JP2000024151A - 管状成形体、ゴルフクラブ用シャフト及び釣竿用ロッド - Google Patents

管状成形体、ゴルフクラブ用シャフト及び釣竿用ロッド

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JP2000024151A
JP2000024151A JP10197872A JP19787298A JP2000024151A JP 2000024151 A JP2000024151 A JP 2000024151A JP 10197872 A JP10197872 A JP 10197872A JP 19787298 A JP19787298 A JP 19787298A JP 2000024151 A JP2000024151 A JP 2000024151A
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Masahito Taguchi
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 曲げ強力、ねじり強力、つぶし強力、シャル
ピー衝撃強力等に優れ、良好なシャフト特性を示し、し
かも軽量なFRP製のゴルフクラブ用シャフトや、曲げ
強力、つぶし強力特性等に優れ、しかも軽量なFRP製
の釣竿用ロッド等を可能とする管状成形体。 【解決手段】 硬化物としたときの破断靱性値GICが4
00J/m2以上の樹脂材料をマトリックス樹脂とした
繊維強化複合材料からなる層を少なくとも1層以上有し
てなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はゴルフクラブ用シャ
フトや釣竿用ロッドに好適な管状成形体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維等の補強繊維とエポキシ樹脂等
のマトリックス樹脂からFRP成形体を成形する方法と
しては幾つかの方法が実際に行われているが、炭素繊維
を補強繊維とする場合にはプリプレグと呼ばれる予め補
強繊維に樹脂を含浸させた中間材料を用いる方法が最も
広く行われている。このプリプレグを使用したコンポジ
ットは、特にその機械特性が優れているために釣竿、ゴ
ルフクラブ用シャフトなどの汎用用途から航空機用途ま
での幅広い用途に渡っており、中でも、その設計度の自
由さ等から、ゴルフクラブ用シャフトや釣竿用ロッドと
して広く使用されている。
【0003】FRP製のゴルフクラブ用シャフトは、上
記プリプレグを型となるテーパー付きのマンドレルに巻
き付けて積層し加熱成形することによって得られる。F
RP製のゴルフクラブ用シャフトは、多くの場合、内側
からアングル層、ストレート層の2層構造となってい
る。ここでアングル層とは、補強繊維がシャフトの長手
方向に対して+θあるいは−θ(但しθ=35〜55
°)となるように張り合わせたプリプレグを積層してな
る層であり、ストレート層とは補強繊維がシャフトの長
手方向に対して±20°以下に配向したプリプレグを積
層してなる層である。FRP製の釣竿は上記プリプレグ
を型となるテーパー付きのマンドレルに巻き付けて積層
し加熱成形することによって得られる。FRP製の釣竿
用ロッドは多くの場合、内側からマンドレルの長手方向
に対して、90°/0°/90°/0°となった層が連
続した構造になっているものが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、ゴルフクラブの
設計においては、ヘッドスピードの向上、シャフトの長
尺化、ヘッドの大型化等がなされており、そのためのボ
ールのスイートエリアの拡大等のためにゴルフクラブ用
シャフトの軽量化が求められている。このようなゴルフ
クラブ用シャフトの軽量化のためには、ゴルフクラブ用
シャフトを構成する上記ストレート層やアングル層の総
数を減少させることが考えられる。しかしながら、単に
これらの層数を減少させるだけでは、ゴルフクラブ用シ
ャフトに必要とされる曲げ剛性、曲げ強力、ねじり剛
性、ねじり強力等が低下してしまう。そこで、このよう
な問題に対しては、 (A−1)ストレート層及び/又はアングル層の積層数
を減少させるとともにこれらの層を形成する補強繊維と
して高弾性率のものを用いる手段 (A−2)シャフト自体の形状、主に外径を大きくし、
