WO2024048592A1 - ブロックドウレタン、ブロックドウレタン組成物、樹脂組成物、硬化物及び接着剤並びにブロックドウレタン及びブロックドウレタン組成物の製造方法 - Google Patents

ブロックドウレタン、ブロックドウレタン組成物、樹脂組成物、硬化物及び接着剤並びにブロックドウレタン及びブロックドウレタン組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

エポキシの靭性を改良でき、且つ、貯蔵安定性に優れ、高品質な接着剤の原料となるブロックドウレタンを提供することを目的とする。 ポリオール(A)に由来する構造単位及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンであって、前記ポリオール(A)が下記式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールを含む、ブロックドウレタンによって、課題を解決する。(上記式(1)において、Rは炭素数2~10の二価の炭化水素基を表し、nは2~30であり、mは1~20である。なお、式(1)中、複数のRは同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のnは同一であってもよく、異なるものであってもよい。)

Description

ブロックドウレタン、ブロックドウレタン組成物、樹脂組成物、硬化物及び接着剤並びにブロックドウレタン及びブロックドウレタン組成物の製造方法
 本発明は、ブロックドウレタン、ブロックドウレタン組成物、ブロックドウレタンを含む樹脂組成物、接着剤、特に構造接着剤に関する。また、ブロックドウレタン及びブロックドウレタン組成物の製造方法に関する。
 構造用接着剤に使用されるウレタン樹脂及びそれを含む樹脂組成物は従来から種々の成分により構成されており、様々な用途に使用されている。
 熱硬化性樹脂として知られるエポキシ樹脂を、その樹脂組成物の中に含む場合、エポキシ樹脂は硬くて脆いため、そのエポキシ樹脂の靭性を改良する方法として、特定の強化剤を添加する方法が知られている。
 例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂と、ブロックドウレタンとして、ブロック処理又はキャップ処理されるイソシアネート基を有するポリテトラヒドロフラン系強化剤を含有する構造用接着剤が記載されている。
国際公開第2008/157571号
 特許文献1に代表されるポリテトラヒドロフラン系強化剤は、エポキシ樹脂の靭性を改良することはできるものの、その構造に由来する結晶性の高さから、長期間保管すると結晶の析出が起こり、貯蔵安定性が好ましくなかった。また、ポリテトラヒドロフラン系強化剤を用いた樹脂組成物よりなる接着剤は、T型剥離試験を評価した際の破壊形態が界面破壊となるため、接着剤としての強度のばらつきが大きくなり、品質面でも課題があった。
 本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の課題は、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物に用いた場合、エポキシの靭性を改良でき、且つ、貯蔵安定性に優れ、高品質な接着剤の原料となるブロックドウレタンを提供することにある。
 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造単位を含むブロックドウレタンを強化剤として用いることで上記課題を解決できることを見出し、発明の完成に至った。
 即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] ポリオール(A)に由来する構造単位及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンであって、前記ポリオール(A)が下記式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールを含む、ブロックドウレタン。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
(上記式(1)において、Rは炭素数2~10の二価の炭化水素基を表し、nは2~30であり、mは1~20である。なお、式(1)中、複数のRは同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のnは同一であってもよく、異なるものであってもよい。)
[2] 前記ポリオール(A)が、少なくとも2種類のポリオール(A-1)、(A-2)を含む、[1]に記載のブロックドウレタン。
[3] 前記ポリオール(A)中に含まれるすべてのポリオールの重量に対し、前記式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールの重量割合が50%以上である、[1]又は[2]に記載のブロックドウレタン。
[4] 前記式(1)におけるRがn-ブチレン基である、[1]~[3]のいずれか1つに記載のブロックドウレタン。
[5] 前記式(1)におけるnが4~20である[1]~[4]のいずれか1つに記載のブロックドウレタン。
[6] 前記ブロックドウレタンのウレタンプレポリマー鎖の末端がフェノール化合物由来の構造である、[1]~[5]のいずれか1つに記載のブロックドウレタン。
[7] 少なくとも2種類の[1]~[6]のいずれか1つに記載のブロックドウレタン(I)、(II)を含み、前記ブロックドウレタン(I)は、ポリオール(A-1)’に由来する構造単位、及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンであり、前記ブロックドウレタン(II)は、ポリオール(A-2)’に由来する構造単位、及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンである、ブロックドウレタン組成物。
[8] [1]~[6]のいずれか1つに記載のブロックドウレタン又は[7]に記載のブロックドウレタン組成物と、エポキシ樹脂(D)と、硬化剤(E)を含む樹脂組成物。
[9] さらに、ゴム変性エポキシ樹脂及び/又はウレタン変性エポキシ樹脂(F)を含む、[8]に記載の樹脂組成物。
[10] さらに、ポリマー微粒子(G)を含む、[8]又は[9]に記載の樹脂組成物。
[11] [8]~[10]のいずれか1つに記載の樹脂組成物を硬化させてなる、硬化物。
[12] [8]~[10]のいずれか1つに記載の樹脂組成物を含む、接着剤。
[13] ブロックドウレタンの製造方法であって、下記式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールを含むポリオール(A)と、ポリイソシアネート化合物(B)を反応させてウレタンプレポリマーを得る工程と、ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基を、ブロック剤(C)でブロックする工程を含む、ブロックドウレタンの製造方法。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
(上記式(1)において、Rは炭素数2~10の二価の炭化水素基を表し、nは2~30であり、mは1~20である。なお、式(1)中、複数のRは同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のnは同一であってもよく、異なるものであってもよい。)
[14] 前記ポリオール(A)が、少なくとも2種類のポリオール(A-1)と(A-2)とを含む、[13]に記載のブロックドウレタンの製造方法。
