WO2024166564A1

WO2024166564A1 - カーテンエアバッグ、車体、カーテンエアバッグの製造方法、方法、乗員拘束装置

Info

Publication number: WO2024166564A1
Application number: PCT/JP2023/046301
Authority: WO
Inventors: 優斗小林; 裕平田; 慎也岡
Original assignee: オートリブディベロップメントエービー; 優斗小林; 裕平田; 慎也岡
Priority date: 2023-02-06
Filing date: 2023-12-25
Publication date: 2024-08-15

Abstract

カーテンエアバッグは、車体側部の前方から後方に延びるメインチャンバと、前記メインチャンバの後方に設けられる後部チャンバとを備え、前記後部チャンバの後端が前記メインチャンバの一面に当接するように折り返された状態で下方から上方に向かって巻き上げて畳まれて前記車体に取り付けられ、前記車体に取り付けられる後列座席の背もたれの後倒角度が第１角度である際に膨張展開した場合、第１膨張展開状態となり、前記後列座席の背もたれの後倒角度が前記第１角度よりも小さい第２角度である際に膨張展開した場合、第２膨張展開状態となる。

Description

カーテンエアバッグ、車体、カーテンエアバッグの製造方法、方法、乗員拘束装置

　本技術は、カーテンエアバッグ、車体、カーテンエアバッグの製造方法、方法、乗員拘束装置に関する。

　近年、多くの車両は、衝突時に乗員を保護することを目的としてエアバッグ装置を装備している。車種によっては、カーテンエアバッグ装置を装備している。カーテンエアバッグ装置は、車両のドアの上側に折り畳んで収納されたカーテンエアバッグと、車両の衝突時に動作し、カーテンエアバッグの内部にガスを噴射するインフレータとを備える。カーテンエアバッグは、インフレータの噴射ガスの作用により車室内で膨張展開し、乗員は、膨張展開したカーテンエアバッグに受け止められ、車室内の各部への側面衝突から保護される（例えば特許文献１参照）。

特開２０１６－２２９１８号公報

　車両に備えられる後列座席は、背もたれが後倒（リクライニング）される場合がある。背もたれが後倒されて使用される場合と、後倒されずに使用される場合とでは、着座する乗員の頭部の車体に対する位置が異なる。特許文献１に記載のカーテンエアバッグは、後列座席の背もたれの後倒角度が大きい場合における乗員の頭部の保護について考慮がされていない。

　本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、後列座席の後倒角度が大きい場合及び小さい場合のいずれの場合においても乗員を保護することができるカーテンエアバッグ等を提供することを目的とする。

　本開示の一実施形態に係るカーテンエアバッグは、車体（５０）側部の前方から後方に延びるメインチャンバ（１３）と、前記メインチャンバ（１３）の後方に設けられる後部チャンバ（１４）とを備え、前記後部チャンバ（１４）の後端が前記メインチャンバ（１３）の一面に当接するように折り返された状態で下方から上方に向かって巻き上げて畳まれて前記車体（５０）に取り付けられ、前記車体（５０）に取り付けられる後列座席（Ｓ）の背もたれ（Ｓ１）の後倒角度が第１角度である際に膨張展開した場合、前記後部チャンバ（１４）が前記メインチャンバ（１３）の後方に展開して第１膨張展開状態となり、前記後列座席（Ｓ）の背もたれ（Ｓ１）の後倒角度が前記第１角度よりも小さい第２角度である際に膨張展開した場合、前記メインチャンバ（１３）及び前記後部チャンバ（１４）が折り返された状態のまま前記車体（５０）の側内壁（５ａ）と前記後列座席（Ｓ）とに挟まれて膨張展開し、第２膨張展開状態となる。

