JP2000008249A - 連続繊維強化熱可塑性プリプレグシートおよびその成形体 - Google Patents

連続繊維強化熱可塑性プリプレグシートおよびその成形体

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JP2000008249A JP10169614A JP16961498A JP2000008249A JP 2000008249 A JP2000008249 A JP 2000008249A JP 10169614 A JP10169614 A JP 10169614A JP 16961498 A JP16961498 A JP 16961498A JP 2000008249 A JP2000008249 A JP 2000008249A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多方向に優れた屈曲性や柔軟性を有し、二次
加工の際に賦形性や型なじみ性、粘着性が良好なプリプ
レグシートおよびその成形体を提供する。 【解決手段】 複数本のガラスモノフィラメントを集束
してなるガラス繊維ストランドに熱可塑性樹脂を含浸さ
せて、ほぼ円形または楕円形の断面を有し、ガラス含有
率25〜80vol%であり、屈曲させたときの挫屈限
界を曲率で表わしたときに、曲率R≦30D×V(D=
平均径、V=ガラス含有率:vol%/100、R及び
Dの単位はmm)である熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊
材を得る。この熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材と熱可
塑性樹脂繊維とを織って連続繊維強化熱可塑性プリプレ
グシートを得る。このプリプレグシートを単独または複
数枚積層して成形することによって連続繊維強化熱可塑
性プリプレグシート成形体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス繊維に熱可
塑性樹脂を含浸させた熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材
を用いてなる連続繊維強化熱可塑性プリプレグシートお
よびその成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、連続強化繊維と熱可塑性樹脂
からなる熱可塑性樹脂プリプレグシートは、熱硬化性樹
脂プリプレグシートに比べ、生産性が高いことや、リサ
イクル性が優れる等の理由から、繊維強化熱可塑性樹脂
(FRTP)の成形材料として広く利用されている。
【0003】この熱可塑性樹脂プリプレグシートは、連
続強化繊維と熱可塑性樹脂の結合状態から、一方向に引
き揃えられた連続強化繊維に、熱可塑性樹脂を粉体、繊
維、フィルムとして付着させたノンコンソリディーテッ
ド型と、連続強化繊維に溶融樹脂を含浸させたコンソリ
ディーテッド型の2つのタイプに分類される。
【0004】ノンコンソリディーテッド型のプリプレグ
シートは、二次加工の際の粘着性(タック性)、賦形
性、型なじみ性が良好であるが、一旦、樹脂粉体等を溶
融させて二次加工するためボイドが多い成形体となりや
すく、良好な成形体が得られにくいという問題を有して
いた。また、ノンコンソリディーテッド型の材料を引抜
成形型等に通してコンソリディーテッドにすることが可
能であるが、この場合、工程数が多くなり作業性に問題
を有していた。
【0005】一方、コンソリディーテッド型のプリプレ
グは、連続強化繊維と熱可塑性樹脂の結合状態が一般的
に良好であるが、剛性が大きく柔軟性が劣ったり、粘着
性が劣ったりするので、二次加工の際に良好な賦形性や
型なじみ性が得られないという問題を有していた。
【0006】これらの問題を解決するために、特開平6
−206223号公報には、連続強化繊維の一本のトウ
に熱可塑性樹脂を含浸させたコンソリディーテッド型の
テープ状トウプリプレグを用いて、これと熱可塑性樹脂
繊維とを、いずれか一方を縦糸、他方を横糸とした織物
のプリプレグシートが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
技術では、プリプレグシートを構成するトウプリプレグ
