JP2000018529A - 灰熔融式焼却システム - Google Patents

灰熔融式焼却システム

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JP2000018529A JP10185188A JP18518898A JP2000018529A JP 2000018529 A JP2000018529 A JP 2000018529A JP 10185188 A JP10185188 A JP 10185188A JP 18518898 A JP18518898 A JP 18518898A JP 2000018529 A JP2000018529 A JP 2000018529A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造で小型化が図れるとともに、都市
ゴミ等を一度で確実に焼却・熔融・固化して処理するこ
とができ、焼却作業性や減容化に優れ、更に、環境ホル
モンの発生を防止でき処理性能に優れた灰熔融式焼却シ
ステムを提供することを目的とする。 【解決手段】 一次焼却室2と、一次焼却室2と連通し
た二次焼却室3と、二次焼却室3と連接し熔融バーナ6
が配設された灰熔融室4と、灰熔融室4の下方に配置さ
れた冷却室7と、一次焼却室2,二次焼却室3,灰熔融
室4に敷設された粒子層8と、粒子層8に埋設された空
気供給部9a,9bと、空気供給部9a,9bに接続さ
れた送風機10a,10bと、一次焼却室2の上流側に
連接された投入口14と、灰熔融室4に形成されたバー
ナ用空気供給部16と、二次焼却室3とバーナ用空気供
給部16を連通した熱交換器18と、を備えた構成を有
している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ゴミや産業廃
棄物等を焼却し、更に、焼却灰を熔融・固化する灰熔融
式焼却システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、都市ゴミや産業廃棄物等は、
焼却炉等で焼却した後、焼却灰を土中等に埋めて処理さ
れている。しかしながら、近年では、焼却灰で埋め立て
られた埋立地に焼却灰中の有害物質が溶出する等の環境
汚染が社会問題となり、焼却灰を熔融・固化して処理し
ている。都市ゴミや産業廃棄物等を焼却した焼却灰を熔
融・固化して処理する従来の装置として、以下のものが
開示されている。実開昭61−96128号公報(以
下、イ号公報という)には、「ストーカ式焼却炉の燃焼
ゾーンの後に直接焼却灰の溶融又は焼結装置を接続した
廃棄物焼却炉」が開示されている。実開平5−7922
5号公報(以下、ロ号公報という)には、「溶融炉の溶
融室に溶融バーナを備え、この溶融バーナにより焼却灰
を溶融しこの溶融スラグをスラグ抜出口から溶融室下流
側のスラグ冷却室に排出する焼却灰溶融処理装置におい
て、スラグ抜出口を、開口をほぼ円形の横孔または傾斜
孔形状とし、溶融室の下流側側壁の端面に設けた焼却灰
溶融処理装置」が開示されている。特開平6−3235
14号公報(以下、ハ号公報という)には、「出口方向
に少し傾斜のついたベッドと、水冷壁からなる周壁の下
部に設けた高温予熱空気吹き出しの羽口より構成された
溶融焼却炉を有し、排ガスとの熱交換による高温予熱空
気を羽口から噴出させ、ゴミの燃焼灰分も溶融せしめ、
傾斜したベッドを流下せしめて取り出す灰溶融式ゴミ焼
却炉」が開示されている。特公平7−81695号公報
(以下、ニ号公報という)には、「溶融炉の溶融室に溶
融バーナを備え、この溶融バーナにより焼却灰を溶融し
この溶融スラグを溶融室下流側のスラグ冷却室に排出す
る焼却灰溶融処理装置において、溶融室上流側の焼却灰
投入ホッパと溶融室との間の溶融炉壁面に燃焼排ガスの
排ガス管を接続し、溶融室と排ガス管との間を、燃焼排
ガスにより焼却灰を予熱する予熱室に構成し、溶融バー
ナを空気不足の状態で燃焼させるとともに、予熱室に焼
却排ガスの可燃分を2次燃焼させる追加空気ノズルを設
け、予熱室と溶融室の間の溶融炉底壁に、溶融室側が下
位となる段差を形成した焼却灰溶融処理装置」が開示さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の焼却灰を熔融・固化して処理する焼却灰溶融処理装
置や灰溶融式ゴミ焼却炉は以下の課題を有していた。 イ号公報に記載の焼却灰溶融処理装置では、 a.焼却灰の溶融又は焼却装置で加えられた熱エネルギ
ーは、焼却,溶融時の熱エネルギーとして利用できず、
焼却灰の溶融又は焼却装置の動作時の省エネルギー性に
欠ける。 ロ号公報に記載の焼却灰溶融処理装置では、 b.予熱室及びスラグ冷却室と、空気予熱器とを接続す
る排ガス管を備えているため、該装置が大型化するとと
もに、構造が複雑で該装置の生産性やメンテナンス性に
欠ける。 c.溶融バーナで焼却灰の上面から焼却灰を溶融してい
るため、溶融炉の底側の焼却灰の溶融効率に欠けるとと
もに、溶融炉の底壁に焼却灰が接触しているため焼却灰
の溶融時に壁が損傷し易く、溶融炉の耐火物に耐スラグ
浸蝕性の高い高級耐火物を要し、しかも溶融炉が大型化
する。 d.予熱室に供給された焼却灰を溶融バーナの燃焼排ガ
スで予熱して溶融室で溶融し、更にその燃焼排ガスを空
気予熱器に導入して溶融バーナの燃焼用空気を加熱して
いるので、焼却灰の予熱時に燃焼排ガスの熱量が奪われ
燃焼用空気の加熱効率に欠ける。 ハ号公報に記載の灰溶融式ゴミ焼却炉では、 e.溶融焼却炉で、ゴミの燃焼と燃焼灰分の溶融が同時
に行われるため、ゴミの燃焼や燃焼灰分の溶融にムラが
生じやすく、ゴミの燃焼・溶融処理性能に欠ける。 f.溶融焼却炉の周壁の下部に高温空気羽口を有してい
るとともに、高温空気羽口の周囲にゴミや燃焼灰分が直
接接触しているため、高温空気羽口に溶融物等が付着し
易く溶融焼却炉内のメンテナンス性に欠けるとともに、
高温空気羽口に燃焼灰分等が詰まり易く運転適性に欠け
る。 ニ号公報に記載の焼却灰溶融処理装置では、 g.予熱室に対応した追加空気ノズルを有し、追加空気
ノズルから追加空気を供給しているため、予熱室に供給
されたごみ焼却灰が飛散しごみ焼却灰の溶融処理性能に
欠ける。 h.予熱室と溶融室の間に段差を設けているため、溶融
炉内の構造が複雑で溶融炉の生産性やメンテナンス性に
欠ける。 i.予熱室やスラグ冷却室に接続された排ガス管や追加
空気管を有しているため、構造が複雑で該装置が大型化
する。 更に、ロ号公報やニ号公報に記載の焼却灰溶融処理装置
