JP2000009857A - 気象レーダ装置 - Google Patents

気象レーダ装置

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JP2000009857A JP10180445A JP18044598A JP2000009857A JP 2000009857 A JP2000009857 A JP 2000009857A JP 10180445 A JP10180445 A JP 10180445A JP 18044598 A JP18044598 A JP 18044598A JP 2000009857 A JP2000009857 A JP 2000009857A
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久理 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 降水分布の測定において、雨滴落下中の移流
を精度良く補正することができる気象レーダ装置を提供
する。 【解決手段】 レーダ送受信部2はレーダ反射波に基づ
いてエコー強度データとドップラ速度データを出力す
る。水平風分布算出部6は解析ボリューム中で水平風分
布が連続に変化することを仮定して、当該ボリュームに
対応する速度分布を求める。一方、エコー強度からは、
降雨空中分布算出部4が上空での降雨の空間分布を求め
る。移流補正部8の移流ベクトル算出部30は、水平風
分布算出部6が求めた雨滴の落下空間での水平風分布か
ら、雨滴が地上に到達するまでにシフトする量である移
流ベクトルを求める。補正処理部32は、降雨の空間分
布を移流ベクトルに基づいて補正し、地上での降水分布
を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地上での降水分布
を求める気象レーダ装置に関し、特にその降水分布の精
度の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より気象レーダには、降水分布、す
なわち降水領域の広がり、形状、移動状況、降水量など
を観測する用途のものがあった。この気象レーダは、空
中に分布する例えば降雨からのレーダビームの反射波を
受信し、その反射強度に基づいて降雨の分布を観測す
る。
【0003】気象レーダは、一般に方位方向に回転走査
を行い、レーダ装置の設置場所を中心とした円形領域を
探索することが行われる。例えば、円形観測領域全域の
気象状況を観測する方法としては、CAPPI(consta
nt altitude plane positionindicator)走査がある。
CAPPI走査とは、探索用レーダアンテナが方位方向
の回転走査と仰角の変更との双方により、例えば各方位
について異なる仰角での送受信を行うものである。例え
ば、アンテナを方位方向に1回転させるごとに仰角をあ
る範囲内で順次変更させるといった走査が行われる。こ
のCAPPI走査の観測結果に基づいて、一定高度面で
の降水分布を得ることができる。降水分布は、例えば表
示装置上に、降水強度に応じた輝度を有するイメージと
して表示される。また、雨量レーダ(レーダ雨量計)と
いったものは、例えば累積降水量や面積降水量を算出す
る機能を備えている。
【0004】しかし、地上の障害物などのためレーダビ
ームで直接、降水分布を観測できる仰角には下限があ
る。特にレーダビームの送信地点から離れるに従って直
接観測不可能な高度は大きくなる。
【0005】降水観測において興味があるのは、一般に
地上における降水分布や降水量である。さて、上述のよ
うにレーダにより直接観測される降水分布は上空のもの
であり、そこから落下する雨滴は風の影響を受けて移流
する。そのため、レーダで直接求めた降雨の空中での分
布は、一般に地上での降水分布とは等しくない。
【0006】この移流を補正する技術として、特開平4
−12292号公報に開示されるものがある。この従来
技術の原理は、異なる高度での降雨の水平分布をそれぞ
れレーダで観測し、その分布の変化を、レーダで直接観
測できない低高度の領域において外挿することにより地
上での降水分布を求めるというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この従来技術における
異なる高度間での降雨分布の差異は、それら高度間での
風により生じたものである。しかし、一般に降雨は広が
りをもって分布していることから、高高度の降雨分布と
それに対応する低高度の降雨分布を一対一に対応させる
ことは困難である。そのため、上記従来技術による移流
補正は、精度が悪いという問題があった。
【0008】本発明は上記問題点を解消するためになさ
れたもので、雨滴の上空から地上までの落下途中の空間
での風の分布を考慮した精度の良い移流補正を実現し、
地上での精度の高い降水分布を測定できる気象レーダ装
置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る気象レーダ
装置は、地上での降水分布を求める気象レーダ装置であ
って、レーダビームの送信及び反射波の受信を行うレー
ダ送受信部と、前記反射波の強度分布に基づいて、前記
レーダ送受信部による観測領域での降雨の空中分布を求
める降雨空中分布算出部と、雨滴が落下する空間での水