[15] [13]又は[14]に記載のブロックドウレタンの製造方法によって得られた、少なくとも2種類のブロックドウレタン(I)、(II)を混合する工程をさらに含み、前記ブロックドウレタン(I)は、ポリオール(A-1)’に由来する構造単位、及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンであり、前記ブロックドウレタン(II)は、ポリオール(A-2)’に由来する構造単位、及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンである、ブロックドウレタン組成物の製造方法。
 本発明によれば、貯蔵安定性に優れ、かつエポキシ樹脂を含む樹脂組成物よりなる接着剤として用いた場合に、エポキシ樹脂の靭性を改善できる強化剤としてのブロックドウレタンであり、且つその接着剤は安定した凝集破壊をもたらす高品質の接着剤を得ることができる。好ましい形態では、よりエポキシ樹脂の靭性を向上させることができ、別の好ましい形態では、低温でも良好な靭性が得られる。
 以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
 本実施形態に係るブロックドウレタンは、ウレタン骨格にブロックイソシアネート基を有する熱反応型ウレタン樹脂であり、末端の活性イソシアネート基をブロック剤で保護し、常温の状態では安定を保ち、熱処理することによってブロック剤が解離し、活性イソシアネート基が再生され、硬化・架橋反応を起こすことで、接着力が発現する。
 本実施形態のブロックドウレタンは、ポリオール(A)に由来する構造単位及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含み、ポリオール(A)が下記式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールを含むことを特徴とする。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
(上記式(1)において、Rは炭素数2~10の二価の炭化水素基を表し、nは2~30であり、mは1~20である。なお、式(1)中、複数のRは同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のnは同一であってもよく、異なるものであってもよい。)
 上記式(1)において、Rは好ましくは炭素数2~10、より好ましくは炭素数3~6の直鎖又は分岐アルキレン基であり、特に好ましくは炭素数4のブチレン基又は炭素数5の2-メチルブチレン基、とりわけ好ましくはn-ブチレン基である。即ち、式(1)中のR-O-はポリテトラメチレンエーテルグリコールに由来するものであることが、工業的入手性、得られるブロックドウレタンの物性が優れるなどの観点から好ましい。
 上記式(1)において、nは平均値であって2~30であり、好ましくは3~20、より好ましくは4~20、さらに好ましくは4~15である。nが上記下限未満では、得られるブロックドウレタンによう靭性改質効果が劣る傾向があり、上記上限を超えると、ポリエーテルポリカーボネートジオールの粘度および結晶性が高くなり、取り扱い性が悪くなると共に、得られるブロックドウレタンの貯蔵安定性が悪くなる傾向がある。
 また、上記式(1)において、mは平均値であって1~20であり、好ましくは4~20、より好ましくは4~15である。mが上記下限未満では、得られるブロックドウレタンの強化剤としての性能に劣る傾向があり、上記上限を超えると粘度が上がり、ブロックドウレタン製造の際のハンドリングを損なう可能性がある。
 ポリオール(A)は1種類でもよいが、ポリオール(A)が、少なくとも2種類のポリオール(A-1)、(A-2)を含むことが好ましい。ポリオール(A-1)及び(A-2)は式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールであれば特に限定されないが、ポリオール(A-1)として、式(1)で表され、nが7以上30以下であり、好ましくはnが7.5以上20以下、より好ましくはnが8以上15以下であるポリエーテルポリカーボネートジオールと、ポリオール(A-2)として、式(1)で表され、nが2以上7未満であり、好ましくはnが2.5以上6以下、より好ましくはnが3以上5以下であるポリエーテルポリカーボネートジオールを使用することが好ましい。nが上記の範囲内である2種類のポリオール(A-1)、(A-2)を使用することで、得られるブロックドウレタンの靭性改質効果を向上させることができる。
 前記ポリオール(A-1)及び(A-2)の含有割合は重量比で、1:9~9:1の範囲であることが好ましく、2:8~8:2とすることがより好ましい。上記範囲内とすることで、靭性改質効果を向上させる効果が得られる。
 本実施形態に係るポリオール(A)は、式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオール以外のポリオール(以下、その他のポリオールと称する)を併用してもよい。ここで、その他のポリオールとは、通常のポリウレタン製造の際に用いるものであれば特に限定されず、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
 その他のポリオールを併用する場合、前記ポリオール(A)中に含まれるすべてのポリオール、つまり、上記式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールとその他のポリオールを合わせた重量に対する上記式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールの重量割合は50%以上が好ましく、70%以上がさらに好ましい。上記式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールの重量割合が少ないと、本発明の特徴である、貯蔵安定性や靭性改質効果の物性バランスが失われる可能性がある。
 ポリオール(A)の水酸基価から求めた数平均分子量は600以上10000以下であることが好ましい。より好ましくは、700以上5000以下であり、更により好ましくは800以上3000以下であり、特に好ましくは1200以上2500以下である。なお、水酸基価からの数平均分子量の測定は、実施例に記載の方法で測定することができる。
 なお、上記式(1)のポリオールを含むポリオール(A)は市販のものを用いることができる。
[ポリイソシアネート化合物(B)]
 本実施形態に係るブロックドウレタンの構成成分であるポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を2以上有するものであればよく、脂肪族、脂環族又は芳香族の各種公知のポリイソシアネート化合物が挙げられる。
 例えば、テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート及びダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1-メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート化合物;キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート)、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、フェニレンジイソシアネート及びm-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 これらの中でもウレタン製造時のゲル化を抑制しやすくなる点から、ジイソシアネートが好ましい。また、得られるブロックドウレタンの物性が好ましい点から、脂肪族もしくは脂環型ジイソシアネートが好ましく、工業的に安価に多量に入手が可能な点で、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
