JP2000006376A - インキ供給機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷完了時にインキが残存しないインキ供給
機構を提供する。 【解決手段】 囲繞形のドクターブレード部１１を可撓
性を有するブラダ３０によってインキチャンバ３１と密
封圧力室３２とに分割して、フレキソ印刷機又は類似の
印刷機のためのインキ供給機構を構成する。印刷作業の
長さに適合した混合インキを使用する。そして、印刷完
了と同時にインキチャンバ３１が実質的に容量ゼロに収
縮するように構成しておく。可撓性を有するブラダ３０
をインキ洗浄作業にも利用し、インキ供給機構及び印刷
用混合インキで汚れた印刷機のあらゆる部分に洗浄溶液
を供給する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、印刷部に供給され
た混合インキを印刷完了時点で迅速に除去することが可
能なインキ供給機構及びインキ供給方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】オフセット輪転印刷又はフレキソ印刷で
は、回転しているロールの外周面に均一に薄いインキフ
ィルムが形成され、このインキフィルムは反対方向に回
転するように介在された隣接ロール又は印刷ロールの外
周面に転移され、最終的には印刷ロールと、反対方向に
回転する押さえロールとの間を走行している紙ウエブ又
はその他の素材の表面に転写される。フレキソ印刷機の
典型的な構造では、印刷システムは、インキ供給リザー
バ及びドクターブレードを利用する周知の方法により外
周面に調整された厚さの薄いインキフィルムが形成され
るインキ転移ロール又はアニロックスロールを備えてい
る。このような印刷システムでは通常、囲繞形のドクタ
ーブレード部が構成され、このドクターブレード部は、
アニロックスロールの外周面に当接し、インキチャンバ
の周壁の内の周方向に離隔している上側壁及び下側壁を
形成する一対のドクターブレードを有している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のフレ
キソ印刷では、印刷に用いられる色のインキは予め混合
されて形成され、この混合インキはバケット又は類似の
容器に収容されてドクターブレード部又はその他の供給
構造に送り込まれ、印刷用のロールであるアニロックス
ロール又はインキ転移ロールに供給される。バケット内
のインキ量は印刷サイズに基づいて算出されるべきであ
るが、結果的に使用量よりも多いインキがバケット内に
収容され、印刷完了時に混合インキのかなりの量が残存
してしまうこともまれではない。

【０００４】フレキソ印刷完了時の混合インキの清掃は
手間がかかり、しばしば装置の大きな調整及びいくつか
の部品の分解さえも必要となる。さらに、インキ容器内
の残存インキ量が過度になる問題に加えて、インキを保
護し、清掃作業がより煩雑となることを避けるために、
インキチャンバ内を清掃に先立ってインキが排出された
状態にしておかなければならないという問題もある。

【０００５】そこで本発明は、印刷完了時にインキが残
存しないインキ供給機構及びインキ供給方法を提供する
ことを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のインキ供給機構
及びインキ供給方法では通常、望まれた色のインキが印
刷に対応して算出された量だけ混合されて形成される。
本発明のインキ供給機構及びインキ供給方法はまた、囲
繞形のドクターブレード部の容量を変化させる新規な構
成を利用していて、ドクターブレード部又はドクターブ
レード室の容量は印刷完了と同時に実質的にゼロに収縮
する。容量の変化はまた、印刷完了時に洗浄溶液を循環
させるために利用され、次の印刷への準備作業に用いら
れる。

