JP2000032988A - 新規遺伝子及びその遺伝子を保有する形質転換細胞 - Google Patents
新規遺伝子及びその遺伝子を保有する形質転換細胞Info
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Abstract
酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼをコードす
る遺伝子、当該遺伝子片を含有する組換えベクター、当
該組換えベクターを保有する形質転換体細胞、及び当該
形質転換体細胞の利用。 【効果】 この形質転換体細胞を用いれば、活性の高い
α−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミア
ルデヒド デヒドロゲナーゼを多量に製造することがで
き、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸の工業的生産が
可能となる。
Description
−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒドを2−ピロ
ン−4,6−ジカルボン酸に変換する酵素であるα−ヒ
ドロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒ
ド デヒドロゲナ−ゼをコードする遺伝子、該遺伝子を
含む組換えベクター及び該遺伝子を保有する形質転換体
細胞、並びに該形質転換体細胞を用いた当該酵素及び2
−ピロン−4,6−ジカルボン酸の製造法に関する。
酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼは、α−ヒ
ドロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒ
ドを2−ピロン−4,6−ジカルボン酸に変換する酵素
であり、ポリマーの原料として用いられる2−ピロン−
4,6−ジカルボン酸の生産に重要な役割を果たしてい
る。従って、α−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン酸
−ε−セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子を見出
し、該遺伝子にコードされるα−ヒドロキシ−γ−カル
ボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナー
ゼを量産することは2−ピロン−4,6−ジカルボン酸
の生産に極めて重要である。
して組換えDNA技術の発展は近年めざましく、数多く
の酵素、生理活性タンパク質等について組換えDNA技
術を利用した量産化に成功している。しかしながら、α
−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアル
デヒド デヒドロゲナーゼに関しては、該酵素をコード
する遺伝子は分離されていなかった。
えDNA技術により、α−ヒドロキシ−γ−カルボキシ
ムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼ遺伝
子を分離して、該遺伝子がコードするα−ヒドロキシ−
γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒドデヒドロ
ゲナーゼの活性を増強することにより2−ピロン−4,
6−ジカルボン酸を量産する技術を提供することにあ
る。
−4,6−ジカルボン酸の微生物生産について鋭意研究
を行った結果、組換えDNA技術を利用してα−ヒドロ
キシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒドを
2−ピロン−4,6−ジカルボン酸に変換するα−ヒド
ロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド
デヒドロゲナーゼを有する微生物より、α−ヒドロキ
シ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド デ
ヒドロゲナーゼ遺伝子を単離し、その塩基配列を明らか
にすることに成功した。また、該遺伝子の組換えベクタ
ー及び遺伝子を保有する形質転換体細胞を作製し、当該
酵素及び2−ピロン−4,6−ジカルボン酸を製造する
方法を見出し、本発明を完成するに至った。
されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列の1若しくは
2以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミ
ノ酸配列を有し、α−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコ
ン酸−ε−セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有す
るポリペプチドをコードする遺伝子、当該遺伝子を含有
する組換えベクター及び当該遺伝子を保有する形質転換
体細胞を提供するものである。
ボキシムコン酸−ε−セミアルデヒドの存在下に当該形
質転換体細胞を培養することを特徴とする2−ピロン−
4,6−ジカルボン酸の製造法を提供するものである。
し、該培養物からα−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコ
ン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼを採取す
ることを特徴とする当該酵素の製造法を提供するもので
ある。
制限されないが、例えば微生物の宿主ベクター系を用い
ることができる。該遺伝子は、例えば組換えDNA技術
を利用して次の如くして製造される。即ち、まずDNA
供与体としてα−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン酸
−ε−セミアルデヒドを2−ピロン−4,6−ジカルボ
ン酸に変換する能力を有する微生物を用い、該微生物か
らゲノムDNAを抽出し、制限酵素などにより切断しD
NA断片とする。一方、ファージ、プラスミド等のベク
ターDNAを制限酵素等を用いて、ゲノムDNA断片が
挿入可能な制限酵素末端を作製する。これらゲノムDN
A断片と直鎖状にしたベクターDNAをDNAリガーゼ
を用いて結合させて、組換えベクターを得る。該組換え
ベクターを宿主細胞に移入し、目的の組換えベクターを
保有する形質転換体細胞を選択し、該形質転換体細胞よ
り目的の組換えベクターを分離することにより製造され
る。
ロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド
を2−ピロン−4,6−ジカルボン酸に変換する能力を
有する微生物であれば特に制限されない。例えば、スフ
ィンゴモナス属の微生物等が挙げられるが、特にスフィ
ンゴモナス エスピーCR-0300100株やその変異株である
スフィンゴモナス エスピーCR-0310201株(FERM P-1662
4)が好ましい。
微生物の培養菌体を集菌し、例えばプロテアーゼKにて
菌体を溶菌した後、フェノール抽出による除タンパク質
処理、プロテアーゼ処理、リボヌクレアーゼ処理、アル
コールによるゲノムDNAの沈澱、遠心分離などの方法
を適宜組み合わせて行うのが好ましい。
は、例えば該ゲノムDNAの制限酵素の消化により行わ
れる。
に増殖し得るファージ又はプラスミドから組換えベクタ
ーを目的として構築されたものを用いるのが好ましい。
プラスミドとしては、例えば大腸菌を宿主とするpBR
322、pUC18、pUC19、pUC118、pU
C119、ブルースクリプト、pKK223−3、pA
CYC177、RSF1010、pKT230等が好ま
しい。これらのベクターは、例えば制限酵素を用いてD
NA断片が挿入可能な制限酵素末端を作製し、必要に応
じてその末端を脱リン酸処理した後に用いられる。
結合は、公知のDNAリガーゼ、例えばT4 DNAリ
ガーゼ等を用いて行うのが好ましい。
微生物としては、該組換えベクターが安定にかつ自立的
に複製可能で、かつ外来性の遺伝子の形質が安定的に発
現するものであれば良いが、例えば大腸菌やシュードモ
ナス プチダを用いることができる。
法としては、例えば接合法、エレクトロポレーション
法、コンピテントセル法、マイクロインジェクション
法、パーティクルガン法等のいずれの方法も用いること
ができる。
択マーカー、例えば形質転換体のDNA組換えにより獲
得する薬剤耐性を指標とすることができる。これら形質
転換体の中から目的の組換えベクターを含有する形質転
換体の選択は、例えば遺伝子の部分的なDNA断片をプ
ローブとして用いたコロニーハイブリダイゼーション法
により行うのが好ましい。このプローブの標識として
は、例えば放射性同位元素、ジゴキシゲニン、酵素等の
いずれも用いることができる。
から組換えベクターを抽出するには、常法により抽出す
れば良く、例えばアルカリ溶菌法(Cold Spri
ngHarbor Laboratory Pres
s, MolecularCloning Secon
d Edition(1989))を用いることができ
る。
て再び組換えDNA技術を利用して組換えることができ
る。得られる組換えベクターから、本発明の遺伝子を切
り出すには、制限酵素などを用いることができる。
は、例えばダイデオキシ法で解読し、決定することがで
きる。配列番号2及び4にα−ヒドロキシ−γ−カルボ
キシムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼ
をコードする遺伝子の塩基配列を、配列番号1及び3に
当該塩基配列から推定されるアミノ酸配列を、配列番号
