JP2000032985A - トリコテセン 3−o−アセチルトランスフェラーゼ遺伝子 - Google Patents
トリコテセン 3−o−アセチルトランスフェラーゼ遺伝子Info
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Abstract
ーゼ遺伝子の提供 【解決手段】 以下の(a)又は(b)のタンパク質をコード
するトリコテセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ遺
伝子。 (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパ
ク質 (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において少なく
とも1個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列からなり、かつトリコテセン 3-O-アセチル
トランスフェラーゼ活性を有するタンパク質
Description
O-アセチルトランスフェラーゼ、該酵素をコードする
遺伝子、該遺伝子を含有する組換えベクター、該組換え
ベクターを含む形質転換体、該形質転換体を用いるトリ
コテセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼの製造方
法、該遺伝子をマーカー遺伝子として用いる形質転換体
の選択方法に関する。
のかびにより産生される二次代謝産物であり[Vesonder,
R.F. et al. :Fusarium Mycotoxins, Taxonomy, and P
athogenicity(Chelkowski,J.,ed.),1-39頁,Elsevier Sc
ience Publishers B.V.,Amsterdam]、農産物や飼料を通
して摂取されることにより、ヒトや家畜に嘔吐、皮膚
炎、出血性敗血症などの深刻な食品汚染問題を引き起こ
すマイコトキシンの一群である [Desjardins,A.E. et a
l. Microbiol Rev. 57:595-604(1993)]。トリコテセン
の毒性は、一般に真核生物リボソームの60Sサブユニッ
トに結合し、タンパク質合成の開始及び伸長反応を妨害
することによる、タンパク質合成阻害活性により発揮さ
れる[Ehrlich,K.C.: Biochim. Biophys. Acta 923:206-
213(1987)]。
9,10位間の二重結合及び12,13位のエポキシド基を有す
るトリコテセン環により特徴付けられ、その生合成経路
は、ブロック変異株の解析や前駆体添加実験から、図1
のような経路であることが提唱されている。そしてトリ
コテセンは、その生合成経路においてイソトリコジオー
ルの後、トリコトリオールを経て合成されるか、又はト
リコジオールを経て合成されるかにより、t型トリコテ
セン(トリコトリオールを経て合成されるもの)と、d型
トリコテセン(トリコジオールを経て合成されるもの)と
に分けられる(図1)。
成の過程で様々な修飾を受けた、置換基の異なる多くの
類縁体が存在する。しかしながら、これらの類縁体にお
けるタンパク質合成阻害活性の強さには差があり、C-
3、C-4、C-15位の置換基が活性に大きく関与する。特に
t型トリコテセンの一つであるT-2トキシン、デオキシ
ニバレノール(DON)においては、C-3位がアセチル化され
ることにより、そのタンパク質合成阻害活性が著しく低
下することが報告されている[Ehrlich,K.C.: Biochim.
Biophys. Acta 923:206-213(1987)]。従って、このト
リコテセン環のC-3位アセチル化が、トリコテセン生産
菌の自己耐性に重要な役割を担っている可能性が示唆さ
れている。そしてこのC-3位アセチル化反応は、菌糸体
によるトリコテセンC-3位アセチル化反応において、菌
糸体をT-2トキシンで前処理することにより、基質のア
セチル化がより効果的に起こるという、酵素の誘導的挙
動が見出されたことから、C-3位アセチル化が酵素的反
応であることが提唱されている。しかし、現在までにト
リコテセンのC-3アセチル化を触媒するトリコテセン 3-
O-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子は知られていな
い。
ン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ、該酵素をコード
する遺伝子、該遺伝子を含有する組換えベクター、該組
換えベクターを含む形質転換体、該形質転換体を用いる
トリコテセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼの製造
方法、該遺伝子をマーカー遺伝子として用いる形質転換
体の選択方法を提供することを目的とする。
解決するため鋭意研究を行った結果、フザリウム・グラ
ミネアラム(Fusarium graminearum)のcDNAライブラリー
から、トリコテセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ
をコードする遺伝子を単離することに成功し、本発明を
完成するに至った。
組換えタンパク質である。 (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパ
ク質 (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において少なく
とも1個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列からなり、かつトリコテセン 3-O-アセチル
トランスフェラーゼ活性を有するタンパク質
ンパク質をコードするトリコテセン3-O-アセチルトラ
ンスフェラーゼ遺伝子である。 (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパ
ク質 (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において少なく
とも1個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列からなり、かつトリコテセン 3-O-アセチル
トランスフェラーゼ活性を有するタンパク質
Aを含む遺伝子である。 (c) 配列番号1で表される塩基配列からなるDNA (d) 配列番号1で表される塩基配列からなるDNAとスト
リンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつトリコ
テセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ活性を有する
タンパク質をコードするDNA
組換えベクターである。さらに、本発明は、前記組換え
ベクターを含む形質転換体である。さらに、本発明は、
前記形質転換体を培地に培養し、得られる培養物からト
リコテセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼを採取す
ることを特徴とするトリコテセン 3-O-アセチルトラン
スフェラーゼの製造方法である。さらに、本発明は、前
記遺伝子をマーカー遺伝子として使用する方法である。
ンスジェニック植物(例えば、トランスジェニックムギ)
である。さらに、本発明は、トリコテセン 3-O-アセチ
ルトランスフェラーゼを有効成分として含むマイコトキ
シン防除剤である。さらに、本発明は、トリコテセン 3
-O-アセチルトランスフェラーゼを有効成分として含む
赤かび病菌抑制剤である。以下、本発明を詳細に説明す
る。
3-O-アセチルトランスフェラーゼ活性を有するタンパ
ク質をコードするものであり、トリコテセン 3-O-アセ
チルトランスフェラーゼ遺伝子又はTri101遺伝子ともい
う。本発明においては、まず、以下に示す通り、トリコ
テセンのタンパク質合成に及ぼすトリコテセン環に結合
したアセチル基の影響、及びトリコテセンのC-3位がア
セチル化されることによりトリコテセンの毒性、すなわ
ちタンパク質合成阻害活性が軽減されるか否かについ
て、さらにトリコテセン産生菌であるフザリウム菌のト
リコテセン3-O-アセチルトランスフェラーゼ活性を調
べる。これらの事項は、本発明の遺伝子をクローニング
するための予備実験として必要である。
性に及ぼすトリコテセン環に結合したアセチル基の影響 トリコテセンのin vivo又はin vitroにおけるタンパク
質合成阻害活性に及ぼすトリコテセン環に結合したアセ
チル基の影響は、以下のようにして調べることができ
る。すなわち、in vivoの場合は、アセチル基を有する
トリコテセン又はアセチル基を有さないトリコテセンを
添加したニューカッスル病ウイルス感染BHK細胞におけ
る赤血球凝集単位を定量比較することにより調べること
ができる。一方、in vitroの場合は、ウサギ赤血球のタ
ンパク質翻訳システムを用い、アセチル基を有するトリ
コテセン又は置換基を有さないトリコテセンを添加した
系におけるタンパク質合成阻害活性を定量比較すること
により調べることができる。
ザリウム菌」ともいう)は、トリコテセン産生菌であ
り、自己の産生するトリコテセンに対して耐性を有す
る。その耐性は、トリコテセンのアセチル化に起因して
いる可能性が考えられる。フザリウム菌のトリコテセン
アセチルトランスフェラーゼ活性は以下のようにして調
べることができる。
-O-アセチルトランスフェラーゼ活性の測定 フザリウム菌のトリコテセンアセチルトランスフェラー
ゼ活性は、フザリウム菌をトリコテセン含有培地を用い
て培養し、増殖したフザリウム菌のトリコテセンアセチ
ルトランスフェラーゼの作用によって、培養物中に生成
されたアセチル化トリコテセンを検出することにより測
定することができる。すなわち、PDA培地、CMC培地など
を用いて調製したフザリウム菌の分生胞子を、T-2トキ
シン、デオキシニバレノール、4,15-ジアセトキシシル
ペノールなどのトリコテセンを含むYG培地に植菌後、25
〜28℃で24〜48時間培養する。得られる培養物から、ア
セチル化トリコテセンを酢酸エチルなどの有機溶媒で抽
出する。抽出物を薄層クロマトグラフィー、液体クロマ
トグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどで分析し、
各種トリコテセンに対応するアセチル化物を検出する。
フェラーゼ遺伝子のクローニング フザリウム菌からトリコテセン3-O-アセチルトランス
フェラーゼ遺伝子をクローニングするためには、作製し
たcDNAライブラリーから効率的に該遺伝子を含むクロー
ンを選択するためのスクリーニング系が必要である。そ
こで、まずスクリーニングに用いることができる宿主に
ついて説明する。
る宿主 cDNAライブラリー用宿主として用いることができる微生
