JP2000024586A - 円筒または円柱状基材上へのフッ素樹脂被覆方法 - Google Patents

円筒または円柱状基材上へのフッ素樹脂被覆方法

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JP2000024586A
JP2000024586A JP10198731A JP19873198A JP2000024586A JP 2000024586 A JP2000024586 A JP 2000024586A JP 10198731 A JP10198731 A JP 10198731A JP 19873198 A JP19873198 A JP 19873198A JP 2000024586 A JP2000024586 A JP 2000024586A
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Masaaki Takahashi
正明 高橋
Hideo Kawamoto
英雄 川元
Osamu Saotome
修 五月女
Kazuo Kishino
一夫 岸野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 面転写部分の軸方向の中央部と端部において
面転写にかかる時間の差をなくし、一定の時間で均一な
面転写を行うこと。 【解決手段】 円筒または円柱状基材上にフッ素樹脂の
粉体またはそれらの水性塗料をコーティングした後、も
しくは形成したフッ素樹脂をあらかじめ予備加熱焼成成
膜した後、該基材上のフッ素樹脂層の外側に円筒状の面
転写部材を配し、赤外線ヒータを加熱手段として面転写
部材の外側より加熱することにより、面転写部材の表面
模様をフッ素樹脂層表面に転写させるフッ素樹脂被覆方
法において、加熱される円筒または円柱状基材を保持し
回転させる軸部分に断熱層を設けることを特徴とするフ
ッ素樹脂被覆方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円筒または円柱状
基材上へのフッ素樹脂被覆方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、円筒または円柱状基材もしくは弾
性体上へのフッ素樹脂被覆方法としては、基材もしくは
弾性体上にフッ素樹脂粉体またはフッ素樹脂分散液を塗
装した後、加熱焼成する方法が用いられている。上記フ
ッ素樹脂を加熱焼成する際には、フッ素樹脂の融点以上
に加熱し、焼成成膜する方法が採用されている。
【0003】本発明者等は、フッ素樹脂の焼成成膜時
に、基材もしくは弾性体とフッ素樹脂の外側に配した面
転写部材とでフッ素樹脂を加圧と同時に加熱することに
より、フッ素樹脂表面に面転写部材の表面模様を転写す
る方法を提案している。
【0004】また、本発明者等は、フッ素樹脂の焼成成
膜時に、基材もしくは弾性体とフッ素樹脂の外側に円筒
状の面転写部材を配し、赤外線ヒータを加熱手段として
用いて面転写部材の外側より直接表面を加熱すること
で、フッ素樹脂を加圧と同時に加熱することにより、フ
ッ素樹脂表面に、面転写部材の表面模様を転写する方法
を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のフッ素樹脂被覆
方法には、次のような問題点がある。
【0006】すなわち、弾性体上にフッ素樹脂を塗装
し、加熱焼成する場合、フッ素樹脂の溶融粘度が極めて
高いため、フッ素樹脂の融点よりかなり高い温度で加熱
焼成しても、成膜したフッ素樹脂層の平滑性は低い。
【0007】また、上記のようなフッ素樹脂焼成条件を
実行した場合、その温度に十分に耐え得る弾性体が存在
しないため、弾性体に極めて大きなダメージを与える結
果となる。
【0008】この問題の解決を目的として本発明者等
は、弾性体とフッ素樹脂層の外側に配した面転写部材と
の間で、フッ素樹脂層を加圧し、面転写部材の表面模様
をフッ素樹脂表面に転写しながら、フッ素樹脂の加熱焼
成成膜を行う方法を提案した。その結果、フッ素樹脂の
表面模様を制御しながら、フッ素樹脂を従来よりも低い
温度で成膜することが可能となり、下材であるゴムのダ
