JP2000001568A - 機能付与剤 - Google Patents

機能付与剤

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JP2000001568A
JP2000001568A JP21383798A JP21383798A JP2000001568A JP 2000001568 A JP2000001568 A JP 2000001568A JP 21383798 A JP21383798 A JP 21383798A JP 21383798 A JP21383798 A JP 21383798A JP 2000001568 A JP2000001568 A JP 2000001568A
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JP21383798A
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Hajime Nishihara
一 西原
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属、無機化合物、有機化合物、高分子
等の物質に卓越した機能特性の付与を可能にする機能付
与剤、及びこの剤を含有する樹脂組成物の提供。 【解決手段】 示差走査熱量測定法(DSC法)におい
て、100〜500℃の温度範囲にガラス転移温度(T
g)を有し、かつ100〜700℃の温度範囲において
Tgの高温側に発熱ピークが存在する機能付与剤、とり
わけ上記発熱ピークの立ち上がり温度が、300〜60
0℃の範囲にあること、及び/または発熱ピーク熱量が
少なくとも10J/gである機能付与剤、及びこの剤を
含有した樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は機能付与剤に関する
ものである。更に詳しくは、金属、無機化合物、有機化
合物、高分子等の物質に卓越した機能特性の付与を可能
にする機能付与剤、及びこの剤を含有する樹脂組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂等のプ
ラスチックス、金属またはガラスは、優れた材料特性を
有しているために、自動車材料、家電材料、OA機器材
料、包装材料、建築材料を始めとする多岐の分野で使用
されている。しかしながら、最近のユーザーの高度な品
質または機能性要求に対して、プラスッチックスの場合
は表面硬度等の表面特性、難燃性等の課題があり、また
金属の場合には腐食等の問題があり、その解決手段とし
て機能付与剤の開発が求められている。
【0003】例えば樹脂の機能性改良方法としては、無
機系化合物等の改質剤を樹脂に添加することが知られて
おり、それによりある程度特性の改良がなされている
が、機械的性質の低下等の問題が新たに生じた。このよ
うな問題点を解決するために、本発明者は特定のガラス
状無機系化合物が有効であることを見出した。
【0004】一方、比較的低温で軟化するガラス状無機
系化合物、またはそれを含有した樹脂組成物が知られて
いる。例えば、一様な微粒子状微細構造を有するガラス
/ガラス−セラミック−プラスチックアロイ物体(特公
平6−17251号公報)、450℃未満の転移温度と
500℃未満の作業温度を有する亜鉛含有リン酸塩ガラ
ス(特開平2−116642号公報)、異なる融点を有
する2種または3種以上のフリットを含む難燃剤添加組
成物(特開昭63−273690号公報)、軟化温度が
200〜380℃のガラス状化合物からなるスチレン系
樹脂の火種の滴下抑制剤(特開平9−221572号公
報)、及びフェノール樹脂と融点500℃以下のリンを
含む低融点ガラスを含有する難燃性樹脂組成物(特開平
9−278984号公報)が開示されている。しかしな
がら、上記公報のガラス状無機系化合物による難燃性等
の機能付与効果は充分でなく、そのために従来より実用
的使用に耐える卓越した性能を有する機能付与剤が求め
られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち卓越した
機能付与を可能にする機能付与剤、及びこの剤を含有す
る樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは卓越した機
能特性の付与可能な改質剤を鋭意検討した結果、樹脂に
対して、特定の熱的特性を有する無機化合物を配合する
事により、驚くべきことに機能付与効果が飛躍的に向上
することを見出し、本発明を完成した。
【0007】即ち本発明は、示差走査熱量測定法(DS
C法)において、100〜500℃の温度範囲にガラス
転移温度(Tg)を有し、かつ100〜700℃の温度
範囲においてTgの高温側に発熱ピークが存在する機能
付与剤、とりわけ上記発熱ピークの立ち上がり温度が、
300〜600℃の範囲にあること、及び/または発熱
ピーク熱量が少なくとも10J/gである機能付与剤、
及びこの剤を含有した樹脂組成物を提供するものであ
る。
【0008】以下、本発明を詳しく説明する。
【0009】本発明における(A)機能付与剤は、樹
脂、金属、ガラス等に難燃性を付与する難燃剤、または
耐傷性、耐光性、耐候性、潤滑性、摺動性、帯電防止性
等の表面特性を改良するための表面改質剤、あるいは塗
料に添加して塗膜特性を改良するための塗料改質剤、そ
の他接着剤、粘度制御剤、熱線吸収剤等であり、機能特
性を付与するものであれば特に制限されない。本発明の
(A)の中でも熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂の難
燃剤として使用する場合には、卓越した難燃性が発現す
る。
【0010】本発明の(A)が難燃剤として使用される
場合は、示差走査熱量測定法(DSC法)において、1
00〜500℃の温度範囲にガラス転移温度(Tg)を
有する事が重要である。Tgの存在する温度範囲は、好
ましくは100〜400℃、更に好ましくは100〜3
50℃、最も好ましくは250〜350℃である。Tg
が上記温度範囲に存在することにより、燃焼の初期に溶
融して成形体表面に断熱層を形成し、燃焼熱を遮断する
効果を発揮する。特に使用する樹脂の熱分解開始温度以
下にTgが存在する場合は更に難燃性が向上する。
【0011】次いで、100〜700℃の温度範囲にお
いてTgの高温側に発熱ピークが存在することが必須で
ある。発熱ピークが存在する温度範囲は、好ましくは2
00〜700℃、更に好ましくは300〜700℃、最
も好ましくは300〜650℃である。燃焼中期の激し
い熱分解時に発熱ピークを有することにより、増粘、固
化あるいは架橋による硬化反応が促進され、成形体表面
に遮断層が形成され、樹脂の分解により生成した分解揮
発物の拡散が抑制されて、自己消火性と火種の滴下抑制
効果のバランス特性が向上することを見出した。特に発
