JP2000035745A - ホログラム作成方法 - Google Patents

ホログラム作成方法

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JP2000035745A
JP2000035745A JP10203332A JP20333298A JP2000035745A JP 2000035745 A JP2000035745 A JP 2000035745A JP 10203332 A JP10203332 A JP 10203332A JP 20333298 A JP20333298 A JP 20333298A JP 2000035745 A JP2000035745 A JP 2000035745A
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light
incident angle
photosensitive material
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angle
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Tamiki Takemori
民樹 竹森
Kenji Kon
健次 今
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Hamamatsu Photonics KK
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ART NAU KK
Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色ずれや歪みが抑制されたカラー再生像を白
色の照明光で得ることができるリップマン型ホログラム
を、単一波長の可干渉光を用いて作成することができる
ホログラム作成方法を提供する。 【解決手段】 ステップS11〜S13において、感光
材料面上の互いに直交する第1および第2の方向それぞ
れに対する参照光および物体光それぞれの入射角が、2
次元ホログラムの条件式および3次元ホログラムの条件
式に基づいて算出される。ステップS14において、ス
テップS11〜S13において算出された参照光および
物体光それぞれの入射角に基づいて、感光材料に入射す
べき物体光が算出される。ステップS15において、ス
テップS14において算出された物体光および参照光
が、ステップS11〜S13において算出された入射角
で感光材料上で干渉されて、感光材料にリップマン型ホ
ログラムが記録される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再生時の照明光と
して白色光を用いてカラー再生像を得ることができるリ
ップマン型ホログラムの作成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】再生時の照明光として白色光を用いてカ
ラー再生像を得ることができるカラー再生型ホログラム
は、以下の2つに大別することができる。1つは、薄い
感光材料を主な光変調素子として用いるホログラムであ
り、ホログラムの一方の面の側から物体光および参照光
の双方が入射するフレネル型ホログラムに代表されるも
のである。他の1つは、厚い感光材料を主な光変調素子
として用いるホログラムであり、ホログラムの一方の面
の側から物体光が入射し他方の面の側から参照光が入射
するリップマン型ホログラムに代表される。
【0003】前者のフレネル型ホログラムでカラー再生
像を得るための従来の方法は、例えば、特開平5−88
601号公報、特開平6−175570号公報、特開平
7−20768号公報、特開平7−104650号公
報、特開平8−314362号公報および特開平8−3
14363号公報に開示されており、カラー像再生原理
は2つに類別される。
【0004】フレネル型ホログラムの第1のカラー像再
生原理は以下のとおりである。ホログラム作成時におけ
る物体光および参照光の波長すなわち記録波長をλo と
し、物体光の入射角をθo とし、参照光の入射角をθr
とする。また、ホログラム再生時における物体再生光の
波長すなわち再生波長をλj とし、照明光の入射角をθ
c とし、物体再生光の出射角をθi とする。再生像が共
役像である場合には、これらのパラメータの間に、 (1/λj)(sinθc−sinθi) =(1/λo)(sinθo−sinθr) なる関係式が成り立つように光学系を調整する。一方、
再生像が直接像である場合には、これらのパラメータの
間に、 (1/λj)(sinθi−sinθc) =(1/λo)(sinθo−sinθr) なる関係式が成り立つように光学系を調整する。そし
て、物体再生光に乗せるべき光強度分布の情報を物体光
に置き換えてホログラムを作成する。
【0005】フレネル型ホログラムの第2のカラー像再
生原理は以下のとおりである。或る波長の点光源と見な
せる記録点像から出射された光と参照光とによりホログ
ラムが作成され、別の或る波長の照明光がホログラムに
照射されて再生像が得られるとする。ホログラム中心か
ら再生点までの距離をRi とし、ホログラム中心から照
明光源までの距離をRc とし、ホログラム中心から記録
点像までの距離をRoとし、ホログラム中心から参照光
源までの距離をRr とする。距離を展開し2次の項まで
を用いて近似して、 (1/λj)(1/Ri−1/Rc) =±(1/λo)(1/Ro−1/Rr) なる式で表されるホログラムの結像公式が得られる。こ
こで、上式の右辺の頭の符号が+であるときは直接像が
再生される場合であり、符号が−であるときは共役像が
再生される場合である。なお、参照光および照明光が平
行光と見なせる場合には、距離Rr およびRc それぞれ
を無限大として、上記のホログラムの結像公式は、 (1/λj)(1/Ri)=±(1/λo)(1/Ro) と表される。そして、このホログラムの結像公式を用い
て、設定した再生位置に再生像が表示されるように、予
め記録する物体や画像に変形や移動の修正を加えてホロ
グラムを作成する。
【0006】後者のリップマン型ホログラムでカラー再
生像を得るための従来の方法も幾つか知られている。リ
ップマン型ホログラムの第1のカラー像再生原理は、3
原色それぞれのレーザ光を用いて感光材料を多重露光記
録してホログラムを作成し、このホログラムに白色光の
照明光を入射させ、ホログラムにおける干渉縞による波
長選択性を利用してカラー像を再生するものである。リ
ップマン型ホログラムの第2のカラー像再生原理は、記
録時における波長、物体光入射角および参照光入射角、
ならびに、再生時における波長、照明光入射角および物
体再生光出射角の間の関係を考慮して、単一波長のレー
ザ光を用いてホログラムを記録するものである(例えば
特開平7−104650号公報を参照)。
【0007】また、リップマン型ホログラムの第3のカ
ラー像再生原理は、記録時および再生時それぞれの感光
材料の厚みの変化をも考慮して、単一波長のレーザ光を
用いてホログラムを記録するものである(例えば、特開
平1−321471号公報、M.A.Klug, et al., "Full
Color Ultragrams", SPIE Vol.1667 Practical Hologra
phy VI, pp.110-119 (1992) および、久保田敏弘、西村
正雄、「カラーホログラフィによる文化財の記録・展
示」、日本写真学会誌、Vol.53, No.4, pp.291-302 (19
90) を参照)。
【0008】特開平1−321471号公報に開示され
た技術では、記録時に膨潤処理して感光材料の厚みを増
加させ、再生時に感光材料の厚みを元に戻して再生波長
を選択するようにしている。しかし、再生時および記録
時それぞれの物体の位置および大きさは異なるにも拘わ
らず、その補正の方法について開示されていない。M.A.
Klug他による論文に記載された技術では、上下方向につ
いては物体光を拡散再生することから上記の補正を行っ
ていないが、水平方向についての再生時および記録時そ
れぞれの物体の位置および大きさについてホログラムの
結像公式に基づいて補正を行っている。
【0009】久保田他による論文には、2次元ホログラ
ムの場合における記録時の波長、再生時の波長、物体光
の入射角、参照光の入射角、照明光の入射角および物体
再生光の出射角の間の関係式が記載されている。また、
3次元ホログラムの場合における記録時の波長、再生時
の波長、物体光の入射角、参照光の入射角、照明光の入
射角および物体再生光の出射角の間の関係式も記載され
ている。さらに、これらの関係式から再生像の位置およ
び大きさをホログラム面の法線方向についてのみ補正す
る方法が開示されている。その補正の具体的手順は、具
体的には記載されていないものの、以下のように推測さ
れる。
【0010】上下方向についての補正は、先ず、2次元
ホログラムの関係式で、記録時の波長、再生時の波長お
よび照明光の入射角を設定し、物体光の入射角をホログ
ラム面に対し垂直とし、物体再生光の出射角もホログラ
ム面に対し垂直とするように、参照光の入射角を決定す
る。次に、この参照光の入射角および感光材料の屈折率
をも考慮して、記録時および再生時それぞれの感光材料
の厚みの比を決定する。このようにして、記録時および
再生時それぞれの波長の相異に因る物体光の入出力関係
を、ホログラム面に垂直な方向についてのみ補正して一
致させている。また、水平方向の記録時および再生時そ
れぞれの物体の大きさ及び位置の補正については、ホロ
グラムの結像公式を利用して、記録時および再生時それ
ぞれにおける物体とホログラムとの間の距離を調整する
ことにより対応している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では以下のような問題点がある。フレネル型ホログ
ラムは、波長選択性を有しないので、多くの波長成分を
有する白色光を照明光として用いれば、その照明光に含
まれる各波長成分それぞれが干渉縞により分光されて、
設計した所望の再生波長による再生像に、設計外の波長
による再生像が重なる。所望の再生波長による再生像の
みを観測するためには、所望の再生波長による再生像
は、設計外の波長による再生像と互いに重ならないよう
に、ホログラムから離れた位置に再生されることが必要
であるので、視域や視野が制限される。また、再生像を
観測する人間がフルカラーと感じることができる3原色
の波長成分のみを発生する特別な白色光源を用意する必
要がある。
【0012】リップマン型ホログラムは、それ自体が波
長選択性を有するので、多くの波長成分を有する白色光