平風分布に基づき、当該雨滴の落下中における水平方向
の移流に応じた補正を前記空中分布に対して施し、前記
地上での降水分布を求める移流補正部とを有することを
特徴とする。
【0010】他の本発明に係る気象レーダ装置は、前記
水平風分布を算出する水平風分布算出部を有し、前記レ
ーダ送受信部は前記反射波のドップラ偏移を検出し、前
記水平風分布算出部は前記ドップラ偏移を利用して雨滴
が落下する空間での前記水平風分布を算出することを特
徴とする。
【0011】また他の本発明に係る気象レーダ装置は、
前記水平風分布算出部が、解析ボリューム内で風速分布
が連続的に変化することを仮定し、当該解析ボリューム
内の複数ポイントにおけるドップラ偏移に基づいて当該
解析ボリューム内の前記風速分布を決定するボリューム
・ベロシティ・プロセッシング法を用いて、前記レーダ
送受信部の前記観測領域における風速分布を求め、当該
風速分布に基づいて落下空間における前記水平風分布を
定めることを特徴とする。
【0012】他の本発明に係る気象レーダ装置において
は、前記レーダ送受信部が互いに異なる地点に配置さ
れ、それぞれレーダビームの送受信を行い、互いに共通
の走査対象領域からのそれぞれの反射波のドップラ偏移
を検出する複数の送受信器を含み、前記水平風分布算出
部は、複数の前記送受信器からの前記各ドップラ偏移か
らそれぞれ算出される各ドップラ速度ベクトルを合成し
て前記レーダ送受信部の前記観測領域における風速分布
を求め、当該風速分布に基づいて落下空間における前記
水平風分布を定めることを特徴とする。
【0013】他の本発明に係る気象レーダ装置において
は、前記レーダ送受信部が、レーダビームの送受信を行
ってドップラ偏移を検出する送受信器と、前記送受信器
と異なる地点に配置され前記送受信器から放射されたレ
ーダビームの反射波を受信し当該反射波のドップラ偏移
を検出する受信器とを含み、前記水平風分布算出部は、
前記送受信器及び前記受信器からの前記各ドップラ偏移
からそれぞれ算出される各ドップラ速度ベクトルを合成
して前記レーダ送受信部の前記観測領域における風速分
布を求め、当該風速分布に基づいて落下空間における前
記水平風分布を定めることを特徴とする。
【0014】本発明の好適な態様においては、前記移流
補正部が、前記降雨の空中分布の水平方向の拡がりをセ
ルに区分し、当該各セルごとに移流に応じた補正を施
し、前記各セルの移流先が地上の降水分布領域を区分し
た区画のいずれであるかを算出して、区画単位での降水
分布を求めることを特徴とする。
【0015】本発明の好適な態様においては、前記移流
補正部が、前記セルの移流先の位置が複数の前記区画に
跨る場合は、当該各区画に含まれることとなる当該セル
の面積の比率に応じて、当該セルに対応する降水量を当
該セルが跨る各区画に分配することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】[実施の形態1]次に、本発明の
実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】図1は、本発明の実施の形態である降水分
布を測定できる気象レーダ装置の概略のブロック図であ
る。本装置は、レーダ送受信部2、降雨空中分布算出部
4、水平風分布算出部6、移流補正部8、及び表示部1
0を含んで構成される。
【0018】レーダ送受信部2は、レーダアンテナ20
を備えた送受信器22を含み、レーダアンテナ20は例
えば方位角方向に回転走査駆動され、また1回転毎に仰
角を順次変更して走査駆動される。これにより、本装置
を中心とした広い空間を3次元的に電波ビームにより走
査することができる。送受信器22は、レーダアンテナ
20を介して例えばセンチ波帯、ミリ波帯の電波を放射
し、その反射波を受信する。また本装置の送受信器22
は、レーダアンテナ20にて受けた電波が増幅・検波さ
れた受信信号に対し基本的な信号処理を行う部分までを
含んでおり、従来より知られた信号処理方法によりエコ
ー強度データとドップラ偏移データが抽出される。ドッ
プラ偏移データからはさらに、反射体のレーダビームの
視線方向の速度成分(ドップラ速度)が求められる。エ
コー強度データは走査の同期信号とともに降雨空中分布
算出部4に入力される。またドップラ速度データは走査
の同期信号とともに水平風分布算出部6に入力される。
【0019】降雨空中分布算出部4は、例えば上述のレ
ーダアンテナ20の走査駆動に対応して、CAPPI
(constant altitude plane position indicator)に対
応した形式にデータを加工する処理を行う。このCAP
PIのための処理は、エコー強度データを同期信号から
得られる方位、仰角、エコー距離に基づいて再構成し
て、一定高度面でのエコー強度分布を算出するという処
理である。降雨空中分布算出部4は、このようにして得
たある高度でのエコー強度分布に基づいて、落下中にそ
の高度を通過する降雨の水平分布を求める。その水平分
布をここでは、ρh(x,y,t)と表す。ちなみに、水平分布
が定義される高度及び時刻をそれぞれh、t、また水平
面内での座標をその面内に含まれる直交する2軸である
x軸、y軸に基づいて定めることとする。
【0020】水平風分布算出部6は、まずボリューム・
ベロシティ・プロセッシング(Volume Velocity Proces
sing)法(以下、VVP法と称す)に基づいて、レーダ
