JP2000033468A - スリーブ及びその製造方法 - Google Patents
スリーブ及びその製造方法Info
- Publication number
- JP2000033468A JP2000033468A JP10203931A JP20393198A JP2000033468A JP 2000033468 A JP2000033468 A JP 2000033468A JP 10203931 A JP10203931 A JP 10203931A JP 20393198 A JP20393198 A JP 20393198A JP 2000033468 A JP2000033468 A JP 2000033468A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- powder
- crystalline
- sleeve
- boron nitride
- sintered body
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Ceramic Products (AREA)
Abstract
造方法の提供。 【解決手段】結晶性乱層構造窒化硼素粉末を窒化硼素以
外のセラミックス原料と混合したセラミックス混合物を
成形し、焼結したスリーブである。このスリーブは潤滑
性、耐溶損性にも優れている。結晶性乱層構造窒化硼素
粉末は、そのCuKα線による粉末X線回折図における
六方晶系窒化硼素の[004]の回折線に対応する回折
線の2θの半価幅が0.5°以下であり、六方晶窒化硼
素のCuKα線による粉末X線回折図における[10
0]、[101]及び[102]回折線に対応する各回
折線の占める面積S100、S101及びS102の間にS102/
(S100+S101)<0.02の関係が充たされている。
Description
製造方法に関し、特にダイカストマシンのプランジャス
リーブ及びその製造方法に関する。
リーブとして、特開平8−243711号公報には、溶
湯からのガス抜きを図るために内筒をサーメットなどの
多孔質体から形成し、この内筒が嵌挿される外筒を金属
の鋳造材から形成したものが提案されている。内筒と外
筒は焼きばめによって一体化される。
には、耐摩耗性の改善を目的として、窒化珪素などのセ
ラミックスや、Ni基サーメットなどの焼結品をプラン
ジャスリーブ材料として採用することが提案されてい
る。
のプランジャスリーブ材料として、窒化珪素、炭化珪
素、アルミナ、シリカ、ジルコニアが提案されている。
−243711号公報に提案されたダイガストマシンの
プランジャスリーブの保温性ないし断熱性は、必ずしも
利用者を満足させるものではなく、溶湯の温度低下によ
る製品欠陥の発生を招くおそれがある。加えて、金属製
の外筒が過熱するおそれもある。
いスリーブ及びその製造方法を提供することである。本
発明の別の目的は新規な結晶性乱層構造窒化硼素の用途
を開発することである。
は、第1の視点において、有効量の結晶性乱層構造窒化
硼素を含む粉末を焼結してなる。
結晶性乱層構造窒化硼素を含む粉末を窒化硼素以外のセ
ラミックス原料と混合したセラミックス混合物を成形
し、焼結し、、焼結体よりスリーブを得ることを特徴と
する。
態を説明する。
て、スリーブとして用いられる新規な焼結体及びその製
造方法について説明する。併せて、窒化硼素の多形につ
いて説明する。
合物であるが、炭素とほぼ同じ結晶構造を有する多形が
存在する。すなわち、窒化硼素には無定形窒化硼素(以
下、「a−BN」という)、六角形の網目層が二層周期
で積層した構造を持つ六方晶系窒化硼素(以下、「h−
BN」という)、六角形の網目が三層周期で積層した構
造を持つ菱面体晶系窒化硼素(以下、「r−BN」とい
う)、六角形の網目層がランダムに積層した構造を持つ
乱層構造窒化硼素(以下、「t−BN」という)、高圧
下の安定相であるジンクブレンド型窒化硼素(以下、
「c−BN」という)及びウルツアイト型窒化硼素(以
下、「w−BN」という)が知られている。
て実用性が認められているのはh−BNとc−BNのみ
である。h−BNは黒鉛より耐酸化性に優れている安定
相であり、合成された結晶性h−BN粉末の粒子は通常
六角板状の自形を有しており、黒鉛と同様に良好な耐熱
性、機械加工性(切削加工性)及び固体潤滑性を有して
いるが、黒鉛と異なり白色で優れた絶縁性を有する。他
方a−BNは不安定で吸湿性があるため、a−BNの状
態では使用できない。典型的なh−BNとa−BNのC
uKα線による粉末X線回折図を図1と図2に示す。
線回折図では[002]、[100]、[101]、
[102]及び[004]の回折線が顕著である。これ
に対して図2のa−BNの粉末X線回折図ではh−BN
の粉末X線回折図の[100]回折線と[101]回折
線の位置にある[100]と[101]回折線が合体し
たブロードな(半価幅の大きい)回折線と、h−BNの
粉末X線回折図の[002]回折線の位置にあるブロー
ドな回折線とがあるのみで、他の回折線は見当らない
か、存在したとしてもブロードで存在が不明瞭な弱い回
折線しか存在しない。a−BNの構造では硼素と窒素か
らなる六角網目層が発達しておらず、発達していない微
小な六角網目層の積層構造にも規則性がないものであ
る。
達した六角網目層が・・aa’aa’aa’aa’a・
・のパターンで積層した結晶構造を有しており、六角網
目層が3層周期で積層したものがr−BNである。他
方、六角網目層は発達しているが六角網目層の積層構造
に規則性のないものをt−BNという。t−BNの粉末
X線回折図の一例を図3に示す。図3から分かるよう
に、この粉末X線回折図ではh−BNの粉末X線回折図
の[002]及び[004]回折線に対応する回折線が
シャープな回折線となっているが、[100]回折線に
対応する回折線が高角度側に裾を引いて広がった形をし
ていて[101]に対応する回折線が弱く目立たず、
[102]に対応する回折線は存在しないか、存在して
も非常に弱い。この[102]に対応する回折線は六角
