JP2000010566A - 楽音データ処理装置およびコンピュータシステム - Google Patents

楽音データ処理装置およびコンピュータシステム

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JP2000010566A
JP2000010566A JP10176442A JP17644298A JP2000010566A JP 2000010566 A JP2000010566 A JP 2000010566A JP 10176442 A JP10176442 A JP 10176442A JP 17644298 A JP17644298 A JP 17644298A JP 2000010566 A JP2000010566 A JP 2000010566A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 入力バッファの記憶容量を削減しつつ、再生
楽音データの周波数範囲を拡大する。 【解決手段】 デバイスドライバDDは、RAM30に波
形データWDとこれを間引いて得た間引波形データWD1,WD
2,WD3…を格納する。制御部11は制御データCDのピッ
チ情報に基づいて、必要な間引波形データWD1,WD2,WD3
…を入力バッファ13に転送する。補間部14は入力バ
ッファ13から読み出した間引波形データWD1,WD2,WD3
…に補間処理を施して補間波形データWD'を生成する。
演算部15は補間波形データWD'に演算処理を施して再
生楽音データSDを生成する。出力バッファ16は再生楽
音データSDをバッファリングする。DAC17は再生楽
音データSDをアナログ信号に変換して再生楽音信号Sを
生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、波形データとピッ
チ情報に基づいて楽音データを生成するのに好適な楽音
データ処理装置およびコンピュータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年のパーソナルコンピュータでは、音
源LSIを搭載して各種のサウンド処理を行うものが多
い。ウェーブテーブル方式で楽音データを再生する音源
LSIでは、音色、ピッチあるいは音量といった発音を
指示する制御データとウェーブテーブルの波形データと
に基づいて楽音データを再生する処理が行われる。この
波形データは、実際に楽器を一定のピッチで演奏した際
に得られる楽音信号等をサンプリングして得られるデー
タであり、ウェーブテーブルとしてのメモリ等に記憶さ
れている。
【0003】パーソナルコンピュータは、装置全体をO
Sに従って制御するCPU、例えばマイクロプログラム
により動作が規定される音源LSI、制御データや波形
データを格納するメインメモリ等をハードウエアとして
備える。また、ソフトウエアとして、上記OSおよび音
源LSIを制御するとともにメインメモリに対して各種
データの書込読出を制御するデバイスドライバ(DD:Dev
ice Driver)等を備える。このようなパーソナルコンピ
ュータの音源LSIは、音源LSIまたは音源ボードと
しては波形データ(ROMまたはRAM)を持たずに、
メインメモリに記憶したウエーブテーブル(波形デー
タ)を利用して楽音データを再生することにより音源自
体のコストおよびシステム全体のコストを削減してい
る。
【0004】また、このような音源LSIは、入力バッ
ファ、補間部、演算部、および出力バッファから構成さ
れる。入力バッファはメインメモリからバスを介して転
送される波形データを一旦記憶する。補間部は、制御デ
ータが指示するピッチ情報に基づいて、転送された波形
データから演算に必要な補間波形データを生成する。例
えば、ピッチ情報が原波形に対して1.3オクターブ
(約2.5倍の周波数に対応)高いピッチを指示するも
のとすれば、補間部は、図12に示すように、波形デー
タの黒丸印のサンプルから補間波形データを生成する。
また、演算部は、制御データの指示する音量情報等に基
づいて、補間波形データに演算を施し再生楽音データを
生成する。出力バッファは、再生楽音データを一旦記憶
し、出力サンプリング周波数に従って再生楽音データを
DACに出力する。
【0005】この音源LSIによる処理は、例えば、出
力サンプリング周波数(DACレート)を48KHzと
した場合に256サンプル出力するのに要する時間
(5.3ms)を1フレーム(FRAME)とするフレーム
単位で実行することが考えられる。ここで、出力バッフ
ァの容量は、256×2サンプル分の容量となる。一
方、入力バッファの容量は、256サンプル分の再生楽
音データを得るのに必要な容量となる。すなわち、ある
フレームにおいて、DACレートとは非同期(高速)
に、最終的な256サンプルを作成するために必要な個
数の連続した波形データをメインメモリから入力バッフ
ァに一括して取り込む。そして、256サンプル分の再
生楽音波形データを形成して出力バッファに書き込む。
この出力バッファに書き込まれた256サンプルを次フ
レームにおいてDACレートで読み出すような処理を行
う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図12の例
のように、ピッチを1.3オクターブ上げる場合、図
中、波形データの白丸印で示すサンプルは補間波形デー
タの生成には利用されない。このような利用されないサ
ンプル数はピッチを上げる比率に連動して多くなる。し
かしながら、共有バス(例えばPCIバス)を介してメ
インメモリに記憶された波形データを取り込んで再生楽
音データを生成する構成の音源LSIでは、共有バスの
使用効率を上げるという観点で、バースト転送モード等
を使用して、メインメモリの連続したアドレス領域に記
憶された波形データを一括して取り込むのが効率的であ
り、このようなバースト転送による波形データ取り込み
では、上記のような補間波形データの生成に不必要なサ
ンプルも取り込まざるを得ない。バースト転送により一
括して取り込まれるサンプルの量は入力バッファの容量
で規定される。よって、入力バッファの容量が2Kバイ
トであり、出力バッファの容量が256バイトであるな
らば、バースト転送で一括して取り込めるサンプル数は
2Kバイトで規定され、その結果として、再生楽音デー
タの対応周波数範囲は8倍(3オクターブ)に制限され
る。このようなピッチアップの上限が規定される不都合
を解消する方法として、まず第1に、入力バッファの容
量を大きくして一括して取り込めるサンプル数を多くす
ることが考えられるが、この方法は音源LSIのコスト
アップを招くという問題がある。第2の方法として、1
フレーム(この例では256サンプル時間)を短縮する
ことが考えられるが、この方法は出力バッファの容量も