熱ピークの立ち上がり温度が、300〜600℃の範囲
にあり、かつ広い温度範囲にわたり発熱ピークが存在
し、そして発熱ピークは大きいほど好ましいが、特に発
熱ピーク熱量が少なくとも10J/gである場合には、
極めて優れた難燃性が発現することを見出し、本発明を
完成した。
【0012】本発明において、(A)機能付与剤は、示
差走査熱量測定法(DSC法)において、100〜50
0℃の温度範囲にガラス転移温度(Tg)を有し、かつ
100〜700℃の温度範囲においてTgの高温側に発
熱ピークが存在する機能付与剤であれば、特に制限され
ない。例えば、水和ガラスSiO2−MgO−H2O,P
bO−B23系、ZnO−P25−MgO系、P25
23−PbO−MgO系、P−Sn−O−F系、Pb
O−V25−TeO2系、Al23・H2O系、ハロゲン
化錫系、ホウ珪酸鉛系等のガラス状化合物であり、特に
100〜500℃の温度範囲にガラス転移温度(Tg)
を有するためには、リン酸アルミニウム系ガラスを含有
し、100〜700℃の温度範囲に発熱ピークを有する
ためには、結晶化を促進するジルコニウムを含有する事
が好ましく、また架橋反応を起こしやすいケイ酸系ガラ
スまたは増粘効果の大きい酸化チタンを含有することが
好ましい。最も好ましい組成の一例として、1A,2
A,4A,2B,3B,4B,5B,6Bから選ばれる
複数個の元素を含有する。より具体的には、SiO2
Al23/B23/P25/Na2O・K2O・Li2
/CaO・BaO・ZnO/Sb23/ZrO2/Ti
2から選ばれる酸化金属からなる無機化合物が好まし
い。ここで、(A)の溶融温度を低下させるには、P2
5/Na2O・K2O・Li2O/Sb23の各成分の割
合を増大する。中でもイオン半径の小さな元素の方が移
動性が高く、粘度が低下する。一方、(A)の溶融架橋
反応を促進させるには、SiO2・Al23の成分の割
合を増大する。また、B23は(A)のガラス化を促進
するための成分であり、CaO・BaO・ZnOはガラ
スの安定性を向上させるための成分である。
【0013】本発明の(A)機能付与剤は、熱可塑性樹
脂及び/または熱硬化性樹脂である(B)樹脂に配合す
ることにより(B)に優れた機能特性を付与することが
できる。
【0014】ここで、(B)は、(A)と相溶もしくは
均一分散し得るものであればとくに制限はない。たとえ
ば、ポリスチレン系、ポリフェニレンエーテル系、ポリ
オレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリ
エステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボ
ネート系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種
以上を混合したものを使用することができる。特に
(B)として熱可塑性樹脂が好ましく、例えばポリフェ
ニレンエーテル系、ポリスチレン系、ポリカーボネート
系の熱可塑性樹脂が最も好ましい。
【0015】上記(B)の一つのスチレン系樹脂(B−
1)は、ゴム変性スチレン系樹脂及び/またはゴム非変
性スチレン系樹脂であり、特にゴム変性スチレン系樹脂
単独またはゴム変性スチレン系樹脂とゴム非変性スチレ
ン系樹脂からなることが好ましく、液状難燃剤と相溶も
しくは均一分散し得るものであれば特に制限はない。ま
た、ゴム変性スチレン系樹脂は、ビニル芳香族系重合体
よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散
してなる重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族
ビニル単量体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニ
ル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、乳化
重合、懸濁重合等の重合方法により得られる。
【0016】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。
【0017】ここで、前記ゴム状重合体は、ガラス転移
温度(Tg)が−30℃以下であることが好ましく、−
30℃を越えると耐衝撃性が低下する傾向にある。
【0018】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
ー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0019】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン等であり、スチレンが最も好ま
しいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体
を共重合してもよい。
【0020】また、(B−1)の中のゴム変性スチレン
系樹脂の成分として必要に応じて、芳香族ビニル単量体
に共重合可能な単量体成分を一種以上導入することがで
きる。耐油性を高める必要のある場合は、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体を
用いることができる。
【0021】そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させ
る必要のある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基から
なるアクリル酸エステルを用いることができる。また更
に、樹脂組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合
は、α−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、
無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重
合してもよい。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香
族単量体と共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40
重量%である。
【0022】ゴム変性スチレン系樹脂におけるゴム状重
合体は、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは1
0〜50重量%、グラフト重合可能な単量体混合物は、
好ましくは95〜20重量%、更に好ましくは90〜5
0重量%の範囲にある。この範囲内では、目的とする樹
脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが向上する。更に
は、スチレン系重合体のゴム粒子径は、0.1〜5.0