　本開示にあっては、後列座席が背もたれの後倒角度が大きい状態（後倒状態）で使用される場合、カーテンエアバッグ（エアバッグ）の後部チャンバが後方に膨張展開する。これにより、後倒状態の後列座席に着座する乗員を車体外部からの衝撃による揺動から保護することが可能である。また、背もたれの後倒角度が小さい状態（非後倒状態）で使用される場合、前方に向かって折り曲げられた後部チャンバが膨張によって後方に展開するのを後列座席が阻止する。これにより、メインチャンバの一部及び後部チャンバは後列座席と車体の側内壁との間で膨張し、後列座席と車体の側内壁との間を充填する。これにより、後列座席が非後倒状態である場合に、後列座席に着座する乗員を車体外部からの衝撃による揺動から保護することが可能である。なお、本態様において側内壁は、車体内壁、側面後部側の窓ガラスの内面、及び後部横ドアの内面（ドアトリム）を含むが、前述の要素のうちの一部のみを含むものであってもよい。

　本開示の一実施形態に係るカーテンエアバッグは、前記メインチャンバ（１３）と前記後部チャンバ（１４）とを区画する区画部（６１）を備える。

　本開示にあっては、後部チャンバが区画部によってメインチャンバと区画されることにより、多量のガスを必要とせず、後部チャンバ及びメインチャンバは乗員を保護するのに十分な内圧で膨張することが可能である。

　本開示の一実施形態に係るカーテンエアバッグは、前記区画部（６１）には、前記メインチャンバ（１３）の内部と前記後部チャンバ（１４）の内部との間でガスが通過することが可能な通気孔（６１ａ）が設けられる。

　本開示にあっては、ガスが通気孔を通過して後部チャンバに流入することにより、後部チャンバは膨張展開することが可能である。

　本開示の一実施形態に係るカーテンエアバッグは、前記後部チャンバ（１４）は、前記第１角度に後倒している前記後列座席（Ｓ）に安楽姿勢で着座する乗員（Ｐ）の頭部に対応する位置において膨張展開し、第１膨張展開状態となる。

　本開示にあっては、カーテンエアバッグの後部チャンバは、後倒状態の後列座席に安楽姿勢で着座する乗員の頭部に対応する位置において膨張展開する。安楽姿勢は、後倒状態の後列座席の背もたれに背部をつけ、ヘッドレストに頭部をつけてもたれかかった姿勢である。安楽姿勢で着座する乗員の頭部に対応する位置は、例えば、車体に対する上下方向及び前後方向の位置が安楽姿勢で着座する乗員の頭部と同じ位置である。これにより、乗員が安楽姿勢で後列座席に着座している場合、車体外部からの衝撃によって左右に揺動する乗員の頭部を保護することが可能である。

　本開示の一実施形態に係るカーテンエアバッグは、前記カーテンエアバッグ（１）の前記後部チャンバ（１４）には、畳まれた状態において前記後部チャンバ（１４）を前記メインチャンバ（１３）に連結し、前記後部チャンバ（１４）が前記第１膨張展開状態に展開する場合に破断される仮縫製部（２０）が設けられる。

　本開示にあっては、仮縫製部は、カーテンエアバッグが折り畳まれた状態において、折り曲げられた後部チャンバとメインチャンバを連結する。カーテンエアバッグが膨張して展開する場合、仮縫製部によってメインチャンバに対して後部チャンバの膨張展開が遅れ、メインチャンバが膨張してから仮縫製部が破断されて後部チャンバが膨張展開する。これにより、後部チャンバの膨張展開時の揺動を抑制し、安定してカーテンエアバッグを膨張展開させることが可能である。

　本開示の一実施形態に係る車体は、請求項１に記載のカーテンエアバッグを備える。

　本開示にあっては、後列座席の後倒角度が大きい場合及び小さい場合のいずれの場合においてもカーテンエアバッグによって乗員を保護することができる。

　本開示の一実施形態に係るカーテンエアバッグの製造方法は、車体（５０）に取り付けられ、インフレータ（２）から供給されるガスによって膨張展開するカーテンエアバッグ（１）の製造方法であって、前記車体（５０）側部の前方から後方に延びるメインチャンバ（１３）と、前記メインチャンバ（１３）の後方に設けられる後部チャンバ（１４）とを備えるカーテンエアバッグ（１）を用意し、前記後部チャンバ（１４）の後端を、前記メインチャンバ（１３）の一面に当接するように前方に折返し、前記メインチャンバ（１３）及び前記後部チャンバ（１４）を下方から上方に向かって巻き上げて畳む。

