JP2000023668A - Dnaの精製方法 - Google Patents

Dnaの精製方法

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宏海 奥
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ムコ多糖類が混在するDNA溶液から、
DNAとムコ多糖類の吸着性の差異を利用してDNAを
精製する方法において、吸着性物質としてヒドロキシア
パタイトを用いることを特徴とする、DNAの精製方
法。 【効果】 本発明によれば、ムコ多糖類が混在するDN
A溶液からムコ多糖類を除去して高純度のDNAを大量
に、しかも複数検体から同時に精製する簡便な方法が提
供される。本発明方法によれば、ムコ多糖類を含有する
生物試料1g(湿重量)からサザンブロッティング等の
遺伝子分析に供するに十分な量である10μg以上の精製
DNAを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ムコ多糖類が混在
するDNA溶液からDNAを精製する方法に関する。特
に、本発明は、アコヤガイ等の貝類や多くの藻類などム
コ多糖類を大量に含有する生物試料から抽出したDNA
溶液に混在するムコ多糖類を除去し、高純度のDNAを
大量に精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、水産生物の遺伝的系統や品種を調
べたり、種苗の遺伝的多様性を検査して近交弱性の危険
を予防するなど対象生物の遺伝的特性を評価する必要性
が高まっている。DNAをかかる遺伝子解析に供するた
めには、対象生物の個体、器官、組織、または培養細胞
からのDNAが、高分子量を維持したままで、しかも酵
素反応の基質となりうる純度にまで精製されていなけれ
ばならない。殊に、PCRやサザンブロッティングなどの
高感度遺伝子検出法を用いる最近の研究では、その対象
のDNAが高純度に精製されていることが前提となる。
【0003】これまで生物試料からDNAを精製するに
は、一般的には、細断した生物個体、器官、組織、ある
いは培養細胞をドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等で
溶解し、蛋白質分解酵素を加えてインキュベートして蛋
白質を分解し、その後フェノール抽出またはヨウ化ナト
リウム処理、または塩析法による蛋白質の沈殿除去を行
なった後、エタノールまたはイソプロパノールを加えて
DNA画分を沈殿させることにより行われている。
【0004】ところが、貝類や藻類などのムコ多糖類を
多量に含有する生物試料では、上記の手法にてDNAを
精製してもムコ多糖類が除去されずに残ってしまう。ム
コ多糖類がDNA試料中に混在すると、制限酵素による
DNAの切断反応や耐熱性DNAポリメラーゼ等の酵素
反応が阻害され、その結果、PCRを利用した技術やサザ
ンブロッティング、マイクロサテライトDNAフィンガ
ープリント法等への応用が出来ないなど問題が生じる。
【0005】これまでムコ多糖類のDNA溶液からの除
去には、一般的にはセチルトリメチルアンモニウムブロ
ミド(CTAB)処理、ボロン修飾ビーズによる処理等
がなされており、生物種によっては良好な結果を得てい
るが、貝類の一部や藻類など多量にムコ多糖類を含む生
物試料からのDNAの精製には有効ではない場合が多
い。また、DNA試料を精製する他の方法として、市販
のスピンカラム等が用いられている。これは、DNAの
リン酸基の負電荷を利用してシリカやDEAE等の担体にD
NAを一時吸着させ、不純物を緩衝液で洗い流し、その
後pHや塩強度を変えてDNAを担体から溶出させて得
るのであるが、ムコ多糖類の多くは負電荷を持っている
ためDNAと同じ挙動を示し除去することはできない。
【0006】一方、ヒドロキシアパタイトを用いてDN
Aを精製することに関し、既にいくつかの報告があるが
[Wu, R. Jay, E. and Roychoudhury, R. (1976), Meth
odsCancer Res. 12:87-176、Wilkie N.M.and Cortini
R. (1976), Journal of Virology 20:211-221]、それら
はアガロースゲル電気泳動で分離したDNAの精製を目
的としたものであり、ゲル電気泳動やエレクトロエリュ
ーションとの組合せで用いられていて、多検体の同時精
