500gに溶
解した溶液を70℃に温度を保持し、高速攪拌しながら
投入し、十分に乳化粒子を微粒子化するまで攪拌した。
これに10%過硫酸アンモニウム水溶液10gを添加
し、4時間攪拌して反応させた。反応終了後、蒸留水2
リットルで希釈し、傾斜洗浄で上液を捨て沈澱物を集め
る。沈澱物をろ紙上で乾燥し、赤色のポリスチレン被覆
粉体Dを得た。得られた赤色色材組成物Dの粉体は球状
で、磁場1kOeでの磁化は18.5emu/gであ
り、磁場10kOeでの磁化は61.5emu/gであ
った。上記第1〜3層の各屈折率、膜厚、被覆粉体の分
光反射曲線のピーク波長およびそのピーク波長での反射
率を表4に示す。
【0092】
【表4】
【0093】〔実施例5〕(磁性体を用いた赤色色材組
成物5、金属アルコキシドの加水分解による5層被覆) (第1層シリカ膜の製膜)20gのBASF製カーボニ
ル鉄粉(平均粒径1.8μm,10kOeでの磁化は2
03emu/g)を、あらかじめ158.6gのエタノ
ールに16.1gのシリコンエトキシドを溶解した溶液
中で分散した後、攪拌しながら、あらかじめ用意してお
いた16.1gのアンモニア水(29%)および16.
1gの脱イオン水の混合溶液を添加した。添加後、5時
間、常温で反応させた。反応後、十分なエタノールで希
釈洗浄し、濾過し、真空乾燥機で110℃、3時間乾燥
した。乾燥後、さらに回転式チューブ炉を用いて、窒素
雰囲気中で600℃で30分熱処理(焼成)を施し、冷
却し、シリカコート鉄粉E1を得た。
【0094】(第2層チタニア膜の製膜)セパラブルフ
ラスコ中で、20gの上記シリカコート粉体E1を、あ
らかじめ198.3gのエタノールに17.9gのチタ
ンイソプロポキシドを加えた液中に分散した後、攪拌し
ながら、あらかじめ用意しておいた31.0gの純水を
47.9gのエタノールに混合した溶液を1時間かけ
て、滴下した。滴下後、3時間、常温で反応させた。反
応後、十分なエタノールで希釈洗浄し、濾過し、真空乾
燥機で100℃、8時間乾燥し、シリカ/チタニアコー
ト鉄粉E2を得た。この酸化チタン膜の平均膜厚は96
nmであり、760nmに分光反射曲線のピーク波長を
有し、帯黄赤色であった。
【0095】(第3層シリカ膜の製膜)20gのシリカ
/チタニアコート鉄粉E2を、あらかじめ158.6g
のエタノールに29.7gのシリコンエトキシドを溶解
した溶液中で分散した後、攪拌しながら、あらかじめ用
意しておいた29.7gのアンモニア水(29%)およ
び39.6gの脱イオン水の混合溶液を添加した。添加
後、5時間、常温で反応させた。反応後、十分なエタノ
ールで希釈洗浄し、濾過し、真空乾燥機で110℃、3
時間乾燥した。乾燥後、さらに回転式チューブ炉を用い
て、窒素雰囲気中で500℃で30分熱処理(焼成)を
施し、冷却し、シリカ/チタニアコート鉄粉E3を得
た。
【0096】(第4層チタニア膜の製膜)セパラブルフ
ラスコ中で、20gの上記シリカコート粉体E3を、あ
らかじめ198.3gのエタノールに23.2gのチタ
ンイソプロポキシドを加えた液中に分散した後、攪拌し
ながら、あらかじめ用意しておいた39.6gの純水を
60.0gのエタノールに混合した溶液を1時間かけ
て、滴下した。滴下後、4時間、常温で反応させた。反
応後、十分なエタノールで希釈洗浄し、濾過し、真空乾
燥機で100℃、8時間乾燥し、シリカ/チタニアコー
ト鉄粉E4を得た。
【0097】(第5層シリカ膜の製膜)20gのシリカ
/チタニアコート鉄粉E4を、あらかじめ158.6g
のエタノールに2.5gのシリコンエトキシドを溶解し
た溶液中で分散した後、攪拌しながら、あらかじめ用意
しておいた2.5gのアンモニア水(29%)および
3.0gの脱イオン水の混合溶液を添加した。添加後、
5時間、常温で反応させた。反応後、十分なエタノール
で希釈洗浄し、濾過し、真空乾燥機で110℃、3時間
乾燥した。乾燥後、さらに回転式チューブ炉を用いて、
窒素雰囲気中で600℃で30分熱処理(熱処理)を施
し、冷却し、シリカ/チタニアコート鉄粉E 5を得た。
この鉄粉E5は760nmに分光反射曲線のピーク波長
