JP2000033121A - カニューレ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 同一のスピーチバルブをアウターカニューレ
またはインナーカニューレに選択的に連結できるように
して医療作業の効率を向上させ、かつスピーチバルブが
アウターカニューレまたはインナーカニューレから簡単
にはずれないようにロック機構を有するカニューレを提
供する。 【解決手段】 スピーチバルブ２２の第４の連結壁部２
０が、アウターカニューレ５の第１の連結壁部４と連結
可能に構成されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、気管切開術を施
した際に使用する、カニューレに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】カニューレは、呼吸機能の不十分な患者
などに用いられ、その取り付けは、患者に気管切開術を
施し、その切開部へカニューレの先端を挿入することに
より行われる。患者の症状が重い場合などには、このカ
ニューレに人工呼吸器をつなぐことによって、空気が外
部から気管を通じて肺に送り込まれるので、患者は喉や
鼻から空気を取り込むことなく、呼吸することができる
ようになる。また、患者の症状がある程度回復し自発呼
吸ができる場合などには、このカニューレから人工呼吸
器をはずし、その部分に逆止弁の役割を果たすスピーチ
バルブを取り付ける。これにより、吸気の場合にはスピ
ーチバルブを通して肺に空気が取り入れられ、呼気の場
合にはスピーチバルブを通さず気管の声帯側を通して口
または鼻から呼気を吐き出すようにすることにより、患
者が発声できるようにしている。

【０００３】ここで、従来のスピーチバルブを備えたカ
ニューレの一例としては、図５に示すようなものが知ら
れている。カニューレ５０は、アウターカニューレ５１
と、インナーカニューレ５２と、スピーチバルブ５３と
を主な要素として構成されている。

【０００４】アウターカニューレ５１は、管壁に連通孔
５４を有する湾曲外管５５の一端外周部に第１の連結壁
部５６が設けられたものである。湾曲外管５５の外側に
は、可撓性を有するカフ５７が設けられている。このカ
フ５７には、チューブ５７Ａが接続されている。カフ５
７は、このチューブ５７Ａを介してカフ５７内に空気を
入れることによってカフ５７が膨出するようになってい
る。また、湾曲外管５５の外側背面には、分泌物を吸引
するための吸引管５８が設けられている。そして、第１
の連結壁部５６の近傍には、孔５８Ａの形成された固定
板５８が設けられている。第１の連結壁部５６の内部に
は、凹部５６Ａ，５６Ｂおよび係合壁部５６Ｃが形成さ
れている。

【０００５】インナーカニューレ５２は、アウターカニ
ューレ５１内に挿入自在な湾曲内管６０の一端外周部に
前記第１の連結壁部５６と連結可能な第２の連結壁部６
１が設けられ、かつこの第２の連結壁部６１に第３の連
結壁部６２が連接されたものである。第２の連結壁部６
１の外周には、対向する位置に凸部６１Ａ，６１Ｂが形
成されている。また、第３の連結壁部６２の外側壁面に
は、先端に行くほど先細りとなったテーパ部が形成され
ている。

【０００６】スピーチバルブ５３は、第４の連結壁部７
０と環状壁部７１から構成されている。第４の連結壁部
７０の内側壁面には、前記第３の連結壁部６２の外側壁
面に合致するようにテーパ部が形成されている。また、
環状壁部７１の内部には、逆止弁７２が設けられてい
る。この逆止弁は、吸気の場合空気の通過を許容し、呼
気の場合空気の通過を遮断する。

【０００７】つぎに、これらの構成からなるカニューレ
５０の使用方法について説明する。アウターカニューレ
５１は、固定板５８に形成された孔５８Ａに紐を通し、
その紐を患者の首に結びつけ、チューブ５７Ａを介して
カフ５７を膨出させて、カフ５７を患者の気管内に密着
させることによって患者に固定する。

【０００８】このアウターカニューレ５１にインナーカ
ニューレ５２の湾曲内管６０を挿入し、凸部６１Ａ，６
１Ｂを凹部５６Ａ，５６Ｂに合致させてから第１連結壁
部５６内に進入させ、第２の連結壁部６１を回動させて
凸部６１Ａ，６１Ｂを係合壁部５６Ｃに係合させること
によって、インナーカニューレ５２がアウターカニュー
レ５１にロックする。さらに、このインナーカニューレ
５２の第３の連結壁部６２とスピーチバルブ５３の第４
の連結壁部７０とに形成されたテーパ部を互いに合致さ
せて押しつけることにより、それらの摩擦力によって互
いに連結される。この状態で使用すれば、呼気はスピー
チバルブ５３通して行われ、呼気は患者の声帯、鼻、口
を通して行われるので、患者自身の発声が可能となる。

