JP2000007606A - 7−(2−フルオロフェニル)−1−ベンゾスベロンの製造法 - Google Patents

7−(2−フルオロフェニル)−1−ベンゾスベロンの製造法

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JP2000007606A JP16943698A JP16943698A JP2000007606A JP 2000007606 A JP2000007606 A JP 2000007606A JP 16943698 A JP16943698 A JP 16943698A JP 16943698 A JP16943698 A JP 16943698A JP 2000007606 A JP2000007606 A JP 2000007606A
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English (en)
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Etsuo Oshima
悦男 大島
Masafumi Yanase
雅史 柳瀬
Taiki Sone
大紀 曽根
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KH Neochem Co Ltd
Original Assignee
Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 免疫抑制剤として有用な6,7-ジヒドロ-10-フ
ルオロ-3-(2-フルオロフェニル)-5H-ベンゾ[6,7]シクロ
ヘプタ[1,2-b]キノリン-8-カルボン酸の製造用中間体を
効率的かつ安価に工業的規模で製造するための方法を提
供する。 【解決手段】 7-(2-フルオロフェニル)-1-ベンゾスベロ
ン又はその誘導体の製造方法であって、7-アミノ-1-ベ
ンゾスベロン又はその塩と R-(ONO)n(R は低級アルキ
ル基、n は1〜3の整数)で表される亜硝酸エステル類
又は亜硝酸塩類とを反応させる工程;及び上記工程で得
られたジアゾニウム化合物又はその塩とフルオロベンゼ
ン又はその誘導体とを反応させる工程を含む方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免疫抑制剤として
有用な6,7-ジヒドロ-10-フルオロ-3-(2-フルオロフェニ
ル)-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-b]キノリン-8-カ
ルボン酸の製造用中間体として有用な化合物の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】国際公開WO93/22286には、下記の化合物
(以下、本明細書において化合物(V)という場合があ
る。)の免疫抑制剤としての用途が開示されている。
【化14】
【0003】化合物(V)の製造法としては、化合物(I-a)
と5-フルオロイサチン(VI)とをビチンガー−ボルシュ(P
fitzinger-Borsche)反応により縮合する方法が知られて
いる(国際公開WO93/22286)。
【化15】
【0004】この方法において化合物(V)の製造用中間
体として用いられる化合物(I-a)は、5-[4-(2-フルオロ
フェニル)フェニル]ペンタン酸(VII)をポリリン酸中で1
10℃に加熱して8-(2-フルオロフェニル)ベンゾスベロン
(VIII)とした後、化合物(VIII)をトリフルオロ酢酸中
でトリエチルシランにより処理して7-(2-フルオロフェ
ニル)-1H-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾシクロヘプテン
(化合物(IX))に変換し、さらに化合物(IX)とクロム酸
とをプロピオン酸及び酢酸の混合溶媒中で反応させるこ
とにより、三工程を経て製造することができる(国際公
開WO93/22286)。
【化16】
【0005】上記の製造方法において製造用原料として
用いられる化合物(VII)は、2-フルオロビフェニルと無
水グルタル酸とを三塩化アルミニウムの存在下にジクロ
ロエタン中で反応させて4-[4-(2-フルオロフェニル)ベ
ンゾイル]ブタン酸を得た後、この化合物をトリフルオ
ロ酢酸中でトリエチルシランと反応させるか、あるい
は、2-フルオロビフェニルと4-(クロロホルミル)ブタン
酸エチルとを三塩化アルミニウムの存在下にジクロロエ
タン中で反応させて4-[4-(2-フルオロフェニル)ベンゾ
イル]ブタン酸エチルを得た後、この化合物をトリフル
オロ酢酸中でトリエチルシランで処理して5-[4-(2-フル
オロフェニル)フェニル]ペンタン酸エチルに変換し、さ
らにこのエステル体をジオキサン-水混合溶媒中で水酸
化カリウム又は水酸化ナトリウム等のアルカリで処理す