メージを比較的抑えることができるようになった。しか
しながら、この方法においても、ゴムのダメージを完全
に抑えることはできなかった。
【0009】このため、本発明者等は、基材もしくは弾
性体とフッ素樹脂の外側に円筒状の面転写部材を配し、
赤外線ヒータを加熱の手段として用い、面転写部材の外
側より直接表面を加熱することで、下材であるゴムのダ
メージを抑えることができるようになった。
【0010】しかしながら、この方法において、熱伝導
のよいアルミ合金芯金の上にゴム層を有するような基材
にフッ素樹脂を焼成成膜する際には、基材もしくは弾性
体とフッ素樹脂の外側に円筒状の面転写部材を配し、面
転写部分とほぼ同長の赤外線ヒータ(1本)を加熱の手
段として用い、アルミ合金芯金を保持回転させながら面
転写部材の外側より直接表面を加熱する場合は、面転写
部分の軸方向の中央部と端部において面転写に要する時
間に差ができることが認められた。このため一定の焼成
時間では端部のほうが面転写が不完全となり、端部まで
十分に行おうとすると中央部が加熱過剰となり、ゴムを
劣化させる可能性を認めた。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、円
筒または円柱状基材上にフッ素樹脂の粉体またはそれら
の水性塗料をコーティングした後、もしくは形成したフ
ッ素樹脂層をあらかじめ予備加熱焼成成膜した後、該基
材上のフッ素樹脂層の外側に円筒状の面転写部材を配
し、赤外線ヒータを加熱手段として面転写部材の外側よ
り加熱することにより、面転写部材の表面模様をフッ素
樹脂層表面に転写させるフッ素樹脂被覆方法において、
加熱される円筒または円柱状基材を保持し回転させる軸
部分に断熱部材を設けることを特徴とするフッ素樹脂被
覆方法である。
【0012】上記した本発明において、断熱部材が熱伝
導率0.3kcal/mhr℃以下の材質で形成されて
いることが好ましい。
【0013】また、加熱手段として用いる赤外線ヒータ
にさらに面転写部分の端部を加熱する補助赤外線ヒータ
を設けることが好ましい。
【0014】更に、加熱手段として用いる赤外線ヒータ
を有効長>面転写部分長の関係とすることがさらに好ま
しい。
【0015】上記した本発明によれば、円筒または円柱
状基材上にフッ素樹脂、例えばフッソ樹脂(FEP),
PFA,PTFE等の粉体またはそれらの水性塗料をコ
ーティングした後、もしくは形成したフッ素樹脂層をあ
らかじめ予備加熱焼成成膜し、基材上のフッ素樹脂層の
外側に配した円筒状の面転写部材との間で、基材と面転
写部材の熱膨張率の差を利用しフッ素樹脂層を加圧する
際の加熱方法として赤外線ヒータを用いて面転写部材の
外側より加熱することにより、基材表層のフッ素樹脂層
をより効率的に加熱することが可能となり、基層に劣化
を与えずに面転写部材の表面模様を、フッ素樹脂層表面
に転写させるものである。かくして、従来表面模様およ
び粗さの制御の困難であったフッ素樹脂の表面に、任意
の模様および粗さを付与することが可能となる。
【0016】また、本発明はこの方法において、面転写
部分とほぼ同長の赤外線ヒータ1本を加熱手段として用
い、円筒または円柱状基材の芯金部分を保持回転させな
がら、面転写部材の外側より直接表面を加熱する際に、
加熱される円筒または円柱状基材を保持し回転させる軸
部分に断熱部材を設けることにより軸部分からの熱の分
散を遮断することができ、面転写部分の軸方向の中央部
と端部において面転写にかかる時間の差をなくし、一定
の時間で均一な面転写を行うことができる。用いられる
断熱部材としては、例えば以下に示すものをその代表例
として挙げることができる。
【0017】 PPS (ポリフェニレンサルファイト樹脂)熱伝導率 0・24(kcal/mhr ℃) PI (ポリイミド樹脂) 0.25 PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂) 0.22 PFA (フッ素樹脂) 0.22 また、特に熱伝導のよいアルミ合金製芯金上に、ゴム層
が存在するような基材でアルミ合金芯金の熱容量が大き
い場合には、上記した加熱される円筒または円柱状基材
を保持し回転させる軸部分に断熱部材を設けることだけ