【０００９】なお、アウターカニューレ５１には、連通
孔５４が形成されているものやいないもの、カフ５７が
設けられているものやいないものがある。また、インナ
ーカニューレ５２には、連通孔６０Ａが形成されている
ものやいないもの、湾曲内管６０インナーカニューレの
５２の内径が小さいものや大きいものなど様々なものが
用意されている。これらは、患者の容体に応じて適宜適
切なものが使用される。また、カニューレ５０は、患者
の容体によってインナーカニューレ５２を取り外して使
用され、スピーチバルブ５３の取付位置に人工呼吸器
（図示せず）を接続して使用される。

【００１０】ところで、上記従来のカニューレ５０にお
いては、患者の容体によってインナーカニューレ５２な
しで使用する場合に、スピーチバルブ５３とアウターカ
ニューレ５１とが連結できないために、アウターカニュ
ーレ５１に連結できる別のスピーチバルブ５３を用意す
るか、スピーチバルブ５３に連結できる別のアウターカ
ニューレ５１を用意しなければならず、医療作業の効率
が非常に悪いという問題点があった。

【００１１】また、インナーカニューレ５２とスピーチ
バルブ５３、あるいはインナーカニューレ５２と人工呼
吸器とを連結する場合、テーパ状になった連結壁部を相
互の摩擦力によってのみ連結させているので、患者の咳
やくしゃみ、ちょっとした動き等によって、すぐにはず
れてしまうという問題点があった。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の事
情に鑑みてなされたものであって、同一のスピーチバル
ブをアウターカニューレまたはインナーカニューレに選
択的に連結できるようにして医療作業の効率を向上さ
せ、かつスピーチバルブがアウターカニューレまたはイ
ンナーカニューレから簡単にはずれないようにロック機
構を有するカニューレを提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】この発明のカニューレで
は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用し
た。すなわち、請求項１記載のカニューレによれば、管
壁に連通孔を有する湾曲外管の一端外周部に第１の連結
壁部が設けられたアウターカニューレと、このアウター
カニューレ内に挿入自在な湾曲内管の一端外周部に前記
第１の連結壁部と連結可能な第２の連結壁部が設けら
れ、かつこの第２の連結壁部に第３の連結壁部が連設さ
れたインナーカニューレと、前記第３の連結壁部に連結
可能な第４の連結壁部および逆止弁を有するスピーチバ
ルブと、を備えてなるカニューレにおいて、前記スピー
チバルブの第４の連結壁部が、前記アウターカニューレ
の第１の連結壁部と連結可能に構成されていることを特
徴とする。

【００１４】第４の連結壁部が、第１の連結壁部と連結
可能に構成されているので、それぞれの連結壁部にあ
う、サイズの異なる別のスピーチバルブやアウターカニ
ューレを用意する必要がなく、医療作業が非常に円滑に
行うことができる。

【００１５】請求項２記載のカニューレによれば、請求
項１記載のカニューレにおいて、前記第１の連結壁部と
前記第２の連結壁部、前記第３の連結壁部と前記第４の
連結壁部、前記第１の連結壁部と前記第４の連結壁部の
各組には、それぞれこれらを互いに連結させたときに各
壁部の連結をロックするロック機構が設けられているこ
とを特徴とする。

【００１６】第１の連結壁部と第２の連結壁部、第３の
連結壁部と第４の連結壁部、第１の連結壁部と第４の連
結壁部の各組には、それぞれこれらを互いに連結させた
ときに各壁部の連結をロックするロック機構が設けられ
ているので、患者の咳やくしゃみ、動作によって連結部
がはずれることがない。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を、
図１ないし図４を用いて説明する。カニューレ１は、管
壁に連通孔２を有する湾曲外管３の一端外周部に第１の
連結壁部４が設けられたアウターカニューレ５と、この
アウターカニューレ５内に挿入自在な湾曲内管１０の一
端外周部に前記第１の連結壁部４と連結可能な第２の連
結壁部１１が設けられ、かつこの第２の連結壁部１１に
第３の連結壁部１２が連設されたインナーカニューレ１
３と、前記第３の連結壁部１２に連結可能な第４の連結
壁部２０および逆止弁２１を有するスピーチバルブ２２
と、を備えてなる。また、スピーチバルブ２２の第４の
連結壁部２０は、アウターカニューレ５の第１の連結壁
部４と連結可能に構成され、さらに、第１の連結壁部４
と第２の連結壁部１１、第３の連結壁部１２と第４の連
結壁部２０、第１の連結壁部４と第４の連結壁部２０の
各組には、それぞれこれらを互いに連結させたときに各
壁部の連結をロックするロック機構が設けられている。

【００１８】つぎに、ロック機構について説明する。ア
ウターカニューレ５とインナーカニューレ１３との間の
第１のロック機構、インナーカニューレ１３とスピーチ
バルブ２２との間の第２のロック機構、そして、アウタ
ーカニューレ５とスピーチバルブ２２との間の第３のロ
ック機構について説明する。この場合、各ロック機構の
構成は同一構成である。