厚みを薄くする手段等が挙げられる。
【0005】しかしながら、(A−1)の手段において
は、高弾性の補強繊維は一般に低強度であるため、逆に
曲げ剛性、ねじり剛性が低下してしまう。また、(A−
2)の手段においても、曲げ剛性の維持にはゴルフクラ
ブ用シャフトのグリップ近くの外径を大きくすることが
効果的であるが、あまり太くするとゴルフクラブ用シャ
フトの使用感に問題が生じる。実開昭62−33872
号公報には、FRP製ゴルフクラブ用シャフトのねじり
剛性、ねじり強力を改善する手段として、アングル層と
ストレート層からなるFRP製のゴルフクラブ用シャフ
トの最外層に、さらにアングル層を設ける手段が開示さ
れている。しかし、この手段ではゴルフクラブ用シャフ
トの軽量化には対応できない。
【0006】また、釣竿の設計においては、近年、その
操作性向上の観点から軽量化が要求され、更に魚による
強い引き等による大きな曲げ等の力を受けるため、強度
の向上も求められている。ロッドの長手方向の曲げ強度
を高めるためには、長手方向に沿って炭素繊維を配列さ
せることが有効であることが既に知られている。またロ
ッドの直径方向のつぶし強度を向上させるためには炭素
繊維を周方向に配置させることが有効であることが既に
特公平2−44492号公報や実公平2−16628号
公報で知られている。しかしながら、ロッドの長手方向
の補強と周方向の補強を同時に実施するとロッドの重量
が増加してしまい、軽量かつ高強度という相反する性能
の両立は困難である。
【0007】このような問題に対しては、 (B−1)ロッドの重量に対する曲げ剛性を高くするた
めに、ロッドの外径を一定にして(プリプレグの目付を
一定にして)樹脂比率を低下させて、軸方向強化繊維の
比率を大きくする。 (B−2)円周方向強化繊維よりも軸方向強化繊維を多
くする等の手段が一般的に行われている。 しかしながら、曲げ剛性は向上できても、樹脂比率を下
げてロッド肉厚を薄くした場合(外径に対する肉厚比を
小さくした場合)、その薄肉化の割合が大きいほど、軸
方向強化繊維の比率を大きくしていてもロッドを曲げた
ときの破壊は座屈破壊モードになり易く、(B−1)、
(B−2)の手法の効果を活かすことができず、必ずし
もロッドの重量に対する曲げ強度の向上効果が得られな
い。
【0008】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、曲げ強力、ねじり強力、つぶし強力、シャル
ピー衝撃強力等に優れ、良好なシャフト特性を示し、し
かも軽量なFRP製のゴルフクラブ用シャフトや、曲げ
強力、つぶし強力特性等に優れ、しかも軽量なFRP製
の釣竿用ロッド等を可能とする管状成形体を提供するこ
とを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の管状成形体は、
硬化物としたときの破断靱性値GICが400J/m2
上の樹脂材料をマトリックス樹脂とした繊維強化複合材
料からなる層を少なくとも1層以上有してなることを特
徴とするものである。そのマトリックス樹脂としては、
ガラス転移温度が120℃〜140℃であるものが望ま
しい。マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂からな
るものが、強化繊維としては炭素繊維からなるものが望
ましい。繊維強化複合材料の強化繊維は一方向に引き揃
えられた繊維束からなるものが望ましい。破断靱性値G
ICが400J/m2以上のマトリックス樹脂の繊維強化
複合材料からなる層の強化繊維は、その配向角が管状成
形体の長手方向に対して20〜90゜になっているもの
が望ましい。本発明のゴルフクラブ用シャフトまたは釣
竿用ロッドは上述した管状成形体を用いてなるものであ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、補強用プリプレグを増
量することなく、特定の物性を有する繊維強化複合材料
を用いることによって、曲げ強力、ねじり強力、つぶし
強力、シャルピー衝撃強力等に優れ、しかも軽量のゴル
フクラブ用シャフト、または、曲げ強力、つぶし強力等
に優れ、しかも軽量の釣竿用ロッド等を実現する管状成
形体である。
【0011】本発明の管状成形体に用いられる繊維強化
複合材料層は、強化繊維とマトリックス樹脂からなり、
