WO2024057546A1 - 位置推定装置、位置推定システム、制御回路、記憶媒体、および位置推定方法 - Google Patents
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Abstract
複数の固定局のそれぞれと移動局(1)との間で無線通信を用いて測定した複数の測距結果に基づいて移動局(1)の位置を推定する位置推定装置である移動局(1)は、複数の固定局の間の座標軸毎の距離が大きい座標軸から順番に、固定局の位置と測距結果とを用いて、座標軸毎の移動局の位置を計算する測位計算部(16)と、座標軸毎の位置の計算結果に基づいて、移動局の三次元位置を示す位置推定結果を生成する位置推定結果生成部(18)と、を備えることを特徴とする。
Description
本開示は、通信の送受信タイミングを利用した測距結果に基づいて位置を推定する位置推定装置、位置推定システム、制御回路、記憶媒体、および位置推定方法に関する。
通信の送受信タイミングを利用して、地上に固定された固定局と、移動局との間の伝搬時間から固定局と移動局との間の距離を測定して、固定局の既知の位置情報と測距結果とを用いて移動局の位置を推定する技術が利用されている。位置推定を行う際に用いられる一般的なアルゴリズムとしては、移動局の三次元の位置(x,y,z)を決めるために、3台以上の固定局の位置と、固定局と移動局との間の測距結果とに関する三次元の非線形な連立方程式を解く最小二乗法があり、逐次近似的な計算により移動局の位置の推定が行われる。
このような分野では、位置の推定精度を向上させることが望まれている。例えば、特許文献1には、UWB(Ultra-Wide Band)信号を用いた測距結果から移動局の位置を推定する方法において、受信信号に含まれるマルチパス成分の統計データに基づいて、固定局と移動局との間の電波伝搬が「見通し」状態であるか「非見通し」状態であるかを識別し、位置を推定する際に、「非見通し」状態である固定局との測距結果の影響が小さくなるように重み付けすることで、位置推定精度を改善する技術が開示されている。
しかしながら、上記従来の技術では、位置推定を行うエリア毎に、受信波形のとがり、マルチパス成分の平均過剰遅延広がり、および二乗平均平方根の遅延広がりといった受信信号に含まれるマルチパス成分の統計データを、事前に収集しておく必要があり、統計データを事前に収集することができない場合、統計データの精度が低い場合などは、高精度に位置推定を行うことができないという問題があった。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、事前に受信信号のマルチパス成分の統計データを精度よく得ることができない場合であっても、高精度に位置推定を行うことが可能な位置推定装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる位置推定装置は、複数の固定局のそれぞれと移動局との間で無線通信を用いて測定した複数の測距結果に基づいて移動局の位置を推定する位置推定装置であって、複数の固定局の間の座標軸毎の距離が大きい座標軸から順番に、固定局の位置と測距結果とを用いて、座標軸毎の移動局の位置を計算する測位計算部と、座標軸毎の位置の計算結果に基づいて、移動局の三次元位置を示す位置推定結果を生成する位置推定結果生成部と、を備えることを特徴とする。
本開示にかかる位置推定装置は、事前に受信信号のマルチパス成分の統計データを精度よく得ることができない場合であっても、高精度に位置推定を行うことが可能であるという効果を奏する。
以下に、本開示の実施の形態にかかる位置推定装置、位置推定システム、制御回路、記憶媒体、および位置推定方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる位置推定システム100の構成の一例を示す図である。位置推定システム100は、位置推定装置の一例である移動局1と、地上に固定された複数の固定局3-0~3-3とを有する。なお、以下の説明中において、固定局3-0~3-3のそれぞれを区別する必要がない場合、単に固定局3と称することがある。ここでは、4台の固定局3を示しているが、固定局3の台数は4台に限らず、複数台であればよい。
図1は、実施の形態1にかかる位置推定システム100の構成の一例を示す図である。位置推定システム100は、位置推定装置の一例である移動局1と、地上に固定された複数の固定局3-0~3-3とを有する。なお、以下の説明中において、固定局3-0~3-3のそれぞれを区別する必要がない場合、単に固定局3と称することがある。ここでは、4台の固定局3を示しているが、固定局3の台数は4台に限らず、複数台であればよい。
位置推定システム100は、移動局1と複数の固定局3のそれぞれとの間で無線通信により送受信される無線信号の送受信タイミングに基づいて、移動局1と各固定局3との間の距離を測定し、測距結果に基づいて、移動局1の位置を推定する。
ここで、位置推定システム100が用いる無線信号は、例えば、UWB信号である。UWB信号は、時間領域では超短パルス信号である。このため、UWB信号を用いると、通信の送受信タイミングを高い分解能で把握することが可能であり、移動局1の位置を高精度に推定することが可能である。
移動局1および固定局3の位置は、三次元の位置で表され、この三次元空間を規定する座標軸を、x軸、y軸およびz軸とする。固定局3の位置は既知であり、固定局3-0の位置は(x0,y0,z0)であり、固定局3-1の位置は(x1,y1,z1)であり、固定局3-2の位置は(x2,y2,z2)であり、固定局3-3の位置は(x3,y3,z3)であることとする。
各固定局3は、自身の位置情報および識別情報などを含む報知信号を送信し、移動局1は、報知信号に基づいて、受信可能な固定局3の情報を認識することができる。移動局1は、認識できた固定局3との間のUWB信号の送受信タイミングから無線通信にかかった伝搬時間を算出し、各固定局3との間の測距結果を得る。
移動局1と各固定局3との間でUWB信号を送受信する際には、壁など電波を反射する物体が存在する場合、直接波W1に加えて、反射波W2が受信されることになる。この場合、UWB信号の波形に歪みが生じる。
図2は、マルチパス環境において生じる波形の歪みの一例を示す図である。図2に示すように、マルチパス環境では、受信側において検出される受信波形40は、直接波W1の波形41と、反射波W2の波形42とが合成された結果、歪みが生じる。図2に示すように歪みが生じた受信波形40は、直接波W1の波形41と比較して信号波形が時間的に後ろ側にずれるため、この受信波形40に基づく測距結果は、距離が大きくなる傾向がある。このように測距結果の精度が低下すると、測距結果に基づく移動局1の位置推定精度も低下してしまう。
実施の形態1では、このように測距結果の精度が低下している場合であっても、位置推定精度の低下を抑制することが可能な位置推定方法を提案する。
図3は、移動局1と固定局3との間の測距結果と位置推定の関係を示す図である。ここで、固定局3-0との測距結果をR0、固定局3-1との測距結果をR1、固定局3-2との測距結果をR2、固定局3-3との測距結果をR3とする。このとき、理想的には、固定局3-0の位置を中心とする半径がR0の円と、固定局3-1の位置を中心とする半径がR1の円と、固定局3-2の位置を中心とする半径がR2の円と、固定局3-3の位置を中心とする半径がR3の円とが1点で交わり、その交点を移動局1の位置として推定することが望ましい。