若干小さくできるという2次的な効果も期待できるもの
の音源LSIがバースト転送を要求する頻度が増えるた
めに共有バスを占有する時間が多くなり、パーソナルコ
ンピュータが(楽音発生と並行して)実行する他の処理
が著しく制限されるという問題がある。第3の方法とし
て、バースト転送モードを使用しないで必要な補間波形
データの生成に必要なサンプルのみをアクセスして取り
込むことも考えられるが、上記第2の方法の同様の理由
により問題外である。
【0007】本発明は上述した問題点に鑑みてなされた
ものであり、入力バッファの容量を削減しつつ、再生処
理における対応周波数範囲を拡大する楽音データ処理装
置およびコンピュータシステムを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
請求項1に記載の発明にあっては、外部記憶装置に記憶
された所定のオリジナル波形サンプルデータおよびこの
オリジナル波形サンプルデータを一定の規則に従って間
引いた間引波形サンプルデータに基づいて楽音データを
生成する楽音データ処理装置において、再生ピッチを指
示するピッチ情報に基づいて、前記外部記憶装置に記憶
されたオリジナル波形サンプルデータまたは間引波形サ
ンプルデータのいずれかを特定し読み出す第1の読出部
と、この第1の読出部から読み出されたサンプルデータ
を記憶する入力バッファ部と、前記ピッチ情報に基づい
て、前記入力バッファ部に記憶されたサンプルデータを
読み出す第2の読出部と、この第2の読出部から読み出
されたサンプルデータに基づいて楽音データを生成する
楽音データ生成部とを備えることを特徴とする。
【0009】また、請求項2記載の発明にあっては、予
め定められた単位時間に一定レートで出力されるサンプ
ル数に対応する楽音データを前記一定レートとは非同期
に一括して生成する楽音データ処理装置であって、前記
楽音データ生成部によって一括生成された楽音データを
記憶する出力バッファ部と、この出力バッファ部に記憶
された楽音データを前記一定レートで読み出す第3の読
出部とを更に備えることを特徴とする。
【0010】また、請求項3記載の発明にあっては、前
記第1の読出部は、前記単位時間の楽音データを一括生
成するのに使用される前記外部記憶装置の連続領域に記
憶されたサンプルデータを一括して読み出すことを特徴
とする。
【0011】また、請求項4記載の発明にあっては、前
記第1の読出部は、前記ピッチ情報、前記入力バッファ
部の記憶容量および前記出力バッファ部の記憶容量に基
づいて、前記外部記憶装置から一括して読み出すべきサ
ンプルデータ数を決定することを特徴とする。
【0012】また、請求項5記載の発明にあっては、前
記第1の読出部は、前記ピッチ情報に基づいて、ピッチ
情報が相対的に低いピッチを示しているときは前記外部
記憶装置に記憶されたオリジナル波形サンプルデータ
を、ピッチ情報が相対的に高いピッチを示しているとき
は間引波形サンプルデータを読み出すことを特徴とす
る。具体的には、ピッチ情報がオリジナル波形サンプル
データのピッチより相対的に低いピッチを示していると
きは前記外部記憶装置に記憶されたオリジナル波形サン
プルデータを、ピッチ情報がオリジナル波形サンプルデ
ータのピッチより相対的に高いピッチを示しているとき
は間引波形サンプルデータを読み出すことを特徴とす
る。
【0013】また、請求項6記載の発明にあっては、前
記第2の読出部は、前記ピッチ情報に基づいて、前記入
力バッファ部から複数のサンプルデータを読み出し、前
記楽音データ生成部は、前記ピッチ情報および前記第2
の読出部から読み出された複数のサンプルデータから補
間演算により楽音データを生成することを特徴とする。
【0014】また、請求項7記載の発明にあっては、前
記外部記憶装置は、所定のオリジナル波形サンプルデー
タおよびこのオリジナル波形サンプルデータを一定の規
則に従って間引いた間引波形サンプルデータの他に、オ
リジナル波形サンプルデータおよび間引波形サンプルデ
ータのそれぞれに対応してループ再生情報を記憶し、前
記第1の読出部は、サンプルデータとこれに対応する前
記ループ再生情報とを読み出し、前記楽音データ生成部
は、前記ループ再生情報に従い、ループ再生を行うこと
を特徴とする。
【0015】また、請求項8記載の発明にあっては、所
定のオリジナル波形サンプルデータおよびこのオリジナ
ル波形サンプルデータを一定の規則に従って間引いた間
引波形サンプルデータを記憶した記憶装置と、再生ピッ
チを指示するピッチ情報に基づいて、前記記憶装置に記
憶されたオリジナル波形サンプルデータまたは間引波形
サンプルデータのいずれかを特定し読み出す第1の読出
部と、この第1の読出部から読み出されたサンプルデー
タを記憶する入力バッファ部と、前記ピッチ情報に基づ
いて、前記入力バッファ部に記憶されたサンプルデータ
を読み出す第2の読出部と、この第2の読出部から読み
出されたサンプルデータに基づいて楽音データを生成す
る楽音データ生成部とを備えることを特徴とする。
【0016】また、請求項9記載の発明にあっては、楽
音データ処理装置を実施するコンピュータシステムであ
って、前記記憶装置はコンピュータシステムのメインメ
モリであり、前記オリジナル波形サンプルデータを間引
いて間引波形サンプルデータを作成する処理および作成
した間引波形サンプルデータを前記記憶装置に記憶する
処理は所定のソフトウエアによってコンピュータシステ
ムのCPUが行う処理であることを特徴とする。
【0017】また、請求項10記載の発明にあっては、
外部記憶装置に記憶された所定の波形サンプルデータに
基づいて楽音データを生成する楽音データ処理装置にお
いて、前記外部記憶装置に記憶された波形サンプルデー
タを読み出す第1の読出部と、再生ピッチを指示するピ
ッチ情報に基づいて、前記第1の読出部が読み出した波
形サンプルデータを間引いて間引波形サンプルデータを
生成する間引部と、この間引部で間引かれた間引波形サ
ンプルデータを記憶する入力バッファ部と、前記ピッチ
情報に基づいて、前記入力バッファ部に記憶されたサン
プルデータを読み出す第2の読出部と、この第2の読出
部から読み出されたサンプルデータに基づいて楽音デー
タを生成する楽音データ生成部とを備えることを特徴と
する。
【0018】また、請求項11に記載の発明にあって
は、予め定められた単位時間に一定レートで出力される
サンプル数に対応する楽音データを前記一定レートとは
非同期に一括して生成する楽音データ処理装置であっ
て、前記楽音データ生成部によって一括生成された楽音
データを記憶する出力バッファ部と、この出力バッファ
部に記憶された楽音データを前記一定レートで読み出す
第3の読出部とを更に備えることを特徴とする。
【0019】また、請求項12記載の発明にあっては、