網目層が規則的に積層していることによって始めて現れ
る回折線である。
(1989)No.2,P201〜204では粉末X線
回折図がブロードな回折線しか示さない窒化硼素をt−
BNと記載しているが、このような窒化硼素はt−BN
と区別してa−BNであるとするのが妥当である。
結体の例としては次のようなものが知られている。特開
昭60−195059号公報、特開昭60−19506
0公報及び特開平2−252662号公報にはh−BN
粉末を窒化アルミニウムと複合したマシナブル(機械加
工性又は切削加工性)で熱伝導率の大きい複合セラミッ
クス焼結体が開示されている。また、特公平5−654
67号公報及び特開平1−305861号公報にはa−
BN粉末を原料に用いて窒化硼素を窒化アルミニウム、
窒化珪素又は炭化珪素と複合した、h−BNを含む高強
度で機械加工性が良好な複合セラミックス焼結体が開示
されている。
酸化物、窒化物、炭化物等からなる多孔質のセラミック
スに硼酸水溶液を含浸して乾燥し、これをアンモニア雰
囲気中で加熱して還元かつ窒化し、多孔質焼結体中に窒
化硼素(加熱温度からこの段階ではa−BNになってい
ると推定される)を生成させる。次いでこれを母材の焼
結温度で焼結し、焼結と同時にa−BNがh−BNに相
転移したh−BN粒子を含む強度が大きい各種の複合セ
ラミックス焼結体を得ている。この方法の場合、比較的
多量の窒化硼素を複合させた複合セラミックス焼結体を
得るには、含浸、乾燥及び窒化の工程を繰り返し行なう
必要があるので煩雑である。
結晶相であるc−BNとw−BNを除いた窒化硼素の
内、t−BNやr−BNについては実験室でごく少量合
成された報告が過去にあるのみで(たとえばJourn
al of Solid State Chemist
ry Vol.109,No.2,p384−390
(1994)参照)、本発明者らの関知する限りにおい
て、結晶性t−BN微粉末を原料に使用した複合焼結
体、あるいは結晶性t−BNを含有する複合焼結体は未
だ知られていない。
平9−21052号に生産性に優れた結晶性t−BN微
粉末の製造方法を提案した。本発明者らは、さらに、特
願平10−152020号において、特願平9−210
52号に記載した結晶性t−BN微粉末の有する特徴で
ある、湿気に対して不活性であり、結晶粒子径(一次粒
子径と同じ)が細かく、一次粒子の粒径が揃っていて、
焼結性が良好な結晶性t−BN微粉末を利用した、安価
で有用な複合セラミックス焼結体の製造方法を提案し、
加えて、新規な結晶性BN微粉末を用いた高性能複合セ
ラミックス焼結体をも提案した。
BNを用いた新規なスリーブ及びその製造方法を提供せ
んとするものである。
ましい実施形態において、有効量、特に5重量%以上の
結晶性t−BN微粉末をこれ以外のセラミック原料に混
合したセラミック混合物を成形して焼結する。結晶性t
−BNの有効量は、所要目的に応じて定められるが、お
よそ0.1重量%以上から、0.5、1、2、3、4の
各重量%以上等に設定できる。また焼結は結晶性t−B
Nが実質的(例えば10%以上)に或いは所定量以上
(70%、50%、30%、20%以上等これらの中間
を含む任意の量)相転移を生じない条件下において行う
ことができる。これにより、結晶性t−BN含有複合セ
ラミックス結晶体が得られる。
て、結晶性t−BNが相転移(特にh−BNへ)する条
件下に焼結して、高性能の複合セラミックス焼結体を、
得ることができる。その場合、相転移は50%以下ない
しそれ以上に制御でき、また実質的に全て相転移させる
こともできる。
方法は、前述の特願平9−21052号に記載された結
晶性t−BN微粉末の製造方法、すなわち有効量の溶融
硼酸アルカリを共存させて窒素等の非酸化性雰囲気中で
a−BN粉末を加熱し、a−BNをt−BNに結晶化さ
せる方法である。複合セラミックス焼結体は多くの場合
多孔質の焼結体であるが、結晶性t−BN微粉末はサブ
ミクロンの微細な一次粒子からなっているのでh−BN
粉末より焼結しやすく、成形するとa−BNを混合した
粉末より緻密な成形体になり、焼結すれば緻密な複合焼
結体となる。この複合焼結体は気孔率が相当あっても強
度が比較的大きい。微細な結晶性t−BN微粒子が焼結
時にh−BNに転移しないで焼結体中に残存している場
合には微細な結晶性t−BN微粒子の存在によって微細
な気孔が形成され、焼結体中の気孔はサブミクロンサイ
ズの微細な平均気孔径を有するものとなる。
結晶性t−BN微粉末の合成方法は、たとえば次の通り
である。出発原料に尿素と硼酸及び少量の硼酸アルカリ
からなる硼素より窒素成分が過剰な混合物を出発原料に
用い、硼酸ナトリウムの共存下で加熱して950℃以下
で反応させ、a−BNを主体とし硼酸やナトリウムイオ
ンを含むカルメ焼き状の中間生成物を得る。次いでこの
中間生成物を1mm以下に粉砕して窒素雰囲気中で約1
300℃に加熱し、結晶化させると結晶性t−BNが生
成する。この結晶化した反応物を水、特に温純水で洗浄
(必要に応じてアルカリ成分の中和洗浄のために酸を用
いる)して精製すると、純度が高く、円板状又は球状の
形状を有する微細な一次粒子からなる結晶性t−BN微
粉末が得られる。結晶性t−BN微粉末の微細な一次粒
子は集合してミクロンサイズの二次粒子となっている
が、アトリションミルなどで湿式粉砕すれば、微細な一
次粒子にまで容易に微粉砕することができる。結晶性t
−BN微粉末の一次粒子は、微細な円板状又は球状であ
ることによって微粉砕された混合粉末を成形するときに
六角板状のh−BN粒子のように配向しないので、複合
焼結体としても熱膨張率の成形時の方向による差異が殆
どない焼結体が得られるという利点がある。
BNの[004]回折線(図1参照)に対応する回折線
の2θの半価幅が0.6°以下と小さくシャープな回折
線を示す結晶性の窒化硼素であって、h−BNの[10
0]、[101]及び[102]回折線に対応する各回
折線の占める面積(回折線の強度を意味する)S100、
S101及びS102の間にS102/(S100+S101)≦0.