製処理には適さない。したがって、かかる方法では、生
物試料1g当たりから10μg以上の精製DNAを複数検
体から同時に得ることは至難である。
【0007】また別の方法として、DNAをアガロース
ゲル電気泳動して、アガロースゲル電気泳動途中でDEAE
メンブレンなどの陽電荷膜に吸着させることによりムコ
多糖類を除く方法もあるが [Sambrook,J., Fristsch,
E.F. and Maniatis, T. (1989), Molecular Cloning, a
laboratory manual, 2nd edition, Cold Spring Harbo
r Laboratory Press, 6:24-27] 、かかる方法もまた、1
5キロベース以上の長いDNAでは極めて収率が悪く、
生物試料1g当たりから10μg以上の精製DNAを複数
検体から同時に得ることは至難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、ムコ多糖類が混在するDNA溶液からムコ多糖類を
除去して高純度のDNAを大量に、しかも複数検体から
同時に精製する簡便な方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ムコ多糖類を含有
する生物試料から抽出したDNA溶液をヒドロキシアパ
タイトを用いて精製することにより、高純度のDNAを
大量に得ることができることを見出し、本発明を完成さ
せるに至った。すなわち、本発明は、ムコ多糖類が混在
するDNA溶液から、DNAとムコ多糖類の吸着性の差
異を利用してDNAを精製する方法において、吸着性物
質としてヒドロキシアパタイトを用いることを特徴とす
る、DNAの精製方法である。本発明はまた、生物試料
を尿素を含有する緩衝液にて抽出することにより得られ
たムコ多糖類が混在するDNA溶液から、DNAとムコ
多糖類の吸着性の差異を利用してDNAを精製する方法
において、吸着性物質としてヒドロキシアパタイトを用
いることを特徴とする、DNAの精製方法である。以
下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のDNAの精製方法の対象
となる生物試料としては、ムコ多糖類を含有する生物試
料であれば特に限定はされないが、具体的にはムコ多糖
類が多量に含まれるアコヤガイ・シロチョウガイ・クロ
チョウガイ・マルドブガイ・カラスガイ・イケチョウガ
イ・カワシンジュガイ等の海産および淡水産の貝類、ま
たはカイガラアマノリ・アサクサノリ・スサビノリ・マ
クサ等の紅藻類、ヒトエグサ・アオサ・ウスバアオノリ
等の緑藻類、コンブ・ワカメ・モズク等の褐藻類、珪藻
類等から選ばれる藻類、あるいはシラカバ・マツタケ・
イチゴ、サトイモ等の陸上植物が挙げられる。
【0011】生物試料からのDNAの抽出は、上記に挙
げた生物の個体、器官、組織または培養細胞に対して行
えばよい。本発明において生物試料からのDNAの抽出
は、DNAの抽出に常套的に用いられるトリス塩酸緩衝
液に、SDSなど細胞を溶解するための界面活性剤、D
NA分解を防ぐEDTAを添加した緩衝液にて行い、好適に
は尿素を含有させたものがよい。尿素を含有する抽出液
としては、具体的には、後記実施例に記載する組成を有
するTNES−UREA緩衝液が好適に使用される。
【0012】DNAの抽出は、例えば上記生物試料の組
織を細断または破砕したものを、その重量(g)の10〜20
倍量(ml)程度のTNES−UREA緩衝液中で70〜80℃でまず5
分間インキュベートし、その後56℃で8〜24時間インキ
ュベートすることにより行う。また、上記のDNAの抽
出において56℃に移行した後に、プロテナーゼKにて処
理してタンパク質を消化し、続いて、試料由来のタンパ
ク質の分解物および酵素類(プロテナーゼKなど)を変
性除去する目的でフェノール処理を常套的な手段にて行
う。
【0013】次に、上記の抽出により得られたDNA溶
液をヒドロキシアパタイト(Ca5(PO4)3(OH)) を用いて精
製する。本発明で用いるヒドロキシアパタイト(Ca5(P
O4)3(OH)) は、通常のクロマトグラフィー用充填剤とし
て市販されているものであれば特に限定はされず、例え
ばバイオゲルハイドロキシアパタイトDNAグレード・
バイオゲルHPT(130-0520)(Biorad 製) 、ヒドロキシル
アパタイト(Code 187-37)(Nakalai tesque製) 等が例
示される。
