WO2024084599A1

WO2024084599A1 - 止具

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Publication number: WO2024084599A1
Application number: PCT/JP2022/038822
Authority: WO
Inventors: 嘉行木村; 渉澤井; 曜子岡島; 就子久保田
Original assignee: Ｙｋｋスナップファスナー株式会社
Priority date: 2022-10-18
Filing date: 2022-10-18
Publication date: 2024-04-25

Abstract

本発明は、スナップボタン（２０）又はワッシャー（３０）を生地（ｆａ、ｆｂ）に固定するための金属製の止具（１０）に係る。止具（１０）は単一の部品からなる。止具（１０）は円板部（１１）と、円板部（１１）から円板部（１１）の裏面（１１ｂ）側に延びるポスト部（１２）と、円板部（１１）の半径方向外側端（１１ｃ）から円板部（１１）の表面（１１ａ）側又は裏面（１１ｂ）側に湾曲する周縁部（１３）とを備える。円板部（１１）は装飾部（１４）を含む。装飾部（１４）は、ポスト部（１２）と止具（１０）の半径方向最外側端（１１ｃ）との間の半径方向に沿う間隔（Ｅ）に対して、ポスト部（１２）から半径方向外側へと１５％以上離れ、かつ止具（１０）の半径方向最外側端（１１ｃ）から半径方向内側へと３０％以上離れた範囲（１４ｅ）に設けられる。

Description

止具

　本発明は止具、特にスナップボタンやワッシャーを衣服等の生地に固定するための金属製の止具に関する。

　スナップボタン、ワッシャー、飾りボタン等を衣服等の生地に取り付けるための金属製の止具は周知であり、例えば、国際公開第２０１６／０８８１８２号（特許文献１）の図１１～図１３等には、雌型スナップボタン３１０を生地７０に取り付けるための止具３２０が記載される。このような止具は、円板部と、円板部の中央部から突出するポスト部とを備える。そして、例えばスナップボタンを生地に取り付ける場合、特許文献１の図１２、図１３等にも示されるように、止具のポスト部を生地に貫通させた後、ポスト部をスナップボタンに対して加締め付ける。これによりスナップボタンが生地に固定される。

　生地に取り付けられた状態の止具の円板部は、その表面がユーザから見え、裏面は生地に接する。ユーザから見える円板部の表面には、文字、図形、記号、ロゴ等からなる装飾を刻印、印刷等により付すことができる。文字等を含む装飾の場合、止具を衣服等に取り付ける際に上下等の方向付けが必要となる。

　従来の金属製の止具は、特許文献１の図１１等に示されるようにポスト部と円板部のコアとを備える止具本体と、止具本体のコアを覆うように止具本体に組み付けられるキャップとの２部品から一般的に構成される。止具本体はアイレットとも呼ばれ、キャップはシェルとも呼ばれる。止具に装飾を要する場合、キャップの表面に装飾が設けられ、このキャップが止具本体に取り付けられる。このように従来の止具は２部品からなるため、止具の軽量化や円板部の薄厚化には限界があり、製造コストも嵩んだ。

　止具を、キャップを用いることなく止具本体に実質的に対応する単一部品から製造することも試みられている。しかしながら、このような止具の製造、加工時又は生地への取り付け時に装飾が歪む場合があった。

　また、２部品からなる止具では、装飾が円板部の裏面側から見えないため、止具を用いてスナップボタンやワッシャーを生地に固定する際、止具の装飾の方向付けを作業者に視認させるための切欠等の目印がキャップに加工される場合があった。更に従来の止具では、例えば生地に取り付けられて長時間経つと、止具が生地に対して回動する場合がある。この場合、スナップボタン等が生地から外れやすくなり、また止具の装飾の方向がずれるといった不具合が生じる。そのため、止具に回り止めを加工する場合があった。しかしながら、上記目印や回り止めを設ける分時間やコストがかかる。

国際公開第２０１６／０８８１８２号

　本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的の１つは、加工や取り付けに影響されることのない装飾を含む単一部品からなる金属製の止具を提供することにある。

