WO2023286878A1

WO2023286878A1 - パネルフレーム構造体

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Publication number: WO2023286878A1
Application number: PCT/JP2022/028029
Authority: WO
Inventors: 竹志佐藤; 秀剛米原; 貴弘新村; 淳也石原
Original assignee: テイ・エステック株式会社
Priority date: 2021-07-16
Filing date: 2022-07-19
Publication date: 2023-01-19
Also published as: US20240317126A1; JPWO2023286878A1

Abstract

パネルフレーム構造体（２１００）の強度の向上を図るため、パネルフレーム（２０２０）と、パネルフレーム（２０２０）の上端部に沿って接合されたアッパーフレーム（２０４０）と、パネルフレーム（２０２０）の側端部に沿って接合されたサイドフレーム（２０７０）と、ロック装置（２１１０）の取付ブラケット（２０８０）とを備えるパネルフレーム構造体（２１００）であって、取付ブラケット（２０８０）が、前後方向から見てアッパーフレーム（２０４０）と重なった部分を有するパネルフレーム構造体（２１００）を提供する。

Description

パネルフレーム構造体

　本発明は、パネルフレーム構造体に関する。

　特開２０１５－１６３５０６号公報には、乗物用シートのシートバックを起立状態に固定するためのロック装置を保持する取付ブラケットがシートフレームのサイドフレームに装備されている例が開示されている。

特開２０１５－１６３５０６号公報

　しかしながら、上記従来のパネルフレーム構造体は、構造体の強度について改善の余地があった。

　本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、パネルフレーム構造体の強度向上を図ることである。

　以上の課題を解決するため、請求項１に記載の発明は、パネルフレーム構造体であって、
　パネルフレームと、
　前記パネルフレームの上端部に沿って接合されたアッパーフレームと、
　前記パネルフレームの側端部に沿って接合されたサイドフレームと、
　ロック装置の取付ブラケットとを備えるパネルフレーム構造体であって、
　前記取付ブラケットが、前後方向から見て前記アッパーフレームと重なった部分を有することを特徴とする。

　請求項２に記載の発明は、請求項１に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記取付ブラケットが前記アッパーフレームの少なくとも一部を覆った状態であることを特徴とする。

　請求項３に記載の発明は、請求項１又は２に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記サイドフレームと前記取付ブラケットと前記アッパーフレームとが、前後方向から見て重なった部分を有することを特徴とする。

　請求項４に記載の発明は、請求項１から３のいずれか一項に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記取付ブラケットと前記アッパーフレームとの間に、前記ロック装置を取り付ける固定部材を配置する隙間空間を有することを特徴とする。

　請求項５に記載の発明は、請求項４に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記隙間空間を形成する側壁部に前記固定部材が接合されていることを特徴とする。

　請求項６に記載の発明は、請求項４又は５に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記取付ブラケットは、前後方向に突出する部位の内側に前記隙間空間を有することを特徴とする。

　請求項７に記載の発明は、請求項１から６のいずれか一項に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記取付ブラケットは、前記アッパーフレーム又は前記サイドフレームの少なくとも一方と前記パネルフレームとに接合されていることを特徴とする。

　請求項８に記載の発明は、請求項１から７のいずれか一項に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記取付ブラケットと前記アッパーフレームとの間に前記ロック装置を格納する隙間空間を有することを特徴とする。

　請求項９に記載の発明は、請求項１から８のいずれか一項に記載のパネルフレーム構造体において、
　アームレストを支持するアームレストブラケットと、
　前記パネルフレームの角部に接合される角部ブラケットとを備え、
　前記アームレストブラケットが、前後方向から見て前記サイドフレーム又は前記角部ブラケットと重なった部分を有することを特徴とする。

　請求項１０に記載の発明は、請求項９に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記アームレストブラケットは、前記サイドフレーム又は前記角部ブラケットに接合されていることを特徴とする。

　請求項１１に記載の発明は、請求項９に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記アームレストブラケットは、前記サイドフレームと前記角部ブラケットのいずれにも接合されていないことを特徴とする。

　請求項１２に記載の発明は、請求項９から１１のいずれか一項に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記アームレストブラケットは、前記サイドフレーム又は前記角部ブラケットを前後方向に回避する形状であることを特徴とする。

　請求項１３に記載の発明は、請求項１から１２のいずれか一項に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記アッパーフレームは、開断面形状であって、
　前記パネルフレームにおける前記アッパーフレームの開断面の開口部の内側となる位置に凹凸による補強部を有することを特徴とする。

　請求項１４に記載の発明は、請求項１から１３のいずれか一項に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記アッパーフレーム又は前記サイドフレームは、開断面形状であって、
　前記パネルフレームにおける前記アッパーフレーム又は前記サイドフレームの開断面の開口部の外側に並んで凹凸による補強部を有することを特徴とする。

　請求項１５に記載の発明は、請求項１から１４のいずれか一項に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記パネルフレームは、網目模様のビードが形成されていることを特徴とする。

　請求項１に記載の発明によれば、取付ブラケットが、前後方向から見てアッパーフレームと重なった部分を有するので、取付ブラケットとアッパーフレームとの重合部分について高い剛性を得ることができ、パネルフレーム構造体の強度向上を図ることが可能となる。

　請求項２に記載の発明によれば、取付ブラケットがアッパーフレームの少なくとも一部を覆った状態であるため、取付ブラケットがアッパーフレームを覆った部分について高い剛性を得ることができ、パネルフレーム構造体の強度向上を図ることが可能となる。

　請求項３に記載の発明によれば、サイドフレームと取付ブラケットとアッパーフレームとが、前後方向から見て重なった部分を有するので、これらの重合部分についてより高い剛性を得ることができ、パネルフレーム構造体のさらなる強度向上を図ることが可能となる。

　請求項４に記載の発明によれば、ロック装置の取付ブラケットとアッパーフレームとの間にロック装置を取り付ける固定部材を配置する隙間空間を有するので、パネルフレーム構造体の表面に固定部材が突出することなく配置することが可能となる。また、隙間空間を利用するので、取付ブラケットの周辺の小型化、コンパクト化を図ることが可能となる。

　請求項５に記載の発明によれば、隙間空間を形成する側壁部に固定部材が接合されているので、ロック装置の取り付けの際に、固定部材を押さえる必要がなく、組付け作業の容易化を図ることが可能となる。

　請求項６に記載の発明によれば、取付ブラケットは、前後方向に突出する部位の内側に隙間空間を有するので、前後方向に広くロック装置の取り付け面を確保することが可能となる。これにより、ロック装置を安定的且つ高い強度で取り付けることが可能となる。

　請求項７に記載の発明によれば、取付ブラケットは、アッパーフレーム又はサイドフレームの少なくとも一方とパネルフレームとに接合されているので、ロック装置に外力が加わった場合に、負荷をパネルフレームとアッパーフレーム又はサイドフレームとに分散することができ、ロック装置の取付強度を高く維持することができる。また、ロック装置に加わる外力に対してパネルフレーム構造体の撓みを抑制することができる。

　請求項８に記載の発明によれば、取付ブラケットとアッパーフレームとの間にロック装置を格納する隙間空間を有するので、ロック装置を保護することが可能となる。さらに、パネルフレーム構造体の表面にロック装置が突出することなく配置することが可能となる。また、隙間空間を利用するので、ロック装置の周辺の小型化、コンパクト化を図ることが可能となる。

　請求項９に記載の発明によれば、アームレストブラケットが、前後方向から見てサイドフレーム又は角部ブラケットと重なった部分を有するので、アームレストブラケットに対してサイドフレーム又は角部ブラケットを回避して配置する必要がなくなるため、パネルフレーム構造体の小型化を図ることが可能となる。
　また、アームレストブラケットとサイドフレーム又は角部ブラケットとの重合部分について高い剛性を得ることができ、パネルフレーム構造体の強度向上を図ることが可能となる。

　請求項１０に記載の発明によれば、アームレストブラケットは、サイドフレーム又は角部ブラケットに接合されているので、取り付け強度の向上を図ることが可能となる。

　請求項１１に記載の発明によれば、アームレストブラケットは、サイドフレーム又は角部ブラケットに接合されていないので、アームレストブラケットにおけるサイドフレーム又は角部ブラケットとの重合部分について撓みを生じる余地を持たせることができ、アームレストに加わる荷重を吸収して破損や変形、破断等の発生を抑制することが可能となる。

　請求項１２に記載の発明によれば、アームレストブラケットは、サイドフレーム又は角部ブラケットを前後方向に回避する形状であるため、回避形状の屈曲によりアームレストブラケットの剛性を高めることが可能となる。また、アームレストブラケットをパネルフレームに接合しながらもサイドフレーム又は角部ブラケットを回避することができ、アームレストブラケットを高強度で取り付けることが可能となる。

　請求項１３に記載の発明によれば、パネルフレームにおけるアッパーフレームの開断面の開口部の内側となる位置に凹凸による補強部を有するので、パネルフレームにおける補強部によって剛性を高めた部分にアッパーフレームを接合することができ、アッパーフレーム又はサイドフレームの接合強度を高めることが可能となる。

　請求項１４に記載の発明によれば、パネルフレームにおけるアッパーフレーム又はサイドフレームの開断面の開口部の外側に並んで凹凸による補強部を有するので、パネルフレームにおける補強部によって剛性を高めた部分の近傍にアッパーフレーム又はサイドフレームを接合することができ、アッパーフレーム又はサイドフレームの接合強度を高めることが可能となる。

　請求項１５に記載の発明によれば、パネルフレームは、網目模様のビードが形成されているので、パネルフレームの平面垂直方向の荷重に対する剛性を高めることができ、パネルフレーム構造体全体の強度向上を図ることが可能となる。

パネルフレーム構造体に関する実施の形態[1]におけるパネルフレーム構造体の前面側を示す正面図である。取付ブラケットを除去した状態におけるアッパーフレームの右端部の斜視図である。図１におけるＣ－Ｃ線に沿った断面図である。図１におけるＢ－Ｂ線に沿った断面図である。図１におけるＥ－Ｅ線に沿った断面図である。図１におけるＦ－Ｆ線に沿った断面図である。パネルフレーム構造体の右上部の斜視図である。図１におけるＡ－Ａ線に沿った断面図である。図１におけるＤ－Ｄ線に沿った断面図である。パネルフレーム構造体の左下部分の拡大斜視図である。ガイド部を有するアッパーフレームの斜視図である。他の形態である取付ブラケットを備えるパネルフレーム構造体の前面側を示す正面図である。図１２におけるＧ－Ｇにおける断面図である。取付ブラケットをエアバッグモジュールへ転用した場合のパネルフレーム構造体の正面図である。図１４のＨ－Ｈ線に沿った断面図である。フランジ部に改良を加えた例における図１４のＨ－Ｈ線に沿った断面図である。乗物用シートのクッションフレーム構造体に関する実施の形態におけるクッションフレーム構造体の斜視図である。クッションフレーム構造体の平面図である。クッションフレーム構造体の正面図である。クッションフレーム構造体の背面図である。クッションフレーム構造体の左側面図である。図１８におけるＡ－Ａにおける断面図である。図１９におけるＢ－Ｂにおける断面図である。パネルフレーム構造体に関する実施の形態[2]におけるパネルフレーム構造体の前面側を示す正面図である。図２４におけるＡ－Ａ線に沿ったパネルフレーム構造体の断面図である。パネルフレーム構造体の前面の部分拡大図である。パネルフレーム構造体の部分斜視図である。図２６におけるＢ－Ｂ線に沿ったパネルフレーム構造体の断面図である。パネルフレーム構造体の右上部の部分拡大図である。前パネルフレームの枠状部の他の例を適用したパネルフレーム構造体の斜視図である。連結部の他の形態の例を適用したパネルフレーム構造体の正面視の概略図である。連結部のさらに他の形態の例を適用したパネルフレーム構造体の正面視の概略図である。連結部のさらに他の形態の例を適用したパネルフレーム構造体の正面視の概略図である。連結部のさらに他の形態の例を適用したパネルフレーム構造体の正面視の概略図である。連結部のさらに他の形態の例を適用したパネルフレーム構造体の正面視の概略図である。連結部のさらに他の形態の例を適用したパネルフレーム構造体の正面視の概略図である。連結部のさらに他の形態の例を適用したパネルフレーム構造体の正面視の概略図である。連結部のさらに他の形態の例を適用したパネルフレーム構造体の正面視の概略図である。連結部のさらに他の形態の例を適用したパネルフレーム構造体の正面視の概略図である。連結部のさらに他の形態の例を適用したパネルフレーム構造体の正面視の概略図である。補強部の他の形態の例を適用したパネルフレーム構造体の正面視の概略図である。補強部の他の形態の例を適用したパネルフレーム構造体の背面視の概略図である。パネルフレーム構造体に関する実施の形態[3]におけるパネルフレーム構造体の前面側を示す斜視図である。図４３のパネルフレーム構造体の後面側を示す斜視図である。図４３のパネルフレーム構造体の部分拡大斜視図である。

〔１〕パネルフレーム構造体に関する実施の形態[1]
　図１～図１６に基づいてパネルフレーム構造体に関する実施の形態[1]について説明する。
　但し、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が以下の実施形態に付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
　本実施形態は、乗物用のベンチシートの背もたれに適用されるパネルフレーム構造体である。
　以下に示すパネルフレーム構造体を適用するベンチシートを備える乗物は、船舶、飛行体、車両等、人間が搭乗して移動を行うあらゆる乗物を含むが、本実施形態では、車両、特に、自動車のベンチシートにパネルフレーム構造体を適用する場合を例示する。

　図１はパネルフレーム構造体２１００の前面側を示す正面図である。
　なお、本実施形態に示す各図において、上下左右前後の各方向は、車両に取り付けられた状態での方向を示している。以下、パネルフレーム構造体２１００の各部の説明については、上記取付け状態での方向に基づいて説明する。図１では紙面手前側が「前」、奥側が「後」を示し、前を向いた状態で左手側が「左」、右手側が「右」となる。
　また、各パネルフレーム構造体２１００は、厳密には、その上端部が後方に幾分傾斜した状態で車両に取り付けられるが、特にことわりがない場合には、説明の便宜上、各パネルフレーム構造体２１００の板面は、上下方向及び左右方向に沿った状態であるものとする。

　パネルフレーム構造体２１００は、車両用であってベンチシートの背もたれの骨子として利用される。パネルフレーム構造体２１００は、二人掛けのベンチシートの背もたれに利用される。なお、このパネルフレーム構造体２１００は、左隣に他の一人掛け又は複数人掛け用のパネルフレーム構造体が配置されることが想定されている。
　パネルフレーム構造体２１００には、発泡成形されたパッドが前側からパネルフレーム構造体２１００を包み込むように取付けられる。そして、表皮がパッドの表面に吊り込まれている。吊り込みとは、パッドの表面に覆い被さった表皮が張った状態でパッドの表面に沿っていることをいう。

［パネルフレーム構造体の概略］
　パネルフレーム構造体２１００は、パネルフレーム２０２０、アッパーフレーム２０４０、ロアーフレーム２０５０、左右一対のサイドフレーム２０６０，２０７０、ロック装置２１１０、取付ブラケット２０８０、アームレストブラケット２０９０、左右の角部ブラケット２１２０，２１３０、ベルトガイド２１４０、複数のヘッドレストの支持具２１５０等を備える。
　パネルフレーム２０２０は、スチールやアルミ合金等の金属板であり、図１に示すように、パネルフレーム２０２０における上下の辺を左右方向、左右の辺を上下方向に沿わせた状態で車両用シートに装備される。

［パネルフレームの概略］
　上記パネルフレーム２０２０は、図１に示すように、正面視の板面形状が若干左右方向に長い略長方形状の金属板である。
　パネルフレーム２０２０の板面に対する垂直方向の一方を前、他方を後とする。以下に説明する各構成の大部分は、パネルフレーム２０２０の前面側に設けられている。
　なお、パネルフレーム構造体２１００の各構成は、単に「接合されている」という場合には、溶接、より好ましくは、レーザー溶接により接合されているものとする。但し、レーザー溶接以外の溶接方法を用いてもよいし、溶接以外の接合方法を用いてもよい。

　パネルフレーム２０２０は、その外縁部のほぼ全周に渡って前方に立ち上げられた丈の低い周壁状のフランジ部２２０１が形成されている（図３～図６参照）。なお、このフランジ部２２０１は、後述する取付ブラケット２０８０及び左右の角部ブラケット２１２０，２１３０の取付位置となるパネルフレーム２０２０の右端上部近傍、左端部及び右端部の下部のみが除去されている。

　さらに、パネルフレーム２０２０の前面における上端部、下端部、左端部及び右端部には、アッパーフレーム２０４０、ロアーフレーム２０５０、左のサイドフレーム２０６０、右のサイドフレーム２０７０が個別に接合されている。
　これら四つのフレーム２０４０～２０７０は、パネルフレーム２０２０の外縁部より内側で当該外縁部に沿って設けられ、四つのフレーム２０４０～２０７０が一体的に連結されて矩形の枠状に構成されている。

　パネルフレーム２０２０における四つのフレーム２０４０～２０７０の内側領域には、直線状のビードからなる並列補強部（凹凸による補強部）２０２１～２０２４が形成されている。各並列補強部２０２１～２０２４は、各々のフレーム２０４０～２０７０の隣に当該各フレーム２０４０～２０７０と平行に設けられている。
　各並列補強部２０２１～２０２４は、パネルフレーム２０２０の平坦面の前面において前方に凸、後面において前方に凹となる凸条である。
　なお、並列補強部２０２１だけは完全な直線状ではなく、その中央部でベルトガイド２１４０の接合部を避けて下方に迂回した形状となっている。

　なお、以下の説明において、「～補強部」という場合には、凸条、枠状、凸部、折曲部等の立体的な構造により、平板よりも高い剛性を有する部分や部材を示すものとする。

　さらに、パネルフレーム２０２０における四つの並列補強部２０２１～２０２４の内側全域には、網目模様のビードからなる中央補強部２０２５が形成されている。中央補強部２０２５は、パネルフレーム２０２０の前面において前方に凸、後面において前方に凹となる網目状（格子状）の複合的な凸条である。中央補強部２０２５の網目模様は、四角形が規則的に斜め方向に並んで構成されている。四角形は、正方形、長方形、菱形、平行四辺形のいずれでも良い。

［アッパーフレーム］
　アッパーフレーム２０４０は、右端部が取付ブラケット２０８０によって前方から覆われた状態でパネルフレーム２０２０に接合されている。図２は、取付ブラケット２０８０を除去した状態におけるアッパーフレーム２０４０の右端部の斜視図であり、図３は図１におけるＣ－Ｃ線に沿った断面図、図４は図１におけるＢ－Ｂ線に沿った断面図である。

　アッパーフレーム２０４０は、スチールやアルミ合金等の平板からプレス加工で形成された金属製の支柱であって、パネルフレーム２０２０の前面上端部において左右方向に沿って配置されている。
　図３に示すように、アッパーフレーム２０４０は、ほぼ全長に渡って変形した略Ｕ字の開断面形状となった柱状部２０４１と、ほぼ全長に渡って柱状部２０４１の開放側の両端部に形成された一対のフランジ部２０４２とを有する。一対のフランジ部２０４２は、いずれも、パネルフレーム２０２０に対向する平面部を有する。当該平面部は、パネルフレーム２０２０に面接触し、レーザー溶接によって長手方向に沿って複数個所が接合されている。
　なお、図３における破線の長円は、レーザー溶接による接合箇所である。図３以外の他の図における破線の長円も同様である。