を照明光として用いることができる。しかし、リップマ
ン型ホログラムの第1のカラー像再生原理に基づくホロ
グラム作成方法は、3原色それぞれのレーザ光を用いて
感光材料を多重露光記録することから、高価なレーザ光
源が複数台必要であり、また、3原色それぞれのレーザ
光の光路を同一にする必要があることから、そのために
必要な光学系が複雑となり調整が困難である。
【0013】リップマン型ホログラムの第2のカラー像
再生原理に基づくホログラム作成方法は、感光材料の屈
折率が考慮されていないことから、実際には効果が得ら
れない。また、1次元の場合については考慮されている
が2次元の場合については考慮されていないことから、
光の有効利用ができず、得られる再生像が暗く、視域が
狭い。
【0014】また、リップマン型ホログラムの第3のカ
ラー像再生原理に基づくホログラム作成方法については
以下のような問題点がある。水平方向についての補正の
際に用いられているホログラムの結像公式は、2次元ホ
ログラムを解析して得られた結果であり、感光材料が薄
いホログラムに適用されるものであって、感光材料が厚
い通常のリップマン型ホログラムに適用するのは不適当
である。また、得られる物体再生光は最適条件からずれ
ることから再生像は暗い。さらに、ホログラム面に垂直
に入射する物体光に対応してホログラム面から垂直に出
射する物体再生光についてのみ補正されているが、任意
の入射角で入射する物体光に対応して出射する物体再生
光については補正されておらず、得られる再生像は色ず
れや歪みを伴ったものとなる。
【0015】本発明は、上記問題点を解消する為になさ
れたものであり、色ずれや歪みが抑制されたカラー再生
像を白色の照明光で得ることができるリップマン型ホロ
グラムを、単一波長の可干渉光を用いて作成することが
できるホログラム作成方法を提供することを目的とす
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1のホロ
グラム作成方法は、白色の照明光を照射することにより
複数の再生波長それぞれの物体再生光からなるカラー再
生像を再生することができるリップマン型ホログラム
を、単一の記録波長の物体光および参照光を感光材料上
で干渉させて作成するホログラム作成方法であって、
(1) 感光材料面上の互いに直交する2方向のうち第1の
方向に対する参照光および物体光それぞれの入射角なら
びに第2の方向に対する参照光および物体光それぞれの
入射角を、2次元ホログラムの条件式および3次元ホロ
グラムの条件式に基づいて算出する入射角算出ステップ
と、(2) 入射角算出ステップにおいて算出された参照光
および物体光それぞれの入射角に基づいて、物体再生光
の出射角に対応するように物体光の入射角を制御する
か、または、物体再生光の出射角に対応した再生物体情
報を物体光の入射角に対応した入射物体情報に変換する
物体光算出ステップと、(3) 物体光算出ステップにおい
て算出された物体光および参照光を、入射角算出ステッ
プにおいて算出された入射角で感光材料上で干渉させ
て、感光材料にリップマン型ホログラムを記録する記録
ステップと、を備えることを特徴とする。
【0017】この第1のホログラム作成方法によれば、
入射角算出ステップにおいて、感光材料面上の互いに直
交する第1および第2の方向それぞれに対する参照光お
よび物体光それぞれの入射角が、2次元ホログラムの条
件式および3次元ホログラムの条件式に基づいて算出さ
れる。また、物体光算出ステップにおいて、入射角算出
ステップにおいて算出された参照光および物体光それぞ
れの入射角に基づいて、感光材料に入射すべき物体光が
算出される。そして、記録ステップにおいて、物体光算
出ステップにおいて算出された物体光および参照光が、
入射角算出ステップにおいて算出された入射角で感光材
料上で干渉されて、感光材料にリップマン型ホログラム
が記録される。
【0018】また、本発明に係る第1のホログラム作成
方法では、入射角算出ステップは、(1) 第1の方向につ
いて、記録波長、再生波長、物体光の入射角の中心角、
物体再生光の出射角の中心角および照明光の入射角を設
定し、2次元ホログラムの条件式より参照光の入射角を
算出する第1のステップと、(2) 第1の方向について、
第1のステップで設定または算出された記録波長、再生
波長、物体光の入射角の中心角、物体再生光の出射角の
中心角、照明光の入射角および参照光の入射角に基づい
て、3次元ホログラムの条件式より記録時および再生時
それぞれの感光材料の厚みの比を算出する第2のステッ
プと、(3) 第2の方向について、記録波長、再生波長、
参照光の入射角、照明光の入射角、物体再生光の出射角
および厚みの比に基づいて、3次元ホログラムの条件式
より物体光の入射角を算出する第3のステップと、を備
えることを特徴とする。
【0019】この場合には、第1の方向については、第
1のステップにおいて、記録波長、再生波長、物体光の
入射角の中心角、物体再生光の出射角の中心角および照
明光の入射角が設定され、2次元ホログラムの条件式よ
り参照光の入射角が算出され、また、第2のステップに
おいて、3次元ホログラムの条件式より記録時および再
生時それぞれの感光材料の厚みの比が算出される。一
方、第2の方向については、第3のステップにおいて、
3次元ホログラムの条件式より物体光の入射角が算出さ
れる。このとき作成されるホログラムは、第1の方向に
ついて色ずれや歪みが抑制されたものとなる。
【0020】また、本発明に係る第1のホログラム作成
方法では、入射角算出ステップは、第1の方向に対する
参照光の入射角をθrxとし、第2の方向に対する参照光
の入射角をθryとしたときに、参照光の入射角θr を θr=tan-1(21/2tanθk)、 ただし、θk=θrx=θry なる式で求めることを特徴とする。この場合には、参照
光の入射角θr は上式で求められ、この条件の下で作成
されるホログラムは、第1および第2の方向それぞれに
ついて色ずれや歪みが抑制されたものとなる。
【0021】本発明に係る第2のホログラム作成方法
は、白色の照明光を照射することにより複数の再生波長
それぞれの物体再生光からなるカラー再生像を再生する
ことができるリップマン型ホログラムを、単一の記録波
長の物体光および参照光を感光材料上で干渉させて作成
するホログラム作成方法であって、(1) 感光材料面上の
互いに直交する2方向のうち第1の方向に対する参照光
および物体光それぞれの入射角を、2次元ホログラムの
条件式および3次元ホログラムの条件式に基づいて算出
する第1の入射角算出ステップと、(2) 2方向のうち第
1の方向と直交する第2の方向に対する物体光の入射角
を、鏡面反射条件式に基づいて算出する第2の入射角算
出ステップと、(3) 第1および第2の入射角算出ステッ
プにおいて算出された参照光および物体光それぞれの入
射角に基づいて、物体再生光の出射角に対応するように
物体光の入射角を制御するか、または、物体再生光の出
射角に対応した再生物体情報を物体光の入射角に対応し
た入射物体情報に変換する物体光算出ステップと、(4)
物体光算出ステップにおいて算出された物体光および参
照光を、第1および第2の入射角算出ステップにおいて
算出された入射角で感光材料上で干渉させて、感光材料
にリップマン型ホログラムを記録する記録ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0022】この第2のホログラム作成方法によれば、
第1の入射角算出ステップにおいて、感光材料面上の互
いに直交する2方向のうち第1の方向に対する参照光お
よび物体光それぞれの入射角が、2次元ホログラムの条
件式および3次元ホログラムの条件式に基づいて算出さ
れる。また、第2の入射角算出ステップにおいて、第2
の方向に対する物体光の入射角が、鏡面反射条件式に基
づいて算出される。さらに、物体光算出ステップにおい
て、第1および第2の入射角算出ステップにおいて算出
された参照光および物体光それぞれの入射角に基づい
て、感光材料に入射すべき物体光が算出される。そし
て、記録ステップにおいて、物体光算出ステップにおい
て算出された物体光および参照光が、第1および第2の
入射角算出ステップにおいて算出された入射角で感光材
料上で干渉されて、感光材料にリップマン型ホログラム
が記録される。
【0023】また、本発明に係る第2のホログラム作成
方法では、第1の入射角算出ステップは、(2) 第1の方
向について、記録波長、再生波長、物体光の入射角の中
心角、物体再生光の出射角の中心角および照明光の入射
角を設定し、2次元ホログラムの条件式より参照光の入
射角を算出する第1のステップと、(2) 第1の方向につ
いて、第1のステップで設定または算出された記録波
長、再生波長、物体光の入射角の中心角、物体再生光の
出射角の中心角、照明光の入射角および参照光の入射角
に基づいて、3次元ホログラムの条件式より記録時およ
び再生時それぞれの感光材料の厚みの比を算出する第2
のステップと、(3) 第1の方向について、記録波長、再
生波長、参照光の入射角、照明光の入射角、物体再生光
の出射角および厚みの比に基づいて、3次元ホログラム
の条件式より物体光の入射角を算出する第3のステップ
と、を備えることを特徴とする。
【0024】この場合には、第1の方向について、第1
のステップにおいて、記録波長、再生波長、物体光の入
射角の中心角、物体再生光の出射角の中心角および照明
光の入射角が設定され、2次元ホログラムの条件式より
参照光の入射角が算出され、また、第2のステップにお
いて、3次元ホログラムの条件式より記録時および再生
時それぞれの感光材料の厚みの比が算出され、さらに、
第3のステップにおいて、3次元ホログラムの条件式よ
り物体光の入射角が算出される。このとき作成されるホ
ログラムは、第1および第2の方向それぞれについて色
ずれや歪みが抑制されたものとなる。
【0025】本発明に係る第3のホログラム作成方法
は、白色の照明光を照射することにより複数の再生波長
それぞれの物体再生光からなるカラー再生像を再生する
ことができるリップマン型ホログラムを、単一の記録波
長の物体光および参照光を感光材料上で干渉させて作成
するホログラム作成方法であって、(1) 感光材料面上の
互いに直交する第1の方向および第2の方向のうち少な
くとも1方向に対する参照光および物体光それぞれの入
射角を、拡散照明の条件式に基づいて算出する入射角算
出ステップと、(2) 入射角算出ステップにおいて算出さ
れた参照光および物体光それぞれの入射角に基づいて、
物体再生光の出射角に対応するように物体光の入射角を
制御するか、または、物体再生光の出射角に対応した再