ビームにより走査される空間の水平風分布を求める。
【0021】VVP法とは、レーダにより走査される領
域に例えば方位角幅Δφ、仰角幅Δθ、距離幅Δrで定
義されるボリュームを取る。そして、当該ボリューム内
の風速分布が連続的に変化することが仮定され、未知数
をパラメータとして含んだ関数として表される。ボリュ
ーム内の異なる視線方向に位置する複数の観測ポイント
でのドップラ速度をその仮定される速度分布を表す関数
に代入することにより、互いに独立な複数の関係式を得
ることができ、それら連立させて解くことによりパラメ
ータが決定され、ボリューム内の風速分布を推定するこ
とができる。その分布は例えばボリューム中心の風の速
度ベクトルと、ボリューム内の複数観測ポイントでの風
の速度ベクトルの空間一次微分とで表現される。簡略化
されたVVP法として、空間一次微分が0、すなわちボ
リューム内で一様な風を仮定することもできる。
【0022】水平風分布算出部6は、レーダによる観測
領域に上記多数のボリュームを定義し、各ボリュームに
ついて上述のVVP法による処理を行うことにより、観
測領域の任意の点での水平風分布を定めることができ
る。さらに水平風分布算出部6は、この上空での水平風
分布に基づいてその下の領域、レーダにより観測できな
い空間での水平風分布も求める。この下層での水平風分
布は、VVP法により求めた速度分布や、地表での空気
の移動に対する摩擦、地表の形状を境界条件として与
え、流体力学に基づいた計算を行うことにより求めるこ
とができる。なお、この計算においては、その他の要
因、例えば地表と上空との温度差といった要因を考慮に
入れることもできる。
【0023】図2は、水平風の強さと高さとの関係を示
す模式図である。この図では縦軸が高度、横軸が水平面
内のある方向に関しての風速の大きさを表し、曲線28
は、ある水平座標x、yが同一であって、高度zのみ異
なる各点での風速を示したものである。この図は、一般
に上空では風速が大きく、地表に近づくにつれ、風は地
表との摩擦の影響により速度を弱めることを示してい
る。
【0024】このようにして降雨の水平分布ρh(x,y,t)
が定義される高さh以下の空間での水平風分布は、レー
ダにより観測されたドップラ速度から直接的に又は推定
により求めることができ、ここではその水平風分布はベ
クトル場(vx,vy)で表す。vx、vyはそれぞれ、空
間座標(x,y,z)と時刻tの関数である。なお、本
装置では、上空の水平風分布は1回のCAPPI走査の
周期で更新される。よって、ここでは、それを基に計算
される水平風分布v(x,y,z,t)も、その周期の間、一定
であるベクトル場(vx(xt,yt,zt),vy(xt,yt,zt))と
して取り扱われる。ちなみに、水平風分布の時間分解能
をより細かくして移流補正の精度をより向上させたい場
合には、例えば、複数周期間での水平風分布の変化を外
挿して、周期間での水平風分布を予測するといった手法
を採用することもできる。
【0025】移流補正部8は、移流ベクトル算出部30
と補正処理部32とを含んで構成される。移流ベクトル
算出部30は、水平風分布算出部6で求められた水平風
分布v(x,y,z,t)に基づいて、落下途中の各高度での移
流量を積分し、水平分布ρh(x,y,t)が定義される高度h
の水平面内での点(xh,yh)を通った雨滴が、地上の
点(x0,y0)に落下するとした場合、(Δx,Δy)
≡(x0−xh,y0−yh)で定義される移流ベクトル
(Δx,Δy)を計算する。すなわち、移流ベクトル
は、高度hから地上まで落下する間の雨滴の水平方向の
座標のシフト量を表す。図3は、移流距離と高さとの関
係方向の分布を示す模式図である。この図では縦軸が高
度、横軸が水平面内のある方向に関しての移流距離を表
し、曲線38は、ある高度hにおける雨滴の水平位置を
基準として、そこからの移流量を各高度について示した
ものである。曲線38は、水平風が上空で速いことに対
応して高い高度では移流距離の変化の度合いが大きく、
地上に近づくにつれその変化の度合いが小さくなること
を示している。
【0026】移流ベクトル算出部30は、例えば、以下
のような計算を行って移流ベクトルを計算する。雨滴が
高度hを通過して任意の時間t'を経過した時の雨滴の
座標を(xd(t'),yd(t'),zd(t'))又は簡単に
(xd,yd,zd)と表す。ちなみに、t'=0における
座標(xd,yd,zd)は(xh,yh,h)に等しい。
さて、時刻t'における座標(xd,yd,zd)の近傍を
通過する際の微小時間dtに受ける移流(δ(Δx),δ
(Δy))は、その点での水平風速度ベクトル(vx(xd,
yd,zd),vy(xd,yd,zd))に時間dtを乗じたものとな
る。すなわち、
【数1】δ(Δx)=vx(xd,yd,zd)・dt δ(Δy)=vy(xd,yd,zd)・dt であり、
【数2】xd(t'+dt)=xd(t')+δ(Δx) yd(t'+dt)=yd(t')+δ(Δy) である。よって、この関係に基づいて時間積分を行っ
て、座標(xh,yh)の通過から時間t'だけ経過したと
きの雨滴のx座標、y座標を表す次式が得られる。
【0027】
【数3】 この式に、雨滴の地上到達時刻を代入することにより、
地上への落下点(x0,y0)が求まり、また移流ベクト
ル(Δx,Δy)を求めることができる。なお、例え