【０００７】そして、本発明のインキ供給機構は、所定
範囲の印刷を行うための印刷用のロールに印刷用インキ
を供給して付着させるインキ供給機構であって、実質的
に全幅又は全長にわたって印刷用のロール（アニロック
スロール又はその他のインキ転移用ロールあるいは印刷
ロール）の外周面の周方向一部分と連なるように形成さ
れたインキチャンバと、インキチャンバの後方に隣接し
て設けられた密封圧力室と、印刷用のロールの前記外周
面に当接し、インキチャンバを囲む周方向に離隔したチ
ャンバ壁の一方を形成するドクターブレード（第１のド
クターブレード）と、インキチャンバの後壁を形成し、
かつ密封圧力室の前壁を形成する可撓性を有するブラダ
と、インキチャンバに印刷用インキを圧送し又は送り込
むためのインキ供給装置と、印刷完了信号又は転移完了
信号に応じて密封圧力室の圧力を調整し、ブラダを印刷
用のロールの外周面の方向に変形させて押し潰すことに
よりインキチャンバの容量を減少させることができるよ
うに構成された加圧装置と、を備えているものである。
インキチャンバを囲む周方向に離隔したチャンバ壁の他
方を形成する別のドクターブレード（第２のドクターブ
レード）を有している場合が多い。また通常は、インキ
供給装置に接続されて、インキチャンバに印刷用インキ
を軸方向に沿って均一に供給する供給マニホールドを有
している。

【０００８】より具体的には、インキ供給装置は、ミキ
サと、互いに異なる色のインキを収容するインキ収容供
給部と、それぞれのインキ収容供給部をミキサに接続
し、ミキサへのインキの配給量を調整できるように構成
されたインキ配給手段と、ミキサにインキを適当量配給
して所定の色の印刷用インキを形成するために、所定の
色を表す色選択信号に応じてそれぞれのインキ配給手段
を調整するコントローラと、ブラダの位置を検出し、チ
ャンバ容量を表すチャンバ信号を出力する位置センサ
と、印刷作業中又は転移作業中の所定時で、印刷に使用
された印刷用インキの総量を表す動的又はダイナミック
インキ信号又は終了部分を示す終了範囲信号を出力する
印刷用インキ量監視手段と、から構成される。コントロ
ーラは、チャンバ信号及びインキ信号又は終了範囲信号
に応じて、印刷完了又は転移完了と同時にインキチャン
バが最も収縮するように加圧装置を作動させる。コント
ローラはさらに、印刷完了信号又は転移完了信号に応じ
て印刷用インキの供給を停止させる。

【０００９】インキ供給装置は、洗浄溶液を圧送又は移
送する洗浄溶液供給手段と、インキチャンバに接続さ
れ、このインキチャンバに印刷用インキを供給し、かつ
洗浄溶液をも供給するように構成された共通の供給管と
を備えることが好ましい。コントローラは、所定のサイ
クルで、洗浄溶液の供給とインキチャンバに対する加圧
とを交互に行わせ、インキチャンバに洗浄溶液を供給
し、供給された洗浄溶液をインキチャンバから排出させ
る。

【００１０】別の構成の本発明のインキ供給機構は、所
定範囲の印刷を行うための印刷用のロールに対して配置
された囲繞形のドクターブレード部に印刷用インキを供
給するインキ供給機構であって、複数のインキ収容供給
部と、それぞれのインキ収容供給部からインキを配給す
る容積移送式の流量調節装置と、流量調節装置とドクタ
ーブレード部のドクターブレード室とを接続するように
配置されたミキサと、ドクターブレード室を所望の容量
に変化させる容量調節装置と、ミキサにインキ収容供給
部からインキを配給して所定の色の印刷用インキを形成
するために、所定の色を表す色選択信号に応じてそれぞ
れの流量調節装置を調整するコントローラと、計測され
た印刷終了部分又は転移終了部分に使用されている印刷
用インキ量を表すインキ信号又は終了部分を示す終了範
囲信号を出力する印刷用インキ量監視手段とを備え、コ
ントローラは、ドクターブレード室の容量を表す信号及
びインキ信号又は終了範囲信号に応じて、印刷完了又は
転移完了と同時に容量がゼロに接近する態様でドクター
ブレード室の容量が減少するように容量調節装置を作動
させるものである。そして好ましくは、所定の色との偏
差を表す色偏差信号、又は色監視信号を出力する色監視
手段をさらに備え、コントローラが色偏差信号又は色監
視信号に応じて流量調節装置からのインキの配給量を調
整するように構成される。それぞれの流量調節装置は容
積式流量調節ポンプであることが好ましい。また、イン
キ供給機構は、ミキサに接続され、このミキサを通して
ドクターブレード室にインキの洗浄溶液を供給するよう
に構成された洗浄溶液供給手段をさらに備え、洗浄溶液
供給手段は、容量調節装置の作動に対応して洗浄溶液を
ミキサを介してドクターブレード室に供給し又は回収す
るように構成される。ドクターブレード室の容量調節装
置は、可撓性を有するチャンバ壁と、このチャンバ壁を
印刷用のロールの外周面に向かって押し潰してドクター
ブレード室の容量を減少させる加圧装置とから構成され
る。