を有し、淡赤色であった。磁場10kOeでの磁化は8
2emu/gであった。
【0098】(赤色インキ組成物の調製)このようにし
て得られたシリカ/チタニアコート鉄粉E5、30g
を、あらかじめエタノール80gにアクリルポリマー
(テクノビット、Kulzer社製)2.5gを溶解し
た溶液中に分散した後、酸化チタン(シリコン疎水処理
品:展色材)20gおよびヒドロキシプロピルセルロー
ス3.2gを加えた混合液を、ジルコニアボールミルで
8時間分散処理を行い、赤色色材組成物の塗料分散液E
Lを得た。
【0099】(塗布および分光特性)上記蛍光顔料組成
物の分散液ELを、ブレードコーターでアート紙に塗布
した。赤色色材組成物の塗布量(乾燥後)は60g/m
2とした。乾燥後、得られた塗布紙Eの色はピーク波長
で755nmであり、明るい赤色となった。また、この
塗布祇Eの磁場1kOeでの磁化は1480emu/m
2であり、磁場10kOeでの磁化は4920emu/
2であった。上記第1〜5層の各屈折率、膜厚、被覆
粉体の分光反射曲線のピーク波長およびそのピーク波長
での反射率を表5に示す。
【0100】
【表5】
【0101】〔実施例6〕(乾式被膜磁性体を用いた赤
色色材組成物6、水系3層被覆) (第1層チタニア膜の製膜)平均粒径1.8ミクロンの
鉄粉1kgと平均粒径0.2ミクロンの酸化チタン粒子
1.5kgをホソカワミクロン製メカノフュージョン装
置を用いて5分間、3回乾式混 合粉砕し、膜が形成さ
れたのを確認し、明度が向上した酸化チタン被覆鉄粉を
1を得た。
【0102】(第2層シリカ膜の製膜)予め用意した実
施例1と同様の緩衝溶液3,214mlに対し、同じく
予め用意した純水、181mlを混合し、F1、10g
を添加し十分に混合した後、SiO2の混合率10wt%
の水ガラス溶液 145mlを撹拌しながら徐々に3時
間かけて滴下撹拌した後、1時間反応を継続させた。反
応後デカンテーションにより固液分離し、粉体を真空乾
燥後で8時間乾燥後、回転式チューブ炉を用い、窒素雰
囲気で500℃で30分熱処理し、シリカ/チタニア膜
被覆鉄粉F2を得た。
【0103】(第3層チタニア膜の製膜)さらにシリカ
/チタニア膜被覆鉄粉F2、4gに対し、緩衝液4,4
84 mlを加え十分に分散させた後、硫酸チタニルのT
iO215%水溶液、38 mlを4時間かけて滴下し、
滴下後、1時間反応させ、未反応原料を無くした。反応
後デカンテーションにより固液分離し、粉体を真空乾燥
機で8時間乾燥後、回転式チューブ炉を用い、窒素雰囲
気で500℃で30分熱処理し、シリカ/チタニア膜
被覆鉄粉F3を得た。この粉体のピークは728nmで
反射率は44%であり、濃い赤色であった。またこの粉
体の磁場1kOeの磁化は31.4emu/gで、10
kOeの磁化は984emu/gであった。
【0104】(トナー化)スチレンモノマー100gキ
シレン30mlに0.3gのオイルレッドを溶解した液
を混合した後、予め得られたF3粉を親油化したもの1
00gと、酸化チタン10gを加え均一に混合した。次
に、このスチレンモノマーと粒子の混合物を、ドデシル
硫酸ナトリウム3gを溶解した水溶液に投入した後、ホ
モジナイザーで10,000rpmで撹拌し、さらに、
5,000rpmで撹拌しながら70℃に温度を保持し
た後、10%過硫酸アンモニウム水溶液10gを添加
し、3.5時間反応させた。その後、固形分を濾過し、
温水で3回繰り返し洗浄を行い、赤色のポリスチレン被
覆粉体FPを得た。この粉体の1kOeでの磁場磁化は
18.64emu/gであり、10kOeでの磁化は4
6.74emu/gとなった。上記第1〜3層の各屈折
率、膜厚、被覆粉体の分光反射曲線のピーク波長および
そのピーク波長での反射率を表6に示す。
【0105】
【表6】
【0106】〔実施例7〕(板磁性体を用いた青色色材
組成物7、金属アルコキシド加水分解および水系による
3層被覆)(インキ) (第1層シリカ膜の製膜)平均粒径2.8ミクロンの板
状Ba系フェライト10gに対し、エタノール79.5
gを加え十 分に分散した後、シリコンエトキシド1