では、面転写部分の軸方向の中央部と端部において面転
写にかかる時間の差をなくすことができないことがあ
る。このため、加熱の手段として用いる赤外線ヒーター
の他に、面転写部分の端部を加熱する補助赤外線ヒータ
を設けることにより、面転写部分の軸方向の中央部と端
部において面転写にかかる時間の差をなくし、一定の時
間で均一な面転写を行うことができる。
【0018】また、上記補助赤外線ヒータを設けなくて
も、加熱の手段として用いる赤外線ヒータを有効長>面
転写部分長の関係とすることにより、面転写部分の端部
への熱供給を増やすことができ、面転写部分の軸方向の
中央部と端部において面転写にかかる時間の差をなく
し、一定の時間で均一な面転写を行うことを可能とする
ものである。
【0019】
【実施例】以下、実施例により詳細に説明する。
【0020】実施例1 本発明の第1の実施例について(図1)を参照しながら
説明する。
【0021】11は最外層にフッ素樹脂を有する円筒状
基材であり、その断面図を(図1.A)に示す。111
は円筒状基材の芯金であり、アルミ合金で構成され、そ
の直径は10mmである。芯金111上にはプライマー
層112を介してLTVのシリコーンゴム層113が成
形接着されており、その厚みは5mmである。上記シリ
コーンゴム層はプライマーを塗布した芯金を円筒状金型
に挿入し、LTVの未加硫シリコーンゴムを注入し、そ
れを加熱硬化することにより形成した。114はシリコ
ーンゴム層113と表層フッ素樹脂層を接着するための
プライマー層であり、フッ素ゴムとフッ素樹脂(FE
P)の混合物で構成される。上記プライマー層114
は、フッ素ゴムとフッ素樹脂の混合物からなる水性塗料
をスプレーにより塗装し、200℃で30分加熱硬化さ
せて得られたもので、その厚みは25μmであった。上
記プライマー層114上にはフッ素樹脂(FEP)層1
15が形成されている。フッ素樹脂層115はフッ素樹
脂(FEP)を水系媒体(水−アルコール混合液)に分
散したディスパージョンをスプレーで塗装し、150℃
で20分乾燥した後、300℃で20分の予備加熱焼成
したものであり、その際の厚みは15μmであった。そ
の際、フッ素樹脂層は完全には成膜されておらず、表面
にクラック・凹凸等の不良が見られた。また、その際、
フッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で
15μmであり、その面転写部分の長さは220mmで
ある。
【0022】12は本発明における面転写部材であり、
内径20.9mm、肉厚0.05mmの円筒形をしたポ
リイミドチューブであり、その長さは円筒状基材11の
面転写部分が全て入るように230mmとした。面転写
部材内面には、基材上にコーティングされたフッ素樹脂
膜に転写したい表面模様が形成されている。本実施例に
おいては、面転写部材内面を表面粗さ1μmに加工して
用いた。フッ素樹脂コーティングおよびフッ素樹脂の予
備加熱焼成のなされた基材11を、面転写部材12の内
部に挿入し、近赤外線ラインヒータに平行な位置で自転
させるように回転装置13に取り付けた。回転装置13
の円筒状基材11のアルミ合金でできた芯金111を保
持する軸部分(ステンレス製)には、断熱部材としての
PPSでできたブッシュ131を介して保持している。
なお、断熱部材の寸法は外径18mm、長さ30mm、
芯金保持部の内径6mm、芯金侵入深さ1mmである。
【0023】上記のようにセトセットされた状態で、フ
ッ素樹脂コーティングおよびフッ素樹脂の予備加熱焼成
のなされた基材11と面転写部材12を近赤外線ライン
ヒータ14により面転写部材12の外側から加熱した。
【0024】本実施例では基材とほぼ同等の長さ(22
0mm)をもつ約2.5kW出力の近赤外線ラインヒー
タ(焦点タイプ:焦点距離50mm)を面転写部材12
の表面より約55mm離して配置した。この状態で約
2.5kWで約3分間加熱した。その際、基材を構成す
るシリコーンゴムの熱膨張が、面転写部材を構成するポ
リイミドより大きく、また軸部のブッシュ131により
端部からの熱の逃げが防げるため、面転写部分全域にわ
たり均一にシリコーンゴムが膨張して、面転写部材と基
材との間にあった隙間が埋まり、フッ素樹脂層が加圧さ