【００１１】また、本発明のインキ供給方法は、インキ
を混合して所定の色を現す印刷用インキを形成し、この
印刷用インキを印刷用のロールに対して配置された囲繞
形のドクターブレード部に供給するインキ供給方法であ
って、（１）互いに異なる色のインキを収容するインキ
収容供給部を準備し、（２）インキ収容供給部から所定
量のインキをミキサに供給して混合し、所定の色を現す
印刷用インキを形成し、（３）印刷用インキをミキサか
らドクターブレード部のドクターブレード室に供給し、
（４）ドクターブレード室に、このドクターブレード室
の容量を実質的にゼロとなる最小容量に変化させること
が可能な移動チャンバ壁を配置しておき、（５）印刷又
は転移終了部分とこの印刷又は転移終了部分に使用され
た印刷用インキの量とをリアルタイムに計測し、（６）
計測された印刷又は転移終了部分と印刷用インキの使用
量とから、印刷又は転移を完了するのに必要な印刷用イ
ンキの残りの量を算出し、（７）供給された印刷用イン
キの総量が、印刷用インキの使用量に、必要な残りの量
を加えた量と等しくなったときに、インキ収容供給部か
らのインキの供給を停止し、（８）印刷又は転移完了と
ともに、移動チャンバ壁を移動させてドクターブレード
室の容量を実質的にゼロに収縮させる、ものである。

【００１２】移動チャンバ壁はドクターブレード室の後
壁を形成する可撓性を有するブラダであることが好まし
く、インキ供給方法は、印刷中にブラダを外側から加圧
しておき、ドクターブレード室内に位置する印刷用のロ
ールの外周面全体と実質的に接触するまでブラダを押し
潰すことにより、ドクターブレード室の容量を実質的に
ゼロに収縮させるものであることが効果的である。イン
キ供給方法はさらに、ブラダを膨張させながらドクター
ブレード室に洗浄溶液を送り込み、ブラダを押し潰して
洗浄溶液及び残存している印刷用インキを除去又は排出
する工程を含むことが好ましい。

【００１３】本発明は、混合されて所定の色を現すよう
に予め形成されているインキが収容されたバケットを印
刷機に接続配置し、印刷用のロールにインキを付着させ
る装置、例えば囲繞形のドクターブレード装置に直接混
合インキを供給できるように構成した従来の方式を改良
するものである。本発明での主な改良点は、印刷に必要
な量のインキを正確に混合して供給できるようにし、そ
して印刷又は転移完了時にインキ供給機構の多くの部分
を利用して印刷用のロールを清掃できるようにしたこと
である。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。

