WO2024147260A1 - パーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物及び物品 - Google Patents

パーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物及び物品 Download PDF

Info

Publication number
WO2024147260A1
WO2024147260A1 PCT/JP2023/044345 JP2023044345W WO2024147260A1 WO 2024147260 A1 WO2024147260 A1 WO 2024147260A1 JP 2023044345 W JP2023044345 W JP 2023044345W WO 2024147260 A1 WO2024147260 A1 WO 2024147260A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
group
atom
integer
groups
component
Prior art date
Application number
PCT/JP2023/044345
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
智之 朝日
健一 福田
Original Assignee
信越化学工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 信越化学工業株式会社 filed Critical 信越化学工業株式会社
Publication of WO2024147260A1 publication Critical patent/WO2024147260A1/ja

Links

Abstract

(A)特定構造の両末端にアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマー(A1)と、特定構造の片末端にアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマー(A2)からなり、(A1)、(A2)のアルケニル基量の合計に対する(A2)のアルケニル基量が0.5~40モル%である混合物、(B)1分子中にケイ素原子結合水素原子を2個以上有するフッ素変性有機ケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化反応触媒、(D)BET比表面積が50m2/g以上である疎水性シリカ粉末、及び(E)平均粒子径が0.05~100μmの球状シリカ粒子を特定割合で含むパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物が、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、低温特性等に優れた硬化物を与え、なおかつ優れた射出成形性を有するとともに、低いガス透過性を有する硬化物を与えることができる。

Description

パーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物及び物品
 本発明は、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、低温特性、低いガス透過性等に優れた硬化物(パーフルオロポリエーテルゴム硬化物)を与えることができ、なおかつ優れた射出成形性を有する熱硬化性のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物、及び該組成物を硬化してなる物品に関するものである。
 特許文献1(特開2002-167502号公報)は、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、低温特性などに優れた硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物を開示している。
 特許文献1に記載の硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物は、優れた機能をもつゴム硬化物を与えることができるが、そのガス透過性は改善の余地があった。
 なお、本発明に関連する従来技術として、上述した文献と共に下記文献が挙げられる。
特開2002-167502号公報 特開2005-246958号公報
 本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、優れた射出成形性を有し、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、低温特性、低いガス透過性等に優れた硬化物(パーフルオロポリエーテルゴム硬化物)を与えることができる熱硬化性のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物、及び該組成物を硬化してなる物品を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、(A)後述する特定構造の両末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマー(A1)と、後述する特定構造の片末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマー(A2)からなり、(A1)、(A2)成分のアルケニル基量の合計に対する(A2)成分のアルケニル基量が0.5モル%以上かつ40モル%以下であるパーフルオロポリエーテル混合物、(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するフッ素変性有機ケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化反応触媒、(D)BET比表面積が50m2/g以上である疎水性シリカ粉末、及び(E)平均粒子径が0.05~100μmの球状シリカ粒子を特定割合で含むパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物が、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、低温特性等に優れた硬化物(パーフルオロポリエーテルゴム硬化物)を与え、なおかつ優れた射出成形性を有するとともに、低いガス透過性を有する硬化物(パーフルオロポリエーテルゴム硬化物)を与えることができることを見出し、本発明をなすに至った。
 従って、本発明は、下記のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物及び物品を提供する。
〔1〕
 (A)下記一般式(1)で表される両末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマー(A1)と、下記一般式(2)で表される片末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマー(A2)からなり、(A1)、(A2)成分のアルケニル基量の合計に対する(A2)成分のアルケニル基量が0.5モル%以上かつ40モル%以下であるパーフルオロポリエーテル混合物: 100質量部、
  Rf[L-M(W)β2     (1)
  A-Rf-L-M(W)β     (2)
(式中、Rfは2価のパーフルオロポリエーテル基であり、Lは独立に、単結合、アミド結合、カルボニル結合、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基であり、Mは独立に、単結合、窒素原子、ケイ素原子、炭素原子、リン原子、又は窒素原子、ケイ素原子、炭素原子及びリン原子の少なくとも1種を含んでいてもよい2~8価の有機基である。Wは独立に、末端にアルケニル基を有する1価の有機基であり、βは独立に1~7の整数であり、Aはフッ素原子、又は末端が-CF3基である1価のフッ素含有基である。)
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するフッ素変性有機ケイ素化合物: (A)成分中のアルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)が0.5~5モルとなる量、
(C)ヒドロシリル化反応触媒: 触媒量、
(D)BET比表面積が50m2/g以上である疎水性シリカ粉末: 10~40質量部、及び
(E)平均粒子径が0.05~100μmの球状シリカ粒子: 90~300質量部
を含むものであるパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物。
〔2〕
 さらに、(F)ヒドロシリル化反応制御剤を含むものである〔1〕に記載のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物。
〔3〕
 〔1〕又は〔2〕に記載のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物を硬化してなる物品。
 本発明のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物によれば、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、低温特性、低いガス透過性等に優れた硬化物(パーフルオロポリエーテルゴム硬化物)を与えることができ、なおかつ優れた射出成形性を有する熱硬化性のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物を提供することができる。
[(A)成分]
 (A)成分は、パーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物の主剤(ベースポリマー)であり、下記一般式(1)で表される両末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマーである(A1)成分と、下記一般式(2)で表される片末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマーである(A2)成分との特定割合からなる。
  Rf[L-M(W)β2     (1)
  A-Rf-L-M(W)β     (2)
(式中、Rfは2価のパーフルオロポリエーテル基であり、Lは独立に、単結合、アミド結合、カルボニル結合、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基であり、Mは独立に、単結合、窒素原子、ケイ素原子、炭素原子、リン原子、又は窒素原子、ケイ素原子、炭素原子及びリン原子の少なくとも1種を含んでいてもよい2~8価の有機基である。Wは独立に、末端にアルケニル基を有する1価の有機基であり、βは独立に1~7の整数であり、Aはフッ素原子、又は末端が-CF3基である1価のフッ素含有基である。)