前記第1の読出部は、前記単位時間の楽音データを一括
生成するのに使用される前記外部記憶装置の連続領域に
記憶されたサンプルデータを一括して読み出すことを特
徴とする。
【0020】また、請求項13記載の発明にあっては、
前記第1の読出部は、前記ピッチ情報、前記入力バッフ
ァ部の記憶容量および前記出力バッファ部の記憶容量に
基づいて、前記外部記憶装置から一括して読み出すべき
サンプルデータ数を決定することを特徴とする。また、
請求項14記載の発明にあっては、前記間引部は、前記
ピッチ情報に基づいて、間引き率を決定することを特徴
とする。
【0021】また、請求項15記載の発明にあっては、
前記第2の読出部は、前記ピッチ情報に基づいて、前記
入力バッファ部から複数のサンプルデータを読み出し、
前記楽音データ生成部は、前記ピッチ情報および前記第
2の読出部から読み出された複数のサンプルデータから
補間演算により楽音データを生成することを特徴とす
る。
【0022】また、請求項16記載の発明にあっては、
前記外部記憶装置は、所定の波形サンプルデータの他
に、この波形サンプルデータに対応してループ再生情報
を記憶し、前記第1の読出部は、波形サンプルデータと
これに対応する前記ループ再生情報とを読み出し、前記
間引部は間引き率に応じて前記ループ再生情報を変換し
た変換ループ再生情報とを作成し、前記楽音データ生成
部は、前記変換ループ再生情報に従い、ループ再生を行
うことを特徴とする。
【0023】また、請求項17記載の発明にあっては、
所定の波形サンプルデータを記憶した記憶装置と、前記
記憶装置に記憶された波形サンプルデータを読み出す第
1の読出部と、再生ピッチを指示するピッチ情報に基づ
いて、前記第1の読出部が読み出した波形サンプルデー
タを間引いて間引波形サンプルデータを生成する間引部
と、この間引部で間引かれた間引波形サンプルデータを
記憶する入力バッファ部と、前記ピッチ情報に基づい
て、前記入力バッファ部に記憶されたサンプルデータを
読み出す第2の読出部と、この第2の読出部から読み出
されたサンプルデータに基づいて楽音データを生成する
楽音データ生成部とを備えることを特徴とする。
【0024】また、請求項18記載の発明にあっては、
楽音データ処理装置を実施するコンピュータシステムで
あって、前記記憶装置はコンピュータシステムのメイン
メモリであることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】A.第1実施形態 1.第1実施形態の構成 以下、図面を参照しつつ、本発明に係わる一実施形態で
あるコンピュータシステムの構成を説明する。図1は本
実施形態に係わるコンピュータシステムのブロック図で
ある。図において、CPU20は、バス60を介して各
構成部分に接続されており、コンピュータシステムA全
体を制御する。RAM30はメインメモリに相当する読
み書き可能なメモリであって、CPU20の作業領域と
して機能する。また、ROM40は読出専用のメモリで
あって、そこにはブートプログラム等が格納されてい
る。また、ハードディスク50は、二次記憶装置に相当
し、そこにはアプリケーションプログラムやデバイスド
ライバDDやマイクロプログラムMP等のプログラム、およ
び制御データCDや波形データWDといった各種のデータが
格納されており、必要に応じてプログラムやデータがR
AM30にロードされるようになっている。ここで、制
御データCDは、音色情報(当該音色に対応する波形デー
タWDが格納されているアドレス)、ピッチ情報および音
量情報等を指示する。ここで、波形データWDは、例え
ば、ギターやピアノといった各種の音色に対応した楽器
によって実際に発音させた楽音等をサンプリングして得
られたデータである。また、ピッチ情報は、波形データ
WDのオリジナルのピッチ、波形データWDのサンプリ
ング時のサンプリング周波数、所望する再生楽音データ
SDのピッチおよび出力サンプリング周波数(DACレ
ート)によって決定する小数部を含む実数値で表され
る。例えば、波形データWDのサンプリング時のサンプ
リング周波数と出力サンプリング周波数(DACレー
ト)とが等しい(48kHz)と仮定すると、所望する
再生楽音データSDのピッチが波形データWDのオリジ
ナルのピッチと等しい場合にはピッチ情報は1となり、
所望する再生楽音データSDのピッチが波形データWD
のオリジナルのピッチの1オクターブ上の場合にはピッ
チ情報は2となる。
【0026】また、OSの起動時にデバイスドライバD
D、マイクロプログラムMP、および波形データWD等がバ
ス60を介してRAM30に転送されるとともに、上位
のアプリケーションによって指示される制御データCDが
必要に応じてRAM30に転送される。また、RAM3
0に格納されたマイクロプログラムMPは音源LSI10
に転送されるようになっている。バス60としては、大
量のデータを高速転送できるものであればその種類は問
わないが、この例にあっては、バースト転送モードを備
えたPCIバス(Peripheral Component Interconnect
Bus)を用いるものとする。
【0027】ここで、RAM30に記憶される波形デー
タWDは、ハードディスク50に格納されている全てが記
憶されるのではなく、使用頻度の高い音色に対応するも
のが記憶され、必要に応じてRAM30とハードディス
ク50との間で波形データWDのやり取りが行われる。ま
た、デバイスドライバDDは、起動時および波形データWD
の交換時に、ハードディスク50から転送される波形デ
ータWDに基づいて、1オクターブ単位でサンプルを1/
2に間引いた間引波形データWD1,WD2,WD3…を生成し、
これをRAM30に格納する。図2は、間引波形データ
WD1,WD2,WD3と波形データWDとの関係を示したものであ
る。この場合、一定のピッチ情報および出力サンプリン
グ周波数(48KHz)で各間引波形データWD1,WD2,WD3を
再生したとすると、波形データWDの音程に対して各間引
波形データWD1,WD2,WD3の音程は、各々1オクターブ、
2オクターブ、3オクターブ高くなる。また、波形デー
タWDに対して各間引波形データWD1,WD2,WD3…のデータ
量は、1/2,1/4,1/8…となる。
【0028】ところで、楽器を演奏した際に得られる波
形は、図3(a)に示すように演奏開始から一定期間は
複雑な形状をしているが(期間Ta)、それ以降は安定
した形状を示すことが多い(期間Tb)。このため、同
一音色の波形データWDを長時間再生する場合には、期間
Taの波形WAを再生した後、期間Tbの波形WBを再生
し、これに引き続いて期間Tbの波形WBを繰り返し再生
するようにしている。これにより、波形データWDのデー
タ量を削減できる。なお、以下の説明では、波形WBの開