【００１５】図１は本発明に係るインキ供給機構の構成
を示す概念図である。

【００１６】所定の色を現すように混合されたインキ
は、アニロックスロール１０（印刷用のロール）の外周
面に対向して配置された囲繞形のドクターブレード部１
１から、回転しているこのアニロックスロール１０の外
周面に直接供給される。ここでは、ドクターブレード部
１１と離隔して配置され、複数の他の印刷システムにも
インキを直接的に供給することが可能な１つ又は２つ以
上の収容供給部１２から供給されるインキによって所定
の色を現している。典型的には、赤、黄及び青の原色イ
ンキを収容するインキ収容供給部１２が設けられ、さら
に黒インキの収容供給部１２が構成されるとともに、白
又は透明の溶剤、一般的には水性インキ（ａｑｕｅｏｕ
ｓ ｂａｓｅｄ ｉｎｋｓ）に用いる水の収容供給部１
２が構成される。プログラム可能なシステムコントロー
ラ１３が、現すべき色を示す色選択信号１４や印刷範囲
を示す印刷サイズ信号１４、そしてリアルタイムの計測
出力情報に応じてインキの混合及び監視システムの作動
を自動的に制御する。それぞれのインキ収容供給部１２
には、精密に制御可能な容積移送装置としての流量調節
ポンプ１６が設けられたインキ供給ライン１５（インキ
配給手段）が接続されていて、流量調節ポンプ１６はこ
のインキ供給ライン１５を通し、締切バルブ１８を通過
させてミキサ１７にインキを配給する。ミキサ１７には
例えばタービンミキサを用いることができる。それぞれ
の流量調節ポンプ１６及び締切バルブ１８はシステムコ
ントローラ１３によって遠隔的に制御されて作動する。
色選択信号１４の入力に応じて、ミキサ１７に所定の色
が現されるように正確な量の構成インキが供給され、こ
のミキサ１７で混合されたインキは排出ライン２０を通
って供給マニホールド２１に導かれる。供給マニホール
ド２１に導かれた混合インキ（印刷用インキ）は、この
供給マニホールド２１に設けられた連結部２２（供給
管）を通ってドクターブレード部１１に供給されるが、
連結部２２は複数個設けられ、アニロックスロール１０
に軸方向に沿って混合インキが均一に分配されるように
構成されている。

【００１７】図２は図１の２−２線にほぼ沿った拡大断
面図であり、収縮状態のドクターブレード部を示す図、
図３は膨張状態のドクターブレード部を示す断面図であ
る。

【００１８】囲繞形のドクターブレード部１１は剛性を
有する支持部材２３を備えていて、この支持部材２３は
断面ほぼ長方形のスチール製チューブであり、アニロッ
クスロール１０の軸方向に沿い、囲繞部２８の全長にわ
たって延びている。支持部材２３の前壁２４（アニロッ
クスロール１０側の壁）に対しては、支持部材２３とア
ニロックスロール１０との間に位置するように、上側取
付ブラケット２５及び下側取付ブラケット２５が取り付
けられていて、この上側取付ブラケット２５及び下側取
付ブラケット２５にはそれぞれ、可撓性を有するドクタ
ーブレード２６が固定されている。前壁２４のそれぞれ
の側端部と、取付ブラケット２５及びドクターブレード
２６との間は、囲繞部又はドクターブレードチャンバ２
８が形成されるように適当な端壁部材２７によって密封
的に閉塞されている。囲繞部２８内には、取付ブラケッ
ト２５、２５に上端部及び下端部が支えられて、可撓性
を有する天然ゴム又は合成ゴム製のブラダ３０が配置さ
れ、このブラダ３０はチャンバ２８の全長にわたって延
びていて、それぞれの側端縁が端壁部材２７に密封的に
取り付けられている。ブラダ３０は、囲繞部２８を、ド
クターブレード２６に囲まれて形成された、アニロック
スロール１０の外周面に隣接する又は連なるインキチャ
ンバ又はドクターブレード室３１と、支持部材２３の前
壁２４側の後方密封圧力室３２とに分割している。供給
マニホールド２１のチューブ状の連結部２２のそれぞれ
は、支持部材２３を貫通して延び、囲繞部２８内でブラ
ダ３０に追随してアニロックスロール１０の外周面と離
接して移動できるように構成されたブラダコネクタ３３
を有していて、このブラダコネクタ３３はインキチャン
バ３１と連通するように開口している。それぞれのブラ
ダコネクタ３３は、先端がブラダ３０に固定されてい
る、連結部２２内、より具体的には連結部２２内の前方
側に軸方向へスライド可能に挿入された短い両端開口の
チューブ３４から構成され、このチューブ３４と連結部
２２との間は適当な環状シール部材３５によってシール
されている。

