WO2024128256A1

WO2024128256A1 - フィルタ装置

Info

Publication number: WO2024128256A1
Application number: PCT/JP2023/044660
Authority: WO
Inventors: 洋一納冨
Original assignee: ヤマシンフィルタ株式会社
Priority date: 2022-12-14
Filing date: 2023-12-13
Publication date: 2024-06-20

Abstract

仕切り板を正確に取り付けることができる。　車軸組立体に設けられており、車軸組立体の内部に封入されたオイルを濾過するフィルタ装置は、車軸組立体に着脱可能に設けられる取付部と、内部が空洞な筒状の筒状部と、筒状部の一端を覆う底板と、を有する筐体であって、筒状部の底板に覆われていない端が取付部により覆われた筐体と、前体の内部に設けられた板状部と、を備える。筐体は、取付部が車軸組立体に取り付けられることで車軸組立体の内部に挿入される。筒状部には、オイルが流入する流入口と、オイルが流出する流出口と、が設けられている。板状部は、筐体の内部を、流入口を含む第１領域と、流出口を含む第２領域とに分割する横仕切り板であり、横仕切り板には、第１領域と第２領域とを連通する開口部が形成されている。横仕切り板は、両端がそれぞれ底板と取付部とに当接している。横仕切り板及び底板又は取付部は、一方に凸部が形成されており、他方に前記凸部が挿入される凹部が形成されている。

Description

フィルタ装置

　本発明は、フィルタ装置に関する。

　特許文献１には、ディファレンシャルハウジング用のオイルフィルタアセンブリが開示されている。オイルフィルタアセンブリは、駆動車軸ハウジングに取り外し可能に取り付けるためのフィルタハウジングであって、濾過されるオイルを収容するための内部容積を画定するハウジングと、フィルタアセンブリを駆動軸ハウジングに解放可能に固定するための取付配置と、駆動車軸内のオイルから粒子状汚染物質を濾過するためのフィルタエレメントとを含み、フィルタハウジングは、その上部に入口を、下部に出口を備え、そこを通る流路を画定して、フィルタエレメントが駆動車軸の下流に配置される。

欧州特許第３３７８５４８号明細書

　特許文献１に記載の発明では、流路を画定する板状のバッフル要素（仕切り板）がフィルタハウジング内に設けられている。しかしながら、特許文献１に記載の発明では、バッフル要素の取り付け方法は開示されておらず、バッフル要素の取り付け方法によってはバッフル要素が正確に取り付けられないおそれがある。

　本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、仕切り板を正確に取り付けることができるフィルタ装置を提供することを目的とする。

　上記課題を解決するために、本発明に係るフィルタ装置は、例えば、車軸組立体に設けられており、前記車軸組立体の内部に封入されたオイルを濾過するフィルタ装置であって、前記車軸組立体に着脱可能に設けられる取付部と、内部が空洞な筒状の筒状部と、前記筒状部の一端を覆う底板と、を有する筐体であって、前記筒状部の前記底板に覆われていない端が前記取付部により覆われた筐体と、前記筐体の内部に設けられた板状部と、を備え、前記筐体は、前記取付部が前記車軸組立体に取り付けられることで前記車軸組立体の内部に挿入され、前記筒状部には、前記オイルが流入する流入口と、前記オイルが流出する流出口と、が設けられており、前記板状部は、前記筐体の内部を、前記流入口を含む第１領域と、前記流出口を含む第２領域と、に分割する横仕切り板であり、前記横仕切り板には、前記第１領域と前記第２領域とを連通する開口部が形成されており、前記横仕切り板は、両端がそれぞれ前記底板と前記取付部とに当接しており、前記横仕切り板及び前記底板又は前記取付部は、一方に凸部が形成されており、他方に前記凸部が挿入される凹部が形成されていることを特徴とする。

　本発明に係るフィルタ装置によれば、横仕切り板及び底板又は取付部の一方に形成された凸部が、他方に形成された凹部に挿入されている。これにより、横仕切り板を正確に取り付けることができる。仮に溶接等で横仕切り板を底板や取付部に固定する場合には、加工時の位置決めが困難であり、正確な取り付け（位置決め）ができないおそれがあるが、凸部を凹部に挿入する構成とすることで位置決めが正確になる。また、凸部を凹部に挿入するだけでよいため、組み立てが容易である。

　前記凹部は、帯状、弓形状、半楕円形状又は半円形状であってもよい。これにより、横仕切り板の傾きを小さくすることができる。特に、前記取付部には、前記筒状部の中心線に沿って見たときに、前記筒状部を挟むように一対の孔である第１孔及び第２孔が形成されており、前記中心線に沿って見たときに、前記第１孔の中心及び前記第２孔の中心を通る線である第１線に対する前記横仕切り板の傾きが０．５°以下であってもよい。

　前記取付部には、前記筒状部の中心線に沿って見たときに、前記筒状部を挟むように一対の孔である第１孔及び第２孔が形成されており、前記横仕切り板は、前記筒状部の軸を含み、かつ、前記第１孔の中心及び前記第２孔の中心を通る線である第１線と略平行な面である第１面に対して傾いていてもよい。これにより、流入口から内部に流れ込んだオイルが横仕切り板に沿って流れ、オイルが逆流しても塵埃が流入口から流出しないようにすることができる。

　前記横仕切り板の前記第１面に対する傾斜角度は、１５度以上であってもよい。これにより、オイルの逆流を効果的に防ぐことができる。

　前記板状部は、前記第１領域及び前記第２領域をそれぞれ複数の領域に区切る縦仕切り板を有し、前記縦仕切り板は、前記第１領域を第３領域と第４領域に仕切り、前記第２領域を第５領域と第６領域に仕切ってもよい。これにより、筐体の強度が増し、車軸の回転により強い力がかかったとしても筒状部が変形しにくい。

　また、前記第４領域に設けられた第１間仕切り板を備え、前記第１間仕切り板は、前記横仕切り板、前記縦仕切り板及び前記筒状部に当接するように設けられており、前記第１間仕切り板は、前記第４領域を第７領域と第８領域に仕切り、前記横仕切り板には、前記開口部が複数設けられており、複数の前記開口部は、前記第７領域と前記第６領域とを連通する第１開口部と、前記第８領域と前記第６領域とを連通する第２開口部と、を有し、前記縦仕切り板には、前記第３領域と前記第７領域を連通する第３開口部と、前記第５領域と前記第６領域を連通する第４開口部が設けられており、前記流入口は、前記第３領域及び前記第８領域に前記オイルを流入させ、前記流出口は、前記第３領域に隣接する前記第５領域に設けられていてもよい。これにより、オイルの流れが複雑になり、オイルの逆流による流入口からの塵埃の流出を防ぐことができる。

　また、前記第４領域に隣接する前記第６領域に設けられた第２間仕切り板を備え、前記第２間仕切り板は、前記横仕切り板、前記縦仕切り板及び前記筒状部に当接するように設けられており、前記第２間仕切り板は、前記第６領域を第９領域と第１０領域に仕切り、前記第１開口部は、前記第７領域と前記第９領域とを連通し、前記第２開口部は、前記第８領域と前記第１０領域とを連通し、前記第４開口部は、前記第５領域と前記第１０領域を連通し、前記縦仕切り板には、前記第５領域と前記第９領域を連通する第５開口部が設けられていてもよい。これにより、オイルの逆流による流入口からの塵埃の流出を防ぐことができる。