強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊
維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、スチ
ール繊維などが用いられる。特に炭素繊維が成形後の機
械的特性に優れることから好適に用いられる。形態、配
列については限定されず、一方向に引き揃えた長繊維、
クロス(織物)、トウ、マット、ニット、スリーブ等が用
いられるが、積層構成によって自由に設計強度を変更で
きるという点で一方向に引き揃えられた繊維束からなる
ことが望ましい。
【0012】マトリックス樹脂としては、後述する破断
靱性値を発揮するものであれば、繊維強化複合材料に通
常使用されるものを適用することができ、中でも、成形
加工性と耐熱性、寸法安定性および耐薬品性のような機
械的特性、化学特性に優れるという点から、エポキシ樹
脂が望ましい。エポキシ樹脂以外としては、例えば、不
飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹
脂や、ポリアミド、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙
げられる。
【0013】エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ
樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノ
ボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、イソシア
ネート変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などを使
用することができる。これらのエポキシ樹脂は液状のも
のから固体状のものまで使用できる。また単独または2
種類以上をブレンドして使用することもできる。
【0014】通常、エポキシ樹脂は硬化剤を加えて使用
する。硬化剤としてはアミン系、酸無水物系、フェノー
ル系、メルカプタン系、イミダゾール系、BF3系の硬
化剤が挙げられる。アミン系硬化剤としては、芳香族ア
ミン、脂肪族アミン、第2,3アミン、ジシアンジアミ
ド、ポリアミノアミド系等が挙げられる。またプリプレ
グの保存安定性を高めるために、マイクロカプセル化し
た潜在性硬化剤も好適に使用できる。これらの硬化剤に
は活性を高めるために適当な硬化促進剤を組み合わせる
ことができる。また、これらのエポキシ樹脂と硬化剤あ
るいは一部を予備反応させたものを使用することもで
き、この手段は粘度調節に有効である場合がある。
【0015】さらにエポキシ樹脂の粘度調整や、プリプ
レグの取り扱い性制御のために熱可塑性樹脂を配合する
場合がある。熱可塑性樹脂の好ましい例としてポリビニ
ルフォルマール、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラー
ル、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテル
イミド等が挙げられる。これらの樹脂を2種類以上混合
しても構わない。
【0016】本発明においては、硬化物としたときの亀
裂進展初期のモードI破断靱性値(本発明ではこれを
「破断靱性値GIC」と略称する)が400J/m2以上
となる樹脂材料をマトリックス樹脂とする繊維強化複合
材料層を有することが必須である。
【0017】この破断靱性値GICは次のようにして測定
される。 (1)対象となる樹脂を所定の加熱処理等を施すことに
より、板状(厚さ3mm)の硬化物とする。 (2)これを図1に示すように、切込み12と、ピン取
付用孔(φ3.8mm)14,14の形成された形状、
大きさのサンプル10に加工する。 (3)ピン取付用孔14,14をピンで固定し、双片持
ち梁試験法(Double Cantilever Beam法)にて切込み1
2で引裂き(クロスヘッド速度:1mm/分)、破断荷
重Pc(kgf)を測定し、次式により破断靱性値GIC
(kJ/m2)を算出する。 GIC=y2・Pc2・a/(E・w2・b2) 但し、y=29.6-186(a/w)+656(a/w)2-1017(a/w)3
+639(a/w)4 aは、切込み12の最深部とピン取付用孔14の高さ迄