【００１９】後方密封圧力室３２には空気供給ライン３
７を介して圧縮空気源３６（加圧装置）が接続され、シ
ステムコントローラ１３により制御されて圧縮空気源３
６から後方密封圧力室３２に圧縮空気が供給される。流
量調節ポンプ１６を通過してタービンミキサ１７内で混
合されたインキは、インキチャンバ３１内への混合イン
キの充填によりブラダ３０が後方に変形移動してインキ
チャンバ３１が拡張し得る圧力状態の下で、このインキ
チャンバ３１に供給される（図３参照）。そして、イン
キチャンバ３１内の流体圧力以上の空気圧が圧縮空気源
３６からインキチャンバ３１に加えられると、ブラダ３
０はアニロックスロール１０方向に前方へ向かって変形
移動し、その結果、インキチャンバ３１は収縮する（図
２参照）。インキチャンバ３１は、インキチャンバ３１
からアニロックスロール１０へのインキの移しに対応し
て収縮し、さらにあるいはインキチャンバ３１から供給
マニホールド２１及びミキサ１７を通過するインキある
いは洗浄溶液の逆流を生じさせる際に収縮する。

【００２０】混合インキがインキチャンバ３１に供給さ
れる際には、ブラダ３０がインキ供給圧力により拡張又
は膨張状態となりインキチャンバ３１内に混合インキが
充填されることとなる。印刷システムが作動し、インキ
がアニロックスロール１０に付着しても、インキチャン
バ３１内への混合インキの供給を維持すべきシステムコ
ントローラ１３の指令に基づき、印刷システムは作動を
継続する。システムコントローラ１３には印刷サイズ信
号が入力されるが、印刷システムが作動すると、エンコ
ーダ、レゾルバ又はその他のリアルタイム計測装置のよ
うな動作センサ３８（印刷用インキ量監視手段：図１参
照）が印刷終了部分を示す終了範囲信号をシステムコン
トローラ１３に発信し、システムコントローラ１３はこ
の終了範囲信号、そして印刷サイズ信号に基づき印刷作
業の完了に必要なインキ量を算出する。

【００２１】囲繞部２８には位置センサ４０が配置さ
れ、この位置センサ４０はブラダ３０の位置を監視して
システムコントローラ１３にインキチャンバ３１の容量
を表すリアルタイムのチャンバ信号を出力する。システ
ムコントローラ１３は、チャンバ信号及び算出された必
要とされる残りのインキ量に応じて、印刷作業の完了と
同時にインキチャンバ３１が最小限容量に押し潰される
ように、圧縮空気源３６を制御してブラダ３０を変形移
動させる。また、システムコントローラ１３は、算出さ
れた又は計測された混合インキ量が印刷作業を完了する
のに十分なものとなったときに、流量調節ポンプ１６を
停止させ、締切バルブ１８を閉じることにより、収容供
給部１２を閉塞する。

【００２２】ミキサ１７の下流側、例えば排出ライン２
０には色分析器４１（色監視手段）が設けられ、この色
分析器４１は混合インキの色を継続的に監視してシステ
ムコントローラ１３に色監視信号を出力する（図１参
照）。色分析器４１には観測ガラス４２が取り付けられ
ていて、この観測ガラス４２を通して適当なスペクトル
分析を行うことによりシステムコントローラ１３に色監
視信号が出力される。システムコントローラ１３は、色
監視信号が入力されると、観測された色と所定の色との
偏差に基づき流量調節ポンプ１６の内の必要なものの作
動を調整し、混合インキの色を所定のものに調整する。