5に後記実施例で分離したDNA断片の塩基配列及び推
定アミノ酸配列を示す。
列である。本発明により生産される酵素は、配列番号3
のアミノ酸配列を有する酵素であっても、配列番号1の
アミノ酸配列を有する酵素であっても同等の酵素活性を
有する。また、配列番号1又は3記載のアミノ酸配列の
1若しくは2以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加
されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする
遺伝子であっても、コードするポリペプチドがα−ヒド
ロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド
デヒドロゲナーゼ活性を有する限り、本発明に包含さ
れる。
配列である。そして、また配列番号2又は4記載の塩基
配列の1若しくは2以上の塩基が欠失、置換若しくは付
加された塩基配列であっても、本発明に包含される。
−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒ
ドロゲナーゼを生産するには、本発明遺伝子を保有する
形質転換体細胞、例えば上記形質転換体細胞、本発明の
遺伝子を強力なプロモーターを有する発現ベクターに組
み込んだ組換えベクターの形質転換体細胞、本発明の遺
伝子を細胞内でのコピー数の高いベクターに組み込んだ
組換えベクターの形質転換体細胞、又は本発明の遺伝子
を強力なプロモーターを有するコピー数の高い発現ベク
ターに組み込んだ組換えベクターの形質転換体細胞を培
養し、その培養物から採取すればよい。この場合におけ
る培養は、用いる形質転換体細胞の性質に応じて行わ
れ、例えば、pH5〜8、20〜37℃で炭素源、窒素
源、ビタミン等を含有する培地で行われる。
α−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミア
ルデヒド デヒドロゲナーゼが高発現するので、当該形
質転換体細胞をα−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン
酸−ε−セミアルデヒドの存在下に培養すれば、2−ピ
ロン−4,6−ジカルボン酸が効率良く生産できる。こ
こで、酵素の基質であるα−ヒドロキシ−γ−カルボキ
シムコン酸−ε−セミアルデヒドは、培地中に添加して
もよいが、形質転換体細胞が例えば3,4−ジヒドロキ
シ安息香酸をα−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン酸
−ε−セミアルデヒドに変換する酵素も産生する場合に
は、3,4−ジヒドロキシ安息香酸を培地中に添加すれ
ば、培養によりα−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン
酸−ε−セミアルデヒドが生成し、次いで2−ピロン−
4,6−ジカルボン酸が生成する。当該2−ピロン−
4,6−ジカルボン酸の生産の条件は、用いる形質転換
体細胞の性質に応じて行われる。
ジカルボン酸の採取は、例えば有機溶媒による抽出等に
より行われる。
するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではな
い。
の組成の培地を10ml調製し、土壌サンプルを0.5g
ずつ入れ、30℃で3日間培養した。
に濁った上清0.1mlを(1)と同じ組成の新しい試験
管に植え継ぎ、30℃で3日間培養した。 (3)上記操作を1〜2回繰り返し、最後の上清を滅菌
した蒸留水に適当に希釈し、0.2%のシリンガ酸を含
む表1の組成の寒天培地に展開し、30℃で3日間培養
し、コロニーを形成させた。 (4)上記コロニーを0.2%のバニリン酸を含む表1
の組成の寒天培地に爪楊枝を用いて接種して、生育して
くる菌株を得た。 (5)バニリン酸で生育した菌株を再び、0.2%のシ
リンガ酸を含む表1の組成の培地を10mlに植菌して、
30℃で3日間培養した。培養液を滅菌した蒸留水に適
当に希釈し、LB寒天培地に展開し、30℃で1日間培
養し、コロニーを形成させた。 (6)生じたコロニーを同じコロニーについて、0.2
%のバニリン酸及びシリンガ酸を含む表1の組成の2種
の寒天培地に爪楊枝を用いて接種して、生育してくる菌
株を得た。 (7)バニリン酸及びシリンガ酸を含む2種の寒天培地
でともに生育可能な菌株1株を得た。本菌株をCR−0
300100とし、菌学的性質を調べたところ、以下の
通りであった。
り、黄色
はスフィンゴモナス(Sphingomonas)属と同定した。
ー.CR−0300100を100mlのLB培地(トリ
プトン10g、酵母エキス5g、塩化ナトリウム5g、
グルコース1g/L)を用いて30℃で24時間振とう
培養した。遠心にて菌体集菌後、Marmurの方法
(Marmur,J.1961.J.Mol.Bio
