JP2000037446A - 防汚・脱臭・抗菌性物品およびその製造方法 - Google Patents

防汚・脱臭・抗菌性物品およびその製造方法

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JP2000037446A
JP2000037446A JP10205487A JP20548798A JP2000037446A JP 2000037446 A JP2000037446 A JP 2000037446A JP 10205487 A JP10205487 A JP 10205487A JP 20548798 A JP20548798 A JP 20548798A JP 2000037446 A JP2000037446 A JP 2000037446A
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deodorizing
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Yasuyuki Kurino
恭行 栗野
Keijiro Shigeru
啓二郎 茂
Yoshitomo Inoue
善智 井上
Takako Yazawa
孝子 矢澤
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的少量の光触媒成分量にもかかわらず
防汚・脱臭効果に優れ、また抗菌効果も併せて有し、し
かも意匠性の低下もない防汚・脱臭・抗菌性物品および
その製造方法を提供することを課題とする。 【解決手段】 防汚・脱臭・抗菌性物品は光触媒成分
が物品の表面から表面層内部へ拡散したことを特徴と
し、防汚・脱臭・抗菌性物品の製造方法は、物品の表面
に光触媒成分の分散液または溶液を塗布し、熱処理また
は加圧処理、もしくは塗布面を摩擦処理することを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防汚・脱臭効果に
優れ、また抗菌性も併せて有し、しかも色調などの意匠
性に影響のない防汚・脱臭・抗菌性物品およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、銀や銅等のオリゴジナミー効果を
有する抗菌性成分を物品表面から内部へ拡散させた抗菌
性物品が知られているが、この抗菌性物品は汚れ成分や
悪臭成分に対して何ら有効な効果を示さないものであっ
た。一方、汚れ成分や悪臭成分に対して有効とされる光
触媒成分を用いることが考慮され、その具体例として、
次のような防汚・脱臭・抗菌性物品が知られている。
【0003】 アルミニウム金属材表面を陽極酸化し
て多孔質アルマイトを形成させ、この多孔質アルマイト
の各孔内に光触媒機能を有する半導体金属酸化物を電解
析出させて光触媒を担持させ、殺菌・抗菌作用を保持さ
せた建築用あるいは室内用資材。
【0004】 露点が制御された水素ガスまたは水素
と窒素との混合ガス中で、TiとCuを所定量含むステ
ンレス鋼を 850〜 1150 ℃の温度で熱処理し、素材表面
にTiO2 としてのTiを 20 原子%以上含む被膜を形
成させたステンレス鋼。
【0005】 露点が制御され、所定量の水素を含む
水素と窒素との混合ガス中で、有効Ti量が所定範囲に
調整されたステンレス鋼を 700〜 1000 ℃の温度で熱処
理することにより、TiO2 含有量が1体積%以上で厚
みが 0.2μm以下の被膜を形成させたステンレス鋼。
【0006】〔問題点〕このような従来の技術において
は、各防汚・脱臭・抗菌性物品に対して、それぞれ、以
下のような問題点があった。
【0007】アルミニウム金属材表面に光触媒を担持さ
せた建築用あるいは室内用資材では、表面に形成させ
た多孔質アルマイトの各孔内に担持させる光触媒機能を
有する半導体金属酸化物の電解析出量が少ない場合、半
導体金属酸化物は各孔内の深部に電解析出するため、光