ここで、測位計算のための位置推定アルゴリズムとして、最小二乗法に基づいて計算を行うものとする。この場合、z軸およびy軸方向に注目すると、X軸の推定範囲Axは、Y軸の推定範囲Ayよりも小さい。この場合、X軸に対する位置推定結果は、Y軸に対する位置推定結果よりも誤差を小さくすることができることを示している。ここで、位置推定範囲は、固定局3間の距離が大きいほど小さくなる。このため、座標軸毎の固定局3間の距離が大きいほど、その座標軸方向の位置の推定範囲が小さくなり、位置推定誤差が小さくなる。そこで、実施の形態1では、移動局1の位置を、複数の座標軸のうち固定局3間の距離が大きい座標軸から順に、一次元の最小二乗法により座標軸毎に計算することによって、座標軸毎の位置の推定誤差を抑制する。以下、このような処理を行うための位置推定装置の機能について説明する。
図4は、実施の形態1にかかる位置推定装置である移動局1の機能構成を示す図である。移動局1は、固定局3の位置情報を記憶する固定局位置情報記憶部11と、各固定局3と移動局1との間の測距結果を取得する測距結果取得部12と、固定局3間の距離を算出する固定局間距離算出部13と、固定局3間の距離に基づいて計算対象の座標軸を選定する座標軸選定部14と、座標軸毎の位置を計算する際の初期値を設定する初期値設定部15と、選定された座標軸について座標軸毎の位置を計算する測位計算部16と、想定する全ての座標軸について座標軸毎の位置の計算が完了したか否かを判断する全軸完了判断部17と、計算結果に基づいて移動局1の三次元位置を示す位置推定結果を生成する位置推定結果生成部18と、を有する。
固定局位置情報記憶部11は、各固定局3が送信する報知信号に含まれる固定局3の位置情報を記憶する。位置情報は、例えば、報知信号に含まれる識別情報と対応づけて記憶される。例えば、図1に示す例において、移動局1が固定局3-0~3-3の4台の固定局3の報知信号を受信した場合、固定局位置情報記憶部11には、固定局3-0の位置情報(x0,y0,z0)、固定局3-1の位置情報(x1,y1,z1)、固定局3-2の位置情報(x2,y2,z2)、および、固定局3-3の位置情報(x3,y3,z3)が記憶される。
測距結果取得部12は、各固定局3との間でUWB信号の送受信を行い、各UWB信号の送受信タイミングから無線通信にかかった伝搬時間を算出し、各固定局3との間の測距結果を取得する。なお、ここでは、移動局1が測距機能と、位置推定機能とを併せ持つこととしたため、測距結果取得部12は、測距処理自体を行うこととしたが、測距処理を移動局1以外の装置で行う場合、測距結果取得部12は、他の装置が行った測距処理の結果である測距結果を通信により取得すればよい。
固定局間距離算出部13は、固定局位置情報記憶部11に記憶された複数の固定局3の位置情報に基づいて、固定局3間の距離を算出する。このとき固定局間距離算出部13は、座標軸毎に、距離を算出する。例えば、図1に示す固定局3-0~3-3の4台について固定局3間の距離を算出する場合、図1に示す例では、4台の固定局3-0~3-3がxy面において長方形の各頂点に位置するように配置されているため、x軸については、以下の数式(1)、y軸については以下の数式(2)、z軸については以下の数式(3)の関係が成り立つ。
なお、数式(1)~(3)のd1、d2、d3の大きさは、「d1>d2>d3」の関係が成り立つものとする。この場合、固定局3間の座標軸毎の距離は、大きい順に、x軸、y軸、z軸となる。
また、固定局間距離算出部13は、以下に示す数式(4)~(6)を用いて、座標軸毎の固定局3間の距離を算出することもできる。具体的には、固定局3の台数である固定局数Nとし、x軸における固定局3間の距離は以下の数式(4)で表され、y軸における固定局3間の距離は以下の数式(5)で表され、z軸における固定局3間の距離は以下の数式(6)で表される。
上記の数式(4)~(6)によれば、例えば、図1に示す固定局3-0~3-3の4台の位置情報が固定局位置情報記憶部11に記憶されている場合、固定局間距離算出部13は、座標軸毎に、固定局3-0および固定局3-1、固定局3-0および固定局3-2、固定局3-0および固定局3-3、固定局3-1および固定局3-2、固定局3-1および固定局3-3、固定局3-2および固定局3-3の6通りの組み合わせの固定局3間の距離の合計を固定局3間の座標軸毎の距離として算出することになる。
ここで、図1に示す4台の固定局3-0~3-3について、数式(1)~(3)の条件が満たされることとすると、数式(4)の値は4d1、数式(5)の値は4d2、数式(6)の値は4d3となり、固定局3間の座標軸毎の距離は、大きい順に、x軸、y軸、z軸となる。
なお、ここでは簡単のため、一例として、4台の固定局3-0~3-3がxy面において長方形の各頂点に位置するように配置されていることとしたが、必ずしも数式(1)~(3)に示すような条件を満たさなくてもよい。
座標軸選定部14は、固定局間距離算出部13が算出した固定局3間の距離に基づいて、距離が大きい座標軸から順番に、座標軸を選定する。上記の例では、座標軸選定部14は、x軸、y軸、z軸の順番に、順次、座標軸を選定する。座標軸選定部14は、選定した座標軸を示す情報を、初期値設定部15に出力する。
初期値設定部15は、選定された座標軸に基づいて、測位計算部16が座標軸毎の位置を計算する際の各軸の初期値を計算する。初期値設定部15は、例えば、複数の固定局3の位置の平均値を初期値としてもよい。この場合、x軸の初期値xinは、以下の数式(7)で表され、y軸の初期値yinは、以下の数式(8)で表され、z軸の初期値zinは、以下の数式(9)で表される。
なお、移動局1の位置が時間的に前もって計算されている場合には、初期値設定部15は、この位置情報を初期値とすることができる。例えば、継続的に移動局1の位置が計算されており、移動局1の位置の目安になる程度の時間範囲内で移動局1の三次元位置が既に計算されている場合には、初期値設定部15は、この位置情報を初期値としてもよい。また、x軸、y軸、z軸の順番に座標軸が選択される場合、x軸の位置を計算する際には、移動局1の位置の初期値を(xin,yin,zin)と設定し、y軸の位置を計算する際には、既にx軸の位置が計算済みであるため、固定値である計算済みのx軸の位置推定結果xestを用いて、移動局1の位置の初期値を(xest,yin,zin)と設定し、z軸の位置を計算する際には、既にx軸およびy軸の位置が計算済みであるため、固定値である計算済みのx軸の位置xestおよび固定値である計算済みのy軸の位置yestを用いて、移動局1の位置の初期値を(xest,yest,zin)と設定することができる。
測位計算部16は、座標軸選定部14が選定した座標軸について、初期値設定部15が設定した各軸の初期値と、固定局位置情報記憶部11に記憶された各固定局3の位置情報と、測距結果取得部12が取得した各固定局3との間の測距結果とに基づいて、移動局1の座標軸毎の位置を計算する。
具体的には、測位計算部16は、移動局1の位置を座標軸毎に、1次元の最小二乗法に基づいて計算する。例えば、上記の例で、座標軸選定部14が、x軸、y軸、z軸の順番に座標軸を選定し、測位計算部16がx軸、y軸、z軸の順番に測位計算を行うとする。このとき、最初に選択されるx軸方向の移動局1の位置を推定する場合、測位計算部16は、初期値設定部15の出力に基づいて、移動局1の位置を(xin,yin,zin)と設定して、測位計算の推定対象のx軸の変数xest=xinと初期値に設定して計算を行う。n番目の固定局3-nと位置推定の対象となる移動局1との距離rnは、以下の数式(10)に基づいて計算される。