1.4gを添加し混合し、さらに、水11.2g、アン
モニア水15.2gを添加して、常温で撹拌しながら、
3時間反応させた。反応後デカンテーションにより固液
分離し、粉体を真空乾燥後で8時間乾燥後、回転式チュ
ーブ炉を用い、窒素雰囲気で500℃で30分熱処理
し、シリカ膜被覆Ba系フェライト粒子G1を得た。
【0107】(第2層チタン膜被覆着色)シリカ膜被覆
Ba系フェライト粒子G1、10gをエタノール159
gに十分分散した後チタンイソプロポキシド8.9gを
添加し、十分に混合した後、さらに予め用意しておいた
水15.2g、エタノール30gの混合溶液を滴下し5
時間反応させた。反応後デカンテーションにより固液分
離し、粉体を真空乾燥後で8時間乾燥後、回転式チュー
ブ炉を用い、窒素雰囲気で650℃で30分熱処理し、
シリカ/チタニア膜被覆Ba系フェライト粒子G2を得
た。この粉体のピークは780nmで反射率は42%であ
り、濃い赤色であった。またこの粉体の10kOeの磁
化は13.6emu/gであり、残留磁化は8.6em
u/gであった。
【0108】(第3層散乱膜被覆)予め用意したG2
10gに対し、同じく予め用意した緩衝溶液4を875
ml混合し、これに平均粒径0.2ミクロンの酸化チ
タン(ルチル型)粉体粒子5gを添加し十分に混合した
後、10wt%の水ガラス溶液274ml撹拌しながら
1時間撹拌した。デカンテーションを20回繰り返し十
分に洗浄したあと、乾燥機で120℃で8時間乾燥し
た。乾燥後の粉体を回転式チューブ炉を用い、窒素雰囲
気で500℃で30分熱処理し、シリカ膜/チタニア散
乱膜被覆Ba系フェライト粒子G3を得た。この粉体の
ピークは780nmで反射率は67%、淡い青色であっ
た。またこの粉体の10kOeの磁化は10.0emu
/gであり、残留磁化は6.6emu/gであった。上
記第1〜3層の各屈折率、膜厚、被覆粉体の分光反射曲
線のピーク波長およびそのピーク波長での反射率を表7
に示す。
【0109】
【表7】
【0110】(インキ化)上記G3粉30gに対し、あら
かじめアクリル樹脂1.5gとヒドロキシプロピルセルロ
ース2.3gを、エタノール溶液80gに分散し、撹拌し
ながらアルコールを蒸発させ粘度を上昇させた液体GL
を得た。このGLを理想科学製小形印刷機PG10で、
熱転写用プラスチック製フィルムに縞模様を形成した。
【0111】(塗布物)乾燥後磁気ヘッドを具備した検
出装置で、このフィルム上を走査したところ、本磁気粉
体Gの印刷された部分では磁気反応が検出されたが、
空白部分では磁気反応は出なかった。また塗布物は上方
から見ると赤色であったが、角度30度の斜めから見た
場合は、黄色に見え多色性がみられた。
【0112】〔実施例8〕(板状鉱物を用いた赤色色材
組成物8、金属アルコキシド加水分解による3層被覆)
(塗膜) (第1層被覆着色)平均粒径12ミクロンの板状白雲母
粉20gをエタノール160gに十分分散した後チタン
イソプロポキシドを9g添加し、十分に混合した後、さ
らに予め用意しておいた水15.5g、エタノール30
gの混合溶液を滴下し5時間反応させた。反応後デカン
テーションにより固液分離し、粉体を空乾燥後で8時間
乾燥後、回転式チューブ炉を用い、窒素雰囲気で500
℃で30分熱処理し、チタニア膜被覆板状白雲母粉H1
を得た。この粉体のピークは785nmで反射率は42
%であり、濃い赤色であった。
【0113】(第2層被覆)チタニア被覆板状白雲母粉
1、20gをエタノール80gに十分に分散した後、
シリコンエトキシド15.1gを添加し混合し、さら
に、水19.9g、アンモニア水15.1gを添加し
て、常温で撹拌しながら、3時間反応させた。反応後デ
カンテーションにより固液分離し、粉体を真空乾燥後で
8時間乾燥後、回転式チューブ炉を用い、窒素雰囲気で
500℃で30分熱処理し、シリカ/チタニア被覆板状
白雲母粉H2を得た。
【0114】(第3層着色膜被覆)シリカ/チタニア被
覆板状白雲母粉H2、20gをエタノール160gに十分分
散した後チタンイソプロポキシド15.1gを添加し、
十分に混合した後、さらに予め用意しておいた水15.
