JP2000035534A - 写真レンズ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 緑色の再現性が向上された、波長７００〜８
００ｎｍの赤外光に感度を有するカラーフィルムに撮影
するのに適するように、色補正された写真レンズを提供
する。 【解決手段】 焦点距離をｆ、ＦナンバーをＦとすると
き、ｆ≦２００ｍｍ及び２０ｍｍ＜ｆ／Ｆ＜５０ｍｍと
言う条件を満たす写真レンズにおいて、前記写真レンズ
を構成する少なくとも１枚のレンズが下記の式で表され
る条件を満たす異常分散ガラスで構成する。 １．２≦θｇ．ｄ≦１．３ ６０≦νｄ≦９６ 但し、θｇ．ｄはｇ線とｄ線における部分分散比であ
り、νｄはｄ線におけるアッベ数である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は写真レンズ、特に、
赤外感光層を有するカラーフィルムを用いて撮影するの
に適した写真レンズに関する。

【０００２】

【従来の技術】コンパクトであり、携帯性に優れた写真
レンズとして、焦点距離ｆ≦２００ｍｍ程度のものが広
く使用されているが、このような写真レンズでは、軸上
の色収差はカラーフィルムの感光波長、即ち、約４００
〜７００ｎｍの範囲の波長に対して収差が補正されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、焦点距
離ｆ≦２００ｍｍ、で、且つ、焦点距離ｆとＦナンバー
の比、２０ｍｍ＜ｆ／Ｆ＜５０ｍｍの範囲の写真レンズ
では、２次色収差が補正されていない。

【０００４】ところで最近、緑色再現性を向上したカラ
ーフィルムが開発されている。このカラーフィルムは７
００〜８００ｎｍの波長の光に対しても感度を持ち発色
することによって、緑色の再現性が向上されたものであ
る。前記のような写真レンズとこの緑色再現性が向上さ
れたカラーフィルムを用いて撮影した場合、鮮鋭な画像
が得られないと言う問題がある。即ち、前記の緑色再現
性が向上されたカラーフィルムは７００〜８００ｎｍの
波長の光に対して感度を有するが、この波長域の光の鮮
鋭な像が得られない。

【０００５】したがって、本発明の目的は、焦点距離が
ｆ≦２００ｍｍで、且つ、焦点距離ｆとＦナンバーの比
が、２０ｍｍ＜ｆ／Ｆ＜５０ｍｍの範囲の写真レンズに
おける前記の様な問題を解決し、鮮鋭な像を得ることが
できる写真レンズを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記の本発明の目的は、
以下に挙げる発明によって達成される。

【０００７】請求項１に記載の発明によって、従来のカ
ラーフィルムの感光領域に加えて、７００〜８００ｎｍ
の波長の光に対しても鮮鋭な像を結ぶ写真レンズが得ら
れる。

【０００８】即ち、焦点距離ｆとＦナンバーＦの比が、
２０ｍｍ＜ｆ／Ｆ＜５０ｍｍの写真レンズにおいて、少
なくとも１枚のレンズに、 １．２≦θｇ，ｄ≦１．３ （１） ６０≦νｄ≦９６ （２） を満たすような異常分散ガラスを用いることによって、
ｇ線（４３５．８ｎｍ）からＡ′線（７６８．２ｎｍ）
までの波長の光に対して、後側焦点の位置を（ｆ／５０
０）ｍｍの範囲に収めることが可能となった。

【０００９】なお、本発明は、後に説明する実施例１、
２に示す単焦点レンズに限られず、ズームレンズにも適
用することが出来る。ズームレンズにおいては、前記諸
条件における焦点距離ｆと、ＦナンバーＦとには望遠端
における焦点距離と、Ｆナンバーとがそれぞれ適用され
る。

【００１０】ｆ／Ｆ＜５０ｍｍであるから、ｆ／（５０
０・Ｆ）＜０．１となり、Ａ′線からｇ線までの錯乱円
の径を０．１ｍｍ以内に収めることが可能となって、良
好な色収差の補正が可能となった。

【００１１】ｆ／Ｆ≧５０のときは、色収差の補正が不
十分になる。これは色収差の補正を行う波長領域が８０
０ｎｍまで拡大されたことによる。

【００１２】また、２０ｍｍ＜ｆ／Ｆという条件は式
（１）及び（２）によって表される条件の範囲にある異
常分散ガラスを用いて、色収差の補正の効果が得られる
範囲を示しており、この範囲の外では、前記の異常分散
ガラスを敢えて用いる必要がない。

【００１３】請求項１に記載の写真レンズにおいて、次
の条件を満たすものが更に好ましい。

【００１４】２０ｍｍ＜ｆ／Ｆ＜４５ｍｍ １．２２≦θｇ，ｄ≦１．２５ ７５≦νｄ≦９６ 請求項２に記載の発明によって、比較的低コストで２次
スペクトルに対して良好に色収差が補正された写真レン
ズが得られる。

【００１５】１／（ΦＡ・Ｆ）＞１００ｍｍでは、２次
スペクトルに対する補正が弱くなる。また、１０ｍｍ＞
１／（ΦＡ・Ｆ）では、異常分散ガラスからなるレンズ
の枚数が多くなって、コストが高くなる。

【００１６】請求項３に記載の発明によって、波長７０
０〜８００ｎｍの光に対して良好に色収差が補正された
写真レンズが得られる。Ａ′線に対する後側焦点位置と
ｄ線に対する後側焦点位置の差が０．０５Ｆよりも大き
くなると、７００〜８００ｎｍの波長の光に対する色収
差の補正が不十分になる。

【００１７】

【実施例】以下に本発明の実施例を図を参照して説明す
る。以下の説明、特に表中で使用する記号は次のとおり
である。

【００１８】ｒ：曲率半径 ｄ：軸上面間隔 ｎｄ：ｄ線に対する屈折率 θｇ，ｄ：ｇ線とｄ線における部分分散比 νｄ：ｄ線におけるアッベ数 ｆ：全光学系の焦点距離 Ｆ：Ｆナンバー ΦＡ：ΦＡは式（１）及び式（２）で表される条件を満
たす異常分散ガラスが正レンズを構成する場合における
前記正レンズの屈折力の算術和 ２ω：画角 （実施例１）図１は実施例１にかかる写真レンズの断面
図であり、図２は図１に示す写真レンズの収差図であ
る。表１に、図１に示す写真レンズのレンズデータを示
す。

【００１９】ｆ＝５０ｍｍ Ｆ＝２．１ ２ω＝４６．５６°

【００２０】

【表１】

【００２１】 ｆ／Ｆ＝２３．８ θｇ，ｄ＝１．２３ ΦＡ＝０．０１５８（ΦＡ・Ｆ＝０．０３３） Ａ′線からｇ線までの後側焦点距離の範囲 ０．１１ｍｍ Ａ′線とｄ線との後側焦点距離の差 ０．１０ｍｍ 実施例１の写真レンズでは最も物体側の第１レンズに異
常分散ガラスが用いられている。

【００２２】（実施例２）図３は実施例２にかかる写真
レンズの断面図であり、図４は図３に示す写真レンズの
収差図である。表２に、図３に示す写真レンズのレンズ
データを示す。

【００２３】ｆ＝１３５ｍｍ Ｆ＝３．２ ２ω＝１８．１°

【００２４】

【表２】

【００２５】 ｆ／Ｆ＝４２．２ θｇ，ｄ＝１．２３ ΦＡ＝０．０１８９（ΦＡ・Ｆ＝０．０６０） Ａ′線からｇ線までの後側焦点距離の範囲 ０．１４ｍｍ Ａ′線とｄ線との後側焦点距離の差 ０．１２ｍｍ 実施例２の写真レンズでは最も物体側の第１レンズ及び
該第１レンズの直ぐ像側の第２レンズに異常分散ガラス
が用いられている。

【００２６】

【発明の効果】請求項１及び３の発明によって、従来の
カラーフィルムの感光波長領域に加えて、７００〜８０
０ｎｍの波長の光に対しても良好に色収差が補正された
レンズが実現される。

【００２７】請求項２の発明によって、前記の効果がコ
ストの上昇を招くことなく実現される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１にかかる写真レンズの断面図
である。

【図２】図１に示す写真レンズの収差図である。

【図３】本発明の実施例２にかかる写真レンズの断面図
である。

【図４】図３に示す写真レンズの収差図である。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 焦点距離をｆ、ＦナンバーをＦとすると
   き、ｆ≦２００ｍｍ及び２０ｍｍ＜ｆ／Ｆ＜５０ｍｍと
   言う条件を満たす写真レンズにおいて、該写真レンズを
   構成する少なくとも１枚のレンズが、下記の式で表され
   る条件を満たす異常分散ガラスからなることを特徴とす
   る写真レンズ。 １．２≦θｇ，ｄ≦１．３ ６０≦νｄ≦９６ 但し、 θｇ，ｄ：ｇ線とｄ線における部分分散比νｄ：ｄ線に
   おけるアッベ数
2. 【請求項２】 下記の式で表される条件を満たすことを
   特徴とする請求項１に記載の写真レンズ。 １０ｍｍ≦１／（ΦＡ・Ｆ）≦１００ｍｍ 但し、 ΦＡ：前記異常分散ガラスが正レンズを構成する場合に
   おける前記正レンズの屈折力の算術和
3. 【請求項３】 Ａ′線に対する後側焦点位置とｄ線に対
   する後側焦点位置の差が０．０５Ｆよりも小さいことを
   特徴とする請求項１又は請求項２に記載の写真レンズ。