　本開示にあっては、後部チャンバが前方に折り返された後にカーテンエアバッグが上方に巻き上げられるので、折り畳まれた状態のカーテンエアバッグの前後方向の長さは展開時のカーテンエアバッグの前後方向の長さよりも短い。これにより、後部チャンバを備えるカーテンエアバッグをコンパクトに折り畳むことが可能である。

　本開示の一実施形態に係るカーテンエアバッグの製造方法は、折り返された前記後部チャンバ（１４）を、仮縫製部（２０）によって前記メインチャンバ（１３）に連結する。

　本開示にあっては、メインチャンバ及び後部チャンバを巻き上げて折り畳む際の位置ずれを防止することが可能である。

　本開示の一実施形態に係る方法は、車体（５０）側部の前方から後方に延びるメインチャンバ（１３）と、前記メインチャンバ（１３）の後方に設けられる後部チャンバ（１４）とを備えるカーテンエアバッグ（１）を用意し、前記後部チャンバ（１４）の後端を、前記メインチャンバ（１３）の一面に当接するように前方に折返し、前記メインチャンバ（１３）及び前記後部チャンバ（１４）を下方から上方に向かって巻き上げて畳み、前記車体（５０）に取り付けられる後列座席（Ｓ）の背もたれ（Ｓ１）の後倒角度が第１角度である際に膨張展開した場合、前記後部チャンバ（１４）が前記メインチャンバ（１３）の後方に展開して第１膨張展開状態となり、前記後列座席（Ｓ）の背もたれの角度が前記第１角度よりも低い第２角度である際に膨張展開した場合、前記メインチャンバ（１３）及び前記後部チャンバ（１４）が折り返された状態のまま前記車体（５０）の側内壁（５ａ）と前記後列座席（Ｓ）とに挟まれて膨張展開し、第２膨張展開状態となるように前記カーテンエアバッグ（１）を前記車体（５０）に取り付ける。

　本開示の一実施形態に係る乗員拘束装置は、車体（５０）側部の前方から後方に延びるメインチャンバ（１３）と、前記メインチャンバ（１３）の後方に設けられる後部チャンバ（１４）とを備えるカーテンエアバッグ（１）と、前記車体（５０）に取り付けられ、後倒する背もたれ（Ｓ１）を備える後列座席（Ｓ）とを備える乗員拘束装置（１０）であって、前記カーテンエアバッグ（１）は、前記後部チャンバ（１４）の後端が前記メインチャンバ（１３）の一面に当接するように折り返された状態で下方から上方に向かって巻き上げて畳まれて前記車体（５０）に取り付けられ、前記後列座席（Ｓ）の前記背もたれ（Ｓ１）の後倒角度が第１角度である際に膨張展開した場合、前記後部チャンバ（１４）が前記メインチャンバ（１３）の後方に展開して第１膨張展開状態となり、前記後列座席（Ｓ）の前記背もたれ（Ｓ１）の後倒角度が前記第１角度よりも小さい第２角度である際に膨張展開した場合、前記メインチャンバ（１３）及び前記後部チャンバ（１４）が折り返された状態のまま前記車体（５０）の側内壁（５ａ）と前記後列座席（Ｓ）とに挟まれて膨張展開し、第２膨張展開状態となる。

　本開示の一実施形態に係るカーテンエアバッグにあっては、後列座席の後倒角度が大きい場合及び小さい場合のいずれの場合においてもカーテンエアバッグによって乗員を保護することができる。

カーテンエアバッグの取り付け状態を示す模式的側面図である。展開されたエアバッグを示す模式的左側面図である。エアバッグの折り畳み方法を説明するエアバッグの側面図である。エアバッグの折り畳み方法を説明するエアバッグの側面図である。エアバッグの折り畳み方法を説明するエアバッグの側面図である。エアバッグの折り畳み方法を説明するエアバッグの模式的前面図である。第１膨張展開状態における乗員拘束装置を示す側面図である。図７におけるＡ―Ａ線及びＢ―Ｂ線による断面模式図である。第２膨張展開状態における乗員拘束装置を示す側面図である。図９におけるＸ―Ｘ線による断面模式図である。