【００１９】まず、第１のロック機構の構成について図
２を用いて説明する。湾曲外管３の一端部外周には、環
状の第１の連結壁部４が形成されている。そして、この
第１の連結壁部４には、湾曲外管３の管軸方向すなわち
端面に対向する側から見たときに径方向に切欠された凹
部３０，３１が形成されている。また、この端面から管
軸方向に一定寸法内方に位置した部分に環状の周溝３２
が形成されている。周溝３２が形成されることによっ
て、その第１の連結壁部４の端面内端には、係合壁部３
３が形成されている。さらに、第１の連結壁部４の内部
は、孔３４となっている。そして、アウターカニューレ
５の湾曲外管３の内部は、吸気および呼気の流通孔３５
となっている。

【００２０】インナーカニューレ１３の一端に形成され
た第２の連結壁部１１は、湾曲内管１０の外周に形成さ
れた環状の壁部４０である。この環状の壁部４０の外周
には、この壁部４０から突出するように、対向する位置
に凸部４１，４２が形成されている。壁部４０は、孔３
４に挿入できるような径になっている。また、凸部４
１，４２は、凹部３０，３１にしっくりと嵌合するよう
な寸法に形成されている。そして、凸部４１，４２を凹
部３０，３１に合致させた状態で、この壁部４０を孔３
４内に入れて、第２の連結壁部１１を回動させたときに
凸部４１，４２が周溝３２内に進入し、係合壁部３３に
係合して第１の連結壁部４と第２の連結壁部１１とが互
いにロックされるようになっている。

【００２１】第２のロック機構は、第１のロック機構と
同様の構成となっている。なお、第２のロック機構の各
構成要素には、第１のロック機構の各構成要素の符号に
添字ａを付して図３に示す。また、第３のロック機構
も、第１のロック機構と同様の構成となっている。従っ
て、第３のロック機構の各構成要素には、第１のロック
機構の各構成要素の符号に添字ｂを付して図４に示す。

【００２２】アウターカニューレ５の外側には、可撓性
を有するカフ４５が設けられている。このカフ４５には
チューブ４５Ａが接続されている。カフ４５は、このチ
ューブ４５Ａを介してカフ４５内に空気を入れることに
よってカフ４５が膨出するようになっている。また、ア
ウターカニューレ５の外側背面には、分泌物を吸引する
ための吸引管４６が設けられている。そして、第１の連
結壁部４の近傍には、孔４７Ａの形成された固定板４７
が設けられている。

【００２３】インナーカニューレ１３の第３の連結壁部
１２外周には、複数の凸部１２Ａと凹部１２Ｂが一体に
形成された軟質エラストラー性の環状部材１２Ｃが設け
られている。なお、アウターカニューレ５、インナーカ
ニューレ１３については、患者の容体に応じて各種のも
のが要求されるので、管壁に連通孔が形成されたもの形
成されていないもの、その他各種のものを準備してお
く。

【００２４】スピーチバルブ２２は、第４の連結壁部２
０と環状壁部２３から構成されており、この環状壁部２
３の内部には、逆止弁２１が設けられている。この逆止
弁は、吸気の場合空気の通過を許容し、呼気の場合空気
の通過を遮断する。また、環状壁部２３の外周には、凸
部２３Ａと凹部２３Ｂが形成されている。

【００２５】つぎに、上記の構成からなるカニューレ１
の使用方法について説明する。アウターカニューレ５
は、固定板４７に形成された孔４７Ａに紐を通し、その
紐を患者の首に結びつけ、チューブ４５Ａを介してカフ
４５を膨出させて、カフ４５を患者の気管内に密着させ
ることによって患者に固定する。

【００２６】このアウターカニューレ５にインナーカニ
ューレ１３の湾曲内管１０を挿入し、凸部４１，４２を
凹部３０，３１に合致させた状態で、壁部４０を孔３４
内に入れて、第２の連結壁部１１を回動させたときに凸
部４１，４２が周溝３２内に進入し、係合壁部３３に係
合してインナーカニューレ１３がアウターカニューレ５
にロックする。なお、インナーカニューレ１３は、様々
な種類のものが用意されており、患者の容体に応じて適
宜適切なものが使用される。そして、スピーチバルブ２
２の凸部４１ａ，４２ａを凹部３０ａ，３１ａに合致さ
せた状態で、壁部４０ａを孔３４ａ内に入れて、第４の
連結壁部２０を回動させたときに凸部４１ａ，４２ａが
周溝３２ａ内に進入し、係合壁部３３ａに係合してスピ
ーチバルブ２２がインナーカニューレ１３にロックす
る。