れた状態を作り出す。また、赤外線加熱により基材表層
のフッ素樹脂(FEP)が軟化し均一に成膜および面転
写がなされる。
【0025】上記の工程終了後、基材および面転写部材
を冷却し、面転写部材から基材を脱型する。
【0026】このようにして得られたフッ素樹脂の焼成
膜の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で1μmであ
り、面転写部材の表面模様がフッ素樹脂表面の全面にわ
たって均一に転写され、かつフッ素樹脂の成膜がなされ
た。またその際成膜されたフッ素樹脂層表面を電子顕微
鏡で観察したところ、全面にわたって表面にクラック等
の不良は観察されなかった。
【0027】比較例1 比較例1について(図1.B)を参照しながら説明す
る。
【0028】回転装置13の円筒状基材11のアルミ合
金でできた芯金111を保持する軸部分に断熱部材とし
てのPPSでできたプッシュ131を入れずに直接アル
ミ合金部分を軸(ステンレス製)で保持するような状態
で実施例1と同条件で加工を行った。
【0029】この方法では、見た目でも分かるような状
態で軸方向の中央部では面転写部材の表面模様がフッ素
樹脂表面に転写されているが、両端部から15mmの範
囲では明らかに転写が不十分であり、フッ素樹脂の焼成
膜の表面粗さは、中央部が十点平均粗さ(Rz)で1μ
mであるのに比べ、(Rz)で10μmであった。また
フッ素樹脂層も中央部が成膜がなされ、フッ素樹脂層表
面を電子顕微鏡で観察したところ、表面にクラック等の
不良は観察されなかったのに、両端部から15mmの範
囲では一部にクラック等が観察された。
【0030】実施例2 (図2)を参照しながら説明する。
【0031】21は最外層にフッ素樹脂を有する円筒状
基材であり、その断面図を(図2.A)に示す。211
は円筒状基材の芯金であり、アルミ合金で構成され、そ
の直径は13mmである。芯金211上にはプライマー
層212を介してLTVのシリコーンゴム層213が成
形接着されており、その厚みは3.5mmである。上記
シリコーンゴム層はプライマーを塗布した芯金を円筒状
金型に挿入し、LTVの未加硫シリコーンゴムを注入
し、それを加熱硬化することにより形成した。214は
シリコーンゴム層213と表層フッ素樹脂層を接着する
ためのプライマー層であり、フッ素ゴムとフッ素樹脂
(FEP)の混合物で構成される。上記プライマー層2
14は、フッ素ゴムとフッ素樹脂の混合物からなる水性
塗料をスプレーにより塗装し、200℃で30分加熱硬
化させて得られたもので、その厚みは25μmであっ
た。上記プライマー層214上にはフッ素樹脂(FE
P)層215が形成されている。フッ素樹脂層215は
フッ素樹脂(FEP)のディスパージョンをスプレーで
塗装し、150℃で20分間乾燥した後、300℃で2
0分の予備加熱焼成をしたものであり、その際の厚みは
15μmであった。その際、フッ素樹脂層は完全に成膜
されておらず、表面にクラック・凹凸等の不良が見られ
た。またフッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ
(Rz)で15μmであり、その面転写部分の長さは2
20mmである。
【0032】22は本発明における面転写部材であり、
内径20.9mm、肉厚0.05mmの円筒形をしたポ
リイミドチューブであり、その長さは円筒状基材21の
面転写部分が全て入るように230mmとした。面転写
部材内面には、基材上にコーティングされたフッ素樹脂
膜に転写したい表面模様が形成されている。本実施例に
おいては面転写部材内面を表面粗さ1μmに加工して用
いた。フッ素樹脂コーティングおよびフッ素樹脂の予備
加熱焼成のなされた基材21を、面転写部材22の内部
に挿入し、近赤外線ラインヒータに平行な位置で自転さ
せるように回転装置23に取り付けた。回転装置23の
円筒状基材21のアルミ合金でできた芯金211を保持
する軸部分(ステンレス製)には、断熱部材としてのP
PSでできたプッシュ231を介して保持している。上
記のようにセットされた状態で、フッ素樹脂コーティン
グおよびフッ素樹脂の予備加熱焼成のなされた基材21