では、焼却灰の溶融しかできず溶融炉内の塵等を再度焼
却することができないとともに、既存の焼却炉で焼却さ
れたゴミ等の焼却灰を投入する手間を要し作業性に欠け
る。
【0004】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、簡単な構造で小型化が図れるとともに、都市ゴミや
産業廃棄物等を一度で確実に焼却,溶融,固化して処理
することができ、焼却作業の作業性や減容化に優れ、更
に、ダイオキシン等の環境ホルモンの発生を防止でき焼
却・溶融処理性能に優れた灰熔融式焼却システムを提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の灰熔融式焼却システムは、上流側から下流側へ向けて
傾斜した傾斜床を有した一次焼却室と、前記一次焼却室
と連通した二次焼却室と、前記二次焼却室に連接した灰
熔融室と、炎口を前記灰熔融室に向けて配設された熔融
バーナと、前記灰熔融室の下流側端部の下方に配置され
た冷却室と、前記一次焼却室の前記傾斜床,前記二次焼
却室及び前記灰熔融室の床に敷設された粒子層と、前記
一次焼却室,前記二次焼却室,前記灰熔融室の前記粒子
層内に埋設された空気供給部と、前記空気供給部に接続
された送風機と、前記一次焼却室の上流側に連接された
投入口と、前記灰熔融室に形成されたバーナ用空気供給
部と、前記二次焼却室と前記バーナ用空気供給部を連通
した熱交換器と、を備えた構成を有している。これによ
り、投入口から投入された都市ゴミや産業廃棄物等の焼
却物が、一次焼却室の傾斜床に敷設された粒子層により
二次焼却室側へ移動しながら燃焼されて焼却灰を生成す
るとともに、燃焼時に発生した燃焼ガスとともに焼却灰
が二次焼却室へ流下して二次焼却室で完全燃焼され、更
に、灰熔融室で焼却灰が熔融バーナ及び輻射熱で熔融さ
れ熔融スラグが生成され、次いで熔融スラグが冷却室に
落下して固化されてスラグが生成され、都市ゴミや産業
廃棄物等の焼却物を一度に焼却・熔融・固化処理できる
という作用を有する。一次焼却室の傾斜床,二次焼却室
及び灰熔融室の床に粒子層が敷設されているとともに、
粒子層に埋設された空気供給部を有しているため、都市
ゴミや産業廃棄物等の焼却物を投入して着火するだけ
で、空気供給部から燃焼用空気が供給されて粒子層側か
ら焼却されるとともに、含水ゴミや有機汚泥等の任意の
焼却物を完全燃焼させて熔融処理することができるとい
う作用を有する。特に、二次焼却室では、粒子層側から
燃焼ガスを十分な酸素雰囲気中で燃焼させることができ
るとともに、高温と十分な滞留時間を与えることがで
き、ダイオキシン等の環境ホルモンの発生を防止できる
という作用を有する。灰熔融室の床に粒子層が敷設され
ているとともに、粒子層内に空気供給部が埋設されてい
るため、灰熔融室内で熔融された焼却灰の熔融スラグの
粒子層側が、空気供給部による通気により冷却されて固
化するので、熔融による高温等で床が損傷するのを防止
できるという作用を有する。二次焼却室と灰熔融室のバ
ーナ用空気供給部を連通した熱交換器を有しているた
め、二次焼却室で発生した燃焼熱を熱交換器で回収し、
バーナ用空気供給部を介して、灰熔融室に配設された熔
融バーナに高温のバーナ用空気を供給できるという作用
を有する。嵩密度の大きい種々雑多な廃棄物からなる都
市ゴミでも焼却・熔融を一度に行うので、著しく減容化
することができ、埋立地の有効化を図ることができると
いう作用を有する。
【0006】ここで、一次焼却室の傾斜床の傾斜角度と
しては、傾斜床上に敷設された粒子層中の粒子の安息角
をαとすると、α−30°〜α+30°で形成するのが
好ましい。傾斜角度がα−30°より小さくなると一次
焼却室に投入された焼却物が粒子層上で燃焼しながら二
次焼却室へ移動し難く燃焼効率に欠ける傾向があり、α
+30°より大きくなると一次焼却室に投入された焼却
物が燃焼する前に二次焼却室に移動し一次焼却室での燃
焼が行われ難くなる傾向があり、いずれも好ましくな
い。熔融バーナとしては、灰熔融室内の焼却灰を熔融す
るだけでなく、二次焼却室の温度も維持できる構造に配
設される。また、二次焼却室の温度維持のため二次焼却
室に補助バーナを配設してもよい。これにより、二次焼
却室における燃焼動作開始時等に十分な温度を維持でき
る。また、熔融バーナの代わりに、アーク加熱やプラズ
マトーチ加熱等を用いてもよい。冷却室としては、水を
貯留した水槽部を有したもの等が用いられ、灰熔融室で
熔融された熔融スラグが水槽部の水中へ滴下されて急冷
水さいとして処理される。粒子層としては、粒径が1m
m〜30mm、好ましくは3mm〜10mmの川砂,山
砂等の砕石類,蛇紋岩,玄武岩等の岩石屑,ガラス屑,
カレット,高炉スラグ,石灰石等の、低融点で焼却灰と
共融する無機質粒子が、単独又は混合して用いられる。
これにより、焼却物の焼却灰と共融して粒子層上で焼却
灰を低温で熔融できる。尚、粒径が3mmより小さくな
るにつれ、粒子層における通気の際の圧力損失が大きく
なり、また通気の分散効果が小さく粒子層上での燃焼効
率に欠ける傾向があり、粒径が10mmより大きくなる
につれ、粒子層での断熱効果に欠け熱損失が増加する傾
向があり、いずれも好ましくない。空気供給部として
は、少なくとも、一次焼却室側,二次焼却室と灰熔融室
側で各々独立しているのが好ましい。これにより、一次
焼却室側,二次焼却室と灰熔融室側で別々に空気の供給
量を調節でき燃焼や熔融に適した空気量を供給できる。
また、空気供給部から供給される空気の供給量として
は、少なくとも粒子層の表面側の粒子が昇温,熔着する
のを防止できる空気量で、かつ、粒子層の粒子が空気の
供給に伴い流動や飛散することのない空気量が、焼却物
の種類や量に応じて適宜決められる。バーナ用空気供給
部としては、灰熔融室の周壁の天井部や天井部の周壁の
1以上の所定部に熱交換器と連通した貫通口等により形
成される。尚、焼却灰を一次焼却室に投入し、該熔融式
焼却システムを灰熔融の専用装置として使用してもよ
い。一次焼却室で未燃物を完全燃焼させ熔融効率を高め
ることができる。ボイラー用燃焼炉等の汎用の燃焼炉と
して使用してもよい。これにより、灰分を含む燃料,R
DF(ペレット化した廃棄物),石炭,重油,アスファ
ルト類の安全な燃焼炉として使用でき、副生される灰熔
融スラグを安全に利用することができる。焼却物の種類
等に応じて灰熔融室に、ソーダ灰,水ガラス,燐鉱石,
石灰等の熔融補助剤を投入してもよい。これにより、灰
熔融室での焼却灰の熔融を促進させることができるとと