なお、nは、0からN-1の整数とする。数式(10)において、rnは、xestに関する非線形関数となることから、測位計算部16では、数式(10)を規範とする逐次近似による最小二乗法に基づき、x軸に関する位置推定の変数xestが逐次的に計算される。
また、n番目の固定局3-nと移動局1との間の測距結果Rnと距離rnとには、それぞれ測定誤差があるため、測位計算部16は、固定局数N台分の距離誤差の2乗和Eを計算する。固定局数N台分の距離誤差の2乗和Eは、以下の数式(11)で表される。
測位計算部16では、数式(11)で表される固定局数N台分の距離誤差の2乗和Eを最小化するための逐次近似に基づく最小二乗法により、移動局1のx軸の位置推定結果xestが出力される。
x軸の次にy軸が選択されると、測位計算部16は、初期値設定部15の出力に基づいて、移動局1の位置を(xest,yin,zin)と設定して、測位計算の推定対象のy軸の変数yest=yinと初期値に設定して計算を行う。この場合、n番目の固定局3-nと位置推定の対象となる移動局1との距離rnは、以下の数式(12)に基づいて計算される。なお、nは、0からN-1の整数とする。数式(12)において、rnは、yestに関する非線形関数となることから、測位計算部16では、数式(12)を規範とする逐次近似による最小二乗法に基づき、y軸に関する位置推定の変数yestが逐次的に計算される。
なお、この場合も固定局数N台分の距離誤差の2乗和Eは、上記の数式(11)で表されるため、測位計算部16は、数式(11)に基づいて、距離誤差の2乗和Eを計算し、この距離誤差の2乗和Eを最小化するために、逐次近似に基づく最小二乗法で移動局1のy軸の位置を推定し、推定結果であるy軸の位置yestを出力する。
x軸、y軸に続いてz軸が選択されると、測位計算部16は、初期値設定部15の出力に基づいて、移動局1の位置を(xest,yest,zin)と設定して、測位計算の推定対象のz軸の変数zest=zinと初期値に設定して計算を行う。この場合、n番目の固定局3-nと位置推定の対象となる移動局1との距離rnは、以下の数式(13)に基づいて計算される。なお、nは、0からN-1の整数とする。数式(13)において、rnは、zestに関する非線形関数となることから、測位計算部16では、数式(13)を規範とする逐次近似による最小二乗法に基づき、z軸に関する位置推定の変数zestが逐次的に計算される。
なお、この場合も固定局数N台分の距離誤差の2乗和Eは、上記の数式(11)で表されるため、測位計算部16は、数式(11)に基づいて、距離誤差の2乗和Eを計算し、この距離誤差の2乗和Eを最小化するために、逐次近似に基づく最小二乗法で移動局1のz軸の位置を推定し、推定結果であるz軸の位置zestを出力する。
全軸完了判断部17は、測位対象として想定している座標軸全てについての座標軸毎の位置の測位計算が完了したか否かを判断し、未だ全軸の測位計算が完了していない場合、座標軸選定部14に座標軸の選定を継続するように通知し、全軸の測位計算が完了した場合、位置推定結果生成部18に、全軸の測位計算が完了した旨を通知する。例えば、全軸完了判断部17は、x軸、y軸、およびz軸の3軸について、測位計算部16から座標軸毎の位置の計算結果を受け取った場合、位置推定結果生成部18に全軸の測位計算が完了した旨を通知し、それ以外の場合には、座標軸選定部14に座標軸の選定を継続するように通知することができる。或いは、3軸のうちの1つ、例えば、z軸の位置が予め分かっている場合、x軸およびy軸の2軸に関して位置推定を行えばよく、全軸完了判断部17の判断基準も、2軸についての測位計算が完了したこととすることができる。全軸完了判断部17は、全軸の測位計算が完了した場合、測位計算部16から受け取った計算結果を、位置推定結果生成部18に出力する。
位置推定結果生成部18は、全軸完了判断部17から、座標軸毎の位置の計算結果を受け取ると、これらの計算結果に基づいて、移動局1の三次元位置を示す位置推定結果として、(xest,yest,zest)を出力する。
図5は、実施の形態1にかかる移動局1の動作について説明するためのフローチャートである。固定局間距離算出部13は、固定局3間の座標軸毎の距離を算出する(ステップS101)。座標軸選定部14は、測位計算を行う対象の座標軸を選定する(ステップS102)。初期値設定部15は、移動局1の位置の初期値を設定する(ステップS103)。測位計算部16は、選定された座標軸について、設定された初期値を用いて、座標軸毎の移動局1の位置を計算する測位計算を行う(ステップS104)。
全軸完了判断部17は、全軸の測位計算が完了したか否かを判断する(ステップS105)。位置が既知でない座標軸を測位計算の対象の座標軸とし、測位計算の対象の座標軸の全てについて、測位計算により座標軸毎の位置の推定値が計算されたか否かに基づいて、ステップS105の判断は行われる。
全軸の測位計算が完了していない場合(ステップS105:No)、移動局1は、ステップS102の処理に戻る。全軸の測位計算が完了した場合(ステップS105:Yes)、位置推定結果生成部18は、移動局1の三次元位置を示す位置推定結果を生成する(ステップS106)。
以上説明したように、実施の形態1にかかる位置推定装置である移動局1は、複数の固定局3のそれぞれと移動局1との間で無線通信を用いて測定した複数の測距結果に基づいて移動局1の位置を推定する位置推定装置であって、複数の固定局3の間の座標軸毎の距離が大きい座標軸から順番に、固定局3の位置と測距結果とを用いて、座標軸毎の移動局1の位置を計算する測位計算部16と、座標軸毎の位置の計算結果に基づいて、移動局1の三次元位置を示す位置推定結果を生成する位置推定結果生成部18と、を備える。固定局3間の座標軸毎の距離が大きい座標軸ほど、位置の推定範囲が小さくなるため、位置の推定誤差を抑制することが可能である。このため、固定局3間の距離が大きい座標軸から順番に測位計算を行うことで、座標軸毎の位置推定の誤差を抑制し、位置推定精度を向上させることが可能になる。したがって、事前に受信信号のマルチパス成分の統計データを精度よく得ることができない場合であっても、高精度に位置推定を行うことが可能になる。
また、位置推定システム100のエリア内に設置された固定局3であって、測距に使用可能な固定局3の数が十分に多くない場合や、壁などによる反射波の影響を受けて測距精度の低い測距結果が含まれる場合であっても、同時に推定すべき座標軸数を減らして、位置推定に必要な変数の自由度を抑えながら、位置推定精度を保つことができる。
実施の形態2.
上記の実施の形態1では、移動局1が認識することのできた複数の固定局3の全てを使用して測位計算を行うこととしたが、実施の形態2では、測距誤差が大きいと想定される固定局3と移動局1との間の測距結果を、測位計算の際に除外するために、使用する固定局3を選択して測位計算を行う。
上記の実施の形態1では、移動局1が認識することのできた複数の固定局3の全てを使用して測位計算を行うこととしたが、実施の形態2では、測距誤差が大きいと想定される固定局3と移動局1との間の測距結果を、測位計算の際に除外するために、使用する固定局3を選択して測位計算を行う。