1g、エタノール30gの混合溶液を滴下し5時間反応さ
せた。反応後デカンテーションにより固液分離し、粉体
を真空乾燥後で8時間乾燥後、回転式チューブ炉を用
い、窒素雰囲気で500℃で30分熱処理し、シリカ/
チタニア膜被覆板状白雲母粉H3を得た。この粉体のピ
ークは785nmで反射率は65%、淡い赤色であっ
た。上記第1〜3層の各屈折率、膜厚、被覆粉体の分光
反射曲線のピーク波長およびそのピーク波長での反射率
を表8に示す。
【0115】
【表8】
【0116】(塗布)上記粉H3、15gを撹拌、分散
しながらアクリル樹脂2.2gを溶解したエタノール溶
液(エタノール50g)を入れ溶解した。溶媒の一部が
分散し粘度が上昇したところで、分散液を平板ガラス板
に伸ばしさらにゴムローラーに均一に付着させた後、A
4版の熱転写用フィルムに、粘性流体HLを塗布し1日
放置し乾燥した。得られた粉体塗布フィルムは垂直に見
ると淡赤色の帯がみられ、さらに、板を太陽に向け傾け
て見る角度変えると、太陽を背にした場合(ほぼ垂直
光)では淡い赤色であったが、太陽と板の角度(入射
角)が板から40度になるように見た場合その色は黄色
を帯び、多色性が認められた。この性質は多色性表示媒
体、化粧品や装飾品あるいはフリップフロップ法に用い
ることができる。
【0117】〔実施例9〕(板状導電体を用いた赤色色
材組成物9、金属アルコキシド加水分解による3層被
覆)(塗料) (第1層被覆着色)平均粒径12ミクロンの板状アルミ
ニウム粉18gをエタノール160gに十分分散した後
チタンイソプロポキシド9.0gを添加し、十分に混合
した後、さらに予め用意しておいた水15.5g、エタ
ノール160gの混合溶液を滴下し5時間反応させた。
反応後デカンテーションにより固液分離し、粉体を真空
乾燥後で8時間乾燥後、回転式チューブ炉を用い、窒素
雰囲気で500℃で30分熱処理し、チタニア膜被覆板
状アルミニウム粉I1を得た。この粉体のピークは78
0nmで反射率は42%であり、濃い赤色であった。
【0118】(第2層被覆)チタニア被覆板状アルミニ
ウム粉I1、18gをエタノール15.1gに十分に分
散した後、シリコンエトキシド8.1gを添加し混合し、
さらに、水19.9g、アンモニア水15.1gを添加
して、常温で撹拌しながら、3時間反応させた。反応後
デカンテーションにより固液分離し、粉体を真空乾燥後
で8時間乾燥後、回転式チューブ炉を用い、窒素雰囲気
で500℃で30分熱処理し、シリカ/チタニア被覆板
状アルミニウム粉I2を得た。
【0119】(第3層着色膜被覆)シリカ/チタニア被
覆板状アルミニウム粉I2、18gをエタノール160
gに十分分散した後チタンイソプロポキシド11.8g
を添加し、十分に混合した後、さらに予め用意しておい
た水20.1g、エタノール160gの混合溶液を滴下
し 5時間反応させた。反応後デカンテーションにより
固液分離し、粉体を真空乾燥後で8時間乾燥後、回転式
チューブ炉を用い、窒素雰囲気で500℃で30分熱処
理し、チタニア/シリカ膜被覆板状アルミニウム粉I3
を得た。この粉体のピークは785nmで反射率は68
%、淡い赤色であった。上記第1〜3層の各屈折率、膜
厚、被覆粉体の分光反射曲線のピーク波長およびそのピ
ーク波長での反射率を表9に示す。
【0120】
【表9】
【0121】(塗布)長辺80mm,単辺57mm,厚
さ1.5mm白色塩化ビニル板に両面粘着テープを幅3m
m、長さ57mmの帯状にしたものを7本用意し、板状
の単辺に平行に中心に1枚貼った後、中心の帯状テープ
から3mm間隔で平行に貼り付けた。その後、I3をこ
のテープが貼られた板に均一になるよう降りかけた。さ
らにこの白色塩化ビニル板を水平においた一辺10c
m、厚さ1cmの鉄板の上に置き、さらに同じ板を上に
置き2枚で挟みこみ、板の中心に1kgの分銅を載せ1
時間放置した。1時間後、板を取り去り、さらに付着し
なかった粉を筆で払い落とした。得られた板は垂直に見
ると淡赤色の帯がみられ、実施例8と同様に多色性が認
められた。
【0122】(物性)ホイートストンブリッジと電源お
よび電流計を具備したサーチコイルを、この板の単辺に
垂直に走査した結果、塗布部分では電流計に変化があっ