もに、低温で熔融でき省エネルギー効率を高めることが
できる。含水ゴミや有機汚泥等の水分の多い焼却物の場
合、一次焼却室の上部にヒーティングパイプを追加して
排出口の排ガスをヒーティングパイプ内に供給すること
により、一次焼却室内で乾燥部分を作りだすことがで
き、一次焼却室内で焼却物の乾燥,燃焼を行うことがで
きる。また、水分の多い焼却物に石炭や重油等の燃料を
混合して発熱量を調整することにより、通常の焼却物と
同様に焼却熔融処理ができる。更に、粒子層中にガスや
軽油等の流体燃料の燃料噴出管を埋設し、粒子層中、若
しくは粒子層表面に燃料を微量で噴出させてもよい。こ
れにより、粒子層の表面がパイロットバーナと同様の役
割を果たし、特に、一次焼却室や二次焼却室での焼却物
の燃焼を確実に継続させることができる。
【0007】本発明の請求項2に記載の灰熔融式焼却シ
ステムは、請求項1に記載の発明において、前記空気供
給部が、前記一次焼却室の前記傾斜床,前記二次焼却室
及び前記灰熔融室の前記床の上面に所定間隔で立設され
た複数の床桟と、各前記床桟の間に配設され前記送風機
に接続された空気管と、前記空気管の前記傾斜床又は前
記床側の周壁に穿設された空気噴出孔と、を備えた構成
を有している。これにより、空気管が複数の床桟の間に
配設されているため、空気管から噴出された空気が床桟
に沿って粒子層へ供給されてチャンネリングやショート
パスが発生するのを防止でき、特に、灰熔融室におい
て、熔融処理する焼却灰のない所へ空気が偏流するのを
防止できるという作用を有する。また、空気噴出孔が、
空気管の傾斜床又は床側の周壁に穿設されているため、
空気供給時に空気の噴出によって焼却灰が浮遊するのを
防止できるとともに、空気噴出孔が焼却灰や熔融スラグ
等で塞がれるのを防止できるという作用を有する。ここ
で、床桟及び空気管としては、一次焼却室の傾斜床の傾
斜方向と略直角に配設されるのが好ましい。これによ
り、焼却物の燃焼及び焼却灰の熔融の各処理段階に応じ
て空気の供給量を容易に調節することができ燃焼効率,
熔融効率を向上させることができる。空気管としては、
鉄やアルミニウム等の金属管,陶器や磁器等のセラミッ
ク管等の円管,楕円管,角管,箱状体等が用いられる。
空気噴出孔としては、円形状や四角形状等の多角形状の
孔を空気管に複数穿設したものが用いられ、空気噴出孔
の大きさとしては、直径又は対角線が1mm〜10m
m、好ましくは1.5mm〜6mmに形成される。これ
により、空気噴出孔から噴出された空気を粒子層へ均一
に供給できる。また、1.5mmより小さくなるにつ
れ、焼却物の燃焼や焼却灰の熔融に必要な空気量を得難
いとともに、必要な空気量を供給すると、空気管や送風
機に背圧がかかり易くなる傾向が有り、6mmより大き
くなるにつれ、粒子層を通気する空気の通気速度が遅く
なり燃焼効率に欠ける傾向が有り、いずれも好ましくな
い。尚、空気管の上部でかつ粒子層中に多数のレール状
又はロストル等の火格子状の仕切り板を配設した場合、
粒子層表面で生成した焼却灰を移動させる場合のガイド
レールとして作用し、粒子層の粒子の移動を防止でき
る。
【0008】本発明の請求項3に記載の灰熔融式焼却シ
ステムは、請求項1又は2の内いずれか1項に記載の発
明において、前記熱交換器が、前記二次焼却室に連通し
た熱交換室と、前記熱交換室に形成された係止部と、前
記係止部に係止されて所定間隔で前記熱交換室に遊挿さ
れ一端が前記バーナ用空気供給部に遊挿された1乃至複
数の伝熱管と、前記伝熱管の上流側に接続された送風機
と、を備えた構成を有している。これにより、一次焼却
室や二次焼却室で発生した燃焼熱が熱交換室に流入し熱
交換室に配設された伝熱管が熱伝達により加熱されるた
め、送風機から伝熱管に供給された空気を加熱すること
ができ、バーナ用空気供給部を介して灰熔融室に配設さ
れた熔融バーナに高温に加熱されたバーナ用空気を供給
できるという作用を有する。伝熱管を熱交換室に形成さ
れた係止部に係止するだけで、送風機とバーナ用空気供
給部を伝熱管で連通して伝熱管を介して高温のバーナ用
空気を灰熔融室に供給でき、簡単な構造で熱交換器を形
成できるという作用を有する。伝熱管が係止部やバーナ
用空気供給部に遊挿して支持されているので、焼却時や
未焼却時の温度差による伝熱管の膨張収縮を吸収でき耐
久性を向上できるという作用を有する。ここで、伝熱管
としては、耐熱ステンレス,鋼,インコネル,ハステロ
イ等の金属製又はムライト,アルミナ,窒化珪素等のセ
ラミック製の円管や楕円管,角管等が用いられ、送風機
により伝熱管の内部に空気を供給して熱交換室内で伝熱
管を加熱して灰熔融室に高温の空気を供給できるものが
用いられる。また、バーナ用空気供給部に連通された伝
熱管の一端部としては、灰熔融室に伝熱管の一端部が露
出しないように遊挿されるのが好ましい。これにより、
伝熱管の端部が灰熔融室の熱等により損傷するのを防止
できる。熱交換室に形成された係止部としては、燃焼排
ガスと送風機から供給される空気を分離する平板と、平
板に1乃至複数の伝熱管を遊挿保持できる挿着孔を有し
たもの等任意の形状のものが用いられ、伝熱管を容易に
吊り下げ等で係止できる形状であればよく、また、伝熱
管を脱着自在に係止できる形状が好ましい。これによ
り、伝熱管の交換等の熱交換器内のメンテナンスが容易
にできる。
【0009】本発明の請求項4に記載の灰熔融式焼却シ
ステムは、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の発
明において、前記二次焼却室,前記灰熔融室,前記冷却
室の内いずれか1以上に接続された集塵機と、前記集塵
機と前記一次焼却室を接続して配設された給送機と、を
備えた構成を有している。これにより、二次焼却室,灰
熔融室,冷却室で発生した煤塵を集塵機で回収して給送
機を介して一次焼却室へ戻すことができ、焼却,熔融,
固化処理中に発生した煤塵を外部に排出することなく同
時に該灰熔融式焼却システムで処理できるという作用を
有する。ここで、熔融スラグを水さい処理した冷却室の
水をポンプ等で一次焼却室へ送り、冷却室の水中で濃縮
された溶解成分を一次焼却室へ戻して焼却灰の熔融時の
熔融剤として使用してもよい。これにより、灰熔融室へ
熔融剤を投入する手間を省くことができる。また、汚泥
の滞留を防止し、排水処理設備を著しく簡素化すること
ができる。尚、冷却室で冷却して生成されたスラグを洗
浄水で洗浄しながら排出した場合、スラグ洗浄水を濾過
手段を介して冷却室の水として使用し、更に、汚泥等を