l.3:208−218)で全DNAを抽出し、常法に
より精製した。 (2)(1)で得たスフィンゴモナス エスピー CR
−0300100全DNAを制限酵素XhoI及びSp
hIで完全分解し、制限酵素SalI及びSphIで完
全に消化したベクタープラスミドpUC19と混合しT
4DNAリガーゼで処理して、ハイブリッドプラスミド
を形成させた。 (3)(2)で得たハイブリッドプラスミドを大腸菌H
B101株に形質転換し、100mg/Lのアンピシリン
を含むLB培地に、プレート1枚あたり200〜300
コロニーが出現するように塗布し、37℃で18時間培
養した。 (4)上記で得られたコロニーを100mg/Lのアンピ
シリンを含むLB培地に、プレート1枚あたり96個ず
つ継代し、これをマスタープレートとした。この操作で
合計2000株のコロニーを得た。それぞれを100mg
/Lのアンピシリンを含むLB培地を0.2ml調製した
96穴マイクロプレートに植菌した。37℃でマイクロ
プレートシェーカーを用いて振とう培養した。 (5)18時間培養後、それぞれのウェルに最終濃度が
50μg/mlとなるようにリゾチームを添加して、37
℃で2時間インキュベートした。次に3,4−ジヒドロ
キシ安息香酸の20mM溶液を各ウェルに2μlずつ添加
し、30℃で5分間インキュベートした。 (6)上記の処理を行った各ウェルに2Mの水酸化ナト
リウムを10μlずつ添加したところ、2000株中1
株において黄色の発色が見られた。 (7)黄色の発色のあった株からプラスミドを抽出し、
いくつかの制限酵素について切断パターンを調べ、この
プラスミドをpPX150と名付けた。
フライゲーションしたプラスミドpPX151を作成し
た。このプラスミドで形質転換した大腸菌HB101株
及びpPX150で形質転換した大腸菌HB101株を
100mg/Lのアンピシリンを含むLB培地10mlで1
8時間培養し、集菌した。菌体を50mMのリン酸緩衝液
1mlに懸濁し、超音波破砕機を用いて細胞を破砕した。
これを5000gで20分間遠心して得られた上清20
μlを0.2mMの3,4−ジヒドロキシ安息香酸を含む
リン酸緩衝液1mlに添加した。5分間、30℃でインキ
ュベーションした後に、2Mの水酸化ナトリウムを0.
1ml添加したところ、pPX150で形質転換した大腸
菌HB101株では黄色の発色が見られたが、pPX1
51で形質転換した大腸菌HB101株では黄色の発色
が見られなかった。 (2)プラスミドpUC4K(ファルマシア バイオテ
ク社)を制限酵素EcoRIで消化し、bluntin
g kit(宝酒造社)を用いて平滑化し、1%アガロ
ースゲル電気泳動によって分離した。 (3)1.3kbpの断片を上記ゲルから切り出し、フ
ェノール抽出を3度行い、エタノール沈殿によりDNA
を精製した。 (4)pPX151を制限酵素ApaIで切断し、bl
unting kit(宝酒造社)を用いて平滑化し
た。これと上記(3)で得られたDNAを混合してli
gation kit(宝酒造社)を用いて連結反応を
行い、大腸菌HB101株に形質転換した。形質転換し
た大腸菌HB101株は、カナマイシンとアンピシリン
に対して耐性な菌株を選抜し、その株の保有するプラス
ミドとしてpPX152を得た。
酵素XbaIで消化し、1%アガロース電気泳動にて分
離し、2.3kbpの断片を切り出した。次に凍結融解
法によりDNAを抽出し、十分にフェノール抽出を行い
エタノール沈殿により精製した。 (2)スフィンゴモナス エスピー CR−03001
00株をLB液体培地(ナリジキシン酸25mg/Lを含
む)500mlで28℃、23時間培養し氷中で15分冷
却した。 (3)4℃、10分、10000rpm で遠心集菌し、5
00mlの0℃蒸留水で穏和に洗浄後再び、遠心集菌し
た。続いて250mlの0℃蒸留水で穏和に洗浄後、遠心
集菌した。更に、125mlの0℃蒸留水で穏和に洗浄
後、遠心集菌した。 (4)上記の菌体を10%グリセロールを含む蒸留水に
懸濁し0℃にて保持した。 (5)(1)のDNA約0.05μgを含む蒸留水4μ
lを0.2cmのキュベットに入れ、(4)のコンピテン
トセル40μlを加え、(25μF、2500V、12
msec)の条件でエレクトロポレーションにかけた。 (6)上記処理した細胞全量を10mlのLB液体培地に
接種し、30℃で6時間培養した。培養後、遠心によっ
て菌体を集め25mg/Lのカナマイシンを含むLB平板
に展開し、30℃で48時間培養した。 (7)上記の条件で非常に強いカナマイシン耐性株、1
株を得た。本菌株をスフィンゴモナス エスピー CR
−0310201株と名付けた。 (8)スフィンゴモナス エスピー CR−03102
01株及びCR−0300100株をLB培地10mlで
24時間培養し、集菌した。菌体を50mMのリン酸緩衝
液1mlに懸濁し、超音波破砕機を用いて細胞を破砕し
た。これを5000gで20分間遠心して得られた上清