物は、トリコテセンにより生育が阻害されるが、アセチ
ル化トリコテセンでは生育が阻害されないような微生物
が好ましい。そのような微生物としては、例えば、分裂
酵母シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyc
es pombe)が挙げられる。シゾサッカロマイセス・ポン
ベが宿主として適していることを確認する方法として、
トリコテセンによる生育阻害活性の測定を用いることが
できる。
・ポンベの生育阻害活性は、ペーパーディスクアッセイ
を用いることにより行うことができる。すなわち、YEL
培地などで前培養した該分裂酵母を、YPG培地などの軟
寒天培地に培地が固化する直前に懸濁し、YEA寒天培地
などに重層する。培地が固化した後、各種トリコテセン
を目的量だけ浸み込ませたペーパーディスクを軟寒天培
地上に配置する。そして、そのペーパーディスクを配置
したプレートを、25〜28℃で48〜72時間培養することに
より、軟寒天培地中の酵母を増殖させる。ペーパーディ
スク中に浸み込ませたトリコテセンは、培地中へと浸出
し、酵母の生育に影響を与える。そして、トリコテセン
により増殖が抑制されているペーパーディスクの周りに
は、酵母が増殖していない透明な生育阻止円が出現す
る。ここで、生育阻止円の大きさは、浸み込ませたトリ
コテセンの毒性の度合いによって変化する。すなわち、
毒性が強いほど大きな生育阻止円が出現し、毒性が弱い
ほど生育阻止円は小さくなる。そのため阻止円の直径を
計測することによりトリコテセンの毒性を比較測定する
ことができる。
セン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子保有株の
スクリーニング mRNAの供給源としては、YPD培地、YG培地などで増殖さ
せたフザリウム・グラミネアラムの菌糸などが挙げられ
る。mRNAの調製は、通常行われる手法又は市販のmRNA単
離キット(例えばFast Track mRNA isolation kit(Invit
rogen社製))を用いて行うことができる。例えば、上記
菌糸を、グアジニン試薬、フェノール試薬等で処理して
全RNAを得た後、オリゴdT-セルロースやセファロース2B
を担体とするポリU-セファロース等を用いたアフィニテ
ィーカラム法、あるいはバッチ法によりポリ(A+)RNA(mR
NA)を得ることができる。さらに、ショ糖密度勾配遠心
法等によりポリ(A+)RNAをさらに分画してもよい。
て、オリゴdTプライマー及び逆転写酵素を用いて一本鎖
cDNAを合成した後、該一本鎖cDNAから二本鎖cDNAを合成
する。このようにして得られた二本鎖cDNAをpcDSP21な
どのプラスミドベクターに組み込んで組換えベクターを
作製する。得られる組換えベクターを用いて大腸菌等を
形質転換し、アンピシリン耐性などを指標として形質転
換体を選択することにより、cDNAのライブラリーを得る
ことができる。
は、真核生物での発現シグナルとしてSV40初期プロモー
ター、ポリアデニル化シグナル、そして酵母内での自律
複製に必要なARS(autonomously replicating sequence)
を持つ、酵母における自律複製型発現ベクターであり、
また、大腸菌の複製起点ori及び大腸菌での選択マーカ
ーであるアンピシリン耐性遺伝子、並びに酵母での選択
マーカーとして宿主のウラシル要求性を相補する出芽酵
母由来のURA3を持つ、酵母−大腸菌間のシャトルベクタ
ーでもある。
han,D.: J. Mol. Biol. 166:557-580(1983)]、すなわ
ち塩化カルシウム、塩化マグネシウム又は塩化ルビジウ
ムを共存させて調製したコンピテント細胞に、組換えベ
クターを加える方法等により行うことができる。なお、
ベクターとしてプラスミドを用いる場合はテトラサイク
リン、アンピシリン等の薬剤耐性遺伝子を含有すること
が必要である。
換体からプラスミドDNAを精製し、これを、シゾサッカ
ロマイセス・ポンベなどのトリコテセン類に感受性を示
す株に形質転換し、トリコテセンを含有する培地に生育
可能となった菌株をスクリーニングし、この菌株からト
リコテセン耐性付与に関与するプラスミドDNAを精製す
ることにより、本発明のトリコテセン 3-O-アセチルト
ランスフェラーゼ遺伝子を得ることができる。
配列の決定はマキサム-ギルバートの化学修飾法、又はM
13ファージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法等
の公知手法により行うことができるが、通常は自動塩基
配列決定機(例えばPERKIN-ELMER社製373A DNAシークエ
ンサー等)を用いて配列決定が行われる。
を、配列番号2に本発明のタンパク質のアミノ酸配列を
例示するが、このアミノ酸配列からなるタンパク質がト
リコテセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ活性を有
する限り、当該アミノ酸配列において少なくとも1個の
アミノ酸に欠失、置換、付加等の変異が生じてもよい。
配列の少なくとも1個、好ましくは1〜10個程度、さら
に好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠失してもよく、又
は、配列番号1で表わされるアミノ酸配列に少なくとも
1個、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは1〜
5個のアミノ酸が付加してもよく、あるいは、配列番号
1で表わされるアミノ酸配列の少なくとも1個、好まし
くは1〜10個程度、さらに好ましくは1〜5個のアミノ
酸が他のアミノ酸に置換してもよい。
列を有するタンパク質をコードする遺伝子も、トリコテ
セン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ活性を有する限
り本発明の遺伝子に含まれる。また、上記遺伝子とスト
リンジェントな条件下でハイブリダイズすることができ
るDNAも本発明の遺伝子に含まれる。ストリンジェント
な条件とは、例えば、ナトリウム濃度が15〜75mM、好ま
しくは15mMであり、温度が65〜68℃、好ましくは68℃で
の条件をいう。
el法や Gapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる
方法により、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用し
た変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やM
utant-G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKAR
A社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを
用いて行うことができる。
れると、その後は化学合成によって、又は本遺伝子のcD
NAないしゲノムDNAを鋳型としたPCRによって、あるいは
該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリ
ダイズさせることにより、本発明の遺伝子を得ることが
できる。
遺伝子を連結(挿入)することにより得ることができる。
本発明の遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主中で
複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラ
スミド DNA、ファージ DNA等が挙げられる。
ラスミド(例えばpBR322, pBR325,pUC118, pUC119
等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110, pTP5
等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13, YEp24, YCp
50等)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ
等が挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニ
アウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなど
の昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。ベクタ
ーに本発明の遺伝子を挿入するには、まず、精製された
DNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクター DNAの
制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入して
ベクターに連結する方法などが採用される。
揮されるようにベクターに組み込まれることが必要であ
る。そこで、本発明のベクターには、プロモーター、本
発明の遺伝子のほか、所望によりエンハンサーなどのシ
スエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シ
グナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)
などを含有するものを連結することができる。なお、選
択マーカーとしては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝
子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子
等が挙げられる。
的遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することによ
り得ることができる。ここで、宿主としては、本発明の
遺伝子を発現できるものであれば特に限定されるもので
はない。例えば、エッシェリヒア・コリ(Escherichia c
oli)等のエッシェリヒア属、バチルス・ズブチリス(Ba
cillus subtilis)等のバチルス属、シュードモナス・プ
チダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属、リゾ
ビウム・メリロティ(Rhizobiummeliloti)等のリゾビウ
ム属に属する細菌が挙げられ、サッカロミセス・セレビ
シエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセ
ス・ポンベ等の酵母が挙げられ、COS細胞、CHO細胞等の
動物細胞が挙げられ、あるいはSf9、Sf21等の昆虫細胞
が挙げられる。
明の組換えベクターが該細菌中で自律複製可能であると
同時に、プロモーター、リボゾーム結合配列、本発明の