ば、落下時間は、高度hにおいて雨滴の速度のz成分が
終端速度vtに達しているとすることができる。この場
合、
【数4】zd(t)=h−vt・t であり、雨滴の地上到達時刻τにおいてzd(τ)=0であ
ることから、地上到達時刻τ=h/vtとなる。
【0028】移流ベクトル算出部30は以上のような計
算により、高度hでの各点を通過する雨滴が地上に到達
したときの水平方向のシフト量である移流ベクトルを求
め、これを補正処理部32へ提供する。
【0029】移流ベクトルは、降雨の疎密とは無関係な
量である。補正処理部32は、この降雨空中分布算出部
4から得た、ある第n周期のCAPPI走査タイミング
t(n)における降雨の水平分布ρh(x,y,t(n))に対して、
移流ベクトル(Δx,Δy)を用いて補正することによ
り、地上での降雨の水平分布ρ0(x,y,t(n))を求める。
単純には、補正処理部32は、ρh(x,y,t(n))とその移
流先のρ0(x+Δx,y+Δy,t(n))とが等しくなるとして、
移流補正された降水分布ρ0(x,y,t(n))を求める。厳密
には、移流により高度hでの各点と地上での各点との対
応関係が一様になるとは限らない、つまり、移流によっ
て降雨分布の密度が局所的に圧縮により増大したり、逆
に拡散により低下するといったことが起こりうる。補正
処理部32を、このような効果をも考慮したより精度の
高い移流補正を行うように構成することもできる。
【0030】表示部10は、移流補正により得られた地
上での各時刻(各レーダ走査周期毎)の降水分布をリア
ルタイムの変化を表すそのままのデータとして表示して
もいいし、その分布をある時刻から積算して地上各点で
の積算降水量を表示することとしてもよい。降水の影響
は地上の各場所において一様ではなく、雨量の多い場所
が河川であるのか、地盤の弱い場所であるのかなどに応
じて、治水や災害予防、下水管理上の対策が必要であ
る。本装置によれば、移流補正を精度良く行うことによ
り、そのような対策を的確に行うことができる。
【0031】なお、上述の例では、水平風分布算出部6
は、レーダにより観測されたドップラ速度に基づいて、
空間的に連続な水平風分布を求めるものとしているが、
水平風分布算出部6は、処理負荷の軽減等を図るため、
空間的に離散的な水平風分布を求めることとしてもよ
い。離散化は例えば高度方向についてでもよいし、水平
面方向についてでも、またそれら両方向についてであっ
てもよい。
【0032】また、上述の処理では、VVP法によって
風の水平成分のみを評価した。しかし、必要に応じてV
VP法により風の垂直成分を評価し、その垂直成分によ
る落下速度の増減を考慮してもいい。ちなみにこの場
合、落下速度が遅くなれば、その高度の水平風による移
流の影響の度合いが大きくなり、逆に落下速度が速くな
れば、その高度での水平風による移流の影響の度合いは
緩和される。
【0033】[実施の形態2]図4は、本発明の第2の
実施の形態である降水分布を測定できる気象レーダ装置
の概略のブロック図である。図において、図1と同様の
機能を有する構成要素には同一の符号を付し、説明を省
略する。本装置のレーダ送受信部100は、レーダアン
テナ20を備えた送受信器22と、送受信器22とは異
なる地点に配置されるもう一つの送受信器102とを含
んで構成される。送受信器102は、送受信器22と同
様、レーダアンテナ104を備え、レーダビームの送受
信を行うことができる。
【0034】図5は、本装置のレーダ送受信部100の
動作を説明するための模式図である。送受信器22と送
受信器102とは、例えば数十km程度の距離を置いて
配置され、それぞれ同一の走査対象領域110にそれぞ
れのレーダアンテナ20,104を向けてレーダビーム
を送受信するように駆動制御される。このような走査に
より、走査される空間の各点について、基本的には異な
る方向からレーダビームが照射され、それにより走査対
象領域の異なる方向に関するドップラ速度を測定するこ
とができる。このように、送受信器102は基本的に
は、送受信器22とは異なる方向に関してのドップラ速
度を測定するために設けられており、エコー強度の測定
は基本的にはいずれか一方の送受信器で行えばよい。そ
のため、本装置では送受信器22のみがエコー強度デー
タを生成し、送受信器102はエコー強度データを生成
しない構成としている。このような構成により、送受信
器102の構成の簡略化や処理負荷の軽減を測ることが
できる。しかし、送受信器22と送受信器102のいず
れもがエコー強度を測定する構成としても、本発明の主
たる効果を損なうものではない。
【0035】さて、上述したように、本装置では、送受
信器22が第1の実施の形態と同様、エコー強度データ
を降雨空中分布算出部4へ提供し、ドップラ速度データ
を水平風分布算出部120に提供する。一方、送受信器
102も水平風分布算出部120に対しドップラ速度デ
ータを提供する。
【0036】水平風分布算出部120は、送受信器2
2,102からそれぞれ提供される、異なる視線方向に
関するドップラ速度をベクトル合成することにより、走
査対象領域の風の速度ベクトルを算出する。そして水平
風分布算出部120は、この速度ベクトルに基づいて、
降雨の水平分布ρh(x,y,t)が定義される高さh以下の空
間での水平風分布を表すベクトル場(vx,vy)を求
め、移流ベクトル算出部30へ出力する。以降の移流補