がテープ状であるため、トウプリプレグ自体がその幅方
向に対し垂直の屈曲性を有するものの、それ以外の方向
では屈曲性が劣るものであった。すなわち、このトウプ
リプレグを採用した前記プリプレグシートでは、シート
の幅方向に対し垂直の屈曲性を得ることが可能である
が、シートの面方向に対する屈曲性が劣っており、さら
にシートの長手方向と平行の屈曲性については、配列さ
れているトウプリプレグがそれらの接合部で屈曲性を得
ているものの、トウプリプレグが幅広であるため、十分
な屈曲性を得ることに限界があった。
【0008】このため前記プリプレグシートは、依然と
して、二次加工の際の賦形性や型なじみ性が劣ったり、
作業性が劣ったりするという問題を有してた。また上記
トウプリプレグは扁平で表面積が大きいテープ状である
ため、強化繊維の含有量をあまり多くすると、連続強化
繊維への樹脂の被覆が十分でなくなり、良好な物性の成
形体を得ることができないという問題を有していた。
【0009】したがって、本発明の目的は、多方向に優
れた屈曲性や柔軟性を有し、二次加工の際に賦形性や型
なじみ性、粘着性が良好なプリプレグシートおよびその
成形体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の一つは、複数本のガラスモノフィラメント
を集束してなるガラス繊維ストランドに熱可塑性樹脂を
含浸させた熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材と、熱可塑
性樹脂繊維とを織って形成した連続繊維強化熱可塑性プ
リプレグシートであって、前記熱可塑性樹脂複合ガラス
繊維繊材が、ほぼ円形または楕円形の断面を有し、ガラ
ス含有率25〜80vol%であり、屈曲させたときの
挫屈限界を曲率で表わしたときに、曲率R≦30D×V
(D=平均径、V=ガラス含有率:vol%/100、
R及びDの単位はmm)であることを特徴とする連続繊
維強化熱可塑性プリプレグシートを提供するものであ
る。
【0011】本発明の連続繊維強化熱可塑性プリプレグ
シートにおいては、前記熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊
材が、複数本のガラスモノフィラメントをスプリットを
施すことなく集束した1本のガラス繊維ストランドに熱
可塑性樹脂を含浸させたものからなることが好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材が、平均径
1.5mm以下で、前記熱可塑性樹脂含浸率95%以上
であることが好ましい。
【0012】更に、前記ガラス繊維ストランドが200
〜2000本のガラスモノフィラメントを集束したもの
からなり、前記ガラスモノフィラメントの平均径が6〜
17μmであることが好ましい。
【0013】更に、前記ガラス繊維ストランドに含浸さ
せた熱可塑性樹脂および前記熱可塑性樹脂繊維が、同一
または相溶性を有する樹脂であることが好ましい。
【0014】更にまた、前記プリプレグシートが、複数
枚積層されて、仮留めされていることが好ましい。
【0015】更にまた、前記プリプレグシートのガラス
含有率が15〜75vol%であることが好ましい。
【0016】本発明のもう一つは、前記連続繊維強化熱
可塑性プリプレグシートを、単独または複数枚積層して
成形することによって得られる連続繊維強化熱可塑性プ
リプレグシート成形体を提供するものである。
【0017】この連続繊維強化熱可塑性プリプレグシー
ト成形体においては、前記連続繊維強化熱可塑性プリプ
レグシートと、熱可塑性樹脂フィルムとを組み合わせて
得られ、ガラス含有率15〜75vol%であることが
好ましい。
【0018】本発明によれば、熱可塑性樹脂複合ガラス
繊維繊材が、ほぼ円形または楕円形の断面を有し、屈曲
させたときの挫屈限界を曲率で表わしたときに、曲率R
≦30D×V(D=平均径、V=ガラス含有率:vol
%/100、R及びDの単位はmm)であるため、多方
向に屈曲性が優れている。このため、この熱可塑性樹脂
複合ガラス繊維繊材と熱可塑性樹脂繊維とを織って形成
された本発明の連続繊維強化熱可塑性プリプレグシート
は、柔軟性に優れ、二次加工の際の賦形性、型なじみ
性、粘着性が良好となる。
【0019】また、本発明のプリプレグシートは、熱可
塑性樹脂複合ガラス繊維繊材のガラス含有率を80%ま
