WO2024047809A1

WO2024047809A1 - 電子制御装置

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Publication number: WO2024047809A1
Application number: PCT/JP2022/032830
Authority: WO
Inventors: 章瀧井; 俊明高井; 祐輝中村
Original assignee: 日立Astemo株式会社
Priority date: 2022-08-31
Filing date: 2022-08-31
Publication date: 2024-03-07

Abstract

電子制御装置に備えられた複数の回路基板の何れに搭載された電子部品に対しても網羅的にノイズ対策を行うことを目的とする。電子制御装置１００は、それぞれの電子部品８の搭載面４ａ，５ａが間隔を空けて対向配置された第１回路基板４及び第２回路基板５を備える。更に、実施形態１の電子制御装置１００は、第１回路基板４及び第２回路基板５の間隔に配置され、ノイズを遮蔽する遮蔽部材９と、第１回路基板４及び第２回路基板５と遮蔽部材９とを接続する導電部材１０ａ，１０ｂと、を備える。遮蔽部材９は、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれに搭載された電子部品８の周りを全周に亘って囲み、当該間隔に応じた幅を有する閉路を形成する枠体である。

Description

電子制御装置

　本発明は、電子制御装置に関する。

　車両を制御する電子制御装置は、制御指令を出力するメイン電子制御装置と、メイン電子制御装置からの制御指令に基づいてエンジン制御、自動ブレーキ制御及び表示制御等をそれぞれ行う複数のサブ電子制御装置とによって構成される。また、車両には、外界状況（道路状況等）を認識するための多くのセンサが搭載されている。電子制御装置は、メイン電子制御装置に接続されるサブ電子制御装置がセンサ信号を処理しながら、車両制御を行っている。

　メイン電子制御装置又はサブ電子制御装置は、何らかの異常を起こした場合でも各電子制御装置において基本的な機能を提供して車両走行に影響がない仕組みが搭載されており、各機能の冗長性が担保されている。電子制御装置では、冗長性を含む多機能化が進み、複数の回路基板を備える構成が考えられる。また、電子制御装置の各回路基板は、多機能化により、動作周波数が高いマイコンやＤＤＲメモリが複数使用され、発熱する電子部品も多くなる可能性が高い。これにより、電子制御装置では、ノイズ対策や熱対策が必須となる。

　本技術分野における先行技術文献として特許文献１がある。特許文献１には、高周波回路基板と、高周波回路基板の表面全体を覆うシールドケースと、を備える高周波通信装置が記載されている。

特許第６０１２２２０号公報

　特許文献１に記載の高周波通信装置は、シールドケースが高周波回路基板の表面全体を覆うことから、高周波回路基板に搭載された電子部品のノイズ対策を行うことができるものの、制御回路基板に搭載された電子部品のノイズ対策については改善の余地がある。

　本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、電子制御装置に備えられた複数の回路基板の何れに搭載された電子部品に対しても網羅的にノイズ対策を行うことを目的とする。

　上記課題を解決するために、本発明の電子制御装置は、それぞれの電子部品の搭載面が間隔を空けて対向配置された第１回路基板及び第２回路基板と、前記第１回路基板及び前記第２回路基板の前記間隔に配置され、ノイズを遮蔽する遮蔽部材と、前記第１回路基板及び前記第２回路基板と前記遮蔽部材とを接続する導電部材と、を備え、前記遮蔽部材は、前記第１回路基板及び前記第２回路基板のそれぞれに搭載された前記電子部品の周りを全周に亘って囲み前記間隔に応じた幅を有する閉路を形成する枠体であることを特徴とする。

　本発明によれば、電子制御装置に備えられた複数の回路基板の何れに搭載された電子部品に対しても網羅的にノイズ対策を行うことができる。
　上記以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

実施形態１の電子制御装置の分解斜視図。図１に示す電子制御装置の断面図。遮蔽部材の構成図。実施形態２の電子制御装置の分解斜視図。図４に示す電子制御装置の断面図。遮蔽部材、放熱板及びヒートシンクの構成図。

　以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、各実施形態において同一の符号を付された構成については、特に言及しない限り、各実施形態において同様の機能を有し、その説明を省略する。

［実施形態１］
　図１～図３を用いて、実施形態１の電子制御装置１００について説明する。図１は、実施形態１の電子制御装置１００の分解斜視図である。図２は、図１に示す電子制御装置１００の断面図である。図３は、遮蔽部材９の構成図である。