　以下、実施の形態に係るカーテンエアバッグ１を示す図面に基づいて説明する。図１は、カーテンエアバッグの取り付け状態を示す模式的側面図である。カーテンエアバッグ（以下、エアバッグ）１は車体５０のルーフサイドレール部５１に設けられており、ヘッドライニング（図示せず）によりカバーされる。インフレータ２はルーフサイドレール部５１に設けられている。ルーフサイドレール部５１の下方にドアトリム５２が設けられており、窓ガラス５３はルーフサイドレール部５１とドアトリム５２との間に配置される。また、窓ガラス５３の後方には、車体内壁５４が位置する。インフレータ２はエアバッグ１内へガスを供給する。本実施形態においては、車体５０の右側のルーフサイドレール部５１に設けられるエアバッグ１を例に説明する。ドアトリム５２、窓ガラス５３、及び車体内壁５４は車体の側内壁５ａを構成する。

　図２は、展開されたエアバッグ１を示す模式的左側面図である。エアバッグ１は対称形状をもつシート材料が重ね合わされて一体となった袋状物である。なお、本実施の形態においてはエアバッグ１を袋状に縫合された織物等の二枚の生地から構成した例につき説明するが、最初から袋状に織った一枚の織物から製造しても良い。

　矩形状をなすエアバッグ１の長手方向（前後方向）上側には、複数の固定具４が所定の距離を隔てて突設されている。また固定具４に対応した複数のタブ３が固定具４の下側にて、エアバッグ１に設けられている。タブ３の下部には、ラップ３ａがさらに連結されている。ラップ３ａは、前後方向に平行な軸回りに回転可能である。タブ３、ラップ３ａ、及び固定具４はエアバッグ１の基布に縫製によって一体的に設けられている。タブ３、ラップ３ａ、及び固定具４は、例えばエアバッグ１の右面に配置される。

　固定具４には、開口４ａが設けられている。ラップ３ａは、エアバッグ１が巻回された状態又は折り畳まれた状態を保持するために、巻回された又は折り畳まれたエアバッグ１を周方向に少なくとも一周し、固定具４の開口４ａに挿入されて掛止される。エアバッグ１は車体５０のルーフサイドレール部５１に固定具４によって取り付けられる。またエアバッグ１の上縁部における前後方向中央部にインフレータ２に接続するための接続部５が設けられている。接続部５はエアバッグ１の上縁部から上方に突出している。

　エアバッグ１は、前部チャンバ１１と、下部チャンバ１２と、メインチャンバ１３と、後部チャンバ１４とを備える。前部チャンバ１１は、エアバッグ１の最前方に位置する。下部チャンバ１２は、前部チャンバ１１の後方に位置し、一部が下方に突出している。メインチャンバ１３は、下部チャンバ１２の後方に位置し、後部チャンバ１４はメインチャンバ１３のさらに後方に位置する。メインチャンバ１３と後部チャンバ１４とは区画部６１によって区画される。区画部６１は左右二枚のシート材料が上下方向に沿って縫い合わせられることによって形成される。なお、区画部６１は、左右二枚のシート材料が溶着されることにより形成されてもよい。区画部６１の上方及び下方は縫い合わされておらず、通気孔６１ａが設けられている。すなわち、インフレータ２から供給されるガスは、メインチャンバ１３内及び通気孔６１ａを通過して後部チャンバ１４に流入する。

　区画部６１の後方、すなわち後部チャンバ１４には、折り線１４ａが形成されている。折り線１４ａは、区画部６１と略平行である。

　エアバッグ１にはシーム６が設けられており、該シーム６によって、前部チャンバ１１、下部チャンバ１２、メインチャンバ１３、及び後部チャンバ１４を含む膨張部７と非膨張部８とが区切られている。非膨張部８は、エアバッグ１の周囲に形成された部分と、中央部に独立して存在する部分とを含む。膨張部７は主にエアバッグ１の中央部に形成されており、下部チャンバ１２に設けられる下方膨張部７ａを含む。展開時において、下方膨張部７ａはドアトリム５２の上縁部よりも下方に延びる。