触媒機能が充分に発揮されず、汚れ成分、悪臭成分、菌
等に対する効果が充分でなく、一方、電解析出量が多い
場合、光触媒機能が発現して汚れ成分、悪臭成分、菌等
に対して相応の効果を発揮するものの、着色が著しくな
り、物品の意匠性を著しく低下させる。
【0008】素材表面にTiO2 を含む被膜を形成させ
たステンレス鋼,では、ステンレス鋼表層部にTi
2 被膜を形成するにあたり、露点および混合比が制御
された混合ガス中にて、TiまたはTiとCuの重量%
が一定範囲に調整されたステンレス鋼を熱処理する必要
があるため、製造工程が複雑となりかつエネルギコスト
も高くなり、また、ステンレス鋼内部に存在するTiま
たはTiとCuは、汚れ成分、悪臭成分、菌等に対して
何の有効な作用も及ぼさず、不経済である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における問題点に鑑みて成されたものであり、この問題
点を解消するため具体的に設定された課題は、比較的少
量の光触媒成分量にもかかわらず防汚・脱臭効果に優
れ、また抗菌効果も併せて有し、しかも意匠性の低下も
ない防汚・脱臭・抗菌性物品、およびその簡便、簡略化
された製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明における請求項1
に係る防汚・脱臭・抗菌性物品は、光触媒成分が物品の
表面から表面層内部へ拡散したことを特徴とするもので
ある。
【0011】そして、請求項2に係る防汚・脱臭・抗菌
性物品は、前記光触媒成分がTiO 2 ,ZnO,Cd
S,GdP,ZrO2 ,KTaO3 ,SrTiO3 ,K
4 NbO17,Nb2 5 ,SiC,CdSe,Re2
3 ,WO3 ,SnO2 ,KTa 0.77Nb0.233 ,Mo
3 ,MoS2 ,Cr2 3 ,V2 5 ,Bi2 3
らなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴
とする。
【0012】また、請求項3に係る防汚・脱臭・抗菌性
物品の製造方法は、物品の表面に光触媒成分の分散液ま
たは溶液を塗布し、熱処理または加圧処理、もしくは塗
布面を摩擦処理することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。ただし、この実施の形態は、発明の趣旨
をより良く理解させるため具体的に説明するものであ
り、特に指定のない限り、発明内容を限定するものでは
ない。
【0014】発明者等は、TiO2 ,ZnO等に代表さ
れる光触媒成分が、AgやCuに代表されるオリゴジナ
ミー効果を有する抗菌性成分と同様に物品の表面から内
部へ容易に拡散することを知見し、発明を完成した。す
なわち、防汚・脱臭・抗菌性物品は、光触媒成分を物品
の表面から表層部内部へ拡散させ、分散・担持させたも
のである。
【0015】この防汚・脱臭・抗菌性物品では、物品表
面および表面近傍には光触媒成分が多量に存在している
が、物品内部の深層部には光触媒成分がほとんど存在し
ておらず、また、物品表面にはバインダ成分や光触媒成
分の融着膜が実質的に存在していない。したがって、物
品表面が少々摩耗するような場合でも、光触媒効果が消
失することはなく、さらに、別材料によりコーティング
されるわけではなく、電着するわけでもないので、色調
等の意匠性が低下することがない。
【0016】物品は、特に限定されず、金属物品、ガラ
ス物品、セラミックス物品等を例示でき、特に、金属物
品は製造工程に研磨、研削工程があり、金属表面に多数
の傷、亀裂等が存在するので、これらの傷、亀裂に沿っ
て内部に拡散・担持されやすく、またステンレス鋼等の
多結晶体からなる金属物品には粒界が無数に存在するの
で、光触媒成分が拡散・担持されやすい。
【0017】これらの物品は外部空間に連繋する気孔を
有している必要はなく、実質的に緻密質なものであって
も良い。そして、これらの物品には、釉がけ、琺瑯がけ
等のコーティング層が予め施されていても良い。なお、