　電子制御装置１００は、複数の回路基板を備える電子制御装置である。電子制御装置１００は、車両に搭載され、車両を制御するＥＣＵ（Electronic Control Unit）であってもよい。

　電子制御装置１００は、筐体１，２と、第１回路基板４及び第２回路基板５と、電子部品８と、遮蔽部材９と、導電部材１０ａ，１０ｂと、ブラケット１１と、を備える。

　筐体１，２は、第１回路基板４及び第２回路基板５、遮蔽部材９並びに導電部材１０ａ，１０ｂを収容する。筐体１，２は、中空の直方体状に形成される。筐体１，２は、金属製又は樹脂製である。筐体１，２は、筐体１，２の４つの壁部及び天井部を構成する筐体ベース１と、筐体１，２の床部を構成する筐体カバー２とから成る。筐体１，２の壁部、すなわち、筐体ベース１の１つの壁部は、外部機器に接続される外部コネクタ６を露出させる開口部３を有する。外部コネクタ６は、第１回路基板４の搭載面４ａに搭載され、ハーネス又はケーブルを介して外部機器に接続される。

　第１回路基板４及び第２回路基板５は、それぞれの電子部品８の搭載面４ａ，５ａが間隔を空けて対向配置される。第１回路基板４及び第２回路基板５は、互いに平行に配置される。電子部品８は、マイコン及びＤＤＲメモリ等の半導体素子である。第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれは、複数の電子部品８を搭載する。第１回路基板４及び第２回路基板５には、グランドの回路パターンが設けられている。第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれには、当該グランドとして、シグナルグランド１２及びフレームグランド１３が設けられる。或いは、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれには、シグナルグランド１２だけが設けられていてもよい。

　第１回路基板４及び第２回路基板５は、基板間コネクタ７によって互いに接続される。第１回路基板４及び第２回路基板５は、スペーサ１４によって互いの間隔が保持されている。スペーサ１４は、例えば、一端が第１回路基板４にねじ等により締結され、他端が第２回路基板５にねじ等により締結される高剛性の棒状部材である。スペーサ１４は、遮蔽部材９に固定される。

　遮蔽部材９は、第１回路基板４及び第２回路基板５の間隔に配置され、ノイズを遮蔽する部材である。遮蔽部材９は、アルミ、銅、炭素繊維、導電性樹脂、又は、非導電性材料の表面に導電性樹脂を被覆した材料を用いて形成される。遮蔽部材９は、筐体１，２に接続され固定される。

　遮蔽部材９は、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれに搭載された電子部品８の周りを全周に亘って囲み、第１回路基板４及び第２回路基板５の間隔に応じた幅を有する閉路を形成する枠体である。遮蔽部材９は、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれに搭載された電子部品８の周りを全周に亘って囲み、第１回路基板４及び第２回路基板５と協働して、第１回路基板４及び第２回路基板５の間隔に閉空間を形成する。例えば、遮蔽部材９は、複数の遮蔽板によって構成されてもよい。図１及び図３には、遮蔽部材９が、矩形の第１回路基板４及び第２回路基板５の各辺に沿って設けられた４つの遮蔽板によって構成されている例が示されている。１つの遮蔽板は、第１回路基板４及び第２回路基板５が互いに離隔又は近接する方向（第１回路基板４又は第２回路基板５の法線方向）と、第１回路基板４及び第２回路基板５の一辺に沿った方向とに延びる遮蔽板である。

　遮蔽部材９が囲む電子部品８の数は、特に限定されない。すなわち、遮蔽部材９は、第１回路基板４に搭載された一部又は全部の電子部品８の周りを全周に亘って囲むと共に、第２回路基板５に搭載された一部又は全部の電子部品８の周りを全周に亘って囲む。

　導電部材１０ａ，１０ｂは、第１回路基板４及び第２回路基板５と遮蔽部材９とを接続する部材である。導電部材１０ａ，１０ｂは、遮蔽部材９と同一の材料を用いて遮蔽部材９と一体的に形成されてもよい。導電部材１０ａ，１０ｂは、遮蔽部材９の第１回路基板４側の第１端面９ａと第１回路基板４の搭載面４ａとを接続する第１導電部材１０ａと、遮蔽部材９の第２回路基板５側の第２端面９ｂと第２回路基板５の搭載面５ａとを接続する第２導電部材１０ｂと、を有する。

　第１導電部材１０ａは、第１回路基板４に設けられたグランドに接続される。第２導電部材１０ｂは、第２回路基板５に設けられたグランドに接続される。具体的には、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれにシグナルグランド１２及びフレームグランド１３が設けられている場合、第１導電部材１０ａ及び第２導電部材１０ｂは、それぞれ、第１回路基板４のフレームグランド１３及び第２回路基板５のフレームグランド１３に接続される。第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれにシグナルグランド１２だけが設けられている場合、第１導電部材１０ａ及び第２導電部材１０ｂは、それぞれ、第１回路基板４のシグナルグランド１２及び第２回路基板５のシグナルグランド１２に接続される。

　第１導電部材１０ａは、ノイズを構成する電磁波の波長λの半分（λ／２）以下の距離、又は、波長λの四分の一（λ／４）以下の距離を空けて第１端面９ａに沿って複数配置される。複数の第１導電部材１０ａは、互いに等距離を空けて配置される。第２導電部材１０ｂは、ノイズを構成する電磁波の波長λの半分（λ／２）以下の距離、又は、波長λの四分の一（λ／４）以下の距離を空けて第２端面９ｂに沿って複数配置される。複数の第２導電部材１０ｂは、互いに等距離を空けて配置される。

　電磁波によって構成されるノイズの１つとしては、電子制御装置１００の外部において放射され、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれに搭載された電子部品８を照射しようとするノイズ（以下「照射ノイズ」とも称する）がある。電磁波によって構成されるノイズの１つとしては、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれに搭載された電子部品８において放射され、電子制御装置１００の外部に向かおうとするノイズ（以下「放射ノイズ」とも称する）がある。ノイズを構成する電磁波の波長λは、照射ノイズを構成する電磁波の波長であってもよいし、放射ノイズを構成する電磁波の波長であってもよい。

　車載機器のＥＭＩ（Electromagnetic Interference）の計測に係る規格として、ＣＩＳＰＲ２５が知られている。車載機器である電子制御装置１００は、ＣＩＳＰＲ２５にしたノイズ対策が実施される。放射エミッションの周波数範囲は、０．１５ＭＨｚ～２５００ＭＨｚとなる。例えば、ＣＩＳＰＲ２５の“ＧＬＯＮＡＳＳＬ１”の周波数範囲は、１５９１ＭＨｚ～１６１６ＭＨｚとなり、高周波数といえる。波長λは、下記の式で求められる。
　　波長λ［ｍ］＝伝播速度Ｃ０［ｍ^２／ｓ］／周波数［Ｈｚ］

　ＣＩＳＰＲ２５の“ＧＬＯＮＡＳＳＬ１”の周波数範囲の最大値である１６１６ＭＨｚの波長λは、上記の式から１８５．５［ｍｍ］となる。したがって、１６１６ＭＨｚの放射ノイズを遮蔽したい場合、電子制御装置１００は、複数の第１導電部材１０ａ同士の距離、及び、複数の第２導電部材１０ｂ同士の距離を、それぞれ、例えば、λ／４＝４６［ｍｍ］以下とする。これにより、電子制御装置１００は、第１回路基板４と遮蔽部材９との間を通過しようとする放射ノイズを確実に減衰させることができる。

　ブラケット１１は、電子制御装置１００を車体に固定する。ブラケット１１は、筐体１，２を車体のフレームグランドに接続する。ブラケット１１は、アルミ、銅、炭素繊維、導電性樹脂、又は、非導電性材料の表面に導電性樹脂を被覆した材料を用いて形成される。ブラケット１１は、筐体１，２に接続される。ブラケット１１は、遮蔽部材９に接続される。例えば、ブラケット１１は、筐体ベース１の開口部３が形成されていない壁部を貫通して、遮蔽部材９に接続されてもよい。

　以上のように、実施形態１の電子制御装置１００は、それぞれの電子部品８の搭載面４ａ，５ａが間隔を空けて対向配置された第１回路基板４及び第２回路基板５と、第１回路基板４及び第２回路基板５の間隔に配置され、ノイズを遮蔽する遮蔽部材９と、第１回路基板４及び第２回路基板５と遮蔽部材９とを接続する導電部材１０ａ，１０ｂと、を備える。遮蔽部材９は、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれに搭載された電子部品８の周りを全周に亘って囲み、当該間隔に応じた幅を有する閉路を形成する枠体である。

　これにより、遮蔽部材９は、電子制御装置１００の外部において放射され、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれに搭載された電子部品８を照射しようとする照射ノイズを遮断又は減衰させることができる。遮蔽部材９は、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれに搭載された電子部品８において放射され、電子制御装置１００の外部に向かおうとする放射ノイズを遮断又は減衰させることができる。よって、実施形態１の電子制御装置１００は、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれに搭載された電子部品８に対してＥＭＩ対策及びＥＭＳ対策を効果的に行うことができる。よって、実施形態１の電子制御装置１００は、電子制御装置１００に備えられた複数の回路基板４，５の何れに搭載された電子部品８に対しても網羅的にノイズ対策を行うことができる。

　更に、実施形態１の電子制御装置１００において、導電部材１０ａ，１０ｂは、遮蔽部材９の第１回路基板４側の第１端面９ａと第１回路基板４の搭載面４ａとを接続する第１導電部材１０ａと、遮蔽部材９の第２回路基板５側の第２端面９ｂと第２回路基板５の搭載面５ａとを接続する第２導電部材１０ｂと、を有する。第１導電部材１０ａは、ノイズを構成する電磁波の波長λの半分（λ／２）以下の距離、又は、波長λの四分の一（λ／４）以下の距離を空けて第１端面９ａに沿って複数配置される。第２導電部材１０ｂは、ノイズを構成する電磁波の波長λの半分（λ／２）以下の距離、又は、波長λの四分の一（λ／４）以下の距離を空けて第２端面９ｂに沿って複数配置される。

　これにより、実施形態１の電子制御装置１００は、第１回路基板４と遮蔽部材９との間を完全に閉鎖しなくても、第１回路基板４と遮蔽部材９との間を通過しようとする照射ノイズ又は放射ノイズを確実に減衰させることができる。実施形態１の電子制御装置１００は、第２回路基板５と遮蔽部材９との間を完全に閉鎖しなくても、第２回路基板５と遮蔽部材９との間を通過しようとする照射ノイズ又は放射ノイズを確実に減衰させることができる。よって、実施形態１の電子制御装置１００は、電子制御装置１００に備えられた複数の回路基板４，５の何れに搭載された電子部品８に対しても網羅的且つ容易にノイズ対策を行うことができる。

　更に、実施形態１の電子制御装置１００において、第１導電部材１０ａは、第１回路基板４に設けられたグランドに接続され、第２導電部材１０ｂは、第２回路基板５に設けられたグランドに接続される。

　これにより、実施形態１の電子制御装置１００は、第１回路基板４及び第２回路基板５に設けられた各グランドに照射ノイズを逃がすことができる。実施形態１の電子制御装置１００は、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれに搭載された電子部品８の誤動作又は故障のような、電子制御装置１００の誤動作又は故障を確実に防止することができる。よって、実施形態１の電子制御装置１００は、電子制御装置１００に備えられた複数の回路基板４，５の何れに搭載された電子部品８に対しても網羅的にノイズ対策を行うことができる。

　更に、実施形態１の電子制御装置１００において、遮蔽部材９は、アルミ、銅、炭素繊維、導電性樹脂、又は、非導電性材料の表面に導電性樹脂を被覆した材料等を用いて形成される。

　これにより、実施形態１の電子制御装置１００は、特別な材料を用いることなく遮蔽部材９を形成することができる。よって、実施形態１の電子制御装置１００は、電子制御装置１００に備えられた複数の回路基板４，５の何れに搭載された電子部品８に対しても網羅的且つ容易にノイズ対策を行うことができる。

　更に、実施形態１の電子制御装置１００は、車両に搭載され、第１回路基板４及び第２回路基板５、遮蔽部材９並びに導電部材１０ａ，１０ｂを収容する筐体１，２と、筐体１，２を車体のフレームグランドに接続するブラケット１１と、を更に備える。遮蔽部材９は、ブラケット１１に接続される。

　これにより、実施形態１の電子制御装置１００は、第１回路基板４及び第２回路基板５並びに筐体１，２に帯電した静電気を、遮蔽部材９及びブラケット１１を介して車両のフレームグランドに逃がすことができる。実施形態１の電子制御装置１００は、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれに搭載された電子部品８の誤動作又は故障のような、電子制御装置１００の誤動作又は故障を確実に防止することができる。よって、実施形態１の電子制御装置１００は、電子制御装置１００に備えられた複数の回路基板４，５の何れに搭載された電子部品８に対しても網羅的にノイズ対策を行いながら、静電気対策を行うことができる。

　更に、実施形態１の電子制御装置１００において、ブラケット１１は、アルミ、銅、炭素繊維、導電性樹脂、又は、非導電性材料の表面に導電性樹脂を被覆した材料を用いて形成される。

　これにより、実施形態１の電子制御装置１００は、特別な材料を用いることなくブラケット１１を形成することができる。よって、実施形態１の電子制御装置１００は、電子制御装置１００に備えられた複数の回路基板４，５の何れに搭載された電子部品８に対しても網羅的且つ容易にノイズ対策を行うことができる。

　更に、実施形態１の電子制御装置１００は、第１回路基板４及び第２回路基板５の間隔を保持するスペーサ１４を更に備える。スペーサ１４は、遮蔽部材９に固定される。

　これにより、実施形態１の電子制御装置１００は、振動によって第１回路基板４と第２回路基板５とが位置ずれを起こして互いに干渉したり、基板間コネクタ７が外れたりすることを防止することができる。よって、実施形態１の電子制御装置１００は、電子制御装置１００に備えられた複数の回路基板４，５の何れに搭載された電子部品８に対しても網羅的にノイズ対策を行いながら、耐振性を向上させることができる。

　更に、実施形態１の電子制御装置１００は、第１回路基板４及び第２回路基板５、遮蔽部材９並びに導電部材１０ａ，１０ｂを収容する筐体１，２を更に備える。筐体１，２は、金属製又は樹脂製である。

　これにより、実施形態１の電子制御装置１００は、特別な材料を用いることなく筐体１，２を形成することができる。よって、実施形態１の電子制御装置１００は、電子制御装置１００に備えられた複数の回路基板４，５の何れに搭載された電子部品８に対しても網羅的且つ容易にノイズ対策を行うことができる。

［実施形態２］
　図４～図６を用いて、実施形態２の電子制御装置１００について説明する。実施形態２の電子制御装置１００において、実施形態１と同様の構成及び動作については、説明を省略する。図４は、実施形態２の電子制御装置１００の分解斜視図である。図５は、図４に示す電子制御装置１００の断面図である。図６は、遮蔽部材９、放熱板１５及びヒートシンク１７の構成図である。

　実施形態２の電子制御装置１００は、実施形態１の電子制御装置１００と同様に、複数の回路基板４，５に搭載された電子部品８のノイズ対策を行うことができる。更に、実施形態２の電子制御装置１００は、複数の回路基板４，５に搭載された電子部品８の熱対策を行うことができる。

　実施形態２の電子制御装置１００は、実施形態１の電子制御装置１００に備えられた構成の他に、放熱板１５と、ヒートシンク１７と、放熱材料１８と、を備える。

　実施形態２の筐体１，２は、第１回路基板４及び第２回路基板５、遮蔽部材９、導電部材１０ａ，１０ｂ、放熱板１５並びに放熱材料１８を収容する。

　放熱板１５は、遮蔽部材９の内部において第１回路基板４に搭載された電子部品８と第２回路基板５に搭載された電子部品８との間に配置される。放熱板１５は、第１回路基板４及び第２回路基板５に沿って配置される。放熱板１５は、アルミ、銅又は炭素繊維等の高熱伝導率の材料を用いて形成される。放熱板１５は、遮蔽部材９及び筐体１，２を貫通して又は介してヒートシンク１７に接続される。放熱板１５は、遮蔽部材９及びヒートシンク１７と一体的に形成される。

　放熱板１５は、第１回路基板４に搭載された電子部品８に向かって突出する第１台座１６ａと、第２回路基板５に搭載された電子部品８に向かって突出する第２台座１６ｂと、を有する。第１台座１６ａ及び第２台座１６ｂのそれぞれの天面の面積は、第１台座１６ａ及び第２台座１６ｂにそれぞれ対応する電子部品８のそれぞれの天面の面積以上であってもよい。第１台座１６ａ及び第２台座１６ｂは、第１回路基板４及び第２回路基板５のそれぞれに搭載された発熱量の大きな電子部品８に対して設けられてもよく、発熱量の小さな電子部品８に対しては設けられていなくてもよい。放熱板１５は、第１回路基板４との対向面の第１台座１６ａが設けられていない領域、及び、第２回路基板５との対向面の第２台座１６ｂが設けられていない領域が、それぞれ、第１回路基板４及び第２回路基板５から離隔するように凹形状に形成されてもよい。

　放熱材料１８は、電子部品８と放熱板１５とに接触する部材である。放熱材料１８は、例えば、放熱グリス又は放熱シートによって構成される。放熱材料１８は、第１回路基板４に搭載された電子部品８と第１台座１６ａとの隙間、及び、第２回路基板５に搭載された電子部品８と第２台座１６ｂとの隙間を充填する。

　ヒートシンク１７は、筐体１，２の外部に設けられる。ヒートシンク１７は、筐体１，２の外面に接触するように設けられる。ヒートシンク１７は、筐体１，２の開口部３から離隔し、且つ、発熱量の小さな電子部品８よりも発熱量の大きな電子部品８に近接する筐体１，２の外面に設けられる。ヒートシンク１７は、重力方向（上下方向）に沿って延び水平方向（前後方向又は左右方向）に互いに離隔して配置された複数のフィン１７ａを有する。フィン１７ａは、筐体１，２の設置姿勢に関わらず、重力方向に沿って延び水平方向に互いに離隔して複数配置される。ヒートシンク１７は、アルミ、銅又は炭素繊維等の高熱伝導率の材料を用いて形成される。遮蔽部材９、放熱板１５及びヒートシンク１７は、一体的に形成される。

　実施形態２のブラケット１１は、筐体１，２の外面に設けられたヒートシンク１７に接続される。実施形態２のブラケット１１は、ヒートシンク１７を介して筐体１，２を車両のフレームグランドに接続する。実施形態２のブラケット１１は、ヒートシンク１７を介して筐体１，２に接続される。実施形態２のブラケット１１は、ヒートシンク１７及び放熱板１５を介して、遮蔽部材９に接続される。

　遮蔽部材９、放熱板１５及びヒートシンク１７は、電子制御装置１００の振動又は落下時の衝撃にも耐え得るように、筐体１，２に接続され固定される。これらの固定手法は、次のような手法であってもよい。例えば、遮蔽部材９の外面と筐体ベース１の内面とに、ネジ止め機構又はフック機構（爪と孔を用いた機構）を設けて両者を接続することによって固定する手法であってもよい。例えば、ヒートシンク１７と筐体ベース１の外面とに、ネジ止め機構又はフック機構を設けて両者を接続することによって固定する手法であってもよい。更に、筐体ベース１及び筐体カバー２においても、筐体ベース１と筐体カバー２とに、ネジ止め機構又はフック機構を設けて両者を接続することによって固定されてもよい。

　以上のように、実施形態２の電子制御装置１００は、遮蔽部材９の内部において第１回路基板４に搭載された電子部品８と第２回路基板５に搭載された電子部品８との間に配置された放熱板１５と、電子部品８と放熱板１５とに接触する放熱材料１８と、第１回路基板４及び第２回路基板５、遮蔽部材９、導電部材１０ａ，１０ｂ、放熱板１５並びに放熱材料１８を収容する筐体１，２と、筐体１，２の外部に設けられたヒートシンク１７と、を備える。放熱板１５は、遮蔽部材９及び筐体１，２を貫通して又は介してヒートシンク１７に接続される。

　これにより、実施形態２の電子制御装置１００は、電子部品８にて発生した熱を、第１回路基板４及び第２回路基板５を介することなく直ちに放熱板１５に輸送することができる。実施形態２の電子制御装置１００は、放熱板１５に輸送された熱を、筐体１，２の外部のヒートシンク１７に直ちに輸送し、ヒートシンク１７から放熱することができる。したがって、実施形態２の電子制御装置１００は、電子部品８にて発生した熱を、筐体１，２の外部にて直ちに放熱することができるので、電子部品８の温度を確実に低減することができる。よって、実施形態２の電子制御装置１００は、電子制御装置１００に備えられた複数の回路基板４，５の何れに搭載された電子部品８に対しても網羅的にノイズ対策を行いながら、複数の回路基板４，５に搭載された電子部品８の熱対策を確実に行うことができる。

　更に、実施形態２の電子制御装置１００において、放熱板１５は、第１回路基板４に搭載された電子部品８に向かって突出する第１台座１６ａと、第２回路基板５に搭載された電子部品８に向かって突出する第２台座１６ｂと、を有する。放熱材料１８は、第１回路基板４に搭載された電子部品８と第１台座１６ａとの隙間、及び、第２回路基板５に搭載された電子部品８と第２台座１６ｂとの隙間を充填する。

　これにより、実施形態２の電子制御装置１００は、電子部品８と放熱板１５との間における熱抵抗を低減することができるので、電子部品８にて発生した熱を更に迅速に放熱板１５に輸送することができる。したがって、実施形態２の電子制御装置１００は、電子部品８の温度を更に確実に低減することができる。よって、実施形態２の電子制御装置１００は、電子制御装置１００に備えられた複数の回路基板４，５の何れに搭載された電子部品８に対しても網羅的にノイズ対策を行いながら、複数の回路基板４，５に搭載された電子部品８の熱対策を更に確実に行うことができる。

　更に、実施形態２の電子制御装置１００において、ヒートシンク１７は、筐体１，２の設置姿勢に関わらず、重力方向に沿って延び水平方向に互いに離隔して配置された複数のフィン１７ａを有する。

　これにより、実施形態２の電子制御装置１００は、筐体１，２の設置姿勢に関わらず、ヒートシンク１７に輸送された熱を更に迅速に放熱させることができるので、電子部品８の温度を更に確実に低減することができる。よって、実施形態２の電子制御装置１００は、電子制御装置１００に備えられた複数の回路基板４，５の何れに搭載された電子部品８に対しても網羅的にノイズ対策を行いながら、複数の回路基板４，５に搭載された電子部品８の熱対策を更に確実に行うことができる。

　更に、実施形態２の電子制御装置１００において、遮蔽部材９、放熱板１５及びヒートシンク１７のそれぞれは、アルミ、銅又は炭素繊維を用いて形成される。

　これにより、実施形態２の電子制御装置１００は、特別な材料を用いることなく遮蔽部材９、放熱板１５及びヒートシンク１７を形成することができる。よって、実施形態２の電子制御装置１００は、電子制御装置１００に備えられた複数の回路基板４，５の何れに搭載された電子部品８に対しても網羅的にノイズ対策を行いながら、複数の回路基板４，５に搭載された電子部品８の熱対策を確実且つ容易に行うことができる。

　更に、実施形態２の電子制御装置１００において、遮蔽部材９、放熱板１５及びヒートシンク１７は、一体的に形成される。

　これにより、実施形態２の電子制御装置１００は、第１回路基板４及び第２回路基板５の熱を、遮蔽部材９を介して放熱板１５に輸送することができる。更に、実施形態２の電子制御装置１００は、遮蔽部材９と放熱板１５との間の熱抵抗、及び、放熱板１５とヒートシンク１７との間の熱抵抗を低減することができる。したがって、実施形態２の電子制御装置１００は、第１回路基板４及び第２回路基板５並びに電子部品８にて発生した熱を更に迅速に放熱板１５に輸送することができるので、電子部品８の温度を更に確実に低減することができる。よって、実施形態２の電子制御装置１００は、電子制御装置１００に備えられた複数の回路基板４，５の何れに搭載された電子部品８に対しても網羅的にノイズ対策を行いながら、複数の回路基板４，５に搭載された電子部品８の熱対策を更に確実に行うことができる。

　なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、或る実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、或る実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

　１，２…筐体、４…第１回路基板、４ａ…搭載面、５…第２回路基板、５ａ…搭載面、８…電子部品、９…遮蔽部材、９ａ…第１端面、９ｂ…第２端面、１０ａ，１０ｂ…導電部材、１０ａ…第１導電部材、１０ｂ…第２導電部材、１１…ブラケット、１４…スペーサ、１５…放熱板、１６ａ…第１台座、１６ｂ…第２台座、１７…ヒートシンク、１７ａ…フィン、１８…放熱材料、１００…電子制御装置