 なお、これらのイソシアネート化合物は市販のものを用いることができる。
[ブロック剤(C)]
 本実施形態に係るブロックドウレタンは、活性イソシアネート基をブロック剤で保護するが、そのブロック剤は特に限定されない。例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メチル等の単官能フェノール系;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールE、ビスフェノールZ、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ビスフェノールアセトフェノン、ビスフェノールトリメチルシクロヘキサン、ビスフェノールフルオレン、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラ-t-ブチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールS等のビスフェノール類;ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジメチルビフェノール、テトラ-t-ブチルビフェノール等のビフェノール類;ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン等のベンゼンジオール類(ここで、「ベンゼンジオール類」とは、1個のベンゼン環を有する化合物であって、当該ベンゼン環に2個の水酸基が直接結合した化合物である。);ジヒドロアントラハイドロキノン等のジヒドロアントラハイドロキノン類;ジヒドロキシジフェニルエーテル等のジヒドロキシジフェニルエーテル類;チオジフェノール等のチオジフェノール類;ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;ジヒドロキシスチルベン等のジヒドロキシスチルベン類;α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α,α-ジメチルベンジル)-エチルベンゼン、4,4’,4''-トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,4''-エチリジントリス(2-メチルフェノール)、4,4’-(2-ヒドロキシベンジリデン)ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、2,3,4-トリヒドロキシジフェニルメタン、2,4,6-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’-(1-{4-[1-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1-メチルエチル]フェニル}エチリデン)ビス(2-メチルフェノール)、2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジル)-4-メチルフェノール等の多官能フェノール系;ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等のラクタム系;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコール等の脂肪族アルコール系;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール等のエーテル系;ベンジルアルコール、グリコール酸、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート等のアルコール系;ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系;ブチルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、2-メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N-フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミン等アミン系;イミダゾール、2-エチルイミダゾール等のイミダゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素等の尿素系;N-フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸エステル系;エチレンイミン、プロピレンイミン等のイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリ等の亜硫酸塩系;アゾール系の化合物等が挙げられる。上記アゾール系の化合物としては、ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、3-メチルピラゾール、4-ベンジル-3,5-ジメチルピラゾール、4-ニトロ-3,5-ジメチルピラゾール、4-ブロモ-3,5-ジメチルピラゾール、3-メチル-5-フェニルピラゾール等のピラゾール又はピラゾール誘導体;イミダゾール、ベンズイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール等のイミダゾール又はイミダゾール誘導体;2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾリン誘導体等が挙げられる。
 なお、得られるブロックドウレタンの貯蔵安定性に優れる点で、ブロックドウレタンのウレタンプレポリマー鎖の末端がフェノール化合物由来の構造を有することが好ましいことから、ブロック剤(C)の中でも、単官能フェノール系、多官能フェノール系のブロック剤を用いることが好ましい。なお、ブロック剤は市販のものを用いることができる。
[ブロックドウレタンの製造方法]
 本実施形態に係るブロックドウレタンの製造方法は、一般的に用いられる方法であれば特に限定されないが、例えば、式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールを含むポリオール(A)と、ポリイソシアネート化合物(B)を反応させてウレタンプレポリマーを得る工程(以下、プレポリマー化工程とする)と、前記ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基を、ブロック剤(C)でブロックする工程(以下、ブロック化工程とする)を経ることによって製造される。
<プレポリマー化工程>
 プレポリマー化工程では、ポリオール(A)と、ポリオール(A)の水酸基当量に対して過剰当量のポリイソシアネート化合物(B)とを反応させて、分子鎖末端がイソシアネート基であるプレポリマーを製造する。
 プレポリマー化工程におけるポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基と、ポリオール(A)に由来する水酸基とのモル比(ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基/ポリオール(A)に由来する水酸基)は、1.2~5.0であることが好ましく、1.4~3.0であることがさらに好ましく、1.6~2.0であることが特に好ましい。上記範囲内とすることで、ブロックドウレタンとしての官能基数の減少及びプレポリマー化工程における未反応のポリイソシアネートのモノマーの残存量の増加を抑制し、強化剤としての性能を十分に発揮させることができる。