遺伝子、転写終結配列により構成されていることが好ま
しい。また、プロモーターを制御する遺伝子が含まれて
いてもよい。大腸菌としては、例えばエッシェリヒア・
コリ(Escherichia coli)HMS174(DE3)、K12、DH1などが
挙げられ、枯草菌としては、例えばバチルス・ズブチリ
ス(Bacillus subtilis)MI 114、207-21などが挙げられ
る。
で発現できるものであればいずれを用いてもよい。例え
ばtrpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモータ
ー、PRプロモーターなどの、大腸菌やファージに由来す
るプロモーターが用いられる。tacプロモーターなどの
ように、人為的に設計改変されたプロモーターを用いて
もよい。細菌への組換えベクターの導入方法としては、
細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されるもの
ではない。例えばカルシウムイオンを用いる方法[Cohe
n, S.N. et al.:Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69:2
110-2114 (1972)]、エレクトロポレーション法等が挙げ
られる。
ミセス・セレビシエ(Saccharomycescerevisiae)、シゾ
サッカロマイセス・ポンベ、ピヒア・パストリス(Pichi
a pastoris)などが用いられる。この場合、プロモータ
ーとしては酵母中で発現できるものであれば特に限定さ
れず、例えばgal1プロモーター、gal10プロモーター、
ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモ
ーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロ
モーター、ADHプロモーター、AOX1プロモーター等が挙
げられる。
は、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定され
ず、例えばエレクトロポレーション法[Becker, D.M. et
al.:Methods. Enzymol., 194: 182-187 (1990)]、ス
フェロプラスト法[Hinnen, A.et al.:Proc. Natl. Aca
d. Sci., USA, 75: 1929-1933 (1978)]、酢酸リチウム
法[Itoh, H.:J. Bacteriol., 153:163-168 (1983)]等
が挙げられる。
S-7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細
胞)、マウスL細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞などが用い
られる。プロモーターとしてSRαプロモーター、SV40プ
ロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター等が用
いられ、また、ヒトサイトメガロウイルスの初期遺伝子
プロモーター等を用いてもよい。動物細胞への組換えベ
クターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーシ
ョン法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が
挙げられる。
f21細胞などが用いられる。昆虫細胞への組換えベクタ
ーの導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リ
ポフェクション法、エレクトロポレーション法などが用
いられる。なお、本発明の組換えベクターは、大腸菌DH
5αに導入され(Escherichia coliDH5α)、工業技術院
生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3
号)に、平成10年7月9日付でFERM P-16894として寄託
されている。
ードされるアミノ酸配列を有するもの、または該アミノ
酸配列において少なくとも1個のアミノ酸に前記変異が
導入されたアミノ酸配列を有し、かつトリコテセン 3-
O-アセチルトランスフェラーゼ活性を有するものであ
る。なお、Tri101がコードする本発明のタンパク質をTR
I101タンパク質ともいう。
換体を培地に培養し、その培養物から採取することによ
り得ることができる。「培養物」とは、培養上清、ある
いは培養細胞若しくは培養菌体又は細胞若しくは菌体の
破砕物のいずれをも意味するものである。本発明の形質
転換体を培地に培養する方法は、宿主の培養に用いられ
る通常の方法に従って行われる。
られた形質転換体を培養する培地としては、微生物が資
化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転
換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、
天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源と
しては、グルコース、フラクトース、スクロース、デン
プン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エ
タノール、プロパノール等のアルコール類が用いられ
る。
ニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸
アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム
塩又はその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキ
ス、コーンスティープリカー等が用いられる。無機物と
しては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リ
ン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウ
ム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウ
ム等が用いられる。
などの好気的条件下、37℃で6〜24時間行う。培養期間
中、pHは7.0〜7.5に保持する。pHの調整は、無機又は有
機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。培養中は必要に応
じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培
地に添加してもよい。
を用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養する
場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加して
もよい。例えば、Lacプロモーターを用いた発現ベクタ
ーで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピ
ル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)等を、trpプロ
モーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を
培養するときにはインドールアクリル酸(IAA)等を培地
に添加してもよい。
養する培地としては、一般に使用されているRPMI1640培
地、DMEM培地又はこれらの培地に牛胎児血清等を添加し
た培地等が用いられる。培養は、通常、5%CO2存在
下、37℃で1〜30日行う。培養中は必要に応じてカナマ
イシン、ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよ
い。
内又は細胞内に生産される場合には、菌体又は細胞を破
砕することによりTRI101タンパク質を抽出する。また、
本発明のTRI101タンパク質が菌体外又は細胞外に生産さ
れる場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離
等により菌体又は細胞を除去する。その後、タンパク質
の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば
硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオ
ン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグ
ラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることに
より、前記培養物中から本発明のTRI101タンパク質を単
離精製することができる。
としての利用 一般に酵母(例えば、シゾサッカロマイセス・ポンベ、
サッカロマイセス・セレビシエなど)において、目的プラ
スミドが宿主に導入されていることを確認するために
は、leu2遺伝子やura3遺伝子などの栄養要求性マーカー
を利用することが多い。この場合、宿主としてはleu1や
ura4遺伝子を人工的に破壊した変異株を用いなければな
らないなど制限がある。従って、あらゆる野性株を直接
宿主として用いることができるような、選択マーカーが
あれば有用である。
主に、該薬剤を不活化するタンパク質をコードする遺伝
子を導入することにより、感受性宿主を耐性宿主にさせ
るような遺伝子は、選択マーカー遺伝子として有用であ
る。しかし、そのような遺伝子としては、現在までに、
ブラストサイジンS耐性遺伝子(BSD)やカスガマイシン
アセチルトランスフェラーゼ遺伝子など数例しか知られ
ていない。
ンスフェラーゼは、トリコテセンのC-3位をアセチル化
することによりトリコテセンの毒性を緩和する性質を有
する。また、トリコテセンは、一般に真核生物リボソー
ムの60Sサブユニットに結合してタンパク質合成の開始
及び伸長反応を阻害することにより毒性が発揮される。
従って、トリコテセンは酵母、かび、動物培養細胞など
真核細胞一般に幅広い抗菌スペクトルを有し、本発明の
トリコテセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼをコー
ドするTri101遺伝子は、トリコテセンに生育感受性を示
す真核生物に、マーカー遺伝子として幅広く利用するこ
とができる。例えば、一般的に抗生物質類に対する感受
性が強く栄養要求性マーカーが多く用いられているシゾ
サッカロマイセズ・ポンベにおいては、従来より用いら
れているpDB248、YIp13、pFL20、pMB332などのベクター
にマーカー遺伝子としてTri101遺伝子を組み込むことに
より、該ベクターを用いて形質転換した細胞をトリコテ