一次焼却室へ戻して焼却処理してもよい。
【0010】本発明の請求項5に記載の灰熔融式焼却シ
ステムは、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の発
明において、少なくとも前記一次焼却室の周壁が、空洞
状の炉壁部と、前記炉壁部の空洞部に充填された水と、
を有した水冷壁で形成された構成を有している。これに
より、一次焼却室に投入された都市ゴミや産業廃棄物等
の焼却物中に、プラスチック廃棄物や石油製品等を含ん
でいる場合に、水冷壁の昇温を均一に防止できプラスチ
ック廃棄物や石油製品等の熔融液化・ガス発生の暴走を
防ぎ、一次焼却室内でのガスの発生を均一化することが
できるという作用を有する。また、耐火物や断熱材の内
張りを要さず施工性を向上できるという作用を有する。
ここで、一次焼却室の周壁のみを水冷壁とした場合、二
次焼却室及び灰熔融室等の周壁は、耐火物や断熱材を内
張りした煉瓦壁構造等で形成される。また、温水による
熱回収を計る場合には、二次焼却室や灰熔融室の周壁も
水冷壁で形成し、その内側に耐火物や断熱材を張り形成
するのが好ましい。これにより、従来は壁から放熱して
いた熱の回収を向上できるとともに、壁の耐火物や断熱
材の寿命を著しく延長できる。
【0011】本発明の請求項6に記載の灰熔融式焼却シ
ステムは、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の発
明において、前記一次焼却室の上流側に連接された熔融
剤投入口、前記一次焼却室及び/又は前記二次焼却室の
上流側に配設されたプッシャー、前記粒子層の上面に配
設された仕切板、の内いずれか1以上を備えた構成を有
している。これにより、焼却灰の熔融処理中に、焼却物
の種類等に応じて熔融剤投入口からガラス屑や玄武岩,
蛇紋岩等の岩石屑等の熔融剤、及び/又は固体燃料を投
入することができ、焼却灰の熔融を促し熔融処理性能を
向上できるという作用を有する。プッシャーを一次焼却
室の上流側に備えることにより、投入口から投入された
焼却物や熔融剤投入口から投入された熔融剤を一次焼却
室内へ強制的に押し込むと同時に未燃焼物や熔融剤を移
動・攪拌することができ、焼却物の焼却処理速度を向上
できるという作用を有する。また、二次焼却室の上流側
に備えることにより、二次焼却室の粒子層上の焼却灰を
灰熔融室へ押し出すことができ焼却灰の熔融を促進でき
るという作用を有する。粒子層の上面にレール状又はロ
ストル等の火格子状の仕切板を備えることにより、一次
焼却室,二次焼却室,灰熔融室内のメンテナンス時等に
粒子層の粒子が掻きだされるのを防止できるという作用
を有する。
【0012】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)本発明における
灰熔融式焼却システムの実施の形態1について、以下図
面を用いて説明する。図1は実施の形態1における灰熔
融式焼却システムの要部断面全体側面図である。図中、
1は実施の形態1における灰熔融式焼却システム、2は
灰熔融式焼却システム1の一次焼却室、2aは上流側か
ら下流側へ向けて傾斜した一次焼却室2の傾斜床、3は
一次焼却室2と連通した二次焼却室、4は二次焼却室3
と連通した灰熔融室、4aは灰熔融室4の下流側端部、
5は二次焼却室3及び灰熔融室4の床、6は炎口6aが
灰熔融室4の底面の上部に向けられて配設された熔融バ
ーナ、7は灰熔融室4の下流側端部4aの下方に位置し
た冷却室、7aは冷却室7の水槽部、7bは水槽部7a
に貯留された冷却水、8は傾斜床2a及び床5に敷設さ
れた川砂等の砕石類や蛇紋岩等の岩石屑,ガラス屑等の
無機質粒子からなる粒子層、9a,9bは傾斜床2a上
の粒子層8,床5上の粒子層8に埋設された空気供給
部、10a,10bは空気供給部9a,9bに接続され
た送風機、11は粒子層8の上面に配設されたレール状
又は火格子状等からなる仕切板、12は一次焼却室2の
上流側に配設され仕切板11上で往復動するプッシャ
ー、13は一次焼却室2の周壁の水冷壁、13aは空洞
状に形成された水冷壁13の炉壁部、13bは炉壁部1
3aの空洞部に充填された水、14は一次焼却室2の上
流側に形成された焼却物を投入する投入口、15aは二
次焼却室3の周壁、15bは二次焼却室3及び灰熔融室
4の周壁、16は灰熔融室4の上方の周壁15bに形成
された貫通孔からなるバーナ用空気供給部、17は二次
焼却室3の下流側に開口して形成された熱交換器接続
部、18は熱交換器接続部17を介してバーナ用空気供
給部16に接続され二次焼却室3と灰熔融室4を連通し
た伝熱管を備えた熱交換器、18aは熱風と熱交換器1
8の伝熱管との接融時間を長くするとともに熱風のショ
ートパスや偏流を防ぐバッファ、19は熱交換器18の
上流側に接続された送風機、20は熱交換器18に接続
され灰熔融式焼却システム1で発生した排ガスや煤塵,
廃熱等が排出される排出部、21aは排出部20に接続
されたヒートパイプ(図示せず)等からなり燃焼排ガス
の燃焼熱を回収する排熱回収器、21bは排出部20に
接続されたバッグフィルター等の濾布式やサイクロン等
の遠心力式,衝突式等の慣性式の集塵機、21cは排熱
回収器21a,集塵機21bに接続され排ガスを排出す
る煙突、22は集塵機21bと一次焼却室2を連通し媒
塵等を一次焼却室2に給送する給送機、23は冷却室7
の水槽部7aに接続され水槽部7a内のスラグを搬送し
ながら洗浄する洗浄兼用スクリューコンベヤ、23aは
冷却室7で水さい処理されたスラグを排出するスラグ排
出口、23bは洗浄兼用スクリューコンベヤ23に接続
され搬送中のスラグを洗浄する洗浄水供給部、24は冷
却室7の水槽部7aに接続され水槽部7aの冷却水7b
を濾過手段(図示せず)を介して一次焼却室に供給する
ポンプである。尚、図中、矢印Aは二次焼却室3中にお
ける燃焼熱の流れ、矢印Bは熱交換器18に供給された
バーナ用空気の流れ、を示す。ここで、粒子層8は、粒
径が1mm〜30mmの粒子を3cm〜60cmの厚さ
に敷きつめて形成されている。粒子層8の厚さが3cm
より薄くなると、空気供給部9a,9bを粒子層8に埋
設し難くなり、空気供給部9a,9bの大きさが不十分
で十分な空気量を供給できない傾向が有り、また、粒子
層8の厚さが60cmより厚くなっても粒子層8による
効果は略一定となるため不必要であり、いずれも好まし
くない。
【0013】次に、実施の形態1における灰熔融式焼却
システム1の空気供給部9a,9bについて、図面を用