　本発明の別の目的は、装飾を円板部の裏面側から視認でき、装飾の方向付けのための目印や回り止めの加工が不要な止具を提供することにある。

　上記課題を解決するため、本発明によれば、スナップボタン又はワッシャーを生地に固定するための金属製の止具であって、前記止具は単一の部品からなり、前記止具は円板部と、前記円板部から前記円板部の裏面側に延びるポスト部と、前記円板部の半径方向外側端から前記円板部の表面側又は裏面側に湾曲する周縁部とを備え、前記円板部は装飾部を含み、前記装飾部は、前記ポスト部と前記止具の半径方向最外側端との間の半径方向に沿う間隔に対して、前記ポスト部から半径方向外側へと１５％以上離れ、かつ前記止具の半径方向最外側端から半径方向内側へと３０％以上離れた範囲に設けられることを特徴とする止具が提供される。

　本発明に係る止具は金属製でありかつ単一の部品からなる。そのため、止具の軽量化や円板部の薄厚化を図ることができ、製造コストも削減される。止具の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等を挙げることができるが、これらに限定されるものでない。また、止具の円板部、ポスト部及び周縁部は一体に形成される。本発明における装飾部は、文字、図形、記号、ロゴ等からなり、例えば、円板部に対してその表面から刻印により加工されるが、印刷等であってもよい。刻印としては、例えば、円板部の表面に凸状ダイを適用するもの、この凸状ダイを裏面から凹状ダイで受けるもの、レーザー刻印等を挙げることができる。印刷としては、例えば、インクジェット印刷、パッド印刷等を挙げることができる。

　本発明において、円板部において装飾部を設ける範囲は次のように設定される。すなわち、ポスト部と止具の半径方向最外側端との間の半径方向に沿う間隔（１００％）に対して、ポスト部から半径方向外側へと１５％以上離れ、かつ止具の半径方向最外側端から半径方向内側へと３０％以上離れた範囲である。本発明の一実施形態において、前記ポスト部は円筒状であり、前記間隔は、前記ポスト部の内周と前記止具の半径方向最外側端との間の半径方向に沿う間隔である。特に、前記間隔は、生地への取り付け前における、前記ポスト部の内周と前記止具の半径方向最外側端との間の半径方向に沿う間隔であり得る。すなわち、円板部において装飾部を設ける範囲は、ポスト部が円筒状の場合、ポスト部（好ましくは、生地への取り付け前のポスト部）の内周と止具の半径方向最外側端との間の半径方向に沿う間隔を１００％とし、ポスト部の内周から半径方向外側へと１５％以上で止具の半径方向最外側端から半径方向内側へと３０％以上とすることができる。このような範囲に装飾部を設けることにより、装飾部が止具の加工や取り付けに影響を受けて歪むようなことが実質的になくなる。円筒状のポスト部の内周は、基本的にはポスト部の内周面の基端すなわちポスト部の内周面と円板部との境界であるが、ポスト部の基端部が円板部へと径を拡張しつつ円板部に繋がる場合、ポスト部におけるほぼ同径部分（ポスト本体）の内周面における基端（図４の内周基端１２ｄ参照）とし得る。

　本発明の一実施形態において、前記装飾部は、前記円板部の表面から窪む装飾凹部と、前記装飾凹部に対応し、かつ前記円板部の裏面から突出する装飾凸部とを含む。本形態では、装飾部は円板部の表面から刻印され、装飾部をなす文字、図形、記号、ロゴ等が円板部の表面において装飾凹部として窪み、裏面において装飾凸部として突出する。このような装飾凸部は、止具を用いてスナップボタンやワッシャーを生地に固定する際、特に生地を配置する前において、作業者が円板部の裏面側から視認できるため、装飾部の方向付けを容易に行うことができる。また、止具が生地に取り付けたられた状態で円板部の裏面から突出する装飾凸部が生地に押し付けられるため、生地に対する回り止めとして機能し得る。

　本発明の一実施形態において、前記周縁部は、前記円板部の表面からの最大高さが前記止具の直径に対して５％～１５％である。止具の製造後の保管、搬送、取付、使用等の各段階において円板部の表面が外部に露出するため、装飾部は外部の物体等と接触して傷付きやすい。この点を、円板部の表面からの周縁部の最大高さを、止具の直径に対して５％～１５％に設定することにより緩和することができる。すなわち、そのような高さの周縁部は装飾部よりも先に外部の物体等と接触する可能性が高く、これにより装飾部を保護することができる。