センに対する耐性を指標として選択することができる。
抑制剤 本発明のTRI101タンパク質は、トリコテセンをアセチル
化することによりトリコテセンのタンパク質合成阻害活
性を低下させることができるため、マイコトキシン防除
剤及び赤かび病菌抑制剤として有用である。
在するタンパク質分解酵素により容易に分解されるた
め、少なくとも結果的に経口投与されるときには、その
毒性はほとんどないと考えられる。従って、本発明のTR
I101タンパク質は、トリコテセンで汚染された食品、飼
料、農産物などの添加物として利用することのできるマ
イコトキシン防除剤として有用である。例えば、TRI101
タンパク質を、液体好ましくは水に適切な濃度になるよ
うに溶解し、食品、飼料、農産物などに、例えば、浸
漬、塗布、噴霧等の方法で添加し得る。その結果、本TR
I101タンパク質は、トリコテセンで汚染されたムギ、ト
ウモロコシ、コメ、ピーナッツ等の農産物、あるいは豆
粉、魚粉飼料等の飼料によるマイコトキシン汚染被害を
防ぐことができる。例えば有効成分である本発明のTRI1
01タンパク質を水溶液として用いる場合、0.00001〜1
重量%、好ましくは0.0001〜0.5重量%とすることがで
きる。
フザリウム属に属するかびは、ムギ、特にコムギに感染
して赤かび病を引き起こすことが知られている。この場
合、赤かび病の発病には、それらの菌が産生するトリコ
テセン系マイコトキシンが深く関わっている。従って、
この毒素を中和することにより、病徴を軽減することが
でき、減農薬指向の植物病害制御に有用である。以上の
ことから、本発明のTRI101タンパク質は、赤かび病に感
染しやすい農作物などの赤かび病菌抑制剤として利用す
ることができる。
制剤として使用する場合、水などの液体に溶解し単独で
用いることもできるが、他の農薬と組み合わせた形態、
例えば、殺菌剤(ムギ害虫用殺虫剤等)との組み合わせに
よる殺虫殺菌剤、植物成長調整剤との組み合わせによる
殺菌植物調整剤としての形態等で使用することができ
る。さらに必要に応じて、液化ガス、噴射剤(フレオン
等)、表面活性剤(乳化剤、分散剤、消泡剤等)等を添加
し、乳剤、油剤、水和剤、粉剤、粒剤、液剤等の製剤と
して使用することもできる。
ば、キシレン、トルエン、ベンゼン、アルキルナフタレ
ン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、クロロエチレ
ン、塩化メチレン等の塩素化芳香族炭化水素;シクロヘ
キサン、パラフィン等の脂肪族炭化水素;鉱油留分;エ
タノール、ブタノール、グリコール等のアルコール及び
これらのエーテル類ならびにエステル;アセトン、メチ
ルエチルケトン等のケトン;ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、アセトニトリル、水等の極性溶剤
が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用
することができる。水が溶剤として用いられる場合、純
水、または無機塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウム
等)、糖(グルコース、ショ糖等)若しくは糖アルコール
(D-ソルビトール、D-マンニトール等)の水溶液を用い
ることができる。
例えば、カオリン、粘土、タルク、チョーク、石英、ア
タパルジャイト、モンモリロナイト、珪藻土等の天然鉱
物粉末、ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等の合成鉱物粉
末、高分子性天然物(結晶性セルロース、コーンスター
チ、ゼラチン、アルギン酸等)が挙げられ、これらの1
種又は2種以上を混合して使用することができる。
る表面活性剤としては、ポリオキシエチレン−脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレン−脂肪アルコールエーテ
ル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキ
ルスルホネート、アルキルサルフェート、アリールスル
フォネート、アルブミン加水分解物、リグニン-亜硫酸
廃液、メチルセルロース、アラビアゴム等が挙げられ
る。
は、乳剤では0.01〜50重量%、水和剤では0.01〜50重量
%、粒剤では0.01〜10重量%であるが、使用目的によっ
てはこれらの濃度は適宜変更してもよい。乳剤、水和剤
の場合には、使用に際して水で希釈して、製品重量の10
0〜5000倍希釈で使用することができ、好ましくは500〜
1000倍希釈で使用することができる。
スト法、ダスト法、散布法、注入法等を用いて、トリコ
テセン産生病原菌に侵された植物に直接投与してもよ
く、あるいはトリコテセン産生病原菌による汚染土壌に
直接投与してもよい。使用方法は、使用目的に基づいて
選択されるが、いずれの場合にも本発明のTRI101タンパ
ク質が可能な限り均一に分散されることが望ましい。本
発明の赤かび病菌抑制剤の使用量は、その使用方法によ
り異なるが、例えば、噴霧法の場合、10a当たり、有効
成分量で1〜1000g噴霧するのが好ましい。
制剤として使用すべき対象となる赤カビ病菌としては、
フザリウム・グラミネアラム、フザリウム・ニバレ(Fus
arium nivale)、フザリウム・スポロトリキオイデス(Fu
sarium sporotrichioides)、フザリウム・レーゼウム(F
usarium reseum)等のトリコテセン産生菌が挙げられ
る。これらの植物病原性菌は具体的には、ムギ、トウモ
ロコシ等の栽培植物を侵す病原菌である。従って、これ
らの病原菌による病害を防除または予防することを目的
として、前記植物に本発明のTRI101タンパク質を含有す
る赤かび病菌抑制剤を使用することが好適である。
び病耐性植物の作製 ムギ、特にコムギなどに多く見られる赤かび病は、フザ
リウム菌が感染することによって発症する。そしてその
病徴は、フザリウムの感染後、該菌の産生するトリコテ
センにより感染植物のタンパク質合成が阻害されること
により悪化されると考えられる。従って、遺伝子工学的
手法を用い、本発明のトリコテセン 3-O-アセチルトラ
ンスフェラーゼ遺伝子を植物に導入することによって、
赤かび病菌に対する抵抗性を有するトランスジェニック
植物を作製することができ、減農薬指向の植物病害制御
に役立つものである。
アグロバクテリウムの形質転換 前記4.で得られた遺伝子を、そのまま又は所望により
適当な制限酵素で消化し、あるいは、適切なリンカーを
連結して使用することができる。DNAを挿入するための
ベクターとして、pUC18, pUC19, pUC118, pUC119等のpU
C系ベクター、pBI101、pBI121、pGA482等のバイナリー
ベクターが挙げられる。
系を用いる場合、上記のバイナリーベクターの境界配列
(LB,RB)間に、外来遺伝子を挿入し、この組換えベクタ
ーを大腸菌中で増幅する。次いで、増幅した組換えベク
ターをアグロバクテリウム・チュメファシエンスLBA440
4、EHA101、C58C1RifR等に、凍結融解法、エレクトロポ
レーション法等により導入し、これを植物への形質導入
用に用いる。
ためには、構造遺伝子の前後に、それぞれ植物用のプロ
モーターとターミネーターを配置させる必要がある。本
発明で利用可能なプロモーターとしては、例えばカリフ
ラワーモザイクウイルス(CaMV)由来の35S転写物[Jeffer
son, R.A. et al.: The EMBO J 6:3901-3907(1987)]、
トウモロコシのユビキチン[Christensen, A.H. et al.:
Plant Mol. Biol. 18:675-689(1992)]、ノパリン合成
酵素(NOS)遺伝子、オクトピン(OCT)合成酵素遺伝子、イ
ネのアクチン(Act1)遺伝子等のプロモーターが挙げら
れ、ターミネーター配列としては、例えばカリフラワー
モザイクウイルス由来やノパリン合成酵素遺伝子由来の
ターミネーター等が挙げられる。但し、植物体内で機能
することが知られているプロモーターやターミネーター
であれば、これらのものに限定されない。
発明のTri101遺伝子との間に、遺伝子の発現を増強させ
る機能を持つイントロン配列、例えばトウモロコシのア
ルコールデヒドロゲナーゼ(Adh1)のイントロン[Genes&
Development 1:1183-1200(1987)]を導入することがで
きる。
択するために、本発明の遺伝子をマーカー遺伝子として
利用してもよく、有効な選択マーカー遺伝子を上記Tri1
01遺伝子と併用してもよい。その際に使用する選択マー
カーとしては、抗生物質ハイグロマイシンに対する抵抗
性を植物に付与するハイグロマイシンホスホトランスフ
ェラーゼ(htp)遺伝子、ビアラホス(bialaphos)に対する
抵抗性を付与するホスフィノスリシンアセチルトランス
フェラーゼ(bar)遺伝子、ブラストサイジンSに対する
抵抗性を付与するブラストサイジンSデアミナーゼ(BS
D)遺伝子などが挙げられる。本発明のTri101遺伝子及び
選択マーカー遺伝子は、単一のベクターに一緒に組み込
んでも良いし、それぞれ別個のベクターに組み込んだ2
種類の組換えDNAを用いてもよい。
-O-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子の導入 本発明において、植物宿主とは、植物培養細胞、栽培植
物の植物体、植物の器官(例えば葉、花弁、茎、根、根
茎、種子等)、又は組織(例えば表皮、師部、柔組織、木
部、維管束等)のいずれをも意味するものである。ここ
で植物宿主としては、赤かび菌による病害を受けること
が知られているムギ、トウモロコシ、アメリカボウフウ
(parsnip)など様々な植物が挙げられる。
ンスフェラーゼ遺伝子による植物宿主の形質転換は、該
トリコテセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子
を含むベクターをアグロバクテリウムのバイナリーベク
ター法、パーティクルガン法、又はポリエチレングリコ
ール法などで植物宿主に導入することにより行うことが
できる。あるいはプロトプラストにエレクトロポレーシ
ョン法で導入して形質転換することもできる。
は、選択マーカー遺伝子を含むベクターとTri101遺伝子
を含むベクターとを混合して、同時に植物の細胞に撃ち
込むコトランスフォーメーション(co-transformation)
法により行うことができる。形質転換の結果得られるシ
ュート、毛状根などは、細胞培養、組織培養又は器官培
養に用いることが可能であり、また従来知られている植
物組織培養法を用い、適当な濃度の植物ホルモンの投与
などにより植物体に再生させることができる。
ンスフェラーゼ遺伝子が導入された植物は、選択マーカ
ーによるスクリーニング、又はトリコテセン 3-O-アセ
チルトランスフェラーゼ遺伝子若しくはその発現産物の
