JP3480506B2 - 熱可塑性コンポジット成形材料及びその成形品 - Google Patents

熱可塑性コンポジット成形材料及びその成形品

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JP3480506B2
JP3480506B2 JP32464693A JP32464693A JP3480506B2 JP 3480506 B2 JP3480506 B2 JP 3480506B2 JP 32464693 A JP32464693 A JP 32464693A JP 32464693 A JP32464693 A JP 32464693A JP 3480506 B2 JP3480506 B2 JP 3480506B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性樹脂及び強化繊
維よりなり、フレキシビリティー及び優れた機械特性を
有する熱可塑性コンポジット成形材料、並びに前記熱可
塑性コンポジット成形材料を成形してなる熱可塑性コン
ポジット成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、マトリックスとして熱硬化性樹脂
を用いたコンポジットが主流であった。しかし、近年、
成形サイクルの短縮化、リサイクルの容易さ、後加工が
可能であること、作業環境のクリーンさ、耐衝撃性の向
上等の観点からマトリックスとして熱可塑性樹脂を用い
たコンポジットが開発され、上市されている。しかしな
がら、一般に熱可塑性樹脂は溶融時の粘度が高く、強化
繊維に充分に含浸させることが困難なため、例えば下記
のような種々の工夫がなされている。
【0003】特公昭63−37694には、直接溶融
樹脂を強化繊維に含浸させ、固化させた成形材料につい
て記載されているが、ここでは、強化繊維への樹脂の含
浸を完全なものとするために、樹脂の溶融粘度を低下さ
せると共に、樹脂浴中に設けたバーを用いてしごくこと
により含浸させるという方法が採られている。よって、
得られる成形材料は、含浸度が高く非常に硬いものとな
るため、成形時型に沿いにくいという問題を生じ、また
樹脂の溶融粘度を低下させているため、得られる成形品
の機械特性も必ずしも満足のゆくものとはなっていな
い。
【0004】特公平3−35100には、樹脂を溶媒
溶液又はエマルジョンにして強化繊維に含浸後、溶媒、
分散液を除去した成形材料について記載されている。こ
の場合にはに比較して含浸は比較的容易であるが、含
浸後に溶媒叉は分散液を完全に除去することが困難なた
め、成形品の機械特性は必ずしも満足のゆくものとはな
らず、またと同様に得られた成形材料は含浸度が高く
非常に硬いものとなるため、成形時型に沿いにくいとい
う問題を生じる。さらに、使用できる樹脂は特定の種類
のものに限定される上、溶媒の使用により作業環境が悪
化することとなる。
【0005】特開昭52−3985には、樹脂の粉末
を強化繊維間に担持させ、融解、固着させた成形材料に
ついて記載されているが、この場合には樹脂を粉末にす
るため、製造コストが高くなる上、その樹脂粉末を均一
に担持させることが非常に難しいため、樹脂の付着量に
は長手方向にむらを生じることとなる。また、付着した
樹脂を完全に溶融一体化した場合には、と同様に得ら
れた成形材料は含浸度が高く非常に硬いものとなるた
め、成形時型に沿いにくいという問題を生じる。さら
に、部分的に融着されているだけで一体化が不完全な場
合には、フレキシブルで型に沿い易く製織等も可能とな
るが、取扱時に樹脂の脱落が生じるため、樹脂と強化繊
維の混合比が変化し、所望の機械特性を有する成形品を
得ることは難しい。
【0006】特開昭60−209033及び60−2
09034には、樹脂を繊維状にして強化繊維と混繊し
た成形材料、特開昭60−28543には、樹脂と強化
繊維を交織した成形材料について記載されている。この
場合、前二者については製織等が可能であり、また三者
共に得られた成形材料はフレキシブルであり、型に沿い
易く、また取扱も容易であるが、樹脂を繊維化する必要
があるためコスト高を招くこととなる。また、含浸を成
形と同時に行うため、成形時十分注意を払わなければ、
所望の機械特性を得ることが困難であり、また成形サイ
クルを短縮することは難しい。
【0007】さらに、上記、及びに記載された成
形材料を用いて、0°/90°の両方向の強化を行う場
合には、該成形材料を積層し一体化する必要があると共
