JP2000012224A - 有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子

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JP2000012224A
JP2000012224A JP10180579A JP18057998A JP2000012224A JP 2000012224 A JP2000012224 A JP 2000012224A JP 10180579 A JP10180579 A JP 10180579A JP 18057998 A JP18057998 A JP 18057998A JP 2000012224 A JP2000012224 A JP 2000012224A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定かつ発光輝度の大きい黄色発光の有機電
界発光素子を提供すること。 【解決手段】 発光領域を有する有機層5、5a、5b
が陽極2と陰極3との間に設けられている有機電界発光
素子において、有機層に下記一般式(1)で表されるジ
スチリル化合物が含まれていることを特徴とする、有機
電界発光素子。 【化1】 〔但し、前記一般式(1)において、R1 、R4 はアル
コキシル基置換、アルキル基置換若しくは無置換フェニ
ル基、R2 、R3 はアルコキシル基置換、アルキル基置
換若しくは無置換ナフチル基であり、R5 、R6
7 、R8 は互いに同一の又は異なる基であって、それ
らの少なくとも1つがシアノ基、ニトロ基又はハロゲン
原子である。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光領域を有する
有機層が陽極と陰極との間に設けられている有機電界発
光素子(有機EL素子)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】軽量で高効率のフラットパネルディスプ
レイが、例えばコンピュータやテレビジョンの画面表示
用として盛んに研究、開発されている。
【0003】まず、ブラウン管(CRT)は、輝度が高
く、色再現性が良いため、現在ディスプレイとして最も
多く使われているが、嵩高く、重く、また消費電力も高
いという問題がある。
【0004】また、軽量で高効率のフラットパネルディ
スプレイとして、アクティブマトリックス駆動などの液
晶ディスプレイが商品化されている。しかしながら、液
晶ディスプレイは、視野角が狭く、また、自発光でない
ため周囲が暗い環境下ではバックライトの消費電力が大
きいことや、今後実用化が期待されている高精細度の高
速ビデオ信号に対して十分な応答性能を有しない等の問
題点がある。特に、大画面サイズのディスプレイを製造
することは困難であり、そのコストが高い等の課題もあ
る。
【0005】これに対する代替として、発光ダイオード
を用いたディスプレイの可能性があるが、やはり製造コ
ストが高く、また、1つの基板上に発光ダイオードのマ
トリックス構造を形成することが難しい等の問題があ
り、ブラウン管に取って代わる低価格のディスプレイ候
補としては、実用化までの課題が大きい。
【0006】これらの諸課題を解決する可能性のあるフ
ラットパネルディスプレイとして、最近、有機発光材料
を用いた有機電界発光素子(有機EL素子)が注目され
ている。即ち、発光材料として有機化合物を用いること
により、自発光で、応答速度が高速であり、視野角依存
性の無いフラットパネルディスプレイの実現が期待され
ている。
【0007】有機電界発光素子の構成は、透光性の正極
と金属陰極との間に、電流の注入によって発光する発光
材料を含む有機薄膜を形成したものである。C. W. Tan
g、S.A. VanSlyke等は Applied Physics Letters第51
巻12号913〜915頁(1987年)掲載の研究報
告において、有機薄膜を正孔輸送性材料からなる薄膜と
電子輸送性材料からなる薄膜との2層構造として、各々
の電極から有機膜中に注入されたホールと電子が再結合
することにより発光する素子構造を開発した(シングル
ヘテロ構造の有機EL素子)。
【0008】この素子構造では、正孔輸送材料または電
子輸送材料のいずれかが発光材料を兼ねており、発光は
発光材料の基底状態と励起状態のエネルギギャップに対
応した波長帯で起きる。このような2層構造とすること