ることにより製造することができる(国際公開WO93/222
86)。
【0006】しかしながら、化合物(VII)を製造用原料
として用いるこれらの製造方法は収率が低いうえ、反応
操作も煩雑であるために、工業的製造法としては必ずし
も満足し得る方法ではない。従って、化合物(VII)を用
いずに化合物(I-a)を製造する方法の開発が求められて
いた。
【0007】化合物(I-a)の製造方法として、下記のス
キーム:
【化17】 に従って、化合物(X)(式中、Yは臭素原子、ヨウ素原
子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を示
す)とo-フルオロフェニルトリブチルスズ(化合物(X
I))とを触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィ
ン)パラジウム及び酸化銀の共存下にジメチルホルムア
ミド溶媒中で反応させる方法も知られている(国際公開
WO93/22286)。しかしながら、この方法では重金属が多
量に排出されるので、その廃棄処分に多くの経費を要す
るなど工業的実施に有利な方法ではない。
【0008】一方、アリール化合物間のカップリング方
法として、アリールアミンから誘導されるジアゾニウム
化合物とベンゼン誘導体とをカップリングさせる方法
(Gomberg-Bachmann反応:J. Am. Chem. Soc., 46, 233
9, 1924)、及びフッ化ホウ素酸塩を用いるその改良方法
(J. Org. Chem., 49, 1594, 1984)が知られている。し
かしながら、ジアゾニウム化合物とフルオロベンゼン誘
導体とを直接カップリングさせて化合物(I-a)又はその
類似化合物を製造する方法は従来知られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、免疫
抑制剤として有用な化合物(V)などの製造用中間体とし
て利用可能な化合物(例えば、上記の化合物(I-a))を
効率的かつ安価に製造する方法を提供することにある。
また、上記の特徴を有する製造方法であって、医薬品の
製造用原料に適する高品質な目的化合物を工業的規模で
製造可能な方法を提供することも本発明の課題である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意研究を行ったところ、7-アミノ-1-ベ
ンゾスベロン又はその塩から誘導されるジアゾニウム化
合物とフルオロベンゼン誘導体とを反応させることによ
り、高品質な化合物(I-a)又はその誘導体を効率的かつ
安価に製造することができることを見出した。本発明は
上記の知見を基にして完成されたものである。
【0011】すなわち本発明は、下記の式(I):
【化18】 (式中、X1、X2、及びX3はそれぞれ独立に水素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はニトロ基を示す)
で表される7-(2-フルオロフェニル)-1-ベンゾスベロン
の製造方法であって、下記の工程: (1)下記の式(II):
【化19】 で表される7-アミノ-1-ベンゾスベロン又はその塩と下
記の式(III):R-(ONO)n (式中、Rは低級アルキル基を示
し、n は1から3の整数を示す)で表される亜硝酸エス
テル類又は亜硝酸塩類とを反応させる工程;及び(2)工
程(1)で得られるジアゾニウム化合物又はその塩と下記
の式(IV):
【化20】 (式中、X1、X2、及びX3はそれぞれ独立に水素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はニトロ基を示す)
で表されるフルオロベンゼン誘導体とを反応させる工程
を含む方法を提供するものである。本発明の好ましい態
様によれば、X1、X2、及びX3が共に水素原子である上記
方法が提供される。
【0012】別の観点からは、本発明により、上記の式
(I)の化合物の製造方法であって、下記の式(XII):
【化21】 (式中、Z-はアニオン種を示す)で表されるジアゾニウ
ム化合物と上記の式(IV)で表されるフルオロベンゼン誘
導体とを反応させる工程を含む方法が提供される。この
発明の好ましい態様によれば、X1、X2、及びX3が共に水
素原子である上記方法が提供される。
【0013】さらに別の観点からは、本発明により、上
記の式(V)で表される6,7-ジヒドロ-10-フルオロ-3-(2-
フルオロフェニル)-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-
b]キノリン-8-カルボン酸の製造方法であって、下記の
工程: (1)上記の式(II)で表される7-アミノ-1-ベンゾスベロン
又はその塩と上記の式(III)(式中、R及びnは上記と同義
である)で表される亜硝酸エステル類又は亜硝酸塩類と