μmが好ましく、特に0.2〜3.0μmが好適であ
る。上記範囲内では、特に耐衝撃性が向上する。
【0023】ゴム変性スチレン系樹脂の分子量の尺度で
ある樹脂部分の還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、
30℃測定:マトリックス樹脂がポリスチレンの場合は
トルエン溶液、マトリックス樹脂が不飽和ニトリル−芳
香族ビニル共重合体の場合はメチルエチルケトン)は、
0.30〜0.80dl/gの範囲にあることが好まし
く、0.40〜0.60dl/gの範囲にあることがよ
り好ましい。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp
/cに関する上記要件を満たすための手段としては、重
合開始剤量、重合温度、連鎖移動剤量の調整等を挙げる
ことができる。本発明において、(B)のもう一つのポ
リフェニレンエーテル(B−2)は、下記式(1)で示
される結合単位からなる単独重合体及び/又は共重合体
である。
【0024】
【化1】
【0025】但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ水
素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から選
択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよ
い。
【0026】このポリフェニレンエーテルの具体的な例
としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,
6−トリメチルフェノールとの共重合体等が好ましく、
中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエ
ーテル)が好ましい。かかるポリフェニレンエーテルの
製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、米国
特許第3,306,874号明細書記載の方法による第
一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例
えば2,6キシレノールを酸化重合することにより容易
に製造でき、そのほかにも米国特許第3,306,87
5号明細書、米国特許第3,257,357号明細書、
米国特許3,257,358号明細書、及び特公昭52
−17880号公報、特開昭50−51197号公報に
記載された方法で容易に製造できる。本発明にて用いる
上記ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/c
(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
は、0.20〜0.70dl/gの範囲にあることが好
ましく、0.30〜0.60dl/gの範囲にあること
がより好ましい。ポリフェニレンエーテルの還元粘度η
sp/cに関する上記要件を満たすための手段として
は、前記ポリフェニレンエーテルの製造の際の触媒量の
調整などを挙げることができる。
【0027】本発明における、好ましい熱可塑性樹脂の
組み合わせの一つの(B−1)(B−2)からなる樹脂
成分100重量部中の、前記(B−1)の占める量は、
1〜99重量%であり、好ましくは1〜50重量%、更
に好ましくは、3〜40重量%、最も好ましくは、5〜
25重量%である。
【0028】本発明における(B)熱可塑性樹脂の一つ
の芳香族ポリカーボネートは、芳香族ホモポリカーボネ
ートと芳香族コポリカーボネートより選ぶことができ
る。製造方法としては、2官能フェノール系化合物に苛
性アルカリ及び溶剤の存在下でホスゲンを吹き込むホス
ゲン法、あるいは、例えば、二官能フェノール系化合物
と炭酸ジエチルとを触媒の存在下でエステル交換させる
エステル交換法を挙げることができる。該芳香族ポリカ
ーボネートは粘度平均分子量が1万〜10万の範囲が好
適である。ここで、上記2官能フェノール系化合物は、
2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフ
ェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェ
ニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジプロピルフェニル)プロパン、1,1’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェ
ニル−1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン等であり、特に2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン〔ビスフェノールA〕が好ましい。本発
明において、2官能フェノール系化合物は、単独で用い
てもよいし、あるいはそれらを併用してもよい。
【0029】本発明の(A)の添加量は、(B)100
重量部に対して、1〜500重量部が好ましく、より好
ましくは1〜100重量部、更に好ましくは、1〜50
重量部、最も好ましくは、1〜20重量部である。
【0030】本発明において更に高度な難燃性を付与す
る場合は、(C)難燃剤として、ハロゲン系、リン系ま
たは(A)以外の無機系難燃剤を配合することができ
る。
【0031】上記(C)としてのハロゲン系難燃剤は、
ハロゲン化ビスフェノール、芳香族ハロゲン化合物、ハ
ロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系
重合体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリ
フェニレンエーテル等が挙げられ、好ましくはデカブロ
モジフェニルオキサイド、テトラブロムビスフェノール
A、テトラブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロ
ム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフ
ェノール系ポリカーボネート、ブロム化ポリスチレン、
ブロム化架橋ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンオ
キサイド、ポリジブロムフェニレンオキサイド、デカブ
ロムジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物、含ハ
ロゲンリン酸エステル及びフッ素系樹脂等である。
【0032】前記(C)の中のリン系難燃剤としては、
有機リン化合物、赤リン、無機系リン酸塩等が挙げられ
る。
【0033】上記有機リン化合物の例としては、ホスフ