いて説明する。図2(a)は実施の形態1における灰熔
融式焼却システムの空気供給部の要部断面側面図であ
り、図2(b)は実施の形態1における灰熔融式焼却シ
ステムの他の形状の空気供給部の要部断面側面図であ
る。図中、25は略垂直方向に傾斜床2a,床5に粒子
層8の流れと直交状に立設された複数の床桟、26は各
床桟25の間に配設され送風機10a,10bに接続さ
れた鉄やアルミニウム等の金属管,陶器や磁器等のセラ
ミック管等からなる空気管、26aは空気管26の傾斜
床2a又は床5側の周壁に複数穿設された空気噴出孔、
26′は傾斜床2a,床5の下方に形成され送風機10
a,10bに接続された空洞状の空気箱、26′aは空
気箱26′に連通し各床桟25の間に配設された角管か
らなる空気管、26′bは空気管26′aの側面に複数
穿設された空気噴出孔である。尚、図中の矢印Cは空気
管26の空気噴出孔26aから噴出された空気の流れを
示す。ここで、空気管26,26′aは、空気管26,
26′aの外周面の上部が粒子層8の表面から10mm
〜100mm、好ましくは20mm〜70mmの位置に
埋設される。20mmより浅く埋設されると、空気管2
6,26′aから供給する空気量を増加した場合に粒子
層8の粒子が飛散し易くなる傾向が有り、また、70m
mより深く埋設されると、送風機10a,10bに背圧
がかかる傾向があるため、いずれも好ましくない。次
に、実施の形態1における灰熔融焼却システム1の熱交
換器18について、図面を用いて説明する。図3(a)
は実施の形態1における灰熔融式焼却システムの熱交換
器の要部断面側面図であり、図3(b)は熱交換器の上
端部を示す要部断面側面図であり、図3(c)は熱交換
器の下端部を示す要部断面側面図である。図中、27は
熱交換器接続部17及びバーナ用空気供給部16を介し
て二次焼却室3と灰熔融室4を連通した熱交換器18の
熱交換室、28は熱交換室27の上部に形成された板状
体等からなる係止部、28aは係止部28に穿設された
孔状部からなる吊設部、29は係止部28の吊設部28
aに挿入されて熱交換室27内に所定間隔で複数配設さ
れた耐熱ステンレス,鋼,インコネル,ハステロイ等の
金属製又はムライト,アルミナ,窒化珪素等のセラミッ
ク製の伝熱管、29aは伝熱管29の上端につば状に形
成され吊設部28aの外周に係止して伝熱管29の上端
部を係止した伝熱管係止つば、29bは伝熱管29を吊
設部28aに挿着した際に伝熱管29が吊設部28aと
当接する位置に装着されたサヤ管、29cは貫通口から
なるバーナ用空気供給部16の途中まで遊挿された伝熱
管29の下端部である。
【0014】以上のように構成された灰熔融式焼却シス
テムにおいて、以下焼却物の焼却熔融処理動作について
説明する。一次焼却室2の投入口14から都市ゴミや産
業廃棄物等の焼却物を投入し、送風機10a,10bの
運転を開始して空気供給部9a,9bの空気管26に空
気を供給し、図2(a)若しくは図2(b)の矢印Cに
示すように、空気噴出孔26aから粒子層8を介して一
次焼却室2,二次焼却室3,灰熔融室4へ空気を供給す
るとともに、一次焼却室2に投入された焼却物に着火し
て焼却物の燃焼を開始する。次に、一次焼却室2に投入
された焼却物は、一次焼却室2の傾斜床2aに敷設され
た粒子層8の表面で移動しながら粒子層8側から燃焼さ
れて焼却灰及び燃焼ガスを生成し、一次焼却室2で生成
された燃焼ガスが二次焼却室3へ流入するとともに、焼
却灰や未燃焼物等が粒子層8上の表面流若しくはプッシ
ャー12により二次焼却室3へ供給される。二次焼却室
3では、空気供給部9bの空気管26の空気噴出孔26
aから粒子層8を介して二次焼却室3に空気が供給さ
れ、一次焼却室2から二次焼却室3へ流下した燃焼ガス
が完全燃焼されるとともに、未燃焼物が燃焼されて焼却
灰が生成されて粒子層8の表面を移動しながら灰熔融室
4へ焼却灰が供給される。ここで、一次焼却室2,二次
焼却室3及び灰熔融室4で発生した燃焼熱は、矢印Aに
示すように、二次焼却室3から熱交換器接続部17を介
して熱交換器18の熱交換室27へ流入して熱交換室2
7に配設されたバッファ18aにより整流され、伝熱管
29の外周面に沿って伝熱管29を加熱しながら排出部
20側へ流動し、排出部20から排熱回収器21a及び
集塵機21bへ排出される。また、送風機19から伝熱
管29に供給された空気は、燃焼熱で加熱された伝熱管
29内を通過する間に加熱され、伝熱管29の下端部2
9cからバーナ用空気供給部16を介して灰熔融室4に
供給される。次に、二次焼却室3から灰熔融室4に供給
された焼却灰は、炎口6aを灰熔融室4の焼却灰に向け
て配設された熔融バーナ6及び灰熔融室4における輻射
熱により、焼却灰の上面側から熔融されて熔融スラグが
生成される。ここで、粒子層8側は、空気供給部9bの
空気管26から供給された空気により冷却されるため、
粒子層8側に生成された熔融スラグが冷却されて固化
し、焼却灰の上面側に生成された熔融スラグが冷却室7
側へ移動するための流路が形成される。尚、灰熔融室4
の粒子層8に供給する空気供給部9bからの空気の供給
量を調節することにより、熔融スラグの流路の形状を調
節できる。次いで、灰熔融室4で生成した熔融スラグ
が、灰熔融室4の下流側端部4aから冷却室7の水槽部
7aの冷却水7b中に滴下し、冷却水7bで急冷水さい
化されて固化し、スラグが生成される。次いで、冷却室
7の水槽部7aで固化して生成されたスラグは、洗浄兼
用スクリューコンベヤ23でスラグ排出口23a側へ搬
送されながら、洗浄水供給部23bから供給される洗浄
水で洗浄されてスラグ排出口23aから灰熔融式焼却シ
ステム1の系外へ排出される。尚、系外へ排出されたス
ラグは、再資源として利用される他、灰熔融式焼却シス
テム1の粒子層8の粒子として使用される。また、熱交
換室27に連通された排熱回収器21aにより回収され
た燃焼排ガスは、煤塵と排ガスに分離されて排ガスが煙
突21cから大気に放出され、また、集塵機21bによ
り回収された灰熔融式焼却システム1内で発生した煤塵
や燃焼排ガスから分離された煤塵等は、給送機22によ
り一次焼却室2へ給送されて焼却熔融処理される。更
に、冷却室7の水槽部7aに接続されたポンプ24によ
り水槽部7aの冷却水7b中に濃縮された溶解成分が一
次焼却室2へ戻され、熔融剤として使用される。尚、冷
却室7で生成されたスラグを洗浄した洗浄水を一次焼却
室へ戻し、焼却熔融処理してもよい。また、粒子層8中
にガスや軽油等の流体燃料の燃料噴出管を埋設し、粒子