始を「ループスタート」と呼び、波形WBの終了を「ルー
プエンド」と呼ぶことにする。
【0029】ここで、図3(b)はループスタート近傍
における波形データWDのサンプリングの様子を示したも
のであり、同図(c)はループエンド近傍における波形
データWDのサンプリングの様子を示したものである。上
述したように、波形WBを繰り返し再生する場合には、ル
ープスタートとループエンドとを滑らかに接続する必要
がある。そこで、この例にあっては、波形データWDを再
生するためのパラメータとして、各波形データWD毎にル
ープスタートアドレスLSAとループエンドアドレスLEAと
を予め設定しておき、これらのパラメータを用いてルー
プ再生を行うようにしている。ここで、ループスタート
アドレスLSAとループエンドアドレスLEAは、波形データ
WDの最後から途中に戻って再生する際に用いる接続情報
として機能する。ループスタートアドレスLSAとループ
エンドアドレスLEAは、ループスタート,ループエンド
に各々対応するアドレスであり、それらの値は小数点を
含むものとして与えられる。例えば、図3(b)におい
てサンプリングポイントSP1,SP2のアドレス値が
各々「10」,「11」であれば、ループスタートアド
レスLSAの値は「10.6」となる。
【0030】この例では、波形データWDに基づいて各間
引波形データWD1,WD2,WD3…を生成するので、間引波形
データWD1,WD2,WD3…に対応するループスタートアドレ
スLSA1,LSA2,LSA3…とループエンドアドレスLEA1,LEA2,
LEA3…とを各々生成する必要がある。このため、デバイ
スドライバDDは、各間引波形データWD1,WD2,WD3…をR
AM30に展開する際に、LSA,LEAに1/2,1/4,
1/8…を各々乗算してLSA1,LSA2,LSA3…およびLEA1,L
EA2,LEA3…を各々生成し、各間引波形データWD1,WD2,WD
3…と対応づけてRAM30に格納している。ここで、L
SA1,LSA2,LSA3…およびLEA1,LEA2,LEA3…は、ループエ
ンドからループスタートに戻り間引波形データWD1,WD2,
WD3…を接続する際に用いられる変換接続情報として機
能する。
【0031】この場合の演算は、1/2nをLSA,LEAに
乗算すれば足りるので、LSA,LEAをビットシフトするこ
とによって、LSA1,LSA2,LSA3…およびLEA1,LEA2,LEA3…
を簡単に生成することができる。換言すれば、LSA1,LSA
2,LSA3…およびLEA1,LEA2,LEA3…を算出し易いように、
間引波形データWD1,WD2,WD3…の間引率1/2,1/
4,1/8…を定めている。
【0032】次に、図1に示す音源ボード100は、図
示せぬ拡張スロットに装着されるようになっており、そ
こには、再生楽音データSDを生成する音源LSI10と
再生楽音データSDをアナログ信号に変換して再生楽音信
号Sを出力するDAC(Digital/Analog Converter)17
が設けられている。ここで、再生楽音データSDを再生す
る処理は、フレームと呼ばれる一定のサンプリング数単
位で一括して行われるようになっており、この例では、
再生楽音データSDを出力サンプリング周波数(48KH
z)で256サンプルだけ出力する期間(5.3ms)
を1フレームとしている。またこの例では音源LSIは
複数音(例えば64チャンネル)の再生楽音データSD
を同時に再生できるようになっている。あるフレーム
(256サンプル分)の再生楽音データを得るに当たっ
て、まず、音源LSI10は第1チャンネルの256サ
ンプルを再生するのに必要な波形データWDのサンプル
をPCIバス60を介してRAM30から取り込む。必
要な波形データWDは音色情報により決定され、必要な
サンプル数はピッチ情報により決定される。この取り込
みは、先頭アドレスとサンプル数とを指定することでバ
ースト転送により行われる。すなわち、RAM30の波
形データWD内の所定の連続領域が切り出されて音源L
SIに一括して転送されることになる。音源LSIは取
り込まれたサンプルに基づき第1チャンネルの256サ
ンプルを作成する。次に第2チャンネルについて同様に
256サンプルを作成し第1チャンネルの256サンプ
ルと対応したサンプル同士加算して累算された256サ
ンプルを得る。このような処理を64チャンネル分繰り
返し、最終的に64チャンネル分を累算した256サン
プルを得る。上記処理は各フレームで繰り返し行われる
が、あるフレームで生成された256サンプルは次のフ
レームでサンプリング周波数に従いDAC17へ転送さ
れる。なお、256サンプル分を貯えるバッファはダブ
ルバッファ構成を採り、一方累算・書込みに使用された
他方はDACへの読み出しに使われ、フレーム単位でそ
れぞれの役割が切り換わる。
【0033】音源LSI10は、制御部11、PCIバ
スインターフェース12、入力バッファ13、補間部1
4、演算部15および出力バッファ16から構成され
る。まず、制御部11はRAM30から転送されるマイ
クロプログラムMPをその内部に設けられたメモリ(図示
略)に記憶し、マイクロプログラムMPに従って音源LS
I10の各部を制御する命令iを発行する。次に、PC
Iバスインターフェース12は、バスマスタ機能を有し
ている。このため、音源LSI10は、CPU20を介
することなくRAM30から制御データCDや波形データ
WD等を直接読み出すことが可能である。
【0034】次に、入力バッファ13は、PCIバスイ
ンターフェース12を介してバースト転送される波形デ
ータWDや各間引波形データWD1,WD2,WD3…を一旦記憶す
る。この入力バッファ13は2個のバッファ131,1
32から構成されており、一方にデータを書き込んでい
る期間に他方からデータを出力するように構成されてい
る。また、補間部14は波形データWDまたは各間引波形
データWD1,WD2,WD3…に補間処理を施して補間波形デー
タWD'を生成する。ところで、音源LSI10のピッチ
アップ能力の限度は、入力バッファ13と出力バッファ
16の記憶容量によって定まるが、この例では、約2倍
の周波数範囲(1オクターブ)に対応できるように入力
バッファ13と出力バッファ16の容量を規定してい
る。
【0035】ここで、制御部11は、制御データCDの音
色情報に基づいてこれに対応する波形データWDの種類を
特定するとともに、ピッチ情報に基づいて転送すべきデ
ータを特定する。制御データCDの音色情報がバイオリン
を指示するとともにそのピッチ情報が2.3オクターブ
アップを指示するのであれば、バイオリンの間引波形デ
ータWD2が特定される。この場合、間引波形データWD2
は、波形データWDに対して2オクターブ上の音程に対応
するものである。これに対してピッチ情報の指示は2.