ィン、ホスフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウ
ム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エス
テル等である。より具体的には、トリフェニルフォスフ
ェート、メチルネオベンチルフォスファイト、ヘンタエ
リスリトールジエチルジフォスファイト、メチルネオペ
ンチルフォスフォネート、フェニルネオペンチルフォス
フェート、ペンタエリスリトールジフェニルジフォスフ
ェート、ジシクロペンチルハイポジフォスフェート、ジ
ネオペンチルハイポフォスファイト、フェニルピロカテ
コールフォスファイト、エチルピロカテコールフォスフ
ェート、ジピロカテコールハイポジフォスフェートであ
る。
【0034】ここで、特に有機リン化合物として、下記
式(2)の芳香族系リン酸エステル単量体、下記式
(3)の芳香族系リン酸エステル縮合体が好ましい。
【0035】
【化2】
【0036】
【化3】
【0037】(但し、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、A
5、Ar7、Ar8はそれぞれ独立に無置換または炭素
数1〜10の炭化水素基で少なくとも一つ置換されたフ
ェニル基から選ばれる芳香族基である。Ar6は炭素数
6〜20の二価の芳香族基である。mは1以上の整数を
表わす。) 上記芳香族系リン酸エステル単量体の中でも、特にヒド
ロキシル基含有芳香族系リン酸エステル単量体、例え
ば、トリクレジルフォスフェートやトリフェニルフォス
フェート等に1個または2個以上のフェノール性水酸基
を含有したリン酸エステル単量体、または下記式(4)
に示した芳香族リン酸エステル単量体が好ましい。
【0038】
【化4】
【0039】(式中、a、b、cは1から3、R1
2、R3は水素または炭素数が1から30のアルキル基
であり、化合物全体として、置換基R1、R2、R3の炭
素数の合計が平均12から30である。ここで、異なっ
た置換基を有する、複数の芳香族リン酸エステルからな
る場合には、上記難燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素
数の合計は、数平均で表し、上記難燃剤中の各芳香族リ
ン酸エステル成分の重量分率と、各成分の置換基の炭素
数の合計との積の和である。) 本発明において、芳香族リン酸エステル単量体の中で
も、置換基R1、R2、R3の炭素数合計の数平均は、1
5〜30が好ましく、さらには20〜30が好ましく、
25〜30が最も好ましい。
【0040】具体的な置換基として、ノニル基、t−ブ
チル基等のブチル基、t−アミル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オタデシル基、ノナデシル基、オクタドデシル基等
が挙げられ、、特開平1−95149号公報、特開平3
−294284号公報等に開示された公知の方法により
製造することができる。例えば、アルキルフェノールと
オキシ塩化リンと触媒の無水塩化アルミニウムを加熱下
に反応する方法、または亜リン酸トリエステルを酸素で
酸化して、対応する芳香族リン酸エステルに転換する方
法がある。
【0041】また前記芳香族リン酸エステル縮合体の中
でも、特にビスフェノールA ビス(ジフェニルフォス
フェート)、ビスフェノールA ビス(ジクレジルフォ
スフェート)等が好ましい。
【0042】本発明において前記(C)として使用す
る、もう一つの好ましい芳香族リン酸エステル縮合体
は、下記式(5)で示される。
【0043】
【化5】
【0044】(式中、a、b,c,d,eは0から3で
あり、R1からR5は炭素数が1から10の炭化水素であ
り、nは1〜3の整数を表す。) 上記難燃剤は、特に2,6位に置換された芳香族リン酸
エステル縮合体が好ましく、特開平5−1079号公報
等に開示された公知の方法により製造することができ
る。例えば、2,6位に置換された単官能フェノールと
オキシハロゲン化リンとルイス酸触媒の存在下で反応さ
せ、ジアリールホスホロハライドを得、次いでこれと二
官能フェノールをルイス酸触媒の存在下で反応する方法
がある。
【0045】前記(C)において、リン系難燃剤の一つ
の赤リンは、一般の赤リンの他に、その表面をあらかじ
め、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化
亜鉛、水酸化チタンよりえらばれる金属水酸化物の被膜
で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金
属水酸化物及び熱硬化性樹脂よりなる被膜で被覆処理さ
れたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物の
被膜の上に熱硬化性樹脂の被膜で二重に被覆処理された
ものなどである。 前記(C)において、リン系難燃剤
の一つの無機系リン酸塩は、ポリリン酸アンモニウムが
代表的である。
【0046】そして、前記(C)としての、(A)以外
の無機系難燃剤は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネ
シウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カル
シウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水
酸化ジルコニウム、酸化スズの水和物等の無機金属化合
物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸
バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、ムーカルシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等が挙げられる。こ
れらは、1種でも2種以上を併用してもよい。この中で
特に、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基
性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトからなる群か
ら選ばれたものが難燃効果が良く、経済的にも有利であ
る。
【0047】本発明における前記(C)の添加量は,
(B)100重量部に対して、0.1〜100重量部で
あり、好ましくは1〜80重量部、更に好ましくは、3
〜50重量部、最も好ましくは、5〜30量部である。
【0048】本発明において、特に難燃性と耐熱性の更
なる向上が必要な場合には、(D)ノボラック樹脂を配
合することができる。(D)は、芳香族リン酸エステル
と併用する場合には、流動性と耐熱性の向上剤でもあ
り、樹脂成分と芳香族リン酸エステルとの間の相溶性を
やや低下させる。そして、その樹脂は、フェノール類と