正部8における処理は、第1の実施の形態と同様であ
る。
【0037】このような2サイトに配置されたレーダ送
受信部を用いてドップラ速度ベクトルを決定する方式を
デュアル・ドップラ法と呼ぶ。デュアル・ドップラ法
は、送受信器を複数必要とする反面、VVP法と異なり
水平風分布に仮定を設ける必要がないので、より精度良
い水平風分布が求まり、それに応じて高い精度で移流補
正を行うことができる。
【0038】なお、水平風分布算出部120は例えば送
受信器22と同一の場所に配置され、その場合、送受信
器102と水平風分布算出部120との間は、図5には
示していないが、通信回線により接続され、この通信回
線を用いて、受信により得たデータの授受や制御信号の
伝達を行う。送受信器22と送受信器102との配置
は、それぞれ覆域の互いにオーバーラップする部分に観
測の対象領域が含まれるよう定められる。
【0039】覆域のオーバーラップする領域は、1台の
送受信器の覆域より小さくなる。また2台の送受信器を
結ぶ直線上の領域は、視線方向が同一又はその差異が小
さくなるため、速度ベクトルの決定が困難となりうる。
このような2台では観測が難しい領域を補うために、3
台以上の送受信器を互いに異なる地点に配置する構成を
取ることもできる。
【0040】[実施の形態3]図6は、本発明の第3の
実施の形態である降水分布を測定できる気象レーダ装置
の概略のブロック図である。図において、図1と同様の
機能を有する構成要素には同一の符号を付し、説明を省
略する。本装置のレーダ送受信部200は、レーダアン
テナ20を備えた送受信器22と、送受信器22とは異
なる地点に配置される受信器202とを含んで構成され
る。受信器202は、レーダアンテナ204を備え、レ
ーダビームの受信のみを行うことができる。
【0041】図7は、本装置のレーダ送受信部200の
動作を説明するための模式図である。送受信器22と受
信器202とは、例えば数十km程度の距離を置いて配
置され、それぞれ同一の走査対象領域110にそれぞれ
のレーダアンテナ20,204を向けるように駆動制御
される。送受信器22は、自ら送信したレーダビームを
受信し、それに基づいてエコー強度データとドップラ速
度データを生成する。一方、受信器202は、送受信器
22がレーダアンテナ20から送信したレーダビームの
走査対象領域からの散乱波を受信し、それに基づいてド
ップラ速度データを生成する。このようにして、レーダ
アンテナ20から放射された1つのレーダビームの反射
波を異なる方向で観測することにより、当該レーダビー
ムにより走査される空間の各点について、基本的には異
なる方向についてのドップラ速度を測定することができ
る。このように、本装置は、レーダ送受信部200が複
数のレーダサイトにより構成される点で上記第2の実施
の形態のレーダ送受信部100と共通するが、レーダ送
受信部200に含まれる一方のレーダサイトは受信のみ
の機能を備えればよいので、レーダ送受信部100に比
べて装置の構成が簡単となり、コストの低減が図れる。
【0042】なお、レーダアンテナ204は、送信側で
ある送受信器22に同期した空中線制御を不必要とす
る、又は制御精度の緩和を図るため、指向性をあまりし
ぼらないように構成され、例えば無指向性、ファンビー
ム型の指向性となるように構成される。
【0043】第2の実施の形態と同様、水平風分布算出
部120は、送受信器22及び受信器202からそれぞ
れ提供される、異なる視線方向に関するドップラ速度を
ベクトル合成することにより、走査対象領域の風の速度
ベクトルを算出する。そして水平風分布算出部120
は、この速度ベクトルに基づいて、降雨の水平分布ρ
h(x,y,t)が定義される高さh以下の空間での水平風分布
を表すベクトル場(vx,vy)を求め、移流ベクトル算
出部30へ出力する。以降の移流補正部8における処理
は、第1の実施の形態と同様である。
【0044】このようなレーダ送受信部200が2サイ
トに配置された送受信器22と受信器202で構成され
るものを、ここではバイスタティックレーダと呼ぶ。バ
イスタティックレーダによる方法は、上述したデュアル
・ドップラ法と異なり送受信器は必ずしも複数必要とせ
ず、代わりにより構成が簡単な受信器を用いることがで
きるメリットがある。その上、デュアル・ドップラ法と
同様、精度良い水平風分布が求まり、それに応じて高い
精度で移流補正を行うことができるというメリットもあ
る。
【0045】なお、水平風分布算出部120は例えば送
受信器22と同一の場所に配置され、その場合、受信器
202と水平風分布算出部120との間は、図7には示
していないが、通信回線により接続され、この通信回線
を用いて、受信により得たデータの授受や制御信号の伝
達を行う。
【0046】また、デュアル・ドップラ法と同様の理由
で、2台では観測が難しい領域を補うために、受信器2
02を2台以上としたり、送受信器22を2台以上とし
たりする構成を取ることもできる。
【0047】[実施の形態4]第4の実施の形態に係る
気象レーダ装置のブロック構成は、基本的に例えば第1
の実施の形態に係る図1に示す構成と同様であり、以下
の説明においては同一の符号を用いる。第1の実施の形
態に係る気象レーダ装置における処理は、例えば、降雨
の水平分布や地上における降水分布といった水平分布を
連続的な分布として取り扱った。これに対し本装置にお
