JP2011133165A - パッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置および制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】TDOAとFDOAを観測し、目標の位置をパッシブに測位するパッシブ型飛しょう体において、測位精度の向上を図る。
【解決手段】既知の送信源から照射され目標に当たって散乱した散乱波と、既知の送信源から直接到来する直接波との両方を受信することでTDOAおよびFDOAを観測し、自らは電波を放射することなく目標を測位して自らの飛しょう経路を目標へと向かうように制御する飛しょう制御部(14)を備えたパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置であって、自機、送信源、目標の幾何学的配置からGDOPを演算するとともに、ISO−TDOAとISO−FDOAの直交度を推定し、現在の飛しょう体による測位誤差の定量的な判断指標を生成するGDOP演算部(18)をさらに備える。
【選択図】図1
【解決手段】既知の送信源から照射され目標に当たって散乱した散乱波と、既知の送信源から直接到来する直接波との両方を受信することでTDOAおよびFDOAを観測し、自らは電波を放射することなく目標を測位して自らの飛しょう経路を目標へと向かうように制御する飛しょう制御部(14)を備えたパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置であって、自機、送信源、目標の幾何学的配置からGDOPを演算するとともに、ISO−TDOAとISO−FDOAの直交度を推定し、現在の飛しょう体による測位誤差の定量的な判断指標を生成するGDOP演算部(18)をさらに備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、飛しょう体が目標に到達するために、自機としては電波を放射することなく目標を検出・捕捉し、自機の飛しょう経路の演算・選択・制御を行う、パッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置および制御方法に関する。
従来のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置および制御方法は、自方の既知のレーダを電波照射源として発せられた電波が目標に当たって散乱した散乱波と、そのレーダから直接到来する直接波との両方を受信する。さらに、これら受信波の到来時間差(TDOA:Time Difference of Arrival)を推定し、幾何学的計算により、自機と目標との距離を算出する。さらに、自機が内蔵するアンテナで、目標からの散乱波を測角することで、目標の位置を特定する(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、目標のレーダ断面積(RCS:Radar Cross Section)などにより、散乱波は、一般的には非常に微弱であり、S/N比が低い。また、測角誤差は、一般的にはS/N比のルートに反比例するため、S/N比が低いと、高精度な測角値を得ることが難しくなる。
図8は、従来装置における測定誤差の説明図であり、測角により目標位置を推定する場合の、距離に対する目標存在範囲の関係を表す図である。この図8に示すように、測角誤差は、目標が近距離では大きな問題とならない場合でも、遠距離になるほど誤差範囲が広がってしまう。このため、飛しょう体の誘導精度に甚大な影響を与えるという問題がある。
これに対して、遠距離目標に対しては誤差が増大する測角を行わず、ドップラ周波数差(FDOA:Frequency Difference of Arrival)を利用した測位方法を用いるものがある(例えば、特許文献2参照)。より具体的には、この測位方法は、独立な移動方向を持つ複数の観測機による受信信号間には、自機が移動していることに起因してドップラ周波数差が発生することを利用するものである。
ここで、本発明の背景装置となるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置は、次のような2点の特徴を有するものである。
(1)自機飛しょう体が移動している点
(2)自方の既知のレーダを電波照射源として、直接波と散乱波のTDOA、FDOAを用いて目標を測位する点
(1)自機飛しょう体が移動している点
(2)自方の既知のレーダを電波照射源として、直接波と散乱波のTDOA、FDOAを用いて目標を測位する点
図9は、本発明の背景装置の説明図であり、パッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の目標位置推定における、配置関係を表す図である。ただし、ここでは、説明を簡略化するために、電波照射源とすべての受信機間は、見通し伝搬の範囲内にあり、自機、電波照射源、目標のすべては、同一平面状にある2次元問題として説明する。
まず、電波照射源Bにより発せられた電波が目標に当たって散乱した散乱波と、電波照射源Bから直接到来する直接波との両方を飛しょう体Aが受信した場合、これらの到来時間差:TDOAは、次式(1)で得られる。
上式(1)において、各符号は、以下のものを表している。
c:光速
(xt、yt):目標Tの座標
(xA、yA):飛しょう体Aの座標
(xB、yB):電波照射源Bの座標
ここで、TDOAを観測する際の各座標(xA、yA)、(xB、yB)は、GPS(Global Psitioning System)により得られるとする。
c:光速
(xt、yt):目標Tの座標
(xA、yA):飛しょう体Aの座標
(xB、yB):電波照射源Bの座標
ここで、TDOAを観測する際の各座標(xA、yA)、(xB、yB)は、GPS(Global Psitioning System)により得られるとする。