を反応させる工程; (2)上記工程(1)で得られるジアゾニウム化合物又はその
塩と上記の式(IV)(式中、X1、X2、及びX3は上記と同義
である)で表されるフルオロベンゼン誘導体とを反応さ
せる工程; (3)X1、X2、及びX3が同時に水素原子でない場合には、
上記工程(2)で得られた化合物を還元してX1、X2、及びX
3が同時に水素原子である化合物に変換する工程;及び (4)上記の工程(2)又は(3)で得られる化合物と5-フルオ
ロイサチンとを塩基の存在下に反応させる工程を含む方
法、及び上記の工程(1)及び(2)に続き、下記の工程: (3)上記工程(2)で得られる化合物と5-フルオロイサチン
とを塩基の存在下に反応させ、式(XIII):
【化22】 (式中、X1、X2、及びX3はそれぞれ独立に水素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はニトロ基を示す)
で表される化合物を製造する工程;及び (4)X1、X2、及びX3が同時に水素原子でない場合には、
上記の工程(3)で得られる化合物(XIII)を還元する工程
を含む方法が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】上記の式(I)、式(III)、及び式(X
III)の化合物において、X1、X2、及びX3はそれぞれ独立
に水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はニ
トロ基を示すが、ベンゼン環上におけるX1、X2、及びX3
の置換位置は特に限定されず、それぞれ任意の位置を選
択することができる。本発明の方法において好適に用い
られる式(I)、式(III)、及び式(XIII)の化合物は、X1
X2、及びX3が共に水素原子の化合物である。
【0015】上記工程(1)は、上記の式(II)で表される7
-アミノ-1-ベンゾスベロン又はその塩と上記の式(III)
で表される亜硝酸エステル類又は亜硝酸塩類とを反応さ
せる工程(ジアゾ化工程)であり、この工程により上記
の式(XII)で表されるジアゾニウム化合物が得られる。
上記工程(2)は、式(XII)で表されるジアゾニウム化合物
と式(IV)で表される化合物とを反応させて、目的物であ
る式(I)の化合物を製造する工程である。本発明の第一
の方法は、上記の工程(1)及び工程(2)を含むことを特徴
としており、本発明の第二の方法は、上記の工程(2)を
含むことを特徴としている。本発明の第二の方法におい
て製造用原料として用いられる上記ジアゾニウム化合物
は、上記工程(1)に従って製造されたものに限定される
ことはない(この化合物は、例えば J. Org. Chem., 2
7, 70, 1962に記載されている)。
【0016】工程(1)のジアゾ化は、通常、当業者に周
知のジアゾ化反応の条件に準じて行うことができる。例
えば、化合物(II)に対して1〜10当量の無水テトラフル
オロホウ酸又はその水溶液を加え、つづいて亜硝酸カリ
ウム、亜硝酸ナトリウム等の無水亜硝酸塩類又はその水
溶液を加えることにより、式(XII)で表されるジアゾニ
ウム化合物を製造することができる。このジアゾニウム
化合物は、通常、反応混合物より析出するので濾過等の
公知の方法で分離・精製して用いてもよいが、粗生成物
として次の反応に供することができる。
【0017】一般的には、上記の式(XII)で表されるジ
アゾニウム化合物を単離又は精製する必要はなく、反応
系内に式(IV)で表される化合物を添加するか、あるいは
ジアゾニウム化合物の生成反応において式(IV)で表され
る化合物を反応系内に共存させておくことにより、該ジ
アゾニウム化合物と式(IV)で表される化合物との反応が
速やかに進行し、目的物である式(I)の化合物が収率よ
く得られる。このように工程(1)及び工程(2)を同一系内
で同時に進行させることが収率の向上や安全性の面で好
適な場合があるが、このような方法が本発明の範囲に包
含されることはいうまでもない。
【0018】原料化合物として用いられる7-アミノ-1-
ベンゾスベロンは、公知の方法(例えば、J. Org. Che
m., 27, 70, 1962 などに記載の方法)に従って容易に
製造することができる。本発明の方法に使用可能な7-ア
ミノ-1-ベンゾスベロンの塩を形成する酸は、式(XII)で
表されるジアゾニウム化合物の生成反応(ジアゾ化)に
おいて不活性であればその種類は特に限定されない。7-
アミノ-1-ベンゾスベロンの塩として、例えば、塩酸
塩、臭化水素酸塩などの無機酸の付加塩のほか、ジアゾ
ニウム塩の生成反応において不活性な有機酸の付加塩を
用いることができる。
【0019】式(III)で表される亜硝酸エステル類にお
いて、Rが示す低級アルキル基としては、例えば炭素数
1から6個、好ましくは炭素数1から4個の直鎖又は分
枝鎖のアルキル基を用いることができる。より具体的に