 前記ポリオール(A)は1種類でもよいが、ポリオール(A)が、少なくとも2種類のポリオール(A-1)、(A-2)を含むことが好ましい。ポリオール(A-1)及び(A-2)は式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールであれば特に限定されないが、ポリオール(A-1)として、式(1)で表され、nが7以上30以下であり、好ましくはnが7.5以上20以下、より好ましくはnが8以上15以下であるポリエーテルポリカーボネートジオールと、ポリオール(A-2)として、式(1)で表され、nが2以上7未満であり、好ましくはnが2.5以上6以下、より好ましくはnが3以上5以下であるポリエーテルポリカーボネートジオールを使用することが好ましい。nが上記の範囲内である2種類のポリオール(A-1)、(A-2)を使用することで、得られるブロックドウレタンの靭性改質効果を向上させることができる。
 プレポリマー化工程は、必要に応じて、触媒を添加することもできる。触媒としては例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N-エチルモルフォリン、トリエチレンジアミンなどのアミン系触媒、又は酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等の酸系触媒、トリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジオクチルチンジネオデカネートなどのスズ系の化合物、さらにはチタン系化合物などの有機金属塩などに代表される公知の触媒を用いる事ができる。触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 前記触媒の添加量は、前記ポリウレタン樹脂の総量100重量部に対し、1ppm以上3000ppm以下とすることが好ましい。
<ブロック化工程>
 ブロック化工程では、プレポリマー化工程で製造した、分子鎖末端がイソシアネート基であるプレポリマーの末端イソシアネート基を、ブロック剤(C)でブロックすることで、ブロックドウレタンを製造する。
 ブロック化工程におけるブロック剤(C)と、プレポリマーの末端イソシアネート基モル比(ブロック剤(C)/プレポリマーの末端イソシアネート基)は、1.0~5.0であることが好ましく、1.1~3.0であることがさらに好ましく、1.2~2.0であることが特に好ましい。上記下限未満であると、プレポリマーのイソシアネート基が残存し、ブロックドウレタンの貯蔵安定性、及び硬化性組成物のポットライフが短くなる。上記上限を超えると、ブロック剤のモノマー残存量が多くなり、接着剤として使用した際の接着性を損なうため、好ましくない。
 ブロック化工程は、必要に応じて、触媒を添加することもできる。触媒としては例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N-エチルモルフォリン、トリエチレンジアミンなどのアミン系触媒、又は酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等の酸系触媒、トリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジオクチルチンジネオデカネートなどのスズ系の化合物、さらにはチタン系化合物などの有機金属塩などに代表される公知の触媒を用いる事ができる。触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいし、プレポリマー化工程と同一のものを使用してもよく、異なるものを使用してもよい。
 前記触媒の添加量は、前記ポリウレタン樹脂の総量100重量部に対し、1ppm以上3000ppm以下とすることが好ましい。
[ブロックドウレタン組成物]
 本実施形態に係るブロックドウレタンは、1種類でもよいが、少なくとも2種類のブロックドウレタン(I)及び(II)を含むブロックドウレタン組成物であり、前記ブロックドウレタン(I)は、ポリオール(A-1)’に由来する構造単位、及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンであり、前記ブロックドウレタン(II)は、ポリオール(A-2)’に由来する構造単位、及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンであることが好ましい。
 ポリオール(A-1)’及び(A-2)’は式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールであれば特に限定されないが、ポリオール(A-1)’として、式(1)で表され、nが7以上30以下であり、好ましくはnが7.5以上20以下、より好ましくはnが8以上15以下であるポリエーテルポリカーボネートジオールと、ポリオール(A-2)’として、式(1)で表され、nが2以上7未満であり、好ましくはnが2.5以上6以下、より好ましくはnが3以上5以下であるポリエーテルポリカーボネートジオールを使用することが好ましい。nが上記の範囲内である2種類のポリオール(A-1)’、(A-2)’を使用することで、得られるブロックドウレタンの靭性改質効果を向上させることができる。
 前記ブロックドウレタン組成物において、ブロックドウレタン(I)とブロックドウレタン(II)の含有割合は重量比で、1:9~9:1の範囲であることが好ましく、2:8~8:2とすることがより好ましい。上記範囲内とすることで、靭性改質効果を向上させる効果が得られる。
 また、前記ブロックドウレタン組成物は、必要に応じて、その他の成分等を適宜配合することができる。
[ブロックドウレタン組成物の製造方法]
 本実施形態に係るブロックドウレタン組成物は、上述するブロックドウレタンの製造方法に基づいて製造された少なくとも2種類のブロックドウレタン(I)とブロックドウレタン(II)を混合する工程を経ることによって、製造されることが好ましい。前記ブロックドウレタン(I)は、ポリオール(A-1)’に由来する構造単位、及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンであり、前記ブロックドウレタン(II)は、ポリオール(A-2)’に由来する構造単位、及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンである。
 ポリオール(A-1)’及び(A-2)’は式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールであれば特に限定されないが、ポリオール(A-1)’として、式(1)で表され、nが7以上30以下であり、好ましくはnが7.5以上20以下、より好ましくはnが8以上15以下であるポリエーテルポリカーボネートジオールと、ポリオール(A-2)’として、式(1)で表され、nが2以上7未満であり、好ましくはnが2.5以上6以下、より好ましくはnが3以上5以下であるポリエーテルポリカーボネートジオールを使用することが好ましい。nが上記の範囲内である2種類のポリオール(A-1)’、(A-2)’を使用することで、得られるブロックドウレタンの靭性改質効果を向上させることができる。
[樹脂組成物]
 本実施形態に係る樹脂組成物は、前記ブロックドウレタン又はブロックドウレタン組成物と、エポキシ樹脂(D)及び硬化剤(E)を含むものである。また、本実施形態に係る硬化性組成物には、必要に応じて、他の硬化促進剤、その他の成分等を適宜配合することができる。
[エポキシ樹脂(D)]