[(A1)成分]
 (A1)成分の両末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマーは、下記一般式(1)で表されるものである。
  Rf[L-M(W)β2     (1)
 上記式(1)において、Rfは2価のパーフルオロポリエーテル基(パーフルオロオキシアルキレン基)であり、
-Cb2bO-
(式中、bは1~6の整数である。)
で表される繰り返し単位(パーフルオロオキシアルキレン単位)を含むものであり、例えば下記一般式(3)で表される基を含むものが挙げられる。
-(Cb2bO)c-   (3)
(式(3)中、bは1~6の整数であり、cは1~300の整数、好ましくは1~200の整数である。)
 上記-Cb2bO-で表される繰り返し単位としては、例えば下記式で表される単位等が挙げられる。
-CF2O-
-CF2CF2O-
-CF2CF2CF2O-
-CF(CF3)CF2O-
-CF(CF3)OCF2
-CF2OCF(CF3)-
-CF2CF2CF2CF2O-
-CF2CF2CF2CF2CF2O-
-CF2CF2CF2CF2CF2CF2O-
-C(CF32O-
 これらの中では、特に下記式で表される繰り返し単位が好適である。
-CF2O-
-CF2CF2O-
-CF2CF2CF2O-
-CF(CF3)CF2O-
-CF(CF3)OCF2
-CF2OCF(CF3)-
 なお、上記繰り返し単位は、1種で構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されていてもよい。
 Rfとしては、例えば、上記式(3)で表される-Cb2bO-で表される繰り返し単位の1種又は2種以上の組み合わせからなる基を含むものが挙げられ、下記式で表される基が好ましい。
-Cd2dO(CF2O)p(C24O)qd2d
-Cd2dO(C36O)rd2d
-Cd2dO(C24O)q(C48O)sd2d
-Cd2dO(CF2O)p(C24O)q(C36O)rd2d
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
(式中、dは1~5の整数であり、p、q、r、sはそれぞれ1以上の整数であり、各式におけるp、q、r、sの合計は2~300である。これら各単位は直鎖状であっても分岐状であってもよい。r2、r3はそれぞれ1以上の整数であり、r2、r3の合計は2~299であり、eは2~6の整数である。また、p、q、r、s、r2、r3が付された括弧内に示される各繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。r4は2~300の整数である。)
 上記式(1)において、Lは独立に、単結合、アミド結合、カルボニル結合、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基であり、Rf基とM基との連結基である。
 Lで表される2価の有機基として、好ましくは非置換又は置換の炭素数2~12の2価の炭化水素基である。炭素数2~12の2価の炭化水素基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、又はこれらの基の2種以上の組み合わせ(アルキレン・アリーレン基等)が挙げられる。該炭素数2~12の2価の炭化水素基は、アミド結合、エーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、ジメチルシリレン基等のジオルガノシリレン基及び-Si[OH][(CH2wSi(CH33]-(wは2~4の整数)で示される基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の構造を含んでいてもよく、また、炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子で置換した基であってもよい。2価の有機基としては、中でも、アミド結合、エーテル結合、カルボニル結合及びジオルガノシリレン基より選ばれる1種又は2種以上の構造を含んでいてもよい炭素数2~4のアルキレン基、フェニレン基及びこれらの組み合わせが好ましい。
 なお、2価の有機基として好ましい炭素数2~12の2価の炭化水素基中の炭素数は、非置換の2価の炭化水素基における炭素数をカウントしたものであり、例えば2価の炭化水素基中にジメチルシリレン基等の上記構造が介在する場合、上記構造における炭素原子の数はカウントしないものとする。
 単結合以外のLとしては、例えば、下記構造で示される基が挙げられる。なお、左側の結合手はRfと結合し、右側の結合手はMと結合することが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
(式中、wは単位毎に独立して2~4の整数であり、xは2~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、u及びvはそれぞれ1~4の整数であり、Meはメチル基であり、Etはエチル基である。)
 また、Mは独立に、単結合、窒素原子、ケイ素原子、炭素原子、リン原子、又は窒素原子、ケイ素原子、炭素原子及びリン原子の少なくとも1種を含んでいてもよい2~8価の有機基である。具体的には、単結合、-R1 2C-で示される2価の基、-R3 2Si-で示される2価の基、-NR4-で示される2価の基、-N=で示される3価の基、-P=で示される3価の基、-PO=で示される3価の基、-R1C=で示される3価の基、-R3Si=で示される3価の基、-C≡で示される4価の基、-O-C≡で示される4価の基、及び-Si≡で示される4価の基から選ばれる基、又は2~8価のシロキサン残基である。
 上記において、R1は互いに独立に、好ましくは炭素数1~3のアルキル基、ヒドロキシル基、ケイ素原子数2~51個のジオルガノシロキサン構造を介在していてもよい炭素数1~3のオキシアルキレン基の繰り返し単位を有する基、又はR2 3SiO-で示されるシリルエーテル基であり、R2は互いに独立に、水素原子、好ましくは炭素数1~3のアルキル基、フェニル基等のアリール基、又は炭素数1~3のアルコキシ基である。R3は互いに独立に、好ましくは炭素数1~3のアルキル基、炭素数2又は3のアルケニル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ヒドロキシル基、又はクロロ基である。R4は炭素数1~3のアルキル基、フェニル基等の炭素数6~10のアリール基である。Mがシロキサン残基の場合には、ケイ素原子数2~51個、好ましくはケイ素原子数2~13個、より好ましくはケイ素原子数2~11個、さらに好ましくはケイ素原子数2~5個の直鎖状、分岐状又は環状のオルガノポリシロキサン構造を有することが好ましい。該オルガノポリシロキサンは、炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~4のメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基又はフェニル基を有するものがよい。また、2個のケイ素原子がアルキレン基で結合されたシルアルキレン構造、即ちSi-(CH2x-Siを含んでいてもよい。前記式においてxは2~6の整数であり、好ましくは2~4の整数である。
 このような単結合以外のMとしては、下記に示すものが挙げられる。なお、左側の結合手はLと結合し、それ以外の結合手はWと結合することが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
(式中、yは1~20の整数であり、zは1~50の整数であり、Meはメチル基である。)
 上記式(1)において、Wは末端にアルケニル基を有する1価の有機基であり、好ましくは下記式で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
(式中、Rは、水素原子、ヒドロキシ基、メチル基、エチル基等の炭素数1~4のアルキル基、又はフェニル基である。Yはアルケニル基である。aは1~3の整数、好ましくは1又は2、より好ましくは1であり、mは0~10の整数、好ましくは0~4の整数である。)
 Yのアルケニル基としては、炭素数2~8、特には炭素数2~6であり、かつ末端にCH2=CH-構造を有するものであることが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられ、中でもビニル基やアリル基が特に好ましい。
 式(1)において、βは1~7の整数、好ましくは1~3の整数である。
 ここで、(A1)成分のアルケニル基含有量は、0.005~0.3モル/100gが好ましく、さらに好ましくは0.007~0.2モル/100gである。該アルケニル基含有量が0.005モル/100g以上であれば、組成物の架橋度合いが十分となり、硬化不具合が生じるおそれがない。一方、該アルケニル基含有量が0.3モル/100g以下であれば、組成物を硬化して得られる硬化物(パーフルオロポリエーテルゴム硬化物)の機械的特性が損なわれるおそれがない。(A1)成分中のアルケニル基含有量は1H-NMR測定から算出することができる。
 Wとしては、下記に示すものが例示できる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
(式中、Meはメチル基である。)
 上記式(1)で表されるアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマーとして、例えば、下記のものが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000021
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000022
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000023
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000024
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000025
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000026
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000027
(式中、p1、q1、r1、s1はそれぞれ独立に1~200の整数であり、かつ、p1、q1、r1、s1の合計は3~300であり、括弧内に示される各繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。Meはメチル基である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000028
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000029