図6は、実施の形態2にかかる位置推定装置である移動局1Aの機能構成を示す図である。移動局1Aは、固定局位置情報記憶部11と、測距結果取得部12と、固定局間距離算出部13と、座標軸選定部14と、複数の固定局3の中から位置を推定する際に測距結果を使用する固定局3を選択する固定局選択部19と、初期値設定部15と、測位計算部16Aと、全軸完了判断部17と、位置推定結果生成部18とを有する。なお、移動局1Aは、移動局1の構成に、固定局選択部19を追加し、測位計算部16の代わりに測位計算部16Aを有するものであり、その他の構成については、移動局1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる部分について主に説明する。
ここで、固定局3と移動局1との間の測距誤差が測位に及ぼす影響について説明する。図7は、実施の形態2にかかる位置推定システム100Aの構成の一例を示す図である。図7では、測距誤差がない状態を示している。
位置推定システム100Aは、移動局1Aと、複数の固定局3-0~3-3とを有している。移動局1Aおよび固定局3の位置は、三次元の位置で表され、この三次元空間を規定する座標軸を、x軸、y軸およびz軸とする。固定局3の位置は既知であり、固定局3-0の位置は(x0,y0,z0)であり、固定局3-1の位置は(x1,y1,z1)であり、固定局3-2の位置は(x2,y2,z2)であり、固定局3-3の位置は(x3,y3,z3)であることとする。
固定局3-0との測距結果をR0、固定局3-1との測距結果をR1、固定局3-2との測距結果をR2、固定局3-3との測距結果をR3とする。ここでは、測距結果に誤差がない状態を示しているため、固定局3-0の位置を中心とする半径がR0の円と、固定局3-1の位置を中心とする半径がR1の円と、固定局3-2の位置を中心とする半径がR2の円と、固定局3-3の位置を中心とする半径がR3の円とが1点で交わり、この場合、交点が移動局1Aの位置として推定される。
図8は、位置推定システム100Aにおいて、固定局3-1との測距結果に誤差がある状態を示す図である。固定局3-1と移動局1Aとの間で、反射波による波形歪みが発生する場合、誤差を含む固定局3-1との測距結果R1’は、実際の距離R1よりも長くなる傾向がある。この場合、この測距結果R1’を用いて移動局1Aの位置を推定すると、本来の位置50からずれた位置51が推定される。
上記のように、位置の推定を行う際に、誤差の大きい測距結果が含まれていると、推定された位置の誤差も大きくなってしまう。また、測距結果の誤差は、移動局1Aと固定局3との間の距離が大きいほど、つまり、測距結果が大きいほど大きくなりやすい。このため、固定局選択部19は、測距結果の大きさに基づいて、複数の固定局3の中から使用する固定局3を選択する。また、測位計算部16Aは、固定局選択部19によって選択された固定局3の測距結果を使用して、固定局選択部19によって選択されなかった固定局3の測距結果を位置の計算に使用する測距結果から除外することになる。
以下、図9~11を用いて、固定局選択部19の詳細な動作の例を説明する。ここでは、固定局数N=4であり、固定局3-0~3-3の中から使用する固定局3が選択されるものとする。図中の丸印は選択される固定局3を意味し、図中のバツ印は選択されない固定局3を意味する。図9は、固定局選択部19の選択方法の第1の例の説明図である。第1の例において、固定局選択部19は、複数の固定局3のうち、測距結果が最大値である固定局3-1以外の固定局3-0,3-2,3-3を選択する。ここでは、測距結果が最大のものはUWB信号に波形歪みが発生して測距誤差が含まれている可能性が高いと判断している。これにより、測位計算部16Aでは、測距結果R1を除外して、測距結果R0,R2,R3を用いて位置の計算が行われる。
図10は、固定局選択部19の選択方法の第2の例の説明図である。第2の例では、測距結果が小さいものから順に測位計算に必要な予め定められた数の固定局3を選択する。図10のカッコつきの数値[1]から[4]は測距結果の小さいものから順番に番号を付けたものである。ここでは、測距結果が小さいものから順番に、測距結果R2,R3,R0,R1の順であって、3つの固定局3を選択するものとする。この場合、固定局選択部19は、固定局3-2,3-3,3-0を選択する。
図11は、固定局選択部19の選択方法の第3の例の説明図である。第3の例では、固定局選択部19は、しきい値を用いて、使用する固定局3を選択する。しきい値の設定の仕方には様々考えられるが、ここでは、測距結果の最小値に基づいてしきい値を設定するものとする。例えば、固定局選択部19は、測距結果の最小値に予め定められた係数を乗算することによって、しきい値を生成することができる。図11に示す例では、測距結果R0~R3のうち、測距結果R2が最小値である。固定局選択部19は、測距結果R2に予め定められた係数を乗算してしきい値を設定し、測距結果が設定したしきい値よりも小さい値となる固定局3を、使用する固定局3として選択することができる。
図12は、実施の形態2の効果の説明図である。図12の矢印よりも上には、図8と同様に、測距結果R1’に測距誤差が含まれる状態を示している。測距結果R1’は、測距誤差を含まない正確な測距結果R1よりもΔr1だけ長くなっている。この場合、移動局1Aの位置の推定結果である位置51は、本来の位置50とずれた位置となる。
これに対して、図9~11に示したように、測距結果の大きさに基づいて、使用する固定局3を選択した場合、固定局3-1の測距結果R1’は選択されなくなるので、移動局1Aの位置は、固定局3-0,3-2,3-3の位置(x0,y0,z0),(x2,y2,z2),(x3,y3,z3)および測距結果R0,R2,R3に基づいて推定された位置52となる。このように、測距誤差の影響がない、もしくは、測距誤差の小さい測距結果R0,R2,R3に基づいて測位計算を行うことができるため、推定結果である位置52に含まれる推定誤差を抑制することが可能になる。
図13は、実施の形態2にかかる移動局1Aの動作を説明するためのフローチャートである。ここでは、対象の座標軸を選定するステップS102の後に、固定局選択部19は、使用する固定局3を選択する(ステップS201)。その後、初期値設定部15が移動局1Aの位置の初期値を設定する(ステップS103)。ステップS201の処理がステップS102の処理とステップS103の処理との間で行われる以外は、実施の形態1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
以上説明したように、実施の形態2にかかる移動局1Aは、実施の形態1にかかる移動局1の構成に加えて、測距結果の大きさに基づいて、複数の固定局3の中から使用する固定局3を選択する固定局選択部19、をさらに備える。測位計算部16Aは、選択されなかった固定局3の測距結果を、測位計算に使用する測距結果から除外する。
具体的には、固定局選択部19は、複数の固定局3-0,3-1,3-2,3-3のうち測距結果が示す距離が最大である固定局3-1以外の固定局3-0,3-2,3-3を、使用する固定局3として選択する。或いは、固定局選択部19は、複数の固定局3-0,3-1,3-2,3-3のうち測距結果が示す距離が小さい順に予め定められた数の固定局3を選択する。或いは、固定局選択部19は、複数の固定局3-0,3-1,3-2,3-3のうち測距結果が示す距離がしきい値以下である固定局3を、使用する固定局3として選択する。このとき、しきい値は、複数の固定局3-0,3-1,3-2,3-3の測距結果が示す距離の最小値に基づいて決定される。このように、測距結果に誤差が含まれている可能性の高い固定局3の測距結果を除外して移動局1Aの位置を推定することによって、位置推定精度をさらに高めることが可能になる。
実施の形態3.