　エアバッグ１における前方上部にストラップ９が設けられている。ストラップ９は細長く、前後方向に延びる。ストラップ９の後端部が、エアバッグ１の前縁部における非膨張部８に取り付けられている。ストラップ９の前端部を車体５０に固定することによって、エアバッグ１は前後方向に引っ張られ、エアバッグ１にテンションが付与される。

　次にエアバッグ１の折り畳み方法について説明する。図３～図５は、エアバッグ１の折り畳み方法を説明するエアバッグ１の側面図、図６は、エアバッグ１の折り畳み方法を説明するエアバッグ１の模式的前面図である。以下の説明で使用する前面及び後面は車両の前後方向に対応し、側面は車両の左右方向に対応する。図２及び図６Ａに示すように、初期状態において、エアバッグ１は展開されている。なお、初期状態においては、各チャンバ内のガスは抜かれており、左側面及び右側面の生地は内部において当接している。また、タブ３、ラップ３ａ、及びエアバッグ１は縫製部３１により縫製され、一体的に形成されている。

　図３に示すように、後部チャンバ１４がメインチャンバ１３の左側面に対向するように、折り線１４ａにて後部チャンバ１４を前方に折り返す。ここで「右」は、車両の後部から前方を視認したときの右方向を示す。「左」は、車両の後部から前方を視認したときの左方向を示す。

　図３及び図６Ｂに示す状態において、後部チャンバ１４は、メインチャンバ１３に仮止めされる。仮縫製部２０は、後部チャンバ１４をメインチャンバ１３に連結させる。本実施形態において仮縫製部２０は、折り返された状態の後部チャンバ１４の前部及び後部に三箇所ずつ上下に並んで配置されるように形成される。仮縫製部２０は、巻き装置を使用してエアバッグ１を巻く場合に、巻き装置に対するメインチャンバ１３及び後部チャンバ１４の位置ずれを防止する。仮縫製部２０はエアバッグ１の第１膨張展開時に破断され、後部チャンバ１４が後方に展開する。

　図４及び図６Ｃに示すように、エアバッグ１は、下端を巻き始めにして、右側面に巻き上げられる。図４において、二点鎖線は巻き始め時におけるエアバッグ１の輪郭を示す。図４の実線及び図６Ｃに示すように、エアバッグ１は、固定具４付近まで巻き上げられて折り畳まれる。なお、エアバッグ１は蛇腹状に下方から上方にむかって折り畳まれてもよい。

　図５及び図６Ｄに示すように、ラップ３ａは、ロール状になったエアバッグ１の外周面に巻き付けられ、固定具４の開口４ａに取り付けられる。エアバッグ１はタブ３によって折り畳まれた状態に保持される。エアバッグ１を車体５０に取り付ける場合、固定具４によって、ルーフサイドレール部５１に棒状となったエアバッグ１を固定させる。

　以下、エアバッグ１の膨張展開について説明する。図７は、第１膨張展開状態における乗員拘束装置１０を示す側面図である。図８は、図７におけるＡ―Ａ線及びＢ―Ｂ線による断面模式図である。エアバッグ１は、車両が備える後列座席Ｓの背もたれＳ１の後倒（リクライニング）角度が第１角度である際に展開した場合、第１膨張展開状態となる。本実施形態においては、背もたれＳ１が後倒可能な最大の後倒角度を第１角度とし、背もたれＳ１が第１角度に後倒している状態を後倒状態とする。なお、第１角度は最大の後倒角度に限られない。例えば、第１角度は、乗員拘束装置１０を側面視した場合に、後列座席Ｓの背もたれＳ１と、膨張展開時のエアバッグ１とが重ならない状態となる背もたれＳ１の後倒角度であってもよい。なお、背もたれＳ１の後倒角度が第１角度である場合、乗員拘束装置１０を側面視した場合に、後列座席ＳのヘッドレストＳ２と、膨張展開時のエアバッグ１とが重なる状態となってもよい。また、第１角度は、乗員拘束装置１０を側面視した場合に、後列座席ＳのヘッドレストＳ２と、膨張展開時のエアバッグ１とが重ならない状態となる背もたれＳ１の後倒角度であってもよい。第１角度は、乗員拘束装置１０を側面視した場合に、後列座席Ｓの背もたれＳ１の上端がエアバッグ１の後部チャンバ１４の下端よりも下側に位置する場合の背もたれＳ１の後倒角度であってもよい。図７及び後述する図９においては、後列座席Ｓ及び乗員Ｐを破線によって示す。