　本発明の一実施形態において、前記周縁部は、前記円板部の半径方向外側端から半径方向内側へと前記円板部の表面側に折り返され、前記周縁部の半径方向内側端は円を歪めた周形状を定義する。本形態では、止具の円板部の表面側において、周縁部の半径方向内側端が描く周形状を意図的に歪んだ円とする。このような歪んだ円となる周縁部の内周は、周縁部の真円の外周と相まって、ユーザ等にビンテージ感、アンティーク感、使い古したような印象を付与することができる。そのため、本形態の止具は特にジーンズ等に最適となる。

　本発明では、円板部において装飾部を、ポスト部と止具の半径方向最外側端との間の半径方向に沿う間隔に対して、ポスト部から半径方向外側へと１５％以上離れ、かつ止具の半径方向最外側端から半径方向内側へと３０％以上離れた範囲に設ける。これにより装飾部が止具の加工や取り付けに影響を受けて歪むようなことが実質的になくなる。また、装飾部が円板部の裏面から突出する装飾凸部を含むように加工した場合、止具を用いてスナップボタンやワッシャーを生地に固定する際、作業者が円板部の裏面側から視認できるため、装飾部の方向付けを容易に行うことができ、更に装飾凸部が生地に対する止具の回り止めとして機能し得る。

図１は、本発明の第１実施形態に係る止具の上面図である。図２は図１の止具の底面図である。図３は図１の止具の側断面図である。図４は、装飾部の範囲等を付加して拡大した図３と同様の断面図である。図５は図４の囲みＣを拡大した断面図であり、装飾部の凹凸を便宜的に示す。図６は、止具を用いて雌型スナップボタンを生地に取り付けた状態を示す断面図である。図７は、止具を用いてワッシャーを生地に取り付けた状態を示す断面図である。図８は、止具の周縁部をカーリング加工する工程を概略的に示す断面図である。図９は、第１実施形態に係る止具の変形例を示す上面図である。図１０は、本発明の第２実施形態に係る止具を略示する上面図（ａ）及び側断面図（ｂ）である。図１１は、本発明の第３実施形態に係る止具を略示する上面図（ａ）及び側断面図（ｂ）である。図１２は、本発明の第４実施形態に係る止具を略示する上面図（ａ）及び側断面図（ｂ）である。図１３は、本発明の第５実施形態に係る止具を略示する上面図（ａ）及び側断面図（ｂ）である。

　以下、本発明のいくつかの実施形態を説明するが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。

　第１実施形態
　図１～図３は、本発明の第１実施形態に係る止具１０の上面図、底面図及び側断面図である。以下、止具１０についての上下は、別途指定しない限り、図３～図５の紙面に基づくものとする。止具１０は金属製でかつ単一の部品からなり、円板部１１と、円板部１１の中心部から下方に同心状に延びる円筒状のポスト部１２と、円板部１１の半径方向外側端１１ｃから上方に湾曲しつつ折り返される周縁部１３とを備える。円板部１１は上を向く表面１１ａと、下を向く裏面１１ｂとを有する。本実施形態において円板部１１の表面１１ａ及び裏面１１ｂは実質的に水平に沿う。ポスト部１２は円板部１１の裏面１１ｂ側に突出し、その上下端が開放する。周縁部１３は円板部１１の半径方向外側端１１ｃから上方、次いで半径方向内側、次いで下方へと断面Ｃ字状に湾曲する。第１実施形態において、円板部１１の半径方向外側端１１ｃは止具１０における最も半径方向外側にある端、すなわち半径方向最外側端である。円板部１１の半径方向外側端１１ｃは周縁部１３の基端でもあり、また円板部１１と周縁部１３との境界であるとも言える。周縁部１３は一端が円板部１１と境界を共有しつつ円板部１１から連続し、他端が終端１３ａ（図４参照）として円板部１１の表面１１ａに対してわずかな間隙を空けて近接する。