　アッパーフレーム２０４０の柱状部２０４１における前側には、図３に示すように、左右の両端部を除いてほぼ全長に渡って、後方下側に傾斜した傾斜面からなる前面部２０４３が形成されている。
　また、パネルフレーム２０２０におけるアッパーフレーム２０４０の二つのフランジ部２０４２の間となる位置には、前後方向の段差からなる段差補強部（凹凸による補強部）２０２６が形成されている（図１では図示略）。この段差補強部２０２６は、アッパーフレーム２０４０の長手方向に沿って形成されている。また、段差補強部２０２６は、概ね、アッパーフレーム２０４０の全長程度の長さに渡って形成してもよい。

　また、パネルフレーム２０２０において、アッパーフレーム２０４０のすぐ下隣には、当該アッパーフレーム２０４０と平行に前述した並列補強部２０２１が形成されている。並列補強部２０２１は、概ねアッパーフレーム２０４０の全長に近い範囲で左右方向に延在している。

　アッパーフレーム２０４０の二つのフランジ部２０４２は、段差補強部２０２６を挟んでパネルフレーム２０２０に接合されている。
　パネルフレーム２０２０における段差補強部２０２６及び並列補強部２０２１の周辺は、剛性が高い。このため、アッパーフレーム２０４０は、パネルフレーム２０２０に対して接合強度の向上を図ることができる。

　アッパーフレーム２０４０の左端部は、図１に示すように、先端部が閉塞されると共に、下方から左側のサイドフレーム２０６０の上端部が挿入される切り欠きが形成されている。従って、前後方向から見て、サイドフレーム２０６０の上端部にアッパーフレーム２０４０の左端部が前側から重なり合った状態で、それぞれがパネルフレーム２０２０に接合されている。
　なお、サイドフレーム２０６０の上端部とアッパーフレーム２０４０の左端部との重合部位において、互いに面接触する部分をレーザー溶接等によって接合してもよい。

　アッパーフレーム２０４０の右端部は、柱状部２０４１に連なって、図２に示すように、90度屈曲して下方に向かう屈曲部２０４４を有しており、当該屈曲部２０４４が右側のサイドフレーム２０７０の上端部に前側から覆いかぶさって、前後方向に重合する構造となっている。
　屈曲部２０４４における右側のフランジ部２０４２は、右方に大きく張り出されており、パネルフレーム２０２０の前面に対する接合面が広く確保されている。

　さらに、アッパーフレーム２０４０の右端部は、図４に示すように、断面略Ｕ字状の屈曲部２０４４が右側のサイドフレーム２０７０と前後方向に重合する。さらに、左側のフランジ部２０４２に対して、取付ブラケット２０８０のフランジ部２０８５が前側、サイドフレーム２０７０のフランジ部２０７２が後側となって三重に重なった状態でパネルフレーム２０２０と一体となって接合されている。
　また、アッパーフレーム２０４０の右側のフランジ部２０４２に対して、取付ブラケット２０８０のフランジ部２０８３が前側に重なった状態でパネルフレーム２０２０に接合されている。

　また、アッパーフレーム２０４０の屈曲部２０４４の場合も、パネルフレーム２０２０の二つのフランジ部２０４２の間となる位置に、左右方向の段差からなる段差補強部（凹凸による補強部）２０２７が形成されている（図１では図示略）。この段差補強部２０２７は、右側のサイドフレーム２０７０の二つのフランジ部２０７２の間でもあるので、サイドフレーム２０７０の全長程度の長さに渡って形成してもよい。
　段差補強部２０２７により、パネルフレーム２０２０における段差補強部２０２７の周辺の剛性が高められ、アッパーフレーム２０４０の屈曲部２０４４は、パネルフレーム２０２０に対して接合強度の向上を図ることができる。

［ロアーフレーム及びサイドフレーム］
　図５は図１におけるＥ－Ｅ線に沿った断面図、図６は図１におけるＦ－Ｆ線に沿った断面図である。図１、図５及び図６に基づいてロアーフレーム２０５０及び左右のサイドフレーム２０６０，２０７０について説明する。

　ロアーフレーム２０５０及び左右のサイドフレーム２０６０，２０７０は、いずれも、スチールやアルミ合金等の平板からプレス加工で形成された金属製の支柱である。
　ロアーフレーム２０５０は、パネルフレーム２０２０の前面下端部において左右方向に沿って配置されている。
　左側のサイドフレーム２０６０は、パネルフレーム２０２０の前面左端部において上下方向に沿って配置されている。
　右側のサイドフレーム２０７０は、パネルフレーム２０２０の前面右端部において上下方向に沿って配置されている。

　図１に示すように、ロアーフレーム２０５０は、全長に渡って略Ｕ字の開断面形状となった柱状部２０５１と、ほぼ全長に渡って柱状部２０５１の開放側の両端部に形成された一対のフランジ部２０５２とを有する。一対のフランジ部２０５２は、いずれも、パネルフレーム２０２０に対向する平面部を有し、当該平面部を面接触させた状態でパネルフレーム２０２０にレーザー溶接によって長手方向に沿って複数個所が接合されている。

　また、パネルフレーム２０２０において、ロアーフレーム２０５０のすぐ上隣には、当該ロアーフレーム２０５０と平行に前述した並列補強部２０２２が形成されている。並列補強部２０２２は、概ねロアーフレーム２０５０の全長に近い範囲で左右方向に延在している。
　パネルフレーム２０２０における並列補強部２０２２の周辺は、剛性が高められている。このため、ロアーフレーム２０５０は、パネルフレーム２０２０に対して接合強度の向上が図られている。

　図５及び図６に示すように、左右のサイドフレーム２０６０，２０７０は、全長に渡って略Ｕ字の開断面形状となった柱状部２０６１，２０７１と、ほぼ全長に渡って柱状部２０６１，２０７１の開放側の両端部に形成された一対のフランジ部２０６２，２０７２とを有する。一対のフランジ部２０６２，２０７２は、いずれも、パネルフレーム２０２０に対向する平面部を有し、当該平面部を面接触させた状態でパネルフレーム２０２０にレーザー溶接によって長手方向に沿って複数個所が接合されている。

　また、パネルフレーム２０２０において、左側のサイドフレーム２０６０のすぐ右隣と右側のサイドフレーム２０７０のすぐ左隣には、当該サイドフレーム２０６０，２０７０と平行に前述した並列補強部２０２３，２０２４が形成されている。並列補強部２０２３，２０２４は、概ねサイドフレーム２０６０，２０７０の全長に近い範囲で上下方向に延在している。
　パネルフレーム２０２０における並列補強部２０２３，２０２４の周辺は、剛性が高められている。このため、サイドフレーム２０６０，２０７０は、パネルフレーム２０２０に対して接合強度の向上が図られている。

［ロック装置］
　ロック装置２１１０は、周知の構成からなるものである。
　一例として、特開2015-163506号公報に記載のラッチ機構のように、環状ワイヤーからなるストライカーを挿入する切り欠き部を有するケース内に、ストライカーの係止と解除が可能なラッチと、外部操作によりラッチの係止状態の維持と解除とを切り替えるラチェットを備えるロック装置を採用してもよい。

　図１に示すように、ロック装置２１１０は、ケースの切り欠きを後方に向けた状態で取付ブラケット２０８０に取り付けられる。
　パネルフレーム構造体２１００よりも後方において先端部を左方に向けて配置されたストライカーに対して、パネルフレーム構造体２１００を後方に移動させることで、ストライカーの先端部を相対的に後方から切り欠きに進入させて、パネルフレーム構造体２１００を前後方向に固定することを可能とする。

［取付ブラケット］
　図７はパネルフレーム構造体２１００の右上部の斜視図、図８は図１におけるＡ－Ａ線に沿った断面図、図９は図１におけるＤ－Ｄ線に沿った断面図である。
　図１、図４及び図７～図９に基づいて取付ブラケット２０８０について説明する。

　取付ブラケット２０８０は、パネルフレーム２０２０の前面における右上角部に配置されている。
　取付ブラケット２０８０は、スチールやアルミ合金等の平板からプレス加工で形成された金属製のブラケットである。
　取付ブラケット２０８０は、下部２０８１と上部２０８２とを有する。
　下部２０８１は、上下方向に延在して右側のサイドフレーム２０７０の上部全体を覆う。上部２０８２は、下部２０８１の上端部から屈曲して左方に延在してアッパーフレーム２０４０の右端部を覆う。
　取付ブラケット２０８０の下部２０８１と上部２０８２は、それぞれの延在方向のほぼ全長に渡って略Ｕ字の開断面形状となり、開断面の開口部をパネルフレーム２０２０側に向けている。

　図９に示すように、取付ブラケット２０８０は、下部２０８１から左方と右方とに張り出されたフランジ部２０８３，２０８４を有する。
　取付ブラケット２０８０は、下部２０８１の開断面形状となる部位と左右のフランジ部２０８３，２０８４とが、右側のサイドフレーム２０７０の柱状部２０７１及び左右のフランジ部２０７２に対して前方から重なる。
　フランジ部２０８３とフランジ部２０７２との重合部分と、フランジ部２０８４とフランジ部２０７２の重合部分とは、重合した状態で一体的にレーザー溶接によりパネルフレーム２０２０に接合されている。
　なお、下部２０８１の開断面形状となる部位の後面と右側のサイドフレーム２０７０の柱状部２０７１の前面とは、面接触している部分で接合してもよい。

　図７及び図８に示すように、取付ブラケット２０８０は、上部２０８２から左下方向と右方に張り出されたフランジ部２０８５，２０８６を有する。
　取付ブラケット２０８０は、上部２０８２の開断面形状となる部位とフランジ部２０８６とが、アッパーフレーム２０４０の屈曲部２０４４及びフランジ部２０４２に対して前方から重なる。
　フランジ部２０８６とフランジ部２０４２との重合部分は、重合した状態で一体的にパネルフレーム２０２０に接合されている。
　また、これ以外の取付ブラケット２０８０とアッパーフレーム２０４０の重合部分も接合してもよい。

　図４に示すように、取付ブラケット２０８０の上部２０８２は、サイドフレーム２０７０の柱状部２０７１及びアッパーフレーム２０４０の屈曲部２０４４と前後方向に重合している。
　上記三重に重合した部分は、いずれかの箇所で一体的に接合してもよい。
　また、取付ブラケット２０８０のフランジ部２０８５は、サイドフレーム２０７０のフランジ部２０７２及びアッパーフレーム２０４０のフランジ部２０４２と前後方向に重合している。
　上記三重に重合した部分は、一体となってパネルフレーム２０２０に接合されている。
　なお、フランジ部２０８５は、フランジ部２０７２，２０４２よりも左方まで延出されており、その先端部は、単独でパネルフレーム２０２０に接合されている。

　図４に示すように、取付ブラケット２０８０は、アッパーフレーム２０４０に対して隙間空間２０８７を形成する膨出部２０８８を有する。膨出部２０８８は、下部２０８１及び上部２０８２の右端部の前面から前方に膨出している。これにより、膨出部２０８８は、右側に平坦な側壁部２０８９を広く確保することができ、当該側壁部２０８９の外側面（右側面）をロック装置２１１０の取付面としている。
　ロック装置２１１０は、固定部材であるボルト２１１１及びナット２１１２により取付ブラケット２０８０の取付面に固定的に取り付けられている。そして、取付ブラケット２０８０の隙間空間２０８７は、ナット２１１２の格納スペースとして活用されている。ナット２１１２は、隙間空間２０８７内において、側壁部２０８９の内側面に接合等によって固定されている。
　なお、固定部材であるボルト２１１１及びナット２１１２は、複数であってもよい。

［角部ブラケット］
　左右の角部ブラケット２１２０，２１３０について図１に基づいて説明する。
　左側の角部ブラケット２１２０は、パネルフレーム２０２０の前面における左下角部に配置されている。右側の角部ブラケット２１３０は、パネルフレーム２０２０の前面における右下角部に配置されている。
　各角部ブラケット２１２０，２１３０は、スチールやアルミ合金等の平板からプレス加工で形成された金属製のブラケットである。

　左側の角部ブラケット２１２０は、上部と下部とを有する。上部は、上方に延出され、左側のサイドフレーム２０６０の下端部を前方から覆う。下部は、右方に延出され、ロアーフレーム２０５０の左端部を前方から覆う。角部ブラケット２１２０におけるサイドフレーム２０６０とロアーフレーム２０５０とに重合する部分は、互いを接合しても良い。
　そして、角部ブラケット２１２０は、上部と下部とが一体化され、エルボ形となっている。
　角部ブラケット２１２０の上部と下部は、それぞれの延在方向のほぼ全長に渡って略Ｕ字の開断面形状となり、開断面の開口部をパネルフレーム２０２０側に向けている。

　左側の角部ブラケット２１２０は、角部の内側に張り出されたフランジ部２１２１を有する。フランジ部２１２１は、平板状であって、パネルフレーム２０２０の前面に接合される。
　また、角部ブラケット２１２０は、角部の左側にも平板状のフランジ部２１２２を有する。このフランジ部２１２２は、パネルフレーム構造体２１００を車両に取り付けるための取り付け孔（図１０参照）が形成されている。

　右側の角部ブラケット２１３０は、上部と下部とを有する。上部は、上方に延出され、右側のサイドフレーム２０７０の下端部を前方から覆う。下部は、左方に延出され、ロアーフレーム２０５０の右端部を前方から覆う。角部ブラケット２１３０におけるサイドフレーム２０７０とロアーフレーム２０５０とに重合する部分は、互いを接合しても良い。
　そして、角部ブラケット２１３０は、上部と下部とが一体化され、エルボ形となっている。
　角部ブラケット２１３０の上部と下部は、それぞれの延在方向のほぼ全長に渡って略Ｕ字の開断面形状となり、開断面の開口部をパネルフレーム２０２０側に向けている。

　右側の角部ブラケット２１３０は、角部において内側に張り出されたフランジ部２１３１を有する。フランジ部２１３１は、平板状であって、パネルフレーム２０２０の前面に接合される。
　また、角部ブラケット２１３０は、角部の左側に張り出された平板状のフランジ部２１３２を有する。このフランジ部２１３２は、パネルフレーム構造体２１００を車両に取り付けるための図示しない取り付け孔が形成されている。

［アームレストブラケット］
　特開2020-079962号公報には、アームレストの支持ブラケットを備えるパネルフレーム構造体が開示されている。
　上記公報に記載されているように、従来は、パネルフレームにおける支持ブラケットの取付範囲に、パネルフレームの凹凸形状に合わせて凹凸が形成されたパネル状の固定用パッチが接合されていた。そして、支持ブラケットは、固定用パッチを介してパネルフレームに取り付けられていた。

　しかしながら、上記従来のパネルフレーム構造体は、パネル状の固定用パッチを介してアームレストの支持ブラケットを取り付ける構造のため、支持ブラケット以外の部材をパネルフレームに取り付ける場合には、固定用パッチを避けなければならず、パネルフレーム構造体全体の大型化を生じることが問題となっていた。
　以下に示すアームレストブラケットの取り付け構造は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、パネルフレーム構造体の小型化を図ることである。

　以上の課題を解決するための解決手段１の発明は、
　パネルフレームと、
　前記パネルフレームの上端部に沿って接合されたアッパーフレームと、
　前記パネルフレームの側端部に沿って接合されたサイドフレームと、
　アームレストを支持するアームレストブラケットと、
　前記パネルフレームの角部に接合される角部ブラケットとを備えるパネルフレーム構造体であって、
　前記アームレストブラケットが、前後方向から見て前記サイドフレーム又は前記角部ブラケットと重なった部分を有することを特徴とする。

　解決手段２の発明は、解決手段１において、
　前記アームレストブラケットは、前記サイドフレーム又は前記角部ブラケットに接合されていることを特徴とする。
　解決手段３の発明は、解決手段１において、
　前記アームレストブラケットは、前記サイドフレームと前記角部ブラケットのいずれにも接合されていないことを特徴とする。
　解決手段４の発明は、解決手段１から解決手段３のいずれか一において、
　前記アームレストブラケットは、前記サイドフレーム又は前記角部ブラケットを前後方向に回避する形状であることを特徴とする。

　図１０はパネルフレーム構造体２１００の左下部分の拡大斜視図である。
　アームレストブラケット２０９０とその取り付け構造について図１０に基づいて上記解決手段の内容を具体的に説明する。
　アームレストブラケット２０９０は、パネルフレーム２０２０の前面における左下角部であって角部ブラケット２１２０よりわずかに上に配置されている。
　アームレストブラケット２０９０は、スチールやアルミ合金等の平板からプレス加工で形成された金属製のブラケットである。

　アームレストブラケット２０９０は、本体部２０９１と、迂回部２０９２と、一対の腕部２０９３，２０９４とを有する。
　本体部２０９１は、左右方向に長尺であって、後面がパネルフレーム２０２０の前面に接合されている。本体部２０９１は、長手方向に沿ったビードからなる上下一対の補強部２０９５が形成されている。
　各補強部２０９５は、アームレストブラケット２０９０の平坦面の前面において前方に凸、後面において前方に凹となる凸条である。

　迂回部２０９２は、本体部２０９１の左端部より左方において、サイドフレーム２０６０の下端部及び角部ブラケット２１２０と前後方向に重合する。迂回部２０９２は、本体部２０９１の左端部からサイドフレーム２０６０及び角部ブラケット２１２０の前側に迂回するようにクランク状に曲成されている。
　迂回部２０９２は、角部ブラケット２１２０と前後方向に重合する部位において、角部ブラケット２１２０の前面に接合されていてもよいし、接合されていなくともよい。
　また、本体部２０９１に形成されている二本のビード状の補強部２０９５は、迂回部２０９２の左端部近傍まで延長して形成されている。

　左側の腕部２０９３は、迂回部２０９２の左端部から屈曲して前方に延出されている。右側の腕部２０９４は、本体部２０９１の右端部から屈曲して前方に延出されている。
　左右の腕部２０９３，２０９４には、左右方向から見て同心となる貫通孔が形成されている。これらの貫通孔は、図示しないアームレストの基端部を左右方向に沿った軸周りに回動可能に支持するためのものである。

［ベルトガイド］
　ベルトガイド２１４０について図１に基づいて説明する。
　シートベルトを繰り出す図示しないリトラクターが、パネルフレーム２０２０の前面中央部に設置される。ベルトガイド２１４０は、パネルフレーム２０２０の前面における上端中央部であって、リトラクターの上側に配置される。
　そして、ベルトガイド２１４０は、下方のリトラクターから繰り出されるシートベルトを下から通して、下方に折り返すようにガイドするための部材である。
　ベルトガイド２１４０は、スチールやアルミ合金等の平板からプレス加工で形成されている。

　ベルトガイド２１４０は、シートベルトを通す挿通部２１４１と４つの脚部２１４２とを有する。
　挿通部２１４１は、上下方向に渡って略Ｕ字の開断面形状となり、開断面の開口部をパネルフレーム２０２０側に向けている。挿通部２１４１は、シートベルトを下から上に挿通することができる。

　脚部２１４２は、挿通部２１４１の上端部から左右のそれぞれに延出された脚部と挿通部２１４１の下端部から左右のそれぞれに延出された脚部とを有する。
　上の二つの脚部２１４２の後面は、アッパーフレーム２０４０の前面部２０４３に接合されている。
　下の二つの脚部２１４２の後面は、パネルフレーム２０２０の前面に接合されている。
　このように、ベルトガイド２１４０は、上側と下側とで別の部材に固定されている。

［ヘッドレストの支持具］
　ヘッドレストの支持具２１５０は、図１及び図２に示すように、アッパーフレーム２０４０の前面部２０４３におけるベルトガイド２１４０の左側の二か所と右側の二か所の合計四か所に左右に一列に並んで接合されている。
　ヘッドレストの支持具２１５０は、二つ一組で、図示しないヘッドレストの支持を行う。
　各支持具２１５０は、金属板に曲げ加工を施した略四角の筒状の部材であり、上下方向に沿った向きでアッパーフレーム２０４０の前面部２０４３に取り付けられている。
　ヘッドレストは、左右一対のピラーを備えている。そして、二つの支持具２１５０の上方からその内側に各ピラーが挿入された状態で当該ヘッドレストが支持される。