　インフレータ２からエアバッグ１にガスが供給された場合、前部チャンバ１１、下部チャンバ１２、及びメインチャンバ１３が膨張する。膨張によってラップ３ａは固定具４から外れ、エアバッグ１は下方向に展開し、図３に示す状態となる。さらにインフレータ２からエアバッグ１にガスが供給された場合、後部チャンバ１４が膨張して仮縫製部２０は破断される。後部チャンバ１４は、膨張によって折り線１４ａを軸に回転して後方に展開し、第１膨張展開状態となる。

　図８Ａは、図７におけるＡ―Ａ線による断面模式図である。図８Ａに示すように、エアバッグ１のメインチャンバ１３は、窓ガラス５３の左方において膨張する。図８Ｂは、図７におけるＢ―Ｂ線による断面模式図である。図８Ｂに示すように、エアバッグ１の後部チャンバ１４は、車体内壁５４の左方において膨張する。なお、後部チャンバ１４は、ドアトリム５２または窓ガラス５３の左方において膨張してもよい。

　図７に示すようにエアバッグ１が第１膨張展開状態となった場合、後部チャンバ１４は、背もたれＳ１が第１角度に後倒した後倒状態である後列座席Ｓに安楽姿勢で着座する乗員Ｐの頭部に対応し、乗員Ｐの頭部を保護可能な位置において膨張する。本実施形態において安楽姿勢とは、後倒状態である後列座席Ｓの背もたれＳ１に背部をつけ、ヘッドレストＳ２に頭部をつけてもたれかかった姿勢を指す。後部チャンバ１４は、例えば、車体５０に対する上下方向及び前後方向における位置が安楽姿勢の乗員Ｐの頭部と同じ位置において膨張するように設けられる。これにより、第１膨張展開状態における後部チャンバ１４は、乗員Ｐが安楽姿勢である場合、車体外部からの衝撃によって左右に揺動する乗員Ｐの頭部を保護することが可能である。

　図９は、第２膨張展開状態における乗員拘束装置１０を示す側面図である。図１０は、図９におけるＸ―Ｘ線による断面模式図である。エアバッグ１は、車両が備える後列座席Ｓの後倒角度が第１角度よりも小さい第２角度である際に展開した場合、第２膨張展開状態となる。本実施形態においては、背もたれＳ１の最小の後倒角度（０度）を第２角度とし、背もたれＳ１の後倒角度が第２角度である状態を非後倒状態とする。なお、第２角度は最小の後倒角度に限られない。例えば、第２角度は、乗員拘束装置１０を側面視した場合に、後列座席Ｓの背もたれＳ１と、膨張展開時のエアバッグ１とが重なる状態となる背もたれＳ１の後倒角度であってもよい。また、第１角度は、乗員拘束装置１０を側面視した場合に、後列座席ＳのヘッドレストＳ２と、膨張展開時のエアバッグ１とが重なる状態となる背もたれＳ１の後倒角度であってもよい。第２角度は、乗員拘束装置１０を側面視した場合に、後列座席Ｓの背もたれＳ１の上端がエアバッグ１の後部チャンバ１４の下端よりも上側に位置する場合の背もたれＳ１の後倒角度であってもよい。

　インフレータ２からエアバッグ１にガスが供給された場合、後列座席Ｓが後倒されている場合と同様に前部チャンバ１１、下部チャンバ１２、及びメインチャンバ１３が膨張し、図３に示す状態となる。さらにインフレータ２からエアバッグ１にガスが供給された場合、後部チャンバ１４は、後列座席Ｓによって折り線１４ａを軸にした回転を阻止され、車体の側内壁５ａと後列座席Ｓとに挟まれる位置で前方向に折れ曲げられたまま膨張する。この場合、折り線１４ａと区画部６１により、後部チャンバ１４に流入するガスの量は第１膨張展開状態に比べて少ない。