　円板部１１は、文字、図形、記号、ロゴ等が刻印等されてなる装飾部１４を含む。図１を参照して、本実施形態では、装飾部１４は、「ＤＥＳＩＧＮ」というアルファベット６文字の列を円弧状に配列したＤＥＳＩＧＮ部分と、円板部１１の中心に対してＤＥＳＩＧＮ部分とは反対側に、「ＬＯＧＯ」というアルファベット４文字の列を円弧状に配列したＬＯＧＯ部分とに区分される。図１に示す円板部１１の表面１１ａの装飾部１４が、止具１０を衣服等の生地に取り付け後にユーザから見える側である。円板部１１の表面１１ａにおいて、周縁部１３は装飾部１４を隠すことなく半径方向外側を囲む。また図２から分かるように、装飾部１４は円板部１１の裏面１１ｂにおいて各文字及び数字が反転して現れる。

　装飾部１４は、円板部１１に対して次の範囲１４ｅに設けられる。図４は、装飾部１４の範囲１４ｅ等を付加して拡大した図３と同様の断面図である。図４を参照して、生地ｆａ、ｆｂ（図６及び図７参照）への取り付け前のポスト部１２は、内外径がほぼ一定のポスト本体１２ａと、ポスト本体１２ａの上端から円板部１１へと内外径が次第に拡大しつつ円板部１１に繋がるポスト基端部１２ｂとを備える。ポスト本体１２ａの厚さの断面は直線状であり、ポスト基端部１２ｂの厚さの断面は湾曲状である。図４における参照番号１２ｄは、ポスト本体１２ａの内周面１２ｃにおける上端（以下、「内周基端」という。）である。ポスト本体１２ａの内周基端１２ｄが第１実施形態において後述する間隔Ｅの基準となるポスト部１２の内周である。

　円板部１１に対して装飾部１４を設ける範囲１４ｅは、生地ｆａ、ｆｂ（図６及び図７参照）への取り付け前のポスト部１２の内周基端１２ｄと止具１０の半径方向最外側端１１ｃとの間の半径方向に沿う間隔Ｅに対して、ポスト部１２の内周基端１２ｄから半径方向外側へと１５％以上離れ、かつ止具１０の半径方向最外側端１１ｃから半径方向内側へと３０％以上離れる。この範囲１４ｅは間隔Ｅに対して最大５５％である。この範囲１４ｅに装飾部１４を設けることにより、装飾部１４が止具１０におけるポスト部１２や周縁部１３の加工時、あるいは止具１０の生地ｆａ、ｆｂ（図６及び図７参照）に取り付ける際のポスト部１２の加締め時に影響を受けて歪むようなことがない。

　図４を参照して、円板部１１の表面１１ａからの周縁部１３の最大高さＨは、止具１０の直径Ｄに対して５％～１５％に設定される。このような最大高さＨの周縁部１３は、特に上記範囲１４ｅに設けた装飾部１４に外部の物体等が接触しようとする時に先に物体等と接触することにより、装飾部１４を保護することができる。

　図５は図４の囲みＣを拡大した断面図であり、装飾部１４の凹凸を便宜的に示す。止具１０の製造において、装飾部１４は文字列等に対応する凸状ダイ（図示せず）を円板部１１に表面１１ａから押し付けることによって形成される。装飾部１４すなわちＤＥＳＩＧＮ部分及びＬＯＧＯ部分は、円板部１１の表面１１ａから下方に窪む装飾凹部１４ａと、装飾凹部１４ａに対応し、かつ円板部１１の裏面１１ｂから下方に突出する装飾凸部１４ｂとを含む。装飾凹部１４ａ及び装飾凸部１４ｂはわずかな凹凸であるため、図３及び図４において図示は省略される。装飾凸部１４ｂは、止具１０を用いて雌型スナップボタン２０（図６参照）やワッシャー３０（図７参照）を生地ｆａ、ｆｂに固定する際、特に生地ｆａ、ｆｂを配置する前において、作業者が円板部１１の裏面１１ｂ側から視認できるため、装飾部１４の方向付けを容易に行うことができる。また、止具１０が生地ｆａ、ｆｂに取り付けたられた状態で円板部１１の裏面１１ｂから突出する装飾凸部１４ｂが生地ｆａ、ｆｂに押し付けられるため、止具１０の生地ｆａ、ｆｂに対する回り止めとして機能し得る。装飾凹部１４ａの円板部１１の表面１１ａからの深さは及び装飾凸部１４ｂの裏面１１ｂからの突出高さはいずれも、０．１ｍｍ～０．４ｍｍ、より好ましくは０．１５ｍｍ～０．２５ｍｍである。