［発明の実施形態の技術的効果］
　上記パネルフレーム構造体２１００は、取付ブラケット２０８０が、前後方向から見てアッパーフレーム２０４０と重なった部分を有するので、取付ブラケット２０８０とアッパーフレーム２０４０との重合部分について高い剛性を得ることができ、パネルフレーム構造体２１００の強度向上を図ることが可能となる。
　なお、上記重合部分は、互いに接合してもよい。

　さらに、パネルフレーム構造体２１００は、取付ブラケット２０８０がアッパーフレーム２０４０の少なくとも一部を覆った状態であるため、取付ブラケット２０８０がアッパーフレーム２０４０を覆った部分について高い剛性を得ることができ、パネルフレーム構造体の強度向上を図ることが可能となる。

　さらに、パネルフレーム構造体２１００は、サイドフレーム２０７０と取付ブラケット２０８０とアッパーフレーム２０４０とが、前後方向から見て重なった部分を有するので、これらの重合部分についてより高い剛性を得ることができ、パネルフレーム構造体２１００のさらなる強度向上を図ることが可能となる。
　また、上記三重となる重合部分は、一体的に接合してもよい。

　さらに、パネルフレーム構造体２１００は、取付ブラケット２０８０とアッパーフレーム２０４０との間にナット２１１２を配置する隙間空間２０８７を有するので、パネルフレーム構造体２１００の表面にナット２１１２が突出することなく配置することが可能となる。また、隙間空間２０８７を利用するので、取付ブラケット２０８０の周辺の小型化、コンパクト化を図ることが可能となる。
　なお、隙間空間２０８７内にボルト２１１１を配置し、ボルト２１１１のネジ軸を取付ブラケット２０８０の外部に突出させてもよい。その場合、ナット２１１２が外側でボルト２１１１を締結してロック装置２１１０を固定する。また、この場合、ボルト２１１１を取付ブラケット２０８０の内壁に接合してもよい。

　さらに、パネルフレーム構造体２１００は、膨出部２０８８の側壁部２０８９の内面側にナット２１１２が接合されているので、ロック装置２１１０の取り付けの際に、ナット２１１２を押さえる必要がなく、組付け作業の容易化を図ることが可能となる。

　さらに、パネルフレーム構造体２１００は、取付ブラケット２０８０が、前後方向に突出する膨出部２０８８の内側に隙間空間２０８７を有するので、前後方向に広くロック装置２１１０の取り付け面を確保することが可能となる。これにより、ロック装置２１１０を安定的且つ高い強度で取り付けることが可能となる。

　さらに、パネルフレーム構造体２１００は、取付ブラケット２０８０が、アッパーフレーム２０４０とサイドフレーム２０７０とパネルフレーム２０２０とに個別に接合されているので、ロック装置２１１０に外力が加わった場合に、負荷をパネルフレーム２０２０とアッパーフレーム２０４０とサイドフレーム２０７０とに分散することができ、ロック装置２１１０の取付強度を高く維持することができる。また、ロック装置２１１０に加わる外力に対してパネルフレーム構造体２１００の撓みを抑制することができる。

　さらに、パネルフレーム構造体２１００は、アームレストブラケット２０９０が、前後方向から見てサイドフレーム２０６０又は角部ブラケット２１２０と重なった部分を有するので、アームレストブラケット２０９０に対してサイドフレーム２０６０又は角部ブラケット２１２０を回避して配置する必要がなくなるため、パネルフレーム構造体２１００の小型化を図ることが可能となる。
　また、アームレストブラケット２０９０とサイドフレーム２０６０又は角部ブラケット２１２０との重合部分について高い剛性を得ることができ、パネルフレーム構造体２１００の強度向上を図ることが可能となる。

　さらに、パネルフレーム構造体２１００は、アームレストブラケット２０９０をサイドフレーム２０６０又は角部ブラケット２１２０に接合した場合には、取り付け強度の向上を図ることが可能となる。
　また、アームレストブラケット２０９０をサイドフレーム２０６０又は角部ブラケット２１２０に接合しない場合には、アームレストブラケット２０９０におけるサイドフレーム２０６０又は角部ブラケット２１２０との重合部分について撓みを生じる余地を持たせることができる。従って、アームレストに加わる荷重を吸収して破損や変形、破断等の発生を抑制することが可能となる。

　さらに、アームレストブラケット２０９０は、迂回部２０９２がサイドフレーム２０６０又は角部ブラケット２１２０を前後方向に回避する形状であるため、迂回部２０９２の回避形状の屈曲によりアームレストブラケット２０９０の剛性を高めることが可能となる。また、アームレストブラケット２０９０をパネルフレーム２０２０に接合しながらもサイドフレーム２０６０又は角部ブラケット２１２０を回避することができ、アームレストブラケット２０９０を高強度で取り付けることが可能となる。

　さらに、パネルフレーム構造体２１００は、パネルフレーム２０２０におけるアッパーフレーム２０４０の開断面の開口部の内側となる位置に段差補強部２０２６，２０２７を有するので、パネルフレーム２０２０における段差補強部２０２６，２０２７によって剛性を高めた部分にアッパーフレーム２０４０を接合することができ、アッパーフレーム２０４０の接合強度を高めることが可能となる。

　さらに、パネルフレーム構造体２１００は、パネルフレーム２０２０におけるアッパーフレーム２０４０、サイドフレーム２０６０，２０７０及びロアーフレーム２０５０の開断面の開口部の外側に並んで並列補強部２０２１～２０２４を有するので、並列補強部２０２１～２０２４によって剛性を高めた部分の近傍にアッパーフレーム２０４０、サイドフレーム２０６０，２０７０及びロアーフレーム２０５０を接合することができ、アッパーフレーム２０４０、サイドフレーム２０６０，２０７０及びロアーフレーム２０５０の接合強度を高めることが可能となる。

　さらに、パネルフレーム構造体２１００は、パネルフレーム２０２０に、網目模様のビードからなる中央補強部２０２５が形成されているので、パネルフレーム２０２０の平面垂直方向の荷重に対する剛性を高めることができ、パネルフレーム構造体２１００全体の強度向上を図ることが可能となる。

［ベルトガイドの他の形態］
　前述したベルトガイド２１４０に替えて、アッパーフレーム２０４０にベルトガイド２１４０と同等に機能するガイド部２０４５を設けてもよい。図１１はガイド部２０４５を有するアッパーフレーム２０４０の斜視図である。
　図示のように、アッパーフレーム２０４０のガイド部２０４５は、柱状部２０４１における長手方向中間部のみがパネルフレーム２０２０の前面から前方に離隔するように曲がって形成されている。ガイド部２０４５によって形成されるパネルフレーム２０２０との隙間にシートベルトＢＳを通してガイドすることができる。
　このガイド部２０４５により、ベルトガイド２１４０を不要とすることが可能となる。

　アッパーフレーム２０４０の長手方向におけるガイド部２０４５に対応する部分については、フランジ部２０４２を設けなくともよい。
　なお、ガイド部２０４５において、シートベルトＢＳが接する角部は、丸みを持たせてシートベルトＢＳの滑りを良くしてもよい。

［取付ブラケットの他の形態］
　図１２は他の形態である取付ブラケット２０８０を備えるパネルフレーム構造体２１００の前面側を示す正面図、図１３は図１２におけるＧ－Ｇにおける断面図である。

　図１の取付ブラケット２０８０は、外側の右側面にロック装置２１１０を取り付ける構成としたがこれに限定されない。
　図１２及び図１３に示す取付ブラケット２０８０は、図１の取付ブラケット２０８０よりも膨出部２０８８の左右方向の幅を拡張して、隙間空間２０８７の容積を拡大している。
　これにより、取付ブラケット２０８０は、隙間空間２０８７にロック装置２１１０を格納配置可能としている。
　上記構成の場合、ロック装置２１１０に固定保持される部材（例えば、ストライカー）が取付ブラケット２０８０の内側のロック装置２１１０にアクセスできるようにすべきである。例えば、取付ブラケット２０８０の右側面に、ストライカー等の部材を内側に進入させる切り欠きや開口を設けることが好ましい。

　なお、図１３では、固定部材であるナット２１１２を取付ブラケット２０８０の外側に配置した取付ブラケット２０８０を例示しているが、ボルト２１１１（の頭部）を取付ブラケット２０８０の外側に配置してもよい。

　上記構成によれば、取付ブラケット２０８０とアッパーフレーム２０４０との間にロック装置２１１０を格納する隙間空間２０８７を有するので、ロック装置２１１０を外部から保護することが可能となる。さらに、パネルフレーム構造体２１００の表面にロック装置２１１０が突出することなく配置することが可能となる。また、隙間空間２０８７を利用するので、ロック装置２１１０の周辺の小型化、コンパクト化を図ることが可能となる。

［取付ブラケットのエアバッグモジュールへの転用］
　特開2015-163506号公報には、乗物用シートの特定の機能を有するユニットを取り付けるための取付ブラケットがシートフレームのサイドフレームに装備されている例が開示されている。

　しかしながら、上記従来のパネルフレーム構造体は、構造体の強度について改善の余地があった。特に、機能的なユニットがエアバッグモジュールである場合、エアバッグを効果的に機能させるためにパネルフレーム構造体は十分な強度が要求されていた。
　以下に示すパネルフレーム構造体は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、パネルフレーム構造体の強度向上を図ることである。

　以上の課題を解決するための解決手段１の発明は、
　パネルフレームと、
　前記パネルフレームの上端部に沿って接合されたアッパーフレームと、
　前記パネルフレームの側端部に沿って接合されたサイドフレームと、
　エアバッグモジュールの取付ブラケットとを備えるパネルフレーム構造体であって、
　前記取付ブラケットが、前後方向から見て前記アッパーフレームと重なった部分を有することを特徴とする。

　解決手段２の発明は、解決手段１において、
　前記取付ブラケットが前記アッパーフレームの少なくとも一部を覆った状態であることを特徴とする。
　解決手段３の発明は、解決手段１又は２において、
　前記サイドフレームと前記取付ブラケットと前記アッパーフレームとが、前後方向から見て重なった部分を有することを特徴とする。
　解決手段４の発明は、解決手段１において、
　前記取付ブラケットと前記アッパーフレームとの間に、前記エアバッグモジュールを取り付ける固定部材を配置する隙間空間を有することを特徴とする。
　解決手段５の発明は、解決手段４において、
　前記隙間空間を形成する側壁部の内面側に前記固定部材が接合されていることを特徴とする。
　解決手段６の発明は、解決手段４又は５において、
　前記取付ブラケットは、前後方向に突出する部位の内側に前記隙間空間を有することを特徴とする。
　解決手段７の発明は、解決手段３において、
　前記取付ブラケットは、前記アッパーフレーム又は前記サイドフレームの少なくとも一方と前記パネルフレームとに接合されていることを特徴とする。
　解決手段８の発明は、請求項１から請求項７のいずれか一において、
　前記パネルフレームは、外縁部に、前記取付ブラケットに取り付けられた前記エアバッグモジュールに対向するフランジ部を有することを特徴とする。

　図１４は取付ブラケット２０８０をエアバッグモジュール２１６０へ転用した場合のパネルフレーム構造体２１００の正面図、図１５は図１４のＨ－Ｈ線に沿った断面図、図１６はフランジ部２２０１に改良を加えた例における図１４のＨ－Ｈ線に沿った断面図である。
　上記パネルフレーム構造体２１００について図１４～図１６に基づいて上記解決手段の内容を具体的に説明する。

　エアバッグモジュール２１６０は、衝撃が加えられたときに、パネルフレーム構造体２１００の前方にエアバッグを放出し膨らませる機能を有する。
　エアバッグモジュール２１６０は、前述したロック装置２１１０に比して、上下方向の寸法が大きい。このため、エアバッグモジュール２１６０を保持する取付ブラケット２０８０もロック装置用の取付ブラケット２０８０よりも上下の寸法が大きくなっている。
　なお、固定部材であるボルト２１１１及びナット２１１２は、ロック装置２１１０の場合よりも多くしてもよい。

　図１５に示すように、取付ブラケット２０８０の膨出部２０８８も上下方向により長く形成され、エアバッグモジュール２１６０を取り付ける側壁部２０８９の外側面も上下方向により長く形成されている。
　また、エアバッグモジュール２１６０は、膨出部２０８８の外側の右側面に取り付けられ、固定部材であるナット２１１２は、膨出部２０８８内の隙間空間に配置されると共に、側壁部２０８９の内面に接合されている。但し、ナット２１１２が膨出部２０８８内の隙間空間に配置されると共に、側壁部２０８９の内面に接合される構成としてもよい。
　上記のように、取付ブラケット２０８０は、上下方向により長く形成され、より下方にまで延出されている点以外は図１に示す取付ブラケット２０８０と同一である。また、図１４に示すパネルフレーム構造体２１００は、上記取付ブラケット２０８０以外の構成については、図１に示すパネルフレーム構造体２１００と同一である。

　さらに、図１６に示すように、パネルフレーム２０２０のフランジ部２２０１の、少なくとも、エアバッグモジュール２１６０の右隣で近接する範囲については、当該エアバッグモジュール２１６０に対向する程度まで前方に延出してもよい。図示例では、フランジ部２２０１がエアバッグモジュール２１６０の前後方向の半部程度まで延出されている例を示しているが、フランジ部２２０１は、エアバッグモジュール２１６０の前後方向と同程度の位置まで延出させてもよい。

　上記構成によれば、エアバッグモジュール２１６０の取付ブラケット２０８０が、前後方向から見てアッパーフレーム２０４０と重なった部分を有するので、取付ブラケット２０８０とアッパーフレーム２０４０との重合部分について高い剛性を得ることができ、パネルフレーム構造体２１００の強度向上を図ることが可能となる。

　また、上記構成によれば、取付ブラケット２０８０がアッパーフレーム２０４０の少なくとも一部を覆った状態であるため、取付ブラケット２０８０がアッパーフレーム２０４０を覆った部分について高い剛性を得ることができ、パネルフレーム構造体２１００の強度向上を図ることが可能となる。

　また、上記構成によれば、サイドフレーム２０７０と取付ブラケット２０８０とアッパーフレーム２０４０とが、前後方向から見て重なった部分を有するので、これらの重合部分についてより高い剛性を得ることができ、パネルフレーム構造体２１００のさらなる強度向上を図ることが可能となる。

　また、上記構成によれば、エアバッグモジュール２１６０の取付ブラケット２０８０とアッパーフレーム２０４０との間にエアバッグモジュール２１６０を取り付けるナット２１１２を配置する隙間空間２０８７を有するので、パネルフレーム構造体２１００の表面にナット２１１２が突出することなく配置することが可能とする。また、隙間空間２０８７を利用するので、取付ブラケット２０８０の周辺の小型化、コンパクト化を図ることが可能となる。

　また、上記構成によれば、隙間空間２０８７を形成する側壁部２０８９の内面側にナット２１１２が接合されているので、エアバッグモジュール２１６０の取り付けの際に、ナット２１１２を押さえる必要がなく、組付け作業の容易化を図ることが可能となる。

　また、上記構成によれば、取付ブラケット２０８０は、前後方向に突出する膨出部２０８８の内側に隙間空間２０８７を有するので、前後方向に広くエアバッグモジュール２１６０の取り付け面を確保することが可能となる。これにより、エアバッグモジュール２１６０を安定的且つ高い強度で取り付けることが可能となる。

　また、上記構成によれば、取付ブラケット２０８０は、アッパーフレーム２０４０とサイドフレーム２０７０とパネルフレーム２０２０とに個別に接合されているので、エアバッグモジュール２１６０に外力が加わった場合に、負荷をパネルフレーム２０２０とアッパーフレーム２０４０とサイドフレーム２０７０とに分散することができ、エアバッグモジュール２１６０の取付強度を高く維持することができる。また、エアバッグモジュール２１６０に加わる外力に対してパネルフレーム構造体２１００の撓みを抑制することができる。

　また、上記構成によれば、パネルフレーム２０２０が外縁部にエアバッグモジュール２１６０に対向するフランジ部２２０１を有するので、外側からエアバッグモジュール２１６０を保護することができ、さらに、非常時にもエアバッグモジュール２１６０の作動をより安定的に行うことが可能となる。

［その他］
　以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、実施形態において、単一の部材により一体的に形成された構成要素は、複数の部材に分割されて互いに連結又は固着された構成要素に置換してもよい。また、複数の部材が連結されて構成された構成要素は、単一の部材により一体的に形成された構成要素に置換してもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。

　また、発明の実施形態として、ヘッドレストの支持具２１５０を二組設け、左右幅の広い二人掛けのベンチシートに使用するパネルフレーム構造体２１００を例示した。しかし、支持具２１５０を一組とし、左右幅を小さくして一人掛けのシートに使用するパネルフレーム構造体にパネルフレーム構造体２１００の技術的特徴を適用してもよい。
　同様に、支持具２１５０を二組より多くし、左右幅を広げて二人を超える人数掛けのシートに使用するパネルフレーム構造体にパネルフレーム構造体２１００の技術的特徴を適用してもよい。
　また、略長方形状のパネルフレーム構造体２１００を例示したが、略正方形状であってもよい。

〔２〕乗物用シートのクッションフレーム構造体に関する実施の形態
　図１７～図２３に基づいて乗物用シートのクッションフレーム構造体に関する実施の形態について説明する。
　但し、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が以下の実施形態に付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
　本実施形態は、乗物用シートのクッションフレーム構造体である。
　以下に示すクッションフレーム構造体を適用する乗物用シートを備える乗物は、船舶、飛行体、車両等、人間が搭乗して移動を行うあらゆる乗物を含むが、本実施形態では、車両、特に、自動車のシートにクッションフレーム構造体を適用する場合を例示する。

　乗物用シートのシートフレームは、図示はしないが、人の大腿部及び臀部を支持するシートクッションの骨格を形成するクッションフレーム構造体と、背凭れとなるシートバックの骨格を形成するシートバックフレームと、クッションフレーム構造体に対してシートバックフレームを傾動させるリクライニング機構とを備える。
　そして、クッションフレーム構造体とシートバックフレームにクッションパッドが設けられ、当該クッションパッドが表皮によって覆われることで乗物用シートを構成している。
　また、シートフレームは、図示はしないが、当該シートフレームを車体の前後方向にスライド移動（位置調整）させるための左右一対の前後スライドレールを介して、車体のフロアに設置されている。

　図１７はクッションフレーム構造体３１００の斜視図、図１８は平面図、図１９は正面図、図２０は背面図、図２１は左側面図、図２２は図１８のＡ－Ａ線に沿った断面図、図２３は図１９のＢ－Ｂ線に沿った断面図である。
　なお、本実施形態に示す各図において、上下左右前後の各方向は、車両に取り付けられた状態での方向を示している。以下、クッションフレーム構造体３１００の各部の説明については、上記取付け状態での方向に基づいて説明する。各図において、クッションフレーム構造体３１００を有する乗物用シートの着座者の正面側が「前」、その反対側が「後」を示し、前を向いた状態で左手側が「左」、右手側が「右」となる。
　また、本実施の形態において「接合」という場合には、溶接により接合されているものとする。但し、溶接以外の接合方法を用いてもよい。

　クッションフレーム構造体３１００は、図１７～図２３に示すように、クッションフレーム３３００と、クッションフレーム３３００の一部を内包するクッションカバー３２００とを有する。