は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル
基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペ
ンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペ
ンチル基、n-ヘキシル等などを用いることができる。ま
た、式(XII)で表されるジアゾニウム化合物において、
Z-で表されるアニオン種の種類は特に限定されず、1価
又は多価の任意のアニオン種を用いることができる。ア
ニオン種として、好ましくは、1価のアニオン種、例え
ば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、又はテト
ラフルオロホウ素イオンなどを用いることができる。
【0020】本発明の方法の好ましい態様の例として、
式(IV)で表されるフルオロベンゼン誘導体としてX1
X2、及びX3が共に水素原子である化合物(IV-a:モノフル
オロベンゼン) を用いる場合には、下記のスキームに従
って式(I-a)で表される化合物を製造することができ
る。
【化23】
【0021】式(II)で表される化合物と当量〜大過剰の
モノフルオロベンゼンとを、1〜10当量、好ましくは1〜
2当量の亜硝酸エステル類の存在下に無溶媒又は適宜の
溶媒中で反応させることにより、化合物(I-a)を製造す
ることができる。通常、反応は0℃〜モノフルオロベン
ゼン又は溶媒の沸点までの温度範囲で0.5時間〜24時間
程度で終了する。溶媒の種類は上記反応において不活性
であれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、シク
ロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトニトリル
等の非芳香族系有機溶媒;ジオキサン、テトラヒドロフ
ラン、ジメトキシエタン、エチレングチコールジメチル
エーテル等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホ
ルム、エチレンジクロリド等のハロゲン化炭化水素系溶
媒;又はこれらの混合物などを用いることができる。溶
媒を用いる場合には、その使用量は、化合物(II)に対し
て1〜100倍程度である。
【0022】式(IV)で表されるフルオロベンゼン誘導体
としてモノフルオロベンゼンを用いる別の好ましい態様
として、式(XII)で表されるジアゾニウム化合物を当量
〜大過剰のモノフルオロベンゼン、触媒量の18-クラウ
ン-6 (1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカ
ン) 等の相間移動触媒と無溶媒又は溶媒中で反応させて
化合物(I-a)を製造する方法を用いてもよい。この反応
は、必要に応じて1〜10当量の酢酸カリウムの存在下に
行うことができ、0℃〜モノフルオロベンゼン又は反応
溶媒の沸点までの温度範囲で0.5〜24時間で完了する。
溶媒の種類は上記反応において不活性であれば特に限定
されないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂
肪族炭化水素系溶媒、アセトニトリル等の非芳香族系有
機溶媒;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシ
エタン、エチレングチコールジメチルエーテル等のエー
テル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、エチレンジ
クロリド等のハロゲン化炭化水素系溶媒;又はこれらの
混合物などを用いることができる。溶媒を用いる場合に
は、その使用料は化合物(II)に対して1〜100倍程度であ
る。
【0023】式(IV)で表されるフルオロベンゼン誘導体
として、X1、X2、及びX3がそれぞれ独立に水素原子、塩
素原子、臭素原子、又はヨウ素原子からなる群から選ば
れる化合物(IV-b)(ただし、X1、X2、及びX3が同時に水
素原子であることはない)を用いて対応する化合物(I-
b)を製造した後、接触還元などの処理によってX1、X2
及びX3が共に水素原子である化合物(I-a)に変換するこ
ともできる。
【0024】
【化24】
【0025】化合物(II)と化合物(IV-b)との反応は、化
合物(II)と化合物(IV-a)とを反応させる上記スキームの
反応条件に準じて行うことができる。化合物(I-b)から
化合物(I-a) への変換反応程は、溶媒中で触媒量のパラ
ジウム/炭素あるいは酸化白金等の触媒を用い、0℃〜
反応溶媒の沸点の温度範囲で0.5時間〜24時間反応させ
ることに接触還元条件下に行うことができる。溶媒の種
類は上記反応において不活性であれば特に限定されない