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000030
(式中、n1及びn2はそれぞれ1~150の整数であり、かつ、n1及びn2の合計は2~300であり、括弧内に示される各繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。Meはメチル基であり、Etはエチル基である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000031
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000032
(式中、n1及びn2はそれぞれ1~150の整数であり、かつ、n1及びn2の合計は2~300であり、括弧内に示される各繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。Meはメチル基である。)
 (A1)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
[(A2)成分]
 (A2)成分の片末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマーは、下記一般式(2)で表されるものである。
  A-Rf-L-M(W)β     (2)
 上記式(2)において、Rf、L、M、W、βは上記(A1)成分の式(1)におけるRf、L、M、W、βと同じであり、上述したRf、L、M、W、βと同様のものを例示することができる。なお、Rfの好ましい基の例示において、左側の結合手がAと結合し、右側の結合手がLと結合することが好ましい。
 上記式(2)において、Aはフッ素原子、又は末端が-CF3基である1価のフッ素含有基であり、末端が-CF3基である1価のフッ素含有基としては、CF3CF2CF2CF2-、CF3CF2CF2-、CF3CF2-、CF3-等が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。
 (A2)成分のアルケニル基含有量は、0.0025~0.15モル/100gが好ましく、さらに好ましくは0.0035~0.1モル/100gである。該アルケニル基含有量が0.0025モル/100g以上であれば、組成物の架橋度合いが十分となり、硬化不具合が生じるおそれがない。一方、該アルケニル基含有量が0.15モル/100g以下であれば、組成物を硬化して得られる硬化物(パーフルオロポリエーテルゴム硬化物)の機械的特性が損なわれるおそれがない。なお、(A2)成分中のアルケニル基含有量は1H-NMR測定から算出することができる。
 上記式(2)で表されるアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマーとして、例えば、下記のものが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000033
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000034
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000035
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000036
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000037
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000038
(式中、p1、q1、r1、s1はそれぞれ独立に1~200の整数であり、かつ、p1、q1、r1、s1の合計は3~300であり、括弧内に示される各繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。Meはメチル基である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000039
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000040
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000041
(式中、n3は1~200の整数である。Meはメチル基であり、Etはエチル基である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000042
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000043
(式中、n3は1~200の整数である。Meはメチル基である。)
 (A2)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
 (A)成分は、上記(A1)、(A2)成分からなり、(A1)、(A2)成分のアルケニル基量の合計に対する(A2)成分のアルケニル基量が0.5モル%以上かつ40モル%以下であるパーフルオロポリエーテル混合物である。(A1)、(A2)成分のアルケニル基量の合計に対する(A2)成分のアルケニル基量は、0.5モル%以上かつ40モル%以下であり、1モル%以上かつ20モル%以下が好ましく、2モル%以上かつ10モル%以下がより好ましい。(A1)、(A2)成分のアルケニル基量の合計に対する(A2)成分のアルケニル基量が0.5モル%未満であると、組成物を硬化して得られる硬化物(パーフルオロポリエーテルゴム硬化物)の伸び物性の向上がみられない場合がある。一方、(A1)、(A2)成分のアルケニル基量の合計に対する(A2)成分のアルケニル基量が40モル%を超えると、該組成物を硬化しても、良好なゴム成形物が得られない場合がある。
[(B)成分]
 (B)成分は、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiHで示されるヒドロシリル基)を2個以上有するフッ素変性有機ケイ素化合物であり、本発明のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物において、上記(A)成分に対してヒドロシリル化付加反応可能な架橋剤(硬化剤)として作用するものである。(B)成分は、好ましくは、1分子中に、炭素原子数2個以上(即ち、フッ素原子数5個以上)のパーフルオロアルキル基もしくは炭素原子数1個以上(即ち、フッ素原子数3個以上)のパーフルオロオキシアルキル基を有するか、又は炭素原子数2個以上(即ち、フッ素原子数4個以上)のパーフルオロアルキレン基もしくは炭素原子数2個以上(即ち、フッ素原子数4個以上)のパーフルオロオキシアルキレン基を有し、かつ1分子中にケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)を2個以上有し、かつ1分子中にエポキシ基及びケイ素原子に直結したアルコキシ基を有さない有機ケイ素化合物(特には、含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサン)である。
 上記パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基及びパーフルオロオキシアルキレン基は、上記(A)成分との相溶性、分散性及び硬化後の均一性等の観点から導入される基である。
 このパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基としては、下記一般式(4)又は(5)で表される基が挙げられる。
f2f+1-   (4)
(式(4)中、fは2~10の整数、好ましくは3~7の整数である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000044
(式(5)中、gは1~50の整数、好ましくは2~30の整数である。)
 また、上記パーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基としては、下記一般式(6)~(8)で表される基が挙げられる。
-Ch2h-   (6)
(式(6)中、hは2~20の整数、好ましくは2~10の整数である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000045
(式(7)中、i及びjはそれぞれ1以上の整数、好ましくは1~100の整数であり、i+jの平均値は2~200、好ましくは2~100である。)
-CF2O-(CF2CF2O)k(CF2O)l-CF2-   (8)
(式(8)中、k及びlはそれぞれ1~50の整数、好ましくは1~30の整数であり、k+lの平均値は2~100、好ましくは2~60である。各繰り返し単位同士はランダムに結合されていてよい。)
 また、これらのパーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基(以下、これらをまとめて「1価又は2価の含フッ素有機基」ともいう)とポリシロキサンを構成するケイ素原子とは2価の連結基により繋がれていることが好ましい。該2価の連結基としては、酸素原子、窒素原子又はケイ素原子を有していてもよい、非置換もしくは置換の、炭素数2~13、特に炭素数2~8の2価の炭化水素基であることが好ましい。具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基及びそれらの組み合わせ、あるいはこれらの基にエーテル結合酸素原子、アミド結合、カルボニル結合、エステル結合、及びジメチルシリレン基等のジオルガノシリレン基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の構造等を介在させたものが例示でき、例えば、以下の炭素数2~13のものが挙げられる。なお、左側の結合手はポリシロキサンを構成するケイ素原子と結合し、右側の結合手は1価又は2価の含フッ素有機基と結合することが好ましい。
-CH2CH2-、
-CH2CH2CH2-、
-CH2CH2CH2OCH2-、
-CH2CH2CH2-NH-CO-、
-CH2CH2CH2-N(Ph)-CO-、
-CH2CH2CH2-N(CH3)-CO-、
-CH2CH2CH2-N(CH2CH3)-CO-、
-CH2CH2CH2-N(CH(CH32)-CO-、
-CH2CH2CH2-O-CO-、
-CH2CH2-Si(CH32-Ph’-N(CH3)-CO-、
-CH2CH2CH2-Si(CH32-Ph’-N(CH3)-CO-
(但し、Phはフェニル基、Ph’はフェニレン基である。)