生物体情報を物体光の入射角に対応した入射物体情報に
変換する物体光算出ステップと、(3) 物体光算出ステッ
プにおいて算出された物体光および参照光を、入射角算
出ステップにおいて算出された入射角で感光材料上で干
渉させて、感光材料にリップマン型ホログラムを記録す
る記録ステップと、を備えることを特徴とする。
【0026】この第3のホログラム作成方法によれば、
入射角算出ステップにおいて、感光材料面上の互いに直
交する2方向のうち少なくとも1方向に対する参照光お
よび物体光それぞれの入射角が、拡散照明の条件式に基
づいて算出される。また、物体光算出ステップにおい
て、入射角算出ステップにおいて算出された参照光およ
び物体光それぞれの入射角に基づいて、感光材料に入射
すべき物体光が算出される。そして、記録ステップにお
いて、物体光算出ステップにおいて算出された物体光お
よび参照光が、入射角算出ステップにおいて算出された
入射角で感光材料上で干渉されて、感光材料にリップマ
ン型ホログラムが記録される。このホログラム作成方法
は、感光材料が非常に厚い場合に好適なものである。
【0027】また、本発明に係る第3のホログラム作成
方法では、入射角算出ステップは、(1) 記録波長、再生
波長、記録時および再生時それぞれの感光材料の厚みの
比、物体光の入射角および参照光の入射角を設定し、記
録時の感光材料内の干渉縞の方向角および感光材料面上
の干渉縞の間隔を算出する第1のステップと、(2) 厚み
の比および記録時の感光材料内の干渉縞の方向角に基づ
いて、再生時の感光材料内の干渉縞の方向角および間隔
を算出する第2のステップと、(3) 再生時の感光材料内
の干渉縞の方向角および間隔に基づいて、ブラッグ回折
の条件式より物体再生光の出射角を算出する第3のステ
ップと、を備え、第3のステップで算出される物体再生
光の出射角が所望値となるまで、第1のステップで設定
される物体光の入射角を変えて第1〜第3のステップを
繰り返して行うことを特徴とする。
【0028】この場合には、解析的に物体光の入射角を
解くことはできないものの、第3のステップで算出され
る物体再生光の出射角が所望値となるまで、第1のステ
ップで設定される物体光の入射角を変えて第1〜第3の
ステップを繰り返して行うことにより、物体光の入射角
が算出される。
【0029】また、本発明に係る第1〜第3のホログラ
ム作成方法では、記録ステップは、感光材料への物体光
の入射の際に物体光の発散方向を第1および第2の方向
に制限することを特徴とする。この場合には、第1およ
び第2の方向以外の他の方向については色ずれや歪みが
生じることはない。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明におい
て同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省
略する。
【0031】先ず、本実施形態に係るホログラム作成の
原理について説明する。干渉縞間隔より厚さが充分に大
きい体積型ホログラムにおいて、物体光、参照光および
照明光それぞれの入射角ならびに物体再生光の出射角を
決定する方法は多数存在するが、以下では格子方程式に
従って説明する。この格子方程式は、回折効率を計算す
ることはできないが、直感的に理解し易く、各入射角お
よび出射角の極値の条件を与えるものである。
【0032】図1は、物体光および参照光それぞれの入
射角を説明する図である。ホログラムが記録されるべき
感光材料10は、例えば、銀塩写真材料や、フォトポリ
マ等の高分子フィルム材料であり、透明な平板である支
持母体11の一方の面に塗布等されている。そして、図
示するような座標系を考え、感光材料10と支持母体1
1との境界面上に互いに直交するx軸およびy軸をと
り、その境界面に垂直であって感光材料10の側に向か
う方向にz軸をとる。ホログラム作成時において、可干
渉光である物体光および参照光の波長すなわち記録波長
をλo とし、物体光の入射角をθo とし、参照光の入射
角をθr とする。ここで、各入射角は、感光材料10内
において各光の入射方向とz軸方向とがなす角度であ
る。また、記録時における感光材料10の平均屈折率を
no とする。感光材料10は、再生時と比較して記録時
にはz軸方向にMj 倍拡大されるものとする。
【0033】物体光の複素振幅分布Ao および参照光の
複素振幅分布Ar それぞれは、再生時に感光材料10の
厚みが1/Mj 倍になることを考慮して、
【数1】 なる式で表される。そして、これら2つの光による干渉
縞の強度分布I(x,y)すなわちホログラムの振幅透
過率分布は、
【数2】 なる式で表される。このホログラムの振幅透過率分布の
うち、直接光を再生する成分Ta は、
【数3】 である。
【0034】再生時において、物体再生光の波長すなわ
ち再生波長をλj とし、照明光の入射角をθc とし、感
光材料10の平均屈折率をnc として、照明光の複素振
幅分布Ac を、
【数4】 なる式で表す。このとき角度θi 方向へ出射する光の複
素振幅分布Ai は、
【数5】 なる式で表される。ここで、Lは、感光材料10のx軸
方向の寸法であり、tは、感光材料10のz軸方向の寸
法すなわち厚みである。αおよびβそれぞれは、
【数6】 なる式で表される。これらαおよびβが共に0になるこ
とが複素振幅分布Ai を最大にする条件すなわち再生の
条件である。
【0035】フレネル型の薄い2次元ホログラムの場合
では、感光材料10の厚みtは0としてよく、このとき
β=0であるので、α=0のみが直接光の再生条件とな
る。すなわち、この場合の再生条件は、
【数7】 なる関係式が成り立つことである。一方、リップマン型
の厚い3次元ホログラムの場合では、α=0およびβ=
0の双方が再生条件となる。すなわち、この場合の直接
光の再生条件は、上記 (7)式に加えて、
【数8】 なる関係式も成り立つことである。
【0036】共役光の再生条件についても上記と同様に
して得られる。2次元ホログラムの場合の共役光の再生
条件は、
【数9】 なる関係式が成り立つことである。また、3次元ホログ
ラムの場合の共役光の再生条件は、上記 (9)式に加え
て、
【数10】 なる関係式も成り立つことである。
【0037】上記 (7)式〜(10)式は、既述した久保田他
による論文に記載されている式と一致している。久保田
他による論文では3次元ホログラムの場合に、直接光再
生時には (7)式および (8)式の双方を満たすことを条件
とし、また、共役光再生時には (9)式および(10)式の双
方を満たすことを条件として、この条件に合致したホロ
グラム面の法線方向に出射される物体再生光のみを補正
する。これは、各入射角および出射角が (7)式および
(8)式の双方または (9)式および(10)式の双方を同時に
満たす為には、ホログラム面の法線方向に物体再生光が
出射される場合に限られるからである。
【0038】これに対して本実施形態では、以下に述べ
るように3次元ホログラムの場合に、直接光再生時には
(8)式のみを満たすことを条件とし、また、共役光再生
時には(10)式のみを満たすことを条件としている。な
お、 (8)式および(10)式それぞれは、鏡面反射条件およ
び波長選択性を表している。一方、 (7)式および (9)式
それぞれは、感光材料10と支持母体11との境界面に
おける干渉縞の間隔を決定するために必要とされるにす
ぎず、単に視域の中心に物体光中心を合わせるために参
照光の入射角θr を計算しているにすぎない。
【0039】その理由は、2次元ホログラムの0次透過
光のみが、3次元ホログラムにおける各入射角および出
射角を決定する要因として (8)式または(10)式に関与す
るが、2次元ホログラムの高次光は、3次元ホログラム
の鏡面反射条件および波長選択性を満足しないので、散
乱または吸収を受け、再生像には寄与しないからであ
る。したがって、厚い3次元ホログラムでは、薄い2次
元ホログラムの (7)式または (9)式より、 (8)式または
(10)式が実質的に支配的となり、 (8)式または(10)式の
みの解析で充分である。この厚い3次元ホログラムの式
をブラッグ回折の考え方で以下に図2〜図4を用いて説
明する。
【0040】図2は、記録時における物体光および参照
光それぞれの入射角ならびに干渉縞の方向角を説明する
図である。感光材料10内に発生する干渉縞の方向角θ
M は、
【数11】 で表される。記録時における感光材料10内における干
渉縞間隔DM は、
【数12】 で表される。また、記録時における感光材料10と支持
母体11との境界面における干渉縞間隔Bは、
【数13】 で表される。また、記録時における感光材料10の厚み
は、再生時の厚みと比較してMj 倍である。
【0041】図3は、再生時における干渉縞の方向角を
説明する図である。感光材料10は支持母体11に密着
しているので、両者の境界面における干渉縞間隔Bは変
わらない。しかし、感光材料10は、記録時には膨潤さ
れ、再生時には膨潤が解除されるので、再生時の厚みが
記録時の1/Mj 倍となる。したがって、記録時におけ
る感光材料10内の干渉縞の方向角θM と、再生時にお
ける感光材料10内の干渉縞の方向角θF との間には、
【数14】 なる式で表される関係が成り立つ。これより、再生時に
おける感光材料10内の干渉縞の方向角θF は、
【数15】 なる式で表される。そして、再生時における感光材料1
0内における干渉縞間隔DF は、
【数16】 で表される。
【0042】図4は、直接光再生時における照明光の入
射角、物体再生光の出射角および干渉縞の方向角を説明
する図である。方向角θF の干渉縞が形成されている感
光材料10に照明光が入射角θc で入射し、物体再生光
が出射角θi で出射するとすれば、これらの角度、干渉
縞間隔DF および再生波長λj との間には、干渉縞にお
ける波長選択性より、
【数17】 なる関係式が成り立つ。また、再生時における干渉縞間
隔DF は、
【数18】 と表すこともできる。さらに、再生時における干渉縞の
方向角θF は、鏡面反射条件より、
【数19】 と表される。
【0043】上記(14)式より、
【数20】 である。また、上記(12)式および(18)式より、
【数21】 である。そして、以上の関係式を整理すると、
【数22】 なる関係式が得られる。これを更に整理すると、3次元
ホログラムにおいて直接光を再生するための条件として
【数23】 なる式が得られる。この式は上記 (8)式と一致する。ま
た、3次元ホログラムにおいて共役光を再生するための
条件も同様にして得られる。この結果に到達する条件と
して干渉縞における鏡面反射条件および波長選択性が利
用されている。
【0044】以上のように、本実施形態に係るホログラ