　本発明によれば、仕切り板を正確に取り付けることができる。

フィルタ装置１が設けられた車軸組立体１００の概略を示す図である。フィルタ装置１の概略を示す斜視図である。フィルタ装置１の概略を示す断面図である。横仕切り板３１が底板１５に取り付けられる様子を示す図である。横仕切り板３１が取付部２０に取り付けられる様子を示す図である。フィルタ装置１Ａの概略を示す斜視図である。フィルタ装置２の概略を示す正面図である。フィルタ装置２の概略を示す斜視図である。フィルタ装置３の概略を示す斜視図である。フィルタ装置３の概略を示す斜視図である。フィルタ装置４の概略を示す斜視図である。フィルタ装置４の概略を示す斜視図である。フィルタ装置４Ａの概略を示す斜視図である。フィルタ装置４Ｂ概略を示す斜視図である。フィルタ装置４Ｂの概略を示す斜視図である。

　以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明にかかるフィルタ装置は、建設機械等の車軸組立体に設けられており、車軸組立体の内部に封入されたオイルを濾過することで、オイルに含まれる塵埃等を除去する。

　＜第１の実施の形態＞
　図１は、本発明の第１の実施の形態にかかるフィルタ装置１が設けられた車軸組立体１００の概略を示す図である。車軸組立体１００は、建設機械の駆動車軸である。

　車軸組立体１００は、主として、ディファレンシャルハウジング１１０を有する。ディファレンシャルハウジング１１０は、車軸組立体１００の中央近傍に設けられている。

　ディファレンシャルハウジング１１０の内部には、図示しない差動装置が設けられている。差動装置は、ギア等を介して駆動シャフト１５０に連結されており、駆動シャフト１５０の駆動を２つの車軸１２１、１２２に伝達する。車軸１２１、１２２は、それぞれ、車軸端１２３、１２４に連結されている。車軸端１２３、１２４には車輪（図示せず）が設けられており、駆動シャフト１５０が回転することで車軸１２１、１２２、すなわち車輪が回転する。また、ディファレンシャルハウジング１１０の内部には、図示しないブレーキ装置が設けられている。

　フィルタ装置１は、ディファレンシャルハウジング１１０を挟んで駆動シャフト１５０の反対側に設けられている。また、フィルタ装置１は、車軸組立体１００の左右方向の中央近傍に設けられている。なお、フィルタ装置１の位置はこれに限られない。

　なお、図１では、ディファレンシャルハウジング１１０に１つのフィルタ装置１が設けられていたが、複数のフィルタ装置１を設けてもよい。

　ディファレンシャルハウジング１１０の内部には、図示しないクラウンホイールがオイルに部分的に浸漬するように設けられている。フィルタ装置１は、クラウンホイールに近接して配置されている。建設機械が前方に移動すると、クラウンホイールが回転し、ディファレンシャルハウジング１１０内のオイルが撹拌される。

　次に、フィルタ装置１について説明する。図２は、フィルタ装置１の概略を示す斜視図である。図２では、フィルタ装置１の内部を透視している。図３は、フィルタ装置１の概略を示す断面図である。なお、図３における矢印は、オイルの流れを示す。

　以下、軸ａｘ１に沿った方向をｙ方向とし、軸ａｘ１（ｙ方向）と直交する直交２方向をｘ方向及びｚ方向とする。また、取付部２０に設けられた孔２１ａを結ぶ線Ｌ（本発明の第１線に相当）、すなわち車軸組立体１００の長手方向（図１参照）をｘ方向とする。さらに、ｚ方向を上下方向とし、＋ｚ方向を上方向、－ｚ方向を下方向とする。

　フィルタ装置１は、主として、筐体１０と、取付部２０と、板状部３０と、濾材４０とを備える。

　取付部２０は、車軸組立体１００に着脱可能に設けられる部材である。取付部２０は、主として、板状の取付板２１と、筒状の筒状部２２とを有する。

　取付板２１はディファレンシャルハウジング１１０の外側に設けられる。取付板２１には、筒状部１１の軸ａｘ１に沿って見たときに、筒状部１１を挟むように設けられた一対の孔２１ａ（本発明の第１孔及び第２孔に相当）が形成されている。

　本実施形態において、筒状部２２の軸ａｘ１に直交する面における断面形状（以下、単に断面形状という）は円形状であるが、特に限定されるものではなく、例えば楕円状、矩形状、多角形状等であってもよい。

　取付部２０には、筐体１０が設けられている。筐体１０は、主として、内部が空洞で筒状の筒状部１１と、底板１５とを有する。筒状部１１は、例えば、厚さが５ｍｍ～１０ｍｍ程度の薄板を丸めて円筒形状に形成されている。軸ａｘ１は、筒状部１１の中心軸である。なお、本実施の形態では、筒状部１１の断面形状は円形状であるが、特に限定されるものではなく、例えば楕円状、矩形状、多角形状等であってもよい。

　筒状部１１には、ディファレンシャルハウジング１１０に充填されたオイルが流入する流入口１１ａと、オイルが流出する流出口１１ｂと、が設けられている。流入口１１ａは、筒状部１１の上端１１ｄ（＋ｚ端）を含む位置に設けられており、流出口１１ｂは、筒状部１１の下端１１ｅ（－ｚ端）を含む位置に設けられている。ここで、上端１１ｄは筒状部１１の上方向の母線、下端１１ｅは筒状部１１の下方向の母線を意味する。

　流入口１１ａは、直径が５ｍｍ～１０ｍｍ程度の孔であり、筒状部１１に１つ設けられている。流出口１１ｂは、直径が１ｍｍ程度の孔であり、筒状部１１に複数（多数）設けられている。流出口１１ｂは、例えばパンチング孔である。なお、流入口１１ａ及び流出口は円形状に限定されるものではなく、たとえば楕円状、矩形状又は多角形状等であってもよい。

　図３に示すように、ディファレンシャルハウジング１１０に取付板２１が外側から取り付けられると、フィルタ装置１がディファレンシャルハウジング１１０の開口１１１を覆うようにディファレンシャルハウジング１１０に設けられる。また、取付板２１に形成された孔２１ａに設けられた図示しない締結部材により、フィルタ装置１はディファレンシャルハウジング１１０に固定される。

　筐体１０の流出口１１ｂが設けられた領域には、筒状部１１の内側に沿って濾材４０が設けられている。濾材４０は、例えば金網である。

　なお、流入口１１ａ、流出口１１ｂの位置はこれに限られない。流入口１１ａは、筒状部１１の上端１１ｄから少しずれた位置（上端近傍）、例えば上端１１ｄから＋ｘ側やーｘ側に少しずれた位置に設けられていてもよい。また、流出口１１ｂは、筒状部１１の下側かつ下端１１ｅを含まない領域に設けられていてもよい。