02の関係を充たす窒化硼素を結晶性t−BNという。
BN粉末ないし微粉末としては、h−BNの[004]
回折線に対応する回折線の2θの半価幅が0.5°以下
の結晶性t−BN微粉末を使用するのが好ましい。
よって高純度のものを製造できる。したがって、セラミ
ックス混合粉末中に含まれる結晶性t−BNの含有量
は、結晶性t−BNの含有量が既知のセラミックスの混
合粉末を別途調製して複数の標準試料とし、標準試料の
粉末X線回折図中の結晶性t−BNの回折線の強度を、
粉砕した複合セラミックス焼結体の粉末X線回折図中の
結晶性t−BNの回折線の強度と比較すれば求めること
ができる。
は、前述の方法によって従来市販されているh−BN粉
末と比べて安価に製造され、結晶性t−BN微粉末の一
次粒子が微細であることによってセラミックス混合粉末
の成形体が焼結しやすく、多孔質な複合焼結体の場合も
強度が大きく、窒化硼素が結晶性t−BNの状態で焼結
体中に残留している場合には微細で揃った大きさの気孔
を有する複合セラミックス焼結体が得られる点である。
比較すると、結晶性t−BN微粉末はa−BN粉末と比
べて湿気などの水分に対して安定であるので焼結体の原
料として使いやすく、a−BN粉末を混合したセラミッ
クス混合粉末と比べて密度の大きい成形体が得られ、密
度の大きい複合セラミックス焼結体が得られる点であ
る。従来のh−BN粉末を含む複合セラミックス焼結体
の場合と同じく、本発明の製造方法による窒化硼素含有
複合セラミックス焼結体は、h−BN及び/又は結晶性
t−BNを焼結体の内部に含有していることによってヤ
ング率が小さく熱伝導率が大きいので耐熱衝撃性に優れ
ており、固体潤滑性があり、溶融金属に対して優れた耐
食性を有し、電気絶縁性に優れている等の好ましい特徴
がある。
ミックス粉末との混合、あるいは粉砕を兼ねる混合は分
散性のよいアルコールなどを媒体とする湿式のボールミ
ルやアトリションミルによって行なうのが好ましい。複
合セラミックス焼結体の原料とするセラミックス混合粉
末に混合する窒化硼素粉末は微細である方が成形体の焼
結性がよく、前述の製造方法によって得られる結晶性t
−BN微粉末の一次粒子は平均粒径が0.4μm以下と
微細であるのでこの結晶性t−BN微粉末を混合したセ
ラミックス混合粉末の成形体は焼結性に優れていて好ま
しい。複合セラミックス焼結体の製造方法としては、無
加圧焼結又は加圧焼結のいずれを採用してもよいが、無
加圧焼結を採用すれば、製造できる複合焼結体の形状に
自由度があり、各種の形状と寸法の複合セラミックス焼
結体を安価に製造できる点で好ましい。
1450℃以上において所定時間以上に加熱すると高温
で安定なh−BN結晶に相転移し、t−BNとh−BN
が混在する複合セラミックス焼結体、あるいはt−BN
を含まず、h−BNと他のセラミックスとの複合セラミ
ックス焼結体になる。焼結温度が1400℃以下のセラ
ミックス粉末を組み合わせたセラミックス混合粉末を原
料とすると、出発原料のセラミックス混合粉末中に配合
したのとほぼ同量の結晶性t−BNを含む複合セラミッ
クス焼結体が得られる。
これ以上(特に1500℃未満の範囲では)とすると焼
結時間とともに結晶性t−BNがh−BNに相転移する
ので、焼結時間によって結晶性t−BNの含有量が変化
することになる。さらに焼結温度を高くする(約150
0℃以上では特に)と焼結が速やかに進行するが、同時
に結晶性t−BNは速やかにh−BNに相転移し、同時
に焼結体中に結晶成長したh−BNの結晶粒子が生成す
る。いずれにしても、最終焼結体におけるBNの所望焼
結状態(乱層t−BNのみが実質的に乱層でもt−BN
とするか、所定比以下の乱層t−BNとするか)に従っ
て、最高焼結温度は、時間との関係で定めることができ
る。
配合量としては、強度の大きい複合セラミックス焼結体
が得られるように、5〜40重量%、さらに好ましく
は、10〜30重量%、或いは10〜20重量%を結晶
性t−BN(微粉末)、残部を窒化硼素以外のセラミッ
クス粉末とした混合粉末を原料に用いるのが好ましい。
る窒化硼素以外のセラミック原料としては、一般に14
50℃程度以下(ないし1430℃、1400℃程度以
下)の温度で焼結可能なセラミック原料を用いることが
でき、粉末に限らず沈澱法、ゾルゲル法、或いはこれら
の混合形式、天然又は合成物質いずれも任意に選択して
用いることができる。さらにこれらのセラミック原料と
しては、1450℃以上で焼結されるものを用いること
もできる。
物、ホウ化物、窒化物、炭化物、けい化物、これらの複
合化合物もしくはこれらと酸化物との複合化合物などの
一種以上を用いることができる。これらのセラミック原
料を例示すると、コージライト、ムライト、ジルコン、
ジルコニア、アルミナ、スピネル、窒化珪素(Si3N4
など)、窒化アルミニウム、炭化珪素、硼化ジルコニウ
ム、硼化チタン、サイアロン等を使用できる。
られ、多くの用途を期待できるアルミナ、ジルコニア、
窒化珪素又は窒化アルミニウムを組み合わせたセラミッ
ク混合原料を用いて複合セラミックス焼結体を得るのが
好ましい。難焼結性の非酸化物系セラミックスとの複合
セラミックス焼結体を製造する場合は、焼結温度を低く
して緻密に焼結できるように所定の(好ましくは非酸化
物系セラミックス用の)焼結助剤(各セラミック材料で
公知のものを選択できる)を添加して焼結するのが好ま
しい。
で焼結可能なものを窒化硼素以外のセラミック原料に使
用すれば、結晶性t−BN微粉末を相転移させないで複
合セラミックス焼結体を得ることができる。また、機械
加工性(マシナブル又は切削加工性に同じ)を備えた複
合セラミックス焼結体を得たい場合には、超硬チップ等
による切削加工が容易となるように、結晶性t−BN微
粉末を10重量%以上混合したセラミックス混合粉末を
原料に用いて複合セラミックス焼結体を製造するのが好
ましい。他方、目的とする複合焼結体の密度にもよる
が、結晶性t−BN微粉末を35重量%より多く混合し
たセラミックス混合粉末は緻密に焼結するのが難しく、
得られる複合焼結体の強度が小さくなるので、結晶性t
−BN微粉末のセラミックス混合粉末への混合量は35
重量%以下とするのが好ましい。
Nを用いる場合、約10重量%以下の配合では、実質的
に極めて高密度(低気孔率)の焼結体を製造できること