ム作成方法では、物体光の入射角θo 、参照光の入射角
θr 、照明光の入射角θc および物体再生光の出射角θ
i それぞれは、厚い3次元ホログラムの条件式 (8)式ま
たは(10)式のみに基づいて決定され、必ずしも薄い2次
元ホログラムの条件式 (7)式または (9)式をも同時に満
たす必要はない。
【0045】なお、以上で説明した原理は、ホログラム
面上の1方向のみについてのものであり、ホログラムの
法線および各入出力光線により張られる面における各光
線の入出力角については、その面上での物体光や参照光
の入射角で補正することができるが、その面上にない方
向についても同時に補正する方法については従来技術に
開示がない。
【0046】以上に説明したホログラム作成原理によれ
ば、感光材料10内における物体光の入射角θo 、参照
光の入射角θr 、照明光の入射角θc および物体再生光
の出射角θi は、上記 (8)式または(10)式により決定さ
れる。そして、 (8)式または(10)式を適用して再生像の
色ずれおよび歪みを抑制する方法として以下の3つの方
法が考えられる。第1の方法は、感光材料10と支持母
体11との境界面上の互いに直交する2方向それぞれに
ついて、照明光の入射角θc に対し鏡面反射条件および
波長選択性すなわち上記 (8)式または(10)式を適用する
方法である。第2の方法は、感光材料10と支持母体1
1との境界面上の第1の方向については上記 (8)式また
は(10)式を適用し、上記第1の方向と直交する境界面上
の第2の方向については照明光の入射角θc に対し波長
選択性を適用せず鏡面反射条件のみを適用する方法であ
る。第3の方法は、感光材料10と支持母体11との境
界面上の少なくとも1方向について波長選択性および鏡
面反射条件を適用し、照明光の入射角を問わない方法で
ある。これら3つの方法それぞれについて以下に順に説
明する。
【0047】次に、再生像の色ずれおよび歪みを抑制す
る第1の方法について説明する。この第1の方法では、
記録波長λo 、再生波長λj 、照明光の入射角θc およ
び物体再生光の出射角θi を設定し、これらに基づい
て、物体光の入射角θo 、参照光の入射角θr ならびに
記録時および再生時それぞれの感光材料10の厚みの比
Mj を決定する。決定すべきパラメータは3個あるの
で、同時に決定することができない。そこで、参照光の
入射角θr ならびに記録時および再生時それぞれの感光
材料10の厚みの比Mj を最初に決定し、その後に、物
体光の入射角θo を決定する。
【0048】図5は、第1の方法によるホログラム作成
方法を説明するフローチャートである。ステップS11
では、感光材料10と支持母体11との境界面上の第1
の方向(y軸方向)について、記録波長λo 、再生波長
λj 、物体光の入射角θo の中心角、物体再生光の出射
角θi の中心角および照明光の入射角θc を設定し、2
次元ホログラムの条件式より、参照光の入射角θr を算
出する。
【0049】続くステップS12では、上記第1の方向
について、ステップS11で設定または算出した各パラ
メータに基づいて、3次元ホログラムの条件式より、記
録時および再生時それぞれの感光材料10の厚みの比M
j を算出する。
【0050】更に続くステップS13では、上記第1の
方向と直交する境界面上の第2の方向(x軸方向)につ
いて、記録波長λo 、再生波長λj 、参照光の入射角θ
r 、照明光の入射角θc 、物体再生光の出射角θi およ
び比Mj に基づいて、3次元ホログラムの条件式より、
物体光の入射角θo を算出する。
【0051】ステップS14で、第1の方向および第2
の方向それぞれについて、物体再生光の出射角θi に対
応するように物体光の入射角θo を制御するか、また
は、物体再生光の出射角θi に対応した再生物体情報を
物体光の入射角θo に対応した入射物体情報に変換す
る。
【0052】そして、ステップS15では、ステップS
14において算出された物体光および参照光を、ステッ
プS11〜S13において算出された入射角で感光材料
10上で干渉させて、感光材料10にホログラムを記録
する。
【0053】なお、ステップS12で算出される比Mj
は、感光材料10と支持母体11との境界面上の方向に
依存しない。したがって、ステップS11で算出される
参照光の入射角θr は、x軸方向およびy軸方向それぞ
れに対して互いに等しい。
【0054】ここで用いた2次元ホログラムの条件式は
(7)式または (9)式であり、3次元ホログラムの条件式
は (8)式または(10)式である。すなわち、共役像再生の
場合には、2次元ホログラムの条件式は、
【数24】 であり、3次元ホログラムの条件式は、
【数25】 である。直接像再生の場合には、2次元ホログラムの条
件式は、
【数26】 であり、3次元ホログラムの条件式は、
【数27】 である。ここで、添え字x は、各光線の入出力方向をx
z平面に投影した直線がz軸となす角度を示す。添え字
y は、各光線の入出力方向をyz平面に投影した直線が
z軸となす角度を示す。添え字j は、複数の再生波長そ
れぞれを識別する為のものである。
【0055】図6は、上記アルゴリズムに基づいて計算
した物体光の入射角θo と物体再生光の出射角θi との
関係を示すグラフである。なお、このグラフでは各角度
を空気中の角度として示している。この計算に際して
は、記録波長λo を632.8nmとし、再生波長λj
を488.0nmとし、感光材料10の平均屈折率no
およびnc を1.63とし、照明光の入射角θc をy軸
方向に対し空気中で45°とした。このとき、上記アル
ゴリズムのステップS11で算出された参照光の入射角
θr は、ホログラム法線からy軸方向に対し空気中で6
6.48°であった。ステップS12で算出された比M
j は、1.34941であった。この図は、ステップS
13で算出された物体光の入射角と物体再生光の出射角
との関係を示すものである。
【0056】この図に示すグラフでは、参照光の入射角
は、x軸方向に対し空気中でθrx=0°であり、y軸方
向に対し空気中でθry=66.48°であって、y軸方
向に対してのみ傾いている。したがって、物体再生光の
y軸方向に対する出射角は、物体光の入射角に対して略
線形関係となっている。一方、物体再生光のx軸方向に
対する出射角は、物体光の空気中での入射角が−40°
〜+40°の範囲において、再生不可能な条件となって
おり、グラフ上では便宜上0°としている。すなわち、
この範囲では、色ずれや歪みが抑制されたカラー再生像
の再生に寄与する光の角度成分はy軸方向に限定され
る。
【0057】色ずれや歪みが抑制されたカラー再生像の
再生に寄与する光の角度成分をx軸方向およびy軸方向
の双方とするには以下のようにする。すなわち、参照光
の入射角を、x軸方向に対し空気中でθrx=66.48
°とし、y軸方向に対しても空気中でθry=66.48
°として、両者を一致させる。そして、
【数28】 なる式に基づいて、参照光の入射角θr =72.89°
を求める。この参照光は、入射角(z軸となす角度)が
72.89°であって、入射方向をxz平面に投影した
直線がz軸となす角度θrxが66.48°であり、入射
方向をyz平面に投影した直線がz軸となす角度θryが
66.48°である。また、この参照光の入射方向をx
y平面に投影した直線がx軸およびy軸それぞれとなす
角度が45°である。
【0058】図7は、この条件の下に上記アルゴリズム
に基づいて計算した物体光の入射角θo と物体再生光の
出射角θi との関係を示すグラフである。この図は、こ
の条件下で算出された物体光の入射角と物体再生光の出
射角との関係を示すものである。このグラフから判るよ
うに、物体再生光のx軸方向に対する出射角およびy軸
方向に対する出射角の双方とも、物体光の入射角に対し
て略線形関係となっている。物体光の入射角が大きい範
囲でも容易に補正が可能である。すなわち、色ずれや歪
みが抑制されたカラー再生像の再生に寄与する光の角度
成分はx軸方向およびy軸方向の双方に拡張される。し
たがって、カラー再生像の色ずれや歪みが更に抑制され
る。
【0059】記録時および再生時それぞれの感光材料1
0の厚みと再生波長との関係は以下のとおりである。な
お、照明光の空気中での入射角を、y軸方向に対して4
5°とし、x軸方向に対して0°とする。最初に、感光
材料10を膨潤処理せず、参照光の入射角を照明光の入
射角と同一の45°とし、赤色(波長632.8nm)
用の物体画像により物体光を発生させて、赤色の再生像
を得る要素ホログラムを作成する。
【0060】続いて、感光材料10をD−ソルビトール
の20%溶液に室温にて2分間浸した後、感光材料10
の表面をスクィーザで丁寧に拭き取り乾燥させ、感光材
料10の裏面を水で湿らせた紙でよく磨いて、感光材料
10を暗箱内で乾燥させる。そして、乾燥した感光材料
10を赤の場合と同じ位置に配置し、参照光の入射角を
58°とし、緑色(波長514.5nm)用の物体画像
により物体光を発生させて、緑色の再生像を得る要素ホ
ログラムを作成する。
【0061】更に続いて、感光材料10をD−ソルビト
ールの40%溶液に室温にて2分間浸した後、感光材料
10の表面をスクィーザで丁寧に拭き取り乾燥させ、感
光材料10の裏面を水で湿らせた紙でよく磨いて、感光
材料10を暗箱内で乾燥させる。そして、乾燥した感光
材料10を赤の場合と同じ位置に配置し、参照光の入射
角を66.48°とし、青色(488.0nm)用の物
体画像により物体光を発生させて、青色の再生像を得る
要素ホログラムを作成する。
【0062】このようにして、赤、緑および青の3色の
成分それぞれが1枚の感光材料10に記録されたことに
なる。この感光材料10を現像処理し漂白処理すること
により、膨潤していた感光材料10を元の厚みに戻し、
フルカラーのリップマン型ホログラムを作成する。
【0063】以上の説明では、参照光の入射角をy軸方
向に対して45°としx軸方向に対して0°として、y
軸方向についてのみ角度補正を行ったが、x軸方向では
色ずれが発生する。なお、D−ソルビトールの濃度(感
光材料10の膨潤の割合)を上記と同様にし、上記(28)
式に基づいて照明光の入射角を54.73°とし、赤色
用の参照光の入射角を54.73°とし、緑色用の参照
光の入射角を66.16°とし、青色用の参照光の入射
角を72.89°とすることにより、x軸方向およびy
軸方向の双方について角度補正することができ、色ずれ
が更に小さいフルカラーのリップマン型ホログラムを作
成することができる。
【0064】また、他の例として、参照光の入射角をy
軸方向に対してのみ傾ける場合に、赤色については参照