に、所望の幅長を得るには、幅方向の接合も必要とな
る。よって、強化された成形材料はますます硬いものと
なり、成形時型に沿い難くなる等の問題を生じることと
なる。この点を解決するため、特表平3−501589
には、リボン状の成形材料を織物にする方法が開示され
ているが、もともとリボン状の成形材料が硬い場合に
は、当然のことながら織物も硬いものとなるため、成形
時型に沿い難い点については上記と同様である。またこ
の場合、製織時に織りの目を詰めて織ることが非常に困
難であり、目の開いた織物しかできないため、所望の機
械物性を得ることは難しい。
【0008】このように、製織、製紐や成形が容易にで
きて、フレキシビリティーを有し、且つ、成形した場合
には優れた機械特性を有する成形品を得ることが可能な
熱可塑性コンポシット成形材料で、満足できるものは未
だ得られていないのが実状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、成形材
料はその2次加工や成形時に、軟化点以上の温度に加熱
されたり、圧力を加えられることにより、熱可塑性樹脂
が流動し形態を変えるため、強化繊維に対する含浸度が
向上するという点、つまり成形材料中の強化繊維が熱可
塑性樹脂により完全に含浸されてなくても、成形時等に
熱可塑性樹脂の含浸が進行するため、成形品とした時に
は充分な機械物性を得ることが可能であり、成形材料の
時点で含浸度が高い場合には、かえって成形材料のフレ
キシビリティーが欠如するため、加工、成形時に取扱い
性が極めて悪くなり、所望の機械物性を得られないとい
う点に着目し、成形材料としてのフレキシビリティーと
成形品とした場合の優れた機械物性を同時に得られるよ
うな含浸状態を有する成形材料に関して検討した結果、
成形材料中の強化繊維のモノフィラメントの内、その周
囲が熱可塑性樹脂により完全に濡らされているもの及び
その周囲の半分以上が熱可塑性樹脂により濡らされてい
るものの割合を一定の範囲に設定し、且つ、その成形材
料の剛性を一定の値以下とすることにより、フレキシビ
リティーを有し、容易に製織や製紐を行うことが可能
で、且つ、成形した場合に優れた機械物性を発揮できる
成形材料が得られることを見い出した。
【0010】本発明者らは、かかる知見に基づき更に重
ねて検討した結果、本発明を完成するに至ったものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、強
化繊維と熱可塑性樹脂からなる熱可塑性コンポジット成
形材料であって、以下の(1)〜(3)式を満たすこと
を特徴とする熱可塑性コンポジット成形材料、 0.84α−0.24≦β≦0.84α+0.06 (1) 0.45≦α≦0.95 (2) E・S・M・D2 ・α≦120 (3) 但し、α:上記熱可塑性コンポジット成形材料の垂直断
面に存在する強化繊維のモノフィラメントの総本数に対
する、モノフィラメントの周囲の半分以上が熱可塑性樹
脂によって濡らされている上記強化繊維のモノフィラメ
ントの本数の割合 β:上記熱可塑性コンポジット成形材料の垂直断面に存
在する強化繊維のモノフィラメントの総本数に対する、
モノフィラメントの周囲の全体が熱可塑性樹脂によって
濡らされている上記強化繊維のモノフィラメントの本数
の割合 E:上記強化繊維のモノフィラメント1本あたりの伸張
弾性率(kgf/mm2 ) S:上記強化繊維のモノフィラメント1本あたりの断面
積(mm2 ) M:上記熱可塑性コンポジット成形材料の垂直断面に存
在する、上記強化繊維のモノフィラメントの総本数
(本) D:上記熱可塑性コンポジット成形材料の垂直断面の厚
さの半分(mm)並びに、上記熱可塑性コンポジット成
形材料を製織又は製紐した熱可塑性コンポジット成形材
料、並びに、これらの熱可塑性コンポジット成形材料を
成形してなることを特徴とする熱可塑性コンポジット成
形品を提供するものである。
【0012】本発明の熱可塑性コンポジット成形材料に
用いられる強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、
アラミド繊維、セラミックス繊維、金属繊維等が挙げら
れるが、特にこれらに限定されるものではなく、また上
記強化繊維を2種以上併用して用いてもよい。本発明の
熱可塑性コンポジット成形材料に用いられる強化繊維
は、実質的に無撚の連続繊維であることが好ましい。該
強化繊維への熱可塑性樹脂による含浸を容易にするため