ける処理はそれら水平分布をセルという離散的な単位に
区分して取り扱う点が特徴である。
【0048】図8は、セルの概念と本装置における移流
補正処理を説明する模式図である。この図は、まず水平
分布が定義される領域に格子状の区画が定義され、当該
区画に基づいて、降雨の水平分布及び降水分布が、ここ
でセル300と呼ぶ矩形(例えば正方形)の単位に区分
される。
【0049】図9は、本装置における移流補正の概略の
フロー図である。まず降雨空中分布算出部4が、エコー
強度データに基づいて得られる降雨水平分布を格子状の
区画に区分し、各区画に対応して移流補正前セルを定義
する(S310)。移流補正前セルは、ここでは単に区
画に応じた範囲という意味合いだけでなく、その範囲内
での雨滴の集合といった意味合いを有した概念として用
いている。つまり移流補正前セルは範囲を定義する情報
と、雨滴の集合という意味合いを反映する降雨分布の積
分値という情報とによって定義される。
【0050】次に移流ベクトル算出部30は、水平風分
布算出部6から得た水平風分布に基づいて、各セルごと
の移流ベクトルを計算する(S320)。例えば、移流
ベクトル算出部30は、各セルの中心点に対して移流ベ
クトルを計算する処理を行う。さらに、移流ベクトル算
出部30は、求めたセルの中心に対する移流ベクトルF
=(Δx,Δy)を、移流補正前セル322の中心32
4の水平座標に加算し、当該中心の移動先326の水平
座標を求める。そして、当該移動先326が含まれる区
画を求め、当該区画を移流補正後セル328の位置と定
義する(S330)。すなわち地上において定義される
当該一つの区画内に、対応する移流補正前セルに含まれ
る全ての雨滴が落下するとされる。
【0051】補正処理部32は、移流補正後セルに対応
づけられた地上の区画に、移流補正前セルの降雨分布の
空間積分値を加算する(S340)。これにより地上に
おける降水分布が区画単位で求まる。本装置は、上述の
ような移流補正処理を全セルについて繰り返す(S35
0)。
【0052】なお、セルの大きさは、例えばレーダの空
間分解能に基づいて定めることができる。セルの形状は
必ずしも矩形である必要はない。また、ここでは、降水
分布を高い分解能で得るため、移流補正前セルの範囲を
定義する上空の区画と地上の降水分布を定義する区画と
の大きさは一致させているが、得られた降水分布の利用
目的等に応じて、上空の区画と地上の区画とを別のサイ
ズに定義することもでき、例えば移流補正前セルより大
きな地上区画を定義することができる。
【0053】また、ここでは、セルという観測のメッシ
ュを、第1の実施の形態に係る装置の構成に適用するこ
ととしたが、これを第2、第3の実施の形態に係る装置
に適用することもできる。
【0054】[実施の形態5]第5の実施の形態に係る
気象レーダ装置のブロック構成も、基本的に例えば第1
の実施の形態に係る図1に示す構成と同様であり、以下
の説明においては同一の符号を用いる。第4の実施の形
態に係る気象レーダ装置においては、移流補正処理にお
いて、上空での区画に対応して設定される移流補正前セ
ルが、地上の区画へ一対一で対応づけられた。つまり移
流距離はセル単位(又は区画単位)であった。
【0055】これに対して本実施の形態では、移流ベク
トルだけシフトしたセルの位置が地上の複数の区画に跨
る場合には、それら各区画に当該セルが含む降水量が割
り振られる。図10は、本装置における移流補正処理を
説明する模式図である。この図は、移流補正前セル32
2は、第4の実施の形態と同様、上空で定義される区画
に対応している。しかし、移流補正後セル400は、必
ずしも地上に定義される1つの区画とは完全には一致せ
ず、一般には、4つの区画に跨ることになる。
【0056】図11は、本装置における移流補正の概略
のフロー図である。このフローにおいて、第4の実施の
形態の処理(図9)と同様の処理ステップには同一の符
号を付し、説明を省略する。移流ベクトル算出部30
は、処理S320において移流補正前セルの中心点に関
して移流ベクトルを決定すると、さらにその移流ベクト
ルの先端に中心をおいた移流補正後セル400が、オー
バーラップする区画を求める(S420)。一般には移
流補正後セル400がオーバーラップする区画は4つ存
在する。図10には、それらを区画A〜Dとして図示し
ている。
【0057】次に移流ベクトル算出部30は、移流補正
後セル400が各区画A〜Dにどのような面積比で含ま
れることとなるかを計算する(S430)。
【0058】補正処理部32は、処理S430で求めら
れた面積比に応じて、移流補正後セルに含まれる降水量
を分配し、各区画A〜Dに加算する(S440)。本装
置は、上述のような移流補正処理を全セルについて繰り
返す(S350)。
【0059】このように、移流補正後セルの降水量をオ
ーバーラップする面積に応じて各区画に分配することに
より、降水分布をより精度よく求めることができる。
【0060】[実施の形態6]図12は、本発明の第6
の実施の形態である降水分布を測定できる気象レーダ装
置の概略のブロック図である。図において、図1と同様
の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、説明を
省略する。本装置は、水平風分布を測定する水平風分布
測定部500を有し、これが移流ベクトル算出部30に
対し水平風分布を提供する構成である。