物品の形状も特に限定されず、板状物や他の任意形状の
物品を例示することができる。
【0018】光触媒成分としては、光触媒活性の強さ、
拡散し易さから、TiO2 ,ZnO,CdS,GdP,
ZrO2 ,KTaO3 ,SrTiO3 ,K4 NbO17
Nb 2 5 ,SiC,CdSe,Re2 3 ,WO3
SnO2 ,KTa0.77Nb0. 233 ,MoO3 ,MoS
2 ,Cr2 3 ,V2 5 ,Bi2 3 からなる群から
選ばれた少なくとも1種の化合物が好適に用いられる。
【0019】また、これらを、例えば平均粒径 50 nm
以下の微粒子とすると、光触媒成分が微粒子状で分散・
担持されやすく、また量子サイズ効果が発揮されること
より、光触媒効果が向上するので好適である。さらに、
これらの光触媒成分にPt,Rh,Ru,Re,Ir,
Pd,Os,Co,NiO,RuO2 等の金属または金
属酸化物を担持させたものは、これら金属、金属酸化物
の触媒効果が光触媒成分の光触媒活性をより一層向上さ
せるので好適である。
【0020】この防汚・脱臭・抗菌性物品の製造方法
は、物品の表面に光触媒成分の分散液または溶液(以
下、光触媒塗布液という)を塗布し、熱処理または加圧
処理、もしくは塗布面を摩擦処理することにより、光触
媒成分を物品の表面から表層部内部へ拡散させ、微粒子
状で分散・担持させる。
【0021】光触媒塗布液としては、光触媒成分を水や
有機溶媒中に分散させるか、または溶解させたもので、
クエン酸ナトリウム等の溶解性有機酸塩、縮合リン酸ナ
トリウム、溶解性またはエマルジョンタイプの有機系樹
脂、界面活性剤等を併用して物品表面への濡れ性を良く
したものが好適である。
【0022】光触媒塗布液中の光触媒成分の平均粒径は
10 μm以下とし、特に 50 μm以下とすることが好ま
しく、このような粒径の光触媒成分を用いると、物品の
表面から表面層内部へ拡散しやすく、また光触媒成分が
微粒子状で分散・担持されやすく好適である。光触媒塗
布液の塗布法はスプレー法、ディップ法等があり特に制
約はない。
【0023】光触媒塗布液中の光触媒成分の濃度は、
0.01 〜 30 重量%が好適であり、これより濃度を薄く
すると充分な防汚・脱臭・抗菌性が得られず、またこれ
より濃度を濃くすると光触媒成分に起因する汚れが物品
表面に残る場合が多くなる。
【0024】光触媒成分を物品の表面から表面層内部に
拡散させるには、まず物品の防汚・脱臭・抗菌処理面を
充分に洗浄して汚れを除去し、その物品表面に光触媒塗
布液を塗布し、必要に応じて乾燥した後、熱処理す
る、加圧処理する、塗布面を摩擦処理することによ
り行う。いずれの処理法を用いるかは、物品の種類等に
より適宜選択され、例えばガラス物品には、通常、加圧
処理法は適用困難である。
【0025】〔熱処理適用の製造方法〕熱処理温度は特
に制限されず、通常、 200〜500 ℃である。適正な熱処
理温度は、使用される物品の材質や使用される光触媒成
分の種類により異なる。すなわち、熱処理温度は高いほ
ど拡散速度が大きくなるので好ましいが、物品に(例え
ば、色調変化や強度劣化等の)悪影響を与えず、かつ光
触媒成分の性能が劣化しない温度を選ぶようにする。
【0026】加熱処理時間は、使用する物品の種類、光
触媒成分の種類、および光触媒成分を保持させる深さ等
により定まるが、通常、 30 分〜2時間の加熱で充分で
ある。塗布−熱処理は、金属製品の製造工程中の熱処理
工程を利用することもできる。例えば、焼きなまし、焼
き戻し等の熱処理工程前に光触媒塗布液を塗布しておけ
ば、焼きなまし、焼き戻し工程が防汚・脱臭・抗菌付与
工程となる。
【0027】加熱時の雰囲気も特に制限されるものでな
く、通常、大気中で行うが、物品に何らかの影響を受け
るときは、例えば非酸化性雰囲気とする。熱処理時に加
圧する必要もないが、加圧すれば熱処理時間を短縮する
ことができ、さらに光触媒成分をより深く保持させるこ
とができる。防汚・脱臭・抗菌処理後に、物品表面に光