 本実施形態に係る樹脂組成物に使用されるエポキシ樹脂(D)は、2官能以上のエポキシ基を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、その他の多官能フェノール型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、上記芳香族エポキシ樹脂の芳香環を水素添加したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等が挙げられる。
 工業的な入手性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましい。
 以上に挙げた他のエポキシ樹脂は、1種のみで用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、エポキシ樹脂に加えて、さらに反応性希釈剤を用いることもできる。
 本実施形態に係る樹脂組成物における、エポキシ樹脂(D)に対する前記ブロックドウレタンの配合量は、エポキシ樹脂(D)とブロックドウレタンの総重量に対して5~80重量%が好ましく、10~70重量%がより好ましく、20~50重量%が特に好ましい。前記ブロックドウレタンの配合量を、上記範囲内とすることで、本実施形態に係るブロックドウレタンの強化剤としての効果を向上させ、かつエポキシ樹脂由来の弾性を保つことができる。
[硬化剤(E)]
 本実施形態に係る樹脂組成物に使用される硬化剤(E)は、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質である。なお、本開示においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
 本実施形態に係る樹脂組成物における硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂成分100重量部に対して、好ましくは0.1~1000重量部であり、より好ましくは100重量部以下であり、さらに好ましくは80重量部以下であり、特に好ましくは60重量部以下である。
 硬化剤のより好ましい量は、硬化剤の種類に応じてそれぞれ以下に記載する。
 本実施形態に係る樹脂組成物に使用される硬化剤(E)は、潜在性硬化剤であることが好ましい。本実施形態において潜在性とは、常温常圧では硬化剤としての作用を示さないが、加熱されると硬化剤として作用する性質をいう。
 本実施形態に係る樹脂組成物において、硬化剤としては多官能フェノール類、ポリイソシアネート系化合物、アミン系化合物、酸無水物系化合物、イミダゾール系化合物、尿素系化合物、アミド系化合物、カチオン重合開始剤、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩及びテトラフェニルボロン塩からなる群のうちの少なくとも1つを用いることが好ましい。
 多官能フェノール類の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールZ、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類;4,4’-ビフェノール、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビフェノール等のビフェノール類;カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン類;及びこれらの化合物の芳香環に結合した水素原子がハロゲン基、アルキル基、アリール基、エーテル基、エステル基、硫黄、リン、珪素等のヘテロ元素を含む有機置換基等の非妨害性置換基で置換されたもの等が挙げられる。
 さらに、これらのフェノール類やフェノール、クレゾール、アルキルフェノール等の単官能フェノール類とアルデヒド類の重縮合物であるノボラック類、レゾール類等が挙げられる。 ポリイソシアネート系化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。さらに、これらのポリイソシアネート化合物と、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、水等の活性水素原子を少なくとも2個有する化合物との反応により得られるポリイソシアネート化合物、又は前記のポリイソシアネート化合物の3~5量体等を挙げることができる。
 アミン系化合物の例としては、脂肪族の一級、二級、三級アミン、芳香族の一級、二級、三級アミン、環状アミン、グアニジン類、尿素誘導体等があり、具体的には、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、メタキシレンジアミン、ジシアンジアミド、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)-5-ノネン、ジメチル尿素、グアニル尿素等が挙げられる。
 酸無水物系化合物の例としては、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水マレイン酸と不飽和化合物の縮合物等が挙げられる。
 イミダゾール系化合物の例としては、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等が挙げられる。なお、イミダゾール系化合物は後述する硬化促進剤としての機能も果たすが、本開示においては硬化剤に分類するものとする。
 前記尿素化合物は、例えば、p-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル尿素、N-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-N’,N’-ジメチル尿素等が挙げられるなお、尿素系化合物は後述する硬化促進剤としての機能も果たすが、本開示においては硬化剤に分類するものとする。
 アミド系化合物の例としては、ジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
 カチオン重合開始剤は、熱又は活性エネルギー線照射によってカチオンを発生するものであり、芳香族オニウム塩等が挙げられる。具体的には、SbF 、BF 、AsF 、PF 、CFSO 2-、B(C 等のアニオン成分とヨウ素、硫黄、窒素、リン等の原子を含む芳香族カチオン成分とからなる化合物等が挙げられる。特に、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩が好ましい。
 有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示され、ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示され、テトラフェニルボロン塩としては、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
 硬化剤として多官能フェノール類、アミン系化合物又は酸無水物系化合物を用いる場合は、硬化性組成物中の全エポキシ基数に対する硬化剤中の官能基数(多官能フェノール類の水酸基数、アミン系化合物のアミノ基数又は酸無水物系化合物の酸無水物基数)が、当量比で1:0.8~1:1.5の範囲となるように用いることが好ましい。
 硬化剤としてポリイソシアネート系化合物を用いる場合、硬化性組成物中の水酸基数に対してポリイソシアネート系化合物中のイソシアネート基数が、当量比で1:0.01~1:1.5の範囲となるように用いることが好ましい。
 硬化剤としてイミダゾール系化合物を用いる場合、エポキシ樹脂成分100重量部に対して0.5~10重量部の範囲で用いることが好ましい。
 硬化剤としてアミド系化合物を用いる場合、エポキシ樹脂成分とアミド系化合物との合計量に対して0.1~20重量%の範囲で用いることが好ましい。