 また、この(B)成分のフッ素変性有機ケイ素化合物における上記の1価又は2価の含フッ素有機基及びケイ素原子に直結した水素原子以外のケイ素原子に結合した1価の置換基は、炭素数1~20、好ましくは1~12の非置換もしくは置換のアルキル基又はアリール基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基、及びこれらの基の水素原子の一部又は全部が塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換された、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。なお、(B)成分はエポキシ基及びアルコキシ基を有さない。
 (B)成分のフッ素変性有機ケイ素化合物の構造としては、環状、鎖状、三次元網状及びそれらの組み合わせのいずれでもよい。このフッ素変性有機ケイ素化合物のケイ素原子数は、特に制限されるものではないが、通常2~60、好ましくは3~30、より好ましくは4~30である。
 また、(B)成分は、1分子中にSiH基を2個以上、好ましくは3個以上有するものであり、該SiH基の含有量は、0.0001~0.02モル/gが好ましく、さらに好ましくは0.0002~0.01モル/gである。なお、(B)成分中のSiH基含有量は1H-NMR測定から算出することができる。
 上記(B)成分としては、例えば下記一般式(9)~(15)で表されるものが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000046
(式(9)中、Eは独立に、酸素原子、窒素原子又はケイ素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してポリシロキサンを構成するケイ素原子に結合したパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基である。R5は独立に、炭素数1~20、好ましくは1~12の非置換もしくは置換のアルキル基又はアリール基である。また、t’は2~6の整数、好ましくは3~6の整数であり、u’は1~4の整数、好ましくは1~3の整数であり、t’+u’は4~10の整数、好ましくは4~9の整数である。但し、-(Si(H)(R5)O)-と-(Si(E)(R5)O)-の結合の順番は限定されない。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000047
(式(10)中、Eは独立に、上記Eと同じであり、R5は独立に、上記R5と同じである。またv’は2~50の整数、好ましくは3~30の整数である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000048
(式(11)中、Eは独立に、上記Eと同じであり、R5は独立に、上記R5と同じである。v’は2~50の整数、好ましくは3~30の整数であり、w’は1~40の整数、好ましくは1~20の整数であり、v’+w’は4~60の整数、好ましくは4~50の整数である。但し、-(Si(H)(R5)O)-と-(Si(E)(R5)O)-の結合の順番は限定されない。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000049
(式(12)中、Eは独立に、上記Eと同じであり、R5は独立に、上記R5と同じである。v’は2~50の整数、好ましくは3~30の整数であり、x’は1~40の整数、好ましくは1~20の整数であり、v’+x’は4~60の整数、好ましくは4~50の整数である。但し、-(Si(H)(R5)O)-と-(Si(R52O)-の結合の順番は限定されない。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000050
(式(13)中、Eは独立に、上記Eと同じであり、R5は独立に、上記R5と同じである。v’は2~50の整数、好ましくは3~30の整数であり、w’は1~40の整数、好ましくは1~20の整数であり、x’は1~40の整数、好ましくは1~20の整数であり、v’+w’+x’は5~60の整数、好ましくは5~50の整数である。但し、-(Si(H)(R5)O)-、-(Si(E)(R5)O)-及び-(Si(R52O)-の結合の順番は限定されない。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000051
(式(14)中、Dは、酸素原子、アルキレン基、又は酸素原子もしくは窒素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介して隣接するケイ素原子にそれぞれ結合したパーフルオロアルキレン基もしくはパーフルオロオキシアルキレン基である。また、Eは独立に、上記Eと同じであり、R5は独立に、上記R5と同じである。また、y’は0~3の整数であり、z’は0~3の整数であり、y’+z’は2~6の整数、好ましくは3~5の整数である。なお、y’+z’が6である場合、Dは酸素原子もしくは窒素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介して隣接するケイ素原子にそれぞれ結合したパーフルオロアルキレン基もしくはパーフルオロオキシアルキレン基である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000052
(式(15)中、Eは上記Eと同じであり、R5は独立に、上記R5と同じである。)
 上記式(9)~(15)において、Eは独立に、酸素原子、窒素原子又はケイ素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介してポリシロキサンを構成するケイ素原子に結合したパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基である。パーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基としては、上記式(4)又は(5)で表される基が挙げられる。また、酸素原子、窒素原子又はケイ素原子を有していてもよい2価の炭化水素基としては、上述した2価の連結基を例示することができる。
 上記式(9)~(15)において、R5は独立に、炭素数1~20、好ましくは1~12の非置換もしくは置換のアルキル基又はアリール基であり、上述した上記の1価又は2価の含フッ素有機基及びケイ素原子に直結した水素原子以外のケイ素原子に結合した1価の置換基として例示したものと同様のものを例示することができる。
 上記式(14)において、Dは、酸素原子、アルキレン基、又は酸素原子もしくは窒素原子を有していてもよい2価の炭化水素基を介して隣接するケイ素原子にそれぞれ結合したパーフルオロアルキレン基もしくはパーフルオロオキシアルキレン基である。アルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素数2~6のアルキレン基が例示でき、パーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基としては、上記式(6)~(8)で表されるいずれかの基が挙げられる。また、酸素原子もしくは窒素原子を有していてもよい2価の炭化水素基としては、上述した2価の連結基を例示することができる。
 (B)成分として、具体的には下記の化合物が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、下記式において、Meはメチル基、Phはフェニル基を示し、f’は2~10の整数であり、g’は1~50の整数であり、h’は2~20の整数であり、i’及びj’はそれぞれ1~100の整数であり、i’+j’は2~200の整数であり、k’及びl’はそれぞれ1~50の整数であり、k’+l’は2~100の整数である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000053
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000054
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000055
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000056
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000057
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000058
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000059
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000060
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000061
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000062
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000063
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000064
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000065
 この(B)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
 また、上記(B)成分の配合量は、(A)成分中のアルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)が0.5~5モルとなる量であり、好ましくは0.5~3モルとなる量であり、より好ましくは0.6~2モルとなる量(モル比)である。SiH基が0.5モルより少ないと、得られる硬化物の架橋度合いが不十分になり、一方、5モルより多いと、組成物の保存安定性が損なわれたり、硬化後得られる硬化物の耐熱性が低下したりする。
[(C)成分]
 (C)成分であるヒドロシリル化反応触媒は、(A)成分と(B)成分との付加反応を促進する触媒である。このヒドロシリル化反応触媒は、一般に貴金属(特に白金族金属)又はその化合物であり、高価格であることから、比較的入手し易い白金又は白金化合物がよく用いられる。
 白金化合物としては、例えば、塩化白金酸;塩化白金酸とエチレン等のオレフィンとの錯体;塩化白金酸とアルコール又はビニルシロキサンとの錯体;シリカ、アルミナ、カーボン等に担持した金属白金等を挙げることができる。白金又はその化合物以外のヒドロシリル化反応触媒として、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム系化合物も知られており、例えば、RhCl(PPh33、RhCl(CO)(PPh32、Ru3(CO)12、IrCl(CO)(PPh32、Pd(PPh34等を例示することができる。なお、前記式中、Phはフェニル基である。