たが、無い部分では変化が見られなかった。電場による
検出も可能である。この性質は多色性表示媒体、化粧品
や装飾品あるいはフリップフロップ法に用いることがで
きる。
【0123】表1〜9から明らかなように、本発明の各
実施例の赤色色材組成物は、それぞれ満足すべき結果を
得た。また、チタニア粒子の結晶粒子化による空隙を有
するチタニア被覆層は1層(第2層)よりも2層(第2
層および第4層)に有することにより、高度の赤色化が
達成された。
【0124】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の赤色色材
組成物は、含有される赤色粉体の製造における製膜反応
の際に、水を溶媒として用いることにより、アルコキシ
ド法に比べ安価な製造コストで製膜できるという効果が
得られる。また、基体粒子の表面に有する被覆膜の少な
くとも1層を、結晶化微粒子と該結晶化微粒子相互間に
空隙を有する結晶化微粒子の集合体とからなる膜(以
下、単に結晶化微粒子構成膜ともいう)とすることによ
り、結晶化粒子表面と空隙との屈折率差を大きくして、
光の散乱反射を起こし、反射効果を高め、優れた明度を
有する赤色色調の機能性粉体を含有する赤色色材組成物
を提供することが可能となった。
【0125】上記のようにして得られた本発明の赤色色
材組成物は、含有される赤色粉体の基体として磁性体を
活用すると、基体粒子の特性(例えば、磁気特性)を高
レベルに保持した機能性粉体、例えば、1成分系現像方
式でも優れた複合した機能を果たし得る赤色磁性トナー
や、優れた磁気特性を発揮することができる。また、多
色性や反射あるいは透過色を利用して意匠性に富んだ装
飾品、陶器、磁器、ガラス器、絵画などの工芸品・美術
品用、書籍、自動車・自転車などの塗料赤色多機能性イ
ンキ、トナー、塗料、化粧品ができ、さらに触媒作用を
持つ酸化チタン膜等により耐候性にすぐれ大気・水など
の環境浄化性のある塗料ができ、かつ基体の特性と膜の
特性を兼ね備えた赤色多機能性インキ、トナーおよび塗
料等に適用できる。特に前記機能が磁気、電場、色、粒
子形状、蛍光発光、蓄光発光、特定紫外線域反射吸収並
びに特定赤外線反射吸収の機能のいずれか2種以上を組
み合わせることにより偽造防止用顔料組成物として印刷
インキ、トナーとして支持媒体上に所望の画像を形成
し、目視による判別、機器による判別することができる
赤色色材組成物およびその効率的製造方法を提供するこ
とが可能となった。これらの優れた機能を有すると共
に、含有される赤色粉体の基体として導電体または誘電
体を活用すると、電場、の外部要因により反応すること
により移動力、回転、運動、発熱などの付加的な作用を
発する機能を保持した赤色色材組成物およびその効率的
製造方法を提供することが可能であり、産業界に寄与す
るところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の赤色色材組成物に含有される赤色粉体
の一例の断面図である。
【図2】図1の赤色色材組成物に含有される赤色粉体が
有する結晶化微粒子構成膜2の断面拡大図である。
【符号の説明】
1 基体粒子 2 結晶化微粒子構成膜 3 結晶化微粒子 4 超微粒子
フロントページの続き (72)発明者 新子 貴史 東京都西多摩郡日の出町平井8番地1 日 鉄鉱業株式会社内 (72)発明者 星野 希宜 東京都西多摩郡日の出町平井8番地1 日 鉄鉱業株式会社内 (72)発明者 中塚 勝人 宮城県仙台市太白区茂庭台四丁目3番5の 1403号 Fターム(参考) 4J037 AA04 AA05 AA08 AA09 AA10 AA15 AA18 AA19 AA22 AA25 AA26 AA27 AA30 CA14 CA15 CA24 CA25 CB28 EE04 EE26 EE43 FF02 FF06

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体粒子の表面に水系溶媒中での金属塩
    の反応により形成された被覆膜を少なくとも1層有し6
    00〜800nmの間にピークを有する反射スペクトル
    を示す赤色粉体を含有する赤色色材組成物。