　底板１５は、板状部（底板１５ａ）を有し、筒状部１１の一端を覆うように設けられている。底板１５は、底板１５ａと、底板１５ａの周縁に設けられた筒状部１５ｂとを有する。筒状部１１は、筒状部１５ｂの内周面１５ｃに沿って設けられている。底板１５ａには、２本のリブ１５ｄと、リブ１５ｆとを有する。リブ１５ｄは線Ｌと略平行であり、リブ１５ｆは線Ｌと略直交する。リブ１５ｆは、底板１５ａ及びリブ１５ｄを補強する。

　筒状部１１の底板１５により覆われていない側の端には、取付部２０が設けられている。取付部２０（筒状部２２）には円環状の溝２２ａが形成されており、溝２２ａに筒状部１１が挿入されることで取付部２０に筒状部１１が設けられる。

　取付板２１がディファレンシャルハウジング１１０に設けられることで、筒状部２２及び筐体１０は開口１１１を介してディファレンシャルハウジング１１０の内部に挿入される。ディファレンシャルハウジング１１０の内部には、オイルが充填されている。したがって、筐体１０は、充填されたオイルの内部に浸漬されている。

　ディファレンシャルハウジング１１０内のオイルが撹拌されると、オイルがフィルタ装置１の上部に上方（＋ｚ方向）から注がれる。その結果、オイルが流入口１１ａからフィルタ装置１に供給される。

　板状部３０は、筐体１０の内部に設けられている。本実施の形態では、板状部３０は横仕切り板３１である。横仕切り板３１は、筒状部１１の軸ａｘ１を含み、かつ、線Ｌと略平行な面である面Ｉ（本発明の第１面に相当）に沿って延設されている。横仕切り板３１は、筐体１０の内部を、流入口１１ａを含む第１領域Ｓ１と、流出口１１ｂを含む第２領域Ｓ２とに分割する。言い換えれば、筐体１０の内部において、横仕切り板３１よりも＋ｚ側の領域が第１領域Ｓ１であり、横仕切り板３１よりも－ｚ側の領域が第２領域Ｓ２である。なお、面Ｉに沿って設けられているとは、面Ｉ上に設けられている場合や面Ｉから少し（例えば、数ｍｍ～数ｃｍ）ずれている場合を含む概念である。

　横仕切り板３１には、開口部３１ａが形成されている。開口部３１ａは、第１領域Ｓ１と第２領域Ｓ２とを連通する。開口部３１ａは、オイルを第１領域Ｓ１から第２領域Ｓ２へと流す。

　横仕切り板３１は、底板１５及び取付部２０に当接している。図４は、横仕切り板３１が底板１５に取り付けられる様子を示す図である。図４では、軸ａｘ１を含み、面Ｉと略直交する面ＩＩでフィルタ装置１を切断している。横仕切り板３１の端３１ｄ（本発明の凸部に相当）は、２本のリブ１５ｄの間の凹部１５ｅに挿入されている。端３１ｄ、リブ１５ｄ及び凹部１５ｅは、帯状である。したがって、横仕切り板３１が底板１５に対して回転し難い。

　図５は、横仕切り板３１が取付部２０に取り付けられる様子を示す図である。図５では、面ＩＩでフィルタ装置１を切断している。取付部２０（筒状部２２）には、凹部２２ｂが形成されている。凹部２２ｂに横仕切り板３１の端３１ｅ（本発明の凸部に相当）が挿入されることで、取付部２０に横仕切り板３１が設けられる。凹部２２ｂ及び端３１ｅは、帯状であり、線Ｌと略平行である。したがって、横仕切り板３１が取付部２０に対して回転し難い。

　なお、本実施の形態では、凹部２２ｂ及び端３１ｅにテーパが形成されているが、テーパは必須ではない。

　また、線Ｌに略平行な帯状の凹部２２ｂ、１５ｅに帯状の端３１ｄ、３１ｅを挿入することで、横仕切り板３１が線Ｌと略平行に設けられる。具体的には、線Ｌに対する横仕切り板３１の傾きが０．５°以下となる。

　次に、フィルタ装置１の機能について説明する。図３の矢印（実線及び点線）で示すように、建設機械が前方に移動することでディファレンシャルハウジング１１０内のオイルが－ｚ方向に（図３の紙面上側から下側に向けて）流れているため、流入口１１ａからフィルタ装置１に供給されたオイルは、－ｚ方向に流れ、横仕切り板３１にぶつかる。

　第２領域Ｓ２に流入したオイルは、図示しない濾材を通過して濾過され、その後、流出口１１ｂを通過して、フィルタ装置１から流出する。オイルに含まれる塵埃は、濾材４０により遮られて第２領域Ｓ２に溜まる。

　車軸の回転速度や、回転速度の変化量によっては、オイルの流れが速くなり、横仕切り板３１に強い力がかかる可能性がある。横仕切り板３１の両端３１ｄ、３１ｅがそれぞれ凹部１５ｅ、２２ｂに挿入されているため、強い力がかかったとしても横仕切り板３１の変形や位置ずれが起こりにくい。

　本実施の形態によれば、帯状の凹部２２ｂ、１５ｅに帯状の端３１ｄ、３１ｅを挿入することで、横仕切り板３１を正確に、ここでは線Ｌと略平行に（線Ｌに対する横仕切り板３１の傾きが０．５°以下）取り付けることができる。

　仮に、両端３１ｄ、３１ｅがそれぞれ底板１５ａや取付部２０に溶接等により固定する場合には、溶接時の位置決めが困難であり、横仕切り板３１が正確な位置に固定されないおそれがある。それに対し、端３１ｄ、３１ｅを凹部２２ｂ、１５ｅに挿入する構成とすることで、横仕切り板３１を正確な位置に取り付けることができる。また、凹部２２ｂ、１５ｅ及び端３１ｄ、３１ｅが帯状であるため、横仕切り板の傾きを小さく、すなわち線Ｌと略平行に設けることができる。

　また、本実施の形態によれば、凹部２２ｂ、１５ｅに帯状の端３１ｄ、３１ｅを挿入するだけであり、横仕切り板３１の組み立てが容易である。

　また、本実施の形態によれば、筐体１０の内部構成がシンプルであるため、オイルが筐体１０の内部を流れやすい。したがって、フィルタ装置１濾過するオイルの量を増やすことができる。

　また、本実施の形態によれば、底板１５ａがリブ１５ｄ、１５ｆで補強されているため、車軸の回転により強い力がかかったときの筐体１０の変形等を防止することができる。

　なお、本実施の形態では、横仕切り板３１の端３１ｄ、３１ｅ（凸部）を底板１５又は取付部２０（筒状部２２）の凹部１５ｅ、２２ｂに挿入したが、凸部、凹部は逆でもよい。例えば、底板１５又は取付部２０の凸部を横仕切り板３１の凹部に挿入する構成であってもよい。つまり、横仕切り板３１及び底板１５又は取付部２０は、一方に凸部が形成されており、他方に凹部が形成されていればよい。

　また、本実施の形態では、流入口１１ａが底板１５寄りに設けられており、開口部３１ａが取付板２１寄りに設けられていたが、流入口１１ａ及び開口部３１ａの配置はこれに限られない。例えば、開口部３１ａが底板１５寄りに設けられており、流入口１１ａが取付板２１寄りに設けられていてもよい。