【0014】ヒドロキシアパタイトを用いてDNA溶液
を精製するには、具体的には、DNA溶液にヒドロシア
パタイトを添加し、インキュベートすることによりDN
A溶液中のDNAを夾雑成分(ムコ多糖類、RNA等)
とともにヒドロキシアパタイトに吸着させ、その後、ヒ
ドロキシアパタイトに吸着した夾雑成分を各種の緩衝液
にて逐次的に溶出させ、最後にヒドロキシアパタイトに
吸着したDNAを高リン酸塩濃度の緩衝液にて溶出させ
る。
【0015】具体的には、上記のフェノール抽出により
得られた上層(水層)を別の容器に移し、ヒドロキシア
パタイトを添加し、穏やかに攪拌させて5分間放置し、
ヒドロキシアパタイトを沈降させた後、吸引除去により
上清を除去し、その後2.5 MNaCl-TE 緩衝液(pH 8.0)を
加えて穏かに攪拌し、5分間放置してヒドロキシアパタ
イト沈降させた後に上清を除去する。かかる操作によ
り、DNAはヒドロキシアパタイトに非常に強く結合し
て吸着される一方、負電荷を持った殆どのムコ多糖類
は、2.5 M NaClの塩濃度によりヒドロキシアパタイトへ
の吸着が弱まって洗い流される。
【0016】その後、0.2mM EDTAを含む10 mMリン酸ナ
トリウム緩衝液(pH 7.0)を用いて数回上記と同様にして
ヒドロキシアパタイトを洗浄した後、0.2mM EDTAを含む
200mM のリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)による洗浄を
数回繰り返すことによって、ヒドロキシアパタイトに結
合して残っている可能性のあるリン酸基を有するムコ多
糖類、さらにはRNAや一本鎖DNAもまた除去するこ
とができる。このようにRNAアーゼを用いずにRNA
をDNAから除去できるということも、当該発明の副次
的な長所の一つである。
【0017】次に200 mMリン酸ナトリウム緩衝液を出来
る限り吸引除去した後、0.2 M EDTAを含む0.9 Mのリン
酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)を加え、チューブごと穏や
かに攪拌することによってヒドロキシアパタイトに吸着
したDNAを解離させ、1,000gで5〜15分間遠心を行な
ってヒドロキシアパタイトを強固に沈殿させ、上清を別
の容器に移す。最後に得られた上清中のDNAを常套的
な手段にて脱塩・濃縮し、目的とするDNAを得る。上
記操作は10検体以上の生物試料に対して同時に行うこと
ができ、生物試料1g(湿重量)から10μg以上の大量
の精製DNAを得ることができる。
【0018】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに説明する
が、これらは本発明を限定するものではない。 〔実施例1〕(アコヤガイ貝柱からのDNAの精製) (1) DNAの抽出 アコヤガイの貝柱を採取し、−20℃で凍結した。別途調
製した表1に示す組成から成るTNES−4M−UREA緩衝液
を、50ml容量の使い捨て型遠心チューブ(以下、チュー
ブという)に20ml加え、75℃に加温した。
【0019】
【表1】 TNES −4M−UREA 緩衝液 1M TrisHCl(pH8.0) 10ml 2M NaCl 60ml 0.5M EDTA(pH8.0) 20ml 20% SDS 25ml尿素 240.24g 蒸留水を加えて1リットルにする。
【0020】前記の凍結したアコヤガイ貝柱を、約2〜3
mm角になるように氷上でハサミで切り、この貝柱の細
片を直ちに75℃に加温したTNES−4M−UREA緩衝液入り
チューブに加え、75℃のままで5分間放置した。次いで
該チューブを56℃の振盪インキュベーターに移し、20分
後に10 mg/mlのプロテナーゼK溶液を200μl加え、貝
柱の組織の形が溶けて溶液が均一になるまで約80 rpmで
振盪インキュベートし続けた。その後、室温(25 ℃) で
20 mlのフェノールを加え、同温度で10分間ゆっくり攪
拌し、1,000 g、15分間遠心した。上清を別の50 ml 容
量のチューブに採取した。
【0021】(2) DNAの精製 前記上清を入れた50 ml容量のチューブにヒドロキシア
パタイト〔バイオゲルハイドロキシアパタイトDNAグ
レード バイオゲルHPT(130-0520) (Bio-Rad製) 〕2g
を加え、約1分間穏かに攪拌した。TE(pH 8.0)をチュー
ブ一杯(50ml)まで加えてさらに約1分間穏かに攪拌し、