　図６は、止具１０を用いて雌型スナップボタン２０を生地ｆａに取り付けた状態を示す断面図である。止具１０のポスト部１２は、生地ｆａを貫通した後、雌型スナップボタン２０に対して加締め付けられ、これにより雌型スナップボタン２０が止具１０と共に生地ｆａに固定される。図６中の参照番号２１は雌型スナップボタン２０の環状又はＣ字状のスプリングである。雌型スナップボタン２０は図示しない雄型スナップボタンと着脱される。図７は、止具１０を用いてワッシャー３０を生地ｆｂに取り付けた状態を示す断面図である。この場合も、止具１０のポスト部１２は、生地ｆｂを貫通した後、ワッシャー３０に対して加締め付けられ、これによりワッシャー３０が止具１０と共に生地ｆｂに固定される。

　図８は、止具１０の周縁部１３をカーリング加工する工程を概略的に示す断面図である。周縁部１３は、まず円板部１１に対してほぼ垂直に曲げられた後、上方パンチ１００の凹状のキャビティ１０１によりカーリング加工される。この際、止具１０は下方ダイ１１０の保持部１１１に保持される。このようにしてカーリング加工される周縁部１３の終端１３ａは、円板部１１の表面１１ａに対してわずかな間隙を空けて近接する。この間隙は例えば０．２ｍｍ以下に設定される。これにより終端１３ａによりユーザ等の指が傷付いたり、衣服が引っ掛かるようなことはない。

　図９は、既述した第１実施形態に係る止具１０の変形例を示す上面図である。この変形例の止具１０ａは、周縁部１３の半径方向内側端である終端１３ｂが定義する周形状が歪んだ円である点を除き、止具１０と共通する。そのため、円板部１１、ポスト部１２及び（終端１３ｂを除く）周縁部１３については同じ参照番号を用いる。図１を参照すると、周縁部１３の終端１３ａが定義する周形状は真円である。これに対して止具１０ａでは、周縁部１３の終端１３ｂが歪んだ円を描く。このような加工は、図８に示す上方パンチ１００のキャビティ１０１の凹状の程度等を調整することにより意図的に行うことができる。このような終端１３ｂにより歪んだ円となる周縁部１３の内周は、周縁部１３の真円の外周と相まって、ユーザ等にビンテージ感、アンティーク感を与えることができる。

　第２実施形態
　図１０は、本発明の第２実施形態に係る止具４０を略示する上面図（ａ）及び側断面図（ｂ）である。止具４０は、円板部４１と、円板部４１からその裏面側に延びる円筒状のポスト部４２と、円板部４１の半径方向外側端４１ｃから裏面側に湾曲する周縁部４３とを備える。止具４０は、図示は省略するが第１実施形態の止具１０と実質的に同様の装飾部を含む。円板部４１は、下方に凸湾曲状となる中央部４１ｄと、中央部４１ｄの半径方向外側端から円板部４１の半径方向外側端４１ｃへとわずかに低下しつつ延びる外周部４１ｅとを含む。本実施形態において、円板部４１の半径方向外側端４１ｃは、円板部４１と周縁部４３との境界であり、止具４０の半径方向最外側端である。周縁部４３は、円板部４１の半径方向外側端４１ｃから下方かつ半径方向内側へと折り返される。第２実施形態において、ポスト部４２の基端、すなわち円板部４１との境界が装飾部を設ける間隔Ｅの基準となる。