　また、本実施の形態では、筒状部１１の端が取付板２１に当接し、筒状部１１の周囲を筒状部２２が覆うことで筒状部１１の端に取付部２０が設けられているが、筒状部１１の端に取付部２０を設ける形態はこれに限られない。例えば、筒状部２２は必須ではなく、取付板２１に設けられた円環状の溝に筒状部１１を挿入し、取付板２１に設けられた線Ｌと略平行な溝に横仕切り板３１を挿入してもよい。

　また、本実施の形態では、取付板２１及び底板１５がｘｚ平面と平行な面に沿って設けられているが、ｘｚ平面に対して傾いていてもよい。

　＜第１の実施の形態の変形例＞
　フィルタ装置１では、帯状の凹部２２ｂ、１５ｅに帯状の端３１ｄ、３１ｅが挿入されていたが、凹部の形状は帯状に限られない。図６は、変形例にかかるフィルタ装置１Ａの概略を示す図であり、フィルタ装置１Ａの一部を拡大した斜視図である。図６では、面ＩＩでフィルタ装置１Ａを切断している。

　フィルタ装置１Ａは、主として、筐体１０Ａと、取付部２０（図６では図示省略）と、板状部３０Ａと、濾材４０（図６では図示省略）とを備える。

　筐体１０Ａは、主として、内部が空洞な筒状の筒状部１１と、底板１５Ａとを有する。底板１５Ａは、筒状部１１の一端を覆うように設けられている。底板１５Ａは底板１５ａと、筒状部１５ｂとを有し、底板１５ａにはリブ１５ｆ、１５ｇとが形成されている。リブ１５ｇ（本発明の凸部に相当）は、帯状のリブであり、面Ｉと平行な面で切断した時の断面形状が半円形状である。言い換えれば、リブ１５ｇは半円柱形状である。

　板状部３０Ａは、板状部３０と同様に筐体１０の内部に設けられており、本実施の形態では横仕切り板３１Ａである。横仕切り板３１Ａは、横仕切り板３１と同様に、面Ｉ沿って設けられており、筐体１０Ａの内部を第１領域Ｓ１と第２領域Ｓ２とに分割する。横仕切り板３１Ａには、開口部３１ａ（図６では図示省略）が形成されている。

　横仕切り板３１Ａは、底板１５Ａ及び取付部２０に当接している。横仕切り板３１Ａと取付部２０との取り付け構造は、横仕切り板３１と取付部２０との取り付け構造と同一であるため説明を省略し、横仕切り板３１Ａと底板１５Ａとの取り付け構造について説明する。

　横仕切り板３１Ａの底板１５Ａ側の端には、凹部３１ｆが形成されている。凹部３１ｆは、半円形状である。凹部３１ｆには、リブ１５ｇが挿入される。凹部３１ｆとリブ１５ｇとが隣接するため、横仕切り板３１Ａが回転方向に位置決めされる。なお、凹部３１ｆの近傍に設けられた凹部３１ｇは必須ではない。

　本実施の形態では、半円柱形状のリブ１５ｇが半円形状の凹部３１ｆに挿入されることで、横仕切り板３１Ａが底板１５に対して回転し難い構造とすることができる。また、横仕切り板３１Ａを正確に、すなわち線Ｌと略平行に設ける（線Ｌに対する横仕切り板３１Ａの傾きが０．５°以下）ことができる。

　なお、リブ１５ｇを面Ｉと平行な面で切断した時の断面形状は、半円形状に限られない。例えば、弓形状や半楕円形状であってもよい。同様に、凹部３１ｆの形状も、半円形状に限られず、例えば、弓形状や半楕円形状であってもよい。ただし、凸部（リブ１５ｇ）と対応する凹部３１ｆとを略同一の形状とする必要がある。

　＜第２の実施の形態＞
　本発明の第２の実施の形態は、横仕切り板が傾斜している形態である。以下、第２の実施の形態にかかるフィルタ装置２について説明する。なお、第１の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。

　図７は、フィルタ装置２の概略を示す正面図である。図８は、フィルタ装置２の概略を示す斜視図である。図７、８では、フィルタ装置２の内部を透視している。なお、図７における矢印は、オイルの流れを示す。

　フィルタ装置２は、主として、筐体１０Ｂと、取付部２０Ａと、板状部３０Ｂと、濾材４０（図３参照）とを備える。板状部３０Ｂは、板状部３０と同様に筐体１０の内部に設けられており、本実施の形態では横仕切り板３２である。

　横仕切り板３２は、ｘｙ平面と平行な面に、言い換えれば、面Ｉに対して傾いている。また、横仕切り板３２は、軸ａｘ１と交差するように設けられている。本実施形態では、第１領域Ｓ１と第２領域Ｓ２の体積を略一致させているが、特に限定されるものではない。

　なお、横仕切り板３２のｘｙ平面と平行な面に対するｘ軸周りの傾斜角度は、１５度以上であることが好ましい。

　また、筒状部１１、流入口１１ａ、横仕切り板３２及び開口部３２ａを、面ＩＩに投影させたときに、開口部３１ａの幾何中心（本実施の形態では、図７における軸ａｘ２と横仕切り板３１との交点）と筒状部１１の上端１１ｄを示す線との最短距離ｄ２は、流入口１１ａの幾何中心と横仕切り板３１を示す線との距離ｄ１より遠い。なお、本実施の形態における面ＩＩは軸ａｘ１を含むが、面ＩＩは軸ａｘ１を含まない位置に配置されていてもよい。

　言い換えれば、横仕切り板３２は－ｙ方向にいくにつれて＋ｚ方向の位置が高くなるように面Ｉに対して傾いており、流入口１１ａは横仕切り板３２との距離が近くなる－ｙ側の端近傍に設けられており、開口部３１ａは横仕切り板３２の＋ｙ側の端近傍に設けられている。

　筐体１０Ｂは、主として、筒状部１１と、底板１５Ｂとを有する。横仕切り板３２と底板１５Ｂとの取り付け構造は横仕切り板３１Ａと底板１５との取り付け構造と略同一である。底板１５Ｂは、底板１５に対して、横仕切り板３２の端が挿入される凹部及びこの凹部を構成するリブの位置が異なる。なお、底板１５Ｂのリブの形状は、底板１５のリブの形状と異なっていてもよい。

　取付部２０Ａは、主として、板状の取付板２１と、筒状の筒状部２２Ａとを有する。筒状部２２Ａは、溝２２ａと、一対の溝２２ｃとが形成されている。一対の溝２２ｃを結ぶ線は、線Ｌと略平行である。溝２２ｃには、横仕切り板３２の端３２ｅが挿入される。

　建設機械が前方に移動することでディファレンシャルハウジング１１０内のオイルが－ｚ方向に（図７の紙面上側から下側に向けて）流れているため、流入口１１ａからフィルタ装置１に供給されたオイルは、－ｚ方向に流れ、横仕切り板３１にぶつかる。横仕切り板３２が面Ｉに対して傾いているため、横仕切り板３２にぶつかったオイルは、横仕切り板３２に沿って－ｚ方向に、すなわち開口部３１ａに向かって流れ、開口部３１ａを介して第２領域Ｓ２に流入する。