実施の形態3では、位置の推定対象である移動局1Bの一部の座標軸における位置が予め分かっている場合の測位方法について説明する。このような状況は、例えば、線路上を走行する鉄道の列車や道路上を走行する車両に搭載された移動局1Bなど、移動局1Bが移動する経路に制限がある場合などに生じ得る。
実施の形態3では、位置の推定対象である移動局1Bの一部の座標軸における位置が予め分かっている場合の測位方法について説明する。このような状況は、例えば、線路上を走行する鉄道の列車や道路上を走行する車両に搭載された移動局1Bなど、移動局1Bが移動する経路に制限がある場合などに生じ得る。
図14は、実施の形態3にかかる位置推定システム100Bの構成を示す図である。ここでは、複数の固定局3は1つの座標軸上に存在し、移動局1Bが線上を移動するものとする。具体的には、図14に示す例では、2台の固定局3-0,3-1がx軸上に存在し、移動局1Bは、y軸上の位置およびz軸上の位置が既知であるものとする。ここでは、移動局1Bのy軸上の位置をd、z軸上の位置をhとし、移動局1Bの位置は(x,d,h)で表される。なお、固定局3-0の位置は(x0,y0,z0)とし、固定局3-1の位置は(x1,y1,z1)とする。また、固定局3-0との測距結果をR0、固定局3-1との測距結果をR1とする。ここでは移動局1Bのy軸上の位置およびz軸上の位置が既知であるため、移動局1Bはx軸上の位置についてのみ位置推定を行えばよく、固定局3が2台であっても位置推定を行うことが可能である。
図15は、実施の形態3にかかる移動局1Bの機能構成を示す図である。移動局1Bは、固定局位置情報記憶部11と、測距結果取得部12と、固定局間距離算出部13と、座標軸選定部14と、初期値設定部15Bと、測位計算部16と、全軸完了判断部17Bと、位置推定結果生成部18とを有する。以下、実施の形態1と異なる部分について主に説明する。
固定局間距離算出部13において、固定局3間の距離が座標軸毎に算出される。このとき、N=2であり、固定局3-0,3-1がx軸上に配置されているため、y0=y1であり、簡単のため、z0=z1として数式(4)~(6)を用いると、x軸における固定局3間の距離は以下の数式(14)で表され、y軸における固定局3間の距離は以下の数式(15)で表され、z軸における固定局3間の距離は以下の数式(16)で表される。
座標軸選定部14は、上記の数式(14)~(16)から、x軸を選定する。初期値設定部15Bは、座標軸選定部14が選定した座標軸であるx軸に対して、各固定局3の平均値を算出して、最小二乗法による測位計算のための初期値とする。例えば、図14に示す構成の場合、固定局数N=2であり、移動局1Bのy軸およびz軸上の位置は既知であるため、初期値設定部15Bは、以下の数式(17)で表されるx軸上の位置の初期値xin、以下の数式(18)で表されるy軸上の位置の初期値yin、以下の数式(19)で表されるz軸上の位置の初期値zinを用いて、測位計算のための初期値は、(xin,d,h)と設定される。なお、移動局1Bの位置が時間的に前もって計算されている場合には、この位置情報を初期値として与えてもよい。
測位計算部16は、各固定局3の位置情報と測距結果とに基づいて、移動局1Bの位置を座標軸毎に最小二乗法に基づいて計算する。ここで、移動局1Bのx軸方向の位置を推定する場合、移動局1Bの位置を(xest,d,h)と設定して、測位計算の対象であるx軸の変数の初期値をxest=xinとして計算を行う。n番目の固定局3-nと移動局1Bとの間の距離rnは、以下の数式(20)に基づいて計算される。なお、数式(20)のrnは、xestに関する非線形関数となることから、測位計算部16では、以下の数式(21)を規範とする逐次近似による最小二乗法に基づいて、x軸に関する位置推定の変数が逐次的に計算される。
なお、数式(20)においてnは0からN-1の整数とする。また、数式(21)は、数式(11)におけるN=2の場合の具体例である。
測位計算部16は、x軸の位置推定結果xestを出力することになる。なお、実施の形態3では、y軸およびz軸について移動局1Bの位置が既知であるため、全軸完了判断部17Bは、x軸についての測位計算が終わった時点で全ての座標軸での位置推定が完了したものと判断し、座標軸毎の移動局1Bの位置の計算結果を位置推定結果生成部18に出力する。位置推定結果生成部18は、移動局1Bの位置推定結果(xest,d,h)を出力する。
なお、ここでは、y軸およびz軸の位置が既知であることとしたが、z軸の位置のみが既知である場合には、x軸およびy軸に関する位置推定を行えばよい。位置が既知の座標軸は、x軸、y軸、z軸のいずれであってもよい。
以上説明したように、実施の形態3にかかる移動局1Bは、一部の座標軸における座標軸毎の位置が既知である場合、既知の値を用いた上で、座標軸毎に、固定局3間の距離が大きい座標軸から順番に、測位計算を行うことができる。これにより、計算が必要な座標軸が少なくなるため、三軸すべて計算が必要な場合よりもさらに少ない固定局数Nであっても、位置推定精度を保つことが可能である。このような状況は、例えば、移動局1Bが予め定められた経路に沿って移動する移動体に搭載され、固定局3がこの経路に沿って設置される場合などに考えられる。例えば、移動体は、道路に沿って走行する車両や、線路に沿って走行する鉄道車両などが考えられる。この経路が直線状である場合、座標軸を経路に沿って設定すれば、移動局1Bは、1つの座標軸における位置を推定すれば、移動局1Bの三次元位置を推定することができる。
実施の形態4.
実施の形態4にかかる移動局1Cは、移動局1Cの座標軸毎の位置が、複数の座標軸のうち少なくとも1つの座標軸について、複数の軸位置候補のいずれかに制限されている場合、複数の位置推定結果の候補の中から、各候補に対する推定誤差に基づいて、位置を特定する機能を有する。このような状況は、例えば、移動局1Cが線路を走行する鉄道車両に搭載されている場合において、複数の線路のうちのいずれを走行しているか分からない場合や、移動局1Cが走行する線路は予め分かっており、固定局3の線路に対する設置距離は予め決まっているが、場所によって固定局3が線路のどちら側に設置されているかが分からない場合などに生じ得る。
実施の形態4にかかる移動局1Cは、移動局1Cの座標軸毎の位置が、複数の座標軸のうち少なくとも1つの座標軸について、複数の軸位置候補のいずれかに制限されている場合、複数の位置推定結果の候補の中から、各候補に対する推定誤差に基づいて、位置を特定する機能を有する。このような状況は、例えば、移動局1Cが線路を走行する鉄道車両に搭載されている場合において、複数の線路のうちのいずれを走行しているか分からない場合や、移動局1Cが走行する線路は予め分かっており、固定局3の線路に対する設置距離は予め決まっているが、場所によって固定局3が線路のどちら側に設置されているかが分からない場合などに生じ得る。
後者の状況について図16,17を用いて説明する。図16は、実施の形態4にかかる固定局3と移動局1Cとの位置関係の第1の例を示す図である。図17は、実施の形態4にかかる固定局3と移動局1Cとの位置関係の第2の例を示す図である。例えば、xy面を線路が設置される地面として、線路に平行な方向をx軸方向とする。例えばx軸の正の方向に向かって右側となる線路上を走行する車両に移動局1C-1が搭載されており、左側となる線路上を走行する車両に移動局1C-2が搭載されていることが予め分かっていることとする。このとき、固定局3の設置ルールとして、最も近い線路からd1の距離に設置することと定められている場合には、考えられる位置関係としては、図16に示す位置関係と図17に示す位置関係の2通りある。具体的には、例えば、x軸の正方向を北とし、固定局3から線路に向かう方向をy軸の正方向とした場合、固定局3-0,3-1は、図16に示すように、移動局1C-1,1C-2の西側に位置する場合と、図17に示すように、移動局1C-1,1C-2の東側に位置する場合とが考えられる。ここでは、上記のように位置の推定結果の候補が複数存在する場合に、推定誤差に基づいて、いずれの候補であるか特定する機能について説明する。なお、xy面上でx軸の正の方向を向いたときに、図16に示す状態では、移動局1C-1,1C-2は固定局3-0,3-1の左側に存在するため、図16に示す状態を、固定局3の左側に移動局1Cがある場合と称することがある。同様に、図17に示す状態を、固定局3の右側に移動局1Cがある場合と称することがある。