と面転写部材22を近赤外線ラインヒータ24により面
転写部材22の外側から加熱した。
【0033】本実施例では基材とほぼ同等の長さ(22
0mm)をもつ約2.5kW出力の近赤外線ラインヒー
タ(焦点タイプ:焦点距離50mm)を面転写部材22
の表面より約55mm離して配置した。また同タイプの
近赤外線ラインヒータ25を両端部10mmずつを残し
た状態で遮光したものを90℃の角度で配した。この状
態で約2.5kWで約3分間加熱した。その際、基材を
構成するシリコーンゴムの熱膨張が、面転写部材を構成
するポリイミドより大きく、また両端部10mmずつ残
した状態で遮光した近赤外線ラインヒータ25により端
部から逃げる部分の熱量を供給できるため、面転写部分
全域にわたり均一にシリコーンゴムが膨張して、面転写
部材と基材との間にあった隙間が埋まり、フッ素樹脂層
が加圧された状態を作り出す。また、赤外線加熱により
基材表層のフッ素樹脂(FEP)が軟化し均一に成膜お
よび面転写がなされる。
【0034】上記の工程終了後、基材および面転写部材
を冷却し、面転写部材から基材を脱型する。
【0035】このようにして得られたフッ素樹脂の焼成
膜の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で1μmであ
り、面転写部材の表面模様がフッ素樹脂表面に全面にわ
たって均一に転写され、かつフッ素樹脂の成膜がなされ
た。またその際成膜されたフッ素樹脂層表面を電子顕微
鏡で観察したところ、全面にわたって表面にクラック等
の不良は観察されなかった。
【0036】比較例2 (図2)を参照しながら説明する。
【0037】両端部10mmずつを残した状態で遮光
し、もとの近赤外線ラインヒータ24と90°の角度で
配した近赤外線ラインヒータ25を点灯させない状態で
実施例2と同条件で加工を行った。
【0038】その結果、見た目でも分かるような状態で
軸方向の中央部では面転写部材の表面模様がフッ素樹脂
表面に転写されていたが、両端部から8mmの範囲では
明らかに転写が不十分であり、フッ素樹脂の焼成膜の表
面粗さは、中央部が十点平均粗さ(Rz)で1μmであ
るのに比べ、(Rz)で10μmであった。また、フッ
素樹脂層も中央部が成膜がなされ、フッ素樹脂層表面を
電子顕微鏡で観察したところ、表面にクラック等の不良
は観察されなかったのに対して、両端部から8mmの範
囲では一部にクラック等が観察された。
【0039】実施例3 (図3)を参照しながら説明する。
【0040】31は最外層にフッ素樹脂を有する円筒状
基材であり、その断面図を(図3.A)に示す。311
は円筒状基材の芯金であり、アルミ合金で構成され、そ
の直径は13mmである。芯金311上には、プライマ
ー層312を介してLTVのシリコーンゴム層313が
成形接着されており、その厚みは3.5mmである。上
記シリコーンゴム層は、プライマーを塗布した芯金を円
筒状金型に挿入し、LTVの未加硫シリコーンゴムを注
入し、それを加熱硬化することにより形成した。314
はシリコーンゴム層313と表層フッ素樹脂層を接着す
るためのプライマー層であり、フッ素ゴムとフッ素樹脂
(FEP)の混合物で構成される。上記プライマー層3
14は、フッ素ゴムとフッ素樹脂の混合物からなる水性
塗料をスプレーにより塗装し、200℃で30分加熱硬
化させて得られたもので、その厚みは25μmであっ
た。上記プライマー層314上にはフッ素樹脂(FE
P)層315が形成されている。フッ素樹脂層315
は、フッ素樹脂(FEP)のディスパージョンをスプレ
ーで塗装し、150℃で20分間乾燥した後、300℃
で20分の予備加熱焼成をしたものであり、その際の厚
みは15μmであった。その際、フッ素樹脂層は完全に
成膜されておらず、表面にクラック・凹凸等の不良が見
られた。また、その際フッ素樹脂表面の表面粗さは、十
点平均粗さ(Rz)で15μmであり、その面転写部分
の長さは220mmである。
【0041】32は本発明における面転写部材であり、
内径20.9mm、肉厚0.05mmの円筒形をしたポ
リイミドチューブであり、その長さは円筒状基材31の
面転写部分が全て入るように230mmとした。面転写
部材内面には、基材上にコーティングされたフッ素樹脂