解析により、トリコテセン 3-O-アセチルトランスフェ
ラーゼ遺伝子を保持する形質転換細胞を選択することが
可能である。
イトを詰めたポットで栽培し、株分けする。このように
して得られたトリコテセン 3-O-アセチルトランスフェ
ラーゼ遺伝子導入植物も、本発明の範囲に含まれる。本
発明によるトリコテセン 3-O-アセチルトランスフェラ
ーゼ遺伝子導入植物は、トリコテセンを産生するフザリ
ウム菌が原因となる各種植物病害を含むストレスに耐性
を付与するものである。
位の分析 得られた形質転換植物及びその次世代に目的とするトリ
コテセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子が組
み込まれていることの確認は、これらの細胞及び組織か
ら常法に従ってDNAを抽出し、公知のPCR法又はサザン分
析を用いて導入した遺伝子を検出することにより行うこ
とができる。
ルトランスフェラーゼ遺伝子の植物組織内での発現部位
は、例えば各組織におけるmRNAの発現又はタンパク質の
発現を解析することにより確認することができる。具体
的には、本発明のトリコテセン 3-O-アセチルトランス
フェラーゼ遺伝子の発現の確認方法として、RT-PCR、ノ
ーザン分析等が挙げられ、トリコテセン 3-O-アセチル
トランスフェラーゼタンパク質の発現の確認方法とし
て、トリコテセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼに
対する抗体を用いたウエスタン分析等が挙げられる。
体 本発明においては、本発明のTRI101タンパク質に対する
抗体を作製することもできる。「抗体」とは、抗原であ
る本発明のタンパク質に結合し得る抗体分子全体または
その断片(例えば、FabまたはF(ab')2断片)を意味し、ポ
リクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であっ
てもよい。
は、種々の方法のいずれかによって製造することができ
る。このような抗体の製造法は当該分野で周知である
[例えばSambrook, J et al., Molecular Cloning, Cold
Spring Harbor Laboratory Press(1989)を参照]。
リクローナル抗体の作製 前記のようにして、遺伝子工学的に作製した本発明のTR
I101タンパク質又はその断片を抗原として、これを哺乳
動物、例えばラット、マウス、ウサギなどに投与する。
抗原の動物1匹当たりの投与量は、アジュバントを用い
るときは1〜500μgである。アジュバントとしては、フ
ロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全ア
ジュバント(FIA)、水酸化アルミニウムアジュバント等
が挙げられる。免疫は、主として静脈内、皮下、腹腔内
等に注入することにより行われる。また、免疫の間隔は
特に限定されず、数日から数週間間隔で、好ましくは1
週間間隔で、5〜10回、好ましくは10回免疫を行う。そ
して、最終の免疫日から5〜20日後に、酵素免疫測定法
(EIA; enzyme immunoassay)、放射性免疫測定法(RIA;
radioimmuno assay)等で抗体価を測定し、最大の抗体価
を示した日に採血し、抗血清を得る。抗血清から抗体の
精製が必要とされる場合は、硫安塩析法、イオン交換ク
ロマトグラフィー、ゲル濾過、アフィニティークロマト
グラフィーなどの公知の方法を適宜選択して、又はこれ
らを組み合わせることにより精製することができる。
ノクローナル抗体の作製 (i) 抗体産生細胞の採取 前記のように、遺伝子工学的に作製した本発明のタンパ
ク質又はその断片を抗原として、哺乳動物、例えばラッ
ト、マウス、ウサギなどに投与する。抗原の動物1匹当
たりの投与量は、アジュバントを用いるときは1〜500
μgである。アジュバントとしては、フロイント完全ア
ジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FI
A)、水酸化アルミニウムアジュバント等が挙げられる。
免疫は、主として静脈内、皮下、腹腔内に注入すること
により行われる。また、免疫の間隔は特に限定されず、
数日から数週間間隔で、好ましくは1〜2週間間隔で、
5〜20回、好ましくは10回免疫を行う。そして、最終の
免疫日から5〜20日後、好ましくは7日後に抗体産生細
胞を採集する。抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リン
パ節細胞、抹消血細胞等が挙げられるが、脾臓細胞又は
局所リンパ節細胞が好ましい。
細胞との細胞融合を行う。抗体産生細胞と融合させるミ
エローマ細胞として、マウスなどの動物の一般に入手可
能な株化細胞を使用することができる。使用する細胞株
としては、薬剤選択性を有し、未融合の状態ではHAT選
択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジンを
含む)で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態での
み生存できる性質を有するものが好ましい。ミエローマ
細胞としては、例えば P3X63-Ag.8.U1(P3U1)、Sp2/O、N
S-Iなどのマウスミエローマ細胞株が挙げられる。
とを細胞融合させる。細胞融合は、血清を含まないDME
M、RPMI-1640培地などの動物細胞培養用培地中で、107
〜109個の抗体産生細胞と106〜108個のミエローマ細胞
とを等容量混合し、細胞融合促進剤存在のもとで融合反
応を行う。細胞融合促進剤として、平均分子量1,500ダ
ルトンのポリエチレングリコール等を使用することがで
きる。また、電気刺激(例えばエレクトロポレーション)
を利用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産生細胞と
ミエローマ細胞とを融合させることもできる。
ング 細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを
選別する。その方法として、細胞懸濁液を例えばウシ胎
児血清含有RPMI-1640培地などで適当に希釈後、マイク
ロタイタープレート上に103〜108個/ウエル程度まき、
各ウエルに選択培地を加え、以後適当に選択培地を交換
して培養を行う。その結果、選択培地で培養開始後、約
14日前後から生育してくる細胞をハイブリドーマとして
得ることができる。
上清中に、目的とする抗体が存在するか否かをスクリー
ニングする。ハイブリドーマのスクリーニングは、通常
の方法に従えばよく、特に限定されない。例えば、ハイ
ブリドーマとして生育したウエルに含まれる培養上清の
一部を採集し、酵素免疫測定法、放射性免疫測定法等に
よって行うことができる。融合細胞のクローニングは、
限界希釈法等により行い、最終的にモノクローナル抗体
産生細胞であるハイブリドーマを樹立する。
する方法として、通常の細胞培養法又は腹水形成法等を
採用することができる。細胞培養法においては、ハイブ
リドーマを10%ウシ胎児血清含有RPMI-1640培地、MEM培
地又は無血清培地等の動物細胞培養培地中で、通常の培
養条件(例えば37℃、5%CO2濃度)で2〜10日間培養
し、その培養上清から抗体を取得する。
の哺乳動物と同種系動物の腹腔内にハイブリドーマを約
1×107個投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させ
る。そして、1〜2週間後に腹水または血清を採集す
る。上記抗体の採取方法において、抗体の精製が必要と
される場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフ
ィー、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィーな
どの公知の方法を適宜選択して、又はこれらを組み合わ
せることにより精製することができる。
ノクローナル抗体が得られた後は、これをリガンドとし
て、固体担体に結合させることによりアフィニティーク
ロマトグラフィーカラムを作製し、そして該カラムを用
い、前記の採取源又は他の採取源から、本発明のTRI101
タンパク質を精製することができる。さらにこれらの抗
体は本発明のTRI101タンパク質を検出するためにウエス
タンブロッティングに用いることもできる。
説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範
囲が限定されるものではない。まず、本発明のトリコテ
セン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子のクロー
ニングに先立ち、トリコテセンのC-3位がアセチル化さ
れることにより、トリコテセンの毒性、すなわち、タン
パク質合成阻害活性が軽減することを確認した。
成阻害活性に及ぼす3-O-アセチル基の影響 (1) in vivoでのトリコテセンのタンパク質合成阻害活
性に及ぼすトリコテセン環に結合した3-O-アセチル基
の影響 トリコテセンのタンパク質合成阻害活性に及ぼす、トリ
コテセン環のC-3位のアセチル化の影響を、ニューカッ
スル病ウイルス感染BHK細胞における赤血球凝集単位を
定量することにより調べた。すなわち、各種濃度のトリ
コテセン含有培地中のBHK細胞に、ニューカッスル病ウ
イルスを感染させ、常法(J.Antibiot. 22:241-247(196
9))により、ウイルスによる糖タンパク質合成を測定し
た。
ロキシル基からアセチル基に変換されることにより、ト
リコテセンのタンパク質阻害活性は約1/4に低下した。
すなわち、ウイルスの赤血球凝集素生合成を50%まで低
下させるのに必要な濃度(IC50)は、図2に示すように、
デオキシニバレノール(DON)が300ng/ml、3-アセチルデ
オキシニバレノールが2000ng/ml、4,15-ジアセトキシシ
ルペノール(DAS)が12ng/ml、3,4,15-トリアセトキシシ
ルペノール(3-ADAS)が35ng/ml、T-2トキシンが3ng/ml、
3-アセチルT-2トキシン(3-AT-2トキシン)が15ng/mlであ
った。
トリコテセンの効果 本実施例では、タンパク質合成に及ぼす3-O-アセチル
トリコテセンの効果を、ウサギ赤血球のタンパク質翻訳
システムを用いる短時間のインキュベーションにより調
べた。すなわち、各種濃度のトリコテセンを含む反応系
にルシフェラーゼmRNAを加え、その翻訳産物の活性を、
ルシフェラーゼアッセイシステムキット(東洋インキ社
製)を用いて測定した。
ンの3-O-アセチル化誘導体のタンパク質合成活性は、
アセチル化されていないトリコテセンに比べて、少なく
とも1/100に低下していた。このように、トリコテセン
のin vitroでのタンパク質合成活性は、3-O-アセチル