触媒成分が残留することがあるが、これは洗剤等を用い
た洗浄、酸を用いた洗浄や研磨により容易に除去するこ
とができる。
【0028】〔加圧処理適用の製造方法〕加圧力は、特
に制限されないが、1kg/mm2 以上、特に物品が僅
かに変形する程度が好ましい。適正な加圧力は使用され
る物品の材質や使用される光触媒成分の種類により異な
る。加圧時間も特に制限されず、短時間(瞬時も含む)
で良い。
【0029】加圧処理時に加熱する必要もないが、加熱
すれば加圧処理時間を短縮することができ、さらに、光
触媒成分をより深く保持させることができる。また、加
圧手段は特に制限されず、例えばロール加圧法、静水圧
加圧法、プレス加圧法等を使用でき、特にロール加圧法
は既存の圧延工程になんら変更を加えることなく使用で
きるため好適である。その他の条件については加熱処理
適用による製造方法に準じるものとする。
【0030】〔摩擦処理適用の製造方法〕塗布面を摩擦
するときの押圧力は、特に制限されるものではないが、
塗布面を軽く擦る程度で充分である。また、摩擦時に特
に加熱する必要もない。摩擦するための具体的な手段と
しては、例えば、布、紙、木片、金属片等の物体で擦
り方法、研磨、磨き等を例示することができる。光
触媒塗布液の塗布面を摩擦する手段としては、各種工業
的手段は勿論のこと、スポンジ束子、ガーゼ等を用いて
摩擦する手段も含まれる。その他の条件については加熱
処理適用による製造方法に準じるものとする。
【0031】上記いずれかの製造方法により製造された
防汚・脱臭・抗菌性物品では、光触媒成分は物品表面層
内部に拡散しているので、残留分を取り除いた後でも、
防汚・脱臭・抗菌性が消失したり低下することはなく、
依然として良好な防汚・脱臭・抗菌性を有する。防汚・
脱臭・抗菌性物品の防汚・脱臭・抗菌性については、光
触媒成分で物品表面に露出しているものが光の照射を受
けて活性酸素を生成し、この活性酸素が防汚・脱臭・抗
菌性を発揮するものと考えられる。
【0032】また、物品の表面に金属層や合金層が形成
されているわけではなく、電着されているわけでもない
から物品の意匠性、例えば色調等の表面性質が変わるこ
とはない。さらに、光触媒成分は比較的低温下で拡散さ
せるものであるため、光触媒成分の劣化がなく、優れた
防汚・脱臭・抗菌性を有するとともに、製造時の制約も
小さい。
【0033】このように、実施の形態における防汚・脱
臭・抗菌性物品およびその製造方法によれば、熱処理、
加圧処理、または摩擦処理という簡便な方法により光触
媒成分を物品表面から物品表面層内部へ容易かつ効率よ
く拡散させることができるとともに、着色等の意匠性も
低下せず、また、この光触媒成分は短期間のうちに消失
することがなく、長期にわたり安定的に保持され、優れ
た防汚・脱臭・抗菌性を発揮することができる。
【0034】
【実施例】以下に、防汚・脱臭・抗菌性を付与した金属
物品について具体的に詳述する。なお、物品としては金
属物品に限らず、ガラス物品、セラミックス物品等、他
の物品にも防汚・脱臭・抗菌性を付与できることは言う
までもない。 〔実施例1〕SUS430 のステンレス鋼板表面に、公知
方法にて作製した平均粒径 10 nmのアナターゼ型酸化
チタンの水分散液を塗布し、乾燥し、大気中、温度 350
℃で1時間熱処理して防汚・脱臭・抗菌性ステンレス鋼
板を得た。
【0035】得られた防汚・脱臭・抗菌性ステンレス鋼
板の表面を中性洗剤を用いて洗浄したところ、処理前の
ステンレス鋼板表面と比較して外観的な変化は認められ
なかった。なお、洗浄後のステンレス鋼板の表面を走査
型電子顕微鏡およびEDMA(X線マイクロアナライザ
ー)を用いて観察したところ、酸化チタンがステンレス
鋼板表面の粒界、傷、亀裂に沿って表面層内部へ拡散
し、微粒子状で分散・担持されていることが確認され
た。また、この防汚・脱臭・抗菌性ステンレス鋼板の表
層部における酸化チタンの拡散状況をGDMS法(グロ