　クッションフレーム３３００は、互いに間隔を空けて配置された左右のクッションサイドフレーム３３１０，３３２０と、左右のクッションサイドフレーム３３１０，３３２０における後側を連結するバックパイプフレーム３３３０と、左右のクッションサイドフレーム３３１０，３３２０における下側を連結するロアーパイプフレーム３３４０と、前方に延出されたフロントパイプフレーム３３５０と、左右一対の前側脚部３３６０，３３７０と、左右一対の後側脚部３３８０，３３９０と、図示しないシートバックフレームを連結するためのフレームブラケット３４００と、アンカーボルトの取付ブラケット３４１０，３４２０と、複数のチャイルドシートの被装着ワイヤ３４４０，３４５０とを有する。

　上記クッションサイドフレーム３３１０，３３２０、前側脚部３３６０，３３７０、後側脚部３３８０，３３９０、フレームブラケット３４００及び取付ブラケット３４１０，３４２０は、スチールやアルミ合金等の平板からプレス加工で形成されている。
　また、バックパイプフレーム３３３０、ロアーパイプフレーム３３４０及びフロントパイプフレーム３３５０は、スチールやアルミ合金等の円管パイプの曲げ加工で形成されている。

　左右のクッションサイドフレーム３３１０，３３２０は、各々が側壁部を有し、これらの側壁部は、左右方向に離隔して相互に対向している。
　そして、バックパイプフレーム３３３０及びロアーパイプフレーム３３４０は、いずれも、左端部が側壁部に接合され、右端部が側壁部に接合されている。

　クッションサイドフレーム３３１０，３３２０は、側壁部の上端部と下端部とにそれぞれ天板部３３１２，３３２２及び底板部３３１３，３３２３を有する。
　各天板部３３１２，３３２２には、図示しないシートバックフレームを取り付けるための取付孔が前後に二つ形成されている。また、各底板部３３１３，３３２３には、クッションフレーム構造体３１００を車体に取り付けるための取付孔が前後に二つ形成されている。なお、各取付孔の数は、必要に応じて変更可能である。

　バックパイプフレーム３３３０は、左右方向に延在する。バックパイプフレーム３３３０は、左右の両端部の各々に、前斜め上に延出された略Ｕ字状の被装着ワイヤ３４４０が接合されている。
　被装着ワイヤ３４４０は、チャイルドシートを装着する方式の国際標準規格であるＩＳＯＦＩＸに対応したＩＳＯＦＩＸタイプのチャイルドシート（図示せず）が装着される被装着部材（ロアアンカレッジともいう）である。

　また、バックパイプフレーム３３３０は、左端部及び右端部よりも内側にクランク状に緩やかに湾曲した湾曲部３３３１を有する。さらに、これら左右の湾曲部３３３１の間には、左端部及び右端部よりも後斜め上に位置した中央部３３３２を有する。
　この中央部３３３２には、支持パイプフレーム３４３０が設けられている。

　支持パイプフレーム３４３０は、全体的にバックパイプフレーム３３３０の中央部３３３２に平行であって、中央部３３３２よりも前斜め下に位置している。支持パイプフレーム３４３０は、両端部が中央部３３３２側に延出されて接合されている。

　フレームブラケット３４００は、その上端部が中央部３３３２に接合され、下端部が支持パイプフレーム３４３０に接合され、中央部３３３２と支持パイプフレーム３４３０との間に懸架されている。
　このフレームブラケット３４００には、上端部と前面部とに、図示しないシートバックフレームを連結するための連結孔が形成されている。

　また、支持パイプフレーム３４３０には、左右に並んで後側脚部３３８０，３３９０が垂下状態で接合されている。後側脚部３３８０，３３９０は、下端部に略水平となる底板部を有し、当該底板部には、クッションフレーム構造体３１００を車体に取り付けるための取付孔が形成されている。

　ロアーパイプフレーム３３４０は、左右方向に延在する。ロアーパイプフレーム３３４０は、左端部及び右端部よりも内側にクランク状に緩やかに湾曲した湾曲部３３４１を有する。さらに、これら左右の湾曲部３３４１の間には、左端部及び右端部よりも上方に位置した中央部３３４２を有する。

　中央部３３４２には、左右に並んで取付ブラケット３４１０，３４２０が垂下支持されている。
　取付ブラケット３４１０，３４２０は、いずれも前方から見て一様に略Ｕ字状となる開断面形状であり、開断面の開口部を上に向けた状態で上端部が中央部３３４２に接合されている。取付ブラケット３４１０，３４２０の底部には、アンカーボルトを挿通する挿通孔が左右に二つ形成されている。なお、各挿通孔の数は、必要に応じて変更可能である。

　また、中央部３３４２には、取付ブラケット３４１０の上側と取付ブラケット３４２０の上側とに、それぞれ左右一対で前斜め上に延出された略Ｕ字状の被装着ワイヤ３４５０が接合されている。
　これら四つの被装着ワイヤ３４５０は、前述した被装着ワイヤ３４４０と同一のものである。

　フロントパイプフレーム３３５０は、左右方向に延在する前フレーム部３３５１と、前フレーム部３３５１の左右それぞれの端部に一体的に連結された左右の横フレーム部３３５２，３３５３とからなる。
　横フレーム部３３５２，３３５３は、それぞれの後端部が、ロアーパイプフレーム３３４０の左端部と右端部とに接合されている。そして、左右の横フレーム部３３５２，３３５３は、ロアーパイプフレーム３３４０から前方に延出されると共に屈曲して上方に延出され、その上端部で前フレーム部３３５１に連結されている。

　左右の前側脚部３３６０，３３７０は、フロントパイプフレーム３３５０の左右の横フレーム部３３５２の上方に延出された部位の各々に接合装備されている。
　前側脚部３３６０，３３７０は、左右の横フレーム部３３５２に接合された接合端部と、それぞれの接合端部の下端部から前方に延出された延出部と、延出部の前端部において下方に屈曲した底板部とを有する。そして、各々の底板部には、クッションフレーム構造体３１００を車体に取り付けるための取付孔が形成されている。

　クッションカバー３２００は、発泡ポリウレタン（ＥＰＰ）からなり、平面視でクッションフレーム構造体３１００における座面に相当する範囲の概ね全域に渡って形成される。
　このクッションカバー３２００は、クッションフレーム３３００のロアーパイプフレーム３３４０及びフロントパイプフレーム３３５０を内包した状態で発泡ポリウレタンの発泡が行われて形成される。

　クッションサイドフレーム３３１０，３３２０は、それぞれクッションカバー３２００の左右の側面部外側に位置する、
　バックパイプフレーム３３３０は、クッションカバー３２００の外側後方に位置し、バックパイプフレーム３３３０に支持された支持パイプフレーム３４３０及びフレームブラケット３４００と、当該支持パイプフレーム３４３０に支持された後側脚部３３８０，３３９０及び左右の被装着ワイヤ３４４０もバックパイプフレーム３３３０の外側後方に位置する。

　また、フロントパイプフレーム３３５０は、クッションカバー３２００に内包されているが、フロントパイプフレーム３３５０の前端部に設けられた前側脚部３３６０，３３７０は、クッションカバー３２００の前端部から外部に延出されている。
　また、ロアーパイプフレーム３３４０は、クッションカバー３２００に内包されるが、その中央部３３４２に支持された被装着ワイヤ３４５０は、クッションカバー３２００の後端部から上方に向かって外部に延出されている。

　このように、クッションフレーム構造体３１００は、シートクッションを下から支持するために、平面視で座面に相当する範囲に形成された発泡ポリウレタンからなるクッションカバー３２００を備えている。
　このため、シートクッションを下から支持するために、金属製のパンフレームや面状に展開されたＳ字バネのような金属製のバネ材を使用していた従来のクッションフレームと比較して、クッションフレーム構造体３１００は、飛躍的な軽量化を図ることが可能となる。

　また、クッションフレーム構造体３１００は、クッションフレーム３３００において、各種の機能を有する部材がクッションカバー３２００の外側に配置されているので、クッションフレーム３３００における各種の機能を損なわない。
　また、各種の機能を有する部材がクッションカバー３２００に内包されないように、発泡ポリウレタンの発泡させる範囲を成形ツールによって制限することで、容易にクッションフレーム構造体３１００を製造することが可能である。

〔３〕パネルフレーム構造体に関する実施の形態[2]
　図２４～図４２に基づいてパネルフレーム構造体に関する実施の形態[2]について説明する。
　本実施形態は、パネルフレーム構造体に関するものであり、これらについて産業上の利用可能性がある。

［本実施形態の背景技術］
　特開平９－２５４６８９号公報には、車両用シートのリヤシートの背もたれに使用されるパネルフレーム構造体が開示されている。
　このパネルフレーム構造体は、パネル状のフレームを複合的に組み合わせて強度向上を図っていた。

［本実施形態の課題］
　従来のパネルフレーム構造体は、当該パネルフレーム構造体の強度について改善の余地があった。

　本実施形態は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、パネルフレーム構造体の強度について改善を図ることである。

［課題を解決するための手段］
　以上の課題を解決するために、
　解決手段１記載の発明は、
　重ね合わされた状態で接合された第一パネルフレーム及び第二パネルフレームと、ベルトガイドとを備えるパネルフレーム構造体であって、
　前記ベルトガイドは、前記第一パネルフレームと前記第二パネルフレームとに跨って前記第一パネルフレーム及び前記第二パネルフレームに接合されていることを特徴とする。

　解決手段２記載の発明は、解決手段１記載のパネルフレーム構造体において、
　前記第一パネルフレームには、ビード状の補強部が形成され、
　前記ベルトガイドが前記ビード状の補強部を挟む部位を有することを特徴とする。

　解決手段３記載の発明は、解決手段２に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記第一パネルフレームには、ビード状の補強部が複数形成されていることを特徴とする。

　解決手段４記載の発明は、解決手段２に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記ベルトガイドの前記第二パネルフレームに対する二つの接合部が前記ビード状の補強部を挟んだ配置であることを特徴とする。

　解決手段５記載の発明は、解決手段４に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記ベルトガイドの前記第二パネルフレームに対する接合部が、前記第二パネルフレームに形成された凹凸構造からなる第一補強部に並ぶ配置であることを特徴とする。

　解決手段６記載の発明は、解決手段５に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記ベルトガイドの前記第二パネルフレームに対する前記接合部が、前記第一補強部の隣に並ぶ配置であることを特徴とする。

　解決手段７記載の発明は、解決手段５に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記ベルトガイドの前記第二パネルフレームに対する他の接合部が、前記第二パネルフレームに形成された凹凸構造からなる第二補強部に並ぶ配置であることを特徴とする。

　解決手段８記載の発明は、解決手段７に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記ベルトガイドの前記第二パネルフレームに対する前記他の接合部が、前記第二補強部の隣に並ぶ配置であることを特徴とする。

　解決手段９記載の発明は、解決手段７に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記第一補強部と前記第二補強部とが同一平面上に並ぶ配置であることを特徴とする。

　解決手段１０記載の発明は、解決手段７に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記第一パネルフレームの前記ビード状の補強部は、前記第一補強部に対して少なくとも異なる二方向で並ぶ形状であることを特徴とする。

　解決手段１１記載の発明は、
　重ね合わされた状態で接合された第一パネルフレーム及び第二パネルフレームと、ロック装置の取付ブラケットとを備えるパネルフレーム構造体であって、
　前記取付ブラケットは、前記第一パネルフレームに設けられ、
　前記第一パネルフレームは、前記取付ブラケットの取り付け位置の隣に凹凸構造からなる補強部を有することを特徴とする。

　解決手段１２記載の発明は、解決手段１１に記載のパネルフレーム構造体において、
　ヘッドレストを支持する支持具が前記第一パネルフレームに設けられ、
　前記第一パネルフレームの凹凸構造からなる前記補強部が前記支持具の隣に配置されていることを特徴とする。

　解決手段１３記載の発明は、
　重ね合わされた状態で接合された第一パネルフレーム及び第二パネルフレームとを備えるパネルフレーム構造体であって、
　前記第一パネルフレームは、外縁部に沿って前側に膨出した枠状部を有し、
　前記枠状部が、他の部位よりも前方への膨出量の小さい部位を有することを特徴とする。

［解決手段の効果］
　解決手段１記載のパネルフレーム構造体は、ベルトガイドが第一パネルフレームと第二パネルフレームとに跨ってそれぞれに接合されているので、ベルトガイドに外力が加わった場合に、負荷を第一パネルフレームと第二パネルフレームとに分散することができ、ベルトガイドの取付強度を高く維持することができる。また、ベルトガイドに加わる外力に対してパネルフレーム構造体の撓みを抑制することができる。
　さらに、ベルトガイドが第一パネルフレームと第二パネルフレームとに跨っていることで、パネルフレーム構造体の剛性を高めることができる。このため、パネルフレーム構造体に必要とされる機能的な構成がパネルフレーム構造体の剛性を高めることから、パネルフレーム構造体の大型化を回避しつつ、パネルフレーム構造体の剛性を高めることが可能となる。

　解決手段２記載のパネルフレーム構造体は、第一パネルフレームがビード状の補強部を有するので、第一パネルフレームの剛性を高めることができる。さらに、ベルトガイドがビード状の補強部を挟む部位を有するので、ベルトガイドがビード状の補強部に支えられて、ベルトガイドの取付強度を高く維持することができる。また、ベルトガイドに加わる外力に対してパネルフレーム構造体の撓みを抑制することができる。

　解決手段３記載のパネルフレーム構造体は、第一パネルフレームには、ビード状の補強部が複数形成されているので、第一パネルフレームの剛性をさらに高めることができる。さらに、ベルトガイドをより強固に支えることができる。

　解決手段４記載のパネルフレーム構造体は、ベルトガイドの第二パネルフレームに対する二つの接合部がビード状の補強部を挟んだ配置であるため、第二パネルフレームに対する二つの接合部の接合位置の間がビード状の補強部によって補強され、ベルトガイドの取付強度を高く維持することができる。また、ベルトガイドに加わる外力に対してパネルフレーム構造体の撓みを抑制することができる。

　解決手段５記載のパネルフレーム構造体は、ベルトガイドの第二パネルフレームに対する接合部が、第二パネルフレームに形成された凹凸構造からなる第一補強部に並ぶ配置であることから、第一補強部によって補強された範囲の周辺にベルトガイドを接合して高強度で保持することが可能となる。
　また、第一補強部を有するので第二パネルフレームの剛性を高めることが可能となる。

　解決手段６記載のパネルフレーム構造体は、ベルトガイドの第二パネルフレームに対する接合部が、第一補強部の隣に並ぶ配置であることから第一補強部によってさらに補強された範囲にベルトガイドを接合してさらに高強度で保持することが可能となる。

　解決手段７記載のパネルフレーム構造体は、ベルトガイドの第二パネルフレームに対する他の接合部が、第二パネルフレームに形成された凹凸構造からなる第二補強部に並ぶ配置であることから、第二補強部によって補強された範囲の周辺にベルトガイドを接合して高強度で保持することが可能となる。

　解決手段８記載のパネルフレーム構造体は、ベルトガイドの第二パネルフレームに対する他の接合部が、第二補強部の隣に並ぶ配置であることから、第二補強部によってさらに補強された範囲にベルトガイドを接合してさらに高強度で保持することが可能となる。

　解決手段９記載のパネルフレーム構造体は、第一補強部と第二補強部とが同一平面上に並ぶ配置であることから、第二パネルフレームの剛性を高めることが可能となる。さらに、これに伴い、第二パネルフレームに接合されるベルトガイドを高強度で保持することが可能となる。

　解決手段１０記載のパネルフレーム構造体は、第一パネルフレームのビード状の補強部が、第一補強部に対して少なくとも異なる二方向で並ぶ形状であることから、パネルフレーム構造体の剛性を高めることが可能となる。

　解決手段１１記載のパネルフレーム構造体は、第一パネルフレームがロック装置の取付ブラケットの取り付け位置の隣に凹凸構造からなる補強部を有するので、パネルフレーム構造体の剛性を高めることが可能となる。さらに、取付ブラケットの取り付け位置周辺の剛性が固められ、取付ブラケットの接合強度を高めることが可能となる。
　また、パネルフレーム構造体に必要とされる機能的な構成がパネルフレーム構造体の剛性を高めることから、パネルフレーム構造体の大型化を回避しつつ、パネルフレーム構造体の剛性を高めることが可能となる。

　解決手段１２記載のパネルフレーム構造体は、第一パネルフレームの凹凸構造からなる補強部がヘッドレストの支持具の隣に配置されているので、当該支持具の接合強度を向上させることが可能となる。

　解決手段１３記載のパネルフレーム構造体は、第一パネルフレームが外縁部に沿って前側に膨出した枠状部を有するので、第一パネルフレームの剛性を高めることが可能となる。さらに、枠状部が、他の部位よりも前方への膨出量の小さい部位を有するので、前後方向の小型化を図ることが可能となる。

［パネルフレーム構造体に関する実施形態[2]の内容］
　以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が以下の実施形態に付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
　本実施形態は、乗物用のベンチシートの背もたれに適用されるパネルフレーム構造体である。
　以下に示すパネルフレーム構造体を適用するベンチシートを備える乗物は、船舶、飛行体、車両等、人間が搭乗して移動を行うあらゆる乗物を含むが、本実施形態では、車両、特に、自動車のベンチシートにパネルフレーム構造体を適用する場合を例示する。

　図２４はパネルフレーム構造体４１００の正面図、図２５は図２４におけるＡ－Ａ線に沿った断面図、図２６は前面の部分拡大図である。また、図２７はパネルフレーム構造体４１００の部分斜視図、図２８は図２６におけるＢ－Ｂ線に沿った断面図、図２９は右上部の部分拡大図である。

　なお、各図において、上下左右前後の各方向は、車両に取り付けられた状態での方向を示している。以下、各パネルフレーム構造体４１００の各部の説明については、上記取付け状態での方向に基づいて説明する。
　また、各パネルフレーム構造体４１００は、厳密には、その上端部が後方に幾分傾斜した状態で車両に取り付けられるが、特にことわりがない場合には、説明の便宜上、各パネルフレーム構造体４１００の板面は、上下方向及び左右方向に沿った状態であるものとする。

　パネルフレーム構造体４１００は、車両用であってベンチシートの背もたれの骨子として利用される。パネルフレーム構造体４１００は、二人掛けのベンチシートの背もたれに利用される。
　パネルフレーム構造体４１００には、発泡成形されたパッドが前側からパネルフレーム構造体４１００を包み込むように取付けられ、さらに、表皮がこのパッドの表面に吊り込まれている。吊り込みとは、パッドの表面に覆い被さった表皮が張った状態でパッドの表面に沿っていることをいう。

［パネルフレーム構造体の概略構成］
　図２４～図２９に示すように、パネルフレーム構造体４１００は、第一パネルフレームとしての前パネルフレーム４０２０、第二パネルフレームとしての後パネルフレーム４０３０、パネルフレーム構造体４１００を外部に取り付けるためのセットブラケット４０１１，４０１２、複数のヘッドレストの支持具４０１３、ベルトガイド４０１６及びロック部材４０１７等を備える。

　前パネルフレーム４０２０及び後パネルフレーム４０３０は、いずれも、正面視の板面形状が概ね矩形状のスチールやアルミ合金等の金属板である。
　前パネルフレーム４０２０及び後パネルフレーム４０３０は、いずれも、正面視における長辺が左右方向、短辺が上下方向に沿っている。また、前パネルフレーム４０２０及び後パネルフレーム４０３０は、図２４の紙面表側が「前」、その反対側が「後」となる。
　そして、前パネルフレーム４０２０は、後パネルフレーム４０３０の前面側に接合されている。
　なお、パネルフレーム構造体４１００の各構成は、特に言及しない場合には、溶接、より好ましくは、レーザー溶接により接合されている。但し、レーザー溶接以外の溶接方法を用いてもよいし、溶接以外の接合方法を用いてもよい。