化することにより、効果的に低下させることがわかっ
た。
トランスフェラーゼ遺伝子クローニング用宿主の確立 トリコテセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子
をクローニングするためには、cDNA発現ライブラリーか
ら本発明の遺伝子を含有する菌株のスクリーニングに用
いることができる宿主が必要である。そこで本発明の遺
伝子が導入され且つ発現されて初めてトリコテセン耐性
になるような、トリコテセン感受性微生物の探索を行っ
た。その結果、分裂酵母シゾサッカロマイセス・ポンベ
がトリコテセンに非常に感受性であることを見出した。
ATCC 38436を100mlのYEL培地(0.5%酵母エキス、3.0%
グルコース)で、28℃、2日間培養し、得られた培養物
(8.8×107細胞/mlの細胞密度)を滅菌水で10倍に希釈
後、そのうち2mlをYPG軟寒天培地(1.0%酵母エキス、
1.0%ペプトン、2.0%グルコース、1.0%寒天)4mlに加
え、予め作製しておいたYEA寒天培地(0.5酵母エキス、
3.0%グルコース、2.0%寒天)プレート(90×15mmシャー
レ(IWAKI社製))に重層した。そして固化後、T-2トキシ
ン、3-アセチルT-2トキシン、HT-2トキシン、トリコテ
シンのエタノール希釈液を、目的の絶対量になるように
ペーパーディスク(ADVATEC社製)上に滴下し、ディスク
を乾燥後、プレート上に配置した。
後、ペーパーディスクの周りに形成された阻止円の直径
を計測した(表1)。その結果、T-2トキシンを用いた場
合に、他のトリコテセンに比べ、最も少量(2.5μg)でシ
ゾサッカロマイセス・ポンベの増殖を最も顕著に抑制す
ることができ(阻止円の直径=25mm)、そのアセチル化体
である3-アセチルT-2トキシンでは、その50倍量(125μ
g)でさえも生育阻害は起こらなかった。このことによ
り、トリコテセントランスフェラーゼ遺伝子のクローニ
ング用の宿主としてシゾサッカロマイセス・ポンベを用
いることができることがわかった。すなわち、cDNAライ
ブラリー遺伝子でシゾサッカロマイセス・ポンベを形質
転換後、得られる形質転換体を、通常ではシゾサッカロ
マイセス・ポンベが生育できない濃度のトリコテセンを
含有する培地に植え、そこで生育することができるよう
になった形質転換体をスクリーニングすることにより、
トリコテセントランスフェラーゼ遺伝子の保有株をスク
リーニングすることができることがわかった。
におけるトリコテセン3-O-アセチルトランスフェラー
ゼ活性の測定 フザリウム・グラミネアラムからトリコテセン 3-O-ア
セチルトランスフェラーゼ遺伝子をクローニングするに
当って、まず、該菌株が、実際にトリコテセン3-O-ア
セチルトランスフェラーゼ遺伝子を保有していること
を、該菌株のトリコテセン 3-O-アセチルトランスフェ
ラーゼ活性を測定することにより調べた。
製 フザリウム・グラミネアラムのトリコテセン 3-O-アセ
チルトランスフェラーゼ活性を測定するために、該菌株
の胞子を調製した。すなわち、PDA培地(日水製薬社製)
で培養したフザリウム・グラミネアラムの菌体を培地ご
と一部切り取り、100ml CMC培地(1.5%カルボキシメチ
ルセルロース、0.1%NH4NO3、0.1%KH2PO4、0.05%MgSO
4・7H2O、0.1%酵母エキス)に植菌し、28℃で4日間振盪
培養した。これをG3グラスフィルター又は 40mmナイロ
ンメッシュ(FALCON社製)で菌糸体を除去した後、遠心分
離により胞子を集め、20%グリセロールに懸濁後、-80
℃で保存した。フザリウム・グラミネアラムの大型分生
胞子は100mlのCMC培地あたり、約 105〜106個得られ、2
0%グリセロールでのストックは 1年以上の後も十分な
発芽力を有していた。
テセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ活性 フザリウム・グラミネアラムのトリコテセン 3-O-アセ
チルトランスフェラーゼ活性は、T-2トキシンを含む培
地で本菌を培養し、培養ブロース中からアセチル化T-2
トキシンを検出することにより調べた。すなわち、ま
ず、6穴の細胞培養プレート(CORNING社製)を用い、30
μg/ml T-2トキシンを含む3mlのYG培地(0.5%酵母エキ
ス、2.0%グルコース)に、上記(1)で調製した本菌の大
型分生胞子約105個を植菌し、28℃で、3日間静置培養
した。得られた培養物をグラスフィルターで濾過するこ
とにより菌体を取り除き、残った培養濾液に等量の酢酸
エチルを加え、3回抽出操作を行った。ここでコントロ
ールとしては、T-2トキシンを加えない培地で菌体を培
養した培養濾液、及びT-2トキシンは含むが菌体を植菌
しなかった培地から、先の同様に抽出操作を行ったもの
を設定した。
ホルムに溶解後、薄層クロマトグラフィー(TLC)を行っ
た。サンプルを、厚さ0.25 mm の薄層プレート(Kiesel
gel 60 F254;MERCK社製)にスポットし、クロロホル
ム:メタノール=97:3の展開溶媒を用い展開した。こ
こで、標準サンプルとして、和光純薬工業社製のT-2ト
キシン及びSIGMA社製のアセチルT-2トキシン10〜20mgを
用い、これらの標準サンプルを、エタノールに溶解した
ものを同時にスポットした。展開終了後、溶媒を蒸発さ
せ、次いでTakitaniらによる12,13-エポキシ基特異的発
色反応法[Takitani,S. J. Chromatogr. 172:335-342(19
79)]を用いて、トリコテセンを検出した。すなわち、先
のプレートに、1% 4-(p-ニトロベンジル)ピリジン(NB
P)溶液(溶媒はクロロホルム:四塩化炭素=2:3)を吹き
付けた後、150℃で30分間加熱し、次いで10%テトラエ
チレンペンタミン(TEPA)(溶媒はクロロホルム:四塩化
炭素=2:3)を噴霧した。
培養濾液中に、Rf値 0.48〜0.51の位置にT-2トキシンの
青紫色のスポットが、Rf値0.48〜0.51の位置にアセチル
T-2トキシンの青紫色のスポットが検出され、フザリウ
ム・グラミネアラムがT-2トキシンをアセチル化する活性
を有していることを確認した。
コテセンアセチルトランズフェラーゼ遺伝子のクローニ
ング (1) フザリウム・グラミネアラムの菌体調製 90×15mmシャーレ(IWAKI社製)を用い、30mg/mlの濃度の
T-2トキシンを含有する20mlのYPG培地(1.0%酵母エキ
ス、1.0%ペプトン、2.0%グルコース)を調製し、そこ
に実施例3の(1)で調製したフザリウム・グラミネアラ
ムの大型分生胞子4×103個を植菌し4日間培養した。こ
の間、トリコテセン3-O-アセチルトランスフェラーゼ
遺伝子の発現を常に維持するため、24時間毎に5mg/ml T
-2トキシン(50%エタノール溶液)120μlを添加した。ま
た、72時間後には10mlのYPG培地も添加した。そして培
養3日目の T-2トキシン添加6時間後に、ブフナー漏斗
で吸引濾過することにより菌体を回収した。得られた菌
体は液体窒素で急速凍結し、-150℃で保存した。
mRNA Isolation Kit(INVITROGEN社製)を用いmRNAを抽
出した。すなわち湿重量約1gの菌体を液体窒素中で乳
鉢を用い摩砕し、Fast Track溶解バッファーに懸濁後、
18ゲージの針を通した。これを45℃で、60分間インキュ
ベートした後、4000×gで5分間遠心し、得られた沈殿
物を5M NaClに溶解し、オリゴ(dT)セルロースタブレッ
トを加え、ときどき混合しながら、室温で30分間インキ
ュベートした。次いでオリゴ(dT)セルロースタブレット
を含むサンプルを、4000×gで5分間遠心し、得られた
沈殿物をバイディングバッファーに懸濁後再度遠心し
た。次いでその沈殿物を低塩洗浄バッファーに懸濁し遠
心した。これを濁りがなくなるまで繰り返し、沈殿を低
塩洗浄バッファーに懸濁後、スピンカラム(INVITROGEN
社製)に供試し、該カラムを5000×gで10秒間遠心した。
次に、低塩洗浄バッファーでスピンカラムを満たし遠心
した。これを数回繰り返した後、溶出バッファーを加え
遠心することによってmRNAを溶出した。溶出したmRNA溶
液は、エタノール沈殿の後、溶出バッファーに懸濁する
ことによりmRNAを得た。吸光度法により測定したとこ
ろ、1gの菌体から得られたmRNAの量は13mgであった。
cDNAを合成した。すなわち、上記(1)で調製した約2.6mg
の mRNAにNotIプライマー-アダプターを加え、70℃、30
分間インキュベートした後、氷中で急氷冷した。これに
5×第一鎖合成用バッファー、0.1M DTT、10mM dNTP mi
xを加え、37℃で2分間プレインキュベートした後、逆
転写酵素Superscript RT(GIBCO BRL社製)を加え、37℃
で1時間インキュベートすることにより、第一鎖を合成
した。次いで、氷冷し、5×第二鎖合成用バッファー、1
0 mM dNTP mix、E.coli DNAリガーゼ、E.coli DNAポリ
メラーゼI、E.coli RNase Hを加え、16℃で2時間イン
キュベートすることにより、第二鎖を合成した。合成し
た二本鎖cDNAは T4 DNAポリメラーゼで末端を平滑化
し、次いでフェノール・クロロホルム抽出、エタノール
沈殿の後、5×T4 DNAリガーゼバッファー、SalIアダプ
ター、T4 DNAリガーゼを加え、16℃で一晩インキュベー
トすることにより、末端に SalIアダプターを付加し
た。
ルム抽出した後、予めNotIバッファーで平衡化した cDN
A Spun Column(Pharmacia LKB Biotechnology社製)を用
い、前記得られたcDNA溶液について、バッファー交換を
行った後、NotIで消化した。このようにしてcDNAの上流
側にSalI切断部位、下流側にNotI切断部位を導入した。
ッファー(0.1mM EDTA、25mM NaCl、10mM Tris-HCl、pH
8.0)で平衡化した cDNA Spun Column(Pharmacia LKB B
iotechnology社製)によりアダプター等を除去した後、
同バッファーで平衡化した付属のセファクリルS-500 HR
クロマトグラフィーカラム(ベッド容量1ml、GIBCO BRL
社製)にcDNA溶液を供試し、1〜20番目の画分(50μl/画
分)を分取することによりcDNAを精製した。
13、15、17の一部を pcDSP21の NotI-SalI間にライゲー
ションし、大腸菌DH5に形質転換後、100μg/mlのアンピ
シリンを含むLB寒天培地(1.0%トリプトン、0.5%酵母
エキス、1.0%NaCl、1.5%寒天)に塗抹し、37℃で一晩
培養した。得られた形質転換コロニーをLB液体培地に植
菌し、増殖菌体からプラスミドを回収後、制限酵素処理
により、その挿入cDNA断片の長さを確認した。その結