である。また、熱可塑性樹脂との接着を良くするため表
面処理がなされていることが好ましい。本発明の熱可塑
性コンポジット成形材料の垂直断面に存在する、強化繊
維のモノフィラメントの総本数は、50〜24000本
が好ましく、200〜12000本であればより好まし
い。本発明の熱可塑性コンポジット成形材料に用いられ
る強化繊維のモノフィラメント1本あたりの断面積は、
(3)式を満たす必要があるが、その範囲において、7
〜2000×10-62 が好ましく、30〜450×1
-62 であればより好ましい。つまり、本発明の熱可
塑性コンポジット成形材料に用いられる強化繊維のモノ
フィラメントの直径は、3〜50μmであれば好まし
く、6〜24μmであればより好ましい。3μm以下で
は強化繊維が高価となり製造コストがアップし、50μ
m以上では充分な補強効果が得られないためである。
【0013】本発明の熱可塑性コンポジット成形材料に
用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、およびその共重合体や変性体を含むポリオ
レフィン系、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12
等のポリアミド系、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ポリカー
ボネート、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルイミ
ド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン
等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではな
く、また上記熱可塑性樹脂を2種以上併用して用いても
よい。なお、ポリオレフィンの場合には強化繊維との接
着性が悪いので、例えば酸変性等の処理(複合材料と界
面、236頁〜、久保輝一郎他、総合技術出版、198
6年)を施して用いるのが好ましい。
【0014】本発明の熱可塑性コンポジット成形材料の
垂直断面に存在する強化繊維のモノフィラメントの総本
数に対する、モノフィラメントの周囲の半分以上が熱可
塑性樹脂によって濡らされている上記強化繊維のモノフ
ィラメントの本数の割合をα、本発明の熱可塑性コンポ
ジット成形材料の垂直断面に存在する強化繊維のモノフ
ィラメントの総本数に対する、モノフィラメントの周囲
の全体が熱可塑性樹脂によって濡らされている上記強化
繊維のモノフィラメントの本数の割合をβとするとき、
αとβは下記の(1)式及び(2)式を満たすことが必
要である。 0.84α−0.24≦β≦0.84α+0.06 (1) 0.45≦α≦0.95 (2) すなわち、熱可塑性コンポジット成形材料の垂直断面に
存在する全ての強化繊維のモノフィラメントの周囲が熱
可塑性樹脂によって略完全に濡らされている場合には、
成形材料は非常に剛直となり、フレキシビリティーを全
く欠くため、本発明の熱可塑性コンポジット成形材料に
おいては垂直断面に存在する強化繊維のモノフィラメン
トが熱可塑性樹脂によって濡らされている割合について
上記(1)式及び(2)式を満たすよう規定した。また
上記とは逆に、熱可塑性コンポジット成形材料の垂直断
面に存在する全ての強化繊維のモノフィラメントの周囲
が熱可塑性樹脂によって殆ど濡れていない場合には、成
形後の成形品が所望の機械物性を発揮できず、また、成
形時に高い圧力や長い時間等が必要になるため、上記と
同様に本発明の熱可塑性コンポジット成形材料において
は垂直断面に存在する強化繊維のモノフィラメントが熱
可塑性樹脂によって濡らされている割合について上記
(1)式及び(2)式を満たすよう規定した。なお、α
及びβの値は、測定用の熱可塑性コンポジット成形材料
を樹脂で包埋した後、その断面を研磨して鏡面に仕上げ
たものを任意の倍率の写真等に撮り、得られた写真等を
目視により観察し、上記のα及びβの定義に該当する強
化繊維のモノフィラメントの本数を測定し求める。
【0015】本発明の熱可塑性コンポジット成形材料に
用いられる強化繊維のモノフィラメントの伸張弾性率を
E(kgf/mm2 )、断面積をS(mm2 )、本数を
Mとし、本発明の熱可塑性コンポジット成形材料の厚さ
の半分をD(mm)とするとき、上記αを用いた下記の
(3)式を満たす必要がある。 E・S・M・D2 ・α≦120 (3) E・S・M・D2 ・αの値が120を超える場合には、