 硬化剤としてカチオン重合開始剤を用いる場合、エポキシ樹脂成分100重量部に対し、0.01~15重量部の範囲で用いることが好ましい。
 硬化剤として有機ホスフィン類、ホスホニウム塩又はテトラフェニルボロン塩を用いる場合エポキシ樹脂成分と有機ホスフィン類、ホスホニウム塩又はテトラフェニルボロン塩との合計量に対して0.1~20重量%の範囲で用いることが好ましい。
 本実施形態に係る硬化性組成物には、以上に挙げた硬化剤の他、例えば、メルカプタン系化合物、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等も硬化剤として用いることができる。
 これらの硬化剤は1種のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 硬化剤としては、硬化性組成物のポットライフを確保する観点から、ジシアンジアミドが好ましい。
[改質剤]
 本実施形態に係る樹脂組成物は、接着剤として用いた際の接着性、靭性を向上させる目的で、本実施形態に係るブロックドウレタン以外の改質剤を含有することができる。改質剤としては例えば、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ゴム粒子などが挙げられる。これら改質剤を用いる場合、1種のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 本実施形態に係る樹脂組成物は、ゴム変性エポキシ樹脂及び/又はウレタン変性エポキシ樹脂(F)を含むことが好ましい。ゴム変性エポキシ樹脂及びウレタン変性エポキシ樹脂の少なくともいずれかと、上記のブロックドウレタンと併用することで、得られる樹脂組成物の靭性改質効果を向上させることができる。
<ゴム変性エポキシ樹脂>
 ゴム変性エポキシ樹脂は、ゴムとエポキシ基含有化合物とを反応させて得た、1分子当り平均して、エポキシ基を1.1個以上、好ましくは2個以上有する反応生成物であり、ゴムとしては,例えば、ポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル基末端NBR(CTBN)が挙げられる。
 ゴム変性エポキシ樹脂は、得られる樹脂組成物の靭性改質効果の観点から、カルボキシ末端ブタジエン-ニトリル共重合体エポキシ樹脂や、アクリロニトリルブタジエン共重合変性エポキシ樹脂が好ましい。
 ゴム変性エポキシ樹脂はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
 ゴム変性エポキシ樹脂はその製造について特に制限されない。例えば、多量のエポキシ中でゴムとエポキシとを反応させて製造することができる。ゴム変性エポキシ樹脂を製造する際に使用されるエポキシ(例えば、エポキシ樹脂)は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
 ゴム変性エポキシ樹脂は、市販品を使用してもよく、具体的には、例えば、EPR-1630(ADEKA社製)等を使用することができる。
<ウレタン変性エポキシ樹脂>
 ウレタン変性エポキシ樹脂は、イソシアネート基との反応性を有する基とエポキシ基とを含有する化合物と、イソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーを反応させて得た、1分子当り平均して、エポキシ基を1.1個以上、好ましくは2個以上有する反応生成物である。例えば、ヒドロキシ基含有エポキシ化合物とウレタンプレポリマーを反応させることにより、ウレタン変性エポキシ樹脂が得られる。
 ウレタン変性エポキシ樹脂はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
 ウレタン変性エポキシ樹脂はその製造について特に制限されない。例えば、多量のエポキシ(例えば、エポキシ樹脂)中でウレタンとエポキシとを反応させて製造することができる。ウレタン変性エポキシ樹脂を製造する際に使用されるエポキシは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
 ウレタン変性エポキシ樹脂は、市販品を使用してもよい。
 本実施形態に係る樹脂組成物における、ゴム変性エポキシ樹脂及び/又はウレタン変性エポキシ樹脂の配合量は、エポキシ樹脂(ゴム変性エポキシ樹脂及び/又はウレタン変性エポキシ樹脂を含む)100重量部に対して5~80重量部が好ましく、10~70重量部がより好ましく、20~50重量部が特に好ましい。ゴム変性エポキシ樹脂及び/又はウレタン変性エポキシ樹脂の配合量を、上記範囲内とすることで、本実施形態に係る樹脂組成物の靭性改質効果を向上させ、かつエポキシ樹脂由来の弾性を保つことができる。
[ポリマー微粒子(G)]
 本実施形態に係る樹脂組成物は、さらにポリマー微粒子(G)を含むことが好ましい。エポキシ樹脂に、上記のブロックドウレタンとポリマー微粒子(G)を強化剤として併用することで、得られる樹脂組成物の靭性改質効果を向上させることができる。
 ポリマー微粒子(G)の体積平均粒子径(Mv)は、1nm~50μmであることが好ましく、工業的生産性を考慮すると、5nm~10μmがより好ましく、10nm~1μmがさらに好ましく、50nm~500nmが特に好ましい。ポリマー微粒子の体積平均粒子径を前記範囲とすることで、靭性改質効果を向上し、かつ高度に安定した樹脂組成物を得ることができるという利点を有する。
 なお、本明細書において、「ポリマー微粒子(G)の体積平均粒子径(Mv)」とは、特に言及する場合を除き、ポリマー微粒子(G)の1次粒子の体積平均粒子径を意図する。ポリマー微粒子(G)の体積平均粒子径(Mv)は、ポリマー微粒子(G)を含む水性ラテックスを試料として、動的光散乱式粒子径分布測定装置(例えばマイクロトラックUPA150(日機装株式会社製))を用いて測定することができる。また、ポリマー微粒子(G)の体積平均粒子径は、硬化性樹脂組成物の硬化物を切断し、切断面を、電子顕微鏡などを用いて撮像し、得られた撮像データ(撮像画像)を用いて測定することもできる。
 ポリマー微粒子(G)は、分散している方が好ましいが、分散していなくてもよい。
 得られる樹脂組成物の取扱いやすさ、及び靭性改良効果のバランスから、ポリマー微粒子(G)の含有量はエポキシ樹脂100重量部に対して、ポリマー微粒子は1~80重量部が好ましく、5~50重量部がより好ましく、10~40重量部が特に好ましい。
 本実施形態に係るポリマー微粒子(G)はゴム含有グラフト共重合体を含むことが好ましい。ここで、ゴム含有グラフト共重合体とは、弾性体と当該弾性体に対してグラフト結合されたグラフト部とを有するものを指す。
 本実施形態に係るゴム含有グラフト共重合体に関する、弾性体、グラフト部等の詳細内容については、特開2020-164601号公報に記載された内容を挙げることができる。
 ゴム含有グラフト共重合体は市販品を使用してもよく、例えば、カネエースMX-154(株式会社カネカ製)等を使用することができる。
 ゴム含有グラフト共重合体は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
 本実施形態に係るポリマー微粒子(G)は、ゴム含有グラフト共重合体と、ゴム含有グラフト共重合体以外のポリマー微粒子を併用してもよい。
 ゴム含有グラフト共重合体と、ゴム含有グラフト共重合体以外のポリマー微粒子を併用する場合、本実施形態に係るポリマー微粒子全体のうち、ゴム含有グラフト共重合体の占める合計の重量割合は10%以上が好ましく、30%以上がさらに好ましい。
[その他の成分]