光の入射角を35°とし、緑色については参照光の入射
角を44.9°としD−ソルビトールの濃度を15.5
%とし、青色については参照光の入射角を48.1°と
しD−ソルビトールの濃度を34.5%とする。また、
参照光の入射角をx軸方向およびy軸方向の双方に対し
て傾ける場合には、上記(28)式を用いて計算して、赤色
については参照光の入射角を44.7°とし、緑色につ
いては参照光の入射角を54.6°とし、青色について
は参照光の入射角を57.6°とする。
【0065】以上のアルゴリズムは、個々の要素ホログ
ラムを作成して全体のホログラムを作成する場合、およ
び、一度の露光で全体のホログラムを作成する場合の双
方に適用が可能である。
【0066】個々の要素ホログラムを作成して全体のホ
ログラムを作成する場合には、個々の要素ホログラム毎
に上記アルゴリズムを用いて、設定した物体再生光の出
射角毎に乗せるべき光強度情報を物体光の入射角に置き
換え、その物体光を感光材料10に入射させることによ
り、色ずれと歪みが抑制されたフルカラーの再生像を発
生するリップマン型ホログラムを作成することができ
る。
【0067】また、照明光源の位置や照明光の波面の曲
率を予め設定して、各要素ホログラムに入射する照明光
の入射角毎に補正をすることもできる。これは、点光源
である照明光源をホログラムに対し任意の位置に配置し
て、照明光をホログラムに入射させて再生像を再生する
場合に有効である。従来の多くの場合、参照光を平行光
としてホログラムを作成することから、照明光をも平行
光としてホログラムに入射させる必要があるが、実際に
は、ホログラムから離れた位置に点光源である照明光源
を配置することにより、照明光を略平行光とみなしてい
た。これでは再生像の歪みが発生する。しかし、本実施
形態は、このような問題点も解決することができる。さ
らに、本実施形態は、記録時には感光材料10が平面で
あって、再生時には感光材料10が曲面物体に張り付け
られる等して曲面となる場合にも、再生像の歪みを補正
することができる。
【0068】図8は、本実施形態に係るホログラム作成
方法を実現するのに好適なホログラム作成装置の構成図
である。He−Neレーザ光源20は、波長632.8
nmの赤色のレーザ光を出射する光源である。電磁シャ
ッタ21は、計算機40による制御に基づいて、He−
Neレーザ光源20から出射されたレーザ光を通過また
は遮断する。コリメートレンズ系22は、電磁シャッタ
21を通過したレーザ光を入力し、その光束径を拡げて
平行光とする。ハーフミラー23は、コリメートレンズ
系22により平行光とされたレーザ光を2分岐する。ミ
ラー24〜26は、ハーフミラー23により2分岐され
たレーザ光の一方を液晶パネル31に導き、レンズ27
および28は、他方を液晶パネル32に導く。
【0069】液晶パネル31,32それぞれは、計算機
40による制御に基づいて所定のパターンが提示され、
入射したレーザ光を振幅変調して出力する。拡散板3
3,34それぞれは、液晶パネル31,32の出力側に
略密着して配されており、液晶パネル31,32により
振幅変調されて出力されたレーザ光を、感光材料10全
体に到達するように拡散する。液晶パネル35,36そ
れぞれは、感光材料10を間に挟んで感光材料10の両
面に略密着して配されており、計算機40による制御に
基づいて所定のパターンが提示され、拡散板33,34
により拡散されたレーザ光を振幅変調して感光材料10
に入射させる。
【0070】液晶パネル31は、振幅変調されたレーザ
光を、要素ホログラムを作成する為の物体光として出力
するものである。液晶パネル35は、通常のステレオグ
ラム作成時のスリットに相当するスリット状の開口を有
するマスクとして作用し、感光材料10の要素ホログラ
ムを作成すべき領域のみに物体光を入射させる。一方、
液晶パネル32および液晶パネル36それぞれは、スリ
ット状の開口を有するマスクとして作用し、拡散板34
による拡散作用と相俟って、感光材料10の要素ホログ
ラムを作成すべき領域のみに、2つの開口を互いに結ぶ
入射角で参照光を入射させる。
【0071】液晶パネル31,32,35および36そ
れぞれは、計算機40により制御されている。液晶パネ
ル35および36それぞれに形成されるスリット状の開
口は、互いに同一の位置および形状のものであり、感光
材料10の要素ホログラムを作成すべき領域に対応す
る。液晶パネル31における振幅変調、および、液晶パ
ネル32に形成されるスリット状の開口の位置も、感光
材料10の要素ホログラムを作成すべき領域に対応す
る。さらに、電磁シャッタ21も、計算機40により制
御されて、液晶パネル31,32,35および36それ
ぞれに所定のパターンが提示されている期間に、He−
Neレーザ光源20から出射されたレーザ光を一定時間
だけ通過させる。
【0072】計算機40は、感光材料10の要素ホログ
ラムを作成すべき領域の位置に応じて、図5で説明した
アルゴリズムに基づいて所定の演算を行い、液晶パネル
31,32,35および36それぞれに与えるパターン
を算出する。すなわち、計算機40は、感光材料10の
要素ホログラムを作成すべき領域に応じて、液晶パネル
35のスリット状の開口の位置を計算し、物体光の入射
角および参照光の入射角を計算する。また、計算機40
は、感光材料10の要素ホログラムを作成すべき領域に
応じて、物体再生光の出射角に乗るべき光強度情報を並
び替え、その光強度情報を液晶パネル31上で平行移動
させる。さらに、計算機40は、感光材料10の要素ホ
ログラムを作成すべき領域および参照光の入射角に基づ
いて、液晶パネル32および36それぞれのスリット状
の開口の位置を計算する。そして、計算機40は、以上
で計算されたパターンを液晶パネル31,32,35お
よび36それぞれに提示し、電磁シャッタ21を制御し
て、He−Neレーザ光源20から出射されたレーザ光
を一定時間だけ電磁シャッタ21を通過させる。このよ
うにして感光材料10の所定領域に要素ホログラムが作
成される。感光材料10の要素ホログラムを作成すべき
領域を逐次移動しながら以上の操作を繰り返すことによ
り、全体のホログラムが作成される。
【0073】このように、このホログラム作成装置を用
いれば、各要素ホログラムに入射すべき照明光の入射角
を考慮して、液晶パネル31,32,35および36そ
れぞれに書き込むべきデータを計算することができる。
すなわち、照明光の入射角がホログラム全面に亘って一
定である平行照明光である場合やホログラムから充分に
遠方にある点光源から出射された照明光である場合、ま
た、ホログラムに近接した点光源から出射された照明光
である場合にも、歪みのない再生像を得ることができ
る。また、ホログラムが平面である場合に限らず、曲面
上に張り付けられたホログラムの場合にも、歪みのない
再生像を得ることができる。
【0074】また、感光材料10を挟んで配置されてい
る液晶パネル31,32、拡散板33,34および液晶
パネル35,36により感光材料10の任意の領域に要
素ホログラムを記録することができるので、従来は必要
であったスリットまたは感光材料の機械的移動が不要で
ある。それ故、この機械的移動に要する時間が不要とな
り、また、この機械的移動に伴い発生する振動が収まる
まで待機する時間も不要となる。したがって、従来と比
べて短い時間でホログラムを作成することが可能であ
る。
【0075】また、複数の要素ホログラムに対応したデ
ータを液晶パネル31,32,35および36それぞれ
に書き込むことにより、複数の要素ホログラムを感光材
料10に同時に記録することができる。したがって、こ
の点でも、従来と比べて短い時間でホログラムを作成す
ることが可能である。
【0076】一度の露光で全体のホログラムを作成する
場合には、以上に説明した個々の要素ホログラムを作成
して全体のホログラムを作成する場合と異なり、以下の
ような2ステップ型ホログラムが主な対象となる。すな
わち、物体を通常の2次元多視点画像として撮像し、こ
れらの撮像された各画像に対して3色それぞれに対応し
た3つのステレオグラムを作成し、これらの3つのステ
レオグラムそれぞれをマスタホログラムとして再生像を
感光材料10上に再生してリップマン型ホログラムを作
成する。図9〜図12を用いて2ステップ型ホログラム
作成方法を説明する。
【0077】図9は、マスタホログラムであるステレオ
グラムを作成する方法の説明図である。液晶パネル12
に物体の2次元多視点画像が書き込まれ、液晶パネル1
2の背面より平行光束が垂直入射すると、液晶パネル1
2の出力側に略密着して配された拡散板13上には、そ
の2次元多視点画像が投影される。拡散板13上に投影
された2次元多視点画像が提示画像となる。その提示画
像からの物体光は、感光材料15の直前に配されたスリ
ット14の開口を通過し、感光材料15に入射する。ま
た、参照光もスリット14の開口を通過し感光材料15
に入射する。スリット14を通過した物体光および参照
光は感光材料15上で干渉し、感光材料15上には要素
ホログラムが記録される。そして、液晶パネル12に書
き込むべき2次元多視点画像を逐次更新するとともに、
スリット14または感光材料15を逐次移動させること
により、感光材料15にマスタホログラムを作成する。
なお、拡散板13の直前に視野レンズを挿入することに
より光の利用効率を向上させてもよい。視点を感光材料
15以遠に配置してもよい。また、拡散板13に替えて
シリンドリカルレンズを使用してもよい。
【0078】図10は、マスタホログラムからリップマ
ン型ホログラムを作成する方法の説明図である。マスタ
ホログラムが記録された感光材料15に照明光を入射さ
せて物体再生光を発生させる。その物体再生光は感光材
料10に入射し、また、参照光も感光材料10に入射す
る。感光材料10に入射した物体再生光および参照光は
感光材料10上で干渉し、感光材料10上にホログラム
が記録される。感光材料10にフルカラーのリップマン
型ホログラムを作成するために、3色それぞれに対応し
たマスタホログラムが記録された3枚の感光材料15を
用意するとともに、感光材料10に入射する参照光の入
射角を3色それぞれに対応したものとして、感光材料1
0を多重露光する。
【0079】図11は、マスタホログラム作成時におけ
る拡散板13と感光材料15との位置関係の説明図であ
る。図12は、リップマン型ホログラム作成時における
感光材料15と感光材料10との位置関係の説明図であ
る。マスタホログラム作成時において、提示画像が形成
される拡散板13と感光材料15との間の距離をLswと
する。リップマン型ホログラム作成時において、マスタ
ホログラムが記録された感光材料15と、リップマン型