図18は、実施の形態4にかかる移動局1Cの機能構成を示す図である。移動局1Cは、固定局位置情報記憶部11と、測距結果取得部12と、固定局間距離算出部13と、座標軸選定部14と、固定局選択部19と、初期値設定部15Cと、測位計算部16Cと、全軸完了判断部17と、位置推定結果生成部18と、位置推定完了判断部20と、位置推定結果選択部21とを有する。以下、実施の形態2と異なる部分について主に説明する。
移動局1Cの座標軸毎の位置は、複数の座標軸のうち少なくとも1つの座標軸について、複数の軸位置候補のいずれかに制限されている。ここでは、移動局1Cの座標軸毎の位置は、z軸については、既知の値hであり、y軸については、既知の値d1またはd2のいずれかであることとする。
初期値設定部15Cは、制限されている座標軸である制限軸、ここでは、y軸の座標軸毎の位置として、複数の軸位置候補のそれぞれを用いた複数の初期値を設定する。具体的には、初期値設定部15C、y軸の初期値として、y=d1と、y=d2の2通りの初期値を設定する。測位計算部16Cでは、初期値設定部15Cで設定された2通りの初期値のそれぞれを用いて、2通りの座標軸毎の位置と、それぞれの位置に対する推定誤差の度合いを示す誤差情報とを計算する。
位置推定結果生成部18は、2通りの座標軸毎の位置のそれぞれを用いた2通りの位置推定結果を生成することとなり、2通りの位置推定結果とそれぞれの位置に対する誤差情報とを位置推定完了判断部20に出力する。
位置推定完了判断部20は、想定される数の位置推定結果および各位置推定結果に対する誤差情報が計算されると、位置推定が完了したと判断する。上記の場合、位置推定完了判断部20は、2通りの位置推定結果と、2通りの誤差情報とが計算されると、位置推定が完了したと判断する。
位置推定結果選択部21は、複数の位置推定結果の候補の中から、測位の測定誤差が最小となる位置推定結果の候補を選択する。
ここで具体例を用いて説明する。例えば、移動局1Cが、図16に示す移動局1C-1の位置に存在するのか移動局1C-2の位置に存在するのかが分かっていない場合には、移動局1Cは、y=d1とy=d2の2通りの位置推定結果の候補を生成し、各位置推定結果の候補のうち測定誤差が小さい方を、移動局1Cの位置とすることができる。
或いは、移動局1Cは図16または図17に示す移動局1C-1の位置に存在していることは分かっているが、固定局3と移動局1Cとの位置関係が図16に示す状態であるか図17に示す状態であるかが分かっていない場合においても、移動局1Cは、y=d1とy=d2の2通りの位置推定結果の候補を生成し、2通りの推定誤差の値の大小関係に基づいて、移動局1Cと固定局3との位置関係を特定する。
具体的には、固定局3-0の位置情報を(x0,y0,z0)とし、固定局3-1の位置情報を(x1,y1,z1)とする。また、固定局3-0と移動局1Cとの測距結果をR0-1,R0-2、固定局3-1と移動局1Cとの測距結果をR1-1,R1-2とする。またd1は、d2よりも小さい。
測位計算部16Cは、座標軸毎の位置の計算結果に加えて、以下の数式(22)で表される距離誤差の2乗和Emkを、測位の推定誤差を示す誤差情報として計算し、計算結果を出力する。
ここで、m番目の移動局1Cを移動局1C-mとし、mは1から移動局1Cの数である移動局数Mまでの整数である。また、移動局1C-mのy軸におけるk番目の軸位置候補をdkとし、軸位置候補がK個存在する場合、kは1からKまでの整数である。また、Rnmは、n番目の固定局3-nとm番目の移動局1C-mとの間の測距結果を示している。rnmkはn番目の固定局3-nとm番目の移動局1C-mとの間のdkを用いたときの距離の推定結果であり、以下の数式(23)で表される。
図16に示すように、固定局3の左側に移動局1Cがある場合、移動局1C-1はy=d1の位置に存在し、移動局1C-2はy=d2の位置に存在している。図17に示すように、固定局3の右側に移動局1Cがある場合、移動局1C-1はy=d2の位置に存在し、移動局1C-2はy=d1の位置に存在する。
ここで、移動局1Cと固定局3との位置関係が図16の状態である場合、距離誤差の2乗和Emkに関して注目すると、移動局1C-1,1C-2では、y軸に関する初期値として、y=d1とy=d2との2通りが設定され、位置推定完了判断部20では、2通りの初期値に対する2通りの位置推定結果と、2通りの距離誤差の2乗和E11,E12が計算されると位置の推定が完了する。このとき、移動局1C-1については、距離誤差の2乗和の大小関係は、E11<E12となることが期待される。同様に、移動局1C-2については、E21>E22となることが期待される。
移動局1Cと固定局3との位置関係が図17の状態である場合、距離誤差の2乗和Emkに関して注目すると、移動局1C-1,1C-2では、y軸に関する初期値として、y=d1とy=d2との2通りが設定され、位置推定完了判断部20では、2通りの初期値に対する2通りの位置推定結果と、2通りの距離誤差の2乗和E11,E12が計算されると位置の推定が完了する。このとき、移動局1C-1については、距離誤差の2乗和の大小関係は、E11>E12となることが期待される。同様に、移動局1C-2については、E21<E22となることが期待される。
上述の通り、移動局1Cと固定局3との位置関係によって、距離誤差の2乗和の大小関係が変わる。この関係を利用して、移動局1Cは、移動局1Cと固定局3との位置関係が図16の状態であるのか、図17の状態であるのかを判定することができるようになる。このとき、固定局3の台数は2台であっても、x軸およびy軸など2つの座標軸に関する移動局1Cの位置の推定結果を出力することが可能になる。
図19は、実施の形態4にかかる移動局1Cの動作を説明するためのフローチャートである。ステップS101からステップS106までの処理については、ステップS103で複数の軸位置候補の値を用いた複数の初期値が設定され、ステップS104で複数の座標軸毎の位置が計算されると共に各位置に対する誤差情報が出力される点以外は実施の形態2と同様であるためここでは詳細な説明を省略する。
ステップS106で位置推定結果が生成されると、位置推定完了判断部20は、位置推定が完了したか否かを判断する(ステップS401)。位置推定が完了していない場合(ステップS401:No)、ステップS102の処理に戻る。位置推定が完了した場合(ステップS401:Yes)、位置推定結果選択部21は、誤差情報に基づいて複数の位置推定結果の候補の中から位置推定結果を選択する(ステップS402)。
以上説明したように、実施の形態4にかかる移動局1Cは、移動局1Cの座標軸毎の位置が、複数の座標軸のうち少なくとも1つの座標軸について、複数の軸位置候補のいずれかに制限されている場合、測位計算部16Cは、制限されている座標軸である制限軸の座標軸毎の位置として、複数の軸位置候補のそれぞれを用いて、制限軸以外の座標軸についての座標軸毎の位置を計算し、位置推定結果生成部18は、複数の軸位置候補のそれぞれを用いた複数の位置推定結果の候補を生成し、複数の位置推定結果の候補の中から、測位の推定誤差が最小となる位置推定結果の候補を選択する位置推定結果選択部21をさらに備える。これにより、複数の軸位置候補が考えられる場合であっても、推定誤差に基づいて、実際の移動局1Cの位置を推定することができる。このとき、使用可能な固定局3の数が少ない場合であっても、位置推定に必要な変数の自由度を抑えつつ、位置推定精度を保つことが可能である。
実施の形態5.