5分間チューブを立てて放置したところ、ヒドロキシア
パタイトが沈降した。アスピレーターで上清約35 mlを
取り除き、再びTEをチューブ一杯まで加えて約1分間攪
拌し、5分間放置した。上清を取り除き、同じチューブ
に2.5M NaCl-TE緩衝液をチューブ一杯まで加えて約1分
間攪拌した後、5分間放置した。アスピレーターで上清
を取り除き、同じチューブに2.5M NaCl−TE緩衝液をチ
ューブ一杯まで加えて約1分間攪拌した後、5分間放置
した。次いでアスピレーターで上清約35 ml を取り除
き、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)−0.2mM EDTA
をチューブ一杯まで加えて約1分間攪拌し、5分間放置
し、上清35 mlを取り除く操作を3回繰り返し行なっ
た。さらに、200mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)−
0.2mM EDTAをチューブ一杯まで加えて約1分間攪拌し、
5分間放置し、上清35 mlを取り除く操作を2回繰り返
して行なった。最後に、0.9 Mリン酸ナトリウム緩衝液
(pH 7.0)−0.2mM EDTAをチューブに15ml加えて攪拌し、
1000g で15分間遠心した。以上の操作は全て室温(25
℃)にて行った。
【0022】(3) 精製されたDNAの濃縮および脱塩 上記で遠心したチューブの上清約24 mlを新しいチュー
ブにとり、蒸留水を加えて30 mlとし、3M酢酸カリウム
(pH5.5)を15 ml 加え、Qiagen−tip500を用いてDNA
を濃縮した。以上の操作はQIAGEN Plasmid Purificatio
n Handbook(January, 1997)のProtocol 9以降に従っ
た。上記の操作により、19個体のアコヤガイの貝柱約1g
からそれぞれ以下の表2に示す量のDNAが得られた。
【0023】
【表2】
【0024】図1に上記のアコヤガイの貝柱から精製さ
れたDNAの吸収スペクトルの一例を示す。また、19個
体のうちの8個体のアコヤガイ(#1〜#8)から精製され
たDNAのアガロースゲル電気泳動パターンを図2に示
す。図2に示す泳動パターンより、高分子量の位置(約
2万bp)に、アコヤガイDNAのバンドが観察された。
【0025】さらに、別の2個体(#1および#3)から
精製されたDNA(10μg/個体)を制限酵素AluIおよびH
infI で消化した。これに等量のプラスミドpUC118を加
えて切断状況をモニターする指標とした。アガロースゲ
ル電気泳動パターンを図3に示す。消化されたアコヤガ
イDNAのスメアバンドの上に乗っているpUC118の断片
のパターンが、右端のレーンのプラスミド単独での完全
消化パターンと一致していることから、アコヤガイのD
NAも完全に消化されたものと判断した。
【0026】表2に記載のアコヤガイ19個体から精製さ
れたDNAを各40ng用いて、PCRが正常に働くかどうか
を調べた。既にCampbell, D.C., Hoekstra, K.J. and C
arter, J.G. (1997) (in) Johnston, P.A. and Haggar
t, J.(Eds.), The Bivalvia :Half a Billion Years of
Evolution-Essays in Honor of Norman D.Newell ;Uni
versity of Calgary Press (1997)に記載されているメ
キシコアコヤガイの18SリボソームRNA遺伝子の配列
などに基づいて設計したプライマー、18S−rRNAf
(5'−AAGGCAGCAGGCRCGCAAAT−3')および18S−rRNA
r(5'−TACKCTAYTGRAGCTGGART−3')を合成し、反応液に
ミネラルオイルを添加した後、以下の条件下でPCR反応
を行なった。PCR反応条件 容量:50μl Taqポリメラーゼ:TAKARA Taq (1ユニット) プライマー量:各20 pmol dNTP:各10 nmol マグネシウム濃度: 2 mM 反応チューブ: 0.6 ml容量 96℃で30秒、50℃で1分、70℃で2分を1サイクルとして
40サイクル
【0027】得られたPCR産物のアガロースゲル電気泳
動パターンを図4に示す。使用したDNAのいずれから
も、予想された長さ(185 bp)のPCR産物が得られた。こ
の結果より、ムコ多糖類によるPCR反応の阻害は全く起