　建設機械が後方に移動すると、ディファレンシャルハウジング１１０内のオイルが＋ｚ方向に（図７、８の紙面下上側から下側に向けて）流れているため、第２領域Ｓ２に溜まっている塵埃も＋ｚ方向に流れる。しかしながら、図７、８の２点鎖線矢印で示すように、塵埃を含むオイルは、横仕切り板３１にぶつかって＋ｚ方向に、すなわち開口部３１ａから遠ざかるように流れる。したがって、塵埃は、開口部３１ａから第１領域Ｓ１に流入し難く、また、第１領域Ｓ１から流入口１１ａに向けて流れ難い。

　本実施の形態によれば、横仕切り板３２をｘｙ平面に対して傾け、開口部３２ａを横仕切り板３２の－ｚ側の端近傍に設けることで、フィルタ装置１の内部で横仕切り板３２に沿った－ｚ方向のオイルの流れが形成され、流入口１１ａからフィルタ装置１にオイルが流入しやすくなる。

　また、本実施の形態によれば、横仕切り板３２をｘｙ平面に対して傾け、開口部３２ａを横仕切り板３２の－ｚ側の端近傍に設けることで、車両が後退してオイルが逆流したとしても、流入口１１ａからの塵埃の流出を防ぐことができる。特に、横仕切り板３２のｘｙ平面と平行な面に対する傾斜角度を１５度以上とすることで、流入口１１ａからの塵埃の流出を効果的に防ぐことができる。

　なお、本実施の形態では、流入口１１ａが底板１５Ｂ寄りに設けられており、開口部３２ａが取付板２１寄りに設けられていたが、流入口１１ａ及び開口部３２ａの配置はこれに限られない。例えば、開口部３２ａが底板１５Ｂ寄りに設けられており、流入口１１ａが取付板２１寄りに設けられていてもよい。ただし、この場合には、筒状部１１、流入口１１ａ、横仕切り板３２及び開口部３２ａを面ＩＩ（図３等参照）に投影させたときに、開口部３１ａの幾何中心と筒状部１１の上端１１ｄを示す線との距離が、流入口１１ａの幾何中心と横仕切り板３２を示す線との距離より遠くなるように、横仕切り板３２の傾斜を図７、８に示す形態と逆にすればよい。

　＜第３の実施の形態＞
　本発明の第３の実施の形態は、板状部が横仕切り板と縦仕切り板を有する形態である。以下、第３の実施の形態にかかるフィルタ装置３について説明する。なお、第１、２の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。

　図９、１０は、フィルタ装置３の概略を示す斜視図である。図９、１０では、フィルタ装置３の内部を透視している。フィルタ装置３は、主として、筐体１０Ｃと、取付部２０Ｂと、板状部３０Ｃと、濾材４０とを備える。なお、図１０では、説明のため、底板１５Ｂを省略している。

　筐体１０Ｃは、主として、筒状部１１Ａと、底板１５Ｃとを有する。筒状部１１Ａは、内部が空洞な筒状であり、両端が底板１５Ｃ及び取付板２１により覆われている。筒状部１１Ａは、２つの流入口１１ｃを有する点で筒状部１１と異なる。なお、フィルタ装置３は、筒状部１１Ａに変えて筒状部１１を有してもよい。

　底板１５Ｃは、十字形状の凹部（図示省略）を形成するリブが底板１５ａに形成されている点で底板１５と異なる。

　取付部２０Ｂは、主として、取付板２１と、筒状部２２Ｂとを有する。筒状部２２Ｂは、十字形状の凸部が挿入される凹部が形成されている点で筒状部２２と異なる。

　板状部３０Ｃは、筐体１０Ｃの内部に設けられている。本実施の形態では、板状部３０Ｃは、横仕切り板３１Ｂと、縦仕切り板３３とを有する。

　横仕切り板３１Ｂは、２つの開口部３１ｈが形成されている点で横仕切り板３１と異なる。

　縦仕切り板３３は、第１領域Ｓ１及び第２領域Ｓ２をそれぞれ複数の領域に区切る。ここでは、縦仕切り板３３は、第１領域Ｓ１を第３領域Ｓ３と第４領域Ｓ４に仕切り、第２領域Ｓ２を第５領域Ｓ５と第６領域Ｓ６に仕切る。縦仕切り板３３は、面ＩＩに沿って設けられている。なお、面ＩＩに沿って設けられているとは、面ＩＩ上に設けられている場合や面ＩＩから少し（例えば、数ｍｍ～数ｃｍ）ずれている場合を含む概念である。

　流入口１１ｃは、縦仕切り板３３を挟むように設けられており、第３領域Ｓ３と第４領域Ｓ４にそれぞれオイルを流入させる。２つの開口部３２ａは、縦仕切り板３３を挟むように設けられている。開口部３２ａは、それぞれ、第３領域Ｓ３と第５領域Ｓ５を連通し、また、第４領域Ｓ４と第６領域Ｓ６を連通する。

　横仕切り板３１Ｂの端３１ｄ及び縦仕切り板３３の端３３ｄは、底板１５ａの十字形状の凹部（図示省略）に挿入される。また、横仕切り板３１Ｂの端３１ｅ及び縦仕切り板３３の端（図示省略）は、筒状部２２Ｂの凹部（図示省略）に挿入される。これにより、板状部３０Ａが底板１５Ｂに対して回転し難い。

　図９の矢印は、オイルの流れを示す。建設機械が前方に移動することでディファレンシャルハウジング１１０内のオイルが－ｚ方向に流れると、オイルが流入口１１ｃを通って第３領域Ｓ３と第４領域Ｓ４にそれぞれ流入する。流入口１１ｃから第３領域Ｓ３に流入したオイルは、開口部３２ａを通って第５領域Ｓ５に流入し、濾材４０を通過して濾過され、その後流出口１１ｂを通過して、フィルタ装置３から流出する。また、流入口１１ｃから第４領域Ｓ４に流入したオイルは、開口部３２ａを通って第６領域Ｓ６に流入し、濾材４０を通過して濾過され、その後流出口１１ｂを通過して、フィルタ装置３から流出する。

　流入口１１ｃと開口部３２ａとはできるだけ離して配置される。ここでは、流入口１１ｃは、底板１５の近傍に配置され、開口部３２ａは取付板２１の近傍に配置される。また、縦仕切り板３３により横向きのオイルの流れが妨げられ、オイルの流れが複雑になる。したがって、建設機械が後方に移動すると、ディファレンシャルハウジング１１０内のオイルが＋ｚ方向に流れたとしても、第５領域Ｓ５、第６領域Ｓ６にそれぞれ溜まった塵埃が開口部３２ａを介して第３領域Ｓ３と第４領域Ｓ４に流入し難い。

　本実施の形態によれば、筒状部１１Ａの内部に縦仕切り板３３が設けられているため、外力による筐体１０Ｃ（筒状部１１Ａ）の変形を抑制することができる。

　仮に縦仕切り板３３が設けられていない場合には、筒状部１１Ａが薄板により構成されているため、車軸の回転により筒状部１１Ａに強い力がかかったときに筒状部１１Ａが変形するおそれがある。それに対し、本実施の形態のように筒状部１１Ａの内部に縦仕切り板３３が設けられている場合には、縦仕切り板３３が筒状部１１Ａを補強し、筒状部１１Ａの変形を抑制することができる。