果、各画分のcDNA断片の平均長は、画分11で約450bp、
画分13で約60bp、画分15及び17ではそれ以下であった。
そこで挿入断片長を有する画分10〜13をライブラリーの
作成に用いることとした。
先と同様に酵母−大腸菌間シャトルベクターpcDSP21に
連結し、大腸菌DH5に形質転換後、100μg/mlのアンピシ
リンを含むLB寒天培地に塗抹した。37℃で一晩培養した
ところ、合計約20000クローンのコロニーが得られた。
形質転換コロニーの出現したシャーレに、1枚当たり2
mlの2×YT(1.6%トリプトン、1.0%酵母エキス、0.5%
NaCl)を加え、コロニーを十分に懸濁した。これを100μ
g/mlのアンピシリンを含む 80mlの2×YTに植菌し、37
℃で2時間培養後、30mg/mlクロラムフェニコールを500
μl加え、さらに一晩培養した。その後、増殖菌体から
プラスミドDNAを回収し、TEバッファーで1mg/mlの濃度
になるように調製後、シゾサッカロマイセス・ポンベの
形質転換に用いた。
質転換とT-2トキシン耐性株のスクリーニング 上記(4)で調製したフザリウム・グラミネアラムのcDNA
ライブラリーを用い、実施例2で選択したシゾサッカロ
マイセス・ポンベATCC38436(ura4-294h-)を、高効率ア
ルカリカチオン法[Nucleic Acids Res. 18:6485〜6489
(1990)]により形質転換し、T-2トキシン耐性となった菌
をスクリーニングした。すなわち、28℃で3〜5 日間YEA
寒天培地上で培養した菌体を、150μg/mlのウラシルを
含む100 ml MB培地(培地1リットル当り:0.5g KH2PO4、
0.36g CH3COOK、0.5g MgSO4・7H2O、0.1g NaCl、0.1g Ca
Cl2・2H2O、5g (NH4)2SO4、500mg H3BO4、40mg CuSO4・5H
2O、100mg KI、200mg FeCl3・6H2O、400mg MnSO4・H2O、2
00mg Na2MoO4・2H2O、400mgZnSO4・7H2O、5gグルコース、
10mgビオチン、1mgパントテン酸カルシウム、10mgニコ
チン酸、10mgミオイノシトール)に108個の細胞を植菌
し、28℃で5×106細胞/mlになるまで振盪培養した。こ
れを1000×gで5分間の遠心により集菌し、滅菌ミリQ水
で洗浄後、0.1M酢酸リチウムで109細胞/mlに懸濁、100
μlずつチューブに分け、28℃で1時間インキュベート
することによりコンピテント状態となった酵母細胞を得
た。
プラスミドDNA溶液15μlと50%ポリエチレングリコール
4000(w/vH2O) 290μlを加え、28℃で1時間インキュベ
ートした。次に、42℃で15分間のヒートショックを与
え、室温に15分間、放置した後集菌し、1 ml 1/2×YEL
に懸濁し、28℃で2時間インキュベートした。次に、MM
A培地(培地1リットル当り:1g KH2PO4、0.36g CH3COO
K、0.5g MgSO4・7H2O、0.1g NaCl、0.1g CaCl2・2H2O、5
g (NH4)2SO4、500mg H3BO4、40mg CuSO4・5H2O、100mg K
I、200mg FeCl3・6H2O、400mg MnSO4・H2O、200mg Na2MoO
4・2H2O、400mg ZnSO4・7H2O、10gグルコース、10mgビオ
チン、1mgパントテン酸カルシウム、10mgニコチン酸、
10mgミオイノシトール、20g寒天)でのスクリーニングの
際の1/2×YELからのウラシル持ち込みによる偽形質転換
体の出現を防ぐため、滅菌ミリQ水で菌体を洗浄し、そ
の後プレートに塗抹した。
法で行った。第1の方法は、最小培地 MMAで 1次スクリ
ーニングを行った後に、形成されたコロニーを 15 μg/
mlのT-2トキシンを含む YEAプレートにレプリカし、2
次スクリーニングを行う2段階選択である。この時 MMA
プレートには菌体を 2.5×106 細胞/プレート塗抹し、
レプリカには Repliplate Colony Transfer Pad(FMC社
製)を用いた。第2の方法は、T-2 トキシンでの直接選
択である。これは 20 μg/ml T-2トキシンを含む YEAプ
レートに菌体を 107細胞/プレート塗抹して行った。
を含む YEAプレートによる2段階選択では、MMA培地で
約 42000コロニーの形質転換体が得られ、レプリカの結
果そのうち 21 クローンが T-2トキシン耐性クローンと
して得られた。また、20 mg/ml T-2トキシンを含む YEA
プレートでの直接選択では 4クローンが T-2トキシン耐
性クローンとして得られた。この全部で 25個のクロー
ンを 100 mg/ml T-2トキシンを含む YEAプレートに移植
した結果、すべてがコロニーを形成し、これらはすべて
明らかに T-2トキシン耐性であった。25個の T-2トキシ
ン耐性クローンの T-2トキシンに対する活性を TLCで確
認した結果、すべてが T-2トキシンC-3 位のアセチル化
活性を示し、他の活性を示すものはなかった。
与するベクターの回収 T-2トキシン耐性クローンから、Morenoらの方法[Method
s Enzymol 194:795-823(1991)]に従い、T-2トキシン耐
性付与にを担っているプラスミドを回収した。すなわ
ち、陽性クローンを、10ml MML(培地1リットル当り:
1g KH2PO4、0.36gCH3COOK、0.5g MgSO4・7H2O、0.1g Na
Cl、0.1g CaCl2・2H2O、5 g (NH4)2SO4、500mg H3BO4、4
0mg CuSO4・5H2O、100mg KI、200mg FeCl3・6H2O、400mg
MnSO4・H2O、200mg Na2MoO4・2H2O、400mg ZnSO4・7H2O、1
0gグルコース、10mgビオチン、1mgパントテン酸カルシ
ウム、10mgニコチン酸、10mgミオイノシトール)に1白
金耳植菌し、28℃で1日振盪培養した。これを遠心によ
り集菌しミリQ水で洗浄後、4mg/ml Zymolyase-20T(生
化学工業社製)を含む 1.5mlのクエン酸バッファー(50m
Mクエン酸/リン酸, pH5.6, 1.2 Mソルビトール)に懸濁
し、37℃で2時間インキュベートした。この間ときどき
チューブを振り、細胞が沈殿してしまうのを防いだ。次
に遠心後、沈殿を 300mlの TEバッファーに懸濁し、そ
こに35mlの10%SDSを加え混合し、65℃で5 分間インキ
ュベートした。これに100mlの5M酢酸カリウムを加え
混合し、氷中に30分間静置した。次いで4℃、15000rpm
で10分間の遠心後、上清を取り、そこにGENECLEAN II K
it(BIO 101社製)のNaI溶液を倍量と、5ml GLASSMILK
(BIO 101社製)とを加え混合した後、再度氷中に 5〜10
分間静置した。
乾燥の後20mlのTEバッファーに懸濁、55〜60℃で2分間
インキュベートし溶出させた。これを遠心し上清を回収
した。得られたDNA溶液を200μlの大腸菌DH5αのコンピ
テントセルに形質転換し、形質転換体からプラスミドを
調整し以後の解析に供した。
ベクターの多くは、制限酵素処理の結果酵母内でリアレ
ンジメントが起こっていることが確認された。これらの
うちの1つpTR19-1(図4)は、ベクターpcDSP21 の領域
を重複して持っていた。そこでこれをNotIで消化し、重
複したベクター領域を除去したpTR19-1-4(図4)を構築
した。次いでpTR19-1、pTR19-1-4 をそれぞれ再度分裂
酵母に形質転換し、得られた形質転換体のT-2トキシン
アセチル化活性をTLCで確認したところ、両者ともに活
性を有していた。
一連の欠失クローンの塩基配列を決定することにより両
方向から決定した。そのcDNAは451アミノ酸のタンパク
質(配列番号2)をコードする唯一のオープンリーディン
グフレームを含んでいた。推定開始コドンの近傍には、
糸状菌に関して高度に保存されたコンセンサス配列が観
察された。次いで、DDBJ/EMBL/GenBankTMにより配列番
号1の塩基配列を検索したが、同一の配列は存在せず、
またSWISS PROTを用いてその塩基配列から予想される配
列番号2のアミノ酸配列の検索を行ったが、同一の配列
は存在しなかった。
cDNA配列の解析 塩基配列の結果から、目的とするアセチルトランスフェ
ラーゼ遺伝子の全長が得られている可能性が高かった
が、pcDSP21は、SV40初期プロモーターの下流域に図4
のように16S、19Sスプライス部位が組み込まれているた
め、得られたcDNAクローンがその開始コドンを欠くもの
であっても、もしフレームが合えば、図4のように19S
スプライシング後、スプライス受容部位AGの直後にある
ATGを翻訳開始コドンとして利用し、発現している可能
性がある。この可能性に関して検討するため、16S,19S
スプライス部位を持たない SV40初期プロモーターの下
流にTri101遺伝子を組み込んだ pUCSVTri101を構築し
た。このベクターは分裂酵母のARSを持たないため、Pst
Iで消化し線状化したARSを持つpAU9[Nucleic Acids Re
s. 18:6485-6489(1990)]とのコトランスフォーメーショ
ンにより、酵母内でコンカテマーを形成させ、その形質
転換体を得た。この形質転換体のT-2アセチル化活性を
調べたところ、pTR19-1、pTR19-1-4と同様に活性を示し
た。よって、この cDNA クローンはトリコテセンアセチ
ルトランスフェラーゼの全長を含むものであることが確
認された。
現 (1) Tri101遺伝子発現ベクターの構築 実施例2で得られたTri101遺伝子の配列をもとにPCRプ
ライマーを合成した。すなわち、センスプライマーとし
て、5'-CACCACCCATATGGCTTTC-3'(配列番号3)を、アン
チセンスプライマーとして、5'-GTCTAGGATCCTAATCTAAC-
3'(配列番号4)を合成した。ここでこれらのプライマー
には、増幅したPCR断片を、発現ベクターに目的の方向
性で連結することができるようにセンスプライマーには
NdeI切断部位を、アンチセンスプライマーにはBamHI切
断部位を導入した。これらのプライマーを用い、pUCSVT
ri101を鋳型としてPCRを行った。PCRの反応液の組成は
以下の通りである。
た、94℃で30秒間の熱変性、55℃で1分間のアニーリン
グ、72℃で2分間(最終サイクルのみ5分間)の伸長反応
を1サイクルとして、25サイクル行った。反応終了後、
フェノール/クロロホルム100μlを加え混合し、25℃、
8000×gで5分間遠心し、上層を新しいマイクロチュー
ブに回収した。回収量を増すため、残ったフェノール/
クロロホルム層にTEを100μl添加し混合後、同条件で遠
心分離を行った。それぞれの水層画分約200μlに、20μ