3オクターブアップを指示しているので0.3オクター
ブ足らないことになるが、音源LSI10内の補間を含
むピッチシフト処理で実現される。
【0036】すなわち、制御部11は、制御データCDの
指示するピッチ情報が、波形データWDの音程に対して、
音源LSI10のピッチアップ能力を越える場合には、
音源LSI10のピッチアップ能力以内に収まるように
最小の間引率を決定する。この例では、音源LSI10
のピッチアップ能力は1オクターブであるから、制御部
11は波形データWDや各間引波形データWD1,WD2,WD3…
の中からピッチ情報の整数部に対応するものを特定し、
これを入力バッファ13に転送するようにPCIバスイ
ンターフェース12に対して命令iを発行している。こ
の意味において、制御部11は、ピッチ情報に基づいて
RAM30に記憶されている複数の間引波形データWD1,
WD2,WD3…の中から補間の対象となる間引波形データを
特定し、これを読み出す読出部として機能する。これに
より、原波形の音程よりも高い音程の再生楽音信号Sを
再生する場合、入力バッファ13に転送するデータ量を
削減して、バス60を占有する時間を短時間にすること
ができる。また、入力バッファ13のチップサイズを縮
小し、しかも再生楽音データSDの周波数範囲を拡大する
ことが可能となる。
【0037】次に、演算部15は、制御データCDの音量
情報等に基づきマイクロプログラムMPのフィルタ処理命
令に従って、補間波形データWD'に演算処理を施し再生
楽音データSDを生成する。この場合、フィルタ処理は、
例えば、微妙な音色変調処理やリバーブやコーラスとい
った音響効果を与える処理であり、これにより、多彩な
再生楽音データSDを再生することが可能となる。
【0038】次に、出力バッファ16は、入力バッファ
13と同様に2個のバッファ161,162から構成さ
れており、一方に再生楽音データSDをチャネル間の累積
を行いつつ書き込んでいる期間に他方から再生楽音デー
タSDを出力するように構成されている。この場合、出力
バッファ16からは、出力サンプリング周波数(48K
Hz)に従って再生楽音データSDが読み出されるように
なっている。こうして読み出された再生楽音データSD
は、DAC17によってデジタル信号からアナログ信号
に変換され再生楽音信号Sとして外部に出力される。
【0039】2.第1実施形態の動作 次に、図面を参照しつつ、本実施形態に係わるコンピュ
ータシステムAにおける楽音信号の再生処理に係わる動
作を説明する。図4は楽音信号の再生処理動作を示すフ
ローチャートである。まず、デバイスドライバDDは、波
形データWDに基づいて間引波形データWD1,WD2,WD3…を
生成し、これらをRAM30に格納する(ステップS
1)。この際、波形データWDのループスタートアドレス
LSAとループエンドアドレスLEAに基づいて、間引波形デ
ータWD1,WD2,WD3…のループスタートアドレスLSA1,LSA
2,LSA3…とループエンドアドレスLEA1,LEA2,LEA3…とを
各々生成し、RAM30に格納する(ステップS2)。
例えば、RAM30の内容は、図5に示すように、ギタ
ーやバイオリンといった各種の音色に応じてデータが格
納される。
【0040】次に、上位のアプリケーションか発音指令
があり、デバイスドライバDDが制御データCDを音源LS
I10の制御部11に渡すと、制御データCDの音色情報
とピッチ情報に基づいて転送すべきデータが特定され
る。制御部11がPCIバスインターフェース12に対
して転送データを指示すると、PCIバスインターフェ
ース12はバスマスタとして機能し、RAM30から当
該データを読み出す(ステップS3)。例えば、音色情
報がギターを指示し、ピッチ情報が1.3オクターブア
ップを指示するのであれば、図5に示すRAM30か
ら、1オクターブアップに対応するWD1,LSA1,LEA1が読
み出されることになる。なお、WD1中の転送されるサン
プル数は、音源LSI10内にて行う0.3オクターブ
分のピッチアップ処理に必要なサンプル数となる。
【0041】次に、ピッチ情報に従い入力バッファ13
からデータが読み出されると、補間部14は補間処理を
施して補間波形データWD’を生成する(ステップS
4)。ここでは、ピッチ情報が1.3オクターブ(2.
5倍)を指示する場合を一例として説明する。
【0042】図6は、通常処理における補間動作を示す
概念図である。この例では、波形データWDを1/2に間
引いた間引波形データWD1が入力バッファ13に格納さ
れ、この1/2間引波形データWD1を間引きなしの波
形データWDと同様に再生すれば1オクターブ分のピッ
チシフトが実現される。したがって、音源LSI10で
は0.3オクターブのピッチアップを行うことになる。
この0.3オクターブ分のピッチアップ処理は、原理的
には、入力バッファに記憶されたサンプルを間引きつつ
出力バッファに格納される256サンプルを作成するこ
とにより実現されるが、この実施例では折り返しノイズ
を低減するために補間演算を行っている。この場合、補
間部14は隣接する2個のサンプルに基づき直線補間を
行って補間波形WD’を生成する。例えば、d2’を生成
する場合には、0.25d2+0.75d3を演算する。この場合の
補間係数0.25、0.75は、ピッチ情報に基づいて算出され
る。通常(例えば、波形データWDのサンプリング時の
サンプリング周波数と出力サンプリング周波数とが等し
いようなケース)、1オクターブアップを示すピッチ情
報は実数値2の値をとり、1.3オクターブアップを示
すピッチ情報は実数値2.5の値をとる。上記のとお
り、1オクターブのアップ分については、「間引波形デ
ータの利用」という形態をとるので、ピッチ情報の2.
5という数値は1.5に補正されこの1.5を累算して
いった結果の小数部が上記補間係数として使われる。
【0043】なお、前述のとおり、ループスタートアド
レスLSAとループエンドアドレスLEAはループエンドから
ループスタートに戻ったときにそのつなぎ目が綺麗に繋
がるようにそのアドレスが決められている。ところが、
この例では波形データWDに対して、一様に間引き処理
を行い、間引き波形データWD1、WD2、…、を用意す
るようにしているので、ループスタートアドレスLSA近
傍のサンプルおよびループエンドアドレスLEA近傍のサ
ンプルが、間引かれていたり、間引かれないでいたりす
る場合が生じるので、必ずしもループの繋がりが綺麗に
なるとは限らない。それを解決するためにはループ付近
の補間を2点(直線補間)以上の多点補間とすること等
が考えられる。
【0044】次に、演算部15は補間波形データWD'に
対して音色変調、音量付与、効果付与等の演算処理を実
行して再生楽音データSDを生成しこれをチャネル間の累
算を行いつつ出力バッファ16に格納する(ステップS
5)。この後、出力サンプリング周波数に従って出力バ
ッファ16から再生楽音データSDが読み出されると、D
AC17によって再生楽音信号SDに変換され、外部機器
に出力される(ステップS6)。
【0045】このように第1実施形態によれば、波形デ
ータWDをRAM30に記憶するに際して、デバイスドラ
イバDD(ソフトウエア)によって間引波形データWD1,WD
2,WD3…を生成しこれをRAM30に記憶しておき、ピ
ッチ情報に基づいて必要なデータを音源LSI10に転
送するようにしたので、入力バッファ13のデータ容量
を削減しつつ、再生楽音データSDの周波数範囲を拡大す