で高くすることが可能なので、成形体の強度を向上させ
ることができ、また熱可塑性樹脂繊維の含有量を調整し
てガラス含有率を幅広く設定し、所望の強度の成形体を
得ることができるものである。
【0020】さらに、本発明で用いる熱可塑性樹脂複合
ガラス繊維繊材は、ガラス繊維と熱可塑性樹脂の結合状
態が良好で樹脂の含浸率が非常に高いものなので、この
熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材に熱可塑性樹脂繊維を
組合わせて、熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材と熱可塑
性樹繊維を一体にしても、低圧で迅速な成形が可能とな
る。しかも得られる成形体は、成形体中のガラス繊維の
分布が均一で、ボイドがほとんどないものである。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の連続繊維強化熱可塑性プ
リプレグシート(以下、プリプレグシートとする)は、
熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材(以下、複合繊材とす
る)と、熱可塑性樹脂繊維との織物からなる。
【0022】前記複合繊材は、複数本のガラスモノフィ
ラメントを集束させたガラス繊維ストランドに熱可塑性
樹脂を含浸させたものからなる。
【0023】熱可塑性樹脂としては、特に限定はなく一
般に市販されている種々ものが使用可能であるが、特に
ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂が、ガラス繊
維への含浸性、コスト、物性の点から好適である。ポリ
オレフィン系樹脂の中ではポリプロピレン、ポリアミド
系樹脂の中ではナイロン6・6、ナイロン6、ナイロン
12、MXDナイロンが特に好ましい。これらの樹脂に
は着色剤、変性剤、酸化防止剤等の添加剤を混合して用
いてもさしつかえない。
【0024】ガラス繊維ストランドは、平均径が6〜1
7μmのガラスモノフィラメントからなっていることが
好ましく、ガラスモノフィラメントの集束本数が200
〜2000本が好ましく、200〜1600本が更に好
ましい。集束本数が200本未満であると、後工程にお
いて多数本の複合繊材が必要となり、作業が煩雑とな
る。一方、2000本を超えると、ガラス繊維ストラン
ドが太くなるため、熱可塑性樹脂をモノフィラメント間
にまで均一に含浸させることが容易でなくなると共に、
できあがった複合繊材も太くなり柔軟性に劣る。
【0025】また、ガラス繊維ストランドとしては、複
数本のガラスモノフィラメントをスプリットを施さずに
集束させたものを用いるのが好ましい。ここで、スプリ
ットとは、ガラス溶融炉から引き出された多数本のモノ
フィラメントを集束する際、スプリッタで複数本のガラ
ス繊維ストランドに分けて集束させることである。
【0026】図2(a)に示すように、複数本のガラス
繊維ストランドを引き揃えたもの又はスプリットしたガ
ラス繊維ストランドを用いる場合は、個々のストランド
の長さが揃わずに部分的に長くなったものS1等が生じ
やすい。このようなストランドSをノズルNに通して引
き抜くとき、同図(b)に示すように、上記長くなった
ものS1がノズルNでしごかれてループとなり、部分的
にガラス含有率が著しく高くなり、繊維の切断が起こっ
てノズルから引き抜くことが困難となる。
【0027】更に、ガラス繊維ストランドに熱可塑性樹
脂を含浸させる方法としては、ガラス繊維ストランドを
樹脂含浸槽に送り込み、溶融含浸法により樹脂を含浸さ
せた後、1本のガラス繊維ストランドを一つのノズルか
ら引き抜いて巻き取る方法が好ましく採用される。
【0028】図3に示すように、例えば3本のストラン
ドS1〜S3をノズルNに通す場合には、各ストランド
S1〜S3は、ケーキへの巻き取り時等に扁平化して、
断面が扁平又は楕円に近い形状になる傾向がある。この
ため、同図(a)に示すように、各ストランドS1〜S
3が扁平な方向に整列した場合は、ノズルNを通り易く
なるが、同図(b)に示すように、そのうち1つのスト
ランドS3が横になったりすと、ノズルNからはみ出し
て入りにくくなり、引き抜きが困難となることがある。
【0029】本発明においては、樹脂含浸用のガラス繊