［前パネルフレームの概略］
　後パネルフレーム４０３０は、その外縁部のほぼ全周に渡って前方に立ち上げられた丈の低い周壁状のフランジ部４３０１が形成されている。そして、前パネルフレーム４０２０は、後パネルフレーム４０３０のフランジ部４３０１の内側に嵌合した状態で、後パネルフレーム４０３０の前面部に接合されている。従って、前パネルフレーム４０２０は、フランジ部４３０１の厚さ分だけ後パネルフレーム４０３０よりも外縁部が小さくなっている。

［前パネルフレーム：外縁部］
　前パネルフレーム４０２０は、その外縁全周に渡って、後パネルフレーム４０３０の前面に面接触する外縁部４０２１を有する。この外縁部４０２１の後面は、後パネルフレーム４０３０の前面に対して全体的又は部分的（スポット的）に接合してもよい。

［前パネルフレーム：枠状部］
　前パネルフレーム４０２０は、外縁部４０２１のすぐ内側に、当該外縁部４０２１に沿って全周に渡って前側に膨出した枠状部４０２２を有する。枠状部４０２２は、後パネルフレーム４０３０の前面から離隔し、隙間スペースが形成されている。
　枠状部４０２２は、略矩形の四辺に沿って前方に膨出しており、上辺に相当する上枠補強部４２２１(枠部)と、下辺に相当する下枠補強部４２２２(枠部)と、左辺に相当する左枠補強部４２２３(枠部)と、右辺に相当する右枠補強部４２２４(枠部)とを有する。
　これらの内、上枠補強部４２２１及び下枠補強部４２２２は、左右方向に延在しており、左枠補強部４２２３及び右枠補強部４２２４は、上下方向に延在している。
　なお、以下の説明において、「～補強部」という場合には、特にことわりがない場合には、凸条、枠状、凸部、折曲部等の板面の変形による立体的な構造により、平板よりも高い剛性を有する部分や部材を示すものとする。

　上枠補強部４２２１の左右方向中央部は、後述する中央延出部４２３１が連結されている。この上枠補強部４２２１における中央延出部４２３１の連結部にベルトガイド４０１６の一部が接合されている。
　左枠補強部４２２３の下端部近傍には、セットブラケット４０１１が接合されている。
　右枠補強部４２２４の上端部近傍にはロック部材４０１７が接合され、下端部近傍にはセットブラケット４０１２が接合されている。

　また、前パネルフレーム４０２０におけるロック部材４０１７の取付位置の近傍となる上枠補強部４２２１と右枠補強部４２２４とが連結された前パネルフレーム４０２０の右上角部には、左斜め上方向に沿ったビードからなる角部補強部４２２５が形成されている。

［前パネルフレーム：連結部］
　前パネルフレーム４０２０は、
枠状部４０２２の内側に正面視で三叉状（略Ｙ字状）に形成された連結部４０２３を有する。
　連結部４０２３は、下枠補強部４２２２の右端部（枠状部４０２２の右下角部）から上枠補強部４２２１の左端部（枠状部４０２２の左上角部）に至る対角延出部４２３２と、当該対角延出部４２３２の長手方向中間部から分岐して上枠補強部４２２１の左右方向中間部に至る中央延出部４２３１とを有する。
　枠状部４０２２と連結部４０２３は、一体的に連結されている。

　各延出部４２３１，４２３２には、それぞれの幅方向（延出方向に直交する方向）の両端部に延出方向に沿ったビード状の補強部４２３３～４２３７が形成されている。
　中央延出部４２３１には、左縁部と右縁部のそれぞれに中央延出部４２３１の延出方向に沿ったビード状の補強部４２３３，４２３４が形成されている。
　対角延出部４２３２の左縁部には、対角延出部４２３２の全長に渡ってその延出方向に沿ったビード状の補強部４２３５が形成されている。
　対角延出部４２３２の右縁部には、当該対角延出部４２３２の左上の端部から中間部までに形成されたビード状の補強部４２３６と、対角延出部４２３２の右下の端部から中間部までに形成されたビード状の補強部４２３７が形成されている。
　ビード状の補強部４２３６は、中央延出部４２３１のビード状の補強部４２３３と一体的に連結されており、ビード状の補強部４２３７は、中央延出部４２３１のビード状の補強部４２３４と一体的に連結されている。
　ビード状の補強部４２３６とビード状の補強部４２３７は、同一線上に位置しているが、中央延出部４２３１によって分断されている。
　各ビード状の補強部４２３３～４２３７は、前パネルフレーム４０２０の前面において前側に凸、後面において前側に凹となるように形成されている。

　なお、ビード状の補強部４２３３～４２３７は、その数は増減可能である。例えば、各延出部４２３１，４２３２だけでなく、後述する開口部４２４１～４２４３の内縁部で、ビード状の補強部４２３３～４２３７が形成されていない部分にも形成してもよい。
　また、ビード状の補強部４２３６とビード状の補強部４２３７は、連続する一本のビード状の補強部で構成してもよい。その場合、中央延出部４２３１の二本のビード状の補強部４２３３，４２３４は、連続する一本のビード状の補強部４２３６，４２３７に交差して一体化する構成としてもよい。

　また、中央延出部４２３１の幅方向の中央部には、前パネルフレーム４０２０の前面において前側に凸、後面において前側に凹となる島状の取付け補強部４２３８が形成されている。この取付け補強部４２３８は、シートベルトのリトラクター（図示略）を取り付けるための土台となり、その中央部には、ベルト取付け部４２３９が設けられている。ベルト取付け部４２３９は、リベット状又はボルト状の部材を備え、軸部が取付け補強部４２３８を貫通して前方に突出し、頭部が取付け補強部４２３８の後面に接合されて固定されている。シートベルトのリトラクターは、ベルト取付け部４２３９の軸部又は取付け補強部４２３８の前面に固定される。

［前パネルフレーム：開口部］
　枠状部４０２２に囲まれた内側領域内であって、上記連結部４０２３以外の部分は、前パネルフレーム４０２０の板面を表裏に広く貫通した三つの開口部４２４１，４２４２，４２４３となっている。
　開口部４２４１は、上枠補強部４２２１、対角延出部４２３２及び中央延出部４２３１によって囲繞された略三角形状の開口からなる。
　開口部４２４２は、上枠補強部４２２１、右枠補強部４２２４、対角延出部４２３２及び中央延出部４２３１によって囲繞された略台形状の開口からなる。
　開口部４２４３は、下枠補強部４２２２、左枠補強部４２２３及び対角延出部４２３２によって囲繞された略三角形状の開口からなる。

　前述したように、前パネルフレーム４０２０の枠状部４０２２は、全体的に後面側が後パネルフレーム４０３０の前面から離隔している。
　そして、図２４に示すように、上記各開口部４２４１～４２４３の内縁部は、いずれも後方側に落ちくぼんで、後パネルフレーム４０３０の前面に当接している。これら各開口部４２４１～４２４３の内縁部と後パネルフレーム４０３０の前面とは、全体的又は部分的（スポット的）にレーザー溶接により接合してもよい。

　前パネルフレーム４０２０は、各開口部４２４１～４２４３により、軽量化を図ることが可能となる。

［後パネルフレームの概略］
　図２４～図２７に示すように、後パネルフレーム４０３０は、正面視で略矩形となるプレート状の本体板４０３１と、当該本体板４０３１の外縁部に一体的に設けられた前述のフランジ部４３０１とを有する。
　本体板４０３１は、全体的に上下左右方向に沿った平坦となる平板である。

［後パネルフレーム：開口補強部］
　後パネルフレーム４０３０に前パネルフレーム４０２０を重ねた状態で、本体板４０３１における前パネルフレーム４０２０の各開口部４２４１～４２４３の内側となる領域には、それぞれ開口補強部４３２１～４３２３が形成されている。これら開口補強部４３２１～４３２３は、いずれも、本体板４０３１の前面から前方に凸となり、後面から見ると前方に凹となっている。

　本体板４０３１における略直角三角形状の開口部４２４１の内側となる領域には、略直角三角形状のエリア全体が膨出した凹凸構造からなる開口補強部４３２１（第一補強部）が形成されている。
　この開口補強部４３２１は、直角三角形状の三つの辺が開口部４２４１の内縁部の三辺にそれぞれ略平行となって近接している。
　また、開口補強部４３２１は、直角三角形の膨出形状に応じた平坦面を有し、当該平坦面には円形又は略円形の貫通孔４３２１ａが形成されている。

　本体板４０３１における開口部４２４２の内側となる領域には、上下方向に沿った三本の長円状の延出部が上端部で一体化された形状の膨出部（凹凸構造）からなる開口補強部４３２２（第二補強部）が形成されている。
　開口補強部４３２２は、その膨出形状に応じた平坦面を有し、当該平坦面には円形又は略円形の複数の貫通孔４３２２ａが形成されている。各貫通孔４３２２ａは、三本の延出部のそれぞれに沿って上下に並んで形成されている。

　開口補強部４３２２は、上下方向に沿った三本の長円状の延出部を有するので、例えば、当該延出部に直交する方向（左右方向）に沿って曲げる荷重に対して特に高い剛性を得ることができる。

　本体板４０３１における略直角三角形状の開口部４２４３の内側となる領域には、略直角三角形状のエリア全体が膨出した開口補強部４３２３が形成されている。
　開口補強部４３２３は、全体的には直角三角形状であり、その上端部のみが左方に膨出した形状となっている。
　開口補強部４３２３は、略直角三角形の膨出形状に応じた平坦面を有し、略直角三角形の膨出領域の範囲内には、上下方向に沿った三本の長円状の凹部４３２３ｂと直角三角形状の凹部４３２３ｂとが形成されている。これらの凹部４３２３ｂは、いずれも内底部が本体板４０３１の平板面と同一の平板面となっている。三本の長円状の凹部４３２３ｂは、略直角三角形の膨出形状に対応して、左から順番に上下方向長さが漸減している。また、直角三角形状の凹部４３２３ｂは、略直角三角形状の開口補強部４３２３の鋭角の角部に対応した形状及び向きとなっている。
　さらに、各凹部４３２３ｂは、左右方向について一定の間隔を空けて設けられており、各凹部４３２３ｂの間で上下方向に沿った膨出部分には、上下に沿って並んで複数の貫通孔４３２３ａが形成されている。また、前述した開口補強部４３２３における左方に膨出した部位にも、貫通孔４３２３ａが形成されている。

　開口補強部４３２３は、上下方向に沿った三本の長円状の凹部を有するので、開口補強部４３２３内に上下方向に沿った凸条の補強部を形成することができる。これにより、凸条の補強部に直交する方向（左右方向）に沿って曲げる荷重に対して特に高い剛性を得ることができる。

　また、各開口補強部４３２１～４３２３は、前パネルフレーム４０２０の各開口部４２４１～４２４３により剛性が低下する範囲内に対応して設けられているので、後パネルフレーム４０３０側で剛性を補い、パネルフレーム構造体４１００全体での剛性を高く維持しつつも軽量化を図ることが可能となる。
　また、各開口補強部４３２１～４３２３には、膨出領域の範囲内に貫通孔４３２１ａ～４３２３ａが形成されているので、剛性低下を抑えつつもさらなる軽量化を図ることが可能となる。

［セットブラケット］
　左側のセットブラケット４０１１は、図２４に示すように、前パネルフレーム４０２０の左端下部、即ち、左枠補強部４２２３の下端部における前面側にレーザー溶接により接合されている。
　また、右側のセットブラケット４０１２は、前パネルフレーム４０２０の前面の右端下部、即ち、下枠補強部４２２２の右端部と右枠補強部４２２４の下端部とが交差する角部における前面側にレーザー溶接により接合されている。
　それぞれのセットブラケット４０１１，４０１２は、前パネルフレーム４０２０や後パネルフレーム４０３０よりも厚みのある金属板にプレス加工を行って立体的な構造とした部材である。セットブラケット４０１１，４０１２は、接合面から一段前に出て左方又は右方に延出された平板状の延出部を有し、それぞれの延出部の前面にはプロジェクションナット４１１１，４１２１がプロジェクション溶接によって固定装備されている。これらのプロジェクションナット４１１１，４１２１は、パネルフレーム構造体４１００を車両用シートに固定する際に、固定用のボルトが螺入される。

［ベルトガイド］
　ベルトガイド４０１６は、前パネルフレーム４０２０の取付け補強部４２３８に取り付けられたリトラクター（図示略）から引き出されるシートベルトを上方に案内する部材である。
　ベルトガイド４０１６は、図２４～図２８に示すように、前パネルフレーム４０２０の上端部、即ち、上枠補強部４２２１の左右方向中央部における前面側にレーザー溶接により接合されている。

　ベルトガイド４０１６は、前パネルフレーム４０２０や後パネルフレーム４０３０よりも厚みのある金属板にプレス加工を行って所定の構造とした部材である。
　ベルトガイド４０１６は、図２６に示すように、上枠補強部４２２１の前面に接合された左右一対の脚部４１６１，４１６２と中央延出部４２３１の左右の両側面に沿って下方に延出されると共に下端部で左方と右方とに個別に延出された左右一対の脚部４１６３，４１６４とを有する。
　脚部４１６３，４１６４は、その下端部が開口部４２４１，４２４２を介して後パネルフレーム４０３０の後面に接合されている。

　図２８に示すように、ベルトガイド４０１６は、左側の脚部４１６１，４１６３と右側の脚部４１６２，４１６４の間に跨る懸架部４１６５を有する。懸架部４１６５は、上枠補強部４２２１の前面から離隔して隙間が形成されている。この隙間がシートベルトを下から上に挿通する挿通部として機能する。
　懸架部４１６５の上端部には、前斜め下に湾曲したガイド部４１６６が設けられている。懸架部４１６５の内側を下から上に挿通されたシートベルトＢＳは、ガイド部４１６６において折り返されて前斜め下側に案内される。

［ロック部材］
　ロック部材４０１７は、図示しないロック装置を取り付けるための取付ブラケットである。ロック装置は、車両用シートに対して、パネルフレーム構造体４１００の下端部が左右方向に沿った回動軸により回動可能に支持されている状態で、パネルフレーム構造体４１００を所定の姿勢（例えば、図２４に示す起伏状態）にロックするための機構である。
　ロック部材４０１７は、図２４及び図２９に示すように、前パネルフレーム４０２０の右上角部、即ち、右枠補強部４２２４の上端部近傍における前面側にレーザー溶接により接合されている。
　ロック部材４０１７は、前パネルフレーム４０２０や後パネルフレーム４０３０よりも厚みのある金属板にプレス加工を行って所定の構造とした部材である。
　ロック部材４０１７は、右枠補強部４２２４の前面及び外側の前斜め左側に傾斜した傾斜面に接合される上下一対の脚部４０１７ａ，４０１７ｂを有している。上下の脚部４０１７ａ，４０１７ｂは、いずれも、上枠補強部４２２１の前面と傾斜面とに密接するように、各々が屈曲した平板状に形成されている。
　また、ロック部材４０１７は、右側面部を有し、当該右側面部には、右方からパネルフレーム構造体４１００の回動を規制するロックピンがロック装置に挿入される際に干渉を避けるための切り欠き４０１７ｃが形成されている。
　従って、ロック部材４０１７に取り付けられたロック装置にロックピンが挿入される際にパネルフレーム構造体４１００を好適にロックすることができる。

　そして、前パネルフレーム４０２０には、ロック部材４０１７の取り付け位置に対してその左隣に、左斜め上方向に沿ったビードからなる角部補強部４２２５が形成されている。このため、前パネルフレーム４０２０側のロック部材４０１７の取り付け位置の周辺の剛性が高められ、ロック部材４０１７の取り付け強度の向上を図ることが可能となる。

［ヘッドレストの支持具］
　ヘッドレストの支持具４０１３は、図２４及び図２７に示すように、二つ一組で、前パネルフレーム４０２０の上端部、即ち、上枠補強部４２２１の左側と右側における前面側にレーザー溶接により接合されている。
　各支持具４０１３は、金属板に曲げ加工を施した略四角の筒状の部材であり、上下方向に沿った向きで前パネルフレーム４０２０に取り付けられている。そして、上方からその内側にヘッドレストの支柱が挿入された状態で当該ヘッドレストの支持を行う。

　そして、前パネルフレーム４０２０には、前述した角部補強部４２２５が形成されている。右側の二つの支持具４０１３は、その取り付け位置に対してその上隣と右隣とに角部補強部４２２５が位置している。このため、前パネルフレーム４０２０側の右側の二つの支持具４０１３の取り付け位置の周辺の剛性が高められ、これらの支持具４０１３の取り付け強度の向上を図ることが可能となる。

［発明の実施形態の技術的効果］
　上記構成からなるパネルフレーム構造体４１００は、ベルトガイド４０１６が前パネルフレーム４０２０と後パネルフレーム４０３０とに跨って配置されている。このため、ベルトガイド４０１６に外力が加わった場合に、負荷を前パネルフレーム４０２０と後パネルフレーム４０３０とに分散することができ、ベルトガイド４０１６の取付強度を高く維持することができる。また、ベルトガイド４０１６に加わる外力に対してパネルフレーム構造体４１００の撓みを抑制することができる。
　さらに、ベルトガイド４０１６が前パネルフレーム４０２０と後パネルフレーム４０３０とに跨っていることで、前パネルフレーム４０２０と後パネルフレーム４０３０とを相互に拘束してパネルフレーム構造体４１００の剛性を高めることができる。このため、パネルフレーム構造体４１００に必要とされる機能的な構成がパネルフレーム構造体４１００の剛性を高めることから、パネルフレーム構造体４１００の大型化を回避しつつ、パネルフレーム構造体４１００の剛性を高めることが可能となる。

　また、パネルフレーム構造体４１００は、ベルトガイド４０１６の脚部４１６１，４１６２が前パネルフレーム４０２０に接合され、脚部４１６３，４１６４が後パネルフレーム４０３０に接合されている。
　そして、ベルトガイド４０１６の下側の一対の脚部４１６３，４１６４は、前パネルフレーム４０２０の中央延出部４２３１の左右両側に形成されたビード状の補強部４２３３，４２３４を挟む部位を有している。
　ビード状の補強部４２３３，４２３４は、前パネルフレーム４０２０の剛性を高めることができる。さらに、下側の一対の脚部４１６３，４１６４は、ビード状の補強部４２３３，４２３４を挟む部位を有するので、ベルトガイド４０１６がビード状の補強部４２３３，４２３４に支えられて、ベルトガイド４０１６の取付強度を高く維持することができる。また、ベルトガイド４０１６に加わる外力に対してパネルフレーム構造体４１００の撓みを抑制することができる。
　特に、下側の一対の脚部４１６３，４１６４は、後パネルフレーム４０３０に接合されているので、後パネルフレーム４０３０に対する二つの脚部４１６３，４１６４の接合位置の間がビード状の補強部４２３３，４２３４によって補強され、ベルトガイド４０１６の取付強度を高く維持することができる。

　さらに、ベルトガイド４０１６の脚部４１６３の後パネルフレーム４０３０に対する接合部が、開口補強部４３２１の上側に位置し、さらには、上隣りに位置しているので、開口補強部４３２１によって補強された範囲の近傍に脚部４１６３が接合されて高強度で保持することが可能となる。
　なお、脚部４１６３の接合部は、開口補強部４３２１に対して上下左右或いは斜め方向のいずれに位置してもよい。

　また、ベルトガイド４０１６の脚部４１６４の後パネルフレーム４０３０に対する接合部が、開口補強部４３２２の上側に位置し、さらには、上隣に位置しているので、開口補強部４３２２によって補強された範囲の近傍に脚部４１６４が接合されて高強度で保持することが可能となる。
　なお、脚部４１６４の接合部は、開口補強部４３２２に対して上下左右或いは斜め方向のいずれに位置してもよい。