一方、飛しょう体Aが移動していることから、直接波と散乱波の双方に、それぞれの到来方向に応じたドップラ周波数変位が生ずる。この変位の差であるドップラ周波数差:FDOAは、次式(2)で得られる。
上式(2)において、各符号は、以下のものを表している。
vA:飛しょう体Aの移動速度(スカラー)
φ:飛しょう体Aの飛しょう方向を表す角度
θt:飛しょう体Aから見た目標Tの角度
θB:飛しょう体Aから見た電波照射源Bの角度
λ:照射電波の波長
ここで、飛しょう体Aの飛しょう方向φは、GPSやINS(Inertial Navigation System)などのジャイロによって既知であるとする。
vA:飛しょう体Aの移動速度(スカラー)
φ:飛しょう体Aの飛しょう方向を表す角度
θt:飛しょう体Aから見た目標Tの角度
θB:飛しょう体Aから見た電波照射源Bの角度
λ:照射電波の波長
ここで、飛しょう体Aの飛しょう方向φは、GPSやINS(Inertial Navigation System)などのジャイロによって既知であるとする。
図9より、上式(2)のθt、θBは、各座標を用いると次式(3)、(4)で表すことができ、従って、上式(2)は、次式(5)のように書き直せる。
TDOAの式(1)とFDOAの式(5)において、未知変数は、目標Tの座標(xt、yt)のみである。このため、飛しょう体Aにおいて、TDOA、FDOAを観測することにより、目標Tの座標(xt、yt)を推定することが可能である。ただし、上式(1)、(5)は、非線形方程式であるため、最小二乗法などを用いて解くことが多い。
図10は、従来のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の構成図である。図10における各符号は、以下のものを表している。
1:飛しょう体
2:電波照射源
3:目標
4:電波照射源2から飛しょう体1に到来する直接波
5:電波照射源2の照射電波が目標3で散乱して飛しょう体1に受信される散乱波
さらに、飛しょう体1は、アンテナ11、受信機12、飛しょう経路演算部13、飛しょう制御部14、舵角・推力制御部15、GPS16、およびINS17を備えている。
1:飛しょう体
2:電波照射源
3:目標
4:電波照射源2から飛しょう体1に到来する直接波
5:電波照射源2の照射電波が目標3で散乱して飛しょう体1に受信される散乱波
さらに、飛しょう体1は、アンテナ11、受信機12、飛しょう経路演算部13、飛しょう制御部14、舵角・推力制御部15、GPS16、およびINS17を備えている。
アンテナ11は、直接波4と散乱波5を受信する。受信機12は、アンテナ11による受信信号の周波数変換、A/D変換などを行う。飛しょう経路演算部13は、上式(2)、(5)を、最小二乗法などを用いて解くことで、目標3の推定位置(xt、yt)を得て、現時点から飛しょう体1と目標3との会合地点を予測し、飛しょう経路を演算する。
飛しょう制御部14は、飛しょう経路演算部13の出力結果を元に、実際の飛しょう体1の飛しょう経路を選択する。舵角・推力制御部15は、飛しょう制御部14の情報に基づいて飛しょう体1の舵角と推力を制御する。GPS16は、:飛しょう体1の現在位置(xA、yA)を得るシステムである。さらに、INS17は、飛しょう体1の現在の飛しょう方向φを得るシステムである。
なお、電波照射源2の位置(xB、yB)は、直接波4を介して送られるか、または、専用の無線通信経路(図示せず)を備えて転送されてもよい。
上記のように、TDOAとFDOAの観測情報を元に目標の測位を行う装置(飛しょう体、航空機、衛星など)では、一般に、装置の移動方向に対しては、測位誤差が大きく、装置の真横方向に対しては、測位誤差が小さいという性質を持つ(例えば、非特許文献1参照)。
この非特許文献1のFigure.3に示されるように、同一のFDOAが観測できる赤点線のライン(ISO−FDOAと呼ばれる)は、移動する2つの装置の進行方向(または、反対方向)に対しては狭く、進行方向真横に対しては広い。つまり、観測できるFDOAの範囲が広いほど高精度に目標を測位できるという意味を持つ。
同じく、非特許文献1のFigure.4に示されるように、同一のTDOAが観測できる青実線のライン(ISO−TDOAと呼ばれる)と、赤実線のISO−FDOAとが直交する状態にあるときに、もっとも誤差(隣り合うISO−TDOAとISO−FDOAで囲まれる範囲)が小さく測位可能である。
言い換えると、移動する2つの装置の進行方向に対しては、ISO−FDOAの観測精度が悪く、さらに、測位対象とする目標に向かう場合には、ISO−FDOAとISO−TDOAが並行に近づくため、相対的に測位精度が悪くなる。
また、GPSなどによる測位精度を表す指標のひとつとして、GDOP(Geometrical Dilution of Pricision:幾何学的誤差増倍率)と呼ばれる数値がある。GPS測位の場合、GDOPは、複数の衛星配置により幾何学的に求まる係数であり、本発明においては、飛しょう体1、電波照射源2、目標3の配置関係により、幾何学的に決まる値である。
一般に、GPS測位の場合、衛星が天頂を中心とした円上に等間隔に配置されたとき(つまり、衛星が一箇所に固まらずに、ばらけて配置されたとき)に、GDOPが最小となり、測位精度が最良になる。本発明においては、飛しょう体1、電波照射源2、目標3が一直線状に並ばず、飛しょう体1および電波照射源2が、目標3を取り囲むように配置されたときに、GDOPが良好な値となる。
Darko Musicki , Wolfgang Koch ,"Geolocation using TDOA and FDOA Measurements", Information Fusion, 2008 11th International Conference on June 30 2008-July 3 2008 Page(s):1 - 8.