維ストランドとして、複数本のガラスモノフィラメント
をスプリットを施さすに集束させた1本のガラス繊維ス
トランドを用いることにより、図2、3に示したような
問題が解決され、ノズルから引き抜くときの詰まりが発
生せず、ノズルからの引き抜きが容易となるので、ガラ
ス含有率および樹脂含浸率を高めることができると共
に、毛羽の少ない外観とすることができる。
【0030】こうして得られる複合繊材は、特開平6−
206223号に示されるような扁平でテープ状の形態
ではなく、断面が、ほぼ円形または楕円形、引き抜き条
件によってはまゆ型等の線材状形態をなしている。
【0031】また、複合繊材の平均径は、1.5mm以
下であることが好ましい。より好ましくは1.0mm以
下とされる。平均径が1.5mmを超えると、柔軟性が
乏しくなり、巻き取りが困難となると共に、織物やすだ
れ状のプリプレグシートを作るのに適さなくなる。ここ
で平均径とは、断面の短径と長径の平均値を、任意に選
んだ5カ所の断面の平均から求められるものである。
【0032】また、複合繊材のガラス含有率は、25〜
80vol%、好ましくは60〜80vol%とされ
る。25vol%未満であると補強効果が低く、80v
ol%を超える場合には繊維を包むマトリックス樹脂の
量が少なすぎ、含浸率を高めることが難しくなる。
【0033】また、複合繊材は、屈曲させたときの挫屈
限界を曲率で表わしたときに、曲率R≦30D×V(D
=平均径、V=ガラス含有率:vol%/100、R及
びDの単位はmm)とされることが必要である。曲率R
は小さいほど、プリプレグシートとするときの取り扱い
性に優れ好ましい。曲率Rが30D×Vを超える場合に
は、剛性が高く柔軟性が劣るためプリプレグシートとし
て使用することが困難となる。
【0034】なお、上記曲率Rは、図1に示す方法で測
定した値である。すなわち、まず全長600mmの試験
片(複合繊材)10と、カラー11とを用意する。試験
片10の両端をカラー11に通してループ10aを作
り、各両端部50mmを引張り試験機のチャック12、
13に固定する。そして、チャック12、13を移動さ
せて10mm/minの速度で引張り、挫屈したときの
チャック間隔の長さLを測定し、この長さLからループ
10aの長さを計算し、ループ10aの長さを2πで割
ってRとした。
【0035】更に、複合繊材の樹脂の含浸率は95%以
上であることが好ましい。これ以下であると均一な機械
的特性が得られず、プリプレグシートとしたときに、空
隙部が欠陥となりやすく好ましくない。
【0036】ここで含浸率とは、複合繊材の断面を20
0倍の電子顕微鏡で観察し、20μmのメッシュをおい
て、メッシュ中に少しでもボイド(空気の泡)が認めら
れれば、このメッシュをボイド面積として加え、観察し
た全断面積とボイド面積とから以下の数式によって求め
たものである。
【0037】
【数1】{(全断面積−ボイド面積)/全断面積}×1
00(%) 次に、本発明で使用する熱可塑性樹脂繊維は、引き揃え
られた前記複合繊材の配列を保持させながら、シートに
柔軟性を与えるもので、二次加工の際の賦形性、型なじ
み性、粘着性を向上させ、さらに成形体の表面外観を良
好にするものである。
【0038】この熱可塑性樹脂繊維は、前記複合繊材に
用いた熱可塑性樹脂と同一のもの、あるいは相溶するも
のが使用される。熱可塑性樹脂繊維の繊維の形態として
は、モノフィラメントやストランドからなる断面円形、
楕円形のものなどを用いることが好ましい。
【0039】本発明のプリプレグシートは、前記複合繊
材と前記熱可塑性樹脂繊維とからなる織物であり、織組
織として平織、綾織、朱子織、からみ織、すだれ織等が
挙げられ、二次加工の際の作業性や成形体の用途に合わ
せて適宜選択できる。
【0040】前記複合繊材と前記熱可塑性樹脂繊維のそ
れぞれの打ち込み数は、得られるプリプレグシートが打
ち込み数の多少に関わらず良好な柔軟性を有するため、
特に限定しないが、通常、複合繊材の打ち込み数を多く
して、これをもとに、所望の成形体となるように熱可塑
性樹脂繊維の打ち込み数を設定する。例えば一方向に引
き揃えられた前記複合繊材の配列を崩さない程度に熱可
塑性樹脂繊維の打ち込み数を少なくして、ガラス含有量
を多くすることも可能であり、また熱可塑性樹脂繊維の
打ち込み数を多くして、二次加工の際の粘着性や成形体