　後部チャンバ１４が折れ曲がったまま膨張することにより、エアバッグ１は、図１０に示すように、車体内壁５４と後列座席Ｓとの隙間を充填する。これにより、車体内壁５４、エアバッグ１、及び後列座席Ｓが一体となり、車体が衝撃を受けた際に後列座席Ｓに着座する乗員Ｐを保護する。なお、後部チャンバ１４は、ドアトリム５２または窓ガラス５３と後列座席Ｓとの隙間を充填してもよい。すなわち、本実施形態においては、ドアトリム５２、窓ガラス５３、または車体内壁５４を含む車体の側内壁５ａ、エアバッグ１、及び後列座席Ｓが乗員拘束装置１０を構成する。

　以上の構成によれば、後列座席Ｓの後倒角度が大きい場合及び小さい場合のいずれの場合においても乗員を保護することができる。

（変形例）
　上述の実施形態においては、エアバッグ１は、後部チャンバ１４が前方に折り返されてから、下方から上方に向かって巻き上げられたが、これに限られない。エアバッグ１は、下方から上方に巻き上げられてから後部チャンバ１４を前方に折り返されて折り畳まれてもよい。また、エアバッグ１は、下方から上方に向かって蛇腹状に折り畳まれてもよい。

　なお請求項に符号が記載されている場合、前記符号は、請求項の理解を容易にする為に、実施の形態に記載される符号に対応させて、参考として付されるものに過ぎず、請求の範囲を制限するものではない。

　今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、請求の範囲内での全ての変更及び請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。また、請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、請求の範囲には他の２以上のクレームを引用するクレームを記載する形式（マルチクレーム形式）を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム（マルチマルチクレーム）を記載する形式を用いて記載しても良い。

　１　カーテンエアバッグ（エアバッグ）
　２　インフレータ
　３　タブ
　３ａ　ラップ
　４　固定具
　４ａ　開口
　５　接続部
　５ａ　側内壁
　６　シーム
　７　膨張部
　７ａ　下方膨張部
　８　非膨張部
　９　ストラップ
　１０　乗員拘束装置
　１１　前部チャンバ
　１２　下部チャンバ
　１３　メインチャンバ
　１４　後部チャンバ
　１４ａ　折り線
　２０　仮縫製部
　５０　車体
　５１　ルーフサイドレール部
　５２　ドアトリム
　５３　窓ガラス
　５４　車体内壁
　６１　区画部
　６１ａ　通気孔
　Ｐ　乗員
　Ｓ　後列座席
　Ｓ１　背もたれ
　Ｓ２　ヘッドレスト

