JP2000008154A - 転がり軸受およびその製造方法 - Google Patents

転がり軸受およびその製造方法

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JP2000008154A
JP2000008154A JP17342598A JP17342598A JP2000008154A JP 2000008154 A JP2000008154 A JP 2000008154A JP 17342598 A JP17342598 A JP 17342598A JP 17342598 A JP17342598 A JP 17342598A JP 2000008154 A JP2000008154 A JP 2000008154A
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JP17342598A
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Kikuo Maeda
喜久男 前田
Takahiro Koremoto
隆浩 是本
雅康 ▲吉▼川
Masayasu Yoshikawa
Shintaro Nishi
晋太郎 西
利平 ▲吉▼川
Rihei Yoshikawa
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NTN Corp
Nihon Karoraizu Kogyo KK
Original Assignee
NTN Corp
Nihon Karoraizu Kogyo KK
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高硬度で、面荒れや偏摩耗による異音発生を
防止できる転がり軸受およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 軌道輪と転動体との少なくともいずれか
は、表面層にFe−B、VC、TiCの少なくともいず
れかの化合物層を有する鋼よりなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転がり軸受および
その製造方法に関し、より特定的には、高温かつ著しく
硬い異物が混入するような過酷な環境で使用される転が
り軸受およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】転がり軸受は、低トルク、高精度を長時
間維持しながらの回転を要求されるが、これらの初期性
能は軸受の製作精度で達成できる。一方、使用中に摩耗
や異物噛み込みが起こるような過酷な潤滑条件では、表
面損傷からの剥離が起こる場合は当然のこと、剥離が起
こらない場合でも外来異物(空気中の砂塵であるSiO
2 や機械部品の軸受取付部を加工する砥石であるAl2
3 などの、Hv1000を超える焼入鋼よりはるかに
高硬度の硬質異物)による転走面の荒れ(スタンプ傷状
の圧痕や小剥離)、摩耗による精度の劣化が軸受の機能
寿命を引き起こす。
【0003】たとえば、ターボチャージャ軸受、クリー
ナ軸受、HDD軸受では、高速で回転するため、この面
荒れや摩耗、スタンプ傷が帯状に形成されてできる偏摩
耗による軸受の精度劣化が著しい異音や共振音の発生源
となるおそれがあった。今後、さらに軸受の使用条件
(高速化や静粛性)が厳しくなるにつれ、面荒れに対す
る抵抗性が必須になる。
【0004】現在のところ、この面荒れを防止するた
め、軌道輪と転動体との少なくともいずれかにフェライ
ト温度領域で窒化処理を施す技術が本願出願人によって
提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
今後さらに使用条件が厳しくなるとフェライト温度領域
で窒化処理を施しても、軌道輪もしくは転動体の硬度は
異物硬度に比べてまだ不十分であり、面荒れや偏摩耗に
よる異音発生を完全に防止できていない。
【0006】また、窒化処理は、フェライト温度領域で
の500〜600℃という高温処理のため、素地が軟化
してしまう。軸受では大きな接触応力で使用されるた
め、窒化部自体の強度のほか、処理により素地が軟化す
ると、かえって軸受強度が低下してしまう。そこで、素
地硬度を上げるために再焼入すると、今度は窒化部の硬
度が低下するという問題点があった。
【0007】したがって、この窒化処理では、使用条件
が厳しい状況になると硬質異物に対し硬化部が硬度的に
不十分であり、どうしても圧痕や傷による面荒れが生
じ、特に音響特性や偏摩耗発生による振動の増加が起き
てしまうという懸念が生じる。
【0008】それゆえ、本発明の目的は、高硬度で、面
荒れや偏摩耗による異音発生を防止できる転がり軸受お
よびその製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の転がり軸受は、
軌道輪と転動体とを有する転がり軸受において、軌道輪