の距離 Eは、曲げ弾性率(kg/mm2) wは、サンプルの片端からピン取付用孔14迄の高さ bは、厚さ(mm) yは、ジオメトリーファクタである。
【0018】破断靱性値GICは500J/m2以上であ
ればより好ましく、600〜1000J/m2であるこ
とがより好ましい。以下、この硬化物としたときの破断
靱性値GICが400J/m2以上の樹脂をマトリックス
樹脂とした繊維強化複合材料からなる層を特定層と称す
る。本発明の管状成形体は、1層または複数層からなる
もので、その少なくとも1つの層が、特定層からなるも
のである。従って、複数層からなる場合、その一部の層
または全層がこの特定層からなる。本発明においては、
この特定層を有することにより、曲げ剛性、曲げ強力、
ねじり剛性、ねじり強力、シャルピー衝撃強力、つぶし
強力等が向上する。さらに、特定層のマトリックス樹脂
は、そのガラス転移温度が120℃〜140℃であるこ
とが望ましい。ガラス転移温度が120℃未満である
と、管状体に成形後、高温高湿化で使用、または放置し
ておくと、ガラス転移温度が低下する為に、管状体の熱
変形を招くおそれがある。また、140℃よりも高いと
靱性の低下を招き、目的とする破壊靱性値が得られない
場合がある。
【0019】また、管状成形体としては、強化繊維の配
向角が、管状成形体の長手方向に対して20〜90゜で
ある特定層を含むように構成することが望ましい。その
ように配向させた強化繊維をもつ特定層を含む管状成形
体であると、曲げ強度、つぶし強度を維持でき、座屈破
壊に耐え得る管状成形体となる。さらに、複数層からな
る管状成形体としては、アングル層とストレート層が積
層してなるものが望ましい。このときの成形に用いられ
る中間体の形態としては特に限定されないが繊維強化複
合材料のプリプレグを用いることが好ましい。管状成形
体を構成する繊維強化複合材料層は、周知のように、補
強繊維を所定の樹脂組成物に含浸させることにより得る
ことができる。このとき、プリプレグの厚み、繊維目
付、樹脂含有率等は特に限定しないが、各層の必要な厚
み、巻き径から適宜選択される。
【0020】管状成形体は、例えば、マンドレル上に上
述のプリプレグあるいは積層プリプレグを必要に応じ
て、その全長あるいは一部分に、内側からアングル層、
ストレート層を組合わせて所望の枚数巻き付け、加熱、
加圧処理により成形して得ることができる。この場合の
成型方法としては、金型等を用いたコンプレッション成
形、オートクレーブ成形、真空バック成形、テープラッ
ピング成形等が挙げられる。このような繊維強化複合材
料製管状成形体においては、特定層を使用しているの
で、曲げ強力、ねじり強力、つぶし強力、シャルピー衝
撃強力等に優れる。よって繊維強化複合材料層の積層数
を減少させて軽量化した場合にも、ゴルフクラブ用シャ
フトや釣竿用ロッドに必要とされる剛性、強力を十分に
有することができる。本発明の管状成形体は、ゴルフク
ラブ用シャフトや釣竿用ロッドに特に好適なものである
が、これらに限られず、種々の管状の製品に適用できる
ことは勿論のことである。
【0021】
【実施例】以下、本発明を詳しく説明する。なお、後述
する樹脂組成物の破断靱性値GIC及びガラス転移温度T
g、ゴルフクラブ用シャフトの3点曲げ強力、ねじり強
力、つぶし強力、シャルピー衝撃強力、釣竿用ロッドの
つぶし強力の測定は次のようにして行った。
【0022】〔樹脂組成物の亀裂進展初期のモードI破
断靱性値GICの測定〕ASTM−E399に準拠して、
コンパクトテンション法で測定した。具体的には、ま
ず、測定する樹脂を加熱、硬化処理し、30×38×3
mmの板体を成形した。そして、ボール盤でφ3.8m
mのピン取付用孔14,14を穿設し、かつ、切込み1
2を形成して、試験サンプル10を作製した。同じもの
を1種につき6枚作製した。そして、ピン取付用孔1
4,14をピンで固定し、切込み12でクロスヘッド速
度を1mm/分として引裂き、破断荷重Pc(kgf)
を測定し、上述した数式により破断靱性値GIC(kJ/
2)を算出した。
【0023】〔樹脂組成物のガラス転移温度測定〕動的
粘弾性測定装置(「RDA−700」レオメトリック社
製)を用い、60mm長×12mm幅×2mm幅の試験
片に対して、5℃/STEPで昇温しながら10ラジア
ン/秒の速度で剪断力を加え、保存剛性率の温度依存性