膜に転写したい表面模様が形成されている。本実施例に
おいては、面転写部材内面を表面粗さ1μmに加工して
用いた。フッ素樹脂コーティングおよびフッ素樹脂の予
備加熱焼成のなされた基材31を面転写部材32の内部
に挿入し、近赤外線ラインヒータに平行な位置で自転さ
せるように回転装置33に取り付けた。回転装置33の
円筒状基材31のアルミ合金でできた芯金311を保持
する軸部分(ステンレス製)には、断熱部材としてのP
PSでできたプッシュ331を介して保持している。上
記のようにセットされた状態で、フッ素樹脂コーティン
グおよびフッ素樹脂の予備加熱焼成のなされた基材31
と面転写部材32を、近赤外線ラインヒータ34により
面転写部材32の外側から加熱した。
【0042】本実施例では基材よりも長い長さ(300
mm)をもつ約3kW出力の近赤外線ラインヒータ(焦
点タイプ:焦点距離50mm)を面転写部材32の表面
より約55mm離して配置した。この状態で約3kWで
約3分間加熱した。その際、基材を構成するシリコーン
ゴムの熱膨張が、面転写部材を構成するポリイミドより
大きく、また面転写両端部より外側のヒータ有効部(各
40mmずつ)により端部から逃げる分の熱量を供給で
きるため、面転写部分全域にわたり均一にシリコーンゴ
ムが膨張して、面転写部材と基材との間にあった隙間が
埋まり、フッ素樹脂層が加圧された状態を作り出す。ま
た、赤外線加熱により基材表層のフッ素樹脂(FEP)
が軟化し均一に成膜および面転写がなされる。
【0043】上記の工程終了後、基材および面転写部材
を冷却し、面転写部材から基材を脱型する。
【0044】このようにして得られたフッ素樹脂の焼成
膜の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で1μmであ
り、面転写部材の表面模様がフッ素樹脂表面に全面にわ
たって均一に転写され、かつフッ素樹脂の成膜がなされ
た。また、その際成膜されたフッ素樹脂層表面を電子顕
微鏡で観察したところ、全面にわたって表面にクラック
等の不良は観察されなかった。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、円筒または円柱状
基材上にフッ素樹脂の粉体またはそれらの水性塗料をコ
ーティングし、上記基材とフッ素樹脂層の外側に配した
円筒状の面転写部材との間で、面転写部分とほぼ同長の
赤外線ヒータ1本を加熱の手段として用い、円柱状基材
の芯金部分を保持回転させながら、面転写部材の外側よ
り直接表面を加熱する際に、加熱される円筒または円柱
状基材を保持し回転させる軸部分に断熱層を設けること
で軸部分からの熱の逃げを遮断することができ、面転写
部分の軸方向の中央部と端部において面転写にかかる時
間の差をなくし、一定の時間で均一な面転写を行うこと
ができるようになった。
【0046】また、特に熱伝導のよいアルミ合金芯金の
上にゴム層が存在するような基材でアルミ合金芯金の熱
容量が大きい場合には、上記、加熱される円筒または円
柱状基材を保持し回転させる軸部分に断熱層を設けるこ
とだけでは面転写部分の軸方向の中央部と端部において
面転写にかかる時間の差をなくすことができないことが
ある場合には、加熱の手段として用いる赤外線ヒータの
他に面転写部分の端部を加熱する補助赤外線ヒータを設
けることで面転写部分の軸方向の中央部と端部において
面転写にかかる時間の差をなくし、一定の時間で均一な
面転写を行うことができるようになった。
【0047】また、上記補助赤外線ヒータを設けなくて
も、加熱手段として用いる赤外線ヒータを有効長>、面
転写部分長の関係とすることにより、面転写部分のへの
熱供給を増やすことができ、面転写部分の軸方向の中央
部と端部において面転写にかかる時間の差をなくし、一
定の時間で均一な面転写を行うことができるようになっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のフッ素樹脂被覆方法の概略図であ
り、Aは円筒状基材の断面図であり、Bは比較例1のフ
ッ素樹脂被覆方法の概略図(軸断熱なし)である。
【図2】実施例2のフッ素樹脂被覆方法の概略図(補助
ヒータ)であり、Aは実施例2の円筒状基材の断面図で