【００２３】ブラダ３０がアニロックスロール１０に接
触するまで完全に潰れた状態となったときには、インキ
チャンバ３１の容積が実質的にゼロとなり、インキチャ
ンバ３１内には混合インキがほとんど残存しないで印刷
作業が完了しているのが最も好ましい。しかしながら、
次の印刷作業を続行するのに許容される量以上の混合イ
ンキが残存している場合には、後方密封圧力室３２を同
様の態様で加圧し、流量制御バルブ４４を適当に調整し
て残存混合インキをインキリザーバ４３に戻すこととな
る。

【００２４】印刷作業が完了すると、このインキ供給機
構の一部分を利用して、ミキサ１７、マニホールド２
１、インキチャンバ３１及びアニロックスロール１０の
外周面を清掃してインキを除去する。印刷作業が完了し
てブラダ３０がインキチャンバ３１の容量を実質的にゼ
ロにするように変形すると、洗浄溶液が洗浄溶液源４６
（洗浄溶液供給手段）からミキサ１７内に供給され、そ
してミキサ１７から排出ライン２０を介してマニホール
ド２１内に導かれ、さらにマニホールド２１から連結部
２２を介してインキチャンバ３１内に流れ込む。圧縮空
気圧を減少させるとインキチャンバ３１は拡張又は膨張
して洗浄溶液で満たされる。ここで、外周面が洗浄溶液
で洗浄されるようにアニロックスロール１０及びその他
のロールを回転させれば、印刷機構の大きな調整又は部
分的な取外しを行うことなく付着している混合インキを
除去できる。圧縮空気を密封圧力室３２に周期的に供給
してブラダ３０を押し潰し、洗浄溶液を加圧してミキサ
１７から上流側に逆流させ、使用済み洗浄溶液用のリザ
ーバ４７に最終的に流入させる。洗浄リザーバ４７には
インキ顔料を回収するための適当なセパレータを設けて
おくことが好ましい。残存している洗浄溶液は適当に排
出されるが、別の洗浄装置（図示せず）を使用して同様
な態様で洗浄溶液を洗い流してもよい。

【００２５】本発明のインキ供給機構は、プロセス印刷
システム（ｐｒｏｃｅｓｓ ｐｒｉｎｔｉｎｇ ｓｙｓ
ｔｅｍ）において使用されるフレキソ印刷機にも用いる
ことができる。プロセス印刷においては、離隔して設け
られたインキ収容供給部１２から、すでに述べた態様で
監視されながら単一色のインキが供給されるが、混合と
色の監視は必要ではない。また、すでに述べた構成の洗
浄機構を利用することができる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
印刷に必要な量のインキを正確に混合して供給できるの
で、印刷完了後に多量のインキが残存することを防止で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るインキ供給機構の構成を示す概念
図である。

【図２】図１の２−２線にほぼ沿った拡大断面図であ
り、収縮状態のドクターブレード部を示す図である。

【図３】膨張状態のドクターブレード部を示す断面図で
ある。

【符号の説明】

１０ アニロックスロール（印刷用のロー
ル） １１ ドクターブレード部 １２ 収容供給部（インキ供給装置） １７ ミキサ（インキ供給装置） ２６ ドクターブレード ３０ ブラダ ３１ インキチャンバ ３２ 密封圧力室 ３６ 圧縮空気源（加圧装置）