により、大幅な駆動電圧の低減、発光効率の改善が行わ
れた。
【0009】その後、C. Adachi 、S. Tokita 、T. Tsu
tsui、S. Saito等の Japanese Journal of Applied Phy
sics第27巻2号L269〜L271頁(1988年)
掲載の研究報告に記載されているように、正孔輸送材
料、発光材料、電子輸送材料の3層構造(ダブルヘテロ
構造の有機EL素子)が開発され、更に、C. W. Tang、
S. A. VanSlyke、C. H. Chen等の Journal of Applied
Physics 第65巻9号3610〜3616頁(1989
年)掲載の研究報告に記載されているように、電子輸送
材料中に発光材料を含ませた素子構造などが開発され
た。これらの研究により、低電圧で、高輝度の発光の可
能性が検証され、近年、研究開発が非常に活発に行われ
ている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
は有機電界発光素子においても、解決しなければならな
い問題がある。安定した高輝度の発光素子の開発は難し
く、現在報告されている電子輸送材料として、トリス
(8−キノリノール)アルミニウム(以下、Alq3
略称。)にDCM〔4−ジシアノメチレン−6−(p−
ジメチルアミノスチリル)−2−メチル−4H−ピラ
ン〕をドープした赤色発光の例においても、最高輝度、
信頼性ともにディスプレイ材料としては満足の行くもの
ではない。
【0011】また、T.Tsutsui,D.U.Kim がInorganic an
d Organic electroluminescence 会議(1996、Be
rlin)で報告したBSB−BCNは、1000cd
/m2 以上の高い輝度を実現しているが、さらに高輝度
で安定な黄色〜橙色の発光素子の実現が、望まれている
のが現状である。
【0012】また、特開平7−188649号(特願平
6−148798号)においては、特定のジスチリル化
合物を有機電界発光材料とすることを提案しているが、
目的の発光色が青色である。
【0013】本発明の目的は、高輝度かつ安定な発光、
特に黄色〜橙色発光を有する有機電界発光素子を提供す
ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために鋭意検討した結果、発光材料として特定のジ
スチリル化合物を用いることによって、安定した、高輝
度のフルカラーディスプレイ実現に極めて有用な信頼性
の高い黄色〜橙色発光素子を提供できることを見出し、
本発明に到達したものである。
【0015】即ち、本発明は、発光領域を有する有機層
が陽極と陰極との間に設けられ、電流の注入によって発
光する有機物質を構成要素として含む有機電界発光素子
において、前記有機層に下記一般式(1)で表されるジ
スチリル化合物が有機発光材料として含まれていること
を特徴とする、有機電界発光素子に係るものである。
【化2】 〔但し、前記一般式(1)において、R1 及びR4 は互
いに同一の又は異なる基であって、下記一般式(2)で
表されるアリール基であり (但し、前記一般式(2)において、R9 、R10
11、R12及びR13は互いに同一の又は異なる基であっ
て、水素原子、又はそれらの少なくとも1つが飽和又は
不飽和アルコキシル基、又はアルキル基(メチル基、タ
ーシャリーブチル基が好ましい。)である。)、R2
びR3 は互いに同一の又は異なる基であって、下記一般
式(3)で表されるアリール基であり (但し、前記一般式(3)において、R14、R15
16、R17、R18、R19及びR20は互いに同一の又は異
なる基であって、水素原子、又はそれらの少なくとも1
つが飽和又は不飽和アルコキシル基、又はアルキル基
(メチル基、ターシャリーブチル基が好ましい。)であ
る。)、R5 、R6 、R7 及びR8 は互いに同一の又は
異なる基であって、その少なくとも1つがシアノ基、ニ
トロ基又はハロゲン原子(これにはF、Cl、Br、I
が挙げられる。)である。〕
【0016】上記一般式(1)のジスチリル化合物を発
光材料に用いることによって、高輝度で安定な黄色〜橙
色発光が得られると共に、電気的、熱的或いは化学的に
も安定性に優れた素子を提供できる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の有機電界発光素子に用い
るジスチリル化合物について説明する。