の表面外観を良好にすることもできる。
【0041】プリプレグシートのガラス含有率は、15
〜75vol%であることが好ましく、より好ましくは
20〜70vol%である。15vol%未満である
と、ガラス繊維の補強効果が劣り、75vol%を越え
ると、二次加工の際の粘着性等が劣ったり、成形体の表
面外観性が劣ったりするため好ましくない。
【0042】こうして得られたプリプレグシートは、一
枚のシートからなるものであるが、二次加工時にプリプ
レグシートを複数枚積層して成形体を得る場合、あらか
じめプレプレグシートが積層され、各層が部分的に仮留
めされたプリプレグシートを用いることが好ましい。こ
れにより、二次加工の際にプリプレグシートを複数枚積
層する必要がなく成形型にセットしやすくなり、作業性
が向上する。
【0043】この場合の積層方法は、特に限定せず、目
的とする成形体に応じて一方向あるいは多軸に適宜選択
して積層する。仮留め方法は、プリプレグシートの柔軟
性を損なわないように、各層が部分的に留められている
ことが好ましく、接着剤、ニードル加工、ステッチ加工
等の方法を適宜選択することができる。
【0044】本発明のプリプレグシート成形体は、前記
プリプレグシートを、単独または積層して、プリプレグ
シートを予備加熱して冷却プレスする方法、あるいは加
熱プレスして冷却する方法等により得られる。
【0045】また、本発明のプリプレグシート成形体
は、成形体中のガラス含有量が調整され、表面外観が良
好であることが望ましいため、二次加工を行う前にプリ
プレグシートの最外層の少なくとも片面に熱可塑性樹脂
フィルムが積層されて二次加工されることが好ましい。
また前記熱可塑性樹脂フィルムに用いる樹脂は、前記複
合繊材や前記熱可塑性樹脂繊維に用いる樹脂と、同一ま
たは相溶性を有するものを用いることが好ましい。
【0046】この場合のガラス含有量は、15〜75v
ol%であることが好ましく、より好ましくは20〜7
0vol%である。15vol%以下であると、ガラス
繊維の補強効果が劣り、75vol%以上であると二次
加工の際の粘着性や、成形体の表面外観性が劣るため好
ましくない。上記成形法によって得られた成形体は、表
面外観が良好で、ボイドが少なく、良好な物性を有する
ものである。
【0047】
【実施例】実施例1 平均径13μmのモノフィラメントを用いて、スプリッ
トをかけずに集束本数を600本としたガラス繊維スト
ランドを、MI=40の酸変性した溶融ポリプロピレン
(260℃)中に導入し、溶融含浸を行った後、内径
0.42mmのノズルから50m/minの速度で引き
抜き、ボビンに巻き取った。こうして得られた複合繊材
の平均径は0.42mm、ガラス含有率は67vol
%、含浸率はn=5の平均値で100%であった。
【0048】なお、ガラス含有率の測定は、まず得られ
た複合繊材を600℃の電気炉中で加熱して樹脂を焼失
させた後、残ったガラスの重量を測定して、ガラス含有
率85wt%の測定値を得た。この値から樹脂の比重を
0.91、ガラス繊維の比重を2.54としてvol%
に換算した。また、図1に示す方法により測定した、複
合繊材の挫屈時の曲率Rはn=5の平均値で6.0mm
であり、柔軟性に優れていた。
【0049】得られた複合繊材を縦糸にして一方向に引
き揃え、75デニールからなるポリプロピレン樹脂の熱
可塑性樹脂繊維を横糸とし、織り密度(打ち込み数)を
縦糸52本/25mm、横糸3本/25mmですだれ織
りしてプリプレグシートを得た。得られたプリプレグシ
ートは、ガラス繊維の含有量が66.5vol %であ
り、柔軟性を有し、二次加工の際の賦形性、型なじみ性
が良好であった。
【0050】実施例2 実施例1と同様の複合繊材を縦糸とし、横糸として68
0デニールからなるポリプロピレン樹脂の熱可塑性樹脂
繊維を用い、織り密度を縦糸18本/25mm、横糸1
5本/25mmとして平織りし、ガラス繊維の含有量が
33vol %のプリプレグシートを得た。得られたプリ
プレグシートは、柔軟性を有し、二次加工の際の賦形
性、型なじみ性、粘着性が良好であった。
【0051】実施例3 実施例2のプリプレグシートを多軸(隣接する層が90
度の方向)に5枚積層して、0.5本/cm2 の間隔で
ポリプロピレン樹脂を用いてステッチ加工して仮留めを
したプリプレグシートを得た。得られたプリプレグシー