ることが可能となる。
【0046】B.第2実施形態 上述した第1実施形態においては、RAM30に間引波
形データWD1,WD2,WD3…を記憶するので、それらの記憶
領域をRAM30内に確保する必要がある。このため、
RAM30の記憶容量が増大する。そこで、第2実施形
態に係わるコンピュータシステムAでは、RAM30の
記憶容量を増大させることなく、再生処理における対応
周波数範囲を拡大することを目的としている。
【0047】1.第2実施形態の構成 図7は、第2実施形態に係わるコンピュータシステム
A’のブロック図である。このコンピュータシステム
A’は、PCIバスインターフェース12と入力バッフ
ァ13との間に間引部12’を設けた点を除いて、図1
に示す第1実施形態のコンピュータシステムAと同様で
ある。なお、この例の入力バッファ13は、ライトイネ
ーブル端子を備えており、そこに供給されるライトイネ
ーブル信号WEがハイレベルになると書込可能状態とな
り、一方、ローレベルになると書込不能状態になるもの
とする。
【0048】この間引部12’は、入力バッファ13に
供給するライトイネーブル信号WEについて各種のパター
ンを格納したテーブルTBLを備えている。そして、制御
データCDのピッチ情報の整数部に基づいて間引きのパタ
ーンを決定し、それに従って波形データWDを間引くよう
に構成されている。具体的には、波形データWDと選択さ
れたライトイネーブル信号WEを入力バッファ13に供給
する。なお、以下の説明では、間引きを行わない場合の
ライトイネーブル信号WEをWE0、1/2に間引く場合をW
E1、1/4に間引く場合をWE2と表すことにする。
【0049】ここで、図8を参照してライトイネーブル
信号WEの生成動作を説明する。なお、入力バッファ13
はライトイネーブル信号WEがハイレベルのとき書込可能
となり、ローレベルのとき書込不能となる。まず、間引
部12’は、ピッチ情報の整数部に応じてテーブルTBL
のどの記憶領域からライトイネーブル信号WEを読み出す
かを決定する。この場合、ピッチアップが1オクターブ
未満であればWE0を、1オクターブ以上2オクターブ未
満であればWE1を、2オクターブ以上3オクターブ未満
であればWE3を読み出す。例えば、ピッチ情報が1.3
オクターブアップを指示するのであれば、WE1が選択さ
れるので1/2の割合で波形データWDが間引かれ、入力
バッファ13には図2に示す間引波形データWD1が記憶
される。したがって、RAM30には波形データWDのみ
を記憶しておけば足り、間引波形データWD1,WD2,WD3…
は、必要に応じて間引部12’によって生成される。こ
の結果、RAM30の記憶容量を削減することが可能と
なる。
【0050】ところで、上述した第1実施形態では、ル
ープ処理を可能にするため、RAM30に間引波形デー
タWD1,WD2,WD3…のループスタートアドレスLSA1,LSA2,L
SA3…とループエンドアドレスLEA1,LEA2,LEA3…とを予
め生成し格納していた。一方、この例では、RAM30
には波形データWD、ループスタートアドレスLSAおよび
ループエンドアドレスLEAのみを記憶する。このため、
間引部12’は波形データWDに対応するループスタート
アドレLSAとループエンドアドレスLEAに基づいて、LSA
1,LSA2,LSA3…およびLEA1,LEA2,LEA3…の中から必要と
されるアドレスを生成する。なお、ループスタートアド
レLSAとループエンドアドレスLEAは、PCIバスインタ
ーフェース12の内部に設けられたレジスタに書き込ま
れるようになっている。
【0051】例えば、上述した例のように間引波形デー
タWD1を入力バッファ13に記憶する場合には、LSAとLE
AをPCIバスインターフェース12から読み出し、こ
れらをビットシフトすることによってLSA1とLEA1を生成
し、これらを補間部14に渡している。なお、補間部1
4、演算部15、出力バッファ16およびDAC17の
構成は、第1実施形態と各々同一あるので、ここでは説
明を省略する。
【0052】2.第2実施形態の動作 次に、第2実施形態に係わるコンピュータシステムA’
における楽音信号の再生処理に係わる動作を説明する。
図9は楽音信号の再生処理動作を示すフローチャートで
ある。
【0053】まず、制御部11は、制御データCDのピッ
チ情報に基づいて、ピッチ変換処理が音源LSI10の
ピッチアップ能力を越えるか否かを判定する(ステップ
S10)。この例のピッチアップ能力は1オクターブで
あるから、ピッチ情報が1オクターブアップを越える
と、YESと判定され、ステップS11に進む。制御部
11は、音源LSI10のピッチアップ能力以内に収ま
るように最小の間引率を設定すると(ステップS1
1)、設定した間引率に従って、テーブルTBLからライ
トイネーブル信号WEを読み出す(ステップS12)。こ
れにより、波形データWDが所定の間引率で間引かれ、間
引波形データWD1,WD2,WD3…が入力バッファ13に格納
されることになる。したがって、RAM30に間引波形
データWD1,WD2,WD3…を予め生成し記憶する必要がな
い。
【0054】ところで、制御部11が音源LSI10の
ピッチアップ能力以内に収まるように最小の間引率を設
定するのは、間引に伴う折り返し歪みを低減するためで
ある。例えば、ピッチ情報が0.6オクターブアップ
(1.5倍の周波数に相当)である場合を考えると、波
形データWD、間引波形データWD1、および補間波形デー
タWD'は、図10に示す関係がある。図示するように、
補間波形データWD'を構成する各サンプリングデータ
は、波形データWDの方が間引波形データWD1より近い位
置にある。例えば、補間波形データd'は波形データdそ
のものであるが、仮に、間引波形データWD1から補間波
形データd'を算出する場合には、d2およびd3から算出す
る必要がある。このように、サンプリング位置が離れた
データから補間を行うと、誤差が生じ、これに起因して
折り返し歪みが大きくなる。しかしながら、本実施形態
では、音源LSI10のピッチアップ能力以内に収まる
ように最小の間引率を設定するので、折り返し歪みを抑
圧することができる。
【0055】また、ピッチ情報の指示する値が大きくな
ると、サンプリング位置が離れたデータから補間を行う
必要があるため、折り返し歪みが大きくなる。例えば、
ピッチ情報が1.3オクターブアップを示す場合におい
て、波形データWD、間引波形データWD1および補間波形
データWD'の関係は、図11に示すものとなる。図11
において斜線部は信号成分SSである。この場合、補間波
形データWD'の信号成分SSと折り返し成分NSは近接す
る。このため、DAC17の出力フィルタを折り返し成
分NSが通過してしまい再生楽音信号SのS/N比を劣化
させることも想定される。しかしながら、実際には、波
形データWDにおいて、幅広い音域にわたって共通の波形
データWDが使われるような音色では、サンプリング周波
数fsに対する信号成分SSの周波数は十分離れるように
設定されている。このため、補間波形データWD'の折り
返し成分NSによって、再生楽音信号SのS/N比はほと
んど劣化せず実用上問題とならない。
【0056】次に、ピッチ変換処理が音源LSI10の
ピッチアップ能力以内であるならば、ステップS10の
判定結果は、NOとなる。この場合には、ライトイネー
ブル信号WEは、常にハイレベルとなる(図8のWE0を参
照)。したがって、波形データWDがそのまま入力バッフ