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
上記のように、TDOAとFDOAを観測し、目標3の位置をパッシブに測位するパッシブ型飛しょう体においては、飛しょう体が目標に向かって直進する場合には、ISO−TDOAとISO−FDOAが並行に近づき、目標の測位誤差が大きくなるという問題がある。
上記のように、TDOAとFDOAを観測し、目標3の位置をパッシブに測位するパッシブ型飛しょう体においては、飛しょう体が目標に向かって直進する場合には、ISO−TDOAとISO−FDOAが並行に近づき、目標の測位誤差が大きくなるという問題がある。
さらに、飛しょう体1、電波照射源2、目標3が一直線状に並ぶような幾何学的配置関係にある場合には、GDOPが増大し、この場合にも、目標の測位誤差が大きくなるという問題があった。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、TDOAとFDOAを観測し、目標の位置をパッシブに測位するパッシブ型飛しょう体において、測位精度の向上を図ることのできるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置および制御方法を得ることを目的とする。
本発明に係るパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置は、既知の送信源から照射され目標に当たって散乱した散乱波と、既知の送信源から直接到来する直接波との両方を受信することでTDOAおよびFDOAを観測し、自らは電波を放射することなく目標を測位して自らの飛しょう経路を目標へと向かうように制御する飛しょう制御部を備えたパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置であって、自機、送信源、目標の幾何学的配置からGDOPを演算するとともに、ISO−TDOAとISO−FDOAの直交度を推定し、現在の飛しょう体による測位誤差の定量的な判断指標を生成するGDOP演算部をさらに備えるものである。
また、本発明に係るパッシブ型飛しょう体飛しょう制御方法は、既知の送信源から照射され目標に当たって散乱した散乱波と、既知の送信源から直接到来する直接波との両方を受信することでTDOAおよびFDOAを観測し、自らは電波を放射することなく目標を測位して自らの飛しょう経路を目標へと向かうように制御する飛しょう制御ステップを備えたパッシブ型飛しょう体飛しょう制御方法であって、自機、送信源、目標の幾何学的配置からGDOPを演算するとともに、ISO−TDOAとISO−FDOAの直交度を推定し、現在の飛しょう体による測位誤差の定量的な判断指標を生成するGDOP演算ステップをさらに備えるものである。
本発明に係るパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置および制御方法によれば、ISO−TDOAとISO−FDOAの直交度と、飛しょう体、電波照射源、目標の幾何学的配置関係を演算する機能を有し、現在の飛しょう体による測位精度を判断する基準を供することにより、TDOAとFDOAを観測し、目標の位置をパッシブに測位するパッシブ型飛しょう体において、測位精度の向上を図ることのできるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置および制御方法を得ることができる。
以下、本発明のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置および制御方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の構成図である。なお、これ以降、同一構成品には、同一番号を用いて説明する。この図1の構成は、従来構成を示す図10と比較すると、新たにGDOP演算部18を有している点のみが異なっている。
図1は、本発明の実施の形態1におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の構成図である。なお、これ以降、同一構成品には、同一番号を用いて説明する。この図1の構成は、従来構成を示す図10と比較すると、新たにGDOP演算部18を有している点のみが異なっている。
次に、本実施の形態1におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の動作について、従来とは異なる構成を中心に説明する。飛しょう経路演算部13は、アンテナ11、受信機12を介して受信した信号に基づいてTDOA、FDOAを観測値として求めるとともに、GPS16から位置情報、INS17から飛しょう方向情報を取得する。さらに、飛しょう経路演算部13は、それらの観測値および情報を元に目標3の位置(xt、yt)を推定し、現時点から未来における飛しょう体1と目標3の会合位置までの飛しょう経路を演算する。
その一方で、GDOP演算部18は、GPS16から飛しょう体1の現在位置(xA、yA)、INS17から飛しょう体1の飛しょう方向φ、受信機12から電波照射源2の位置(xB、yB)、さらに、飛しょう経路演算部13からの目標3について推定された位置(xt、yt)をそれぞれ取得する。そして、GDOP演算部18は、取得したすべての情報を用いて、飛しょう体1、電波照射源2、目標3の幾何学的配置から求まるGDOPを演算する。さらに、GDOP演算部18は、INS17から取得した飛しょう体1の飛しょう方向φの情報から、目標3付近でのISO−TDOAとISO−FDOAの交差具合(直交度)を推定する。すなわち、GDOP演算部18は、GDOPおよび直交度を、測位誤差の判断指標として生成する。
飛しょう制御部14は、演算されたGDOPと、推定されたISO−TDOAとISO−FDOAの直交度を、GDOP演算部18から取得する。すでに従来技術の課題として説明したように、測位誤差の精度は、以下の影響を受ける。
(1)ISO−TDOAとISO−FDOAが並行に近づくと、目標の測位誤差が大きくなる。
(2)飛しょう体1、電波照射源2、目標3が一直線状に並ぶような幾何学的配置関係にある場合には、GDOPが増大し、この場合にも、目標の測位誤差が大きくなる。
(1)ISO−TDOAとISO−FDOAが並行に近づくと、目標の測位誤差が大きくなる。
(2)飛しょう体1、電波照射源2、目標3が一直線状に並ぶような幾何学的配置関係にある場合には、GDOPが増大し、この場合にも、目標の測位誤差が大きくなる。
従って、本実施の形態1における飛しょう制御部14は、GDOP演算部18から取得したGDOPの大きさおよび直交度により、現在の飛しょう体による測位精度を定量的に判断することができる。具体的には、飛しょう制御部14は、GDOPおよび直交度と、測位精度との関係をあらかじめ記憶しておくことで、現在の飛しょう体による測位精度が所望の測位精度を満たしているか否かを判断することができる。
以上のように、実施の形態1によれば、TDOAとFDOAを観測し、目標の位置をパッシブに測位するパッシブ型飛しょう体において、ISO−TDOAとISO−FDOAの直交度、および飛しょう体、電波照射源、目標の幾何学的配置関係を演算する機能を有している。この結果、現在の飛しょう体による測位精度を判断する1つの指標(基準)を得ることができ、所望の測位精度が得られているか否かを定量的に判断することが可能となる。
実施の形態2.