 これらの触媒の使用にあたっては、それが固体触媒であるときには固体状で使用することも可能であるが、より均一な硬化物を得るためには塩化白金酸や錯体を、例えば、トルエンやエタノール等の適切な溶剤に溶解したものを(A)成分に相溶させて使用することが好ましい。
 この(C)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
 これらの触媒の使用量は、特に制限されるものではなく、触媒量で所望とする硬化速度を得ることができるが、経済的見地又は良好な硬化物を得るためには、通常、(A)成分の質量に対して0.1~2,000ppm、好ましくは0.1~500ppm、特に好ましくは0.5~200ppm(白金族金属原子の質量換算)であるが、希望する硬化速度に応じて適宜増減することができる。
[(D)成分]
 (D)成分はBET比表面積が50m2/g以上である疎水性シリカ粉末であり、本発明のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物を硬化して得られるパーフルオロポリエーテルゴム硬化物に優れた機械強度を付与することができる補強性充填剤として作用するものである。
 (D)成分の疎水性シリカ粉末としては、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ又は乾式シリカ)、沈降性シリカ(湿式シリカ)、球状シリカ(溶融シリカ)、ゾルゲル法シリカ、シリカエアロゲル等のシリカ粉末の表面を、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ジビニルメチルクロロシラン、トリビニルクロロシラン等のオルガノクロロシランや、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジビニルメチルメトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ジビニルメチルエトキシシラン、トリビニルエトキシシラン等のオルガノアルコキシシランなどの加水分解性基を有するシラン化合物、ヘキサメチルジシラザン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,3-ジフェニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、1,3-ビス(クロロメチル)-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン等のオルガノジシラザン、1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリビニルシクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルシクロトリシラザン等の環状オルガノポリシラザン等から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物で疎水化処理してなる疎水性シリカ粉末(表面疎水化処理シリカ粉末)等が挙げられる。これらの中で、特にオルガノクロロシランで表面が疎水化処理された疎水性ヒュームドシリカが好ましい。
 この疎水化処理において、表面処理剤を使用してシリカ表面を処理したシリカ粉末は、予め粉体の状態で直接処理されたものがよく、通常処理方法としては、一般周知の技術を採用することができ、例えば、常圧で密閉された機械混練り装置に、あるいは流動層に上記未処理のシリカ粉末と1種又は2種以上の処理剤を入れ、必要に応じて不活性ガス存在下において室温(25℃±10℃)あるいは熱処理にて混合処理され、場合により触媒及び加水分解を促進するための水を使用してもよく、混練り後乾燥することにより調製することができる。表面処理剤の配合量は、その表面処理剤がシリカ粉末の表面を被覆することができる面積から計算される量以上であればよい。
 また、シリカ粉末のBET法による比表面積は、得られる硬化物の機械的特性を向上させるため50m2/g以上、特には100m2/g以上であることが好ましく、さらには組成物へのシリカ粉末配合時の粘度が増大し、配合が困難となる場合があるため300m2/g以下であることが好ましい。
 (D)成分の疎水性シリカ粉末の平均粒子径は、1~30nmであることが好ましく、5~20nmであることがより好ましい。平均粒子径が小さすぎると該疎水性シリカ粉末の本発明組成物への分散性が低下し、均一な配合が困難となる場合があり、大きすぎると、該疎水性シリカ粉末の配合時に本発明組成物の粘度が増大し、結果的に均一な配合が困難となる場合がある。
 なお、本発明において、疎水性シリカ粉末の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定した値を示す。
 本発明において、(D)成分の疎水性シリカ粉末は、嵩密度が30~180g/L、特には40~150g/Lであることが好ましい。疎水性シリカ粉末の嵩密度が30g/Lより小さいと、組成物の粘度が増大するために配合が困難となる場合があり、180g/Lを超えると、十分な補強効果が付与されない場合がある。なお、本発明において、嵩密度は、タップ法等により測定した値である。
 また、この疎水性シリカ粉末を疎水化処理する場合、その疎水化処理度は、処理後の該疎水性シリカ粉末全体中の表面炭素量(炭素含有率:質量%)として0.1~20質量%の範囲であることが好ましく、0.5~10質量%の範囲であることがより好ましい。表面炭素量が0.1質量%未満であると(A)成分との均一な混練が困難となる場合があり、表面炭素量が20質量%を超えると、該組成物の硬化物に十分な機械強度が得られない場合がある。なお、本発明において、表面炭素量は、公知の元素分析法により測定した値である。
 なお、(D)成分の疎水性シリカ粉末が処理後の表面炭素中にアルケニル基を有する場合、該表面アルケニル基量は1.0×10-3~2.0×10-2mol/100gの範囲であることが好ましく、1.5×10-3~1.5×10-2mol/100gの範囲であることがより好ましい。表面アルケニル基量が2.0×10-2mol/100gを超えると(A)成分との均一な混練が困難となる場合がある。なお、本発明において、表面アルケニル基量は、FT-IRにより測定した値である。
 (D)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
 この疎水性シリカ粉末の配合量は、(A)成分100質量部に対して10~40質量部であり、好ましくは15~30質量部である。10質量部未満では得られる硬化物の機械的強度が不十分であり、また40質量部より多くすると組成物の粘度の上昇が大きく、疎水性シリカ粉末の配合が難しくなる。
[(E)成分]
 (E)成分は、平均粒子径が0.05~100μmの球状シリカ粒子であり、本発明のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物を硬化して得られる硬化物のガス透過性を低下させることができる、いわゆる耐ガス透過性付与剤として作用するものであるが、上述した(D)成分のような機械強度を付与し得る補強性充填剤としての効果はほとんどない。
 本発明において、球状シリカは、真球度が0.7以上であるシリカである。本発明における真球度とは、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)2}で算出される値であり、1に近づくほど真球に近い。ここで、シリカの面積及び周囲長は、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)でシリカを撮影し、画像処理装置を用いることで測定することができる。
 該球状シリカ粒子の平均粒子径は、0.05~100μmであり、0.1~50μmが好ましい。0.05μm未満の場合、多量に配合するのが困難になり、100μmより大きいと、本発明の組成物の粘度が高くなりすぎて、流動性が損なわれる。
 なお、本発明において、「平均粒子径」は、該球状シリカ粒子をレーザー回折式粒度分布測定装置によって測定した値を示す。
 該球状シリカ粒子の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、VMC(Vaperized Metal Combustion)法により、シリコン粉末を燃焼して製造することが望ましい。VMC法とは、酸素を含む雰囲気中でバーナーにより化学炎を形成し、この化学炎中に目的とする酸化物粒子の一部を構成する金属粉末を粉塵雲が形成される程度の量投入し、爆燃を起こさせて酸化物粒子を得る方法である。
 該球状シリカ粒子は、前記(A)成分との濡れ性を向上させるため、表面処理を施してもよい。表面処理剤としては、例えば、前記(D)成分において記載したケイ素化合物系表面処理剤の他、チタネート系、アルミネート系、ジルコネート系の各種カップリング剤、カチオン、アニオン、両性、中性の各種界面活性剤、フェノール樹脂等の極性基を有する樹脂等が挙げられる。
 この(E)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
 (E)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して90~300質量部であり、好ましくは95~200質量部である。90質量部未満の場合には本発明の組成物を硬化して得られる硬化物のガス透過性を低下させる効果が十分には得られず、300質量部を超えると本発明の組成物の粘度が高くなりすぎて、流動性が損なわれる。
[(F)成分]
 (F)成分はヒドロシリル化反応制御剤であり、必要に応じて配合される任意成分である。ヒドロシリル化付加反応制御剤の例としては、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、フェニルブチノール等のアセチレン性アルコール;上記式(4)で表されるパーフルオロアルキル基、又は上記式(5)で表されるパーフルオロオキシアルキル基を有するクロロシランとアセチレン性アルコールとの反応物;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン、トリアリルイソシアヌレート等のアセチレン化合物;ポリビニルシロキサン;有機リン化合物等が挙げられ、その添加により硬化反応性と保存安定性を適度に保つことができる。
 この(F)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
 (F)成分を配合する場合、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で任意である。
[(G)成分]
 (G)成分は、必要に応じて配合される任意成分であり、本発明のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物において、該組成物を硬化して得られる硬化物に自己接着性を与える接着付与剤として作用するもので、1分子中に、ケイ素原子に直結した水素原子と、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基と、酸素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基もしくはトリアルコキシシリル基又はその両方とを有するオルガノポリシロキサンである。