生成した成形材料のフレキシビリティーが損なわれ、製
織、製紐等を行うことが不可能となるためである。ま
た、E・S・M・D2 ・αの値は80以下であればより
好ましい。
【0016】本発明の熱可塑性コンポジット成形材料中
の強化繊維の体積含有率は、30〜70%が好ましい。
強化繊維が30%以下の場合には強化繊維による強化効
果が不十分となり、70%以上の場合には成形後含浸が
不充分となりボイドが残りやすいためである。
【0017】本発明の熱可塑性コンポジット成形材料の
製造方法は、特に何等限定されるものではない。なお、
本発明において、複数の強化繊維モノフィラメントを熱
可塑性樹脂で含浸被覆する方法としては、例えば本発明
者らの出願による特開平5−177633に示すように
凸型ダイとクロスヘッドダイを用いる方法が挙げられ、
また、形状をテープ状とするためや含浸状態を良好とす
るためには加圧賦形ロールを用いるのが好ましいが、含
浸被覆する方法も上記に何等限定されるものではない。
【0018】以下本発明を図面を用いて詳細に説明する
が、下記図面により本発明は何等限定されるされるもの
ではない。
【0019】図1には、本発明の熱可塑性コンポジット
成形材料の代表的な例として、テープ状の成形材料の垂
直断面図を模式的に示した。図1において、本発明の熱
可塑性コンポジット成形材料(1)はマトリックスであ
る熱可塑性樹脂(2)中にボイド(4)を含み、強化繊
維(3)は熱可塑性樹脂(2)により完全に又は部分的
に含浸されたものや全く熱可塑性樹脂と接触していない
ものが存在する。また、L1 は成形材料の垂直断面の幅
であり、L2は成形材料の垂直断面の厚さである。
【0020】本発明の熱可塑性コンポジット成形材料の
形状は、必ずしも図1のごときテープ状のものに限定さ
れるものではなく、棒状、柱状等、用途によって適切な
形状を選択すればよい。また、その垂直断面形状として
は長方形や楕円形が好ましいが、何等これらに限定され
るものではない。なお、垂直断面形状が長方形以外、例
えば楕円形等の場合には、互いに平行な外周接線間の距
離の内、最大の距離を垂直断面の幅(L1 )とし、それ
と直交する互いに平行な外周接線間の距離を垂直断面の
厚さ(L2 )とする。本発明の熱可塑性コンポジット成
形材料の垂直断面の厚さは、(3)式を満たせば特に限
定されるものではない。本発明の熱可塑性コンポジット
成形材料の垂直断面の幅は、特に限定されず使用の目的
によって選択されればよいが、製織する場合はその幅は
30mm以下が好ましく、また、製紐する場合は15m
m以下が好ましい。製織する場合、30mm以上では成
形材料を捻れることなく供給するのが困難なためであ
り、また、製紐する場合、15mm以上では装置の設計
が困難なためである。
【0021】本発明の熱可塑性コンポジット成形材料
は、そのまま各種の成形に供することが可能であるが、
目的によっては該成形材料に製織または製紐等の中間加
工を施した後に、成形に供する方が好ましい。本発明の
熱可塑性コンポジット成形材料の成形方法としては、プ
ルトルージョン成形、フィラメントワインディング成形
(シートワインディング成形)、またはプレス成形、オ
ートクレーブ成形、真空圧空成形、さらには内圧成形に
供することが可能である。また、本発明の熱可塑性コン
ポジット成形材料は、一度成形した後に再度軟化点以上
に加熱し、深絞り成形や、その他形態を変化させる後加
工も可能である。さらに、本発明の熱可塑性コンポジッ
ト成形材料は、そのまま織物を中間材料として、叉は織
物を一度成形し一体化した中間材料、並びに、成形材料
を所定の長さに切断し、方向性を与え又は方向性をなく
し、一体化した中間材料をスタンピング成形のように、
一度軟化点以上の温度に加熱後、コールドプレスで賦形
するような成形も可能である。 このように、本発明の
熱可塑性コンポジット成形材料はフレキシブルであるの
で、成形時等に型に沿い易く、種々の成形法に適用で
き、また複雑形状の成形が可能である。
【0022】本発明の熱可塑性コンポジット成形材料を
製織する方法としては、レピア、エアージェット、ウォ
ータージェット、円筒織機等を用いることが可能である
が、特に上記に限定されるものではなく、成形材料の幅
等によって適切な製織方法を選定すればよい。いずれに
せよ、緯糸に捻れが入らないように緯糸を解舒、供給
し、製織するのが好ましい。上記製織における織り組織
は、特に限定されるものではなく、その使用目的により
選定すればよい。例えば、より硬い状態で、経緯で同等