と転動体との少なくともいずれかが、表面層にFe−
B、VC、TiCよりなる群より選ばれる1種以上の化
合物層を有する鋼よりなっている。
【0010】本願発明者は鋭意検討した結果、B、V、
Ti等の元素を軸受転走面に拡散させて表層に硼化物や
炭化物を形成することで、表層を高硬度にできることを
見いだした。
【0011】これにより、表面層を外来異物よりも高硬
度にできるため、面荒れや偏摩耗による異音の発生を防
止することができる。
【0012】また、表面層はHv1400以上、表面層
より内側はHv700以上の硬度を有していることが好
ましい。
【0013】これにより、面荒れや偏摩耗による異音の
発生を防止できるとともに、軸受強度が高く転動寿命に
も優れた転がり軸受を得ることができる。
【0014】また、表面層が少なくとも5μmの厚みを
有していることが好ましい。これにより、転がり軸受に
必要な表面層と素地との密着性、加工精度および量産性
を確保することができる。
【0015】また、化合物層は単層からなっていること
が好ましい。これにより、再焼入による化合物層の剥れ
や亀裂の発生を抑えることができる。
【0016】本発明の転がり軸受の製造方法では、軌道
輪と転動体とを有する転がり軸受の製造方法において、
鋼の表面にB、V、Tiよりなる群より選ばれる1種以
上を拡散させて化合物層を形成した後、焼入・焼戻処理
を施して軌道輪と転動体との少なくともいずれかを形成
する。
【0017】これにより、表面層を外来異物よりも高硬
度にできるため、面荒れや偏摩耗による異音の発生を防
止できる転がり軸受を製造することが可能となる。
【0018】なお、この焼入・焼戻処理は、化合物層を
形成した後、引続き行なわれてもよく、また一旦冷却し
た後に再度焼入れ温度まで加熱してから行なわれてもよ
い。
【0019】また、軌道輪と転動体との少なくともいず
れかは、焼入・焼戻処理を施された後、仕上げ処理が施
されることが好ましい。
【0020】なお、たとえば軸受鋼球の場合、化合物層
を有する表面層を5〜50μmの厚さに形成できるよう
管理すれば、処理後の研磨またはラッピング加工でこの
表面層を残したまま容易に所定の寸法に仕上げることが
可能となる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例について、準高速度鋼
であるM50製の鋼球を用いた場合について説明する。
【0022】まずM50製の鋼球の表面に、Bを拡散さ
せて表層部にFe層を形成したものと、Vを拡散させV
C化合物層を形成したものと、Tiを拡散させTiC化
合物層を形成したものとを準備した。なお、この拡散
は、M50製の鋼球を鉄板製のケース内に粉末材(B、
V、Tiなどの粉末)とともに充填し、加熱・保持す
る、いわゆる粉末パック法により行なった。この粉末パ
ック法における処理温度および処理時間を表1に示す。
この場合、たとえばFe−Bにおいては、B量、処理温
度、処理時間をコントロールすることで2層化を防ぎ、
Fe2 B単相とした。
【0023】この粉末パック法は固体粉末中での加熱拡
散処理であるため、この拡散処理後、一旦徐冷し、再度
熱処理して素地硬度を高めた。
【0024】粉末パック法における処理後の皮膜厚さお
よび硬度と、再焼入後の硬度とを表1に示す。なお、比
較例としてM50製の鋼球に従来例の軟窒化処理を施し
た場合の条件を表層材質も併せて表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1の結果より、本発明例では、どの処理
でも硬化層(硬質皮膜)が20μm程度形成され、それ
ぞれHv1400〜2200と高硬度であるが、素地が
軟化しており、そのままでは軸受部位としては使用でき
ない。これを再度適切な条件で焼入すると、素地硬度は
軸受として適用できる硬度(Hv700以上)に回復
し、硬化部の硬度低下もほとんどなかった。また本発明
例の再焼入後の硬化層の硬度は比較例の硬度に比較して
も格段に高くなった。
【0027】この後、硬化層を残すように、これらの鋼
球を直径で約5〜10μm研磨・ラッピングし、製品と
した。これを軸受に組込み、鋼球径2.8mmで内径φ
7のアンギュラ玉軸受とした。そして、Al2 3 (粒
径20μm以下)を50ppm含む油(油温80℃)を
300cc/minで供給しながら、この軸受を600
00rpmの回転数で回転させ、高速回転試験を行なっ
た。その後の鋼球の荒れ状況および軸受音響を調べた。
このとき、鋼球表面硬度を従来例の軟窒化処理で高めた
もの、および無処理のものも併せて試験した。それらの
結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】表2の結果より、本発明例の3種類のもの
はいずれも試験後の表面の荒れが少なく、音響源となる
軸受振動の増加が少ないが、比較例の軟窒化処理品およ
び無処理品はいずれも表面の荒れおよび振動の増加が大
きかった。
【0030】また本発明例の鋼球を組込んだ軸受にて耐