が判った。実際に対理論密度比で95%以上、98%以
上から99%以上のものも焼結できる。
複合セラミックス焼結体の気孔径の小さい方が大きい強
度の焼結体となる。また、複合セラミックス焼結体を強
度を必要とする構造用部材に使用したり、複合セラミッ
クス焼結体に良好な機械加工性を付与して精度のよい加
工をしたい場合には、強度が5kg/mm2以上ある複
合セラミックス焼結体とするのが好ましい。焼結体の表
面を鏡面に研摩するには、複合セラミックス焼結体を開
気孔のない緻密なものとするのが好ましい。なお、気孔
率は例えば水銀ポロシメータで測定できる。好ましく
は、焼結体の水銀ポロシメータで測定された平均気孔径
が1.0μm以下である。
ては、焼結体中の結晶性乱層構造窒化硼素粒子の平均結
晶粒径が0.5μm以下である。
結晶性乱層構造窒化硼素粒子の出発材料として純度90
%以上、残部は主としてB2O3のものを用いて焼結され
る。
セラミックス混合粉末に混合された結晶性乱層構造窒化
硼素微粉末の一次粒子の粒径が1μm以下であり、一次
粒子の平均粒径が0.4μm以下である。
態において、高強度を必要とする構造用スリーブ、耐久
性のある通気性多孔質溶融金属用鋳型用スリーブ、溶融
金属と接触する保護スリーブなどの耐熱衝撃性を必要と
するスリーブとして用いられる。
説明する。なお、以下の実施例は本発明の一実施例であ
って、本発明を限定するものではない。
含まれる結晶性乱層構造窒化硼素(以下「結晶性t−B
N」という)について説明する
窒化硼素(以下「結晶性t−BN」という)の微粉末を
次のようにして合成した。無水硼酸(B2O3)3.5k
g、尿素((NH2)2CO)5.3kg、硼砂(Na2
B4O7・10H2O)0.63kgからなる混合物を出
発原料とし、この混合物を直径530mmの蓋付きステ
ンレス鋼製容器に入れ、この反応容器を炉内に入れて2
50〜500℃、500〜600℃、600〜700
℃、700〜800℃、800〜900℃の各段階にそ
れぞれ10分かけて昇温し、最後は900±1℃に10
分間保持して反応させた(合計1時間)。この間100
℃を超えたところで水蒸気が噴出し始め、200℃で成
分が溶融し始め、ぶくぶくと泡が出てガスの放出を伴っ
て反応が進んだ。350〜400℃まで主に水蒸気を放
出し、900℃に10分間保持したところガス(水蒸気
及び炭酸ガス)の放出が減少した。
ろ、反応容器中の混合物はB2O3が反応を完了してカル
メ焼き状の反応物となっていた。このカルメ焼き状の反
応物を反応容器中で解砕し、真空吸引して反応容器中か
ら取り出し、粉砕して1mm目の篩を通した。この粉砕
した反応物をアルミナ製の蓋付き匣鉢に入れて蓋を閉
じ、窒素雰囲気とした電気炉中で1300℃まで10時
間かけて昇温し、この温度に2時間保持し、その後放冷
した。匣鉢から取り出した粉末を80〜85℃に温めた
イオン交換水で洗浄してアルカリ成分と硼酸成分を除
き、次いで希塩酸で中和し、さらに温めたイオン交換水
で洗浄して乾燥し、純度の高い結晶性t−BN微粉末を
得た。この一連の工程による結晶性t−BN微粉末の収
量は出発原料10kgに対して約2.8kgであり、出
発原料中の仕込み硼素量に対する製造歩留は70%以上
であった。なお、結晶性t−BNの純度は水洗の程度に
より90〜97%以上に亘る。
ルを媒体として直径1.2mmのジルコニアビーズを用
いるアトリションミル(芦沢鉄工所社製パールミル)に
よって2時間微粉砕した。微粉砕後の結晶性t−BN微
粉末について粒度分布を調べた(堀場製粒度分布アナラ
イザLA−700使用)結果、約95%が1μm以下の
微粒子となっており、平均粒径は約0.30μmであっ
た。また、窒素吸着法で測定した粉末の比表面積は12
m2/gであった。
よる粉末X線回折図を図3に、13300倍に拡大した
結晶性t−BN微粉末の顕微鏡写真を図4に、同結晶性
t−BN微粉末をアトリションミルで微粉砕後の粒度分
布グラフを図5にそれぞれ示す。
[004]回折線に対応する回折線は2θの55°にあ
り、その2θの半価幅は0.47°であり、S102/
(S100+S101)の値はほぼゼロであった。また、図4
の拡大電子顕微鏡写真から分かるように、この結晶性t
−BN微粉末の一次粒子の平均結晶粒径は約0.27μ
mであり、結晶性t−BN微粉末の一次粒子は円板状又
は球状の粒子からなっている。
により自由にコントロールでき、90%以上〜97%以
上さらに98%、99%以上の高純度のものまで得られ
る。残留分としては、上記の方法で得られる結晶性t−
BN微粉はB2O3を主体とする。従って、所定量の残留
B2O3を含有する結晶性t−BN微粉を用いれば、残留
B2O3が焼結助剤の役割も果たすので、焼結性の一層の
増進に資する。
材料となる、以上詳説した結晶性t−BN粉末と、他種
のセラミックス粉末を原料とする複合セラミックス焼結
体について説明する。
合焼結体:表1参照]
度90〜97%、残部は主としてB2O3)と混合するセ
ラミックス粉末にアルミナ粉末(純度92%、他にSi
O2、MgOなど8重量%を含む平均粒径3.5μmの
マルスゆう薬製)を選び複合セラミックス焼結体を作製
した。但し、試料1においては結晶性t−BN配合量を
ゼロ重量%とした。以下、この作製方法を詳細に説明す
る。
5%とポリアクリル酸アンモニューム塩の解こう剤を固
形分0.3重量%添加してボールミルで12時間分散混
合して調製した。また上記結晶性t−BN微粉末に水分
重量45%重量%とポリカルボン酸アンモニューム塩の
解こう剤を固形分2重量%添加してボールミルで12時
間分散混合して調製した。その後、両者のスラリーを混
合して結晶性t−BN微粉末の配合量がゼロ重量%、1
0重量%、15重量%、20重量%、25重量%の混合
スラリーとし、各混合スラリーに成形助剤としてワック
スバインダー及びポリビニールアルコール樹脂バインダ
ーを固形分3重量%添加して、その後スプレードライヤ
ーを用いて造粒粉を作製した。
0kg/cm2の成形圧力で加圧して成形体を得た。こ
の成形体を還元雰囲気中で1480℃で2時間焼結して
寸法が大凡15cm×15cm×2cmの複合セラミッ
クス焼結体を得た。
性を表1に示した。試料2〜5の各焼結体を粉砕して粉
末X線回折で調べた結果、複合した窒化ホウ素粉末はす