【0018】本発明の有機電界発光素子において、発光
材料である一般式(1)で示されるジスチリル化合物
は、例えば下記構造式(4)−1、(4)−2、(4)
−3、(4)−4、(4)−5、(4)−6、(4)−
7、(4)−8又は(4)−9のような分子構造の少な
くとも1種が使用可能である。
【0019】図1〜図4には、本発明に基づく有機電界
発光素子の例をそれぞれ示す。
【0020】図1は陰極3を発光光20が透過する透過
型有機電界発光素子Aであって、発光20は保護層4の
側からも観測できる。図2は陰極3での反射光も発光光
20として得る反射型有機電界発光素子Bを示す。
【0021】図中、1は有機電界発光素子を形成するた
めの基板であり、ガラス、プラスチック及び他の適宜の
材料を用いることができる。また、有機電界発光素子を
他の表示素子と組み合わせて用いる場合には、基板を共
用することもできる。2は透明電極(陽極)であり、I
TO(Indium tin oxide)、SnO2
等を使用できる。
【0022】また、5は有機発光層であり、上記したジ
スチリル化合物を発光材料として含有している。この発
光層について、有機電界発光20を得る層構成として
は、従来公知の種々の構成を用いることができる。後述
するように、例えば、正孔輸送層と電子輸送層のいずれ
かを構成する材料が発光性を有する場合、これらの薄膜
を積層した構造を使用できる。更に本発明の目的を満た
す範囲で電荷輸送性能を上げるために、正孔輸送層と電
子輸送層のいずれか若しくは両方が、複数種の材料の薄
膜を積層した構造、または、複数種の材料を混合した組
成からなる薄膜を使用するのを妨げない。また、発光性
能を上げるために、少なくとも1種以上の蛍光性の材料
を用いて、この薄膜を正孔輸送層と電子輸送層の間に挟
持した構造、更に少なくとも1種以上の蛍光性の材料を
正孔輸送層若しくは電子輸送層、またはこれらの両方に
含ませた構造を使用しても良い。これらの場合には、発
光効率を改善するために、正孔または電子の輸送を制御
するための薄膜をその層構成に含ませることも可能であ
る。
【0023】上記の構造式(3)で例示したジスチリル
化合物は、電子輸送性能と正孔輸送性能の両方を持つた
め、素子構成中、電子輸送層を兼ねた発光層としても、
或いは正孔輸送層を兼ねた発光層としても用いることが
可能である。また、このジスチリル化合物を発光層とし
て、電子輸送層と正孔輸送層とで挟み込んだ構成とする
ことも可能である。
【0024】なお、図1及び図2中、3は陰極であり、
電極材料としては、Li、Mg、Ca等の活性な金属と
Ag、Al、In等の金属との合金、或いはこれらを積
層した構造を使用できる。透過型の有機電界発光素子に
おいては、陰極の厚さを調節することにより、用途に合
った光透過率を得ることができる。また、図4は封止・
保護層であり、有機電界発光素子全体を覆う構造とする
ことにより、その効果が上がる。気密性が保たれれば、
適宜の材料を使用することができる。また、8は電流注
入用の駆動電源である。
【0025】本発明に基づく有機電界発光素子におい
て、有機層が、正孔輸送層と電子輸送層とが積層された
有機積層構造(シングルヘテロ構造)を有しており、正
孔輸送層又は電子輸送層の形成材料として前記ジスチリ
ル化合物が用いられてよい。或いは、有機層が、正孔輸
送層と発光層と電子輸送層とが順次積層された有機積層
構造(ダブルヘテロ構造)を有しており、発光層の形成
材料として前記ジスチリル化合物が用いられてよい。
【0026】このような有機積層構造を有する有機電界
発光素子の例を示すと、図3は、透光性の基板1上に、
透光性の陽極2と、正孔輸送層6と電子輸送層7とから
なる有機層5aと、陰極3とが順次積層された積層構造
を有し、この積層構造が保護膜4によって封止されてな
る、シングルヘテロ構造の有機電界発光素子Cである。
【0027】図3に示すように発光層を省略した層構成
の場合には、正孔輸送層6と電子輸送層7の界面から所
定波長の発光20を発生する。これらの発光は基板1側
から観測される。
【0028】また、図4は、透光性の基板1上に、透光
性の陽極2と、正孔輸送層10と発光層11と電子輸送
層12とからなる有機層5bと、陰極3とが順次積層さ
れた積層構造を有し、この積層構造が保護膜4によって
封止されてなる、ダブルヘテロ構造の有機電界発光素子
Dである。
【0029】図4に示した有機電界発光素子において