が、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化
水素系溶媒;アセトニトリル等の非芳香族系有機溶媒;
メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール
類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタ
ン、エチレングチコールジメチルエーテル等のエーテル
系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;塩
化メチレン、クロロホルム、エチレンジクロリド等のハ
ロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエス
テル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シドなどの非プロトン性溶媒;又はこれらの混合物など
を用いることができる。溶媒の使用量は、化合物(I-b)
に対して1〜100倍程度である。
【0026】さらに、化合物(Ia)と5-フルオロイサチン
とを水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ性
条件下、エタノール−水混合溶媒中で、通常、室温〜1
00℃程度の温度下に12〜72時間反応させることにより
化合物(V)を得ることができる。5-フルオロイサチンは
アルドリッチ社等から購入することにより入手すること
ができる。
【0027】
【化25】 (式中、X1、X2、及びX3はそれぞれ独立に水素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はニトロ基を示す
が、X1、X2、及びX3が同時に水素原子であることはな
い)
【0028】また、上記式のように化合物(Ib)と5-フル
オロイサチンとを塩基存在下に直接反応させて化合物(X
III)を得た後、この化合物を必要に応じて接触還元等で
還元することによっても化合物(V)を得ることができ
る。この場合、化合物(Ib)と5-フルオロイサチンとの反
応及び化合物(XIII)の接触還元反応は、前記と同様の反
応条件で行うことができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され
ることはない。 例1:7-(2-フルオロフェニル)-1-ベンゾスベロン[化合
物(I-a)] 7-アミノ-1-ベンゾスベロン115 mg (0.66 mmol) にモノ
フルオロベンゼン 12.0mL (128 mmol) 及び亜硝酸イソ
アミル 0.15 mL (1.13 mmol)を順次加え、70℃にて5 分
間、室温にて1.5 時間攪拌した後、さらに混合物を2時
間加熱還流した。反応混合物を放冷した後、混合物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒:Hexane
/EtOAc= 20:1→10:1) で精製し、化合物(I-a) 及びその
位置異性体を 68.6 mg (収率 41%) 得た〔ortho 体 [化
合物(I-a)]: meta体: para体 (以下、o:m:p と略す。)
= 10:7.6:3.6〕。位置異性体比率は13C NMR におけるフ
ッ素が直接結合した炭素由来のシグナルの強度比から求
めた。それぞれの炭素原子の化学シフト値は以下のとお
りである。meta体:163.1 (d, J=247 Hz); para 体:16
2.8 (d, J=248 Hz); ortho体:159.7 (d, J=249 Hz)
【0030】例2:7-(2-フルオロフェニル)-1-ベンゾ
スベロン[化合物(I-a)] 7-アミノ-1-ベンゾスベロン 105 mg (0.61 mmol) にホ
ウフッ化水素酸 (42 wt.%, solution in water) 0.30 m
L (2.0 mmol)を加えた後、氷冷した。この溶液に氷冷し
た亜硝酸ナトリウム 49.8 mg (0.72 mmol)の水溶液 1.0
mL を1分間かけて加えた後、3分間攪拌して生じた沈
殿を濾取し、氷水、エーテルにて順次洗浄した後、減圧
下で乾燥してジアゾニウム塩を得た。得られた固体に18
-Crown-6(1,4,7,10,13,16-hexaoxacyclooctadecane) 1
1.1 mg (0.04 mmol)、モノフルオロベンゼン 6.0 mL (6
4 mmol) 及び酢酸カリウム 120 mg (1.22 mmol) を順次
加え、室温で3時間攪拌した。得られた反応混合物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒: Hexane
/EtOAc= 20:1→10:1) で精製し、化合物(I-a)及びその
位置異性体を 56.8 mg (収率 37%) 得た(o:m:p= 10:5.