上記の実施の形態2では、移動局1Aからの距離が大きい固定局3の測距結果に含まれる誤差が大きい可能性が高いため、測距結果の大きさに基づいて、使用する固定局3を選択する例について説明した。しかしながら、必ずしも測距結果が大きいほど測距誤差が大きいとは限らない。実際にどの固定局3との測距結果が反射波の影響を受けているかは、測距結果の大きさだけでは分からない。そこで、実施の形態5では、使用する固定局3の組み合わせを変えた複数のパターンで測位計算を行ったときの誤差情報を計算して、誤差情報に基づいて、測位計算を行うときに使用する測距結果に重み付けを行って、精度が低いと考えられる測距結果の影響を抑えることとする。
上記の実施の形態2では、移動局1Aからの距離が大きい固定局3の測距結果に含まれる誤差が大きい可能性が高いため、測距結果の大きさに基づいて、使用する固定局3を選択する例について説明した。しかしながら、必ずしも測距結果が大きいほど測距誤差が大きいとは限らない。実際にどの固定局3との測距結果が反射波の影響を受けているかは、測距結果の大きさだけでは分からない。そこで、実施の形態5では、使用する固定局3の組み合わせを変えた複数のパターンで測位計算を行ったときの誤差情報を計算して、誤差情報に基づいて、測位計算を行うときに使用する測距結果に重み付けを行って、精度が低いと考えられる測距結果の影響を抑えることとする。
図20は、実施の形態5にかかる移動局1Dの機能構成を示す図である。移動局1Dは、固定局位置情報記憶部11と、測距結果取得部12と、固定局間距離算出部13と、座標軸選定部14と、固定局選択部19Dと、初期値設定部15と、測位計算部16Dと、全軸完了判断部17と、位置推定結果生成部18Dと、位置推定完了判断部20Dとを有する。以下、実施の形態4と異なる部分について主に説明する。
固定局選択部19Dは、測位計算部16Dが使用する固定局3の組み合わせを複数のパターンで測位計算を行えるように、使用する固定局3を選択する。ここで図12を再び参照する。図12に示すように、固定局3-1との測距結果R1’に測距誤差が大きい場合、測距結果R1’を除外して測位計算を行うことができれば、測距誤差の影響を抑制し、位置の推定精度を向上することが可能になる。しかしながら、実際の電波伝搬環境では、どの固定局3が反射波による歪みの影響を受けているかは分からない。このため、固定局選択部19Dは、「使用する固定局3の組み合わせ」が、除外する固定局3を1つずつ変えた複数のパターンとなるように、固定局3を選択する。
測位計算部16Dでは、除外する固定局3-pを1つずつ変えた複数のパターンについて、以下の数式(24)に示される距離誤差の2乗和Epを誤差情報として計算する。ただし、pは0からN-1の整数とする。
数式(24)に示されるように、距離誤差の2乗和のパラメータpを0からN-1まで変化させて取得するために、固定局選択部19Dでは、固定局3を選択する処理を行う度に、使用する固定局3の組み合わせを変えるように、パラメータpの値を変化させる。具体的には、固定局選択部19Dは、最初にp=0と設定して、0番目の固定局3-0を除外するように、使用する固定局3を選択し、次にp=1と設定して、1番目の固定局3-1を除外するように、使用する固定局3を選択し、同様に、p=2,p=3と設定して、それぞれ使用する固定局3を選択する。それぞれの使用する固定局3の組み合わせについて、測位計算部16Dは、距離誤差の2乗和Epを計算する。例えば、図12に示すように、固定局3-1との測距結果R1’の測距誤差が大きい場合には、固定局3-1を除外して計算した距離誤差の2乗和E1が最も小さな値をとる。また、固定局3-1とx軸上の位置が同じである固定局3-0は、固定局3-1と比較して依存度が大きくなることから、固定局3毎に得られる距離誤差の2乗和Epの大小関係は、E1<(E2,E3)<E0となることが予想される。このように、距離誤差の2乗和Epは、p番目の固定局3-pとの測距結果Rpに含まれる測距誤差が小さいほど大きな値となるため、p番目の固定局3-pを位置推定に用いる際の依存度、或いは、信頼度を表していると言える。この依存度に基づく重み付け係数wnは、例えば、以下の数式(25)で表される。
nは固定局3の番号を示している。ここでは、全ての固定局3に対する距離誤差の2乗和の合計値で正規化しているが、簡単のため、wn=Enとしてもよい。測位計算部16Dでは、使用する固定局3の組み合わせの全てのパターンについて、誤差情報が計算されると、重み付け係数wnを用いて、以下の数式(26)に示す、固定局数N分の距離誤差の重み付け2乗和Eを最小化するための逐次近似による最小二乗法に基づき、移動局1Dの位置推定を座標軸毎に行う。
全軸完了判断部17では、位置推定を行うべき座標軸の全てについて測位計算が完了したか判断が行われる。対象となる座標軸の全てについて測位計算が完了した場合、位置推定結果生成部18Dは、位置推定結果として、(xest,yest,zest)を出力する。
なお、上記では、距離誤差の2乗和Enに基づき計算された、数式(25)で表す重み付け係数wnを用いることとしたが、簡単のため、重み付け係数wnを以下の数式(27)に示すように、距離誤差の2乗和Enの大きさによって、0または1の値に設定してもよい。εは、予め定められた信頼度しきい値であり、信頼度を示すEnが信頼度しきい値未満の場合、重み付け係数wnの値を0とし、Enが信頼度しきい値以上の場合、重み付け係数wnの値を1とする。これにより、信頼度が信頼度しきい値未満である固定局3の測距結果を除外して測位計算が行われるようになる。ただし、nは0からN-1の整数である。
図21は、実施の形態5にかかる移動局1Dの動作を説明するためのフローチャートである。ステップS101およびステップS102の処理は、図19などと同様である。続いて、固定局選択部19Dは、使用する固定局3を選択する(ステップS501)。ステップS501では、選択の度に、除外する固定局3が変わるように、使用する固定局3の組み合わせを選択する。続くステップS103~ステップS106の処理は、図19などと同様である。
全軸の測位計算が完了し、各計算結果について、信頼度が計算されると、位置推定完了判断部20Dは、位置推定が完了したか否かを判断する(ステップS502)。位置推定が完了していない場合(ステップS502:No)、移動局1Dは、ステップS102の処理に戻る。位置推定が完了した場合(ステップS502:Yes)、移動局1Dは、再び、ステップS102およびステップS103の処理を行い、重み付け係数を用いた測位計算を行う(ステップS503)。その後、全軸完了判断部17は、全軸の測位計算が完了したか否かを判断する(ステップS105)。全軸の測位計算が完了していない場合(ステップS105:No)、ステップS502の後のステップS102に戻る。全軸の測位計算が完了した場合(ステップS105:Yes)、位置推定結果生成部18Dは、重み付け測位計算の計算結果に基づいて、移動局1Dの三次元位置を示す位置推定結果を生成する(ステップS504)。
以上説明したように、実施の形態5にかかる移動局1Dは、固定局選択部19Dが、除外する固定局3がその都度変わるように、使用する固定局3の組み合わせを選択する。これにより、測位計算部16Dは、除外する測距結果を変えながら座標軸毎の位置を複数回計算すると共に、計算された複数の座標軸毎の位置のそれぞれの推定誤差の度合いを示す誤差情報を生成し、測位計算部16Dは、誤差情報に基づいて重み付けした測距結果に基づいて、座標軸毎の位置を再度計算し、位置推定結果生成部18は、重み付けした測距結果に基づく座標軸毎の位置を用いて、位置推定結果を生成することができる。これにより、測距結果に誤差が含まれており測距精度の低い固定局3の影響をより確実に抑えて、位置推定精度を向上させることが可能になる。
ここで、実施の形態1から実施の形態5にかかる固定局3または移動局1,1A,1B,1C,1Dが備える処理回路の構成の一例を説明する。処理回路がプロセッサを用いた制御回路で実現される場合、この制御回路は、例えば、図22に示す制御回路90である。図22は、実施の形態1から実施の形態5にかかる固定局3または移動局1,1A,1B,1C,1Dが備える制御回路90の構成を示す図である。
制御回路90は、プロセッサ91と、メモリ92とを有する。処理回路がプロセッサ91とメモリ92とを有する制御回路90で構成される場合、固定局3または移動局1,1A,1B,1C,1Dの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。プロセッサ91は、メモリ92に記憶されたプログラムを読みだして実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路は、固定局3または移動局1,1A,1B,1C,1Dの処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ92を備える。また、これらのプログラムは、固定局3または移動局1,1A,1B,1C,1Dの処理手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。なお、プログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよいし、通信路を介して提供されてもよい。
ここで、プロセッサ91は、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などであってもよい。また、メモリ92には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