を測定し、保存剛性率曲線のガラス状態領域での接線と
転移領域での接線との交点をガラス転移温度として求め
た。 〔ゴルフクラブ用シャフトの3点曲げ強力測定〕プリプ
レグを成形して得られたシャフトの3点曲げ強力はシャ
フトの細径端部から525mm(A点)、太径端部から
175mm(B点)を中心としてスパン300mmで3
点曲げ試験を行い、その強力を示した。圧子は75mm
R、支持は12.5mmRとした。
【0024】〔ゴルフクラブ用シャフトのねじり強力測
定〕プリプレグを成形して得られたゴルフクラブ用シャ
フトのねじり強力の測定は、製品安全協会策定のゴルフ
クラブ用シャフトの認定基準及び基準確認方法(通称産
業大臣承認5産第2087号・平成5年10月4日)の
ねじり試験に準じて行った。 〔ゴルフクラブ用シャフトまたは釣竿用ロッドのつぶし
強力測定〕オリエンテック社製万能試験機テンシロンを
用い、シャフト(ロッド)の太径端部から10mmを中
心に長さ10mm長にカットし、半径方向に押し潰すよ
うに荷重をかけた。そのときの最大荷重をつぶし強力と
した。測定条件は、クロスヘッドスピード5mm/分、
測定雰囲気は21℃、50%RHとした。
【0025】〔シャルピー衝撃試験〕得られたゴルフク
ラブ用シャフトの先端から、300mm、420m
m、660mm、870mmの位置を中心とし、長
さ80mmのテストサンプルを切り出し、「JIS型U
−F シャルピー衝撃試験機」を用いて規格ASTMD
−256に準じて測定した。測定条件は、持ち上げ角:
150度、ハンマーの重量:5.955kg、ハンマー
の重心距離:27.0cm、打撃速度:3.45m/s、
ハンマーの位置エネルギー:2942N・cm、打撃点
距離:32.6cmとした。
【0026】[各マトリックス樹脂組成物の調製] 〔マトリックス樹脂組成物(a)の調製〕下記表1に示
す原料の内、エピコート828、エピコート1002、
XAC4152、ビニレックEを予め溶解させて均一混
合樹脂を製造した後、他の成分を混錬してマトリックス
樹脂組成物(a)を調製した。得られた樹脂組成物
(a)について、その樹脂硬化物の破断靱性値GICは6
39J/m2、ガラス転移温度は132.9℃であった。
【0027】
【表1】
【0028】〔マトリックス樹脂組成物(b)の調製〕
下記表2に示す原料の内、エピコート828、エピコー
ト1002、XAC4152、ビニレックEを予め溶解
させて均一混合樹脂を製造した後、他の成分を混錬して
マトリックス樹脂組成物(b)を調製した。得られた樹
脂組成物について、その樹脂硬化物の破断靱性値GIC
554J/m2、ガラス転移温度は134.0℃であっ
た。
【0029】
【表2】
【0030】〔マトリックス樹脂組成物(c)の調製〕
下記表3に示す原料の内、エピコート828、エピコー
ト1002、N−775、ビニレックEを予め溶解させ
て均一混合樹脂を製造した後、他の成分を混錬してマト
リックス樹脂組成物(c)を調製した。得られた樹脂組
成物について、その樹脂硬化物の破断靱性値GICは28
0J/m2、ガラス転移温度は147.5℃であった。
【0031】
【表3】
【0032】〔マトリックス樹脂組成物(d)の調製〕
下記表4に示す原料の内、エピコート828、エピコー
ト1002、N−775、ビニレックEを予め溶解させ
て均一混合樹脂を製造した後、他の成分を混錬してマト
リックス樹脂組成物(d)を調製した。得られた樹脂組
成物について、その樹脂硬化物の破断靱性値GICは30
0J/m2、ガラス転移温度は145.6℃であった。
【0033】
【表4】
【0034】[実施例1] 〔プリプレグの作製〕マトリックス樹脂(a)をロール
コーターを用いて離型紙上に塗布し樹脂フィルムを作製
した。次に一方向に配列させた炭素繊維と樹脂フィルム
を重ねて加熱加圧により樹脂を含浸させ、表5に示す各
プリプレグを作製した。
【0035】
【表5】
【0036】〔ゴルフクラブ用シャフトの製造〕上記プ
リプレグをカットし、細径端部外径5.25mm、太径
端部14.05mm、長さ1500mmのテーパーのつ
いたマンドレルの上に、以下の工程(1)〜(6)に
て、90°補強層、アングル層、第1ストレート層、第
2ストレート層を順に巻き付けた。 (1)プリプレグ(B)を繊維方向がマンドレルの中心
線に対して90°となるようにマンドレルに巻き付けた
ときに、細径端部、太径端部において1層となるように