トは、二次加工の際、成形型にセットしやすいものであ
った。
【0052】実施例4 実施例1のプリプレグシートを、多軸(隣接する層が9
0度の方向)に5枚積層して、さらにその最外層の上下
をポリプロピレン樹脂フィルムでサンドイッチした後、
230℃で、4kg/cm3 の圧力で1分間、プレス成
形をおこないガラス繊維の含有量40vol %の平板成
形体を得た。
【0053】実施例5 実施例2のプリプレグシートを、多軸(隣接する層が9
0度の方向)に5枚積層した後、実施例4と同様の方法
で成形して、ガラス繊維の含有量33vol %の成形体
を得た。
【0054】実施例6 実施例3のプリプレグシートを、実施例5と同様の方法
で成形して、ガラス繊維の含有量33vol %の成形体
を得た。
【0055】比較例1 平均径13μmのモノフィラメントを用いて、スプリッ
トをかけずに集束本数を600本としたガラス繊維スト
ランドを、3本引き揃えて、MI=40の酸変性した溶
融ポリプロピレン(260℃)中に導入し、溶融含浸を
行った後、内径0.73mmのノズルから30m/mi
nの速度で引き抜き、ボビンに巻き取った。
【0056】こうして得られた複合繊材の表面には所々
毛羽が見受けられた。また、得られた複合繊材の平均径
は0.73mm、ガラス含有率は67vol%(測定方
法は実施例1と同じ)、含浸率は94%であった。ま
た、得られた複合繊材の挫屈時の曲率Rは16.0mm
であり、柔軟性に劣るものであった。
【0057】得られた複合繊材を縦糸にして一方向に引
き揃え、75デニールからなるポリプロピレン樹脂の熱
可塑性樹脂繊維を横糸とし、織り密度(打ち込み数)を
縦糸17本/25mm、横糸6本/25mmですだれ織
りしてプリプレグシートを得た。得られたプリプレグシ
ートは、ガラス繊維の含有量が66.5vol %であ
り、柔軟性が劣り、二次加工の際の賦形性、型なじみ
性、粘着性が劣るものであった。
【0058】比較例2 比較例1で得られたプリプレグシートを実施例4と同様
の方法で成形して成形体を得た。
【0059】実施例4〜6、比較例2で得られた成形体
について、10cm2 の成形片から未含浸による白化点
の有無を目視で観察することにより、ボイドの有無を確
認した。さらに目視にて表面にガラスフィラメント端子
の浮き出しがあるかどうか観察することにより表面外観
性を確認した。得られた結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】以上の結果に示されるように、スプリット
のかかっていないガラス繊維ストランド1本を一つのノ
ズルから引き抜いて得た複合繊材を用いて製造した実施
例のプリプレグシートは、3本のガラス繊維ストランド
を一つのノズルから引き抜いて得た同じガラス含有率の
複合繊材を用いて製造した比較例のプリプレグシートに
比べて、柔軟性に優れ二次加工の際に賦形性、型なじみ
性、粘着性が良好であった。また実施例の成形体は、比
較例に比べてボイドがほとんどなく、表面外観が良好で
あった。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
多方向に柔軟性が優れ、二次加工の際に賦形性、型なじ
み性、粘着性が良好で、かつ迅速な成形が可能な連続繊
維強化熱可塑性プリプレグシートを得ることができる。
また、このプリプレグシートを用いて得られる成形体
は、所望の強度にすることが可能であり、ガラス繊維の
分布が均一でボイドがほとんどなく、表面外観性に優れ
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 曲率Rの試験方法を示す説明図である。
【図2】 従来の熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材の製
造方法において、ガラス繊維ストランドをノズルから引
き抜く状態を示す説明図である。
【図3】 従来の熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材の製
造方法において、ガラス繊維ストランドがノズルに入る
ときの状態を示す模式図である。
【符号の説明】