100μlを0.2mMの3,4−ジヒドロキシ安息香酸
を含むリン酸緩衝液1mlに添加した。5分間、30℃で
インキュベーションした後に、2Mの水酸化ナトリウム
を0.1ml添加したところ、CR−0300100株で
は黄色の発色が見られたが、CR−0310201株で
は黄色の発色が全く見られなかった。CR−03102
01株は上述の性質及びカナマイシンに耐性及びバリニ
ン酸の資化性が欠損したことを除きCR−030010
0株と全く同一の菌学的性質を示した。本菌株は、工業
技術院生命工学工業研究所にFERM P−16624
として寄託した。
シムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼの
アミノ酸配列解析) LB液体培地でスフィンゴモナス エスピーCR-0310201
株を、30℃にて24時間、好気的条件下で培養し、遠
心分離にて集菌した。この集菌した菌株について150
W、10分間の超音波破砕機による細胞破砕処理を行っ
た後、100,000gにて30分間の遠心分離を行っ
た。
0重量%の分画を回収して、弱アニオンイオン交換クロ
マトグラフィー(パーセプティブ社、PI(ポリエチル
イミン)カラム)、強アニオン交換クロマトグラフィー
(パーセプティブ社、HQ(第4級ポリエチルイミン)
から疎水クロマトグラフィー(ファルマシア社、Phe
nyl Sepharose CL−4B)及び吸着ク
ロマトグラフィー(Hydroxyapatite)に
よる酵素精製を行った。α−ヒドロキシ−γ−カルボキ
シムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼ活
性のある分画を回収した。カラム精製を行った該精製物
は、SDS−PAGEの結果単一バンドであることを確
認し、単一に精製したことを確認した。
キシムコン酸−ε−セミアルデヒドデヒドロゲナーゼの
部分的なアミノ酸配列をアミノ酸シークエンサー(アプ
ライドバイオシステムズ社)により解析した。この決定
した該酵素の部分的なアミノ酸配列を配列番号6、7に
示す。
ン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼ活性は以
下のように求めた。
を含む表1の培地でシュードモナステストステロニ J
MC5832株を暗所30℃で24時間振とう培養し
た。 (2)菌体を遠心分離にて集め、pH7.5のリン酸カリ
ウム緩衝液に懸濁し150W、10分間の超音波破砕機
による細胞破砕処理を行った後、10,000gにて3
0分間の遠心分離を行った。 (3)上記のようにして得た上清に等量のエタノールを
加え、10,000gにて10分間遠心し、得られた上
清にエタノール濃度が70%(v/v)となるように加
え、更に10,000gにて10分間遠心した。 (4)上記で得られた沈殿を10%のエタノールを含む
50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)で溶解し、1
0%のエタノールを含む200mMリン酸カリウム緩衝液
(pH7.5)を用いてDEAE−セルロースカラムにて
3,4−ジヒドロキシ安息香酸のメタ開裂酵素画分を得
た。 (5)以上のようにして得られた3,4−ジヒドロキシ
安息香酸のメタ開裂酵素溶液を0.2mMの3,4−ジヒ
ドロキシ安息香酸を含む50mM−Tris−塩酸緩衝液
(pH8.1)0.9mlに50μlを加え、37℃インキ
ュベートし、410nmの吸光度を分光光度計(島津、U
V−2100)でモニターした。吸光度が一定になった
ところにα−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε
−セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ酵素液50μl(蛋
白質量で1mg)を添加した。この操作で吸光度が変化し
ないことを確認し、20μlのNADP(100mM溶
液)を添加して410nmの吸光度減少を100秒間モニ
ターした。以上の操作によるNADP依存性のα−ヒド
ロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド
減少量からα−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン酸−
ε−セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を求めた。
シムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼを
コードする遺伝子のクローニング (1)遺伝子ライブラリーの調製 スフィンゴモナス エスピーCR-0310201株を5g/Lの
グルコースを含むLB培地(トリプトン;10g/L、
酵母エキス;5g/L、NaCl;5g/L、pH7.