の物性を必要とするのであれば平織りが好ましく、より
柔軟さや、経方向の物性を重視する必要があれば朱子織
りが好ましい。また、本発明の熱可塑性コンポジット成
形材料は、目の開いた織物を作製し、その交点を融着固
定することによって、土木資材用ジオグリッドを作製す
ることも可能である。このように、本発明の熱可塑性コ
ンポジット成形材料は、製織時、幅を織機の幅以内であ
れば自由に設定でき、接着接合等を用いずに二方向強化
の大面積の成形材料を得ることが容易である。しかも、
織り組織を変えることによりフレキシビリティーや二方
向の強化の割合を自由に設定することが可能である。ま
た、特殊な方法として経または緯のみに成形材料を用
い、他方向はマトリックスに用いた樹脂の繊維または強
化繊維のみの細いものを用いて、いわゆる一方向強化の
織り布にすることも可能である。
【0023】本発明の熱可塑性コンポジット成形材料を
製紐する方法は、特に限定されるものではないが、通常
使用されている組機を用いて作製することが最も容易で
ある。但し、ガイド類を本発明の熱可塑性コンポジット
成形材料に適したガイドに変更するのが好ましい。ま
た、特殊な装置として、コンピューターによる軌道の制
御によって種々の形状に組み上げる装置があるが、これ
らを用いて製紐することも可能である。 製紐の組織と
しては、打ち数、平打ち、丸打ち、組角度等は使用する
目的に応じて設計、選択すればよい。例えば、内圧成形
によって、中空パイプを成形するのであれば、丸打ち組
物を、帯状の物を成形するのであれば、平打ち組物が好
ましい。製紐した本発明の熱可塑性コンポジット成形材
料は、組角をかなり自由に変化させることができるた
め、成形した場合、その成形品の形状を自由に変化させ
ることができる。例えば、中空パイプを作製する場合、
内径を自由に変化させ、異径、異形断面を形成すること
が可能である。また、切断端がないので強度の利用率が
高く、材料の信頼性が向上する。
【0024】
【実施例】以下実施例を挙げて、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに何等限定されるものではな
い。なお、各測定は以下の通りに行った。α及びβの値
は、長さ50cmの熱可塑性コンポジット成形材料5本
を用いて、該成形材料の一方の垂直断面を樹脂で包埋し
た後、その垂直断面を研磨して鏡面に仕上げたものを1
30倍の倍率で写真に撮り、得られた写真を目視により
観察し、α及びβの定義に該当する強化繊維のモノフィ
ラメントの本数を測定し、その平均値を求めた。曲げ強
度及び曲げ弾性率は、JIS K7055に従い3点曲
げ試験により測定した。
【0025】
【実施例1】強化繊維として、伸張弾性率7400kg
f/mm2 、直径13μm(面積:133×10-6mm
2 )のモノフィラメント1600本を1ストランド(5
75TEX)として、2ストランドのガラス繊維を、予
めシランカップリング材と変性オレフィンで接着性の向
上処理を施した後に用い、熱可塑性樹脂としては、無水
マレイン酸を0.1%グラフトしたポリプロピレン(M
FI=60g/10分)を用いた。含浸方法は、特開平
5−177633に記載された方法に従い、ダイを用い
て行った。製造速度を70m/分とし、ダイを出た後に
40℃に保温した金属のニップロールで圧縮し、幅11
mm、厚さ0.1mm、強化繊維の体積含有率が49%
のテープ状の成形材料を得た。得られた成形材料のαの
値は0.82、βの値は0.56、E・S・M・D2
αの値は6.4であり、本発明の要件(1)〜(3)式
を満たした。次に、この成形材料をレピア織機を用いて
経緯2本/インチの平織り物を製織したところ、何ら問
題なく製織でき、良好な織物が得られた。得られた織物
を15枚積層し、220℃、10kg/cm2 、1分間
プレス成形を行い、その後、70℃まで冷却した後、幅
250mm、厚さ2mmの平板状の成形品を取り出し
た。得られた平板の曲げ強度は52.8kgf/m
2 、曲げ弾性率は2020kgf/mm2 であった。
【0026】
【実施例2】強化繊維として、伸張弾性率は22000
kgf/mm2 、直径7.5μmのモノフィラメントの
12Kの炭素繊維を用い、熱可塑性樹脂として、RV=
2.4のナイロン6樹脂を用いた。製造速度20m/分
とする以外は、実施例1と同様にして、幅12mm、厚
さ0.15mm、強化繊維の体積含有率52%のテープ
状の成形材料を得た。得られた成形材料のαの値は0.