また、実施の形態1から実施の形態5にかかる固定局3または移動局1,1A,1B,1C,1Dが備える処理回路は、専用のハードウェアを用いて構成してもよい。図23は、実施の形態1から実施の形態5にかかる固定局3または移動局1,1A,1B,1C,1Dが備える専用のハードウェアの一例を示す図である。図23に示す処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。固定局3または移動局1,1A,1B,1C,1Dの各機能を機能別に処理回路93で実現してもよいし、各機能をまとめて処理回路93で実現してもよい。
なお、実施の形態1から5にかかる固定局3または移動局1,1A,1B,1C,1Dの各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
例えば、上記の実施の形態1~5では、移動局1,1A,1B,1C,1Dが自身の位置を推定する位置推定装置であることとしたが、本実施の形態で説明した技術は、かかる例に限定されず、移動局1,1A,1B,1C,1Dとは別の装置において、測距結果を取得して、同様の位置推定処理を行ってもよい。また、図示した各機能部の機能の全てを1台の装置で実現する必要はなく、複数の装置で位置推定装置の機能を分担して実現することもできる。また、位置推定装置の機能の一部または全部をクラウドサーバ上で実現してもよい。位置推定装置の機能の全部をクラウドサーバや移動局1,1A,1B,1C,1D以外の装置で行う場合には、測距処理は移動局1,1A,1B,1C,1Dと固定局3との間で行う必要があるため、測距結果取得部12は、移動局1,1A,1B,1C,1Dまたは固定局3から測距結果を取得するものとする。
1,1A,1B,1C,1C-1,1C-2,1D 移動局、3,3-0,3-1,3-2,3-3 固定局、11 固定局位置情報記憶部、12 測距結果取得部、13 固定局間距離算出部、14 座標軸選定部、15,15B,15C 初期値設定部、16,16A,16C,16D 測位計算部、17,17B 全軸完了判断部、18,18D 位置推定結果生成部、19,19D 固定局選択部、20,20D 位置推定完了判断部、21 位置推定結果選択部、50,51,52 位置、90 制御回路、91 プロセッサ、92 メモリ、93 処理回路、100,100A,100B 位置推定システム。
Claims (18)
- 複数の固定局のそれぞれと移動局との間で無線通信を用いて測定した複数の測距結果に基づいて前記移動局の位置を推定する位置推定装置であって、
複数の前記固定局の間の座標軸毎の距離が大きい座標軸から順番に、前記固定局の位置と前記測距結果とを用いて、前記座標軸毎の前記移動局の位置を計算する測位計算部と、
前記座標軸毎の位置の計算結果に基づいて、前記移動局の三次元位置を示す位置推定結果を生成する位置推定結果生成部と、
を備えることを特徴とする位置推定装置。 - 前記測距結果の大きさに基づいて、複数の前記固定局の中から使用する固定局を選択する固定局選択部、
をさらに備え、
前記測位計算部は、選択されなかった固定局の前記測距結果を、前記計算に使用する測距結果から除外することを特徴とする請求項1に記載の位置推定装置。 - 前記固定局選択部は、複数の前記固定局のうち前記測距結果が示す距離が最大である固定局以外の固定局を、前記使用する固定局として選択することを特徴とする請求項2に記載の位置推定装置。
- 前記固定局選択部は、複数の前記固定局のうち前記測距結果が示す距離が小さい順に予め定められた数の前記固定局を選択することを特徴とする請求項2に記載の位置推定装置。
- 前記固定局選択部は、複数の前記固定局のうち前記測距結果が示す距離がしきい値以下である固定局を、前記使用する固定局として選択することを特徴とする請求項2に記載の位置推定装置。
- 前記しきい値は、複数の前記固定局の前記測距結果が示す距離の最小値に基づいて決定されることを特徴とする請求項5に記載の位置推定装置。
- 前記移動局の前記座標軸毎の位置が、複数の前記座標軸のうち少なくとも1つの座標軸について、複数の軸位置候補のいずれかに制限されている場合、
前記測位計算部は、制限されている座標軸である制限軸の前記座標軸毎の位置として、複数の前記軸位置候補のそれぞれを用いて、前記制限軸以外の座標軸についての前記座標軸毎の位置を計算し、
前記位置推定結果生成部は、複数の前記軸位置候補のそれぞれを用いた複数の前記位置推定結果の候補を生成し、
複数の前記位置推定結果の候補の中から、測位の推定誤差が最小となる前記位置推定結果の候補を選択する推定結果選択部と、
を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の位置推定装置。 - 前記測位計算部は、除外する前記測距結果を変えながら前記座標軸毎の位置を複数回計算すると共に、計算された複数の前記座標軸毎の位置のそれぞれの推定誤差の度合いを示す誤差情報を生成し、
前記測位計算部は、前記誤差情報に基づいて重み付けした前記測距結果に基づいて、前記座標軸毎の位置を再度計算し、
前記位置推定結果生成部は、重み付けした前記測距結果に基づく前記座標軸毎の位置を用いて、前記位置推定結果を生成することを特徴とする請求項2に記載の位置推定装置。 - 前記測位計算部は、前記誤差情報に基づく前記固定局の測距結果の信頼度が、予め定められた信頼度しきい値以上となる場合には重み付け係数を1とし、前記信頼度が前記信頼度しきい値未満となる場合には重みづけ係数を0とすることを特徴とする請求項8に記載の位置推定装置。
- 前記測距結果は、前記固定局と前記移動局との間における超広帯域無線信号の送受信タイミングに基づいて得られることを特徴とする請求項1に記載の位置推定装置。
- 前記測位計算部は、逐次近似による最小二乗法に基づき、前記座標軸毎の位置を計算することを特徴とする請求項1に記載の位置推定装置。
- 請求項1から11のいずれか1項に記載の位置推定装置を備える前記移動局と、
前記固定局と、
を備えることを特徴とする位置推定システム。 - 前記移動局は、予め定められた経路に沿って移動する移動体に搭載され、
前記固定局は、前記経路に沿って設置されることを特徴とする請求項12に記載の位置推定システム。 - 前記移動体は、線路上を走行する鉄道の車両、または、道路上を走行する車両であることを特徴とする請求項13に記載の位置推定システム。
- 前記固定局は、直線状の前記経路に沿って設置され、
前記位置推定装置は、1つの座標軸における前記移動局の位置を推定することを特徴とする請求項13または14に記載の位置推定システム。 - 複数の固定局のそれぞれと移動局との間で無線通信を用いて測定した複数の測距結果に基づいて前記移動局の位置を推定する位置推定装置を制御する制御回路であって、
複数の前記固定局の間の座標軸毎の距離が大きい座標軸から順番に、前記固定局の位置と前記測距結果とを用いて、前記座標軸毎の前記移動局の位置を計算するステップと、
前記座標軸毎の位置の計算結果に基づいて、前記移動局の三次元位置を示す位置推定結果を生成するステップと、
を前記位置推定装置に実行させることを特徴とする制御回路。 - 複数の固定局のそれぞれと移動局との間で無線通信を用いて測定した複数の測距結果に基づいて前記移動局の位置を推定する位置推定装置を制御するためのプログラムを記憶した記憶媒体において、該プログラムは、
複数の前記固定局の間の座標軸毎の距離が大きい座標軸から順番に、前記固定局の位置と前記測距結果とを用いて、前記座標軸毎の前記移動局の位置を計算するステップと、
前記座標軸毎の位置の計算結果に基づいて、前記移動局の三次元位置を示す位置推定結果を生成するステップと、
を前記位置推定装置に実行させることを特徴とする記憶媒体。 - 複数の固定局のそれぞれと移動局との間で無線通信を用いて測定した複数の測距結果に基づいて前記移動局の位置を推定する位置推定方法であって、
複数の前記固定局の間の座標軸毎の距離が大きい座標軸から順番に、前記固定局の位置と前記測距結果とを用いて、前記座標軸毎の前記移動局の位置を計算するステップと、
前記座標軸毎の位置の計算結果に基づいて、前記移動局の三次元位置を示す位置推定結果を生成するステップと、
を含むことを特徴とする位置推定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2022/034826 WO2024057546A1 (ja) | 2022-09-16 | 2022-09-16 | 位置推定装置、位置推定システム、制御回路、記憶媒体、および位置推定方法 |
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PCT/JP2022/034826 WO2024057546A1 (ja) | 2022-09-16 | 2022-09-16 | 位置推定装置、位置推定システム、制御回路、記憶媒体、および位置推定方法 |
Publications (1)
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WO2024057546A1 true WO2024057546A1 (ja) | 2024-03-21 |
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ID=90274766
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PCT/JP2022/034826 WO2024057546A1 (ja) | 2022-09-16 | 2022-09-16 | 位置推定装置、位置推定システム、制御回路、記憶媒体、および位置推定方法 |
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WO (1) | WO2024057546A1 (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2022
- 2022-09-16 WO PCT/JP2022/034826 patent/WO2024057546A1/ja unknown
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