　また、パネルフレーム構造体４１００は、一体的に連結された前パネルフレーム４０２０のビード状の補強部４２３３，４２３６が、前面視で開口補強部４３２１に対して少なくとも異なる二方向から囲む形状であることから、ビード状の補強部４２３３，４２３６と開口補強部４３２１の相互作用により、パネルフレーム構造体４１００の剛性を高めることが可能となる。

　また、パネルフレーム構造体４１００の後パネルフレーム４０３０は、開口補強部４３２１と開口補強部４３２２、さらには、開口補強部４３２３とが同一平面上に並ぶ配置であることから、後パネルフレーム４０３０全体の剛性を高めることが可能となる。さらに、これに伴い、後パネルフレーム４０３０に接合されるベルトガイド４０１６や前パネルフレーム４０２０を高強度で保持することが可能となる。

　また、パネルフレーム構造体４１００は、前パネルフレーム４０２０がロック部材４０１７の取り付け位置の隣に凹凸構造としてのビードからなる角部補強部４２２５を有するので、パネルフレーム構造体４１００の剛性を高めることが可能となる。さらに、ロック部材４０１７の取り付け位置周辺の剛性が高められ、ロック部材４０１７の接合強度を高めることが可能となる。
　また、パネルフレーム構造体４１００に必要とされる機能的な構成としてのロック部材４０１７がパネルフレーム構造体４１００の剛性を高めることから、パネルフレーム構造体４１００の大型化を回避しつつ、パネルフレーム構造体４１００の剛性を高めることが可能となる。

　また、パネルフレーム構造体４１００は、前パネルフレーム４０２０の角部補強部４２２５が右側の二つのヘッドレストの支持具４０１３の隣に配置されているので、当該支持具４０１３の接合強度を向上させることが可能となる。

［前パネルフレームの枠状部の他の例］
　前パネルフレームの枠状部の他の例を図３０に示す。図３０に示すパネルフレーム構造体４１００は、一人掛けのシートの背もたれに利用されるパネルフレーム構造体である。図３０のパネルフレーム構造体４１００について、図２４～図２９に示したパネルフレーム構造体４１００とほぼ機能的に等しい構成については同じ符号を付して重複する説明は省略する。

　このパネルフレーム構造体４１００は、前パネルフレーム４０２０の枠状部４０２２において、右枠補強部４２２４が当該右枠補強部４２２４の他の部位よりも前方への膨出量の小さい部位４２２４ａを有している。
　また、同様に、下枠補強部４２２２が当該下枠補強部４２２２の他の部位よりも前方への膨出量の小さい部位４２２２ａを有している。

　これらのように、前パネルフレーム４０２０が枠状部４０２２を有し、他の部位よりも前方への膨出量の小さい部位４２２２ａ，４２２４ａを有するため、前パネルフレーム４０２０の剛性を高めると共に部分的に前後方向の小型化を図ることが可能となる。
　なお、前述した図２４～図２９に示したパネルフレーム構造体４１００の場合も図２５に示すように、右枠補強部４２２４の上半分に対して下半分が前方への膨出量が小さくなっており、膨出量が小さい部位を有しているといえるので、図３０のパネルフレーム構造体４１００と同一の技術的効果を得ることができる。

［前パネルフレームの連結部の他の例］
　前パネルフレーム４０２０の枠状部４０２２の内側に設けられる連結部４０２３は、図２４に示すように、正面視で略ｙ字状となるものに限定されない。
　図３１～図４０に連結部４０２３の各種の他の形態の例を正面視の概略図で示す。

　図３１は、矩形の枠状部４０２２の四辺について、隣り合う辺同士の中点を連結する四本の延出部を一体化した連結部４０２３である。なお、連結部４０２３と枠状部４０２２も一体化されている。以下に示す他の形態の例も同様である。

　図３２は、図３１の連結部４０２３の構成に、枠状部４０２２の上の辺の中点と下の辺の中点とを連結する延出部をさらに加えて一体化した連結部４０２３である。

　図３３は、図３１の連結部４０２３の構成に、枠状部４０２２の左の辺の中点と右の辺の中点とを連結する延出部をさらに加えて一体化した連結部４０２３である。

　図３４は、図３２の連結部４０２３の構成に、枠状部４０２２の左の辺の中点と右の辺の中点とを連結する延出部をさらに加えて一体化した連結部４０２３である。

　図３５は、図３１の連結部４０２３の構成に、枠状部４０２２の左上の角部と右下の角部とを連結する延出部をさらに加えて一体化した連結部４０２３である。なお、図３１の連結部４０２３の構成に、枠状部４０２２の右上の角部と左下の角部とを連結する延出部を加えて一体化した連結部４０２３としてもよい。

　図３６は、図３５の連結部４０２３の構成に、枠状部４０２２の右上の角部と左下の角部とを連結する延出部を加えて一体化した連結部４０２３である。

　図３７は、枠状部４０２２の左上の角部と右下の角部とを連結する延出部と枠状部４０２２の右上の角部と左下の角部とを連結する延出部とを一体化した連結部４０２３である。

　図３８は、図３７の連結部４０２３の構成に、当該連結部４０２３の二つの延出部の交差位置と枠状部４０２２の上の辺の中点とを連結する延出部をさらに加えて一体化した連結部４０２３である。

　図３９は、図３７の連結部４０２３の構成に、枠状部４０２２の上の辺の中点と枠状部４０２２の下の辺の中点とを連結する延出部をさらに加えて一体化した連結部４０２３である。

　図４０は、枠状部４０２２の左上の角部と右下の角部とを連結する延出部と枠状部４０２２の上の辺の中点と枠状部４０２２の下の辺の中点とを連結する延出部とを一体化した連結部４０２３である。なお、枠状部４０２２の左上の角部と右下の角部とを連結する延出部を、枠状部４０２２の右上の角部と左下の角部とを連結する延出部に替えてもよい。同様に、枠状部４０２２の上の辺の中点と枠状部４０２２の下の辺の中点とを連結する延出部を枠状部４０２２の左の辺の中点と枠状部４０２２の右の辺の中点とを連結する延出部に替えてもよい。
　また、図４０の連結部４０２３の構成に、枠状部４０２２の左の辺の中点と枠状部４０２２の右の辺の中点とを連結する延出部をさらに加えて一体化した連結部４０２３としてもよい。

　また、図３１～図４０に示す連結部４０２３は、当該連結部４０２３を構成する個々の延出部のいずれかについて他よりも幅を広くする又は幅を狭くする変更を行ってもよい。この場合、さらに、個々の延出部の一部分について他よりも幅を広くする又は幅を狭くする変更を行ってもよい。この場合、延出部の一部分とは、他の延出部と交差する位置を区切りとした場合に、延出部の端部からいずれかの区切りまでの範囲又はいずれかの区切りから他の区切りまでの範囲とすることが好ましい。

　図４１は、後パネルフレーム４０３０における前パネルフレーム４０２０の開口部の内側となる領域内に、前述した開口補強部４３２１～４３２３に替えて又は開口補強部４３２１～４３２３と併用して、ビードからなる補強部４４０１～４４０３，４４０５～４４０７を設けた例を示す概略図である。
　なお、この図４１では、図３９のパネルフレーム構造体４１００を例にしているが、図２４、図３１～図３８、図４０の各パネルフレーム構造体４１００に同様にビードからなる補強部を設けてもよい。

　図４１の例では、前パネルフレーム４０２０の右側の開口部には、三つの補強部４４０１～４４０３が上下に並んで形成されている。前パネルフレーム４０２０の左側の開口部には、三つの補強部４４０５～４４０７が上下に並んで形成されている。
　各補強部４４０１～４４０３，４４０５～４４０７は、いずれも角の丸い略矩形のビードからなる。各補強部４４０１～４４０３，４４０５～４４０７は、その正面視形状の領域全体が、後パネルフレーム４０３０の前面において前側に凸、後面において前側に凹となるように前方に膨出している。

　各補強部４４０１～４４０３，４４０５～４４０７は、その周囲を囲繞する開口部ごとに長手方向が略平行となるように形成されている。
　例えば、前パネルフレーム４０２０の右側の開口部内の各補強部４４０１～４４０３は、いずれも、右斜め上方向に平行となるように形成されている。さらに、各補強部４４０１～４４０３は、連結部４０２３における延出部、例えば、枠状部４０２２の右上の角部と左下の角部とを連結する延出部に平行となるように形成してもよい。
　前パネルフレーム４０２０の左側の開口部内の各補強部４４０５～４４０７は、いずれも、左右方向に平行となるように形成されている。

　さらに、右側の開口部内の補強部４４０１～４４０３は、それぞれの長手方向の幅と短手方向の幅とが全て異なっている。左側の開口部内の補強部４４０５～４４０７も同様である。
　右側の開口部内の補強部４４０１～４４０３の場合、一番上の補強部４４０１は、長手方向に最も長く、短手方向に最も短い。また。一番下の補強部４４０３は、長手方向に最も短く、短手方向に最も長い。
　左側の開口部内の補強部４４０５～４４０７の場合、一番上の補強部４４０５は、長手方向に最も短く、短手方向に最も長い。また。二番目の補強部４４０６は、長手方向に最も長く、短手方向に最も短い。

　また、全ての補強部４４０１～４４０３，４４０５～４４０７は、ロック部材４０１７の上端部よりも下側に形成されている。
　但し、全ての補強部４４０１～４４０３，４４０５～４４０７は、ロック部材４０１７の上端部よりも上側にまで形成してもよい。
　また、各開口部ごとに補強部４４０１～４４０３と補強部４４０５～４４０７の向きは変更可能である。例えば、補強部４４０１～４４０３又は補強部４４０５～４４０７を囲繞する開口部の内縁部に平行としてもよい。

　また、補強部４４０１～４４０３と補強部４４０５～４４０７の長手方向及び短手方向の長さは、上記の例に限らず、いずれの補強部が最も長くなってもよい。この場合、開口部の内側となる領域の形状に応じて当該領域内で、補強部が偏らない分布で配置してもよい。例えば、開口部の内側となる領域が三角形状であれば、一つの底辺に平行な複数の補強部が、底辺から頂角に向かって順番に長手方向の長さが短くなるように配置してもよい。或いは、一つの底辺に対して頂角から下した垂線に平行な複数の補強部の場合、垂線に最も近い補強部が長手方向に最も長く、他の補強部は、両側の底角に近いものほど長手方向に短くなるように配置してもよい。

　また、左右の開口部以外の開口部の内側となる領域に上記のようなビードからなる補強部を形成してもよい。
　また、開口部ごとに補強部の長手方向の向きは異なる構成としてもよい。
　また、開口部内の補強部の数は任意である。
　さらに、補強部４４０１～４４０３，４４０５～４４０７は、略矩形を例示したが、他の形状でもよい。例えば、各補強部は、長円状、円形状、略正方形状、三角形状、楔型でもよい。また、いずれかの方向に長尺な形状であってもよい。また、各補強部４４０１～４４０３，４４０５～４４０７の形状は、一様でなくともよい。
　さらに、補強部４４０１～４４０３，４４０５～４４０７は、一様に後側に凸となるように膨出してもよい。

　図４１の例のように、後パネルフレーム４０３０に補強部４４０１～４４０３及び補強部４４０５～４４０７を設けた場合も、パネルフレーム構造体４１００の剛性を高めることが可能となる。

　図４２は、図４１のパネルフレーム構造体４１００の後パネルフレーム４０３０に新たなライン状の補強部４４１１～４４１３を加えた背面視の概略図である。
　図示のように、後パネルフレーム４０３０における、補強部４４０１～４４０３，４４０５～４４０７が形成された領域以外の領域、例えば、後パネルフレーム４０３０に前パネルフレーム４０２０を重ねた状態で、前パネルフレーム４０２０の各開口部４２４１～４２４３及び連結部４０２３と重ならない領域（各開口４２４１～４２４３及び連結部４０２３の外側となる領域、枠状部４０２２と重なる領域）に他の補強部４４１１～４４１３を設けてもよい。また、他の補強部４４１１～４４１３は、後パネルフレーム４０３０の外縁部に設けてもよい。また、他の補強部４４１１～４４１３の一部または全部は、前述した他の補強部に交差してつながって形成してもよい。なお、「補強部がつながる」又は「補強部が連続する」とは、例えば、二つの補強部がいずれも同じ方向に凸状である場合に、その境界で凸状態が維持されて途切れていないことを示す。二つの補強部の突出量の差異による段差があってもよい。
　なお、この図４２も、図３９のパネルフレーム構造体４１００を例にしているが、図２４、図３１～図３８、図４０の各パネルフレーム構造体４１００に同様に補強部４４１１～４４１３を設けてもよい。

　補強部４４１１～４４１３は、長尺のビードからなる補強部である。
　各補強部４４１１～４４１３は、いずれも左右方向及び上下方向に非平行となる斜め方向に沿った長尺の楔型のビードからなる。各補強部４４１１～４４１３は、その正面視形状の領域全体が、後パネルフレーム４０３０の前面において前側に凸、後面において前側に凹となるように前方に膨出している。

　各補強部４４１１は、各補強部４４１２よりも長手方向及び短手方向のサイズが大きく、各補強部４４１２は、各補強部４４１３よりも長手方向及び短手方向のサイズが大きい。
　複数の補強部４４１１，４４１２，４４１３は、それぞれ同種の補強部４４１１～４４１３ごとに集まった状態又は同種の補強部４４１１～４４１３ごとに一定方向に並んだ状態で、同種の補強部ごとに集合して配置してもよい。また、各種の補強部４４１１～４４１３が混在してもよい。
　全ての補強部４４１１，４４１２，４４１３は、長手方向の向きを一様に揃えても良いし、同種の補強部４４１１，４４１２，４４１３ごとに方向を揃えてもよい。また、全ての補強部４４１１，４４１２，４４１３の向きをランダムとしてもよい。また、いずれか一部の補強部４４１１，４４１２，４４１３のみが異なる向きとしてもよい。

　ロック部材４０１７の取り付け位置に対して、補強部４４１１，４４１２，４４１３のいずれかを、正面視で、後パネルフレーム４０３０における上下方向、左右方向又は上下左右の合成方向について隣に又は重合するように配置してもよい。これにより、後パネルフレーム４０３０を通じて、前パネルフレーム４０２０側のロック部材４０１７の取り付け位置の周辺の剛性が高められ、ロック部材４０１７の取り付け強度の向上を図ることが可能となる。

　また、各補強部４４１１～４４１３は、楔型以外の長尺な形状（例えば、矩形や長円形等）としてもよい。また、各補強部４４１１～４４１３の形状は、一様でなくともよい。
　また、補強部４４１１～４４１３のように複数種類の補強部４４１１～４４１３で構成せずに、一種類の補強部のみで構成してもよい。
　さらに、補強部４４１１～４４１３は、一様に後側に凸となるように膨出してもよい。

　図４２の例のように、後パネルフレーム４０３０に他の補強部４４１１～４４１３を設けた場合も、パネルフレーム構造体４１００の剛性をさらに高めることが可能となる。
　また、後パネルフレーム４０３０の外縁部にフランジ部４３０１を設けて、当該フランジ部４３０１の延在方向に応じて剛性や強度の向上を図っているが、他の補強部４４１１～４４１３は、後パネルフレーム４０３０の外縁部に対して傾斜して設けられているので、フランジ部４３０１と異なる方向に応じた剛性や強度の向上を図ることができ、パネルフレーム構造体４１００に対するより多くの方向からの応力に耐久することが可能となる。

　また、他の補強部４４１１～４４１３を後パネルフレーム４０３０の外縁部に傾斜して設けた場合、後パネルフレーム４０３０外縁に生じる撓みを抑制し、パネルフレーム構造体４１００全体の強度の向上を図ることが可能となる。特に、他の補強部４４１１～４４１３は、複数設けられているので、数に応じてパネルフレーム構造体４１００の外縁の強度をさらに向上させることが可能となる。
　また、各補強部４４１１～４４１３について、延在する方向が異なるものを含む構成とした場合には、異なる複数方向について撓みを抑制し、一定方向に偏って生じる強度低下を抑制し、パネルフレーム構造体４１００の強度をさらに向上させることが可能となる。

　また、他の補強部４４１１～４４１３が前パネルフレーム４０２０の開口部４２４１～４２４３に対応する位置以外の剛性を高める配置として場合には、開口部４２４１～４２４３による前パネルフレーム４０２０の強度低下による全体的な撓みが抑制され、全体的な強度の低下を生じることなく開口部４２４１～４２４３による軽量化を図ることが可能となる。

　また、他の補強部４４１１～４４１３が、後パネルフレーム４０３０の他の補強部とつながるように形成した場合には、これらが一体となって広範囲の補強を行い、パネルフレーム構造体４１００の強度向上を図ることが可能となる。また、補強部同士がつながっていることで、補強部の境界部分の強度低下を抑制することが可能となる。

　また、他の補強部４４１１～４４１３をロック部材４０１７に対して本体板４０３１の板面に沿ったいずれかの方向に並んで設けた場合には、後パネルフレーム４０３０を通じて前パネルフレーム４０２０のロック部材４０１７の周辺が他の補強部４４１１～４４１３により強化され、パネルフレーム構造体４１００の取り付け強度を向上させることが可能となる。

　パネルフレーム構造体４１００に形成された各種の補強部は、いずれも、前パネルフレーム４０２０及び後パネルフレーム４０３０の板材に変形を加えて凸状部又は凸条を形成し、強度や剛性を高める構造を例示した。しかしながら、補強部の構造は、これに限定されるものではなく、例えば、前パネルフレーム４０２０又は後パネルフレーム４０３０の板材に屈曲部を形成して強度や剛性を高める構造等を利用してもよい。
　但し、上記各種の補強部は、前パネルフレーム４０２０又は後パネルフレーム４０３０に対して新たな部材を接合、装着する構成とすることもできるが、前パネルフレーム４０２０又は後パネルフレーム４０３０の板材に改変を加えて強度や剛性を高めるものが軽量化の観点からより好ましい。

　また、発明の実施形態として、左右幅の広い二人掛けのベンチシートに使用するパネルフレーム構造体４１００を例示した。しかし、左右幅を小さくして一人掛けのシートに使用するパネルフレーム構造体に上述したパネルフレーム構造体４１００の技術的特徴を適用してもよい。
　同様に、左右幅を広げて二人を超える人数掛けのシートに使用するパネルフレーム構造体に上述したパネルフレーム構造体４１００の技術的特徴を適用してもよい。
　また、略長方形状のパネルフレーム構造体４１００を例示したが、略正方形状であってもよい。

〔４〕パネルフレーム構造体に関する実施の形態[3]
　図４３～図４５に基づいてパネルフレーム構造体に関する実施の形態[3]について説明する。
　本実施形態は、パネルフレーム構造体に関するものであり、これらについて産業上の利用可能性がある。

［本実施形態の背景技術］
　特表２００１－５１９２８１号公報には、車両用シートのリヤシートの背もたれに使用されるパネルフレーム構造体が開示されている。
　このパネルフレーム構造体は、パネル状の前フレームとパネル状の後フレームとが全体的に重合して接合されている。また、前フレームには、前側に凸となるエンボス加工部が形成され、後フレームには、後側に凸となるエンボス加工部が形成されている。

［本実施形態の課題］
　しかしながら、上記従来のパネルフレーム構造体は、当該パネルフレーム構造体に取付けられるヘッドレストフレームの取付強度については考慮されておらず、この点を改善する余地があった。

　本実施形態は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、ヘッドレストフレームの取付強度の向上を図ることである。

［課題を解決するための手段］
　以上の課題を解決するために、
　解決手段１記載の発明は、パネルフレーム構造体において、
　パネルフレームと、
　当該パネルフレームの前面側に接合された補強フレームと、
　ヘッドレストフレームとを備えるパネルフレーム構造体であって、
　前記ヘッドレストフレームは、前記パネルフレームと前記補強フレームとに跨って前記パネルフレーム及び前記補強フレームに接合されていることを特徴とする。

　解決手段２記載の発明は、解決手段１に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記補強フレームは、補強部を有し、
　前記ヘッドレストフレームの前記補強フレーム側の取付部は、前記補強フレームの前記補強部に接合されていることを特徴とする。

　解決手段３記載の発明は、解決手段１又は解決手段２に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記パネルフレームは、
　前記ヘッドレストフレームの前記補強フレーム側の取付部の取付位置に対して、前記パネルフレーム構造体の板面に対向する方向について重複する配置で補強部を有することを特徴とする。

　解決手段４記載の発明は、解決手段３に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記パネルフレームの前記補強部に貫通孔が形成されていることを特徴とする。

　解決手段５記載の発明は、解決手段１から解決手段４のいずれか一項に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記パネルフレームは、複数の補強部を有し、
　前記ヘッドレストフレームの前記パネルフレーム側の取付部は、前記パネルフレームの二つの前記補強部の間に接合されていることを特徴とする。

　解決手段６記載の発明は、解決手段１から解決手段５のいずれか一項に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記パネルフレームは、補強部を有し、
　前記ヘッドレストフレームの前記パネルフレーム側の取付部は、前記パネルフレームの前記補強部と並ぶ配置で接合されていることを特徴とする。

　解決手段７記載の発明は、解決手段１から解決手段６のいずれか一項に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記ヘッドレストフレームは、互いに接合された第一部材と第二部材とから構成され、
　前記第一部材と前記第二部材は、いずれも、前記パネルフレーム又は前記補強フレームに対する取付部を有することを特徴とする。

　解決手段８記載の発明は、解決手段７に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記第一部材と前記第二部材の少なくとも一方は、前記パネルフレームと前記補強フレームとに跨って前記パネルフレーム及び前記補強フレームに接合されていることを特徴とする。

　解決手段９記載の発明は、解決手段７又は解決手段８に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記第一部材と前記第二部材とは、レーザー溶接によりに接合されていることを特徴とする。

　解決手段１０記載の発明は、解決手段１から解決手段９のいずれか一項に記載のパネルフレーム構造体において、
　前記ヘッドレストフレームは、前記パネルフレームと前記補強フレームとにレーザー溶接によりに接合されていることを特徴とする。

［解決手段の効果］
　解決手段１記載のパネルフレーム構造体は、ヘッドレストフレームがパネルフレームと補強フレームとに跨って接合されているので、ヘッドレストフレームに外力が加わった場合に、負荷をパネルフレームと補強フレームとに分散することができ、ヘッドレストフレームの取付強度を高く維持することができる。また、ヘッドレストフレームに加わる外力に対してパネルフレーム構造体の撓みを抑制することができる。

　解決手段２記載のパネルフレーム構造体は、ヘッドレストフレームの補強フレーム側の取付部が補強フレームの補強部に接合されているので、ヘッドレストフレームの取付強度を高く維持することができる。また、ヘッドレストフレームに加わる外力に対してパネルフレーム構造体の撓みを抑制することができる。

　解決手段３記載のパネルフレーム構造体は、パネルフレームが、ヘッドレストフレームの補強フレーム側の取付部の取付位置に重複する配置で、補強部を有するので、ヘッドレストフレームに対する外力に対して高強度で取付状態を維持することができる。また、ヘッドレストフレームに加わる外力に対してパネルフレーム構造体の撓みを抑制することができる。

　解決手段４記載のパネルフレーム構造体は、パネルフレームの補強部に貫通孔が形成されているので、当該補強部によって強度を維持しつつも貫通孔による軽量化を図ることが可能となる。

　解決手段５記載のパネルフレーム構造体は、ヘッドレストフレームのパネルフレーム側の取付部がパネルフレームの二つの補強部の間に接合されているので、ヘッドレストフレームに加わる外力に対して高強度で取付状態を維持することができる。また、ヘッドレストフレームに加わる外力に対してパネルフレーム構造体の撓みを抑制することができる。

　解決手段６記載のパネルフレーム構造体は、ヘッドレストフレームのパネルフレーム側の取付部がパネルフレームの補強部と並ぶ配置で接合されているので、ヘッドレストフレームに対する外力に対して高強度で取付状態を維持することができる。また、ヘッドレストフレームに加わる外力に対してパネルフレーム構造体の撓みを抑制することができる。

　解決手段７記載のパネルフレーム構造体は、ヘッドレストフレームを構成する第一部材と第二部材で構成されている。
　このため、ヘッドレストフレームの第一部材と第二部材とを互いに開口部が対向する開断面形状で形成する等、ヘッドレストフレームの構造の自由度を高めることができ、ヘッドレストフレームの軽量化を図りつつ強度向上を容易に実現することが可能となる。
　さらに、第一部材と第二部材は、いずれも、パネルフレーム又は補強フレームに対する取付部を有するので、ヘッドレストフレームの取付強度を高く維持することができる。

　解決手段８記載のパネルフレーム構造体は、第一部材と第二部材の少なくとも一方は、パネルフレームと補強フレームとに跨って接合されているので、ヘッドレストフレームの取付強度を高く維持することができる。また、ヘッドレストフレームに加わる外力に対してパネルフレーム構造体の撓みを抑制することができる。

　解決手段９記載のパネルフレーム構造体は、第一部材と第二部材とがレーザー溶接によりに接合されているので、ヘッドレストフレーム全体の剛性を高く維持することができる。また、第一部材と第二部材とが連結されていることで、第一部材と第二部材の取付強度を高く維持することができる。

　解決手段１０記載のパネルフレーム構造体は、ヘッドレストフレームがパネルフレームと補強フレームとにレーザー溶接によりに接合されているので、ヘッドレストフレームの取付強度を高く維持することができる。

［パネルフレーム構造体に関する実施形態[3]の内容］
　以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が以下の実施形態に付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
　本実施形態は、乗物用のベンチシートの背もたれに適用されるパネルフレーム構造体である。
　以下に示すパネルフレーム構造体を適用するベンチシートを備える乗物は、船舶、飛行体、車両等、人間が搭乗して移動を行うあらゆる乗物を含むが、本実施形態では、車両、特に、自動車のベンチシートにパネルフレーム構造体を適用する場合を例示する。

　図４３はパネルフレーム構造体５１００の前面側を示す斜視図、図４４は後面側を示す斜視図、図４５はパネルフレーム構造体５１００の部分拡大斜視図である。
　なお、各図において、上下左右前後の各方向は、車両に取り付けられた状態での方向を示している。以下、パネルフレーム構造体５１００の各部の説明については、上記取付け状態での方向に基づいて説明する。
　また、各パネルフレーム構造体５１００は、厳密には、その上端部が後方に幾分傾斜した状態で車両に取り付けられるが、特にことわりがない場合には、説明の便宜上、各パネルフレーム構造体５１００の板面は、上下方向及び左右方向に沿った状態であるものとする。

　パネルフレーム構造体５１００は、車両用であってベンチシートの背もたれの骨子として利用される。パネルフレーム構造体５１００は、二人掛けのベンチシートの背もたれに利用される。
　パネルフレーム構造体５１００には、発泡成形されたパッドが前側からパネルフレーム構造体５１００を包み込むように取付けられる。また、後述するパネルフレーム構造体５１００のヘッドレストフレーム５０６０，５０７０も発泡成形されたパッドが包み込むように取付けられる。そして、表皮がこれらのパッドの表面に吊り込まれている。吊り込みとは、パッドの表面に覆い被さった表皮が張った状態でパッドの表面に沿っていることをいう。

［パネルフレーム構造体の概略］
　パネルフレーム構造体５１００は、パネルフレーム５０２０、補強フレーム５０４０，５０５０、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０、セットブラケット５０１１，５０１２、ストライカー５０１３、ストライカー支持ブラケット５０１４及びベルトガイドブラケット５０１５等を備える。
　パネルフレーム５０２０は、略長方形状であってスチールやアルミ合金等の金属板であり、図４３に示すように、パネルフレーム５０２０における上下の辺を左右方向、左右の辺を上下方向に沿わせた状態で車両用シートに装備される。

［パネルフレームの概略］
　上記パネルフレーム５０２０は、図４３及び図４４に示すように、正面視の板面形状が略長方形状の金属板である。
　なお、パネルフレーム構造体５１００の各構成は、特に言及しない場合には、溶接、より好ましくは、レーザー溶接により接合されている。但し、レーザー溶接以外の溶接方法を用いてもよいし、溶接以外の接合方法を用いてもよい。

　パネルフレーム５０２０は、その外縁部のほぼ全周に渡って前方に立ち上げられた丈の低い周壁状のフランジ部５２０１が形成されている。なお、このフランジ部５２０１は、後述するセットブラケット５０１１の取付位置となるパネルフレーム５０２０の右端下部及びストライカー５０１３の後方への折り返し部分が通過する上端中央部のみが除去されている。
　また、パネルフレーム５０２０の左右の縁部には、フランジ部５２０１の根元の角部に、上下方向に沿って前側に凸となるリブが形成されている。これらのリブは、フランジ部５２０１と共にパネルフレーム５０２０の剛性を高める補強構造となっている。

　さらに、パネルフレーム５０２０の上端部、下端部及び右端部を除く部位は、パネルフレーム５０２０において最も後側に位置する第一平面部５０２１であり、パネルフレーム５０２０の上端部は、第一平面部５０２１よりも前側に位置する第二平面部５０２２となっている。
　さらに、第一平面部５０２１のすぐ下側は、第一平面部５０２１よりも前側に位置する第三平面部５０２３、第三平面部５０２３のさらに下側は、第三平面部５０２３よりも前側に位置する第四平面部５０２４、第四平面部５０２４の右側は、第四平面部５０２４よりも前側に位置する第五平面部５０２５となっている。各平面部５０２１～５０２５は、それぞれ、上下左右方向に沿った平面状である。
　なお、上記第一～第五平面部５０２１～５０２５について、「より前側」とは、第一～第五平面部５０２１～５０２５の前面が比較される他の平面部の前面よりも前側であり、且つ、第一～第五平面部５０２１～５０２５の後面も比較される他の平面部の後面よりも前側であることを示す。

　パネルフレーム５０２０において、第一～第五平面部５０２１～５０２５及び後述する各部の補強構造は、一枚の平板からプレス加工によって形成されたものであり、これらは一体化されている。
　また、第一～第五平面部５０２１～５０２５の境界に沿って丈の低い段差が形成され、当該段差もパネルフレーム５０２０の板面全体の補強構造となっている。

　第一平面部５０２１には、図４３に示すように、上下方向に沿った帯状の膨出部からなるビード状の九本の第一補強部５２１１～５２１９が形成されている。
　これら第一補強部５２１１～５２１９は、左右方向に並列して配置され、第一平面部５０２１の前面において前方に凸状、後面において前方に凹状に形成されている。
　各第一補強部５２１１～５２１８は、前側への突出高さが第三平面部５０２３と等しく、第一補強部５２１１，５２１６は、第三平面部５０２３に連続している。
　なお、「連続」するとは、板面が段差を生じることなく連なっている状態を示す。
　また、第一補強部５２１３，５２１４，５２１５，５２１７，５２１８は、他の第一補強部５２１１，５２１２，５２１６よりも左右方向の幅が広く、長手方向に沿って複数の円形の貫通孔が並んで形成されている。
　また、第一平面部５０２１の右端近傍に位置する第一補強部５２１９は、第一補強部５２１１～５２１９の中で最も左右方向の幅が広く、前側への突出高さが第一補強部５２１１～５２１８よりも幾分高い。この第一補強部５２１９は、前方に膨出した平坦面を有し、当該平坦面上に上下に沿って二本のビード状の内側補強部５２１９ａを有する。これら内側補強部５２１９ａは、第一補強部５２１９の平坦面の前面において後方に凹状、後面において後方に凸状に形成されている。

　第二平面部５０２２には、図４４に示すように、角の丸い矩形の接合作業用の貫通孔５２２１が左右方向に並んで複数（本実施形態では五つ）形成されている。

　前述したヘッドレストフレーム５０６０，５０７０、ストライカー支持ブラケット５０１４及びベルトガイドブラケット５０１５は、いずれもパネルフレーム５０２０の前面側に接合された補強フレーム５０４０の前面側にレーザー溶接等の溶接により接合される取付部を有する。
　そして、補強フレーム５０４０に対してこれらの部材５０６０，５０７０，５０１４，５０１５を接合する場合、各補強フレーム５０４０，５０５０をパネルフレーム５０２０に接合する作業と同じように、パネルフレーム５０２０の後方から行うことが作業効率上で好ましい。しかしながら、その場合、パネルフレーム５０２０が妨げとなって、補強フレーム５０４０と部材５０６０，５０７０，５０１４，５０１５の接合箇所にレーザーを照射することが困難となる。
　このため、パネルフレーム５０２０における、補強フレーム５０４０に対する各部材５０６０，５０７０，５０１４，５０１５の接合箇所に対応する各位置に、レーザー光を通す接合作業用の貫通孔５２２１が形成されている。
　なお、接合作業用の貫通孔５２２１は、レーザー溶接に限らず、他の溶接を選択する場合でも活用することが可能である。

　そして、上記各貫通孔５２２１は、第二平面部５０２２に形成された五つの第二補強部５２２２と同一箇所に形成されている。
　即ち、各貫通孔５２２１の内縁部に沿った凸条からなる第二補強部５２２２が第二平面部５０２２の後面側に形成されている。各第二補強部５２２２は、パネルフレーム５０２０の上端部に至る配置で形成されている。

　各第二補強部５２２２は、第二平面部５０２２の後面において後方に凸状、前面において後方に凹状に形成されている。各第二補強部５２２２は、後側への突出高さが第一平面部５０２１とほぼ等しく、各第二補強部５２２２の下端部は、第一平面部５０２１に連続している。
　また、各第二補強部５２２２は、貫通孔５２２１の内縁が前方に向かって立ち上げられた周壁状となっている。従って、パネルフレーム構造体５１００又はパネルフレーム５０２０を取り扱う際に、各貫通孔５２２１内に指を入れた場合に、周壁の面で滑らかに接触することができる。

　第三平面部５０２３は、第一平面部５０２１の下側に隣接し、左右方向に延在している。第三平面部５０２３の下側には、パネルフレーム５０２０の下端部に位置する第四平面部５０２４が隣接し、当該第四平面部５０２４も左右方向に延在している。
　前述したように、第三平面部５０２３は、第一平面部５０２１よりも前側に位置し、第四平面部５０２４は、第三平面部５０２３よりもさらに前側に位置する。
　そして、第三平面部５０２３と第四平面部５０２４との境界線は、左右方向に延在し、当該境界線上には、第三平面部５０２３及び第四平面部５０２４を跨って複数（本実施形態では四つ）の第三補強部５２３１が形成されている。
　各第三補強部５２３１は、角に丸みを帯びた矩形状に前方に膨出した構造であり、その膨出部は、丸みを帯びた矩形状の平面部を有する。また、各第三補強部５２３１は、第三平面部５０２３及び第四平面部５０２４よりも前方に膨出している。各第三補強部５２３１は、第三平面部５０２３及び第四平面部５０２４の前面において前方に凸状、後面において前方に凹状に形成されている。

　第四平面部５０２４の左端部は、パネルフレーム５０２０の左下の角部に位置し、上下方向の幅が他の部位よりも広くなっている。そして、第四平面部５０２４の左端部の前面側には、矩形平板状のセットブラケット５０１２が接合されている。このセットブラケット５０１２の前面の前後方向における高さは、前述した各第三補強部５２３１の平面部の前面の前後方向における高さと一致している。
　また、セットブラケット５０１２の前面には、補強フレーム５０５０の左端部がレーザー溶接により接合される。従って、第四平面部５０２４におけるセットブラケット５０１２の取付位置には、セットブラケット５０１２に対する補強フレーム５０５０の接合作業用の開口部５２４１が広く貫通形成されている。この開口部５２４１は、セットブラケット５０１２よりも小さい略矩形をなす。

　第五平面部５０２５は、パネルフレーム５０２０の右下の角部に位置し、第三平面部５０２３及び第四平面部５０２４の右側に隣接している。前述したように、第五平面部５０２５は、第一～第五平面部５０２１～５０２５の中で最も前側に位置している。
　そして、第五平面部５０２５の前面側には、セットブラケット５０１１の平面状の基端部が接合されている。このセットブラケット５０１１は、基端部の前面の前後方向における高さが前述した各第三補強部５２３１の平面部の前面及びセットブラケット５０１２の前面の前後方向における高さと一致している。
　また、セットブラケット５０１１の前面には、補強フレーム５０５０の右端部がレーザー溶接により接合される。従って、第五平面部５０２５におけるセットブラケット５０１１の取付位置には、セットブラケット５０１１に対する補強フレーム５０５０の接合作業用の開口部５２５１が広く貫通形成されている。この開口部５２５１は、セットブラケット５０１１の基端部よりも小さい略矩形をなす。

［補強フレーム］
　補強フレーム５０４０，５０５０は、スチールやアルミ合金等の平板からプレス加工で形成された金属製の支柱である。
　図４３に示すように、補強フレーム５０４０，５０５０は、長尺であって断面略Ｕ字状を成す開断面形状の補強部５０４１，５０５１と、補強部５０４１，５０５１の開放側の両端部に形成された一対のフランジ部５０４２，５０５２とを有する。一対のフランジ部５０４２，５０５２は、パネルフレーム５０２０に対向する平面部を有し、当該平面部を面接触させた状態でパネルフレーム５０２０にレーザー溶接によって接合されている。
　補強フレーム５０４０，５０５０は、それぞれ、その長手方向を左右方向に向けた状態でパネルフレーム５０２０の前面側の上端部と下端部とに接合されている。

　さらに詳細には、補強フレーム５０４０は、上側となるフランジ部５０４２がパネルフレーム５０２０の第二平面部５０２２の前面側に接合され、下側となるフランジ部５０４２が第一平面部５０２１の前面側に接合されている。
　補強フレーム５０４０の上側となるフランジ部５０４２は、第二平面部５０２２における貫通孔５２２１及び第二補強部５２２２を避けた複数個所に接合されている。
　下側となるフランジ部５０４２は、第一平面部５０２１における各第一補強部５２１１～５２１９が存在しない上端部の前面に対して複数個所に接合されている。
　補強フレーム５０５０の一対のフランジ部５０５２は、前後方向に同一高さとなる複数の第三補強部５２３１の前面及びセットブラケット５０１１，５０１２の前面に対して複数個所に接合される。

［セットブラケット］
　図４３に示すように、右側のセットブラケット５０１１は、パネルフレーム５０２０の前面の右端下部、即ち、第五平面部５０２５の前面に接合される平面状の基端部と、基端部から前方に延出された支持腕部５１１１とを備えている。セットブラケット５０１１は、パネルフレーム５０２０よりも厚みのある金属板にプレス加工を行って立体的な構造とした部材である。
　セットブラケット５０１１の基端部の前面には、前述したように、補強フレーム５０５０の右端部が接合されている。
　支持腕部５１１１の先端部には、パネルフレーム構造体５１００を支持する支軸５１１２が挿入される支持孔が左右方向に貫通形成されている。

　図４３に示すように、左側のセットブラケット５０１２は、パネルフレーム５０２０の前面の左端下部、即ち、第四平面部５０２４の左端部の前面側にレーザー溶接により接合されている。
　また、左側のセットブラケット５０１２の前面には、前述したように、補強フレーム５０５０の左端部が接合されている。
　セットブラケット５０１２は、パネルフレーム５０２０よりも厚みのある金属板からなる部材である。このセットブラケット５０１２は、前面の左端部にプロジェクションナット５１２１がプロジェクション溶接によって固定装備されている。プロジェクションナット５１２１は、パネルフレーム構造体５１００を車両用シートに固定する際に、固定用のボルトが螺入される。