プリプレグ(B)を裁断し、マンドレルに巻き付け90
°補強層を形成した。 (2)プリプレグを繊維方向が+45°となるようにマ
ンドレルに巻き付けたときに、細径端部においては2
層、太径端部においては1層となるようにプリプレグ
(A)を裁断し、また繊維方向が−45°となるように
巻き付けたときも同様となるようにプリプレグ(A)を
裁断し、これらのプリプレグを繊維方向が直行するよう
に貼り合わせ、この貼り合わせプリプレグをマンドレル
の上に巻き付け、第1アングル層を形成した。 (3)繊維方向が0°となるように第1アングル層の上
に巻き付けたときに細径端部、太径端部ともに1層とな
るようにプリプレグ(A)を裁断し、これをアングル層
の上に巻き付けて第1ストレート層を形成した。 (4)この上にプリプレグ(B)を繊維方向が+70°
となるように巻き付けたときに細径端部、太径端部とも
に1層となるようにプリプレグ(C)を裁断し、また繊
維方向が−70°となるように巻き付けたときも同様と
なるように裁断し、これらのプリプレグを繊維方向が直
行するように貼り合わせた。この貼り合わせプリプレグ
を第1ストレート層の上に巻き付けて第2アングル層を
形成した。 (5)繊維方向が0°となるように第2アングル層の上
に巻き付けたときに細径端部、太径端部ともに1層とな
るようにプリプレグ(C)を裁断し、これをアングル層
の上に巻き付け第2ストレート層を形成した。 (6)繊維方向が0°となるように先端部補強層の上に
巻き付けたときに細径端部の外径が8.5mmとなるよ
うに、プリプレグ(D)を三角形に裁断し、これを先端
部補強層の上に巻き付けて細径端部径調整層を形成し
た。
【0037】そして、第2ストレート層の上から幅20
mm、厚み30mmのポリプロピレンテープを2mmピ
ッチで巻き付けて145℃の硬化炉中に240分入れて
硬化した。硬化後、ポリプロピレンテープを剥ぎ取り、
マンドレルを抜き取った後、細径端部、太径端部側から
それぞれ10mmを切断除去し、重量40g、長さ11
43mm、外径細径8.5mm、外径太径側15.0mm
のゴルフクラブ用シャフトを得た。得られたゴルフクラ
ブ用シャフトについて、シャフトの曲げ強力、ねじり強
力、つぶし強力、シャルピー衝撃強力を測定した。測定
結果を表6に示した。
【0038】[実施例2]マトリックス樹脂組成物
(b)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、各プ
リプレグを作製した。そして、そのプリプレグを用い
て、実施例1と同様な方法でゴルフクラブ用シャフトを
製造した。得られたゴルフクラブ用シャフトについて、
シャフトの曲げ強力、ねじり強力、つぶし強力、シャル
ピー衝撃強力を測定した。測定結果を表6に示した。
【0039】[比較例1]マトリックス樹脂組成物
(c)を用いたこと以外は実施例1と同様にして各プリ
プレグを作製した。そして、そのプリプレグを用いて、
実施例1と同様な方法でゴルフクラブ用シャフトを製造
した。得られたゴルフクラブ用シャフトについて、シャ
フトの曲げ強力、ねじり強力、つぶし強力、シャルピー
衝撃強力を測定した。測定結果を表6に示した。
【0040】[比較例2]マトリックス樹脂組成物
(d)を用いたこと以外は実施例1と同様な方法でプリ
プレグを作製した。そして、そのプリプレグを用いて、
実施例1と同様な方法でゴルフクラブ用シャフトを製造
した。得られたゴルフクラブ用シャフトについて、シャ
フトの曲げ強力、ねじり強力、つぶし強力、シャルピー
衝撃強力を測定した。測定結果を表6に示した。
【0041】
【表6】
【0042】表6から明らかなように、破断靱性値GIC
が400J/m2以上の樹脂をマトリックス樹脂とした
繊維強化複合材料を用いて製造したゴルフクラブ用シャ
フトであると、曲げ強力、ねじり強力、つぶし強力、シ
ャルピー衝撃強力のいずれもが高い特性を示すことがわ
かる。
【0043】[実施例3] 〔プリプレグの製造〕マトリックス樹脂(a)をリバー
スロールコータ−を用いて離型紙上に塗布し樹脂フィル
ムを作製し、次に一方向に配列させ炭素繊維と樹脂フィ
ルムを重ねて加熱加圧により樹脂を含浸させ、プリプレ
グ(E)〜(F)を作製した。
【0044】
【表7】
【0045】〔釣竿用ロッドの製造〕プリプレグをカッ
トし、鮎竿用の3番節のマンドレル(細径端部外径7.