 上記パーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基は、上記(A)成分との相溶性、分散性及び硬化後の均一性等の観点から導入される基である。
 このパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基としては、上述した一般式(4)又は(5)で表される基が挙げられる。
 また、上記パーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基は、ケイ素原子、酸素原子及び窒素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基(連結基)を介してポリシロキサンを構成するケイ素原子に繋がれていることが好ましく、該2価の炭化水素基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基及びそれらの組み合わせ、あるいはこれらの基にエーテル結合酸素原子、アミド結合、カルボニル結合、エステル結合、及びジメチルシリレン基等のジオルガノシリレン基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の構造等を介在させたものであってもよく、例えば、
-CH2CH2-、
-CH2CH2CH2-、
-CH2CH2CH2OCH2-、
-CH2CH2CH2-NH-CO-、
-CH2CH2CH2-N(Ph)-CO-、
-CH2CH2CH2-N(CH3)-CO-、
-CH2CH2CH2-N(CH2CH3)-CO-、
-CH2CH2CH2-N(CH(CH32)-CO-、
-CH2CH2CH2-O-CO-、
-CH2CH2CH2-Si(CH32-O-Si(CH32-CH2CH2CH2-、
-CH2OCH2CH2CH2-Si(CH32-O-Si(CH32-CH2CH2-、
-CH2CH2-Si(CH32-Ph’-N(CH3)-CO-、
-CO-N(CH3)-Ph’-Si(CH32-CH2CH2-Si(CH32-O-Si(CH32-CH2CH2-、
-CO-NH-Ph’-[Si(CH32-CH2CH23-CH2-、
-CO-N(CH3)-Ph’-[Si(CH32-CH2CH23
(但し、Phはフェニル基、Ph’はフェニレン基である。)
等の炭素数2~20のものが挙げられる。なお、左側の結合手はポリシロキサンを構成するケイ素原子と結合し、右側の結合手はパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基と結合することが好ましい。
 酸素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基としては、例えば、下記一般式(16)で表されるエポキシ基や下記一般式(17)で表される脂環式エポキシ基が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000066
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000067
 上記式(16)、(17)において、R6は酸素原子が介在してもよく、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~5の2価の炭化水素基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキシレン基(ヘキサメチレン基)、オクチレン基(オクタメチレン基)等のアルキレン基;シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基;オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等のオキシアルキレン基、あるいはこれらの基にエーテル結合酸素原子、エステル結合等の構造を介在させた下記に示す基などが挙げられる。なお、下記に示す基において、左側の結合手はポリシロキサンを構成するケイ素原子と結合し、右側の結合手はエポキシ基と結合することが好ましい。
-CH2CH2CH2OCH2-、
-CH2CH2CH2-O-CO-
 このようなエポキシ基の具体例としては、下記に示すものが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000068
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000069
 一方、上記酸素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したトリアルコキシシリル基としては、例えば、下記一般式(18)で表されるものが挙げられる。
  -R7-Si(OR83     (18)
 上記式(18)において、R7は好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~5の2価の炭化水素基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキシレン基(ヘキサメチレン基)、シクロヘキシレン基、オクチレン基(オクタメチレン基)等のアルキレン基などが挙げられる。また、R8は好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~4の1価の炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基等のアルキル基などが挙げられる。
 このような酸素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したトリアルコキシシリル基の具体例としては、下記に示すものが挙げられる。
-(CH22-Si(OCH33
-(CH23-Si(OCH33
-(CH22-Si(OCH2CH33
-(CH23-Si(OCH2CH33
 また、この(G)成分のオルガノポリシロキサンにおける、上記のケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)と、パーフルオロアルキル基あるいはパーフルオロオキシアルキル基と、酸素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基あるいはトリアルコキシシリル基以外のケイ素原子に結合した1価の置換基は、炭素数1~20、好ましくは1~12の非置換若しくは置換のアルキル基又はアリール基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基、及びこれらの基の水素原子の一部又は全部が塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換された、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
 上記(G)成分のオルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(19)で表される環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000070
(式中、i''は1~6の整数、好ましくは1~5の整数であり、j''は1~4の整数、好ましくは1~3の整数であり、k''は1~4の整数、好ましくは1~3の整数であり、i''+j''+k''は4~10の整数、好ましくは4~8の整数である。また、R9は独立に非置換又は置換の1価の炭化水素基であり、Tは独立に、ケイ素原子、酸素原子及び窒素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基であり、Xは独立に、酸素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基もしくはトリアルコキシシリル基である。但し、-(SiO)(H)R9-、-(SiO)(T)R9-、及び-(SiO)(X)R9-の結合の順番は限定されない。)
 上記式(19)において、R9は独立に非置換又は置換の1価の炭化水素基であり、上述したケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)と、パーフルオロアルキル基あるいはパーフルオロオキシアルキル基と、酸素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基あるいはトリアルコキシシリル基以外のケイ素原子に結合した1価の置換基として例示したものが挙げられ、メチル基、エチル基が好ましい。
 また、上記式(19)において、Tは独立に、ケイ素原子、酸素原子及び窒素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基であり、このパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基としては、上述した一般式(4)又は(5)で表される基が挙げられ、また、ケイ素原子、酸素原子及び窒素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基は、上述したアルキレン基、アリーレン基及びそれらの組み合わせ、あるいはこれらの基にエーテル結合酸素原子、アミド結合、カルボニル結合、エステル結合、及びジメチルシリレン基等のジオルガノシリレン基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の構造として例示したものが挙げられる。
 上記式(19)において、Xは独立に、酸素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基もしくはトリアルコキシシリル基であり、上述した式(16)~(18)で表される基が挙げられる。
 このような(G)成分としては、例えば下記の化合物が挙げられる。なお、Meはメチル基、Etはエチル基を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000071
(式中、f''は1~10の整数である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000072
(式中、g''は1~50の整数である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000073
(式中、f''は1~10の整数である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000074
(式中、g''は1~50の整数である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000075