lの3M酢酸ナトリウム、及び500μlのエタノールを加
え、よく混合後、4℃、8000×gで20分間遠心しPCR産物
をペレット化した。
NdeI及びBamHIで消化し、フェノール抽出、エタノール
沈殿を行った。PCR産物を回収した後、20μlのTEに溶解
した。次いで、このPCR産物を、NdeI及びBamHIで二重消
化した発現ベクターpET-19b(Novagen社製)に連結し、Tr
i101遺伝子発現用のベクターpET-19bTri101を得た。
チルトランスフェラーゼの発現 上記(1)で構築したTri101遺伝子発現用のベクターpET-1
9bTri101を大腸菌HMS174(DE3)(Novagen社製)に塩化ルビ
ジウム法により形質転換した。形質転換処理後、菌を、
100μg/mlの濃度でアンピシリンを含有するLB寒天培地
(1.0%トリプトン、0.5%酵母エキス、1.0%NaCl、1.5
%寒天、pH 7.0)に塗抹し、37℃で一晩培養した。プレ
ート上に出現したコロニーをLB液体培地1.5mlに植菌
し、37℃で一晩前培養後、同培地100mlにその一部を植
菌しでOD660が0.6になったところで、終濃度1mMになる
ようにイソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトシドを添加
した。添加2時間後に大腸菌を集菌し、10mM Tris-HCl(p
H 7.5)10mlに懸濁した。次いで細胞を超音波破砕機(TOM
Y社製)で破砕後、12,000×g、4℃で20分間超遠心し、
得られた上清を粗酵素画分とした。図5は、発現された
組換えTRI101タンパク質のSDS-ポリアクリルアミドゲル
電気泳動の結果を示す写真である。レーン1はIPTGによ
る誘導をかけた場合の大腸菌の総タンパク質であり、レ
ーン2はIPTGによる誘導をかけた場合の大腸菌の総タン
パク質である。レーン2からも明らかなように、組換え
TRI101タンパク質は約46キロダルトン(推定分子量46,00
0)の位置に見出された。
定 上記(2)で得られた粗酵素画分のアセチルトランスフェ
ラーゼ活性を測定した。すなわち、以下の組成の反応液
に前記の粗酵素画分100μlを添加した。 10mM Tris-HCl(pH 7.5) 3.66ml 5mg/mlトリコテセン(50%エタノールに溶解したもの) 200μl 100mMアセチル-CoA 4 0μl 全量 3.9ml
ュベートした。インキュベート後、反応液を、酢酸エチ
ルで抽出し、得られた抽出物を濃縮後、全量の1/50量を
薄層クロマトグラフィー分析に、残りを1H-NMR分析に供
した。その結果、基質トリコテセンがC-3アセチル化さ
れていることを確認した。なお、図6は薄層クロマトグ
ラフィーの結果を示す写真である。
ベにおける選択マーカーとしてのTri101遺伝子の利用 薬剤を不活性化することにより耐性を付与する真核生物
由来の選択マーカーはブラストサイジンS耐性遺伝子(B
SD)やカスガマイシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝
子など数例しか知られていない。Tri101遺伝子を選択マ
ーカーとして用いた場合の形質転換効率を、URA3遺伝子
及びBSD遺伝子を用いた場合の形質転換効率と比較する
試験を行った。すなわち、シゾサッカロマイセス・ポン
ベ細胞を、導入ベクターpBRARS(ARSを含む)とともに、p
BRURA3(URA3遺伝子を含む)、pUCSVBSD(BSD遺伝子を含
む)[Biochim. Biophys. Acta 1219:653-659(1994)]、pU
CSVTri101(Tri101遺伝子を含む)のいずれかでコトラン
スフェクトし、所望の型の形質転換体を選択するための
寒天培地に、形質転換体を播種した。ここでpBRARSプラ
スミド及びpBRURA3プラスミドは、それぞれARS遺伝子を
含有するEcoRI断片、及びURA3遺伝子を含有するPvuII-H
indIII断片を、pAU9プラスミド[Nucleic Acids Res. 1
8:6485-6489(1990)]から切り出すことにより構築し
た。表2に示したように、Tri101遺伝子を選択マーカー
として用いた場合(表2のpUCSVTri101)の形質転換率
は、1μgのベクターDNA当り5.7×102個、2.0×102個で
あった。従って、本発明のTri101遺伝子は、シゾサッカ
ロマイセス・ポンベを含む真核生物の選択マーカー遺伝
子として利用可能であることがわかった。
として含むマイコトキシン防除剤及び赤かび病抑制剤 実施例5で調製した組換えTRI101タンパク質を用いて、
TRI101タンパク質を有効成分として含むマイコトキシン
防除剤を調製した。すなわち、実施例5(2)で調製した
組換えTRI101タンパク質を含む大腸菌の粗酵素画分50ml
を凍結乾燥することにより水分を除去し、100mM Tris-H
Clバッファー2mlに溶解した。次いで、この溶解したTR
I101タンパク質を含む粗酵素画分2mlを、同100mM Tris
-HClバッファーで平衡化したベッドサイズ2.6×65cmのS
ephacrylTM S-100HR(ファルマシア社製)にアプライし、
ゲル濾過を行った。ここでゲル濾過は、5℃で行い、1
ml/mlの流速で1画分5mlずつ分取した。各画分につい
て、トリコテセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ活
性を実施例5(3)と同様にして測定し、活性の検出され
た30〜37画分をプールした。プールした活性画分約40ml
を凍結乾燥し、得られた凍結乾燥物を、粗TRI101タンパ
ク質凍結乾燥物として、以下のマイコトキシン防除剤及
び赤かび病菌抑制剤として調製に用いた。
病菌抑制剤の、トリコテセン 3-O-アセチルトランスフ
ェラーゼ活性を、実施例5(3)と同様の手順で測定した
ところ、トリコテセンがアセチル化されることを確認し
た。
チルトランスフェラーゼ遺伝子が提供される。本発明の
遺伝子は、真核細胞を宿主とする遺伝子操作において選
択マーカーとして有用である。
されているトリコテセンの生合成経路を示す図である。
-O-アセチル誘導体との間の毒性の比較を示す図であ
る。
3-O-アセチル誘導体との間の毒性の比較を示す図であ
る。
ある。
示す写真である。
る。
工業技術研究所
工業技術研究所
Claims (11)
- 【請求項1】 以下の(a)又は(b)の組換えタンパク質。 (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパ
ク質 (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において少なく
とも1個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列からなり、かつトリコテセン 3-O-アセチル
トランスフェラーゼ活性を有するタンパク質 - 【請求項2】 以下の(a)又は(b)のタンパク質をコード
するトリコテセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ遺
伝子。 (a) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパ
ク質 (b) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において少なく
とも1個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列からなり、かつトリコテセン 3-O-アセチル
トランスフェラーゼ活性を有するタンパク質 - 【請求項3】 以下の(c)又は(d)のDNAを含む遺伝子。 (c) 配列番号1で表される塩基配列からなるDNA (d) 配列番号1で表される塩基配列からなるDNAとスト
リンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつトリコ
テセン 3-O-アセチルトランスフェラーゼ活性を有する
タンパク質をコードするDNA - 【請求項4】 請求項2又は3記載の遺伝子を含有する
組換えベクター。 - 【請求項5】 請求項4記載の組換えベクターを含む形
質転換体。 - 【請求項6】 請求項5記載の形質転換体を培地に培養
し、得られる培養物からトリコテセン 3-O-アセチルト
ランスフェラーゼを採取することを特徴とするトリコテ
セン 3-O-アセチルトランスフェラーゼの製造方法。 - 【請求項7】 請求項2又は3記載の遺伝子をマーカー
遺伝子として使用する方法。 - 【請求項8】 請求項2又は3のいずれか1項に記載の
遺伝子を含むトランスジェニック植物。 - 【請求項9】 植物がムギである請求項8記載のトラン
スジェニック植物。 - 【請求項10】トリコテセン 3-O-アセチルトランスフ
ェラーゼを有効成分として含むマイコトキシン防除剤。 - 【請求項11】トリコテセン 3-O-アセチルトランスフ
ェラーゼを有効成分として含む赤かび病菌抑制剤。
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JP10200280A JP2000032985A (ja) | 1998-07-15 | 1998-07-15 | トリコテセン 3−o−アセチルトランスフェラーゼ遺伝子 |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2000060061A3 (en) * | 1999-03-31 | 2001-04-19 | Novartis Ag | Transgenic plant resistant to mycotoxins and methods |
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CN112626046A (zh) * | 2020-12-24 | 2021-04-09 | 广东省微生物研究所(广东省微生物分析检测中心) | 一种能抗b型和d型单端孢霉烯族毒素的酰基转移酶gantb及其应用 |
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1998
- 1998-07-15 JP JP10200280A patent/JP2000032985A/ja active Pending
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CN112626046B (zh) * | 2020-12-24 | 2022-11-22 | 广东省微生物研究所(广东省微生物分析检测中心) | 一种能抗b型和d型单端孢霉烯族毒素的酰基转移酶gantb及其应用 |
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