先の実施の形態1では、GDOP演算部18を備えることで、現在の測位環境(配置・方向)が好条件なのかそうでないのかを判断可能となり、推定された目標3の測位精度を評価する一指標を得ることができた。これに対して、本実施の形態2では、測位精度の評価結果に基づいて、測位精度をより向上させるために、未来の飛しょう経路を求めることを行う場合について説明する。なお、本発明の実施の形態2を表す構成図は、先の実施の形態1を表す構成図である図1と同一である。
先の実施の形態1では、GDOP演算部18を備えることで、現在の測位環境(配置・方向)が好条件なのかそうでないのかを判断可能となり、推定された目標3の測位精度を評価する一指標を得ることができた。これに対して、本実施の形態2では、測位精度の評価結果に基づいて、測位精度をより向上させるために、未来の飛しょう経路を求めることを行う場合について説明する。なお、本発明の実施の形態2を表す構成図は、先の実施の形態1を表す構成図である図1と同一である。
次に動作について説明する。本実施の形態2におけるGDOP演算部18は、現在の測位環境(すなわち、GDOP、およびISO−TDOAとISO−FDOAとの直交度)を提供するとともに、もっとも測位精度が好適となるような測位環境を得るために、未来の飛しょう経路を演算し、導出する。ここで、現地点までの飛しょう体の移動が完了しているため、導出した解は最良な解(グローバルミニマム)に一致するとは限らず、その時点での良好な解(ローカルミニマム)になる場合が多いという意味で、「好適」という表現を用いている。
例えば、GDOPを改善するには、飛しょう体1、電波照射源2、目標3の配置関係が一直線上に並ばないように、すなわち、飛しょう体1、電波照射源2が目標3を取り囲むように配置されるように飛しょう経路を選択することとなる。さらに、目標位置付近でISO−TDOAとISO−FDOAが直交状態に近づくようにするには、飛しょう体1が目標3に向かって直進するよりも、目標3を中心とした円周状を、目標3を真横に見て移動する飛しょう経路を選択することとなる。
飛しょう制御部14は、GDOP演算部18で得られた推奨飛しょう経路に基づいて、実際の飛しょう経路を選択する。なお、飛しょう制御部14は、推奨飛しょう経路を選択する際に、適当な重みをかけることで、推奨飛しょう経路選択の範囲に幅を持たせることも可能である。
以上のように、実施の形態2によれば、ISO−TDOAとISO−FDOAを直交状態に近づけ、かつGDOPを減少させる配置となるような移動方向を演算する機能を有している。この結果、目標に対して高精度な測位精度を得る飛しょう経路を飛しょう体自らが演算により推定して選択することができ、目標への誘導精度をより高めることが可能となる。
実施の形態3.
先の実施の形態2では、ISO−TDOAとISO−FDOAを直交状態に近づけ、かつGDOPを減少させる配置となるような飛しょう経路をとることで、測位精度の向上を実現する場合について説明した。これに対して、本実施の形態3では、搭載燃料の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明する。
先の実施の形態2では、ISO−TDOAとISO−FDOAを直交状態に近づけ、かつGDOPを減少させる配置となるような飛しょう経路をとることで、測位精度の向上を実現する場合について説明した。これに対して、本実施の形態3では、搭載燃料の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明する。
図2は、本発明の実施の形態3におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の構成図である。先の実施の形態1、2における図1の構成と比較すると、本実施の形態3における図2の構成は、新たに搭載燃料計測部19を備えている点が異なっている。
次に、本実施の形態3におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の動作について説明する。先の実施の形態2において、GDOP演算部18は、現在の測位環境(すなわち、GDOPとISO−TDOA、ISO−FDOAの直交度)から、もっとも測位精度が好適となるような測位環境を得るための未来の飛しょう経路を演算し、導出した。
具体的には、飛しょう体1、電波照射源2、目標3の配置関係が一直線上に並ばないように、飛しょう体1、電波照射源2が目標3を取り囲むように配置されるような経路が推奨飛しょう経路として選択される。さらに、目標位置付近で、ISO−TDOAとISO−FDOAが直交状態に近づくように、飛しょう体1が目標3に向かって直進するよりも、目標3を中心とした円周状を、目標3を真横に見て移動する経路が推奨飛しょう経路として選択される。
しかし、飛しょう体1に搭載される燃料は、有限であり、いつまでも目標3を中心とした円周上を、目標3を真横に見て移動することはできない。そこで、本実施の形態3では、飛しょう体1の残りの搭載燃料を計測する搭載燃料計測部19を新たに設けている。この結果、飛しょう制御部14は、GDOP演算部18で導出した推奨経路と搭載燃料計測部19の情報に基づいて、飛しょう体の残燃料を考慮した上で、GDOP演算部18が導出した推奨経路に適当な重みを設定して、総合的に飛しょう経路を選択することができる。
例えば、残燃料に余裕がある場合には、GDOP演算部18が導出した目標3を真横に見る動きを優先し、残燃料が厳しくなってきた場合には、目標3を中心とする円周の直径を狭めて目標3に会合する、などの選択方式が考えられる。
以上のように、実施の形態3によれば、目標に対して高精度な測位精度を得る飛しょう経路を飛しょう体自らが演算により推定した上で、飛しょう体1の搭載燃料による制約を加味して、総合的評価に基づく飛しょう経路を選択することができる。この結果、目標への誘導精度をより高め、かつ、飛しょう体が燃料切れで目標へ到達できないという問題を回避することが可能となる。
実施の形態4.