［ヘッドレストフレーム］
　図４５に示すように、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０は、いずれも、パネルフレーム５０２０の上端部において、前斜め上側に向かって立設された第一部材５０６１，５０７１及び第二部材５０６２，５０７２から構成されている。第一部材５０６１，５０７１は前側、第二部材５０６２，５０７２は後側に位置する。第一部材５０６１，５０７１と第二部材５０６２，５０７２とは、それぞれ、スチールやアルミ合金等の平板からプレス加工で立体的に形成された金属製の部材である。

　第一部材５０６１，５０７１は、立設方向に延在する板状であって、その上端部が後方に湾曲している。また、第二部材５０６２，５０７２は、立設方向に延在する板状であって、その上端部が前方に湾曲している。そして、第一部材５０６１，５０７１の上端部が第二部材５０６２，５０７２の上端部に上から重なり、これらの重合部分がレーザー溶接により接合されて一体化されている。
　上記第一部材５０６１，５０７１の左右の側端部には、その延在方向のほぼ全長に渡って、後方を向いたフランジ状の側面部５６１１，５７１１を有する。また、第二部材５０６２，５０７２の左右の側端部には、その延在方向のほぼ全長に渡って、前方を向いたフランジ状の側面部５６２１，５７２１を有する。
　従って、第一部材５０６１，５０７１は、上記延在方向に垂直な断面の形状が開口部を後方に向けた略Ｕ字状（開断面形状）となる。また、第二部材５０６２，５０７２は、上記延在方向に垂直な断面の形状が開口部を前方に向けた略Ｕ字状（開断面形状）となる。
　このように、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０は、開断面形状の開放側を後方に向けた第一部材５０６１，５０７１と開断面形状の開放側を前方に向けた第二部材５０６２，５０７２との合わせ構造により、各部材の側面部５６１１，５７１１，５６２１，５７２１が補強構造となり、前後方向の応力に対して高い剛性を有する。
　また、第二部材５０６２，５０７２は、第一部材５０６１，５０７１に比べて、パネルフレーム５０２０の板面に対してより垂直に近い状態で立設されており、第一部材５０６１，５０７１に対する後方への加圧力に対して第二部材５０６２，５０７２がヘッドレストフレーム５０６０，５０７０全体を支える構造となっており、後方の応力に対して特に高い剛性を有する。

　第一部材５０６１，５０７１は、立設方向に延在する略平板状部分の下端部にパネルフレーム５０２０の第一平面部５０２１に接合される取付部５６１２，５７１２を有する。また、第一部材５０６１，５０７１は、左右の側面部５６１１，５７１１から後斜め上方に延出されて、その先端部で補強フレーム５０４０の補強部５０４１の前面に接合される左右一対の取付部５６１３，５７１３を有する。
　このように、第一部材５０６１，５０７１は、パネルフレーム５０２０と補強フレーム５０４０とに前後方向に跨ってパネルフレーム５０２０及び補強フレーム５０４０に接合されている。

　第二部材５０６２，５０７２は、左右の側面部５６２１，５７２１から第二部材５０６２，５０７２の延在方向に延出されて、その先端部で補強フレーム５０４０のフランジ部５０４２の上面に接合される左右一対の取付部５６２２，５７２２を有する。

　第一部材５０６１の取付部５６１２は、図４３に示すように、パネルフレーム５０２０の第一平面部５０２１の前面における、二つの第一補強部５２１２，５２１４に左右から挟まれた位置であって、第一補強部５２１３の平面方向（上下方向）に沿って隣り合う位置に接合されている。
　また、第一部材５０７１の取付部５７１２は、図４３に示すように、パネルフレーム５０２０の第一平面部５０２１の前面における、二つの第一補強部５２１７，５２１９に左右から挟まれた位置であって、第一補強部５２１８の平面方向（上下方向）に沿って隣り合う位置に接合されている。

　このように、取付部５６１２，５７１２は、第一平面部５０２１において周囲に第一補強部５２１２～５２１４，５２１７～５２１９が形成された位置に接合されているので、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０から応力が加わった場合でもパネルフレーム５０２０の撓みを抑制し、取付部５６１２，５７１２の接合強度を高く維持することができる。

　第一部材５０６１の左側の取付部５６１３及び第二部材５０６２の左側の取付部５６２２は、図４４に示すように、パネルフレーム５０２０の板面に垂直な方向について、パネルフレーム５０２０の第二平面部５０２２に形成された最も左側の貫通孔５２２１と重なる位置で補強フレーム５０４０に接合されている。
　同様に、第一部材５０６１の右側の取付部５６１３及び第二部材５０６２の右側の取付部５６２２は、パネルフレーム５０２０の板面に垂直な方向について、パネルフレーム５０２０の第二平面部５０２２に形成された左から二番目の貫通孔５２２１と重なる位置で補強フレーム５０４０に接合されている。

　また、第一部材５０７１の左側の取付部５７１３及び第二部材５０７２の左側の取付部５７２２は、図４４に示すように、パネルフレーム５０２０の板面に垂直な方向について、パネルフレーム５０２０の第二平面部５０２２に形成された右から二番目の貫通孔５２２１と重なる位置で補強フレーム５０４０に接合されている。
　同様に、第一部材５０７１の右側の取付部５７１３及び第二部材５０７２の右側の取付部５７２２は、パネルフレーム５０２０の板面に垂直な方向について、パネルフレーム５０２０の第二平面部５０２２に形成された最も右側の貫通孔５２２１と重なる位置で補強フレーム５０４０に接合されている。
　そして、各貫通孔５２２１は、その内縁部に沿って後方に凸となる第二補強部５２２２が形成されている。

　従って、第一部材５０６１，５０７１の左右の取付部５６１３，５７１３及び第二部材５０６２，５０７２の左右の取付部５６２２，５７２２は、周囲に第二補強部５２２２が延在する範囲に重なる配置で補強フレーム５０４０に接合されているので、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０から加圧力、張力、衝撃等が加わった場合でもパネルフレーム５０２０の撓みを抑制し、取付部５６１３，５７１３，５６２２，５７２２の接合強度を高く維持することができる。
　また、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０の第一部材５０６１，５０７１の左右の取付部５６１３，５７１３は、補強フレーム５０４０の補強部５０４１に接合されているので、よりパネルフレーム５０２０の撓みを抑制し、取付部５６１３，５７１３の接合強度をさらに高く維持することができる。

［ストライカー及びストライカー支持ブラケット］
　図４３に示すように、ストライカー５０１３は、ベンチシートの背もたれとなるパネルフレーム構造体５１００を車体に固定するための金具である。ストライカー５０１３は、金属からなる一本の太い線材を曲げ加工したものである。線材の両端部は、ストライカー支持ブラケット５０１４にレーザー溶接で接合されており、環状となる線材の中間部は、パネルフレーム５０２０の上端部から後方に折り返され、さらに、下方に延出されたフック状に曲げ加工されている。

　ストライカー支持ブラケット５０１４は、ストライカー５０１３が接合された本体部と、当該本体部の左右両端から左右それぞれの方向に延出された取付部とを有する。ストライカー支持ブラケット５０１４は、スチールやアルミ合金等の平板からプレス加工で立体的に形成された金属製の部材である。

　ストライカー支持ブラケット５０１４の左右の取付部は、補強フレーム５０４０の補強部５０４１の前面に接合されている。
　ストライカー支持ブラケット５０１４の左側の取付部は、図４４に示すように、パネルフレーム５０２０の板面に垂直な方向について、パネルフレーム５０２０の第二平面部５０２２に形成された中央の貫通孔５２２１と重なる位置で補強フレーム５０４０に接合されている。
　また、ストライカー支持ブラケット５０１４の右側の取付部は、パネルフレーム５０２０の板面に垂直な方向について、パネルフレーム５０２０の第二平面部５０２２に形成された右から二番目の貫通孔５２２１と重なる位置で補強フレーム５０４０に接合されている。

　従って、ストライカー支持ブラケット５０１４の左右の取付部は、周囲に第二補強部５２２２が延在する範囲に重なる配置で補強フレーム５０４０に接合されているので、ストライカー５０１３から加圧力、張力、衝撃等が加わった場合でもパネルフレーム５０２０の撓みを抑制し、取付部の接合強度を高く維持することができる。
　また、ストライカー支持ブラケット５０１４の左右の取付部は、補強フレーム５０４０の補強部５０４１に接合されているので、よりパネルフレーム５０２０の撓みを抑制し、ストライカー支持ブラケット５０１４の接合強度をさらに高く維持することができる。

［ベルトガイドブラケット］
　ベルトガイドブラケット５０１５は、シートベルトの図示しないベルトガイドを支持する台座となる部材であり、ベルトガイドを支持する本体部と、当該本体部の左右両端から左右それぞれの方向に延出された取付部と下方に延出された取付部とを有する。ベルトガイドブラケット５０１５は、スチールやアルミ合金等の平板からプレス加工で立体的に形成された金属製の部材である。

　ベルトガイドブラケット５０１５の下方に延出された取付部は、補強フレーム５０４０の補強部５０４１の前面に接合されている。
　また、ベルトガイドブラケット５０１５の左方に延出された取付部は、図４４に示すように、パネルフレーム５０２０の板面に垂直な方向について、パネルフレーム５０２０の第二平面部５０２２に形成された左から二番目の貫通孔５２２１と重なる位置で補強フレーム５０４０に接合されている。
　同様に、ベルトガイドブラケット５０１５の右方に延出された取付部は、パネルフレーム５０２０の板面に垂直な方向について、パネルフレーム５０２０の第二平面部５０２２に形成された中央の貫通孔５２２１と重なる位置で補強フレーム５０４０に接合されている。

　従って、ベルトガイドブラケット５０１５の左右の取付部は、周囲に第二補強部５２２２が延在する範囲に重なる配置で補強フレーム５０４０に接合されているので、ベルトガイドから加圧力、張力、衝撃等が加わった場合でもパネルフレーム５０２０の撓みを抑制し、ベルトガイドブラケット５０１５の左右の取付部の接合強度を高く維持することができる。
　また、ベルトガイドブラケット５０１５の下方に延出された取付部は、補強フレーム５０４０の補強部５０４１に接合されているので、ベルトガイドから加圧力、張力、衝撃等が加わった場合でも、パネルフレーム５０２０の撓みを抑制し、下方に延出された取付部の接合強度を高く維持することができる。

［発明の実施形態の技術的効果］
　上記パネルフレーム構造体５１００は、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０がパネルフレーム５０２０と補強フレーム５０４０とに跨って接合されているので、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０に外力が加わった場合に、負荷をパネルフレーム５０２０と補強フレーム５０４０とに分散することができ、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０の取付強度を高く維持することができる。また、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０に加わる外力に対してパネルフレーム構造体５１００の撓みを抑制することができる。

　特に、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０の第一部材５０６１，５０７１がパネルフレーム５０２０と補強フレーム５０４０とに跨って接合されているので、当該第一部材５０６１，５０７１の取付強度を高く維持することができる。
　上記パネルフレーム構造体５１００では、第一部材５０６１，５０７１が前側に位置し、第二部材５０６２，５０７２が後側に位置すること、第一部材５０６１，５０７１は後側に傾斜し、第二部材５０６２，５０７２はパネルフレーム５０２０の板面により垂直に近いこと、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０が後方への加圧力が加わる場合が多いこと等により、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０全体の取付強度を効果的に向上させることが可能である。

　また、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０がパネルフレーム５０２０と補強フレーム５０４０とにレーザー溶接により接合されているので、ヘッドレストフレームの取付強度をさらに高く維持することが可能である。

　また、パネルフレーム構造体５１００は、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０の補強フレーム５０４０側の取付部５６１３，５７１３が補強フレーム５０４０の補強部５０４１に接合されているので、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０の取付強度をより高く維持することができる。また、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０に加わる外力に対してパネルフレーム構造体５１００の撓みを抑制することができる。

　また、パネルフレーム構造体５１００は、パネルフレーム５０２０が、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０の補強フレーム５０４０側の取付部５６１３，５７１３，５６２２，５７２２の取付位置に重複する配置で、第二補強部５２２２を有するので、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０に加わる外力に対して高強度で取付状態を維持することができる。また、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０に加わる外力に対してパネルフレーム構造体５１００の撓みを抑制することができる。

　また、パネルフレーム構造体５１００は、パネルフレーム５０２０の第二補強部５２２２に貫通孔５２２１が形成されているので、当該第二補強部５２２２によって強度を維持しつつも貫通孔５２２１による軽量化を図ることが可能となる。この貫通孔５２２１は、各部材５０６０，５０７０，５０１４，５０１５の接合作業にも利用され、接合作業の高効率化にも寄与する。
　また、第一補強部５２１３～５２１５，５２１７，５２１８にも貫通孔が形成されており、強度を維持しつつもこれらの貫通孔による軽量化を図ることが可能となる。

　また、パネルフレーム構造体５１００は、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０のパネルフレーム５０２０側の取付部５６１２，５７１２がパネルフレーム５０２０の二つの第一補強部５２１２と５２１４、５２１７と５２１９との間に接合されており、また、取付部５６１２，５７１２は、第一補強部５２１３，５２１８と上下に並ぶ配置で接合されている。
　従って、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０に加わる外力に対して高強度で取付状態を維持することができる。また、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０に加わる外力に対してパネルフレーム構造体５１００の撓みを抑制することができる。

　また、パネルフレーム構造体５１００は、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０を構成する第一部材５０６１，５０７１と第二部材５０６２，５０７２で構成されている。
　このため、ヘッドレストフレームの第一部材５０６１，５０７１と第二部材５０６２，５０７２とを互いに開口部が対向する開断面形状で形成する等、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０の構造の自由度を高め、より剛性の高いヘッドレストフレーム５０６０，５０７０を提供することができ、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０の軽量化を図りつつ強度向上を容易に実現することが可能となる。

　ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０を構成する第一部材５０６１，５０７１と第二部材５０６２，５０７２とは、レーザー溶接によりに接合されているので、接合強度を高めてヘッドレストフレーム５０６０，５０７０全体の剛性を高く維持することができる。

［その他］
　パネルフレーム構造体５１００のパネルフレーム５０２０に形成されたそれぞれの補強部は、いずれも、パネルフレーム５０２０の板材に変形を加えて凸状部又は凸条を形成し、強度や剛性を高める構造を例示した。しかしながら、補強部は、これに限定されるものではなく、例えば、パネルフレーム５０２０の板材に屈曲部を形成して強度や剛性を高める構造等を利用してもよい。
　但し、上記各種の補強部は、パネルフレーム５０２０に対して新たな部材を接合、装着する構成としてもよいが、パネルフレーム５０２０の板材に改変や変形を加えて強度や剛性を高めるものがより好ましい。

　また、発明の実施形態として、ヘッドレストフレーム５０６０，５０７０を二つ設け、左右幅の広い二人掛けのベンチシートに使用するパネルフレーム構造体５１００を例示したが、ヘッドレストフレームを一つとし、左右幅を小さくして一人掛けのシートに使用するパネルフレーム構造体にパネルフレーム構造体５１００の技術的特徴を適用してもよい。
　同様に、ヘッドレストフレームを二つより多くし、左右幅を広げて二人を超える人数掛けのシートに使用するパネルフレーム構造体にパネルフレーム構造体５１００の技術的特徴を適用してもよい。
　また、略長方形状状のパネルフレーム構造体５１００を例示したが、略正方形であってもよい。

　本発明は、パネルフレーム構造体について産業上の利用可能性がある。

２０２０　パネルフレーム
２０２１～２０２４　並列補強部
２０２５　中央補強部
２０２６，２０２７　段差補強部
２０４０　アッパーフレーム
２０４１　柱状部
２０４２　フランジ部
２０４３　前面部
２０４４　屈曲部
２０４５　ガイド部
２０５０　ロアーフレーム
２０５１　柱状部
２０５２　フランジ部
２０６０，２０７０　サイドフレーム
２０６１，２０７１　柱状部
２０６２，２０７２　フランジ部
２０８０　取付ブラケット
２０８１　下部
２０８２　上部
２０８３～２０８６　フランジ部
２０８７　隙間空間
２０８８　膨出部
２０８９　側壁部
２０９０　アームレストブラケット
２０９１　本体部
２０９２　迂回部
２０９３，２０９４　腕部
２０９５　補強部
２１００　パネルフレーム構造体
２１１０　ロック装置
２１１１　ボルト（固定部材）
２１１２　ナット（固定部材）
２１２０，２１３０　角部ブラケット
２１２１　フランジ部
２１２２　フランジ部
２１３１　フランジ部
２１３２　フランジ部
２１４０　ベルトガイド
２１４１　挿通部
２１４２　脚部
２１５０　支持具
２１６０　エアバッグモジュール
２２０１　フランジ部
ＢＳ　シートベルト

Claims

　パネルフレームと、
　前記パネルフレームの上端部に沿って接合されたアッパーフレームと、
　前記パネルフレームの側端部に沿って接合されたサイドフレームと、
　ロック装置の取付ブラケットとを備えるパネルフレーム構造体であって、
　前記取付ブラケットが、前後方向から見て前記アッパーフレームと重なった部分を有することを特徴とするパネルフレーム構造体。
　前記取付ブラケットが前記アッパーフレームの少なくとも一部を覆った状態であることを特徴とする請求項１に記載のパネルフレーム構造体。
　前記サイドフレームと前記取付ブラケットと前記アッパーフレームとが、前後方向から見て重なった部分を有することを特徴とする請求項１に記載のパネルフレーム構造体。
　前記取付ブラケットと前記アッパーフレームとの間に、前記ロック装置を取り付ける固定部材を配置する隙間空間を有することを特徴とする請求項１に記載のパネルフレーム構造体。
　前記隙間空間を形成する側壁部に前記固定部材が接合されていることを特徴とする請求項４に記載のパネルフレーム構造体。
　前記取付ブラケットは、前後方向に突出する部位の内側に前記隙間空間を有することを特徴とする請求項４に記載のパネルフレーム構造体。
　前記取付ブラケットは、前記アッパーフレーム又は前記サイドフレームの少なくとも一方と前記パネルフレームとに接合されていることを特徴とする請求項３に記載のパネルフレーム構造体。
　前記取付ブラケットと前記アッパーフレームとの間に前記ロック装置を格納する隙間空間を有することを特徴とする請求項１に記載のパネルフレーム構造体。
　アームレストを支持するアームレストブラケットと、
　前記パネルフレームの角部に接合される角部ブラケットとを備え、
　前記アームレストブラケットが、前後方向から見て前記サイドフレーム又は前記角部ブラケットと重なった部分を有することを特徴とする請求項１に記載のパネルフレーム構造体。
　前記アームレストブラケットは、前記サイドフレーム又は前記角部ブラケットに接合されていることを特徴とする請求項９に記載のパネルフレーム構造体。
　前記アームレストブラケットは、前記サイドフレームと前記角部ブラケットのいずれにも接合されていないことを特徴とする請求項９に記載のパネルフレーム構造体。
　前記アームレストブラケットは、前記サイドフレーム又は前記角部ブラケットを前後方向に回避する形状であることを特徴とする請求項９に記載のパネルフレーム構造体。
　前記アッパーフレームは、開断面形状であって、
　前記パネルフレームにおける前記アッパーフレームの開断面の開口部の内側となる位置に凹凸による補強部を有することを特徴とする請求項１に記載のパネルフレーム構造体。
　前記アッパーフレーム又は前記サイドフレームは、開断面形状であって、
　前記パネルフレームにおける前記アッパーフレーム又は前記サイドフレームの開断面の開口部の外側に並んで凹凸による補強部を有することを特徴とする請求項１に記載のパネルフレーム構造体。
　前記パネルフレームは、網目模様のビードが形成されていることを特徴とする請求項１に記載のパネルフレーム構造体。