　第３実施形態
　図１１は、本発明の第３実施形態に係る止具５０を略示する上面図（ａ）及び側断面図（ｂ）である。止具５０は、円板部５１と、円板部５１からその裏面側に延びる円筒状のポスト部５２と、円板部５１の半径方向外側端５１ｃから裏面側に湾曲する周縁部５３とを備える。止具５０は、図示は省略するが第１実施形態の止具１０と実質的に同様の装飾部を含む。円板部５１は、実質的に水平に沿う中央部５１ｄと、中央部５１ｄの半径方向外側端から円板部５１の半径方向外側端５１ｃへとわずかに低下しつつ延びる周囲部５１ｅとを含む。本実施形態において、円板部５１の半径方向外側端５１ｃは円板部５１と周縁部５３との境界でもあり、止具５０の半径方向最外側端でもある。周縁部５３は、円板部５１の半径方向外側端５１ｃから下方、次いで半径方向内側、次いで上方へと断面Ｃ字状に湾曲される。第３実施形態において、ポスト部５２のほぼ同径部分の基端が装飾部を設ける間隔Ｅの基準となる。

　第４実施形態
　図１２は、本発明の第４実施形態に係る止具６０を略示する上面図（ａ）及び側断面図（ｂ）である。止具６０は、円板部６１と、円板部６１からその裏面側に延びる円筒状のポスト部６２と、円板部６１の半径方向外側端６１ｃから半径方向外側、次いで裏面側、次いで半径方向内側に断面Ｃ字状に湾曲する周縁部６３とを備える。止具６０は、図示は省略するが第１実施形態の止具１０と実質的に同様の装飾部を含む。円板部６１は、ポスト部６２との境界から半径方向外側へと水平に延びる水平部６１ｄと、水平部６１ｄの半径方向外側端から半径方向外側へと上昇しつつ斜めに延びる傾斜部６１ｅとを含む。本実施形態において傾斜部６１ｅの半径方向外側端６１ｃが円板部６１の半径方向外側端６１ｃである。本実施形態では、周縁部６３は、円板部６１の半径方向外側端６１ｃよりも半径方向外側に膨らみ、周縁部６３の半径方向外側端６３ａが止具６０の半径方向最外側端６３ａとなる。第４実施形態において、ポスト部６２のほぼ同径部分の基端が装飾部を設ける間隔Ｅの基準となる。また、本実施形態において、円板部６１の表面からの周縁部６３の最大高さは、円板部６１の水平部６１ｄの表面からの最大高さとなり、この高さは水平部６１ｄの表面からの傾斜部６１ｅの上下方向に沿う長さと実質的に一致する。周縁部６３の最大高さは、止具６０の直径に対して５％～１５％に設定される。これにより円板部６１の周縁部６３及び傾斜部６１ｅは、第１実施形態の止具１０の周縁部１３とほぼ同様に装飾部を外部の物体等から保護する役割を果たす。

　第５実施形態
　図１３は、本発明の第５実施形態に係る止具７０を略示する上面図（ａ）及び側断面図（ｂ）である。止具７０は、円板部７１と、円板部７１からその裏面側に延びる円筒状のポスト部７２と、円板部７１の半径方向外側端７１ｃから裏面の半径方向内側に湾曲状に折り返された周縁部７３とを備える。止具７０は、図示は省略するが第１実施形態の止具１０と実質的に同様の装飾部を含む。円板部７１は、ポスト部７２との境界から半径方向外側へと水平に延びる水平部７１ｄと、水平部７１ｄの半径方向外側端から半径方向外側へと低下しつつ半径方向外側端７１ｃまで延びる周囲部７１ｅとを含む。周囲部７１ｅの半径方向外側端７１ｃが円板部７１の半径方向外側端７１ｃであり、周縁部７３との境界でもある。また、本実施形態において円板部７１の半径方向外側端７１ｃが止具７０の半径方向最外側端である。第５実施形態において、装飾部を設ける範囲Ｅの基準となるポスト部７２の外周は、ポスト部７２のほぼ同径部分の基端である。

　本発明の実施形態における止具７０は、通常被服・鞄等で実用に供される程度の大きさ及び材料厚であり、具体的には、直径が３０ｍｍ未満、少なくとも円板部７１における金属の厚みは０．３ｍｍ～０．５ｍｍ程度である。