72、βの値は0.43、E・S・M・D2・αの値は
47.2であり、(1)〜(3)式を満たした。次に、
実施例1と同様にして、経緯2本/インチの平織り物を
製織したところ、何ら問題なく製織でき、良好な織物が
得られた。得られた織物を12枚積層し、255℃、1
0kg/cm2 、1分間プレス成形を行い、その後、7
0℃まで冷却をした後、幅250mm、厚さ2mmの平
板状の成形品を取り出した。得られた平板の曲げ強度は
105kg/mm2 、曲げ弾性率は6200kg/mm
2 であった。
【0027】
【実施例3】実施例1においてテープ状の成形材料を製
造する際の圧縮ロールのクリアランスを大きくし、幅7
mm、厚さ0.16mm、強化繊維の体積含有率49%
のテープ状成形材料を得た。得られた成形材料のαの値
は0.66、βの値は0.43、E・S・M・D2・α
の値は13.2であり、(1)〜(3)式を満たした。
次に、このテープ状成形材料を8打ちの丸打ち組機を用
いて、内径18mm、組角度30°で組紐を作製したと
ころ、何ら問題なく製紐でき、良好な組紐が得られた。
得られた組紐を3層積層し、内側に径16mmのシリコ
ンチューブを挿入し、内径20mmの外型内に配置し、
220℃に加熱し、チューブ内に空気を送り15kg/
cm2 の圧力を付与し、チューブを膨張させ外型に押し
付け、10分間成形した。室温まで加圧状態で冷却後成
形品を取り出すと、直径20mm、厚さ1mmの外観の
優れた中空パイプが得られた。
【0028】
【比較例1】実施例1と同様にして、製造速度10m/
分で幅12mm、厚さ0.1mm、強化繊維の体積含有
率48%のテープ状成形材料を得た。得られた成形材料
のαの値は0.98、βの値は0.77、E・S・M・
2・αの値は7.6であり(1)及び(3)式は満た
すが、(2)式は満たさなかった。このテープ状成形材
料の製紐を試みたが、テープが剛直なため、直角のガイ
ドでテープ状成形材料の切断が生じ、製紐は不可能であ
った。
【0029】
【比較例2】実施例1と同様にし、凸ダイを使用せず、
製造速度70m/分で、幅11mm、厚さ0.1mm、
強化繊維の体積含有率49%のテープ状成形材料を得
た。この材料のα=0.32、β=0.23、E・S・
M・D2 ・α=2.5で(2)式の範囲に入らない。こ
の材料を、実施例1と同様に製織し、成形を行い評価し
た。その結果、曲げ強度31kgf/mm2 、曲げ弾性
率1620kgf/mm2 であり、実施例1より大幅に
低下した。
【0030】
【比較例3】実施例1と同様にし、製造速度1m/分で
幅12mm、厚さ0.1mmの強化繊維の体積含有率4
9%のテープ状成形材料を得た。この材料のα=1、β
=1で(1)、(2)式を満たさない。一方、E・S・
M・D2 ・α=7.9であり(3)式は満たす。このテ
ープ状成形材料の製紐を試みたが、テープが剛直なた
め、直角のガイドでテープ状成形材料の切断が生じ、製
紐は不可能であった。
【0031】
【比較例4】実施例1と同様にし、圧縮ロールを使用せ
ず、製造速度70m/分で、幅7mm、厚さ0.18m
m、強化繊維の体積含有率48%のテープ状成形材料を
得た。この材料のα=0.5、β=0.1、E・S・M
・D2 ・α=12.8で(1)式の範囲に入らない。こ
の材料を、実施例1と同様に製織し、成形を行い評価し
た。その結果、曲げ強度29kgf/mm2 、曲げ弾性
率1580kgf/mm2 であり、実施例1より大幅に
低下した。
【0032】
【比較例5】実施例1と同様にし、圧縮ロールのクリア
ランスを大きくし、製造速度50m/分で、幅2.4m
m、厚さ0.5mm、強化繊維の体積含有率47%のテ
ープ状成形材料を得た。この材料のα=0.85、β=
0.69、E・S・M・D2 ・α=167で(3)式の
範囲に入らない。この材料を、実施例1と同様に製織を
試みたが、テープ状成形材料が剛直なため緯糸打ち込み
が困難であり、製織不可能であった。
【0033】
【発明の効果】上記で説明したように本発明は、熱可塑