層8中に燃料を供給し燃焼させてもよい。これにより、
燃焼のとろ火効果で一次焼却室2,二次焼却室3での焼
却物の燃焼を確実に継続させることができる。更に、焼
却物の投入時に予め炭素質の多い石炭やコークス類の粉
末や重質廃油等を混合して一次焼却室2に投入してもよ
い。これにより、ガス化の不安定性を防ぎ安全性を向上
できるとともに、灰の熔融を助長することができ、廃油
やヘドロ等の液状可燃物の焼却もできる。
【0015】以上のように実施の形態1における灰熔融
式焼却システムは構成されているため、以下の作用を有
する。 a.投入口から投入された都市ゴミや産業廃棄物等の焼
却物が、一次焼却室で燃焼されて燃焼ガスと焼却灰を生
成するとともに、二次焼却室で燃焼ガスと未燃焼物を完
全燃焼させて焼却灰を生成し、更に、灰熔融室で熔融バ
ーナ及び輻射熱により焼却灰を熔融して熔融スラグを生
成して冷却室に滴下し、冷却室の水槽部内の冷却水によ
る水さい処理で熔融スラグを冷却固化することができ、
該灰熔融式焼却システムで一度に焼却物の焼却・熔融・
固化の処理ができる。 b.一次焼却室の傾斜床,二次焼却室及び灰熔融室の床
に粒子層が敷設されているとともに、粒子層に埋設した
空気供給部を有しているため、都市ゴミや産業廃棄物等
の焼却物を投入して着火するだけで、空気供給部から燃
焼用空気が供給されて粒子層側から焼却することがで
き、含水ゴミや有機汚泥等の任意の焼却物を完全燃焼さ
せ、かつ熔融処理することができる。 c.灰熔融室の床に粒子層が敷設されているとともに、
粒子層内に空気供給部が埋設されているため、灰熔融室
内で熔融された焼却灰の熔融スラグの粒子層側が空気供
給部による通気により冷却されて固化して熔融スラグの
液溜り及び流路を形成できるとともに、高温化での焼却
灰の熔融スラグとの反応等で床が損傷するのを防止でき
る。また、該灰熔融式焼却システムの運転の停止,再運
転の場合、従来の熔融炉ではスラグ液溜り部の破損防止
のために急熱が困難であったが、該灰熔融式焼却システ
ムの粒子層で形成された熔融スラグの液溜り部は、破損
しても再熔融して形成でき該灰熔融式焼却システムの制
御が簡単にできる。 d.空気供給部が、床桟と空気管からなり、空気管が複
数の床桟の間に配設されているため、各空気管から噴出
された空気がチャンネリングするのを防止でき、特に、
灰熔融室において、熔融処理する焼却灰のない所へ空気
が偏流するのを防止し熔融効率を高めることができる。 e.空気噴出孔が、空気管の傾斜床又は床側の周壁に穿
設されているため、空気が傾斜床等の全体から低流速で
供給されるので、空気供給時に焼却灰が浮遊するのを防
止できるとともに、空気噴出孔が焼却灰や熔融スラグ等
で塞がれるのを防止できる。 f.二次焼却室と灰熔融室を連通した熱交換器を有して
いるため、二次焼却室で発生した燃焼熱を熱交換器で回
収し、バーナ用空気供給部を介して、灰熔融室に配設さ
れた熔融バーナに高温に加熱されたバーナ用空気を供給
でき灰熔融室での熔融処理性能を向上でき、また、省エ
ネルギー性を向上できる。 g.熱交換器が、熱交換室と、上端部が熱交換室の係止
部に係止された伝熱管で構成されているため、伝熱管を
係止部に挿入して係止するだけで送風機とバーナ用空気
供給部を連通して高温のバーナ用空気を灰熔融室に供給
でき、簡単な構造で熱交換器が形成できるとともに、メ
ンテナンスが容易で保守作業性に優れ、また、伝熱管の
下端部がバーナ用空気供給部の途中まで挿入されている
ため伝熱管の下端部が熔融バーナの炎等で損傷するのを
防止できる。 h.熱交換器が、二次焼却室と灰熔融室を連通している
ため、二次焼却室から熱交換室に流入した燃焼熱で伝熱
管を加熱するとともに、送風機から伝熱管に供給された
空気を加熱することができ、バーナ用空気供給部を介し
て灰熔融室に配設された熔融バーナに高温のバーナ用空
気を供給でき灰熔融室での熔融処理性能を向上できる。 i.熱交換器の熱交換室に接続された集塵機と、集塵機
と一次焼却室を連通した給送機を備えているため、焼却
物の焼却・熔融処理中に発生した煤塵等を集塵機で回収
して一次焼却室へ戻すことができ、焼却・熔融処理中に
発生した煤塵等を該灰熔融式焼却システムの系外に排出
することなく処理でき、有毒排出物(ダイオキシン等)
の排出を防止できる。 j.一次焼却室の周壁が、水冷壁で形成されているた
め、一次焼却室に投入される都市ゴミや産業廃棄物等の
焼却物中に、プラスチック廃棄物や石油製品等を含んで
いる場合にも、プラスチック廃棄物や石油製品等の熔融
液化・ガス発生の暴走を防ぎ、一次焼却室内でのガスの
発生を均一化することができるとともに、耐火物や断熱
材の内張りを要さず施工性を向上できる。 k.一次焼却室の上流側にプッシャーを備えているた
め、一次焼却室で生成された焼却灰や未焼却物等を連続
的又は間欠的に二次焼却室へプッシャーで強制的に供給
することができるとともに、焼却灰や未焼却物と粒子層
中の熔融剤等とを攪拌しながら二次焼却室へ供給するこ
とができ、焼却物の焼却や熔融を促進し燃焼効率や熔融
効率を向上させることができる。 l.粒子層の上面に火格子状等からなる仕切板を備えて
いるため、プッシャーの駆動時に粒子層の粒子が二次焼
却室側へ移動されるのを防止できるとともに、一次焼却
室,二次焼却室,灰熔融室内のメンテナンス時等に粒子
層の粒子が掻きだされるのを防止できる。
【0016】(実施の形態2)本発明における灰熔融式
焼却システムの実施の形態2について、以下図面を用い
て説明する。図4は実施の形態2における灰熔融式焼却
システムの要部断面全体側面図である。尚、実施の形態
1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略す
る。図中、30は実施の形態2における灰熔融式焼却シ
ステム、31は一次焼却室2の上流側に連接された熔融
剤投入口である。以上のように構成された実施の形態2
における灰熔融式焼却システム30では、実施の形態1
と同様に、一次焼却室2に焼却物を投入して焼却物を燃
焼し、次いで、未焼却物と燃焼ガスを二次焼却室3で完
全燃焼させ、更に、灰熔融室4で焼却灰を熔融して熔融
スラグを生成し、冷却室7で熔融スラグを水さい処理し
て固化し、スラグを生成するとともに、洗浄兼用スクリ
ューコンベヤ23でスラグ排出口23aからこの回収ス
ラグを排出し、焼却物の焼却・熔融・固化処理が行われ
る。また、焼却物の種類等に応じて、焼却物の焼却熔融
処理中に熔融剤投入口31からソーダ灰,水ガラスやガ
ラス屑,燐鉱石,石灰,玄武岩,蛇紋岩等の岩石屑若し