ァ13に書き込まれる。
【0057】こうして、入力バッファ13に波形データ
WDや間引波形データWD1,WD2,WD3…が格納されると、補
間部14はピッチ情報に基づいて補間処理を実行する
(ステップS14)。補間部14の動作は第1実施形態
と同様である。
【0058】この後、演算部15が演算処理を実行して
再生楽音データSDをチャネル間の累算を行いつつ出力バ
ッファ16に格納すると(ステップS15)、出力バッ
ファ16は再生楽音データSDをバッファリングして出力
する。これを、DAC17を介してアナログ信号に変換
することにより、再生楽音信号Sが生成される(ステッ
プS16)
【0059】このように第2実施形態によれば、波形デ
ータWDをRAM30から読み出す際にピッチ情報に基づ
いて波形データWDを間引いたので、予め間引波形データ
WD1,WD2,WD3…を生成しこれをRAM30に記憶する必
要がない。このため、RAM30の記憶容量を削減しつ
つ、再生楽音データSDの周波数範囲を拡大することが可
能となる。
【0060】C.変形例 以上、本発明に係わる実施形態を説明したが、本発明は
上述した実施形態に限定されるものではなく、以下に述
べる各種の変形が可能である。 上述した実施形態においては、音源LSI10のピッ
チアップ能力は1オクターブとして説明したが、2オク
ターブであってもよい。この場合には、間引波形データ
として、WD2,WD3,…をRAM30に予め格納するか(第
1実施形態に対応)、波形データWDの転送時に間引いて
これらを生成すればよい(第2実施形態に対応)。
【0061】上述した実施形態において、補間部14
の補間処理は2つのサンプリングデータから直線補間を
行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、3
つ以上のサンプリングデータに重み付け係数を各々乗算
しこれらを加算して補間波形データWD'を生成するよう
にしてもよい。この場合には、より誤差の少ない補間波
形データWD'を生成することができ、再生楽音データSD
の品質を向上させることができる。
【0062】上述した実施形態においては、間引波形
データWD1,WD2,WD3…は、波形データWDを1/2nに間引
くことにより生成したが、本発明はこれに限定されるも
のではなく、間引率の設定に制限がないことは勿論であ
る。特に、第2実施形態のように波形データWDを転送す
る際に間引部12’で間引く場合には、予めピッチ情報
の指示する値と対応づけてライトイネーブル信号WEをテ
ーブルTBLに格納しておくことにより、補間波形データW
D'を構成するデータのサンプリング位置に近いデータを
入力バッファ13に格納することができる。例えば、
「1,0,1,1,0」を繰り返すパターンをテーブルTBLに格納
しておき、ピッチ情報が1.3オクターブアップを指示
する場合には、これを読み出してライトイネーブル信号
WEを生成することによって、図12に示す黒丸印のサン
プリングデータのみを入力バッファ13に格納するよう
にしてもよい。
【0063】
【発明の効果】上述したように本発明に係る発明特定事
項によれば、第1のバッファの記憶容量を削減しつつ、
楽音データの周波数範囲を拡大することが可能となる。
また、間引部は、ピッチ情報に従って波形データを間引
くから、予め記憶部に間引波形データを記憶しておく必
要がなく、記憶部の記憶容量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係わるコンピュータ
システムのブロック図である。
【図2】 同実施形態に係わる間引波形データと波形デ
ータとの関係を示した概念図である。
【図3】 同実施形態に係わるループスタートおよびル
ープエンドを説明するための概念図である。
【図4】 同実施形態に係わる楽音信号の再生処理動作
を示すフローチャートである。
【図5】 同実施形態に係わるRAMの記憶内容を示す
図である。
【図6】 同実施形態に係わる通常処理における補間動
作を示す概念図である。
【図7】 本発明の第2実施形態に係わるコンピュータ
システムのブロック図である。
【図8】 同実施形態に係わるライトイネーブル信号の
生成動作を説明するための概念図である。
【図9】 同実施形態に係わる楽音信号の再生処理動作
を示すフローチャートである。
【図10】 同実施形態において、波形データ、間引波
形データ、および補間波形データの関係の一例を示す概
念図である。
【図11】 同実施形態に係わる波形データ、間引波形
データ、および補間波形データの関係の一例を示す概念
図である。
【図12】 従来の補間動作を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
11…制御部(第1の読出部、第2の読出部、第3の読
出部)、12’…間引部、13…入力バッファ(入力バ
ッファ部)、14…補間部、15…演算部(楽音データ
生成部)、16…出力バッファ(出力バッファ部)、3
0…RAM(記憶装置)、50…ハードディスク(外部
記憶装置)、SD…再生楽音データ(楽音データ)、WD…
波形データ(オリジナル波形サンプルデータ)、WD1,WD
2,WD3…間引波形データ(間引波形サンプルデータ)、L
SA…ループスタートアドレス(ループ再生情報)、LEA
…ループエンドアドレス(ループ再生情報)、LSA1,LSA
2,LSA3…ループスタートアドレス(変換ループ再生情
報)、LEA1,LEA2,LEA3…ループエンドアドレス(変換ル
ープ再生情報)、A,A’…コンピュータシステム。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部記憶装置に記憶された所定のオリジ
    ナル波形サンプルデータおよびこのオリジナル波形サン
    プルデータを一定の規則に従って間引いた間引波形サン
    プルデータに基づいて楽音データを生成する楽音データ
    処理装置において、 再生ピッチを指示するピッチ情報に基づいて、前記外部
    記憶装置に記憶されたオリジナル波形サンプルデータま
    たは間引波形サンプルデータのいずれかを特定し読み出
    す第1の読出部と、 この第1の読出部から読み出されたサンプルデータを記
    憶する入力バッファ部と、 前記ピッチ情報に基づいて、前記入力バッファ部に記憶
    されたサンプルデータを読み出す第2の読出部と、 この第2の読出部から読み出されたサンプルデータに基
    づいて楽音データを生成する楽音データ生成部とを備え
    ることを特徴とする楽音データ処理装置。
  2. 【請求項2】 予め定められた単位時間に一定レートで
    出力されるサンプル数に対応する楽音データを前記一定
    レートとは非同期に一括して生成する楽音データ処理装
    置であって、 前記楽音データ生成部によって一括生成された楽音デー
    タを記憶する出力バッファ部と、 この出力バッファ部に記憶された楽音データを前記一定
    レートで読み出す第3の読出部とを更に備えることを特
    徴とする請求項1に記載の楽音データ処理装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の読出部は、前記単位時間の楽
    音データを一括生成するのに使用される前記外部記憶装
    置の連続領域に記憶されたサンプルデータを一括して読
    み出すことを特徴とする請求項2に記載の楽音データ処
    理装置。