は、陽極2と陰極3の間に直流電圧を印加することによ
り、陽極2から注入された正孔が正孔輸送層10を経
て、また陰極3から注入された電子が電子輸送層12を
経て、それぞれ発光層11に到達する。この結果、発光
層11においては電子/正孔の再結合が生じて一重項励
起子が生成し、この一重項励起子から所定波長の発光を
発生する。
【0030】上述した各有機電界発光素子C、Dにおい
て、基板1は、例えば、ガラス、プラスチック等の光透
過性の材料を適宜用いることができる。また、他の表示
素子と組み合わせて用いる場合や、図3及び図4に示し
た積層構造をマトリックス状に配置する場合等は、この
基板を共用としてよい。、また、素子C、Dはいずれ
も、透過型、反射型のいずれの構造も採りうる。
【0031】また、陽極2は、透明電極であり、ITO
(indium tin oxide)やSnO2 等が使用できる。この
陽極2と正孔輸送層6(又は正孔輸送層10)との間に
は、電荷の注入効率を改善する目的で、有機物若しくは
有機金属化合物からなる薄膜を設けてもよい。なお、保
護膜4が金属等の導電性材料で形成されている場合は、
陽極2の側面に絶縁膜が設けられていてもよい。
【0032】また、有機電界発光素子Cにおける有機層
5aは、正孔輸送層6と電子輸送層7とが積層された有
機層であり、これらのいずれか又は双方に上記したジス
チリル化合物が含有され、発光性の正孔輸送層6又は電
子輸送層7としてよい。有機電界発光素子Dにおける有
機層5bは、正孔輸送層10と上記したジスチリル化合
物を含有する発光層11と電子輸送層12とが積層され
た有機層であるが、その他、種々の積層構造を取ること
ができる。例えば、正孔輸送層と電子輸送層のいずれか
若しくは両方が発光性を有していてもよい。
【0033】また、特に、正孔輸送層6又は電子輸送層
7や発光層11が本発明のジスチリル化合物からなる層
であることが望ましいが、これらの層を前記ジスチリル
化合物のみで形成してもよく、或いは、前記ジスチリル
化合物と他の正孔又は電子輸送材料(例えば、芳香族ア
ミン類やピラゾリン類等)との共蒸着によって形成して
もよい。さらに、正孔輸送層において、正孔輸送性能を
向上させるために、複数種の正孔輸送材料を積層した正
孔輸送層を形成してもよい。
【0034】また、有機電界発光素子Cにおいて、発光
層は電子輸送性発光層7であってよいが、電源8から印
加される電圧によっては、正孔輸送層6やその界面で発
光される場合がある。同様に、有機電界発光素子Dにお
いて、発光層は層11以外に、電子輸送層12であって
もよく、正孔輸送層10であってもよい。発光性能を向
上させるために、少なくとも1種の蛍光性材料を用いた
発光層11を正孔輸送層と電子輸送層との間に挟持させ
た構造であるのがよい。または、この蛍光性材料を正孔
輸送層又は電子輸送層、或いはこれら両層に含有させた
構造を構成してよい。このような場合、発光効率を改善
するために、正孔又は電子の輸送を制御するための薄膜
(ホールブロッキング層やエキシトン生成層など)をそ
の層構成に含ませることも可能である。
【0035】また、陰極3に用いる材料としては、L
i、Mg、Ca等の活性な金属とAg、Al、In等の
金属との合金を使用でき、これらの金属層が積層した構
造であってもよい。なお、陰極の厚みや材質を適宜選択
することによって、用途に見合った有機電界発光素子を
作製できる。
【0036】また、保護膜4は、封止膜として作用する
ものであり、有機電界発光素子全体を覆う構造とするこ
とで、電荷注入効率や発光効率を向上できる。なお、そ
の気密性が保たれれば、アルミニウム、金、クロム等の
単金属又は合金など、適宜その材料を選択できる。
【0037】上記した各有機電界発光素子に印加する電
流は通常、直流であるが、パルス電流や交流を用いても
よい。電流値、電圧値は、素子破壊しない範囲内であれ
ば特に制限はないが、有機電界発光素子の消費電力や寿
命を考慮すると、なるべく小さい電気エネルギーで効率
良く発光させることが望ましい。
【0038】次に、図5は、本発明の有機電界発光素子
を用いた平面ディスプレイの構成例である。図示の如
く、例えばマルチカラーディスプレイの場合は、黄
(Y)、緑(G)及び青(B)の3色を発光可能な有機
層5(5a、5b)が、陰極3と陽極2との間に配され
ている。陰極3及び陽極2は、互いに交差するストライ
プ状に設けることができ、輝度信号回路14及びシフト
レジスタ内蔵の制御回路15により選択されて、それぞ