べて元の結晶性t−BNの状態で焼結体中に残存してい
た。なお、表1に示した焼結体のかさ密度、気孔率、吸
水率はアルキメデス法で測定し、曲げ強度はJIS16
01に規定する方法で測定した。また、硬度はビッカー
ス硬度計を用いて測定した。
粉末に前記結晶性t−BN微粉末を窒素雰囲気中で、4
時間1750℃で加熱して得たh−BN粉末(平均粒径
4.8μm、平均一次粒子径1.5μm、比表面積12
m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)及びh−
BN粉末(平均粒径0.5μm、比表面積25m2/g
の六角板状の結晶粒子からなる粉末)をそれぞれ15重
量%混合した混合スラリーを実施例1と同様にして複合
セラミックス焼結体を作り(試料6、7)、その特性を
表1に併せて示した。
ろ、試料2〜7のいずれの複合セラミックス焼結体につ
いても良好な機械加工性があることが認められた。
合焼結体:表2参照]
組み合わせて複合するセラミックス粉末にアルミナ粉末
(純度99.99%、平均粒径0.4μmの大明化学
製)を選び複合セラミックス焼結体を試作した。但し、
試料8においては結晶性t−BN配合量をゼロ重量%と
した。以下、この作製方法を詳細に説明する。
5%とポリカルボン酸アンモニューム塩の解こう剤を固
形分0.6重量%添加してボールミルで12時間分散混
合して調製した。また、上記結晶性t−BN微粉末に水
分重量45重量%とポリカルボン酸アンモニューム塩の
解こう剤を固形分2重量%添加してボールミルで12時
間分散混合して調製した。その後、両者のスラリーを混
合して結晶性t−BN微粉末の配合量がゼロ重量%、1
0重量%、15重量%、20重量%、25重量%混合ス
ラリーとし、各混合スラリーに成形助剤としてワックス
バインダー及びポリビニールアルコール樹脂バインダー
を固形分3重量%添加して、その後スプレードライヤー
を用いて造粒粉を作製した。
00kg/cm2の成形圧力で加圧して成形体を得た。
この成形体を還元雰囲気中で1350℃で2時間焼結し
て寸法が大凡15cm×15cm×2cmの複合セラミ
ックス焼結体を得た。
性を表2にまとめて示した。試料9〜12の各焼結体を
粉砕して粉末X線回折で調べた結果、複合した窒化ホウ
素粉末はすべて元の結晶性t−BNの状態で焼結体中に
残存していた。
ミナ粉末に前記結晶性t−BN微粉末を窒素雰囲気中
で、4時間1750℃で加熱して得たh−BN粉末(平
均粒径4.8μm、平均一次粒子径1.5μm、比表面
積12m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)及
びh−BN粉末(平均粒径約0.5μm、比表面積25
m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)をそれぞ
れ15重量%配合した混合スラリーを実施例1と同様に
して複合セラミックス焼結体を作り(試料13、1
4)、その特性を表2に併せて示した。
ろ、試料9〜14のいずれの複合セラミックス焼結体に
ついても良好な機械加工性があることが認められた。
体:表3参照]
と組み合わせて複合するセラミックス粉末にα窒化けい
素粉末(平均粒径0.6μm、比表面積22m2/gの
Y2O3を6重量%とAl2O3を4重量%を含む秩父小野
田製の窒化けい素粉末)を選び複合セラミックス焼結体
を試作した。但し、試料15においては結晶性t−BN
配合量をゼロ重量%とした。以下、この作製方法を詳細
に説明する。
25%とポリカルボン酸アンモニューム塩の解こう剤を
固形分0.5重量%添加してボールミルで12時間分散
混合して調製した。また、上記結晶性t−BN微粉末に
水分重量45重量%とポリカルボン酸アンモニューム塩
の解こう剤を固形分2重量%添加してボールミルで12
時間分散混合して調製した。
t−BN微粉末の配合量がゼロ重量%、10重量%、1
5重量%、20重量%、25重量%の混合スラリーと
し、各混合スラリーに成形助剤としてワックスバインダ
ー及びポリビニールアルコール樹脂バインダーを固形分
3重量%添加して、その後スプレードライヤーを用いて
造粒粉を作製した。
0kg/cm2の成形圧力で加圧して成形体を得た。こ
の成形体を窒素雰囲気中で1800℃で5時間焼結して
寸法が大凡15cm×15cm×2cmの複合セラミッ
クス焼結体を得た。
性を表3に併せて示した。また実施例16〜19の各焼
結体を粉砕して粉末X線回折で調べた結果、複合した窒
化ホウ素粉末はすべてh−BN結晶に相転移しているこ
とが分かった。
けい素粉末に前記結晶性t−BN微粉末を窒素雰囲気中
で、4時間1750℃で加熱して得たh−BN粉末(平
均粒径約4.8μm、平均一次粒子径約1.5μm、比
表面積12m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉
末)及びh−BN粉末(平均粒径約0.5μm、比表面
積25m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)を
それぞれ15重量%配合した混合スラリーを試料1と同
様にして複合セラミックス焼結体を作り(試料20、2
1)、その特性を表3に併せて示した。
ろ、試料16〜21のいずれの複合セラミックス焼結体
についても良好な機械加工性があることを認められた。
焼結体:表4参照]
と組み合わせて複合するセラミックス粉末に窒化アルミ
ニウム粉末(平均粒径1.4μm、比表面積2.7m2
/gのY2O3を5重量%含むダウケミカル製のアルミニ
ウム粉末)を選び、複合セラミックス焼結体を試作し
た。但し、試料22においては結晶性t−BN配合量を
ゼロ重量%とした。以下、この作製方法を詳細に説明す
る。
チルアルコール重量45%添加してボールミルで12時
間分散混合して調製した。また、上記結晶性t−BN微
粉末にエチルアルコール重量45重量%添加してボール
ミルで12時間分散混合して調製した。その後、両者の
スラリーを混合して結晶性t−BN微粉末の配合量がゼ
ロ重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25
重量%の混合スラリーとし、各混合スラリーに成形助剤
としてポリビニールブチラール樹脂バインダーを固形分