先の実施の形態3では、搭載燃料の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。これに対して、本実施の形態4では、地形データの制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明する。
先の実施の形態3では、搭載燃料の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。これに対して、本実施の形態4では、地形データの制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明する。
図3は、本発明の実施の形態4におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の構成図である。先の実施の形態1、2における図1の構成と比較すると、本実施の形態4における図3の構成は、新たに地形データ記憶部20を備えている点が異なっている。
次に、本実施の形態4におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の動作について説明する。先の実施の形態2において、GDOP演算部18は、現在の測位環境(すなわち、GDOPとISO−TDOA、ISO−FDOAの直交度)から、もっとも測位精度が好適となるような測位環境を得るための未来の飛しょう経路を演算し、導出した。
具体的には、飛しょう体1、電波照射源2、目標3の配置関係が一直線上に並ばないように、飛しょう体1、電波照射源2が目標3を取り囲むように配置されるような経路が推奨飛しょう経路として選択される。さらに、目標位置付近で、ISO−TDOAとISO−FDOAが直交状態に近づくように、飛しょう体1が目標3に向かって直進するよりも、目標3を中心とした円周状を、目標3を真横に見て移動する経路が推奨飛しょう経路として選択される。
しかし、実際の飛行領域を含む地形、例えば、山岳、建築物、その他構造物などにより、GDOP演算部18が導出した推奨経路が選択できない場合も予想される。従って、飛しょう体1の飛行領域を含む周辺一帯の地形データをあらかじめ記憶しておく地形データ記憶部20を新たに設けている。この結果、飛しょう制御部14は、GDOP演算部18が導出した推奨経路と地形データ記憶部20に記憶された地形データに基づいて、飛しょう体の飛行経路の地形を考慮した上で、GDOP演算部18が導出した推奨経路に適当な重みを設定して、総合的に飛しょう経路を選択することができる。
例えば、長時間的には、GDOP演算部18が導出した推奨経路を飛行するが、各時点では、地形データに応じた細かい飛しょう制御を行うことが考えられる。
以上のように、実施の形態4によれば、目標に対して高精度な測位精度を得る飛しょう経路を飛しょう体自らが演算により推定した上で、あらかじめ記憶された飛しょう体1の飛行領域を含む周辺一帯の地形データによる制約を加味して、総合的評価に基づく飛しょう経路を選択することができる。この結果、目標への誘導精度を高め、かつ地形上の干渉物を避けて飛しょうできるようにすることで、飛しょう体の目標への到達確率を高めることが可能となる。
実施の形態5.
先の実施の形態3では、搭載燃料の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。また、先の実施の形態4では、地形データの制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。これに対して、本実施の形態5では、被探知確率の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明する。
先の実施の形態3では、搭載燃料の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。また、先の実施の形態4では、地形データの制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。これに対して、本実施の形態5では、被探知確率の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明する。
図4は、本発明の実施の形態5におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の構成図である。先の実施の形態1、2における図1の構成と比較すると、本実施の形態5における図4の構成は、新たに被探知確率計測部21を備えている点が異なっている。
次に、本実施の形態5におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の動作について説明する。先の実施の形態2において、GDOP演算部18は、現在の測位環境(すなわち、GDOPとISO−TDOA、ISO−FDOAの直交度)から、もっとも測位精度が好適となるような測位環境を得るための未来の飛しょう経路を演算し、導出した。
具体的には、飛しょう体1、電波照射源2、目標3の配置関係が一直線上に並ばないように、飛しょう体1、電波照射源2が目標3を取り囲むように配置されるような経路が推奨飛しょう経路として選択される。さらに、目標位置付近で、ISO−TDOAとISO−FDOAが直交状態に近づくように、飛しょう体1が目標3に向かって直進するよりも、目標3を中心とした円周状を、目標3を真横に見て移動する経路が推奨飛しょう経路として選択される。
しかし、飛しょう体1は、目標3がレーダの場合には、そのレーダにより探知される可能性がある。主に、被探知確率は、目標レーダとの距離、目標レーダの送信電力、そして飛しょう体1のレーダ断面積(Radar Cross Section)によって決定される。ここで、レーダ断面積とは、目標レーダから飛しょう体1が何m2の金属板として見えるかを示す値であり、単位はdBm2である。
このように、レーダ断面積は、目標レーダからどう見えるかを物理量として表しているものであり、一般に、対象が飛しょう体の場合には、進行方向正面から見たレーダ断面積は、飛しょう体を真横から見たレーダ断面積よりも小さい。
このように、飛しょう方向によって目標レーダに対するレーダ断面積が異なるため、被探知確率が大きくなる飛しょう方向が存在する。そして、測位精度を向上させるためにGDOP演算部18が導出した飛しょう方向は、目標レーダを真横に見る動きであるため、このままでは、被探知確率が大きくなってしまう。
先の実施の形態1〜4で説明したように、飛しょう体1の飛しょう方向φと目標レーダの推定位置はわかっている。そこで、本実施の形態5における被探知確率計測部21は、それら既知のデータに基づいて、被探知確率をある程度予測する演算結果を得ることができる。この結果、飛しょう制御部14は、GDOP演算部18が導出した推奨経路と被探知確率計測部21の演算結果に基づいて、飛しょう体の被探知確率を考慮した上で、GDOP演算部18が導出した推奨経路に適当な重みを設定して、総合的に飛しょう経路を選択することができる。
例えば、長期的にはGDOPを改善するために目標3を横目に見て飛しょうするが、各時点では被探知確率計測部21の演算結果である被探知確率を小さくするように、目標レーダに対して真の真横を見せないような、または、真の真横を見せている時間が短くなるような細かな動きを採用することが考えられる。
以上のように、実施の形態5によれば、目標に対して高精度な測位精度を得る飛しょう経路を飛しょう体自らが演算により推定した上で、被探知確率計測部で同時に演算された被探知確率による制約を加味して、総合的評価に基づく飛しょう経路を選択することができる。この結果、目標への誘導精度を高め、かつ目標がレーダの場合に被探知確率がより小さくなるような(あるいは、最大にならないような)飛しょう経路を選択することで、飛しょう体の目標への到達確率を高めることが可能になる。
実施の形態6.