ー放電質量分析法)により分析したところ、酸化チタン
は平均深さ5μmまで拡散していることが確認された。
【0036】〔実施例2〕SUS430 のステンレス鋼板
表面に、実施例1のアナターゼ型酸化チタンの水分散液
を塗布し、乾燥し、大気中で加圧ロールにより押圧力 1
0 kg/mm2 で加圧処理して、防汚・脱臭・抗菌性ス
テンレス鋼板を得た。得られた防汚・脱臭・抗菌性ステ
ンレス鋼板の表面を中性洗剤を用いて洗浄したところ、
処理前のステンレス鋼板表面と比較して外観的な変化は
認められなかった。
【0037】なお、洗浄後のステンレス鋼板の表面を実
施例1に準じて観察したところ、酸化チタンがステンレ
ス鋼板表面の粒界、傷、亀裂に沿って内部へ拡散し、微
粒子状で分散・担持されていることが確認された。ま
た、この防汚・脱臭・抗菌性ステンレス鋼板の表層部に
おける酸化チタンの拡散状況を実施例1に準じて分析し
たところ、酸化チタンは平均深さ9μmまで拡散してい
ることが確認された。
【0038】〔実施例3〕銅板表面を 180番研磨紙で研
磨し、引き続き、この研磨面に実施例1のアナターゼ型
酸化チタンの水分散液を噴霧しながら 820番研磨紙で研
磨し、研磨後、直ちにアルカリ脱脂洗浄して、防汚・脱
臭・抗菌性銅板を得た。
【0039】得られた防汚・脱臭・抗菌性銅板の表面
は、アナターゼ型酸化チタンの分散液を噴霧せずに 320
番研磨紙で研磨した銅板と比較したところ、外観的な変
化は認められなかった。なお、洗浄後の銅板表面を実施
例1に準じて観察したところ、酸化チタンは微粒子状で
分散・担持されていることが確認された。また、この防
汚・脱臭・抗菌性銅板の表層部における酸化チタンの拡
散状況を実施例1に準じて分析したところ、酸化チタン
が平均深さ8μmまで拡散していることが確認された。
【0040】〔実施例4〕公知方法にて作製した平均粒
径 20 nmの酸化亜鉛の水分散液およびアルミニウム合
金 5052 の板材を用い、実施例1に準じて防汚・脱臭・
抗菌性アルミニウム合金板を得た。この防汚・脱臭・抗
菌性アルミニウム合金板を、実施例1と同様に洗浄し
て、処理前のアルミニウム合金板表面と比較したとこ
ろ、外観的な変化は認められなかった。
【0041】なお、洗浄後のアルミニウム合金板表面を
実施例1に準じて観察したところ、酸化チタンは微粒子
状で分散・担持されていることが確認された。また、こ
の防汚・脱臭・抗菌性アルミニウム合金板の表層部にお
ける酸化チタンの拡散状況を実施例1に準じて分析した
ところ、酸化チタンが平均深さ5μmまで拡散している
ことが確認された。
【0042】〔実施例5〕SUS430 のステンレス鋼板
表面に、実施例1のアナターゼ型酸化チタンの水分散液
を塗布し、乾燥し、この乾燥した塗布面を 400番の研磨
粉をしみ込ませた羽布を用いて研磨して防汚・脱臭・抗
菌性ステンレス鋼板を得た。得られた防汚・脱臭・抗菌
性ステンレス鋼板の表面を中性洗剤を用いて洗浄したと
ころ、処理前のステンレス鋼板表面と比較して、外観的
な変化は認められなかった。
【0043】なお、洗浄後のステンレス鋼板の表面を実
施例1に準じて観察したところ、酸化チタンがステンレ
ス鋼板表面の粒界、傷、亀裂に沿って内部へ拡散し、微
粒子状で分散・担持されていることが確認された。ま
た、この防汚・脱臭・抗菌性ステンレス鋼板の表層部に
おける酸化チタンの拡散状況を実施例1に準じて分析し
たところ、酸化チタンは平均深さ7μmまで拡散してい
ることが確認された。
【0044】〔比較例1〕アルミニウム合金 5052 の板
材を、濃度 180g/リットルの硫酸中、 25 ℃で、この
板材を陽極として、電流密度 1.5A/dm2 で 25 分間
電解処理を行い、厚さ 11 μmの陽極酸化被膜を形成し
た。ついで、モル濃度が 0.05 の(NH4 )〔TiO
(C2 4 2 〕溶液と、モル濃度 0.025の(COO
H)2 溶液を混和し、pHを略4程度に調整した電解液
を、前記陽極酸化処理を終了した電解槽内に貯留し、多