3重量%添加して、その後スプレードライヤーを用いて
造粒粉を作製した。
00kg/cm2の成形圧力で加圧して成形体を得た。
この成形体を窒素雰囲気中で1800℃で5時間焼結し
て寸法が大凡15cm×15cm×2cmの複合セラミ
ックス焼結体を得た。得られた各複合焼結体について測
定した特性を表4に示した。また試料23〜26の各焼
結体を粉砕して粉末X線回折で調べた結果、複合した窒
化ホウ素粉末はすべてh−BN結晶に相転移しているこ
とが分かった。
前記結晶性t−BN微粉末を窒素雰囲気中で、4時間1
750℃で加熱して得たh−BN粉末(平均粒径4.8
μm、平均一次粒子径1.5μm、比表面積12m2/
gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)及びh−BN粉
末(平均粒径0.5μm、比表面積25m2/gの六角
板状の結晶粒子からなる粉末)をそれぞれ15重量%配
合した混合スラリーを実施例1と同様にして複合セラミ
ックス焼結体を作り(試料27、28)、その特性を表
4に併せて示した。
ろ、試料23〜28のいずれの複合セラミックス焼結体
についても良好な機械加工性があることを認めた。
5、試料9〜12、試料16〜19、及び試料23〜2
6は、原料中に結晶性t−BNが含まれる。一方、試料
1、試料8、試料15及び試料22は、原料中に元から
結晶性t−BNが配合されていない。また、試料6、
7、試料13、14、試料20、21及び試料27、2
8においては、予備熱処理によって、結晶性t−BNを
h−BNに転移した原料粉末を用いているため、焼結体
中には結晶性t−BNが含まれない。
よる結晶性t−BN微粉末を混合して焼結した複合セラ
ミックス焼結体は、h−BN粉末を混合して焼結した複
合セラミックス焼結体と比較して焼結性がよく、曲げ強
度が大きいことが分かる。
%配合した焼結体について熱膨張率を測定したところ、
結晶性t−BN微粉末を混合して焼結した複合セラミッ
クス焼結体の厚さ方向と厚さに直角な方向の熱膨張率の
比はほぼ1であり、成形時の加圧方向による方向性がの
差異が殆どないことが分かった。また、窒化珪素を含有
することによって、特に高温での強度が向上する。これ
らの性質は、高温の溶湯が断続的に流れるスリーブとし
て、好ましい性質である。
N微粉末と窒化珪素粉末とを混合した粉末を焼結した窒
化珪素質BN焼結体と同様の方法で作製した窒化珪素質
BN焼結体における、原料中の結晶性t−BNの含有量
と、焼結体中の気孔率の関係を示す。図6中、下方の折
れ線が、同じBN含有量の焼結体のうち最小の気孔率を
示し、上方の折れ線が、同じBN含有量の焼結体のうち
最大の気孔率を示す。
せることによって、焼結体の気孔率を制御可能であるこ
とが分かる。例えば、結晶性t−BN含有量の設定によ
って、ダイカストマシンのプランジャスリーブ用材料と
して、ガス抜け特性などを最適化できることが分かる。
い結晶であり、一般に凝集していることが多い。したが
って、成形の原料調製過程で、いかに凝集紛体を分散し
てマトリクスとなる原料と均一に混合するかが最終的な
焼結体特性に大きく影響してくる。本発明の製造工程に
おいて、混合する粉体を個々に均一分散する処理をする
ことにより特性が大きく変わることを留意しておく必要
がある。このようにして従来のh−BNを用いた場合よ
りも、所定強度を達するために、より多量のBN成分を
焼結体に含有させることができる。一方、同じ気孔率で
あっても組織の緻密化と高強度化を達成することができ
る。
述の試料23と同様の焼結体を材料として、ダイカスト
マシンのプランジャスリーブを作製した。図7は、本発
明の一実施例に係るスリーブを内筒としたプランジャス
リーブの構造を示す斜視図であり、図8(A)は図7の
プランジャスリーブの断面図であり、図8(B)は図7
のプランジャスリーブの側面図である。
て、プランジャスリーブ1は、本発明の一実施例に係る
スリーブであって結晶性t−BNを含む原料を焼結して
なる薄肉の内筒2と、内筒2が嵌挿された耐熱鋼製の外
筒3からなる。内筒2は機械的加工性がよく寸法精度が
高く、熱膨張率の等方性により耐熱衝撃性が高いため、
焼きばめせずに内筒2と外筒3を一体化することができ
る。内筒2と外筒3の一端部には、溶湯を導入するため
の孔4が開けられている。プランジャスリーブ1の他端
部にはフランジが形成され、ダイカストマシンのプラテ
ンに取り付けられる。このプラテンは、固定ダイに当接
し、互いに型締めされた固定ダイと可動ダイの間の鋳型
に、プランジャスリーブ1内をストロークするプランジ
ャヘッドによって押し出された溶湯が供給される。
ャスリーブを適用したダイカストマシンを用いて、溶湯
温度を下記のように代えて、アルミニウム合金を鋳造し
た。プランジャスリーブ1(図7参照)の寸法は、外径
150φ×内径80φ×長さ528L、内筒2(図8
(A)参照)の厚さを10mmtとした。また、比較の
ため、耐熱鋼製のメタルスリーブ単層のプランジャスリ
ーブを用いて、同様に鋳造を行った。鋳造条件は下記の
とおりである。
10℃、潤滑剤:黒鉛含有潤滑剤。
係るスリーブを用いたプランジャスリーブと、比較例に
係る耐熱鋼製メタルスリーブの評価結果を示す。なお、
表5中の局部加圧とは、鋳造品の密度と寸法精度向上を
図るために、型キャビティ内に溶湯が凝固する寸前に加
圧中子を挿入するものである。
複合焼結体製の内筒を備えたプランジャスリーブを用い
たダイカストマシンによる製品の方が、3点曲げ強度が
優れていることが分かる。さらに、断熱性がよく、した
がって溶湯の保温性も高いことが分かる。
した結果、本実施例に係る結晶性t−BN複合焼結体製
の内筒を備えたプランジャスリーブを用いたダイカスト
マシンによる製品の方が、均質な破断面となっているこ
とが分かった。
試験を行った結果、5000ショットでスリーブ内周面
の摩耗がわずか4μmであった。これは、このプランジ
ャスリーブの内筒の潤滑性、耐溶損性が優れていること
を示している。
一端又は両端に、組立時又は運搬時の取り扱いの容易性
を考慮して、金属製のリングを取り付けてもよい。
保温性が高く、強度が高く、熱膨張が等方性で耐熱衝撃
性が高く、潤滑性がよく、ガス抜け性がよく、溶融金属
に対して濡れにくく、機械加工性がよい、という特性を