先の実施の形態3では、搭載燃料の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。また、先の実施の形態4では、地形データの制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。さらに、先の実施の形態5では、被探知確率の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。これに対して、本実施の形態6では、飛しょう時間の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明する。
先の実施の形態3では、搭載燃料の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。また、先の実施の形態4では、地形データの制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。さらに、先の実施の形態5では、被探知確率の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。これに対して、本実施の形態6では、飛しょう時間の制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明する。
図5は、本発明の実施の形態6におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の構成図である。先の実施の形態1、2における図1の構成と比較すると、本実施の形態6における図5の構成は、新たに飛しょう時間算出部22およびタイマ23を備えている点が異なっている。
次に、本実施の形態6におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の動作について説明する。先の実施の形態2において、GDOP演算部18は、現在の測位環境(すなわち、GDOPとISO−TDOA、ISO−FDOAの直交度)から、もっとも測位精度が好適となるような測位環境を得るための未来の飛しょう経路を演算し、導出した。
具体的には、飛しょう体1、電波照射源2、目標3の配置関係が一直線上に並ばないように、飛しょう体1、電波照射源2が目標3を取り囲むように配置されるような経路が推奨飛しょう経路として選択される。さらに、目標位置付近で、ISO−TDOAとISO−FDOAが直交状態に近づくように、飛しょう体1が目標3に向かって直進するよりも、目標3を中心とした円周状を、目標3を真横に見て移動する経路が推奨飛しょう経路として選択される。
しかし、飛しょう体1は、発射されてから目標3に会合するまでの時間を規定されている場合が多い。この規定された時間を越えてもまだ目標3と会合できない場合には、遠隔操作により自爆させる必要性があるためである。自爆させる理由としては、人口密集地、重要構造物などに誤爆させないため、または、敵地に不発のまま着床し回収されることなどを避けるため、などが挙げられる。
そこで、本実施の形態6における飛しょう体1は、内蔵するタイマ23と飛しょう時間算出部22により、発射からの経過時間をカウントする。そして、飛しょう制御部14は、あらかじめ飛しょう時間算出部22にプログラムされた規定時間を越えないような飛しょう経路を導出する。このように、飛しょう制御部14は、GDOP演算部18が導出した推奨経路と飛しょう時間算出部22が導出した推奨経路に基づいて、総飛しょう時間を考慮した上で、GDOP演算部18が導出した推奨経路に適当な重みを設定して、総合的に飛しょう経路を選択することができる。
例えば、GDOP演算部18が導出した目標3を中心とする円周上を真横に見る動きを採用しながら、総飛しょう時間が規定値を越えないように円周の直径を狭めていき、最終的に目標3に会合させるような動きを採用することが考えられる。
以上のように、実施の形態6によれば、目標に対して高精度な測位精度を得る飛しょう経路を飛しょう体自らが演算により推定した上で、総飛しょう時間を同時に演算して総合的評価に基づく飛しょう経路を選択することができる。この結果、目標への誘導精度を高め、飛しょう体の目標への到達確率を高めることが可能になる。
実施の形態7.
先の実施の形態4では、飛しょう体の飛行経路に関する地形データの制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。これに対して、本実施の形態7では、飛しょう体1が飛しょうする領域を含む周辺地形データに加えて、飛しょう体1と電波照射源2との間の地形データの制約も考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明する。なお、本発明の実施の形態7を表す構成図は、先の実施の形態4を表す構成図である図3と同一である。
先の実施の形態4では、飛しょう体の飛行経路に関する地形データの制約を考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明した。これに対して、本実施の形態7では、飛しょう体1が飛しょうする領域を含む周辺地形データに加えて、飛しょう体1と電波照射源2との間の地形データの制約も考慮した上で、測位精度の向上を図る場合について説明する。なお、本発明の実施の形態7を表す構成図は、先の実施の形態4を表す構成図である図3と同一である。
次に、本実施の形態7におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の動作を説明する。本発明のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置は、既知の電波照射源2からの直接波4が受信できないと機能をなさない。従って、GDOP演算部18が導出した飛しょう体1の飛しょう過程において、電波照射源2からの直接波4が山岳、ビル、その他人工建造物などにより遮蔽を受けることで飛しょう体1のアンテナ11に到達しない場合(あるいは受信S/N比が悪くなる場合)には、飛しょう体1の機能に重大な損失が生ずることとなる。
これを避けるために、本実施の形態7における地形データ記憶部20は、飛しょう体1が飛しょうする領域を含む周辺地形データに加えて、飛しょう体1と電波照射源2との間の地形データも同時に保持している。すなわち、既知である電波照射源2の位置から電波が遮断されてしまう領域が電波遮断領域情報としてあらかじめ地形データ記憶部20に記憶されている。
この結果、飛しょう制御部14は、GDOP演算部18が導出した推奨経路と地形データ記憶部20に記憶された地形データに基づいて、飛しょう体の飛行経路の地形、および電波遮断領域情報を考慮した上で、GDOP演算部18が導出した推奨経路に基づいて、電波照射源が見通せる飛しょう経路を総合的に選択することができる。
以上のように、実施の形態7によれば、目標に対して高精度な測位精度を得る飛しょう経路を飛しょう体自らが演算により推定した上で、あらかじめ記憶された飛しょう体1の飛行領域を含む周辺一帯の地形データおよび飛しょう体と電波照射源との間の地形データを考慮することで、電波照射源からの直接波が遮蔽されないような飛しょう経路を選択することができる。この結果、目標3への誘導精度を高め、地形上の干渉物を避けて飛しょうできるようにすると同時に、誘導機能逸失の可能性を回避することが可能となる。
実施の形態8.