れに信号電圧が印加され、これによって、選択された陰
極3及び陽極2が交差する位置(画素)の有機層が発光
するように構成される。
【0039】即ち、図5は例えば8×3YGB単純マト
リックスであって、正孔輸送層と、発光層および電子輸
送層のいずれか少なくとも一方とからなる積層体5を陰
極3と陽極2の間に配置したものである(図3又は図4
参照)。陰極と陽極は、ともにストライプ状にパターニ
ングするとともに、互いにマトリクス状に直交させ、シ
フトレジスタ内蔵の制御回路15および14により時系
列的に信号電圧を印加し、その交叉位置で発光するよう
に構成されたものである。かかる構成のEL素子は、文
字・記号等のディスプレイとしては勿論、画像再生装置
としても使用できる。また陰極3と陽極2のストライプ
状パターンを黄(Y)、緑(G)、青(B)の各色毎に
配し、マルチカラーの全固体型フラットパネルディスプ
レイを構成することが可能となる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例について具体的に説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0041】実施例1 本実施例は、一般式(1)の上記ジスチリル化合物のう
ち、R1 、R4 に無置換フェニル基を、R2 、R3 に無
置換ナフチル基を、R5 、R7 にシアノ基を持った下記
構造式(4)−2の化合物を正孔輸送性発光材料として
用い、シングルヘテロ構造の有機電界発光素子を作製し
た例である。
【化4】
【0042】まず、真空蒸着装置中に、100nmの厚
さのITOからなる陽極が一表面に形成された30mm
×30mmのガラス基板をセッティングした。蒸着マス
クとして、複数の2.0mm×2.0mmの単位開口を
有する金属マスクを基板に近接して配置し、真空蒸着法
により10-4Pa以下の真空下で上記構造式(4)−2
の化合物を例えば50nmの厚さに正孔輸送層(兼発光
層)として成膜した。蒸着レートは0.1nm/秒とし
た。
【0043】さらに、電子輸送材料として下記構造式の
Alq3 (トリス(8−キノリノール)アルミニウム)
を正孔輸送層に接して蒸着した。Alq3 からなるこの
電子輸送層の膜厚も例えば50nmとし、蒸着レートは
0.2nm/秒とした。
【化5】
【0044】陰極材料としてはMgとAgの積層膜を採
用し、これも蒸着により、蒸着レート1nm/秒として
例えば50nm(Mg膜)および150nm(Ag膜)
の厚さに形成し、実施例1による図3に示した如き有機
電界発光素子を作製した。
【0045】このように作製した実施例1の有機電界発
光素子に、窒素雰囲気下で順バイアス直流電圧を加えて
発光特性を評価した。発光色は黄色であり、分光測定を
行った結果、図6に示すように、578nmに発光ピー
クを有するスペクトルを得た。分光測定は、大塚電子社
製のフォトダイオードアレイを検出器とした分光器を用
いた。また、電圧−輝度測定を行ったところ、図9に示
すように、8Vで6500cd/m2 の輝度が得られ
た。
【0046】この有機電界発光素子を作製後、窒素雰囲
気下に1カ月間放置したが、素子劣化は観察されなかっ
た。また、初期輝度300cd/m2 で電流値を一定に
通電して連続発光し、強制劣化させた際、輝度が半減す
るまで4000時間であった。
【0047】実施例2 本実施例は、一般式(1)の上記ジスチリル化合物のう
ち、R1 、R4 に無置換フェニル基を、R2 、R3 に無
置換ナフチル基を、R5 、R7 にシアノ基を持った上記
構造式(4)−2の化合物を電子輸送性発光材料として
用い、シングルヘテロ構造の有機電界発光素子を作製し
た例である。
【0048】まず、真空蒸着装置中に、100nmの厚
さのITOからなる陽極が一表面に形成された30mm
×30mmのガラス基板をセッティングした。蒸着マス
クとして、複数の2.0mm×2.0mmの単位開口を
有する金属マスクを基板に近接して配置し、真空蒸着法
により10-4Pa以下の真空下で、下記構造式のα−N
PD(α−ナフチルフェニルジアミン)を例えば50n
mの厚さに正孔輸送層として成膜した。蒸着レートは
0.1nm/秒とした。
【化6】
【0049】さらに、電子輸送材料として上記構造式
(4)−2の化合物を正孔輸送層に接して蒸着した。上
記構造式(4)−2の化合物からなる電子輸送層(兼発
光層)の膜厚も例えば50nmとし、蒸着レートは0.