有する。このため、本発明によるスリーブは、ダイカス
トマシンのプランジャスリーブ用材料としてきわめて優
れた特性を有するものであって、鋳造品における欠陥の
発生が減少されると共に、断熱性の高さにより作業環境
温度が低下される。
スリーブが、結晶性t−BN粉末又はそれと他種のセラ
ミックス粉末を原料粉末として用いるためである。詳細
には、結晶性t−BN粉末の一次粒子が微細な結晶粒子
であること、結晶性t−BN粉末が乱層構造を有するこ
とによって、本発明のスリーブは、規則的なh−BN粉
末を原料粉末に用いた場合より焼結性がよく、強度が高
く、熱膨張の方向性が小さくなる。
移しないでとどまっている限りにおいて結晶性t−BN
は微細な結晶粒子の状態を保持しており、これによって
焼結体中の気孔も微細になる。また、焼結体の組織が微
細であることによって強度が大きい焼結体になる。これ
は、結晶性t−BNが焼結過程でh−BNに変化する場
合にもほぼ妥当する。このように、気孔が微細に分散し
ていることによって、ガス抜け性が向上する。
h−BN粉末を原料に用いた複合セラミックス焼結体に
も勝る優れた機械加工性(切削加工性)、熱伝導性、電
気絶縁性、耐熱衝撃性等の他、溶融金属に対する濡れに
くさと耐食性等の好ましい特性を兼備している。
よるスリーブは、無加圧焼結によって製造できる。前述
した結晶性t−BN微粉末の製造技術が確立されたこと
によって従来より格段に安価に高純度の結晶性t−BN
微粉末を調達できるようになった。
いため、これを用いて複雑な形状の高精度のスリーブを
安価に提供できる。また、本発明によるスリーブは、高
強度を必要とする構造用スリーブ、耐久性のある通気性
多孔質溶融金属用鋳型用スリーブ、溶融金属と接触する
保護スリーブなどの耐熱衝撃性を必要とするスリーブ用
の材料として好適である。例えば、図9に示すような給
湯管の材料として好適である。結晶性t−BN(或いは
結晶性t−BNに由来する微細分散h−BN)の含有に
より複合セラミックス焼結体に高い滑り特性を与えるこ
とができ、この特性を任意の所望値に制御、調節するこ
ともできる。また、本発明は溶湯を保持又は流通させる
ための容器にも好適に適用される。
である。
用いられる結晶性t−BN微粉末の粉末X線回折図であ
る。
である。
用いられる結晶性t−BN微粉末のアトリションミルに
よる粉砕後の粒度分布を示すグラフである。
焼結体において、原料中の結晶性t−BNの含有量と、
焼結体中の気孔率の関係を説明するためのグラフであ
る。
たプランジャスリーブの構造を示す斜視図である。
あり、(B)は同側面図である。
る。
Claims (8)
- 【請求項1】有効量の結晶性乱層構造窒化硼素を含む粉
末を焼結してなることを特徴とするスリーブ。 - 【請求項2】10〜20重量%の結晶性乱層構造窒化硼
素粉末と、残部主として窒化珪素粉末、アルミナ粉末、
窒化アルミナ粉末の一種以上と、を含む原料を焼結して
なることを特徴とする請求項1記載のスリーブ。 - 【請求項3】前記結晶性乱層構造窒化硼素粉末が、その
CuKα線による粉末X線回折図における六方晶系窒化
硼素の[004]の回折線に対応する回折線の2θの半
価幅が0.5°以下であり、六方晶窒化硼素のCuKα
線による粉末X線回折図における[100]、[10
1]及び[102]回折線に対応する各回折線の占める
面積S100、S101及びS102の間にS102/(S100+S1
01)<0.02の関係が充たされているものであること
を特徴とする請求項1又は2記載のスリーブ。 - 【請求項4】請求項1〜3のいずれか一記載のスリーブ
の単体又は該スリーブを他のスリーブに嵌挿してなるス
リーブを、プランジャスリーブとして用いたことを特徴
とするダイカストマシン。 - 【請求項5】有効量の結晶性乱層構造窒化硼素を含む粉
末を窒化硼素以外のセラミックス原料と混合したセラミ
ックス混合物を成形し、焼結し、該焼結体よりスリーブ
を得ることを特徴とするスリーブの製造方法。 - 【請求項6】前記焼結を結晶性乱層構造窒化硼素が実質
的に相転移しない条件下で行い、結晶性乱層構造窒化硼
素を含有する前記焼結体を得ることを特徴とする請求項
5記載のスリーブの製造方法。 - 【請求項7】前記焼結を結晶性乱層構造窒化硼素が50
%以下の部分的相転移を受ける条件下において行うこと
を特徴とする請求項5記載のスリーブの製造方法。 - 【請求項8】有効量の結晶性乱層構造窒化硼素粉末を窒
化硼素以外のセラミックス原料と混合したセラミックス
混合物を成形し、結晶性乱層構造窒化硼素が実質的にh
−BNへ相転移する条件下に焼結して、該焼結体よりス
リーブを得ることを特徴とするスリーブの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20393198A JP3793645B2 (ja) | 1998-07-17 | 1998-07-17 | スリーブ及びその製造方法、及びダイカストマシン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20393198A JP3793645B2 (ja) | 1998-07-17 | 1998-07-17 | スリーブ及びその製造方法、及びダイカストマシン |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000033468A true JP2000033468A (ja) | 2000-02-02 |
JP3793645B2 JP3793645B2 (ja) | 2006-07-05 |
Family
ID=16482071
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20393198A Expired - Fee Related JP3793645B2 (ja) | 1998-07-17 | 1998-07-17 | スリーブ及びその製造方法、及びダイカストマシン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3793645B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012051758A (ja) * | 2010-09-01 | 2012-03-15 | Hitachi Metals Ltd | 窒化珪素−窒化硼素複合セラミックスの製造方法、窒化珪素−窒化硼素複合セラミックス、および溶融金属用部材 |