アルデヒド類を硫酸または塩酸のような酸触媒の存在下
で縮合して得られる熱可塑性樹脂であり、その製造方法
は、「高分子実験学5『重縮合と重付加』p.437〜
455(共立出版(株))」に記載されている。
【0049】ノボラック樹脂製造の一例を下記式
(6)、(7)に示す。
【0050】
【化6】
【0051】上記フェノール類は、フェノール、o−ク
レゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−
ジメチル−、3,5−ジメチル−、2,3,5−トリメ
チル−、3,4,5−トリメチル−、p−t−ブチル
−、p−n−オクチル−、p−ステアリル−、p−フェ
ニル−、p−(2−フェニルエチル)−、o−イソプロ
ピル−、p−イソプロピル−、m−イソプロピル−、p
−メトキシ−、及びp−フェノキシフェノール、ピロカ
テコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、サリチル
アルデヒド、サルチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、メ
チル p−ヒドロキシベンゾエート、p−シアノ−、及
びo−シアノフェノール、p−ヒドロキシベンゼンスル
ホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、シク
ロヘキシルp−ヒドロキシベンゼンスルホネート、4−
ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、メチル 4
−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィネート、4−ヒ
ドロキシフェニルホスホン酸、エチル 4−ヒドロキシ
フェニルホスホネート、ジフェニル 4−ヒドロキシフ
ェニルホスホネート等である。
【0052】上記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、n−プロパナール、n−ブタナー
ル、イソプロパナール、イソブチルアルデヒド、3−メ
チル−n−ブタナール、ベンズアルデヒド、p−トリル
アルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド等である。
【0053】本発明において必要に応じて、飽和高級脂
肪族のカルボン酸またはそれらの金属塩、カルボン酸エ
ステル系ワックス、オルガノシロキサン系ワックス、ポ
リオレフィンワックス、ポリカプロラクトンから選ばれ
る一種または二種以上の化合物等の(E)離型剤を配合
することができる。
【0054】上記(E)の中でも、飽和高級脂肪族のカ
ルボン酸またはそれらの金属塩から選ばれた1種または
2種以上の化合物が好ましい。
【0055】飽和高級脂肪酸のカルボン酸としては炭素
数12〜42の直鎖飽和モノカルボン酸が好ましい。例
えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等が挙げられる。これ
らの金属塩の金属としては、リチウム、ナトリウム、カ
リウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜
鉛等があり、特にステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグ
ネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アル
ミニウムが特に好ましい。
【0056】(E)の量は、(B)100重量部に対し
て、好ましくは0.01〜5重量部、更に好ましくは、
0.1〜5重量部、最も好ましくは、0.3〜1重量部
である。
【0057】本発明において、必要に応じて、芳香族ビ
ニル単位とアクリル酸エステル単位からなる共重合樹
脂、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステ
ル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコール、または
金属石鹸から選ばれる一種または二種以上の流動性向上
剤(F)を配合することができる。
【0058】(F)の量は、(B)100重量部に対し
て、好ましくは0.1〜20重量部、更に好ましくは、
0.5〜10重量部、最も好ましくは、1〜5重量部で
ある。
【0059】(F)としての共重合樹脂の芳香族ビニル
単位は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラ
メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチ
レン、2,4,5−トリブロモスチレン等であり、スチ
レンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香
族ビニル単量体を共重合してもよい。そして、アクリル
酸エステル単位は、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチ
ル等の炭素数が1〜8のアルキル基からなるアクリル酸
エステルである。ここで、共重合樹脂中のアクリル酸エ
ステル単位の含量は、3〜40重量%が好ましく、更に
は、5〜20重量%が好適である。また、上記共重合樹
脂の分子量の指標である溶液粘度(樹脂10重量%のM
EK溶液、測定温度25℃)が、2〜10cP(センチ
ポアズ)であることが好ましい。溶液粘度が2cP未満
では、衝撃強度が低下し、一方、10cPを越えると流
動性の向上効果が低下する。
【0060】(F)としての脂肪族炭化水素系加工助剤
は、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワック
ス、ポリオレフィンワックス、合成パラフィン、及びこ
れらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等であ
る。
【0061】(F)としての高級脂肪酸は、(E)離型
剤の項で述べたもの以外の飽和脂肪酸、及びリシノール
酸、リシンベライジン酸、9−オキシ12オクタデセン
酸等の不飽和脂肪酸等である。
【0062】(F)としての高級脂肪酸エステルは、フ
ェニルステアリン酸メチル、フェニルステアリン酸ブチ
ル等の脂肪酸の1価アルコールエステル、及びフタル酸
ジフェニルステアリルのフタル酸ジエステル等の多塩基
酸の1価アルコールエステルであり、さらに、ソルビタ
ンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソル
ビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレート、ソル
ビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパル
ミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ
ート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等の
ソルビタンエステル、ステアリン酸モノグリセライド、
オレイン酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリセラ
イド、ベヘニン酸モノグリセライド等のグリセリン単量
体の脂肪酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エス
テル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセ
リンラウリン酸エステル等のポリグリセリンの脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキ
シエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノ
オレート等のポリアルキレンエーテルユニットを有する
脂肪酸エステル、及びネオペンチルポリオールジステア
リン酸エステル等のネオペンチルポリオール脂肪酸エス
テル等である。
【0063】(F)としての高級脂肪酸アミドは、フェ
ニルステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミ
ド、メチロールベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノア
ミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジ
エタノールアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミ
ド、オレイン酸ジエタノールアミド等のN,N’−2置
換モノアミド等であり、さらに、メチレンビス(12−
ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビ
スステアリン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキ
シフェニル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス
(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の
飽和脂肪酸ビスアミド、及びm−キシリレンビス(12
−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族
系ビスアミドである。
【0064】(F)としての高級脂肪族アルコールは、
ステアリルアルコールやセチルアルコール等の1価のア
ルコール、ソルビトールやマンニトール等の多価アルコ
ール、及びポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオ
キシエチレンオクタデシルアミン等であり、さらに、ポ
リオキシエチレンアリル化エーテル等のポリアルキレン
エーテルユニットを有するアリル化エーテル、及びポリ
オキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン
トリドデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエー
テル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオ
キシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリエピクロルヒドリンエーテル、ポリオキシエチレン
ビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンエチレ
ングリコール、ポリオキシプロピレンビスフェノールA
エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレング
リコールエーテル等のポリアルキレンエーテルユニット
を有する2価アルコールである。
【0065】(F)としての金属石鹸は、上記ステアリ
ン酸等の高級脂肪酸の、バリウムやカルシウムや亜鉛や
アルミニウムやマグネシウム等の金属塩である。
【0066】本発明において、必要に応じて、熱可塑性
エラストマー(E)を配合することができ、例えば、ポ
リスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポ
リウレタン系、1,2−ポリブタジエン系、ポリ塩化ビ
ニル系等であり、特にポリスチレン系熱可塑性エラスト
マーが好ましい。
【0067】(F)の量は、(B)100重量部に対し
て、好ましくは0.5〜20重量部、更に好ましくは、
1〜10重量部、最も好ましくは、2〜5重量部であ
る。
【0068】上記ポリスチレン系熱可塑性エラストマー
は、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロッ
ク共重合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に
水素添加されたブロック共重合体である。
【0069】上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビ
ニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0070】また、上記ブロック共重合体を構成する共
役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等
を挙げることができる。
【0071】そして、ブロック共重合体のブロック構造
は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表
示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加さ
れた単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、
SB、S(BS)n、(但し、nは1〜3の整数)、S
(BSB)n、(但し、nは1〜2の整数)のリニア−
ブロック共重合体や、(SB)nX(但し、nは3〜6
の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ
化合物等のカップリング剤残基。)で表示される、B部
分を結合中心とする星状(スター)ブロック共重合体で
あることが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3
型、SBSBの4型のリニア−ブロック共重合体が好ま