【0061】水平風分布測定部500は、例えば、風の
水平成分を観測するレーダ群で構成される。その水平風
を観測する各レーダは、通常のレーダより低い周波数の
電波、例えば50MHz帯、400MHz帯、1GHz
帯といった電波を利用し、降雨を媒介とせずに風を測定
できるもので、ウィンドプロファイラと呼ばれている。
ウィンドプロファイラは基本的には上に向けて広いビー
ムを放射する。水平風は空間的にあまり大きく変化しな
い。そこで、ウィンドプロファイラは上述したVVPと
同様の原理により、ビーム内で水平風が一様という仮定
を置いて風速を算出する。各ウィンドプロファイラは自
身の上空の限られた範囲の水平風分布しか測定できない
ので、そのため観測対象領域に複数台が分散配置され、
当該観測対象領域での水平風分布が測定される。
【0062】他の構成の水平風分布測定部500は、レ
ーダ送受信部2からエコー強度データを得、例えば雲の
ながれから高層の風向きを推定し、これと地表の摩擦等
を考慮して水平風の各高度での分布を決定するというも
のである。この計算において、その他、例えば、地形、
地球の回転などの要因も考慮に入れることも有効であ
る。この水平風分布測定部500の構成では、レーダ送
受信部2にはドップラ偏移を検出する構成は不要であ
る。つまりこの場合、レーダ送受信部2は上記各実施の
形態と異なり、ドップラレーダである必要はない。一
方、レーダ送受信部2がドップラレーダであって、視線
方向のドップラ速度を得ることができる場合には、水平
風分布測定部500はその情報を考慮に入れることによ
り、より水平風分布の精度を高めることができる。この
場合、水平風分布測定部500は、上述した他の情報を
併せて用いることができるので、第1の実施の形態で用
いたVVP法を用いる必要はない。
【0063】
【発明の効果】第1の本発明の気象レーダ装置によれ
ば、雨滴が落下する空間での水平風分布に基づいて、雨
滴の落下中における水平方向の移流が評価され、それに
応じて上空での降雨の空中分布を補正し、地上での降水
分布が求められる。これにより、降水分布に関する移流
補正の精度が向上し、その降水分布を用いて治水管理や
下水管理をより確実に行うことができるようになるとい
う効果が得られる。
【0064】第2の本発明の気象レーダ装置によれば、
ドップラレーダを備え、水平風分布をレーダ反射波のド
ップラ偏移を利用して算出する。ドップラレーダを用い
ることで、精度よく、また空間・時間分解能も良好な水
平風分布を求めることができ、より正確な降水分布が得
られるという効果がある。
【0065】VVP法を用いて水平風分布を求める第3
の本発明の気象レーダ装置によれば、1台のレーダで水
平風の速度と向きを決定することができるので、さらに
コストの低減が図れるという効果が得られる。
【0066】デュアル・ドップラ法により水平風分布を
求める第4の本発明の気象レーダ装置によれば、VVP
法のような水平風分布に関する仮定を設ける必要がない
ので、一層、水平風分布を精度良く求めることができ、
降水分布の精度が向上する効果が実現される。
【0067】バイスタティックレーダを用いて水平風分
布を求める第5の本発明の気象レーダ装置によれば、複
数台必要とされるレーダの一部を受信機能のみとするこ
とができるので、高い降水分布精度と、コスト低減との
両立が図られるという効果がある。
【0068】第6の本発明の気象レーダ装置によれば、
レーダの空間分解能等に応じたセル、区画といった離散
的な単位で移流補正が行われるので、処理負荷の軽減が
図られる効果が得られる。
【0069】第7の本発明の気象レーダ装置によれば、
移流補正後のセルが複数の区画に跨る場合に、それら跨
る区画に属するセルの面積比に応じて降水量が分配され
る。これにより、処理負荷を軽減しつつ、かつ精度のよ
い降水分布を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態である降水分布を
測定できる気象レーダ装置の概略のブロック図である。
【図2】 水平風の強さと高さとの関係を示す模式図で
ある。
【図3】 移流距離と高さとの関係方向の分布を示す模
式図である。
【図4】 本発明の第2の実施の形態である降水分布を
測定できる気象レーダ装置の概略のブロック図である。
【図5】 第2の実施の形態に係るレーダ送受信部の動
作を説明するための模式図である。
【図6】 本発明の第3の実施の形態である降水分布を
測定できる気象レーダ装置の概略のブロック図である。
【図7】 第3の実施の形態に係るレーダ送受信部の動
作を説明するための模式図である。
【図8】 第4の実施の形態に係る気象レーダ装置にお
けるセルの概念と本装置における移流補正処理を説明す
る模式図である。
【図9】 第4の実施の形態に係る気象レーダ装置にお
ける移流補正の概略のフロー図である。
【図10】 第5の実施の形態に係る気象レーダ装置に
おける移流補正処理を説明する模式図である。
【図11】 第5の実施の形態に係る気象レーダ装置に
おける移流補正の概略のフロー図である。
【図12】 本発明の第6の実施の形態である降水分布
を測定できる気象レーダ装置の概略のブロック図であ
る。
【符号の説明】
2,100,200 レーダ送受信部、4 降雨空中分
布算出部、6,120水平風分布算出部、8 移流補正
部、10 表示部、20,104,204レーダアンテ