ある。
【図3】実施例3のフッ素樹脂被覆方法の概略図(ロン
グヒータ)であり、Aは実施例3の円筒状基材の断面図
である。
【符号の説明】
11 基材 12 面転写部材(ポリミドチューブ) 13 回転装置 14 赤外線ヒータ 21 基材 22 面転写部材(ポリイミドチューブ) 23 回転装置 24 赤外線ヒータ 25 補助赤外線ヒータ 31 基材 32 面転写部材(ポリイミドチューブ) 33 回転装置 34 赤外線ヒータ 111 芯金 112 シリコーンゴムプライマー層 113 シリコーンゴム層 114 フッ素ゴム/フッ素樹脂層 115 フッ素樹脂層 131 断熱部材(樹脂ブッシュ) 211 芯金 212 シリコーンゴムプライマー層 213 シリコーンゴム層 214 フッ素ゴム/フッ素樹脂層 215 フッ素樹脂層 231 断熱部材(樹脂プッシュ) 311 芯金 312 シリコーンゴムプライマー層 313 シリコーンゴム層 314 フッ素ゴム/フッ素樹脂層 315 フッ素樹脂層 331 断熱部材(樹脂ブッシュ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五月女 修 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 岸野 一夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AC44 AC99 BB37Y CA09 DA15 DB02 DC19 EA02 EB16

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒または円柱状基材上にフッ素樹脂の
    粉体またはそれらの水性塗料をコーティングした後、も
    しくは形成したフッ素樹脂をあらかじめ予備加熱焼成成
    膜した後、該基材上のフッ素樹脂層の外側に円筒状の面
    転写部材を配し、赤外線ヒータを加熱手段として面転写
    部材の外側より加熱することにより、面転写部材の表面
    模様をフッ素樹脂層表面に転写させるフッ素樹脂被覆方
    法において、加熱される円筒または円柱状基材を保持し
    回転させる軸部分に断熱部材を設けることを特徴とする
    フッ素樹脂被覆方法。
  2. 【請求項2】 断熱部材が熱伝導率0.3kcal/m
    hr℃以下の材質で形成されていることを特徴とする請
    求項1に記載のフッ素樹脂被覆方法。
  3. 【請求項3】 加熱手段として用いる赤外線ヒータに面
    転写部分の端部を加熱する補助赤外線ヒータを設けるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のフッ素樹脂被覆方法。
  4. 【請求項4】 加熱手段として用いる赤外線ヒータを有
    効長>面転写部分長の関係とすることを特徴とする請求
    項1に記載のフッ素樹脂被覆方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008020812A1 (en) * 2006-08-15 2008-02-21 Kenyon Engineering Pte Ltd System for improved powder coating of duct fittings and process for same
CN105855150A (zh) * 2016-06-23 2016-08-17 宜兴市宝登合金有限公司 轨道交通车体门立柱烘干装置
RU2658654C2 (ru) * 2016-12-13 2018-06-22 Общество с ограниченной ответственностью Научно-производственное предприятие "Донские технологии" Способ бездатчикового управления линейным возвратно-поступательным вентильно-индукторным парнофазным генератором

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