本実施の形態8では、時々刻々と変化する測位環境を考慮する場合について説明する。図6は、本発明の実施の形態8におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の構成図である。先の実施の形態1、2における図1の構成と比較すると、本実施の形態8における図6の構成は、新たにGDOPメモリ24を備えている点が異なっている。
本実施の形態8では、時々刻々と変化する測位環境を考慮する場合について説明する。図6は、本発明の実施の形態8におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の構成図である。先の実施の形態1、2における図1の構成と比較すると、本実施の形態8における図6の構成は、新たにGDOPメモリ24を備えている点が異なっている。
次に、本実施の形態8におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の動作について説明する。先の実施の形態2において、GDOP演算部18は、現在の測位環境(すなわち、GDOP、およびISO−TDOAとISO−FDOAとの直交度)から、もっとも測位精度が好適となるような測位環境を得るための未来の飛しょう経路を演算し、導出した。
具体的には、飛しょう体1、電波照射源2、目標3の配置関係が一直線上に並ばないように、飛しょう体1、電波照射源2が目標3を取り囲むように配置されるような経路が推奨飛しょう経路として選択される。さらに、目標位置付近で、ISO−TDOAとISO−FDOAが直交状態に近づくように、飛しょう体1が目標3に向かって直進するよりも、目標3を中心とした円周状を、目標3を真横に見て移動する経路が推奨飛しょう経路として選択される。
しかし、飛しょう体1自身が推奨経路上を移動するため、GDOPの値は、時々刻々と変化している。また、電波照射源2や目標3が移動しないとも限らない。このように、時々刻々と変化する測位環境に応じるために、本実施の形態8では、飛しょう経路移動の過程の一定間隔ごとに、GDOP演算部18が、その時点での配置や方位を用いて判断指標を再計算して時系列データを生成し、飛しょう制御部14が実際に選択した飛しょう経路情報と時系列データとを関連付けて、メモリ24に履歴データ情報として記憶させておく。
飛しょう制御部14は、このメモリ24に残した履歴データ情報に含まれている判断指標の時系列データと、GDOP演算部18によりオンラインで演算される判断指標の情報とのマッチング処理を行う。そして、飛しょう制御部14は、マッチング処理結果に基づいて、過去に似通った測位環境(判断指標)があったと判断した場合には、メモリ24からそのとき選択した飛しょう経路を呼び出し、その飛しょう経路を選択する。これにより、飛しょう制御部14における演算負荷を軽減でき、リアルタイム制御性能がさらに向上する。
以上のように、実施の形態8によれば、目標に対して高精度な測位精度を得る飛しょう経路を飛しょう体自らが演算により推定した上で、過去の測位環境と実際に選択した飛しょう経路情報をメモリに記憶しておく。そしてマッチング処理により、似通った測位環境があった場合には、過去に選択された飛しょう経路をメモリから呼び出すことで、飛しょう経路を選択できる。この結果、目標への誘導精度を高め、同時に飛しょう制御部の演算負荷を軽減し、リアルタイム性能を向上させることができる。
実施の形態9.
本実施の形態9では、目標からの反射波受信S/N比が低下することを防止する目的で、常に受信アンテナを目標の方位に指向・維持させるジンバルを備える場合について説明する。
本実施の形態9では、目標からの反射波受信S/N比が低下することを防止する目的で、常に受信アンテナを目標の方位に指向・維持させるジンバルを備える場合について説明する。
図7は、本発明の実施の形態9におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の構成図である。先の実施の形態1、2における図1の構成と比較すると、本実施の形態9における図7の構成は、新たにジンバル25を備えている点が異なっている。
次に、本実施の形態9におけるパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置の動作について説明する。先の実施の形態2において、GDOP演算部18は、現在の測位環境(すなわち、GDOPとISO−TDOA、ISO−FDOAの直交度)から、もっとも測位精度が好適となるような測位環境を得るための未来の飛しょう経路を演算し、導出した。
具体的には、飛しょう体1、電波照射源2、目標3の配置関係が一直線上に並ばないように、飛しょう体1、電波照射源2が目標3を取り囲むように配置されるような経路が推奨飛しょう経路として選択される。さらに、目標位置付近で、ISO−TDOAとISO−FDOAが直交状態に近づくように、飛しょう体1が目標3に向かって直進するよりも、目標3を中心とした円周状を、目標3を真横に見て移動する経路が推奨飛しょう経路として選択される。
しかし、アンテナ正面方位から広角になるに従って利得が落ちるような角度指向性(アンテナパターン)をアンテナ11が持つ場合には、飛しょう体1の実際の飛しょう方向と目標3のなす角度によって、散乱波5の受信S/N比が低下することが考えられる。散乱波5の受信S/N比が低下すると、直接波とのTDOAやFDOA観測値に誤差を多く生ずるため、結果として、目標3の測位精度が悪化することとなる。
そこで、本実施の形態9では、アンテナ11の指向方向をある角度範囲内で変化させるジンバル25が設けられている。飛しょう体1の飛しょう方向として、GDOP演算部18が導出した目標3を真横に見る動きが採用中の場合であっても、常にアンテナ11を目標3へ指向継続させることが可能になり、測位精度の劣化を抑制できる。ジンバル25は、アンテナ11のアンテナパターンが最も高利得な方向に、目標3を捕らえ続ける。
なお、アンテナ11のアンテナパターンが最も高利得な方向が正面以外の特定方向の場合(例えば、アンテナ11がフェーズドアレーアンテナでビームを特定方向に指向中など)には、その方向へ目標3を捕らえ続けてもよい。
以上のように、実施の形態9によれば、目標に対して高精度な測位精度を得る飛しょう経路を飛しょう体自らが演算により推定した上で、この推奨経路を飛行する過程で、アンテナ11のアンテナパターンが最も高利得な方向に目標を捕らえ続けることができる。この結果、目標からの反射波受信S/N比が低下することを抑制し、目標への誘導精度を高いまま維持することが可能になる。
なお、上述した実施の形態2〜9は、それぞれ実施の形態1に対して構成を付加する場合について説明した。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されず、実施の形態2〜9について、2つ以上の複数の構成を組み合わせて付加することも可能である。
1 飛しょう体、2 電波照射源(送信源)、3 目標、4 直接波、5 散乱波、11 アンテナ、12 受信機、13 飛しょう経路演算部、14 飛しょう制御部、15 舵角・推力制御部、16 GPS、17 INS、18 GDOP演算部、19 搭載燃料計測部、20 地形データ記憶部、21 被探知確率計測部、22 飛しょう時間算出部、23 タイマ、24 メモリ、25 ジンバル。
Claims (12)