　また、本実施の形態によれば、筐体１０Ａの内部構成がシンプルであるため、オイルが筐体１０Ａの内部を流れやすい。したがって、フィルタ装置３が濾過するオイルの量を増やすことができる。

　なお、本実施の形態では、フィルタ装置３が面Ｉに沿って延設されている横仕切り板３１Ｂを有したが、横仕切り板の形態はこれに限られない。例えば、フィルタ装置３の横仕切り板が、横仕切り板３２と同様に面Ｉに対して傾いていてもよい。これにより、オイルが逆流したときに、第５領域Ｓ５、第６領域Ｓ６にそれぞれ溜まった塵埃が流入口１１ｃから流出するのを防ぐことができる。

　また、本実施の形態では、１枚の縦仕切り板３３が面ＩＩに沿って設けられており、第３領域Ｓ３と第４領域Ｓ４及び第５領域Ｓ５と第６領域Ｓ６の大きさが略同一であるが、縦仕切り板３３の位置はこれに限られない。例えば、縦仕切り板３３を面ＩＩからずらして配置し、第３領域Ｓ３及び第５領域Ｓ５を第４領域Ｓ４及び第６領域Ｓ６より大きくしてもよい。そして、流入口１１ａから第３領域Ｓ３にのみオイルを流入させ、横仕切り板に設けられた開口部を介してオイルを第３領域Ｓ３から第５領域Ｓ５に流してもよい。

　また、本実施の形態では、１枚の縦仕切り板３３が設けられていたが、縦仕切り板３３の数はこれに限られない。例えば、２枚の縦仕切り板を流入口１１ａ及び面ＩＩを挟むように設け、２枚の縦仕切り板に挟まれた領域に流入口１１ａからオイルを流入させ、横仕切り板に設けられた開口部を介してオイルを第１領域から第２領域に流してもよい。

　＜第４の実施の形態＞
　本発明の第４の実施の形態は、間仕切り板を有する形態である。以下、第４の実施の形態にかかるフィルタ装置４について説明する。なお、第１～３の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。

　図１１、１２は、フィルタ装置４の概略を示す斜視図である。図１１、１２では、フィルタ装置４の内部を透視している。フィルタ装置４は、主として、筐体１０Ｄと、取付部２０Ｃと、板状部３０Ｄと、間仕切り板３５、３６と、濾材４０（図示省略）とを備える。

　筐体１０Ｄは、筒状部１１と、底板１５Ｄとを有する。底板１５Ｄは、十字形状の凹部（図示省略）を形成するリブが底板１５ａに形成されている。底板１５Ｄは、十字形状の凹部の位置が底板１５Ｃとは異なる。十字形状の凹部には、板状部３０Ｄの端（凸部）が挿入される。

　板状部３０Ｄは、筐体１０Ｄの内部に設けられている。本実施の形態では、板状部３０Ｄは、横仕切り板３２Ａと、縦仕切り板３３Ａとを有する。

　横仕切り板３２Ａは、横仕切り板３２と同様、筐体１０Ｄの内部を第１領域Ｓ１と第２領域Ｓ２とに分割する。また、横仕切り板３２Ａは、横仕切り板３２と同様、面Ｉに対して傾いている。横仕切り板３２Ａは、横仕切り板３２に対して開口部の形態が異なる。

　縦仕切り板３３Ａは、縦仕切り板３３と同様、面ＩＩに沿って設けられており、第１領域Ｓ１を第３領域Ｓ３と第４領域Ｓ４に仕切り、第２領域Ｓ２を第５領域Ｓ５と第６領域Ｓ６に仕切る。縦仕切り板３３Ａは、縦仕切り板３３に対して開口部の形態が異なる。

　流入口１１ａは、縦仕切り板３３Ａを跨ぐように設けられている。流出口１１ｂは、第５領域Ｓ５に設けられている。なお、流入口１１ａに代えて、縦仕切り板３３Ａを挟むように配置された２つの流入口１１ｃを有してもよい。

　第４領域Ｓ４には、間仕切り板３５（本発明の第１間仕切り板に相当）が設けられている。間仕切り板３５は、横仕切り板３２Ａ、縦仕切り板３３Ａ及び筒状部１１に当接するように設けられている。その結果、間仕切り板３５は、第４領域Ｓ４を第７領域Ｓ７と第８領域Ｓ８に仕切る。ここでは、取付板２１寄りの空間を第７領域Ｓ７とし、底板１５寄りの空間を第８領域Ｓ８とする。

　第６領域Ｓ６には、間仕切り板３６（本発明の第２間仕切り板に相当）が設けられている。間仕切り板３６は、軸ａｘ１に沿って見たときの形状が扇形状であり、横仕切り板３１Ａ及び縦仕切り板３３Ａに当接するように設けられている。その結果、間仕切り板３６は、第６領域Ｓ６を第９領域Ｓ９と第１０領域Ｓ１０に仕切る。ここでは、取付板２１寄りの空間を第９領域Ｓ９とし、底板１５寄りの空間を第１０領域Ｓ１０とする。

　なお、本実施の形態では、筒状部１１が円形状であるため、軸ａｘ１に沿って見たときの間仕切り板３５、３６の形状が扇形状であるが、間仕切り板３５、３６の形状は筒状部１１の形状により異なる。例えば、筒状部１１が矩形状である場合には、軸ａｘ１に沿って見たときの間仕切り板３５、３６の形状は矩形状となる。

　横仕切り板３２Ａには、複数の開口部３２ｂ、３２ｃが設けられている。開口部３２ｂは、第７領域Ｓ７と第９領域Ｓ９とを連通し、開口部３２ｃは、第８領域Ｓ８と第１０領域Ｓ１０とを連通する。

　縦仕切り板３３Ａには、複数の開口部３３ａ、３３ｂ、３３ｃが設けられている。開口部３３ａは、第３領域Ｓ３と第７領域Ｓ７とを連通し、開口部３３ｂは、第５領域Ｓ５と第９領域Ｓ９とを連通し、開口部３３ｃは、第５領域Ｓ５と第１０領域Ｓ１０とを連通する。

　図１１、１２の矢印は、オイルの流れを示す。建設機械が前方に移動することでディファレンシャルハウジング１１０内のオイルが－ｚ方向に流れると、オイルが流入口１１ａを通って第３領域Ｓ３と第８領域Ｓ８にそれぞれ流入する。

　流入口１１ａから第３領域Ｓ３に流入したオイルは、開口部３３ａを通って第７領域Ｓ７に流入し、開口部３２ｂを通って第９領域Ｓ９に流入し、開口部３３ｂを通って第５領域Ｓ５に流入し、濾材４０を通過して濾過され、その後流出口１１ｂを通過して、フィルタ装置４から流出する。

　また、流入口１１ａから第８領域Ｓ８に流入したオイルは、開口部３２ｃを通って第１０領域Ｓ１０に流入し、開口部３３ｃを通って第５領域Ｓ５に流入し、濾材４０を通過して濾過され、その後流出口１１ｂを通過して、フィルタ装置４から流出する。