2nm/秒とした。
【0050】陰極材料としてはMgとAgの積層膜を採
用し、これも蒸着により、蒸着レート1nm/秒として
例えば50nm(Mg膜)および150nm(Ag膜)
の厚さに形成し、実施例2による図3に示した如き有機
電界発光素子を作製した。
【0051】このように作製した実施例2の有機電界発
光素子に、窒素雰囲気下で順バイアス直流電圧を加えて
発光特性を評価した。発光色は黄色であり、実施例1と
同様に分光測定を行った結果、図7に示すように、57
8nmに発光ピークを有するスペクトルを得た。また、
電圧−輝度測定を行ったところ、図10に示すように、
8Vで5900cd/m2 の輝度が得られた。
【0052】この有機電界発光素子を作製後、窒素雰囲
気下に1カ月間放置したが、素子劣化は観察されなかっ
た。また、初期輝度300cd/m2 で電流値を一定に
通電して連続発光し、強制劣化させた際、輝度が半減す
るまで3500時間であった。
【0053】実施例3 本実施例は、一般式(1)の上記ジスチリル化合物のう
ち、R1 、R4 に無置換フェニル基を、R2 、R3 に無
置換ナフチル基を、R5 、R7 にシアノ基を持った上記
構造式(4)−2の化合物を発光材料として用い、ダブ
ルヘテロ層構造の有機電界発光素子を作製した例であ
る。
【0054】まず、真空蒸着装置中に、100nmの厚
さのITOからなる陽極が一表面に形成された30mm
×30mmのガラス基板をセッティングした。蒸着マス
クとして、複数の2.0mm×2.0mmの単位開口を
有する金属マスクを基板に近接して配置し、真空蒸着法
により10-4Pa以下の真空下で、上記構造式のα−N
PDを例えば30nmの厚さに正孔輸送層として成膜し
た。蒸着レートは0.2nm/秒とした。
【0055】さらに、発光材料として上記構造式(4)
−2の化合物を正孔輸送層に接して蒸着した。上記構造
式(4)−2の化合物からなる発光層の膜厚も例えば3
0nmとし、蒸着レートは0.2nm/秒とした。
【0056】さらに、電子輸送材料として上記構造式の
Alq3 を発光層に接して蒸着した。Alq3 の膜厚を
例えば30nmとし、蒸着レートは、0.2nm/秒と
した。
【0057】陰極材料としてはMgとAgの積層膜を採
用し、これも蒸着により、蒸着レート1nm/秒として
例えば50nm(Mg膜)および150nm(Ag膜)
の厚さに形成し、実施例3による図4に示した如き有機
電界発光素子を作製した。
【0058】このように作製した実施例3の有機電界発
光素子に、窒素雰囲気下で順バイアス直流電圧を加えて
発光特性を評価した。発光色は黄色であり、分光測定を
行った結果、図8に示すように、578nmに発光ピー
クを有するスペクトルを得た。電圧−輝度測定を行った
ところ、図11に示すように、8Vで7500cd/m
2 の輝度が得られた。
【0059】この有機電界発光素子を作製後、窒素雰囲
気下に1カ月間放置したが、素子劣化は観察されなかっ
た。また、初期輝度300cd/m2 で電流値を一定に
通電して連続発光し、強制劣化させた際、輝度が半減す
るまで5000時間であった。
【0060】実施例4 正孔輸送性材料としてα−NPDに替えて下記構造式の
TPD(トリフェニルジアミン誘導体)を用いた他は層
構成、成膜法とも実施例2に準拠して、有機電界発光素
子を作製した。
【0061】本実施例の有機電界発光素子も実施例2と
同様の黄色の発光を呈した。分光測定の結果、スペクト
ルは実施例2の有機電界発光素子のスペクトルと一致し
た。
【0062】
【発明の作用効果】本発明の有機電界発光素子によれ
ば、発光領域を有する有機層が陽極と陰極との間に設け
られている有機電界発光素子において、前記有機層に前
記一般式(1)で表されるジスチリル化合物が含まれて
いるので、高輝度で安定な黄色〜橙色発光を有する有機
電界発光素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく有機電界発光素子の要部概略断
面図である。
【図2】同、有機電界発光素子の他の要部概略断面図で
ある。
【図3】同、有機電界発光素子の他の要部概略断面図で
ある。
【図4】同、有機電界発光素子の他の要部概略断面図で
ある。
【図5】同、有機電界発光素子を用いたマルチカラーの
平面ディスプレイの構成図である。
【図6】本発明の実施例1による有機電界発光素子の発
光スペクトル図である。
【図7】同、実施例2による有機電界発光素子の発光ス
ペクトル図である。
【図8】同、実施例3による有機電界発光素子の発光ス