くは上記回収スラグ等を投入して添加することにより、
焼却物の燃焼・熔融が促進される。以上のように実施の
形態2における灰熔融式焼却システムは構成されている
ため、実施の形態1の作用に加え、一次焼却室の上流側
に熔融剤投入口を備えているので、焼却物に予め熔融剤
を混合することなく焼却物を投入口から投入し、焼却物
の種類等に応じて、焼却物の焼却熔融処理中に熔融剤投
入口から熔融剤を投入して焼却物の燃焼・熔融を促進さ
せることができるという作用を有する。
【0017】
【発明の効果】以上のように本発明における灰熔融式焼
却システムによれば、以下の優れた効果を実現できる。
請求項1に記載の灰熔融式焼却システムによれば、 (1)投入口から投入された都市ゴミや産業廃棄物等の
焼却物が、一次焼却室の傾斜床に敷設された粒子層によ
り二次焼却室側へ移動しながら燃焼されて焼却灰を生成
するとともに、燃焼時に発生した燃焼ガスとともに焼却
灰が二次焼却室へ流下して二次焼却室で完全燃焼され、
更に、灰熔融室で焼却灰が熔融バーナ及び輻射熱で熔融
され熔融スラグが生成され、次いで熔融スラグが冷却室
に落下して固化されてスラグが生成され、都市ゴミや産
業廃棄物等の焼却物を一度に焼却・熔融・固化処理でき
焼却物の処理性能に優れるとともに、該灰熔融式焼却シ
ステムを小型化でき省エネルギー性,生産性に優れる。 (2)一次焼却室の傾斜床,二次焼却室及び灰熔融室の
床に粒子層が敷設されているとともに、粒子層に埋設し
た空気供給部を有しているため、都市ゴミや産業廃棄物
等の焼却物を投入して着火するだけで、空気供給部から
燃焼用空気が供給されて粒子層側から酸化雰囲気で焼却
することができ、含水ゴミや有機汚泥等の任意の焼却物
を確実に完全燃焼させて熔融処理することができ焼却物
の焼却効率・処理性能に優れる。 (3)灰熔融室の床に粒子層が敷設されているととも
に、粒子層内に空気供給部が埋設されているため、灰熔
融室内で熔融された焼却灰の熔融スラグの粒子層側が、
空気供給部による通気により冷却されて固化して上面側
の熔融スラグの容器となるとともに、熔融スラグが移動
する流路が形成されるので、熔融による高温や熔融スラ
グの熱等で床が損傷するのを防止でき安全性に優れると
ともに、耐スラグ浸蝕性の高級耐火物を要さず低コスト
化を図れ、また、該熔融式焼却システムの耐久性に優れ
る。 (4)二次焼却室と灰熔融室のバーナ用空気供給部を連
通した熱交換器を有しているため、焼却物の焼却及び焼
却灰の熔融時に発生した燃焼熱を熱交換器で回収し、バ
ーナ用空気供給部を介して、灰熔融室に配設された熔融
バーナに高温のバーナ用空気を供給でき灰熔融室での焼
却灰の熔融効率,熱効率を向上できるとともに、熔融処
理性能に優れる。 (5)冷却室で回収されたスラグを水洗浄して排出する
場合、スラグ中のアルカリ等の水溶性成分を除去するこ
とができ、スラグを埋め立てやリサイクル材料として安
全に使用することができ、環境汚染を防止できるととも
に、洗浄により回収された水溶性成分を熔融補助剤とし
て一次焼却室に戻した場合、水溶性成分を分解又はガラ
ス成分としてスラグ中に固定されて安定化され、安全に
処理することができる。請求項2に記載の発明によれ
ば、請求項1の効果に加えて、 (6)空気供給部が、床桟と、床桟の間に配設された空
気管で構成されているため、空気管から噴出された空気
が床桟に沿って粒子層へ供給されてチャンネリングが発
生するのを防止でき、特に、灰熔融室において、熔融処
理する焼却灰のない所へ空気が流れるのを防止でき、各
焼却室での焼却効率及び灰熔融室での熔融効率に優れ、
焼却物の処理性能に優れる。 (7)空気噴出孔が、空気管の傾斜床又は床側の周壁に
穿設されているため、空気供給時に空気の噴出によって
焼却灰が浮遊するのを防止できるとともに、空気噴出孔
が焼却灰や熔融スラグ等で塞がれるのを防止でき、空気
をスムーズに供給でき焼却物の焼却熔融処理性能に優れ
る。
【0018】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は2の効果に加えて、 (8)熱交換器が、熱交換室と、係止部と、伝熱管で構
成され、伝熱管を熱交換室に形成された係止部に係止す
るだけで、送風機とバーナ用空気供給部を伝熱管で連通
して伝熱管を介して高温のバーナ用空気を灰熔融室に供
給できる熱交換器を形成でき、構造が簡単でメンテナン
ス性に優れるとともに生産性に優れ、また、伝熱管に直
接燃焼熱を当てて伝熱管を加熱して、バーナ用空気を加
熱できるため熱効率に優れる。 (9)二次焼却室で発生した燃焼熱が熱交換室に流入し
熱交換室に配設された伝熱管が熱伝達により加熱される
ため、送風機から伝熱管に供給された空気を加熱するこ
とができ、バーナ用空気供給部を介して灰熔融室に配設
された熔融バーナに高温のバーナ用空気を供給でき、熔
融バーナの燃焼効率を向上でき灰熔融室における焼却灰
の熔融処理性能に優れる。請求項4に記載の発明によれ
ば、請求項1乃至3の効果に加えて、 (10)二次焼却室,灰熔融室,冷却室の内いずれか1
以上に接続された集塵機と、集塵機と一次焼却室を連通
した給送機と、を備えることにより、二次焼却室,灰熔
融室,冷却室で発生した煤塵を集塵機で回収して給送機
を介して一次焼却室へ戻すことができ、焼却,熔融,固
化処理中に発生した煤塵を外部に排出することなく同時
に該灰熔融式焼却システムで処理でき、該灰熔融式焼却
システムの動作時に系外へ煤塵等を排出するのを防止で
き作業環境に優れるとともに、焼却物の処理性能に優れ
る。請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の
効果に加えて、 (11)少なくとも一次焼却室の周壁を水冷壁で形成す
ることにより、特に、一次焼却室に投入される都市ゴミ
や産業廃棄物等の焼却物中に、プラスチック廃棄物や石
油製品等を含んでいる場合に、プラスチック廃棄物や石
油製品等の熔融液化・ガス発生の暴走を防ぎ、一次焼却
室内でのガスの発生を均一化することができ安全性に優
れる。 (12)周壁の形成時に耐火物や断熱材の内張りを要さ
ず施工性を向上でき、該灰熔融式焼却システムの生産性
を向上できるとともに、従来炉壁から放熱されていた熱
を温水として回収することができ、熱の有効利用性に優
れる。請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5
の効果に加えて、 (13)一次焼却室の上流側に連接された熔融剤投入口