8:1.9)。
【0031】例3:7-(2-フルオロフェニル)-1-ベンゾ
スベロン[化合物(I-a)] 7-アミノ-1−ベンゾスベロン 151 mg (0.87 mmol) にホ
ウフッ化水素酸 (42 wt.%, solution in water) 0.45 m
L (3.0 mmol)を加えた後、氷冷した。この溶液に氷冷し
た亜硝酸ナトリウム 68.4 mg (0.99 mmol)の水溶液 1.0
mL を1分間かけて加え、さらに3分間攪拌した後、18
-Crown-6 14.3 mg (0.05 mmol)、モノフルオロベンゼン
10.0 mL (107 mmol)、及び酢酸カリウム 418 mg (4.26
mmol) を順次加え、室温にて2時間攪拌した。得られ
た反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶出溶媒:Hexane/EtOAc= 20:1→10:1) にて精製し、
化合物(I-a) 及びその位置異性体を 33.7 mg (収率 15
%) 得た(o:m:p = 10:7.3:1.6)。
【0032】例4:7-(3-ブロモ-6-フルオロフェニル)-
1-ベンゾスベロン[化合物(I-b)] 7-アミノ-1-ベンゾスベロン 30.8 mg (0.18 mmol)に1-
ブロモ-4-フルオロベンゼン 2.5 mL (23 mmol) 及び亜
硝酸イソアミル 0.04 mL (0.30 mmol)を順次加え、70℃
にて5分間、室温にて2.5時間攪拌した後、さらに110℃
にて2時間攪拌した。反応混合物を放冷した後、混合物
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒:He
xane/EtOAc= 20:1→10:1) にて精製して 7-(3-ブロモ-6
-フルオロフェニル)-1-ベンゾスベロン及び7-(2-ブロモ
-5-フルオロフェニル)-1-ベンゾスベロンの混合物(1:
1) 23.7 mg (収率 40%) を得た。
【0033】例5:7-(2-フルオロフェニル)-1-ベンゾ
スベロン[化合物(I-a)] 7-(3-ブロモ-6-フルオロフェニル)-1-ベンゾスベロン
[化合物(I-b)]及び7-(2-ブロモ-5-フルオロフェニル)-1
-ベンゾスベロンの混合物 (1:1) 23.5 mg (0.07 mmol)
にメタノール 4.0 mL、10% Pd/C (50% 含水物) 12.6 mg
を順次加え、系内を水素雰囲気下とした後、室温にて3
0分間攪拌した。反応混合物をセライトを用いて濾過
し、得られた濾液を減圧下に濃縮後、残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー (溶出溶媒:Hexane/EtOAc=
20:1→15:1→10:1) にて精製し、化合物(I-a) 及び7-(3
-フルオロフェニル)-1-ベンゾスベロンの混合物 (1:1)
11.2 mg (収率 62%) を得た。
【0034】例6:10-フルオロ-3-(2-フルオロフェニ
ル)-6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-b]
キノリン-8-カルボン酸(化合物V) 例1〜3で得られる化合物(Ia) 0.62 g (2.4 mmol)と5-
フルオロイサチン 0.41g (2.4 mmol)とをエタノール 4
mL に溶解させ、水酸化カリウム 0.67 g (12 mmol) を
含む水2 mL を加えた。50時間加熱還流後、溶媒を留去
し、エーテルを加え水で抽出した。水層に塩酸を加え析
出した結晶を濾取し、エーテルで洗浄した。得られた結
晶をジメチルホルムアミド−水から再結晶することによ
り、表記化合物 445 mg(収率 46%) を得た。 融点:>300 ℃ 元素分析(%) :C25H17F2NO・0.4H2O 計算値:C 73.49,H 4.39, N 3.43 実測値:C 73.55,H 4.04, N 3.34 IR(KBR) cm-1: 2940, 2860, 1730, 1625, 1500, 1480,
1240 MNR(DMSO-d6)δ(ppm): 8.24-8.19 (1H, m), 7.87 (1H,
d, J=8Hz), 7.79-7.32 (8H, m), 2.89-2.61 (4H, m),
2.26-2.21 (2H, m) MS(m/e): 401(M+), 356
【0035】
【発明の効果】本発明により、医薬の製造用中間体とし
て有用な化合物(I-a)及びその誘導体を効率的かつ安価
に製造することができる。本発明の方法は、医薬の製造
に好適な高品質な製造中間体を大量に製造するための方
法として、工業的規模での応用が可能である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式(I): 【化1】 (式中、X1、X2、及びX3はそれぞれ独立に水素原子、塩
    素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はニトロ基を示す)
    で表される7-(2-フルオロフェニル)-1-ベンゾスベロン
    の製造方法であって、下記の工程: (1)下記の式(II): 【化2】 で表される7-アミノ-1-ベンゾスベロン又はその塩と下
    記の式(III):R-(ONO)n(式中、R は低級アルキル基を