 本実施形態に係る樹脂組成物には、以上に挙げた成分の他にその他の成分を含有することができる。その他の成分としては、例えば、硬化促進剤(前記硬化剤に該当するものを用いてもよい。)、カップリング剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料、無機充填材、有機充填材(ただし、前記改質剤に該当するものを除く)等が挙げられる。以上に挙げたその他の成分は、エポキシ樹脂含有組成物の所望の物性により適宜組み合わせて用いることができる。
[用途]
 本実施形態の樹脂組成物は、剥離強度が高く、本実施形態の樹脂組成物を硬化させてなる硬化物は、接着強度も高く信頼性に優れている。
 従って、本実施形態の樹脂組成物及びその硬化物は、これらの物性が求められる用途であれば、いかなる用途にも有効に用いることができる。例えば、自動車用電着塗料、船舶・橋梁用重防食塗料、飲料用缶の内面塗装用塗料等の塗料分野;積層板、半導体封止材、絶縁粉体塗料、コイル含浸用等の電気・電子分野;橋梁の耐震補強、コンクリート補強、建築物の床材、水道施設のライニング、排水・透水舗装、車両・航空機用接着剤等の土木・建築・接着剤分野等の用途のいずれにも好適に用いることができる。これらの中でも特に接着剤の用途に有用である。
 以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔原料等〕
 以下の実施例及び比較例において用いた原料、触媒、架橋剤、溶媒及び溶剤は以下の通りである。
[ポリオール(A)]
A-1a:ポリエーテルポリカーボネートジオール(三菱ケミカル株式会社製 PEPCD NT2006(構成モノマー PTMG650(n=9) 数平均分子量 2000))
A-2a:ポリエーテルポリカーボネートジオール(三菱ケミカル株式会社製 PEPCD NT2002(構成モノマー PTMG250(n=3.5) 数平均分子量 2000))
A-2b:ポリエーテルポリカーボネートジオール(三菱ケミカル株式会社製 PEPCD NT1002(構成モノマー PTMG250(n=3.5) 数平均分子量 1000))
(その他のポリオール)
PTMG:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱ケミカル株式会社製 PTMG2000(数平均分子量 2000))
[ポリオールの数平均分子量]
 ポリオールの水酸基価をアメリカ材料試験協会(ASTM)に準じて、テトラヒドロフラン溶液としてp-トルエンスルホニルイソシアネートで、水酸基をウレタン化し、過剰のウレタン化試薬は水によって加水分解し、試料水酸基から生成したスルホニルアミドエステルを塩基で滴定して求めた。
 得られた水酸基価から、下記式(I)により数平均分子量(Mn)を求めた。
 数平均分子量=2×56.1/(水酸基価×10-3)   …(I)
[ポリイソシアネート化合物(B)]
B-1:イソホロンジイソシアネート(東京化成工業株式会社製)
B-2:ヘキサメチレンジイソシアネート(富士フイルム和光純薬株式会社製)
[ブロック剤(C)]
C-1:p―t―ブチルフェノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)
C-2:ジアリルビスフェノールA(大和化成工業株式会社製 DABPA)
[エポキシ樹脂(D)]
D-1:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製 jER828エポキシ当量 186g/eq)
[硬化剤(E)]
E-1:ジシアンジアミド(三菱ケミカル株式会社製 DICY7)
[ゴム変性エポキシ樹脂(F)]
F-1:カルボキシ基末端ブタジエンアクリロニトリル共重合体変性エポキシ樹脂(株式会社ADEKA ADEKAレジンEPR-1630)
[ポリマー微粒子(G)]
G-1:カネエースMX-154(体積平均粒子径 220nm)(株式会社カネカ)
[硬化促進剤]
DCМU:3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素(東京化成工業株式会社製)
〔評価方法〕
 以下の実施例及び比較例における評価方法は以下の通りである。
[貯蔵安定性]
 実施例1~6、比較例1のブロックドウレタンを、23℃で14日間保管した際の、結晶析出の有無を目視で確認した。
[T型剥離試験(JIS K6854-3(ISO11339))]
 実施例7~18、および比較例2~4で得られた樹脂組成物を60℃前後に加温し、あらかじめ防錆油(日本工作油社製P-5960)を塗布してある鋼板の片面に塗布し、同じく防錆油を塗布してある鋼板を重ね、クリップ等で固定した。あらかじめ170℃に設定したオーブンに接着剤を塗布した鋼板を入れ、再び170℃に戻ってから20分養生し、経過時間直後にオーブンから取り出した。はみ出した接着剤のバリ取りなど成型し、23℃で養生し、インストロン万能引張試験機で測定した。
 また、実施例19~21、および比較例5で得られた樹脂組成物を60℃前後に加温し、あらかじめ防錆油(日本工作油社製P-5960)を塗布してある鋼板の片面に塗布し、同じく防錆油を塗布してある鋼板を重ね、クリップ等で固定した。あらかじめ170℃に設定したオーブンに接着剤を塗布した鋼板を入れ、再び170℃に戻ってから20分養生し、経過時間直後にオーブンから取り出した。はみ出した接着剤のバリ取りなど成型し、23℃及び-30℃で養生し、インストロン万能引張試験機で測定した。
〔ブロックドウレタンの製造〕
(実施例1)
 ポリエーテルポリカーボネートジオール(三菱ケミカル株式会社製 PEPCD NT2006)(A-1a)90重量部、イソホロンジイソシアネート(東京化成工業株式会社製)(B-1)20重量部を、0.5Lフラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下60℃に昇温した。次いでウレタン化触媒としてネオスタンU-830(以下「U-830」と称することがある。日東化成株式会社製)0.0045g(ポリエーテルポリカーボネートジオールに対し50重量ppm)をセパラブルフラスコに添加し、発熱がおさまってから85℃まで昇温し、さらに2時間程度撹拌した。イソシアネート基の濃度を分析し、イソシアネート基が理論量消費されたことを確認した。次いで、p-t-ブチルフェノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)(C-1)16重量部、ブロック化触媒としてU-830 0.0135g(ポリエーテルポリカーボネートジオールに対し150重量ppm)をセパラブルフラスコに添加し、95℃まで昇温した後、撹拌しながらIRでのNCO基由来のピークが消失するまで反応を行い、ブロックドウレタンNo.(1)を得た。
(実施例2~6)
 ポリオール(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、ブロック剤(C)を、表-1に記載の原料と重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてブロックドウレタンを製造し、ブロックドウレタンNo.(2)-(6)を得た。
(比較例1)
 ポリエーテルポリカーボネートジオールの代わりに、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを使用した。また、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、イソホロンジイソシアネート(B-1)、p-t-ブチルフェノール(C-1)を、表-1に記載の重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてブロックドウレタンを製造し、ブロックドウレタンNo.(7)を得た。
 実施例1~6、比較例1でそれぞれ得られたブロックドウレタンNo.(1)-(7)について、前述するように貯蔵安定性試験にて貯蔵安定性評価を行い、その結果を表-1に示した。