を備えることにより、焼却灰の熔融処理中に、熔融剤投
入口からガラス屑や玄武岩,蛇紋岩等の岩石屑等の熔融
剤を投入することができ、焼却灰の熔融を促し熔融処理
性能を向上できる。 (14)一次焼却室及び/又は二次焼却室の上流側に配
設されたプッシャーを備えることにより、投入口から投
入された焼却物や熔融剤投入口から投入された熔融剤を
一次焼却室内へ強制的に押し込むと同時に未燃焼物や熔
融剤を移動・攪拌することができ、焼却物の燃焼処理速
度を向上でき、また、二次焼却室の上流側に備えること
により、二次焼却室の粒子層上の焼却灰を灰熔融室へ押
し出すことができ焼却灰の熔融を促進でき、焼却物の焼
却熔融処理性能を向上できる。 (15)粒子層の上面に配設された仕切板を備えること
により、一次焼却室,二次焼却室,灰熔融室内のメンテ
ナンス時等に粒子層の粒子が掻きだされるのを防止で
き、メンテナンス性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1における灰熔融式焼却システムの
要部断面全体側面図
【図2】(a)実施の形態1における灰熔融式焼却シス
テムの空気供給部の要部断面側面図 (b)実施の形態1における灰熔融式焼却システムの他
の形状の空気供給部の要部断面側面図
【図3】(a)実施の形態1における灰熔融式焼却シス
テムの熱交換器の要部断面側面図 (b)熱交換器の上端部を示す要部断面側面図 (c)熱交換器の下端部を示す要部断面側面図
【図4】実施の形態2における灰熔融式焼却システムの
要部断面全体側面図
【符号の説明】
1,30 灰熔融式焼却システム 2 一次焼却室 2a 傾斜床 3 二次焼却室 4 灰熔融室 4a 下流側端部 5 床 6 熔融バーナ 6a 炎口 7 冷却室 7a 水槽部 7b 冷却水 8 粒子層 9a,9b 空気供給部 10a,10b 送風機 11 仕切板 12 プッシャー 13 水冷壁 13a 炉壁部 13b 水 14 投入口 15a,15b 周壁 16 バーナ用空気供給部 17 熱交換器接続部 18 熱交換器 18a バッファ 19 送風機 20 排出部 21a 排熱回収器 21b 集塵機 21c 煙突 22 給送機 23 洗浄兼用スクリューコンベヤ 23a スラグ排出口 23b 洗浄水供給部 24 ポンプ 25 床桟 26,26′a 空気管 26′ 空気箱 26a,26′b 空気噴出孔 27 熱交換室 28 係止部 29 伝熱管 31 熔融剤投入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F23J 1/00 F23J 1/00 C F23L 15/04 F23L 15/04 Fターム(参考) 3K023 QA06 QA11 QB06 QC08 TA01 3K061 NB03 NB13 NB16 NB24 NC02 3K062 AA01 AA23 AB03 AC01 AC03 EA01 EB13 EB18 EB20 EB23 EB28 EB36 EB46 3K065 AA01 AA23 AB03 AC01 AC03 JA02 JA05 JA15 JA18 3K078 BA03 CA02 CA21 CA24

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上流側から下流側へ向けて傾斜した傾斜
    床を有した一次焼却室と、前記一次焼却室と連通した二
    次焼却室と、前記二次焼却室に連接した灰熔融室と、炎
    口を前記灰熔融室に向けて配設された熔融バーナと、前
    記灰熔融室の下流側端部の下方に配置された冷却室と、
    前記一次焼却室の前記傾斜床,前記二次焼却室及び前記
    灰熔融室の床に敷設された粒子層と、前記一次焼却室,
    前記二次焼却室,前記灰熔融室の前記粒子層内に埋設さ
    れた空気供給部と、前記空気供給部に接続された送風機
    と、前記一次焼却室の上流側に連接された投入口と、前
    記灰熔融室に形成されたバーナ用空気供給部と、前記二
    次焼却室と前記バーナ用空気供給部を連通した熱交換器
    と、を備えていることを特徴とする灰熔融式焼却システ
    ム。
  2. 【請求項2】 前記空気供給部が、前記一次焼却室の前
    記傾斜床,前記二次焼却室及び前記灰熔融室の前記床の
    上面に所定間隔で立設された複数の床桟と、各前記床桟
    の間に配設され前記送風機に接続された空気管と、前記
    空気管の前記傾斜床又は前記床側の周壁に穿設された空
    気噴出孔と、を備えていることを特徴とする請求項1に
    記載の灰熔融式焼却システム。
  3. 【請求項3】 前記熱交換器が、前記二次焼却室に連通
    した熱交換室と、前記熱交換室に形成された係止部と、
    前記係止部に係止されて所定間隔で前記熱交換室に遊挿
    され一端が前記バーナ用空気供給部に遊挿された1乃至
    複数の伝熱管と、前記伝熱管の上流側に接続された送風
    機と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2の
    内いずれか1項に記載の灰熔融式焼却システム。
  4. 【請求項4】 前記二次焼却室,前記灰熔融室,前記冷
    却室の内いずれか1以上に接続された集塵機と、前記集
    塵機と前記一次焼却室を接続して配設された給送機と、
    を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の内いず
    れか1項に記載の灰熔融式焼却システム。
  5. 【請求項5】 少なくとも前記一次焼却室の周壁が、空
    洞状の炉壁部と、前記炉壁部の空洞部に充填された水
    と、を有した水冷壁で形成されていることを特徴とする
    請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の灰熔融式焼却
    システム。
  6. 【請求項6】 前記一次焼却室の上流側に連接された熔
    融剤投入口、前記一次焼却室及び/又は前記二次焼却室
    の上流側に配設されたプッシャー、前記粒子層の上面に
    配設された仕切板、の内いずれか1以上を備えているこ
    とを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1項に記載
    の灰熔融式焼却システム。
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