【００２７】また、患者の容体によってインナーカニュ
ーレ１３を使用する必要がない場合もある。この場合、
アウターカニューレ５からインナーカニューレ１３を取
り外し、インナーカニューレ１３からスピーチバルブ２
２を取り外す。そして、このスピーチバルブ２２の凸部
４１ｃ，４２ｃを凹部３０ｃ，３１ｃに合致させた状態
で、壁部４０ｃを孔３４ｃ内に入れて、第４の連結壁部
２０を回動させたときに凸部４１ｃ，４２ｃが周溝３２
ｃ内に進入し、係合壁部３３ｃに係合してスピーチバル
ブ２２がアウターカニューレ５にロックする。

【００２８】なお、上記の実施の形態においては、各連
結壁部間にロック機構を設けるようにしたが、このロッ
ク機構を設けることなく双方の連結壁部を環状にして、
その端部をテーパ状に形成して互いに差し込んで連結さ
せるだけの構成としても良い。

【００２９】上記のカニューレ１によれば、スピーチバ
ルブ２２とインナーカニューレ１３を取り外したアウタ
ーカニューレ５に、インナーカニューレ１３から取り外
した同一のスピーチバルブ２２を直接取り付けることが
できるので、別のスピーチバルブ２２やアウターカニュ
ーレ５を用意する必要がなく、医療作業を非常に効率よ
く行うことができる。また、アウターカニューレ５とス
ピーチバルブ２２との間、およびインナーカニューレ１
３とスピーチバルブ２２との間にロック機構が設けられ
ているので、患者の咳やくしゃみ、ちょっとした動き等
でははずれることがない。さらに、スピーチバルブ２２
の環状壁部２３には、凸部２３Ａと凹部２３Ｂが形成さ
れているので、これを回動させるときに滑りにくく、確
実に装着することができる。さらにまた、軟質エラスト
マー性の環状部材１２Ｃの外周面には、凸部１２Ａと凹
部１２Ｂが形成されているので、指に対するグリップ性
が非常に良好で、確実に装着することができる。

【００３０】

【発明の効果】この発明のカニューレによれば、以下の
効果を得ることができる。請求項１記載のカニューレに
よれば、スピーチバルブの第４の連結壁部が、アウター
カニューレの第１の連結壁部と連結可能に構成されてい
るので、同一のスピーチバルブをアウターカニューレま
たはインナーカニューレに選択的に連結可能で、医療作
業の効率を向上させることができるという優れた効果を
得ることができる。

【００３１】請求項２記載のカニューレによれば、第１
の連結壁部と第２の連結壁部、第３の連結壁部と第４の
連結壁部、第１の連結壁部と第４の連結壁部の各組に
は、それぞれこれらを互いに連結させたときに各壁部の
連結をロックするロック機構が設けられているので、患
者の咳やくしゃみ、ちょっとした動き等によっても簡単
にはずれることがないという優れた効果を得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の一実施の形態を示す分解斜視図で
ある。

【図２】 この発明の一実施の形態を示す図であって、
第１のロック機構を示す部分拡大斜視図である。

【図３】 同第１、第２のロック機構を示す部分斜視図
である。

【図４】 同第３のロック機構を示す部分斜視図であ
る。

【図５】 従来のカニューレを示す分解斜視図である。

【符号の説明】

２ 連通孔 ３ 湾曲外管 ４ 第１の連結壁部 ５ アウターカニューレ １０ 湾曲内管 １１ 第２の連結壁部 １２ 第３の連結壁部 １３ インナーカニューレ ２０ 第４の連結壁部 ２１ 逆止弁 ２２ スピーチバルブ Ｒ１ 第１のロック機構 Ｒ２ 第２のロック機構 Ｒ３ 第３のロック機構

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 管壁に連通孔を有する湾曲外管の一端外
   周部に第１の連結壁部が設けられたアウターカニューレ
   と、 該アウターカニューレ内に挿入自在な湾曲内管の一端外
   周部に前記第１の連結壁部と連結可能な第２の連結壁部
   が設けられ、かつ該第２の連結壁部に第３の連結壁部が
   連設されたインナーカニューレと、 前記第３の連結壁部に連結可能な第４の連結壁部および
   逆止弁を有するスピーチバルブと、を備えてなるカニュ
   ーレにおいて、 前記スピーチバルブの第４の連結壁部が、前記アウター
   カニューレの第１の連結壁部と連結可能に構成されてい
   ることを特徴とするカニューレ。
2. 【請求項２】 請求項１記載のカニューレにおいて、 前記第１の連結壁部と前記第２の連結壁部、前記第３の
   連結壁部と前記第４の連結壁部、前記第１の連結壁部と
   前記第４の連結壁部の各組には、それぞれこれらを互い
   に連結させたときに各壁部の連結をロックするロック機
   構が設けられていることを特徴とするカニューレ。