EP2620238A1 (de) * | 2012-01-26 | 2013-07-31 | Bühler AG | Giesskammer für Druckgussmaschine |
-
1998
- 1998-07-17 JP JP20393198A patent/JP3793645B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012051758A (ja) * | 2010-09-01 | 2012-03-15 | Hitachi Metals Ltd | 窒化珪素−窒化硼素複合セラミックスの製造方法、窒化珪素−窒化硼素複合セラミックス、および溶融金属用部材 |
EP2620238A1 (de) * | 2012-01-26 | 2013-07-31 | Bühler AG | Giesskammer für Druckgussmaschine |
WO2013110485A1 (de) * | 2012-01-26 | 2013-08-01 | Bühler AG | Giesskammer für druckgussmaschine |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3793645B2 (ja) | 2006-07-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2000034172A (ja) | 高熱伝導性窒化けい素焼結体およびその製造方法 | |
JPH0475190B2 (ja) | ||
CA1272581A (en) | Nitriding silicon powder articles using high temperature and pressure dwells | |
Yoshizawa et al. | Fabrication of textured alumina by high‐temperature deformation | |
JP4153080B2 (ja) | 窒化硼素含有複合セラミックス焼結体の製造方法及び同焼結体 | |
JPH035374A (ja) | 窒化ケイ素―炭化ケイ素複合焼結体およびその製造法 | |
JP2008169115A (ja) | 窒化硼素含有複合セラミックス焼結体の製造方法及び同焼結体 | |
WO2005049525A1 (ja) | 高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体 | |
US8426043B2 (en) | Boron suboxide composite materials | |
JP3793644B2 (ja) | 多層構造のスリーブ、及びダイカストマシン | |
JP3793645B2 (ja) | スリーブ及びその製造方法、及びダイカストマシン | |
JP3793647B2 (ja) | 多層構造のスリーブ、及びダイカストマシン | |
JP3793646B2 (ja) | ダイカストマシンのプランジャ装置、及びダイカストマシン | |
JP4408464B2 (ja) | 結晶性乱層構造窒化硼素含有複合セラミックス焼結体 | |
JPH0772108B2 (ja) | β−サイアロン焼結体の製造方法 | |
Yoshida et al. | Formation, powder characterization and sintering of MgCr2O4 by the hydrazine method | |
JPH03177361A (ja) | β―サイアロン―窒化硼素系複合焼結体の製造方法 | |
JPH06263544A (ja) | サイアロン質複合焼結体及びその製造方法 | |
JPH01131069A (ja) | 複合常圧焼結成形体 | |
JPH0687649A (ja) | 板状晶アルミナ含有焼結体及びその製造方法 | |
JP5289184B2 (ja) | 高熱伝導性窒化けい素焼結体の製造方法 | |
JPH11322438A (ja) | 高熱伝導性窒化ケイ素質焼結体及びその製造方法 | |
JPH0559073B2 (ja) | ||
JPH01246178A (ja) | 溶鋼用耐火物の製造方法 | |
JP2742620B2 (ja) | 硼化物―酸化アルミニウム質焼結体およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050216 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050815 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051004 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051122 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051227 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060221 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060404 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060410 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120414 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120414 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130414 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |