WO2024004697A1 - 電磁波シールド材、電子部品および電子機器 - Google Patents

電磁波シールド材、電子部品および電子機器 Download PDF

Info

Publication number
WO2024004697A1
WO2024004697A1 PCT/JP2023/022341 JP2023022341W WO2024004697A1 WO 2024004697 A1 WO2024004697 A1 WO 2024004697A1 JP 2023022341 W JP2023022341 W JP 2023022341W WO 2024004697 A1 WO2024004697 A1 WO 2024004697A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
magnetic layer
layer
shielding material
magnetic
electromagnetic shielding
Prior art date
Application number
PCT/JP2023/022341
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
清隆 深川
Original Assignee
富士フイルム株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 富士フイルム株式会社 filed Critical 富士フイルム株式会社
Publication of WO2024004697A1 publication Critical patent/WO2024004697A1/ja

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B15/00Layered products comprising a layer of metal
    • B32B15/04Layered products comprising a layer of metal comprising metal as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material
    • B32B15/08Layered products comprising a layer of metal comprising metal as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material of synthetic resin
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • B32B27/18Layered products comprising a layer of synthetic resin characterised by the use of special additives
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • B32B27/40Layered products comprising a layer of synthetic resin comprising polyurethanes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B7/00Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
    • B32B7/02Physical, chemical or physicochemical properties
    • B32B7/027Thermal properties
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/14Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/20Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys in the form of particles, e.g. powder
    • H01F1/22Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys in the form of particles, e.g. powder pressed, sintered, or bound together
    • H01F1/24Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys in the form of particles, e.g. powder pressed, sintered, or bound together the particles being insulated
    • H01F1/26Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys in the form of particles, e.g. powder pressed, sintered, or bound together the particles being insulated by macromolecular organic substances
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K9/00Screening of apparatus or components against electric or magnetic fields

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)

Abstract

磁性粒子および樹脂を含む磁性層を二層の金属層の間に有し、かつ上記磁性層の1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδが0℃~70℃の温度範囲において0.35未満である電磁波シールド材、この電磁波シールド材を含む電子部品および電子機器が提供される。

Description

電磁波シールド材、電子部品および電子機器
 本発明は、電磁波シールド材、電子部品および電子機器に関する。
 特許文献1には、電子機器の回路基板に実装される軟磁性フィルムが開示されている。詳しくは、特許文献1の段落0095には、アンテナ、コイル、またはこれらが表面に形成された回路基板に軟磁性フィルムを積層し得ることが記載されている。
WO2014/132880
 近年、各種電子部品および各種電子機器において電磁波の影響を低減するための材料として、電磁波シールド材が注目されている。電磁波シールド材(以下、「シールド材」とも記載する。)は、シールド材に入射した電磁波をシールド材で反射させることおよび/またはシールド材内部で減衰させることによって、電磁波をシールドする性能(以下、「電磁波シールド能」または「シールド能」とも記載する。)を発揮することができる。例えば特許文献1に記載されている軟磁性フィルムは、電磁波シールド材として機能し得る。
 電磁波シールド材には、高いシールド能を発揮できることが望まれる。電磁波に対して高いシールド能を発揮する電磁波シールド材は、電子部品および電子機器において、電磁波の影響を大きく低減することに寄与することができる。しかるに本発明者の検討の結果、従来の電磁波シールド材は、高温下に置かれた後に高いシールド能を発揮することが困難であることが判明した。
 本発明の一態様は、高温下に置かれた後に高いシールド能を発揮することができる電磁波シールド材を提供することを目的とする。
 本発明の一態様は、以下の通りである。
[1]磁性粒子および樹脂を含む磁性層を二層の金属層の間に有し、かつ
上記磁性層の1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδが0℃~70℃の温度範囲において0.35未満である、電磁波シールド材。
[2]上記磁性層はウレタン結合含有樹脂を含む、[1]に記載の電磁波シールド材。
[3]上記樹脂のガラス転移温度は-60℃以上0℃未満である、[1]または[2]に記載の電磁波シールド材。
[4]上記磁性層は、ガラス転移温度が-60℃以上0℃未満であるウレタン結合含有樹脂を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の電磁波シールド材。
[5]上記磁性層は多官能イソシアネートを含む、[1]~[4]のいずれかに記載の電磁波シールド材。
[6]上記磁性層は、上記樹脂の含有量を100質量部として、多官能イソシアネートを15質量部以上含む、[1]~[5]のいずれかに記載の電磁波シールド材。
[7]上記磁性層の透磁率が100以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の電磁波シールド材。
[8]1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδが0℃~70℃の温度範囲において0.35未満である磁性層を二層の金属層の間に有する多層構造を2つ以上含む、[1]~[7]のいずれかに記載の電磁波シールド材。
[9]上記磁性層は、ガラス転移温度が-60℃以上0℃未満であるウレタン結合含有樹脂を含み、
上記磁性層は、上記樹脂の含有量を100質量部として、多官能イソシアネートを15質量部以上含み、
上記磁性層の透磁率が100以上であり、かつ
1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδが0℃~70℃の温度範囲において0.35未満である磁性層を二層の金属層の間に有する多層構造を2つ以上含む、[1]に記載の電磁波シールド材。
[10][1]~[9]のいずれかに記載の電磁波シールド材を含む電子部品。
[11][1]~[9]のいずれかに記載の電磁波シールド材を含む電子機器。
 本発明の一態様によれば、高温下に置かれた後に高いシールド能を発揮することができる電磁波シールド材を提供することができる。また、本発明の一態様によれば、この電磁波シールド材を含む電子部品および電子機器を提供することができる。
[電磁波シールド材]
 本発明の一態様は、磁性粒子および樹脂を含む磁性層を二層の金属層の間に有し、かつ上記磁性層の1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδが0℃~70℃の温度範囲において0.35未満である電磁波シールド材に関する。
 本発明および本明細書において、「電磁波シールド材」とは、少なくとも1つの周波数または少なくとも一部の範囲の周波数帯の電磁波に対してシールド能を示すことができる材料をいうものとする。「電磁波」には、磁界波と電界波とが含まれる。「電磁波シールド材」は、少なくとも1つの周波数または少なくとも一部の範囲の周波数帯の磁界波と、少なくとも1つの周波数または少なくとも一部の範囲の周波数帯の電界波と、の一方または両方に対してシールド能を示すことができる材料であることが好ましい。
 本発明および本明細書において、「磁性」とは、強磁性(ferromagnetic property)を意味する。磁性層について、詳細は後述する。
 本発明および本明細書において、「金属層」とは、金属を含む層をいうものとする。金属層は、単一の金属元素からなる純金属として、二種以上の金属元素の合金として、または一種以上の金属元素と一種以上の非金属元素との合金として、一種以上の金属を含む層であることができる。金属層について、詳細は後述する。
<磁性層のTanδ>
 上記電磁波シールド材において、二層の金属層の間に位置する磁性層の1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδは、0℃~70℃の温度範囲において0.35未満である。「Tan」は、Tangentの略称である。本発明および本明細書において、損失正接Tanδ(タンジェントデルタ)は、以下に記載する動的粘弾性測定によって求められる。
 動的粘弾性測定は、動的粘弾性測定装置を用いて行われる。動的粘弾性測定装置としては、例えば日立ハイテクサイエンス社製動的粘弾性測定装置DMS6100を使用することができ、後述の実施例では、この装置を使用した。
 測定手順は、以下の通りとする。
 測定対象の磁性層から28mm×10mmのサイズの測定用サンプルを切り出す。測定用サンプルについては、例えば、電磁波シールド材の作製に用いる磁性層から測定用サンプルを切り出すことができる。または、作製された電磁波シールド材から公知の方法によって磁性層を取り出し、取り出した磁性層から測定用サンプルを切り出すことができる。この点は、磁性層に関する各種測定のための測定用サンプルについても同様である。
 動的粘弾性測定装置において、上記測定用サンプルの粘弾性を以下の測定条件にて測定する。上記の「1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδが0℃~70℃の温度範囲において0.35未満」とは、こうして測定された0℃から70℃までの温度範囲のデータにおける損失正接Tanδの最大値が0.35未満であることをいう。
(測定条件)
 チャック間距離:10mm
 測定温度範囲:-50℃から100℃
 昇温レート:2℃/分
 サンプリングレート:3秒
 測定周波数:1Hz
 上記電磁波シールド材について、本発明者は、上記電磁波シールド材が電磁波に対して高いシールド能を発揮できる理由は、上記電磁波シールド材が二層の金属層の間に磁性層が挟まれた多層構造を有することにあると推察している。詳しくは、以下の通りである。電磁波シールド材において電磁波に対して高いシールド能を得るためには、電磁波の減衰能力を高めることに加え界面での反射を大きくすることが望ましい。即ち、電磁波が界面で反射を繰り返しシールド材中を多数回通過することで大きく減衰することが望ましい。しかし、金属層および磁性層の電磁波に対する挙動として、金属層は電磁波の減衰能力は大きいものの界面での磁界波の反射が小さい傾向があり、磁性層は電磁波の減衰能力は金属層よりも小さいものの界面での磁界波の反射が金属層よりも大きい傾向がある。したがって、金属層単独または磁性層単独では、電磁波の中でも磁界波に対して、高い反射と減衰を両立することは難しい。これに対し、上記電磁波シールド材は、二層の金属層の間に磁性層を有する多層構造を含むことによって、上記の界面での反射と層内での減衰を両立することができる。このことが、上記電磁波シールド材が、磁界波に対して高いシールド能を発揮することができる理由であると本発明者は考えている。ただし、本発明は、本明細書に記載の推察に限定されない。
 更に、二層の金属層の間に挟まれた磁性層の1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδが0℃~70℃の温度範囲において0.35未満であることは、上記電磁波シールド材のシールド能の耐熱性向上に寄与すると本発明者は考えている。その結果、上記電磁波シールド材は、高温下に置かれた後にも高いシールド能を発揮することができると本発明者は推察している。
 高温下に置かれた後のシールド能の低下を抑制することによって上記電磁波シールド材が高温下に置かれた後にも高いシールド能を発揮できるという観点から、上記磁性層の1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδは、0℃~70℃の温度範囲において0.35未満である。即ち、0℃~70℃の温度範囲において、上記磁性層の1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδの最大値は、0.35未満である。高温下に置かれた後のシールド能の低下をより一層抑制する観点から、上記最大値は、0.34以下であることが好ましく、0.32以下、0.30以下、0.28以下、0.25以下、0.23以下、0.20以下、0.18以下の順により好ましい。上記最大値は、例えば、0.05以上、0.07以上、0.10以上または0.12以上であることができる。ただし、上記最大値が小さいことは高温下に置かれた後のシールド能の低下を抑制する観点から好ましいため、上記最大値がここに例示した値を下回ることもできる。一方、0℃~70℃の温度範囲において、上記磁性層の1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδの最小値は、特に限定されず、例えば、0超、0.01以上または0.02以上であることができる。
 磁性層のTanδは、磁性層に含まれる成分の種類および含有率等によって制御することができる。この点について、詳細は後述する。
 以下、上記電磁波シールド材について、更に詳細に説明する。
<磁性層>
 上記磁性層は、磁性粒子および樹脂を含む。
(磁性粒子)
 磁性粒子としては、金属粒子、フェライト粒子等の一般に軟磁性粒子と呼ばれる磁性粒子からなる群から選択される一種を使用するか、または二種以上を組み合わせて使用することができる。金属粒子は、一般にフェライト粒子と比べて2~3倍程度の飽和磁束密度をもつことから、強い磁界下でも磁気飽和せずに比透磁率を維持しシールド能を示すことができる。したがって、磁性層に含まれる磁性粒子は金属粒子であることが好ましい。本発明および本明細書において、磁性粒子として金属粒子を含む層は、「磁性層」に該当するものとする。
金属粒子
 上記磁性粒子としての金属粒子としては、例えば、センダスト(Fe-Si-Al合金)、パーマロイ(Fe-Ni合金)、モリブデンパーマロイ(Fe-Ni-Mo合金)、Fe-Si合金、Fe-Cr合金、一般に鉄基アモルファス合金と呼ばれるFe含有合金、一般にコバルト基アモルファス合金と呼ばれるCo含有合金、一般にナノ結晶合金と呼ばれる合金、鉄、パーメンジュール(Fe-Co合金)等の粒子が挙げられる。中でもセンダストは高い飽和磁束密度と比透磁率を示すことから好ましい。金属粒子は、金属(合金を包含する)の構成元素に加えて、任意に添加され得る添加剤に含まれる元素および/または金属粒子の製造工程において意図せずに混入し得る不純物に含まれる元素を任意の含有率で含み得る。金属粒子において、金属(合金を包含する)の構成元素の含有率は、90.0質量%以上であることが好ましく、95.0質量%以上であることがより好ましく、また、100質量%でもよく、100質量%未満、99.9質量%以下または99.0質量%以下でもよい。
 一形態では、電磁波シールド材の電磁波に対するシールド能は、電磁波シールド材に含まれる磁性層の透磁率(詳しくは複素比透磁率実部)を指標として評価することができる。高い透磁率(詳しくは複素比透磁率実部)を示す磁性層を有する電磁波シールド材は、電磁波に対して高いシールド能を発揮できるため好ましい。
 透磁率測定装置によって複素比透磁率を測定すると、通常、実部μ’と虚部μ”とが表示される。本発明および本明細書における「透磁率」とは、かかる実部μ’をいうものとする。以下において、3MHz(メガヘルツ)の周波数における複素比透磁率実部を、単に「透磁率」または「透磁率μ’」とも呼ぶ。透磁率は、市販の透磁率測定装置または公知の構成の透磁率測定装置によって測定することができる。測定温度は25℃とする。測定用サンプルの周囲の雰囲気温度を測定温度にすることにより、温度平衡が成り立つことによって測定用サンプルの温度を測定温度にすることができる。より一層優れた電磁波シールド能を発揮できるという観点から、上記電磁波シールド材に含まれる磁性層の透磁率(3MHzの周波数における複素比透磁率実部)は、例えば40以上であり、100以上であることが好ましく、120以上であることが更に好ましい。また、上記透磁率は、例えば、500以下、300以下または200以下であることができ、ここに例示した値を上回ることもできる。上記透磁率が高い電磁波シールド材は、優れた電磁波シールド能を発揮できるため好ましい。上記透磁率とは、60℃以上の高温下に置かれる前(ただし磁性層および電磁波シールド材の製造工程中の加熱を伴う工程を除く、以下同様)の磁性層について求められる値であることができる。また、上記磁性層は、60℃以上の高温下に置かれた後にも上記範囲の透磁率を示すことができる。
 高い透磁率を示す磁性層を形成する観点からは、上記磁性粒子は扁平形状を有する粒子(扁平形状粒子)であることが好ましく、扁平形状を有する金属粒子であることがより好ましい。扁平形状粒子の長辺方向を磁性層の面内方向に対してより平行に近くなるように配することで、電磁波シールド材に対して直交して入射する電磁波の振動方向に粒子の長辺方向がより揃うことによって反磁界を低減することができるため、磁性層は、より高い透磁率を示すことができる。本発明および本明細書において、「扁平形状粒子」とは、アスペクト比が0.20以下の粒子をいう。扁平形状粒子のアスペクト比は、0.15以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましい。扁平形状粒子のアスペクト比は、例えば、0.01以上、0.02以上または0.03以上であることができる。例えば公知の方法によって扁平加工を行うことにより粒子の形状を扁平形状にすることができる。扁平加工については、例えば特開2018-131640号公報の記載を参照でき、例えば同公報の段落0016、0017および実施例の記載を参照できる。高い透磁率を示す磁性層としては、センダストの扁平形状粒子を含む磁性層を挙げることができる。
 先に記載したように、磁性層として高い透磁率を示す層を形成する観点からは、扁平形状粒子の長辺方向を磁性層の面内方向に対してより平行に近くなるように配することが好ましい。この点から、磁性層の表面に対する扁平形状粒子の配向角度の平均値の絶対値と配向角度の分散との和である配向度は、30°以下であることが好ましく、25°以下であることがより好ましく、20°以下であることが更に好ましく、15°以下であることが一層好ましい。配向度は、例えば3°以上、5°以上または10℃以上であることができ、ここに例示した値を下回ることもできる。配向度の制御方法については後述する。
 本発明および本明細書において、磁性粒子のアスペクト比および上記の配向度は、以下の方法によって求めるものとする。
 公知の方法によって磁性層の断面を露出させる。この断面の無作為に選択した領域について、断面像を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)像として取得する。撮像条件は、加速電圧:2kV、倍率:1000倍とし、反射電子像としてSEM像を得る。
 画像処理ライブラリOpenCV4(インテル社製)のcv2.imread()関数で第二引数を0としてグレースケールで読み出し、輝度の高い部分と輝度の低い部分の中間の輝度を境界に、cv2.threshold()関数で二値化像を得る。二値化像における白色部分(高輝度部分)を磁性粒子として特定する。
 得られた二値化像に対してcv2.minAreaRect()関数により各磁性粒子の部分に対応する回転外接矩形を求め、cv2.minAreaRect()関数の戻り値として、長辺長、短辺長および回転角を求める。上記二値化像に含まれる磁性粒子の総数を求める際には、粒子の一部のみが二値化像に含まれている粒子も含めるものとする。粒子の一部のみが二値化像に含まれている粒子については、二値化像に含まれている部分について、長辺長、短辺長および回転角を求める。こうして求められた短辺長と長辺長との比(短辺長/長辺長)を各磁性粒子のアスペクト比とする。本発明および本明細書において、アスペクト比が0.20以下であり扁平形状粒子として特定された磁性粒子の数が、上記二値化像に含まれる磁性粒子の総数に対して個数基準で10%以上である場合、その磁性層は「磁性粒子として扁平形状粒子を含む磁性層」であると判定するものとする。また、上記で求められた回転角から、水平面(磁性層の表面)に対する回転角度として「配向角度」を求める。
 二値化像において求められたアスペクト比が0.20以下の粒子を扁平形状粒子として特定する。二値化像に含まれるすべての扁平形状粒子の配向角度について、平均値(算術平均)の絶対値と分散との和を求める。こうして求められる和を「配向度」とする。なお、cv2.boxPoints()関数を用いて外接長方形の座標を算出しcv2.drawContours()関数により回転外接矩形を元画像に重ね合わせた画像を作成し、明らかに誤検出されている回転外接矩形についてはアスペクト比および配向度の算出から除外する。また、扁平形状粒子として特定された粒子のアスペクト比の平均値(算術平均)を、測定対象の磁性層に含まれる扁平形状粒子のアスペクト比とする。かかるアスペクト比は、0.20以下であり、0.15以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましい。また、上記アスペクト比は、例えば、0.01以上、0.02以上または0.03以上であることができる。
 上記磁性層における磁性粒子の含有率は、磁性層の全質量に対して、例えば、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上もしくは80質量%以上であることができ、また、例えば、100質量%未満、99質量%以下、98質量%以下もしくは95質量%以下であることができる。上記磁性層は、磁性粒子を一種のみ含むことができ、二種以上の磁性粒子を任意の割合で含むこともできる。本発明および本明細書において、ある成分が二種以上含まれる場合、含有量および含有率とは、それら成分の合計含有量および合計含有率をいうものとする。磁性層における各種成分の含有率は、TG/DTA(Thermogravimetry/Differential Thermal Analysis)、溶剤を用いた各種成分の抽出等の公知の方法によって求めることができる。なお、「TG/DTA」は、一般に熱重量示差熱分析と呼ばれる。磁性層の形成のために使用された磁性層形成用組成物の組成が既知の場合には、この既知の組成から磁性層における各種成分の含有率を求めることもできる。
 一形態では、上記磁性層は、絶縁性の層であることができる。本発明および本明細書において、「絶縁性」とは、電気伝導率が1S(ジーメンス:siemens)/mよりも小さいことをいうものとする。ある層の電気伝導率は、その層の表面電気抵抗率とその層の厚みから、下記式によって算出される。電気伝導率は、公知の方法によって測定することができる。
 電気伝導率[S/m]=1/(表面電気抵抗率[Ω]×厚み[m])
 上記磁性層が絶縁性の層であることは、上記電磁波シールド材がより一層高い電磁波シールド能を発揮するうえで好ましいと本発明者は推察している。この点から、上記磁性層の電気伝導率は、1S/mよりも小さいことが好ましく、0.5S/m以下であることがより好ましく、0.1S/m以下であることが更に好ましく、0.05S/m以下であることが一層好ましい。上記磁性層の電気伝導率は、例えば、1.0×10-12S/m以上または1.0×10-10S/m以上であることができる。
(樹脂)
 上記磁性層は、磁性粒子および樹脂を含む層である。樹脂は、磁性層においてバインダーの役割を果たすことができる。磁性層の樹脂の含有率は、磁性層の全質量に対して、例えば5質量%以上であることができ、成形性の更なる向上の観点からは、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。また、磁性層の樹脂の含有率は、磁性層の全質量に対して、例えば50質量%以下であることができ、磁性層の透磁率を高める観点からは、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることが更に好ましく、30質量%以下であることが一層好ましく、25質量%以下であることがより一層好ましい。
 本発明および本明細書において、「樹脂」は、ポリマーを意味し、ゴムおよびエラストマーも包含されるものとする。ポリマーには、単独重合体(ホモポリマー)と共重合体(コポリマー)とが包含される。ゴムには、天然ゴムと合成ゴムとが包含される。また、エラストマーとは、弾性変形を示すポリマーである。磁性層に含まれる樹脂としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、ゴム系材料、エラストマー等を挙げることができる。具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、セルロース樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、二トリル-ブタジエン系ゴム、スチレン-ブタジエン系ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド樹脂、シリコーン樹脂、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、アクリル系エラストマー等が挙げられる。中でも、電磁波シールド材の成形性の向上の観点からは、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリウレタン系エラストマー等のウレタン結合含有樹脂が好ましい。本発明および本明細書において、「ウレタン結合含有樹脂」とは、ウレタン結合(-NH-C(=O)O-)を1分子中に1つ以上含む樹脂をいうものとする。なお、磁性層に含まれる樹脂の種類は、例えば、熱分解GC/MS(Gas Chromatography/Mass spectrometry)、フーリエ変換赤外分光法等の有機分析によって判別することができる。例えば、熱分解GC/MSにてイソシアネート成分残渣および/またはポリオール成分残渣が観察された場合には、ウレタン結合含有樹脂である、と判別することができる。
 上記電磁波シールド材は、例えば、任意の形状に折り曲げて使用することができる。シールド材が折り曲げられた際に磁性層が破断すると、破断箇所でシールド能が低下し得るため、耐破断性に優れ、折り曲げ時に破断し難い磁性層は望ましい。磁性層の耐破断性向上の観点からは、上記磁性層としては、ガラス転移温度Tgが0℃未満の樹脂を含む層が好ましい。本発明および本明細書において、ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計を用いたヒートフロー測定の測定結果から、昇温時のヒートフローチャートのベースラインシフト開始温度として求められる。磁性層の耐破断性の更なる向上の観点からは、上記磁性層に含まれる樹脂のガラス転移温度Tgは、-3℃以下であることがより好ましく、-5℃以下であることが更に好ましく、-10℃以下、-20℃以下、-30℃以下、-40℃以下の順に一層好ましい。また、上記磁性層に含まれる樹脂のガラス転移温度Tgは、例えば、-100℃以上、-90℃以上、-80℃以上、-70℃以上または-60℃以上であることができる。一形態では、上記範囲のガラス転移温度を有する樹脂は、ウレタン結合含有樹脂であることができる。
 磁性層は、上記成分の他、硬化剤、分散剤、安定剤、カップリング剤等の公知の添加剤の一種以上を任意の量で含むこともできる。
 例えば、硬化剤としては、架橋性基を有する化合物を挙げることができる。硬化剤が架橋性基を有する化合物である場合、かかる硬化剤を含む磁性層において、硬化剤は、架橋性基の少なくとも一部が架橋反応した後の形態で含まれ得る。本発明および本明細書において、「架橋性基」とは、架橋反応し得る基をいうものとし、その具体例としてはイソシアネート基を挙げることができる。硬化剤としては、1分子中に架橋性基を2つ以上(例えば2つ以上4つ以下)有する化合物が好ましく、その具体例としては多官能イソシアネートを挙げることができる。多官能イソシアネートは、イソシアネート基を1分子中に2つ以上有する化合物であり、例えばイソシアネート基を1分子中に2つ以上4つ以下有する化合物であることができる。一形態では、磁性層に含まれる樹脂を100質量部として、上記磁性層は、5質量部以上または10質量部以上の多官能イソシアネートを含むことができ、15質量部以上の多官能イソシアネートを含むことが好ましい。また、一形態では、磁性層に含まれる樹脂を100質量部として、上記磁性層は、100質量部以下または40質量部以下の多官能イソシアネートを含むことができる。先に記載したTanδが小さい磁性層を作製する観点からは、磁性層における硬化剤の含有量を多くすることは好ましい。
<金属層>
 上記電磁波シールド材は、上記磁性層、即ち1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδが0℃~70℃の温度範囲において0.35未満である磁性層を二層の金属層の間に含む多層構造を有する。上記電磁波シールド材は、かかる多層構造を1つ以上含み、2つ以上含むこともできる。即ち、上記電磁波シールド材は、少なくとも二層の金属層を含み、三層以上の金属層を含むこともできる。上記電磁波シールド材に含まれる二層または三層以上の金属層は、一形態では組成および厚みが同じであり、他の一形態では組成および/または厚みが異なる。また、上記電磁波シールド材が二層以上の上記磁性層を含む場合、二層以上の上記磁性層は、一形態では組成および厚みが同じであり、他の一形態では組成および/または厚みが異なる。上記電磁波シールド材の層構成の具体例については後述する。
 金属層としては、各種純金属および各種合金からなる群から選択される一種以上の金属を含む層を用いることができる。金属層は、シールド材において減衰効果を発揮することができる。減衰効果は伝搬定数が大きいほど大きく、電気伝導率が大きいほど伝搬定数が大きいことから、金属層は電気伝導率が高い金属元素を含むことが好ましい。この点から、金属層は、Ag、Cu、AuもしくはAlの純金属またはこれらのいずれかを主成分とした合金を含むことが好ましい。純金属は、単一の金属元素からなる金属であって、微量の不純物を含み得る。一般に、単一の金属元素からなる純度99.0%以上の金属が純金属と呼ばれる。純度は、質量基準である。合金は、一般に、腐食防止、強度向上等のために純金属に一種以上の金属元素または非金属元素を添加し組成を調整したものである。合金における主成分とは、質量基準で最も比率が高い成分であり、例えば合金において80.0質量%以上(例えば100質量%未満または99.8質量%以下)を占める成分であることができる。経済性の観点からはCuもしくはAlの純金属またはCuもしくはAlを主成分とする合金が好ましく、電気伝導率が高いという観点からはCuの純金属もしくはCuを主成分とする合金がより好ましい。
 金属層における金属の純度、即ち金属の含有率は、金属層の全質量に対して、99.0質量%以上であることができ、99.5質量%以上であることが好ましく、99.8質量%以上であることがより好ましい。金属層における金属の含有率は、特記しない限り質量基準の含有率をいうものとする。例えば、金属層としては、シート状に加工された純金属または合金を用いることができる。例えば、金属層としては、市販の金属箔または公知の方法で作製した金属箔を用いることができる。Cuの純金属については、様々な厚みのシート(いわゆる銅箔)が市販されている。例えば、かかる銅箔を金属層として用いることができる。銅箔には、その製造方法から電気めっきにより陰極に銅箔を析出させて得られた電解銅箔と、インゴットに熱と圧力をかけて薄く延ばして得られた圧延銅箔と、がある。いずれの銅箔も、上記電磁波シールド材の金属層として使用可能である。また、例えばAlについても、様々な厚みのシート(いわゆるアルミ箔(アルミニウム箔))が市販されている。例えば、かかるアルミ箔を金属層として用いることができる。
 電磁波シールド材の軽量化の観点からは、上記多層構造に含まれる二層の金属層の一方または両方(好ましくは両方)が、AlとMgとからなる群から選択される金属を含む金属層であることが好ましい。これは、AlおよびMgは、いずれも電気伝導率で比重を除した値(比重/電気伝導率)が小さいためである。この値がより小さい金属を使用するほど、高いシールド能を発揮する電磁波シールド材をより軽量化することができる。文献値から算出される値として、例えば、Cu、AlおよびMgの電気伝導率で比重を除した値(比重/電気伝導率)は、以下の通りである。Cu:1.5×10-7m/S、Al:7.6×10-8m/S、Mg:7.6×10-8m/S。上記値から、AlおよびMgは、電磁波シールド材の軽量化の観点から好ましい金属ということができる。AlとMgとからなる群から選択される金属を含む金属層は、一形態ではAlおよびMgの一方のみを含むことができ、他の一形態では両方を含むことができる。電磁波シールド材の軽量化の観点からは、上記多層構造に含まれる二層の金属層の一方または両方(好ましくは両方)が、AlとMgとからなる群から選択される金属の含有率が80.0質量%以上の金属層であることがより好ましく、AlとMgとからなる群から選択される金属の含有率が90.0質量%以上の金属層であることが更に好ましい。AlおよびMgの中で少なくともAlを含む金属層は、Al含有率が80.0質量%以上の金属層であることができ、Al含有率が90.0質量%以上の金属層であることもできる。AlおよびMgの中で少なくともMgを含む金属層は、Mg含有率が80.0質量%以上の金属層であることができ、Mg含有率が90.0質量%以上の金属層であることもできる。上記のAlとMgとからなる群から選択される金属の含有率、Al含有率およびMg含有率は、それぞれ例えば100質量%未満または99.9質量%以下であることができる。上記のAlとMgとからなる群から選択される金属の含有率、Al含有率およびMg含有率は、それぞれ金属層の全質量に対する含有率である。
 一形態では、上記金属層の一層以上は、Cu含有率が80.0質量%以上の金属層であることができる。かかる層のCu含有率は、90.0質量%以上であることができ、また、99.9質量%以下であることができる。また、一形態では、上記金属層の一層以上は、Al含有率が80.0質量%以上の金属層であることができる。かかる層のAl含有率は、90.0質量%以上であることができ、また、100質量%未満または99.9質量%以下であることができる。Cu含有率およびAl含有率は、それぞれ金属層の全質量に対する含有率である。一形態では、上記電磁波シールド材に含まれる金属層がいずれも、CuまたはAlの含有率が上記範囲の金属層であることができる。
<層構成の具体例>
 上記電磁波シールド材の層構成の具体例としては、例えば以下の例を挙げることができる。
  例1:「金属層/磁性層/金属層」
  例2:「金属層/磁性層/金属層/磁性層/金属層」
  例3:「金属層/磁性層/金属層/磁性層/金属層/磁性層/金属層」
 二層の金属層の間に上記磁性層を含む多層構造を2つ以上含む電磁波シールド材においては、例えば例2および例3のように、ある多層構造において磁性層を挟み込む金属層が、他の多層構造において磁性層を挟み込む金属層でもあることができる。上記電磁波シールド材において、二層の金属層の間に上記磁性層を含む多層構造の総数は、例えば1つ~4つであることができる。上記多層構造の総数は、例1において1つ、例2において2つ、例3において3つである。上記多層構造の総数が2つ以上(例えば2つ、3つまたは4つ)であることは、電磁波シールド材のシールド能の更なる向上の観点から好ましい。上記において、符号「/」は、この符号の左に記載されている層と右に記載されている層が他の層を介さずに直接接していることと、一層以上の他の層を介して間接的に積層されていることと、の両方を包含する意味で用いられる。上記の他の層の具体例としては、後述の貼り合わせのための層を挙げることができる。上記電磁波シールド材に含まれる上記磁性層(即ち、1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδが0℃~70℃の温度範囲において0.35未満である磁性層)の総層数は、一層以上であり、二層以上であることもでき、また、例えば四層以下であることができる。一方、上記電磁波シールド材に含まれる金属層の総層数は、二層以上であり、例えば二層~五層であることができる。
<各種厚み>
 金属層の厚みは、金属層の加工性および電磁波シールド材のシールド能の観点から、一層あたりの厚みが4μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましく、15μm以上であることが一層好ましく、20μm以上であることがより一層好ましく、25μm以上であることが更に一層好ましい。一方、金属層の厚みは、金属層の加工性の観点から、一層あたりの厚みが100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、45μm以下であることが更に好ましく、40μm以下であることが一層好ましい。
 上記磁性層を挟んで位置する二層の金属層の一方の金属層の厚みをT1とし、他方の金属層の厚みをT2とし、T1はT2以上(即ちT1=T2またはT1>T2)とすると、二層の金属層の厚みの比(T2/T1)は、例えば0.10以上であることができ、磁界波に対してより高いシールド能を示すことができるという観点からは、0.15以上であることが好ましく、0.30以上であることがより好ましく、0.50以上であることが更に好ましく、0.70以上であることが一層好ましく、0.80以上であることがより一層好ましい。磁界波に対してより一層高いシールド能を示すことができるという観点からは、T1とT2との差がより小さいほど好ましい。厚みの比(T2/T1)は、1.00以下であることができ、1.00であること(即ちT1=T2であること)もできる。上記電磁波シールド材が二層の金属層の間に上記磁性層を有する多層構造を2つ以上含む場合、厚みの比(T2/T1)に関する先の記載は、上記電磁波シールド材に含まれる上記多層構造の少なくとも1つに適用することができ、2つ以上に適用することもでき、すべてに適用することもできる。
 シールド材は、用途に合わせて任意の形状に折り曲げて加工され得る。シールド材を折り曲げた際に曲げ部の幅(以下、「曲げ幅」と記載する。)が広くなると、曲げ部の形状が緩やかなカーブ形状になり、狙いの形状に加工することが難しくなる場合がある。この点からは、上記曲げ幅は狭いほど好ましい。シールド材に含まれる金属層の合計厚みが厚いほど、上記曲げ幅は広くなる傾向がある。シールド材の曲げ幅を狭くする観点からは、上記電磁波シールド材に含まれる金属層の合計厚みは、100μm以下であることが好ましく、90μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることが更に好ましく、70μm以下であることが一層好ましく、60μm以下であることがより一層好ましく、50μm以下であることが更に一層好ましく、40μm以下であることがなお一層好ましい。上記電磁波シールド材に含まれる金属層の合計厚みは、例えば、8μm以上または10μm以上であることができる。
 上記磁性層の厚みについて、一層あたりの厚みは、電磁波シールド材のシールド能の観点から、例えば3μm以上であることができ、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、電磁波シールド材の加工性の観点から、上記磁性層の一層あたりの厚みは、例えば90μm以下であることができ、70μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。上記電磁波シールド材が上記磁性層を二層以上含む場合、上記電磁波シールド材に含まれる上記磁性層の合計厚みは、例えば6μm以上であることができ、また、例えば180μm以下であることができる。
 また、シールド材の総厚は、例えば350μm以下であることができる。上記曲げ幅を狭くするという観点からは、シールド材の総厚が薄いことも好ましい。この点から、上記電磁波シールド材の総厚は、300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましい。上記電磁波シールド材の総厚は、例えば、30μm以上または40μm以上であることができる。
 電磁波シールド材に含まれる各層の厚みは、公知の方法で露出させた断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によって撮像し、得られたSEM像において無作為に選択した5カ所の厚みの算術平均として求めるものとする。
<電磁波シールド材の製造方法>
(磁性層の成膜方法)
 上記磁性層は、例えば、磁性層形成用組成物を塗布して設けた塗布層を乾燥させることによって作製することができる。磁性層形成用組成物は、上記で説明した成分を含み、一種以上の溶剤を任意に含むことができる。溶剤としては、各種有機溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル系溶剤、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤等を挙げることができる。磁性層形成用組成物の調製に使用される成分の溶解性等を考慮して選択される一種の溶剤、または二種以上の溶剤を任意の割合で混合して、使用することができる。磁性層形成用組成物の溶剤含有量は特に限定されず、磁性層形成用組成物の塗布性等を考慮して決定すればよい。
 磁性層形成用組成物は、各種成分を任意の順序で順次混合するかまたは同時に混合することによって調製することができる。また、必要に応じて、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ロールミル等の公知の分散機を用いて分散処理を行うことができ、および/または、振とう式撹拌機等の公知の撹拌機を用いて撹拌処理を行うこともできる。
 磁性層形成用組成物は、例えば、支持体上に塗布することができる。塗布は、ブレードコーター、ダイコーター等の公知の塗布装置を使用して行うことができる。塗布は、いわゆるロール・ツー・ロール方式で行うこともでき、バッチ方式で行うこともできる。
 磁性層形成用組成物が塗布される支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等の各種樹脂のフィルムが挙げられる。これら樹脂フィルムについては、特開2015-187260号公報の段落0081~0086を参照できる。支持体としては、磁性層形成用組成物が塗布される表面(被塗布面)に公知の方法により剥離処理が施されている支持体を使用することができる。剥離処理の一形態としては、離型層を形成することが挙げられる。離型層については、特開2015-187260号公報の段落0084を参照できる。また、支持体として、市販の剥離処理済樹脂フィルムを使用することもできる。被塗布面に剥離処理が施された支持体を使用することにより、成膜後に磁性層と支持体とを容易に分離することができる。
 一形態では、金属層を支持体として、磁性層形成用組成物を金属層上に直接塗布することも可能である。磁性層形成用組成物を金属層上に直接塗布することにより、上記磁性層を、他の層を介さずに金属層上に直接形成することができる。
 磁性層形成用組成物を塗布して形成された塗布層には、加熱、温風吹きつけ等の公知の方法によって乾燥処理を施すことができる。乾燥処理は、例えば磁性層形成用組成物に含まれる溶剤を揮発させ得る条件で行うことができる。一例として、例えば、雰囲気温度80~150℃の加熱雰囲気中で、1分間~2時間、乾燥処理を行うことができる。
 磁性粒子および樹脂に加えて硬化剤を含む磁性層形成用組成物に関して、硬化剤については先の記載を参照できる。かかる磁性層形成用組成物を用いて形成された磁性層には、任意の段階で硬化剤の硬化処理を施すことができる。硬化処理としては、硬化剤の種類に応じて、熱処理または光照射処理を行うことができる。例えば、硬化処理が熱処理の場合、かかる熱処理は、一形態では後述する加圧処理の前に行うことができ、他の一形態では後述する加圧処理の後に行うことができる。本発明者の検討によれば、上記熱処理を加圧処理後に行うと、形成される磁性層の透磁率が高まる傾向が見られた。上記熱処理は、例えば、加圧処理前または加圧処理後の磁性層を、雰囲気温度35℃以上(例えば35℃以上150℃以下)の環境に保持することによって行うことができる。上記保持時間は、例えば3~72時間とすることができる。
 先に記載した扁平形状粒子の配向度は、磁性層形成用組成物の溶剤種、溶剤量、液粘度、塗布厚み等により制御できる。例えば溶剤の沸点が低いと乾燥によって対流が生じることにより配向度の値が大きくなる傾向がある。溶剤量が少ないと、近接する扁平形状粒子間の物理的干渉により配向度の値が大きくなる傾向がある。一方、液粘度が低いと扁平形状粒子の回転が起き易くなるため配向度の値は小さくなる傾向がある。塗布厚みを薄くすると配向度の値は小さくなる傾向がある。また、後述する加圧処理を行うことは配向度の値を小さくすることに寄与し得る。上記の各種製造条件を調整することによって、扁平形状粒子の配向度を先に記載した範囲に制御することができる。
(磁性層の加圧処理)
 磁性層は成膜後加圧処理することもできる。磁性粒子を含む磁性層を加圧処理することにより、磁性層内の磁性粒子の密度を高めることができ、より高い透磁率を得ることができる。また、扁平形状粒子を含む磁性層は、加圧処理によって配向度の値を小さくすることができ、より高い透磁率を得ることができる。
 加圧処理は、板状プレス機、ロールプレス機等により磁性層の厚み方向に圧力を加えることにより行うことができる。板状プレス機は上下に配置した平らな2枚のプレス板の間に被加圧物を配置して、機械的または油圧の圧力によって2枚のプレス板を合わせて被加圧物に圧力を加えることができる。ロールプレス機は上下に配置した回転する加圧ロール間に被加圧物を通過させ、その際に加圧ロールに機械的または油圧の圧力を加えるか、加圧ロール間距離を被加圧物の厚みよりも小さくすることによって、圧力を加えることができる。
 加圧処理時の圧力は任意に設定することができる。例えば板状プレス機の場合、例えば1~50N(ニュートン)/mmである。ロールプレス機の場合、例えば線圧20~400N/mmである。
 加圧時間は任意に設定することができる。板状プレス機を用いる場合には例えば5秒~4時間である。ロールプレス機を用いる場合には、加圧時間は被加圧物の搬送速度で制御でき、例えば搬送速度は10cm/分~200m/分である。
 プレス板および加圧ロールの材質は、金属、セラミックス、プラスチック、ゴム等から任意に選ぶことができる。
 加圧処理の際、例えば板状プレス機の上下両方もしくは片側のプレス板またはロールプレス機の上下のロールの片側のロールに温度をかける等して、加熱加圧処理することも可能である。加熱加圧処理では、加熱によって磁性層を軟化させることができ、これにより圧力をかけた際に高い圧縮効果を得ることができる。加熱時の温度は任意に設定でき、例えば50℃以上200℃以下である。上記の加熱時の温度は、プレス板またはロールの内部温度であることができる。かかる温度は、プレス板またはロールの内部に設置された温度計によって測定することができる。一形態では、加熱加圧処理の前または後に、硬化剤の硬化処理として熱処理を実施することができる。かかる熱処理については、先に記載した通りである。
 板状プレス機での加熱加圧処理後、例えば、プレス板の温度が高い状態でプレス板を離間し磁性層を取り出すことができる。または、圧力を保持したままプレス板を水冷、空冷等の方法により冷却し、その後プレス板を離間し磁性層を取り出すこともできる。
 ロールプレス機においては、プレス直後に磁性層を水冷、空冷等の方法により冷却することができる。
 加圧処理を2回以上繰り返し行うことも可能である。
 剥離フィルム上に磁性層を成膜した場合には、例えば、剥離フィルムに積層した状態で加圧処理することができる。または、剥離フィルムから剥離して磁性層単層で加圧処理することもできる。
(金属層と磁性層との貼り合わせ)
 隣り合う金属層と磁性層とは、例えば圧力および熱をかけて圧着することによって直接貼り合わせることができる。圧着には、板状プレス機、ロールプレス機等を用いることができる。圧着工程において磁性層が軟化し金属層表面への接触が促進されることによって隣り合う二層を接着させることができる。圧着時の圧力は任意に設定することができる。板状プレス機の場合、例えば1~50N/mmである。ロールプレス機の場合、例えば線圧20~400N/mmである。圧着時の加圧時間は任意に設定することができる。板状プレス機を用いる場合には例えば5秒~30分である。ロールプレス機を用いる場合には被加圧物の搬送速度で制御でき、例えば搬送速度は10cm/分~200m/分である。圧着時の温度は任意に選ぶことができ、例えば、50℃以上、200℃以下である。上記の圧着時の温度とは、例えばプレス板またはロールの内部温度であることができる。
 金属層と上記磁性層とは、粘着層および/または接着層を金属層と上記磁性層との層間に介在させて貼り合わせることもできる。
 本発明および本明細書において、「粘着層」とは、常温において表面にタック性がある層をいう。ここで「常温」とは、23℃をいうものとし、接着層に関して後述する常温も23℃をいうものとする。かかる層は、被着体と接触した際にその付着力により被着体と接着する。タック性は、一般に、非常に軽い力で被着体に接触後、短時間に接着力を発揮する性質のことであり、本発明および本明細書において、上記の「タック性がある」とは、JIS Z 0237:2009に規定される傾斜式ボールタック試験(測定環境:温度23℃、相対湿度50%)において結果がNo.1~No.32であることをいう。粘着層表面に他の層が積層されている場合、例えば、他の層を剥がして露出させた粘着層表面を上記の試験に付すことができる。粘着層の一方の表面および他方の表面にそれぞれ他の層が積層されている場合には、どちらの表面側の他の層を剥がしてもよい。
 粘着層としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の粘着剤を含む粘着層形成用組成物を塗工してフィルム状に加工したものを用いることができる。
 粘着層形成用組成物は、例えば、支持体上に塗布することができる。塗布は、ブレードコーター、ダイコーター等の公知の塗布装置を使用して行うことができる。塗布は、所謂ロール・ツー・ロール方式で行うこともでき、バッチ方式で行うこともできる。
 粘着層形成用組成物が塗布される支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等の各種樹脂のフィルムが挙げられる。支持体としては、粘着層形成用組成物が塗布される表面(被塗布面)に公知の方法により剥離処理が施されている支持体を使用することができる。剥離処理の一形態としては、離型層を形成することが挙げられる。また、支持体として、市販の剥離処理済樹脂フィルムを使用することもできる。被塗布面に剥離処理が施された支持体を使用することにより、成膜後に粘着層と支持体とを容易に分離することができる。
 粘着剤が溶剤に溶解および/または分散した粘着層形成用組成物を金属層または上記磁性層に塗工し乾燥させることによって、金属層または上記磁性層の表面に粘着層を積層させることができる。
 また、フィルム状の粘着層を金属層または上記磁性層と重ね合わせて加圧することによって、金属層または上記磁性層の表面に粘着層を積層させることができる。
 粘着層を有する電磁波シールド材の作製のために、粘着層を含む粘着テープを用いることもできる。粘着テープとしては、両面テープを用いることができる。両面テープは支持体の両面に粘着層を配したもので、両面の粘着層がそれぞれ常温においてタック性を有し得る。また、粘着テープとしては、支持体の片面に粘着層を配した粘着テープを用いることもできる。支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等の各種樹脂のフィルム、不織布、紙等が挙げられる。粘着層を支持体の片面または両面に配した粘着テープとしては、市販品を使用することができ、公知の方法で作製した両面テープを使用することもできる。
 本発明および本明細書において、「接着層」とは、常温において表面にタック性がない層であって、加熱した状態で被着体に押し当てることで流動して被着体表面の微小な凹凸に追従しアンカリング効果によって接着力を発揮するか、または、加熱した状態で被着体に押し当てることで化学反応により被着体表面と化学結合を生じて接着力を発揮する層をいうものとする。接着層は、加熱により軟化および/または化学反応を起こすことができる。上記の「タック性がない」とは、JIS Z 0237:2009に規定される傾斜式ボールタック試験(測定環境:温度23℃、相対湿度50%)において、No.1のボールが停止しないことをいう。接着層表面に他の層が積層されている場合、例えば、他の層を剥がして露出させた接着層表面を上記の試験に付すことができる。接着層の一方の表面および他方の表面にそれぞれ他の層が積層されている場合には、どちらの表面側の他の層を剥がしてもよい。
 接着層としては、フィルム状の樹脂材料を用いることができる。樹脂材料としては、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂は、加熱により軟化する性質を持ち、加熱した状態で被着体に押し当てることで流動して被着体表面の微小な凹凸に追従しアンカリング効果による接着力を発揮することができ、その後冷却されることで接着状態を保持することができる。熱硬化性樹脂は、加熱により化学反応を起こすことができ、被着体に接触した状態で加熱することで化学反応が生じ、被着体表面と化学結合を生じて接着力を発揮することができる。
 熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム、オレフィン系エラストマー(PP)、スチレン系エラストマー、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)等を挙げることができる。
 熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂等を挙げることができる。
 接着層が上記磁性層に含まれる樹脂とポリマーの主骨格が同様である樹脂を含むことで、上記磁性層に含まれる樹脂と接着層に含まれる樹脂との相溶性が高くなるため、上記磁性層と接着層との密着力の点で好ましい。例えば、上記磁性層にポリウレタン樹脂が含まれ、接着層にもポリウレタン樹脂が含まれることは好ましい。
 接着層として使用されるフィルム状の樹脂材料は、市販品でもよく、公知の方法で作製したフィルム状樹脂材料でもよい。
 一形態では、溶剤に溶解および/もしくは分散した樹脂または樹脂前駆体を、金属層または上記磁性層に塗工し、乾燥または重合により硬化させることによって、金属層または上記磁性層の表面にフィルム状樹脂材料からなる接着層を積層することができる。
 または、溶剤に溶解および/もしくは分散した樹脂または樹脂前駆体を、支持体に塗工し、乾燥または重合により硬化させることで接着層を形成し、支持体から剥離することによって、フィルム状の接着層を形成することができる。
 フィルム状の接着層を金属層または上記磁性層と重ね合わせて加熱下で加圧することによって、金属層または上記磁性層の表面に接着層を積層させることができる。
 被着体である上記磁性層を、表面に接着層が積層された金属層のその接着層と重ね合わせた状態で加熱下で加圧することによって、金属層と上記磁性層とを接着層を介して貼り合わせることができる。
 または、被着体である金属層を、表面に接着層が積層された上記磁性層のその接着層と重ね合わせた状態で加熱下で加圧することによって、金属層と上記磁性層とを接着層を介して貼り合わせることができる。
 または、金属層と上記磁性層とを、これらの層の間にフィルム状の樹脂材料である接着層を配して重ね合わせて加熱下で加圧することによって、金属層と上記磁性層とを接着層を介して貼り合わせることができる。
 加熱下での加圧は、加熱機構を有する板状プレス機、ロールプレス機等によって行うことができる。
 また、接着手段の一例としては、特開2003-20453号公報にシリコーン系基材レス両面テープとして記載されている両面テープを挙げることもできる。
 一般的な粘着層および接着層は、金属層に比べて電気伝導率が極めて小さく、上記磁性層に比べて透磁率が極めて小さく、かつ比誘電率は空気の数倍程度しかなく、特性インピーダンスおよび伝搬定数が空気と同程度である。したがって、一般的な粘着層および/または接着層を用いることは、シールド材のシールド能に影響しないか、またはその影響は無視できるほど小さい。粘着層および接着層について、一層あたりの厚みは、特に限定されず、例えば1μm以上30μm以下であることができる。
 一形態では、上記電磁波シールド材は、以下の工程の1つ以上を経て作製することができる。ただし、上記電磁波シールド材の製造方法は、特に限定されるものではない。
 金属層と上記磁性層との貼り合わせを、フィルム状に形成した粘着層または接着層を用いて行う。
 金属層と上記磁性層との貼り合わせを、表面に粘着層または接着層を設けた上記磁性層を形成し、この上記磁性層を粘着層または接着層を介して金属層と貼り合わせることによって行う。
 金属層と上記磁性層との貼り合わせを、表面に粘着層または接着層を設けた金属層を形成し、この金属層を粘着層または接着層を介して上記磁性層と貼り合わせることによって行う。
 粘着層または接着層を、金属層または上記磁性層の表面に直接塗工する。
 剥離フィルム上に粘着層または接着層を塗工し、圧力をかけて上記磁性層と圧着した後に、または熱および圧力をかけて上記磁性層と圧着した後に、剥離フィルムを剥離することによって、表面に粘着層また接着層を有する上記磁性層を形成する。
 剥離フィルム上に粘着層または接着層を塗工し、圧力をかけて上記磁性層と圧着した後に、または熱および圧力をかけて金属層と圧着した後に、剥離フィルムを剥離することによって、表面に粘着層また接着層を有する金属層を形成する。
 上記電磁波シールド材は、フィルム状(シート状ともいうことができる。)等の任意の形状および任意のサイズであることができる。例えば、フィルム状の電磁波シールド材を任意の形状に折り曲げて電子部品または電子機器に組み込むことができる。
[電子部品]
 本発明の一態様は、上記電磁波シールド材を含む電子部品に関する。上記電子部品としては、携帯電話、携帯情報端末、医療機器等の電子機器に含まれる電子部品、半導体素子、コンデンサ、コイル、ケーブル等の各種電子部品を挙げることができる。上記電磁波シールド材は、例えば、電子部品の形状に応じて任意の形状に折り曲げて、電子部品の内部に配置することができ、または電子部品の外側を覆うカバー材として配置することができる。または、筒状に加工してケーブルの外側を覆うカバー材として配置することができる。
[電子機器]
 本発明の一態様は、上記電磁波シールド材を含む電子機器に関する。上記電子機器としては、携帯電話、携帯情報端末、医療機器等の電子機器、半導体素子、コンデンサ、コイル、ケーブル等の各種電子部品を含む電子機器、電子部品を回路基板に実装した電子機器等を挙げることができる。かかる電子機器は、この機器に含まれる電子部品の構成部材として上記電磁波シールド材を含むことができる。また、電子機器の構成部材として、上記電磁波シールド材を、電子機器の内部に配置することができ、または電子機器の外側を覆うカバー材として配置することができる。または、筒状に加工してケーブルの外側を覆うカバー材として配置することができる。
 上記電磁波シールド材の使用形態の一例として、プリント基板上の半導体パッケージをシールド材で被覆する使用形態を挙げることができる。例えば、「半導体パッケージでの電磁波シールド技術」(東芝レビュー Vol.67 No.2 (2012) P.8)には、半導体パッケージをシールド材で被覆する際にパッケージ基板端部の側面ビアとシールド材内側表面とを電気的に接続することによってグランド配線を行い、高いシールド効果を得る手法が開示されている。このような配線を行うためにはシールド材の電子部品側最表層が金属層であることが望ましい。上記電磁波シールド材は、一形態ではシールド材の一方または両方の最表層が金属層であり得るため、上記のような配線を行う際に好適に使用できる。
 以下に、本発明を実施例により更に具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に示す実施形態に限定されるものではない。
[磁性層の樹脂]
 表1に示す磁性層の樹脂は、以下の樹脂である。表1中、ポリウレタン樹脂を「ポリウレタン」、ポリエステルウレタン樹脂を「ポリエステルウレタン」と表記する。
 ガラス転移温度Tgが-50℃のポリウレタン樹脂は、東ソー社製ニッポラン5120である。
 ガラス転移温度Tgが-30℃のポリエステルウレタン樹脂は、東洋紡社製UR-6100である。
 ガラス転移温度Tgが-3℃のポリエステルウレタン樹脂は、東洋紡社製UR-3200である。
 ガラス転移温度Tgが23℃のポリエステルウレタン樹脂は、東洋紡社製UR-8300である。
 表1に示す樹脂のガラス転移温度は、以下の方法によって求められた値である。
 磁性層形成用組成物(塗布液)の調製に使用した樹脂と同じ樹脂(ペレット状または粉末状の試料)をアルミニウム製サンプルパンに入れ、プレス機により封入し、示差走査熱量計としてティー・エイ・インスツルメント社製Q100を用いて、以下の条件によりヒートフロー測定を行った。測定結果から、樹脂のガラス転移温度を、昇温時のヒートフローチャートのベースラインシフト開始温度として求めた。
(測定条件)
走査温度:-80.0℃~200.0℃
昇温速度:10.0℃/分
[実施例1]
<磁性層形成用組成物(塗布液)の調製>
 プラスチックボトルに、
 Fe-Si-Al扁平形状磁性粒子(MKT社製センダストMFS-SUH):12g
 ポリウレタン樹脂(東ソー社製ニッポラン5120、固形分濃度30質量%):3.3g
 多官能イソシアネート(三井化学社製タケネートD101E、固形分濃度75質量%):0.4g
 シクロヘキサノン:25g
を加え、振とう式撹拌機で12時間混合し塗布液を調製した。調製した磁性層形成用組成物から形成される磁性層の全質量に対する磁性粒子の含有率および樹脂100質量部に対する多官能イソシアネートの含有量は、表1に示す値である。
<磁性層の作製>
(磁性層の成膜)
 剥離処理済みPETフィルム(ニッパ社製PET75-JOL)の剥離面に塗布ギャップ300μmのブレードコーターで塗布液を塗布し、内部雰囲気温度80℃の乾燥装置内で30分間乾燥させ、フィルム状の磁性層を上記剥離処理済みPETフィルム上に成膜した。
(磁性層の加圧処理および熱処理)
 板状プレス機(東洋精機製ミニテストプレス)の上下プレス板を140℃(プレス板の内部温度)に加熱し、上記剥離処理済みPETフィルムを剥がした磁性層を、厚み1mmの2枚のテフロン(登録商標)シートで挟み、30N/mmの圧力を加えた状態で10分間保持した。圧力を保持したまま上下プレス板を50℃(プレス板の内部温度)まで冷却した後、2枚のテフロン(登録商標)シートの間から磁性層を取り出した。
 その後、磁性層に含まれるポリウレタン樹脂と多官能イソシアネートとを架橋反応させるために、内部雰囲気温度60℃の乾燥装置内に磁性層を48時間保持して熱処理を施し、磁性層を得た。得られた磁性層の一部から、後述の各種評価のための測定用サンプルを切り出した。
<シールド材の作製>
 磁性層として上記で得られた磁性層を使用し、金属層として厚み50μmのアルミ箔(JIS H4160:2006規格準拠、合金番号1N30質別(1)O、Al含有率99.3質量%以上)を使用し、「アルミ箔(金属層)/磁性層/アルミ箔(金属層)/磁性層/アルミ箔(金属層)」の五層を、それぞれの層間に厚み5μmの両面テープ(日榮新化社製NeoFix5 S2)を配置して貼り合わせた。
 こうして、実施例1の電磁波シールド材を得た。実施例1のシールド材は、「アルミ箔(金属層)/磁性層/アルミ箔(金属層)」の多層構造を2つ含む。
<透磁率の測定>
 上記磁性層から28mm×10mmのサイズの測定用サンプルを切り出し、透磁率測定装置(キーコム株式会社製per01)を用いて透磁率測定を行い、3MHzの周波数における複素比透磁率実部(μ’)として透磁率を求めた(測定温度:25℃)。こうして求められた透磁率を、「熱経時前透磁率」として表1に示す。
 熱経時前透磁率を測定した後の測定用サンプルを120℃の高温雰囲気中に1日配置した後、上記方法によって透磁率を求めた(測定温度:25℃)。こうして求められた透磁率を、「熱経時後透磁率」として表1に示す。表1には、以下の式によって算出された熱経時前後の透磁率の変化率も示す。
 変化率(%)=熱経時後透磁率/熱経時前透磁率×100
<電気伝導率の測定>
 デジタル超絶縁抵抗計(タケダ理研製TR-811A)のマイナス極側に直径30mmの円筒状の主電極を接続し、プラス極側に内径40mm外径50mmのリング電極を接続し、60mm×60mmのサイズにカットした上記磁性層のサンプル片上に主電極とそれを取り囲む位置にリング電極を設置し、両極に25Vの電圧を印加し、上記磁性層単独の表面電気抵抗率を測定した。表面電気抵抗率と以下の式から上記磁性層の電気伝導率を算出した。算出された電気伝導率は1.1×10-2S/mであった。
厚みとしては、下記の方法で求められた磁性層の厚みを用いた。
 電気伝導率[S/m]=1/(表面電気抵抗率[Ω]×厚み[m])
<シールド材断面像の取得>
 以下の方法でシールド材の断面を露出させるための断面加工を行った。
 3mm×3mmのサイズに切り出したシールド材を樹脂包埋し、イオンミリング装置(日立ハイテク社製IM4000PLUS)にてシールド材断面を切断した。
 こうして露出させたシールド材の断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製SU8220)にて加速電圧2kVかつ倍率100倍の条件で観察し、反射電子像を得た。得られた像からスケールバーを基準として、二層の磁性層のそれぞれの厚み、三層の金属層のそれぞれの厚みおよびシールド材の総厚を、それぞれ5カ所で測定した。それぞれの算術平均を、各磁性層の厚み、各金属層の厚みおよびシールド材の総厚とした。各磁性層の厚みは30μm、各金属層の厚みは50μm、シールド材の総厚は230μmであった。
<磁性層断面像の取得>
 上記と同様に断面加工して露出させた実施例1のシールド材の断面において、磁性層の部分を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製SU8220)にて加速電圧2kVかつ倍率1000倍の条件で観察し、反射電子像を得た。
<磁性粒子のアスペクト比、扁平形状粒子の配向度の測定>
 上記で取得した反射電子像を用いて、先に記載した方法によって磁性粒子のアスペクト比を求め、アスペクト比の値から扁平形状粒子を特定した。上記磁性層が磁性粒子として扁平形状粒子を含むか含まないかを先に記載したように判定したところ、上記磁性層は扁平形状粒子を含むと判定された。更に、扁平形状粒子と特定された磁性粒子について、先に記載した方法によって配向度を求めたところ、13°であった。また、扁平形状粒子と特定されたすべての粒子のアスペクト比の平均値(算術平均)を、磁性層に含まれる扁平形状粒子のアスペクト比として求めた。求められたアスペクト比は0.071であった。
<磁性層のTanδ>
 上記磁性層から28mm×10mmのサイズの測定用サンプルを切り出し、動的粘弾性測定装置として日立ハイテクサイエンス社製動的粘弾性測定装置DMS6100を使用して、先に記載した測定手順によって動的粘弾性測定を行った。得られた測定結果から、1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδを求めた。0℃~70℃の温度範囲における損失正接Tanδの最大値を表1に示す。実施例1ならびに以下の実施例および比較例のすべてについて、0℃~70℃の温度範囲において、磁性層の1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδの最小値は0.02以上であった。
<シールド能の評価(KEC法)>
 信号発生器、アンプ、一対の磁界アンテナおよびスペクトラムアナライザを含むKEC法評価装置のアンテナ間に150mm×150mmのサイズにカットしたシールド材を設置し、100kHzの周波数においてシールド材がない場合の受信信号強度とシールド材がある場合の受信信号強度の比を求め、シールド能とした。これを磁界アンテナについて実施し、電磁波シールド能(磁界波シールド能)を求めた。なお、KECとは、関西電子工業振興センターの略称である。
 上記の評価を、シールド材を120℃の高温雰囲気中に1日配置する前および配置した後に実施した。各評価によって求められた値から、以下の評価基準によってシールド能を評価した。上記高温雰囲気中に配置する前のシールド材について求められた評価結果を「熱経時前」の評価結果、上記高温雰囲気中に配置した後のシールド材について求められた結果を「熱経時後」の評価結果として表1に示す。
(評価基準)
 A:30dB以上
 B:25dB以上30dB未満
 C:25dB未満
[実施例2~4、実施例7~9、比較例1、2]
 表1に示す項目を表1に示すように変更した点以外、実施例1について記載した方法によって電磁波シールド材の作製および各種評価を行った。
 上記の実施例および比較例について、それぞれ先に記載した方法によって各種厚みの測定を行ったところ、各磁性層の厚み、各アルミ箔(金属層)の厚みおよびシールド材の総厚は、実施例1について求められた値と同じであった。
[実施例5]
 「アルミ箔(金属層)/磁性層/アルミ箔(金属層)」の三層を、それぞれの層間に厚み5μmの両面テープ(日榮新化社製NeoFix5 S2)を配置して貼り合わせた点以外、実施例3について記載した方法によって電磁波シールド材の作製および各種評価を行った。
 こうして、実施例5の電磁波シールド材を得た。実施例5のシールド材は、「アルミ箔(金属層)/磁性層/アルミ箔(金属層)」の多層構造を1つ含む。
 実施例5について、先に記載した方法によって各種厚みの測定を行ったところ、磁性層の厚みおよび各アルミ箔(金属層)の厚みは実施例1について求められた値と同じであり、シールド材の総厚は140μmであった。
[実施例6]
 金属層として、アルミ箔に代えて厚み35μmの銅箔(JIS H3100:2018規格準拠、合金番号C1100R、Cu含有率99.9質量%以上)を使用した点以外、実施例1について記載した方法によって電磁波シールド材の作製および各種評価を行った。
 こうして、実施例6の電磁波シールド材を得た。実施例6のシールド材は、「銅箔(金属層)/磁性層/銅箔(金属層)」の多層構造を2つ含む。
 実施例6について、先に記載した方法によって各種厚みの測定を行ったところ、各磁性層の厚みは30μm、各金属層の厚みは35μm、シールド材の総厚は185μmであった。
[実施例10]
 磁性層の加圧処理前に、磁性層に含まれるポリウレタン樹脂と多官能イソシアネートとを架橋反応させるために、内部雰囲気温度60℃の乾燥装置内に磁性層を48時間保持して熱処理を施した。かかる熱処理後、実施例1について記載した方法によって磁性層の加圧処理を行い、加圧処理後の熱処理は実施しなかった。
 上記の点以外、実施例1について記載した方法によって電磁波シールド材の作製および各種評価を行った。
 こうして、実施例10の電磁波シールド材を得た。実施例10のシールド材は、「アルミ箔(金属層)/磁性層/アルミ箔(金属層)」の多層構造を2つ含む。
 実施例10について、先に記載した方法によって各種厚みの測定を行ったところ、各磁性層の厚みは30μm、各金属層の厚みは50μm、シールド材の総厚は230μmであった。
[比較例3]
 磁性層一層と厚さ100μmのアルミ箔一枚(JIS H4160:2006規格準拠、合金番号1N30質別(1)O、Al含有率99.3質量%以上)とを両面テープによって貼り合わせた点以外、実施例1について記載した方法によって電磁波シールド材の作製および各種評価を行った。
 こうして、比較例3の電磁波シールド材を得た。比較例3について、先に記載した方法によって各種厚みの測定を行ったところ、磁性層の厚みは30μm、金属層の厚みは100μm、シールド材の総厚は135μmであった。
 以上の結果を表1に示す。表1中、アルミ箔を「Al」、銅箔を「Cu」、磁性層を「磁」と略して示す。
 磁性層に含まれる樹脂のガラス転移温度Tgが異なる実施例1、7および8について、それぞれ作製した磁性層から20cm×20cmのサイズのサンプル片を切り出した。切り出したサンプル片を手で半分に折り曲げた後、広げて平らにした。その結果、実施例1、7については折り曲げ後の磁性層に破断が見られなかったのに対し、実施例8については折り曲げ後の磁性層に破断が見られた。
 本発明の一態様は、各種電子部品および各種電子機器の技術分野において有用である。

Claims (11)

  1. 磁性粒子および樹脂を含む磁性層を二層の金属層の間に有し、かつ
    前記磁性層の1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδが0℃~70℃の温度範囲において0.35未満である、電磁波シールド材。
  2. 前記磁性層はウレタン結合含有樹脂を含む、請求項1に記載の電磁波シールド材。
  3. 前記樹脂のガラス転移温度は-60℃以上0℃未満である、請求項1に記載の電磁波シールド材。
  4. 前記磁性層は、ガラス転移温度が-60℃以上0℃未満であるウレタン結合含有樹脂を含む、請求項1に記載の電磁波シールド材。
  5. 前記磁性層は多官能イソシアネートを含む、請求項1に記載の電磁波シールド材。
  6. 前記磁性層は、前記樹脂の含有量を100質量部として、多官能イソシアネートを15質量部以上含む、請求項1に記載の電磁波シールド材。
  7. 前記磁性層の透磁率が100以上である、請求項1に記載の電磁波シールド材。
  8. 1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδが0℃~70℃の温度範囲において0.35未満である磁性層を二層の金属層の間に有する多層構造を2つ以上含む、請求項1に記載の電磁波シールド材。
  9. 前記磁性層は、ガラス転移温度が-60℃以上0℃未満であるウレタン結合含有樹脂を含み、
    前記磁性層は、前記樹脂の含有量を100質量部として、多官能イソシアネートを15質量部以上含み、
    前記磁性層の透磁率が100以上であり、かつ
    1Hzの動的粘弾性測定における損失正接Tanδが0℃~70℃の温度範囲において0.35未満である磁性層を二層の金属層の間に有する多層構造を2つ以上含む、請求項1に記載の電磁波シールド材。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の電磁波シールド材を含む電子部品。
  11. 請求項1~9のいずれか1項に記載の電磁波シールド材を含む電子機器。
PCT/JP2023/022341 2022-06-29 2023-06-16 電磁波シールド材、電子部品および電子機器 WO2024004697A1 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022104530 2022-06-29
JP2022-104530 2022-06-29

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2024004697A1 true WO2024004697A1 (ja) 2024-01-04

Family

ID=89382138

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2023/022341 WO2024004697A1 (ja) 2022-06-29 2023-06-16 電磁波シールド材、電子部品および電子機器

Country Status (1)

Country Link
WO (1) WO2024004697A1 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0779085A (ja) * 1993-09-06 1995-03-20 Riken Corp 電磁波シールド成形体とその成形方法
JP2016151006A (ja) * 2015-02-19 2016-08-22 Dic株式会社 粘着シート、その製造方法及び電子機器

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0779085A (ja) * 1993-09-06 1995-03-20 Riken Corp 電磁波シールド成形体とその成形方法
JP2016151006A (ja) * 2015-02-19 2016-08-22 Dic株式会社 粘着シート、その製造方法及び電子機器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI546823B (zh) 導電性微粒及其製造方法、導電性樹脂組成物、導電性薄片、以及電磁波屏蔽薄片
KR20150106352A (ko) 접착 필름
CN102461362A (zh) 电磁屏蔽制品
JP6255816B2 (ja) 電磁波シールドシートおよびプリント配線板
JP2020194940A (ja) 電磁波シールドシートおよびプリント配線板
CN104134513A (zh) 软磁复合薄膜和制造方法及其在电子设备中的应用
JP2005277145A (ja) 電磁波シールド用粘着シート
TWI400266B (zh) 磁性片組成物、磁性片及磁性片的製造方法
JP2009295671A (ja) 磁性シート及び磁性シートの製造方法
WO2024004697A1 (ja) 電磁波シールド材、電子部品および電子機器
KR20160103397A (ko) 전파방해잡음 흡수기능을 가지는 점착테이프 및 이의 제조방법
WO2024004889A1 (ja) 電磁波シールド材、電子部品および電子機器
JP6566008B2 (ja) 電磁波シールドシートおよびプリント配線板
TW202106503A (zh) 磁性薄膜
WO2022138701A1 (ja) 電磁波シールド材、電子部品および電子機器
US20220220350A1 (en) Adhesive sheet and electronic component
WO2023074619A1 (ja) 電磁波シールド材、電子部品、電子機器および電磁波シールド材の使用方法
TW201903214A (zh) 表面處理銅箔及其製造方法,以及覆銅積層板
JP7001187B1 (ja) 電磁波シールドシートおよびその製造方法、シールド性配線基板、並びに電子機器
WO2023074617A1 (ja) 電磁波シールド材、電子部品および電子機器
WO2022255023A1 (ja) 電磁波シールド材、電子部品および電子機器
CN111818723B (zh) 电磁波屏蔽片及电磁波屏蔽性配线电路基板
TWI687527B (zh) 表面處理銅箔及覆銅積層板
WO2023074618A1 (ja) 電磁波シールド材、電子部品および電子機器
WO2024004698A1 (ja) 電磁波シールド材、電子部品および電子機器

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 23831144

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1