久試験を行なったところ、通常の使用条件では硬質皮膜
が剥がれたり、割れる現象は見られず、実用域での耐久
性を確認することができた。
【0031】また表1中には処理時間を変えて硬質皮膜
の厚さを変えた場合の硬質皮膜の特性を示しているが、
厚さによる硬度特性の違いはあまりなかった。しかし、
あまり薄いと膜厚さの均一性が悪く、厚いと密着性や割
れ(クラック)が発生し、加工や転動時に損傷が出る場
合があることや、処理に長時間を要する問題がある。最
適の硬質皮膜の厚さは軸受への適用を考慮すると研磨加
工後で5〜20μmと考えられる。
【0032】なお、本実施例においては、転がり軸受の
鋼球に硬質皮膜を形成した場合について説明したが、内
輪および外輪の軌道輪に硬質皮膜が形成されても上記と
同様の効果が得られる。
【0033】また、上記実施例においては、拡散処理方
法として、固体拡散法である粉末パック法について説明
したが、これ以外に溶融塩浴法や流動層法などの他の拡
散法が用いられてもよい。
【0034】また本実施例では、M50製の鋼を用いた
が、これに限られず、本発明は一般的な軸受用鋼に広く
適用することができる。
【0035】今回開示された実施例はすべての点で例示
であって制限的なものではないと考えられるべきであ
る。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の
範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およ
び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の転がり軸
受およびその製造方法では、B、V、Tiを軸受転走面
に拡散させて、表層に外来異物よりも高硬度の硼化物や
炭化物を形成しているため、面荒れや偏摩耗による異音
の発生を防止することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 是本 隆浩 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 (72)発明者 ▲吉▼川 雅康 滋賀県甲賀郡甲西町大池町8番地 日本カ ロライズ工業株式会社内 (72)発明者 西 晋太郎 滋賀県甲賀郡甲西町大池町8番地 日本カ ロライズ工業株式会社内 (72)発明者 ▲吉▼川 利平 滋賀県甲賀郡甲西町大池町8番地 日本カ ロライズ工業株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA01 AA62 BA10 BA70 DA03 DA20 EA02 EA80 FA31 GA53 GA60

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軌道輪と転動体とを有する転がり軸受に
    おいて、 前記軌道輪と前記転動体との少なくともいずれかは、表
    面層にFe−B、VC、TiCよりなる群より選ばれる
    1種以上の化合物層を有する鋼よりなっている、転がり
    軸受。
  2. 【請求項2】 前記表面層はHv1400以上、前記表
    面層より内側はHv700以上の硬度を有している、請
    求項1に記載の転がり軸受。
  3. 【請求項3】 前記表面層は少なくとも5μmの厚みを
    有している、請求項1に記載の転がり軸受。
  4. 【請求項4】 前記化合物層が単層からなる、請求項1
    に記載の転がり軸受。
  5. 【請求項5】 軌道輪と転動体とを有する転がり軸受の
    製造方法において、鋼の表面にB、V、Tiよりなる群
    より選ばれる1種以上を拡散させて化合物層を形成した
    後、焼入・焼戻処理を施して前記軌道輪と前記転動体と
    の少なくともいずれかを形成する、転がり軸受の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記軌道輪と前記転動体との少なくとも
    いずれかは、前記焼入・焼戻処理を施された後、仕上げ
    処理が施される、請求項5に記載の転がり軸受の製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001208079A (ja) * 2000-01-20 2001-08-03 Koyo Seiko Co Ltd 転がり軸受
KR100925157B1 (ko) * 2009-06-26 2009-11-05 (주)대진정공 양흡입형 수중펌프

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JP4529214B2 (ja) * 2000-01-20 2010-08-25 株式会社ジェイテクト スラストころ軸受
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Effective date: 20050906