    示し、n は1から3の整数を示す)で表される亜硝酸エ
    ステル類又は亜硝酸塩類とを反応させる工程;及び(2)
    上記工程(1)で得られるジアゾニウム化合物又はその塩
    と下記の式(IV): 【化3】 (式中、X1、X2、及びX3はそれぞれ独立に水素原子、塩
    素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はニトロ基を示す)
    で表されるフルオロベンゼン誘導体とを反応させる工程
    を含む方法。
  2. 【請求項2】 X1、X2、及びX3が共に水素原子である請
    求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 下記の式(I): 【化4】 (式中、X1、X2、及びX3はそれぞれ独立に水素原子、塩
    素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はニトロ基を示す)
    で表される 7-(2-フルオロフェニル)-1-ベンゾスベロン
    の製造方法であって、下記の式(XII): 【化5】 (式中、 Z- はアニオン種を示す)で表されるジアゾニ
    ウム化合物と下記の式(IV): 【化6】 (式中、X1、X2、及びX3はそれぞれ独立に水素原子、塩
    素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はニトロ基を示す)
    で表されるフルオロベンゼン誘導体とを反応させる工程
    を含む方法。
  4. 【請求項4】 X1、X2、及びX3が共に水素原子である請
    求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 下記の式(V): 【化7】 で表される6,7-ジヒドロ-10-フルオロ-3-(2-フルオロフ
    ェニル)-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-b]キノリン-
    8-カルボン酸の製造方法であって、下記の工程: (1)下記の式(II): 【化8】 で表される7-アミノ-1-ベンゾスベロン又はその塩と下
    記の式(III):R-(ONO)n(式中、R は低級アルキル基を
    示し、n は1から3の整数を示す)で表される亜硝酸エ
    ステル類又は亜硝酸塩類とを反応させる工程; (2)上記工程(1)で得られるジアゾニウム化合物又はその
    塩と下記の式(IV): 【化9】 (式中、X1、X2、及びX3はそれぞれ独立に水素原子、塩
    素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はニトロ基を示す)
    で表されるフルオロベンゼン誘導体とを反応させる工
    程; (3)X1、X2、及びX3が同時に水素原子でない場合には、
    上記工程(2)で得られる化合物を還元してX1、X2、及びX
    3が同時に水素原子である化合物に変換する工程;及び (4)上記の工程(2)又は(3)で得られる化合物と5-フルオ
    ロイサチンとを塩基の存在下に反応させる工程を含む方
    法。
  6. 【請求項6】 下記の式(V): 【化10】 で表される6,7-ジヒドロ-10-フルオロ-3-(2-フルオロフ
    ェニル)-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-b]キノリン-
    8−カルボン酸の製造方法であって、下記の工程: (1)下記の式(II): 【化11】 で表される7-アミノ-1-ベンゾスベロン又はその塩と下
    記の式(III):R-(ONO)n(式中、Rは低級アルキル基を示
    し、n は1から3の整数を示す)で表される亜硝酸エス
    テル類又は亜硝酸塩類とを反応させる工程; (2)上記工程(1)で得られるジアゾニウム化合物又はその
    塩と下記の式(IV): 【化12】 (式中、X1、X2、及びX3はそれぞれ独立に水素原子、塩
    素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はニトロ基を示す)
    で表されるフルオロベンゼン誘導体とを反応させる工
    程; (3)上記工程(2)で得られた化合物と5-フルオロイサチン
    とを塩基の存在下に反応させ、式(XIII): 【化13】 (式中、X1、X2、及びX3はそれぞれ独立に水素原子、塩
    素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はニトロ基を示す)
    で表される化合物を製造する工程;及び (4)X1、X2、及びX3が同時に水素原子でない場合には、
    上記の工程(3)で得られる化合物(XIII)を還元する工程
    を含む方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2283833A2 (en) 2004-02-25 2011-02-16 La Jolla Pharmaceutical Co. Amines and amides for the treatment of diseases

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