0)へ接種し28℃にて終夜培養し、前培養液を作製し
た。この前培養液をフラスコ内の新しく用意した前記と
同様の培地に接種し28℃にて再び終夜培養した。該培
養液の遠心により集菌した。該菌体をTE(10mMトリ
ス塩酸、1mM EDTA、pH8.0)に懸濁した後、最
終濃度0.5% SDS及び最終濃度100μg/mlプ
ロテアーゼKにて37℃、1時間処理し、1/6容の5
M食塩を混合した。次いで、10% CTAB(Hex
adecyltrimethylammonium b
romide)、0.7M食塩を1/10容量加え、6
5℃で10分間静置した。等量のクロロホルム−イソア
ミルアルコール液にて抽出し、得られた水層を等量のフ
ェノール−クロロホルム液にて抽出を行った。この水層
に含まれるゲノムDNAをエタノール沈殿にて取得し、
減圧乾燥の後TEを加え溶解した。
酒造社)により部分消化し、1%アガロースゲル(和光
純薬工業社、アガロース1600)にて電気泳動した。
緩衝液としてTAE(Cold Spring Har
bor Laboratory Press, Mol
ecular Cloning Second Edi
tion(1989))を用いた。電気泳動後のアガロ
ースゲルは1μg/mlエチジウムブロマイドに15分間
浸せきした後水洗し、紫外線照射によりDNA断片の蛍
光を確認した。サイズマーカーとしてλファージDNA
のEcoRI、HindIII消化物(宝酒造社)を同時に
電気泳動し、該DNA断片の泳動距離からゲノムDNA
消化物の分子量を求めた。
部分消化物を含むアガロースゲルを切り出し、セシウム
クロライドを用いた超遠心法にてDNA断片の精製を行
った。プラスミドベクターpUC19 を制限酵素Ec
oRI(宝酒造社)により完全消化した。同反応液にア
ルカリホスファターゼ(Bacterial Alka
line Phosphatase)(宝酒造社)を添
加し、制限酵素にて消化したプラスミドベクターの末端
の脱リン酸化を行った。
トリウムpH5.2と2倍容量のエタノールを添加し−8
0℃にて2時間冷却し、9,000gにて10分間遠心
し、ベクターDNAのペレットを得た。70%エタノー
ルを適量加え遠心管の壁面を2回リンスし、このリンス
液を簡単に除去した後減圧乾燥した。乾燥したベクター
DNAをTEに溶解した。
01株の1−3kbpのDNA断片及びベクターDNA
を、T4リガーゼ(宝酒造社)を用いて結合した。
00mMの塩化カルシウムを用いて調製し、上記T4リガ
ーゼ反応液で形質転換した。該大腸菌は最終濃度が10
0μg/mlになるようにアンピシリンを添加したLB平
板培地(LBに寒天15g/lを添加して調製する)に
塗布し、37℃にて終夜培養した。出現したコロニー
を、大腸菌HB101を宿主としたスフィンゴモナス
エスピーCR-0310201株の遺伝子ライブラリーとした。
コン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼをコー
ドする遺伝子プローブの作製 スフィンゴモナス エスピーCR-0310201株を試験管内の
培地(ポリペプトン5g/l、酵母エキス0.5g/
l、肉エキス5g/l、食塩2g/l、pH7.0)へ接
種し28℃にて終夜培養し、前培養液を作製した。この
前培養液をフラスコ内の新しく用意した前記と同様の培
地に接種し28℃にて再び終夜培養した。該培養液の遠
心により集菌した。
EDTA、pH8.0)に懸濁した後、最終濃度0.5%
SDS及び最終濃度100μg/mlプロテアーゼKに
て37℃、1時間処理し、1/6容の5M食塩を混合し
た。次いで、10% CTAB(Hexadecylt
rimethylammonium bromid
e)、0.7M食塩を1/10容量加え、65℃で10
分間静置した。等量のクロロホルム−イソアミルアルコ
ール液にて抽出し、得られた水層を等量のフェノール−
クロロホルム液にて抽出を行った。この水層に含まれる
ゲノムDNAをエタノール沈殿にて取得し、減圧乾燥の
後TEを加え溶解した。
−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロ
ゲナーゼをコードする遺伝子の部分的なアミノ酸配列を
用いて、このアミノ酸配列をコードするα−ヒドロキシ
−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒ
ドロゲナーゼ遺伝子の部分的な塩基配列を逆翻訳した。
これら知見から、該遺伝子をPCRにより部分的に増幅
することを目的として、配列番号8及び配列番号9に示
す塩基配列を有する合成ヌクレオチドを化学合成により
作製し、1対のPCRプライマーとした。スフィンゴモ
ナス エスピーCR-0310201株のゲノムDNAを鋳型DN
Aとして、該プライマーによりα−ヒドロキシ−γ−カ
ルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナ
ーゼ遺伝子の部分的なDNA断片をPCRにて増幅し
た。
ず、10mMトリス塩酸pH8.3、50mM塩化カリウム、
1.5mM塩化マグネシウム、0.001%(W/V)ゼ
ラチン、2μM dNTP混合液、40ng/μlゲノ
ムDNA、1μM PCRプライマー、を含む反応液を
調製した。この反応液は92℃にて5分間熱処理した
後、耐熱性DNAポリメラーゼ(宝酒造社、TaKaR
a Taq)を0.05U/μlになるように加え、4
0℃にて6分間放置した。続いて、サイクル反応(熱変
性反応94℃にて30秒間、アニーリング反応40℃に
て2分間、伸長反応72℃にて30秒間)を40回繰り
返した後、72℃にて5分間反応した。
プラスミドベクターpUC19に連結したプラスミドp
PCCH1を作成した。pPCCH1を鋳型DNAとし
て、上記と同一のPCRプライマーを用いたPCRに
て、再びα−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε
−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼ遺伝子の部分的な
DNA断片を増幅した。尚、この2回目のPCRについ
ては、PCR DIGプローブ合成キット(ベーリンガ
ー・マンハイム社製)を用い、サイクル反応(熱変性反
応94℃にて30秒間、アニーリング反応40℃にて2
分間、伸長反応72℃にて30秒間)を40回繰り返し
た後、72℃にて5分間反応した。得られた増幅産物を
アガロースゲル電気泳動にてジゴキシゲニンラベルした
核酸を取り込むことによって分子量が増加した増幅DN
Aを分離し切り出したものをα−ヒドロキシ−γ−カル
ボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナー
ゼ遺伝子プローブとした。
コン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼ遺伝子
を含むプラスミドの取得 上記(1)にて取得したスフィンゴモナス エスピーCR
-0310201株のライブラリーを構成する大腸菌HB101
およそ2000株をアンピシリンを100μg/ml含む
培地に9cmのシャーレ1枚当たり200個程度爪楊枝
を用いて植菌した。37℃でおよそ6時間静置培養の
後、コロニーをナイロンメンブレンにレプリカし、DI
Gディテクションキット(ベーリンガー・マンハイム社
製)を用い、上記(2)で得られたプローブとハイブリ
ダイズするコロニーを選抜した。選抜した大腸菌は、プ
ラスミドpCHMS01を保有していた。
カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲ
ナーゼ活性の測定 プラスミドpCHMS01及び幾つかの制限酵素を用い
てpCHMS01から作成したプラスミドを保有する大
腸菌のα−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−
セミアルデヒド デヒドロゲナーゼ活性の測定結果を図
1に示した。その結果、pCHMS01、pCHMS0
2、pCHMS03にα−ヒドロキシ−γ−カルボキシ
ムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼ遺伝
子が機能的に発現することを確認した。
シ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド デ
ヒドロゲナーゼ活性の測定は次の如くして行った。アン
ピシリンとIPTGをそれぞれ最終濃度が100μg/
mlと1mMになるように添加したLB液体培地50mlへ、
pCHMS01、pCHMS02、pCHMS03、p
CHMS04を保有する大腸菌JM109を100μg