　１０、１０ａ、４０、５０、６０、７０　止具
　１１、４１、５１、６１、７１　円板部
　１１ａ　円板部の表面
　１１ｂ　円板部の裏面
　１１ｃ、４１ｃ、５１ｃ、６１ｃ、７１ｃ　円板部の半径方向外側端
　１１ｃ、４１ｃ、５１ｃ、６３ａ、７１ｃ　止具の半径方向最外側端
　１２、４２、５２、６２、７２　ポスト部
　１３、４３、５３、６３、７３　周縁部
　１４　装飾部
　１４ａ　装飾凹部
　１４ｂ　装飾凸部
　２０　雌型スナップボタン
　３０　ワッシャー

Claims

　スナップボタン（２０）又はワッシャー（３０）を生地（ｆａ、ｆｂ）に固定するための金属製の止具（１０、１０ａ、４０、５０、６０、７０）であって、
　前記止具（１０、１０ａ、４０、５０、６０、７０）は単一の部品からなり、
　前記止具（１０、１０ａ、４０、５０、６０、７０）は円板部（１１、４１、５１、６１、７１）と、前記円板部（１１、４１、５１、６１、７１）から前記円板部（１１、４１、５１、６１、７１）の裏面（１１ｂ）側に延びるポスト部（１２、４２、５２、６２、７２）と、前記円板部（１１、４１、５１、６１、７１）の半径方向外側端（１１ｃ、４１ｃ、５１ｃ、６１ｃ、７１ｃ）から前記円板部（１１、４１、５１、６１、７１）の表面（１１ａ）側又は裏面（１１ｂ）側に湾曲する周縁部（１３、４３、５３、６３、７３）とを備え、
　前記円板部（１１、４１、５１、６１、７１）は装飾部（１４）を含み、
　前記装飾部（１４）は、前記ポスト部（１２、４２、５２、６２、７２）と前記止具（１０、１０ａ、４０、５０、６０、７０）の半径方向最外側端（１１ｃ、４１ｃ、５１ｃ、６３ａ、７１ｃ）との間の半径方向に沿う間隔（Ｅ）に対して、前記ポスト部（１２、４２、５２、６２、７２）から半径方向外側へと１５％以上離れ、かつ前記止具（１０、１０ａ、４０、５０、６０、７０）の半径方向最外側端（１１ｃ、４１ｃ、５１ｃ、６３ａ、７１ｃ）から半径方向内側へと３０％以上離れた範囲（１４ｅ）に設けられることを特徴とする止具。
　前記装飾部（１４）は、前記円板部（１１、４１、５１、６１、７１）の表面（１１ａ）から窪む装飾凹部（１４ａ）と、前記装飾凹部（１４ａ）に対応し、かつ前記円板部（１１、４１、５１、６１、７１）の裏面（１１ｂ）から突出する装飾凸部（１４ｂ）とを含む請求項１に記載の止具。
　前記周縁部（１３、６３）は、前記円板部（１１、６１）の表面（１１ａ）からの最大高さが前記止具（１０、６０）の直径（Ｄ）に対して５％～１５％である請求項１又は２に記載の止具。
　前記周縁部（１３）は、前記円板部（１１）の半径方向外側端（１１ｃ）から半径方向内側へと前記円板部（１１）の表面（１１ａ）側に折り返され、前記周縁部（１３）の半径方向内側端（１３ｂ）は円を歪めた周形状を定義する請求項１又は２に記載の止具。
　前記ポスト部（１２、４２、５２、６２、７２）は円筒状であり、前記間隔（Ｅ）は、前記ポスト部（１２、４２、５２、６２、７２）の内周と前記止具（１０、１０ａ、４０、５０、６０、７０）の半径方向最外側端（１１ｃ、４１ｃ、５１ｃ、６３ａ、７１ｃ）との間の半径方向に沿う間隔である請求項１に記載の止具。
　前記間隔（Ｅ）は、生地（ｆａ、ｆｂ）への取り付け前における、前記ポスト部（１２、４２、５２、６２、７２）の内周と前記止具（１０、１０ａ、４０、５０、６０、７０）の半径方向最外側端（１１ｃ、４１ｃ、５１ｃ、６３ａ、７１ｃ）との間の半径方向に沿う間隔である請求項５に記載の止具。