ホログラムが記録される感光材料10との間の距離をL
uwとする。また、感光材料10に記録されたリップマン
型ホログラムからの再生像と感光材料10との間の距離
をLv とする。
【0080】リップマン型ホログラムが記録される感光
材料10への物体光の入射角が大きい場合には、記録時
における感光材料10への物体光(感光材料15からの
物体再生光)の入射角と、再生時における感光材料10
からの物体再生光の出射角とは互いに異なる(図6、図
7を参照)。したがって、感光材料10に記録されたリ
ップマン型ホログラムからの再生像は、感光材料15が
置かれた位置に再生せず、感光材料10から再生像まで
の距離Lv は、感光材料10と感光材料15との間の距
離Luwと異なる。また、感光材料10から再生像までの
距離Lv は再生波長に依って異なる。このような場合に
は、以下のようにして、再生波長に拘わらず感光材料1
0から再生像までの距離Lv を互いに一致させる。
【0081】最初に、感光材料10に記録されたリップ
マン型ホログラムによる再生像の観察位置、すなわち、
感光材料10から再生像までの距離Lv を設定する。次
に、この観察位置から逆光線追跡を行って、感光材料1
0と感光材料15との間の距離Luwを求める。なお、角
度依存性が存在するので、距離Luwは一意的には求めら
れない。そこで、感光材料10および15それぞれにお
けるホログラムの大きさ並びに距離Lv をパラメータと
して距離Luwを表し、再生時において感光材料15にお
けるホログラムに逆入射する光線の数が最も多い位置よ
り近似解として距離Luwを求める。そして、提示画像が
形成される拡散板13と感光材料15との間の距離をL
swを、近似解として求められた距離Luwと等しくする。
以上のようにして求められた距離Lswとなるように拡散
板13および感光材料15を配置し、また、距離Luwと
なるように感光材料15および感光材料10を配置す
る。
【0082】さらに、感光材料10の厚みを記録時と再
生時とで異なるものとすることにより、再生波長に対す
る再生像位置の補正がなされるが、前述したように、そ
の補正は、互いに直交する2方向(x軸方向およびy軸
方向)それぞれの成分についてのみ完全になされ、その
他の方向の成分についてはなされない。したがって、色
ずれや歪みを厳密に防止する為には、感光材料10へ入
射する物体光の方向成分を互いに直交するx軸方向およ
びy軸方向に制限することが必要である。
【0083】そこで、図13に示すように、図9に示し
た拡散板13を1次元の拡散板13Aおよび13Bを組
み合わせた構成とする。拡散板13Aおよび13Bそれ
ぞれは、例えばレンチキュラー板などであり、拡散板1
3Aによる光の拡散方向Aと拡散板13Bによる光の拡
散方向Bとが互いに直交するように配置される。したが
って、拡散板13Aおよび13Bから構成される拡散板
13は、互いに直交する拡散方向AおよびBのみに光を
拡散する。この拡散方向AおよびBと、補正を行うx軸
方向およびy軸方向とを一致させることにより、再生波
長に対する再生像位置の補正は完全になされ、色ずれは
生じない。
【0084】また、記録時および再生時それぞれの感光
材料10の厚みの比は感光材料10全面で一定であり、
参照光の入射角も感光材料10全面で一定であるから、
感光材料10面上の互いに直交するx軸方向およびy軸
方向それぞれに対する照明光の入射角が互いに同一であ
ることは、x軸方向およびy軸方向の双方に対して互い
に同一の方向に照明光源が存在することを意味する。
【0085】以上説明した第1の方法は、リップマン型
ホログラムが記録された感光材料10面上の互いに直交
する2方向(x軸方向およびy軸方向)それぞれの成分
について補正を行うためには、x軸方向およびy軸方向
の双方に対して互いに同一の方向から照明光を感光材料
10に入射させる必要がある。このような第1の方法に
おける原理上の制約は、仮にx軸方向の照明光の入射角
を優先して設定した場合、このx軸方向に対する照明光
の入射角に基づいて参照光の入射角が決定され、さらに
記録時および再生時それぞれの感光材料10の厚みの比
も決定されてしまうことから、y軸方向に対する照明光
の入射角についても干渉縞の厚みおよび角度すなわち鏡
面反射条件および波長選択性の双方を満足させることが
不可能であることに因るものである。(28)式により参照
光の入射角はx軸方向およびy軸方向それぞれに対する
入射角より大きくなるが、このことは上記制約を緩める
方向に作用する。しかし、照明光源を配置する天井が低
い場合等、リップマン型ホログラムが記録された感光材
料10の設置状況により適切な位置に照明光源を配置で
きない場合には、上記制限が緩められたとしても充分で
はない。これに対して、以下に説明する第2の方法は、
照明光源の配置の制約が少ない。
【0086】次に、再生像の色ずれおよび歪みを抑制す
る第2の方法について説明する。第2の方法は、感光材
料10と支持母体11との境界面上の第1の方向(y軸
方向)については、共役像再生の場合には、2次元ホロ
グラムの条件式として (24b)式、および、3次元ホログ
ラムの条件式として (25b)式を適用し、直接像再生の場
合には、2次元ホログラムの条件式として (26b)式、お
よび、3次元ホログラムの条件式として (27b)式を適用
する。一方、上記第1の方向と直交する境界面上の第2
の方向(x軸方向)については波長選択性を適用せず鏡
面反射条件のみを適用する。
【0087】図14は、第2の方法によるホログラム作
成方法を説明するフローチャートである。ステップS2
1では、y軸方向について、記録波長λo 、再生波長λ
j 、物体光の入射角θo の中心角、物体再生光の出射角
θi の中心角および照明光の入射角θc を設定し、2次
元ホログラムの条件式より、参照光の入射角θr を算出
する。
【0088】続くステップS22では、y軸方向につい
て、ステップS21で設定または算出した各パラメータ
に基づいて、3次元ホログラムの条件式より、記録時お
よび再生時それぞれの感光材料10の厚みの比Mj を算
出する。
【0089】更に続くステップS23では、y軸方向に
ついて、記録波長λo 、再生波長λj 、参照光の入射角
θr 、照明光の入射角θc 、物体再生光の出射角θi お
よび比Mj に基づいて、3次元ホログラムの条件式よ
り、物体光の入射角θo を算出する。
【0090】ステップS24では、y軸方向について、
物体再生光の出射角θi に対応するように物体光の入射
角θo を制御するか、または、物体再生光の出射角θi
に対応した再生物体情報を物体光の入射角θo に対応し
た入射物体情報に変換する。以上でy軸方向についての
補正は終了する。
【0091】一方、ステップS25では、x軸方向につ
いての補正を行う。このとき、鏡面反射条件式すなわち
(11)式および(19)式を(14)式に代入して得られる条件
式:
【数29】 を用いて物体光の入射角θo を算出する。
【0092】ステップS26では、x軸方向について、
物体再生光の出射角θi に対応するように物体光の入射
角θo を制御するか、または、物体再生光の出射角θi
に対応した再生物体情報を物体光の入射角θo に対応し
た入射物体情報に変換する。以上でx軸方向についての
補正は終了する。
【0093】そして、ステップS27では、以上で算出
された物体光および参照光を、以上で算出された入射角
で感光材料10上で干渉させて、感光材料10にホログ
ラムを記録する。
【0094】この方法により感光材料10上に作成され
たリップマン型ホログラムから視点に入射する物体再生
光は、ホログラムに入射した照明光がホログラムにより
反射されて視点に入射するものである。このうちx軸方
向の成分はホログラムの鏡面反射条件のみにより再生像
を構成しており、照明光の波長を選択しているのではな
い。しかし、物体再生光は、y軸方向について鏡面反射
条件および波長選択性を満たすものであるので、x軸方
向についても波長選択性を満たし、フルカラーの再生像
を得ることができる。
【0095】図15は、上記アルゴリズムに基づいて計
算した物体光の入射角θo と物体再生光の出射角θi と
の関係を示すグラフである。なお、このグラフでは各角
度を空気中の角度として示している。この計算に際して
は、記録波長λo を632.8nmとし、再生波長λj
を488.0nmとし、感光材料10の平均屈折率no
およびnc を1.63とし、照明光の入射角θc をy軸
方向に対し空気中で45°とした。このとき、上記アル
ゴリズムのステップS21で算出された参照光の入射角
θr は、ホログラム法線からy軸方向に対し空気中で6
6.48°であった。ステップS22で算出された比M
j は、1.34941であった。この図は、ステップS
23で算出された物体光の入射角と物体再生光のy軸方
向に対する出射角との関係、および、(29)式で得られた
物体光の入射角と物体再生光のx軸方向に対する出射角
との関係を示すものである。
【0096】この図に示すグラフから判るように、物体
再生光のx軸方向に対する出射角およびy軸方向に対す
る出射角の双方とも、物体光の入射角に対して略線形関
係となっている。物体光の入射角が大きい範囲でも容易
に補正が可能である。すなわち、色ずれや歪みが抑制さ
れたカラー再生像の再生に寄与する光の角度成分はx軸
方向およびy軸方向の2次元に拡張される。
【0097】以上説明した第2の方法を実現するのに好
適なホログラム作成装置は、図8〜図13で説明したも
のと同様である。ただし、この第2の方法では、計算機
40により液晶パネル31,32,35および36それ
ぞれに与えられるパターンは、図14で説明したアルゴ
リズムおよび(29)式に基づいて計算機40により算出さ
れる点で、上記第1の方法の場合と異なる。
【0098】次に、再生像の色ずれおよび歪みを抑制す
る第3の方法について説明する。第3の方法は、感光材
料10と支持母体11との境界面上の少なくとも1方向
について波長選択性および鏡面反射条件を適用し、照明
光の入射角を問わない。リップマン型ホログラムが非常
に厚い感光材料10に記録されたものである場合には、
照明光源が大きく照明光の発散角が広く分布している場
合であっも、入射した照明光のうち何れかの入射角のも
のが波長選択性および鏡面反射条件を満たすので、フル
カラーの再生像が得られる。このような場合には、照明
光の入射角を考慮する必要はない。
【0099】この第3の方法では、以下のようにして、
記録時および再生時それぞれの感光材料10の厚みの比
Mj に基づいて、再生時における感光材料10の干渉縞
の方向角θF を求め、その干渉縞に対して波長選択性お
よび鏡面反射条件を満たす角度を計算することにより、