孔質アルマイトと鉛板を電極として交流定電圧 10 Vで
10 分間にわたり電解析出を行って、比較例1としての
防汚・脱臭・抗菌性アルミニウム合金板を得た。得られ
た防汚・脱臭・抗菌性アルミニウム合金板は、表面色調
に変化が認められた。
【0045】〔比較例2〜4〕ステンレス鋼板の未加工
品を比較例2とし、アルミニウム合金 5052 の板材の未
加工品を比較例3とし、銅板の未加工品を比較例4とし
て、各実施例1〜5との比較を行うことにする。
【0046】〔防汚性の評価〕実施例1〜5、比較例1
〜4の表面に、 0.1mg/cm2 のサラダ油を塗り、ブ
ラックライト 3.0mW/cm2 を照射したときのサラダ
油の重量変化により評価を実施した。これらの結果を図
1に示す。
【0047】〔脱臭性の評価〕実施例1〜5、比較例1
〜4を 100ppmのアルデヒド雰囲気中に設置し、ブラ
ックライトの照射強度 1.0mW/cm2 で照射したと
き、検知管により測定されたアセトアルデヒドの濃度変
化により評価を実施した。これらの結果を図2に示す。
【0048】〔抗菌性の評価〕実施例1〜5、比較例1
〜4の抗菌性について、試験菌を大腸菌、黄色ブドウ球
菌として、次の方法により評価した。これらの結果を表
1に示す。なお、抗菌性評価試験方法の概要は、次の通
りである。「試験体に、1/500 に希釈した普通ブイヨ
ンを含み、菌濃度 105 cfu/mlに調整した菌液を
25 cm2 当たり 0.5ml接種し、この菌液の上に試験
体と同一形状のフィルムを載せる。これを温度 35 ℃、
光照度 1000 ルクスにて 24時間培養した後、生存菌数
を寒天平板法にて測定する。」
【0049】
【表1】
【0050】〔評価結果〕図1および図2の結果より、
実施例1〜5の加工物品ではサラダ油重量およびアルデ
ヒド濃度が時間の経過とともに急激に減少したのに対し
て、比較例1の従来の電解析出法により処理された物品
ではサラダ油重量およびアルデヒド濃度の減少が時間経
過に対して緩慢であり、また、比較例2〜4の未加工品
ではサラダ油重量およびアルデヒド濃度の減少が時間経
過に対して殆ど変化せず減少しない。
【0051】また、表1に示される抗菌性試験結果で
は、実施例1〜5の加工物品では 24時間経過後の生存
菌数が5以下(検出限界以下)にまで減少したのに対し
て、比較例1の物品および比較例2〜4の未加工品では
全て多数の菌の生存が認められた。これらの結果より、
本実施例の防汚・脱臭・抗菌性物品は、優れた防汚・脱
臭効果を有することは勿論のこと、抗菌効果をも併せて
有していることが確認された。
【0052】また、本実施例に係る防汚・脱臭・抗菌性
物品は、比較例1の従来における電解析出法により防汚
・脱臭・抗菌処理が施された物品と比較して、防汚・脱
臭・抗菌効果に優れている。その理由は、本実施例に係
る防汚・脱臭・抗菌性物品にあっては、光触媒成分が物
品の表面層近傍に微粒子状に分散・担持されているか
ら、防汚・脱臭・抗菌作用を発揮する光触媒成分の表面
積が非常に大きく、活性に富むのに対し、比較例1の物
品にあっては、微細孔深部に電解析出し、電着されてな
るから、防汚・脱臭・抗菌作用を発揮する光触媒成分の
表面積が小さく、活性に富まないためと思われる。
【0053】
【発明の効果】以上のように本発明では、請求項1に係
る防汚・脱臭・抗菌性物品では、光触媒成分が物品の表
面から表面層内部へ拡散したことにより、光触媒成分が
物品表層部で微粒子状に分散担持されており、物品表面
の光触媒成分の表面積が非常に大きく、活性に富むの
で、比較的少量の光触媒成分量でも充分な防汚・脱臭・
抗菌効果を発揮し、しかも表面が少々摩耗するような場
合にも、新たな光触媒成分が露出するため、長時間にわ
たって防汚・脱臭・抗菌効果が持続し、さらに表面色調
等の意匠性が低下することがないという優れた効果を有
する。
【0054】また、請求項2に係る防汚・脱臭・抗菌性
物品では、前記光触媒成分がTiO 2 ,ZnO,Cd