ペクトル図である。
【図9】同、実施例1による有機電界発光素子の電圧−
輝度特性図である。
【図10】同、実施例2による有機電界発光素子の電圧
−輝度特性図である。
【図11】同、実施例3による有機電界発光素子の電圧
−輝度特性図である。
【符号の説明】
1…基板、2…透明電極(陽極)、3…陰極、4…保護
膜、5、5a、5b…有機層、6…正孔輸送層、7…電
子輸送層、8…電源、10…正孔輸送層、11…発光
層、12…電子輸送層、14…輝度信号回路、15…制
御回路、20…発光光、A、B、C、D…有機電界発光
素子
フロントページの続き (72)発明者 田村 眞一郎 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB02 AB04 AB11 BA06 CA01 CB01 CC00 DA01 DB03 EB00 FA01 FA03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発光領域を有する有機層が陽極と陰極と
    の間に設けられている有機電界発光素子において、前記
    有機層に下記一般式(1)で表されるジスチリル化合物
    が有機発光材料として含まれていることを特徴とする、
    有機電界発光素子。 【化1】 〔但し、前記一般式(1)において、 R1 及びR4 は互いに同一の又は異なる基であって、下
    記一般式(2)で表わされるアリール基であり (但し、前記一般式(2)において、R9 、R10
    11、R12及びR13は互いに同一の又は異なる基であっ
    て、水素原子、又はそれらの少なくとも1つが飽和又は
    不飽和アルコキシル基、又はアルキル基である。)、 R2 及びR3 は互いに同一の又は異なる基であって、下
    記一般式(3)で表わされるアリール基であり (但し、前記一般式(3)において、R14、R15
    16、R17、R18、R19及びR20は互いに同一の又は異
    なる基であって、水素原子、又はそれらの少なくとも1
    つが飽和又は不飽和アルコキシル基、又はアルキル基で
    ある。)、 R5 、R6 、R7 及びR8 は互いに同一の又は異なる基
    であって、それらの少なくとも1つがシアノ基、ニトロ
    基又はハロゲン原子である。〕
  2. 【請求項2】 前記有機層が、正孔輸送層と電子輸送層
    とが積層された有機積層構造を有しており、前記正孔輸
    送層の形成材料として前記ジスチリル化合物が用いられ
    ている、請求項1に記載した有機電界発光素子。
  3. 【請求項3】 前記有機層が、正孔輸送層と電子輸送層
    とが順次積層された有機積層構造を有しており、前記電
    子輸送層の形成材料として前記ジスチリル化合物が用い
    られている、請求項1に記載した有機電界発光素子。
  4. 【請求項4】 前記有機層が、正孔輸送層と発光層と電
    子輸送層とが積層された有機積層構造を有しており、前
    記発光層の形成材料として前記ジスチリル化合物が用い
    られている、請求項1に記載した有機電界発光素子。
  5. 【請求項5】 発光領域を有する有機層が陽極と陰極と
    の間に設けられている有機電界発光素子において、前記
    有機層に下記構造式(4)−1、(4)−2、(4)−
    3、(4)−4、(4)−5、(4)−6、(4)−
    7、(4)−8又は(4)−9で表されるジスチリル化
    合物の少なくとも1種が有機発光材料として含まれてい
    ることを特徴とする、有機電界発光素子。 【化2】
  6. 【請求項6】 前記有機層が、正孔輸送層と電子輸送層
    とが積層された有機積層構造を有しており、前記正孔輸
    送層の形成材料として前記ジスチリル化合物が用いられ
    ている、請求項5に記載した有機電界発光素子。
  7. 【請求項7】 前記有機層が、正孔輸送層と電子輸送層
    とが順次積層された有機積層構造を有しており、前記電
    子輸送層の形成材料として前記ジスチリル化合物が用い
    られている、請求項5に記載した有機電界発光素子。
  8. 【請求項8】 前記有機層が、正孔輸送層と発光層と電
    子輸送層とが積層された有機積層構造を有しており、前
    記発光層の形成材料として前記ジスチリル化合物が用い
    られている、請求項5に記載した有機電界発光素子。
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