ナ、22,102 送受信器、30 移流ベクトル算出
部、32補正処理部、202 受信器、322 移流補
正前セル、328,400 移流補正後セル、500
水平風分布測定部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑 清之 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 田中 久理 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 古田 匡 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 5J070 AA01 AA04 AA14 AB01 AC01 AC03 AC06 AC15 AC20 AE12 AE13 AG07 AH20 AH23 AH50 AJ02 AK04 AK22 AK40 AL02 BA01 BA10 BD02 BG23

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地上での降水分布を求める気象レーダ装
    置であって、 レーダビームの送信及び反射波の受信を行うレーダ送受
    信部と、 前記反射波の強度分布に基づいて、前記レーダ送受信部
    による観測領域での降雨の空中分布を求める降雨空中分
    布算出部と、 雨滴が落下する空間での水平風分布に基づき、当該雨滴
    の落下中における水平方向の移流に応じた補正を前記空
    中分布に対して施し、前記地上での降水分布を求める移
    流補正部と、 を有することを特徴とする気象レーダ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の気象レーダ装置におい
    て、 前記水平風分布を算出する水平風分布算出部を有し、 前記レーダ送受信部は、前記反射波のドップラ偏移を検
    出し、 前記水平風分布算出部は、前記ドップラ偏移を利用して
    雨滴が落下する空間での前記水平風分布を算出するこ
    と、 を特徴とする気象レーダ装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の気象レーダ装置におい
    て、 前記水平風分布算出部は、 解析ボリューム内で風速分布が連続的に変化することを
    仮定し、当該解析ボリューム内の複数ポイントにおける
    ドップラ偏移に基づいて当該解析ボリューム内の前記風
    速分布を決定するボリューム・ベロシティ・プロセッシ
    ング法を用いて、前記レーダ送受信部の前記観測領域に
    おける風速分布を求め、当該風速分布に基づいて落下空
    間における前記水平風分布を定めること、 を特徴とする気象レーダ装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の気象レーダ装置におい
    て、 前記レーダ送受信部は、互いに異なる地点に配置され、
    それぞれレーダビームの送受信を行い、互いに共通の走
    査対象領域からのそれぞれの反射波のドップラ偏移を検
    出する複数の送受信器を含み、 前記水平風分布算出部は、複数の前記送受信器からの前
    記各ドップラ偏移からそれぞれ算出される各ドップラ速
    度ベクトルを合成して前記レーダ送受信部の前記観測領
    域における風速分布を求め、当該風速分布に基づいて落
    下空間における前記水平風分布を定めること、 を特徴とする気象レーダ装置。
  5. 【請求項5】 請求項2記載の気象レーダ装置におい
    て、 前記レーダ送受信部は、 レーダビームの送受信を行ってドップラ偏移を検出する
    送受信器と、 前記送受信器と異なる地点に配置され、前記送受信器か
    ら放射されたレーダビームの反射波を受信し、当該反射
    波のドップラ偏移を検出する受信器と、を含み、 前記水平風分布算出部は、前記送受信器及び前記受信器
    からの前記各ドップラ偏移からそれぞれ算出される各ド
    ップラ速度ベクトルを合成して前記レーダ送受信部の前
    記観測領域における風速分布を求め、当該風速分布に基
    づいて落下空間における前記水平風分布を定めること、 を特徴とする気象レーダ装置。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれかに記載
    の気象レーダ装置において、 前記移流補正部は、前記降雨の空中分布の水平方向の拡
    がりをセルに区分し、当該各セルごとに移流に応じた補
    正を施し、前記各セルの移流先が地上の降水分布領域を
    区分した区画のいずれであるかを算出して、区画単位で
    の降水分布を求めること、 を特徴とする気象レーダ装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の気象レーダ装置におい
    て、 前記移流補正部は、前記セルの移流先の位置が複数の前
    記区画に跨る場合は、当該各区画に含まれることとなる
    当該セルの面積の比率に応じて、当該セルに対応する降
    水量を当該セルが跨る各区画に分配すること、 を特徴とする気象レーダ装置。
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