S,GdP,ZrO2 ,KTaO3 ,SrTiO3 ,K
4 NbO17,Nb2 5 ,SiC,CdSe,Re2
3 ,WO3 ,SnO2 ,KTa 0.77Nb0.233 ,Mo
3 ,MoS2 ,Cr2 3 ,V2 5 ,Bi2 3
らなる群から選ばれた少なくとも1種であるから、拡散
性に優れ、一層、光触媒効果に優れたものとなる。
【0055】また、請求項3に係る防汚・脱臭・抗菌性
物品の製造方法では、物品の表面に光触媒成分の分散液
または溶液を塗布し、熱処理または加圧処理、もしくは
塗布面を摩擦処理することにより、製造方法が極めて簡
便であり、また、光触媒成分を効率良く物品表層内部に
拡散させ、微粒子状に分散・担持させることができ、製
造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における防汚性試験結果を示す
グラフである。
【図2】本発明の実施例における脱臭性試験結果を示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 善智 千葉県船橋市豊富町585番地 住友大阪セ メント株式会社新材料事業部内 (72)発明者 矢澤 孝子 千葉県船橋市豊富町585番地 住友大阪セ メント株式会社新材料事業部内 Fターム(参考) 4C058 AA01 BB07 BB10 CC08 JJ03 JJ04 JJ05 4C080 AA03 BB02 BB04 BB05 CC01 HH05 MM02 MM40 4G069 AA01 AA03 AA08 AA09 BA04A BA04B BA05A BA48A BB04A BB04B BB06A BC03A BC12A BC22A BC24A BC25A BC35A BC35B BC36A BC41A BC54A BC55A BC56A BC58A BC59A BC60A BC64A BD04A BD05A CA01 CA17 DA06 EA11 ED07 FA03 FB23 FB30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光触媒成分が物品の表面から表面層内部へ
    拡散したことを特徴とする防汚・脱臭・抗菌性物品。
  2. 【請求項2】前記光触媒成分がTiO2 ,ZnO,Cd
    S,GdP,ZrO2 ,KTaO3,SrTiO3 ,K
    4 NbO17,Nb2 5 ,SiC,CdSe,Re2
    3 ,WO3 ,SnO2 ,KTa0.77Nb0.233 ,Mo
    3 ,MoS2 ,Cr2 3,V2 5 ,Bi2 3
    らなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴
    とする請求項1記載の防汚・脱臭・抗菌性物品。
  3. 【請求項3】物品の表面に光触媒成分の分散液または溶
    液を塗布し、熱処理または加圧処理、もしくは塗布面を
    摩擦処理することを特徴とする防汚・脱臭・抗菌性物品
    の製造方法。
JP10205487A 1998-07-21 1998-07-21 防汚・脱臭・抗菌性物品およびその製造方法 Pending JP2000037446A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008024578A (ja) * 2006-06-20 2008-02-07 Nagaoka Univ Of Technology 可視光領域で光触媒活性を有する薄膜の製造方法
JP2009078225A (ja) * 2007-09-26 2009-04-16 Kobe Steel Ltd マイクロチャネルリアクタ用触媒エレメントの製造方法
JP2009078227A (ja) * 2007-09-26 2009-04-16 Kobe Steel Ltd 触媒エレメント及びその製造方法

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