　建設機械が後方に移動すると、ディファレンシャルハウジング１１０内のオイルが＋ｚ方向に流れる。しかしながら、間仕切り板３５、３６により筐体１０Ａの内部が複数の領域に仕切られ、オイルの流れが複雑になるため、第５領域Ｓ５に溜まった塵埃が第３領域Ｓ３と第８領域Ｓ８に流入し難い。

　本実施の形態によれば、筒状部１１の内部に縦仕切り板３３Ａが設けられているため、外力による筐体１０（筒状部１１）の変形を抑制することができる。

　また、本実施の形態によれば、間仕切り板３５、３６を設けることでオイルの流れが複雑になるため、車両が後退してオイルが逆流したとしても、流入口１１ａから塵埃の流出を防ぐことができる。特に、本実施の形態によれば、流入口１１ａから塵埃が流出するためには、まず第５領域Ｓ５に溜まった塵埃が第６領域Ｓ６（第９領域Ｓ９及び第１０領域Ｓ１０）に流れる、すなわち塵埃が－ｘ方向に移動する必要があるが、これはオイルが逆流したときのオイルの流れ（＋ｚ方向）と異なる方向であるため、第５領域Ｓ５に溜まった塵埃が第６領域Ｓ６に流れることを防ぐことができ、その結果流入口１１ａから塵埃の流出を防ぐことができる。

　なお、本実施の形態では、第７領域Ｓ７が第８領域Ｓ８より小さくなる位置に間仕切り板３５が配置され、第９領域Ｓ９と第１０領域Ｓ１０とが略同じ広さとなるように間仕切り板３６が配置されたが、間仕切り板３５、３６のｙ方向の位置はこれに限られない。

　また、本実施の形態では、間仕切り板３５、３６がｘｚ平面と平行に設けられているが、間仕切り板３５、３６がｘｚ平面と平行な面に対して傾いていてもよい。

　＜第４の実施の形態の変形例１＞
　本発明の第４の実施の形態にかかるフィルタ装置４は、２枚の間仕切り板３５、３６を有したが、間仕切り板の数はこれに限られない。例えば、フィルタ装置が間仕切り板３５又は間仕切り板３６のどちらかを有してもよい。以下、変形例にかかるフィルタ装置４Ａについて説明する。なお、第４の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。

　図１３は、フィルタ装置４Ａの概略を示す斜視図である。図１３では、フィルタ装置４Ａの内部を透視している。フィルタ装置４Ａは、主として、筐体１０Ｄと、取付部２０Ｃと、板状部３０Ｅと、間仕切り板３５と、濾材４０（図示省略）とを備える。

　板状部３０Ｅは、横仕切り板３２Ａと、縦仕切り板３３Ｂとを有する。縦仕切り板３３Ｂは、縦仕切り板３３Ａと同様に、第１領域Ｓ１を第３領域Ｓ３と第４領域Ｓ４に仕切り、第２領域Ｓ２を第５領域Ｓ５と第６領域Ｓ６に仕切る。縦仕切り板３３Ｂは、開口部３３ｂを有しない点で縦仕切り板３３Ａと異なる。なお、面Ｉに対して傾いている横仕切り板３２Ａに変えて、面Ｉに沿って延設された横仕切り板を用いてもよい。

　図１３の矢印は、オイルの流れを示す。建設機械が前方に移動することでディファレンシャルハウジング１１０内のオイルが－ｚ方向に流れると、オイルが流入口１１ａを通って第３領域Ｓ３と第８領域Ｓ８にそれぞれ流入する。

　流入口１１ａから第３領域Ｓ３に流入したオイルは、開口部３３ａを通って第７領域Ｓ７（第４領域Ｓ４の一部）に流入し、開口部３２ｂを通って第６領域Ｓ６に流入する。また、流入口１１ａから第８領域Ｓ８に流入したオイルは、開口部３２ｃを通って第６領域Ｓ６に流入する。すなわち、流入口１１ａを通って第３領域Ｓ３と第８領域Ｓ８にそれぞれ流入したオイルは、第６領域Ｓ６で合流する。

　第６領域Ｓ６に流入したオイルは、開口部３３ｃを通って第５領域Ｓ５に流入し、濾材（図示省略）を通過して濾過され、その後流出口１１ｂを通過して、フィルタ装置４Ａから流出する。

　建設機械が後方に移動すると、ディファレンシャルハウジング１１０内のオイルが＋ｚ方向に流れる。しかしながら、間仕切り板３５により筐体１０の内部が複数の領域に仕切られ、オイルの流れが複雑になるため、第５領域Ｓ５に溜まった塵埃が第３領域Ｓ３と第８領域Ｓ８に流入しづらくなる。

　本実施の形態によれば、筒状部１１の内部に縦仕切り板３３Ｂが設けられているため、外力による筐体１０（筒状部１１）の変形を抑制することができる。

　また、本実施の形態によれば、１枚の間仕切り板３５を設けるのみであっても、フィルタ装置４Ａに流入したオイルは第６領域Ｓ６から第５領域Ｓ５に流れ、その後流出口１１ｂから流出するため、オイルが逆流したときのオイルの流れ（＋ｚ方向）と第５領域Ｓ５から第６領域Ｓ６への流れ（－ｘ方向）とを異ならせ、これにより車両が後退してオイルが逆流したとしても、流入口１１ａからの塵埃の流出を防ぐことができる。

　＜第４の実施の形態の変形例２＞
　本発明の第４の実施の形態にかかるフィルタ装置４は、面Ｉに対して傾いている横仕切り板３２Ａを有したが、横仕切り板の形態はこれに限られない。以下、変形例にかかるフィルタ装置４Ｂについて説明する。なお、第４の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。

　図１４、１５は、フィルタ装置４Ｂの概略を示す斜視図である。図１４、１５では、フィルタ装置４Ｂの内部を透視している。フィルタ装置３Ｂは、主として、筐体１０Ｅ（筒状部１１及び底板１５Ｂ（図示省略））と、取付部２０Ｂと、板状部３０Ｆと、間仕切り板３５Ａ、３６Ａと、濾材４０（図示省略）とを備える。

　板状部３０Ｆは、筐体１０Ｄの内部に設けられている。本実施の形態では、板状部３０Ｆは、横仕切り板３１Ｃと、縦仕切り板３３Ｃとを有する。

　横仕切り板３１Ｃは、筐体１０の内部を第１領域Ｓ１と第２領域Ｓ２とに分割する。また、横仕切り板３１Ｃは、横仕切り板３１と同様に、面Ｉに沿って延設されている。横仕切り板３１Ｃは、開口部３１ａを有さず、開口部３１ｂ、３１ｃを有する点で横仕切り板３１と異なる。

　縦仕切り板３３Ｃは、縦仕切り板３３Ａと同様に、第１領域Ｓ１を第３領域Ｓ３と第４領域Ｓ４に仕切り、第２領域Ｓ２を第５領域Ｓ５と第６領域Ｓ６に仕切る。縦仕切り板３３Ｂは、開口部３３ｃに代えて開口部３３ｅを有する点で縦仕切り板３３Ａと異なる。開口部３３ｃと開口部３３ｅとは大きさが異なる。