  2. 【請求項2】 前記赤色粉体の水系溶媒中での金属塩の
    反応により形成された前記被覆膜が、下記式の条件を満
    たすものであることを特徴とするemu/g請求項1記
    載の赤色色材組成物。 Nd=mλ/4 〔式中、N=n+iκ(iは複素数を表す) n:膜を構成する物質の屈折率 d:膜厚 m:自然数 λ:粉体の示す反射スペクトルが有するピークの波長
    (但し、λは600〜800nm) κ:減衰係数〕
  3. 【請求項3】 前記赤色粉体の基体粒子の表面に有する
    被覆膜が多層膜であることを特徴とする請求項1記載の
    赤色色材組成物。
  4. 【請求項4】 前記赤色粉体の多層膜の各膜が、全て水
    系溶媒中での金属塩の反応により形成されたものである
    ことを特徴とする請求項3記載の赤色色材組成物。
  5. 【請求項5】 前記赤色粉体の多層膜の各膜が、全て下
    記式の条件を満たすものであることを特徴とする請求項
    3記載の赤色色材組成物。 Nd=mλ/4 〔式中、N=n+iκ(iは複素数を表す) n:膜を構成する物質の屈折率 d:膜厚 m:自然数 λ:粉体の示す反射スペクトルが有するピークの波長
    (但し、λは600〜800nm) κ:減衰係数〕
  6. 【請求項6】 前記赤色粉体の基体粒子の表面に有する
    被覆膜の少なくとも1層が、空隙を有する結晶化微粒子
    の集合体として構成されたものであることを特徴とする
    請求項1記載の赤色色材組成物。
  7. 【請求項7】 空隙を有する結晶化微粒子の集合体とし
    て構成された前記被覆膜が、該結晶化微粒子表面と空隙
    との間で生じる光の散乱反射により明度を付与すること
    ができるものであることを特徴とする請求項6記載の赤
    色色材組成物。
  8. 【請求項8】 空隙を有する結晶化微粒子の集合体とし
    て構成された前記被覆膜の表面に、該表面の空隙を塞ぐ
    ことができる超微粒子で構成された緻密な被覆膜を有す
    ることを特徴とする請求項6記載の赤色色材組成物。
  9. 【請求項9】 空隙を有する結晶化微粒子の集合体とし
    て構成された前記被覆膜が高屈折率膜であることを特徴
    とする請求項6記載の赤色色材組成物。
  10. 【請求項10】 前記緻密膜がシリカ膜であることを特
    徴とする請求項8記載の赤色色材組成物。
  11. 【請求項11】 空隙を有する結晶化微粒子の集合体と
    して構成された前記被覆膜が、該被覆膜を製膜するため
    の反応溶液中で固相微粒子を形成させ該固相微粒子を該
    被覆膜中に取込ませた後に焼成することによって形成さ
    れたものであることを特徴とする請求項6記載の赤色色
    材組成物。
  12. 【請求項12】 前記反応溶液が水溶液であることを特
    徴とする請求項11記載の赤色色材組成物。
  13. 【請求項13】 前記焼成を行う前に、前記固相微粒子
    を取込ませた被覆膜上を、該被覆膜の表面の空隙を塞ぐ
    緻密な膜を構成することができる超微粒子で被覆したこ
    とを特徴とする請求項11記載の赤色色材組成物。
  14. 【請求項14】 前記赤色粉体が、少なくとも結着用樹
    脂を含む分散媒中に分散されていることを特徴とする請
    求項1〜13のいずれかに記載の赤色色材組成物。
  15. 【請求項15】 前記赤色粉体上に接着樹脂層を有する
    ことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の赤
    色色材組成物。
  16. 【請求項16】 前記接着樹脂層が体質顔料を含有する
    ことを特徴とする請求項15記載の赤色色材組成物。
  17. 【請求項17】 赤色粉体を含有する赤色色材組成物の
    製造方法において、該赤色粉体が600〜800nmの
    間にピークを有する反射スペクトルを示す様に、基体粒
    子の表面に水系溶媒中での金属塩の反応により少なくと
    も1層の被覆膜を形成することを特徴とする赤色色材組
    成物の製造方法。
  18. 【請求項18】 水系溶媒中での金属塩の反応により形