(式中、f''は1~10の整数である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000076
(式中、g''は1~50の整数である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000077
(式中、f''は1~10の整数である。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000078
(式中、g''は1~50の整数である。)
 この(G)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
 また、(G)成分を配合する場合、その配合量は、(A)成分100質量部に対して好ましくは0.01~20質量部の範囲であり、より好ましくは0.01~10質量部の範囲であり、さらに好ましくは0.01~8質量部の範囲である。(G)成分の配合量が0.01質量部以上だと十分な接着性が得られ、20質量部以下だと得られる硬化物の物理的強度が良好となるため好ましい。
[その他の成分]
 パーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物には、その実用性を高めるために、上記(A)~(G)成分以外にも、任意成分として、(C)成分以外の充填剤、可塑剤、粘度調節剤、可撓性付与剤、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、アルミン酸コバルト等の無機顔料、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、酸化セリウム、水酸化セリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン等の耐熱向上剤、アルミナ、窒化硼素、炭化珪素、金属粉末等の熱伝導性付与剤、カーボンブラック、銀粉末、導電性亜鉛華等の導電性付与剤等を必要に応じて配合してもよい。これら添加剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で任意である。
 可塑剤、粘度調節剤、可撓性付与剤としては、下記一般式(20)、(21)で表される、ヒドロシリル化付加反応に関与する官能性基(アルケニル基及びヒドロシリル基)を分子中に有さない非反応性(無官能性)の直鎖状パーフルオロ化合物を用いることができる。
F-(CF2CF2CF2O)a’-J   (20)
(式(20)中、JはCb’2b’+1-(b’は1~3の整数)で表される基であり、a’は1~500の整数であり、好ましくは2~300の整数である。)
J-O-{(CF(CF3)CF2O)c’-(CF2CF2O)d’-(CF2O)e’}-J                         (21)
(式(21)中、Jは上記と同じであり、c’及びd’はそれぞれ0~300の整数であり、好ましくは0~150の整数である。但し、c’とd’が共に0の場合は除く。また、e’は1~300の整数であり、好ましくは1~150の整数である。各繰り返し単位同士はランダムに結合されていてよい。)
 上記式(20)又は(21)で表される直鎖状パーフルオロ化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
F-(CF2CF2CF2O)a''-CF2CF3
(a''は1~200の整数である。)
CF3-O-{(CF(CF3)CF2O)c''-(CF2O)e''}-CF3
(c''は1~200の整数、e''は1~200の整数である。各繰り返し単位同士はランダムに結合されていてよい。)
CF3-O-{(CF2CF2O)d''-(CF2O)e''}-CF3
(d''は1~200の整数、e''は1~200の整数である。各繰り返し単位同士はランダムに結合されていてよい。)
 上記式(20)又は(21)で表される直鎖状パーフルオロ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
 これら非反応性(無官能性)直鎖状パーフルオロ化合物の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で任意である。
 本発明のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物は、上述した(A)~(E)成分、必要により(F)~(G)成分及びその他の成分の所定量を公知の方法により均一に混合することにより調製することができるが、特に下記方法により調製することが好ましい。まず、(A)成分及び(D)成分の所定量を、プラネタリーミキサーやニーダーなどの機器を用いて混練する。これらの配合の際は、室温であっても何ら問題ないが、剪断熱を安定にするなどの目的によりポリマーが分解しない温度範囲で加熱してもよく、その条件は100~300℃で10分~8時間程度が望ましい。次に該混練物を室温まで冷却して、さらに3本ロールミルなどの機器を用いて室温(25℃±10℃)で処理(混練)する。次に、得られた混練物に、プラネタリーミキサーなどの機器を用いて、(C)成分の所定量を加えて、室温で1~120分間混練し、さらに必要により(E)成分及びその他の任意成分の所定量を加えて、室温で1~120分間混練した後、(B)成分の所定量を加えて、室温で1~120分間混練することによりパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物を調製することができる。
 本発明のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物の成形方法としては、常法を採用することができ、例えば、射出成形、トランスファー成形、注入成形、圧縮成形、押出成形、コーティング等の種々の成形方法から目的にあった最適な手段を適宜選択することが可能である。
 本発明のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物の硬化は、室温(25℃±10℃)でもよいが、反応を速めるために50~200℃に加熱して行うことができ、具体的な硬化条件としては110~190℃、特に120~170℃にて0.1~40分間、特に1~30分間、とりわけ5~20分間とすることが好ましい。また、上記の条件で硬化した硬化物(パーフルオロポリエーテルゴム硬化物)を、さらに必要に応じて任意に、100~230℃で1~24時間程度の二次加硫(ポストキュア)を行ってもよい。
 このようにして得られる本発明のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物は、優れた射出成形性を有し、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、低温特性、低いガス透過性(酸素ガス、水素ガスなど)等に優れた硬化物(パーフルオロポリエーテルゴム硬化物)を与えることができることから、例えば、自動車、半導体製造装置、プリンター、医療機器等の種々の用途に用いることができる。
 本発明のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物を硬化してなる物品としては、例えば、フューエル・レギュレーター用ダイヤフラム、パルセーションダンパ用ダイヤフラム、オイルプレッシャースイッチ用ダイヤフラム、EGR用ダイヤフラムなどのダイヤフラム類、キャニスタ用バルブ、パワーコントロール用バルブなどのバルブ類、クイックコネクタ用O-リング、インジェクター用O-リングなどのO-リング類、あるいは、オイルシール、シリンダヘッド用ガスケットなどのシール材など、化学プラント用ゴム部品、具体的にはポンプ用ダイヤフラム、バルブ類、O-リング類、ホース類、パッキン類、オイルシール、ガスケットなどのシール材など、インクジェットプリンタ用ゴム部品、半導体製造ライン用ゴム部品、具体的には薬品が接触する機器用のダイヤフラム、弁、O-リング、パッキン、ガスケットなどのシール材など、低摩擦耐磨耗性を要求されるバルブなど、分析、理化学機器用ゴム部品、具体的にはポンプ用ダイヤフラム、弁、シール部品(O-リング、パッキンなど)、医療機器用ゴム部品、具体的にはポンプ、バルブ、ジョイントなど、また、テント膜材料、シーラント、成型部品、押し出し部品、被覆材、複写機ロール材料、電気用防湿コーティング材、センサー用ポッティング材、燃料電池用シール材、積層ゴム布等が例示できる。
 以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例示式において、Meはメチル基である。また、下記の例示において、アルケニル基含有量及びSiH基含有量は1H-NMRにより測定し、表面炭素量は、公知の元素分析法により測定し、嵩密度は、タップ法等により測定し、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定した。室温は25℃を示す。
[実施例1~13、比較例1~10]
 下記実施例及び比較例に用いられる(A)~(F)成分を下記に示す。
(A)成分
(A-1):下記式で示される両末端にアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマー(n1’+n2’=120、アルケニル基含有量:0.0091モル/100g)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000079
(A-2):下記式で示される両末端にアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマー(n1’+n2’=35、アルケニル基含有量0.0300モル/100g)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000080
(A-3):下記式で示される片末端にアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマー(n3’=90、アルケニル基含有量0.006モル/100g)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000081
(A-4):下記式で示される片末端にアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマー(n3’=25、アルケニル基含有量0.023モル/100g)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000082
(B)成分
(B-1):下記式で示される化合物(SiH基含有量0.0050モル/g)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000083
(B-2):下記式で示される化合物(SiH基含有量0.0049モル/g)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000084