Claims

　車体（５０）側部の前方から後方に延びるメインチャンバ（１３）と、
　前記メインチャンバ（１３）の後方に設けられる後部チャンバ（１４）と
　を備え、
　前記後部チャンバ（１４）の後端が前記メインチャンバ（１３）の一面に当接するように折り返された状態で下方から上方に向かって巻き上げて畳まれて前記車体（５０）に取り付けられ、
　前記車体（５０）に取り付けられる後列座席（Ｓ）の背もたれ（Ｓ１）の後倒角度が第１角度である際に膨張展開した場合、前記後部チャンバ（１４）が前記メインチャンバ（１３）の後方に展開して第１膨張展開状態となり、
　前記後列座席（Ｓ）の背もたれ（Ｓ１）の後倒角度が前記第１角度よりも小さい第２角度である際に膨張展開した場合、前記メインチャンバ（１３）及び前記後部チャンバ（１４）が折り返された状態のまま前記車体（５０）の側内壁（５ａ）と前記後列座席（Ｓ）とに挟まれて膨張展開し、第２膨張展開状態となる
　カーテンエアバッグ（１）。
　前記メインチャンバ（１３）と前記後部チャンバ（１４）とを区画する区画部（６１）を備える
　請求項１に記載のカーテンエアバッグ（１）。
　前記区画部（６１）には、前記メインチャンバ（１３）の内部と前記後部チャンバ（１４）の内部との間でガスが通過することが可能な通気孔（６１ａ）が設けられる
　請求項２に記載のカーテンエアバッグ（１）。
　前記後部チャンバ（１４）は、前記第１角度に後倒している前記後列座席（Ｓ）に安楽姿勢で着座する乗員（Ｐ）の頭部に対応する位置において膨張展開し、第１膨張展開状態となる
　請求項１または２に記載のカーテンエアバッグ（１）。
　前記カーテンエアバッグ（１）の前記後部チャンバ（１４）には、畳まれた状態において前記後部チャンバ（１４）を前記メインチャンバ（１３）に連結し、前記後部チャンバ（１４）が前記第１膨張展開状態に展開する場合に破断される仮縫製部（２０）が設けられる
　請求項１または２に記載のカーテンエアバッグ（１）。
　請求項１に記載のカーテンエアバッグを備える車体（５０）。
　車体（５０）に取り付けられ、インフレータ（２）から供給されるガスによって膨張展開するカーテンエアバッグ（１）の製造方法であって、
　前記車体（５０）側部の前方から後方に延びるメインチャンバ（１３）と、前記メインチャンバ（１３）の後方に設けられる後部チャンバ（１４）とを備えるカーテンエアバッグ（１）を用意し、
　前記後部チャンバ（１４）の後端を、前記メインチャンバ（１３）の一面に当接するように前方に折返し、
　前記メインチャンバ（１３）及び前記後部チャンバ（１４）を下方から上方に向かって巻き上げて畳む
　カーテンエアバッグ（１）の製造方法。
　折り返された前記後部チャンバ（１４）を、仮縫製部（２０）によって前記メインチャンバ（１３）に連結する
　請求項７に記載のカーテンエアバッグ（１）の製造方法。
　車体（５０）側部の前方から後方に延びるメインチャンバ（１３）と、前記メインチャンバ（１３）の後方に設けられる後部チャンバ（１４）とを備えるカーテンエアバッグ（１）を用意し、
　前記後部チャンバ（１４）の後端を、前記メインチャンバ（１３）の一面に当接するように前方に折返し、
　前記メインチャンバ（１３）及び前記後部チャンバ（１４）を下方から上方に向かって巻き上げて畳み、
　前記車体（５０）に取り付けられる後列座席（Ｓ）の背もたれ（Ｓ１）の後倒角度が第１角度である際に膨張展開した場合、前記後部チャンバ（１４）が前記メインチャンバ（１３）の後方に展開して第１膨張展開状態となり、
　前記後列座席（Ｓ）の背もたれの角度が前記第１角度よりも低い第２角度である際に膨張展開した場合、前記メインチャンバ（１３）及び前記後部チャンバ（１４）が折り返された状態のまま前記車体（５０）の側内壁（５ａ）と前記後列座席（Ｓ）とに挟まれて膨張展開し、第２膨張展開状態となる
　ように前記カーテンエアバッグ（１）を前記車体（５０）に取り付ける方法。
　車体（５０）側部の前方から後方に延びるメインチャンバ（１３）と、前記メインチャンバ（１３）の後方に設けられる後部チャンバ（１４）とを備えるカーテンエアバッグ（１）と、
　前記車体（５０）に取り付けられ、後倒する背もたれ（Ｓ１）を備える後列座席（Ｓ）と
　を備える乗員拘束装置（１０）であって、
　前記カーテンエアバッグ（１）は、
　前記後部チャンバ（１４）の後端が前記メインチャンバ（１３）の一面に当接するように折り返された状態で下方から上方に向かって巻き上げて畳まれて前記車体（５０）に取り付けられ、
　前記後列座席（Ｓ）の前記背もたれ（Ｓ１）の後倒角度が第１角度である際に膨張展開した場合、前記後部チャンバ（１４）が前記メインチャンバ（１３）の後方に展開して第１膨張展開状態となり、
　前記後列座席（Ｓ）の前記背もたれ（Ｓ１）の後倒角度が前記第１角度よりも小さい第２角度である際に膨張展開した場合、前記メインチャンバ（１３）及び前記後部チャンバ（１４）が折り返された状態のまま前記車体（５０）の側内壁（５ａ）と前記後列座席（Ｓ）とに挟まれて膨張展開し、第２膨張展開状態となる
　乗員拘束装置（１０）。