Claims

　それぞれの電子部品の搭載面が間隔を空けて対向配置された第１回路基板及び第２回路基板と、
　前記第１回路基板及び前記第２回路基板の前記間隔に配置され、ノイズを遮蔽する遮蔽部材と、
　前記第１回路基板及び前記第２回路基板と前記遮蔽部材とを接続する導電部材と、を備え、
　前記遮蔽部材は、前記第１回路基板及び前記第２回路基板のそれぞれに搭載された前記電子部品の周りを全周に亘って囲み前記間隔に応じた幅を有する閉路を形成する枠体である
　ことを特徴とする電子制御装置。
　前記導電部材は、前記遮蔽部材の前記第１回路基板側の第１端面と前記第１回路基板の前記搭載面とを接続する第１導電部材と、前記遮蔽部材の前記第２回路基板側の第２端面と前記第２回路基板の前記搭載面とを接続する第２導電部材と、を有し、
　前記第１導電部材は、前記ノイズを構成する電磁波の波長の半分以下の距離、又は、前記波長の四分の一以下の距離を空けて前記第１端面に沿って複数配置され、
　前記第２導電部材は、前記波長の半分以下の距離、又は、前記波長の四分の一以下の距離を空けて前記第２端面に沿って複数配置される
　ことを特徴とする請求項１に記載の電子制御装置。
　前記第１導電部材は、前記第１回路基板に設けられたグランドに接続され、
　前記第２導電部材は、前記第２回路基板に設けられたグランドに接続される
　ことを特徴とする請求項２に記載の電子制御装置。
　前記遮蔽部材は、アルミ、銅、炭素繊維、導電性樹脂、又は、非導電性材料の表面に導電性樹脂を被覆した材料を用いて形成される
　ことを特徴とする請求項１に記載の電子制御装置。
　前記遮蔽部材の内部において前記第１回路基板に搭載された前記電子部品と前記第２回路基板に搭載された前記電子部品との間に配置された放熱板と、
　前記電子部品と前記放熱板とに接触する放熱材料と、
　前記第１回路基板及び前記第２回路基板、前記遮蔽部材、前記導電部材、前記放熱板並びに前記放熱材料を収容する筐体と、
　前記筐体の外部に設けられたヒートシンクと、を更に備え、
　前記放熱板は、前記遮蔽部材及び前記筐体を貫通して又は介して前記ヒートシンクに接続される
　ことを特徴とする請求項１に記載の電子制御装置。
　前記放熱板は、前記第１回路基板に搭載された前記電子部品に向かって突出する第１台座と、前記第２回路基板に搭載された前記電子部品に向かって突出する第２台座と、を有し、
　前記放熱材料は、前記第１回路基板に搭載された前記電子部品と前記第１台座との隙間、及び、前記第２回路基板に搭載された前記電子部品と前記第２台座との隙間を充填する
　ことを特徴とする請求項５に記載の電子制御装置。
　前記ヒートシンクは、前記筐体の設置姿勢に関わらず、重力方向に沿って延び水平方向に互いに離隔して配置された複数のフィンを有する
　ことを特徴とする請求項５に記載の電子制御装置。
　前記遮蔽部材、前記放熱板及び前記ヒートシンクのそれぞれは、アルミ、銅又は炭素繊維を用いて形成される
　ことを特徴とする請求項５に記載の電子制御装置。
　前記遮蔽部材、前記放熱板及び前記ヒートシンクは、一体的に形成される
　ことを特徴とする請求項５に記載の電子制御装置。
　前記電子制御装置は、車両に搭載され、
　前記第１回路基板及び前記第２回路基板、前記遮蔽部材並びに前記導電部材を収容する筐体と、
　前記筐体を車体のフレームグランドに接続するブラケットと、を更に備え、
　前記遮蔽部材は、前記ブラケットに接続される
　ことを特徴とする請求項１に記載の電子制御装置。
　前記ブラケットは、アルミ、銅、炭素繊維、導電性樹脂、又は、非導電性材料の表面に導電性樹脂を被覆した材料を用いて形成される
　ことを特徴とする請求項１０に記載の電子制御装置。
　前記第１回路基板及び前記第２回路基板の前記間隔を保持するスペーサを更に備え、
　前記スペーサは、前記遮蔽部材に固定される
　ことを特徴とする請求項１に記載の電子制御装置。
　前記第１回路基板及び前記第２回路基板、前記遮蔽部材並びに前記導電部材を収容する筐体を更に備え、
　前記筐体は、金属製又は樹脂製である
　ことを特徴とする請求項１に記載の電子制御装置。