- 既知の送信源から照射され目標に当たって散乱した散乱波と、前記既知の送信源から直接到来する直接波との両方を受信することでTDOAおよびFDOAを観測し、自らは電波を放射することなく目標を測位して自らの飛しょう経路を目標へと向かうように制御する飛しょう制御部を備えたパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置であって、
自機、送信源、目標の幾何学的配置からGDOPを演算するとともに、ISO−TDOAとISO−FDOAの直交度を推定し、現在の飛しょう体による測位誤差の定量的な判断指標を生成するGDOP演算部をさらに備えることを特徴とするパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置。 - 請求項1に記載のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置において、
前記GDOP演算部は、生成した前記判断指標に基づいて、前記測位誤差がその時点で極小となるような自機の推奨飛しょう経路を演算により決定することを特徴とするパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置。 - 請求項2に記載のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置において、
自機の残り搭載燃料情報を生成する搭載燃料計測部をさらに備え、
前記飛しょう制御部は、前記GDOP演算部で決定された前記推奨飛しょう経路に基づいて、前記搭載燃料計測部で生成された前記残り搭載燃料情報による飛しょう経路の制約を考慮して自機の飛しょう経路を最終的に決定する
ことを特徴とするパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置。 - 請求項2に記載のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置において、
自機の飛しょう経路上の地形情報があらかじめ記憶された地形データ記憶部をさらに備え、
前記飛しょう制御部は、前記GDOP演算部で決定された前記推奨飛しょう経路に基づいて、前記地形データ記憶部に記憶された前記経路情報による飛しょう経路の制約を考慮して自機の飛しょう経路を最終的に決定する
ことを特徴とするパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置。 - 請求項4に記載のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置において、
前記地形データ記憶部は、既知である前記送信源の位置から電波が遮断されてしまう領域を電波遮断領域情報としてさらに記憶し、
前記飛しょう制御部は、前記GDOP演算部で決定された前記推奨飛しょう経路に基づいて、前記地形データ記憶部に記憶された前記経路情報および前記電波遮断領域情報による飛しょう経路の制約を考慮して自機の飛しょう経路を最終的に決定する
ことを特徴とするパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置。 - 請求項2に記載のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置において、
前記目標がレーダの場合に、前記レーダまでの距離、前記レーダの送信電力、および飛しょう体のレーダ断面積に基づいて、前記レーダにより前記飛しょう体が検知される被検知確率を生成する被探知確率計測部をさらに備え、
前記飛しょう制御部は、前記GDOP演算部で決定された前記推奨飛しょう経路に基づいて、前記被探知確率計測部で生成された前記被検知確率を減少させるための飛しょう経路の制約を考慮して自機の飛しょう経路を最終的に決定する
ことを特徴とするパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置。 - 請求項2に記載のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置において、
自機の飛しょう経過時間を算出する飛しょう時間算出部をさらに備え、
前記飛しょう制御部は、前記GDOP演算部で決定された前記推奨飛しょう経路に基づいて、前記飛しょう時間算出部で算出された前記飛しょう経過時間による残飛しょう時間の制約を考慮して自機の飛しょう経路を最終的に決定する
ことを特徴とするパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置。 - 請求項2に記載のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置において、
前記飛しょう制御部は、請求項3から請求項7までの2つ以上を組み合わせて自機の飛しょう経路を最終的に決定することを特徴とするパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置。 - 請求項2ないし8のいずれか1項に記載のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置において、
前記GDOP演算部は、飛しょう経路移動の過程の一定間隔ごとに前記判断指標を再計算して時系列データを生成し、実際に決定された飛しょう経路と前記時系列データとを関連づけた履歴データ情報を記憶部に記憶させ、
前記飛しょう制御部は、前記GDOP演算部によりオンラインで生成した判断指標と、前記記憶部に記憶された前記時系列データとのマッチング処理を行い、所定値以上のマッチング結果が得られた場合には、過去に似通った判断指標が存在していたと判断し、前記履歴データ情報に含まれている過去に実際に決定された飛しょう経路を前記推奨飛しょう経路とする
ことを特徴とするパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置。 - 請求項2ないし9のいずれか1項に記載のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置において、
前記散乱波を受信するアンテナを前記目標方向に指向させ、前記目標からの散乱波受信S/N比の低下を防止するジンバルをさらに備えることを特徴とするパッシブ型飛しょう体飛しょう制御装置。 - 既知の送信源から照射され目標に当たって散乱した散乱波と、前記既知の送信源から直接到来する直接波との両方を受信することでTDOAおよびFDOAを観測し、自らは電波を放射することなく目標を測位して自らの飛しょう経路を目標へと向かうように制御する飛しょう制御ステップを備えたパッシブ型飛しょう体飛しょう制御方法であって、
自機、送信源、目標の幾何学的配置からGDOPを演算するとともに、ISO−TDOAとISO−FDOAの直交度を推定し、現在の飛しょう体による測位誤差の定量的な判断指標を生成するGDOP演算ステップをさらに備えることを特徴とするパッシブ型飛しょう体飛しょう制御方法。 - 請求項11に記載のパッシブ型飛しょう体飛しょう制御方法において、
前記GDOP演算ステップは、生成した前記判断指標に基づいて、前記測位誤差がその時点で極小となるような自機の推奨飛しょう経路を演算により決定することを特徴とするパッシブ型飛しょう体飛しょう制御方法。
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