　第４領域Ｓ４には間仕切り板３５Ａが設けられており、第６領域Ｓ６には間仕切り板３６Ａが設けられている。

　間仕切り板３５Ａは、軸ａｘ１に沿って見たときの形状が扇形状であり、間仕切り板３５に対して大きさが異なる。間仕切り板３５Ａは、横仕切り板３２Ａ及び縦仕切り板３３Ｃに当接し、第４領域Ｓ４を第７領域Ｓ７と第８領域Ｓ８に仕切る。

　間仕切り板３６Ａは、軸ａｘ１に沿って見たときの形状が扇形状であり、間仕切り板３６に対して大きさが異なる。間仕切り板３６Ａは、横仕切り板３２Ａ及び縦仕切り板３３Ｃに当接し、第６領域Ｓ６を第９領域Ｓ９と第１０領域Ｓ１０に仕切る。

　図１４、１５の矢印は、オイルの流れを示す。建設機械が前方に移動することでディファレンシャルハウジング１１０内のオイルが－ｚ方向に流れると、オイルが流入口１１ａを通って第３領域Ｓ３と第８領域Ｓ８にそれぞれ流入する。

　流入口１１ｃから第３領域Ｓ３に流入したオイルは、開口部３３ａを通って第７領域Ｓ７に流入し、開口部３１ｂを通って第９領域Ｓ９に流入し、開口部３３ｂを通って第５領域Ｓ５に流入し、濾材を通過して濾過され、その後流出口１１ｂを通過して、フィルタ装置３から流出する。

　また、流入口１１ｃから第８領域Ｓ８に流入したオイルは、開口部３１ｃを通って第１０領域Ｓ１０に流入し、開口部３３ｅを通って第５領域Ｓ５に流入し、濾材（図示省略）を通過して濾過され、その後流出口１１ｂを通過して、フィルタ装置４Ｂから流出する。

　建設機械が後方に移動すると、ディファレンシャルハウジング１１０内のオイルが＋ｚ方向に流れる。しかしながら、間仕切り板３５Ａ、３６Ａにより筐体１０の内部が複数の領域に仕切られ、オイルの流れが複雑になるため、第５領域Ｓ５に溜まった塵埃が第３領域Ｓ３と第８領域Ｓ８に流入し難い、すなわち流入口１１ａから塵埃が流出し難い。

　本実施の形態によれば、筒状部１１の内部に縦仕切り板３３Ｃが設けられているため、外力による筐体１０（筒状部１１）の変形を抑制することができる。

　以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。

　また、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「円筒形状」とは、厳密に円筒形状の場合には限られず、例えば円筒形状と同一視できる場合を含む概念である。また、例えば、単に直交、平行、一致等と表現する場合において、厳密に直交、平行、一致等の場合のみでなく、略平行、略直交、略一致等の場合を含むものとする。

　また、「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲（任意に定めることができる）の領域を含むことを意味する。例えば、端近傍という場合に、端の近くのある範囲の領域であって、端を含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。

１、１Ａ、２、３、３Ａ、３Ｂ、４、４Ａ、４Ｂ：フィルタ装置　　
１０、１０Ａ、１０Ｂ、１０Ｃ、１０Ｄ、１０Ｅ：筐体　　　　
１１、１１Ａ：筒状部
１１ａ、１１ｃ：流入口
１１ｂ　：流出口
１１ｄ　：上端　　　　
１１ｅ　:下端　　　　
１５、１５Ａ、１５Ｂ、１５Ｃ、１５Ｄ：底板
１５ａ　：底板　　　　
１５ｂ　：筒状部
１５ｃ　：内周面
１５ｄ、１５ｆ、１５ｇ：リブ
１５ｅ　：凹部
２０、２０Ａ、２０Ｂ、２０Ｃ：取付部
２１　　：取付板
２１ａ　：孔
２２、２２Ａ、２２Ｂ：筒状部
２２ａ、２２ｃ：溝
２２ｂ：凹部
３０、３０Ａ、３０Ｂ、３０Ｃ、３０Ｄ、３０Ｅ、３０Ｆ：板状部
３１、３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃ、３２、３２Ａ：横仕切り板
３３、３３Ａ、３３Ｂ、３３Ｃ：縦仕切り板
３１ａ、３１ｂ、３１ｃ、３１ｈ、３２ａ、３２ｂ、３２ｃ、３３ａ、３３ｂ、３３ｃ、３３ｅ：開口部
３１ｄ、３１ｅ、３２ｅ、３３ｄ：端
３１ｆ、３１ｇ：凹部
３５、３５Ａ、３６、３６Ａ：間仕切り板
４０　　：濾材
１００　：車軸組立体
１１０　：ディファレンシャルハウジング
１１１　：開口
１２１、１２２：車軸
１２３、１２４：車軸端
１５０　：駆動シャフト

Claims

　車軸組立体に設けられており、前記車軸組立体の内部に封入されたオイルを濾過するフィルタ装置であって、
　前記車軸組立体に着脱可能に設けられる取付部と、
　内部が空洞な筒状の筒状部と、前記筒状部の一端を覆う底板と、を有する筐体であって、前記筒状部の前記底板に覆われていない端が前記取付部により覆われた筐体と、
　前記筐体の内部に設けられた板状部と、
　を備え、
　前記筐体は、前記取付部が前記車軸組立体に取り付けられることで前記車軸組立体の内部に挿入され、
　前記筒状部には、前記オイルが流入する流入口と、前記オイルが流出する流出口と、が設けられており、
　前記板状部は、前記筐体の内部を、前記流入口を含む第１領域と、前記流出口を含む第２領域と、に分割する横仕切り板であり、
　前記横仕切り板には、前記第１領域と前記第２領域とを連通する開口部が形成されており、
　前記横仕切り板は、両端がそれぞれ前記底板と前記取付部とに当接しており、
　前記横仕切り板及び前記底板又は前記取付部は、一方に凸部が形成されており、他方に前記凸部が挿入される凹部が形成されている
　ことを特徴とするフィルタ装置。
　前記凹部は、帯状、弓形状、半楕円形状又は半円形状である
　ことを特徴とする請求項１に記載のフィルタ装置。
　前記取付部には、前記筒状部の中心線に沿って見たときに、前記筒状部を挟むように一対の孔である第１孔及び第２孔が形成されており、
　前記中心線に沿って見たときに、前記第１孔の中心及び前記第２孔の中心を通る線である第１線に対する前記横仕切り板の傾きが０．５°以下である
　ことを特徴とする請求項２に記載のフィルタ装置。
　前記取付部には、前記筒状部の中心線に沿って見たときに、前記筒状部を挟むように一対の孔である第１孔及び第２孔が形成されており、
　前記横仕切り板は、前記筒状部の軸を含み、かつ、前記第１孔の中心及び前記第２孔の中心を通る線である第１線と略平行な面である第１面に対して傾いている
　ことを特徴とする請求項１又は２に記載のフィルタ装置。
　前記横仕切り板の前記第１面に対する傾斜角度は、１５度以上である
　ことを特徴とする請求項４に記載のフィルタ装置。
　前記板状部は、前記第１領域及び前記第２領域をそれぞれ複数の領域に区切る縦仕切り板をさらに有し、
　前記縦仕切り板は、前記第１領域を第３領域と第４領域に仕切り、前記第２領域を第５領域と第６領域に仕切る
　ことを特徴とする請求項１から５のいずれか一項に記載のフィルタ装置。