〔樹脂組成物の評価〕
(実施例7)
 実施例1で製造したブロックドウレタンNo.(1)20質量部、エポキシ樹脂(D-1)80重量部、硬化剤(E-1)6重量部、硬化促進剤としてDCMU 1.5重量部、スペーサーとして、粒径約100μmガラスビーズJ-100 0.5重量部を混合し、樹脂組成物を得た。
(実施例8~17、比較例2,3)
 ブロックドウレタン、エポキシ樹脂(D)、硬化剤(E)、硬化促進剤を、表-2に記載の原料と重量部に変更した以外は、実施例7と同様の手法により樹脂組成物を得た。
 実施例8~17、比較例2、3でそれぞれ得られた樹脂組成物について、前述するようにT型剥離試験にて接着性評価を行い、その結果を表-2に示した。
(実施例18)
 実施例1で製造したブロックドウレタンNo.(1)10重量部、実施例4で製造したブロックドウレタンNo.(4)10重量部、エポキシ樹脂(D-1)60重量部、ゴム変性エポキシ樹脂(F-1)20重量部、硬化剤(E-1)6重量部、硬化促進剤としてDCMU 1.5重量部、スペーサーとして、粒径約100μmガラスビーズJ-100 0.5重量部を混合し、樹脂組成物を得た。
(比較例4)
 エポキシ樹脂(D-1)80重量部、ゴム変性エポキシ樹脂(F-1)20重量部、硬化剤(E-1)6重量部、硬化促進剤としてDCMU 1.5重量部、スペーサーとして、粒径約100μmガラスビーズJ-100 0.5重量部を混合し、樹脂組成物を得た。
 実施例18、比較例4でそれぞれ得られた樹脂組成物について、前述するようにT型剥離試験にて接着性評価を行い、その結果を表-3に示した。
(実施例19)
 実施例1で製造したブロックドウレタンNo.(1)20重量部、エポキシ樹脂(D-1)60重量部、ポリマー微粒子(G-1)20重量部、硬化剤(E-1)6重量部、硬化促進剤としてDCMU 1.5重量部、スペーサーとして、粒径約100μmガラスビーズJ-100 0.5重量部を混合し、樹脂組成物を得た。
(実施例20、21)
 ブロックドウレタンを、表-4に記載の原料と重量部に変更した以外は、実施例19と同様の方法にて樹脂組成物を得た。
(比較例5)
 エポキシ樹脂(D-1)80重量部、ポリマー微粒子(G-1)20重量部、硬化剤(E-1)6重量部、硬化促進剤としてDCMU 1.5重量部、スペーサーとして、粒径約100μmガラスビーズJ-100 0.5重量部を混合し、樹脂組成物を得た。
 実施例19~21、比較例5でそれぞれ得られた樹脂組成物について、前記の方法のT型剥離試験にて接着性評価を行い、その結果を表-4に示した。
[評価結果]
 以上から分かるように、特定の構造単位を含むブロックドウレタンは貯蔵安定性が良好であり、強化剤として用いることでエポキシ樹脂の靭性を改善し、安定した凝集破壊をもたらすといえる。好ましい形態では、よりエポキシ樹脂の靭性が向上し、低温でも良好な靭性が得られる。
 本発明のブロックドウレタンによれば、接着試験の際の界面破壊を抑制し、エポキシ樹脂の靭性を向上することができるため、接着剤に好適に用いることができる。

Claims (15)

  1.  ポリオール(A)に由来する構造単位及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンであって、前記ポリオール(A)が下記式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールを含む、ブロックドウレタン。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    (上記式(1)において、Rは炭素数2~10の二価の炭化水素基を表し、nは2~30であり、mは1~20である。なお、式(1)中、複数のRは同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のnは同一であってもよく、異なるものであってもよい。)
  2.  前記ポリオール(A)が、少なくとも2種類のポリオール(A-1)、(A-2)を含む、請求項1に記載のブロックドウレタン。
  3.  前記ポリオール(A)中に含まれるすべてのポリオールの重量に対し、前記式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールの重量割合が50%以上である、請求項1に記載のブロックドウレタン。
  4.  前記式(1)におけるRがn-ブチレン基である、請求項1に記載のブロックドウレタン。
  5.  前記式(1)におけるnが4~20である請求項1に記載のブロックドウレタン。
  6.  前記ブロックドウレタンのウレタンプレポリマー鎖の末端がフェノール化合物由来の構造である、請求項1に記載のブロックドウレタン。
  7.  少なくとも2種類の請求項1に記載のブロックドウレタン(I)、(II)を含み、前記ブロックドウレタン(I)は、ポリオール(A-1)’に由来する構造単位、及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンであり、前記ブロックドウレタン(II)は、ポリオール(A-2)’に由来する構造単位、及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンである、ブロックドウレタン組成物。
  8.  請求項1~6のいずれか1項に記載のブロックドウレタン、又は請求項7に記載のブロックドウレタン組成物と、エポキシ樹脂(D)と、硬化剤(E)を含む樹脂組成物。
  9.  さらに、ゴム変性エポキシ樹脂及び/又はウレタン変性エポキシ樹脂(F)を含む、請求項8に記載の樹脂組成物。
  10.  さらに、ポリマー微粒子(G)を含む、請求項8に記載の樹脂組成物。
  11.  請求項8に記載の樹脂組成物を硬化させてなる、硬化物。
  12.  請求項8に記載の樹脂組成物を含む、接着剤。
  13.  ブロックドウレタンの製造方法であって、下記式(1)で表されるポリエーテルポリカーボネートジオールを含むポリオール(A)と、ポリイソシアネート化合物(B)を反応させてウレタンプレポリマーを得る工程と、ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基を、ブロック剤(C)でブロックする工程を含む、ブロックドウレタンの製造方法。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
    (上記式(1)において、Rは炭素数2~10の二価の炭化水素基を表し、nは2~30であり、mは1~20である。なお、式(1)中、複数のRは同一であってもよく、異なるものであってもよく、複数のnは同一であってもよく、異なるものであってもよい。)
  14.  前記ポリオール(A)が、少なくとも2種類のポリオール(A-1)と(A-2)とを含む、請求項13に記載のブロックドウレタンの製造方法。
  15.  請求項13に記載のブロックドウレタンの製造方法によって得られた、少なくとも2種類のブロックドウレタン(I)、(II)を混合する工程をさらに含み、前記ブロックドウレタン(I)は、ポリオール(A-1)’に由来する構造単位、及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンであり、前記ブロックドウレタン(II)は、ポリオール(A-2)’に由来する構造単位、及びポリイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位を含むブロックドウレタンである、ブロックドウレタン組成物の製造方法。
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