物体再生光の出射角θi を求める。
【0100】記録時において感光材料10内に発生する
干渉縞の方向角θM は、(11)式で表される。記録時にお
ける感光材料10内における干渉縞間隔DM は、(12)式
で表される。また、記録時における感光材料10と支持
母体11との境界面における干渉縞間隔Bは、(13)式で
表される。感光材料10は支持母体11に密着している
ので、両者の境界面における干渉縞間隔Bは変わらな
い。しかし、感光材料10は、記録時には膨潤され、再
生時には膨潤が解除されるので、再生時の厚みが記録時
の1/Mj 倍となる。したがって、記録時における感光
材料10内の干渉縞の方向角θM と、再生時における感
光材料10内の干渉縞の方向角θF との間には、(14)式
で表される関係が成り立つ。これより、再生時における
感光材料10内の干渉縞の方向角θF は、(15)式で表さ
れる。そして、再生時における感光材料10内における
干渉縞間隔DF は、(16)式で表される。
【0101】再生時において感光材料10内の干渉縞の
方向角θF および干渉縞間隔DF に対して、この干渉縞
の法線方向θF −π/2と角度θをなす光線が鏡面反射
条件および波長選択性を満たす条件は、
【数30】 なる式を満たすことである。そして、(13)式、(16)式お
よび(30)式より、角度θは、
【数31】 なる式で表される。
【0102】したがって、物体再生光の出射角θi は、
【数32】 なる式で表される。この(32)式は拡散照明の条件式であ
る。この(32)式より解析的に物体光の入射角θo を解く
ことはできない。しかし、以下のように数値計算等の逐
次近似計算により求めることができる。
【0103】図16は、第3の方法によるホログラム作
成方法を説明するフローチャートである。ステップS3
1では、記録波長λo 、再生波長λj 、比Mj 、物体光
の入射角θo および参照光の入射角θr を設定し、(11)
式および(12)式より記録時の感光材料10内の干渉縞の
方向角θM および感光材料10上の干渉縞の間隔DMを
算出する。
【0104】続くステップS32では、比Mj および記
録時の感光材料10内の干渉縞の方向角θM に基づい
て、(15)式および(16)式より再生時の感光材料10内の
干渉縞の方向角θF および間隔DF を算出する。更に続
くステップS33では、再生時の感光材料10内の干渉
縞の方向角θF および間隔DF に基づいて、ブラッグ回
折の条件式((31)式および(32)式)より物体再生光の出
射角θi を算出する。
【0105】ステップS34では、ステップS33で算
出された物体再生光の出射角θi が所望値であるか否か
を判定し、もし、物体再生光の出射角θi が所望値でな
いと判定した場合にはステップS31に戻る。このとき
のステップS31では、物体光の入射角θo として別の
値を設定し、以下の各ステップの処理を繰り返す。すな
わち、ステップS33で算出される物体再生光の出射角
θi が所望値となるまで、ステップS31で設定される
物体光の入射角θo を変えて各ステップの処理を繰り返
して行う。もし、ステップS34で物体再生光の出射角
θi が所望値であると判定した場合には計算を終了す
る。この終了の時点における物体光の入射角θo が求め
る値である。
【0106】また、上記(32)式における右辺第3項の符
号については、直接再生像を得る場合には、物体再生光
の出射角θi として物体光の入射角θo に最も近い値を
選択し、共役再生像を得る場合には、物体再生光の出射
角θi としてθo +πに最も近い値を選択する。
【0107】ステップS35で、物体再生光の出射角θ
i に対応するように物体光の入射角θo を制御するか、
または、物体再生光の出射角θi に対応した再生物体情
報を物体光の入射角θo に対応した入射物体情報に変換
する。そして、ステップS36では、以上で算出された
物体光および参照光を、以上で算出された入射角で感光
材料10上で干渉させて、感光材料10にホログラムを
記録する。
【0108】図17は、上記(32)式に基づいて計算した
物体光の入射角θo と物体再生光の出射角θi との関係
を示すグラフである。なお、このグラフでは各角度を空
気中の角度として示している。この計算に際しては、記
録波長λo を632.8nmとし、再生波長λj を48
8.0nmとし、感光材料10の平均屈折率no および
nc を1.63とした。参照光の入射角θr を、ホログ
ラム法線から空気中で66.48°とした。また、記録
時および再生時それぞれの感光材料10の厚みの比Mj
を1.34941とした。
【0109】この図に示すグラフから判るように、物体
光の入射角が36°以下の範囲では、物体光の入射角に
対して物体再生光の出射角は一意的に定まる。したがっ
て、物体光の入射角が36°以下の範囲では、容易に補
正が可能であり、色ずれや歪みが抑制されたカラー再生
像が得られる。
【0110】以上説明した第3の方法を実現するのに好
適なホログラム作成装置は、図8〜図13で説明したも
のと同様である。ただし、この第3の方法では、計算機
40により液晶パネル31,32,35および36それ
ぞれに与えられるパターンは、(32)式に基づいて計算機
40により算出される点で、上記第1の方法の場合と異
なる。
【0111】
【発明の効果】以上、詳細に説明したとおり、本発明に
よれば、物体光の入射角、参照光の入射角、照明光の入
射角、物体再生光の出射角、ならびに、記録時および再
生時それぞれの感光材料の厚みの比を、3次元ホログラ
ムの条件式を用いて設定・算出し、その結果に基づいて
リップマン型ホログラムを作成するので、そのリップマ
ン型ホログラムから再生される再生像は、任意の入射角
で入射する物体光に対応して出射する物体再生光につい
ても補正されたものであり、色ずれや歪みが抑制された
明るいカラー再生像となる。
【0112】また、リップマン型ホログラムは単一波長
の可干渉光を用いて作成されるので、記録時に用いるレ
ーザ光源は1台のみでよく、光学系が単純であり調整が
容易である。さらに、リップマン型ホログラム自体が波
長選択性を有するので、多くの波長成分を有する白色光
を照明光として用いることができ、視域や視野が制限さ
れることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】物体光および参照光それぞれの入射角を説明す
る図である。
【図2】記録時における物体光および参照光それぞれの
入射角ならびに干渉縞の方向角を説明する図である。
【図3】再生時における干渉縞の方向角を説明する図で
ある。
【図4】直接光再生時における照明光の入射角、物体再
生光の出射角および干渉縞の方向角を説明する図であ
る。
【図5】第1の方法によるホログラム作成方法を説明す
るフローチャートである。
【図6】第1の方法によるアルゴリズムに基づいて計算
した物体光の入射角と物体再生光の出射角との関係を示
すグラフである。
【図7】第1の方法によるアルゴリズムに基づいて計算
した物体光の入射角と物体再生光の出射角との関係を示
すグラフである。
【図8】ホログラム作成装置の構成図である。
【図9】マスタホログラムであるステレオグラムを作成
する方法の説明図である。
【図10】マスタホログラムからリップマン型ホログラ
ムを作成する方法の説明図である。
【図11】マスタホログラム作成時における拡散板13
と感光材料15との位置関係の説明図である。
【図12】リップマン型ホログラム作成時における感光
材料15と感光材料10との位置関係の説明図である。
【図13】拡散板13の説明図である。
【図14】第2の方法によるホログラム作成方法を説明
するフローチャートである。
【図15】第2の方法によるアルゴリズムに基づいて計
算した物体光の入射角と物体再生光の出射角との関係を
示すグラフである。
【図16】第3の方法によるホログラム作成方法を説明
するフローチャートである。
【図17】第3の方法による計算式に基づいて計算した
物体光の入射角と物体再生光の出射角との関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
10…感光材料、11…支持母体、12…液晶パネル、
13…拡散板、14…スリット、15…感光材料、20
…He−Neレーザ光源、21…電磁シャッタ、22…
コリメートレンズ系、23…ハーフミラー、24〜28
…ミラー、31,32…液晶パネル、33,34…拡散
板、35,36…液晶パネル、40…計算機。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今 健次 青森県むつ市中央2丁目24−2 有限会社 アートナウ内 Fターム(参考) 2K008 BB00 CC00 FF03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白色の照明光を照射することにより複数
    の再生波長それぞれの物体再生光からなるカラー再生像
    を再生することができるリップマン型ホログラムを、単
    一の記録波長の物体光および参照光を感光材料上で干渉
    させて作成するホログラム作成方法であって、 記録時の前記感光材料の平均屈折率をno とし、再生時
    の前記感光材料の平均屈折率をnc とし、記録時および
    再生時それぞれの前記感光材料の厚みの比をMj とし、
    前記記録波長をλo とし、前記再生波長をλj とし、前
    記感光材料内における前記物体光の入射角をθo とし、
    前記感光材料内における前記参照光の入射角をθr と
    し、前記感光材料内における前記照明光の入射角をθc
    とし、前記感光材料内における前記物体再生光の出射角
    をθi とし、前記感光材料面上の互いに直交する第1お
    よび第2の方向それぞれを識別する添え字をx ,y と
    し、前記複数の再生波長それぞれを識別する添え字をj
    としたときに、前記第1の方向に対する前記参照光およ
    び前記物体光それぞれの入射角ならびに前記第2の方向
    に対する前記参照光および前記物体光それぞれの入射角
    を、共役像再生の場合には2次元ホログラムの条件式: (2π・nc/λj)(sinθcx−sinθix) =(2π・no/λo)(sinθox−sinθrjx)、 (2π・nc/λj)(sinθcy−sinθiy) =(2π・no/λo)(sinθoy−sinθrjy) および3次元ホログラムの条件式: (2π・nc/λj)(cosθcx−cosθix) =Mj(2π・no/λo)(cosθox−cosθrjx)、 (2π・nc/λj)(cosθcy−cosθiy) =Mj(2π・no/λo)(cosθoy−cosθrjy) に基づいて算出し、直接像再生の場合には2次元ホログ