きていないことが確認された。図4中のレーン1〜19
は、それぞれ表2の個体番号#1〜19に対応している。
またレーン20は大腸菌のDNAを用いた場合のPCR産物
のアガロースゲル電気泳動パターンを示し、アコヤガイ
のアガロースゲル電気泳動パターンとは異なる位置に複
数の非特異的と思われるバンドが観察された。
【0028】〔実施例2〕(スサビノリ糸状体からのD
NAの精製) 試料として0120系および0130系のスサビノリ糸状体を使
用した。使用した試料の重量は湿重量で0120系は1g、01
30系は0.5gであり、これを液体窒素で凍結した後、零下
に冷やした乳鉢内で粉砕した。これ以降は実施例1と同
様にしてDNAを抽出・精製した。以上の操作により、
0120系および0130系のスサビノリ糸状体それぞれから表
3に示す量のDNAが得られた。
【0029】
【表3】
【0030】上記のうち0120系から精製されたスサビノ
リDNAの吸収スペクトルを図5に示す。また、同DN
Aのアガロースゲル電気泳動パターンを図6に示す。図
6に示す泳動パターンより、高分子量の位置(約2万 b
p)にスサビノリDNAのバンドが観察された。また、両
系統から精製されたスサビノリDNA(5μg/個体)を制
限酵素HaeIIIで消化した。これに等量のプラスミドpUC1
18 を加えて切断状況をモニターする指標とした。アガ
ロースゲル電気泳動パターンを図7に示す。消化された
スサビノリDNAのスメアバンドの上に乗っているpUC1
18の断片のパターンが、右のレーンのプラスミド単独で
の完全消化パターンと一致していることから、スサビノ
リのDNAも完全に消化されたものと判断した。
【0031】さらに表3に記載のスサビノリから精製さ
れたDNAを各40 ng用いて、PCRが正常に働くかどうか
を調べた。実施例1と同様の条件下でPCR を試みたとこ
ろ、目的のPCR増幅産物が得られた。図8にそのアガロ
ースゲル電気泳動パターンを示す。ここで使用した2つ
のプライマー、ITS-F(5'-GGGATCCGTTTCCGTAGGTGAACCT
GC-3')およびITS-R(5'-GGGATCCATATGCTTAAGTTCAGCGGG
T-3')は、アマノリのリボソームRNA遺伝子の介在配
列(ITS)を増やすように設計されたものである。アガ
ロースゲル電気泳動の結果、約1kbのPCR産物が得ら
れ、これはチシマクロノリで得られた長さとほぼ一致し
ていた。
【0032】〔実施例3〕(カイガラアマノリ葉状体か
らのDNAの精製) CTAB法のみを用いてカイガラアマノリ葉状体(0.3
g)からDNAの抽出・精製を試みたところ、得られた
DNAは制限酵素により切断されず、PCRが働かなかっ
た。このDNAはTE(pH 8.0)に溶解していたので、引
き続きTEを加えて10 mlとし、1gのヒドロキシアパタイ
ト〔バイオゲルハイドロキシアパタイトDNAグレード
・バイオゲルHPT(130-0520)(Bio-Rad 製) 〕を添加して
DNAを吸着させた。これ以降は実施例1のヒドロキシ
アパタイトを用いた精製法に従って行なった。以上の操
作により、0.3gのカイガラアマノリ葉状体から5μgのD
NAが得られた。得られたカイガラアマノリDNAのア
ガロースゲル電気泳動パターンを図9に示す。図9に示
す泳動パターンより、高分子量の位置(約2万bp) にカ
イガラアマノリDNAのバンドが観察された。
【0033】また、精製されたカイガラアマノリDNA
5μg を、制限酵素HaeIIIで消化した。これに等量のプ
ラスミドpUC118を加えて切断状況をモニターする指標と
した。アガロースゲル電気泳動パターンを図10に示
す。消化されたカイガラアマノリDNA(レーン2)のス
メアバンドの上に乗っているpUC118の断片のパターン
が、プラスミド単独での完全消化パターン(レーン3)と
一致していることから、カイガラアマノリのDNAも完
全に消化されたものと判断した。
【0034】さらに、カイガラアマノリから精製された
DNA 10 ngを用いて、PCRが正常に働くかどうかを調
べた。実施例2と同様の条件下で実施例2で用いた2つ
のプライマーと同じプライマーセットを使用してPCRを
試みたところ、目的とするPCR増幅産物が得られた。図1
1にそのアガロースゲル電気泳動パターンを示す。約1kb
のPCR産物が得られ、このバンドはチシマクロノリおよ
び実施例2のスサビノリで得られた長さとほぼ一致して