10 熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材の試験片 10a ループ 11 カラー 12、13 チャック S、S1、S2、S3 ガラス繊維ストランド N ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:06 105:08 B29L 9:00 Fターム(参考) 4F072 AA04 AA08 AB04 AB05 AB09 AB15 AB28 AB34 AC02 AG03 AG17 AG20 AH19 AH21 4F205 AD04 AD16 AG03 HA06 HA14 HA34 HA37 HA46 HB02 HC02 HC13 HC14 HC16 HM01 4L048 AA03 AA15 AA42 AA48 AB10 AB11 AB13 AC09 BA06 CA01 CA12 DA41

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数本のガラスモノフィラメントを集束し
    てなるガラス繊維ストランドに熱可塑性樹脂を含浸させ
    た熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材と、熱可塑性樹脂繊
    維とを織って形成した連続繊維強化熱可塑性プリプレグ
    シートであって、前記熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材
    が、ほぼ円形または楕円形の断面を有し、ガラス含有率
    25〜80vol%であり、屈曲させたときの挫屈限界
    を曲率で表わしたときに、曲率R≦30D×V(D=平
    均径、V=ガラス含有率:vol%/100、R及びD
    の単位はmm)であることを特徴とする連続繊維強化熱
    可塑性プリプレグシート。
  2. 【請求項2】前記熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材が、
    複数本のガラスモノフィラメントをスプリットを施すこ
    となく集束した1本のガラス繊維ストランドに熱可塑性
    樹脂を含浸させたものからなる請求項1記載の連続繊維
    強化熱可塑性プリプレグシート。
  3. 【請求項3】前記熱可塑性樹脂複合ガラス繊維繊材が、
    平均径1.5mm以下で、前記熱可塑性樹脂含浸率95
    %以上である請求項1又は2記載の連続繊維強化熱可塑
    性プリプレグシート。
  4. 【請求項4】前記ガラス繊維ストランドが200〜20
    00本のガラスモノフィラメントを集束したものからな
    り、前記ガラスモノフィラメントの平均径が6〜17μ
    mである請求項1〜3のいずれか1つに記載の連続繊維
    強化熱可塑性プリプレグシート。
  5. 【請求項5】前記ガラス繊維ストランドに含浸させた熱
    可塑性樹脂および前記熱可塑性樹脂繊維が、同一または
    相溶性を有する樹脂である請求項1〜4のいずれか1つ
    に記載の連続繊維強化熱可塑性プリプレグシート。
  6. 【請求項6】前記プリプレグシートが、複数枚積層され
    て、仮留めされている請求項1〜5のいずれか1つに記
    載の連続繊維強化熱可塑性プリプレグシート。
  7. 【請求項7】前記プリプレグシートのガラス含有率が1
    5〜75vol%である請求項1〜6のいずれか1つに
    記載の連続繊維強化熱可塑性プリプレグシート。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか1つに記載された
    連続繊維強化熱可塑性プリプレグシートを、単独または
    複数枚積層して成形することによって得られる連続繊維
    強化熱可塑性プリプレグシート成形体。
  9. 【請求項9】前記連続繊維強化熱可塑性プリプレグシー
    トと、熱可塑性樹脂フィルムとを組み合わせて得られ、
    ガラス含有率15〜75vol%である請求項8記載の
    連続繊維強化熱可塑性プリプレグシート成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017183798A1 (ko) * 2016-04-21 2017-10-26 (주)엘지하우시스 연속섬유 강화 복합재

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