    成する前記被覆膜を、下記式の条件を満たすように形成
    することを特徴とする請求項17記載の赤色色材組成物
    の製造方法。 Nd=mλ/4 〔式中、N=n+iκ(iは複素数を表す) n:膜を構成する物質の屈折率 d:膜厚 m:自然数 λ:粉体の示す反射スペクトルが有するピークの波長
    (但し、λは600〜800nm) κ:減衰係数〕
  19. 【請求項19】 基体粒子の表面に形成する前記被覆膜
    を多層膜とすることを特徴とする請求項17記載の赤色
    色材組成物の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記多層膜の各膜を、全て水系溶媒中
    での金属塩の反応により形成することを特徴とする請求
    項19記載の赤色色材組成物の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記多層膜の各膜を、全て下記式の条
    件を満たすように形成することを特徴とする請求項19
    記載の赤色色材組成物の製造方法。 Nd=mλ/4 〔式中、N=n+iκ(iは複素数を表す) n:膜を構成する物質の屈折率 d:膜厚 m:自然数 λ:粉体の示す反射スペクトルが有するピークの波長
    (但し、λは600〜800nm) κ:減衰係数〕
  22. 【請求項22】 基体粒子の表面に形成する被覆膜の少
    なくとも1層を、空隙を有する結晶化微粒子の集合体と
    して構成することを特徴とする請求項17記載の赤色色
    材組成物の製造方法。
  23. 【請求項23】 空隙を有する結晶化微粒子の集合体と
    して構成する前記被覆膜を、該結晶化微粒子表面と空隙
    との間で生じる光の散乱反射により明度を付与できるよ
    うに形成することを特徴とする請求項22記載の赤色色
    材組成物の製造方法。
  24. 【請求項24】 空隙を有する結晶化微粒子の集合体と
    して構成する前記被覆膜の表面に、該表面の空隙を塞ぐ
    ことができる超微粒子で緻密な膜を形成することを特徴
    とする請求項22記載の赤色色材組成物の製造方法。
  25. 【請求項25】 空隙を有する結晶化微粒子の集合体と
    して構成する前記被覆膜を高屈折率膜とすることを特徴
    とする請求項22記載の赤色色材組成物の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記緻密膜をシリカ膜とすることを特
    徴とする請求項24記載の赤色色材組成物の製造方法。
  27. 【請求項27】 空隙を有する結晶化微粒子の集合体と
    して構成する前記被覆膜を、該被覆膜を製膜するための
    反応溶液中で固相微粒子を形成させ該固相微粒子を該被
    覆膜中に取込ませた後に焼成することによって形成する
    ことを特徴とする請求項22記載の赤色色材組成物の製
    造方法。
  28. 【請求項28】 前記反応溶液を水溶液とすることを特
    徴とする請求項27記載の赤色色材組成物の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記焼成を行う前に、前記固相微粒子
    を取込ませた被覆膜上を、該被覆膜の表面の空隙を塞ぐ
    緻密な膜を構成することができる超微粒子で被覆するこ
    とを特徴とする請求項27記載の赤色色材組成物の製造
    方法。
  30. 【請求項30】 前記赤色粉体が、少なくとも結着用樹
    脂を含む分散媒中に分散することを特徴とする請求項1
    7〜29のいずれかに記載の赤色色材組成物の製造方
    法。
  31. 【請求項31】 前記赤色粉体上に接着樹脂層を設ける
    ことを特徴とする請求項17〜30のいずれかに記載の
    赤色色材組成物の製造方法。
  32. 【請求項32】 前記接着樹脂層が体質顔料を含有させ
    ることを特徴とする請求項31記載の赤色色材組成物の
    製造方法。
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