しい。
【0072】本発明において、耐光性が要求される場合
には、必要に応じて、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン
系光安定剤、酸化防止剤、ハロゲン捕捉剤、遮光剤、金
属不活性剤、または消光剤から選ばれる一種または二種
以上の耐光性改良剤(G)を配合することができる。
【0073】(G)の量は、(B)100重量部に対し
て、好ましくは0.05〜20重量部、更に好ましく
は、0.1〜10重量部、最も好ましくは、1〜5重量
部である。
【0074】本発明の一つの(A)を用いた樹脂組成物
の好ましい組成の一例としては次のものを挙げることが
できる。(A)SiO2・Al23 1〜10重量%/
23 0〜10重量%/P25 30〜70重量%/
Na2O・K2O・Li2O 5〜30重量%/CaO・
BaO・ZnO 5〜20重量%/Sb23 0〜20
重量%/ZrO2 0〜20重量%/TiO2 0〜20
重量%からなる機能付与剤 1〜50重量部と、(B)
熱可塑性樹脂 99〜50重量部。
【0075】上記組成の場合には、優れた難燃性等の機
能特性を有している。
【0076】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもので
はない。
【0077】尚、実施例、比較例における測定は、以下
の方法もしくは測定機を用いて行なった。
【0078】(1)ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度
ηsp/C ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノール2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振とうし、5℃、18000rpmで30分間遠心
分離する。上澄み液を取り出しメタノールで樹脂分を析
出させた後、乾燥した。
【0079】このようにして得られた樹脂0.1gを、
ゴム変性ポリスチレンの場合はトルエンに溶解し、ゴム
変性アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の場合はメ
チルエチルケトンに溶解し、濃度0.5g/dlの溶液
とし、この溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度
計に入れ、30℃でこの溶液落下時間T1(秒)を測定
した。一方、別に同じ粘度計で純トルエンまたは純メチ
ルエチルケトンの落下時間T0(秒)を測定し、以下の
数式により算出した。
【0080】ηsp/C=(T1/T0−1)/C C:ポリマー濃度(g/dl) (2)示差走査熱量測定法(DSC法)分析 日本国島津製作所製の島津熱分析装置DT−40を用い
て、5mg試料を窒素気流下、20℃/分で昇温し、T
g、発熱ピークの立ち上がり温度、及び発熱ピークトッ
プ温度(℃)及びその熱量(J/g)を測定した。具体
的には、Tgは比熱容量の段階的な変化から求められ、
ベースラインと最初のステップののラインとの交点をT
gと定義し(図1参照)、300〜700℃に発熱ピー
クを有するとは、ピークトップが上記温度範囲にあるこ
とであり、熱量はベースラインに囲まれた各ピークの面
積から算出した(図2〜5参照:梨地部面積は発熱ピー
クの熱量を示す)。ここで、上記発熱ピークとは、ベー
スラインに対して変化した熱量変化を示す曲線であり、
ブロードな曲線または鋭利な曲線のいずれをも含む。ま
た、発熱ピーク温度とは発熱ピークトップであり、ベー
スラインと平行に直線を引き、熱量変化を示す曲線との
接線との交点を言う。
【0081】(3)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により、自己消火性の評価を行った(1/
8インチ厚み試験片)。
【0082】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。
【0083】(イ)リン酸アルミニウム系ガラス(実施
例および比較例) "Encyclopedia of Chemical Technology"Third Editio
n, Volume 11 p.846(Manufacture and Processing) A W
iley−Interscience Publication, John Wiley& Sons,N
ew Yorkに記載の方法により製造した。
【0084】組成:SiO2・Al23 5〜10重量
%/B23 0〜5重量%/P2530〜70重量%/
Na2O・K2O・Li2O 10〜30重量%/CaO
・BaO・ZnO 5〜20重量%/Sb23 2〜1
0重量%/ZrO2 0〜20重量%/TiO2 0〜2
0重量%の範囲で熱的性質を制御した。
【0085】このようにして得られたガラスを(A1)
〜(A7)と称し、熱的性質データを表1、2に記載し
た。
【0086】(ロ)ガラス状無機化合物(比較例) 市販のガラス状化合物を用いた。
【0087】(ZB)ホウ酸亜鉛(ボラックスケミカル
社製) DSC法により100〜500℃にTg及び100〜7
00℃に発熱ピークは検出されなかった。
【0088】(AP)リン酸アルミニウム系ガラス(日
本琺瑯柚薬(株)製フィラーフリット4021) DSC法により100〜500℃にTg及び100〜7
00℃に発熱ピークは検出されなかった。
【0089】(ハ)ゴム変性スチレン系樹脂(HIP
S) ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 122 OSL)}
を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。
【0090】 ポリブタジエン 10.5重量% スチレン 74.2重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート 0.03重量% 次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段式反応機に連
続的に送液して、第1段は撹拌数190rpm、126
℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20rp
m、140℃、第4段は20rpm、155℃で重合を
行った。引き続きこの固形分73%の重合液を脱揮装置
に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変性芳香
族ビニル樹脂を得た(HIPSと称する)。得られたゴ
ム変性芳香族ビニル樹脂を分析した結果、ゴム含量は1
2.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還
元粘度ηsp/cは0.53dl/gであった。