  4. 【請求項4】 前記第1の読出部は、前記ピッチ情報、
    前記入力バッファ部の記憶容量および前記出力バッファ
    部の記憶容量に基づいて、前記外部記憶装置から一括し
    て読み出すべきサンプルデータ数を決定することを特徴
    とする請求項3に記載の楽音データ処理装置。
  5. 【請求項5】 前記第1の読出部は、前記ピッチ情報に
    基づいて、ピッチ情報が相対的に低いピッチを示してい
    るときは前記外部記憶装置に記憶されたオリジナル波形
    サンプルデータを、ピッチ情報が相対的に高いピッチを
    示しているときは間引波形サンプルデータを読み出すこ
    とを特徴とする請求項1に記載の楽音データ処理装置。
  6. 【請求項6】 前記第2の読出部は、前記ピッチ情報に
    基づいて、前記入力バッファ部から複数のサンプルデー
    タを読み出し、 前記楽音データ生成部は、前記ピッチ情報および前記第
    2の読出部から読み出された複数のサンプルデータから
    補間演算により楽音データを生成することを特徴とする
    請求項1に記載の楽音データ処理装置。
  7. 【請求項7】 前記外部記憶装置は、所定のオリジナル
    波形サンプルデータおよびこのオリジナル波形サンプル
    データを一定の規則に従って間引いた間引波形サンプル
    データの他に、オリジナル波形サンプルデータおよび間
    引波形サンプルデータのそれぞれに対応してループ再生
    情報を記憶し、 前記第1の読出部は、サンプルデータとこれに対応する
    前記ループ再生情報とを読み出し、 前記楽音データ生成部は、前記ループ再生情報に従い、
    ループ再生を行うことを特徴とする請求項1に記載の楽
    音データ処理装置。
  8. 【請求項8】 所定のオリジナル波形サンプルデータお
    よびこのオリジナル波形サンプルデータを一定の規則に
    従って間引いた間引波形サンプルデータを記憶した記憶
    装置と、 再生ピッチを指示するピッチ情報に基づいて、前記記憶
    装置に記憶されたオリジナル波形サンプルデータまたは
    間引波形サンプルデータのいずれかを特定し読み出す第
    1の読出部と、 この第1の読出部から読み出されたサンプルデータを記
    憶する入力バッファ部と、 前記ピッチ情報に基づいて、前記入力バッファ部に記憶
    されたサンプルデータを読み出す第2の読出部と、 この第2の読出部から読み出されたサンプルデータに基
    づいて楽音データを生成する楽音データ生成部とを備え
    ることを特徴とする楽音データ処理装置。
  9. 【請求項9】 請求項8の楽音データ処理装置を実施す
    るコンピュータシステムであって、 前記記憶装置はコンピュータシステムのメインメモリで
    あり、前記オリジナル波形サンプルデータを間引いて間
    引波形サンプルデータを作成する処理および作成した間
    引波形サンプルデータを前記記憶装置に記憶する処理は
    所定のソフトウエアによってコンピュータシステムのC
    PUが行う処理であることを特徴とするコンピュータシ
    ステム。
  10. 【請求項10】 外部記憶装置に記憶された所定の波形
    サンプルデータに基づいて楽音データを生成する楽音デ
    ータ処理装置において、 前記外部記憶装置に記憶された波形サンプルデータを読
    み出す第1の読出部と、 再生ピッチを指示するピッチ
    情報に基づいて、前記第1の読出部が読み出した波形サ
    ンプルデータを間引いて間引波形サンプルデータを生成
    する間引部と、 この間引部で間引かれた間引波形サンプルデータを記憶
    する入力バッファ部と、 前記ピッチ情報に基づいて、前記入力バッファ部に記憶
    されたサンプルデータを読み出す第2の読出部と、 この第2の読出部から読み出されたサンプルデータに基
    づいて楽音データを生成する楽音データ生成部とを備え
    ることを特徴とする楽音データ処理装置。
  11. 【請求項11】 予め定められた単位時間に一定レート
    で出力されるサンプル数に対応する楽音データを前記一
    定レートとは非同期に一括して生成する楽音データ処理
    装置であって、 前記楽音データ生成部によって一括生成された楽音デー
    タを記憶する出力バッファ部と、 この出力バッファ部に記憶された楽音データを前記一定
    レートで読み出す第3の読出部とを更に備えることを特
    徴とする請求項10に記載の楽音データ処理装置。
  12. 【請求項12】 前記第1の読出部は、前記単位時間の
    楽音データを一括生成するのに使用される前記外部記憶
    装置の連続領域に記憶されたサンプルデータを一括して
    読み出すことを特徴とする請求項11に記載の楽音デー
    タ処理装置。
  13. 【請求項13】 前記第1の読出部は、前記ピッチ情
    報、前記入力バッファ部の記憶容量および前記出力バッ
    ファ部の記憶容量に基づいて、前記外部記憶装置から一
    括して読み出すべきサンプルデータ数を決定することを
    特徴とする請求項12に記載の楽音データ処理装置。
  14. 【請求項14】 前記間引部は、前記ピッチ情報に基づ
    いて、間引き率を決定することを特徴とする請求項10
    に記載の楽音データ処理装置。
  15. 【請求項15】 前記第2の読出部は、前記ピッチ情報
    に基づいて、前記入力バッファ部から複数のサンプルデ
    ータを読み出し、 前記楽音データ生成部は、前記ピッチ情報および前記第
    2の読出部から読み出された複数のサンプルデータから
    補間演算により楽音データを生成することを特徴とする
    請求項10に記載の楽音データ処理装置。
  16. 【請求項16】 前記外部記憶装置は、所定の波形サン
    プルデータの他に、この波形サンプルデータに対応して
    ループ再生情報を記憶し、 前記第1の読出部は、波形サンプルデータとこれに対応
    する前記ループ再生情報とを読み出し、 前記間引部は間引き率に応じて前記ループ再生情報を変
    換した変換ループ再生情報とを作成し、 前記楽音データ生成部は、前記変換ループ再生情報に従
    い、ループ再生を行うことを特徴とする請求項14に記
    載の楽音データ処理装置。
  17. 【請求項17】 所定の波形サンプルデータを記憶した
    記憶装置と、 前記記憶装置に記憶された波形サンプルデータを読み出
    す第1の読出部と、 再生ピッチを指示するピッチ情報に基づいて、前記第1
    の読出部が読み出した波形サンプルデータを間引いて間
    引波形サンプルデータを生成する間引部と、 この間引部で間引かれた間引波形サンプルデータを記憶
    する入力バッファ部と、 前記ピッチ情報に基づいて、前記入力バッファ部に記憶
    されたサンプルデータを読み出す第2の読出部と、 この第2の読出部から読み出されたサンプルデータに基
    づいて楽音データを生成する楽音データ生成部とを備え
    ることを特徴とする楽音データ処理装置。
  18. 【請求項18】 請求項17の楽音データ処理装置を実
    施するコンピュータシステムであって、 前記記憶装置はコンピュータシステムのメインメモリで
    あることを特徴とするコンピュータシステム。
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