性樹脂による強化繊維の濡れの程度を調節し、且つ、適
当な剛性を持たせることにより、優れたフレキシビリテ
ィー及び機械特性を有すると共に、製織性及び製紐性に
も優れた熱可塑性コンポジット成形材料、また該成形材
料を製織及び製紐した熱可塑性コンポジット成形材料、
さらに前記熱可塑性コンポジット成形材料を成形してな
る熱可塑性コンポジット成形品を提供するものである。
かかる本発明の熱可塑性コンポジット成形材料は、製造
段階で熱可塑性樹脂を強化繊維に完全に含浸する必要が
ないので、製造速度が速く、簡易に製造できる上、その
製造コストを低く抑えることが可能である。このよう
に、本発明の熱可塑性コンポジット成形材料は、簡便に
製造できるにもかかわらず、上記のような優れた諸性質
を有することを特徴とし、所望の大きさ、強度配向が容
易に設定でき取扱のしやすい材料であり、複雑形状や、
種々の成形法への適用が可能である。すなわち、本発明
の熱可塑性コンポジット成形材料は適度な含浸状態とな
っているので低圧力、短時間で成形でき、且つ、得られ
た成形品は安定した機械物性を得ることが可能である。
上記のように、本発明は工業的に極めて有用であり、そ
の効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的なテープ状熱可塑性コンポジッ
ト成形材料の垂直断面図の模式図である。
【符号の説明】
1 テープ状熱可塑性コンポジット成形材料 2 熱可塑性樹脂 3 強化繊維のモノフィラメント 4 ボイド L1 テープ状成形材料の幅 L2 テープ状成形材料の厚さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29B 11/16 C08J 5/04 - 5/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化繊維と熱可塑性樹脂からなる熱可塑
    性コンポジット成形材料であって、以下の(1)〜
    (3)式を満たすことを特徴とする熱可塑性コンポジッ
    ト成形材料。 0.84α−0.24≦β≦0.84α+0.06 (1) 0.45≦α≦0.95 (2) E・S・M・D2 ・α≦120 (3) 但し、α:上記熱可塑性コンポジット成形材料の垂直断
    面に存在する強化繊維のモノフィラメントの総本数に対
    する、モノフィラメントの周囲の半分以上が熱可塑性樹
    脂によって濡らされている上記強化繊維のモノフィラメ
    ントの本数の割合 β:上記熱可塑性コンポジット成形材料の垂直断面に存
    在する強化繊維のモノフィラメントの総本数に対する、
    モノフィラメントの周囲の全体が熱可塑性樹脂によって
    濡らされている上記強化繊維のモノフィラメントの本数
    の割合 E:上記強化繊維のモノフィラメント1本あたりの伸張
    弾性率(kgf/mm2 ) S:上記強化繊維のモノフィラメント1本あたりの断面
    積(mm2 ) M:上記熱可塑性コンポジット成形材料の垂直断面に存
    在する、上記強化繊維のモノフィラメントの総本数
    (本) D:上記熱可塑性コンポジット成形材料の垂直断面の厚
    さの半分(mm)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱可塑性コンポジット成
    形材料を製織してなることを特徴とする熱可塑性コンポ
    ジット成形材料。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の熱可塑性コンポジット成
    形材料を製紐してなることを特徴とする熱可塑性コンポ
    ジット成形材料。
  4. 【請求項4】 請求項1、2叉は3のいずれか1項記載
    の熱可塑性コンポジット成形材料を成形してなることを
    特徴とする熱可塑性コンポジット成形品。
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