Claims (14)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定範囲の印刷を行うための印刷用のロ
   ールに印刷用インキを供給して付着させるインキ供給機
   構であって、 実質的に全幅にわたって前記印刷用のロールの外周面の
   周方向一部分と連なるように形成されたインキチャンバ
   と、 前記インキチャンバの後方に隣接して設けられた密封圧
   力室と、 前記印刷用のロールの前記外周面に当接し、前記インキ
   チャンバを囲む周方向に離隔したチャンバ壁の一方を形
   成するドクターブレードと、 前記インキチャンバの後壁を形成し、かつ前記密封圧力
   室の前壁を形成する可撓性を有するブラダと、 前記インキチャンバに前記印刷用インキを送り込むため
   のインキ供給装置と、 印刷完了信号に応じて前記密封圧力室の圧力を調整し、
   前記ブラダを前記印刷用のロールの前記外周面の方向に
   変形させて押し潰すことにより前記インキチャンバの容
   量を減少させることができるように構成された加圧装置
   と、 を備えている、ことを特徴とするインキ供給機構。
2. 【請求項２】 前記インキチャンバを囲む周方向に離隔
   した前記チャンバ壁の他方を形成する別のドクターブレ
   ードを有している、ことを特徴とする請求項１記載のイ
   ンキ供給機構。
3. 【請求項３】 前記インキ供給装置に接続されて、前記
   インキチャンバに前記印刷用インキを供給する供給マニ
   ホールドを有している、ことを特徴とする請求項１記載
   のインキ供給機構。
4. 【請求項４】 前記インキ供給装置は、 ミキサと、 互いに異なる色のインキを収容するインキ収容供給部
   と、 それぞれの前記インキ収容供給部を前記ミキサに接続
   し、前記ミキサへの前記インキの配給量を調整できるよ
   うに構成されたインキ配給手段と、 前記ミキサに前記インキを適当量配給して所定の色の前
   記印刷用インキを形成するために、前記所定の色を表す
   色選択信号に応じてそれぞれの前記インキ配給手段を調
   整するコントローラと、 前記ブラダの位置を検出し、チャンバ容量を表すチャン
   バ信号を出力する位置センサと、 印刷作業中の所定時で、印刷に使用された前記印刷用イ
   ンキの総量を表す動的インキ信号又は印刷終了部分を示
   す終了範囲信号を出力する印刷用インキ量監視手段と、
   から構成され、 前記コントローラは、前記チャンバ信号及び前記インキ
   信号又は終了範囲信号に応じて、印刷完了と同時に前記
   インキチャンバが最も収縮するように前記加圧装置を作
   動させる、ことを特徴とする請求項１記載のインキ供給
   機構。
5. 【請求項５】 前記インキ供給装置はさらに、 洗浄溶液を移送する洗浄溶液供給手段と、 前記インキチャンバに接続され、このインキチャンバに
   前記印刷用インキを供給し、かつ前記洗浄溶液をも供給
   するように構成された共通の供給管と、 印刷完了信号に応じて前記印刷用インキの供給を停止さ
   せるコントローラと、を備えている、ことを特徴とする
   請求項１記載のインキ供給機構。
6. 【請求項６】 前記コントローラは、所定のサイクル
   で、前記洗浄溶液の供給と前記加圧装置の作動とを交互
   に行わせ、前記インキチャンバに前記洗浄溶液を供給
   し、供給された前記洗浄溶液を前記インキチャンバから
   排出させる、ことを特徴とする請求項５記載のインキ供
   給機構。
7. 【請求項７】 所定範囲の印刷を行うための印刷用のロ
   ールに対して配置された囲繞形のドクターブレード部に
   印刷用インキを供給するインキ供給機構であって、 複数のインキ収容供給部と、 それぞれの前記インキ収容供給部からインキを配給する
   容積移送式の流量調節装置と、 前記流量調節装置と前記ドクターブレード部のドクター
   ブレード室とを接続するように配置されたミキサと、 前記ドクターブレード室を所望の容量に変化させる容量
   調節装置と、 前記ミキサに前記インキ収容供給部から前記インキを配
   給して所定の色の前記印刷用インキを形成するために、