    ラムの条件式: (2π・nc/λj)(sinθix−sinθcx) =(2π・no/λo)(sinθox−sinθrjx)、 (2π・nc/λj)(sinθiy−sinθcy) =(2π・no/λo)(sinθoy−sinθrjy) および3次元ホログラムの条件式: (2π・nc/λj)(cosθix−cosθcx) =Mj(2π・no/λo)(cosθox−cosθrjx)、 (2π・nc/λj)(cosθiy−cosθcy) =Mj(2π・no/λo)(cosθoy−cosθrjy) に基づいて算出する入射角算出ステップと、 前記入射角算出ステップにおいて算出された前記参照光
    および前記物体光それぞれの入射角に基づいて、前記物
    体再生光の出射角に対応するように前記物体光の入射角
    を制御するか、または、前記物体再生光の出射角に対応
    した再生物体情報を前記物体光の入射角に対応した入射
    物体情報に変換する物体光算出ステップと、 前記物体光算出ステップにおいて算出された前記物体光
    および前記参照光を、前記入射角算出ステップにおいて
    算出された入射角で前記感光材料上で干渉させて、前記
    感光材料にリップマン型ホログラムを記録する記録ステ
    ップと、 を備えることを特徴とするホログラム作成方法。
  2. 【請求項2】 前記入射角算出ステップは、 前記第1の方向について、前記記録波長、前記再生波
    長、前記物体光の入射角の中心角、前記物体再生光の出
    射角の中心角および前記照明光の入射角を設定し、前記
    2次元ホログラムの条件式より前記参照光の入射角を算
    出する第1のステップと、 前記第1の方向について、前記第1のステップで設定ま
    たは算出された前記記録波長、前記再生波長、前記物体
    光の入射角の中心角、前記物体再生光の出射角の中心
    角、前記照明光の入射角および前記参照光の入射角に基
    づいて、前記3次元ホログラムの条件式より前記厚みの
    比を算出する第2のステップと、 前記第2の方向について、前記記録波長、前記再生波
    長、前記参照光の入射角、前記照明光の入射角、前記物
    体再生光の出射角および前記厚みの比に基づいて、前記
    3次元ホログラムの条件式より前記物体光の入射角を算
    出する第3のステップと、 を備えることを特徴とする請求項1記載のホログラム作
    成方法。
  3. 【請求項3】 前記入射角算出ステップは、前記第1の
    方向に対する前記参照光の入射角をθrxとし、前記第2
    の方向に対する前記参照光の入射角をθryとしたとき
    に、前記参照光の入射角θr を θr=tan-1(21/2tanθk)、 ただし、θk=θrx=θry なる式で求めることを特徴とする請求項1記載のホログ
    ラム作成方法。
  4. 【請求項4】 白色の照明光を照射することにより複数
    の再生波長それぞれの物体再生光からなるカラー再生像
    を再生することができるリップマン型ホログラムを、単
    一の記録波長の物体光および参照光を感光材料上で干渉
    させて作成するホログラム作成方法であって、 記録時の前記感光材料の平均屈折率をno とし、再生時
    の前記感光材料の平均屈折率をnc とし、記録時および
    再生時それぞれの前記感光材料の厚みの比をMj とし、
    前記記録波長をλo とし、前記再生波長をλj とし、前
    記感光材料内における前記物体光の入射角をθo とし、
    前記感光材料内における前記参照光の入射角をθr と
    し、前記感光材料内における前記照明光の入射角をθc
    とし、前記感光材料内における前記物体再生光の出射角
    をθi とし、前記複数の再生波長それぞれを識別する添
    え字をj としたときに、前記感光材料面上の互いに直交
    する2方向のうち第1の方向に対する前記参照光および
    前記物体光それぞれの入射角を、共役像再生の場合には
    2次元ホログラムの条件式: (2π・nc/λj)(sinθc−sinθi) =(2π・no/λo)(sinθo−sinθrj) および3次元ホログラムの条件式: (2π・nc/λj)(cosθc−cosθi) =Mj(2π・no/λo)(cosθo−cosθrj) に基づいて算出し、直接像再生の場合には2次元ホログ
    ラムの条件式: (2π・nc/λj)(sinθi−sinθc) =(2π・no/λo)(sinθo−sinθrj) および3次元ホログラムの条件式: (2π・nc/λj)(cosθi−cosθc) =Mj(2π・no/λo)(cosθo−cosθrj) に基づいて算出する第1の入射角算出ステップと、 前記2方向のうち前記第1の方向と直交する第2の方向
    に対する前記物体光の入射角を、鏡面反射条件式: θi=2tan-1{Mj・tan[(θr+θo)/2]}−θc または、 θo=2tan-1{(1/Mj)・tan[(θc+θi)/2]}−θr に基づいて算出する第2の入射角算出ステップと、 前記第1および前記第2の入射角算出ステップにおいて
    算出された前記参照光および前記物体光それぞれの入射
    角に基づいて、前記物体再生光の出射角に対応するよう
    に前記物体光の入射角を制御するか、または、前記物体
    再生光の出射角に対応した再生物体情報を前記物体光の
    入射角に対応した入射物体情報に変換する物体光算出ス
    テップと、 前記物体光算出ステップにおいて算出された前記物体光
    および前記参照光を、前記第1および前記第2の入射角
    算出ステップにおいて算出された入射角で前記感光材料
    上で干渉させて、前記感光材料にリップマン型ホログラ
    ムを記録する記録ステップと、 を備えることを特徴とするホログラム作成方法。
  5. 【請求項5】 前記第1の入射角算出ステップは、 前記第1の方向について、前記記録波長、前記再生波
    長、前記物体光の入射角の中心角、前記物体再生光の出
    射角の中心角および前記照明光の入射角を設定し、前記
    2次元ホログラムの条件式より前記参照光の入射角を算
    出する第1のステップと、 前記第1の方向について、前記第1のステップで設定ま
    たは算出された前記記録波長、前記再生波長、前記物体
    光の入射角の中心角、前記物体再生光の出射角の中心
    角、前記照明光の入射角および前記参照光の入射角に基
    づいて、前記3次元ホログラムの条件式より前記厚みの
    比を算出する第2のステップと、 前記第1の方向について、前記記録波長、前記再生波
    長、前記参照光の入射角、前記照明光の入射角、前記物
    体再生光の出射角および前記厚みの比に基づいて、前記
    3次元ホログラムの条件式より前記物体光の入射角を算
    出する第3のステップと、 を備えることを特徴とする請求項4記載のホログラム作
    成方法。
  6. 【請求項6】 白色の照明光を照射することにより複数
    の再生波長それぞれの物体再生光からなるカラー再生像
    を再生することができるリップマン型ホログラムを、単
    一の記録波長の物体光および参照光を感光材料上で干渉
    させて作成するホログラム作成方法であって、 記録時の前記感光材料の平均屈折率をno とし、再生時
    の前記感光材料の平均屈折率をnc とし、記録時および
    再生時それぞれの前記感光材料の厚みの比をMj とし、
    前記記録波長をλo とし、前記再生波長をλj とし、前
    記感光材料内における前記物体光の入射角をθo とし、
    前記感光材料内における前記参照光の入射角をθr と
    し、前記感光材料内における前記物体再生光の出射角を
    θi とし、再生時の前記感光材料内の干渉縞の方向角を
    θF とし、前記複数の再生波長それぞれを識別する添え
    字をj としたときに、前記感光材料面上の互いに直交す
    る第1の方向および第2の方向のうち少なくとも1方向
    に対する前記参照光および前記物体光それぞれの入射角
    を、拡散照明の条件式: θi=θF−π/2 ±cos-1{no・λj|sinθo−sinθr|/(2nc・λo・cos
    θF)}、 θF=tan-1{Mj・tan[(θo+θr)/2]} に基づいて算出する入射角算出ステップと、 前記入射角算出ステップにおいて算出された前記参照光
    および前記物体光それぞれの入射角に基づいて、前記物
    体再生光の出射角に対応するように前記物体光の入射角
    を制御するか、または、前記物体再生光の出射角に対応
    した再生物体情報を前記物体光の入射角に対応した入射
    物体情報に変換する物体光算出ステップと、 前記物体光算出ステップにおいて算出された前記物体光
    および前記参照光を、前記入射角算出ステップにおいて
    算出された入射角で前記感光材料上で干渉させて、前記
    感光材料にリップマン型ホログラムを記録する記録ステ
    ップと、 を備えることを特徴とするホログラム作成方法。
  7. 【請求項7】 前記入射角算出ステップは、 前記記録波長、前記再生波長、前記厚みの比、前記物体
    光の入射角および前記参照光の入射角を設定し、記録時
    の前記感光材料内の干渉縞の方向角および前記感光材料
    面上の干渉縞の間隔を算出する第1のステップと、 前記厚みの比および記録時の前記感光材料内の干渉縞の
    方向角に基づいて、再生時の前記感光材料内の干渉縞の
    方向角および間隔を算出する第2のステップと、 再生時の前記感光材料内の干渉縞の方向角および間隔に
    基づいて、ブラッグ回折の条件式より前記物体再生光の
    出射角を算出する第3のステップと、 を備え、 前記第3のステップで算出される前記物体再生光の出射
    角が所望値となるまで、前記第1のステップで設定され
    る前記物体光の入射角を変えて前記第1〜前記第3のス
    テップを繰り返して行う、 ことを特徴とする請求項6記載のホログラム作成方法。
  8. 【請求項8】 前記記録ステップは、前記感光材料への
    前記物体光の入射の際に前記物体光の発散方向を前記第
    1および前記第2の方向に制限することを特徴とする請
    求項1、4および6の何れか1項に記載のホログラム作
    成方法。
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