いた。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、ムコ多糖類が混在する
DNA溶液からムコ多糖類を除去して高純度のDNAを
大量に、しかも複数検体から同時に精製する簡便な方法
が提供される。本発明方法によれば、ムコ多糖類を含有
する生物試料1g(湿重量)からサザンブロッティング
等の遺伝子分析に供するに十分な量である10マイクログ
ラム以上の精製DNAを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によりアコヤガイの貝柱から精製
されたDNAの吸収スペクトルを示す。
【図2】本発明の方法によりアコヤガイ8個体(#1〜#
8)から精製されたDNAのアガロースゲル電気泳動写
真である。図中のM(両端のレーン)は分子量マーカー
を示す。
【図3】本発明の方法によりアコヤガイから精製された
DNA10μg を2種の制限酵素(AluI,HinfI) でそれぞ
れ消化し、プラスミドpUC118を加えてこれを切断状況の
マーカーとした場合に生成したDNA断片のアガロース
ゲル電気泳動写真である。図中のM(左端のレーン)は
分子量マーカーを示す。
【図4】本発明の方法によりアコヤガイ19個体(#1〜
#19)から精製されたDNA、および大腸菌のDNAに
ついてPCRを行なった場合に得られたPCR産物のアガロー
スゲル電気泳動写真である。図中のM(両端のレーン)
は分子量マーカーを示す。
【図5】本発明の方法によりスサビノリ(0120系)糸状
体から精製したDNAの吸収スペクトルを示す。
【図6】本発明の方法によりスサビノリ(0120系)糸状
体から精製したDNAのアガロースゲル電気泳動写真で
ある。図中のM(両端のレーン)は分子量マーカーを示
す。
【図7】本発明の方法によりスサビノリ糸状体から精製
したDNA5 μg を制限酵素HaeIIIで消化し、プラスミ
ドpUC118を加えてこれを切断状況のマーカーとした場合
に生成したDNA断片のアガロースゲル電気泳動写真で
ある。図中のM(両端のレーン)は分子量マーカーを示
す。
【図8】本発明の方法によりスサビノリ糸状体から精製
したDNAをPCRにかけて得られたPCR産物のアガロース
ゲル電気泳動写真である。図中のM(両端のレーン)は
分子量マーカーを示す。
【図9】本発明の方法によりカイガラアマノリ葉状体か
ら精製したDNAのアガロースゲル電気泳動写真であ
る。図中のM(左端のレーン)は分子量マーカーを示
す。
【図10】本発明の方法によりカイガラアマノリ葉状体
から精製したDNA5μgを制限酵素HaeIIIで消化し、
プラスミドpUC118を加えてこれを切断状況のマーカーと
した場合のアガロースゲル電気泳動写真である。図中の
M(両端のレーン)は分子量マーカーを示す。
【図11】本発明の方法によりカイガラアマノリ葉状体
から精製したDNAをPCRにかけて得られたPCR産物のア
ガロースゲル電気泳動写真である。図中のM(左端のレ
ーン)は分子量マーカーを示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年7月28日(1998.7.2
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
フロントページの続き (72)発明者 岡内 正典 三重県度会郡玉城町佐田411番地2号

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ムコ多糖類が混在するDNA溶液から、
    DNAとムコ多糖類の吸着性の差異を利用してDNAを
    精製する方法において、吸着性物質としてヒドロキシア
    パタイトを用いることを特徴とする、DNAの精製方
    法。
  2. 【請求項2】 DNA溶液が、生物試料を尿素を含有す
    る緩衝液にて抽出したものであることを特徴とする、請
    求項1記載のDNAの精製方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100478138B1 (ko) * 2002-10-28 2005-03-21 주식회사 코젠바이오텍 Dna 보관체 및 dna 보관방법
JP2017035651A (ja) * 2015-08-07 2017-02-16 学校法人 神野学園 Dna吸着担体及びその利用方法

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