   前記所定の色を表す色選択信号に応じてそれぞれの前記
   流量調節装置を調整するコントローラと、 計測された印刷終了部分に使用されている前記印刷用イ
   ンキ量を表すインキ信号又は印刷終了部分を示す終了範
   囲信号を出力する印刷用インキ量監視手段と、を備え、 前記コントローラは、前記ドクターブレード室の容量を
   表す信号及び前記インキ信号又は終了範囲信号に応じ
   て、印刷完了と同時に容量がゼロに接近する態様で前記
   ドクターブレード室の容量が減少するように前記容量調
   節装置を作動させる、ことを特徴とするインキ供給機
   構。
8. 【請求項８】 前記所定の色との偏差を表す色偏差信
   号、又は色監視信号を出力する色監視手段をさらに備
   え、前記コントローラは前記色偏差信号又は色監視信号
   に応じて前記流量調節装置からの前記インキの配給量を
   調整する、ことを特徴とする請求項７記載のインキ供給
   機構。
9. 【請求項９】 それぞれの前記流量調節装置は容積式流
   量調節ポンプである、ことを特徴とする請求項７記載の
   インキ供給機構。
10. 【請求項１０】前記ミキサに接続され、このミキサを通
    して前記ドクターブレード室にインキの洗浄溶液を供給
    するように構成された洗浄溶液供給手段をさらに備え、 前記洗浄溶液供給手段は、前記容量調節装置の作動に対
    応して前記洗浄溶液を前記ミキサを介して前記ドクター
    ブレード室に供給し、又は回収する、ことを特徴とする
    請求項７記載のインキ供給機構。
11. 【請求項１１】前記ドクターブレード室の前記容量調節
    装置は、可撓性を有するチャンバ壁と、このチャンバ壁
    を前記印刷用のロールの外周面に向かって押し潰して前
    記ドクターブレード室の容量を減少させる加圧装置と、
    から構成されている、ことを特徴とする請求項７記載の
    インキ供給機構。
12. 【請求項１２】インキを混合して所定の色を現す印刷用
    インキを形成し、この印刷用インキを印刷用のロールに
    対して配置された囲繞形のドクターブレード部に供給す
    るインキ供給方法であって、 （１）互いに異なる色のインキを収容するインキ収容供
    給部を準備し、 （２）前記インキ収容供給部から所定量の前記インキを
    ミキサに供給して混合し、前記所定の色を現す前記印刷
    用インキを形成し、 （３）前記印刷用インキを前記ミキサから前記ドクター
    ブレード部のドクターブレード室に供給し、 （４）前記ドクターブレード室に、このドクターブレー
    ド室の容量を実質的にゼロとなる最小容量に変化させる
    ことが可能な移動チャンバ壁を配置しておき、 （５）印刷終了部分とこの印刷終了部分に使用された前
    記印刷用インキの量とをリアルタイムに計測し、 （６）計測された前記印刷終了部分と前記印刷用インキ
    の使用量とから、印刷を完了するのに必要な前記印刷用
    インキの残りの量を算出し、 （７）供給された前記印刷用インキの総量が、前記印刷
    用インキの使用量に、必要な残りの量を加えた量と等し
    くなったときに、前記インキ収容供給部からの前記イン
    キの供給を停止し、 （８）印刷完了とともに、前記移動チャンバ壁を移動さ
    せて前記ドクターブレード室の容量を実質的にゼロに収
    縮させる、 ことを特徴とするインキ供給方法。
13. 【請求項１３】前記移動チャンバ壁は、前記ドクターブ
    レード室の後壁を形成する可撓性を有するブラダであ
    り、 （１）印刷中に前記ブラダを外側から加圧しておき、 （２）前記ドクターブレード室内に位置する前記印刷用
    のロールの外周面全体と実質的に接触するまで前記ブラ
    ダを押し潰すことにより、前記ドクターブレード室の容
    量を実質的にゼロに収縮させる、 ことを特徴とする請求項１２記載のインキ供給方法。
14. 【請求項１４】（１）前記ブラダを膨張させながら前記
    ドクターブレード室に洗浄溶液を送り込み、 （２）前記ブラダを押し潰して前記洗浄溶液及び残存し
    ている前記印刷用インキを排出させる、 ことを特徴とする請求項１３記載のインキ供給方法。