/mlのアンピシリンを含むLB培地100mlで24時間
振とう培養した。遠心集菌後、50mM−Tris−塩酸緩衝液
(pH7.5)で2度洗浄し、50mM−Tris−塩酸緩衝液
(pH7.5)5mlに懸濁した。150W、10分間の超
音波破砕機によって細胞破砕処理を行い、無細胞抽出を
得た。この無細胞抽出を酵素液とし、α−ヒドロキシ−
γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒド
ロゲナーゼ活性測定を実施例1と同様に行った。反応液
をHPLC分析(BONDASPHEARE C18カラム、移動相:2
%酢酸、20%メタノール、78%蒸留水)し、2−ピ
ロン−4,6−ジカルボン酸の生成を確認した。
コン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼ遺伝子
の塩基配列解析 次に該組み換えプラスミドpCHMS02を用いて約
1.4kbpのDNA挿入断片の塩基配列の解析を行っ
た。塩基配列の解析は、T7シークエンシングキット
(ファルマシアバイオテク社)を用いたM13ダイデオ
キシ法(Sanger,F.,etc.,Proc.N
atl.Acad.Sci.,74,5463−546
7(1977))にてシークエンシング反応を行い、自
動レーザー蛍光シークエンシング装置(ファルマシアバ
イオテク社)を用いた。塩基配列解析の結果、該DNA
断片上に945bpの唯一のオープンリーディングフレ
ームが見出された。
−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒ
ドロゲナーゼをコードする遺伝子の塩基配列を解析し
た。その塩基配列とコードされているアミノ酸配列を配
列番号5に示した。
−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアル
デヒド デヒドロゲナーゼを多量に製造することがで
き、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸の工業的生産が
可能となる。
キシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド
デヒドロゲナーゼ遺伝子を含むプラスミドにおける挿入
DNA断片の制限酵素地図及びα−ヒドロキシ−γ−カ
ルボキシムコン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナ
ーゼ活性の有無を示す説明図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 配列番号1又は3で示されるアミノ酸配
列又は当該アミノ酸配列の1若しくは2以上のアミノ酸
が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、
α−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン酸−ε−セミア
ルデヒド デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド
をコードする遺伝子。 - 【請求項2】 配列番号2又は4で示される塩基配列又
は当該塩基配列の1若しくは2以上の塩基が欠失、置換
若しくは付加された塩基配列、又はこれらに相補的な塩
基配列を有するものである請求項1記載の遺伝子。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の遺伝子を含有する
組換えベクター。 - 【請求項4】 請求項1又は2記載の遺伝子を保有する
形質転換体細胞。 - 【請求項5】 請求項4記載の形質転換体細胞を培養
し、該培養物からα−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコ
ン酸−ε−セミアルデヒド デヒドロゲナーゼを採取す
ることを特徴とする該酵素の製造法。 - 【請求項6】 α−ヒドロキシ−γ−カルボキシムコン
酸−ε−セミアルデヒドの存在下に、請求項4記載の形
質転換体細胞を培養することを特徴とする2−ピロン−
4,6−ジカルボン酸の製造法。
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