【0091】(ニ)ポリフェニレンエーテル(PPE) 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら90分間重
合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPEと称する)。還元粘度ηsp/Cは0.4
1dl/gであった。
【0092】(ホ)難燃剤:1,3−フェニレン ビス
(ジフェニルホスフェート)(FR) 市販の、レゾルシン由来の芳香族縮合リン酸エステル
{大八化学工業(株)製、商品名 CR733S(FR
と称する)}を用いた。また、上記芳香族縮合リン酸エ
ステルは、GPC分析によると、下記式(8)で表わさ
れるTPPダイマー(n=1)とTPPオリゴマー(n
≧2)とからなり、重量比でそれぞれ65/35であっ
た。
【0093】
【化7】
【0094】実施例1〜6、比較例1〜6 表1〜2記載の量比で機械的に混合し、サイドフィード
可能な二軸押出機(Werner Pfleidere
r社製 ZSK−40mmΦ )を用いて、溶融押出し
を行なった。即ち、押出機で上記混合組成物を溶融する
際に、(C)の液状難燃剤(FR)を用いる場合にはF
R以外の成分をホッパーに添加し、FRのみサイドフィ
ードで添加し、回転数295rpm、吐出量80kg/
h、280℃の条件で溶融押出し、一方、FRを用いな
い場合はホッパーに全成分を添加し、上記と同様に溶融
押出した。
【0095】このようにして得られたペレットを射出成
形機(東芝機械(株)製 型式IS80A)でシリンダ
ー温度250℃、金型温度60℃の条件で試験片を作製
し、難燃性の評価を行なった。表1〜2及び図2〜6に
その結果を記載した。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】表1によると、本発明の要件のDSC法の
Tg、発熱ピークを有する機能付与剤を用いた樹脂組成
物は優れた難燃性が認められる。
【0099】また、表2及び図2〜6によると、本願の
機能付与剤の中でも、発熱ピークの立ち上がり温度が4
50℃以下で、その熱量が20(J/g)以上の場合に
は、特に優れた難燃性、火種の滴下抑制効果が発現する
ことが分かる。
【0100】
【発明の効果】本発明は、金属、無機化合物、有機化合
物、高分子等の物質に卓越した機能特性の付与を可能に
する機能付与剤、及びこの剤を含有する樹脂組成物に関
するものである。
【0101】本発明の機能付与剤を含有した組成物は、
VTR、分電盤、テレビ、オーディオプレーヤー、コン
デンサ、家庭用コンセント、ラジカセ、ビデオカセッ
ト、ビデオディスクプレイヤー、エアコンディショナ
ー、加湿機、電気温風機械等の家電ハウジング、シャー
シまたは部品、CD−ROMのメインフレーム(メカシ
ャーシ)、プリンター、ファックス、PPC、CRT、
ワープロ複写機、電子式金銭登録機、オフィスコンピュ
ーターシステム、フロッピーディスクドライブ、キーボ
ード、タイプ、ECR、電卓、トナーカートリッジ、電
話等のOA機器ハウジング、シャーシまたは部品、コネ
クタ、コイルボビン、スイッチ、リレー、リレーソケッ
ト、LED、バリコン、ACアダップター、FBT高圧
ボビン、FBTケース、IFTコイルボビン、ジャッ
ク、ボリュウムシャフト、モーター部品等の電子・電気
材料、そして、インスツルメントパネル、ラジエーター
グリル、クラスター、スピーカーグリル、ルーバー、コ
ンソールボックス、デフロスターガーニッシュ、オーナ
メント、ヒューズボックス、リレーケース、コネクタシ
フトテープ等の自動車材料、包装材料、発泡体、建築材
料等に好適であり、これら産業界に果たす役割は大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】示差走査熱量測定法(DSC法)分析の説明の
欄に記載のガラス転移温度、発熱ピークの立ち上がり温
度またはピーク温度の測定方法を示した図である。
【図2】DSC法による、実施例3に使用した機能付与
剤(A3)の熱分析結果を示した図である。図の縦軸は
熱量(J/g)であり、上方向が発熱を、下方向が吸熱
を示し、横軸は温度(℃)を示す。また梨地は発熱ピー
クを表す。
【図3】同上実施例4に使用した機能付与剤(A5)の
熱分析結果を示した図である。
【図4】同上実施例5に使用した機能付与剤(A6)の
熱分析結果を示した図である。
【図5】同上実施例6に使用した機能付与剤(A7)の
熱分析結果を示した図である。
【図6】機能付与剤のDSC法による発熱ピーク立ち上
がり温度(℃)とそのピーク熱量(J/g)との関係を
示した図である。図中の数字は難燃性試験において試験
片10本中の火種の滴下本数を示す。また○は上記本数
が0本であることを示し、△は1〜2本であることを、
×は3本以上であることを示す。
フロントページの続き Fターム(参考) 4H028 AA05 AA08 AA10 AA12 AA41 BA06 4J002 AA001 BB011 BC001 BD031 BG001 BN061 BN121 BN151 BP011 CF001 CG001 CH071 CL001 CN011 DE056 DE086 DE106 DE126 DE136 DH016 DJ006 DK006 FD046 FD136 FD336 GH00 GJ01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 示差走査熱量測定法(DSC法)におい
    て、100〜500℃の温度範囲にガラス転移温度(T
    g)を有し、かつ100〜700℃の温度範囲において
    Tgの高温側に発熱ピークが存在する機能付与剤。
  2. 【請求項2】 上記発熱ピークが、300〜700℃の
    温度範囲に存在する機能付与剤。
  3. 【請求項3】 上記発熱ピークの立ち上がり温度が、3
    00〜600℃の範囲にあること、及び/または発熱ピ
    ーク熱量が少なくとも10J/gである請求項1または
    2記載の機能付与剤。
  4. 【請求項4】 元素の周期律表の1A,2A,4A,2
    B,3B,4B,5B,6Bから選ばれる複数個の元素
    からなる請求項1〜3記載のいずれかの機能付与剤。
  5. 【請求項5】 難燃剤、表面改質剤、塗料改質剤、接着
    剤、粘度制御剤、熱線吸収剤から選ばれる請求項1〜4
    記載のいずれかの機能付与剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載のいずれかの機能付与
    剤を含有した樹脂組成物。
JP21383798A 1998-04-15 1998-07-29 機能付与剤 Pending JP2000001568A (ja)

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