89mm、太径端部11.37mm、長さ1480mm
のテーパーのついたマンドレル)の上に次のようにして
巻き付けた。 (1)プリプレグ(F)を繊維方向が90°となるよう
にマンドレルに巻き付けたときに、細径端部、太径端部
において4層となるようにプリプレグ(F)を裁断し
た。 (2)プリプレグ(E)を繊維方向が0°となるように
マンドレルに巻き付けたときに、細径端部、太径端部に
おいては4層となるようにプリプレグ(E)を裁断し、
(1)で裁断したプリプレグ(F)と繊維方向が直行す
るように貼り合わせ、この貼り合わせプリプレグをマン
ドレルの上に巻き付けた。貼り合わせた層の上から幅2
0mm、厚み30mmのポリプロピレンテープを2mm
ピッチで巻き付け145℃の硬化炉中に75分入れ硬化
した。硬化後、ポリプロピレンテープを剥ぎ取り、マン
ドレルを抜き取った後、細径端部、太径端部側からそれ
ぞれ10mmを切断除去し、重量が49g、長さ118
0mm、外径細径10.0mm、外径太径側13.22m
mの釣竿用ロッドを製造した。得られた釣竿用ロッドに
ついて、つぶし強力を測定した。測定結果を表8に示し
た。
【0046】[実施例4]マトリックス樹脂組成物
(b)を用いて実施例3と同様な方法でプリプレグを作
製した。そして、そのプリプレグを用いて、実施例3と
同様な方法で釣竿用ロッドを製造した。得られた釣竿用
ロッドについて、つぶし強力を測定した。測定結果を表
8に示した。
【0047】[比較例3]マトリックス樹脂組成物
(c)を用いたこと以外は実施例3と同様な方法でプリ
プレグを作製した。そして、そのプリプレグを用いて、
実施例3と同様な方法で釣竿用ロッドを製造した。得ら
れた釣竿用ロッドについて、つぶし強力を測定した。測
定結果を表8に示した。
【0048】[比較例4]マトリックス樹脂組成物
(d)を用いたこと以外は実施例3と同様な方法でプリ
プレグを作製した。そして、そのプリプレグを用いて、
実施例3と同様な方法で釣竿用ロッドを製造した。得ら
れた釣竿用ロッドについて、つぶし強力を測定した。測
定結果を表8に示した。
【0049】
【表8】
【0050】表8から明らかなように、破断靱性値GIC
が400J/m2以上の樹脂をマトリックス樹脂とした
繊維強化複合材料からなる釣竿用ロッドであると、つぶ
し強力が高いことがわかる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明の管状成形体
は軽量かつ曲げ強力、ねじり強力、つぶし強力、シャル
ピー衝撃強力に優れたものである。従って、この管状成
形体を利用したゴルフクラブ用シャフトであれば、軽量
かつ曲げ強力、ねじり強力、つぶし強力、シャルピー衝
撃強力に優れた良好なシャフト特性を示すゴルフクラブ
用シャフトを得ることができる。また、本発明の管状成
形体を利用した釣竿用ロッドであれば、つぶし強力に優
れた釣竿ロッドを得ることができ、同じ竿強度、調子の
竿で比較した場合、CF重量を減らした強度設計ができ
るので、より軽量な釣竿用ロッドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 亀裂進展初期のモードI破断靱性値GIC測定
用の試験サンプルを示す斜視図である。
【符号の説明】
10 サンプル 12 切込み

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬化物としたときの破断靱性値GICが4
    00J/m2以上の樹脂材料をマトリックス樹脂とした
    繊維強化複合材料からなる層を少なくとも1層以上有し
    てなることを特徴とする管状成形体。
  2. 【請求項2】 前記マトリックス樹脂のガラス転移温度
    が120℃〜140℃であることを特徴とする請求項1
    記載の管状成形体。
  3. 【請求項3】 前記マトリックス樹脂がエポキシ樹脂か
    らなることを特徴とする請求項1記載の管状成形体。
  4. 【請求項4】 前記繊維強化複合材料の強化繊維が炭素
    繊維であることを特徴とする請求項1記載の管状成形
    体。
  5. 【請求項5】 前記繊維強化複合材料の強化繊維が一方
    向に引き揃えられた繊維束からなることを特徴とする請
    求項1記載の管状成形体。
  6. 【請求項6】 前記破断靱性値GICが400J/m2
    上のマトリックス樹脂の繊維強化複合材料からなる層の
    強化繊維の配向角が、管状成形体の長手方向に対して2
    0〜90゜であることを特徴とする請求項1記載の管状
    成形体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の管状成
    形体からなることを特徴とするゴルフクラブ用シャフ
    ト。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載の管状成
    形体からなることを特徴とする釣竿用ロッド。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002067176A (ja) * 2000-08-29 2002-03-05 Mitsubishi Rayon Co Ltd 繊維強化樹脂製管状体
JP2002282399A (ja) * 2001-03-27 2002-10-02 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴルフクラブシャフト

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JP2002067176A (ja) * 2000-08-29 2002-03-05 Mitsubishi Rayon Co Ltd 繊維強化樹脂製管状体
JP4583563B2 (ja) * 2000-08-29 2010-11-17 三菱レイヨン株式会社 繊維強化樹脂製管状体
JP2002282399A (ja) * 2001-03-27 2002-10-02 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴルフクラブシャフト

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