(C)成分
(C-1):白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金濃度0.5質量%)
(D)成分
(D-1):R-972(日本アエロジル株式会社製、ジメチルジクロロシランで表面が疎水化処理された疎水性ヒュームドシリカ(形状は不定形)、BET比表面積:約110m2/g、表面炭素量(炭素含有率):0.6~1.2質量%、嵩密度:約50g/L、平均粒子径:約16nm)
(E)成分
(E-1):平均粒子径約1.5μmの球状シリカ粒子(株式会社アドマテックス製「アドマファインSO-32R/75C」)
(E-2):平均粒子径約30μmの球状シリカ粒子(デンカ株式会社製「FB-5604」)
(E-3):平均粒子径約35μmの球状シリカ粒子(東海ミネラル株式会社製「ES-105」)
(E-4):平均粒子径約1.0μmの粉砕シリカ粒子(株式会社龍森製「クリスタライト5X」)
(E-5):平均粒子径約2.5μmの沈降法シリカ粒子(東ソー・シリカ株式会社製「Nipsil G-300」)
(F)成分
(F-1):1-エチニル-1-シクロヘキサノールの50質量%トルエン溶液
 実施例1~13、比較例1~10において、各成分を表1~3に示す所定の量を用いて、下記のように組成物を調製した。また、下記方法に従って、該組成物を成形硬化させて、硬化物を作製し、下記試験を行った。
〔実施例1~13、比較例1~10の組成物の調製〕
 まず(A)成分及び(D)成分を、表1~3に示す所定の量にて、プラネタリーミキサーを用いて120℃で1時間混練した。混練物を室温まで冷却後、3本ロールミル処理を施した。得られた混練物に対し、(C)成分を表1~3に示す所定の量加えて、室温で10分間混練した後、(E)、(F)成分を表1~3に示す所定の量加えて、室温で10分間混練した。さらに、(B)成分を表1~3に示す所定の量加えて、室温で10分間混練し、組成物を得た。なお(B)成分は、〔(B)成分のSiH基/(A)成分のアルケニル基〕=1.2(モル比)となるように添加した。
〔実施例1~13、比較例1~10の硬化物の作製〕
 上記組成物を150℃で10分のプレス架橋(一次架橋)を行い、厚さ2.0mmのゴムシートを成形した。さらに200℃で4時間のオーブン架橋(二次架橋)を行い、硬化物を作製した。
〈(A)成分に対する(D)成分の混練性〉
 実施例1~13、比較例1~10の組成物を調製する際の、(A)成分に対する(D)成分の混練性を下記に示す基準で目視で評価した。結果を表1~3に示す。なお、均一に混練することができなかった組成物については、硬化物の作製は行わなかった。
〈(A)成分に対する(D)成分の混練性の評価基準〉
〇:10分以内に、均一に混練することができた。
△:30分以内に、均一に混練することができた。
×:30分以上の時間をかけても、均一に混練することができなかった。
〈硬化物の切断時伸び〉
 実施例1~13、比較例1~10の硬化物の切断時伸びを、JIS K6249に準じて測定した。結果を表1~3に示す。なお、比較例3、7では硬化物をシート状に成形することができなかった。
〈硬化物のガス透過性〉
 実施例1、比較例1、5、9、10の硬化物のガス透過性(酸素ガス、水素ガス)を、JIS K7126-1に準じて測定した。結果(ガス透過係数)を表4に示す。
〈LIMS(液状射出成形システム)成形性〉
 射出成形機(10トンLIMS成形機 NS-10 LIMS仕様 日精樹脂社製)と、O-リング(AS568規格、サイズ214(寸法(太さ3.53mm×内径24.99mm))9個取り金型を用いて、特開2005-246958号公報(特許文献2)を参考に、表5に示される射出成形条件でO-リング(サイズ214)を成形した。各組成物の成形性を4段階で評価した。LIMS成形性は、成形加工時の「射出成形性」とでき上がった成形品の「成形品外観」との2つの評価項目からなり、下記表6に示すような評価基準を設けた。結果を表1~3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000085
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000086
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000087
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000088
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000089
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000090

Claims (3)

  1.  (A)下記一般式(1)で表される両末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマー(A1)と、下記一般式(2)で表される片末端に少なくとも1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテルポリマー(A2)からなり、(A1)、(A2)成分のアルケニル基量の合計に対する(A2)成分のアルケニル基量が0.5モル%以上かつ40モル%以下であるパーフルオロポリエーテル混合物: 100質量部、
      Rf[L-M(W)β2     (1)
      A-Rf-L-M(W)β     (2)
    (式中、Rfは2価のパーフルオロポリエーテル基であり、Lは独立に、単結合、アミド結合、カルボニル結合、酸素原子、硫黄原子又は2価の有機基であり、Mは独立に、単結合、窒素原子、ケイ素原子、炭素原子、リン原子、又は窒素原子、ケイ素原子、炭素原子及びリン原子の少なくとも1種を含んでいてもよい2~8価の有機基である。Wは独立に、末端にアルケニル基を有する1価の有機基であり、βは独立に1~7の整数であり、Aはフッ素原子、又は末端が-CF3基である1価のフッ素含有基である。)
    (B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するフッ素変性有機ケイ素化合物: (A)成分中のアルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)が0.5~5モルとなる量、
    (C)ヒドロシリル化反応触媒: 触媒量、
    (D)BET比表面積が50m2/g以上である疎水性シリカ粉末: 10~40質量部、及び
    (E)平均粒子径が0.05~100μmの球状シリカ粒子: 90~300質量部
    を含むものであるパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物。
  2.  さらに、(F)ヒドロシリル化反応制御剤を含むものである請求項1に記載のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物。
  3.  請求項1又は2に記載のパーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物を硬化してなる物品。
PCT/JP2023/044345 2023-01-06 2023-12-12 パーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物及び物品 WO2024147260A1 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023-001187 2023-01-06

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2024147260A1 true WO2024147260A1 (ja) 2024-07-11

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005200481A (ja) 射出成型用フルオロポリエーテルゴム組成物
JP3687738B2 (ja) 硬化性組成物
JP2007126496A (ja) 接着剤組成物
US9023927B2 (en) Adhesive composition
JP3646775B2 (ja) 硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物
KR102264482B1 (ko) 열전도성 함불소 접착제 조성물 및 전기·전자 부품
EP1614718A1 (en) Curable fluoropolyether compositions, their preparation and use
JP2002012769A (ja) 硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物
JP3858966B2 (ja) 硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物
JP3743495B2 (ja) 硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物
JP4269127B2 (ja) 硬化性組成物
JP5110280B2 (ja) 硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物
JP2014084325A (ja) 硬化性フルオロポリエーテル系ゲル組成物及びその硬化物を用いたゲル製品
JP5387517B2 (ja) 熱硬化性フルオロポリエーテル系接着剤組成物及びその接着方法
WO2024147260A1 (ja) パーフルオロポリエーテルポリマー含有硬化性組成物及び物品
JP2005097369A (ja) 硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物及びゴム製品
EP1657282A1 (en) Fluororubber/silicone rubber blend and molded rubber articles
JP5447352B2 (ja) 含フッ素硬化性組成物
JP5083489B2 (ja) フッ素ゴム/シリコーンゴム混合ゴム組成物及びそれを硬化させて得られるゴム成型品
JP3858970B2 (ja) 硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物
JP6801638B2 (ja) 熱硬化性フルオロポリエーテル系接着剤組成物及び電気・電子部品
JP2007238928A (ja) 硬化性フルオロポリエーテル組成物及びそれを用いたゴム硬化物と有機樹脂との一体成型品
WO2023210400A1 (ja) 熱硬化性パーフルオロポリエーテルゴム組成物
JP7310896B2 (ja) 硬化性フルオロポリエーテル系接着剤組成物及び光学部品
US20020193503A1 (en) FIPG fluoroelastomer compositions